説明

防汚性シートの接合方法と防汚性接合シート

【課題】 基布の酸化チタン層を被覆する表面にシボ加工の凹凸を形成することなく、また酸化チタン層を除去して基材の表面の樹脂層を露出させることなく、少なくとも2枚の防汚性シート同士を高周波ウェルダーで確実に溶着可能で接合強度も大きい防汚性シートの接合方法を提供する。
【解決手段】 両面に塩化ビニル系樹脂層3が被覆された合成基布2上に、酸化チタンを含有した防汚性薄膜層4が被覆された所定幅×所定長さの少なくとも2枚の防汚性シート1の隣接する端縁部1a同士を重ね合わせ、高周波ウェルダーにより一体に接合する接合方法であって、端縁部1a同士を定盤14上で電極部12により所定圧力下でプレスするとともに発振器により高周波を1次発振させたのち、プレス圧力を増大して高周波を2次発振させることにより防汚性薄膜層4を融解・破断し、上側防汚性シート1Aと下側防汚性シート1Bとを加熱溶融した樹脂層3を介して溶着したのち、発振を終了して冷却し接合するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基布に樹脂層が被覆されたシート素材の一面上に酸化チタンを含有した防汚性薄膜層が被覆(コーティングまたはラミネート)された防汚性シートの端縁部を高周波ウェルダーにより接合する方法と同方法を用いて接合された防汚性接合シートに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような酸化チタンを含有した層(以下、酸化チタン被膜ともいう)は、光の照射により電子が励起し、触媒としての機能を発揮する。この機能に、表面に付着した汚れを分解したり、水質を浄化したり、親水性を高めたりする、いわゆる防汚性作用があるといわれている。そこで、例えばテント生地に、酸化チタン被膜を基布の一面にコーティングした防汚性シートが好適であるが、一般的に酸化チタン被膜は熱溶融し難い。したがって、酸化チタン被膜が被覆(コーティング)された2枚の防汚性シートの端縁部を重ね合わせて高周波ウェルダーにて接合しようとしても、充分には接合できないおそれがある。
【0003】
このため、例えば、酸化チタン被膜の重ね合わせ部分で、他方の酸化チタン被膜と接触する範囲の酸化チタン被膜を除去してから、重ね合わせ部分の溶接(溶着)を行う接合方法が提案されている(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。しかし、これらの接合方法は、酸化チタン層を除去し、塩化ビニル系樹脂層を露出させる処理を行得必要があるために、非常に手間がかかる。
【0004】
そこで、酸化チタン層を削り、塩化ビニル系樹脂層を露出させる処理を行ってから接合することなく、防汚性膜材同士を、簡便かつ迅速に溶着接合可能な防汚性シートの接合体に関する他の先行技術として、基布の両面が塩化ビニル系樹脂で被覆され一方の面にのみ酸化チタン層が形成されている防汚性膜材が2以上接合されている接合体で、酸化チタン層が形成されている面と酸化チタン層が形成されていない面とが高周波ウェルダーにより溶着接合されている防汚性膜材接合体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【特許文献1】特許第2872988号公報
【特許文献2】特許第2889224号公報
【特許文献3】特開2006−218836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献3によれば、酸化チタン層が形成されている面と、他方の酸化チタン層が形成されていない面とを重ね合わせ、重ねた部分を図2に示したような原理の高周波ウェルダー装置により接合部を内部加熱し、金型で加圧する方法で膜材を何枚も幅方向および長さ方向に接合することができる旨、記載されている。しかしながら、高周波ウェルダー装置により接合部を内部加熱し、金型で加圧する方法では、酸化チタン層で溶着が阻害され、確実に防汚性シート同士を溶着することは困難であった。やはり、実施態様に記載のように、膜材の塩ビ基材の光触媒層の表面にシボ加工の凹凸を形成するなどの加工を施しておかなければ、膜材同士を接合することは困難である、と考えられる。
【0006】
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、基布の酸化チタン層を被覆する表面にシボ加工の凹凸を形成することなく、また酸化チタン層を除去して基材の表面の樹脂層を露出させることなく、少なくとも2枚の防汚性シート同士を高周波ウェルダーで確実に溶着可能で接合強度も大きい防汚性シートの接合方法と防汚性接合シートを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために本発明に係る防汚性シートの接合方法は、基布の両面に塩化ビニル、酢酸ビニルなどの樹脂層が被覆(例えば、コーティングまたはラミネート)されたシート素材(膜材)の一面上に、酸化チタンを含有した防汚性薄膜層が被覆された所定幅・所定長さからなる少なくとも2枚の防汚性シートの隣接する端縁部同士を重ね合わせ、高周波ウェルダーにより一体に接合する接合方法であって、前記端縁部同士を定盤上で電極部により所定圧力下でプレスするとともに発振器により高周波を1次発振させたのち、前記プレス圧力を増大して高周波を2次発振させることにより防汚性薄膜層を融解・破断し、上側防汚性シートと下側防汚性シートとを加熱溶融した前記樹脂層を介して溶着したのち、発振を終了して冷却し接合することを特徴とする。
【0008】
このようにすることで、1次発振で酸化チタン含有の防汚性薄膜層が加熱され、同時に加圧力を受けることによって融解点近くに達し、暴露しやすい状態になる。続いて2次発振で防汚性薄膜層がさらに加熱され、同時に増大した加圧力を受けることによって防汚性薄膜層が融解して破断し、破壊される。この結果、下側防汚性シートの基布上面の樹脂層が露出し同時に溶融し、下側防汚性シートの基布下面の樹脂層も溶融し、樹脂層を介して基布同士が一体的に溶着され、冷却されることによって上側防汚性シートと下側防汚性シートとが端縁部同士で一体に接合される。なお、破壊された防汚性薄膜層は分散され、その下面側に位置する溶融した樹脂層中に分散されて含浸される。また、上下の防汚性シートの接合部における引張強度保持率は、「膜構造の建築物または建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準(建築基準法施工令第80条の2第2号の規定)」の定める基準で100%以上であった。すなわち、「膜構造の建築物または建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準(建築基準法施工令第80条の2第2号の規定)」の定めに準じた引っ張り試験を行ったところ、接合部では破断せず、接合部端縁の近傍で下側防汚性シートの非接合箇所が破断した。
【0009】
請求項2に記載のように、前記1次発振は、溶着時間を5〜10秒、陽極電流を500〜650mA、プレス圧力を0.3〜0.6MPaの範囲内の下で行うとともに、前記2次発振は、溶着時間を5〜15秒、陽極電流を550〜720mA、プレス圧力を0.35〜0.8MPaの範囲内の下で行うことができる。
【0010】
このようにすれば、酸化チタンを含有した防汚性薄膜層が溶融され、破壊されて上下の樹脂層が溶着され、防汚性シートの端縁部同士が一体に接合される。
【0011】
請求項3に記載のように、前記電極部および前記定盤を80〜150℃に予熱することが好ましい。
【0012】
このように防汚性シートの基布表面の樹脂層が溶融しない範囲で防汚性シートの端縁部やその周辺を予熱することで、一体接合に必要な溶着時間が大幅に(半分近くまで)短縮される。
【0013】
本発明(請求項4)に係る防汚性接合シートは、基布の両面に塩化ビニル、酢酸ビニルなどの樹脂層が被覆(例えば、コーティングまたはラミネート)されたシート素材(膜材)の一面上に、酸化チタンを含有した防汚性薄膜層が被覆された所定幅・所定長さからなる少なくとも2枚の防汚性シートの隣接する端縁部同士を重ね合わせ、高周波ウェルダーにより一体に接合した防汚性接合シートであって、前記端縁部同士を定盤上で電極部により所定圧力下でプレスして高周波を1次発振させ、前記プレス圧力を増大し高周波を2次発振させることにより、下側防汚性シート側防汚性薄膜層を加熱融解し・かつ加圧下で破断して上側防汚性シート下面の樹脂層と下側防汚性シート上面の樹脂層とを溶着し一体に接合したことを特徴とする。
【0014】
上記構成を有する本発明の防汚性接合シートは、端縁部同士の接合部の強度が請求項1の接合方法で記載したとおり、防汚性シート自体の引っ張り強度保持率である100%あるいはそれ以上に達し、十分な接合部強度が得られるうえに、従来の接合方法と違って、あらかじめ防汚性シートに被覆されている酸化チタン層を除去したり、基布の表面にシボ加工などの凹凸部を加工したりするなどの、余分な処理や加工が不要である。
【0015】
請求項5に記載のように、前記防汚性薄膜層がパーフルオロスルホン酸を側鎖に有する高分子4フッ化エチレン(ナフィオン(登録商標))を主成分とし酸化チタンを含有した超親水性の防汚性層からなり、塩化ビニルの樹脂層がポリエステル繊維製基布の両面にコーティングされている。
【0016】
請求項5記載の防汚性接合シートによれば、幅30mm前後×長さ250〜400mmに亘る端縁部同士の接合を、例えば4kwの高周波ウェルダーにより10数秒〜20秒程度で行え、これを繰り返すことにより例えば長さ40m以上の端縁部同士を接合した防汚性接合シートが得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る防汚性シートの接合方法および防汚性接合シートには、次のような優れた効果がある。
【0018】
基布の酸化チタン層を被覆する表面にシボ加工の凹凸を形成することなく、また酸化チタン層を除去して基布の表面の樹脂層を露出させることなく、少なくとも2枚の防汚性シート同士を高周波ウェルダーで確実に溶着可能で、十分な接合強度が得られる。すなわち、防汚性シート自体の引っ張り強度保持率である100%あるいはそれ以上に達し、十分な接合部強度が得られるうえに、従来の接合方法と違って、あらかじめ防汚性シートに被覆されている酸化チタン層を除去したり、基布の表面にシボ加工などの凹凸部を加工したりするなどの、余分な処理や加工が不要である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の防汚性接合シートについての実施の形態を図面に基づいて説明し、その接合方法についても併せて説明する。
【0020】
本実施例の防汚性シート1(A・B)は、図1に示すように合成繊維(ポリエステル繊維)製基布2(A・B)の両面に塩化ビニル系樹脂層3(A・B)がコーティングされたシート素材(膜材)の、一方(上面側)の塩化ビニル系樹脂層3上にパーフルオロスルホン酸を側鎖に有する高分子4フッ化エチレン(ナフィオン(デュポン社の登録商標))を主成分とし酸化チタンを含有した超親水性の防汚性薄膜層4(A・B)がグラビアコーティングされている。防汚性シート1に関する具体的な数値は限定するものではないが、本実施例では、合成繊維製基布2の厚みが0.3mm(通常、0.2〜0.6mm)、上下の塩化ビニル系樹脂層3の厚みがそれぞれ0.1mm(通常、0.1〜0.3mm)、上面の防汚性薄膜層4が2〜3μmである。この防汚性シート1は、倉庫用テントおよびその他の各種テント、屋根材、スポーツ施設用ドームなどの用途に使用される。防汚性シート1は、通常、幅0.9m〜2.0m×長さ50m〜100mのロール状シートからなる。そこで、例えば、倉庫用テントとして使用する場合、所定幅(例えば0.5m)で所定長さ(例えば3m)に裁断した複数枚の防汚性シート1の端縁部(例えば、幅30mm)同士を長さ方向あるいは幅方向に高周波ウェルダー装置11で接合し、必要な幅×長さの防汚性接合シート5に仕上げることになる。こうした接合作業は、一般には縫製工場で行われる。
【0021】
本実施例では、高周波ウェルダー装置11として、図2に示すように、電極部(プレス部)12上に発振器13を一体化したオープン構造の装置を使用する。
【0022】
1) 定盤(下部テーブル)14上に2枚の防汚性シート1・1の端縁部1aを重ね合わせ、電極部12を端縁部1a上から所定圧力でプレスする。本例では、幅30mm×250〜400mmの溶着作業を行う。電極部12および定盤14にはヒータ(図示せず)を内蔵しており、高周波発振前に、端縁部1aの上下両面を120℃前後に加熱する。なお、高周波ウェルダー装置11には、電源部の出力が4kwタイプを用いた。
【0023】
2) 本例の高周波ウェルダー装置11は、電極部12の両側方にアース端子15を設け、発振器13から発振する高周波を電極部12にアース端子15を介して漏れなく集中させられるようにしている。発振器13から発振される高周波は、図3に示すように回路的にロスが生じず、電極部12と定盤14とで挟持される防汚性シート1・1の重ね合わされた端縁部1aに高周波電流が通電される。また、端縁部1aには上記したように、所定のプレス圧力を作用させる。この状態で、発振器13から1次発振される高周波によって、端縁部1aが内部発熱する。なお、図3中の符号16はバリアブルコンデンサーで、発振器13から発振される高周波電界を調整できる。
【0024】
3) 端縁部1aは、本例の場合、上から防汚性薄膜層4A・塩化ビニル系樹脂層3A・合成繊維製基布2A・塩化ビニル系樹脂層3A・防汚性薄膜層4B・塩化ビニル系樹脂層3B・合成繊維製基布2B・塩化ビニル系樹脂層3Bにより構成される。高周波ウェルダーにより中間に位置する塩化ビニル系樹脂層3A・防汚性薄膜層4B・塩化ビニル系樹脂層3Bが特に発熱する。このとき、塩化ビニル系樹脂層3の溶解温度である240℃前後になるまで加熱される(図1(a))。
【0025】
4) 具体的には、1次発振はプレス圧力0.5MPaで、陽極電流550〜600mA前後、溶着時間は約8秒とした。1次発振では、中間の防汚性薄膜層4Bを融解点に近づけ、その下側の塩化ビニル系樹脂層3Bが暴露(露出)しやすい状態にする(図1(b))。
【0026】
5) 引き続き2次発振するが、2次発振はプレス圧力0.7MPaで、陽極電流600〜650mA前後、溶着時間は約10秒とした。2次発振では、中間の防汚性薄膜層4Bがさらに加熱されて融解し、圧力下で破断される。そして、破断した防汚性薄膜層4Bは溶融された上側の塩化ビニル系樹脂層3Aおよび溶融された下側の塩化ビニル系樹脂層3B中に分散されて含浸されるとともに、上下の塩化ビニル系樹脂層3A・3Bが一体に溶着される(図1(c))。
【0027】
なお、1次発振はプレス圧力0.3〜0.6MPa、陽極電流500〜650mA、溶着時間は5〜10秒の範囲で決定し、2次発振はプレス圧力0.35〜0.8MPa、陽極電流550〜720mA、溶着時間は5〜15秒の範囲で、防汚性薄膜層4Bの厚みや種類(性状)および樹脂層3A・3Bの厚みや種類に応じて適宜決定する。しかし、これらの数値は高周波ウェルダー装置11の出力(4kw〜35kw)によって変更される。
【0028】
6) 2次発振が終了すると、発振を停止してそのまま(常温で)冷却させる。このとき、5〜15秒程度冷却すれば、上下の防汚性シート1・1は重ね合わされた端縁部1aを介して一体に接合され、防汚性接合シート5になる。
【0029】
上記の2)〜6)の作業を繰り返すことにより、任意の幅および長さの防汚性接合シート5を現場で製作できる。
【0030】
次に、上記実施例で説明した防汚性接合シート5について、接合部の強度に関する評価を行った。
【0031】
なお、膜材料に関する評価方法は、「膜構造の建築物または建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準(建築基準法施工令第80条の2第2号の規定)」の定め等を参考にして評価を行った。
【0032】
接合部の引張強度についての判定結果
上記の防汚性シート1(幅300mm×長さ300mm)の2枚を端縁部1a同士でそれらの幅が30mmになるよう重ね合わせ、上記した高周波ウェルダー装置11(図2・図3)を用い、溶着して接合した。その防汚性接合シート5を長さ200mm、幅30mmの大きさにサンプリングし、引張試験機にてゲージ長200mm、引張速度200mm/分で引張試験を行い、30mm幅あたりの引張強度を測定した。
【0033】
また、防汚性接合シート5のどの部分が破断しているかを目視にて確認したところ、溶着状態が十分で、接合部以外の部分で破断していた。
【0034】
さらに、接合部引張強度については、ナフィオン(登録商標)を主成分とする酸化チタンを含有した超親水性の防汚性薄膜層4をコーティングする前の、合成繊維製基布2の両面に塩化ビニル系樹脂3をコーティングした状態のシートの強度を基準とし、接合部引張強度保持率を算出した。評価は、「膜構造の建築物または建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準(建築基準法施工令第80条の2第2号の規定)」の定めに基づく接合部引張強度保持率が80%以上を満たすか否かで判定した。この結果、接合部引張強度保持率は100%あるいはそれ以上であった。
【0035】
ところで、上記に防汚性接合シート5とその接合方法について一実施例を示したが、これに限定されるものではなく、下記のように実施することができる。
【0036】
・高周波ウェルダー装置について、高周波電源部の出力は4kw〜15kw(あるいは〜35kw)まで使用できる。
【0037】
・基布2の両面が塩化ビニル系樹脂層3で被覆された防汚性シートに限らず、例えば酢酸ビニル(EVA)あるいはポリウレタンなどの樹脂層で被覆された防汚性シートについても実施できる。
【0038】
・ナフィオン(登録商標)を主成分とする酸化チタンを含有した超親水性の防汚性薄膜層4を防汚性シート1の一面に備えたシート以外にも、例えば一面に光触媒酸化チタンを主成分とする薄膜層が形成されている防汚性シートについても適用できる。また、合成繊維製の基布に限らず、ガラス繊維製の基布についても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1(a)〜図1(c)は本発明の防汚性シートを接合する方法を順に示す概略図である。
【図2】本発明の接合方法に用いられる高周波ウェルダー装置の一例を示す、一部を断面で現した概略図である。
【図3】本発明の接合方法に用いられる高周波ウェルダー装置の他の例を示す、一部を断面で現した概略図である。
【符号の説明】
【0040】
1(1A・1B) 防汚性シート
1a端縁部
2(2A・2B) 合成繊維(ポリエステル繊維)製基布
3(3A・3B) 塩化ビニル系樹脂層
4(4A・4B) 超親水性防汚性薄膜層
5 防汚性接合シート
11 高周波ウェルダー装置
12 電極部(プレス部)
13 発振器
14 定盤(下部テーブル)
15 アース端子
16 バリアブルコンデンサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基布の両面に塩化ビニル、酢酸ビニルなどの樹脂層が被覆されたシート素材の一面上に、酸化チタンを含有した防汚性薄膜層が被覆された所定幅・所定長さからなる少なくとも2枚の防汚性シートの隣接する端縁部同士を重ね合わせ、高周波ウェルダーにより一体に接合する接合方法であって、
前記端縁部同士を定盤上で電極部により所定圧力下でプレスするとともに発振器により高周波を1次発振させたのち、前記プレス圧力を増大して高周波を2次発振させることにより防汚性薄膜層を融解・破断し、上側防汚性シートと下側防汚性シートとを加熱溶融した前記樹脂層を介して溶着したのち、発振を終了して冷却し接合することを特徴とする防汚性シートの接合方法。
【請求項2】
前記1次発振は、溶着時間を5〜10秒、陽極電流を500〜650mA、プレス圧力を0.3〜0.6MPaの範囲内の下で行うとともに、
前記2次発振は、溶着時間を5〜15秒、陽極電流を550〜720mA、プレス圧力を0.35〜0.8MPaの範囲内の下で行うことを特徴とする請求項1記載の防汚性シートの接合方法。
【請求項3】
前記電極部および前記定盤を80〜150℃に予熱することを特徴とする請求項1または2記載の防汚性シートの接合方法。
【請求項4】
基布の両面に塩化ビニル、酢酸ビニルなどの樹脂層が被覆されたシート素材の一面上に、酸化チタンを含有した防汚性薄膜層が被覆された所定幅・所定長さからなる少なくとも2枚の防汚性シートの隣接する端縁部同士を重ね合わせ、高周波ウェルダーにより一体に接合した防汚性接合シートであって、
前記端縁部同士を定盤上で電極部により所定圧力下でプレスして高周波を1次発振させ、前記プレス圧力を増大し高周波を2次発振させることにより、下側防汚性シート側防汚性薄膜層を加熱融解し・かつ加圧下で破断して上側防汚性シート下面の樹脂層と下側防汚性シート上面の樹脂層とを溶着し一体に接合したことを特徴とする防汚性接合シート。
【請求項5】
前記防汚性薄膜層がパーフルオロスルホン酸を側鎖に有する高分子4フッ化エチレンを主成分とし酸化チタンを含有した超親水性の防汚性層からなり、塩化ビニルの樹脂層がポリエステル繊維製基布の両面にコーティングされている請求項4記載の防汚性接合シート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−213288(P2008−213288A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−53647(P2007−53647)
【出願日】平成19年3月5日(2007.3.5)
【出願人】(591135794)高島株式会社 (11)
【Fターム(参考)】