説明

防眩性フィルム、それを用いた光学部材及び液晶表示装置

【課題】高い防眩性および耐擦傷性を有し、高精細表示装置であっても、表示面での外景の映り込みやギラツキを防止できる防眩性フィルムを提供する。
【解決手段】(メタ)アクリル系樹脂と硬化性樹脂前駆体(例えば、紫外線硬化性樹脂など)と溶媒とを含む液状組成物を、透明プラスチックフィルムに塗布又は流延し、溶媒を蒸発させ、スピノーダル分解により相分離構造を形成し、前記硬化性樹脂前駆体を光照射などにより硬化させ、防眩性フィルムを形成する。得られた防眩性フィルムは、前記防眩層の表面に凹凸構造を有しており、入射光を等方的に透過して散乱し、かつ散乱光強度の極大値を示す散乱角が0.1〜10°であるとともに、全光線透過率が70〜100%である。硬化性樹脂前駆体の硬化により防眩層には耐擦傷性が付与されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種表示装置の表示面でのギラツキや外部光源の映りこみを防止するのに適した防眩性フィルム及びその製造方法、並びにそれを用いた光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置などの表示面での外景の映り込みを防止するため、通常、微粒子とバインダー樹脂又は硬化性樹脂との混合物を基材に塗布し、表面に微細な凹凸を形成することにより正反射を防ぎ、防眩性を発現させている。しかし、画素サイズの細かい高精細表示装置においては、従来の表面凹凸サイズでは画面のギラツキや文字ボケなどの画像品位低下をもたらす。すなわち、高精細表示装置の場合、従来の表面凹凸サイズは、高精細表示の画素サイズとオーダー的に近く、表面凹凸によるレンズ効果でギラツキが発生する。また、コート層内部および表面構造において微粒子の重心位置を制御できないため、透過散乱光の分布は直進透過光を中心にガウス分布をしている。そのため、従来の微粒子サイズでは、直進透過光付近の散乱が増加し、画素の輪郭が曖昧となって文字ボケが発生する。さらに、透過散乱光の強度分布は、添加する微粒子サイズに依存し、より小さな微粒子では直進透過光周りの散乱が減少し、ギラツキが低減し、より大きな微粒子では直進透過光付近の散乱が増加し、ギラツキが発生する。
【0003】
これらの課題を解決するため、添加する微粒子のサイズを細かくしたり、粒径分布がシャープな微粒子などを用いて、表面の凹凸形状を制御することが試みられている。しかし、この方法では、ギラツキや文字ボケを防止するためには、微粒子の重心位置を制御する必要がある。また、表面の凹凸形状が小さくなるため、充分な防眩性との両立が困難になるとともに、コスト面からも不利である。
【0004】
特開2001−215307号公報(特許文献1)には、平均粒径15μmの透明微粒子を、前記平均粒径の2倍以上の厚さの被膜中に含有するアンチグレア層であって、前記被膜のうち空気と接触する片側に前記透明微粒子が偏在して表面微細な凹凸構造を形成したアンチグレア層が開示されている。この文献には、透明支持フィルム基材で支持された前記アンチグレア層、および前記アンチグレア層を偏光板の少なくとも片側に備えた光学部材も開示されている。
【0005】
特開2001−264508号公報(特許文献2)には、透明支持体に、平均粒径1〜10μmの粒子を含有する防眩性ハードコート層と、平均粒径0.001〜0.2μmの無機微粒子、光硬化性オルガノシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物、並びに含フッ素ポリマーを含有し、かつ屈折率が1.35〜1.49の低屈折率層とを順次形成した防眩性反射防止フィルムが開示されている。
【0006】
特開2001−281411号公報(特許文献3)には、特開2001−264508号公報とほぼ同様の構成の防眩性反射防止フィルムにおいて、光学櫛幅0.5mmの透過像鮮明度が30〜70%である防眩性反射防止フィルムが開示されている。
【0007】
しかし、これらのフィルムでも粒子サイズにより透過散乱光の強度分布をコントロールするため、表示面でのギラツキや文字ボケを有効に防止することができない。また、特殊な微粒子を用いたり、二層コーティングを行うため、コスト的に不利である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2001−215307号公報
【特許文献2】特開2001−264508号公報
【特許文献3】特開2001−281411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、本発明の目的は、高い防眩性を有し、高精細表示装置であっても、表示面での外景の映り込みやギラツキを防止できる防眩性フィルムとその製造方法、前記防眩性フィルムを備えた光学部材(又は偏光板)や表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイ、タッチパネル付き表示装置)を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、高精細表示装置であっても、表示面での文字ボケを防止できる防眩性フィルムとその製造方法、前記防眩性フィルムを備えた光学部材(又は偏光板)や表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイ、タッチパネル付き表示装置)を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、高い耐擦傷性を有するとともに、透過散乱光の強度分布を制御するのに有用な防眩性フィルムとその製造方法、前記防眩性フィルムを備えた光学部材(又は偏光板)や表示装置(液晶表示装置、プラズマディスプレイ、タッチパネル付き表示装置)を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を違成するため鋭意検討した結果、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体とを均一に溶解した溶液から溶媒を蒸発させてシートを製造する方法において、適当な条件でスピノーダル分解させ、その後前記前駆体を硬化させると、規則性を有する相分離構造及びその相構造に対応した表面凹凸構造が形成できること、このような規則性を有する相分離構造を有する防眩層を、高精細表示装置に装着すると、表示面のギラツキと文字ボケを有効に除去できることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の防眩性フィルムは、少なくとも防眩層で構成されており、前記防眩層は、表面に凹凸構造を有している。さらに前記防眩層は、入射光を等方的に透過して散乱し、かつ散乱光強度の極大値を示す散乱角が0.1〜10°(好ましくは1〜10°)であるとともに、全光線透過率が70〜100%(好ましくは80〜100%)である。すなわち、防眩層を透過して散乱した透過散乱光は、直進透過光から分離した散乱ピークを有する。前記防眩層は、0.5mm幅の光学櫛を用いた写像性測定器で測定した透過像鮮明度が70〜100%程度であり、ヘーズが20〜50%程度であってもよい。
【0014】
前記防眩層は、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体とで構成された層であって、前記ポリマー及び前駆体のうち少なくとも2つの成分(例えば、複数のポリマー同士、ポリマーと硬化性樹脂前駆体、複数の硬化性樹脂前駆体同士など)が、液相からのスピノーダル分解により相分離しているとともに、前記前駆体が硬化している。前記ポリマーは、スピノーダル分解により相分離可能な複数のポリマー(例えば、セルロース誘導体と、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂などと組み合わせなど)で構成されるとともに、硬化性樹脂前駆体が、複数のポリマーのうち、少なくとも一種のポリマーと相溶性を有していてもよい。複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーが、硬化性樹脂前駆体の硬化反応に関与する官能基(例えば、(メタ)アクリロイル基などの重合性基)を有していてもよい。前記硬化性樹脂前駆体は、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体などで構成されていてもよい。尚、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂前駆体とは、通常、互いに非相溶である。さらに、防眩層には、硬化性樹脂前駆体の硬化により、ハードコート性(又は耐擦傷性)を付与してもよく、規則的又は周期的な相分離構造を固定化してもよい。前記防眩層は、例えば、活性エネルギー線(紫外線、電子線など)、熱などにより硬化されてもよい。また、前記防眩層は、通常、ポリマーと硬化樹脂とを前者/後者=5/95〜60/40(重量比)程度の割合で含んでいてもよい。
【0015】
防眩性フィルムは、防眩層単独で構成してもよく、透明支持体(光学部材を形成するための透明ポリマーフィルムなど)と、この支持体に形成された防眩層とで構成してもよい。
【0016】
本発明では、光学要素(偏光板など)の少なくとも一方の光路面(又は一方の面)に前記防眩性フィルム(すなわち、防眩層単独の防眩性フィルム、又は支持体と防眩層との積層フィルム)が積層された光学部材(又は積層光学部材)が得られる。この光学部材では、光学要素の保護フィルム(例えば、偏光板の両面の保護フィルムなど)に代えて前記防眩性フィルムを用いることにより、表示面でのギラツキを防止できるとともに、光学要素(偏光板など)に高い耐擦傷性を付与できる。このため、本発明のフィルムは、液晶表示装置、プラズマディスプレイ、タッチパネル式入力装置などの表示装置にも好ましく用いられる。
【0017】
本発明には、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体とで構成された組成物であって、前記ポリマー及び前駆体のうち少なくとも2つの成分が、液相からのスピノーダル分解により相分離可能である防眩性フィルム用組成物も含まれる。前記組成物は、スピノーダル分解により相分離可能な複数のポリマーで構成されるとともに、硬化性樹脂前駆体が、複数のポリマーのうち、少なくとも一種のポリマーと相溶性を有していてもよい。前記複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーが、硬化性樹脂前駆体の硬化反応に関与する官能基を有していてもよい。
【0018】
防眩性フィルムは、例えば、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む液相からのスピノーダル分解により、相分離構造を形成し、前記硬化性樹脂前駆体を硬化させ、少なくとも防眩層を形成することにより製造できる。液相からのスピノーダル分解は、前記溶媒を蒸発させることにより行うことができる。相分離構造を形成する組み合わせは、例えば、複数のポリマー同士、ポリマーと硬化性樹脂前駆体、複数の硬化性樹脂前駆体同士などであってもよい。この方法において、熱可塑性樹脂と、光硬化性化合物(光重合性モノマーやオリゴマーなど)と、光重合開始剤と、前記熱可塑性樹脂および光硬化性化合物を可溶な溶媒(共通溶媒)とを含む組成物からのスピノーダル分解により相分離構造を形成し、光照射することにより防眩層を形成してもよい。また、熱可塑性樹脂と、この熱可塑性樹脂に非相溶で且つ光硬化性基を有する樹脂と、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、前記樹脂および光硬化性化合物を可溶な溶媒とを含む組成物からのスピノーダル分解により相分離構造を形成し、光照射することにより防眩層を形成してもよい。これらの方法において、透明支持体上に少なくとも一層の防眩層を形成してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、液相からのスピノーダル分解を利用した相分離により、高い防眩性を有し、高精細表示装置であっても、表示面での外景の映り込みを有効に防止しつつ、ギラツキや文字ボケを有効に防止できる。さらに、高い耐擦傷性(高いハードコート性)を有するとともに、透過散乱光の強度分布を制御することもできる。さらに、液相からのスピノーダル分解相分離により、低コストで防眩性フィルムや光学部材を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は透過光の角度分布を測定するための装置を示す概略図である。
【図2】図2は実施例1及び2で得られた散乱光強度と散乱角度との関係を示すグラフである。
【図3】図3は実施例3〜5で得られた散乱光強度と散乱角度との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[防眩性フィルム]
防眩性フィルムは、少なくとも防眩層で構成されており、この防眩層の相分離構造は、液相からのスピノーダル分解(湿式スピノーダル分解)により形成されている。すなわち、ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶媒とで構成された本発明の樹脂組成物を用い、この樹脂組成物の液相(又は均一溶液やその塗布層)から、溶媒を乾燥などにより蒸発又は除去する過程で、濃度の濃縮に伴って、スピノーダル分解による相分離が生じ、相間距離が比較的規則的な相分離構造を形成できる。より具体的には、前記湿式スピノーダル分解は、通常、少なくとも1つのポリマーと少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む混合液又は樹脂組成物(均一溶液)を支持体にコーティングし、塗布層から溶媒を蒸発させることにより行うことができる。前記支持体として剥離性支持体を用いる場合には、防眩層を支持体から剥離することにより防眩層単独で構成された防眩性フィルムを得ることができ、支持体として非剥離性支持体(好ましくは透明支持体)を用いることにより、支持体と防眩層とで構成された積層構造の防眩性フィルムを得ることができる。
【0022】
(ポリマー成分)
ポリマー成分としては、通常、熱可塑性樹脂が使用される。熱可塑性樹脂としては、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂(脂環式オレフィン系樹脂を含む)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)、ゴム又はエラストマー(ポリブタジエン、ポリイソプレンなどのジエン系ゴム、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリルゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムなど)などが例示できる。これらの熱可塑性樹脂は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0023】
スチレン系樹脂には、スチレン系単量体の単独又は共重合体(ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体など)、スチレン系単量体と他の重合性単量体[(メタ)アクリル系単量体、無水マレイン酸、マレイミド系単量体、ジエン類など]との共重合体などが含まれる。スチレン系共重合体としては、例えば、スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体など]、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが挙げられる。好ましいスチレン系樹脂には、ポリスチレン、スチレンと(メタ)アクリル系単量体との共重合体[スチレン−メタクリル酸メチル共重合体などのスチレンとメタクリル酸メチルを主成分とする共重合体]、AS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体などが含まれる。
【0024】
(メタ)アクリル系樹脂としては、(メタ)アクリル系単量体の単独又は共重合体、(メタ)アクリル系単量体と共重合性単量体との共重合体などが使用できる。(メタ)アクリル系単量体には、例えば、(メタ)アクリル酸;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C1−10アルキル;(メタ)アクリル酸フェニルなどの(メタ)アクリル酸アリール;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート;N,N−ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル;トリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなどが例示できる。共重合性単量体には、前記スチレン系単量体、ビニルエステル系単量体、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸などが例示できる。これらの単量体は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0025】
(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体(MS樹脂など)などが挙げられる。好ましい(メタ)アクリル系樹脂としては、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキル、特にメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%程度)とするメタクリル酸メチル系樹脂が挙げられる。
【0026】
有機酸ビニルエステル系樹脂としては、ビニルエステル系単量体の単独又は共重合体(ポリ酢酸ビニル、ポリプロピオン酸ビニルなど)、ビニルエステル系単量体と共重合性単量体との共重合体(エチレン−酢酸ビニル共重合体、酢酸ビニル−塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)又はそれらの誘導体が挙げられる。ビニルエステル系樹脂の誘導体には、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール樹脂などが含まれる。
【0027】
ビニルエーテル系樹脂としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル、ビニルt−ブチルエーテルなどのビニルC1−10アルキルエーテルの単独又は共重合体、ビニルC1−10アルキルエーテルと共重合性単量体との共重合体(ビニルアルキルエーテル−無水マレイン酸共重合体など)が挙げられる。
【0028】
ハロゲン含有樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。
【0029】
オレフィン系樹脂には、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィンの単独重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体などの共重合体が挙げられる。脂環式オレフィン系樹脂としては、環状オレフィン(ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなど)の単独又は共重合体(例えば、立体的に剛直なトリシクロデカンなどの脂環式炭化水素基を有する重合体など)、前記環状オレフィンと共重合性単量体との共重合体(エチレン−ノルボルネン共重合体、プロピレン−ノルボルネン共重合体など)などが例示できる。脂環式オレフィン系樹脂は、例えば、商品名「アートン(ARTON)」、商品名「ゼオネックス(ZEONEX)」などとして入手できる。
【0030】
ポリカーボネート系樹脂には、ビスフェノール類(ビスフェノールAなど)をベースとする芳香族ポリカーボネート、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートなどの脂肪族ポリカーボネートなどが含まれる。
【0031】
ポリエステル系樹脂には、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリエステル[ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリC2−4アルキレンテレフタレートやポリC2−4アルキレンナフタレートなどのホモポリエステル、C2−4アルキレンアリレート単位(C2−4アルキレンテレフタレート及び/又はC2−4アルキレンナフタレート単位)を主成分(例えば、50重量%以上)として含むコポリエステルなど]が例示できる。コポリエステルとしては、ポリC2−4アルキレンアリレートの構成単位のうち、C2−4アルキレングリコールの一部を、ポリオキシC2−4アルキレングリコール、C6−10アルキレングリコール、脂環式ジオール(シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールAなど)、芳香環を有するジオール(フルオレノン側鎖を有する9,9−ビス(4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル)フルオレン、ビスフェノールA、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体など)などで置換したコポリエステル、芳香族ジカルボン酸の一部を、フタル酸、イソフタル酸などの非対称芳香族ジカルボン酸、アジピン酸などの脂肪族C6−12ジカルボン酸などで置換したコポリエステルが含まれる。ポリエステル系樹脂には、ポリアリレート系樹脂、アジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸を用いた脂肪族ポリエステル、ε−カプロラクトンなどのラクトンの単独又は共重合体も含まれる。好ましいポリエステル系樹脂は、通常、非結晶性コポリエステル(例えば、C2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などのように非結晶性である。
【0032】
ポリアミド系樹脂としては、ナイロン46、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12などの脂肪族ポリアミド、ジカルボン酸(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸など)とジアミン(例えば、ヘキサメチレンジアミン、メタキシリレンジアミン)とから得られるポリアミドなどが挙げられる。ポリアミド系樹脂には、ε−カプロラクタムなどのラクタムの単独又は共重合体であってもよく、ホモポリアミドに限らずコポリアミドであってもよい。
【0033】
セルロース誘導体のうちセルロースエステル類としては、例えば、脂肪族有機酸エステル(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート;セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのC1−6有機酸エステルなど)、芳香族有機酸エステル(セルロースフタレート、セルロースベンゾエートなどのC7−12芳香族カルボン酸エステル)、無機酸エステル類(例えば、リン酸セルロース、硫酸セルロースなど)が例示でき、酢酸・硝酸セルロースエステルなどの混合酸エステルであってもよい。セルロース誘導体には、セルロースカーバメート類(例えば、セルロースフェニルカーバメートなど)、セルロースエーテル類(例えば、シアノエチルセルロース;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのヒドロキシC2−4アルキルセルロース;メチルセルロース、エチルセルロースなどのC1−6アルキルセルロース;カルボキシメチルセルロース又はその塩、ベンジルセルロース、アセチルアルキルセルロースなど)も含まれる。
【0034】
好ましい熱可塑性樹脂としては、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース誘導体、シリコーン系樹脂、及びゴム又はエラストマーなどが挙げられる。樹脂としては、通常、非結晶性であり、かつ有機溶媒(特に複数のポリマーや硬化性化合物を溶解可能な共通溶媒)に可溶な樹脂が使用される。特に、成形性又は製膜性、透明性や耐候性の高い樹脂、例えば、スチレン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類など)などが好ましい。
【0035】
ポリマー成分としては、硬化反応に関与する官能基(又は硬化性化合物と反応可能な官能基)を有するポリマーを用いることもできる。前記ポリマーは、官能基を主鎖に有していてもよく、側鎖に有していてもよい。前記官能基は、共重合や共縮合などにより主鎖に導入されてもよいが、通常、側鎖に導入される。このような官能基としては、縮合性基や反応性基(例えば、ヒドロキシル基、酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基又はイミノ基、エポキシ基、グリシジル基、イソシアネート基など)、重合性基(例えば、ビニル、プロペニル、イソプロペニル基、ブテニル、アリルなどのC2−6アルケニル基、エチニル、プロピニル、ブチニルなどのC2−6アルキニル基、ビニリデンなどのC2−6アルケニリデン基、又はこれらの重合性基を有する基((メタ)アクリロイル基など)など)などが挙げられる。これらの官能基のうち、重合性基が好ましい。
【0036】
重合性基を側鎖に導入する方法としては、例えば、反応性基や縮合性基などの官能基を有する熱可塑性樹脂と、前記官能基との反応性基を有する重合性化合物とを反応させる方法を用いることができる。
【0037】
官能基を有する熱可塑性樹脂としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂など)、ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂(例えば、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース誘導体、ポリアミド系樹脂など)、アミノ基を有する熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド系樹脂など)、エポキシ基を有する熱可塑性樹脂(例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリル系樹脂やポリエステル系樹脂など)などが例示できる。また、スチレン系樹脂やオレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂などの熱可塑性樹脂に、前記官能基を共重合やグラフト重合で導入した樹脂であってもよい。
【0038】
重合性化合物としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂の場合は、エポキシ基やヒドロキシル基、アミノ基、イソシアネート基などを有する重合性化合物などを用いることができる。ヒドロキシル基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やイソシアネート基などを有する重合性化合物などが挙げられる。アミノ基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル又はその酸無水物基やエポキシ基、イソシアネート基などを有する重合性化合物などが挙げられる。エポキシ基を有する熱可塑性樹脂の場合は、カルボキシル基又はその酸無水物基やアミノ基などを有する重合性化合物などが挙げられる。
【0039】
前記重合性化合物のうち、エポキシ基を有する重合性化合物としては、例えば、エポキシシクロヘキセニル(メタ)アクリレートなどのエポキシシクロC5−8アルケニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどが例示できる。ヒドロキシル基を有する化合物としては、例えば、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC1−4アルキル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのC2−6アルキレングリコール(メタ)アクリレートなどが例示できる。アミノ基を有する重合性化合物としては、例えば、アミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミノC1−4アルキル(メタ)アクリレート、アリルアミンなどのC3−6アルケニルアミン、4−アミノスチレン、ジアミノスチレンなどのアミノスチレン類などが例示できる。イソシアネート基を有する重合性化合物としては、例えば、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートやビニルイソシアネートなどが例示できる。カルボキシル基又はその酸無水物基を有する重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸や無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸又はその無水物などが例示できる。
【0040】
代表的な例としては、カルボキシル基又はその酸無水物基を有する熱可塑性樹脂とエポキシ基含有化合物、特に(メタ)アクリル系樹脂((メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体など)とエポキシ基含有(メタ)アクリレート(エポキシシクロアルケニル(メタ)アクリレートやグリシジル(メタ)アクリレートなど)の組み合わせが挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル系樹脂のカルボキシル基の一部に重合性不飽和基を導入したポリマー、例えば、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートのエポキシ基を反応させて、側鎖に光重合性不飽和基を導入した(メタ)アクリル系ポリマー(サイクロマーP、ダイセル化学工業(株)製)などが使用できる。
【0041】
熱可塑性樹脂に対する硬化反応に関与する官能基(特に重合性基)の導入量は、熱可塑性樹脂1kgに対して、0.001〜10モル、好ましくは0.01〜5モル、さらに好ましくは0.02〜3モル程度である。
【0042】
これらのポリマーは適当に組み合わせて使用できる。すなわち、ポリマーは複数のポリマーで構成されていてもよい。複数のポリマーは、液相スピノーダル分解により、相分離可能であってもよい。また、複数のポリマーは、互いに非相溶であってもよい。複数のポリマーを組み合わせる場合、第1の樹脂と第2の樹脂との組み合わせは特に制限されないが、加工温度付近で互いに非相溶な複数のポリマー、例えば、互いに非相溶な2つのポリマーとして適当に組み合わせて使用できる。例えば、第1の樹脂がスチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)である場合、第2の樹脂は、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)、(メタ)アクリル系樹脂(ポリメタクリル酸メチルなど)、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。また、例えば、第1のポリマーがセルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル類)である場合、第2のポリマーは、スチレン系樹脂(ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、(メタ)アクリル系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂(ノルボルネンを単量体とする重合体など)、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂(前記ポリC2−4アルキレンアリレート系コポリエステルなど)などであってもよい。複数の樹脂の組合せにおいて、少なくともセルロースエステル類(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースC2−4アルキルカルボン酸エステル類)を用いてもよい。
【0043】
なお、スピノーダル分解により生成された相分離構造は、活性光線(紫外線、電子線など)や熱などにより最終的に硬化し、硬化樹脂を形成する。そのため、防眩層に耐擦傷性を付与でき、耐久性を向上できる。
【0044】
硬化後の耐擦傷性の観点から、複数のポリマーのうち、少なくとも一つのポリマー、例えば、互いに非相溶なポリマーのうち一方のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂とを組み合わせる場合、特に両方のポリマー)が硬化性樹脂前駆体と反応可能な官能基を側鎖に有するポリマーであるのが好ましい。
【0045】
第1のポリマーと第2のポリマーとの割合(重量比)は、例えば、前者/後者=1/99〜99/1、好ましくは5/95〜95/5、さらに好ましくは10/90〜90/10程度の範囲から選択でき、通常、20/80〜80/20程度、特に30/70〜70/30程度である。
【0046】
なお、相分離構造を形成するためのポリマーとしては、前記非相溶な2つのポリマー以外にも、前記熱可塑性樹脂や他のポリマーが含まれていてもよい。
【0047】
ポリマーのガラス転移温度は、例えば、−100℃〜250℃、好ましくは−50℃〜230℃、さらに好ましくは0〜200℃程度(例えば、50〜180℃程度)の範囲から選択できる。なお、表面硬度の観点から、ガラス転移温度は、50℃以上(例えば、70〜200℃程度)、好ましくは100℃以上(例えば、100〜170℃程度)であるのが有利である。ポリマーの重量平均分子量は、例えば、1,000,000以下、好ましくは1,000〜500,000程度の範囲から選択できる。
【0048】
(硬化性樹脂前駆体)
硬化性樹脂前駆体としては、熱や活性エネルギー線(紫外線や電子線など)などにより反応する官能基を有する化合物であり、熱や活性エネルギー線などにより硬化又は架橋して樹脂(特に硬化又は架橋樹脂)を形成可能な種々の硬化性化合物が使用できる。前記樹脂前駆体としては、例えば、熱硬化性化合物又は樹脂[エポキシ基、重合性基、イソシアネート基、アルコキシシリル基、シラノール基などを有する低分子量化合物(例えば、エポキシ系樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコーン系樹脂など)]、活性光線(紫外線など)により硬化可能な光硬化性化合物(光硬化性モノマー、オリゴマーなどの紫外線硬化性化合物など)などが例示でき、光硬化性化合物は、EB(電子線)硬化性化合物などであってもよい。なお、光硬化性モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい光硬化性樹脂などの光硬化性化合物を、単に「光硬化性樹脂」という場合がある。
【0049】
光硬化性化合物には、例えば、単量体、オリゴマー(又は樹脂、特に低分子量樹脂)が含まれ、単量体としては、例えば、単官能性単量体[(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル系単量体、ビニルピロリドンなどのビニル系単量体、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有する(メタ)アクリレートなど]、少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリオキシテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、アダマンタンジ(メタ)アクリレートなどの橋架環式炭化水素基を有するジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートなどの3〜6程度の重合性不飽和結合を有する多官能性単量体]が例示できる。
【0050】
オリゴマー又は樹脂としては、ビスフェノールA−アルキレンオキサイド付加体の(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート(ビスフェノールA型エポキシ(メタ)アクリレート、ノボラック型エポキシ(メタ)アクリレートなど)、ポリエステル(メタ)アクリレート(例えば、脂肪族ポリエステル型(メタ)アクリレート、芳香族ポリエステル型(メタ)アクリレートなど)、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート(ポリエステル型ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエーテル型ウレタン(メタ)アクリレートなど)、シリコーン(メタ)アクリレートなどが例示できる。これらの光硬化性化合物は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
【0051】
好ましい硬化性樹脂前駆体は、短時間で硬化できる光硬化性化合物、例えば、紫外線硬化性化合物(モノマー、オリゴマーや低分子量であってもよい樹脂など)、EB硬化性化合物である。特に、実用的に有利な樹脂前駆体は、紫外線硬化性樹脂である。さらに、耐擦傷性などの耐性を向上させるため、光硬化性樹脂は、分子中に2以上(好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4程度)の重合性不飽和結合を有する化合物であるのが好ましい。
【0052】
硬化性樹脂前駆体の分子量としては、ポリマーとの相溶性を考慮して5000以下、好ましくは2000以下、さらに好ましくは1000以下程度である。
【0053】
硬化性樹脂前駆体は、その種類に応じて、硬化剤を含んでいてもよい。例えば、熱硬化性樹脂では、アミン類、多価カルボン酸類などの硬化剤を含んでいてもよく、光硬化性樹脂では光重合開始剤を含んでいてもよい。光重合開始剤としては、慣用の成分、例えば、アセトフェノン類又はプロピオフェノン類、ベンジル類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、チオキサントン類、アシルホスフィンオキシド類などが例示できる。光硬化剤などの硬化剤の含有量は、硬化性樹脂前駆体100重量部に対して0.1〜20重量部、好ましくは0.5〜10重量部、さらに好ましくは1〜8重量部(特に1〜5重量部)程度であり、3〜8重量部程度であってもよい。
【0054】
さらに、硬化性樹脂前駆体は硬化促進剤を含んでいてもよい。例えば、光硬化性樹脂は、光硬化促進剤、例えば、第三級アミン類(ジアルキルアミノ安息香酸エステルなど)、ホスフィン系光重合促進剤などを含んでいてもよい。
【0055】
少なくとも1つのポリマー及び少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体のうち、少なくとも2つの成分が、加工温度付近で互いに相分離する組み合わせで使用される。相分離する組み合わせとしては、例えば、(a)複数のポリマー同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせ、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する組み合わせや、(c)複数の硬化性樹脂前駆体同士が互いに非相溶で相分離する組み合わせなどが挙げられる。これらの組み合わせのうち、通常、(a)複数のポリマー同士の組み合わせや、(b)ポリマーと硬化性樹脂前駆体との組み合わせであり、特に(a)複数のポリマー同士の組み合わせが好ましい。相分離させる両者の相溶性が高い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程で両者が有効に相分離せず、防眩層としての機能が低下する。
【0056】
なお、熱可塑性樹脂と硬化性樹脂前駆体(又は硬化樹脂)とは、通常、互いに非相溶である。ポリマーと硬化性樹脂前駆体とが非相溶で相分離する場合に、ポリマーとして複数のポリマーを用いてもよい。複数のポリマーを用いる場合、少なくとも1つのポリマーが樹脂前駆体(又は硬化樹脂)に対して非相溶であればよく、他のポリマーは前記樹脂前駆体と相溶してもよい。
【0057】
また、互いに非相溶な2つの熱可塑性樹脂と、硬化性化合物(特に複数の硬化性官能基を有するモノマー又はオリゴマー)との組み合わせであってもよい。さらに、硬化後の耐擦傷性の観点から、前記非相溶な熱可塑性樹脂のうち一方のポリマー(特に両方のポリマー)が硬化反応に関与する官能基(前記硬化性樹脂前駆体の硬化に関与する官能基)を有する熱可塑性樹脂であってもよい。
【0058】
ポリマーを互いに非相溶な複数のポリマーで構成して相分離する場合、硬化性樹脂前駆体は、非相溶な複数のポリマーのうち、少なくとも1つのポリマーと加工温度付近で互いに相溶する組合せで使用される。すなわち、互いに非相溶な複数のポリマーを、例えば、第1の樹脂と第2の樹脂とで構成する場合、硬化性樹脂前駆体は少なくとも第1の樹脂又は第2の樹脂のどちらかと相溶すればよく、好ましくは両方のポリマー成分と相溶してもよい。両方のポリマー成分に相溶する場合、第1の樹脂及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物と、第2の樹脂及び硬化性樹脂前駆体を主成分とした混合物との少なくとも二相に相分離する。
【0059】
選択した複数のポリマーの相溶性が高い場合、溶媒を蒸発させるための乾燥過程でポリマー同士が有効に相分離せず、防眩層としての機能が低下する。複数のポリマー相分離性は、双方の成分に対する良溶媒を用いて均一溶液を調製し、溶媒を徐々に蒸発させる過程で、残存固形分が白濁するか否かを目視にて確認することにより簡便に判定できる。
【0060】
さらに、通常、ポリマーと、樹脂前駆体の硬化により生成した硬化又は架橋樹脂とは互いに屈折率が異なる。また、複数のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂)の屈折率も互いに異なる。ポリマーと硬化又は架橋樹脂との屈折率の差、複数のポリマー(第1の樹脂と第2の樹脂)との屈折率の差は、例えば、0.001〜0.2、好ましくは0.05〜0.15程度であってもよい。
【0061】
スピノーダル分解において、相分離の進行に伴って共連続相構造を形成し、さらに相分離が進行すると、連続相が自らの表面張力により非連続化し、液滴相構造(球状、真球状、円盤状や楕円体状などの独立相の海島構造)となる。従って、相分離の程度によって、共連続相構造と液滴相構造との中間的構造(上記共連続相から液滴相に移行する過程の相構造)も形成できる。本発明の防眩層の相分離構造は、海島構造(液滴相構造、又は一方の相が独立または孤立した相構造)、共連続相構造(又は網目構造)であってもよく、共連続相構造と液滴相構造とが混在した中間的構造であってもよい。これらの相分離構造により溶媒乾燥後には防眩層の表面に微細な凹凸を形成できる。
【0062】
前記相分離構造において、表面凹凸構造を形成し、かつ表面硬度を高める点からは、少なくとも島状ドメインを有する液滴相構造であるのが有利である。なお、ポリマーと前記前駆体(又は硬化樹脂)とで構成された相分離構造が海島構造である場合、ポリマー成分が海相を形成してもよいが、表面硬度の観点から、ポリマー成分が島状ドメインを形成するのが好ましい。なお、島状ドメインの形成により、乾燥後には防眩層の表面に微細な凹凸を形成できる。
【0063】
さらに、前記相分離構造のドメイン間の平均距離は、通常、実質的に規則性又は周期性を有している。例えば、ドメインの平均相間距離は、例えば、1〜70μm(例えば、1〜40μm)、好ましくは2〜50μm(例えば、3〜30μm)、さらに好ましくは5〜20μm(例えば、10〜20μm)程度であってもよい。
【0064】
ポリマーと硬化性樹脂前駆体との割合(重量比)は、特に制限されず、例えば、前者/後者=5/95〜95/5程度の範囲から選択でき、表面硬度の観点から、好ましくは5/95〜60/40程度であり、さらに好ましくは10/90〜50/50、特に10/90〜40/60程度である。
【0065】
前記のように、防眩性フィルムは、防眩層単独で構成してもよく、支持体と、この支持体上に形成された防眩層とで構成してもよい。支持体としては、光透過性を有する支持体、例えば、合成樹脂フィルムなどの透明支持体が使用される。また、光透過性を有する支持体は、光学部材を形成するための透明ポリマーフィルムで構成されていてもよい。
【0066】
(透明支持体)
透明支持体(又は基材シート)としては、ガラス、セラミックスの他、樹脂シートが例示できる。透明支持体を構成する樹脂としては、前記防眩層と同様の樹脂が使用できる。好ましい透明支持体としては、透明性ポリマーフィルム、例えば、セルロース誘導体[セルローストリアセテート(TAC)、セルロースジアセテートなどのセルロースアセテートなど]、ポリエステル系樹脂[ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリアリレート系樹脂など]、ポリスルホン系樹脂[ポリスルホン、ポリエーテルスルホン(PES)など]、ポリエーテルケトン系樹脂[ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)など]、ポリカーボネート系樹脂(PC)、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレンなど)、環状ポリオレフィン系樹脂[アートン(ARTON)、ゼオネックス(ZEONEX)など]、ハロゲン含有樹脂(ポリ塩化ビニリデンなど)、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂(ポリスチレンなど)、酢酸ビニル又はビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコールなど)などで形成されたフィルムが挙げられる。透明支持体は1軸又は2軸延伸されていてもよいが、光学的に等方性であるのが好ましい。好ましい透明支持体は、低複屈折率の支持シート又はフィルムである。光学的に等方性の透明支持体には、未延伸シート又はフィルムが例示でき、例えば、ポリエステル(PET,PBTなど)、セルロースエステル類、特にセルロースアセテート類(セルロースジアセテート、セルローストリアセテートなどのセルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートなどのセルロースアセテートC3−4有機酸エステル)などで形成されたシート又はフィルムが例示できる。二次元的構造の支持体の厚みは、例えば、5〜2000μm、好ましくは15〜1000μm、さらに好ましくは20〜500μm程度の範囲から選択できる。
【0067】
(光学部材)
前記防眩層は、防眩性が高いだけでなく光散乱性も高い。特に、透過光を等方的に透過して散乱させながら、特定の角度範囲での散乱強度を大きくできる。さらに、透過像の鮮明性も高い。そのため、前記支持体は、種々の光学部材を形成するための透明ポリマーフィルムで構成してもよい。透明ポリマーフィルムと組み合わせて得られた防眩性フィルムは、そのまま光学部材として用いてもよく、光学要素(例えば、偏光板、位相差板、導光板などの光路内に配設される種々の光学要素)と組み合わせて光学部材を形成してもよい。すなわち、光学要素の少なくとも一方の光路面に前記防眩性フィルムを配設又は積層してもよい。例えば、前記位相差板の少なくとも一方の面に防眩性フィルムを積層してもよく、導光板の出射面に防眩性フィルムを配設又は積層してもよい。
【0068】
防眩層に耐擦傷性が付与されている防眩性フィルムは、保護フィルムとしても機能させることができる。そのため、本発明の防眩性フィルムは、偏光板の2枚の保護フィルムのうち少なくとも一方の保護フィルムに代えて、防眩性フィルムを用いた積層体(光学部材)、すなわち、偏光板の少なくとも一方の面に防眩性フィルムが積層された積層体(光学部材)として利用するのに適している。
【0069】
防眩層の厚みは、例えば、0.3〜20μm程度、好ましくは1〜15μm(例えば、1〜10μm)程度であってもよく、通常、2〜10μm(特に3〜7μm)程度である。なお、防眩層単独で防眩性フィルムを構成する場合、防眩層の厚みは、例えば、1〜100μm、好ましくは3〜50μm程度の範囲から選択してもよい。
【0070】
このような防眩性フィルム(すなわち、防眩層、又は透明支持体と防眩層との積層体)において、防眩層の表面には、前記相分離構造に対応した微細な凹凸構造が大量に形成されている。そのため、表面反射による外景の映り込みを抑制でき、防眩性を高めることができる。
【0071】
さらに、前記のように、相分離構造において、ドメインの平均相間距離は実質的に規則性又は周期性を有している。そのため、防眩性フィルムに入射して透過する光は、相間平均距離(又は表面凹凸構造の周期性)に対応したブラッグ反射により、直進透過光とは離れた特定角度に散乱光極大を示す。すなわち、本発明の防眩性フィルムは、入射光を等方的に透過して散乱又は拡散するものの、散乱光(透過散乱光)は、散乱中心からシフトした散乱角[例えば、0.1〜10°、好ましくは1〜10°(例えば、1〜8°)、さらに好ましくは1.5〜8°、特に1.5〜5°(例えば、2〜5°)程度]で光強度の極大値を示す。従って、直進透過光のプロファイルに対して表面凹凸による散乱光が悪影響を及ぼすことがなく、従来の微粒子分散型の防眩シートでは解決できなかったギラツキの問題を回避できる。
【0072】
前記散乱光強度の極大値は、散乱光強度の角度分布プロファイルにおいてピーク状に分離していてもよく、ショルダー状ピークであったり、平坦状ピークである場合も極大値を有するとみなすことができる。
【0073】
なお、防眩性フィルムを透過した光の角度分布は、図1に示すように、He−Neレーザなどのレーザ光源1と、ゴニオメーターに設置した光受光器4を備えた測定装置を用いて測定できる。なお、この例では、レーザ光源1からのレーザ光をNDフィルタ2を介して試料3に照射し、試料からの散乱光を、レーザ光の光路に対して散乱角度θで変角可能であり、かつ光電子増幅管を備えた検出器(光受光器)4により検出し、散乱強度と散乱角度θとの関係を測定している。このような装置として、レーザ光散乱自動測定装置(日本科学エンジニアリング(株)製)を利用できる。
【0074】
また、防眩性の評価は、目視による蛍光灯の映りこみによる評価、及びJlS K7105に従ってグロスメーターを用いて評価できる。さらに、ギラツキ及び文字ボケの評価は、解像度200ppi程度の高精細液晶表示装置を用いて評価でき、より簡単には高精細CRTディスプレィ装置や150ppi程度の液晶用カラーフィルターとバックライトとを組み合わせた簡易評価装置を用いて目視にて評価できる。
【0075】
本発明の防眩性フィルムの全光線透過率は、例えば、70〜100%、好ましくは80〜100%、さらに好ましくは85〜100%(例えば、85〜95%)、特に90〜100%(例えば、90〜99%)程度である。
【0076】
本発明の防眩性フィルムのヘーズは、20〜50%、好ましくは30〜50%、さらに好ましくは35〜45%程度である。
【0077】
ヘーズ及び全光線透過率は、JIS K7105に準拠して、日本電色工業(株)製、NDH−300Aヘーズメーターを用いて測定できる。
【0078】
本発明の防眩性フィルムの透過像鮮明度は、0.5mm幅の光学櫛を使用した場合、70〜l00%、好ましくは80〜100%程度である。透過像鮮明度が前記範囲にあると、透過光のボケが少ないため、高精細表示装置であっても画素の輪郭がボケるのを防止でき、その結果文字ボケを防止できる。
【0079】
透過像鮮明度とは、フィルムを透過した光のボケや歪みを定量化する尺度である。透過像鮮明度は、フィルムからの透過光を移動する光学櫛を通して測定し、光学櫛の明暗部の光量により値を算出する。すなわち、フィルムが透過光をぼやかす場合、光学櫛上に結像されるスリットの像は太くなるため、透過部での光量は100%以下となり、一方、不透過部では光が漏れるため0%以上となる。透過像鮮明度の値Cは光学櫛の透明部の透過光最大値Mと不透明部の透過光最小値mから次式により定義される。
【0080】
C(%)=[(M−m)/(M+m)]×100
すなわち、Cの値が100%に近づく程、防眩性フィルムによる像のボケが小さい。[参考文献;須賀、三田村,塗装技術,1985年7月号]
前記透過像鮮明度測定の測定装置としては、スガ試験機(株)製写像性測定器ICM−1DPが使用できる。光学櫛としては、0.125〜2mm幅の光学櫛を用いることができる。
【0081】
湿式スピノーダル分解において、溶媒は、前記ポリマー及び硬化性樹脂前駆体の種類及び溶解性に応じて選択でき、少なくとも固形分(複数のポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)を均一に溶解できる溶媒であればよい。そのような溶媒としては、例えば、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなど)、エーテル類(ジオキサン、テトラヒドロフランなど)、脂肪族炭化水素類(ヘキサンなど)、脂環式炭化水素類(シクロヘキサンなど)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレンなど)、ハロゲン化炭素類(ジクロロメタン、ジクロロエタンなど)、エステル類(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、水、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノールなど)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブなど)、セロソルブアセテート類、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)などが例示できる。また、溶媒は混合溶媒であってもよい。
【0082】
本発明の防眩性フィルムは、前記ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む液相(又は液状組成物)から、前記溶媒の蒸発に伴うスピノーダル分解により、相分離構造を形成する工程と、前記硬化性樹脂前駆体を硬化させ、少なくとも防眩層を形成する工程とを経ることによりを得ることができる。前記相分離工程は、通常、前記ポリマーと硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む混合液(特に均一溶液などの液状組成物)を前記支持体に塗布又は流延する工程と、塗布層又は流延層から溶媒を蒸発させて規則的又は周期的な平均相間距離を有する相分離構造を形成する工程とで構成されており、前記前駆体を硬化させることにより防眩性フィルムを得ることができる。好ましい態様では、前記混合液として、前記熱可塑性樹脂と、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、前記熱可塑性樹脂および光硬化性化合物を可溶な溶媒とを含む組成物が使用でき、スピノーダル分解により形成された相分離構造の光硬化成分を光照射により硬化することにより防眩層が形成される。また、他の好ましい態様では、前記混合液として、前記互いに非相溶な複数のポリマーと、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、溶媒とを含む組成物が使用でき、スピノーダル分解により形成された相分離構造の光硬化成分を光照射により硬化することにより防眩層が形成される。
【0083】
混合液中の溶質(ポリマー及び硬化性樹脂前駆体、反応開始剤、その他添加剤)の濃度は、相分離が生じる範囲及び流延性やコーティング性などを損なわない範囲で選択でき、例えば、1〜80重量%、好ましくは5〜60重量%、さらに好ましくは15〜40重量%(特に20〜40重量%)程度である。
【0084】
なお、透明支持体に前記混合液を塗布すると、溶媒の種類によっては透明支持体が溶解又は膨潤する場合がある。例えば、トリアセチルセルロースフィルムに、複数の樹脂を含有する塗布液(均一溶液)を塗布すると、溶媒の種類によって、トリアセチルセルロースフィルムの塗布面が溶出、侵食若しくは膨潤する場合がある。このような場合、透明支持体(トリアセチルセルロースフィルムなど)の塗布面に予め耐溶剤性コーティング剤を塗布し、光学的に等方性の耐溶剤性コーティング層を形成していてもよい。このようなコーティング層は、例えば、AS樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂(ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体など)などの熱可塑性樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、紫外線硬化型樹脂などの硬化性樹脂などを用いて形成できる。
【0085】
また、混合液又は塗布液を透明支持体に塗布する場合、透明支持体の種類に応じて、透明支持体を溶解・侵食若しくは膨潤しない溶媒を選択してもよい。例えば、透明支持体としてトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、混合液又は塗布液の溶媒として、例えば、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、イソプロパノール、トルエンなどを用いると、フィルムの性質を損なうことなく、防眩層を形成できる。
【0086】
前記混合液を流延又は塗布した後、溶媒の沸点よりも低い温度(例えば、溶媒の沸点よりも1〜120℃、好ましくは5〜50℃、特に10〜50℃程度低い温度)で溶媒を蒸発させることにより、スピノーダル分解による相分離を誘起することができる。溶媒の蒸発は、通常、乾燥、例えば、溶媒の沸点に応じて、30〜200℃、(例えば、30〜100℃)、好ましくは40〜120℃、さらに好ましくは40〜80℃程度の温度で乾燥させることによリ行うことができる。
【0087】
このような溶媒の蒸発を伴うスピノーダル分解により、相分離構造のドメイン間の平均距離に規則性又は周期性を付与できる。そして、スピノーダル分解により形成された相分離構造は、前駆体を硬化させることにより直ちに固定化できる。前駆体の硬化は、硬化性樹脂前駆体の種類に応じて、加熱、光照射など、あるいはこれらの方法の組合せにより行うことができる。加熱温度は、前記相分離構造を有する限り、適当な範囲、例えば、50〜150℃程度から選択でき、前記層分離工程と同様の温度範囲から選択してもよい。
【0088】
光照射は、光硬化成分などの種類に応じて選択でき、通常、紫外線、電子線などが利用できる。汎用的な露光源は、通常、紫外線照射装置である。なお、光照射は、必要であれば、不活性ガス雰囲気中で行ってもよい。
【0089】
[表示装置]
本発明の防眩性フィルムは、ハードコート性を有し、防眩性が高い。また、透過光を等方的に透過して散乱させながら、特定の角度範囲での光散乱強度を向上できる。さらに、透過像の鮮明性に優れており、表示面での文字ボケが少ない。そのため、本発明の防眩性フィルムや光学部材は、種々の表示装置、例えば、液晶表示(LCD)装置、プラズマディスプレイ、タッチパネル付き表示装置などの表示装置に使用できる。これらの表示装置は、前記防眩性フィルムや光学部材(特に偏光板と防眩性フィルムとの積層体など)を光学要素として備えている。
【0090】
なお、液晶表示装置は、外部光を利用して、液晶セルを備えた表示ユニットを照明する反射型液晶表示装置であってもよく、表示ユニットを照明するためのバックライトユニットを備えた透過型液晶表示装置であってもよい。前記反射型液晶表示装置では、外部からの入射光を、表示ユニットを介して取り込み、表示ユニットを透過した透過光を反射部材により反射して表示ユニットを照明できる。反射型液晶表示装置では、前記反射部材から前方の光路内に前記防眩性フィルムや光学部材(特に偏光板と防眩性フィルムとの積層体)を配設できる。例えば、反射部材と表示ユニットとの間、表示ユニットの前面などに前記防眩性フィルムや光学部材を配設又は積層できる。
【0091】
透過型液晶表示装置において、バックライトユニットは、光源(冷陰極管などの管状光源,発光ダイオードなどの点状光源など)からの光を一方の側部から入射させて前面の出射面から出射させるための導光板(例えば、断面楔形状の導光板)を備えていてもよい。また、必要であれば、導光板の前面側にはプリズムシートを配設してもよい。なお、通常、導光板の裏面には、光源からの光を出射面側へ反射させるための反射部材が配設されている。このような透過型液晶表示装置では、通常、光源から前方の光路内に前記防眩性フィルムや光学部材を配設できる。例えば、導光板と表示ユニットとの間、表示ユニットの前面などに前記防眩性フィルムや光学部材を配設又は積層できる。
【実施例】
【0092】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0093】
実施例1
スチレン−アクリロニトリル共重合体(アクリロニトリル含量24重量%,数平均分子量33000;ダイセルポリマー(株)製、290FF)4重量部、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=2.5%、プロピオニル度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75000;イーストマン社製,CAP-482-20)2重量部、多官能アクリル系紫外線(UV)硬化性化合物(ダイセル・ユーシービー(株)製、KRM7039)14重量部、光開始剤(イルガキュア184;チバガイギー社製)0.7重量部をメチルエチルケトン/イソプロパノール=7/3(重量比)の混合溶媒80重量部に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#20を用いてトリアセチルセルロースフィルム上に流延した後、60℃のオーブン内で2分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約5μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、メタルハライドランプからの紫外線を約5秒間照射し、UV硬化処理した。
【0094】
透過型光学顕微鏡により観察したところ、コート層は液滴状相分離構造を有していた。また、図1に示す装置を用いて、透過光の角度分布を測定したところ、図2に示されるように、直進透過光とは分離した0.9〜3.3°の角度範囲に散乱光が見られ、散乱極大位置は1.7°であった。JIS K7105に準拠して角度60°で測定したグロスは49であった。JIS K7105に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−300A)を用いて測定したところ、シートの全光線透過率は91%、ヘーズ値は21%であった。500g荷重鉛筆硬度を測定したところ、2Hであった。高解像度CRTモニター上に実施例1で得たシートを貼り付けたところ、表示のギラツキは感じられなかった。また、室内の蛍光灯の映りこみがなく、防眩性にも優れていた。
【0095】
実施例2
スチレン−アクリロニトリル共重合体(アクリロニトリル含量33重量%,数平均分子量30000;ダイセルポリマー(株)製、290ZF)4重量部、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75000;イーストマン社製,CAP-482-20)2重量部、多官能アクリル系UV硬化性化合物(ペンタエリスリトールトリアクリレート)14重量部、光開始剤(イルガキュア184;チバガイギー社製)0.7重量部をメチルエチルケトン/イソプロパノール=7/3(重量比)の混合溶媒80重量部に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#14を用いてトリアセチルセルロースフィルム上に流延した後、60℃のオーブン内で2分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約5μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、メタルハライドランプからの紫外線を約5秒間照射し、UV硬化処理した。
【0096】
透過型光学顕微鏡により観察したところ、コート層は液滴状相分離構造を有していた。また、図1に示す装置を用いて、透過光の角度分布を測定したところ、図2に示されるように、直進透過光とは分離した0.8〜3.3°の角度範囲に散乱光が見られ、散乱極大位置は1.8°であった。JIS K7105に準拠して角度60°で測定したグロスは48であった。JIS K7105に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業(株)製、NDH−300A)を用いて測定したところ、シートの全光線透過率は91%、ヘーズ値は24%であった。500g荷重鉛筆硬度を測定したところ、2Hであった。高解像度CRTモニター上に実施例2で得たシートを貼り付けたところ、表示のギラツキは感じられなかった。また、室内の蛍光灯の映りこみがなく、防眩性にも優れていた。
【0097】
実施例3
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂[(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体のカルボキシル基の一部に、3,4−エポキシシクロヘキセニルメチルアクリレートを付加させた化合物;ダイセル化学工業(株)製、サイクロマーP(ACA)320M、固形分49.6重量%]5.65重量部、セルロースアセテートプロピオネート(アセチル化度=2.5%、プロピオニル化度=46%、ポリスチレン換算数平均分子量75000;イーストマン社製、CAP−482−20)1.2重量部、多官能アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・ユーシービー(株)製、DPHA)6重量部、シリコーン含有アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・ユーシービー(株)製、EB1360)0.77重量部、光開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)0.53重量部をテトラヒドロフラン37.15重量部に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#24を用いてトリアセチルセルロースフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内で3分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約30秒間照射し、UV硬化処理した。
【0098】
実施例4
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂[ダイセル化学工業(株)製、サイクロマーP(ACA)320M]5.24重量部、セルロースアセテートプロピオネート(イーストマン社製、CAP−482−20)1.1重量部、多官能アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・ユーシービー(株)製、DPHA)6.3重量部、シリコーン含有アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・ユーシービー(株)製、EB1360)0.76重量部、光開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)0.62重量部を、テトラヒドロフラン37.36重量部に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#24を用いてトリアセチルセルロースフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内で3分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約30秒間照射し、UV硬化処理した。
【0099】
実施例5
側鎖に重合性不飽和基を有するアクリル樹脂[ダイセル化学工業(株)製、サイクロマーP(ACA)320M]5.24重量部、セルロースアセテートプロピオネート(イーストマン社製、CAP−482−20)1.1重量部、多官能ウレタンアクリレートUV硬化性化合物(ダイセル・ユーシービー(株)製、EB8301)6.3重量部、シリコーン含有アクリル系UV硬化性化合物(ダイセル・ユーシービー(株)製、EBl360)0.76重量部、光開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)0.62重量部を、テトラヒドロフラン37.36重量部に溶解した。この溶液を、ワイヤーバー#24を用いてトリアセチルセルロースフィルム上に流延した後、80℃のオーブン内で3分間放置し、溶媒を蒸発させて厚さ約7μmのコート層を形成させた。そして、コート層に、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約30秒間照射し、UV硬化処理した。
【0100】
比較例1
多官能アクリル系UV硬化モノマー(ダイセル・ユーシービー(株)製、DPHA)20重量部、透明微粒子として平均粒径3.5μmのアクリル−スチレン共重合体ビーズ1.6重量部、光開始剤(チバスペシャリティーケミカルズ社製、イルガキュア184)1重量部をテトラヒドロフラン/トルエン=7/3(重量比)の混合溶媒30重量部に混合した分散液を調製した。この分散液を乾燥厚みが3μmとなるように塗工し、メタルハライドランプ(アイグラフィックス社製)からの紫外線を約30秒間照射し、UV硬化処理した。
【0101】
実施例3〜5の防眩性フィルムを透過型光学顕微鏡により観察したところ、コート層は液滴状相分離構造を有していた。また、図1に示す装置を用いて、透過光の角度分布を測定したところ、図3に示されるように、どのフィルムも直進透過光(散乱角度=0°)とは分離した散乱角度=5°付近に散乱光極大が見られた。
【0102】
実施例3〜5及び比較例1で得られた防眩性フィルムの透過像の鮮明性、全光線透過率、ヘーズ、60°グロス、500g荷重鉛筆硬度、ギラツキ、文字ボケ、防眩性の結果を表1にまとめて示す。なお、ギラツキ、文字ボケ、防眩性は以下の方法で評価した。
【0103】
(ギラツキの評価)
表示面におけるギラツキの判定は、150ppiの解像度を有する液晶用カラーフィルター上に、得られた防眩性フィルムを配設し、後方よりバックライトを照射し目視にて以下の基準に従って評価した。
【0104】
◎:ギラツキが感じられない
○:ギラツキが僅かに感じられる
×:ギラツキが感じられる。
【0105】
(文字ボケの評価)
表示面における文字ボケの判定は、150ppiの解像度を有する液晶用カラーフィルター上に、得られた防眩性フィルムを配設し、後方よりバックライトを照射し目視にて以下の基準に従って評価した。
【0106】
◎:文字ボケが感じられない
○:文字ボケが僅かに感じられる
×:文字ボケが感じられる。
【0107】
(防眩性の評価)
防眩性の判定は、ルーバーの無いむきだしの蛍光灯を防眩性フィルムに写し、その正反射光の眩しさを目視にて以下の基準に従って評価した。
【0108】
◎:眩しさを感じない
○:眩しさを僅かに感じる
×:眩しさが感じられる
【0109】
【表1】

【0110】
本発明の防眩性フィルムは高い防眩性を有しつつ、高精細表示装置の表示面におけるギラツキと文字ボケを有効に防止していることが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、防眩性と光散乱性が必要とされる種々の用途、例えば、前記光学部材や、液晶表示装置(特に高精細又は高精彩表示装置)などの表示装置の光学要素として有用である。
【符号の説明】
【0112】
1…レーザ光源
3…試料
4…検出器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも防眩層で構成され、かつ前記防眩層が、表面に凹凸構造を有しており、入射光を等方的に透過して散乱し、かつ散乱光強度の極大値を示す散乱角が0.1〜10°であるとともに、全光線透過率が70〜100%である防眩性フィルムであって、前記防眩層が、(メタ)アクリル系樹脂と、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、及び少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体から選択された少なくとも一つの硬化性樹脂前駆体とで構成され、かつ前記(メタ)アクリル系樹脂と前記硬化性樹脂前駆体とが、液相からのスピノーダル分解により相分離しているとともに、前記前駆体が硬化している防眩性フィルム。
【請求項2】
入射光を等方的に透過して散乱し、かつ散乱光強度の極大値を示す散乱角が1〜10°であるとともに、全光線透過率が80〜100%である防眩層で構成されている請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項3】
(メタ)アクリル系樹脂が、硬化性樹脂前駆体の硬化反応に関与する官能基を有している請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項4】
(メタ)アクリル系樹脂が、(メタ)アクリロイル基を有する請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項5】
硬化性樹脂前駆体の硬化により防眩層に耐擦傷性が付与されている請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項6】
硬化性樹脂前駆体の硬化により、防眩層に規則的又は周期的な相分離構造が固定化されている請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項7】
防眩層が、活性エネルギー線及び熱から選択された少なくとも一種により硬化している請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項8】
防眩層が、(メタ)アクリル系樹脂と硬化樹脂とを5/95〜60/40(重量比)の割合で含む請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項9】
防眩層が透明支持体上に形成されている請求項1記載の防眩性フィルム。
【請求項10】
透明支持体が、光学部材を形成するための透明ポリマーフィルムで構成されている請求項9記載の防眩性フィルム。
【請求項11】
請求項1記載の防眩性フィルムを形成するための組成物であり、かつ(メタ)アクリル系樹脂と、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレート、及び少なくとも2つの重合性不飽和結合を有する多官能性単量体から選択された少なくとも一つの硬化性樹脂前駆体とで構成された組成物であって、前記(メタ)アクリル系樹脂と前記硬化性樹脂前駆体とが、液相からのスピノーダル分解により相分離可能である防眩性フィルム用組成物。
【請求項12】
(メタ)アクリル系樹脂が、硬化性樹脂前駆体の硬化反応に関与する官能基を有している請求項11記載の組成物。
【請求項13】
(メタ)アクリル系樹脂が、(メタ)アクリロイル基を有している請求項11記載の組成物。
【請求項14】
(メタ)アクリル系樹脂と少なくとも1つの硬化性樹脂前駆体と溶媒とを含む液相から、前記溶媒の蒸発に伴うスピノーダル分解により、前記(メタ)アクリル系樹脂と硬化性樹脂前駆体との相分離構造を形成し、前記樹脂前駆体を硬化させ、少なくとも防眩層を形成する請求項1記載の防眩性フィルムの製造方法。
【請求項15】
(メタ)アクリル系樹脂と、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、前記(メタ)アクリル系樹脂および光硬化性化合物を可溶な溶媒とを含む組成物からのスピノーダル分解により相分離構造を形成し、光照射することにより防眩層を形成する請求項14記載の製造方法。
【請求項16】
(メタ)アクリル系樹脂と、この(メタ)アクリル系樹脂に対して非相溶で且つ光硬化性基を有する樹脂と、光硬化性化合物と、光重合開始剤と、前記樹脂および光硬化性化合物を可溶な溶媒とを含む組成物からのスピノーダル分解により相分離構造を形成し、光照射することにより防眩層を形成する請求項14記載の製造方法。
【請求項17】
透明支持体上に少なくとも一層の防眩層を形成する請求項14記載の製造方法。
【請求項18】
液晶表示装置、プラズマディスプレイ及びタッチパネル式入力装置から選択された少なくとも一種の表示装置に用いられる請求項1記載の防眩性フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−276772(P2009−276772A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−141468(P2009−141468)
【出願日】平成21年6月12日(2009.6.12)
【分割の表示】特願2002−353390(P2002−353390)の分割
【原出願日】平成14年12月5日(2002.12.5)
【出願人】(000002901)ダイセル化学工業株式会社 (1,236)
【Fターム(参考)】