説明

防眩性積層体及びそれを備えるディスプレイ

【課題】光学的な欠陥を極力減少させることができると共に、ヘイズ値を抑制することができ、優れた視認性を発揮することができる防眩性積層体及びそれを備えるディスプレイを提供する。
【解決手段】防眩性積層体10は、透明基材フィルム11上に防眩性ハードコート層12を積層したものである。前記防眩性ハードコート層12は、活性エネルギー線硬化型樹脂及び光重合開始剤を含むバインダーと、(メタ)アクリル系樹脂又はその架橋物よりなる透光性有機微粒子と、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤によって表面が変性され、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.1である無機ナノ微粒子と、変性ポリシロキサン又は(メタ)アクリル重合体よりなる表面調整剤とを含有する組成物に光照射して硬化することにより形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば各種ディスプレイの観察側の最表面に貼付して用いられる防眩性積層体、特に光学的な欠陥数が少ない防眩性積層体及びそれを備えるディスプレイに関するものである。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイ(PD)、液晶ディスプレイ(LCD)、陰極管表示装置(CRT)等の電子画像表示装置においては、その視認性を高めるために、蛍光灯などの外部光源から発光された光線の反射が少ないことが求められる。そのため、ディスプレイ表面には外部からの光の反射を低減させるために防眩性フィルム等が配置されている。
【0003】
従来のこの種の防眩性反射防止フィルムとしては、例えば透明基材上に防眩層及び反射防止層が順次積層され、防眩層が平均粒子径0.001〜0.2μmの無機微粒子、平均粒子径0.5〜10μmの微粒子及び活性エネルギー線硬化型樹脂を含むものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この防眩性反射防止フィルムでは、防眩層と反射防止層との密着性が良好であると共に、耐久性に優れている。
【0004】
また、防眩フィルムとして、透明基材フィルムと、透光性樹脂中に透光性微粒子を含む防眩層とを積層してなり、透光性微粒子は透光性樹脂との屈折率の差が0.3以下であり、かつ防眩層の表面より0.1〜0.3μm突出してなるものが提案されている(例えば、特許文献2を参照)。この防眩フィルムによれば、拡散、防眩性を低下させることなく、透過鮮明性を向上させ、シンチレーション(面ぎら)を低下させ、かつ反射防止性をもたせることができる。
【0005】
さらに、防眩フィルムとして、2種類の微粒子及び樹脂を含有する防眩層を設けてなるものが知られている(例えば、特許文献3を参照)。すなわち、第1の微粒子は平均直径が1〜7μmの有機物微粒子であり、その量は樹脂に対して5〜40重量%であり、第2の微粒子は平均直径が0.1μm以下の無機物微粒子であり、その量は樹脂に対して10重量%以下であり、かつ防眩層の厚さが第1の微粒子の平均直径の0.8〜3倍である。この防眩フィルムでは、透明性及び防眩性に優れ、ディスプレイの視認性を向上させ、かつ耐擦傷性に優れている。
【特許文献1】特開2007−183674号公報(第2頁、第5頁及び第6頁)
【特許文献2】特開2000−121809号公報(第2頁、第6頁及び第7頁)
【特許文献3】特開2004−25650号公報(第2頁及び第5頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1〜3に記載されている防眩性フィルム(防眩性積層体)においては、いずれも微粒子と防眩層を形成する樹脂とのなじみ性(相溶性)が悪いことから、微粒子の分散性が悪く、微粒子が凝集する傾向を示す。従って、これらの防眩性フィルムでは微粒子の凝集に起因して光学的な欠陥が発生するという問題があった。また、特許文献3に記載されている防眩性フィルム(防眩性積層体)においては、無機微粒子とバインダーとの屈折率差を規定していないため、ヘイズ値が例えば40%程度まで上昇して視認性が低下するという問題があった。
【0007】
そこで、本発明の目的とするところは、光学的な欠陥を極力減少させることができると共に、ヘイズ値を抑制することができ、優れた視認性を発揮することができる防眩性積層体及びそれを備えるディスプレイを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明における第1の発明の防眩性積層体は、透明基材フィルム上に防眩性ハードコート層を積層した防眩性積層体であって、前記防眩性ハードコート層は、活性エネルギー線硬化型樹脂及び光重合開始剤を含むバインダーと、透光性有機微粒子と、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤によって表面が変性され、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.1である無機ナノ微粒子と、変性ポリシロキサン又は(メタ)アクリル重合体よりなる表面調整剤とを含有する防眩性ハードコート層形成用組成物を硬化して形成されるものであることを特徴とする。
【0009】
第2の発明の防眩性積層体は、第1の発明において、前記透光性有機微粒子は平均粒子径が1〜20μmであり、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.05であると共に、無機ナノ微粒子は平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする。
【0010】
第3の発明の防眩性積層体は、第1又は第2の発明において、透光性有機微粒子は(メタ)アクリル系樹脂又はその架橋物であると共に、無機ナノ微粒子はシリカ微粒子であることを特徴とする。
【0011】
第4の発明の防眩性積層体は、第1から第3のいずれか1項に記載の発明において、前記防眩性ハードコート層上に、5°正反射での可視光線領域における反射率が最小値となる最小反射率波長が450〜560nmの範囲になるよう形成された減反射層をさらに積層したことを特徴とする。
【0012】
第5の発明のディスプレイは、画像を表示する側の最表面に第1から第4のいずれか1項に記載の発明の防眩性積層体を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
第1の発明の防眩性積層体においては、防眩性ハードコート層を形成する防眩性ハードコート層形成用組成物には、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤によって表面が変性された無機ナノ微粒子が含まれると共に、変性ポリシロキサン又は(メタ)アクリル重合体よりなる表面調整剤が含まれている。このため、変性された無機ナノ微粒子は表面調整剤及びバインダーとの相溶性が改善され、光学的欠陥の形成を抑制することができると共に、防眩性ハードコート層表面の凹凸を均一かつ十分に形成することができる。さらに、変性された無機ナノ微粒子は、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.1に設定されている。そのため、防眩性ハードコート層の内部における光の透過性を悪化させることがない。従って、防眩性積層体は、光学的な欠陥を極力減少させることができると共に、ヘイズ値を抑制することができ、優れた視認性を発揮することができる。
【0014】
第2の発明の防眩性積層体では、透光性有機微粒子は平均粒子径が1〜20μmであり、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.05であると共に、無機ナノ微粒子は平均粒子径が1〜100nmである。このため、第1の発明の効果に加えて、防眩性ハードコート層表面の凹凸を適度なものにすることができると共に、防眩性ハードコート層内部における光の散乱を抑え、光の透過性を向上させることができる。
【0015】
第3の発明の防眩性積層体では、透光性有機微粒子は(メタ)アクリル系樹脂又はその架橋物であると共に、無機ナノ微粒子はシリカ微粒子である。このため、第1又は第2の発明の効果に加えて、屈折率の調整が容易であると共に、透光性有機微粒子の沈降を効果的に抑制して防眩性を容易に調整することができる。
【0016】
第4の発明の防眩性積層体では、防眩性ハードコート層上に、5°正反射での可視光線領域における反射率が最小値となる最小反射率波長が450〜560nmの範囲になるよう形成された減反射層がさらに積層されている。従って、第1から第3のいずいれかの発明の効果に加えて、防眩性積層体表面での反射が抑えられ、かつ反射色が制御され、防眩性積層体は画像鮮明性及び黒色表示画像の際の黒のしまりがさらに優れている。
【0017】
第5の発明のディスプレイでは、画像を表示する側の最表面に前記防眩性積層体が備えられている。従って、ディスプレイは防眩性積層体の前記効果を発揮することができると共に、ディスプレイ画像の透過性に優れ、画像鮮明性が良く、さらに黒色表示画像の際の黒のしまりを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の最良の形態と思われる実施形態について詳細に説明する。
[防眩性積層体]
図1に示すように、本実施形態の防眩性積層体(防眩性フィルム又は防眩性シート)10は、透明基材フィルム11上に防眩性ハードコート層12を積層したものである。そして、防眩性ハードコート層12は、活性エネルギー線硬化型樹脂及び光重合開始剤を含むバインダーと、透光性有機微粒子と、変性された無機ナノ微粒子と、変性ポリシロキサン又は(メタ)アクリル重合体よりなる表面調整剤とを含有している。上記の変性された無機ナノ微粒子(以下、変性無機ナノ微粒子ともいう)は、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤によって表面が変性され、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.1に形成されているものである。この防眩性積層体10を用いることにより、光学的な欠陥(以下、単に欠陥ともいう)を極力減少させ、ヘイズ値を抑制し、視認性を向上させることができるため、特にプラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ等の電子画像表示装置において、その画像視認性を高めることができる。
【0019】
図2に示すように、防眩性積層体10は、透明基材フィルム11上に積層された防眩性ハードコート層12上にさらに減反射層13が積層されて構成されている。この防眩性積層体10は、減反射層13によりその表面における反射が抑えられ、画像鮮明性に優れている。
【0020】
次に、防眩性積層体10を構成する各構成要素について順に説明する。
〔透明基材フィルム11〕
透明基材フィルム11は防眩性積層体10の基材(ベース材)となるものであって、透明樹脂フィルム等が用いられ、特に制限されない。透明基材フィルム11を形成する樹脂材料として具体的には、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリ(メタ)アクリルロニトリル系樹脂、トリアセテートセルロース(TAC)系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂、ポリウレタン系樹脂、再生セルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド(ナイロン)系樹脂、ポリイミド系樹脂等が挙げられる。それらの中でも、汎用性などの観点からトリアセテートセルロース(TAC)系樹脂及びポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂が好ましい。透明基材フィルム11上に機能層として偏光層を設ける場合には、通常トリアセテートセルロース(TAC)系樹脂が使用される。
【0021】
透明基材フィルム11の厚さは通常10〜5000μm、好ましくは25〜1000μm、さらに好ましくは35〜500μmである。この厚さが10μmより薄い場合には、作業性が悪くなり、透明基材フィルム11の強度も低下する傾向にある。その一方、厚さが5000μmより厚い場合には、不必要に厚くなって取扱性も悪くなり好ましくない。
〔防眩性ハードコート層12〕
続いて、防眩性ハードコート層12について説明する。係る防眩性ハードコート層12はその表面に凹凸を有し、その凹凸に光が反射して拡散され(表面拡散性)、防眩性を発現することができる機能を備えている。該防眩性ハードコート層12は、前述のようにバインダーと、透光性有機微粒子と、変性無機ナノ微粒子と、表面調整剤とを含有する防眩性ハードコート層形成用組成物を硬化させることにより形成される。
(バインダー)
この防眩性ハードコート層形成用組成物のバインダー中には、活性エネルギー線硬化型樹脂及び光重合開始剤が含まれる。また、バインダー又は防眩性ハードコート層形成用組成物中には、通常希釈溶剤が配合される。
【0022】
活性エネルギー線硬化型樹脂は、その構成成分として活性エネルギー線硬化性の重合性成分が必須であり、必要に応じてその他の成分が含まれていてもよい。そのような重合性成分としては、単官能単量体、多官能単量体、ビニル基や(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー及びビニル基や(メタ)アクリロイル基を有する重合体の中から1種又は2種以上が選択して用いられる。その他の成分としては、光分解型又は熱分解型の重合開始剤、ビニル基や(メタ)アクリロイル基を含まないオリゴマー(以下、非重合性オリゴマーという)、ビニル基や(メタ)アクリロイル基を含まない重合体(以下、非重合性重合体という)、金属酸化物、希釈溶剤、光増感剤、安定化剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤等が用いられる。
【0023】
単官能単量体として具体的には、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸セチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン、m−メトキシスチレン、フマル酸ジn−ブチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル、N−イソプロピルアクリルアミド、N−ビニル−2−ピロリドン等が好ましい。
【0024】
多官能単量体としては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、ウレタン変性アクリレート等の(メタ)アクリロイル基を2個以上含む多官能重合性化合物等が挙げられる。多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、テトラプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、プロパンジオール、ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2'−チオジエタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の2価のアルコール;トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール、ジグリセロール、ジペンタエリスリトール、ジトリメチロールプロパン等の3価以上のアルコール等が挙げられる。
【0025】
ウレタン変性(メタ)アクリレートは、1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネートと、水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体とのウレタン化反応によって得ることができる。1分子中に複数個のイソシアネート基を有する有機イソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の1分子中に2個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート、それら有機イソシアネートをイソシアヌレート変性、アダクト変性、ビウレット変性した1分子中に3個のイソシアネート基を有する有機イソシアネート等が挙げられる。
【0026】
それらの中で、硬化物(皮膜)の強度向上や入手の容易性の点から、ジ(メタ)アクリル酸ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリプロピレングリコール、ヘキサ(メタ)アクリル酸ジペンタエリスリトール等の(メタ)アクリル酸エステル類、イソホロンジイソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとの付加体、トリレンジイソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとの付加体、ビウレット変性イソホロンジイソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルとの付加体が好ましい。特に、(メタ)アクリロイル基を3〜8個有する多官能(メタ)アクリル系樹脂であることが好ましい。この場合、防眩性ハードコート層12の強度、硬度などの物性を向上させることができる。
(透光性有機微粒子)
前記透光性有機微粒子は、防眩性ハードコート層12における光拡散機能、表面の凹凸形成による防眩機能等を発現するためのものである。この透光性有機微粒子は、例えば塩化ビニル、(メタ)アクリル単量体、スチレン及びエチレンから選択される少なくとも1種の単量体を重合して得られる樹脂から形成される。そのような透光性有機微粒子としては、屈折率の調整が容易な点から(メタ)アクリル樹脂、スチレン−アクリル単量体共重合樹脂(以下、単にスチレン−アクリル共重合樹脂という)又はそれらの架橋物であることが好ましい。スチレン−アクリル共重合樹脂の場合には、両単量体の共重合組成を変化させることにより、屈折率を任意に調整することができる点で、より好ましい。ここで、スチレン−アクリル共重合樹脂又は(メタ)アクリル樹脂(屈折率1.49)のほか、塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂(屈折率1.54)、ポリエチレン樹脂、メラミン樹脂(屈折率1.57)、ポリカーボネート樹脂等を含む樹脂より透光性有機微粒子を形成することも可能である。
【0027】
ディスプレイの画像について、像鮮明度を向上させて黒のしまり、さらにはコントラストを良好にするためには、前記バインダー硬化物と透光性有機微粒子との屈折率差より発生する内部へイズを極力小さくする必要がある。そのため、前記バインダー硬化物の屈折率と前記透光性有機微粒子の屈折率との屈折率差を、好ましくは0〜0.05、より好ましくは0〜0.03、さらに好ましくは0〜0.01に設定する。バインダーの硬化物の屈折率と透光性有機微粒子の屈折率差をこのような範囲に設定することにより、防眩性ハードコート層12の内部における光の散乱を抑制することができ、光の透過性を向上させることができる。この屈折率差が0.05より大きい場合、防眩性ハードコート層12の内部における光の散乱が大きくなり、光の透過が阻害されて像鮮明度が悪化する。
【0028】
透光性有機微粒子は、防眩性ハードコート層12中及びその表面における光の拡散又は散乱を均一に行うために、粒子径の揃った単分散なものであることが好ましい。透光性有機微粒子の平均粒子径は、その機能を十分に発揮させるために好ましくは1〜20μm、より好ましくは2〜10μmである。この平均粒子径が1μm未満の場合、防眩性ハードコート層12表面における防眩性が不十分となる傾向がある。その一方、20μmを超える場合、防眩性ハードコート層12のヘイズ値が高くなり過ぎ、透明性が損なわれる傾向にある。ここで、前記平均粒子径はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算し、得られた粒子数分布から算出される値である。なお、コールターカウンター法は、電気抵抗を利用した粒子径測定法であり、粒子が細孔を通過する際に生じる2電極間の電気抵抗の変化を測定して平均粒子径を測定する方法である。
【0029】
防眩性ハードコート層12の厚さに対する透光性微粒子の平均粒子径の割合は10〜100%であることが好ましい。この割合が10%未満であるときには、防眩性ハードコート層12表面に所望の凹凸を形成するために添加する透光性微粒子の量が増加し、ヘイズ値が上昇するために画像鮮明性が悪化する傾向にある。一方、100%を超えるときには、防眩性ハードコート層12表面の凹凸が大きくなり過ぎるために、ヘイズ値が大きくなって画像鮮明性が悪化し、ぎらつきも強くなり好ましくない。
【0030】
透光性有機微粒子の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100質量部に対して通常1〜70質量部、好ましくは5〜50質量部、より好ましくは10〜40質量部である。透光性有機微粒子の含有量が1質量部より少ない場合には、透光性有機微粒子の機能を十分に発揮することができず、満足できる防眩性が得られなくなる。その一方、70質量部より多い場合には、防眩性ハードコート層12のヘイズ値が高くなり過ぎ、防眩性積層体10をディスプレイ表面に設置した際、白化等が生じて画像認識性が低下する。
(変性無機ナノ微粒子)
変性無機ナノ微粒子は、透光性有機微粒子の沈降を抑え又は表面に浮上させて防眩性を調整する機能を発現するものである。無機ナノ微粒子の中でも、コロイド状に分散した無機ナノ微粒子が特に好ましい。無機ナノ微粒子を形成する材料としてはシリカ、酸化錫、酸化インジウム、酸化アンチモン、アルミナ、チタニア、ジルコニアなどの金属酸化物や金属等が挙げられるが、屈折率、価格等を考慮するとシリカが特に好ましい。係る無機ナノ微粒子の平均粒子径は、100nm以下、好ましくは1〜100nm、より好ましくは1〜50nm、最も好ましくは5〜20nmである。この平均粒子径が100nmを超える場合には、防眩性積層体10のヘイズ値が高くなる傾向を示し、白化等の現象が大きくなる。
【0031】
該無機ナノ微粒子は、シランカップリング剤によって変性される。このシランカップリング剤は、バインダーを構成する活性エネルギー線硬化型樹脂の重合性二重結合と共重合可能な官能基を有することがより好ましい。シランカップリング剤としては、例えばビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタアクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等が用いられる。
【0032】
変性無機ナノ微粒子の製造方法としては、例えば溶媒に分散した無機ナノ微粒子に対して、前記のシランカップリング剤を加えて混合し、この混合物に水(純水)を加えて、通常の加水分解反応及び縮合反応を行う。無機ナノ微粒子の固形分としては20〜40質量%が好ましい。また、シランカップリング剤を加える順序は特に規定されない。混合する水の添加量は、シランカップリング剤に対して3〜5倍等量であることが望ましい。加水分解反応及び縮合反応させるための操作としては、常圧下で3〜7時間にわたり攪拌及び溶媒の還流を行う。分散溶媒として好適な有機溶媒は、メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、ブタノール、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類を挙げることができる。これら有機溶媒は、単独で、又は2種類以上混合して使用することができる。得られた変性無機ナノ微粒子は、遠心分離等により単離することも可能ではあるが、有機溶媒が存在する状態で後の工程に供することもできる。
【0033】
変性無機ナノ微粒子は、シランカップリング剤によって変性されているため、従来の無機ナノ微粒子にはない優れた効果を発揮することができる。すなわち、前記透光性有機微粒子の沈降を抑え又は表面に浮上させて防眩性を調整可能にすると共に、表面調整剤との相溶性が良く、さらには皮膜中において、シランカップリング剤に基づく重合性二重結合基と前記活性エネルギー線硬化型樹脂の重合性二重結合基とが化学結合して強固な膜となるため、皮膜の表面強度を飛躍的に向上させることができる。
【0034】
変性無機ナノ微粒子の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100質量部に対して通常0.1〜20質量部、好ましくは0.1〜5質量部である。変性無機ナノ微粒子の含有量が0.1質量部より少ない場合には、変性無機ナノ微粒子の機能を十分に発揮することができず、防眩性積層体10の表面にぎらつきが発生する。その一方、20質量部より多い場合には、防眩性ハードコート層12のヘイズ値が高くなり過ぎ、防眩性積層体10をディスプレイ表面に設置した際、白化等が生じて画像認識性が低下すると共に、防眩性積層体10の表面強度が低下する。
(表面調整剤)
前記表面調整剤は、防眩性ハードコート層形成用組成物の透明基材フィルム11に対するはじきを低減させ、欠陥数を減少させる機能を発現するものである。そのような表面調整剤としては、変性ポリシロキサン又は(メタ)アクリル重合体が挙げられ、表面張力差を平衡化するためには(有機)変性ポリシロキサンがより好ましい。(有機)変性ポリシロキサンとしては、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性ポリメチルアルキルシロキサン、アラルキル変性ポリメチルアルキルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。(メタ)アクリル重合体としては、アクリル系重合体、アクリル系共重合体、メタクリル系重合体等が挙げられる。
【0035】
表面調整剤の含有量は、活性エネルギー線硬化型樹脂100質量部に対して通常0.01〜10質量部、好ましくは0.05〜5質量部である。表面調整剤の含有量が0.01質量部より少ない場合には、表面調整剤の機能を十分に発揮することができず、はじき等により欠陥が発生する。その一方、10質量部より多い場合には、防眩性ハードコート層12のヘイズ値が高くなり過ぎ、防眩性積層体10をディスプレイ表面に設置した際、白化等が生じて画像認識性が低下する。
(希釈溶剤)
防眩性ハードコート層形成用組成物又はバインダーの調製に用いられる希釈溶剤は、主に防眩性ハードコート層形成用組成物を透明基材フィルム11上に塗布するに当たり、防眩性ハードコート層形成用組成物又はバインダーの粘度を調整するために用いられ、非重合性のものであれば特に制限されない。希釈溶剤として例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、エチルセルソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。
(防眩性ハードコート層12の形成)
防眩性ハードコート層形成用組成物を透明基材フィルム11上に塗布した後、活性エネルギー線を照射して硬化させることにより、透明基材フィルム11上に防眩性ハードコート層12が積層される。上記塗布方法は特に限定されず、通常行なわれている塗布方法、例えばロールコート法、スピンコート法、ディップコート法、ハケ塗り法、スプレーコート法、バーコート法、ナイフコート法、ダイコート法、グラビアコート法等公知のいかなる方法も採用される。塗布に際しては、密着性を向上させるために、予め透明基材フィルム11表面にコロナ放電処理等の前処理を施すことができる。
【0036】
活性エネルギー線の照射に用いられる活性エネルギー線源としては、例えば高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、窒素レーザ、電子線加速装置、放射性元素等の線源等が使用される。この場合、活性エネルギー線の照射量は、紫外線の波長365nmでの積算光量として50〜5000mJ/cmであることが好ましい。照射量が50mJ/cm未満のときには、防眩性ハードコート層形成用組成物の硬化が不十分となるため好ましくない。一方、5000mJ/cmを超えるときには、活性エネルギー線硬化型樹脂が着色する傾向を示すため好ましくない。
【0037】
このようにして得られる防眩性積層体10において、光拡散性を発現して防眩性を得るためには、防眩性積層体10表面の凹凸形状を調整する必要がある。すなわち、防眩性積層体10表面の凹凸形状に関し、防眩性積層体10表面においてJIS B 0601−1994に規定される算術平均粗さ(Ra)は0.01〜0.30μmであることが好ましく、0.01〜0.20μmであることがより好ましく、0.05〜0.15μmであることが最も好ましい。防眩性積層体10表面の凹凸のRaをこのような範囲に設定することにより、防眩性積層体10を特に画像表示のためのディスプレイ上に配置した場合に適度な光拡散性を保持することができ、またぎらつきがなく、ディスプレイの良好な視認性を確保することが可能となる。
【0038】
Raが0.01μm未満の場合、防眩性積層体10表面における光拡散性が不足し、防眩性が悪くなる傾向を示す。その一方、Raが0.30μmを超える場合、防眩性積層体10のヘイズ値が大きくなって白化現象が起き、画像鮮明性が悪化して好ましくない。
【0039】
また、防眩性積層体10表面におけるJIS B 0601−1994に規定される凹凸の平均間隔(Sm)は10〜300μmであることが好ましく、30〜200μmであることがより好ましく、50〜180μmであることが特に好ましい。このSmが10〜300μmの範囲であれば、防眩性積層体10を画像表示のためのディスプレイ上に設置した場合にぎらつきが抑制され、ディスプレイの良好な視認性を確保することが可能となる。Smは防眩性積層体10の表面に沿う方向における凹凸の間隔を表し、この間隔が防眩性積層体10表面での特にぎらつきを抑えるために重要である。Smが10μm未満の場合、防眩性積層体10のヘイズ値が大きくなって白化現象が生じ、所望とする画像鮮明性が得られ難くなる。一方、Smが300μmを超える場合、防眩性積層体10表面での光拡散性の発現が不足し、ぎらつきを抑えることが難しくなる。
【0040】
また、防眩性積層体10の防眩性を示す指標の1つとしてヘイズ値が用いられる。このヘイズ値(曇価、曇り度)はJIS K 7136に準拠して測定されるもので、散乱光線透過率を全光線透過率で割った値を百分率で表したものである。このヘイズ値は1〜50%であることが好ましく、1〜30%であることがより好ましく、1.5〜10%であることが特に好ましく、1.5〜5%であることが最も好ましい。ヘイズ値が1%より小さい場合には、防眩効果が不十分となり、防眩性積層体10をディスプレイ表面に配置したときに像の写り込みを防ぐことが難しくなる。一方、50%より大きい場合には、コントラストの低下又は防眩性積層体10をディスプレイ表面に配置したときにディスプレイ画像が白色味を帯びてくるので好ましくない。
【0041】
ヘイズ値は防眩性ハードコート層12表面の凹凸による外部散乱に起因する外部ヘイズと、防眩性ハードコート層12内部に存在する透光性有機微粒子と防眩性ハードコート層12との屈折率差に起因する内部散乱による内部ヘイズとに分類することができる。防眩性積層体10では防眩性を維持しながら画像鮮明性及びぎらつきを抑制することを目的とするため、外部ヘイズ及び内部ヘイズの調整が重要となる。防眩性は主として外部ヘイズに起因するため、防眩性を発揮するためには表面凹凸をある程度大きくする必要がある。一方、画像鮮明性及びぎらつきは、外部ヘイズ及び内部ヘイズと相関があるために双方を低く抑える必要がある。
〔減反射層13〕
次に、減反射層13は、単層構成又は多層構成とすることができる。単層構成の場合には、前記防眩性ハードコート層12の前面側に該防眩性ハードコート層12よりも低い屈折率の層(低屈折率層)を1層形成する。また、多層構成の場合には、前記防眩性ハードコート層12の前面側に屈折率の異なる層を多層形態で積層する。多層構成とすることにより、反射率をより効果的に下げることができる。反射防止の効果の観点からは3層以上の構成が好ましく、生産性及び生産コストの観点からは単層構成又は2層構成が好ましい。
【0042】
減反射層13の形成方法は特に制限されるものではなく、例えばドライコーティング法、ウェットコーティング法等の方法が採用される。これらの方法のうち、生産性及び生産コストの面より、特にウェットコーティング法が好ましい。ウェットコーティング法は公知の方法でよく、例えばロールコート法、スピンコート法、コイルバー法、ディップコート法等が代表的な方法である。これらの中では、ロールコート法等、連続的に減反射層13を形成できる方法が生産性及び生産コストの点より好ましい。この減反射層13の機能を発現させるために、形成される層がその直下の層よりも低屈折率であることを要件とし、その低屈折率層の屈折率としては1.20〜1.55の範囲にあることが好ましい。屈折率が1.55を超える場合にはウェットコーティング法では十分な反射防止効果を得ることが難しく、一方1.20未満の場合には十分に硬い層を形成することが困難となる傾向にある。
【0043】
このような低屈折率層を構成する材料としては、例えば中空酸化珪素、コロイダルシリカ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウム等の無機微粒子や、有機重合体微粒子や、含フッ素有機化合物の単体又は混合物を用いることができる。また、フッ素を含まない有機化合物(以下、非フッ素系有機化合物と略記する)の単体若しくは混合物又は重合体を低屈折率層を形成するバインダー樹脂として用いることができる。
【0044】
また、減反射層13には、上記化合物以外に本発明の効果を損なわない範囲において、その他の成分を含んでいても差し支えない。その他の成分は特に限定されるものではなく、例えば無機又は有機顔料、重合体、重合開始剤、光重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、分散剤、界面活性剤、光安定剤、表面調整剤などの添加剤が挙げられる。また、ウェットコーティング法によって成膜後乾燥させる限りは、任意の量の溶媒を添加することができる。
【0045】
さらに、この減反射層13は、好ましくはウェットコーティング法により成膜した後、必要に応じて紫外線、電子線等の活性エネルギー線の照射や加熱により硬化反応を行って形成することができる。このような活性エネルギー線による硬化反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下にて行うことが好ましい。
【0046】
減反射層13は、電子線等の高エネルギー線により含フッ素硬化性塗液を重合硬化したり、熱分解型重合開始剤や光重合開始剤の存在下に含フッ素硬化性塗液を重合硬化したりすることにより得られる。これらの中では、光重合開始剤を添加した含フッ素硬化性塗液を防眩性ハードコート層12表面に塗布し、形成された皮膜に不活性ガス雰囲気下で紫外線照射を照射して重合硬化させる方法が好ましい。
【0047】
減反射層形成用組成物の活性エネルギー線の照射量は、10mJ以上が好ましく、100mJ以上がさらに好ましい。照射量の上限は、この種の紫外線照射における常法に従って決定される。照射線量が10mJより少ない場合には、重合硬化後に得られる皮膜に十分な硬度が得られない。また、重合硬化後にさらに紫外線照射による後硬化を行なってもよい。紫外線照射時の酸素濃度は、重合硬化時及び後硬化時とも、窒素、アルゴン等の不活性ガスを吹き込む等により1000ppm以下に抑えることが良好な重合硬化性を得るために好ましい。硬化後の減反射層(皮膜)は、防眩性反射防止フィルム等の用途を考慮すると屈折率が好ましくは1.5以下、特に好ましくは1.45以下であり、その下限は1.3程度である。また、減反射層13の厚さは好ましくは50〜200nmである。この厚さが50nm未満又は200nmを超える場合には、減反射効果が低下する。
【0048】
また、減反射層13を備える防眩性積層体10の5°正反射での可視光線領域における反射率が最小値となる最小反射率波長は、好ましくは450〜560nm、より好ましくは460〜550nm、さらに好ましくは470〜540nmの範囲である。最小反射率波長をこのような範囲に設定することにより、防眩性積層体10の反射色が制御されて黒色に近くなり、黒色表示画像の際の黒のしまりが良好となる。
【0049】
加えて、防眩性積層体10の反射を示す視感度反射率は、5%以下であることが好ましく、2%以下であることがより好ましい。この視感度反射率は、5°正反射測定装置を備えた分光光度計を用いて反射率(%)を測定することによって得られる。この視感度反射率が5%を超える場合には、防眩性積層体10表面における光の反射が大きくなり、視認性が低下して好ましくない。
[ディスプレイ]
次に、前述した防眩性積層体10を、ディスプレイの画像を表示する側の最表面に備えることによりディスプレイが構成される。このディスプレイは、防眩性積層体10を備えることによって像の写り込みが抑えられ、視認性を向上させることができる。さらに、ディスプレイ画素サイズに対して防眩性積層体10表面の凹凸が前記のように小さい範囲に設定されているため、レンズ的な作用がなく、画像の視認性に優れている。
【0050】
ディスプレイとして具体的には、パーソナルコンピュータ、ワードプロセッサ、テレビジョン、携帯電話、携帯端末、ゲーム機、自動現金引出し預け入れ装置、現金自動支払機、自動販売機、ナビゲーション装置、セキュリティーシステム端末等における画像を表示する部材(CRT、プラズマディスプレイ、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、電子ペーパーなどに用いられるトナー系ディスプレイ等々)が挙げられる。その他のディスプレイとして、展示用ディスプレイに用いられるショウケース、ショウウィンドウ等のガラスケースやプラスチックケース等が挙げられる。
[実施形態の作用及び効果のまとめ]
・ 本実施形態における防眩性積層体10では、防眩性ハードコート層12を形成する防眩性ハードコート層形成用組成物には、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤によって表面が変性された無機ナノ微粒子が含まれると共に、変性ポリシロキサン又は(メタ)アクリル重合体よりなる表面調整剤が含まれている。このため、変性された無機ナノ微粒子は表面調整剤及びバインダーとの相溶性が良好となり、光学的な欠陥の形成が抑制される。
【0051】
しかも、変性無機ナノ微粒子が透光性有機微粒子を浮上させることにより、防眩性ハードコート層12表面に透光性有機微粒子による凹凸が均一かつ十分に形成される。加えて、変性無機ナノ微粒子は、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.1という小さい範囲に設定されている。そのため、防眩性ハードコート層12の内部における光の透過性を悪化させることがない。従って、防眩性積層体10は、光学的な欠陥を極力減少させることができると共に、ヘイズ値を抑制することができ、優れた視認性を発揮することができる。
【0052】
・ 前記透光性有機微粒子は平均粒子径が1〜20μmであり、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.05であると共に、無機ナノ微粒子は平均粒子径が1〜100nmである。このため、防眩性ハードコート層12表面の凹凸を十分に形成することができると共に、防眩性ハードコート層12内部における光の散乱を抑え、光の透過性を向上させることができる。
【0053】
・ また、透光性有機微粒子は(メタ)アクリル系樹脂又はその架橋物であると共に、無機ナノ微粒子はシリカ微粒子であることにより、屈折率の調整が容易であると共に、透光性有機微粒子の沈降を効果的に抑制して防眩性を容易に調整することができる。
【0054】
・ 防眩性ハードコート層12上に、5°正反射での可視光線領域における反射率が最小値となる最小反射率波長が450〜560nmの範囲になるよう形成された減反射層13がさらに積層されている。この場合、防眩性積層体10表面での反射が抑えられ、かつ反射色が制御され、防眩性積層体10は画像鮮明性及び黒色表示画像の際の黒のしまりがさらに優れている。
【0055】
・ 本実施形態のディスプレイでは、画像を表示する側の最表面に前記防眩性積層体10が備えられている。従って、ディスプレイは防眩性積層体10の前記効果を発揮することができると共に、ディスプレイ画像の透過性に優れ、画像鮮明性が良く、さらに黒色表示画像の際の黒のしまりを向上させることができる。
【実施例】
【0056】
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて前記実施形態をさらに具体的に説明するが、本発明はそれら実施例の範囲に限定されるものではない。
ここで、実施例1〜3の防眩性積層体10は、透明基材フィルム11の一方の面に、防眩性ハードコート層12が積層された図1に示す構成のものであり、実施例4の防眩性積層体10は、透明基材フィルム11上に防眩性ハードコート層12及び減反射層13が順に積層された図2に示す構成のものである。また、各例における反射率、最小反射率波長、表面粗さ、ヘイズ値及び欠陥の数については、下記に示す方法により測定した。
(1)反射率の測定
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、5°正反射測定装置を備えた分光光度計〔日本分光(株)製、商品名:U-best50〕を用いて反射率を測定した。
(2)最小反射率波長の測定
測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、5°正反射測定装置を備えた分光光度計〔日本分光(株)製、商品名:U-best50〕を用いて反射率を測定し、反射スペクトルを得た。その反射スペクトルの可視光線領域における反射率が最小値となる波長を読み取った。
(3)表面粗さ
(株)小坂研究所製、表面粗さ測定機 サーフコーダSE500を使用し、走査範囲4mm、走査速度0.2mm/sの条件で、JIS B 0601−1944の規定に準拠して算術平均粗さRa(μm)及び凹凸の平均間隔Sm(μm)を測定した。
(4)ヘイズ値
ヘイズメーター〔日本電色工業(株)製、NDH2000〕を使用し、光学特性としてのヘイズ値(%)を測定した。
(5)欠陥の数
防眩性積層体10の1m当たりの欠陥の数を目視にて評価した。ここで、前記欠陥とは面積0.7mm以上の大きさのものをいい、係る面積は「きょう雑物測定図表(独立行政法人国立印刷局製造)」により判定した。
(製造例1、変性コロイダルシリカの調製)
フラスコにコロイダルシリカ〔屈折率:1.46、日産化学(株)製、商品名;XBA-ST、キシレン/ブタノール混合溶媒によるコロイダルシリカの30質量%分散液、平均粒子径:10〜15nm〕500質量部、γ-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、商品名;KBM5103〕94質量部、蒸留水35質量部を混合した後、5時間加熱還流(反応温度80℃)を行い、加水分解反応及び縮合反応を行った。このような操作により、変性コロイダルシリカを調製した。
(製造例2、減反射層形成用組成物の調製)
パーフルオロ−〔1,1,9,9−テトラヒドロ−2,5−ビスフルオロメチル−3,6−ジオキサノネノール〕104質量部及びビス〔2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7−ドデカフルオロヘプタノイル〕パーオキサイドの8質量%パーフルオロヘキサン溶液11質量部の重合反応により得られるヒドロキシル基含有含フッ素アリルエーテル重合体(数平均分子量72,000、質量平均分子量118,000)5質量部、メチルエチルケトン(MEK)43質量部、ピリジン1質量部、及びα−フルオロアクリル酸フルオライド1質量部より、重合性二重結合を有する含フッ素反応性重合体溶液(固形分13質量%、α−フルオロアクリロイル基の導入率40モル%)を調製した。
【0057】
また、中空シリカゾル〔触媒化成工業(株)製、商品名;ELCOM NY-1001SIV、イソプロピルアルコールによる中空シリカゾルの25質量%分散液、平均粒子径:60nm〕2000質量部、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製、商品名;KBM5103〕70質量部及び蒸留水80質量部を混合して変性中空シリカ微粒子(ゾル)(平均粒子径:60nm)を調製した。そして、前記含フッ素反応性重合体溶液50質量部と、変性中空シリカ微粒子50質量部と、光重合開始剤〔チバスペシャルティケミカルズ(株)製、商品名;イルガキュア907〕2質量部と、イソプロピルアルコール2000質量部とを混合して、減反射層形成用組成物を得た。
(実施例1)
ウレタンアクリレート〔1分子中にアクリロイル基を6個有するウレタンアクリレート(6官能ウレタンアクリレート)、分子量1400、60℃における粘度が2500〜4500Pa・s、日本合成化学工業(株)製、紫光UV7600B〕100質量部、光重合開始剤として1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア(Irg.)2959〕3質量部及びメチルイソブチルケトン(MIBK)83.4質量部を混合してバインダーを調製した。そのバインダーに透光性有機微粒子として架橋アクリル−スチレン共重合樹脂の微粒子〔積水化成品(株)製、SSX−105TND、粒子径の揃った単分散な微粒子、平均粒子径は5.0μm〕30質量部、製造例1で調製された変性無機ナノ微粒子2質量部、表面調整剤として有機変性ポリシロキサン〔ポリエーテル変性ジメチルポリシロキサン、ビック・ケミー(株)製、BYK-306〕0.4質量部を混合して防眩性ハードコート層形成用組成物を調製した。
【0058】
この防眩性ハードコート層形成用組成物を、透明基材フィルム11として厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上にロールコーターにて塗布し、80℃で2分間乾燥した。その後、120W高圧水銀灯〔日本電池(株)製〕により紫外線を照射し(積算光量400mJ/cm)、硬化させて防眩性ハードコート層12を作製した(バインダーの硬化物の屈折率:1.50)。変性無機ナノ微粒子とバインダーの硬化物との屈折率差は0.04であり、防眩性ハードコート層12の厚さは8.5μmであった。
(実施例2)
製造例1における変性無機ナノ微粒子のコロイダルシリカ〔屈折率:1.46、日産化学(株)製、商品名;XBA-ST、キシレン/ブタノール混合溶媒によるコロイダルシリカの30質量%分散液、平均粒子径:10〜15nm〕の代わりに、コロイダルシリカ〔屈折率:1.46、日産化学(株)製、商品名;IPA-ST-L、イソプロピルアルコールによるコロイダルシリカの30質量%分散液、平均粒子径:40〜50nm〕を使用する以外は、実施例1と同様に防眩性ハードコート層12を作製した。変性無機ナノ微粒子とバインダーの硬化物との屈折率差は0.04であり、防眩性ハードコート層12の厚さは8.6μmであった。
(実施例3)
実施例1における防眩性ハードコート層形成用組成物のウレタンアクリレートの代わりにジペンタエリスリトールヘキサアクリレートを用い、光重合開始剤の1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア(Irg.)2959〕の代わりに1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン〔チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガキュア(Irg.)184〕を用い、透光性有機微粒子として架橋アクリル樹脂微粒子〔綜研化学(株)製、MX-500、平均粒子径は5.0μm〕とした以外は実施例1と同様に防眩性ハードコート層12を作製した。変性無機ナノ微粒子とバインダーの硬化物との屈折率差は0.04であり、防眩性ハードコート層12の厚さは8.8μmであった。
(実施例4)
実施例1と同様に防眩性ハードコート層12を作製した。次に、防眩性ハードコート層12の表面に、製造例2で調製された減反射層用組成物を乾燥時の厚さが0.09μmとなるように塗布した後、窒素雰囲気下で紫外線照射装置(アイグラフィックス社製、120W高圧水銀灯)を用いて400mJの紫外線を照射し、減反射層形成用組成物を硬化して防眩性ハードコート層12上に減反射層13を形成した。
(比較例1)
実施例1に記載の変性無機ナノ微粒子を無機微粒子〔屈折率:1.46、日産化学(株)製、IPA-ST、イソプロピルアルコールによるコロイダルシリカの30質量%分散液〕2質量部とした以外は、全て実施例1と同様の条件で防眩性ハードコート層を作製した。
(比較例2)
製造例1に準じて、コロイダルシリカをシリカ粒子〔富士シリシア化学(株)製、サイロスフェアC−1504、平均粒子径4.0μm〕へと変更して表面変性した変性無機微粒子を、実施例1に記載の変性無機ナノ微粒子に代えて使用した以外は、全て実施例1と同様の条件で防眩性ハードコート層を作製した。
(比較例3)
実施例1に記載の変性無機ナノ微粒子を無機微粒子である二酸化チタン〔シーアイ化成(株)製、トルエンによる二酸化チタンの15質量%分散液、平均粒子径:30nm、無機微粒子の屈折率は2.52であり、バインダーの硬化物の屈折率は1.50であるため、変性無機微粒子とバインダーの硬化物との屈折率差は1.02であった。〕2質量部とした以外は、全て実施例1と同様の条件で防眩性ハードコート層を作製した。
【0059】
実施例1〜4及び比較例1〜3の防眩性積層体について、防眩性ハードコート層の厚さ、反射率、最小反射率波長、算術平均粗さRa、凹凸の平均間隔Sm、ヘイズ値及び欠陥数を表1にまとめて示した。
【0060】
【表1】

表1に示したように、実施例1〜4においては、算術平均粗さと凹凸の平均間隔が十分に調整されており、さらにはヘイズ値が小さいことから、ぎらつきがなく、画像鮮明性に優れている。さらに、防眩性ハードコート層形成用組成物には変性無機ナノ微粒子と表面調整剤とが含まれていることから、欠陥数が少なく、ディスプレイ表面に用いるには好適な防眩性積層体10であることが明らかになった。
【0061】
また、実施例4においては、防眩性ハードコート層12上に反射率が0.85%で、最小反射率波長が488nmの減反射層13が形成されていることから、実施例1の防眩性積層体10に比べて防眩性積層体10の反射色が制御され黒色に近くなり、黒色表示画像の際の黒のしまりが良好であった。
【0062】
その一方、比較例1においては、無機微粒子の表面が変性されていないことから、欠陥数が多く、ディスプレイ表面に用いるにはふさわしくない結果であった。比較例2においては、無機微粒子の平均粒子径がミクロンオーダーであるため、ヘイズ値が大きく、画像鮮明性が悪かった。比較例3においては、無機微粒子とバインダーの硬化物との屈折率差が大きいため、ヘイズ値が大きい結果であった。さらには、表面が変性されていないことから欠陥数も多くディスプレイ表面に用いるには不適切な防眩性積層体であった。
【0063】
なお、前記実施形態を次のように変更して実施することも可能である。
・ 無機ナノ微粒子として、その種類、平均粒子径、屈折率等の異なる複数のものを組み合わせて使用し、防眩性ハードコート層12による防眩性の調整を一層有効に行うように構成することもできる。
【0064】
・ 透光性有機微粒子として、種類、屈折率、平均粒子径等の異なる複数のものを組み合わせて使用し、光拡散性及び防眩性の調整を一層有効に行うように構成することもできる。
【0065】
・ 無機ナノ微粒子を変性するシランカップリング剤と、表面調整剤との相溶性を考慮してそれぞれ複数の化合物を組み合わせて使用し、変性無機ナノ微粒子及び表面調整剤の機能を高めるように構成することも可能である。
【0066】
・ 防眩性ハードコート層形成用組成物に、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤などを含有させ、防眩性ハードコート層12に近赤外線吸収効果や紫外線吸収効果を発揮させることもできる。
【0067】
・ 透明基材フィルム11の防眩性ハードコート層12が形成されていない面に粘着剤層を形成し、ディスプレイへの貼着を容易に行うことができるように構成することも可能である。
【0068】
・ 前記バインダーを形成する活性エネルギー線硬化型樹脂に、カルボキシル基、アミノ基などを有する単量体を配合し、透明基材フィルム11に対する防眩性ハードコート層12の密着性を向上させるように構成することもできる。
【0069】
・ 防眩性ハードコート層12上に、ぎらつき防止層や近赤外線吸収層などを積層することもできる。
さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
【0070】
・ 前記透光性有機微粒子は、(メタ)アクリル系樹脂の架橋物であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防眩性積層体。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、防眩性ハードコート層の強度、硬度などの物性を一層向上させることができる。
【0071】
・ 前記無機ナノ微粒子は、コロイダルシリカであることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防眩性積層体。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、透光性有機微粒子を表面に浮上させて防眩性を向上させることができると共に、屈折率の調整を容易に行うことができる。
【0072】
・ 前記バインダーを構成する活性エネルギー線硬化型樹脂は、(メタ)アクリロイル基を3〜8個有する多官能(メタ)アクリル系樹脂であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防眩性積層体。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、防眩性ハードコート層の強度、硬度などの物性を向上させることができる。
【0073】
・ 前記表面調整剤は、有機変性ポリシロキサンよりなることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防眩性積層体。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、防眩性ハードコート層形成用組成物の表面張力を抑えることができ、透明基材フィルムに対するはじきを抑制することができる。
【0074】
・ 前記バインダーは、希釈溶剤を含有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防眩性積層体。このように構成した場合、請求項1から請求項4のいずれかに係る発明の効果に加えて、防眩性ハードコート層形成用組成物における各成分の混合性を高めることができると共に、防眩性ハードコート層形成用組成物の塗工性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施形態における防眩性積層体を示す断面図。
【図2】防眩性ハードコート層上に減反射層が積層されている防眩性積層体を示す断面図。
【符号の説明】
【0076】
10…防眩性積層体、11…透明基材フィルム、12…防眩性ハードコート層、13…減反射層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材フィルム上に防眩性ハードコート層を積層した防眩性積層体であって、前記防眩性ハードコート層は、活性エネルギー線硬化型樹脂及び光重合開始剤を含むバインダーと、透光性有機微粒子と、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシランカップリング剤によって表面が変性され、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.1である無機ナノ微粒子と、変性ポリシロキサン又は(メタ)アクリル重合体よりなる表面調整剤とを含有する防眩性ハードコート層形成用組成物を硬化して形成されるものであることを特徴とする防眩性積層体。
【請求項2】
前記透光性有機微粒子は平均粒子径が1〜20μmであり、バインダーの硬化物との屈折率差が0〜0.05であると共に、無機ナノ微粒子は平均粒子径が1〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の防眩性積層体。
【請求項3】
透光性有機微粒子は(メタ)アクリル系樹脂又はその架橋物であると共に、無機ナノ微粒子はシリカ微粒子であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の防眩性積層体。
【請求項4】
前記防眩性ハードコート層上に、5°正反射での可視光線領域における反射率が最小値となる最小反射率波長が450〜560nmの範囲になるよう形成された減反射層をさらに積層したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の防眩性積層体。
【請求項5】
画像を表示する側の最表面に請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の防眩性積層体を備えていることを特徴とするディスプレイ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−204728(P2009−204728A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44819(P2008−44819)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000004341)日油株式会社 (896)
【Fターム(参考)】