説明

防音材料

【課題】 国内で排出される藁・籾殻・鋸屑・古紙をリサイクル原料として有効活用でき、しかも使用後は焼却処分できる防音材料を提供する。
【解決手段】 藁・籾殻・鋸屑・古紙を組み合わせた原料と、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン・アクリル系共重合樹脂エマルジョン又はスチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)等の固化材を所定の割合で混練する。原料には吸音を目的にパーライト又はセメント混和用軽量骨材を組み合わせてもよい。固化材とこれらを混練して得た防音材料を所定の厚さに吹き付けたり、型枠に流し込んで所要の形状に成形して用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防音材料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の防音材料としては、ポリエステル等の合成繊維をニードルパンチ処理した繊維系の防音材料(例えば特許文献1参照)や、ポリウレタンフォーム等の発泡樹脂系の防音材料(例えば特許文献2参照)などが知られている。これらの防音材料は、いずれも石油系の原料から製造されるものであるから、使用後は産業廃棄物となり、環境に負荷を与えるとともに、原料も海外に依存してしまう問題があった。
【特許文献1】特開2004−84077号公報
【特許文献2】特開2006−195055号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、国内で排出される藁・籾殻・鋸屑・古紙をリサイクル原料として有効活用でき、しかも使用後は焼却処分できる防音材料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 藁・籾殻・鋸屑又は古紙あるいはそれらを組み合わせた原料と固化材とを所定の割合で混練した、防音材料
2) 原料にパーライト又はセメント混和用軽量骨材を所定量組み合わせた、前記1)記載の防音材料
3) 原料が、藁・籾殻・鋸屑及び古紙を組み合わせたものである、前記1)記載の防音材料
4) 原料が、藁・籾殻・鋸屑・古紙及びパーライト又はセメント混和用軽量骨材を組み合わせた、前記1)又は2)記載の防音材料
5) 固化材は、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン・アクリル系共重合樹脂エマルジョン又はスチレン・ブタジエン・ラバーである、前記1)〜4)いずれか記載の防音材料
にある。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、国内で排出される藁・籾殻・鋸屑・古紙をリサイクル原料として利用するから、資源の有効活用ができ、原料を海外に依存しない。また、原料はほとんどが天然素材であるから、使用後は焼却処分でき、環境に与える負荷を軽減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明では、原料の藁・籾殻・鋸屑又は古紙あるいはそれらを所定の割合で組み合わせる。原料には吸音を目的にパーライト又はセメント混和用軽量骨材を所定量組み合わせることができる。各原料は等容積組み合わせるのが実用的であるが、使用目的(防音・断熱等)、用途(壁・天井・床)等に応じて各原料を増減してもよい。籾殻はそのまま使用できるが、藁・鋸屑・古紙は2〜5mm程度となるように予め粉砕して用いるのが望ましい。
【0007】
固化材は原料同士を付着させて吹き付け時に所定厚さの層を形成、又はマット状など所要の形状に成形できるようにするためのものである。混合割合は組み合わせられる各原料と等容積が一般的であるが、防音材料の使用形態に応じて増減してもよい。固化材としてはエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン・アクリル系共重合樹脂エマルジョン又はスチレン・ブタジエン・ラバー(SBR)等が用いられる。得られた防音材料は、所定の厚さに吹き付けて層を形成したり、型枠に流し込んで所要の形状に成形することで利用される。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0008】
図1〜3及び表1,2に示す実施例は、本発明の防音材料を試験室の内面に吹き付けて防音層を施工し、試験室内で発生させた音を試験室外で計測して騒音レベル(A特性による音圧レベル)を試験した例である。図1は実施例の試験概要図、図2は実施例のレベルレコーダチャート、図3の比較例のレベルレコーダチャートである。図中、1は試験室、1aは扉、2は防音層、3は音源、4はマイクロフォン、5は騒音計、6はレベルレコーダである。
【0009】
本実施例の防音材料の配合割合を以下の表1に示す。固化材としてエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンを用いた。
【0010】
【表1】

【0011】
図1に示すように、内寸900×900×900mmの試験室1の扉1aを除く内側5面に本実施例の防音材料を吹き付けて約30mm厚の防音層2を施工したものと、比較例として未施工のものを準備した。試験については、試験室1からおよそ30cm離れた位置にマイクロフォン4を設置し、試験室1内で音源3から周期的に音を発生させ、レベルレコーダ6と騒音計5の指示値の最大値を読み取った。騒音計5はNL−21(リオン株式会社製)、レベルレコーダ6はLR−20(リオン株式会社製)を用いた。試験結果を以下の表2に示す。
【0012】
【表2】

【0013】
本実施例の防音材料を施工したものは47dB(図2に示すレベルレコーダチャートを参照)、未施工のものは55dB(図3に示すレベルレコーダチャートを参照)の値が計測された。このように、防音材料を施工したものと未施工のものとでは8dBの差が確認され、防音効果があることが認められた。また、本発明の防音材料は保温性も有しており、断熱材料としても期待できる。
【産業上の利用可能性】
【0014】
本発明の防音材料の用途としては、体育館・教室・一般家庭・事務所・工場・遊技場・射撃場等の建物の壁・天井・床に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施例の試験概要図である。
【図2】実施例のレベルレコーダチャートである。
【図3】比較例のレベルレコーダチャートである。
【符号の説明】
【0016】
1 試験室
1a 扉
2 防音層
3 音源
4 マイクロフォン
5 騒音計
6 レベルレコーダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
藁・籾殻・鋸屑又は古紙あるいはそれらを組み合わせた原料と固化材とを所定の割合で混練した、防音材料。
【請求項2】
原料にパーライト又はセメント混和用軽量骨材を所定量組み合わせた、請求項1記載の防音材料。
【請求項3】
原料が、藁・籾殻・鋸屑及び古紙を組み合わせたものである、請求項1記載の防音材料。
【請求項4】
原料が、藁・籾殻・鋸屑・古紙及びパーライト又はセメント混和用軽量骨材を組み合わせたものである、請求項1又は2記載の防音材料。
【請求項5】
固化材は、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン・アクリル系共重合樹脂エマルジョン又はスチレン・ブタジエン・ラバーである、請求項1〜4いずれか記載の防音材料。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−285872(P2008−285872A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−131245(P2007−131245)
【出願日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【出願人】(592135199)安部ガナイト工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】