説明

除害装置

【課題】 排気ガスの除害率の測定を繰り返し行う場合において、測定作業効率を向上させるとともに、大気中に排気ガスが漏れることを抑えることができる除害装置を提供する。
【解決手段】 除害装置13は、排気ガス17を除害する除害ユニット18を有し、CVD装置12と除害ユニット18とが接続された第1排気管20と、除害ユニット18によって除害された排気ガス17aを大気中に排出する第2排気管21とが接続されている。更に、除害装置13は、排気ガス17,17aの除害率を測定すべく、第1排気管20及び第2排気管21と継続的に接続されたサンプリングユニット19を有する。除害装置13の筐体の側面には、サンプリングユニット19と除害装置13の外部にある赤外分光解析装置14と接続可能な第1サンプリングポート35、第2サンプリングポート36、第1パージポート37、第2パージポート38が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子または液晶表示素子を製造するときに、製造装置から排出される排気ガスに含まれる温室効果ガスを除去する除害装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記した除害装置101は、例えば、図4に示すように、CVD(Chemical Vapor Deposition)装置102に接続されており、CVD装置102のチャンバ103内で発生した排気ガス104から有害ガスの除去を行っている。除害装置101には、排気ガス104を除害する除害ユニット105が備えられているとともに、除害ユニット105によって排気ガス104に含まれる有害ガス(温室効果ガス)がどの程度除害されたか(除害率)を測定するための、例えば、特許文献1に記載のような、フーリエ変換赤外分光光度計(FTIR:Fourier Transform Infra Redspectrophotometer、以下「赤外分光解析装置」という。)106が接続されている。
【0003】
詳しくは、CVD装置102から除害装置101に繋がる第1配管111に第1ポート121を設置し、除害装置101から大気に繋がる第2配管112に第2ポート122及び第3ポート123を設置する。
第1ポート121は、除害する前の排気ガス104を取得するために用いられ、第3配管113及び第5配管115を介して赤外分光解析装置106と接続される。第2ポート122は、除害したあとの排気ガス104aを取得するために用いられ、第4配管114及び第5配管115を介して赤外分光解析装置106と接続される。第3ポート123は、測定後の排気ガス104,104aを第2配管112に戻すために用いられ、第6配管116を介して赤外分光解析装置106と接続される。また、赤外分光解析装置106には、コンピュータ107が接続されており、コンピュータ107によって除害ユニット105前後の温室効果ガスの濃度やガスの流量から除害率が求められるようになっている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−228583号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、除害率の測定をする度に、第1〜第3ポート121〜123に、第3〜第6配管113〜116をそれぞれ接続するとともに、第5配管115及び第6配管116と赤外分光解析装置106とを接続したりしなければならず、測定すべく接続作業に時間を要し、作業効率が悪いという問題があった。
加えて、除害率を測定する度に、各配管の接続部(第1〜第3ポート121〜123など)において、配管の接続及び取り外しを行わなければならず、これを繰り返すことにより各接続部が劣化し、これにより、気密性が保たれないという問題があった。その結果、劣化した接続部から排気ガスが大気中に漏れる恐れがあった。
【0006】
本発明は、排気ガスの除害率の測定を繰り返し行う場合において、測定作業効率を向上させるとともに、大気中に排気ガスが漏れることを抑えることができる除害装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る除害装置は、排気ガスを除害すべく除害部を有する除害装置であって、前記除害装置の外部にある前記排気ガスを分析する分析装置によって、前記除害部で前記排気ガスを除害する前の第1排気ガス、及び、前記除害部で前記排気ガスを除害した後の第2排気ガスの分析をすべく、前記除害装置内に設けられた前記第1排気ガス及び前記第2排気ガスを取得することが可能な継続的に接続された配管と、前記配管と継続的に接続され、前記分析装置と接続可能な状態で前記除害装置に設けられたサンプリングポートと、を有する。
【0008】
この構成によれば、除害装置に設けられたサンプリングポートによって、サンプリングポートと継続的に接続された配管を介して、分析すべく第1排気ガス及び第2排気ガスを取得することが可能となるので、分析装置とサンプリングポートとを接続するだけで、第1排気ガス及び第2排気ガスの分析をすることができる。よって、排気ガスの分析をする度に、除害部に送られる除害する前の排気ガスが流れる管、及び、除害部から排出される除害後の排気ガスが流れる管、に接続する作業を必要とせずに排気ガスの分析を行うことが可能となる。これにより、排気ガスを分析する際の接続作業が簡単になり、接続準備に時間をかけることなく、分析作業の効率を向上させることができる。
【0009】
本発明に係る除害装置の除害部は、前記除害装置の外部にある前記排気ガスの発生源から前記第1排気ガスを吸引するための第1ガス排気管と、前記除害部から前記第2排気ガスを前記除害装置の外部の大気中に放出するための第2ガス排気管とが接続されており、前記配管は、前記第1排気ガスを取得することが可能な、前記除害装置内における前記第1ガス排気管と第1接続部を介して接続された第1配管と、前記第2排気ガスを取得することが可能な、前記除害装置内における前記第2ガス排気管と第2接続部を介して接続された第2配管と、を有することが望ましい。
【0010】
この構成によれば、第1接続部によって第1ガス排気管と第1配管が継続的に接続されているとともに、第2接続部によって第2ガス排気管と第2配管が継続的に接続されているので、排気ガスの分析をする度に、第1接続部及び第2接続部を接続することがなくなり、第1接続部及び第2接続部が劣化することを防ぐことが可能となる。これにより、第1接続部及び第2接続部の気密性を維持することができる。その結果、排気ガスが大気中に漏れることを抑えることができ、温暖化(環境)に配慮することができる。
加えて、第1配管及び第2配管を設けることにより、第1排気ガスと第2排気ガスとを別々に取得することが可能となり、分析装置によってそれぞれの排気ガスを分析比較することができる。
【0011】
本発明に係る除害装置は、前記分析装置で分析に用いた前記第1排気ガス及び前記第2排気ガスを前記除害装置に戻すべく、前記除害部と継続的に接続された第3配管を介して接続される、前記分析装置と接続可能な状態で前記除害装置に設けられた除害ポートを更に有することが望ましい。
【0012】
本発明に係る除害装置は、前記第1接続部及び前記第2接続部を含む配管同士を接続する接続部が、メタルガスケットによって接続されている。
【0013】
この構成によれば、メタルガスケットによって、各接続部が接続されているので、良好なシール特性を得ることが可能となり、排気ガスが大気中に漏れることを抑えることができる。加えて、メタルガスケットによって接続された接続部が、継続的に接続された状態であるので、接続部が劣化することを防ぐことができる。
【0014】
本発明に係る除害装置と接続される前記分析装置は、前記排気ガスの除害率を測定する赤外分光解析装置であることが望ましい。
【0015】
この構成によれば、赤外分光解析装置を除害装置に設けられたサンプリングポートと接続することにより、排気ガスの除害率を測定することが可能となり、除害率の測定をするとき、接続作業が簡単に済むとともに時間をかけずに除害率の測定を行うことができる。加えて、測定の準備に時間をかけないことから、赤外分光解析装置と例えばコンピュータとを複数の除害装置に持ち回りで使用させることができる。
【0016】
本発明に係る除害装置は、前記除害装置の内部が大気圧以下の圧力状態になっていることが望ましい。
【0017】
この構成によれば、除害装置の中が大気圧以下の圧力になっていることから、除害装置の中の配管の接続部から排気ガス(温室効果ガス)が漏れたとしても、除害装置から外部(即ち大気中)に漏れることを防ぐことが可能となる。
【0018】
本発明に係る除害装置は、前記配管に、前記排気ガスの流量を設定及び調節するバルブ付き流量計と、ポンプ(ダイヤフラムポンプ)と、前記排気ガスの流れを開閉するバルブとが接続されていることが望ましい。
【0019】
この構成によれば、流量計を見ながら、バルブによって排気ガスの流量を調整するので、除害率の測定を、常に一定の測定条件下で行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る除害装置の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、除害システムの構成を示す模式図である。以下、除害システムの構成を、図1を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、除害システム11は、CVD装置12と、除害装置13と、分析装置である赤外分光解析装置(FTIR)14と、コンピュータ15とを有する。
【0023】
CVD装置12は、例えば、図示しない基板に膜を成膜するためのチャンバ(発生源)16を有する。チャンバ16内において膜を成膜するときに発生する第1排気ガスである排気ガス17は、SF6(六フッ化イオウ)、C2F6(六フッ化エチレン)、CHF3(三フッ化エチレン)、NF3(三フッ化窒素)、CF4(四フッ化炭素)などである。これらの排気ガス17は、地球の温暖化に影響を与える温室効果ガスと呼ばれている。
【0024】
除害装置13は、チャンバ16内で発生した排気ガス17から有害ガス(温室効果ガス)を、例えば、燃焼させて除去するために用いられる。また、除害装置13は、内部が真空(大気圧に対して負圧)状態になっており、除害部である除害ユニット18と、サンプリングユニット19とを有する。
【0025】
除害ユニット18は、排気ガス17から有害ガスを除去する部分である。除害ユニット18は、第1ガス排気管である第1排気管20を介してCVD装置12のチャンバ16内と接続されており、チャンバ16内の排気ガス17を吸引することが可能となっている。
また、除害ユニット18は、第2ガス排気管である第2排気管21を介して、除害装置13の外側の大気中に、無害化された第2排気ガスである排気ガス17aを放出することが可能となっている。
【0026】
サンプリングユニット19は、除害ユニット18の除害率を測定するために排気ガス17,17aを取得すべく、除害ユニット18と赤外分光解析装置14とを接続する配管、ポンプ、流量計、バルブ、ポートなどを有する。サンプリングユニット19は、第1配管である第1排気ガス導入ライン22を介して、除害する前の排気ガス17の一部を取得することが可能となっている。
また、サンプリングユニット19は、第2配管である第2排気ガス導入ライン23を介して、除害した後の排気ガス17aの一部を取得することが可能となっている。
また、サンプリングユニット19は、第3配管を構成するガス排出ライン24を介して、除害率の測定で用いたサンプリングのための排気ガス17,17aを第2排気管21に戻すことで、赤外分光解析装置14から除去することが可能となっている。
【0027】
赤外分光解析装置14は、フーリエ変換赤外分光光度計であり、例えば、排気ガス17に含まれる各成分の濃度を解析して、排気ガス17からどの位有害ガスが取り除かれたかを示す除害率を測定するために用いられる。赤外分光解析装置14は、サンプリングライン25を介して、サンプリングユニット19と接続されている。
【0028】
コンピュータ15は、排気ガス17の除害率を解析するために用いられる。赤外分光解析装置14によって排気ガス17に赤外線を照射したことにより、例えば、排気ガス17に含まれる各成分の波長の吸光度(吸収度)データを得ることができる。コンピュータ15は、このような方法を用いて、排気ガス17の除害する前と除害した後との吸光度データを基に比較することにより、排気ガス17の除害率を求めることができる。
【0029】
図2は、除害装置の構造を示す模式図である。以下、除害装置の構造を、図2を参照しながら説明する。サンプリングユニット19の詳細は、後述する図3において説明する。
【0030】
図2に示すように、除害装置13は、上記した除害ユニット18及びサンプリングユニット19と、第1接続部である第1排気ガスポート31と、第2接続部である第2排気ガスポート32と、排出ポート33と、パージガス導入管34と、第1サンプリングポート35と、除害ポートである第2サンプリングポート36と、第1パージポート37と、第2パージポート38とを有する。
【0031】
第1排気ガスポート31は、除害する前の排気ガス17の一部を、サンプリングユニット19を介して赤外分光解析装置14に供給するために用いられる。第1排気ガスポート31の接続には、例えば、メタルガスケットが用いられる。メタルガスケットによって、第1排気管20に第1排気ガス導入ライン22を継続的に接続(接続したままの状態)することにより、除害する前の排気ガス17の一部をサンプリングユニット19に送ることが可能となっている。
なお、メタルガスケットは、例えば、金属部品を挟み込んで接続するものであり、シール性(気密性)に優れているものの、抜き挿しに対して強くないため、早期に劣化し易いなどの特性をもっている。
【0032】
第2排気ガスポート32は、除害した後の排気ガス17aの一部を、サンプリングユニット19を介して赤外分光解析装置14に供給するために用いられる。第2排気ガスポート32の接続には、上記した第1排気ガスポート31と同様に、例えば、メタルガスケットが用いられる。メタルガスケットによって、第2排気管21に第2排気ガス導入ライン23を継続的に接続(接続したままの状態)することにより、除害した後の排気ガス17aをサンプリングユニット19に送ることが可能となっている。
【0033】
排出ポート33は、赤外分光解析装置14の測定に用いた排気ガス17,17aを、サンプリングユニット19を介して、大気中に排出するために用いられる。排出ポート33の接続には、上記した第1排気ガスポート31及び第2排気ガスポート32と同様に、例えば、メタルガスケットが用いられる。メタルガスケットによって、第2排気管21にガス排出ライン24を継続的に接続(接続したままの状態)することにより、測定に使用した排気ガス17,17aを、大気中に放出することが可能となっている。
【0034】
パージガス導入管34は、除害装置13と赤外分光解析装置14とを接続したときに、赤外分光解析装置14のセル外に入った大気を、パージガスによって第1パージライン43、第2パージライン44を介して、除害装置13の外側にパージ(追放)するために設けられている。加えて、パージガス導入管34は、除害率の測定時に温室効果ガスの濃度を調整すべく、第1サンプリングライン41及び第2サンプリングライン42を通じてパージガス(この場合は希釈用)を加えて流すために設けられている。パージガスは、例えば、窒素(N2)ガスである。
また、パージガス導入管34は、図示しないパージガス導入源に接続されており、パージガス導入源から送られたパージガスの導入量を調整するためのレギュレータ39が設けられている。
【0035】
第1サンプリングポート35は、測定に用いられる排気ガス17,17aを、除害装置13から赤外分光解析装置14に送るために用いられる。第1サンプリングポート35は、例えば、除害装置13の筐体の側面に、除害装置13の外側にある赤外分光解析装置14と接続可能な状態に設けられている。
また、第1サンプリングポート35は、サンプリングライン25の一つである第1サンプリングライン41を介して赤外分光解析装置14と接続される。つまり、排気ガス17,17aの除害率を測定するときに、第1サンプリングポート35に第1サンプリングライン41を接続することにより、除害率の測定に用いる排気ガス17,17aを、赤外分光解析装置14に供給することが可能となっている。第1サンプリングポート35において、サンプリングユニット19と第1サンプリングライン41とを接続するために、例えば、メタルガスケットが用いられる。
【0036】
第2サンプリングポート36は、赤外分光解析装置14の測定に用いた排気ガス17,17aを、赤外分光解析装置14から除害装置13に送るために用いられる。第2サンプリングポート36は、上記した第1サンプリングポート35と同様に、例えば、除害装置13の筐体の側面に、除害装置13の外側にある赤外分光解析装置14と接続可能な状態に設けられている。
また、第2サンプリングポート36は、サンプリングライン25の一つである第2サンプリングライン42を介して赤外分光解析装置14と接続される。つまり、排気ガス17,17aの除害率を測定するときに、第2サンプリングポート36に第2サンプリングライン42を接続することにより、赤外分光解析装置14によって除害率の測定に用いた排気ガス17,17aを、除害装置13に戻すことが可能となっている。第2サンプリングポート36において、サンプリングユニット19と第2サンプリングライン42とを接続するために、上記した第1サンプリングポート35と同様に、例えば、メタルガスケットが用いられる。
【0037】
第1パージポート37は、パージガス導入管34からサンプリングユニット19に導入されたパージガスを、赤外分光解析装置14に送るために用いられる。第1パージポート37は、上記した第1、第2サンプリングポート35,36と同様に、例えば、除害装置13の筐体の側面に、除害装置13の外側にある赤外分光解析装置14と接続可能な状態に設けられている。
また、第1パージポート37は、サンプリングライン25の一つである第1パージライン43を介して赤外分光解析装置14と接続される。つまり、排気ガス17,17aの除害率を測定するときに、第1パージポート37に第1パージライン43を接続することにより、パージガスを赤外分光解析装置14に供給することが可能となっている。第1パージポート37において、サンプリングユニット19と第1パージライン43とを接続するために、上記した第1、第2サンプリングポート35,36と同様に、例えば、メタルガスケットが用いられる。
【0038】
第2パージポート38は、赤外分光解析装置14(セル内)に送られたパージガスを、除害装置13に戻すために用いられる。第2パージポート38は、上記した第1サンプリングポート35、第2サンプリングポート36、第1パージポート37と同様に、例えば、除害装置13の筐体の側面に、除害装置13の外側にある赤外分光解析装置14と接続可能な状態に設けられている。
また、第2パージポート38は、サンプリングライン25の一つである第2パージライン44を介して、赤外分光解析装置14と接続される。つまり、排気ガス17,17aの除害率を測定するときに、第2パージポート38に第2パージライン44を接続することにより、セル内のパージガスを、除害装置13に戻すことが可能となっている。第2パージポート38において、サンプリングユニット19と第2パージライン44とを接続するために、上記した第1サンプリングポート35、第2サンプリングポート36、第1パージポート37と同様に、例えば、メタルガスケットが用いられる。
【0039】
図3は、サンプリングユニットの構成を示す模式詳細図である。以下、サンプリングユニットの構成を、図3を参照しながら説明する。
【0040】
図3に示すように、サンプリングユニット19は、第1配管及び第2配管を兼ねる排気ガス導入ライン51と、パージガス導入ライン52と、パージガス接続ライン53と、第3配管を構成する排気ガス排出ライン54と、パージガス排出ライン55とを有する。
【0041】
排気ガス導入ライン51は、除害前の排気ガス17又は除害後の排気ガス17aを赤外分光解析装置14に送るべく、第1排気ガス導入ライン22と第2排気ガス導入ライン23との接続部61と、第1サンプリングポート35との間に継続的(接続したままの状態)に接続されている。排気ガス導入ライン51には、排気ガス17,17aを導入又は遮断するための第1バルブ62が設けられている。接続部61には、メタルガスケットによって、第1排気ガス導入ライン22と、第2排気ガス導入ライン23と、排気ガス導入ライン51とが接続されている。
また、第1排気ガス導入ライン22には、除害前の排気ガス17を導入又は遮断するための第2バルブ63が設けられている。また、第2排気ガス導入ライン23には、除害後の排気ガス17aを導入又は遮断するための第3バルブ64が設けられている。
【0042】
パージガス導入ライン52は、パージガスを赤外分光解析装置14に送るべく、パージガス導入管34と第1パージポート37との間に、継続的(接続したままの状態)に接続されている。パージガス導入ライン52には、パージガスの導入量を設定及び測定するための第1流量計65と、パージガスを導入又は遮断するための第4バルブ66とが設けられている。
【0043】
また、パージガス導入管34には、パージガスを導入又は遮断するための第5バルブ67が設けられている。また、排気ガス導入ライン51及び第1サンプリングライン41の中で温室効果ガスの濃度調整をするべく、パージガス導入管34と排気ガス導入ライン51との間に、例えば、メタルガスケットによってパージガス接続ライン53が接続されている。パージガス接続ライン53には、パージガスの導入量を調整するための第3流量計68が設けられている。
【0044】
排気ガス排出ライン54は、赤外分光解析装置14で用いた排気ガス17,17aを除害ユニット18に送るべく、第2サンプリングポート36とガス排出ライン24との間に、継続的(接続したままの状態)に接続されている。また、排気ガス排出ライン54には、図示しないセル内に、排気ガス17,17aを吸引によって導入するためのダイヤフラムポンプ69と、吸引する排気ガス17,17aを設定及び測定するための第2流量計70と、吸引する排気ガス17,17aを導入又は遮断するための第7バルブ71とが設けられている。排気ガス17,17aの流量を、第2流量計70を見ながら調整して所定の流量にすることにより、一定の測定条件下で除害率の測定を行うことが可能となる。
【0045】
パージガス排出ライン55は、パージするために用いたパージガスを、赤外分光解析装置14から除害ユニット18に送るべく、第2パージポート38とガス排出ライン24との間に、継続的(接続したままの状態)に接続されている。なお、排気ガス排出ライン54と、パージガス排出ライン55と、ガス排出ライン24とを接続する接続部は、例えば、メタルガスケットによって接続されている。
また、パージガス排出ライン55には、パージガスを排出又は遮断するための第8バルブ72が設けられている。また、ガス排出ライン24には、排出する排気ガス17,17a及びパージガスの排出又は遮断するための第9バルブ73が設けられている。
【0046】
また、サンプリングユニット19は、除害率の測定を自動で行うことが可能となるように、例えば、予め定められた順序に従って動作するオートシーケンスが組み込まれている。これにより、各バルブ(バルブ62〜64,66,67,71〜73)やダイヤフラムポンプ69などが自動で動作するようになっている。更に、例えば、各バルブの開閉時間などの時間設定が可能になっている。以上のような構成により、赤外分光解析装置14にパージガスや排気ガス17,17aを自動で供給したり、赤外分光解析装置14から排気ガス17,17aを自動で排除したりすることができる。また、除害率の測定を自動化することにより、配管の接続ミスを防ぐことが可能となり、例えば、赤外分光解析装置14内のセルを破損させることを低減できる。
【0047】
以上のように、除害装置13に、第1サンプリングポート35、第2サンプリングポート36、第1パージポート37、第2パージポート38を設けるとともに、配管など(第1排気ガス導入ライン22、第2排気ガス導入ライン23、ガス排出ライン24、排気ガス導入ライン51、排気ガス排出ライン54、バルブ62〜64,66,67,71〜73、流量計65,68,70、及びダイヤフラムポンプ69などを含む)が継続的に接続されたサンプリングユニット19を収納したので、除害装置13の除害率を測定するとき、第1サンプリングポート35、第2サンプリングポート36、第1パージポート37、第2パージポート38に、赤外分光解析装置14と接続された第1サンプリングライン41、第2サンプリングライン42、第1パージライン43、第2パージライン44を、それぞれに接続するだけで測定することが可能となる。
更に、継続的に接続しておくことにより、各接続部を脱着したことによる接続部の疲労を軽減することが可能となる。
【0048】
以上詳述したように、本実施形態の除害装置によれば、以下に示す効果が得られる。
(1)本実施形態の除害装置によれば、除害装置13の中に、第1排気管20及び第2排気管21から排気ガス17,17aを取得するべく、第1排気管20及び第2排気管21と接続されたサンプリングユニット19を継続的に配置(接続した状態に)するとともに、除害装置13の筐体の側面に、サンプリングユニット19と接続された赤外分光解析装置14と接続することが可能な第1サンプリングポート35、第2サンプリングポート36、第1パージポート37、第2パージポート38を設けるので、除害率の測定をするとき、上記したポート35〜38と赤外分光解析装置14とを接続するだけで、除害率の測定を行うことが可能となる。よって、除害率の測定をする度に、第1排気管20及び第2排気管21に第1排気ガス導入ライン22及び第2排気ガス導入ライン23をそれぞれ接続したり、バルブ62〜64,66,67,71〜73などを接続したりする必要がなく、測定のための接続作業に時間をかけずに行うことができる。その結果、測定作業の効率を向上させることができる。
加えて、接続作業に時間がかからないことから、赤外分光解析装置14を複数の除害装置に持ち回りで使用させる(対応させる)ことができる。
【0049】
(2)本実施形態の除害装置によれば、第1排気ガスポート31によって第1排気管20と第1排気ガス導入ライン22及びサンプリングユニット19とが継続的に接続されているとともに、第2排気ガスポート32によって第2排気管21と第2排気ガス導入ライン23及びサンプリングユニット19とが継続的に接続されているので、除害率の測定をする度に、第1排気ガスポート31及び第2排気ガスポート32を接続することがなくなり、第1排気ガスポート31及び第2排気ガスポート32の劣化を防ぐことが可能となる(排出ポート33も同様)。これにより、第1排気ガスポート31及び第2排気ガスポート32の気密性を維持することができる。その結果、排気ガス17,17aが大気中に漏れることを抑えることができ、温暖化(環境)に配慮することができる。
更に、各配管を継続的に接続した状態にしてあるので、各配管の接続ミスを防ぐことができる。例えば、接続ミスにより、通常負圧の状態である赤外分光解析装置14にパージガスなどの陽圧を直接加えてしまうことによる、赤外分光解析装置14を破損することを防止することができる。
【0050】
(3)本実施形態の除害装置によれば、各配管の接続部(第1排気ガスポート31、第2排気ガスポート32、排出ポート33など)にメタルガスケットを用いているので、良好なシール特性(高い信頼性)を得ることが可能となる。これにより、排気ガス17,17aが大気中に漏れることを抑えることができる。
【0051】
(4)本実施形態の除害装置によれば、除害装置13の中に、除害率を測定するための各配管(第1排気ガス導入ライン22及び第2排気ガス導入ライン23、ガス排出ライン24、排気ガス導入ライン51、排気ガス排出ライン54など)や、流量計65,68,70、バルブ62〜64,66,67,71〜73などを、サンプリングユニット19として除害装置13の中に収納したので、除害率を測定するとき、測定者の邪魔になるものを減らすことが可能となり、除害率を測定するときの作業性を向上させることができる。
【0052】
(5)本実施形態の除害装置によれば、第1排気ガスポート31及び第2排気ガスポート32を設けたことにより、除害率測定を行う際の排気ガス17,17aを取得する位置を、常に決まった位置にすることができる。よって、除害率の測定を、常に一定の測定条件下で行うことができる。
【0053】
なお、本実施形態は上記に限定されず、以下のような形態で実施することもできる。
(変形例1)上記したように、除害装置13は、排気ガス17から有害ガスを燃焼によって除去していることに限定されず、例えば、ヒータ式の除害装置や吸着式の除害装置などによって除去するようにしてもよい。
【0054】
(変形例2)上記したように、除害率の測定に使用した排気ガス17,17aを除害装置13の中に戻す場所は、第2排気管21ではなく、第1排気管20における第1排気ガスポート31と除害ユニット18との間に戻すようにしてもよい。これによれば、測定に使用した排気ガス17,17aから有害ガスを除去してから大気中に放出することができる。
【0055】
(変形例3)上記したように、排気ガス導入ライン51によって、除害率の測定に使用する二つの排気ガス17,17aを赤外分光解析装置14に送っていることに代えて、それぞれの排気ガス17,17a毎に配管を設け、別々に赤外分光解析装置14に送るようにしてもよい。更に、赤外分光解析装置14から除害装置13に排気ガス17,17aを戻すときも、それぞれ別々の配管によって排気ガス17,17aを戻すようにしてもよい。これによれば、測定したあとの排気ガス17,17aを大気中に放出するとき、除害していない排気ガス17のみ除害ユニット18に戻すことで、有害ガスを除去することができる。
【0056】
(変形例4)上記したように、除害率の測定をオートシーケンスによって自動で行うようにすることに代えて、手動で除害率の測定を行うようにしてもよい。これによれば、各バルブの開閉(調整)を手動で行ったとしても、予め、除害率を測定すべく各配管が接続されているので、測定するための作業効率を上げることが可能となる。
【0057】
(変形例5)上記したように、排気ガス17,17aを発生させる装置はCVD装置12に限定されず、排気ガスを発生させる装置であればよく、その装置に本発明の除害装置を適用することで、安全性を高めるとともに作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】一実施形態における、除害システムの構成を示す模式図。
【図2】除害装置の構造を示す模式図。
【図3】サンプリングユニットの構造を示す模式図。
【図4】従来の除害システムの構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0059】
11…除害システム、12…CVD装置、13…除害装置、14…赤外分光解析装置(FTIR)、15…コンピュータ、16…チャンバ、17,17a…排気ガス、18…除害ユニット、19…サンプリングユニット、20…第1ガス排気管である第1排気管、21…第2ガス排気管である第2排気管、22…第1配管である第1排気ガス導入ライン、23…第2配管である第2排気ガス導入ライン、24…第3配管を構成するガス排出ライン、25…サンプリングライン、31…第1接続部である第1排気ガスポート、32…第2接続部である第2排気ガスポート、33…排出ポート、34…パージガス導入管、35…第1サンプリングポート、36…除害ポートである第2サンプリングポート、37…第1パージポート、38…第2パージポート、39…レギュレータ、41…第1サンプリングライン、42…第2サンプリングライン、43…第1パージライン、44…第2パージライン、51…第1配管及び第2配管を兼ねる排気ガス導入ライン、52…パージガス導入ライン、53…パージガス接続ライン、54…第3配管を構成する排気ガス排出ライン、55…パージガス排出ライン、61…接続部、62…第1バルブ、63…第2バルブ、64…第3バルブ、65…第1流量計、66…第4バルブ、67…第5バルブ、68…第3流量計、69…ダイヤフラムポンプ、70…第2流量計、71…第7バルブ、72…第8バルブ、73…第9バルブ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガスを除害すべく除害部を有する除害装置であって、
前記除害装置の外部にある前記排気ガスを分析する分析装置によって、前記除害部で前記排気ガスを除害する前の第1排気ガス、及び、前記除害部で前記排気ガスを除害した後の第2排気ガスの分析をすべく、前記除害装置内に設けられた前記第1排気ガス及び前記第2排気ガスを取得することが可能な継続的に接続された配管と、
前記配管と継続的に接続され、前記分析装置と接続可能な状態で前記除害装置に設けられたサンプリングポートと、
を有することを特徴とする除害装置。
【請求項2】
請求項1に記載の除害装置であって、
前記除害部は、前記除害装置の外部にある前記排気ガスの発生源から前記第1排気ガスを吸引するための第1ガス排気管と、前記除害部から前記第2排気ガスを前記除害装置の外部の大気中に放出するための第2ガス排気管とが接続されており、
前記配管は、前記第1排気ガスを取得することが可能な、前記除害装置内における前記第1ガス排気管と第1接続部を介して接続された第1配管と、
前記第2排気ガスを取得することが可能な、前記除害装置内における前記第2ガス排気管と第2接続部を介して接続された第2配管と、
を有することを特徴とする除害装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の除害装置であって、
前記分析装置で分析に用いた前記第1排気ガス及び前記第2排気ガスを前記除害装置に戻すべく、前記除害部と継続的に接続された第3配管を介して接続される、前記分析装置と接続可能な状態で前記除害装置に設けられた除害ポートを更に有することを特徴とする除害装置。
【請求項4】
請求項2又は3に記載の除害装置であって、
前記第1接続部及び前記第2接続部を含む配管同士を接続する接続部は、メタルガスケットによって接続されていることを特徴とする除害装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の除害装置であって、
前記分析装置は、前記排気ガスの除害率を測定する赤外分光解析装置であることを特徴とする除害装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の除害装置であって、
前記除害装置の内部が大気圧以下の圧力状態になっていることを特徴とする除害装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の除害装置であって、
前記配管は、前記排気ガスの流量を設定及び調節するバルブ付き流量計と、ポンプと、前記排気ガスの流れを開閉するバルブとが接続されていることを特徴とする除害装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−75756(P2007−75756A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−268125(P2005−268125)
【出願日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】