説明

除振装置および精密ステージ装置

【課題】鉛直方向および水平方向の両方の床振動を有効に除振することが可能な除振装置を提供する。
【解決手段】この除振装置100は、鉛直方向の床振動を除振する鉛直方向除振機構2と、鉛直方向除振機構2とは独立して設けられた振り子312を含み、振り子312の復元力を用いて水平方向の床振動を除振する水平方向除振機構3とを備え、鉛直方向除振機構2および振り子312を含む水平方向除振機構3は、それぞれの除振動作時に除振方向の力成分が他の除振方向の力成分に対して影響を与えないように構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除振装置および精密ステージ装置に関し、特に、鉛直方向および水平方向の両方の振動を除振する除振装置および精密ステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉛直方向および水平方向の両方の振動を除振する除振装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、鉛直方向の振動を除振する鉛直方向除振機構と、水平方向の振動を除振する水平方向除振機構とを備えた除振装置が開示されている。鉛直方向除振機構は、コイルバネおよび空気バネを含み、水平方向除振機構は、底部を有する筒状のピストンウェルおよび鉛直方向に延びる柱状のサポートロッドを含んでいる。この除振装置では、定盤を柱状のサポートロッドの球面状の上端部で支持するとともに、サポートロッドの下端部が筒状のピストンウェルの内部で底部により傾斜可能に支持されている。また、床面が水平方向に振動する場合には、サポートロッドを支持するピストンウェルは揺動されるとともに、柱状のサポートロッドは鉛直方向に対して傾斜するように構成されており、定盤と床面とが相対変位される。そして、上記特許文献1の除振装置では、この揺動されたピストンウェルおよび傾斜されたサポートロッドの復元力により、床面の水平方向の振動を除振するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−168240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の除振装置では、床面が水平方向に振動する場合に、揺動されたピストンウェルおよび傾斜されたサポートロッドの復元力により、床面の水平方向の振動を除振可能である一方、サポートロッドを支持するピストンウェルの揺動およびサポートロッドの傾斜に伴って、サポートロッドの上端部で支持された定盤の鉛直方向の位置(高さ位置)が変動してしまうという不都合がある。このため、上記特許文献1の除振装置では、水平方向の除振に際して定盤が鉛直方向に移動されてしまい、鉛直方向および水平方向の両方の床振動を有効に除振することができないという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、鉛直方向および水平方向の両方の床振動を有効に除振することが可能な除振装置および精密ステージ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面における除振装置は、鉛直方向の床振動を除振する鉛直方向除振機構と、鉛直方向除振機構とは独立して設けられた振り子を含み、振り子の復元力を用いて水平方向の床振動を除振する水平方向除振機構とを備え、鉛直方向除振機構および振り子を含む水平方向除振機構は、それぞれの除振動作時に除振方向の力成分が他の除振方向の力成分に対して影響を与えないように構成されている。
【0008】
この発明の第1の局面による除振装置では、上記のように、鉛直方向除振機構および振り子を含む水平方向除振機構を、それぞれの除振動作時に除振方向の力成分が他の除振方向の力成分に対して影響を与えないように構成することによって、鉛直方向除振機構による鉛直方向の除振に際して定盤(被支持体)が水平方向に移動されないとともに、水平方向除振機構による水平方向の除振に際して定盤(被支持体)が鉛直方向に移動されないので、鉛直方向除振機構および水平方向除振機構により、鉛直方向および水平方向の両方の床振動を有効に除振することができる。また、水平方向除振機構として鉛直方向除振機構とは独立して設けられた振り子を用いることによって、鉛直方向除振機構の除振動作時の除振方向の力成分には影響を与えない水平方向除振機構を構成することができる。
【0009】
上記第1の局面による除振装置において、好ましくは、鉛直方向除振機構は、床側に配置されており、水平方向除振機構の振り子の回動軸は、床とは反対側に配置されているとともに、振り子の腕部は、鉛直方向除振機構の側方の外側に鉛直方向除振機構と高さ位置が重複するように配置されている。このように構成すれば、水平方向除振機構の振り子の腕部を鉛直方向除振機構の高さ位置とは異なる高さ位置に配置する場合に比べて、除振装置の鉛直方向の大きさ(高さ)を小さく抑えることができるので、その分、除振装置の小型化を図ることができる。また、振り子の腕部を鉛直方向除振機構と高さ位置が重複するように設けることによって、振り子の腕部の長さを大きくした場合にも、除振装置の高さを小さくすることができる。これにより、振り子の腕部の長さを十分に確保した上で除振装置の小型化を図ることができるので、水平方向の除振機能を十分に確保しながら除振装置の小型化を図ることができる。
【0010】
上記第1の局面による除振装置において、好ましくは、鉛直方向除振機構は、1つ設けられており、振り子を含む水平方向除振機構は、水平面内で直交する2つの軸にそれぞれ1つずつ設けられており、1つの鉛直方向除振機構と、2つの水平方向除振機構とにより、3軸の除振を行うように構成されている。このように構成すれば、1つの鉛直方向除振機構および2つの水平方向除振機構により、互いに直交する3軸の除振を行うことができるので、鉛直方向および水平方向の全ての方向の床振動に対応することができる。
【0011】
上記第1の局面による除振装置において、好ましくは、鉛直方向除振機構は、振り子を含む水平方向除振機構とは独立して設けられた第1バネ部材を含むとともに、少なくとも第1バネ部材による復元力を用いて鉛直方向の床振動を除振するように構成されている。このように構成すれば、第1バネ部材を用いた簡易な構成により、鉛直方向の床振動を容易に除振することができる。また、水平方向除振機構とは独立して設けられた第1バネ部材による鉛直方向除振機構と、鉛直方向除振機構とは独立して設けられた振り子による水平方向除振機構との組み合わせにより、容易に、互いに影響を与えない水平方向除振機構および鉛直方向除振機構を得ることができる。
【0012】
この場合、好ましくは、鉛直方向除振機構は、第1バネ部材に加えて減衰力を発生させるためのオリフィスをさらに含み、第1バネ部材による復元力およびオリフィスによる減衰力を用いて鉛直方向の床振動を除振するように構成されている。このように構成すれば、鉛直方向の除振時に、第1バネ部材の復元力に加えてオリフィスによる減衰力が働くので、鉛直方向の床振動を迅速に除振することができる。
【0013】
上記鉛直方向除振機構が第1バネ部材を含む構成において、好ましくは、第1バネ部材は、バネ定数を変化可能に構成されており、鉛直方向除振機構は、バネ定数を変化可能な第1バネ部材による復元力を用いて鉛直方向の床振動を除振するように構成されている。このように構成すれば、第1バネ部材により支持する荷重が変化した場合でも、バネ定数を変化させることにより共振周波数が変化するのを抑制することができるので、鉛直方向の床振動を効果的に除振することができる。
【0014】
上記バネ定数を変化可能な構成において、好ましくは、鉛直方向除振機構は、第1バネ部材のバネ定数を変化させるアクチュエータを含む。このように構成すれば、アクチュエータにより、第1バネ部材により支持する荷重の変化に応じて容易に第1バネ部材のバネ定数を変化させることができる。
【0015】
上記鉛直方向除振機構がアクチュエータを含む構成において、好ましくは、鉛直方向除振機構は、複数の異なるバネ定数を有する第1バネ部材と、複数の第1バネ部材をそれぞれ移動させる複数のアクチュエータと、第1バネ部材により支持する荷重を検出する荷重センサと、荷重センサの検出結果に基づいて、複数の第1バネ部材の中から検出された荷重に対応するバネ定数の第1バネ部材を単体または複数の組み合わせで選択し、選択された第1バネ部材をアクチュエータにより作動位置に移動させるように制御する制御部とを含む。このように構成すれば、作動させる第1バネ部材を、複数の第1バネ部材の中から単体または複数の組み合わせで幅広く選択することができるので、第1バネ部材により支持する荷重に対してより適したバネ定数に調整することができる。これにより、鉛直方向の床振動をより効果的に除振することができる。
【0016】
上記鉛直方向除振機構が複数の異なるバネ定数を有する第1バネ部材を含む構成において、好ましくは、鉛直方向除振機構の制御部は、荷重センサの検出結果と所望の共振周波数とに基づいて、バネ定数と第1バネ部材の縮み量とを算出するとともに、算出した第1バネ部材の縮み量に基づいて、選択された第1バネ部材を移動させるアクチュエータのストローク量を調整するように構成されている。このように構成すれば、制御部により、荷重センサの検出結果と所望の共振周波数とに基づいて、第1バネ部材のバネ定数および縮み量を精度よく算出することができるので、選択された第1バネ部材が所定の縮み量になるようにアクチュエータのストローク量を調整して鉛直方向の床振動をさらに効果的に除振することができる。また、第1バネ部材の縮み量が変化する場合でも、縮み量の変化分に基づいてアクチュエータのストローク量を調整することによって、支持する定盤(被支持体)の鉛直方向の位置(高さ位置)が変動されないようにすることができる。
【0017】
上記第1の局面による除振装置において、好ましくは、水平方向除振機構は、所定の間隔を隔てて対向するように配置された第1水平テーブルおよび第2水平テーブルと、第1水平テーブルと第2水平テーブルとの間に配置され、第1水平テーブルと第2水平テーブルとを水平方向に相対変位させるとともに、振り子の腕部が取り付けられることにより振り子の回動軸になる丸軸部とを含む。このように構成すれば、水平方向の床振動が生じた場合に、第1水平テーブルと第2水平テーブルとが水平方向に相対変位するのに伴って振り子の回動軸となる丸軸部が回動されるので、この回動により振り子の腕部が振られる(回動される)。これにより、この振り子の復元力を用いて水平方向の床振動を容易に除振することができる。
【0018】
この場合、好ましくは、水平方向除振機構は、丸軸部を回転可能に支持するとともに、外周部に溝を有する軸受け部と、軸受け部の溝部に係合することにより軸受け部に支持される丸軸部の軸方向の移動を規制する移動規制部とをさらに含む。このように構成すれば、溝を有する軸受け部と移動規制部とにより丸軸部が軸方向にずれるのを防止することができるので、丸軸部の軸方向と直交する水平方向の振動成分をより確実に除振することができる。
【0019】
上記水平方向除振機構が振り子の回動軸になる丸軸部を含む構成において、好ましくは、丸軸部は、第1水平テーブルに接触する第1の直径を有する第1部分と、第2水平テーブルに接触して支持するとともに、第1部分よりも小さい第2の直径を有する第2部分とを含む。このように構成すれば、水平方向の床振動に起因して第1水平テーブルと第2水平テーブルとが水平方向に相対変位する際に、第1の直径の第1部分に接触する第1水平テーブルの変位量(振幅)に対して、第1部分よりも小さい第2の直径を有する第2部分に接触して支持される第2水平テーブルの変位量(振幅)を小さくすることができる。これにより、水平方向の床振動が第1水平テーブルに伝達される場合に、第2水平テーブルの変位量(振幅)を小さくして水平方向の床振動を有効に除振することができる。
【0020】
上記丸軸部が第1部分と第2部分とを含む構成において、好ましくは、第2部分の第2の直径は、第1部分の第1の直径の1/2以下である。このように構成すれば、第2水平テーブルの変位量(振幅)を第1水平テーブルの変位量(振幅)の1/2以下にすることができるので、水平方向の床振動をより有効に除振することができる。
【0021】
上記丸軸部が第1部分と第2部分とを含む構成において、好ましくは、丸軸部は、第1の直径を有する第1部分と、第1部分よりも小さい第2の直径を有する第2部分とを含む段付きコロである。このように構成すれば、段付きコロにより、容易に、同一の回転中心線を有するとともに異なる直径を有する第1部分と第2部分とを設けることができる。
【0022】
上記第1の局面による除振装置において、好ましくは、水平方向除振機構は、所定の間隔を隔てて対向するように配置された第1水平テーブルおよび第2水平テーブルと、第1水平テーブルと第2水平テーブルとの間に配置され、第1水平テーブルと第2水平テーブルとを水平方向に相対変位させるリニアガイドとを含み、振り子の腕部は、第1水平テーブルおよび第2水平テーブルの相対変位に伴って回動するように構成されている。このように構成すれば、リニアガイドにより、第1水平テーブルと第2水平テーブルとが所定の方向以外の方向に位置ずれするのを規制することができるので、所定の方向の振動成分をより確実に除振することができる。
【0023】
上記第1の局面による除振装置において、好ましくは、水平方向除振機構は、所定の間隔を隔てて対向するように配置され、互いに水平方向に相対変位可能な第1水平テーブルおよび第2水平テーブルと、第2水平テーブルに取り付けられた第2バネ部材とを含み、振り子の腕部は、第2バネ部材を介して第2水平テーブルに連結されているとともに、第1水平テーブルおよび第2水平テーブルの水平方向の相対変位に伴って回動するように構成されている。このように構成すれば、振り子および第2バネ部材により、振り子のみで除振する場合に比べて、所定の周波数域において、水平方向の床振動をより有効に除振することができる。
【0024】
この場合、好ましくは、第2バネ部材の共振周波数が振り子の共振周波数よりも大きくなるように第2バネ部材のバネ定数が設定されている。このように構成すれば、振り子により水平方向の床振動を除振しながら、高い周波数域において、第2バネ部材により除振効果を高めることができる。
【0025】
上記第2バネ部材の共振周波数が振り子の共振周波数よりも大きい構成において、好ましくは、第2バネ部材の共振周波数が振り子の共振周波数の近傍の値となるように第2バネ部材のバネ定数が設定されている。このように構成すれば、振り子により除振効果が得られる振り子の共振周波数よりも高い周波数域と略同じ周波数域において、水平方向の床振動をより有効に除振することができる。
【0026】
この発明の第2の局面における精密ステージ装置は、鉛直方向の床振動を除振する鉛直方向除振機構と、鉛直方向除振機構とは独立して設けられた振り子を有し、振り子の復元力を用いて水平方向の床振動を除振する水平方向除振機構とを含む除振装置を備え、鉛直方向除振機構および振り子を有する水平方向除振機構は、それぞれの除振動作時に除振方向の力成分が他の除振方向の力成分に対して影響を与えないように構成されている。
【0027】
この発明の第2の局面による精密ステージ装置では、上記のように、鉛直方向除振機構および振り子を有する水平方向除振機構を、それぞれの除振動作時に除振方向の力成分が他の除振方向の力成分に対して影響を与えないように構成することによって、鉛直方向除振機構による鉛直方向の除振に際して定盤(被支持体)が水平方向に移動されないとともに、水平方向除振機構による水平方向の除振に際して定盤(被支持体)が鉛直方向に移動されないので、鉛直方向除振機構および水平方向除振機構により、鉛直方向および水平方向の両方の床振動を有効に除振することができる。また、この精密ステージ装置では、水平方向除振機構として鉛直方向除振機構とは独立して設けられた振り子を用いることによって、鉛直方向除振機構の除振動作時の除振方向の力成分には影響を与えない水平方向除振機構を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1実施形態による除振装置を適用した精密ステージ装置を示す概略斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態による除振装置を示す概略平面図である。
【図3】図2に示した第1実施形態による除振装置を示す概略側面図である。
【図4】図2に示した第1実施形態による除振装置の700−700線に沿った概略断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による除振装置を示す概略平面図である。
【図6】図5に示した第2実施形態による除振装置の800−800線に沿った部分断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態による除振装置のX方向除振部を示す概略側面図である。
【図8】本発明の第3実施形態による除振装置のバネ部材を示す概略図である。
【図9】本発明の第4実施形態による除振装置のX方向除振部を示す概略側面図である。
【図10】本発明の第4実施形態による除振装置の振動特性を説明するための図である。
【図11】本発明の第5実施形態による除振装置のX方向除振部を示す概略側面図である。
【図12】本発明の第5実施形態による除振装置の振動特性を説明するための図である。
【図13】本発明の第5実施形態による除振装置の変形例を示す概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0030】
(第1実施形態)
図1〜図4を参照して、本発明の第1実施形態による除振装置100の構成について説明する。
【0031】
本発明の第1実施形態による除振装置100は、除振を必要とする精密機器などを支持する機能を有する。具体的には、除振装置100は、半導体基板に回路パターンを現像する露光装置に用いられる精密ステージ装置900に適用される。精密ステージ装置900は、図1に示すように、ステージ部901と、ステージ部901を支持するステージ装置用除振台902と、レーザ干渉計用除振台903とを備えている。
【0032】
ステージ部901は、可動テーブル911と、可動テーブル911のX方向およびY方向を取り囲むステージ固定部912と、可動テーブル911の上方に設けられた固定フレーム913とを含んでいる。また、ステージ部901は、ステージ装置用除振台902の上面上に配置されている。
【0033】
可動テーブル911は、回路パターンを転写するためのフォトマスク(図示せず)を下面に保持する機能を有している。また、可動テーブル911は、後述するように、水平面内のX方向、水平面内のX方向に直交するY方向、鉛直方向(Z方向)、X軸回り方向(θx)、Y軸回り方向(θy)およびZ軸回り方向(θz)の6方向に動作可能に構成されている。すなわち、可動テーブル911は、6自由度で制御可能に構成されている。
【0034】
レーザ干渉計システム918は、レーザ照射装置918aと、複数のレーザ干渉計918bとを有している。また、レーザ干渉計システム918は、可動テーブル911のX方向、Y方向およびZ方向の変位を高精度で検知することが可能に構成されている。また、レーザ照射装置918aおよびレーザ干渉計918bは、レーザ干渉計用除振台903上に設置されている。
【0035】
ステージ装置用除振台902は、ステージ装置901を支持するために設けられている。また、ステージ装置用除振台902は、平面的に見て、矩形形状を有し、四隅に4つの脚部を備えている。また、4つの脚部には、それぞれ、除振装置100(図1の網掛けで示した部分)が設けられている。
【0036】
レーザ干渉計用除振台903は、レーザ干渉計システム918を支持するために設けられている。また、レーザ干渉計用除振台903は、平面的に見てU字形状を有し、ステージ装置用除振台902を取り囲むように配置されている。また、レーザ干渉計用除振台903は、ステージ装置用除振台902から所定距離だけ離間して配置されている。また、レーザ干渉計用除振台903は、4つの脚部を備えており、各脚部には、除振装置100(図1の網掛けで示した部分)が設けられている。したがって、第1実施形態の精密ステージ装置900では、ステージ装置用除振台902およびレーザ干渉計用除振台903を合わせて8つの除振装置100が設けられている。
【0037】
除振装置100は、図2および図3に示すように、台座部1と、台座部1の上方に配置された鉛直方向除振機構2と、鉛直方向除振機構2の上方に配置された水平方向除振機構3とを備えている。
【0038】
台座部1は、平面的に見て矩形形状(図2参照)を有するとともに、平板形状(図3参照)に形成されている。また、台座部1の下面の四隅には、4つの脚部11が取り付けられている。また、台座部1は、4つの脚部11を介して床面110に設置されており、水平に配置されている。また、台座部1は、図4に示すように、中央部に開口部12を有している。
【0039】
鉛直方向除振機構2は、床面110の鉛直方向(Z方向)の振動を除振する機能を有している。また、鉛直方向除振機構2は、台座部1の上面の中央部上に設置されている。また、鉛直方向除振機構2は、底部21と、下部シリンダ22と、上部シリンダ23とを含んでいる。
【0040】
底部21は、図4に示すように、台座部1の円形状の開口部12に挿入される円筒形状の台座挿入部211と、台座挿入部211のZ1方向側の部分から半径方向の外側に張り出した円形状のフランジ部212と、下部シリンダ22に挿入されるシリンダ挿入部213とにより構成されている。また、底部21は、フランジ部212の下面が台座部1の上面に当接するように設置されている。また、台座挿入部211の底部の中央部には、オリフィス211aが形成されている。また、シリンダ挿入部213は、Z1方向に突出するとともに、円形状の外周面が円筒形状の下部シリンダ22の内周面に嵌合するように形成されている。また、シリンダ挿入部213の中央部には、平面的に見て円形状を有し、鉛直方向に延びる貫通孔213aが形成されている。
【0041】
下部シリンダ22は、図3および図4に示すように、側方から見て上側(Z1方向側)に突出する凸形状に形成されている。また、下部シリンダ22は、円筒形状に形成された下側本体部221と、下側本体部221の下端部から半径方向の外側に張り出したフランジ222とにより構成されている。下側本体部221の外周面は、図4に示すように、上部シリンダ23の内周面に対向するように配置されている。また、下側本体部221の外周面の上部には、周方向に延びる上下2本(2段)の溝部221aが形成されている。また、2本の溝部221a内には、フッ素ゴムからなる2つのOリング223が配置されている。これにより、下部シリンダ22と上部シリンダ23との間の密閉性が高められる。また、下部シリンダ22は、フランジ222の下面が底部21のフランジ部212の上面に当接するように底部21上に設置されている。
【0042】
上部シリンダ23は、図3および図4に示すように、側方から見て下側(Z2方向側)に突出する凸形状に形成されている。また、上部シリンダ23は、円筒形状に形成された上部シリンダ本体部231と、上部シリンダ本体部231の上端部から半径方向の外側に張り出した上板部232とにより構成されている。上部シリンダ本体部231の内周面は、下側本体部221の外周面に対向するように配置されている。また、上部シリンダ23の上部シリンダ本体部231の内周面が下側本体部221の外周面に対して摺動して鉛直方向(Z方向)に相対移動可能に構成されている。また、上部シリンダ23の上板部232は、円筒形状の上部シリンダ本体部231の上部を塞ぐように設けられている。また、上板部232の上面は、平面的に見て矩形形状に形成されている。また、上板部232は、水平に配置されている。
【0043】
また、鉛直方向除振機構2は、底部21と下部シリンダ22と上部シリンダ23とにより取り囲まれたバネ配置空間24を有している。バネ配置空間24は、オリフィス211a以外の部分は密閉されている。また、バネ配置空間24は、上部シリンダ23が下部シリンダ22に対して鉛直方向(Z方向)に移動することによって、容積が変動されるように構成されている。また、バネ配置空間24には、圧縮コイルバネからなるバネ部材25が配置されている。また、バネ部材25の上端部と上部シリンダ23の上板部232との間には、上板部232の下面にバネ反力が均一に作用するようにゴム部材251が設けられ、バネ部材25の下端部と底部21のシリンダ挿入部213との間には、シリンダ挿入部213の上面にバネ反力が均一に作用するようにゴム部材252が設けられている。また、バネ部材25は、水平方向除振機構3とは独立して設けられている。また、バネ部材25は、上部シリンダ23および上部シリンダ23上の部分の重量を支持するように構成されている。なお、バネ部材25は、本発明の「第1バネ部材」の一例である。
【0044】
また、バネ配置空間24には、バネ部材25の中央部を通るように鉛直方向に延びるリニアブッシュ軸26が配置されている。リニアブッシュ軸26は、フランジ状の上端部261が上部シリンダ23の上板部232の下面に固定的に取り付けられている。また、リニアブッシュ軸26は、金属製であり、段付きの円柱形状に形成されている。具体的には、リニアブッシュ軸26は、上部262の直径D1が下部263の直径D2に比べて大きくなるように構成されている。また、シリンダ挿入部213の円形状の貫通孔213aには、貫通孔271を有する凸形状の金属製のリニアブッシュ本体27が挿入されて取り付けられている。また、リニアブッシュ軸26の円柱形状の下部263は、リニアブッシュ本体27の貫通孔271に挿入されている。また、リニアブッシュ軸26は、リニアブッシュ本体27により下部263が水平方向(X方向およびY方向)の移動を規制されることによって、水平方向に位置ずれしないように構成されている。また、リニアブッシュ軸26の下部263は、リニアブッシュ本体27の貫通孔271に対して鉛直方向(Z方向)に摺動可能に構成されている。これにより、バネ部材25の圧縮量(変位量)が変化するのに伴って上部シリンダ23が下部シリンダ22に対して鉛直方向(上下方向)に移動する際に、リニアブッシュ軸26は、リニアブッシュ本体27により水平方向の移動が規制された状態で鉛直方向(上下方向)に移動される。これにより、上部シリンダ23が下部シリンダ22に対して鉛直方向(上下方向)に移動する際に、上部シリンダ23は水平方向に位置ずれしないように構成されている。
【0045】
上記の構成により、鉛直方向除振機構2は、床面110の鉛直方向の振動をバネ部材25のバネ反力により除振することが可能である。この際、バネ配置空間24の容積の変化に伴う空気の出し入れ(排出および吸入)がオリフィス211aからのみ可能となり、鉛直方向の振動に対して減衰力が発生するように構成されている。また、鉛直方向除振機構2は、水平方向除振機構3とは独立して設けられたバネ部材25の鉛直方向の伸縮に伴う復元力により鉛直方向の除振を行うので、水平方向の力に対して影響を与えることなく床面110の鉛直方向の振動を除振することが可能である。さらに、鉛直方向除振機構2は、リニアブッシュ軸26およびリニアブッシュ本体27により上部シリンダ23の水平方向への位置ずれが規制されるので、鉛直方向の除振時において水平方向の力に対して影響が及ぶのをより確実に防止することが可能である。
【0046】
また、第1実施形態の鉛直方向除振機構2の振動伝達特性は、以下に示す式(1)となり、2次遅れ系の伝達特性となる。
【0047】
出力(鉛直方向除振機構2による除振後の振動)/入力(床面110の鉛直方向の振動)=(Cs+K)/(Ms+Cs+K)・・・・・(1)
上記式(1)において、Mは、バネ部材25により支持する重量(N)、Kは、バネ定数(N/mm)、Cは、オリフィス211aにより得られるダンピング(N/(mm/s))をそれぞれ表す。
【0048】
水平方向除振機構3は、図3および図4に示すように、水平面内のX方向の振動を除振するX方向除振部31と、X方向に直交する水平面内のY方向の振動を除振するY方向除振部32とを含んでいる。X方向除振部31は、鉛直方向除振機構2の上側に配置されている。また、X方向除振部31は、水平機構板311と、水平機構板311上に載置される2つの振り子312(図2参照)と、振り子312上に載置される水平共用板313とにより構成されている。なお、このX方向除振部31においては、水平機構板311は、本発明の「第1水平テーブル」の一例であり、水平共用板313は、本発明の「第2水平テーブル」の一例である。
【0049】
水平機構板311は、上部シリンダ23の上板部232の上面に水平に取り付けられている。また、水平機構板311は、X方向から見て上側に突出する凸形状に形成されている。
【0050】
2つの振り子312は、図2に示すように、X方向に所定の間隔を隔てて平行に配置されている。また、2つの振り子312は、鉛直方向除振機構2とは独立して設けられている。また、各振り子312は、図3および図4に示すように、丸軸部312aと、丸軸部312aのY方向の両端部に取り付けられた2本の腕部312bと、腕部312bの各々の下端部に取り付けられた2つの錘部312cとを有している。また、各振り子312の丸軸部312aは、Y方向に延びる円柱形状に形成されているとともに、Y方向の中央部が両端部に比べて太く(直径が大きく)なっている。また、丸軸部312aは、直径の大きい中央部が水平機構板311の上面に線接触するように水平機構板311上に載置されている。また、丸軸部312aの両端部近傍には、丸軸部312aを回転可能に支持する2つのベアリング312dが取り付けられている。ベアリング312dの外周部には、全周にわたって溝が形成されている。また、ベアリング312dの外周部の溝には、水平機構板311および水平共用板313のY方向の両端部にそれぞれ取り付けられた係合爪312eが係合されている。すなわち、各ベアリング312dは、上下方向から挟み込む2つの係合爪312eによりY方向への移動が規制されている。これにより、丸軸部312aの軸方向(Y方向)への位置ずれを規制することが可能である。なお、ベアリング312dは、本発明の「軸受け部」の一例であり、係合爪312eは、本発明の「移動規制部」の一例である。また、丸軸部312aの直径の大きい中央部の両端部と水平機構板311との間の隙間には、ゴム部材312fが設置されている。ゴム部材312fは、丸軸部312aに当接して丸軸部312aが回動する際の抵抗を増加させるために設けられている。すなわち、ゴム部材312fにより、丸軸部312aの回動に対して減衰力が発生する。
【0051】
また、振り子312の腕部312bは、鉛直方向(Z方向)に延びるように形成されている。また、腕部312bは、鉛直方向除振機構2の側方の外側に鉛直方向除振機構2と高さ位置が重複するように配置されている。また、腕部312bは、上端部近傍が丸軸部312aのY方向の両端部に固定的に取り付けられている。すなわち、腕部312bは、丸軸部312aが回動する場合に、丸軸部312aの軸線を回動中心として丸軸部312aとともに回動するように構成されている。また、錘部312cは、所定の質量を有し、下端が下部シリンダ22の下端近傍に位置するように配置されている。この錘部312cは、腕部312bが回動する際に、腕部312bを元の位置(腕部312bが鉛直方向になる位置)に戻す復元力を効果的に発生させるために設けられている。また、鉛直方向除振機構2と高さ位置が重複するように腕部312bを配置することによって、腕部312bの長さが長くなる分、錘部312cの質量を小さくすることが可能である。
【0052】
水平共用板313は、2本の丸軸部312aの直径の大きい中央部上に水平に載置されている。すなわち、水平共用板313は、2本の丸軸部312aにより線接触で支持されている。
【0053】
上記の構成により、X方向除振部31は、後述するように、床面110のX方向成分の振動を2つの振り子312の復元力により除振することが可能である。この際、振り子312の復元力に伴って鉛直方向の力成分は生じないので、X方向除振部31は、鉛直方向の力に対して影響を与えることなく床面110のX方向成分の振動を除振することが可能である。
【0054】
Y方向除振部32は、図3および図4に示すように、X方向除振部31の上側に配置されている。また、Y方向除振部32は、上記したX方向除振部31の水平共用板313と、水平共用板313上に載置される2つの振り子322(図2参照)と、振り子322上に載置される定盤取付板323とにより構成されている。また、Y方向除振部32の定盤取付板323の上面上には、除振を必要とする精密機器を載置する定盤(図示せず)が設置される。なお、このY方向除振部32においては、水平共用板313は、本発明の「第1水平テーブル」の一例であり、定盤取付板323は、本発明の「第2水平テーブル」の一例である。
【0055】
2つの振り子322は、Y方向に平行に配置されている。また、定盤取付板323は、水平に配置された平板形状に形成されている。また、定盤取付板323は、2つの振り子322の2本の丸軸部322a上に載置されており、2本の丸軸部322aにより線接触で支持されている。また、水平共用板313の上面には、上側に突出する2つの突出部313aがY方向に所定の間隔を隔てて形成されている。この2つの突出部313aは、それぞれ、2つの振り子322の2本の丸軸部322aのY2方向側に所定の間隔を隔てて配置されている。また、定盤取付板323の下面には、下側に突出する2つの突出部323aがY方向に所定の間隔を隔てて形成されている。この2つの突出部323aは、それぞれ、2つの振り子322の2本の丸軸部322aのY1方向側に所定の間隔を隔てて配置されている。これにより、丸軸部322a上に載置された定盤取付板323のY方向への移動が規制されるので、定盤取付板323がY方向に転落するのを防止することが可能である。なお、図示しないが、上記したX方向除振部31でも、水平機構板311の上面および水平共用板313の下面に、それぞれ、水平共用板313の上面の突出部313aおよび定盤取付板323の下面の突出部323aと同様の突出部が形成されている。これにより、水平共用板313がX方向に転落するのを防止している。
【0056】
また、Y方向除振部32のその他の構成は、X方向とY方向とが異なるだけで、上記したX方向除振部31と同様である。すなわち、Y方向除振部32の水平共用板313、振り子322および定盤取付板323は、それぞれ、X方向除振部31の水平機構板311、振り子312および水平共用板313に対応している。また、Y方向除振部32の振り子322の丸軸部322a、腕部322bおよび錘部322cは、それぞれ、X方向除振部31の振り子312の丸軸部312a、腕部312bおよび錘部312cに対応している。また、図示しないが、Y方向除振部32にも、X方向除振部31のベアリング312d、係合爪312eおよびゴム部材312fと同様に構成されたベアリング、係合爪およびゴム部材が設けられている。
【0057】
上記の構成により、Y方向除振部32は、後述するように、X方向除振部31と同様に、床面110のY方向成分の振動を2つの振り子322の復元力により除振することが可能である。この際、振り子322の復元力に伴って鉛直方向の力成分は生じないので、Y方向除振部32は、鉛直方向の力に対して影響を与えることなく床面110のY方向成分の振動を除振することが可能である。
【0058】
次に、図4を参照して、第1実施形態による除振装置100において、床面110が鉛直方向に振動する場合の鉛直方向除振機構2による除振動作について説明する。
【0059】
床面110が鉛直方向(Z方向)に振動すると、台座部1を介して鉛直方向除振機構2の底部21および下部シリンダ22が鉛直方向に移動される。この際、バネ部材25は、鉛直方向に伸縮して床面110の鉛直方向の振動を除振する。また、バネ部材25の伸縮に伴ってバネ部材25により支持される上部シリンダ23が下部シリンダ22に対して相対的に鉛直方向(Z方向)に移動することによって、バネ配置空間24の容積が変動する。この際、オリフィス211aを介した空気の出し入れ(排出および吸入)によって減衰力が発生する。すなわち、鉛直方向除振機構2は、バネ部材25による復元力およびオリフィス211aによる減衰力を用いて鉛直方向(Z方向)の振動を除振する。
【0060】
次に、図4を参照して、第1実施形態による除振装置100において、床面110が水平方向に振動する場合の水平方向除振機構3による除振動作について説明する。
【0061】
床面110が水平方向に振動すると、X方向成分の振動が水平方向除振機構3のX方向除振部31により除振され、Y方向成分の振動が水平方向除振機構3のY方向除振部32により除振される。以下に、X方向除振部31によるX方向成分の振動の除振動作について説明する。
【0062】
X方向除振部31の水平機構板311は、床面110のX方向成分の振動によって、台座部1および鉛直方向除振機構2とともに振動方向に移動する。この水平機構板311の移動に伴って、2つの振り子312の2本の丸軸部312aが回動されるので、2本の丸軸部312aに支持される水平共用板313は水平機構板311とは反対方向に相対変位される。また、丸軸部312aの回動によって、腕部312bが丸軸部312aの軸中心を回動軸として回動されて腕部312bの下端部の錘部312cが持ち上げられる。この際、振り子312には、錘部312cの重量により水平機構板311と水平共用板313との相対変位を元に戻そうとする復元力が発生する。この振り子312の復元力によりX方向成分の振動が除振される。なお、Y方向除振部32によるY方向成分の振動の除振動作は、上記したX方向除振部31によるX方向成分の振動の除振動作と同様であるので、その説明を省略する。
【0063】
第1実施形態では、上記のように、鉛直方向除振機構2および振り子312を含む水平方向除振機構3を、それぞれの除振動作時に除振方向の力成分が他の除振方向の力成分に対して影響を与えないように構成することによって、鉛直方向除振機構2による鉛直方向の除振に際して定盤(被支持体)(図示せず)が水平方向に移動されないとともに、水平方向除振機構3による水平方向の除振に際して定盤(被支持体)が鉛直方向に移動されないので、鉛直方向除振機構2および水平方向除振機構3により、鉛直方向および水平方向の両方の床振動を有効に除振することができる。また、水平方向除振機構3として鉛直方向除振機構2とは独立して設けられた振り子312を用いることによって、鉛直方向除振機構2の除振動作時の除振方向の力成分には影響を与えない水平方向除振機構3を構成することができる。
【0064】
また、第1実施形態では、上記のように、振り子312の腕部312bを、鉛直方向除振機構2の側方の外側に鉛直方向除振機構2と高さ位置が重複するように配置することによって、水平方向除振機構3の振り子312の腕部312bを鉛直方向除振機構2の高さ位置とは異なる高さ位置に配置する場合に比べて、除振装置100の鉛直方向の大きさ(高さ)を小さく抑えることができるので、その分、除振装置100の小型化を図ることができる。また、振り子312の腕部312bを鉛直方向除振機構2と高さ位置が重複するように設けることによって、振り子312の腕部312bの長さを大きくした場合にも、除振装置100の高さを小さくすることができる。これにより、振り子312の腕部312bの長さを十分に確保した上で除振装置100の小型化を図ることができるので、水平方向の除振機能を十分に確保しながら除振装置100の小型化を図ることができる。
【0065】
また、第1実施形態では、上記のように、1つの鉛直方向除振機構2と、X方向除振部31およびY方向除振部32を含む水平方向除振機構3とにより、3軸の除振を行うように構成することによって、互いに直交する3軸の除振を行うことができるので、鉛直方向および水平方向の全ての方向の床振動に対応することができる。
【0066】
また、第1実施形態では、上記のように、鉛直方向除振機構2を、水平方向除振機構3とは独立して設けられたバネ部材25による復元力を用いて鉛直方向の床振動を除振するように構成することによって、バネ部材25を用いた簡易な構成により、鉛直方向の床振動を容易に除振することができる。また、水平方向除振機構3とは独立して設けられたバネ部材25による鉛直方向除振機構2と、鉛直方向除振機構2とは独立して設けられた振り子312による水平方向除振機構3との組み合わせにより、容易に、互いに影響を与えない水平方向除振機構3および鉛直方向除振機構2を得ることができる。
【0067】
また、第1実施形態では、上記のように、鉛直方向除振機構2を、バネ部材25による復元力およびオリフィス211aによる減衰力を用いて鉛直方向の床振動を除振するように構成することによって、鉛直方向の除振時に、バネ部材25の復元力に加えてオリフィス211aによる減衰力が働くので、鉛直方向の床振動を迅速に除振することができる。
【0068】
また、第1実施形態では、上記のように、水平機構板311(水平共用板313)と水平共用板313(定盤取付板323)とを水平方向に相対変位させるとともに、振り子312(322)の腕部312b(322b)が取り付けられることにより振り子312(322)の回動軸になる丸軸部312a(322a)を設けることによって、水平方向の床振動が生じた場合に、水平機構板311(水平共用板313)と水平共用板313(定盤取付板323)とが水平方向に相対変位するのに伴って振り子312(322)の回動軸となる丸軸部312a(322a)が回動されるので、この回動により振り子312(322)の腕部312b(322b)が振られる(回動される)。これにより、この振り子312(322)の復元力を用いて水平方向の床振動を容易に除振することができる。
【0069】
また、第1実施形態では、上記のように、丸軸部312aを回転可能に支持するとともに、外周部に溝を有するベアリング312dと、ベアリング312dの溝部に係合することによりベアリング312dに支持される丸軸部312aの軸方向の移動を規制する係合爪312eとを設けることによって、丸軸部312aが軸方向にずれるのを防止することができるので、水平方向除振機構3により丸軸部312aの軸方向と直交する水平方向の振動成分をより確実に除振することができる。
【0070】
(第2実施形態)
次に、図5〜図7を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、水平方向除振機構403にリニアガイド414(424)を設けた除振装置400について説明する。なお、第2実施形態では、上記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0071】
本発明の第2実施形態による除振装置400の水平方向除振機構403は、水平面内のX方向の振動を除振するX方向除振部431と、X方向に直交する水平面内のY方向の振動を除振するY方向除振部432とを含んでいる。X方向除振部431は、鉛直方向除振機構2の上側に配置されている。また、X方向除振部431は、水平機構板411と、水平機構板411のY方向の両側面に取り付けられる4本の腕部412bを含む振り子412と、水平機構板411の上方に配置される水平共用板413と、水平機構板411および水平共用板413の間に配置される2つのリニアガイド414とにより構成されている。なお、このX方向除振部431においては、水平機構板411は、本発明の「第1水平テーブル」の一例であり、水平共用板413は、本発明の「第2水平テーブル」の一例である。
【0072】
振り子412の4本の腕部412bの下端部には、4つの錘部412cが取り付けられている。また、振り子412の4本の腕部412bは、水平機構板411のY方向の両側面にX方向に所定の間隔を隔てて2つずつ取り付けられている。具体的には、各腕部412bは、図6および図7に示すように、ネジ415により、ネジ415の軸中心を回動中心として水平機構板411に回動可能に取り付けられている。また、腕部412bの水平共用板413に対応する部分には、鉛直方向に延びる長穴412dが形成されている。長穴412dには、ネジ416が挿入されており、ネジ416は水平共用板413に取り付けられている。また、ネジ416は、長穴412dに対して長穴412dの延びる方向に相対移動可能であるとともに、長穴412dの延びる方向以外の方向には相対移動できないように構成されている。これにより、図7に示すように、腕部412bがネジ415を回動中心として回動する際には、ネジ416が長穴412dの延びる方向に移動して、水平機構板411と水平共用板413とがX方向に相対変位する。
【0073】
また、2つのリニアガイド414は、X方向に延びるようにY方向に所定の間隔を隔てて配置されている。また、リニアガイド414は、水平機構板411の上面に取り付けられたレール部414aと、水平共用板413の下面に取り付けられ、レール部414aに係合するガイド本体414bとにより構成されている。ガイド本体414bは、レール部414aに沿ってX方向に移動可能に構成されている。また、ガイド本体414bは、レール部414aに係合することによって、Y方向への移動が規制されている。これにより、水平機構板411と水平共用板413とは、X方向に相対変位可能であるとともに、Y方向の相対変位が規制される。
【0074】
上記の構成により、図7に示すように、X方向除振部431は、床面110のX方向成分の振動を4本の腕部412bを含む振り子412の復元力により除振することが可能である。この際、振り子412の復元力に伴って鉛直方向の力成分は生じないので、X方向除振部431は、鉛直方向の力に対して影響を与えることなく床面110のX方向成分の振動を除振することが可能である。また、水平機構板411と水平共用板413との鉛直方向の距離を小さくすれば、支点(ネジ415)と作用点(ネジ416)との距離が小さくなるので、その分、振り子412による復元力が水平共用板413により有効に働く。
【0075】
また、Y方向除振部432は、図6に示すように、X方向除振部431の上側に配置されている。また、Y方向除振部432は、図5に示すように、上記したX方向除振部431の水平共用板413(図6参照)と、下端部に錘部422cが取り付けられるとともに、水平共用板413のX方向の両側面に取り付けられる4本の腕部422bを含む振り子422と、水平共用板413の上方に配置される定盤取付板423と、水平共用板413および定盤取付板423の間に配置される2つのリニアガイド424(図6参照)とにより構成されている。また、Y方向除振部432の定盤取付板423の上面上には、除振を必要とする精密機器を載置する定盤(図示せず)が設置される。なお、このY方向除振部432においては、水平共用板413は、本発明の「第1水平テーブル」の一例であり、定盤取付板423は、本発明の「第2水平テーブル」の一例である。
【0076】
また、Y方向除振部432の構成は、X方向とY方向とが異なるだけで、上記したX方向除振部431と同様である。すなわち、Y方向除振部432の水平共用板413、振り子422、定盤取付板423およびリニアガイド424は、それぞれ、X方向除振部431の水平機構板411、振り子412、水平共用板413およびリニアガイド414に対応している。
【0077】
上記の構成により、Y方向除振部432は、床面110のY方向成分の振動を振り子422の復元力により除振することが可能である。この際、振り子422の復元力に伴って鉛直方向の力成分は生じないので、Y方向除振部432は、鉛直方向の力に対して影響を与えることなく床面110のY方向成分の振動を除振することが可能である。
【0078】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0079】
第2実施形態では、上記のように、水平機構板411(水平共用板413)と水平共用板413(定盤取付板423)とを水平方向に相対変位させるリニアガイド414(424)を設け、振り子412(422)の腕部412b(422b)を、水平機構板411(水平共用板413)および水平共用板413(定盤取付板423)の相対変位に伴って回動するように構成することによって、リニアガイド414(424)により、水平機構板411(水平共用板413)と水平共用板413(定盤取付板423)とがX方向(Y方向)以外の方向に位置ずれするのを規制することができるので、X方向(Y方向)の振動成分をより確実に除振することができる。
【0080】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0081】
(第3実施形態)
次に、図8を参照して、第3実施形態について説明する。この第3実施形態では、鉛直方向除振機構2に1つのバネ部材25を配置した上記第1実施形態とは異なり、鉛直方向除振機構502にバネ定数の異なる複数のバネ部材525a〜525dを設けた構成について説明する。なお、第3実施形態では、上記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0082】
本発明の第3実施形態の鉛直方向除振機構502では、図8に示すように、バネ配置空間24にバネ定数の異なる4つのバネ部材525a、525b、525cおよび525dが設置されている。詳細には、バネ配置空間24内の底部21(図4参照)上には、4つのアクチュエータ526a、526b、526cおよび526dが設置されている。4つのアクチュエータ526a〜526dの上部には、それぞれ、バネ部材525a〜525dが取り付けられている。また、4つのアクチュエータ526a〜526dは、4つのバネ部材525a〜525dを互いに独立して鉛直方向に移動する機能を有している。また、4つのバネ部材525a〜525dは、水平方向除振機構3(図4参照)とは独立して設けられている。なお、4つのバネ部材525a、525b、525cおよび525dは、本発明の「第1バネ部材」の一例である。
【0083】
上部シリンダ23(図4参照)の下側には、荷重センサ527が取り付けられている。また、4つのバネ部材525a〜525dは、アクチュエータ526a〜526dにより鉛直上方向に移動されることによって、上端部が荷重センサ527の下面に当接されるように構成されている。また、荷重センサ527は、荷重センサ527の下面に当接するバネ部材により支持される重量を検出するように構成されている。また、上部シリンダ23(図4参照)と底部21(図4参照)との間には、上部シリンダ23と底部21との相対変位を検知する変位センサ528が設置されている。
【0084】
また、鉛直方向除振機構502には、制御部529が設けられている。この制御部529は、4つのアクチュエータ526a〜526dと、荷重センサ527と、変位センサ528とに接続されている。制御部529は、荷重センサ527による検出結果に基づいて、4つのバネ部材525a〜525dのうち、より適したバネ定数となるバネ部材を単体または複数の組み合わせで選択するように構成されている。詳細には、制御部529は、荷重センサ527による検出結果と、ユーザにより設定される所望の共振周波数とに基づいて、目標とするバネ定数を算出するように構成されている。ここで、目標とするバネ定数は、以下の式(2)により算出する。
【0085】
共振周波数=1/2π×√(K/M)・・・・・(2)
上記式(2)において、Kは、バネ定数(N/mm)、Mは、バネ部材が支持する重量(N)をそれぞれ表す。
【0086】
また、制御部529は、目標とするバネ定数となるように、より適したバネ部材を単体または複数の組み合わせで選択する。また、制御部529は、算出したバネ定数と荷重センサ527による検出結果とに基づいて、バネ部材の縮み量を算出するように構成されている。また、制御部529は、4つのバネ部材525a〜525dのうちの選択したバネ部材を、対応するアクチュエータ526a〜526dを駆動させて作動位置に移動するように構成されている。この際、制御部529は、選択したバネ部材の縮み量が算出した縮み量となるように、対応するアクチュエータ526a〜526dのストローク量を調整するように構成されている。さらに、制御部529は、バネ部材により支持する重量が変化した場合でも、対応するアクチュエータ526a〜526dのストローク量を調整して、支持する上部シリンダ23の高さ位置が変動しないようにすることも可能である。
【0087】
上記の構成により、第3実施形態の鉛直方向除振機構502は、4つのバネ部材525a〜525dを用いてバネ定数を変化させるとともに、より適したバネ定数のバネ部材により鉛直方向の床振動を除振するように構成されている。また、鉛直方向除振機構502は、水平方向除振機構3(図4参照)とは独立して設けられたバネ部材の鉛直方向の伸縮に伴う復元力により鉛直方向の除振を行うので、水平方向の力に対して影響を与えることなく床面110(図4参照)の鉛直方向の振動を除振することが可能である。
【0088】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
第3実施形態では、上記のように、鉛直方向除振機構502を、4つのバネ部材525a〜525dの組み合わせによりバネ定数を変化させて鉛直方向の床振動を除振するように構成することによって、バネ部材により支持する荷重が変化した場合でも、バネ定数を変化させることにより共振周波数が変化するのを抑制することができるので、鉛直方向の床振動を効果的に除振することができる。
【0090】
また、第3実施形態では、上記のように、バネ部材525a〜525dのバネ定数を変化させるアクチュエータ526a〜526dを設けることによって、バネ部材により支持する荷重の変化に応じて容易にバネ部材のバネ定数を変化させることができる。
【0091】
また、第3実施形態では、上記のように、荷重センサ527の検出結果に基づいて、4つのバネ部材525a〜525dの中から検出された荷重に対応するバネ定数のバネ部材を単体または複数の組み合わせで選択し、選択されたバネ部材をアクチュエータ526a〜526dにより作動位置に移動させるように制御する制御部529を設けることによって、作動させるバネ部材を、4つのバネ部材525a〜525dの中から単体または複数の組み合わせで幅広く選択することができるので、バネ部材により支持する荷重に対してより適したバネ定数に調整することができる。これにより、鉛直方向の床振動をより効果的に除振することができる。
【0092】
また、第3実施形態では、上記のように、制御部529により、荷重センサ527の検出結果と所望の共振周波数とに基づいて、バネ定数とバネ部材の縮み量とを算出するとともに、算出したバネ部材の縮み量に基づいて、選択されたバネ部材を移動させるアクチュエータのストローク量を調整することによって、制御部529により、荷重センサ527の検出結果と所望の共振周波数とに基づいて、バネ部材のバネ定数および縮み量を精度よく算出することができるので、選択されたバネ部材が所定の縮み量になるようにアクチュエータのストローク量を調整して鉛直方向の床振動を効果的に除振することができる。また、バネ部材の縮み量が変化する場合でも、縮み量の変化分に基づいてアクチュエータのストローク量を調整することによって、支持する定盤(被支持体)(図示せず)の鉛直方向の位置(高さ位置)が変動されないようにすることができる。
【0093】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0094】
(第4実施形態)
次に、図9および図10を参照して、第4実施形態について説明する。この第4実施形態では、上記第1実施形態とは異なり、振り子612の丸軸部612aが、水平機構板311に接触する第1部分612bと、水平共用板313に接触して支持するとともに、第1部分612bよりも小さい半径を有する第2部分612cとを含む構成について説明する。なお、第4実施形態では、上記第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0095】
本発明の第4実施形態のX方向除振部631の丸軸部612aは、図9に示すように、半径r1を有する第1部分612bと、半径r1よりも小さい半径r2を有する第2部分612cとを一体的に含む段付きコロである。ここで、第2部分612cの半径r2は、第1部分612bの半径r1の1/2以下の大きさである。また、第1部分612bと第2部分612cとは、同一の回転中心線を有している。また、丸軸部612aは、第1部分612bが水平機構板311の上面に線接触するように水平機構板311上に載置されている。また、丸軸部612aは、第2部分612cが水平共用板313の下面に線接触して上方の水平共用板313を支持するように構成されている。これにより、水平機構板311のX1方向(X2方向)への移動に伴って丸軸部612aが回動されるとともに、丸軸部612aの回動に伴って水平共用板313が水平機構板311とは反対方向のX2方向(X1方向)に移動される。また、水平機構板311と水平共用板313とが丸軸部612aを介してX方向に相対変位する際に、水平共用板313の移動量(変位量)は水平機構板311の移動量(変位量)よりも小さくなる。この場合、水平機構板311の移動量(変位量)と水平共用板313の移動量(変位量)との比(振幅比)は、第1部分612bの半径r1と第2部分612cの半径r2との比となる。すなわち、水平共用板313の移動量(変位量)は、水平機構板311の移動量(変位量)の1/2以下となる。また、丸軸部612aの回動に伴って腕部312bが回動されて錘部312cが持ち上げられる。これにより、振り子612には、水平機構板311と水平共用板313との相対変位を元に戻そうとする復元力が発生する。
【0096】
図10に、第4実施形態の段付きコロを用いた場合と比較例による段付きコロを用いない場合との振動特性の比較を示す。図10に示すように、水平機構板311と水平共用板313との振幅比を示すゲイン(dB)(縦軸)と周波数(横軸)との関係において、段付きコロを用いない比較例では、周波数が低い領域ではゲインが0(ゼロ)で推移し、共振周波数の近傍ではゲインが正(プラス)の値となる。また、比較例では、周波数が共振周波数を超えるとゲインが徐々に低下して負(マイナス)の値となり、周波数が高くなればなるほどゲインは小さくなる。すなわち、段付きコロを用いない比較例では、周波数が低い領域では水平機構板311と水平共用板313との移動量(変位量)が同じである。共振周波数の近傍では水平機構板311の移動量(変位量)に対して水平共用板313の移動量(変位量)が増幅される。そして、周波数が高くなればなるほど水平機構板311の移動量(変位量)に対する水平共用板313の移動量(変位量)が小さくなって除振効果が高くなる。
【0097】
一方、段付きコロを用いた第4実施形態では、周波数が低い領域ではゲインが所定の負(マイナス)の値で推移し、共振周波数の近傍ではゲインが増加している。そして、周波数が共振周波数を超えるとゲインが徐々に低下して、周波数が高くなればなるほどゲインは小さくなる。すなわち、段付きコロを用いた第4実施形態では、周波数が低い領域でも水平機構板311の移動量(変位量)に対して水平共用板313の移動量(変位量)が小さくなる。また、共振周波数の近傍では水平機構板311の移動量(変位量)に対する水平共用板313の移動量(変位量)が増加するが、周波数が高くなればなるほど水平機構板311の移動量(変位量)に対する水平共用板313の移動量(変位量)が小さくなって除振効果が高くなる。また、段付きコロを用いた第4実施形態と段付きコロを用いない比較例とで共振周波数は変化しない。
【0098】
ここで、段付きコロを用いた第4実施形態では、段付きコロを用いない比較例に比べて、ゲインが周波数全域にわたって所定の値だけ小さくなる。段付きコロを用いた第4実施形態(大きい方の半径をr1、小さい方の半径をr2とした場合)と、段付きコロを用いない比較例(丸軸部の半径r1とした場合)とのゲインの差は、以下の式(3)により得られる。
【0099】
20log|r2/r1|・・・・・(3)
上記式(3)において、r1は、段付きコロを用いた場合(第4実施形態)の大きい方の半径(mm)および段付きコロを用いない場合(比較例)の丸軸部の半径(mm)、r2は、段付きコロを用いた場合(第4実施形態)の小さい方の半径(mm)をそれぞれ表す。
【0100】
上記式(3)によれば、たとえば、第1部分612bの半径r1が40(mm)であり、第2部分612cの半径r2が20(mm)の場合には、20log|20/40|=約−6(dB)となる。この場合、段付きコロを用いる第4実施形態では、段付きコロを用いない場合(比較例)に比べて、周波数全域にわたってゲインが6(dB)小さくなる。
【0101】
上記の構成により、第4実施形態のX方向除振部631は、床面110のX方向成分の振動を振り子612の復元力により除振することが可能である。この際、振り子612の復元力に伴って鉛直方向の力成分は生じないので、X方向除振部631は、鉛直方向の力に対して影響を与えることなく床面110のX方向成分の振動を除振することが可能である。
【0102】
また、第4実施形態の図示しないY方向除振部の振り子の丸軸部についても、上記したX方向除振部631と同様に、水平共用板313(図4参照)に接触する第1部分と、定盤取付板323(図4参照)に接触して支持するとともに、第1部分よりも小さい直径を有する第2部分とを含むように構成されている。
【0103】
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0104】
第4実施形態では、上記のように、丸軸部612aに、水平機構板311に接触する半径r1を有する第1部分612bと、水平共用板313に接触して支持するとともに、第1部分612bよりも小さい半径r2を有する第2部分612cとを設けることによって、水平方向の床振動に起因して水平機構板311と水平共用板313とが水平方向に相対変位する際に、半径r1の第1部分612bに接触する水平機構板311の変位量(振幅)に対して、第1部分612bよりも小さい半径r2を有する第2部分612cに接触して支持される水平共用板313の変位量(振幅)を小さくすることができる。これにより、水平共用板313の変位量(振幅)を小さくして水平方向(水平面内)の床振動を有効に除振することができる。
【0105】
また、第4実施形態では、上記のように、第2部分612cの半径r2を、第1部分612bの半径r1の1/2以下にすることによって、水平共用板313の変位量(振幅)を水平機構板311の変位量(振幅)の1/2以下にすることができるので、水平方向の床振動をより有効に除振することができる。
【0106】
また、第4実施形態では、上記のように、丸軸部612aを、半径r1を有する第1部分612bと、第1部分612bよりも小さい半径r2を有する第2部分612cとを含む段付きコロとすることによって、段付きコロにより、容易に、同一の回転中心線を有するとともに異なる半径(直径)を有する第1部分612bと第2部分612cとを設けることができる。
【0107】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0108】
(第5実施形態)
次に、図11および図12を参照して、第5実施形態について説明する。この第5実施形態では、上記第2実施形態とは異なり、水平共用板413aに水平バネ419を設けるとともに、水平バネ419を介して振り子412の腕部412eが水平共用板413aに連結されたX方向除振部431aについて説明する。なお、第5実施形態では、Y方向除振部は、X方向除振部431aと同様の構成を有するため説明を省略する。
【0109】
本発明の第5実施形態のX方向除振部431aでは、図11に示すように、振り子412の腕部412eが一対の水平バネ419を介して水平共用板413aに連結されている。すなわち、振り子412の腕部412eは、水平バネ419を介して水平共用板413aに対して間接的に接続されており、水平共用板413aに対して直接的には接続されていない。水平バネ419は、引張コイルバネである。なお、水平共用板413aは、本発明の「第2水平テーブル」の一例である。
【0110】
また、図11に示すように、水平共用板413aには、一対の水平バネ419を取り付けるための一対の水平バネ取付部417が設けられている。また、一対の水平バネ取付部417は、腕部412eのX方向の両側に配置されている。また、振り子412の腕部412eには、ネジ415よりも上側の位置にピン418が設けられている。そして、水平バネ419は、一方端部が水平バネ取付部417に取り付けられるとともに、他方端部がピン418に取り付けられている。また、水平共用板413aおよび水平機構板411は、振り子412の腕部412eが回動する際に、互いにX方向に相対変位するように構成されている。この際、水平共用板413aには、振り子412の腕部412eの回動に伴って水平バネ419を介してX方向の引張力が付与される。同時に、振り子412の腕部412eには、ピン418を介してX方向の両側から引張力が付与される。なお、水平バネ419は、本発明の「第2バネ部材」の一例である。
【0111】
また、水平バネ取付部417には、水平バネ419の引張力を調整するための図示しない調整機構が設けられており、水平共用板413aおよび水平機構板411の原点位置(互いに相対変位していない位置)において、振り子412が鉛直方向に延びるように配置されるように調整機構が設定されている。
【0112】
図12に、水平バネ419を設けた第5実施形態の構成と水平バネ419を設けない上記第2実施形態の構成(振り子412のみの構成)との振動特性の比較を示す。図12に示すように、水平バネ419を設けない上記第2実施形態の構成では、振り子412の共振周波数よりも高い周波数域において徐々に振幅比(水平機構板411と水平共用板413との振幅比)を示すゲイン(dB)(縦軸)が低下している。すなわち、水平バネ419を設けない上記第2実施形態の構成では、振り子412の共振周波数よりも高い周波数域において、周波数が高くなればなるほど除振効果が高くなる。
【0113】
一方、水平バネ419を設けた第5実施形態の構成では、水平バネ419を設けない上記第2実施形態の構成(振り子412のみの構成)とは異なり、振り子412による共振ピークに加えて、水平バネ419による共振ピークも発生している。また、水平バネ419を設けた第5実施形態の構成の振り子412の共振ピークは、水平バネ419を設けない上記第2実施形態の構成の振り子412の共振ピークと略一致する。また、水平バネ419を設けた第5実施形態の構成では、水平バネ419の共振周波数の近傍の周波数域において、水平バネ419を設けない上記第2実施形態の構成よりもゲインが高くなる。しかしながら、水平バネ419を設けた第5実施形態の構成では、水平バネ419の共振周波数を超えると、水平バネ419を設けない上記第2実施形態の構成に比べてゲインがより急激に低下する。そして、水平バネ419を設けた第5実施形態の構成では、所定の周波数よりも高い周波数域において、水平バネ419を設けない上記第2実施形態の構成よりもゲインが低くなり、より高い除振効果を得ることができる。
【0114】
また、水平バネ419を設けた第5実施形態の構成の振動特性における振り子412および水平バネ419の共振周波数を得るための方程式は、以下に示す式(4)となる。
【0115】
【数4】

上記式(4)において、mは、水平共用板413aおよび水平共用板413aより上方の質量(kg)、Mは、振り子412の質量(kg)、Lは、振り子412の回転中心から振り子412の重心までの距離(m)、hは、振り子412の回転中心からピン418までの距離(m)、kは、水平バネ419のバネ定数(N/m)、gは、重力加速度(m/s)、ωは、水平バネ419および振り子412の固有角周波数(rad/s)をそれぞれ表す。
【0116】
また、第5実施形態では、水平バネ419の共振周波数を、振り子412の共振周波数よりも大きく、かつ、振り子412の共振周波数の近傍の値となるようにバネ定数を設定している。具体的には、水平バネ419の共振周波数を、振り子412の共振周波数よりも高く、その差が約5Hz以内となるように設定している。また、水平バネ419の共振周波数を振り子412の共振周波数の近傍の値にするための水平バネ419のバネ定数を、以下に示す式(5)により得られるバネ定数kを目安に設定している。
【0117】
k=m×g/L・・・・・(5)
上記式(5)において、kは、水平バネ419のバネ定数(N/m)、gは、重力加速度(m/s)、Lは、振り子412の回転中心から振り子412の重心までの距離(m)をそれぞれ表す。
【0118】
なお、第5実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
【0119】
第5実施形態では、上記のように、水平共用板413aに取り付けられた水平バネ419を設け、振り子412の腕部412eを、水平バネ419を介して水平共用板413aに連結するとともに、水平機構板411および水平共用板413aの水平方向の相対変位に伴って回動するように構成することによって、振り子412および水平バネ419により、振り子412のみで除振する上記第2実施形態の構成に比べて、所定の周波数域において、水平方向の床振動をより有効に除振することができる。
【0120】
また、第5実施形態では、上記のように、水平バネ419の共振周波数が振り子412の共振周波数よりも大きくなるように構成することによって、振り子412により水平方向の床振動を除振しながら、高い周波数域において、水平バネ419により除振効果を高めることができる。
【0121】
また、第5実施形態では、上記のように、水平バネ419の共振周波数が振り子412の共振周波数の近傍の値となるように構成することによって、振り子412により除振効果が得られる振り子412の共振周波数よりも高い周波数域と略同じ周波数域において、水平方向の床振動をより有効に除振することができる。
【0122】
なお、第5実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
【0123】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0124】
たとえば、上記第1、第2、第4および第5実施形態では、鉛直方向除振機構を、バネ部材の復元力を用いて鉛直方向の振動を除振するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水平方向除振機構の除振動作に影響を与えない鉛直方向除振機構であれば、バネ部材以外の、たとえば空気圧を用いて鉛直方向の振動を除振するように鉛直方向除振機構を構成してもよい。
【0125】
また、上記第1〜第5実施形態では、第1バネ部材の一例として、圧縮コイルバネからなるバネ部材を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、圧縮コイルバネ以外のバネ部材であってもよい。
【0126】
また、上記第1〜第5実施形態では、水平方向除振機構を、X方向除振部およびY方向除振部により2軸の除振を行うように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、水平方向除振機構を、X方向除振部またはY方向除振部により1軸の除振を行うように構成してもよい。
【0127】
また、上記第1〜第5実施形態では、鉛直方向除振機構を、バネ部材による復元力とオリフィスによる減衰力とを用いて鉛直方向の振動を除振するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、鉛直方向除振機構を、バネ部材による復元力のみを用いて鉛直方向の振動を除振するように構成してもよい。
【0128】
また、上記第3実施形態では、バネ定数の異なる4つのバネ部材の組み合わせによりバネ定数を変化させる構成例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、複数のバネ部材を用いることなく、たとえば、非線形特性を有する1つのバネ部材を用いてバネ定数を変化させる構成であってもよい。また、4つ以外の、2、3または5つ以上のバネ部材の組み合わせによりバネ定数を変化させる構成であってもよい。
【0129】
また、上記第3実施形態では、図8に示すように、バネ配置空間において4つのバネ部材を直線状に配列する構成の例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、バネ配置空間において、4つのバネ部材を配置スペースが小さくなるように平面的に見て円形状に配置する構成であってもよいし、直線状または円形状以外の配置形状を有して構成してもよい。
【0130】
また、上記第4実施形態では、丸軸部の第2部分の半径を第1部分の半径の1/2以下に構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、丸軸部の第2部分の半径が第1部分の半径よりも小さければ、第2部分の半径を第1部分の半径の1/2よりも大きくなるように構成してもよい。
【0131】
また、上記第5実施形態では、第2バネ部材の一例として、引張コイルバネを示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、圧縮コイルバネや板バネなど、引張コイルバネ以外のバネ部材であってもよい。
【0132】
また、上記第5実施形態では、第1水平テーブルとしての水平機構板および第2水平テーブルとしての水平共用板の間にリニアガイドを設けて、リニアガイドを介して水平機構板および水平共用板が互いに水平方向に相対変位するように構成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、リニアガイド以外の、たとえば、図13に示すように、水平機構板および水平共用板の間にコロ414cを設けて、コロ414cを介して水平機構板および水平共用板が互いに水平方向に相対変位する構成であってもよい。
【0133】
また、上記第1〜第5実施形態では、本発明の除振装置を露光装置に用いられる精密ステージ装置に適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、除振装置を露光装置以外の装置に用いられる精密ステージ装置に適用してもよいし、精密ステージ装置以外の装置に適用してもよい。
【符号の説明】
【0134】
2、502 鉛直方向除振機構
3、403 水平方向除振機構
25、525a、525b、525c、525d バネ部材(第1バネ部材)
31、431、631、431a X方向除振部
32、432 Y方向除振部
100、400 除振装置
211a オリフィス
311、411 水平機構板(第1水平テーブル)
312、322、412、422、612 振り子
312a、322a、612a 丸軸部
312b、322b、412b、422b、412e 腕部
312d ベアリング(軸受け部)
312e 係合爪(移動規制部)
313、413、413a 水平共用板(第1水平テーブル、第2水平テーブル)
323、423 定盤取付板(第2水平テーブル)
414、424 リニアガイド
419 水平バネ(第2バネ部材)
526a、526b、526c、526d アクチュエータ
527 荷重センサ
529 制御部
612b 第1部分
612c 第2部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉛直方向の床振動を除振する鉛直方向除振機構と、
前記鉛直方向除振機構とは独立して設けられた振り子を含み、前記振り子の復元力を用いて水平方向の床振動を除振する水平方向除振機構とを備え、
前記鉛直方向除振機構および前記振り子を含む水平方向除振機構は、それぞれの除振動作時に除振方向の力成分が他の除振方向の力成分に対して影響を与えないように構成されている、除振装置。
【請求項2】
前記鉛直方向除振機構は、床側に配置されており、
前記水平方向除振機構の前記振り子の回動軸は、前記床とは反対側に配置されているとともに、前記振り子の腕部は、前記鉛直方向除振機構の側方の外側に前記鉛直方向除振機構と高さ位置が重複するように配置されている、請求項1に記載の除振装置。
【請求項3】
前記鉛直方向除振機構は、1つ設けられており、
前記振り子を含む水平方向除振機構は、水平面内で直交する2つの軸にそれぞれ1つずつ設けられており、
1つの前記鉛直方向除振機構と、2つの前記水平方向除振機構とにより、3軸の除振を行うように構成されている、請求項1または2に記載の除振装置。
【請求項4】
前記鉛直方向除振機構は、前記振り子を含む水平方向除振機構とは独立して設けられた第1バネ部材を含むとともに、少なくとも前記第1バネ部材による復元力を用いて鉛直方向の床振動を除振するように構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載の除振装置。
【請求項5】
前記鉛直方向除振機構は、前記第1バネ部材に加えて減衰力を発生させるためのオリフィスをさらに含み、前記第1バネ部材による復元力および前記オリフィスによる減衰力を用いて鉛直方向の床振動を除振するように構成されている、請求項4に記載の除振装置。
【請求項6】
前記第1バネ部材は、バネ定数を変化可能に構成されており、
前記鉛直方向除振機構は、前記バネ定数を変化可能な前記第1バネ部材による復元力を用いて鉛直方向の床振動を除振するように構成されている、請求項4に記載の除振装置。
【請求項7】
前記鉛直方向除振機構は、前記第1バネ部材のバネ定数を変化させるアクチュエータを含む、請求項6に記載の除振装置。
【請求項8】
前記鉛直方向除振機構は、
複数の異なるバネ定数を有する前記第1バネ部材と、
複数の前記第1バネ部材をそれぞれ移動させる複数の前記アクチュエータと、
前記第1バネ部材により支持する荷重を検出する荷重センサと、
前記荷重センサの検出結果に基づいて、前記複数の第1バネ部材の中から検出された前記荷重に対応するバネ定数の前記第1バネ部材を単体または複数の組み合わせで選択し、選択された前記第1バネ部材を前記アクチュエータにより作動位置に移動させるように制御する制御部とを含む、請求項7に記載の除振装置。
【請求項9】
前記鉛直方向除振機構の制御部は、前記荷重センサの検出結果と所望の共振周波数とに基づいて、前記バネ定数と前記第1バネ部材の縮み量とを算出するとともに、算出した前記第1バネ部材の縮み量に基づいて、前記選択された第1バネ部材を移動させる前記アクチュエータのストローク量を調整するように構成されている、請求項8に記載の除振装置。
【請求項10】
前記水平方向除振機構は、
所定の間隔を隔てて対向するように配置された第1水平テーブルおよび第2水平テーブルと、
前記第1水平テーブルと前記第2水平テーブルとの間に配置され、前記第1水平テーブルと前記第2水平テーブルとを水平方向に相対変位させるとともに、前記振り子の腕部が取り付けられることにより前記振り子の回動軸になる丸軸部とを含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の除振装置。
【請求項11】
前記水平方向除振機構は、
前記丸軸部を回転可能に支持するとともに、外周部に溝を有する軸受け部と、
前記軸受け部の溝部に係合することにより前記軸受け部に支持される前記丸軸部の軸方向の移動を規制する移動規制部とをさらに含む、請求項10に記載の除振装置。
【請求項12】
前記丸軸部は、
前記第1水平テーブルに接触する第1の直径を有する第1部分と、
前記第2水平テーブルに接触して支持するとともに、前記第1部分よりも小さい第2の直径を有する第2部分とを含む、請求項10または11に記載の除振装置。
【請求項13】
前記第2部分の第2の直径は、前記第1部分の第1の直径の1/2以下である、請求項12に記載の除振装置。
【請求項14】
前記丸軸部は、第1の直径を有する第1部分と、前記第1部分よりも小さい第2の直径を有する第2部分とを含む段付きコロである、請求項12または13に記載の除振装置。
【請求項15】
前記水平方向除振機構は、
所定の間隔を隔てて対向するように配置された第1水平テーブルおよび第2水平テーブルと、
前記第1水平テーブルと前記第2水平テーブルとの間に配置され、前記第1水平テーブルと前記第2水平テーブルとを水平方向に相対変位させるリニアガイドとを含み、
前記振り子の腕部は、前記第1水平テーブルおよび前記第2水平テーブルの相対変位に伴って回動するように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の除振装置。
【請求項16】
前記水平方向除振機構は、所定の間隔を隔てて対向するように配置され、互いに水平方向に相対変位可能な第1水平テーブルおよび第2水平テーブルと、前記第2水平テーブルに取り付けられた第2バネ部材とを含み、
前記振り子の腕部は、前記第2バネ部材を介して前記第2水平テーブルに連結されているとともに、前記第1水平テーブルおよび前記第2水平テーブルの水平方向の相対変位に伴って回動するように構成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の除振装置。
【請求項17】
前記第2バネ部材の共振周波数が前記振り子の共振周波数よりも大きくなるように前記第2バネ部材のバネ定数が設定されている、請求項16に記載の除振装置。
【請求項18】
前記第2バネ部材の共振周波数が前記振り子の共振周波数の近傍の値となるように前記第2バネ部材のバネ定数が設定されている、請求項17に記載の除振装置。
【請求項19】
鉛直方向の床振動を除振する鉛直方向除振機構と、前記鉛直方向除振機構とは独立して設けられた振り子を有し、前記振り子の復元力を用いて水平方向の床振動を除振する水平方向除振機構とを含む除振装置を備え、
前記鉛直方向除振機構および前記振り子を有する水平方向除振機構は、それぞれの除振動作時に除振方向の力成分が他の除振方向の力成分に対して影響を与えないように構成されている、精密ステージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−220516(P2011−220516A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−164514(P2010−164514)
【出願日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(000006622)株式会社安川電機 (2,482)
【Fターム(参考)】