説明

陰イオン交換膜

アルカリ型燃料電池および特にダイレクトボロハイドライド燃料電池において使用するために適する陰イオン交換膜を調製するための方法は、モノマーを用いて炭化水素ポリマーフィルムを放射線グラフトする工程、および四級化剤を加える工程を含む。グラフト率は、モノマーと、アルコールおよび炭化水素溶媒を含む希釈剤とを混合する工程によって改善される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陰イオン交換膜の製造、特にアルカリ型燃料電池、およびより特にダイレクトボロハイドライド燃料電池の使用に適する陰イオン交換膜の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
陰イオン交換膜(AEM)は公知であり、様々な分離および精製用途において、例えば電気透析、塩分解および複分解において使用される。陰イオン交換膜は、単極性膜として、もしくは両極性膜のための1つの層としてのいずれかで使用できる;陰イオン交換膜は、多数の様々な技術によって、通例はハロメチル化ポリマーの様々なジアミン類によるアミノ化によって調製できる。EP 0563851(Fraunhofer)は、陰イオン選択層および陽イオン選択層を含む両極性膜を調製するための方法について記載している;これらの層は、ポリマー溶液から製造される。JP 2003096219(Asahi Glass)は、特定のハロアルキル基を有する芳香族ポリスルホンポリマーをポリアミンおよびモノアミンと反応させる工程によって形成される架橋構造を有するポリマーを含むAEMを調製するための方法について記載している。多数の公知のAEMに関する1つの問題は、特別には濃アルカリ性環境におけるこれらの安定性が、濃アルカリ溶液中での陰イオン交換基の分解に起因して不良である点にある。
【0003】
アルカリ性環境における不良な安定性は、アルカリ型燃料電池において使用されるあらゆるイオン交換膜についての欠点である。WO2006003182(Solvay)は、固体アルカリ型燃料電池において使用するために適するAEMについて記載している。AEMは、スルホンアミド結合によって支持体ポリマーへ結合されたジアミン類もしくはポリアミン類を含む。ジアミンもしくはポリアミンの少なくとも1つの窒素原子は、陰イオン交換基として作用する四級化窒素原子である。しかし、適正な化学的安定性を保持しながらこのような膜のイオン伝導性を改良することへの恒常的な要求がある。
【0004】
ダイレクトボロハイドライド燃料電池(DBFC)は、燃料がナトリウムボロハイドライド溶液であるアルカリ型燃料電池の下位カテゴリーである。従来型アルカリ型燃料電池中の水素に比したナトリウムボロハイドライドの主要な利点は、ナトリウムボロハイドライドが水素より保存するのが容易であり、改良されたシステムエネルギー密度をもたらすことにある。さらに、高アルカリ性燃料および生成される廃棄物のNa(ホウ砂)は、燃料電池の二酸化炭素中毒を防止する。
【0005】
DBFCは、低活性およびこの膜での大きなメタノールクロスオーバー率を被るダイレクトメタノール燃料電池(DMFC)に比した利点もまた有する。DMFCは、エネルギー効率および電池性能の減少を生じさせる。これとは対照的に、DBFCは、気体状副産物を生じず、より高い比エネルギーを生じる。DBFCは、陽イオン交換膜(CEM)またはAEMのいずれかを用いて機能できる。AEMの使用は、陽極から陰極へのナトリウムハイドロキシドの再循環を必要としないという利点を有する。しかし、他の用途のために市販で入手できるAEMはほとんど開発されておらず、アルカリ型燃料電池において、特にDBFCにおいて使用するためには最適化されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】欧州特許第0563851号明細書
【特許文献2】特開2003−096219号公報
【特許文献3】国際公開第2006003182号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、燃料クロスオーバーを最小限に抑えるために増加したイオン伝導性、アルカリ性環境における高い化学的安定性および低透過性を有するAEMを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、このため、陰イオン交換膜を調製するための方法であって、炭化水素ポリマーフィルムを選択する工程、モノマーを用いて炭化水素ポリマーフィルムを放射線グラフトする工程、およびイオン伝導性を付与するために四級化剤を加える工程を含み、モノマーはモノマー/希釈剤混合物の形態で提示され、希釈剤はアルコールおよび炭化水素溶媒を含む方法を提供する。
【0009】
陰イオン交換膜は、好ましくは任意のホモポリマーを除去するために適切な溶媒中で洗浄され、一定重量へ乾燥させられる。この工程が排除されると、未反応モノマーは使用中にポリマーを洗い流し、時間とともに膜のイオン伝導性に影響を及ぼす。
【0010】
希釈剤は、好ましくは少なくとも10容積%のアルコールを含み、使用されるアルコールは、好ましくはメタノールである。炭化水素溶媒は、有益には、芳香族もしくは脂肪族炭化水素からなる群より選択され、好ましい選択肢はトルエン、キシレンもしくはベンゼンである。
【0011】
費用を減らすために、モノマー/希釈剤混合物のモノマー含量は最小限に抑えられ、好ましくは60容積%未満、およびより好ましくは30容積%から50容積%の範囲内にある。
【0012】
モノマーとしてビニルベンゼンクロライド(VBC)またはビニルピリジン(VPy)を使用すると、特に改善された膜特性を生じることが見出されている。
【0013】
炭化水素ポリマーフィルムは、粉末または顆粒から前形成もしくは調製することができる。任意の炭化水素ポリマーフィルムを使用できるが、低密度ポリエチレン(LDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)が広汎に利用可能および比較的安価であり、このため好ましい出発材料である。
【0014】
放射線グラフト法は長年にわたり公知であり、様々な種類の膜を調製するために成功が得られる経路であることが証明されている。放射線グラフト法は、ハイブリッド材料を2つの完全に相違する材料から形成することを可能にする。例えば低密度ポリエチレンは、疎水性および非イオン伝導性である安定性炭化水素フィルムである。アクリル酸は、親水性で酸性モノマーである;このポリマー形では、アクリル酸は機械的に弱く、水溶性である。しかし、グラフトされたコポリマーがこれらの2つの成分から形成されると、機械的に強度の、不溶性で親水性の酸性イオン交換膜が入手される。
【0015】
放射線グラフト法のためには、相互グラフト(MG)法および照射後グラフト(PIG)法の2つの基本方法がある;相違はフィルムに照射が適用される工程にある。MG法では、ポリマーおよびモノマーは照射されている間に一緒に反応させられるが、他方PIG法についてはフィルムは相当に安定性のペルオキシラジカルを形成するために酸素含有大気中で単独で照射され、その後に別個の反応においてモノマーと反応させられる。MG法はより優れた膜一様性および伝導性を提供することが公知であるが、PIG照射されたポリマーはグラフトする能力を失わずに1年間まで低温でこの反応性状態に維持することができるので、PIG法はより大量の膜を調製するためにより適する可能性がある。選択される方法は、含まれるモノマーおよびポリマーに依存してもよい。このため、本発明は、両方の放射線グラフト法へ同等に適用される。
【0016】
実践では、グラフトされたコポリマーは調製されたままの不良なイオン伝導性を有することが見出されているが、これはポリマー上にグラフトされた成分(例えばVBCおよびVPy)自体がイオン伝導性ではないためである。このため、イオン伝導性を付与するためには後処理が必要とされる。これは四級化と呼ばれる。含まれるモノマーに依存して、このためには多数の物質を使用できる。四級化剤は、アミン類からなる群より選択されてよく、より好ましくはアルキルアミンであってよい。最も好ましい四級化剤は、塩酸(HCl)、2−クロロアセトアミド(2−CA)、トリメチルアミン(TMA)、トリエチルアミン(TEA)またはジメチルホルムアミド(DMF)であることが見出されている。
【0017】
四級化剤は、膜の化学的安定性を向上させるための架橋剤、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルヘキサン−1,6−ジアミン、ジエチルアミノエチルアミン、ジエチルアミノプロピルアミンであってよい(J.Varcoeら,Chem.Comm.,2006,13,1428−1429を参照されたい。)。
【0018】
以下では、本発明を例として添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】モノマーとしてビニルベンジルクロライドを用いる反応スキームを例証する。
【図2】モノマーとして4−ビニルピリジンを用いる反応スキームを例証する。
【図3】本発明の1つの実施形態による方法の相互グラフトする工程のために使用される装置を例証する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、VBCがグラフトされ、TMAを用いて四級化される、本発明の1つの実施形態の反応スキームを例証する。図2は、VPyがグラフトされ、HClを用いて四級化される、本発明のまた別の実施形態の反応スキームを例証する。
【0021】
図3を参照すると、選択されたポリマーフィルム1の断片が不織布の吸収性中間層材料2と交互配置され、ガラス製グラフト反応容器3内に配置されている。モノマー/希釈剤混合物4は、ロールが飽和するまで加えられる。次に容器内の酸素は、反応物質上方で不活性雰囲気5を作り出すために、窒素を用いてパージする工程、または容器を窒素下に配置する工程のいずれかによって除去される。次に容器は、電離放射線6で照射される。以下に記載した実施例では、照射は、公知の線量率で規定時間にわたりコバルト60γ線源内で23±1℃で実施した。グラフトされると、フィルムは、任意のホモポリマーを除去するために適切な溶媒中で洗浄され、その後に70℃のオーブン内で一定重量へ乾燥させられる。
【0022】
次にグラフトされたフィルムは、選択された四級化剤の水溶液中に浸漬する。
【0023】
実験
全ポリマーおよび試薬を、受領したまま使用した。低密度ポリエチレン(LDPE)(公称厚さ50μm)をBPI Filmsにより供給し、高密度ポリエチレン(HDPE)(公称厚さ40μm)をMetal Box Co.により供給した。4−ビニルベンジルクロライド(VBC)を、0.05%のtert−ブチルカテコールおよび0.05%のニトロパラフィンを用いて安定化してAldrich(登録商標)により供給した。4−ビニルピリジン(VPy)(95%)を、100ppmヒドロキノンを用いて安定してAldrich(登録商標)により供給した。<50μScm−1の伝導性を備える脱塩水は、混合床Elgastat(登録商標)から供給した。トルエンおよびメタノールは、Fisher Scientific(英国)(SLR等級)により供給した。5M塩酸Analar滴定液を、Merck(登録商標)により供給した。トリメチルアミン(TMA)(50重量%の水溶液)、トリエチルアミン(TEA)(99.5%)、2−クロロアセトアミド(2−CA)およびジメチルホルムアミド(DMF)を、Aldrich(登録商標)により供給した。
【0024】
合成された膜は、多数の実験室試験を用いて特徴付けた。これらは、電解質中の面積抵抗率、イオン交換能(IEC)、平衡電解質取り込み(EEU)および化学的安定性を含んでいた。
【0025】
膜のグラフト率(DOG)は、以下の式、
【0026】
【数1】

(式中、
=グラフト前のポリマーフィルムの重量
=グラフトコポリマーの重量)を用いて計算した。
【0027】
これは、DOGがポリマー内のモノマーの量と同等であることを意味する。このため、DOG=50%を有するコポリマーは、50%のグラフトモノマー+50%のオリジナルポリマーからなる。
【0028】
燃料電池使用のためには、膜が電池の効率を最大化するために可能な最低抵抗率を有することが重要である。合成された膜を順位付けするために、これらの電解抵抗率は、25±1℃の温度でサーモスタット制御された電池内にこの膜を配置することによって測定した。外部トルククランプを使用して、膜が試験中に過度に圧縮されないことを保証した。膜サンプルは、測定する前に最低16時間にわたり電解質(6M NaOH)中で平衡化した。抵抗の測定値は、公知の試験面積に渡って1591.5Hzの周波数でWayne Kerr Universal Bridge、B642型を用いて入手した。電解質経路の抵抗率値は、試験領域内にあけた穴を用いて膜に匹敵する厚さのポリマーブランクを用いて測定した。次に「ブランク」測定値は、サンプル測定値から減じた。各膜について、2つのサンプルを試験し、結果を平均化した。次に、サンプルの面積を考慮に入れて膜抵抗率を計算した。
【0029】
IECの測定値は、膜内のイオン基がイオン化して相違するイオンを交換する能力の指標である。このため、この測定値は膜の機能化の尺度でもある。理論的IECは、各グラフト官能基が交換反応を発生することを仮定して、加えられる成分の各々についてDOGから計算できる。このため測定されたIECを理論値と比較すると、四級化の有効性の尺度が生じる。しかし、IEC測定値単独では、膜が燃料電池内でどのように実行するのかを必ずしも示さない。膜がこの全厚にわたってグラフトされていない場合は、依然として高IEC(大きなDOGを有する場合)を有する可能性があるが、さらにまた高抵抗率測定値を有し、燃料電池使用には適合しない。
【0030】
IECを、以下のように測定した。およそ0.5gの膜を、周囲温度で少なくとも24時間にわたり0.1M HCl溶液中で平衡化した。次にサンプルは、拭い取って乾燥し、モル数が公知のナトリウムハイドロキシド溶液(公称0.1M)50mL中に入れ、随時かき混ぜながら周囲温度でさらに24時間にわたり交換した。交換したNaOH溶液のアリコートは、公知のモル数のHCl溶液に対してフェノールフタレインエンドポイントへ滴定した。この方法を3回ずつ実施し、結果を平均化した。次に交換におけるサンプル片を拭き取って乾燥し、105±5℃の真空オーブン内に配置し、一定重量へ乾燥した。
【0031】
EEUを測定するために、膜を、40℃で乾燥した後に最初にこれらのヒドロキシル形で計量した。次に膜を6M NaOH中で水和し、周囲温度で一晩放置した。次に膜をNaOHから取り出し、表面から過剰な電解質を拭い取って除去し、計量した。EEUは以下、
【0032】
【数2】

(式中、
=膜の乾燥重量
=電解質で湿潤させた膜の重量)のように計算した。
【0033】
化学的安定性を評価するために、膜は、酸化環境および還元環境の両方に曝されるため、これらの両方の環境において試験し、可能性のある最も厳しい試験を提供するために燃料電池内では、高い温度で使用した。乾燥したハイドロキシド形にある膜を計量し、これらの状態(色など)を記録した。次にこれらをカリウムハイドロキシド(68.8g)/カリウムパーマンガナート(3.2g)の水溶液中で1時間にわたり90℃で処理した(酸化環境)。次に膜を脱塩水中ですすぎ洗い、明白な物理的変化を記録した。次に同一の膜をナトリウムボロハイドライド(30g)/ナトリウムハイドロキシド(6M)の水溶液中に3時間にわたり70℃で浸漬した(還元環境)。次に膜を脱塩水中で洗浄し、一定重量へ乾燥させ、何らかの物理的変化を観察した。重量変化はパーセンテージで記録した。大きな重量損失を化学的不安定性の指標と見なし、これをさらに面積抵抗率およびIECの再測定によってチェックした。
【実施例1】
【0034】
この実施例は、モノマーとしてのビニルベンジルクロライド(VBC)との相互グラフト反応について記載している。膜のための基本ポリマーフィルムは50μmの低密度ポリエチレン(LDPE)および40μmの高密度ポリエチレン(HDPE)であった。他の基本ポリマー、例えばエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)も使用したが、製造された膜は特徴付け試験において同様には機能しなかった。
【0035】
実験は、総線量定数を維持しながら様々な線量率(グラフト時間)、および相違する総線量(線量率定数は維持する。)で実施した。
【0036】
相互膜のために最適な総放射線線量は、低線量率では1Mradであることが見出された。総線量が高いほど望ましくない渦流反応(ホモ重合)を生じさせ、低いDOGが生じた。線量率が低いほどDOGが上昇することが見出された。
【0037】
表1は、希釈組成物が達成されたDOGに及ぼす作用を示す。DOGは、メタノールの添加によって上昇することが分かる。
【0038】
【表1】

【0039】
TMA、DMFおよびTEAを含むVBCコポリマーのために多数の四級化剤を使用した。図1は、TMAを用いたVBCコポリマーの四級化を例証する。膜は、加熱しながら、または周囲温度のいずれかでアミンの水溶液中へ浸漬した。膜は、表2に示したように特徴付けた。
【0040】
【表2】

【0041】
面積抵抗率(6M NaOH中の)は、膜の潜在性能を評価するために便宜的および有用な技術である。表2からは、17%未満のDOGを備えるVBC膜およびDMFを用いて四級化したVBC膜が燃料電池における使用を妨害する可能性の高い高抵抗率を有することが分かる。
【0042】
表2から、DMFは、VBCグラフトコポリマーのための四級化剤としては良好に機能しないことが分かる。この方法で処理した膜は、VBCのグラフト重量についての理論値より高い面積抵抗率および低いIECを有する(29% IEC=1.709meq/g、測定値=0.665meq/g)。VBCコポリマーのための最良の四級化剤は、理論値に匹敵する低い抵抗率およびIECを生じさせるTMAである。最良の条件は、4時間にわたる周囲温度であると測定された。
【0043】
どちらも22%のDOGを備え、TMAで四級化された2つの膜、HDPE−g−VBCおよびLDPE−g−VBCを6M NaOH溶液中に配置し、60日間までの様々な期間にわたり25℃から40℃の設定温度で維持した。次に膜の面積抵抗率を再測定し、何らかの変化は潜在不安定性の指標であると見なした。結果は表3に要約するが、VBCグラフト膜が少なくとも40℃および60日間までは安定性であることを示す。測定された抵抗率は、測定技術に関連する実験誤差の範囲内にあると考えられる。
【0044】
【表3】

【実施例2】
【0045】
この実施例は、モノマーとしてのビニルピリジン(VPy)との相互グラフト反応について記載している。同様に、使用したポリマーフィルムは、50μmのLDPEおよび40μmのHDPEであった。VPyグラフト膜についての四級化反応は、5M HClまたは2CAのいずれかを用いる熱処理を使用して実施した。
【0046】
得られたDOGは、10%から60%の範囲内にあった。モノマーとしてVPyを用いると高グラフトを入手できるが、DOGが所定レベルを超えると、膜の特性は損なわれる;58%を超えるDOGは、膜として使用するには過度に脆性であった。
【0047】
これらの結果は表4に要約するが、DOG>29%を備え、5M HClまたは2CAのいずれかを用いてアミノ化したVPyグラフト膜は、低面積抵抗率を有することを示している。
【0048】
【表4】

【0049】
本発明は、米国海軍研究局による補助金番号N00014−02−1−0225を付して米国政府の支援を受けて実施された。米国政府は、本発明に所定の権利を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
陰イオン交換膜を調製するための方法であって、炭化水素ポリマーフィルムを選択する工程、モノマーを用いて炭化水素ポリマーフィルムを放射線グラフトする工程、およびイオン伝導性を付与するために四級化剤を加える工程を含み、モノマーはモノマー/希釈剤混合物の形態で提示され、希釈剤はアルコールおよび炭化水素溶媒を含む方法。
【請求項2】
任意のホモポリマーを除去するために適切な溶媒中で陰イオン交換膜を洗浄する工程、および一定重量へ乾燥させる工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
モノマー/希釈剤混合物は、少なくとも10容積%のアルコールを含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アルコールは、メタノールを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
炭化水素溶媒は、芳香族炭化水素および脂肪族炭化水素からなる群より選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
炭化水素溶媒は、トルエン、キシレンおよびベンゼンからなる群より選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
モノマー/希釈剤混合物のモノマー含量は、60容積%未満である、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
モノマー/希釈剤混合物のモノマー含量は、30容積%から50容積%である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
モノマーは、ビニルベンゼンクロライド(VBC)およびビニルピリジン(VPy)からなる群より選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
炭化水素ポリマーフィルムは、低密度ポリエチレン(LDPE)および高密度ポリエチレン(HDPE)からなる群より選択される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
放射線グラフト工程は、相互グラフト法である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
放射線グラフト工程は、後照射グラフト法である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
四級化剤は、アミン類からなる群より選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
四級化剤は、アルキルアミン類からなる群より選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
四級化剤は、トリメチルアミン(TMA)およびトリエチルアミン(TEA)からなる群より選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
四級化剤は、塩酸(HCl)、2−クロロアセトアミド(2−CA)、およびジメチルホルムアミド(DMF)からなる群より選択される、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
四級化剤は、架橋剤である、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
添付図面を参照して上記で説明した陰イオン交換膜を実質的に調製するための方法。
【請求項19】
請求項1から18に記載の方法によって調製された陰イオン交換膜。
【請求項20】
請求項19に記載の陰イオン交換膜を組み込んでいるアルカリ型燃料電池。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−516853(P2010−516853A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546810(P2009−546810)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【国際出願番号】PCT/GB2008/000253
【国際公開番号】WO2008/090351
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(390040604)イギリス国 (58)
【氏名又は名称原語表記】THE SECRETARY OF STATE FOR DEFENCE IN HER BRITANNIC MAJESTY’S GOVERNMENT OF THE UNETED KINGDOM OF GREAT BRITAIN AND NORTHERN IRELAND
【Fターム(参考)】