説明

陰圧治療装置

【課題】創傷部Wへ供給する洗浄液等の補充作業を省力化でき、可搬性に優れた陰圧治療装置を提供すること。
【解決手段】供給流路1を通じて供給された流体(洗浄液)を、創傷部Wを被覆シートSで覆って形成した閉鎖空間内へ送出チューブ3を通じて送出する送出ポンプ2と、閉鎖空間を陰圧状態に保ちながら閉鎖空間から吸引チューブ4を通じて流体(洗浄液及び体液)を吸引する吸引ポンプ5と、吸引した流体を供給流路1へ戻す循環流路6と、吸引した流体を濾過する濾過手段8と、吸引した流体の濁度を検出する濁度センサ91と、その濁度に応じて切換弁7を制御する弁制御手段71と、から陰圧治療装置10を構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、陰圧治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、陰圧治療装置として、皮膚潰瘍や組織欠損等の創傷部を被覆シートで覆って創傷部の周囲に閉鎖空間を形成し、この閉鎖空間内へ洗浄液を供給する一方、閉鎖空間を陰圧状態に保ちながら、創傷部から滲出する体液を洗浄液と共に吸引する治療装置が知られている(例えば、下記特許文献1、2参照)。
【0003】
かかる陰圧治療装置によれば、創傷部を洗浄し、壊死細胞や細菌等を創傷部から吸引除去するとともに、陰圧によって創傷部の血流を促進し、治癒効果を高めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2008−538962号公報
【特許文献2】特表2007−509683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この陰圧治療を行う場合、特に治療初期においては、多量の洗浄液が必要となる。そのため、従来では、洗浄液バッグの交換など、洗浄液の補充作業を頻繁に行う必要があり、手間がかかる難点があった。また、比較的に容量の大きい洗浄液バッグを使用することから、装置の可搬性が低下する難点があった。
【0006】
本発明は、従来の陰圧治療装置に上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、洗浄液等の補充作業を省力化でき、可搬性に優れた陰圧治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、供給流路を通じて供給された流体を、創傷部を被覆シートで覆って形成した閉鎖空間内へ送出チューブを通じて送出する送出ポンプと、前記閉鎖空間を陰圧状態に保ちながら該閉鎖空間から吸引チューブを通じて流体を吸引する吸引ポンプと、一端側が前記吸引チューブに接続され、他端側が前記供給流路に切換弁を介して接続され、該吸引チューブを通じて吸引した流体を該供給流路へ戻す循環流路と、前記循環流路に設けられ、吸引した流体を濾過する濾過手段と、前記吸引チューブまたは前記循環流路に設けられ、吸引した流体の濁度を検出する濁度センサと、前記濁度センサにより検出した濁度に応じて前記切換弁を制御する弁制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、前記濁度センサにより検出した濁度に応じて前記送出ポンプを制御するポンプ制御手段を備えたことを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記吸引チューブまたは前記循環流路に、吸引した流体の濁度を検出する他の濁度センサを設け、該他の濁度センサにより検出した濁度に応じて前記送出ポンプを制御するポンプ制御手段を備えたことを特徴としている。
【0010】
更にまた、前記濁度センサが、前記循環流路における前記濾過手段の下流側に設けられ、前記他の濁度センサが、前記循環流路における前記濾過手段の上流側に設けられていることを特徴としている。
【0011】
更にまた、本発明は、前記吸引チューブまたは前記循環流路に、互いに対向する一対の流路壁部が平行に形成された検出流路を設け、該検出流路を流れる流体の濁度を該流路壁部において前記濁度センサまたは前記他の濁度センサで検出することを特徴としている。
【0012】
更にまた、本発明は、前記循環流路における前記濾過手段の上流側に、吸引した流体を外部へ廃棄する廃棄流路を備えたことを特徴としている。
【0013】
更にまた、本発明は、前記循環流路における前記濾過手段の下流側に、該濾過手段側から流体を吸引する循環ポンプを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る陰圧治療装置によれば、創傷部から吸引した流体を、そのまま廃棄することなく、濾過手段で濾過して循環流路及び切換弁を通じて再び創傷部へ供給することができるので、洗浄液の使用量を大幅に削減することができる。したがって、洗浄液バッグの交換回数を減らすことができ、洗浄液の補充作業を格段に省力化することができる。また、従来のように比較的に容量の大きい洗浄液バッグを使用する結果、装置の可搬性が低下するといった難点もなく、可搬性に優れた陰圧治療装置を提供することができる。
【0015】
しかも、創傷部から吸引した流体の濁度を濁度センサで検出し、その濁度に応じて切換弁を制御することができるので、より効率的に洗浄液を使用することができる。
【0016】
また、創傷部から吸引した流体の濁度に応じて送出ポンプを制御することによって、例えば、創傷部の体液の滲出程度に応じて即座に送出ポンプによる洗浄液の送出量を調節することができ、このことによっても洗浄液の使用量を削減することができる。
【0017】
また、吸引チューブまたは循環流路に検出流路を設ければ、検出流路を流れる流体の濁度を濁度センサで検出することによって、その検出精度を高めることができる。
【0018】
また、循環流路における濾過手段の上流側に、吸引した流体を外部へ廃棄する廃棄流路を設ければ、例えば治療初期等において、創傷部から吸引した流体が比較的に多量の体液を含むとき、その流体を濾過手段で濾過して創傷部へ再供給せずに、廃棄流路を通じて外部へ廃棄することが可能となる。
【0019】
また、循環流路における濾過手段の下流側に、濾過手段側から流体を吸引する循環ポンプを設ければ、吸引ポンプ5による吸引力や濾過手段の抵抗にかかわらず、円滑かつ安定に流体を循環させて陰圧治療を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本実施形態の陰圧治療装置を示す概略全体図である。
【図2】創傷部に形成した閉鎖空間を示す概略断面図である。
【図3】本実施形態の陰圧治療装置の検出流路の(a)平面図、及び(b)側面図である。
【図4】本発明に係る陰圧治療装置の変形例を示す概略全体図である。
【図5】本発明に係る陰圧治療装置の他の変形例を示す概略全体図である。
【図6】本発明に係る陰圧治療装置の更に他の変形例を示す概略全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本実施形態の陰圧治療装置10は主として、図1に示すように、皮膚潰瘍や組織欠損等の創傷部Wへ流体(洗浄液)を送出チューブ3を通じて送出する送出ポンプ2と、創傷部Wから流体(洗浄液及び体液)を吸引チューブ4を通じて吸引する吸引ポンプ5と、吸引した流体を再び送出ポンプ2へ供給する循環流路6及び切換弁7と、循環流路6の流体を濾過する濾過手段8と、濾過手段8により濾過した流体の濁度を検出する一の濁度センサ91と、濾過前の流体の濁度を検出する他の濁度センサ93と、一の濁度センサ91により検出した流体の濁度に応じて切換弁7を制御する弁制御手段71と、他の濁度センサ93により検出した流体の濁度に応じて送出ポンプ2を制御するポンプ制御手段21と、を備えている。
【0022】
図2に示すように、創傷部Wには、柔軟で流体(洗浄液)を透過可能な多孔質パッドPが配置され、創傷部W及びパッドPを被覆するように被覆シートSが貼着されている。この被覆シートSによって、創傷部Wの周囲に実質的に気密な閉鎖空間Cが形成され、この閉鎖空間C内に予め送出チューブ3及び吸引チューブ4の先端開口部が引き入れられている。
【0023】
送出ポンプ2は、図1に示すように、洗浄液バッグBから供給流路1を通じて供給された流体(洗浄液)を、送出チューブ3を通じて上記閉鎖空間C内へ送出する。本実施形態では、送出ポンプ2として、供給流路1の少なくとも一部を成す柔軟なチューブを回転ヘッドで順次押し潰してチューブ内の流体を送るチューブポンプを採用している。チューブポンプの回転ヘッドの回転を制御することで流体を設定流量で送り出すことができる。なお、送出ポンプ2として、例えばピストンポンプ、ダイアフラムポンプ、ベーンポンプ等の他の定量ポンプを採用することもできる。また、洗浄液として、例えば生理食塩水や、生理食塩水に所要の薬剤等を添加したものを採用することができる。
【0024】
吸引ポンプ5は、吸引チューブ4を通じて閉鎖空間Cを陰圧状態に保ちながら、閉鎖空間C内から流体(洗浄液及び創傷部Wから滲出した体液)を吸引する。本実施形態では、吸引ポンプ5として、ダイヤフラム式真空ポンプを採用しており、循環流路6の中途に着脱自在に設けられた貯留タンク61内を減圧することで流体を吸引する。吸引された流体は、貯留タンク61に一時的に貯留される。また、吸引ポンプ5は、圧力センサ51で検出した閉鎖空間Cの陰圧に応じて不図示の制御手段により制御され、閉鎖空間Cの陰圧を設定レベルに保つことができる。なお、吸引ポンプ5として、例えばチューブポンプ、ベーンポンプ等の他のポンプを採用することもできる。
【0025】
循環流路6は、一端側が吸引チューブ4に接続され、他端側が供給流路1に切換弁7を介して接続されており、吸引チューブ4を通じて吸引した流体を供給流路1へ戻すための流路である。循環流路6における貯留タンク61の下流側には、濾過手段8が設けられており、吸引した流体(洗浄液及び体液)を濾過する。本実施形態の濾過手段8は、例えば壊死細胞、細菌、その他の治療に有害な物質を流体から取り除き、細胞基質成分、成長因子、生理活性物質、その他の治療に有益な物質を洗浄液とともに通過させる。
【0026】
切換弁7は、濾過手段8で濾過した循環流路6の流体を送出ポンプ2へ供給するか、洗浄液バッグBに貯留された流体を送出ポンプ2へ供給するかを切り換えることができる。切換弁7は、例えば、循環流路6の流体を2秒間、送出ポンプ2へ供給した後、洗浄液バッグBの流体を1秒間、送出ポンプ2へ供給する切換えを繰り返して行うことができる。また、循環流路6の流体又は浄液バッグBの流体を2秒間、送出ポンプ2へ供給し、一秒間その供給を停止する間欠開閉を繰り返して行うこともできる。また、切換弁7の開度を制御することで、洗浄液バッグBの流体の供給量と循環流路6の流体の供給量との割合を変えることもできる。
【0027】
一方の濁度センサ91は、循環流路6における濾過手段8の下流側に配設され、濾過手段8により濾過した流体の濁度を検出する。本実施形態では、濁度センサ91として、透過型レーザセンサを採用しており、流体を透過した透過光量を検出して流体の汚れや色濃度等の濁度の変化を検出する。
【0028】
本実施形態では、図1及び図3に示すように、循環流路6の中途に、互いに対向する一対の流路壁部(921、922)が平行に形成された検出流路92を設け、この検出流路92を流れる流体の濁度を濁度センサ91で検出するようにしている。本実施形態の検出流路92は、透明なガラス材又は硬質合成樹脂材から形成されており、流路横断面が長方形状を成している。この検出流路92の互いに平行な流路壁部(921、922)を透過した透過光を濁度センサ91で検出することによって、その検出精度を高めている。また、検出流路92が透明なので、必ずしも循環流路6が透光性を有している必要はなく、循環流路6の材質が制約されることもない。なお、検出流路92の流路内面には、へパリン等の抗凝固剤がコーティング処理されていることが好ましい。
【0029】
循環流路6の濾過後の流体の濁度を検出した濁度センサ91は、検出信号を弁制御手段71へ出力し、弁制御手段71はその検出信号に応じて切換弁7の切換えや開度を制御する。
【0030】
他方の濁度センサ93は、図1に示すように、循環流路6における濾過手段8の上流側に配設され、濾過手段8により濾過する前の流体の濁度を検出する。濁度センサ93も透過型レーザセンサから成り、また、循環流路6の中途に、上記検出流路92と同じ検出流路94を設け、検出流路94を流れる流体の濁度を濁度センサ93で検出する。
【0031】
循環流路6の濾過前の流体の濁度を検出した濁度センサ93は、検出信号をポンプ制御手段21へ出力し、ポンプ制御手段21はその検出信号に応じて送出ポンプ2の流体送出量を制御する。
【0032】
こうして本実施形態の陰圧治療装置10は、送出ポンプ2を作動させて予めセットした洗浄液バッグBの流体(洗浄液)を、創傷部Wの閉鎖空間C内へ設定流量、送出する一方、吸引ポンプ5を作動させて、閉鎖空間Cを設定レベルの陰圧状態に保ちながら、創傷部Wから滲出する体液を洗浄液と共に吸引する。そして、吸引した流体を濾過手段8で濾過しながら循環流路6及び切換弁7を通じて再び送出ポンプ2へ供給することで陰圧治療を行うのである。
【0033】
なお、吸引ポンプ5を作動させて貯留タンク61を減圧すると、貯留タンク61の下流側の循環流路6の流体にも、貯留タンク61側への吸引力が作用するが、切換弁7により循環流路6と送出ポンプ2とを連通させて送出ポンプ2を作動させれば、送出ポンプ2の吸引力によって循環流路6の流体を循環させることができる。
【0034】
このように本実施形態の陰圧治療装置10によれば、創傷部Wから吸引した流体を、そのまま廃棄することなく、濾過手段8で濾過して循環流路6を通じて再び創傷部Wへ供給することができるので、洗浄液の使用量を大幅に削減することができる。したがって、洗浄液バッグの交換回数を減らすことができ、洗浄液の補充作業を格段に省力化することができる。また、洗浄液の使用量を削減できるので、従来のように比較的に容量の大きい洗浄液バッグを使用する結果、装置の可搬性が低下するといった難点もなく、可搬性に優れた陰圧治療装置を提供することができる。
【0035】
しかも、濾過後の流体の濁度を一の濁度センサ91で検出し、その濁度に応じて切換弁7を制御することができるので、より効率的に洗浄液を使用することができ、このことによっても洗浄液の使用量を削減することができる。
【0036】
また、本実施形態の陰圧治療装置10によれば、創傷部Wから吸引した濾過前の流体(洗浄液及び体液)の濁度を他の濁度センサ93で検出し、その濁度に応じて送出ポンプ2を制御することができるので、例えば、創傷部Wの体液の滲出程度を把握し、即座にその滲出変化に応じて送出ポンプ2による洗浄液の送出量を調節することができる。このことによっても洗浄液の使用量を削減することができる。
【0037】
また、本実施形態の陰圧治療装置10によれば、洗浄液バッグBから供給された流体(洗浄液)を、送出ポンプ2によって確実に定量送出することができるので、たとえ洗浄液バッグBの高さ位置が変化しても、閉鎖空間Cへの流体供給量が変動することもない。このことによっても、装置の可搬性を向上させることができる。
【0038】
以上、本実施形態の陰圧治療装置10について説明したが、本発明はその他の形態でも実施することができる。
【0039】
例えば、図4に示す陰圧治療装置20のように実施してもよい。陰圧治療装置20は、循環流路6における濾過手段8の上流側に、創傷部Wから吸引した流体(洗浄液と体液)を必要に応じて外部へ廃棄するための廃棄流路62を設けた点に特徴がある。一般的に治療初期においては、創傷部Wから比較的に多量の体液が滲出する。陰圧治療装置20は、創傷部Wから吸引した流体が比較的に多量の体液を含むとき、その流体を濾過手段8で濾過して創傷部Wへ再供給せずに、廃棄流路62を通じて外部へ廃棄できるように構成されている。
【0040】
即ち、廃棄流路62は、一端側が循環流路6における貯留タンク61の上流側に、切換弁63を介して接続され、他端側が廃棄タンク64に接続されている。廃棄タンク64は、着脱自在に設けられており、上記吸引ポンプ5により減圧されて流体を吸引する。切換弁63は、創傷部Wの流体(洗浄液と体液)を、上記貯留タンク61によって吸引させるか、廃棄タンク64によって吸引させるかを切り換えることができる。
【0041】
また、陰圧治療装置20は、濁度センサ93によって濾過手段8により濾過する前の流体の濁度を検出し、弁制御手段65がその検出信号に応じて切換弁63の切換えを制御するように構成されている。
【0042】
したがって、陰圧治療装置20によれば、例えば治療初期等において、体液の滲出量が多いとき、これを濁度センサ93で検出し、弁制御手段65により切換弁63を切り換えることで、流体(洗浄液と体液)を廃棄タンク64によって吸引させることができ、その後、廃棄タンク64を取り外して流体を廃棄することができる。そして、体液の滲出量が少なくなったとき、これを濁度センサ93で検出し、弁制御手段65により切換弁63を切り換えることで、流体(洗浄液と体液)を貯留タンク61によって吸引させることができ、その流体を濾過手段8で濾過して創傷部Wへ再供給することができるのである。
【0043】
なお、陰圧治療装置20では、循環流路6における貯留タンク61の上流側に、切換弁63を介して廃棄流路62を設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、上記実施形態の陰圧治療装置10において、貯留タンク61の底部に、切換弁を介して廃棄流路を設けてもよい。また、貯留タンク61内の流体を外部へ吸い出すための吸出ポンプと廃棄流路を設けても良い。また、着脱自在に設けられた貯留タンク61を手動で取り外してタンク内の流体を廃棄するようにしてもよい。更にまた、濁度センサ93とは別の他の濁度センサを吸引チューブ4または循環流路6に設け、その検出信号を弁制御手段65へ出力し切換弁63を制御してもよい。
【0044】
また、図5に示す陰圧治療装置30のように実施してもよい。陰圧治療装置30は、循環流路6における濾過手段8の上流側に配設された一の濁度センサ95の検出信号に応じて弁制御手段72が切換弁7を制御するとともに、同じく一の濁度センサ95の検出信号に応じてポンプ制御手段21が送出ポンプ2を制御する点に特徴がある。切換弁7を制御するための濁度センサと、送出ポンプ2を制御するための濁度センサとを共通化することで、装置構成をより簡素化することができる。
【0045】
また、図6に示す陰圧治療装置40のように実施してもよい。陰圧治療装置40は、循環流路6における濾過手段8の下流側に、濾過手段8側から流体(濾過後の流体)を吸引する循環ポンプ66を設けた点に特徴がある。このことで、循環流路6における濾過手段8の下流側において、上記吸引ポンプ5による吸引力や濾過手段8の抵抗にかかわらず、円滑かつ安定に流体を循環させることが可能となる。なお、循環ポンプ66として、チューブポンプの他、ピストンポンプ、ダイアフラムポンプ、ベーンポンプ等を採用することができる。また、循環流路6に液溜め容器を介して真空ポンプを設けてもよい。また、構成の簡素化を図るべく循環流路6に圧力調整弁を介して上記吸引ポンプ5を接続するようにしてもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、図1に示すように、濁度センサ(91、93)を、循環流路6に設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、濁度センサを吸引チューブ4に配設してもよい。また、濁度センサは、透過光測定方式のものに限定されるものではなく、散乱光測定方式のものを採用してもよい。
【0047】
また、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得る。同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施しても良く、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10、20、30、40;陰圧治療装置
1;供給流路
2;送出ポンプ
21;ポンプ制御手段
3;送出チューブ
4;吸引チューブ
5;吸引ポンプ
6;循環流路
62;廃棄流路
66;循環ポンプ
7;切換弁
71、72;弁制御手段
8;濾過手段
91、93、95;濁度センサ
92、94;検出流路
W;創傷部
S;被覆シート
C;閉鎖空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給流路を通じて供給された流体を、創傷部を被覆シートで覆って形成した閉鎖空間内へ送出チューブを通じて送出する送出ポンプと、
前記閉鎖空間を陰圧状態に保ちながら該閉鎖空間から吸引チューブを通じて流体を吸引する吸引ポンプと、
一端側が前記吸引チューブに接続され、他端側が前記供給流路に切換弁を介して接続され、該吸引チューブを通じて吸引した流体を該供給流路へ戻す循環流路と、
前記循環流路に設けられ、吸引した流体を濾過する濾過手段と、
前記吸引チューブまたは前記循環流路に設けられ、吸引した流体の濁度を検出する濁度センサと、
前記濁度センサにより検出した濁度に応じて前記切換弁を制御する弁制御手段と、
を備えたことを特徴とする陰圧治療装置。
【請求項2】
前記濁度センサにより検出した濁度に応じて前記送出ポンプを制御するポンプ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の陰圧治療装置。
【請求項3】
前記吸引チューブまたは前記循環流路に、吸引した流体の濁度を検出する他の濁度センサを設け、該他の濁度センサにより検出した濁度に応じて前記送出ポンプを制御するポンプ制御手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の陰圧治療装置。
【請求項4】
前記濁度センサが、前記循環流路における前記濾過手段の下流側に設けられ、
前記他の濁度センサが、前記循環流路における前記濾過手段の上流側に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の陰圧治療装置。
【請求項5】
前記吸引チューブまたは前記循環流路に、互いに対向する一対の流路壁部が平行に形成された検出流路を設け、該検出流路を流れる流体の濁度を該流路壁部において前記濁度センサまたは前記他の濁度センサで検出することを特徴とした請求項1〜請求項4のいずれか一つに記載の陰圧治療装置。
【請求項6】
前記循環流路における前記濾過手段の上流側に、吸引した流体を外部へ廃棄する廃棄流路を備えたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか一つに記載の陰圧治療装置。
【請求項7】
前記循環流路における前記濾過手段の下流側に、該濾過手段側から流体を吸引する循環ポンプを備えたことを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか一つに記載の陰圧治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−24116(P2012−24116A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−162455(P2010−162455)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【出願人】(599045903)学校法人 久留米大学 (72)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】