説明

集光素子の製造方法、集光素子および位相シフトマスク

【課題】略同心輪帯形状を有する集光素子の微細構造を実現可能にする。
【解決手段】本発明の位相シフトマスクは、略円形または略同心輪帯形状の遮光部101と、略円形または略同心輪帯形状の光透過部103と、略円形または略同心輪帯形状の位相シフト部102と、遮光体フレーム104で構成され、前記光透過部103と前記遮光部101と前記位相シフト部102は交互に配置され、遮光体フレーム104は画素の周囲の全部または一部に配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置などに形成される集光素子の製造方法、集光素子および位相シフトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオレコーダ、デジタルスチルカメラや、最近急速に増加してきたカメラ付き携帯電話などの映像を電磁気的に記録する機器には一般的に、映像から電気信号に変換する装置が用いられる(これを撮像装置と呼ぶ)。近年では撮像装置には、半導体素子の一種である電荷結合素子センサ(一般的にCCDセンサと呼ぶ。以下CCDセンサと記す)や、MOSセンサが用いられ、これらの機器の小型化・低価格化に貢献している。これらの撮像装置は、1つの撮像素子が内蔵された微小な画素を多数平面に並べることにより一画面を構成する。したがって撮像装置の性能は、これら多数の画素の性能により決定される。撮像装置の性能の中でも特に重要なのは、微小な入力画像を低雑音(すなわち低S/N比)で電気信号に変換できる能力や、入力画像を高電気信号出力できる能力(すなわち高増幅率)である。低S/N比や高増幅率を達成するための方法として、画素内の撮像素子のS/N比や増幅率を改善する方法がまず考えられるが、以下に説明する方法も一般に採用される。
【0003】
図10は、従来の典型的な撮像装置における画素部の断面を表す図である。画素部は、画素901と集光素子903とを含む。画素901は、撮像素子902、色フィルタ904、入射光905等を含む。画素901への入射光905は、集光素子903によって集光され、色フィルタ904によって赤色もしくは青色もしくは緑色に色分離された後、撮像素子902に入力される。集光素子903によって撮像素子902に入射する入射光905の強度密度が増大されるため、低S/N比や増幅率の改善が可能になる。ここで問題になるのは、入射光905の入射角度が変化したとき、集光素子903による焦点も変化してしまい、撮像素子902上に集光されなくなるということである。画素901が撮像装置内の周辺の画素である場合、このことは顕著に生じる。この問題を解決するため、各画素に対し非対称に集光素子903を配置する従来技術がある(例えば、特許文献1)。さらに、撮像装置の周辺の画素では、撮像素子902に対する集光素子903の位置をずらすという従来技術もある。しかしこれらの従来技術においては入射光905の入射角が比較的小さいときには効果が高いが、入射角が大きくなると効果が低くなるという問題がある。
【特許文献1】特開2001-196568号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、入射角が大きいときも画素の特性を維持するために、図10の集光素子とは異なり、図1(a)、(b)に示すような、中心を同じくする円もしくは輪帯状に加工され光透過膜1001により集光素子を形成する技術が考えられる。
【0005】
しかしながら、集光素子として、図1(a)、(b)で示した光透過膜1001のように、円状もしくは輪帯形状を、撮影する自然光の波長程度に微細にすることは困難である、もしくはこれを製造することができないという問題がある。
【0006】
一般に微細構造を製造するためには、最近ではKrFを用いた光(波長0.248μm)もしくはArFを用いた光(波長0.193μm)などの波長の短い光で露光する。さらに、微細加工を実現するために露光用フォトマスクとして位相シフトマスクが用いられる。位相シフトマスクには、ハーフトーン型と、交互配置(レベンソン)型とがあるが、交互配置型の方がより微細加工に有効であることが知られている。交互配置型位相シフトマスク(以下、単に位相シフトマスクと記す)は、遮光部の両端に、光透過部と位相シフト部とを交互に配置することを特徴とする。また、位相シフトマスクの構造上、光透過部と位相シフト部は連結してならず、必ず遮光部を介して配置しなければならない。位相シフト部を透過する光は、光透過部を透過する光に対し位相が180°シフトされる。
【0007】
図1(a)、(b)で示した集光素子は、実際には画素が行列状に配列された撮像面の中央ではなく周辺では画素に対して集光素子をずらして配置するため、図11のような形状の繰り返しとなる。図11は、隣接する4つの画素を示す上面図を示す模式図である。同図では、画素境界1102と開口部1103a〜1103cを記してある。フォトリソグラフィー技術を用い製造するには、光透過膜1001に対応した部分に遮光体があり、開口部1103は光を透過するフォトマスクを用いなければならない(製造方法により、その逆もあり得るが、以下光透過膜1001に対応する部分に遮光体があるものとする)。さらに、微細構造を実現するため、この集光素子の製造には位相シフトマスクを用いて露光する工程が必要となるが、この形状は位相シフトマスクを適用することが困難であるという課題がある。なぜなら、光透過膜1001に隣接する開口部1103aと開口部1103bは、画素境界1102において隣接画素の開口部1103cと連結している。従って光透過部と遮光部と位相シフト部を交互に配置する必要のある位相シフトマスクではこの形状を実現できないからである。例えば、開口部1301aを光透過部に対応させるとすると、開口部1103bは位相シフト部にする必要がある。このとき、開口部1103cを光透過部にすれば、開口部1103bと開口部1103cが画素境界1102で連結してしまい、光透過部と位相シフト部が連結してしまう。すなわち、図1(a)、(b)のような略同心輪帯形状を有する集光素子において、微細構造を実現することができないという問題がある。
【0008】
本発明は、略同心輪帯形状を有する集光素子における微細構造を容易にする位相シフトマスク、および位相シフトマスクを用いる集光素子の製造方法、および集光素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の集光素子の製造方法は、位相シフトマスクを用いてフォトレジストを露光する工程を含み、前記位相シフトマスクは、1画素分の集光素子用のレイアウトとして、略円形または略同心輪帯形状の遮光部と、略円形または略同心輪帯形状の光透過部と、略円形または略同心輪帯形状の位相シフト部と、遮光体フレームとを有し、前記光透過部、前記遮光部および前記位相シフト部は同心円状にかつ交互に配置され、前記遮光体フレームは前記集光素子の周囲の全部または一部に対応することを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、略同心輪帯形状を有する集光素子の製造において、遮光体フレームを設けることによって、画素境界においても光透過部と位相シフト部は連結することなく、光透過部と位相シフト部とを必ず遮光フレームを介して配置することができるので、微細加工を容易にすることができる。
【0011】
ここで、前記遮光体フレームの幅は、およそ位相シフトマスクの最小製造寸法としてもよい。
【0012】
ここで、前記遮光体フレームの幅は、約0.4μmとしてもよい。
【0013】
ここで、前記位相シフトマスクは、第1の画素と、前記第1の画素の四方に隣接する計4個の隣接画素とを含む複数画素分のレイアウトを有し、前記第1の画素の光透過部に対応する隣接画素の領域には位相シフト部が設けられ、前記第1の画素の位相シフト部に対応する隣接画素の領域には光透過部が設けられている。
【0014】
この構成によれば、遮光体フレームに対応する集光素子上のフレームをより正確な微細加工によって形成することができ、集光素子の歪みによる特性劣化を防止することができる。
【0015】
ここで、前記位相シフトマスクは、第1の画素と、前記第1の画素に隣接する第2の画素とを含む複数画素分のレイアウトを有し、前記第1の画素および第2の画素が共に接する遮光体フレーム中の第1の区間は第2の区間よりも小さく、前記第1の区間は、前記遮光体フレームを挟む両側が共に位相シフト部である区間、および前記遮光体フレームを挟む両側が共に光透過部である区間であり、前記第2の区間は、前記遮光体フレームを挟む片側が位相シフト部であり、もう片側が光透過部である区間であるとしてもよい。
【0016】
この構成によれば、より歪みの少ない微細加工を実現することができる。
【0017】
ここで、前記位相シフトマスクは、第1の画素と、前記第1の画素に隣接する第2の画素とを含む複数画素分のレイアウトを有し、前記第1の画素と前記第2の画素との境界における特定の区間に遮光体フレームが配置され、前記特定の区間は、前記境界を挟む片側が位相シフト部であり、もう片側が光透過部である区間であるようにしてもよい。
【0018】
この構成によれば、画素の周囲の全部ではなく一部に遮光体フレームを形成することにより、対応する集光素子上のフレームによって特性が劣化することを最小限に抑えることができる。
【0019】
ここで、前記特定の区間は、画素周囲の境界中の他の区間よりも短くしてもよい。
【0020】
また、本発明の集光素子は、略円形または略同心輪帯形状の光透過膜と、集光素子の周囲の全部または一部を囲むフレームとを有する。
【0021】
この構成によれば、フレームを有することにより製造時の微細加工を容易にすることができる。
【0022】
ここで、前記フレームは、光透過膜と同材料、および、光透過膜と同材料が存在しない部分の何れかにより形成されるようにしてもよい。
【0023】
ここで、前記フレームの幅は、およそ位相シフトマスクの製造最小限界を露光倍率で割った値としてもよい。
【0024】
ここで、前記フレームの幅は、0.1μm以下としてもよい。
【0025】
また、本発明の位相シフトマスクは、集光素子を製造するための位相シフトマスクであって、略円形または略同心輪帯形状の遮光部と、略円形または略同心輪帯形状の光透過部と、略円形または略同心輪帯形状の位相シフト部と、遮光体フレームとを1画素分の集光素子用のレイアウトとして有し、前記光透過部、前記遮光部および前記位相シフト部は同心円状にかつ交互に配置され、前記遮光体フレームは前記単位領域の周囲の全部または一部に対応することを特徴とする。
【0026】
ここで、前記遮光体フレームの幅は、およそ位相シフトマスクの最小製造寸法としてもよい。
【0027】
ここで、前記遮光体フレームの幅は、約0.4μmとしてもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明の製造方法によれば、略同心輪帯形状を有する集光素子の製造において、画素境界においても光透過部と位相シフト部は連結することなく、光透過部と位相シフト部とを必ず遮光フレームを介して配置することができるので、微細加工を容易にすることができる。
【0029】
また、遮光体フレームに対応する集光素子上のフレームをより正確な微細加工によって形成することができ、集光素子の歪みによる特性劣化を防止することができる。
【0030】
また、本発明の集光素子によれば、その形状によって微細加工を容易にすることができる。
【0031】
また、本発明の位相シフトマスクによれば、微細加工を容易にすることができ、集光素子の歪みによる特性劣化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。図で、同じ符号のものは同一の構成要素を表す。
【0033】
(実施の形態1)
図1(a)は、実施の形態1における集光素子を備える画素部の断面を表す図である。図1(b)は、その画素部の上面を表す図である。この画素部は、光透過膜1001、基板1002、色フィルタ1003、撮像素子1004、アルミ配線1006、平坦化膜1007、フレーム1008等を含む。光透過膜1001は、略円形または略同心輪帯形状に加工されている。隣り合うゾーン(同図では光透過膜1001の外周)の半径差は一定としている。輪帯の幅は自然光の波長程度である。輪帯の幅は、典型的には0.1μm程度である。光透過膜1001を通過する入射光1005の感じる屈折率は、光透過膜1001の面上で、波長程度の大きさの領域で平均化された値となり、光透過膜1001の屈折率もしくは媒質(典型的には空気)の屈折率の値にはならない。輪帯の幅が極めて細いため、入射光1005の感じる屈折率は輪帯の幅に依存し、光透過膜1001の屈折率と媒質の屈折率の中間の値となる。すなわち、光透過膜1001の面は、入射光1005にとっては、同心円状に屈折率が分布していることと同等である。この屈折率の分布のため、光透過膜1001および基板1002を通過した入射光1005は回折効果により集光され、撮像素子1002に到達する。入射光1005の集光される位置は光透過膜1001の形状を変化させることにより制御できる。従って、入射光1005の入射角を考慮して光透過膜1001の形状を設計することにより、性能を劣化させることなく撮像素子1002に集光させることができ、入射角が大きくても集光効率を高くできる。フレーム1008は、周辺部の全部を囲むように光透過膜により形成される。同図のフレーム1008は、周辺部の全部ではなく一部を囲んでもよい。フレームの幅は、0.1μm以下である。なお、同図のフレーム1008は、光透過膜により形成されるが、逆に、光透過膜の不存在により形成(つまり空気)してもよい。このフレーム1008を形成することによって位相シフトマスクを使用した微細加工を可能にしている。
【0034】
図2(a)は、図1(a)に示した集光素子を製造するための位相シフトマスクの構成を示す図である。この位相シフトマスクは、図2(a)のように形成された遮光部101、位相シフト部102、光透過部103、遮光体フレーム104を有する。遮光部101、位相シフト部102、光透過部103の形状は、図1(b)のように、中心を同じくする円もしくは輪帯状になっている。
【0035】
位相シフトマスクには、光透過部と位相シフト部が隣接してはならず、必ずその間に遮光部を介在させるという制約がある。図2(a)に示した位相シフトマスクでは、画素108周囲に遮光体フレーム104が配置されている。遮光体フレーム104の幅は、位相シフトマスクの最小製造寸法でよく、例えば約0.4μmである。このように、画素108内で光透過部103と位相シフト部102が隣接しないようにしておけば、隣接画素の境界では遮光体フレーム104により光透過部103と位相シフト部102の隣接を防止し、上記の制約を満たしている。
【0036】
以下、本発明の実施の形態1に係る集光素子の製造方法を製造工程順に説明する。図2(b)〜図2(e)は、図2(a)に示した位相シフトマスクを用いて撮像装置を製造する工程を示す図である。
【0037】
図2(b)に示すように、まず画素108の上面に、基板107、光透過膜106を一様に形成する。光透過膜106の上面に、フォトレジスト105を塗布する。次に、図2(a)に示した位相シフトマスクを用いてフォトレジスト105を露光および現像する。現像結果を図2(c)に示す。図2(a)に示した位相シフトマスクでは、遮光部101の一方の隣接領域に光透過部103、もう一方の隣接領域に位相シフト部102が配置されている。このことにより、遮光部101の幅が微細であっても、光透過部103から透過した光と、位相シフト部102から透過した光が遮光部101の下側で打ち消し合い、ほぼ遮光部101の形状のままフォトレジスト105が露光され、微細加工を容易に実現することができる。
【0038】
図2(c)で露光、現像した後、フォトレジスト105をエッチングマスクとして光透過膜101をエッチングし、図2(a)に示した位相シフトマスクの形状に加工する(図2(d))。最後にフォトレジスト105を除去する(図2(e))。
【0039】
なお、ここでは図2(b)〜図2(e)に示した撮像装置の構造を例にして説明したが、基板107が存在せず、画素108の上に直接光透過膜がある構造でもよい(この場合は画素108を基板と見做す)。また、画素108もしくは基板107の上面が平坦であれば、画素108あるいは基板107は図2に示す構造とは異なっていてもよい。
【0040】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1に係る集光素子の製造方法では、以下に述べる問題があることを見出した。図4(a)は、本発明の実施の形態1に図2(c)で示した工程でのフォトレジスト105の形状をシミュレーションにより計算した図である。白色部は上面から見てフォトレジスト105が残る部分を示しており、黒色部はフォトレジスト105が現像により除去される部分を示している。図4(a)では、画素108の周辺の遮光体フレーム104に対応する部分が正確に形成できていないことがわかる。すなわち、画素108の角部分には遮光体フレーム104部分が形成されているが、それ以外の部分は形成されていない。そのため、集光素子の形状が歪み、特性が劣化すると考えられる。そこで、本発明の実施の形態2では、遮光体フレーム104部分を正確に形成するために、以下の製造方法を採用する。
【0041】
図3は実施の形態2における位相シフトマスクの構成を示す図である。この位相シフトマスクは、画素毎に同図のような遮光部201、光透過部202、位相シフト部203、遮光体フレーム204を有し、第1の画素205と第2の画素206の2種類のパターンを有する。第1の画素205と第2の画素は隣接している。図3に示した位相シフトマスクの特徴は、第1の画素205内に配置された光透過部202と位相シフト部203に対し、第2の画素206内の光透過部202と位相シフト部203の配置が入れ替わっていることである。
【0042】
本発明の実施の形態2に係る集光素子の製造方法は、使用する位相シフトマスクが図3に示したものになることを除いては、本発明の実施の形態1における図2(b)〜図2(e)に示した製造方法と同様である。図3に示した位相シフトマスクでは、遮光体フレーム204を介し一方が光透過部202となり、もう一方が位相シフト部203となっている。そのため、露光時、遮光体フレーム204の下部で光透過部202からの光と位相シフト部203からの光が打ち消しあい、遮光体フレーム204部分も正しく解像され、遮光体フレーム104部分も正確に形成することができる。
【0043】
図4(b)は、実施の形態2に係る集光素子の製造方法の場合のフォトレジスト形状のシミュレーション結果を示している。図4(a)の本発明の実施の形態1の場合と比較し、遮光体フレーム204に対応する部分も正確に解像できていることがわかる。
【0044】
(実施の形態3)
上記の実施の形態2に係る集光素子の製造方法では、以下に述べる問題があることを見出した。図5(a)は、本発明の実施の形態3に係る集光素子の製造方法において使用する位相シフトマスクの構成をを示した図である。図3(b)に示した位相シフトマスクとの相違は、図3(b)では、画素が行列状に配列された撮像面の中心付近の集光素子の形状であり、図5(a)は、撮像面の周辺の集光素子の形状であるということである。つまり、画素に対して集光素子の位置を中心寄りにずらしている。この位相シフトマスクは、遮光部401、光透過部402、位相シフト部403、遮光体フレーム404を有する。遮光体フレーム404の両側は、位相シフト部403が配置されている。図5(a)に示す位相シフトマスクを用いて露光工程を経た後のフォトレジスト形状をシミュレーションした結果が、図6(a)に示す図である。501は、遮光体フレーム404の一部に対応する部分であり、位相シフトマスクにて設計した本来の形状ではなく、歪んでしまうという問題があることが分かる。すなわち、実施の形態2においても残存する形状の歪みを解決するという課題が生じる。
【0045】
図5(b)は実施の形態3に係る集光素子の製造方法において用いる他の位相シフトマスクの構成を示したものである。図5(a)においては、遮光体フレーム404の一部の両側で位相シフト部403と隣接する。このため、露光時遮光体フレームの下に光が漏れ出し、501においてフォトレジスト形状が歪むという問題が生じてしまった。これは、光透過部と位相シフト部の配置を、上下左右で隣接する画素間で単純に交換したためである。図5(b)においては、画素内の位相シフト部403および光透過部402の配置を、遮光体フレームの両側で位相シフト部403が隣接する部分(すなわち404)が少なくなるように決定する。もしくは、同様のことであるが、画素内の位相シフト部403および光透過部402の配置を、遮光体フレームの両側で光透過部402が隣接する部分が少なくなるように決定する。図5(b)における遮光体フレームの一部404'は、隣接する片側が光透過部402であり、もう一方が位相シフト部403になっている。そのため図5(b)の位相シフトマスクによるフォトレジスト形状図6(b)では、歪みが少なくなり前述の課題が解決される。その他の製造工程については、本発明に係る実施の形態1および実施の形態2と同様である。
【0046】
(実施の形態4)
上記の実施の形態1乃至実施の形態3では、画素の全周囲に遮光体フレームを配置した位相シフトマスクを用いた。しかしながら、画素境界で光透過部同士が隣接する場合や、位相シフト部同士が隣接する場合は、遮光体フレームが必ずしも必要ではない。必ず遮光体フレームが必要なのは、画素境界で光透過部と位相シフト部が隣接する部分だけである。図7(a)、(b)に示す位相シフトマスクは、本発明の実施の形態3に係る集光素子の製造方法で使用するものであり、画素境界で光透過部と位相シフト部が隣接する部分だけに遮光体フレームを配置している。その他の製造工程は実施の形態1乃至3と同様である。
【0047】
図7(a)は撮像素子の中心付近の画素の製造に用いる位相シフトマスクを表している。この位相シフトマスクは、遮光部601、光透過部602、位相シフト部603を有する。画素外周部は全て位相シフト部であるため、図7(a)では遮光体フレームが存在しない構成となっている。
【0048】
図7(b)は撮像素子の周辺の画素の製造に用いる位相シフトマスクを表している。画素境界で位相シフト部603と光透過部602が隣接する部分にのみ、遮光体フレーム604を配置している。
【0049】
(実施の形態5)
上記の実施の形態4では、図7(a)、(b)に示すとおり、画素境界で光透過部と位相シフト部が隣接する部分だけに遮光体フレームを配置している。遮光体フレームは、集光素子自体の構造には不必要なものである。遮光体フレームの面積を削減すれば、集光素子の面積が増加することになり、集光素子の特性が改善する。また、遮光体フレームによる光学特性の乱れも低減することができる。
【0050】
図8は、遮光体フレームの面積を最小にすることにより、集光素子の特性改善を意図した位相シフトマスクの構成を示す図である。この位相シフトマスクは、遮光部701、光透過部702、位相シフト部703を有する。まず、各画素境界で光透過部702と位相シフト部703が隣接する部分が最小になるように各画素の光透過部702と位相シフト部703を配置する。次に、各画素境界上の光透過部702と位相シフト部703が隣接する部分にのみ遮光体フレームを配置する。この手順により、遮光体フレームの面積を最小にすることができ、集光素子の特性を最大に出来る。図8に示した位相シフトマスクでは、遮光体フレームが不必要な構造となっている。図9はフォトレジストの形状をシミュレーションした図である。集光素子では、フレームが光透過膜(あるいは光透過膜が存在しない部分)中に埋没されることになる。
【0051】
その他の製造工程については、本発明に係る実施の形態1乃至実施の形態4と同様である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】(a)本発明の実施の形態1に係る集光素子の断面図である。(b)同じく上面図である。
【図2】(a)集光素子を製造するための位相シフトマスクの構成を示す図である。(b)〜(e)撮像装置を製造する工程を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2に係る位相シフトマスクである。
【図4】(a)実施の形態1に係る製造方法でのフォトレジスト形状を示す図である。(b)実施の形態2に係る製造方法でのフォトレジスト形状を示す図である。
【図5】(a)(b)本発明の実施の形態3に係る位相シフトマスクの構成を示す図である。
【図6】(a)(b)実施の形態2および3に係る集光素子の製造方法でのフォトレジスト形状を示す図である。
【図7】(a)(b)実施の形態4に係る位相シフトマスクの構成を示す図である。
【図8】実施の形態5に係る位相シフトマスクの構成を示す図である。
【図9】実施の形態5に係る集光素子の製造方法でのフォトレジスト形状を示す図である。
【図10】従来技術の撮像装置における画素部の断面を表す図である。
【図11】隣接する4つの画素を示す上面図を示す模式図である。
【符号の説明】
【0053】
101、201、401、601、701 遮光部
102、203、403、603、703 位相シフト部
103、202、402、602、702 光透過部
104、204、404、604 遮光体フレーム
205 第1の画素
206 第2の画素
1001 光透過膜
1002 基板
1003 色フィルタ
1004 撮像素子
1006 アルミ配線
1007 平坦化膜
1008 フレーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集光素子の製造方法であって、
位相シフトマスクを用いてフォトレジストを露光する工程を含み、
前記位相シフトマスクは、1画素分の集光素子用のレイアウトとして、
略円形または略同心輪帯形状の遮光部と、
略円形または略同心輪帯形状の光透過部と、
略円形または略同心輪帯形状の位相シフト部と、
遮光体フレームとを有し、
前記光透過部、前記遮光部および前記位相シフト部は同心円状にかつ交互に配置され、
前記遮光体フレームは前記集光素子の周囲の全部または一部に対応する
ことを特徴とする集光素子の製造方法。
【請求項2】
前記遮光体フレームの幅は、およそ位相シフトマスクの最小製造寸法である
ことを特徴とする請求項1に記載の集光素子の製造方法。
【請求項3】
前記遮光体フレームの幅は、約0.4μmである
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項4】
前記位相シフトマスクは、第1の画素と、前記第1の画素の四方に隣接する計4個の隣接画素とを含む複数画素分のレイアウトを有し、
前記第1の画素の光透過部に対応する隣接画素の領域には位相シフト部が設けられ、
前記第1の画素の位相シフト部に対応する隣接画素の領域には光透過部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項5】
前記位相シフトマスクは、第1の画素と、前記第1の画素に隣接する第2の画素とを含む複数画素分のレイアウトを有し、
前記第1の画素および第2の画素が共に接する遮光体フレーム中の第1の区間は第2の区間よりも小さく、
前記第1の区間は、前記遮光体フレームを挟む両側が共に位相シフト部である区間、および前記遮光体フレームを挟む両側が共に光透過部である区間であり、
前記第2の区間は、前記遮光体フレームを挟む片側が位相シフト部であり、もう片側が光透過部である区間である
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項6】
前記位相シフトマスクは、第1の画素と、前記第1の画素に隣接する第2の画素とを含む複数画素分のレイアウトを有し、
前記第1の画素と前記第2の画素との境界における特定の区間に遮光体フレームが配置され、
前記特定の区間は、前記境界を挟む片側が位相シフト部であり、もう片側が光透過部である区間である
ことを特徴とする請求項1に記載の製造方法。
【請求項7】
前記特定の区間は、画素周囲の境界中の他の区間よりも短い
ことを特徴とする請求項6に記載の製造方法。
【請求項8】
略円形または略同心輪帯形状の光透過膜と、
集光素子の周囲の全部または一部を囲むフレームと
を有することを特徴とする集光素子。
【請求項9】
前記フレームは、光透過膜と同材料、および、光透過膜の不存在の何れかにより形成される
を有することを特徴とする請求項8に記載の集光素子。
【請求項10】
前記フレームの幅は、およそ位相シフトマスクの製造最小限界を露光倍率で割った値であることを特徴とする請求項8または9に記載の集光素子。
【請求項11】
前記フレームの幅は、0.1μm以下であることを特徴とする請求項8または9に記載の集光素子。
【請求項12】
集光素子を製造するための位相シフトマスクであって、
略円形または略同心輪帯形状の遮光部と、
略円形または略同心輪帯形状の光透過部と、
略円形または略同心輪帯形状の位相シフト部と、
遮光体フレームと
を1画素分の集光素子用のレイアウトとして有し、
前記光透過部、前記遮光部および前記位相シフト部は同心円状にかつ交互に配置され、
前記遮光体フレームは前記集光素子の周囲の全部または一部に対応する
ことを特徴とする位相シフトマスク。
【請求項13】
前記遮光体フレームの幅は、およそ位相シフトマスクの最小製造寸法である
ことを特徴とする請求項12に記載の位相シフトマスク
【請求項14】
前記遮光体フレームの幅は、約0.4μmである
ことを特徴とする請求項12に記載の位相シフトマスク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−351973(P2006−351973A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−178586(P2005−178586)
【出願日】平成17年6月17日(2005.6.17)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】