説明

集出荷施設

【課題】花卉や果物・野菜等を収容した箱を荷受けして梱包して出荷する集出荷施設において、装置の数を減らし、また、配置方法を工夫することで、施設の設置面積をコンパクトにする。
【解決手段】出荷物を収容する箱hを搬送する搬送コンベア2の途中に出荷用搬送コンベア10を備え、前記搬送コンベア2の搬送終端側には箱hに収容している出荷物を検査するための検査用搬送コンベア3を接続し、荷受時には前記搬送コンベア2で搬送している箱hを前記検査用搬送コンベア3に搬送すると共に、出荷時には前記搬送コンベア2で搬送されている箱hを前記出荷用搬送コンベア10に搬送する選択手段を設けたことで、荷受時おいても出荷時においても共通の搬送コンベア2を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は花卉や果物・野菜等を収容した箱を荷受けして梱包して出荷する集出荷施設に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には果実や野菜を収容した箱を荷受けし、箱の内部を検査して梱包し出荷する集出荷施設について記載されている。
【特許文献1】特開平7−323919号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1においては、荷受用コンベア、検査用コンベア、出荷用コンベアと備えており、スペースを要するものであった。本発明は装置の数を減らし、また、配置方法を工夫することで、施設の設置面積をコンパクトにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、上記課題を解決するために以下のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の発明は、出荷物を収容する箱(h)を搬送する搬送コンベア(2)の途中に出荷用搬送コンベア(10)を備え、前記搬送コンベア(2)の搬送終端側には箱(h)に収容している出荷物を検査するための検査用搬送コンベア(3)を接続し、荷受時には前記搬送コンベア(2)で搬送している箱(h)を前記検査用搬送コンベア(3)に搬送すると共に、出荷時には前記搬送コンベア(2)で搬送されている箱(h)を前記出荷用搬送コンベア(10)に搬送する選択手段を設けたことを特徴とする集出荷施設とする。
【0005】
請求項2記載の発明は、出荷用搬送コンベア(10)はその搬送方向が搬送コンベア(2)の搬送方向と交差する方向に複数配置し、検査用搬送コンベア(3)はその搬送方向(x)が前記搬送コンベア(2)の搬送方向(v)と反対側に配置し、検査用搬送コンベア(3)と前記搬送コンベア(2)とは平面視略コ字型に配置することを特徴とする請求項1記載の集出荷施設とする。
【0006】
請求項3記載の発明は、搬送コンベア(2)及び検査用搬送コンベア(3)は平面視で長方形状の箱(h)を搬送するものであって、前記搬送コンベア(2)の幅は箱(h)の長手方向の幅(M)と略同じ幅に形成すると共に、検査用搬送コンベア(3)の幅は箱(h)の短手方向の幅(N)と略同じ幅に形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の集出荷施設とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の発明によると、荷受時おいても出荷時においても共通の搬送コンベア2を用いることができるため、施設内の装置の数を減らし、コンパクトなスペースに設置することができる。
【0008】
請求項2記載の発明によると、狭い設置面積に集中して搬送コンベア2と検査用搬送コンベア3と出荷用搬送コンベア10とを設けることができる。また、出荷用搬送コンベア10の設置間隔を広くすることができ、出荷作業をしやすくすることができる。
【0009】
請求項3記載の発明によると、搬送コンベア2には短い距離に多くの箱hを載置することが可能になり、荷受作業や出荷作業の作業能率を向上させることが可能になる。また、箱h内の花卉fの状態を時間をかけて目視することができるため、等級等の誤認識を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
発明を実施するための最良の形態として生産者が持ち込んだ花卉を収容した箱を検査して出荷する花卉集出荷施設の場合について説明する。なお、本実施の形態の説明では図1の施設の長手方向を左右方向、長手方向と交差する方向を前後方向と記載する。
【0011】
図1は平面から見た花卉集出荷施設を示す図で、施設には施設の装置各部を制御する集中制御盤を備える操作室A、生産者が持ち込んだ花卉fを収容した箱hを荷受する荷受場Bと荷受けした箱hに収容されている花卉fの品質を検査する検査場Cと、花卉fを収容した箱hを保管するための保管室Dと、花卉fを収容した箱hを出荷する出荷場Eとを備えている。
【0012】
次に荷受けから出荷までの各装置について作業工程順序に沿って説明する。
花卉fの生産者はそれぞれ育てた花卉fを箱hに収容し、梱包していない状態の箱hを荷受場Bに持ち込む。そして、搬送コンベア2の載置部2aに箱hを載置すると箱hは順次搬送され、搬送コンベア2の搬送途中に備える荷受用バーコード読み取り機11で、箱hに貼っている荷受用バーコードkの情報、すなわち、生産者及び花卉の種類等の情報を読み取り、その読み取った情報に基づいて搬送コンベア2の選別部2cから複数の検査用搬送コンベア3の何れかに選別搬送される構成である。なお、荷受用バーコード読み取り機11で読み込む荷受用バーコードkは生産者が施設に持ち込む際に貼ったものである。
【0013】
検査用搬送コンベア3は複数並列して構成され、例えば花卉の品種毎に応じて使用する搬送コンベアが決められる。検査用搬送コンベア3の途中で、箱hの重量を重量測定機4で測定され、検査者Pが箱hに収容されている花卉fの状態を目視して等級等の情報あるいは出荷先の情報をパソコン等の入力装置5に入力する。そして、検査者Pが検査し終わった箱hは梱包装置6で梱包部材6aにより梱包され、出荷用バーコード貼り付け機7で検査場Cで検査された情報及び出荷先の情報が入っている出荷用バーコードjを荷受用バーコードkに重ねて貼り付ける構成である。
【0014】
そして、さらに検査用搬送コンベア3を搬送された箱hはその搬送終端側に備える台車積込部3aで台車rに積み込まれ、保管室Dまで運搬されて出荷日まで保管室Dに保管される。保管室Dは温度調節可能な倉庫であり、本実施の形態では冷蔵状態にして花卉fを保存させている。
【0015】
保管室Dに保管された箱hは出荷日になると、保管室Dから出され、台車rで搬送コンベア2まで運搬され、再度搬送コンベア2の載置部2aに載置され、順次搬送される。そして、載置部2aに備える印字装置8で花卉の品種等の情報の印字8aが箱hに印字されると共に、出荷用バーコード読み取り機9で出荷用バーコードjの情報を読み取り、その読み取り情報に基づき、搬送コンベア2の搬送部2bを経由して出荷場Eに備える複数の出荷用搬送コンベア10の内の何れか、例えば出荷先に応じて適宜搬送される構成である。
【0016】
次に各装置の構成・配置について説明する。
搬送コンベア2は前述の通り、荷受時の箱hの搬送と出荷時の箱hの搬送を共用するコンベアであり、搬送コンベア2の載置部2aは施設中央部の荷受場Bに前後方向に配置し、搬送コンベア2の搬送部2bは施設左右方向に配置する。
【0017】
搬送コンベア2の途中には出荷用搬送コンベア10が前後方向、すなわち搬送コンベア2の搬送部2bの搬送方向vと交差する方向に複数並列して配置している。そして、切替装置14の切り替えにより搬送コンベア2で搬送される箱hを出荷用搬送コンベア10に搬送される構成である。なお、出荷用搬送コンベア10は搬送終端側10aを伸縮可能な構成であり、出荷の際には伸ばして多数の箱hを載置できることで出荷作業をしやすくすることができると共に、出荷作業をしないときには縮めることでスペースを作り出し別の作業を行なえるようにしている。
【0018】
搬送コンベア2の搬送部2bの終端部には荷受用バーコード読み取り機11を設けると共に終端側からは施設後方向に向かって選別部2cを設けており、選別部2cから検査用搬送コンベア3を複数並列して備える構成である。選別部2cの搬送方向は施設後側に向かって搬送されるように設け、検査用搬送コンベア3の搬送方向xは、搬送コンベア2の搬送方向vと反対の方向になるよう構成している。すなわち、検査用搬送コンベア3は搬送コンベア2の搬送方向一側にあって搬送コンベア2とは並列して配置すると共に、出荷用搬送コンベア10は搬送コンベア2の搬送方向他側にあって搬送コンベア2とは交差して設けることで平面視方形の建屋g内に有効にスペースを使用することができる配置としている。また、出荷用搬送コンベア10の設置間隔wを広く取ることができるため出荷作業を行ないやすくすることができる。また、選別部2cには検査用搬送コンベア3毎に切替装置16を設けており、荷受用バーコード読み取り機11の読み取り情報に基づき切替装置16が作動し適宜検査用搬送コンベア3に搬送されるようになっている。
【0019】
なお、本実施の形態の複数の検査用搬送コンベア3の内一本については搬送終端部に印字装置15を設けており、保管室Dに保管することなく梱包した花卉fの箱hを台車積込部3aから即日出荷できる構成としている。
【0020】
保管室Dは施設の左右方向一側で、且つ検査用搬送コンベア3の搬送終端側に配置している。そのため、搬送コンベア2の載置部2aを出荷用搬送コンベア10と保管室Dとの間に配置されると共に、台車積込部3aを検査用搬送コンベア3と保管室D間に配置することになるため、台車積込部3aと保管室D及び載置部2aと保管室Dとの距離が短くなるため、検査が終了して梱包された箱hを台車rに積み込んで保管室Dに運搬する保管作業及び出荷日に保管室Dから箱hを取り出して載置部2aまで運搬する出荷作業について、迅速な出荷作業を行なうことができる。また、保管室Dと載置部2a及び台車積込部3aとの間には装置・部材を設置しなくても良いため、台車rで運搬中に障害物が無く保管作業及び出荷作業を円滑に行なうことができる構成としている。
【0021】
次に、搬送コンベア2と検査用搬送コンベア3のベルトの幅について説明する。搬送コンベア2のベルト幅は箱hの長手側の幅Mと略同じに形成している。すなわち、箱hの長手側を搬送コンベア2の搬送方向と交差する方向に載置して搬送するよう構成している。そのため、搬送コンベア2には短い距離に多くの箱hを載置することが可能になり、荷受作業や出荷作業の作業能率を向上させることが可能になる。また、検査用搬送コンベア3の幅は箱hの短手側の幅Nと略同じに形成している。すなわち、箱hの短手側を検査用搬送コンベア3の搬送方向xと交差する方向に載置して搬送するよう構成している。そのため、検査者Pは箱h内の長手方向の幅Mに沿って収容されている花卉fの状態を花部から根元部まで時間をかけて順に目視することができるため、等級等の誤認識を低減することができる。また、搬送される箱hの向きが反対で搬送されても検査者Pと花卉fの距離は変わらないため、目視し難くなることを防止することができる。
【0022】
本実施の形態については荷受作業を行なっている時に出荷作業を行なってもよい。すなわち、荷受けされた箱hと出荷される箱hとをランダムに搬送コンベア2の載置部2aに載置しても、荷受された箱hは荷受用バーコード読み取り機11で荷受用バーコードkの情報を読み込まれて検査用搬送コンベア3に搬送され、出荷される箱hは出荷用バーコード読み取り機9で出荷用バーコードjの情報を読み込まれ出荷用搬送コンベア10に搬送される。そのため、作業能率の良い集出荷施設にすることができるものである。なお、荷受用バーコード読み取り機11と出荷用バーコード読み取り機9は搬送コンベア2の搬送方向で左右反対側になるようそれぞれ設けることで、荷受用バーコードkと出荷用バーコードjとを誤って混同して読み込みを防止することができるものである。
【0023】
また、出荷用バーコードjで管理できるため、保管室Dに梱包された箱hをランダムに入れても出荷時には出荷用バーコードjの情報に基づいた所定の出荷用搬送コンベア10に搬送することができるため、箱hの運搬作業の能率を向上させることができる。
【0024】
本実施の形態のように梱包作業を終えた箱を一度保管室Dに保管してから出荷する形態のシステムの場合に、荷受用バーコードkと出荷用バーコードjを使用することで、荷受作業及び出荷作業の両方を円滑に行なうことができる。
【0025】
22は延長コンベアで、出荷先が多い場合等の理由で出荷用搬送コンベア10の本数を追加するためのものであり、切替え装置23により搬送コンベア2から切り替え搬送できる構成としている。
【0026】
図6は別実施例の花卉の集出荷施設である。
この集出荷施設は生産者が花卉を持ち込み、施設内で選別・箱詰・梱包を行なう第一搬送ライン30と、生産者が箱詰めしたもの持ち込んだのを検査・梱包をする第二搬送ライン31を備えたものである。なお、第二搬送ライン31は建屋gの内壁近傍に沿って設置され、第一搬送ライン30は第二搬送ライン31より建屋g内側にあって第二搬送ライン31と並列して設置されている。
【0027】
32は生産者が持ち込んだ花卉fを選別する選花場で、32は花卉fを箱詰めする箱詰め場で、箱詰め場32で箱詰めされた箱fは第一搬送ライン31に運ばれ、検査・梱包を経て保管室Dに保管され、出荷日に出荷用搬送コンベア10から出荷される構成である。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本願発明の集出荷施設は花卉の場合について記載しているが、生産者が箱詰めして施設に持参するものを検査して梱包して出荷する形態の集出荷施設なら果実、野菜その他のものに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】集出荷施設の平面図
【図2】図1の集出荷施設の荷受作業の工程を示す図
【図3】図1の集出荷施設の出荷作業の工程を示す図
【図4】梱包された状態の箱を示す図
【図5】花卉が収容された状態を示す図
【図6】別実施例の集出荷施設の平面図
【図7】図6の集出荷施設の荷受作業の工程を示す図
【図8】図6の集出荷施設の出荷作業の工程を示す図
【符号の説明】
【0030】
h 箱
2 搬送コンベア
10 出荷用搬送コンベア
3 検査用搬送コンベア
x 検査用搬送コンベア3の搬送方向
v 搬送コンベア2の搬送方向
h 箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出荷物を収容する箱(h)を搬送する搬送コンベア(2)の途中に出荷用搬送コンベア(10)を備え、前記搬送コンベア(2)の搬送終端側には箱(h)に収容している出荷物を検査するための検査用搬送コンベア(3)を接続し、荷受時には前記搬送コンベア(2)で搬送している箱(h)を前記検査用搬送コンベア(3)に搬送すると共に、出荷時には前記搬送コンベア(2)で搬送されている箱(h)を前記出荷用搬送コンベア(10)に搬送する選択手段を設けたことを特徴とする集出荷施設。
【請求項2】
出荷用搬送コンベア(10)はその搬送方向が搬送コンベア(2)の搬送方向と交差する方向に複数配置し、検査用搬送コンベア(3)はその搬送方向(x)が前記搬送コンベア(2)の搬送方向(v)と反対側に配置し、検査用搬送コンベア(3)と前記搬送コンベア(2)とは平面視略コ字型に配置することを特徴とする請求項1記載の集出荷施設。
【請求項3】
搬送コンベア(2)及び検査用搬送コンベア(3)は平面視で長方形状の箱(h)を搬送するものであって、前記搬送コンベア(2)の幅は箱(h)の長手方向の幅(M)と略同じ幅に形成すると共に、検査用搬送コンベア(3)の幅は箱(h)の短手方向の幅(N)と略同じ幅に形成することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の集出荷施設。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−320698(P2007−320698A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−151757(P2006−151757)
【出願日】平成18年5月31日(2006.5.31)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】