説明

集合住宅インターホンシステム

【課題】 エントランス等において居住者が行うオートドアの解錠操作を居室親機に防犯解除操作の一部として認識させることで、その後自宅に戻った居住者による防犯解除操作を簡易な操作に変更できる。
【解決手段】 集合玄関機1は、予め住戸毎に設定されたID情報を入力するカードキーリーダ15及び暗証解錠部16を備えて、入力されたID情報に関連する住戸の居室親機2に帰宅信号を送信する。居室親機2は、親機CPU28が防犯解除部25による解除操作を通常解除操作と通常解除操作より簡易な簡易解除操作との2通りの何れかを選択し、帰宅信号を受けた時のみ簡易解除操作を許可し、帰宅した居住者が集合玄関機1においてオートドア4の解錠操作等の帰宅操作のためにID情報を入力することで帰宅信号が送信され、自宅の防犯解除操作が簡易な操作に変更される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅インターホンシステムに関し、特に防犯センサが接続されて不審者の侵入等の異常を検知したら警報を発する防犯機能を備えた集合住宅インターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より窓センサやドアセンサ等の防犯センサが接続されて、居住者が出かける際に居室親機を防犯設定して防犯センサを起動し、不審者の侵入等が発生したらそれを検知して居室親機や管理人室等で警報音を発する集合住宅インターホンシステムがある。
このような防犯機能を備えた居室親機は、帰宅した居住者により居室親機が操作されて防犯設定解除されることで、防犯センサの動作は停止する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−116630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の防犯機能を備えた集合住宅用インターホンシステムにおいては、帰宅した居住者による防犯設定解除操作は、居室親機に対して居住者と不審者を判別させるために一定の複雑度を有する認証操作となっていたため、防犯機能の活用において著しく利便性が損なわれていた。
一方、集合住宅では、帰宅した居住者は自身の住戸玄関を解錠する前に、通常はエントランスから住居エリアに入る際に、暗証番号の入力等でエントランスに設けられているオートドアの解錠操作を行う。そのため、このエントランスでの解錠操作時の情報を受けて帰宅者住戸の防犯設定も解除する構成が考えられる。
ところが、このタイミングで防犯設定を解除すると、自宅に着いていないのに防犯設定を解除してしまい防犯機能の著しい弱体化を招くことから実用上好ましいものではない。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、エントランス等において居住者が行うオートドアの解錠操作を居室親機の防犯解除操作の一部として認識させることで、その後自宅に戻った居住者による防犯解除操作を簡易な操作に変更できる集合住宅インターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、居住者を呼び出すために集合住宅のエントランス或いは各階のロビー等に設置された集合玄関機と、集合玄関機からの呼び出しに応答するために各住戸に設置された居室親機と、集合玄関機と居室親機との間の通信を制御する制御機とを有し、居室親機にはドアセンサ等の防犯センサが接続され、防犯センサの異常検知動作を受けて警報を発する発報手段と、防犯センサを起動する防犯設定手段と、防犯センサの動作を停止する防犯解除手段とを有する集合住宅インターホンシステムであって、集合玄関機は、予め住戸毎に設定されたID情報を入力するためのID情報入力手段と、入力されたIDを認証するID認証手段と、入力されたIDの認証を受けて集合玄関に設置されたオートドアの解錠を実施すると共に、関連する住戸の居室親機に帰宅信号を送信する帰宅制御手段とを備える一方、居室親機は、防犯解除手段による解除操作を通常解除操作と通常解除操作より簡易な簡易解除操作との2通りの操作を可能として、少なくとも一方を許可する解除操作制御手段を備え、帰宅信号を受けたら簡易解除操作を許可することを特徴とする。
この構成によれば、集合住宅のエントランス或いはロビーにおいて行う集合玄関機でのオートドアの解錠操作により、居住者の入居する住戸の居室親機が居住者の帰宅を認証して居室親機を操作して行う防犯解除操作を簡略化する。よって、居住者が防犯機能を活用する際に利便性が向上する。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成において、ID情報入力手段が住戸毎のID情報を記録したカードキーの情報を読み取るカードキーリーダであることを特徴とする。
この構成によれば、外出する居住者がID情報を記録したカードキーを携行することで、入力する暗証番号の桁数が多くてもID入力を簡易に実施できるし、カードキーリーダはエントランスや各階のロビーに設置すれば良い。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の構成において、解除操作制御手段は、帰宅信号を受けてから所定時間のカウントを開始する帰宅タイマを有し、所定時間が経過しても防犯解除操作を受けなかったら、簡易解除操作の許可を取り消すことを特徴とする。
この構成によれば、集合玄関機において帰宅操作したにも拘わらず、まっすぐ自宅に向かわなかった場合等一定時間が経過したら簡易解除操作が無効となる。よって、セキュリティ性を損なうことがない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、集合住宅のエントランスにおいて行う帰宅操作により、居住者の入居する住戸の居室親機は居住者の帰宅を認証し、防犯解除操作が簡略化される。よって、居住者が防犯機能を活用する際に利便性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図である。
【図2】集合玄関機の回路ブロック図である。
【図3】居室親機の回路ブロック図である。
【図4】制御機の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明に係る集合住宅インターホンシステムの一例を示す構成図であり、1は居住者を呼び出すために集合住宅のエントランス或いは各階のロビーに設置された集合玄関機、2は集合玄関機1からの呼び出しに応答するために各住戸に設置された居室親機、3は集合玄関機1と居室親機2との間の通信を制御する制御機、4はエントランス或いは各階のロビーに集合玄関機1と対を成して設置されたオートドア、5は例えば住戸玄関のドアに設置されたドアセンサや窓に設けた窓センサ等の防犯センサである。集合玄関機1、居室親機2は、夫々伝送線L1,L2により制御機3に接続され、オートドア4は伝送線L3により集合玄関機1に接続されている。
【0012】
図2は集合玄関機1の回路ブロック図を示している。この図2に示すように、集合玄関機1は、来訪者を撮像するためのカメラ11、呼出先住戸を選択して呼び出すための玄関機操作部12、操作内容等を表示する玄関機表示部13、通話するためのマイク及びスピーカを備えた通話部14、居住者が携行する図示しないカードキーからID情報を読み取るカードキーリーダ15、IDを直接入力してオートドア4を解錠するための暗証解錠部16、集合玄関機1を制御する集合玄関機CPU17、制御機3と通信する集合玄関機IF18、オートドア4に解錠信号を出力するオートドア解錠部19等を備えている。
【0013】
カードキーは、住戸毎に居室親機2に対して登録されたIDが記録され、カードキーリーダ15はこのIDを読み取る。暗証解錠部16は、居住者がカードキーを忘れて外出した場合でもオートドアを解錠できるよう設けられている。
【0014】
図3は居室親機2の回路ブロック図を示している。この図3に示すように、居室親機2は、集合玄関機1のカメラ11が撮像した映像を表示する親機表示部21、通話する為のマイク及びスピーカを備えた親機通話部22、呼び出しに対する応答操作等を行う親機操作部23、防犯センサ5が能動状態となる防犯モードに移行させる防犯設定部24、防犯設定を解除して通常モードに移行させる防犯解除部25、警報音を発する警報部26、防犯設定する際に一定時間をカウントする第1タイマ27a、後述する帰宅信号を受けて第1タイマ27aとは独立に設定された一定時間をカウントする第2タイマ27b、居室親機を制御する親機CPU28、制御機3と通信する親機インターフェース(親機IF)29、防犯センサ5を接続するセンサインターフェース(センサIF)30等を備えている。
【0015】
防犯解除部25は、親機表示部21に設けられたタッチパネル操作部で構成され、暗証番号入力のためのテンキー或いはファイブキーの押しボタンが表示され、通常解除モードと簡易解除モードの2通りのID入力操作で解除を可能としている。通常解除モードでは、例えば4桁から成る暗証番号を入力することで居室親機2が防犯モードから通常モードに移行して防犯設定が解除される。簡易解除モードでは、例えば2桁から成る暗証番号を入力すれば防犯設定が解除される。この解除モードは、親機CPU28の制御でどちらかに設定される。
【0016】
図4は制御機3の回路ブロック図を示している。この図4に示すように、制御機3は、住戸毎のID情報を記憶する記憶部31、制御機3を制御する制御機CPU32、集合玄関機1と通信する第1インターフェース(第1IF)33、居室親機2と通信する第2インターフェース(第2IF)34等を備えている。
【0017】
このように構成された集合住宅インターホンシステムの防犯設定/解除操作を次に説明する。尚、来訪者により集合玄関機1が操作されて居住者を呼び出す動作、呼び出しを受けてカメラ11が起動し、撮像した来訪者映像が居室親機2の親機表示部21で表示される動作、呼び出しを認識した居住者が居室親機2を操作して応答する動作等インターホンの基本動作は従来と同様であるため説明を省略する。
【0018】
居住者は、外出する際に防犯設定部24を操作して居室親機2を防犯モードに設定し、接続されている防犯センサ5を能動状態とする。具体的に、防犯設定部24を操作すると、親機CPU28が先ず第1タイマ27aをスタートさせて居住者が住戸玄関を出るまでの時間を考慮した一定時間の経過を待つ。一定時間が経過したら、センサIF30を介して防犯センサ5に起動信号を送信し、防犯センサ5を起動させる。起動信号を受信した防犯センサ5は能動状態となり、異常を検知したら居室親機2が警報発報する防犯モード状態となる。
【0019】
この防犯モード状態で、防犯センサ5の1つであるドアセンサがドアの開操作を検知したら異常検知信号が居室親機2に伝送される。この信号を受けた居室親機2は、親機CPU28が警報部26から警報音を発報させる。また、親機表示部21に住戸に侵入者があったことを表示させる。警報発報は、侵入した不審者に対して威嚇になるし、近隣の住人は音より異常の発生を認識できる。また親機表示部21の表示により、帰ってきた居住者は、留守の間に異常発生があったことを認識できる。
【0020】
防犯モード状態にある居室親機2は、帰宅した居住者により防犯モードが解除される。帰ってきた居住者は、まずエントランス或いは自宅住戸のあるフロアに設置されているオートドア4を解錠させるための帰宅操作を実施する。帰宅操作は、カードキー或いは暗証解錠部16により登録されたIDを入力することで実施される。
【0021】
カードキーを使用して帰宅操作する場合、カードキーリーダ15にカードキーを通す。カードキーリーダ15はカードキーから読み取った情報を集合玄関機1に送信する。この情報を受信した集合玄関機1は、集合玄関機CPU17がこの情報を読み取り、制御機3の記憶部31に登録されているID情報と照合して居住者であることを認証したら、オートドア4の解錠信号をオートドア解錠部19から出力する。同時に、IDに関連付けられた住戸の居室親機2に向けて帰宅信号を送信する。帰宅信号は、集合玄関機IF18を介して制御機3に送信される。帰宅信号を受信した制御機3は、制御機CPU32により帰宅信号に含まれているID情報から送信先の居室親機2を認識し、その居室親機2に対して帰宅信号を送信する。
【0022】
暗証解錠部16を使用して帰宅操作する場合は、例えば4桁の暗証番号を暗証解錠部16に入力する。入力された情報を受けた集合玄関機CPU17は、カードキーによる帰宅操作の場合と同様に上記動作を実施する。
【0023】
こうして帰宅信号を受けた居室親機2は、親機CPU28が防犯解除部25による解除操作を通常解除モードから簡易解除モードに移行させる。この移行を受けて、第2タイマ27bによる予め設定された所定時間のカウントが開始される。その後、防犯解除操作を受けずに所定時間が経過して第2タイマ27bがカウントアップしたら、防犯解除部25は簡易解除モードを終了し、通常解除モードに戻る。
【0024】
尚、第2タイマ27bのカウント時間の設定は、帰宅操作をした居住者が、自宅の玄関を解錠して自宅の居室親機2を防犯解除操作するのに必要な時間で設定されている。例えば、1階のエントランスで帰宅操作を行い、自宅は上階にあってエレベータを使用して帰宅するような場合、オートドア4から居住エリアに入り、エレベータを使用して自宅のあるフロアに移動し、廊下を歩いて帰宅するまでの時間が考慮されて設定される。また、各階のロビーで帰宅操作する集合住宅の場合は、帰宅操作してから自宅に到着するまでの時間が比較的短いため、エントランスで帰宅操作する場合に比べて短時間に設定されている。
【0025】
集合玄関機1において帰宅操作をし、自住戸に到着した居住者が玄関ドアを解錠して開けると、防犯センサ5のうち玄関ドアに設置されたドアセンサが玄関の開放を検知し、異常検知信号が居室親機2に伝送される。この異常検知信号を受信した居室親機2は、親機CPU28が警報部26から警報発報を予告する予告音を発報させる。その後、帰宅した居住者により防犯解除操作が成されることで発報は停止する。尚、予告音は一定時間鳴動し、その間解除操作されなければ本発報に移行する。
具体的に、この時の解除操作は簡易解除モード状態にあるため簡易解除操作で解除でき、2桁の暗証番号を防犯解除部25から入力する。この暗証番号の入力を受けて、予め設定された暗証番号であると認証した親機CPU28は、居室親機2を通常モードに移行させて警報発報動作を復旧(停止)する。また、防犯センサ5の検知動作は停止する。
【0026】
このように、集合住宅のエントランス或いはロビーにおいて行う集合玄関機1でのオートドア4の解錠操作により、居住者の入居する住戸の居室親機2が居住者の帰宅を認証して居室親機2を操作して行う防犯解除操作を簡略化する。よって、居住者が防犯機能を活用する際に利便性が向上する。
また、外出する居住者がID情報を記録したカードキーを携行して、カードキーによりID入力を行えば入力する暗証番号の桁数が多くてもID入力を簡易に実施できるし、カードキーリーダ15はエントランスや各階のロビーに設置すれば良い。
更に、集合玄関機1において帰宅操作したにも拘わらず、まっすぐ自宅に向かわなかった場合等一定時間が経過したら簡易解除操作が無効となるので、セキュリティ性を損なうことがない。
【0027】
尚、上記実施形態では、防犯設定部24や防犯解除部25、更に警報部26を居室親機2に設けているが、これらは居室親機2とは別体としても良い。別体とすれば、既存の居室親機2を交換すること無く防犯機能を追加することが可能となる。また、居室親機2の設置場所に限定されず任意の場所に設置できる。
また、通常解除モードを4桁の数字、簡易解除モードを2桁の数字としているが、IDの設定は任意であり、簡易解除モードは数字の入力ではなく例えば特定のボタンの長押しとしても良い。
【符号の説明】
【0028】
1・・集合玄関機、2・・居室親機、3・・制御機、4・・オートドア(オートドア)、5・・防犯センサ、15・・カードキーリーダ(ID情報入力手段)、16・・暗証解錠部(ID情報入力手段)、17・・集合玄関機CPU(ID認証手段、帰宅制御手段)、24・・防犯設定部(防犯設定手段)、25・・防犯解除部(防犯解除手段)、26・・警報部、27b・・第2タイマ(帰宅タイマ)、28・・親機CPU(解除操作制御部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
居住者を呼び出すために集合住宅のエントランス或いは各階のロビー等に設置された集合玄関機と、前記集合玄関機からの呼び出しに応答するために各住戸に設置された居室親機と、前記集合玄関機と前記居室親機との間の通信を制御する制御機とを有し、
前記居室親機にはドアセンサ等の防犯センサが接続され、前記防犯センサの異常検知動作を受けて警報を発する発報手段と、前記防犯センサを起動する防犯設定手段と、前記防犯センサの動作を停止する防犯解除手段とを有する集合住宅インターホンシステムであって、
前記集合玄関機は、予め住戸毎に設定されたID情報を入力するためのID情報入力手段と、入力されたIDを認証するID認証手段と、入力されたIDの認証を受けて集合玄関に設置されたオートドアの解錠を実施すると共に、関連する住戸の前記居室親機に帰宅信号を送信する帰宅制御手段とを備える一方、
前記居室親機は、前記防犯解除手段による解除操作を通常解除操作と前記通常解除操作より簡易な簡易解除操作との2通りの操作を可能として、少なくとも一方を許可する解除操作制御手段を備え、前記帰宅信号を受けたら前記簡易解除操作を許可することを特徴とする集合住宅インターホンシステム。
【請求項2】
前記ID情報入力手段が住戸毎のID情報を記録したカードキーの情報を読み取るカードキーリーダであことを特徴とする請求項1記載の集合住宅インターホンシステム。
【請求項3】
前記解除操作制御手段は、前記帰宅信号を受けてから所定時間のカウントを開始する帰宅タイマを有し、前記所定時間が経過しても防犯解除操作を受けなかったら、前記簡易解除操作の許可を取り消すことを特徴とする請求項1又は2記載の集合住宅インターホンシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2012−69069(P2012−69069A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215594(P2010−215594)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】