説明

集積回路装置、表示モジュール、表示システム及び電子機器

【課題】基板に実装される場合に低コスト化に寄与できる、電源回路を内蔵する集積回路装置、これを含む表示モジュール、表示システム及び電子機器等を提供する。
【解決手段】液晶駆動装置100Mは、液晶駆動電圧を生成する液晶駆動電圧生成回路150と、液晶駆動電圧生成回路150によって生成された液晶駆動電圧が印加される液晶駆動電圧出力端子V3Oと、液晶駆動電圧出力端子V3Oに印加された液晶駆動電圧が外部を介して供給される液晶駆動電圧入力端子V3Iと、液晶駆動電圧入力端子V3Iからの液晶駆動電圧が供給され、液晶駆動を行う液晶駆動回路140とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路装置、これを含む表示モジュール、表示システム及び電子機器等に関する。
【背景技術】
【0002】
表示モジュールや表示システムは、携帯電話機やパーソナルコンピューター等の電子機器の表示装置として採用され、表示モジュール等には、その用途に応じた画面サイズの表示パネルが搭載される。この表示パネルは、画面サイズに応じて、1又は複数の液晶駆動装置(集積回路装置)によって駆動される。複数の液晶駆動装置がCOG実装(Chip On Glass)実装によりガラス基板に搭載される場合、それぞれの液晶駆動装置がマスター・スレーブ構成で接続され、ガラス基板に形成される例えばITO(Indium Tin Oxide)配線を介して、電気信号のやりとりが行われることになる。このとき、例えばマスター及びスレーブのいずれかに設定可能な液晶駆動装置では、内蔵する電源回路が生成した液晶駆動電圧の入出力端子を備える。マスター設定時には該入出力端子を介してスレーブ側に液晶駆動電圧を供給し、スレーブ設定時には該入出力端子を介してマスター側から液晶駆動電圧が供給される。こうしてマスター・スレーブ構成で接続された各液晶駆動装置が、画素形成領域内の対応する領域の液晶を駆動する。
【0003】
この場合、各液晶駆動装置が駆動する領域間のむらを低減し、画質の劣化を防止する必要がある。ところが、ITO配線は配線抵抗が大きく、集積回路装置としての液晶駆動装置内の配線抵抗に比べて、液晶駆動装置の端子と表示モジュールの端子との間に無視できない抵抗成分が付加される。このITO配線の配線抵抗等によって、マスターに設定した液晶駆動装置内における液晶駆動電圧と、スレーブに設定した液晶駆動装置内における液晶駆動電圧との差が生じ、画素形成領域内でブロックむら(マスター・スレーブそれぞれの対応する領域でコントラスト差)が発生する。
【0004】
例えば特許文献1には、出力アンプ部に階調電圧を出力する階調電圧出力回路の出力同士を短絡することで領域毎の階調を適切に表現し、ブロックむらを低減する技術が開示されている。また、例えば特許文献2には、マスターに設定した液晶駆動装置とスレーブに設定した液晶駆動装置とで表示制御信号の遅延量が異なる場合に、外部配線を介して両者の表示制御信号の遅延量の差を少なくして画面内での濃淡差を低減する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−286526号公報
【特許文献2】特開2001−92424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に開示された技術では、階調電圧を共通化する配線の配線抵抗がないことが前提であり、マスター・スレーブ構成で接続されたCOG実装の液晶駆動装置によるブロックむらを低減させることができない。また、特許文献2に開示された技術では、表示制御信号の遅延量に起因した画面内での濃淡差について言及されており、COG実装されたマスター・スレーブ構成の各液晶駆動装置の液晶駆動電圧については開示も示唆もされていない。これにより、特許文献1及び特許文献2に開示された技術によれば、各液晶駆動装置間の液晶駆動電圧の差をなくすために液晶駆動装置内の電源回路を使用できず、外部に設けられた電源回路で生成した液晶駆動電圧を各液晶駆動装置に供給する必要がある。この結果、コスト高を招くという問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような技術的課題に鑑みてなされたものである。本発明の幾つかの態様によれば、基板に実装される場合に低コスト化に寄与できる、電源回路を内蔵する集積回路装置、これを含む表示モジュール、表示システム及び電子機器等を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の一態様は、集積回路装置が、電源電圧を生成する電源回路と、前記電源回路によって生成された電源電圧が印加される電源電圧出力端子と、前記電源電圧出力端子に印加された前記電源電圧が外部を介して供給される第1の電源電圧入力端子と、前記第1の電源電圧入力端子からの前記電源電圧が供給され、所与の処理を行う処理回路とを含む。
【0009】
本態様によれば、基板に実装され、電源回路を内蔵する集積回路装置が外部回路に電源電圧を供給する場合に、集積回路装置内と外部回路とで電源電圧の電圧レベルの差を容易に揃えることができる。これにより、外部の電源回路で生成した電源電圧を当該集積回路及び外部回路に供給する必要がなくなり、内蔵する電源回路を使用できるようになり、低コスト化を図ることができるようになる。
【0010】
(2)本発明の他の態様に係る集積回路装置では、前記電源電圧出力端子及び前記第1の電源電圧入力端子は、隣接して配置される。
【0011】
本態様によれば、マスター・スレーブ構成ではなく、1チップで構成されていても、電源電圧出力端子と第1の電源電圧入力端子を最短距離で接続することができるので、配線抵抗が大きい材質で接続する場合でも、電圧降下が小さくなり、高精度に電圧を揃えることが可能となる。
【0012】
(3)本発明の他の態様に係る集積回路装置では、前記処理回路は、画素形成領域において第1の方向に配設された第1の電極と、該画素形成領域において前記第1の方向と交差する第2の方向に配設された第2の電極とを駆動する電極駆動回路であり、前記電源回路は、前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方に供給する駆動電圧を生成する。
【0013】
本態様によれば、表示パネル等を駆動する集積回路装置に適用することができる。
【0014】
(4)本発明の他の態様は、表示モジュールが、前記画素形成領域が形成されるパネル基板と、前記パネル基板に実装され、前記画素形成領域内の前記第1の電極及び前記第2の電極を駆動する上記記載の集積回路装置と、前記電源電圧出力端子に電気的に接続される第1の信号線及び前記第1の電源電圧入力端子に電気的に接続される第2の信号線が形成されるフレキシブル基板とを含む。
【0015】
本態様によれば、表示パネル等を駆動する集積回路装置が内蔵する電源回路を使用することで、他の集積回路装置に電源電圧を供給する場合でも、他の集積回路装置との間で電圧レベルの差の少ない電源電圧で当該集積回路装置を動作させることができる。これにより、表示モジュールの低コスト化を図ることができる。
【0016】
(5)本発明の他の態様は、表示モジュールが、前記画素形成領域が形成されるパネル基板と、前記パネル基板に実装され、前記画素形成領域の第1の領域内の前記第1の電極及び前記第2の電極を駆動する上記記載の集積回路装置と、前記パネル基板に実装され、前記画素形成領域の第2の領域内の前記第1の電極及び前記第2の電極と電気的に接続されると共に、第2の電源電圧入力端子を有する電極駆動装置と、前記電源電圧出力端子に電気的に接続される第1の信号線、前記第1の電源電圧入力端子に電気的に接続される第2の信号線、及び前記第2の電源電圧入力端子に電気的に接続される第3の信号線が形成される1又は複数のフレキシブル基板とを含む。
【0017】
本態様によれば、集積回路装置が内蔵する電源回路を使用することで、当該集積回路装置を含む複数の集積回路装置で表示パネル等を駆動する場合に、表示モジュールの低コスト化を図ることができる。
【0018】
(6)本発明の他の態様に係る表示モジュールは、前記第1の信号線、前記第2の信号線及び前記第3の信号線は、電気的に接続される。
【0019】
本態様によれば、表示モジュールの低コスト化を図ることができる。
【0020】
(7)本発明の他の態様は、表示システムが、上記記載の表示モジュールと、前記フレキシブル基板に形成される前記第1の信号線及び前記第2の信号線と電気的に接続されるバイパスコンデンサーが実装される回路基板とを含む。
【0021】
(8)本発明の他の態様は、表示システムが、上記のいずれか記載の表示モジュールと、前記1又は複数のフレキシブル基板に形成される前記第1の信号線、前記第2の信号線及び前記第3の信号線と電気的に接続されるバイパスコンデンサーが実装される回路基板とを含む。
【0022】
(9)本発明の他の態様は、表示システムが、上記記載の表示モジュールと、前記1又は複数のフレキシブル基板に形成される前記第1の信号線、前記第2の信号線及び前記第3の信号線と電気的に接続されるバイパスコンデンサーが実装される回路基板とを含み、前記回路基板において、前記第1の信号線、前記第2の信号線及び前記第3の信号線は、電気的に接続される。
【0023】
上記のいずれかの態様によれば、集積回路装置が内蔵する電源回路を使用でき、表示システムの低コスト化を図ることができる。
【0024】
(10)本発明の他の態様は、電子機器が、上記のいずれか記載の集積回路装置を含む。
【0025】
本態様によれば、集積回路装置が内蔵する電源回路を使用することで、当該集積回路装置を含む複数の集積回路装置において電圧レベルの差の少ない電源電圧で動作させることができ、電子機器の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1の実施形態における表示システムの構成の概要を示す図。
【図2】第1の実施形態における液晶駆動装置の構成例のブロック図。
【図3】第1の実施形態における7レベルの液晶駆動電圧の関係を示す図。
【図4】MLS駆動を行う場合のフィールド信号の説明図。
【図5】MLS駆動法における駆動電圧の波形の一例を示す図。
【図6】液晶駆動電圧生成回路により生成された液晶駆動電圧の供給経路を示す図。
【図7】第1の実施形態における液晶駆動装置の端子配置を模式的に示す図。
【図8】第2の実施形態における表示システムの構成の概要を示す図。
【図9】第3の実施形態における表示システムの構成の概要を示す図。
【図10】第3の実施形態における液晶駆動電圧の供給経路を示す図。
【図11】第3の実施形態における液晶駆動装置の端子配置を模式的に示す図。
【図12】図12(A)、図12(B)は第1の実施形態〜第3の実施形態のいずれかの実施形態が適用された電子機器の構成を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の課題を解決するために必須の構成要件であるとは限らない。
また、以下では、本発明に係る集積回路装置として液晶駆動装置を例に説明するが、本発明に係る集積回路装置は、液晶駆動装置に限定されるものではない。また、以下の実施形態において、液晶駆動装置が、単純マトリックス型の液晶表示(Liquid Crystal Display:以下、LCD)パネルを駆動する例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0028】
〔第1の実施形態〕
図1に、本発明に係る第1の実施形態における表示システムの構成の概要を示す。
表示システム10は、表示モジュール20と、回路基板300とを含む。表示モジュール20は、LCDパネル30と、液晶駆動装置100M、100Sと、フレキシブル基板200とを含む。回路基板300には、信号線が形成される共に、例えばフレキシブル基板200には実装されない回路素子が実装される。図1では、回路基板300に、液晶駆動装置100M、100Sの外付け回路として、電圧変動を抑えるバイパスコンデンサーCbが実装される。また、回路基板300に形成される信号線を介して、表示システム10の外部に設けられる例えばホストプロセッサー(図示せず)により、液晶駆動装置100M、100Sが制御される。
【0029】
LCDパネル30は、単純マトリックス型の液晶表示パネルである。LCDパネル30は、一対の透明なガラス基板の間に、透明電極で形成され互いに交差するように配置された複数のコモン電極、複数のセグメント電極、配向膜及び液晶等を封入して形成される。LCDパネル30は画素形成領域40を有し、画素形成領域40には、第1の方向に配設されたコモン電極と、第1の方向と交差する第2の方向に配設されたセグメント電極との交差位置に対応して画素が形成される。図1では、複数のコモン電極COM1〜COMN(Nは2以上の整数)のコモン電極COMn(1≦n≦N、nは整数)と複数のセグメント電極SEG1〜SEGM(Mは2以上の整数)のセグメント電極SEGm(1≦m≦M、mは整数)とを図示している。液晶駆動装置100M、100Sは、マスター・スレーブ接続されており、LCDパネル30を構成するガラス基板(広義にはパネル基板)上にCOG実装される。液晶駆動装置100M、100Sは、それぞれが対応するコモン電極に所与の液晶駆動電圧を供給するための複数のコモン電極出力端子と、それぞれが対応するセグメント電極に所与の液晶駆動電圧を供給するための複数のセグメント電極出力端子とを有する。マスターに設定された液晶駆動装置(集積回路装置)100Mのコモン電極出力端子及びセグメント電極出力端子は、LCDパネル30の対応する領域のコモン電極及びセグメント電極と電気的に接続される。スレーブに設定された液晶駆動装置100Sのコモン電極出力端子及びセグメント電極出力端子もまた、LCDパネル30の対応する領域のコモン電極及びセグメント電極と電気的に接続される。
【0030】
LCDパネル30を構成するガラス基板には、フレキシブル基板200が接続される。フレキシブル基板200には、多層構造の信号線が形成されており、液晶駆動装置100M、100Sの複数の端子は、フレキシブル基板200に形成された信号線を介して電気的に互いに接続される。また、液晶駆動装置100M、100Sの複数の端子は、フレキシブル基板200の信号線を介して、回路基板300に形成された信号線や回路素子と電気的に接続される。
【0031】
液晶駆動装置100Mは、液晶駆動電圧生成回路(広義には電源回路)を有し、コモン電極及びセグメント電極に供給するための複数種類の液晶駆動電圧を生成する。液晶駆動装置100Mは、出力専用端子である液晶駆動電圧出力端子(電源電圧出力端子)TM1、入力専用端子である液晶駆動電圧入力端子(第1の電源電圧入力端子)TM2、接地電源端子TM3を少なくとも含む。接地電源端子TM3は、液晶駆動電圧出力端子TM1とは別に設けられ、液晶駆動電圧を出力するための液晶駆動電圧出力端子を兼用してもよい。液晶駆動装置100Mは、液晶駆動電圧出力端子TM1を介して液晶駆動電圧DVを出力する。液晶駆動電圧出力端子TM1は、ガラス基板に形成された図示しないITO配線と、フレキシブル基板200に形成された信号線(第1の信号線)202と、回路基板300に形成された信号線302とを介して、バイパスコンデンサーCbの一端に電気的に接続される。液晶駆動電圧入力端子TM2は、ガラス基板に形成された図示しないITO配線と、フレキシブル基板200に形成された信号線204(第2の信号線)又は回路基板300に形成された信号線304とを介して、液晶駆動電圧出力端子TM1と電気的に接続される。接地電源端子TM3は、ガラス基板に形成された図示しないITO配線と、フレキシブル基板200に形成された信号線206と、回路基板300に形成された信号線306とを介して、バイパスコンデンサーCbの他端に電気的に接続される。
【0032】
液晶駆動装置(広義には電極駆動装置)100Sは、液晶駆動電圧入力端子(第2の電源電圧入力端子)TM10、接地電源端子TM11を少なくとも含む。液晶駆動電圧入力端子TM10は、ガラス基板に形成された図示しないITO配線と、フレキシブル基板200に形成された信号線208(第3の信号線)又は回路基板300に形成された信号線308とを介して、バイパスコンデンサーCbの一端に電気的に接続される。接地電源端子TM11は、フレキシブル基板200に形成された信号線210と、回路基板300に形成された信号線310とを介して、バイパスコンデンサーCbの他端に電気的に接続される。
【0033】
液晶駆動装置100Mは、内蔵する液晶駆動電圧生成回路において生成した液晶駆動電源電圧DVを、液晶駆動電圧出力端子TM1を介して外部に出力する。また、この液晶駆動装置100Mには、液晶駆動電圧入力端子TM2を介して液晶駆動電圧DVが供給される。液晶駆動装置100Sにおいても、液晶駆動装置100Mから出力された液晶駆動電圧DVが、液晶駆動電圧入力端子TM10を介して供給される。これにより、液晶駆動装置100M、100Sには、ITO配線、フレキシブル基板200又は回路基板300に形成された信号線を介して、液晶駆動電圧DVが供給される。内蔵する液晶駆動電圧生成回路で生成した液晶駆動電圧DVを液晶駆動装置100Mの内部でそのまま液晶駆動電圧として用いる場合、外部配線の配線抵抗によって、液晶駆動装置100M、100Sで液晶駆動電圧DVの電圧レベルの差異が生ずる。これに対して、図1では、液晶駆動装置100MにもITO配線を介して液晶駆動電圧DVが供給されるようになり、液晶駆動装置100M、100Sで液晶駆動電圧DVの電圧レベルを揃えることができるようになる。これにより、画素形成領域40内においてブロックむらを低減することができる。この結果、液晶駆動装置100M内の液晶駆動電圧生成回路を使用でき、外部に電源回路を設けることなく、低コストで、表示モジュール20や表示システム10を提供できるようになる。
【0034】
以下では、液晶駆動装置100M、100Sが、4ライン同時選択のMLS(Multi Line Selection)駆動法によりLCDパネルを駆動する例に適用した場合について説明する。
図2に、液晶駆動装置100Mの構成例のブロック図を示す。図2では、液晶駆動装置100Mの構成例を示すが、液晶駆動装置100Sの構成も図2と同様の構成を採用することができる。また、液晶駆動装置100Sは、液晶駆動電圧生成回路が省略された構成を有していてもよい。
液晶駆動装置100Mは、インターフェイス回路110と、発振回路112と、制御回路114と、モード設定レジスター116と、コモンアドレスデコーダー118と、コモン出力演算回路120とを含む。更に、液晶駆動装置100Mは、ページアドレス制御回路122と、カラムアドレス制御回路124と、ラインアドレス制御回路126と、表示データRAM128と、表示データラッチ回路130と、MLSデコーダー132とを含む。更にまた、液晶駆動装置100Mは、液晶駆動回路(広義には処理回路、電極駆動回路)140と、液晶駆動電圧生成回路150とを含む。液晶駆動回路140は、コモン電極駆動回路としてのコモンドライバー142と、セグメント電極駆動回路としてのセグメントドライバー144とを含む。
【0035】
インターフェイス回路110は、入力端子又は入出力端子を介して図示しないホストプロセッサーから入力される制御信号の入力インターフェイス処理を行う。またインターフェイス回路110は、出力端子又は入出力端子を介して液晶駆動装置100S又はホストプロセッサーに出力する出力信号の出力インターフェイス処理を行う。発振回路112は、液晶駆動装置100Mが生成する表示タイミング信号の基準となる発振クロックOSCを発振動作により生成する。制御回路114は、発振クロックOSCに基づいて、複数種類の表示タイミング信号を生成する。制御回路114は、コモンアドレスデコーダー118等の液晶駆動装置100Mの各部を制御する制御信号を生成する。モード設定レジスター116には、マスターモード又はスレーブモードを指定するための制御データが設定される。この制御データは、ホストプロセッサーがインターフェイス回路110を介してモード設定レジスター116に設定する。マスターモードに設定されたとき、液晶駆動装置100Mは、液晶駆動電圧生成回路150において液晶駆動電圧を生成し、各液晶駆動電圧を対応する液晶駆動電圧出力端子を介して一旦外部に出力する。そして、液晶駆動装置100Mは、対応する液晶駆動電圧入力端子を介して外部から入力される液晶駆動電圧を用いて、液晶駆動回路140によりコモン電極及びセグメント電極を駆動する。一方、スレーブモードに設定されたとき、液晶駆動装置100Mは、液晶駆動電圧生成回路150の動作を停止する。そして、液晶駆動装置100Mは、対応する液晶駆動電圧入力端子を介して外部から入力される液晶駆動電圧を用いて、液晶駆動回路140によりコモン電極及びセグメント電極を駆動する。液晶駆動装置100Sは、スレーブモードに設定された液晶駆動装置100Mと同様の液晶駆動制御を行う。
【0036】
コモンアドレスデコーダー118は、制御回路114において生成されMLS駆動において同時選択される複数のコモン電極に対応したコモンアドレスをデコードする。このデコード結果はコモンドライバー142に出力される。コモンアドレスは、同時選択される複数のコモン電極毎に割り当てられ、MLS駆動を行う際にコモンアドレスを指定することで、対応するコモン電極が選択される。コモン出力演算回路120は、制御回路114において生成される液晶交流化信号FR、MLS駆動パターンを識別するフィールド信号F1、F2に基づいて、コモン出力の出力レベルを制御する。
【0037】
ページアドレス制御回路122は、インターフェイス回路110を介してホストプロセッサーから入力される表示データを表示データRAM128にアクセスするためのページアドレスを制御する。ページアドレスは、ホストプロセッサーから入力される表示データのバス幅をアクセス単位として定義される。カラムアドレス制御回路124は、インターフェイス回路110を介してから入力される表示データを表示データRAM128にアクセスするためのカラムアドレスを制御する。カラムアドレスは、LCDパネル30のセグメント電極に対応して定義される。ラインアドレス制御回路126は、表示データRAM128に保存された表示データのうち読み出しラインを特定するラインアドレスを制御する。ラインアドレスは、LCDパネル30のコモン電極に対応して定義される。表示データRAM128は、LCDパネル30の画素の並びに対応して、各画素の表示データが記憶される記憶領域を有する。各記憶領域は、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される。これにより、表示データRAM128には、ページアドレス及びカラムアドレスにより特定される領域に表示データが書き込まれる。一方、表示データRAM128からは1ライン単位で表示データが読み出される。表示データラッチ回路130は、表示データRAM128から読み出された1ライン分の表示データをラッチする。
【0038】
MLSデコーダー132は、表示データと、制御回路114において生成されMLS駆動を行うための表示タイミング信号とをデコードする。より具体的には、MLSデコーダー132は、表示データラッチ回路130によってラッチされた表示データと、制御回路114によって生成される液晶交流化信号FR、フィールド信号F1、F2とに基づいて、セグメント出力の出力レベルを制御する。MLSデコーダー132は、公知のMLS演算によって、各セグメント電極に与える液晶駆動電圧を決定する。このMLS演算結果に対応したMLSデコーダー132のデコード結果は、液晶駆動回路140に出力される。
【0039】
コモンドライバー142は、コモンアドレスデコーダー118のデコード結果に基づいて、コモン出力の選択/非選択を制御し、選択されたコモン出力として、コモン出力演算回路120で生成された出力レベルを出力する。セグメントドライバー144は、MLSデコーダー132のデコード結果に基づいて、セグメント電極に、MLSデコーダー132でデコードされた出力レベルを出力する。なお、セグメントドライバー144には、制御回路114において生成された表示オフ信号XDOFにより、MLSデコーダー132のデコード結果にかかわらずセグメント電極に所与の出力レベルを出力して表示をオフにする制御を行うことができる。表示オフ信号XDOFにより、コモン電極と同電位となるような出力レベルをセグメント電極に出力することで、表示をオフすることができる。このように、4ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動では、公知のMLS演算によって各セグメント電極の駆動電圧を決定し、1フレーム期間内で4回の選択期間を設けることによって、画素のオン又はオフを制御する。選択期間を複数回設けているため、非選択期間における透過率の低下が少なくなり、LCDパネル30の平均の透過率を向上させ、LCDパネル30のコントラストを向上させることができる。このような4ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動では、7レベルの液晶駆動電圧が用いられる。液晶駆動電圧生成回路150は、MLS駆動を行うために用いられる7レベルの直流の液晶駆動電圧を生成する。
【0040】
図3に、液晶駆動電圧生成回路150によって生成される7レベルの液晶駆動電圧の関係を示す。
液晶駆動電圧V3、MV3は、コモン電極の選択電圧である。液晶駆動電圧VCは、コモン電極の非選択電圧であり、セグメント電極の駆動電圧である。液晶駆動電圧V2、V1、MV1、MV2は、セグメント電極の駆動電圧である。第1の実施形態では、液晶駆動電圧MV3は、接地電圧VSSと同電位に設定される。コモン出力演算回路120は、コモン出力の出力レベルを、液晶駆動電圧V3、VC、MV3のいずれかから選択する制御を行う。また、MLSデコーダー132は、セグメント出力の出力レベルを、液晶駆動電圧V2、V1、VC、MV1、MV2のいずれかから選択する制御を行う。
【0041】
液晶駆動電圧V3、VCの電圧差をv、液晶駆動電圧V2、VCの電圧差をv、液晶駆動電圧V1、VCの電圧差をvとする。このとき、液晶駆動電圧VC、MV3の電圧差はv、液晶駆動電圧VC、MV2の電圧差はv、液晶駆動電圧VC、MV1の電圧差はvである。ここで、液晶駆動電圧V2、V1の電圧差(=液晶駆動電圧MV1、MV2の電圧差)が、液晶駆動電圧V1、VCの電圧差(=液晶駆動電圧VC、MV1の電圧差)と等しい。
【0042】
図4に、4ラインのコモン電極を同時に選択するMLS駆動を行う場合のフィールド信号F1、F2の説明図を示す。
上述したMLS駆動において1フレーム期間内に設けられる各選択期間は、フィールド期間として、フィールド信号F1、F2により特定される。コモンドライバー142及びMLSデコーダー132は、2ビットのフィールド信号F1、F2で表される4状態に対応した選択期間毎に、各コモン電極に液晶駆動電圧V3又は液晶駆動電圧MV3を出力する。各フィールド期間における各ラインの出力パターンは、走査パターンとして直交関数系により定義される。
【0043】
このような構成の液晶駆動装置100Mは、1水平走査期間毎に出力されるラッチパルスLPに同期して、コモンドライバー142が同時選択される複数のコモン電極に選択電圧又は非選択電圧を出力する。また液晶駆動装置100Mは、セグメントドライバー144が表示データ及び表示タイミング信号に基づいてデコードした結果に対応した液晶駆動電圧を各セグメント電極に出力する。
【0044】
図5に、4ラインのコモン電極を同時選択するMLS駆動法における駆動電圧の波形の一例を示す。
コモン電極には、予め選ばれた直交関数系により定義される走査パターンに従って、3つ(V3、VC、MV3)の液晶駆動電圧が適宜選択される。そして、同時選択されるコモン電極にそれぞれ印加されるようになっている。図5では、1画面を表示するのに必要な期間を1フレーム期間(F)とし、すべてのコモン電極を1回選択するのに必要な期間を1フィールド期間(f)とし、コモン電極を1回選択するのに必要な期間を1コモン選択期間(H)とする。ここで、図5の「H1st」は最初のコモン選択期間であり、「H2nd」は2番目のコモン選択期間である。また図5の「1f」は最初のフィールド期間であり、「2f」は2番目のフィールド期間である。更に、図5の「1F」は最初のフレーム期間であり、「2F」は2番目のフレーム期間である。
【0045】
最初のフィールド期間1f中の最初のコモン選択期間H1stにおいて選択される4ライン(COM0〜COM3)の走査パターンは、予め図4に示すように設定され、表示画面の状態によらず、常に(V3,V3,MV3,V3)である。
【0046】
ここで、全画面表示を行う場合を考えると、画素(COM0,SEG0)、画素(COM1,SEG0)、画素(COM2,SEG0)及び画素(COM3,SEG0)に対応する1列目の表示パターンが、(オン、オン、オン、オン)である。両パターンを順番に比較すると、極性が一致する数に応じて、5レベル(V2、V1、VC、MV1、MV2)ある液晶駆動電圧のいずれかを選択する。例えば、「V3」が印加されているコモン電極COM0、COM1及びCOM3の場合には、「MV2」が液晶駆動電圧として選択されることにより液晶素子に印加される電圧は高くなる。一方、「MV3」が液晶駆動電圧として選択されるコモン電極COM2の場合には、「MV2」が液晶駆動電圧として選択されることにより液晶素子に印加される電圧は低くなる。
【0047】
このように、4ラインのコモン電極COM0〜COM3について、各セグメント電極の列の不一致数を決定し、得られた選択電圧のデータをセグメントドライバー144に転送し、最初のコモン選択期間に上記手順によって決められた電圧を印加する。同様に、すべてのコモン電極について、この手順を繰り返すと、最初のフィールド期間(1f)における動作が終了する。同様に2番目以降のフィールド期間についても、すべてのコモン電極について上記の手順を繰り返すと1つのフレーム期間(1F)が終わり、これにより1つの画面の表示が行われる。上記の手順に従い、全画面オンの場合のセグメント電極SEG0に印加する電圧波形は図5に示すようになり、画素(COM0,SEG0)に印加される電圧波形は図5に示すようになる。なお、図5におけるコモン電極の液晶駆動電圧VCとセグメント電極の液晶駆動電圧VCとは共通化される。また、液晶交流化信号FRによって、例えば1フレーム期間毎に、液晶素子に印加される電圧の極性が反転するように制御される。
【0048】
図6に、液晶駆動装置100Mの液晶駆動電圧生成回路150により生成された液晶駆動電圧の供給経路を示す。図6において、液晶駆動装置100Sは液晶駆動装置100Mと同様の構成を有し、図2と同様の部分には同一符号を用いて最後に「S」を付加して示している。なお、図6では、LCDパネル30を構成するガラス基板上に形成されるITO配線の配線抵抗も図示している。
図7に、第1の実施形態における液晶駆動装置100Mの端子配置を模式的に示す。図7では、液晶駆動装置毎に設けられたフレキシブル基板200を介して回路基板300と接続されている。また、液晶駆動装置100Sの液晶駆動電圧出力端子V3OS〜VSSSをあわせて図示し、図1又は図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0049】
液晶駆動装置100M、100Sにおける液晶駆動電圧V3、V2、V1、VC、MV1、MV2、MV3の少なくとも1つの電圧レベルが異なると、ブロックむらとして認識される。これに対して、第1の実施形態では、液晶駆動装置100Mの液晶駆動電圧生成回路150において液晶駆動電圧V3〜MV3のうち液晶駆動電圧V3〜MV2(MV3は、接地電圧VSSと同電位)を生成する。液晶駆動電圧生成回路150は、昇圧回路152によりシステム電源電圧VDDと接地電圧VSSとの間の電圧を昇圧して昇圧電圧VOUTを生成後、レギュレーター154で液晶駆動電圧V3を生成する。そして、液晶駆動電圧V3と接地電圧VSSとの間の電圧を抵抗分割して得られた分割電圧に基づいて、演算増幅器を用いて液晶駆動電圧V2、V1、VC、MV1、MV2を生成する。液晶駆動装置100Mは、こうして生成した液晶駆動電圧V3〜MV2を一旦外部に出力した後、液晶駆動装置100M、100Sに供給する。
【0050】
即ち、液晶駆動装置100Mは、液晶駆動電圧出力端子V3O、V2O、V1O、VCO、MV1O、MV2Oと、液晶駆動電圧入力端子V3I、V2I、V1I、VCI、MV1I、MV2Iとを有する。そして、液晶駆動装置100Mは、液晶駆動電圧出力端子V3O、V2O、V1O、VCO、MV1O、MV2Oを介して、それぞれ液晶駆動電圧V3、V2、V1、VC、MV1、MV2を出力する。また、液晶駆動装置100Mには、外部に一旦出力した液晶駆動電圧V3〜MV2が、液晶駆動電圧入力端子V3I、V2I、V1I、VCI、MV1I、MV2Iを介して入力される。一方、液晶駆動装置100Sは、液晶駆動電圧入力端子V3IS、V2IS、V1IS、VCIS、MV1IS、MV2IS、VSSSを少なくとも有する。そして、液晶駆動装置100Sには、液晶駆動電圧入力端子V3IS、V2IS、V1IS、VCIS、MV1IS、MV2IS、VSSSを介して、液晶駆動装置100Mによって生成された液晶駆動電圧V3〜MV3が入力される。
【0051】
LCDパネル30を構成するガラス基板には、液晶駆動電圧出力端子V3O〜MV2OとITO配線(配線抵抗がそれぞれrv3o〜rmv2o)を介して電気的に接続される出力端子T1〜T6が設けられている。同様に、ガラス基板には、接地電源端子VSとITO配線(配線抵抗がrvss)を介して電気的に接続される端子T7が設けられている。また、このガラス基板には、液晶駆動電圧入力端子V3I〜MV2IとITO配線(配線抵抗がそれぞれrv3i〜rmv2i)を介して電気的に接続される入力端子T10〜T15が設けられている。更に、このガラス基板には、液晶駆動電圧入力端子V3IS〜MV2ISとITO配線(配線抵抗がそれぞれrv3is〜rmv2is)を介して電気的に接続される入力端子T20〜T25が設けられている。同様に、ガラス基板には、接地電源端子VSSSとITO配線(配線抵抗がrvsss)を介して電気的に接続される端子T26が設けられている。更にまた、このガラス基板には、液晶駆動電圧出力端子V3O〜MV2O、VSのそれぞれに対応して、1又は複数の回路基板出力端子が設けられる。図6では、各液晶駆動電圧出力端子に対応して、回路基板出力端子T30〜T36が設けられている。フレキシブル基板200では、各出力端子と、これに対応する液晶駆動装置100M側の端子、液晶駆動装置100S側の端子及び回路基板出力端子とを電気的に接続する信号線が形成される。例えば、フレキシブル基板200では、図6に示すように、出力端子T1と、これに対応する液晶駆動装置100M側の入力端子T10、液晶駆動装置100S側の入力端子T20及び回路基板出力端子T30とを電気的に接続する信号線が形成される。回路基板300には、各液晶駆動電圧出力端子と、液晶駆動電圧出力端子T7との間に挿入されるバイパスコンデンサーCb1〜Cb6が実装される。
【0052】
フレキシブル基板200に形成される信号線の配線抵抗は、ガラス基板に形成されるITO配線の配線抵抗に比べて小さい。液晶駆動装置100Mの各液晶駆動電圧入力端子に接続されるITO配線の配線抵抗と、液晶駆動装置100Sの各液晶駆動電圧入力端子に接続されるITO配線の配線抵抗とは、抵抗値を精度よく揃えることができる。これにより、液晶駆動電圧出力端子V3Oから液晶駆動電圧入力端子V3Iまでの信号経路の抵抗成分を、液晶駆動電圧出力端子V3Oから液晶駆動電圧入力端子V3ISまでの信号経路の抵抗成分にほぼ一致させることが可能となる。同様に、他の液晶駆動電圧出力端子についても、各液晶駆動装置の液晶駆動電圧入力端子までの信号経路の抵抗成分をほぼ一致させることができる。この結果、液晶駆動装置100M、100Sは、液晶駆動電圧の差を高精度に揃えることができ、画素形成領域40におけるブロックむらの発生を抑えることができる。そして、液晶駆動装置100M内の液晶駆動電圧生成回路150を使用することで、外部に電源回路を設けることなく、低コストで、表示モジュール20や表示システム10を提供できるようになる。
【0053】
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態では、液晶駆動装置100M、100Sの端子に接続される信号線がフレキシブル基板200に形成される例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。
図8に、本発明に係る第2の実施形態における表示システムの構成の概要を示す。図8において、図1と同様の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
第2の実施形態における表示システム10aが第1の実施形態における表示システム10と異なる点は、LCDパネル30が複数のフレキシブル基板を介して回路基板300に接続される点である。即ち、表示モジュール20aは、LCDパネル30と、液晶駆動装置100M、100Sと、フレキシブル基板280a、282aとを含んで構成される。図8では、フレキシブル基板280a、282aのそれぞれに形成された信号線を介して、各液晶駆動装置の端子が回路基板300に実装されるバイパスコンデンサーCbに電気的に接続される。
【0054】
また、図8に示すようにフレキシブル基板上に形成した信号線により、液晶駆動装置100Mの液晶駆動電圧出力端子とこれに対応する液晶駆動装置100Mの液晶駆動電圧入力端子とを電気的に接続するようにしてもよい。こうすることで、回路基板300の小型化を図ることができる。
以上説明したように、第2の実施形態においても、液晶駆動電圧出力端子から各液晶駆動装置の液晶駆動電圧入力端子までの信号経路の抵抗成分をほぼ一致させることができる。この結果、液晶駆動装置100M、100Sは、液晶駆動電圧の差を高精度に揃えることができ、画素形成領域40におけるブロックむらの発生を抑えることができる。そして、液晶駆動装置100M内の液晶駆動電圧生成回路を使用でき、外部に電源回路を設けることなく、低コストで、表示モジュール20aや表示システム10aを提供できるようになる。
【0055】
〔第3の実施形態〕
第1の実施形態又は第2の実施形態では、マスター・スレーブ構成で接続された液晶駆動装置によるブロックむらを低減することで、外部の電源回路を不要にして低コスト化を図る例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。第3の実施形態では、LCDパネル30の画素形成領域を1つの液晶駆動装置で駆動する構成を有する。
図9に、本発明に係る第3の実施形態における表示システムの構成の概要を示す。図9において、図1と同様の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
第3の実施形態における表示システム10bが第1の実施形態における表示システム10と異なる第1の点は、LCDパネル30の画素形成領域が液晶駆動装置100Mによって駆動される点である。更に第2の点は、LCDパネル30がフレキシブル基板200bを介して回路基板300に接続される点である。即ち、表示モジュール20bは、LCDパネル30と、液晶駆動装置100Mと、フレキシブル基板200bとを含んで構成される。
【0056】
図10に、第3の実施形態における液晶駆動電圧の供給経路を示す。図10において、図6と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。また、図10においても、LCDパネル30を構成するガラス基板上に形成されるITO配線の配線抵抗も図示している。
図11に、第3の実施形態における液晶駆動装置100Mの端子配置を模式的に示す。図11において、図7と同様の部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0057】
液晶駆動装置100Mは、図6で説明したように生成した液晶駆動電圧V3〜MV2を一旦外部に出力した後、液晶駆動電圧入力端子を介して液晶駆動装置100Mに再び供給する。図10では、フレキシブル基板200bに形成された信号線を介して、液晶駆動電圧出力端子とこれに対応する液晶駆動電圧入力端子とを電気的に接続している。なお、回路基板300に形成された信号線を介して、液晶駆動電圧出力端子とこれに対応する液晶駆動電圧入力端子とを電気的に接続するようにしてもよい。
【0058】
以上説明したように、第3の実施形態においては、マスター・スレーブ構成で接続された場合でもブロックむらを低減して低コスト化に寄与できる液晶駆動装置100Mを提供できる。また、単独で用いられる場合であっても、液晶駆動装置100M内の液晶駆動電圧生成回路を使用でき、外部に電源回路を設けることなく、低コストで、表示モジュール20bや表示システム10bを提供できるようになる。
【0059】
なお、液晶駆動装置100Mにおいて、液晶駆動電圧出力端子(例えばV3O)と、これに対応する液晶駆動電圧入力端子(例えばV3I)とは隣接して配置されること望ましい。こうすることで、液晶駆動電圧出力端子と、これに対応する液晶駆動電圧入力端子とを最短距離で電気的に接続できる。例えば図11に示すように、ITO配線で接続した場合でも、配線抵抗をできるだけ小さくできるため、電圧降下を防ぎ、より高精度な液晶駆動電圧を用いてLCDパネル30を駆動することができる。なお、図7に示すようにマスター・スレーブ構成で接続される場合であっても、同様に液晶駆動電圧出力端子と、これに対応する液晶駆動電圧入力端子とを最短距離で電気的に接続できる。そのため、マスター・スレーブ構成で接続される場合でも、液晶駆動装置100Mでは、図7に示すように、液晶駆動電圧出力端子と、これに対応する液晶駆動電圧入力端子とは隣接して配置されることが望ましい。
【0060】
〔電子機器〕
第1の実施形態、第2の実施形態又は第3の実施形態における液晶駆動装置100M、これを含む表示モジュール、表示システムは、例えば次のような電子機器に適用することができる。
図12(A)、図12(B)に、第1の実施形態〜第3の実施形態のいずれかの実施形態が適用された電子機器の構成を示す斜視図を示す。図12(A)は、モバイル型のパーソナルコンピューターの構成の斜視図を表す。図12(B)は、携帯電話機の構成の斜視図を表す。
【0061】
図12(A)に示すパーソナルコンピューター800は、本体部810と、表示部820とを含む。表示部820として、上記のいずれかの実施形態における表示モジュール又は表示システムが適用される。本体部810は、ホストプロセッサーを含み、この本体部810にはキーボード830が設けられる。即ち、パーソナルコンピューター800は、少なくとも上記の実施形態における液晶駆動装置100Mを含んで構成される。キーボード830を介した操作情報がホストプロセッサーによって解析され、その操作情報に応じて表示部820に画像が表示される。
【0062】
図12(B)に示す携帯電話機900は、本体部910と、表示部920とを含む。表示部920として、上記のいずれかの実施形態における表示モジュール又は表示システムが適用される。本体部910は、ホストプロセッサーを含み、この本体部910にはキーボード930が設けられる。即ち、携帯電話機900は、少なくとも上記の実施形態における液晶駆動装置100Mを含んで構成される。キーボード930を介した操作情報がホストプロセッサーによって解析され、その操作情報に応じて表示部920に画像が表示される。
【0063】
なお、第1の実施形態〜第3の実施形態のいずれかの実施形態が適用された電子機器として、図12(A)、図12(B)に示すものに限定されるものではない。例えば、情報携帯端末(PDA:Personal Digital Assistants)、デジタルスチルカメラ、テレビ、ビデオカメラ、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳、電子ペーパー、電卓、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、POS(Point of sale system)端末、プリンター、スキャナー、複写機、ビデオプレーヤー、タッチパネルを備えた機器等が挙げられる。
【0064】
以上、本発明に係る集積回路装置、表示モジュール、表示システム及び電子機器等を上記のいずれか実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記のいずれか実施形態に限定されるものではない。例えば、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、次のような変形も可能である。
【0065】
(1)上記のいずれかの実施形態では、集積回路装置として液晶駆動装置を例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、有機ELディスプレイパネルやプラズマディスプレイ等の他の表示パネルを駆動する駆動装置に適用することができる。また、本発明は、表示パネルを駆動する駆動装置に限定されるものではなく、電源回路を内蔵する集積回路装置であって、種々の基板に実装されるものに適用できる。
【0066】
(2)上記のいずれかの実施形態において、電源回路としての液晶駆動電圧生成回路150が液晶駆動電圧を生成し、処理回路としての液晶駆動回路140が該液晶駆動電圧を用いる例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、電源回路が生成した電源電圧が外部を介して供給された処理回路の動作電源電圧(高電位側電源電圧又は低電位側電源電圧)として用いられてもよい。
【0067】
(3)第1の実施形態又は第2の実施形態では、マスター・スレーブ構成で接続された液晶駆動装置100M、100SによりLCDパネル30を駆動する例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、マスター・スレーブ構成で接続される液晶駆動装置の数に限定されるものではない。
【0068】
(4)第1の実施形態又は第2の実施形態では、液晶駆動装置100Sが液晶駆動装置100Mと同様の構成である例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。液晶駆動装置100Sが、液晶駆動電圧生成回路を内蔵しないものであってもよい。
【0069】
(5)上記のいずれか実施形態において、本発明を、集積回路装置、これを含む表示モジュール、表示システム及び電子機器等として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係る集積回路装置が内蔵する電源回路を用いて、他の集積回路装置等に電源を供給する方法を含んでもよい。
【符号の説明】
【0070】
10,10a,10b…表示システム、 20,20a,20b…表示モジュール、
30…LCDパネル、 40…画素形成領域、 100M,100S…液晶駆動装置、
110…インターフェイス回路、 112…発振回路、 114…制御回路、
116…モード設定レジスター、 118…コモンアドレスデコーダー、
120…コモン出力演算回路、 122…ページアドレス制御回路、
124…カラムアドレス制御回路、 126…ラインアドレス制御回路、
128…表示データRAM、 130…表示データラッチ回路、
132…MLSデコーダー、 140…液晶駆動回路、 142…コモンドライバー、
144…セグメントドライバー、 150…液晶駆動電圧生成回路、
152…昇圧回路、 154…レギュレーター、
200,200b,280a,282a…フレキシブル基板、
202,204,208,210,302,304,306,308…信号線、
300…回路基板、 Cb,Cb1〜Cb6…バイパスコンデンサー、
COM1〜COMN,COMn…コモン電極、 DV…液晶駆動電圧、
MV1,MV2,MV3,V1,V2,V3,VC…液晶駆動電圧、
MV1O,MV2O,TM1,V1O,V2O,V3O,VCO…液晶駆動電圧出力端子、 MV1I,MV2I,TM2,TM10,V1I,V2I,V3I,VCI…液晶駆動電圧入力端子、
SEG1〜SEGM,SEGm…セグメント電極、 TM3,TM11…接地電源端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を生成する電源回路と、
前記電源回路によって生成された電源電圧が印加される電源電圧出力端子と、
前記電源電圧出力端子に印加された前記電源電圧が外部を介して供給される第1の電源電圧入力端子と、
前記第1の電源電圧入力端子からの前記電源電圧が供給され所与の処理を行う処理回路とを含むことを特徴とする集積回路装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記電源電圧出力端子及び前記第1の電源電圧入力端子は、隣接して配置されることを特徴とする集積回路装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記処理回路は、
画素形成領域において第1の方向に配設された第1の電極と、該画素形成領域において前記第1の方向と交差する第2の方向に配設された第2の電極とを駆動する電極駆動回路であり、
前記電源回路は、
前記第1の電極及び前記第2の電極の少なくとも一方に供給する駆動電圧を生成することを特徴とする集積回路装置。
【請求項4】
前記画素形成領域が形成されるパネル基板と、
前記パネル基板に実装され、前記画素形成領域内の前記第1の電極及び前記第2の電極を駆動する請求項3記載の集積回路装置と、
前記電源電圧出力端子に電気的に接続される第1の信号線及び前記第1の電源電圧入力端子に電気的に接続される第2の信号線が形成されるフレキシブル基板とを含むことを特徴とする表示モジュール。
【請求項5】
前記画素形成領域が形成されるパネル基板と、
前記パネル基板に実装され、前記画素形成領域の第1の領域内の前記第1の電極及び前記第2の電極を駆動する請求項3記載の集積回路装置と、
前記パネル基板に実装され、前記画素形成領域の第2の領域内の前記第1の電極及び前記第2の電極と電気的に接続されると共に、第2の電源電圧入力端子を有する電極駆動装置と、
前記電源電圧出力端子に電気的に接続される第1の信号線、前記第1の電源電圧入力端子に電気的に接続される第2の信号線、及び前記第2の電源電圧入力端子に電気的に接続される第3の信号線が形成される1又は複数のフレキシブル基板とを含むことを特徴とする表示モジュール。
【請求項6】
請求項5において、
前記第1の信号線、前記第2の信号線及び前記第3の信号線は、電気的に接続されることを特徴とする表示モジュール。
【請求項7】
請求項4記載の表示モジュールと、
前記フレキシブル基板に形成される前記第1の信号線及び前記第2の信号線と電気的に接続されるバイパスコンデンサーが実装される回路基板とを含むことを特徴とする表示システム。
【請求項8】
請求項6又は7記載の表示モジュールと、
前記1又は複数のフレキシブル基板に形成される前記第1の信号線、前記第2の信号線及び前記第3の信号線と電気的に接続されるバイパスコンデンサーが実装される回路基板とを含むことを特徴とする表示システム。
【請求項9】
請求項6記載の表示モジュールと、
前記1又は複数のフレキシブル基板に形成される前記第1の信号線、前記第2の信号線及び前記第3の信号線と電気的に接続されるバイパスコンデンサーが実装される回路基板とを含み、
前記回路基板において、前記第1の信号線、前記第2の信号線及び前記第3の信号線は、電気的に接続されることを特徴とする表示システム。
【請求項10】
請求項1乃至3のいずれか記載の集積回路装置を含むことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−18297(P2012−18297A)
【公開日】平成24年1月26日(2012.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−155498(P2010−155498)
【出願日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】