説明

集積回路製造方法

【課題】半導体基板上に積層した上部構造層に光入射用の開口部を設けた光検出器の製造において、上部構造層の上面のシリコン窒化膜を保護するために塗布されるポリイミド膜が開口部に厚く溜まり除去しにくい。
【解決手段】上部構造層86の表面に平滑化膜140を塗布し、開口部116の開口端の角部142を滑らかに覆う。平滑化膜140をエッチングし、平滑化膜140の膜厚が薄い開口端にて露出する角部142を当該エッチング処理で削る。これにより開口部116の開口端を拡大する。平滑化膜140を剥離後、ポリイミド膜を塗布する。開口端の拡大により、ポリイミド膜が開口部116内に厚く溜まることが防止され、開口部116からの除去が容易となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体基板等の上に集積回路を形成する製造方法に関し、特に、基板上に積層した層間絶縁膜等の上部構造層に開口部を有する構造において、上部構造層の上に保護膜を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録媒体として、CD(Compact Disk)やDVD(Digital Versatile Disk)といった光ディスクが大きな位置を占めるようになってきた。これら光ディスクの再生装置は、光ピックアップ機構により光ディスクのトラックに沿ってレーザ光を照射し、その反射光を検知する。そして、反射光強度の変化に基づいて記録データが再生される。
【0003】
光ディスクから読み出されるデータレートは非常に高いため、反射光を検知する光検出器は、応答速度の速いPINフォトダイオードを用いた半導体素子で構成されている。当該半導体素子の受光部にて発生した微弱な光電変換信号は増幅器にて増幅され、後段の信号処理回路へ出力される。ここで、光電変換信号の周波数特性の確保やノイズの重畳を抑制する観点から、受光部と増幅器との間の配線長をできるだけ短くするように構成される。この観点と、光検出器の製造コスト低減の観点とから、受光部と増幅器等を含む回路部とは同一の半導体チップ上に形成することが好適である。
【0004】
図5は、同一半導体基板に受光部と回路部とが隣接配置された光検出器の受光部近傍の模式的な断面図である。受光部4に対応する領域の半導体基板2にはPINフォトダイオード(PD)8の構造が形成され、回路部6に対応する領域にはトランジスタ等の回路素子が形成される。
【0005】
図5の光検出器は2層配線構造であり、半導体基板2上の上部構造層10として、層間絶縁膜12、それぞれアルミニウム(Al)膜からなる配線層14及び遮光層16、そして、シリコン酸化膜18及びシリコン窒化膜20が積層される。層間絶縁膜12は、SOG(Spin on Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)、TEOS(Tetra-ethoxy-silane)といった材料を用いて形成される。シリコン窒化膜20は、シリコン酸化膜18と共にその下層に対する保護膜を構成する。上部構造層10のうち受光部4に対応する領域は、PINフォトダイオード8への光の入射効率を高めるためにエッチバックされ、当該領域に開口部30が形成される。
【0006】
さらに上部構造層10の上には、ポリイミドが堆積され、ポリイミド膜32が形成される。このポリイミド膜32は、シリコン窒化膜20に対する保護膜として機能する。ポリイミド膜32を設けることにより、例えば、シリコン窒化膜20のクラックの発生を抑制することができ、また耐湿性が向上する。
【0007】
図6は、図5に示す光検出器の従来の製造方法を説明する模式図であり、主要な工程における断面図を示している。PD8等を形成した半導体基板2上に上部構造層10を積層し、受光部4に対応する部分に開口部30を形成する(図6(a))。
【0008】
開口部30の形成後、ポリイミドをスピンコート法により塗布し、ポリイミド膜40を形成する(図6(b))。
【0009】
このポリイミド膜40の上に、フォトレジスト膜を塗布・成膜する。このフォトレジスト膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、回路部6上を覆い、かつ受光部4に対応する領域に開口が形成されたフォトレジスト膜42を形成する(図6(c))。
【0010】
そして、フォトレジスト膜42をエッチングマスクとしてポリイミド膜40をエッチングして、開口部30内の部分を除去する。これにより、上部構造層10の上面を覆うポリイミド膜32が形成される。しかる後、フォトレジスト膜42を除去することによって、図5に示す構造が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ポリイミド膜40は、フォトレジスト膜42と同じ有機膜である。そのためドライエッチングによるとポリイミド膜40をエッチングする際にフォトレジスト膜42までエッチングされ易い。したがって、開口部30からポリイミド膜40を除去するエッチングは、ウェットエッチング法により行うのが好適である。このエッチング工程において、開口部30内にポリイミド膜40の残渣やストリエーションを生じやすいという問題があった。図7は、ポリイミド膜40のエッチング後の状態を示す模式的な断面図であり、例えば、この図に示すように開口部30の底部のコーナーにポリイミドの残渣44が生じ得る。特に、開口部30のアスペクト比、つまり開口部30の広さに対する深さの比が大きくなるほど、ポリイミド膜40は開口部30を厚く埋めやすく、上記問題が顕著となり得る。また、受光部4に対応して開口部30を設ける光検出器においては、開口部30内のポリイミドの残渣やストリエーションは、PD8への入射光量のむらを生じるという問題があった。
【0012】
このように、基板上に積層され開口部を設けられた上部構造層の上面に表面被覆膜を形成する際に、当該表面被覆膜の性状によっては、開口部が厚く埋まったり、使用できるエッチング法に制約がある。そのため、開口部から当該表面被覆膜を好適に除去し、上部構造層の上面に選択的に表面被覆膜を形成することが難しくなり得るという問題があった。
【0013】
一方、ポリイミド膜等の表面被覆膜の塗布厚を薄くすれば、開口部内の残渣等は生じにくくなるが、当該表面被覆膜に期待され得る上部構造層の上面に対する保護機能が確保されにくくなるという問題を生じる。
【0014】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、開口部の形成後に堆積された表面被覆膜を当該開口部から好適に除去可能とする集積回路製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る集積回路製造方法は、基板上に積層された上部構造層をエッチングして開口部を形成する開口部形成工程と、前記上部構造層の表面に、前記開口部の開口端の角部にて厚みが薄くなる平滑化膜を堆積する平滑膜堆積工程と、前記平滑化膜及び前記上部構造層を共に浸食可能なエッチング処理を施して、当該平滑化膜から露出する前記角部を除去し、前記開口端を広げる開口端拡大工程と、前記開口端拡大工程での前記エッチング処理にて残存した前記平滑化膜を剥離する平滑化膜剥離工程と、前記平滑化膜剥離工程後に前記上部構造層の表面に表面被覆膜を塗布する表面被覆工程と、前記表面被覆膜上にエッチングマスクを形成するエッチングマスク形成工程と、前記エッチングマスクを用いて前記表面被覆膜をエッチングし前記開口部から除去する表面被覆膜エッチング工程と、を有する方法である。
【0016】
上記本発明は、前記上部構造層がその上面に積層されたシリコン窒化膜を有し、前記表面被覆膜を前記シリコン窒化膜の応力緩和の機能を有するポリイミドで形成し、前記表面被覆膜エッチング工程をウェットエッチング法により行う場合に用いることができる。
【0017】
上記本発明は、前記平滑化膜により、前記開口端の前記角部において、当該開口部の内部から前記開口端の外側まで広がるフレア形状の表面を形成し、前記開口部拡大工程において、前記平滑化膜の表面形状に応じて前記角部の除去面をフレア形状に形成する構成とすることができる。
【0018】
また、上記本発明の前記平滑化膜剥離工程において、ドライエッチング法により前記平滑化膜を剥離するようにすることができる。
【0019】
本発明に係る集積回路製造方法は、前記基板である半導体基板に受光部と回路部とが隣接配置され、前記上部構造層が、その上面に積層されたシリコン窒化膜と、前記回路部を構成する金属配線及び層間絶縁膜とを含んで構成され、前記開口部が、前記受光部の位置に対応して設けられ、当該受光部への光入射窓を形成する集積回路の製造に用いることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、開口端の角にて厚みが薄くなる平滑化膜の表面形状を利用して、開口部の角部を削ることにより、表面被覆膜の塗布に際して、表面被覆膜が開口部に停留しにくくなる。これにより、表面被覆膜が開口部から良好にエッチング除去されやすくなる。また、開口部から良好に表面被覆膜を除去可能としつつ、上部構造層の上での表面被覆膜の厚みを増すことが可能となり、当該表面被覆膜による上部構造層表面に対する保護機能の向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)について、図面に基づいて説明する。
【0022】
本実施形態は、CDやDVDといった光ディスクの再生装置の光ピックアップ機構に搭載される光検出器である。
【0023】
図1は、本実施形態に係る光検出器である半導体素子の概略の平面図である。本光検出器50はシリコンからなる半導体基板に形成され、受光部52と回路部54とを含んで構成される。受光部52は、例えば、2×2に配列された4つのPINフォトダイオード(PD)56を含み、光学系から基板表面へ入射する光を2×2の4区画に分割して受光する。回路部54は、例えば、受光部52の周囲に配置される。回路部54は例えば、トランジスタ等の回路素子を含み、これら回路素子を用いて、受光部52からの出力信号に対する増幅回路やその他の信号処理回路を受光部52と同一の半導体チップに形成することができる。なお、図1には示されていないが、回路部54には、回路素子に接続される配線や受光部52を構成する拡散層に接続される配線が配置される。これら配線は、半導体基板上に積層されるAl膜をパターニングして形成される。
【0024】
図2は、図1に示す直線A−A’を通り半導体基板に垂直な断面での受光部52及び回路部54の構造を示す模式的な断面図である。
【0025】
本光検出器50は、p型不純物が導入されたp型シリコン基板であるP-sub層70の一方主面に、P-sub層70より不純物濃度が低く高比抵抗を有するエピタキシャル層72が積層された半導体基板60を用いて形成される。P-sub層70は各PD56に共通のアノードを構成し、例えば、基板裏面から接地電位を印加される。分離領域74は、接地電位を印加され、P-sub層70と共にアノードを構成する。
【0026】
エピタキシャル層72は、受光部52ではPD56のi層を構成する。受光部52において、エピタキシャル層72の表面には、上述の分離領域74及びカソード領域78が形成される。
【0027】
半導体基板60の表面にはゲート酸化膜や局所酸化膜(LOCOS)を構成するシリコン酸化膜が形成され、ゲート酸化膜の上にはMOSFET等のゲート電極が例えば、ポリシリコンやタングステン(W)等を用いて形成される。さらにその上を覆って基板表面にシリコン酸化膜84が形成される。
【0028】
シリコン酸化膜84を形成後、半導体基板上には、配線構造や保護膜等からなる上部構造層86が形成される。本光検出器50は2層配線構造であり、配線構造として、半導体基板60上に、第1層間絶縁膜92、第1Al層94、第2層間絶縁膜96、第2Al層98、第3層間絶縁膜100が順次積層される。第1Al層94及び第2Al層98はそれぞれフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングされ、回路部54に配線が形成される。また、層間絶縁膜は、SOG、BPSG、TEOSといった材料を用いて形成される。
【0029】
回路部54の配線構造の上には、遮光のためのAl層110が積層され、さらに、保護膜としてシリコン酸化膜112及びシリコン窒化膜114が順次積層される。
【0030】
受光部52に対応する領域には、上部構造層86をエッチングして形成される開口部116が設けられる。このように受光部52において開口部116を設けることにより、PD56への光の透過率が向上し、レーザ反射光による光電変換信号の振幅の確保が図られる。
【0031】
本光検出器50の開口部116の下部は垂直に近い角度で立つ側壁118を有する。これに対し、開口部116の上部は開口端に向けて末広がりの形状の面(フレア形状面120)を有する。例えば、開口部116の下部の側壁118の高さ範囲内に、第1Al層94や第2Al層98が配置される構成では、配線を受光部4に近づけて配置することが可能であり、PD56への配線の接続が容易となる。
【0032】
上部構造層86の上面にはポリイミド膜122が積層される。ポリイミド膜122は、シリコン窒化膜114を覆い、シリコン窒化膜114の応力を緩和してクラックの発生を抑制する。また、ポリイミド膜122は、シリコン窒化膜114の防湿機能を補って、上部構造層86の耐湿性を向上させる。
【0033】
図3及び図4は、本実施形態に係る光検出器の製造方法を説明する模式図であり、主要な工程における断面図を示している。PD56、回路素子及びシリコン酸化膜84を形成した半導体基板60上に上部構造層86を構成する各層を順次積層する(図3(a))。上部構造層86の各構成層の積層は、CVD(Chemical Vapor Deposition)法やPVD(Physical Vapor Deposition)法を用いて行うことができる。なお、上部構造層86のうち各Al層は、パターニングされ受光部52上から除去される。
【0034】
次に上部構造層86の最上層のシリコン窒化膜114上に、フォトレジストを例えば、スピンコート法により塗布しフォトレジスト膜を成膜する。フォトレジスト膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、受光部52に対応する位置に開口132を有するフォトレジスト膜130を形成する(図3(b))。
【0035】
このフォトレジスト膜130をエッチングマスクとして上部構造層86をエッチバックし、受光部52に対応する位置に開口部116を形成する(図3(c))。このエッチングは、例えば、ドライエッチングを用いて異方的に行うことができ、これにより、開口部116はその開口端から底面まで垂直に近い角度で立つ側壁134で囲まれた形状に形成される。
【0036】
開口部116を形成するエッチバックが完了すると、フォトレジスト膜130を除去する。そして、下地の凹凸を平滑化する性質を有する平滑化膜140を塗布する(図3(d))。例えば、平滑化膜140は、日産化学工業株式会社から提供される半導体リソグラフィ用反射防止膜材XHRiCなどをスピンコートして形成することができる。
【0037】
平滑化膜140は開口部116の開口端の角部142を滑らかに覆う。すなわち、角部142が直角に近い角度で鋭く曲がるのに対し、平滑化膜140はそれより緩やかに曲がり、開口部116の内部から開口端の外側にかけてフレア形状の表面144を形成する。その結果、角部142を覆う平滑化膜140の膜厚は、開口端より外側に離れた位置にて上部構造層86の上に積層される平滑化膜140の膜厚や開口端より内側に離れた位置の開口部116の底面上に積層される平滑化膜140の膜厚に比べて薄くなる。
【0038】
次に、平滑化膜140の表面からエッチング処理を進める。このエッチング処理の方法及び条件は、開口端以外にて比較的厚く積層された平滑化膜140が当該エッチング処理により完全に除去される前に、開口端において平滑化膜140のエッチングが完了し、さらに角部142にまでエッチングが進むように定められる。そのため、例えば、エッチング方法等は、平滑化膜140とその下に現れるシリコン窒化膜114及びシリコン酸化膜112とを同程度のエッチングレートで浸食可能なように設定される。
【0039】
このエッチング処理によって上部構造層86の角部142が削られ、除去面146が形成される。例えば、平滑化膜140、シリコン窒化膜114及びシリコン酸化膜112のエッチングレートを同程度に設定して上記エッチング処理を行うことにより、開口端での平滑化膜140の表面144のフレア形状を除去面146に転写して、図2に示すフレア形状面120を形成することができる。
【0040】
角部142が除去された後、当該エッチング処理は停止され、その状態にて残存する平滑化膜140は別途の方法で選択的に除去される。例えば、ドライエッチングにより平滑化膜140を上部構造層86の上面及び開口部116の内部から剥離除去する(図4(a))。
【0041】
このようにして開口端が拡大された開口部116が上部構造層86に形成される。この上部構造層86の表面にポリイミドをスピンコート法により塗布し、表面被覆膜となるポリイミド膜150を形成する(図4(b))。ここで塗布するポリイミドとしては、例えば、日立化成デュポンマイクロシステムズ株式会社が提供する非感光性ポリイミド「PIX/PIQ」シリーズなどを用いることができる。
【0042】
開口端を拡大した後の開口部116の側壁118は、拡大前の側壁134より高さが低くなる。この開口端の拡大と側壁の低下とは開口部116のアスペクト比を実効的に引き下げる効果を有する。そのため、ポリイミド膜150は、開口部116に停留しにくくなり、開口部116内外での膜厚差の抑制が図られる。
【0043】
このポリイミド膜150の上に、フォトレジスト膜を塗布・成膜する。このフォトレジスト膜をフォトリソグラフィ法によりパターニングして、上部構造層86の表面のシリコン窒化膜114を覆い、かつ受光部52に対応する領域に開口が形成されたフォトレジスト膜152を形成する(図4(c))。
【0044】
そして、フォトレジスト膜152をエッチングマスクとしてポリイミド膜150をウェットエッチングする。これにより、開口部116内のポリイミド膜150が除去され、シリコン窒化膜114を覆うポリイミド膜122が形成される(図4(d))。しかる後、フォトレジスト膜152を除去することによって、図2に示す構造が得られる。
【0045】
ポリイミド膜150の開口部116内の膜厚は上部構造層86の上面での膜厚程度に抑制され得る。そのため、当該ポリイミド膜150はそのエッチング処理にて開口部116内から良好に除去することが可能であり、残渣やストリエーションという問題を生じにくい。また、開口部116の底面からポリイミド膜が一様に除去されることにより、受光部52に配置される各PD56への入射光透過率が均等になり、各PD56の光検出精度が向上する。
【0046】
ちなみに、上述の製造方法では、開口端の拡大範囲は、当初の開口端の角部で平滑化膜の表面がテーパーを有する範囲、つまりフレア形状が拡がる範囲に基づいて定まる。すなわち、拡大された開口端の形状は、当初の開口端の形状に基づいてセルフアラインで設定される。このように、別途、エッチングマスクを要せず、その目合わせの必要もないため、簡素なプロセスで加工精度の確保が図られる。
【0047】
角部142を削るエッチング処理における平滑化膜140と上部構造層86とのエッチングレートを上述のように同程度に設定した場合、平滑化膜140の滑らかなフレア形状が転写された除去面146を形成することが可能である。一方、平滑化膜140、その下に現れるシリコン窒化膜114及びシリコン酸化膜112のエッチングレートに差がある場合には、必ずしも平滑化膜の表面形状が除去面146に好適に転写されるとは限らない。しかし、その場合においても、開口部の拡大は可能であり、ポリイミド膜150が開口部116内に厚く溜まることを防止し、その後のエッチングで開口部116内からポリイミド膜150を良好に除去することが可能となる。
【0048】
以上、光検出器に関する実施形態により本発明を説明したが、本発明の適用は、基板内にPD56のような受光素子が形成される場合に限られず可能である。すなわち、基板上に類似の構造を有する他の集積回路にも適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の実施形態に係る光検出器である半導体素子の概略の平面図である。
【図2】本発明の実施形態である光検出器の受光部及び回路部の構造を示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の実施形態の光検出器の製造方法を説明する模式図である。
【図4】本発明の実施形態の光検出器の製造方法を説明する模式図である。
【図5】同一半導体基板に受光部と回路部とが隣接配置された光検出器の受光部近傍の模式的な断面図である。
【図6】図5に示す光検出器の従来の製造方法を説明する模式図である。
【図7】図5に示す光検出器の従来の製造方法の問題点を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0050】
50 光検出器、52 受光部、54 回路部、56 PINフォトダイオード、60 半導体基板、70 P-sub層、72 エピタキシャル層、74 分離領域、78 カソード領域、84,112 シリコン酸化膜、86 上部構造層、92 第1層間絶縁膜、94 第1Al層、96 第2層間絶縁膜、98 第2Al層、100 第3層間絶縁膜、110 遮光Al層、118,134 側壁、120 フレア形状面、122,150 ポリイミド膜、140 平滑化膜、142 角部、146 除去面。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に積層された上部構造層をエッチングして開口部を形成する開口部形成工程と、
前記上部構造層の表面に、前記開口部の開口端の角部にて厚みが薄くなる平滑化膜を堆積する平滑膜堆積工程と、
前記平滑化膜及び前記上部構造層を共に浸食可能なエッチング処理を施して、当該平滑化膜から露出する前記角部を除去し、前記開口端を広げる開口端拡大工程と、
前記開口端拡大工程での前記エッチング処理にて残存した前記平滑化膜を剥離する平滑化膜剥離工程と、
前記平滑化膜剥離工程後に前記上部構造層の表面に表面被覆膜を塗布する表面被覆工程と、
前記表面被覆膜上にエッチングマスクを形成するエッチングマスク形成工程と、
前記エッチングマスクを用いて前記表面被覆膜をエッチングし前記開口部から除去する表面被覆膜エッチング工程と、
を有することを特徴とする集積回路製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の集積回路製造方法において、
前記上部構造層は、その上面に積層されたシリコン窒化膜を有し、
前記表面被覆膜は、前記シリコン窒化膜の応力緩和の機能を有するポリイミドで形成され、
前記表面被覆膜エッチング工程は、ウェットエッチング法により行われること、
を特徴とする集積回路製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の集積回路製造方法において、
前記平滑化膜は、前記開口端の前記角部において、当該開口部の内部から前記開口端の外側まで広がるフレア形状の表面を形成し、
前記開口部拡大工程は、前記平滑化膜の表面形状に応じて前記角部の除去面をフレア形状に形成すること、
を特徴とする集積回路製造方法。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の集積回路製造方法において、
前記平滑化膜剥離工程は、ドライエッチング法により前記平滑化膜を剥離すること、を特徴とする集積回路製造方法。
【請求項5】
前記基板である半導体基板に受光部と回路部とが隣接配置される集積回路を製造する請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の集積回路製造方法において、
前記上部構造層は、その上面に積層されたシリコン窒化膜と、前記回路部を構成する金属配線及び層間絶縁膜とを含んで構成され、
前記開口部は、前記受光部の位置に対応して設けられ、当該受光部への光入射窓を形成すること、
を特徴とする集積回路製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−234746(P2007−234746A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−52248(P2006−52248)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】