説明

難燃性ポリエステル樹脂組成物とブロー成形容器

【課題】優れた難燃性、特に自己消火性を示し、しかも、射出成形性に優れ、ブロー成形とりわけ射出成形性の悪かった従来のポリエステルの問題を解決し2軸延伸ブロー成形法でも成形可能にした難燃性ポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリエステル樹脂50〜80質量%、(B)ポリカーボネート樹脂10〜40質量%、(C)Tgが35℃未満の重合体5〜30質量%、及び(D)残炭素率15質量%以上の芳香族樹脂0.5〜5質量%、を含有することを特徴とする難燃性ポリエステル樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低温でブロー成形可能な難燃性ポリエステル樹脂組成物に関する。射出成形性に優れ、ブロー成形とりわけ射出成形性の悪かった従来のポリエステルの問題を解決し2軸延伸ブロー成形法でも成形可能にした。本発明はまた、廃棄物となった熱可塑性樹脂の成形加工製品の再利用技術にも関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂又はその樹脂組成物は、その優れた成形加工性、機械物性、耐熱性、耐候性、外観性、衛生性及び経済性等の点から、容器、包装用フィルム、家庭用雑貨、事務機器、AV機器、電気・電子部品、自動車部品などの成形材料として幅広い分野で使用されている。そのため、このような熱可塑性樹脂又はその樹脂組成物の成形加工製品の使用量は多く、現在もなお年々増加の一途を辿っている。一方では、使用済みで不要となって廃棄される成形加工製品の量も益々増大して深刻な社会問題となっている。
【0003】
前述のような背景の中、近年、容器包装リサイクル法や国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(通称、グリーン購入法)などが相次いで施行され、このような熱可塑性樹脂又はその樹脂組成物の成形加工製品のマテリアルリサイクルに対する関心が高まってきている。中でも、使用量が急速に伸びているポリエチレンテレフタレート(以下、PETということがある)を材料とするPETボトルのマテリアルリサイクル技術の確立は急務となっている。また、CD,CD−R,DVD,MD等のようなポリカーボネート(以下、PCということがある)を材料とする光学記録媒体製品(光ディスク)の普及に伴い、これらの成形加工時に出る端材の再利用方法や廃棄物となった光ディスクから反射層、記録層等を剥離した後に得られる透明なPC素材を再利用するための検討が進められている。
【0004】
しかしながら、市場から回収された使用済みのPETボトル等のポリエステル樹脂や光ディスク等のポリカーボネート樹脂の成形加工製品は、加水分解や熱分解等により劣化している場合が多い。例えばこれらの成形加工製品を粉砕したものを再度成形しようとしても溶融粘度の低下が著しいため、まったく成形できないか、またはたとえ成形が出来たとしても、機械的強度が脆弱で容易に破損してしまうため、実用に耐える成形加工品への再生利用は極めて困難なのが実情である。
【0005】
廃棄された成形加工製品からリサイクル用樹脂を回収する方法として、例えば、PETやPC等の熱可塑性樹脂又はその樹脂組成物の成形加工製品の粉砕片に、エポキシ基含有エチレン共重合体を溶融混練する方法(特許文献1,2など)やエポキシ化ジエン系共重合体を溶融混練する方法(特許文献3)などが提案されている。また、特許文献4〜7では、R−PET(リサイクルしたPET)の衝撃強度を改善するためにゴム状重合体を組み合わせた材料技術を提案している。しかし、これら公知の技術では、PETの結晶化速度が遅いために外観不良が生じたり、溶融粘度が低いために射出成形が難しい、あるいは高い防火性能を得るためにハロゲン原子を含有する難燃剤を使用するが、ハロゲン原子を含有する難燃剤を添加したときに衝撃強度は十分に改善されなかった。そのため、ハロゲン原子を含有する難燃剤の添加量を抑制すると、難燃性能の不良などを生じることがあった。その結果、用途拡大の障害になっている。しかも、ハロゲン原子を含有する難燃剤はハロゲン原子のために環境や人体に対する安全性に問題があった。
【0006】
また、成形加工においてポリエステル系樹脂は結晶化速度が遅いために射出成形性が悪く、これまで押出成形には用いられてきたが、射出成形にはあまり用いられてこなかった。また、ブロー成形には、(1)ダイレクトブロー成形、(2)インジェクションブロー成形、(3)2軸延伸ブロー成形の3種があり、この中でも生産性が高く品質のばらつきが少ない2軸延伸ブロー成形法が普及している。2軸延伸ブロー成形法では、あらかじめ射出成形にて試験管状のプリフォームを製造し、その後このプリフォームをTg以上で加熱し、縦横2方向に高倍率で延伸し、高圧空気を吹き込んで容器に成形する。
【0007】
例えばPETの場合には、別の工程で射出成形され室温まで冷却された試験管状のプリフォームを100℃2分間再度加熱後、型の中でブロー成形する。このプロセスにおいて樹脂組成物には良好なプリフォームが射出成形で得られることと、ブローできることの2つの特性が求められる。すなわち、ダイレクトブロー成形法やインジェクションブロー成形法に用いる樹脂組成物では、射出成形性が悪くとも問題とならなかったが、2軸延伸ブロー成形法では、射出成形性が悪い樹脂を用いることができなかった。また2軸延伸ブロー成形法では、一度室温まで冷却されたプリフォームを再加熱するので、環境への影響を考慮すると、現在より低温度の再加熱条件がのぞましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5−247328号公報
【特許文献2】特開平6−298991号公報
【特許文献3】特開平8−245756号公報
【特許文献4】特開2003−183486号公報
【特許文献5】特開2003−213112号公報
【特許文献6】特開2003−221498号公報
【特許文献7】特開2003−231796号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明者等は、上記事情に鑑み、まず代表的なポリエステル樹脂製の回収素材であるPETボトルの粉砕品について実用に耐える再生方法を鋭意検討し、次いでそこから得られた知見をもとに、ポリカーボネート樹脂製である光ディスク粉砕品の利用方法についても検討を加えた。その結果、所定の(A)〜(D)成分を組み合わせて含有する樹脂組成物が、優れた機械的性能を示すとともに、空気中で自己消火性を発現することを見出した。そして、このような効果は、PETボトル粉砕品やPC光ディスク粉砕品を用いた場合に限らず、通常のバージンのPETやPCを用いた場合にも得られることが判明し、本発明を完成させた。
【0010】
本発明は、ハロゲン原子含有難燃剤を含有しなくとも優れた難燃性、特に自己消火性を示し、しかも、射出成形性に優れ、ブロー成形とりわけ射出成形性の悪かった従来のポリエステルの問題を解決し2軸延伸ブロー成形法でも成形可能にした難燃性ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0011】
本発明はまた、廃棄物となった成形加工製品から得られたポリエステル樹脂および/またはポリカーボネート樹脂を再利用する場合においても、ハロゲン原子含有難燃剤を含有しなくとも優れた難燃性、特に自己消火性を示し、しかも、射出成形性に優れ、ブロー成形とりわけ射出成形性の悪かった従来のポリエステルの問題を解決し、2軸延伸ブロー成形法でも成形可能にした難燃性ポリエステル樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、下記樹脂成分A〜D
(A)ポリエステル樹脂50〜80質量%
(B)ポリカーボネート樹脂10〜40質量%
(C)Tgが35℃未満の重合体5〜30質量%
(D)残炭素率15質量%以上の芳香族樹脂0.5〜5質量%
を含有することを特徴とする難燃性ポリエステル樹脂組成物に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物、および当該樹脂組成物を用いると、組成物の50質量%以上をしめる主成分であるポリエステル樹脂よりも10℃以上低い温度でブロー成形することが可能となる。またハロゲン原子含有難燃剤を含有しなくとも優れた難燃性、特に自己消火性を示し、しかもブロー成形体の機械的性能に優れている。そのような効果は、廃棄物となった成形加工製品から得られたポリエステル樹脂および/またはポリカーボネート樹脂を再利用する場合においても、得ることができる。
【0014】
本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物は、所定の間隙通過処理を行って製造されることにより、自己消火性が顕著に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】(A)は、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物を製造するための装置の一例について、上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、(B)は、(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。
【図2】(A)は、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物を製造するための装置の一例について、上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、(B)は、(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。
【図3】(A)は、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物を製造するための装置の一例について、上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、(B)は、(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。
【図4】(A)は、本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物を製造するための装置の一例の概略見取り図であり、(B)は、(A)の装置の軸を通るP−Q断面における概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[(A)成分]
本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物(以下、樹脂組成物ということがある)に配合される(A)成分としてのポリエステル樹脂は特に限定されるものではなく、ジカルボン酸単位又はエステル形成能を持つそれらの誘導体と、ジオール単位又はエステル形成能を持つそれら誘導体とを公知の方法で重縮合して得られるポリエステル樹脂である。
【0017】
ジカルボン酸単位の具体例としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,2′−ビフェニルジカルボン酸、3,3′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ビフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、こはく酸、アゼライン酸、マロン酸、蓚酸、ドデカンジオン酸等の脂肪族ジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸及びそれらのエステル形成性誘導体(例えばメチルエステル、エチルエステルなどの低級アルキルエステル等)などから誘導されるジカルボン酸単位を挙げることができる。
【0018】
ジオール単位の具体例としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチルプロパンジオール、1,5−ペンタジオール等の炭素数2〜10の脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリ−1,3−プロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の分子量6000以下のポリアルキレングルコールなどから誘導されるジオール成分単位を挙げることができる。
【0019】
これらジカルボン酸単位及びジオール単位は共に上記化合物を各々単独で使用しても2種又はそれ以上組み合わせて使用してもよい。更に、本発明のポリエステル樹脂は、全構造単位に基づいて1モル%以下であれば、例えばグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリット酸などの3官能以上のモノマーから誘導される構造成分単位を有していてもよい。
【0020】
ポリエステル樹脂は、難燃性および機械的性能のさらなる向上の観点から、芳香族ジカルボン酸又はエステル形成能を持つそれらの誘導体と、脂肪族ジオール又はエステル形成能を持つそれら誘導体とを重縮合して得られる芳香族ポリエステル樹脂であることが好ましい。
【0021】
ポリエステル樹脂の具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレート(以下、これをPETということがある)、ポリブチレンテレフタレート(以下、これをPBTということがある)、ポリプロピレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(以下、これをPENということがある)、ポリブチレンナフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン、p−ヒドロキシ安息香酸系ポリエステル、ポリアリレート系樹脂等を挙げることができる。これらの中でも、ジオール成分として、エチレングリコールを使用したPETおよびPENがその結晶化挙動、熱的性質、機械的性質等の物性バランスの面から特に好ましい。またジオール成分として、ブチレングリコールを使用したPBTも成形性、機械的性質等のバランスがとれ好ましい。PETとPBTとの混合物も好適に使用できる。更には、ポリエチレンナフタレート又はこれとポリエチレンテレフタレートとの混合物(好ましくはPETが50質量%以上の混合物)も好ましい。
【0022】
ポリエステル樹脂の固有粘度に特に制限はないが、本発明においては、好ましくは0.50〜1.50dl/g、更に好ましくは0.65〜1.30dl/gの範囲である。固有粘度が小さすぎると十分な耐衝撃性が得られず、また耐薬品性も低下するおそれがある。逆に固有粘度が大きすぎると流動粘度が増大し混練温度を高く設定しなければならず他の組み合わせる添加剤に好ましくない温度で混練することになる。
【0023】
本明細書中、固有粘度は、フェノール/テトラクロロエタン(質量比:1/1)混合溶媒を用いて30℃で測定したときの値である。
【0024】
ポリエステル樹脂は通常、融点が180〜300℃、好ましくは220〜290℃であり、ガラス転移温度が50〜180℃、好ましくは60〜150℃である。
【0025】
本明細書中、融点は、示差走査熱量計(DSC)による昇温測定時に発現する結晶融解吸熱ピークの終点温度をいうものとする。
【0026】
ガラス転移温度は、融点と同様の測定において、ベースラインが階段状に変化した部分の温度のことをいう。詳しくは、ガラス転移温度は、融点と同様の測定において、階段状に変化している部分の前後の各ベースラインから延長した直線から縦方向に等距離にある直線と、階段状変化部分の曲線とが交わる点の温度のことをいう。
【0027】
ポリエステル樹脂として、廃棄されたポリエステル樹脂製品を粉砕して得られる樹脂片を用いることができる。特に、固有粘度が上記範囲にあるPETとして、使用済みの廃棄PETボトル等のPET製品の粉砕品も好適に用いることができる。廃棄物として回収されたPET製品であるボトル、シート、衣類、およびこれら成形品を成形した時に出た成形屑や繊維屑などを、適当な大きさに粉砕した樹脂片を使用することができる。中でも、量的に多い飲料用ボトルの粉砕品を好適に使用することができる。PETボトルは一般に、分別回収後、異材質除去、粉砕、洗浄工程を経て大きさ5〜10mmの透明なクリアフレークに再生される。通常、かかるクリアフレークの固有粘度の範囲は概ね0.60〜0.80dl/gである。
【0028】
廃棄されたポリエステル樹脂製品のポリエステル樹脂片は、粉砕して洗浄後、一旦、180℃以上260℃未満の温度で混練し、冷却・粉砕して得ることもできる。
【0029】
バージンのポリエステル樹脂はペレット状の形態で市販されているが、これらをガラス転移温度以上の温度でプレスしたり、または押出機等で一旦溶融させ、溶融ストランドを冷却水中でローラーに通して押し潰し、通常のペレタイザーでカッティングしたりすることで、樹脂片として用いることができる。
【0030】
ポリエステル樹脂を樹脂片として用いることにより、樹脂組成物の製造時において混練機への供給を容易にし、また溶融までの混練において、混練装置への負荷が少なくなる。ポリエステル樹脂片の形状としては、例えばフレーク状、ブロック状、粉状及びペレット状などが好ましく、特に好ましい形状はフレーク状である。樹脂片の好ましい最大長は30mm以下であり、より好ましくは20mm、さらにこのましくは10mm以下である。最大長が30mmを超える樹脂片が入っていても混練は可能であるが、供給過程で詰まることがあり好ましくない。しかし、供給装置を改善すれば防止できるので本発明の目的を損なわない限り特に制限をしない。
【0031】
(A)成分の配合量は、組成物全量に対して50〜80質量%であり、(A)成分の配合量が少なすぎると、他の成分の分散状態が変わり、ブロー成形が難しくなる。当該配合量が多すぎると、難燃性が低下し、自己消火性がなくなるので本発明の目的を達成できない。また機械的特性、特に衝撃強度が低下し、ブロー成形で製造された容器が手で容易に破壊する。ポリエステル樹脂は構成単位および/または固有粘度が異なる2種類以上のポリエステル樹脂の混合物であってよく、例えばPETとPENの混合物、あるいはPETの一次結合にPEN成分が入っているPETとPENのコポリマーなどがあるが、その場合、それらの合計配合量が上記範囲内であればよい。
(A)成分の好ましい実施形態として、(A)成分の80質量%以上99質量%未満がPETであり、1質量%以上20質量%未満がPENであるとブロー成形前のプリフォーム成形が容易となるので好ましい。
【0032】
[(B)成分]
(B)成分としてのポリカーボネート樹脂(以下、PCということがある)は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させることによって得られる芳香族ポリカーボネートである。その製造方法は公知の方法が採用でき、例えば、二価フェノールにホスゲン等のカーボネート前駆体を直接反応させる方法(界面重合法)、又は二価フェノールとジフェニルカーボネート等のカーボネート前駆体とを溶融状態でエステル交換反応させる方法(溶液法)などが知られている。
【0033】
二価フェノールとしては、ハイドロキノン、レゾルシン、ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェニル)アルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)シクロアルカン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(ヒドロキシフェニル)ベンゼン及び核にアルキル基やハロゲン原子などが置換しているこれらの誘導体などが挙げられる。特に好適な二価フェノールの代表例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称ビスフェノールA)、2,2−ビス{(4−ヒドロキシ−3−メチル)フェニル}プロパン、2,2−ビス{(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシ)フェニル}プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、4,4′−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ビス{(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ)フェニル}スルホンなどが挙げられ、これらは単独又はそれ以上を混合して使用できる。これらの中で、特にビスフェノールAの使用が好ましい。
【0034】
カーボネート前駆体としては、ジフェニルカーボネート、ジトルイルカーボネート、ビス(クロロフェニル)カーボネート等のジアリールカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、ホスゲン等のカルボニルハライド、二価フェノールのジハロホルメート等のハロホルメート等が挙げられるが、これらに限定されない。好ましくは、ジフェニルカーボネートを使用する。これらカーボネート前駆体もまた、単独でもよく、また2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
ポリカーボネート樹脂は、例えば1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンや1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタンのような三官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であっても、芳香族又は脂肪族の二官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であってもよい。また、得られたポリカーボネート樹脂の2種又はそれ以上を混合した混合物であってもよい。
【0036】
ポリカーボネート樹脂の分子量は、通常、粘度平均分子量で1×10〜1×10程度であるが、本発明で用いるポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は10,000〜40,000程度が好ましく、12,000〜35,000が更に好ましい。
【0037】
本明細書中、粘度平均分子量はCBM−20AliteシステムとGPCソフトウェアー(島津製作所社製)によって測定された値である。
【0038】
ポリカーボネート樹脂は通常、ガラス転移温度が120〜290℃、好ましくは140〜270℃である。
【0039】
ポリカーボネート樹脂として、廃棄されたポリカーボネート樹脂製品を粉砕して得られる樹脂片を用いることができる。特に、上記分子量の範囲にあるポリカーボネートとして、廃棄された光ディスク等の粉砕品も好適に用いることができる。CD,CD−R,DVD,MD等の光ディスクや光学レンズを成形加工した時に出る端材や廃棄物となった光ディスクから反射層、記録層等を剥離したものなどを10mm以下の適当な大きさに粉砕した樹脂片であれば特に限定なく、本発明において使用できる。一般に、これら光ディスク用のポリカーボネート樹脂は高流動タイプで、分子量が13,000〜18,000の低分子量のものが用いられている。
【0040】
廃棄されたポリカーボネート樹脂製品のポリカーボネート樹脂片は、粉砕洗浄後、一旦、180℃以上260℃未満の温度で混練し、冷却・粉砕して得ることもできる。
【0041】
バージンのポリカーボネート樹脂はペレット状の形態で市販されているが、これらをガラス転移温度以上の温度でプレスしたり、または押出機等で一旦溶融させ、溶融ストランドを冷却水中でローラーに通して押し潰し、通常のペレタイザーでカッティングしたりすることで、樹脂片として用いることができる。
【0042】
ポリカーボネート樹脂を樹脂片として用いることにより、樹脂組成物の製造時において混練機への供給を容易にし、また溶融までの混練において、混練装置への負荷が少なくなる。ポリカーボネート樹脂片の形状としては、例えばフレーク状、ブロック状、粉状及びペレット状などが好ましく、特に好ましい形状はフレーク状である。樹脂片の好ましい最大長は30mm以下であり、より好ましくは20mm以下、さらにこのましくは10mm以下である。最大長が30mmを超える樹脂片が入っていても混練は可能であるが、供給過程で詰まることがあり好ましくない。しかし、供給装置を改善すれば防止できるので本発明の目的を損なわない限り特に制限をしない。
【0043】
(B)成分の配合量は、組成物全量に対して10〜40質量%であり、難燃性のさらなる向上の観点から、好ましくは10〜30質量%である。(B)成分の配合量が少なすぎると、難燃性が低下し、自己消火性がなくなる。当該配合量が多すぎると、ブロー成形温度が高くなるので本発明の目的を達成できない。また、機械的特性、特に衝撃強度が低下し、ブロー成形で製造された容器が容易に割れやすくなる。2種以上のポリカーボネート樹脂を組み合わせて用いてもよいが、そのときには(B)成分として合計配合量を上記範囲内とする。
【0044】
[(C)成分]
(C)成分としてTgが35℃未満の高分子量体を添加するが、ここでTgとは示差熱走査熱分析(DSC)で得られた値であり、高分子量体の中には2種類以上Tgを有する場合がある。少なくとも1つ35℃未満のTgがDSCで観察されれば、本発明に用いることができる。本成分として好ましいのは、ポリエチレン(Tg:−110℃、Tg:−20℃)およびそのコポリマーあるいはそのグラフトポリマー、ポリプロピレン(Tg)およびそのコポリマーあるいはそのグラフトポリマー、ポリ酢酸ビニル(Tg:30℃)およびそのコポリマー、酢酸ビニルのグラフトポリマー、ゴム状重合体であるが、ゴム状重合体と樹脂との共重合体も用いることができる。本発明の(C)成分としては、少なくとも1つ35℃未満のTgを有する重合体である。30質量%以上Tgが35℃以上の成分が配合された場合には、本発明の目的であるブロー成形温度を低くすることができにくいので好ましくない。以下に35℃未満にTgを少なくとも一つ有するゴム状重合体の説明をする。
【0045】
ゴム状重合体は、本発明の樹脂組成物の耐衝撃性付与のために必要な成分であって、ゴム技術入門(日本ゴム協会編丸善株式会社発行)や熱可塑性エラストマーの材料設計と成形加工(山下晋三監修技術情報協会発行)に記載されたゴム状化合物を使用可能である。
【0046】
ゴム状重合体とは、20℃以下に少なくとも一つのガラス転移点(Tg)を有する重合体である。
【0047】
ゴム状重合体の数平均分子量は、小さすぎると重合体自体の破断時の強度、伸度等の機械的性質が低下し、組成物とした場合にその強度を低下させるおそれがあり、また大きすぎると加工性が悪くなり、十分な性能を有する組成物が得られないおそれがあるので、数平均分子量は30,000〜500,000の範囲にあるのが好ましく、更に好ましくは50,000〜300,000の範囲である。
【0048】
そのようなゴム状重合体として、例えば、共役ジエン系ゴム、ウレタンゴム(UR)、シリコーンゴムが使用可能である。
【0049】
共役ジエン系ゴムは、共役ジエン系単量体を含有する単独重合体または共重合体ゴムである。共役ジエン単量体の含有量は通常、全モノマー成分に対して10質量%以上、好ましくは10〜50質量%である。
【0050】
共役ジエン系ゴムの具体例として、例えば、天然ゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、ブタジエン−スチレン共重合体ゴム(SBR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−(ジエンメチレン)共重合体ゴム(EPDM)、イソブチレン−イソプレン共重合体ゴム(IIR)、スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンラジアルテレ共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体ゴム、ポリクロロプレン(CR)などが挙げられる。上記具体例のうち、共重合体ゴムは、グラフト共重合体ゴムおよびブロック共重合体ゴムを包含して意味するものとする。
【0051】
ウレタンゴム(UR)の具体例として、例えば、ゴム状の性質を発現するソフトセグメントとしてポリエーテル系のURやポリエステル系のURが挙げられる。
【0052】
シリコーンゴムの具体例として、例えば、ミラブルタイプのシリコーンゴムやLIMSタイプのシリコーンゴムがあり、本発明に好ましいのは架橋基を有するミラブルタイプのシリコーンゴムであるが、LIMSタイプでも架橋反応させて製造したゴムを粉砕したものであれば使用可能である。
【0053】
例えば、シリコーンゴムの一種ポリジメチルシリコーンゴム、天然ゴム、ポリブタジエンゴム(BR)、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリクロロプレン(CR)のような1種類のモノマーからなるゴム状重合体はTgを一つだけ有し、当該Tgが20℃以下である。
【0054】
また例えば、ウレタンゴム、のような熱可塑性エラストマー、およびブタジエン−スチレングラフト共重合体ゴム(SBR)、ブタジエン−アクリロニトリルグラフト共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−(ジエンメチレン)グラフト共重合体ゴム(EPDM)、イソブチレン−イソプレングラフト共重合体ゴム(IIR))、スチレン−ブタジエン−スチレングラフト共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンラジアルテレグラフト共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレングラフト共重合体ゴムのような2種類以上のモノマーからなるグラフト共重合体ゴムはTgを一つだけ有し、当該Tgが20℃以下である。
【0055】
また例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンラジアルテレブロック共重合体ゴム、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体ゴム、ブタジエン−スチレンブロック共重合体ゴム(SBR)、ブタジエン−アクリロニトリルブロック共重合体ゴム、エチレン−プロピレン−(ジエンメチレン)ブロック共重合体ゴム(EPDM)、イソブチレン−イソプレンブロック共重合体ゴム(IIR)のような2種類以上のモノマーからなるブロック共重合体ゴムは各ブロックのセグメントごとのTgが観察されるので、Tgを二つ以上有し、そのうち少なくとも一つのTgが20℃以下であり、他のTgは20℃以下であってもよいし、または20℃を超えていてもよい。
【0056】
上記したゴム状重合体の中で、共役ジエン系ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムが、成形体の外観の観点から好ましく使用される。共役ジエン系ゴム、特に、BR,SBR,EPDM、IIRは混練時に容易に架橋するので好ましい。
【0057】
ゴム状重合体は、どのような製造方法で得られたものであってもよいし、または市販品として入手したものであってもよい。
【0058】
共役系ジエン系ゴムの市販品として、例えば、EPDM(ダウ(株)製;Nordel IP)、エスプレン(Esprene);住友化学工業社製)、Royalene(Uniroyal Chemical社製)が使用可能である。
【0059】
ウレタンゴムの市販品として、例えば、アイアンラバー(ユニマテック株式会社製)、E885PFAAアジペート系(日本ミラクトラン社製)が使用可能である。
【0060】
シリコーンゴムの市販品として、例えば、一液型RTVゴム(信越化学社製)、シリコーンワニス等(信越化学社製)、ミラブル型シリコーンゴム(モメンティブ社製)が使用可能である。
【0061】
(C)成分の配合量は、組成物全量に対して5〜30質量%であり、難燃性および機械的性能のさらなる向上の観点から、好ましくは5〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%である。(C)成分の配合量が少なすぎると、機械的特性、特に衝撃強度が低下しブロー成形体に手で力を加えただけで割れる。当該配合量が多すぎると、自己消火性が低下し、機械的特性、特に曲げ強度、弾性率が低下する。
【0062】
[(D)成分]
(D)成分として用いる、残炭率15%以上の重合体としてはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、尿素樹脂、フラン樹脂、不飽和ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド(以下、PPSということがある)などを用いることができる。ここで残炭率15%以上とは、重合体を窒素中5℃/minの加熱速度で熱質量分析を行い、600℃における残渣量の割合である。好ましい重合体としては残炭率35%以上のフェノール樹脂またはPPSである。
【0063】
PPSは、いわゆるエンジニアリングプラスチックとして有用なポリフェニレンスルフィドである。
【0064】
PPSは軟化点Tmが240〜300℃、好ましくは240〜290℃のものが使用される。
【0065】
本明細書中、軟化点はDSC7020(セイコーインスツル社製)によって測定された値である。
【0066】
PPSは、公知の方法によって製造したものを用いてもよいし、または市販品として入手したものを用いてもよい。
【0067】
PPSの市販品として、例えば、トレリナ(東レ社製)、PPS(DIC社製)等が入手可能である。
【0068】
フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類との付加・縮合で得られる高分子物質である。
【0069】
フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、p−アルキルフェノール、p−フェニルフェノール、クロルフェノール、ビスフェノールA、フェノールスルホン酸、レゾルシン等が挙げられる。
【0070】
アルデヒド類としては、例えば、ホルマリン、フルフラール等が挙げられる。
【0071】
フェノール樹脂は、その原料に基づいて、例えば、フェノール・ホルマリン樹脂、クレゾール・ホルマリン樹脂、変性フェノール樹脂、フェノール・フルフラール樹脂、レゾルシン樹脂等が知られている。
【0072】
フェノール・ホルマリン樹脂としては、さらに製造方法に基づき、酸性触媒で前駆物質を製造し、アルカリ触媒で硬化反応を行うノボラック型、アルカリ触媒で前駆物質を製造し、酸触媒で硬化反応を行うレゾール型のものが挙げられる。
【0073】
フェノール樹脂は、フェノール・ホルマリン樹脂、特にノボラック型のフェノール・ホルマリン樹脂が好ましく使用される。
【0074】
フェノール樹脂は、粉末のものでも液状のものでも本発明の目的を達成可能である。好ましいフェノール樹脂は、室温で粉末のフェノール樹脂である。秤量時に取り扱い性が優れているためである。そのようなフェノール樹脂の融点は、30℃以上150℃以下がゴム状重合体の架橋剤として使用可能なので好ましい。さらに好ましくは60℃120℃以下である。
【0075】
フェノール樹脂は、公知の方法によって製造したものを用いてもよいし、または市販品として入手したものを用いてもよい。
【0076】
フェノール樹脂の市販品として、例えば、PR−HF−3(住友ベークライト社製)、フェノール樹脂SP90(旭有機材工業社製)等が入手可能である。
【0077】
自己消化火性の観点から少なくともフェノール樹脂を用いることが好ましく、フェノール樹脂とPPSとを併用することがさらに好ましい。
【0078】
(D)成分の配合量は、組成物全量に対して0.5〜5質量%であり、難燃性能のさらなる向上の観点から、好ましくは2〜5質量%である。(D)成分の配合量は、特に1質量%以上であると、得られる樹脂組成物で製造された成形体は自己消火性を示し、2質量%以上であると、燃焼速度も遅くなり、マッチの火を近づけても着火しにくくなる。(D)成分の配合量が少なすぎると、自己消化性が低下する。当該配合量が多すぎると、機械的特性、特に衝撃強度、曲げ強度が低下する。PPSおよびフェノール樹脂それぞれは種類および/または軟化点・融点が異なる2種類以上のポリマーの混合物であってよく、またPPSまたはフェノール樹脂を単独でまたは組み合わせて使用してもよい。その場合、それらの合計配合量が上記範囲内であればよい。
【0079】
そのほかにハロゲンを含まない難燃剤が添加されていると、難燃性はさらに向上する。本発明で好ましい難燃剤はリン酸エステル化合物である。
【0080】
リン酸エステル化合物は、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、およびホスホン酸のエステル化物等が使用される。
【0081】
亜リン酸エステルの具体例として、例えば、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
【0082】
リン酸エステルの具体例として、例えば、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリス(ノニルフェニル)ホスフェート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフェート、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフェート、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェート、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスフェート、トリブチルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート等が挙げられる。
【0083】
亜ホスホン酸エステルの具体例として、例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4′−ビフェニレンホスホナイト等が挙げられる。
【0084】
ホスホン酸エステルの具体例として、例えば、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸エステル等が挙げられる。
【0085】
リン酸エステル化合物は、亜リン酸、リン酸およびホスホン酸のエステル化物が好ましく、特にリン酸エステルが好ましい。
【0086】
本発明の樹脂組成物には、本発明の目的が達成される範囲内で、慣用の他の添加剤、例えば、架橋剤、顔料、染料、補強材(ガラス繊維、炭素繊維、タルク、マイカ、粘土鉱物、チタン酸カリウム繊維など)、充填剤(酸化チタン、金属粉、木粉、籾殻など)、熱安定剤、酸化劣化防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、離型剤、結晶核剤、可塑剤、難燃剤、帯電防止剤、発泡剤等を配合することができる。これらの中でも、本発明の樹脂組成物においては、ポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のエステル交換反応や熱分解を抑える観点からも、架橋剤、熱安定剤や酸化劣化防止剤などの安定剤の添加が好適である。
【0087】
架橋剤は、ゴム状重合体(C)の架橋を促進するものであり、例えば、過酸化物が好ましく使用される。過酸化物の具体例として、例えば、アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカルボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカルボネート、ジ(2−メトキシエチル)パーオキシジカルボネート、ジ(メトキシイソプロピル)パーオキシジカルボネート、ジ(2−メチルヘキシル)パーオキシジカルボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシパイバレート、3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、オクタノールパーオキサイド、デカノールパーオキサイド、ラウロールパーオキサイド、ステアロールパーオキサイド、プロピオニルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ(2−エチルヘキサノエート)、ベンゾキシパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサノン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサノン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、琥珀酸オキサイド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカルボネート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルジパーオキシフタレート、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バラレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,2−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロキシパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
【0088】
架橋剤の配合量は樹脂組成物全量に対して、好ましくは0.01〜0.1質量%であり、更に好ましくは0.01〜0.05質量%である。
【0089】
熱安定剤としては、リン系、ヒンダードフェノール系、アミン系、チオエーテル系等の化合物が使用できる。この中でチオエーテル系が好ましく、チオエーテル系等の化合物としては、ジラウリルチオジプロピオネート、ジミリスチルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(ドデシルチオ)プロピオネート〕メタンなどが挙げられる。
【0090】
熱安定剤の配合量は樹脂組成物全量に対して、好ましくは0.001〜1質量%であり、更に好ましくは0.01〜0.5質量%である。
【0091】
[難燃性ポリエステル樹脂組成物の製造方法]
本発明に係る樹脂組成物はいわゆる溶融混練法によって製造できる。すなわち、少なくとも上記した(A)〜(D)成分を含む高分子混合物を溶融・混練し、冷却する。冷却物は、次工程(例えば、成形工程)での処理を容易にするために、通常、粉砕によってペレタイズされる。
【0092】
溶融・混練方法は特に制限されず、例えば、剪断力を利用した公知の押出混練機が使用できる。具体的には、後述する好ましい実施形態で使用可能な押出混練機を用いることができる。
【0093】
溶融・混練条件は、特に制限されない。例えばスクリュー回転数および処理温度は後述する好ましい実施形態で使用可能な範囲内である。
【0094】
冷却方法は特に制限されず、放置冷却してもよいし、または後述するような急冷を行ってもよい。
【0095】
(好ましい実施形態に係る製造方法)
本発明に係る樹脂組成物は、以下に示す好ましい実施形態に係る製造方法によって製造されると、ゴム状重合体(C)の微分散が達成される。しかも自己消火性、ならびにブロー成形体の靱性が顕著に向上するので、ブロー成形でできた容器に手で繰り返し力を加えても割れることはない。
【0096】
本発明に係る樹脂組成物の好ましい製造方法は、少なくとも上記した(A)〜(D)成分を含む高分子混合物を溶融状態で間隙通過処理することを特徴とする。
【0097】
間隙通過処理とは、高分子混合物を溶融状態で、面間距離xが5mm以下の平行な2つの面の間隙に通過させる処理であり、本実施形態において当該間隙通過処理を1回以上、好ましくは2回以上、より好ましくは3回以上行う。これによって、高分子混合物に含まれる各成分の十分に均一な混合・分散が達成され、その結果、ハロゲン原子含有難燃剤を含有しなくとも、より一層優れた難燃性、特に自己消火性を示し、しかも弾性率、曲げ強度および衝撃強度等の機械的性能が顕著に向上した樹脂組成物が得られる。そのような効果は、当該樹脂組成物を用いて得られた成形体においても得られる。当該間隙通過処理の回数を増やすほど、自己消火性および機械的性能は顕著に向上する。例えば、当該間隙通過処理の回数を1回から2回に増やすと、自己消火性および機械的性能はより一層、顕著に向上する。当該間隙通過処理の回数を2回から3回に増やすと、自己消火性および機械的性能はさらに一層、顕著に向上する。当該間隙通過処理の回数の上限は通常、1000回、特に100回である。高分子混合物を面間距離xが5mmを超える間隙に通過させても、難燃性ならびに弾性率、曲げ強度および衝撃強度等の機械的性能は顕著に向上するわけではない。たとえ、そのような間隙における高分子混合物の移動方向の距離を長くしても、難燃性および機械的性能は顕著に向上するわけではない。間隙通過処理は、一軸あるいは二軸混練機で混練後に行うことによりその回数を減らすことが可能で、例えば二軸混練機の吐出口に取り付けた装置で間隙通過処理を連続的に行う場合には、3から10回まで回数を減らすことができる。
【0098】
難燃性および機械的性能が顕著に向上する効果が得られるメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のメカニズムに基づくものと考えられる。溶融状態の高分子混合物が間隙に入るとき、高分子混合物が受ける圧力および高分子混合物の移動速度が大きく変化する。このとき、溶融物に対して剪断作用、伸長作用および折りたたみ作用が有効に働くものと考えられる。そのため、そのような変化を高分子混合物が受けることにより、結果として各成分の十分に均一な混合・分散が有効に達成され、難燃性および機械的性能の顕著な向上効果が得られるものと考えられる。
【0099】
間隙通過処理を2回以上行う場合、間隙通過処理は、間隙を2ヶ所以上で有する装置において当該間隙を1回ずつ通過させることによって達成されてもよいし、または間隙を1ヶ所だけ有する装置を用いて2回以上処理を繰り返すことによって達成されてもよい。連続運転の効率性の観点からは、間隙通過処理は、間隙を2ヶ所以上で有する装置において当該間隙を1回ずつ通過させることによって達成されることが好ましい。
【0100】
1以上の間隙における平行な2つの面間距離xはそれぞれ独立して5mm以下、特に0.05〜5mmであり、より均一な混合・分散、装置の小型化、およびベントアップの防止の観点からは、0.5〜5mmが好ましく、より好ましくは0.5〜3mmである。
【0101】
1以上の間隙における高分子混合物の移動方向MDの距離yはそれぞれ独立して2mm以上であればよく、処理の効果のさらなる向上の観点からは、3mm以上が好ましく、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上である。距離yの上限値は特に制限されるものではないが、長すぎると、効率が悪いだけでなく、高分子混合物を移動方向MDで移動させるための圧力を大きくする必要があり経済的ではない。よって距離yはそれぞれ独立して2〜100mmが好ましく、より好ましくは3〜50mm、さらに好ましくは5〜30mmである。
【0102】
1以上の間隙における幅方向WDの距離zは特に制限されず、例えば、20mm以上であり、通常は100〜1000mmである。
【0103】
高分子混合物が溶融状態で間隙を通過するときの流速は間隙の断面積1cmあたりの値で1g/分以上であればよく、本実施形態において上限は特に制限はないが、あまり大きくなると、高分子混合物を移動方向MDで移動させるための圧力を大きくする必要があり経済的ではない。好ましくは10〜5000g/分、より好ましくは10〜500g/分である。
【0104】
本明細書中、断面積とは、移動方向MDに対する垂直断面における面積を意味するものとする。
【0105】
流速は吐出口から吐出される高分子混合物の吐出量(g/分)を間隙の断面積(cm)で除することによって測定できる。
【0106】
間隙通過処理時の高分子混合物の粘度は、上記間隙通過時の流速が達成される限り特に制限されず、加熱温度によって制御できる。当該粘度は例えば、1〜10000Pa・sであり、好ましくは10〜8000Pa・sである。
【0107】
高分子混合物の粘度は粘弾性測定装置MARS(ハーケー社製)によって測定された値を用いている。
【0108】
溶融状態の高分子混合物を移動方向MDに移動させるための圧力は、上記間隙通過時の流速が達成される限り特に制限されず、大気圧力との差圧で示される樹脂圧力で0.1MPa以上が好ましい。樹脂圧力は間隙における樹脂の吐出口から1mm以上内側で計測した高分子混合物の圧力であり、圧力計で直接計測することによって測定できる。圧力は高いほど効果的であるが樹脂圧力が高すぎると著しい剪断発熱が生じ、高分子の分解に至る場合があるので、樹脂圧力は500MPa以下が好ましく、より好ましくは50MPa以下である。この樹脂圧力については、良好な物性を示す高分子組成物を製造するための目安を示したもので、記載した樹脂圧力以外で本実施形態の目的を達成できるならばこれに制限を加えるものではない。
【0109】
間隙通過処理時の高分子混合物の温度は、上記間隙通過時の流速が達成される限り特に制限されないが、400℃を超える高温度では高分子の分解が生じるので400℃以下が推奨される。また当該高分子混合物温度は、高分子のTg以上の温度であると樹脂圧力が著しく高くならないので好ましい。2種類以上の高分子を使用する場合、それらの割合と各Tgから加重平均により算出される値をTgとする。例えば、高分子AのTgがTg(℃)、使用割合がR(%)であり、高分子BのTgがTg(℃)、使用割合がR(%)であるとき(R+R=100)、「(Tg×R/100)+(Tg×R/100)」をTgとする。
【0110】
間隙通過処理時の高分子混合物温度は、当該処理を行う装置の加熱温度を調整することによって制御できる。
【0111】
本実施形態において通常は、間隙通過処理の直前に、高分子混合物を押出混練機により溶融・混練し、混練後に押し出された溶融状態の高分子混合物に対して間隙通過処理を所定回数で行う。溶融・混練方法は特に制限されず、例えば、剪断力を利用した公知の押出混練機が使用できる。具体的には、例えば、二軸押出混練機KTX30、KTX46(神戸製鋼社製)等のような押出混練機を用いることができる。
【0112】
溶融・混練条件は、特に制限されず、例えばスクリュー回転数は50〜1000rpmが採用可能であり、溶融混練温度は上記した間隙通過処理時の高分子混合物の温度と同様の温度が採用可能である。
【0113】
以下、間隙通過処理を行う高分子組成物の製造装置を示す図面を用いて、間隙通過処理方法について具体的に説明する。そのような高分子組成物の製造装置は、被処理物を流入させるための流入口および処理された物を吐出させるための吐出口を備え、当該流入口と吐出口との間の被処理物の流路において、平行な2つの面の間隙を1ヶ所以上で有するものである。
【0114】
例えば、間隙通過処理を1回行う高分子組成物の製造装置(ダイ)は、間隙2aを有さないこと、および溜まり部1aと溜まり部1bとがそれらの溜まり部の最大高さと同様の高さで連通していること以外、後述する図1に示す装置と同様であるため、当該装置の説明は省略する。
【0115】
例えば、間隙通過処理を2回行う高分子組成物の製造装置(ダイ)の一例を図1に示す。図1(A)は、間隙通過処理を2回行う高分子組成物の製造装置について上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、図1(B)は、図1(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。図1の装置は全体として略直方体形状を有するものである。図1の装置は流入口5を押出混練機(図示しない)の吐出口に連結させておくことによって、当該押出混練機の押出力を、高分子混合物の移動の推進力として利用し、溶融状態の高分子混合物を全体として移動方向MDに移動させ、間隙2a、2bを通過させることができる。このように図1の装置は押出混練機の吐出口に連結させて使用されるため、ダイと呼ぶこともできる。
【0116】
図1の装置は、具体的には、被処理物を流入させるための流入口5および処理された物を吐出させるための吐出口6を備え、流入口5と吐出口6との間の被処理物の流路において、平行な2つの平面からなる間隙を2ヶ所(2a、2b)で有する。通常はさらに、間隙2a、2bそれぞれの直前に断面積が当該間隙の断面積よりも大きい溜まり部1a、1bを有する。処理時において押出混練機から押し出された高分子混合物は溶融状態で、当該押出混練機の押出力に基づいて、図1の装置10Aにおける流入口5から溜まり部1aに流入し、幅方向WDに広がる。次いで、高分子混合物は移動方向MDおよび幅方向WDで連続的に、間隙2aを通過して溜まり部1bに移動し、その後、さらに間隙2bを通過し、吐出口6から吐出される。
【0117】
本明細書中、溜まり部の断面積は、移動方向MDに対する垂直断面における当該溜まり部の最大の断面積を意味する。
【0118】
図1において間隙2a、2bにおける平行な2つの面間距離x、xは前記距離xに相当し、それぞれ独立して前記距離xと同様の範囲内であればよい。
【0119】
図1において間隙2aにおける移動方向MDの距離yおよび間隙2bにおける移動方向MDの距離yは前記距離yに相当し、それぞれ独立して前記距離yと同様の範囲内であればよい。
【0120】
図1において間隙2a、2bにおける幅方向WDの距離zは前記距離zに相当し、それぞれ独立して前記距離zと同様の範囲内であればよく、通常は共通の値である。
【0121】
図1において溜まり部1a、1bにおける最大高さh、hはそれぞれ、直後の間隙2a、2bの面間距離x、xより大きい値であり、通常はそれぞれ独立して3〜100mm、好ましくは3〜50mmである。
【0122】
本明細書中、溜まり部の最大高さは、直方体形状の装置の場合、幅方向WDに対する垂直断面における最大高さを意味するものとする。
【0123】
図1において間隙2aの断面積S2aとその直前の溜まり部1aの最大断面積S1aとの比率S1a/S2aおよび間隙2bの断面積S2bとその直前の溜まり部1bの最大断面積S1bとの比率S1b/S2bはそれぞれ独立して1.1以上、特に1.1〜1000であり、より均一な混合・分散、装置の小型化、およびベントアップの防止の観点からは2〜100が好ましく、より好ましくは3〜15である。
【0124】
図1において溜まり部1aにおける移動方向MDの距離mおよび溜まり部1bにおける移動方向MDの距離mはそれぞれ独立して1mm以上であればよく、連続運転の効率の観点からは、2mm以上が好ましく、より好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上である。距離mおよびmの上限値は特に制限されるものではないが、長すぎると、効率が悪いだけでなく、流入口5に連結される押出混練機の押出力を大きくする必要があり経済的ではない。よって距離mおよびmはそれぞれ独立して1〜300mmが好ましく、より好ましくは2〜100mm、さらに好ましくは5〜50mmである。
【0125】
また例えば、間隙通過処理を3回行う高分子組成物の製造装置(ダイ)の一例を図2に示す。図2(A)は、間隙通過処理を3回行う高分子組成物の製造装置について上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、図2(B)は、図2(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。図2の装置は全体として略直方体形状を有するものである。図2の装置は流入口5を押出混練機(図示しない)の吐出口に連結させておくことによって、当該押出混練機の押出力を、高分子混合物の移動の推進力として利用し、溶融状態の高分子混合物を全体として移動方向MDに移動させ、間隙2a、2b、2cを通過させることができる。このように図2の装置もまた押出混練機の吐出口に連結させて使用されるため、ダイと呼ぶことができる。
【0126】
図2の装置は、具体的には、被処理物を流入させるための流入口5および処理された物を吐出させるための吐出口6を備え、流入口5と吐出口6との間の被処理物の流路において、平行な2つの平面からなる間隙を3ヶ所(2a、2b、2c)で有する。通常はさらに、間隙2a、2b、2cそれぞれの直前に、断面積が直後の間隙の断面積よりも大きい溜まり部1a、1b、1cを有する。処理時において押出混練機から押し出された高分子混合物は溶融状態で、当該押出混練機の押出力に基づいて、図2の装置10Bにおける流入口5から溜まり部1aに流入し、幅方向WDに広がる。次いで、高分子混合物は移動方向MDおよび幅方向WDで連続的に、間隙2aを通過して溜まり部1bに移動し、その後、さらに間隙2bを通過して溜まり部1cに移動し、最後に間隙2cを通過し、吐出口6から吐出される。
【0127】
図2において間隙2a、2b、2cにおける平行な2つの面間距離x、x、xは前記距離xに相当し、それぞれ独立して前記距離xと同様の範囲内であればよい。
【0128】
図2において間隙2aにおける移動方向MDの距離y、間隙2bにおける移動方向MDの距離yおよび間隙2cにおける移動方向MDの距離yは前記距離yに相当し、それぞれ独立して前記距離yと同様の範囲内であればよい。
【0129】
図2において間隙2a、2b、2cにおける幅方向WDの距離zは前記距離zに相当し、それぞれ独立して前記距離zと同様の範囲内であればよく、通常は共通の値である。
【0130】
図2において溜まり部1a、1b、1cにおける最大高さh、h、hはそれぞれ、直後の間隙2a、2b、2cの面間距離x、x、xより大きい値であり、通常はそれぞれ独立して、図1における最大高さh、hと同様の範囲内である。
【0131】
図2において間隙2aの断面積S2aとその直前の溜まり部1aの最大断面積S1aとの比率S1a/S2a、間隙2bの断面積S2bとその直前の溜まり部1bの最大断面積S1bとの比率S1b/S2bおよび間隙2cの断面積S2cとその直前の溜まり部1cの最大断面積S1cとの比率S1c/S2cはそれぞれ独立して、図1における比率S1a/S2aおよび比率S1b/S2bと同様の範囲内である。
【0132】
図2において溜まり部1aにおける移動方向MDの距離m、溜まり部1bにおける移動方向MDの距離mおよび溜まり部1cにおける移動方向MDの距離mはそれぞれ独立して、図1における距離mおよび距離mと同様の範囲内である。
【0133】
本明細書中、「平行」は、2つの平面の間で達成される平行関係だけでなく、2つの曲面の間で達成される平行関係も含む概念で用いるものとする。すなわち、図1および図2において間隙2a、2b、2cは平行な2つの平面からなっているが、これに制限されるものではなく、例えば、図3に示す間隙2aや図4に示す間隙2a、2b、2cのように、平行な2つの曲面からなっていてもよい。「平行」は、2つの面の関係において、それらの間の距離が一定であることを意味し、装置製造時の精度を考慮して、厳密に「一定」であることを要さず、実質的に「一定」であればよい。従って、「平行」は本実施形態の目的が達成される範囲内で「略平行」であってよい。略直方体形状の装置において、幅方向WDに対する垂直断面における間隙の形状および位置は幅方向において変わらないものとする。略円柱体形状の装置において、軸を通る断面における間隙の形状および位置は装置の軸を中心軸とした周方向において変わらないものとする。
【0134】
図3は、間隙通過処理を2回行う高分子組成物の製造装置(ダイ)の一例を示す。図3(A)は、間隙通過処理を2回行う高分子組成物の製造装置について上面から装置内部を透視したときの概略透視図であり、図3(B)は、図3(A)の装置のP−Q断面における概略断面図である。図3の装置は全体として略直方体形状を有するものである。図3の装置は流入口5を押出混練機(図示しない)の吐出口に連結させておくことによって、当該押出混練機の押出力を、高分子混合物の移動の推進力として利用し、溶融状態の高分子混合物を全体として移動方向MDに移動させ、間隙2a、2bを通過させることができる。このように図3の装置もまた押出混練機の吐出口に連結させて使用されるため、ダイと呼ぶことができる。
【0135】
図3の装置は、間隙2aが平行な2つの曲面からなること以外、図1の装置と同様であるため、図3の装置の詳しい説明を省略する。
【0136】
図4は、間隙通過処理を3回行う高分子組成物の製造装置(ダイ)の一例を示す。図4(A)は、間隙通過処理を3回行う高分子組成物の製造装置の概略見取り図であり、図4(B)は、図4(A)の装置の軸を通るP−Q断面における概略断面図である。図4の装置は全体として略円柱体形状を有し、装置の小型化を可能にする。図4の装置は流入口5を押出混練機(図示しない)の吐出口に連結させておくことによって、当該押出混練機の押出力を、高分子混合物の移動の推進力として利用し、溶融状態の高分子混合物を全体として移動方向MDに移動させ、間隙2a、2b、2cを通過させることができる。このように図4の装置もまた押出混練機の吐出口に連結させて使用されるため、ダイと呼ぶことができる。
【0137】
図4の装置は、具体的には、被処理物を流入させるための流入口5および処理された物を吐出させるための吐出口6を備え、流入口5と吐出口6との間の被処理物の流路において、平行な2つの曲面からなる間隙を3ヶ所(2a、2b、2c)で有する。通常はさらに、間隙2a、2b、2cそれぞれの直前に、断面積が直後の間隙の断面積よりも大きい溜まり部1a、1b、1cを有する。処理時において押出混練機から押し出された高分子混合物は溶融状態で、当該押出混練機の押出力に基づいて、図4の装置10Dにおける流入口5から溜まり部1aに流入し、半径方向に広がる。次いで、高分子混合物は移動方向MDおよび周方向PDで連続的に、間隙2aを通過して溜まり部1bに移動し、その後、さらに間隙2bを通過して溜まり部1cに移動し、最後に間隙2cを通過し、吐出口6から吐出される。
【0138】
図4において間隙2a、2b、2cにおける平行な2つの面間距離x、x、xは前記距離xに相当し、それぞれ独立して前記距離xと同様の範囲内であればよい。
【0139】
図4において間隙2aにおける移動方向MDの距離y、間隙2bにおける移動方向MDの距離yおよび間隙2cにおける移動方向MDの距離yは前記距離yに相当し、それぞれ独立して前記距離yと同様の範囲内であればよい。
【0140】
図4において溜まり部1aにおける最大高さhは特に制限されるものではなく、通常は1〜100mm、好ましくは1〜50mmである。
【0141】
図4において溜まり部1b、1cにおける最大高さh、hはそれぞれ、直後の間隙2b、2cの面間距離x、xより大きい値であり、通常はそれぞれ独立して、図1における最大高さh、hと同様の範囲内である。
【0142】
本明細書中、溜まり部の最大高さは、略円柱体形状の装置の場合、装置の軸を通る断面における直径方向の最大高さを意味するものとする。
【0143】
図4において間隙2aの断面積S2aとその直前の溜まり部1aの最大断面積S1aとの比率S1a/S2aは1.2以上、特に1.2〜10であり、より均一な混合・分散、装置の小型化、およびベントアップの防止の観点からは1.2〜7が好ましく、より好ましくは1.2〜5である。
【0144】
図4において間隙2bの断面積S2bとその直前の溜まり部1bの最大断面積S1bとの比率S1b/S2bおよび間隙2cの断面積S2cとその直前の溜まり部1cの最大断面積S1cとの比率S1c/S2cはそれぞれ独立して、図1における比率S1a/S2aおよび比率S1b/S2bと同様の範囲内である。
【0145】
図4において溜まり部1aにおける移動方向MDの距離m、溜まり部1bにおける移動方向MDの距離mおよび溜まり部1cにおける移動方向MDの距離mはそれぞれ独立して、図1における距離mおよび距離mと同様の範囲内である。
【0146】
図1〜図4に記載の装置は、通常、樹脂の混練装置および押出装置の分野で従来から吐出口に取り付けて使用されるダイの製造に使用される材料から製造される。
【0147】
間隙通過処理後は、間隙通過処理された高分子混合物を急冷する。間隙通過処理によって達成された各種成分の十分に均一な混合・分散形態が急冷によって、有効に維持される。
【0148】
急冷は、間隙通過処理によって得られた溶融状態の高分子組成物をそのまま0〜60℃の水に浸漬することによって達成できる。−40℃〜60℃の気体で冷却するか、−40℃〜60℃の金属に接触させることによって、急冷を達成してもよい。急冷は必ずしも行わなければならないというわけではなく、例えば放置冷却するだけでも、各種成分の十分に均一な混合・分散形態は維持できる。
【0149】
冷却された高分子組成物は、次工程での処理を容易にするために、通常、粉砕によってペレタイズされる。
【0150】
本実施形態においては、高分子混合物を間隙通過処理する直前に行われる溶融・混練処理のさらに前に、高分子混合物を構成する全成分を予め混合処理してもよい。例えば、全成分を予め混合処理した後で、間隙通過処理直前の溶融・混練処理を行い、さらにその後で間隙通過処理を所定回数で行う。そのような混合処理の後、溶融・混練処理の直前においては、ポリエステル樹脂の加水分解反応及びポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のエステル交換反応を抑制させる観点から、高分子混合物を十分に乾燥させることが好ましい。
【0151】
混合方法としては、所定の成分を単に乾式で混合するドライブレンド法を採用してもよいし、または所定の成分を従来の溶融混練方法によって溶融混練、冷却および粉砕する溶融混練法を採用してもよい。溶融混練法を採用する場合、前記と同様の押出混練機が使用可能で、このとき押出混練機は吐出口に従来から公知のダイが取り付けられて使用されてよい。
【0152】
[難燃性ポリエステル樹脂組成物の用途]
以上の方法で製造された本発明の樹脂組成物は通常、冷却・粉砕されてペレットの形態を有しているので、当該ペレットを、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、射出圧縮成形法などの公知の各種成形法に適用することによって、任意の形状が付与された成形体を製造できる。特にブロー成形法においては、(A)(B)(C)(D)を組み合わせた効果として50質量%以上を占めるポリエステル樹脂単独で行った場合よりも低温度で成形でき、得られた成形体がハロゲンを含む難燃剤を用いていないにもかかわらず自己消火性を有する特徴をもつ。
【0153】
ポリエステル樹脂の加水分解反応及びポリエステル樹脂とポリカーボネート樹脂のエステル交換反応を抑制させる観点から、成形前において、樹脂組成物は十分に乾燥させることが好ましい。
【0154】
別法として、間隙通過処理された溶融状態の本発明の樹脂組成物を冷却・粉砕することなく、上記した公知の各種成形法に連続的に適用することによって、任意の形状が付与された成形体を製造することもできる。
【0155】
本発明の難燃性ポリエステル樹脂組成物は、優れた難燃性、特に自己消火性、ならびに優れた弾性率、曲げ強度および衝撃強度等の機械的性能が活かされる用途の成形材料または構成材料として有用である。そのような用途として、例えば、容器、包装用フィルム、家庭用雑貨、事務機器、AV機器、電気・電子部品、自動車部品などが挙げられる。
【実施例】
【0156】
以下、本発明を実施例及び比較例を用いて説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例によりその範囲が限定されるものではないことはいうまでもない。
【0157】
先ず、以下の実施例及び比較例で用いた原材料及び混練装置について説明する。
【0158】
ブロー成形には、ダイレクトブロー成形、インジェクションブロー、2軸延伸ブロー成形とあり、いずれの成形法においてもIPA(イソフタル酸)共重合PETが添加されていなくともPETの球晶が大きく成長することなく、靱性の高い成形体が得られる。
【0159】
本発明の材料はいずれにも好適に用いることができるが、一度試験管状の射出成形体を作製してから、再加熱後ブロー成形を行う2軸延伸ブロー成形では、再加熱の際に、PETの球晶が成長しやすく、そのためブロー成形できなくなるか、あるいは得られた成形体の靱性が脆くなる問題があるので、2軸延伸ブロー成形で用いることが特に好適である。
【0160】
以下実施例では、株式会社フロンティアのFMB−1小型延伸ブロー成形機を用いた。
(A)成分
PET:固有粘度0.78dl/gのポリエチレンテレフタレート樹脂ペレット。前記同様のDSC法による融点は267℃で、ガラス転移温度は73℃であった。
R−PET:(回収ポリエチレンテレフタレート);
固有粘度0.68dl/gの使用済みの廃棄PETボトルの大きさ2〜8mmのフレーク状粉砕品(洗浄品)。なお、このPETフレークの昇温速度20℃/分におけるDSC法(セイコーインスツル社製DSC7000使用)による結晶融解ピークの終点の温度(融点)は263℃であった。また、同DSC法によるガラス転移温度は69℃であった。
(B)成分
PC1:回収ポリカーボネート
廃棄コンパクトディスクより反射層、記録層等を剥離後、大きさ1〜5mmのフレーク状に粉砕したもの(基板のPCは三菱エンジニアリングプラスチック(株)製ユーピロンH4000、分子量約15,000)。前記同様のDSC法によるガラス転移温度は148℃であった。
PC2:
タフロンA2500(出光石油化学(株)製、分子量約23,500)。前記同様のDSC法によるガラス転移温度は168℃であった。
(C成分)
PAAV:
ポリ酢酸ビニル、Tg30℃
COM1:
ポリエチレン(日本ポリエチレン、ハーモレックス、Tg;−125℃)とエチレン−アクリル酸コポリマー(日本ポリエチレン、REXPERL EMA ET440H Tg;−120℃)とEPDMの1:1:3の混合物
COM2:
エチレン−アクリル酸メチルのコポリマー(日本ポリエチレン、REXPERL EMA EB330H Tg:−120℃)とEPDMの1:4の混合物
COM3:
ブタジエン−スチレン共重合体ゴム(JSRドライSBR;JSR社製)。ジエン含有量26質量%。数平均分子量5×10。Tgは−35であった。このゴムとポリプロピレン(東洋紡績バイレンTg0℃)の4:1混合物
COM4:
グリシジルメタクリレートとポリエチレンとポリスチレンの共重合物(日本油脂モディパーA4100)とEPDMの1:5の混合物
EPDM:
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体ゴム(EPDM、ダウ(株)製、Nordel IP) ジエン含有量17質量%、数平均分子量10、Tg;−37℃
6N:
6ナイロン Tg48℃、東レアミランCM101T
(D成分)
TAN1:
PhとPPSの1:1混合物
TAN2:
PhとPPSの2:1混合物
PPS:
ポリフェニレンスルフィド(トレリナ;東レ社製、Tm283℃)
PI:
ポリイミド(宇部興産、ペティ330)
Ph:
フェノール樹脂(住友ベークライト、PR−12687、ノボラック型フェノール樹脂、Tm78℃、粉末)
混練装置;
混練装置は(株)神戸製鋼所製の減圧ベント付き二軸押出機KTX30を用いた。この装置のシリンダ部は温調ブロックごとにC1〜C9の9ブロックから成り、C1部に原材料供給口を、C3部及びC7部にローターとニーダーのスクリューの組み合わせを配置し、C8にベントを設置した。また、吐出口には所定のダイを取り付けて用いた。いずれのダイを用いる場合においても、以下の条件で混練装置を用いた。
【0161】
シリンダ設定温度:C1〜C2/C3〜C9/ダイ=120/220/260℃。
【0162】
スクリュー回転数:250rpm。
【0163】
ダイA1;間隙部を3ヶ所で有する図2に示すダイ。
【0164】
溜まり部1a;最大高さh=10mm、最大断面積S1a=10cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2a;面間距離x=1mm、断面積S2a=6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1b;最大高さh=10mm、最大断面積S1b=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2b;面間距離x=1mm、断面積S2b=6cm、移動方向距離y=30mm、幅方向距離z=300mm;
溜まり部1c;最大高さh=10mm、最大断面積S1c=30cm、移動方向距離m=20mm;
間隙2c;面間距離x=1mm、断面積S2c=6cm、移動方向距離y=30mm。
〈実施例/比較例〉
表1に示す成分を所定の質量分率でV型混合器を用いてドライブレンドし、真空乾燥機を用いて混合物を減圧下で100℃、4時間乾燥させた。乾燥させた混合物を二軸混練機の原材料供給口から投入し、吐出量30kg/時および樹脂圧力4MPaの条件にて溶融混練した。詳しくは二軸混練機から吐出された樹脂組成物は溶融状態で、所定のダイに流入口から流入した後、所定の間隙部を通過し、吐出口から吐出した。ダイから吐出した混練物を30℃の水に浸漬することによって急冷し、ペレタイザーによりペレット状に粉砕して、樹脂組成物を得た。
【0165】
実施例1〜13、比較例1〜9のA〜Dの組成と混合比を下記表1に示す。
【0166】
【表1】

【0167】
〈ブロー成形体の作製〉
株式会社フロンティア製プリフォーム成形用射出成形機PET4000HY、同社プリフォーム用金型を用いて、外径25mm長さ70mmの試験管状プリフォームを成形した。その後同社製超小型二軸延伸ブロー成形機FMB−1を用いて予備加熱時間2分、予備加熱温度T1、ブロー成形温度T1にてブロー成形を行った。ブロー成形用PET(株式会社ベルポリエステルプロダクツPIFG30)を用いた時のT1は90−100℃で90℃から80℃では、金型の転写性が不十分で、80℃未満では圧力が1.5MPaを超えブロー成形できないか、ブロー中に割れたりして良好な成形ができなかった。しかし、本発明の組成物を用いた場合には、Tgが35℃未満の高分子材料の効果で80℃以下でも良好な金型転写性を示し、ボトル外形50mm、ボトルの高さ130mm、ねじ蓋下部のネックまでの高さ110mmの容器を容易に成形できる。
〈特性評価〉
(1)樹脂組成物の機械物性
ブロー成形で得られた容器を手で力を加え評価する。
◎:成形体を手で5回へこませても割れない
○:成形体を手で5回へこませると白化した部分が多くなる
△:成形体を手でへこませると、2回から5回までに割れる
×:成形体を手でへこませると1回目で割れる
射出成形体
◎:1mの高さから落下しても異常なし
○:1mの高さから落下しても外観に以上は無いが、表面に擦り傷がはいる
△:1mの高さから落下するとヒビがはいる、もしくは欠ける
×:1mの高さから落下すると割れる
(2)難燃性試験
ダイをストランドダイに変更したこと以外、前記混練装置と同様の混練装置を用いた。詳しくは、ペレット状樹脂組成物を100℃で4時間乾燥させた後、当該混練装置を用いてストランド状に押し出し、冷却した。ストランドを10cmの長さに切りそろえ、その試料を45度に傾けて端部から1cmの長さの部分を固定し、ライターで着火した。以下の基準に従ってランクを付けた。
【0168】
◎;燃焼距離0.3cm未満で自己消火し、燃焼部分は0.3cm未満であった
○;燃焼距離2cm未満で自己消火し、燃焼部分は0.3cm以上2cm未満であった
△;燃焼距離5cm未満で自己消火し、燃焼部分は2cm以上5cm未満であった(実用上問題なし)
×;燃焼距離5cm未満で自己消火せず、燃焼部分は5cm以上であった(実用上問題あり)
【0169】
【表2】

【0170】
本発明内の実施例1〜13はいずれも良好な特性を有するが、本発明外の比較例1〜9は、少なくともいずれかの特性に問題があることがわかる。
【符号の説明】
【0171】
1a、1b、1c 溜まり部
2a、2b、2c 間隙
5 流入口
6 吐出口
10A、10B、10C、10D 樹脂組成物の製造装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリエステル樹脂50〜80質量%
(B)ポリカーボネート樹脂10〜40質量%
(C)Tgが35℃未満の重合体5〜30質量%
(D)残炭素率15質量%以上の芳香族樹脂0.5〜5質量%
を含有することを特徴とする難燃性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項2】
ポリエステル樹脂がポリエチレンテレフタレート(PET)又はポリエチレンナフタレート(PEN)、又はPETとPENの混合物であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項3】
ポリエステル樹脂が、廃棄されたポリエチレンテレフタレート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項4】
ポリカーボネート樹脂が、廃棄されたポリカーボネート樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項5】
Tgが35℃未満の重合体が、ゴム状重合体もしくはゴム状重合体を少なくとも1つ含む混合物、コポリマー、グラフトポリマーであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項6】
前記(A)〜(D)成分を含む高分子混合物を溶融状態で、面間距離xが5mm以下の平行な2つの面の間隙に通過させたことを特徴とする請求項5に記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の難燃性ポリエステル樹脂組成物をブロー成形したことを特徴とする容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−195654(P2011−195654A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62066(P2010−62066)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】