説明

電力供給システム及び画像形成装置

【課題】連係して動作する複数の装置に対する電力の供給を好適に行う。
【解決手段】この電力供給システムは、連係して動作する装置100、200に対して電力を供給する装置100には、装置200への電力の供給を要求する磁場を形成するコイル106が設けられている。装置200には、コイル106が形成した磁場を受けてオンになるリードリレー202が設けられている。更に、装置100、200が連係して動作可能な位置関係にあることを検出するために、装置100側にスイッチ押下部材107が、装置200側にスイッチ204がそれぞれ設けられている。リードリレー202が磁場を受けてオンになったときに、スイッチ押下部材107によりスイッチ204がオンとされて上記位置関係にあることが検出された場合にのみ、装置200に電源C2からの電力が供給される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連係して動作する複数の装置に電力を供給する電力供給システム、及び、装置本体と後処理装置とを備える画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連係して動作する複数の装置としては、たとえば、装置本体と後処理装置とを備える画像形成装置がある(たとえば特許文献1を参照)。装置本体は、プリンタ、複写機、ファクシミリ等のように、所定の記録材に画像を形成して後処理装置に搬送する装置である。また、後処理装置は、装置本体から搬送された記録材にステープル処理、パンチ処理、製本処理などの後処理と呼ばれる処理を施す装置である。
【0003】
連係して動作する複数の装置には、個別に電力の供給を受けるように構成されたものや、或る装置が受けた電力を他の装置に供給するように構成されたものなどがある。たとえば画像形成装置においては、各装置の消費電力量が多いこと等の理由により、装置本体と後処理装置とが個別に電力供給を受ける構成のものが多い。
【0004】
なお、特許文献2には、磁石とリードリレーとの距離を近接/離反させることによって、電源からの電力の投入と切断とを切り替える技術が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開2006−282327号公報
【特許文献2】特開2005−160886号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献2に記載された技術を上記の複数の装置への電力供給に応用することは困難と思われる。
【0007】
すなわち、特許文献2に記載の技術は、単一の装置(同文献では調理器)に対する電力供給のタイミングを制御するものであるため、複数の装置に対する電力供給に応用するのは困難と考えられる。
【0008】
また、特許文献2に記載の技術を複数の装置への電力供給に応用できた場合においても、実用上の問題が生じるおそれがある。たとえば、磁場を発生する物体や磁場に影響を与える物体がリードリレーの周囲に存在すると、リードリレーが誤動作を起こして不要な電力の投入や切断が発生するおそれがあるが、このような事態を防止する何らかの手立てが必要である。しかし、従来の技術では、この問題を有効に防止することは困難である。
【0009】
本発明は、以上のような問題を解決するためになされたものであって、連係して動作する複数の装置に対する電力の供給を好適に実施することが可能な技術を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、装置本体と後処理装置とを備える画像形成装置に対する電力の供給を好適に実施することが可能な技術を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、連係して動作する複数の装置に対して電源からの電力を供給する電力供給システムであって、前記複数の装置のうちの一の装置に設けられ、他の装置への電力の供給を要求する電力供給要求を発信する発信手段と、前記他の装置に設けられ、前記発信手段により発信された前記電力供給要求を非接触で受け付ける受付手段と、前記複数の装置が連係して動作可能な所定の位置関係にあることを検出する検出手段と、を備え、前記受付手段が前記電力供給要求を受け付けたときに、前記検出手段により前記所定の位置関係にあることが検出された場合にのみ、前記他の装置に前記電源からの電力を供給する、ことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電力供給システムであって、前記発信手段は、前記電力供給要求としての磁場を形成する磁場形成手段を含み、前記受付手段は、前記形成された磁場を受けて前記電源からの電力を通過させ、前記磁場が形成されていないときに前記電源からの電力を遮断するリードリレーを含む、ことを特徴とする。
【0013】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の電力供給システムであって、前記磁場形成手段は、前記電源からの電力の供給を受けて前記磁場を形成するコイルを含む、ことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の電力供給システムであって、前記一の装置は、操作手段と、前記操作手段が操作されたことに対応して、前記電源からの電力の前記コイルへの供給を開始する制御手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0015】
また、請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の電力供給システムであって、前記検出手段は、前記他の装置に設けられ、前記電源からの電力の通過と遮断とを切り替えるスイッチと、前記一の装置に設けられ、前記一の装置と前記他の装置とが前記所定の位置関係にあるときに前記スイッチを操作して前記電力を通過させるように切り替える切替部材と、を含む、ことを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の電力供給システムであって、前記切替部材及び前記スイッチは、前記一の装置と前記他の装置とが前記所定の位置関係にあるときに接触するように前記一の装置及び前記他の装置にそれぞれ配設され、前記切替部材と前記スイッチとが接触しているときに、前記スイッチは前記電力を通過させる、ことを特徴とする。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の電力供給システムであって、前記発信手段は、前記電力供給要求としての磁場を形成する磁場形成手段を含み、前記受付手段は、前記形成された磁場を受けて前記電源からの電力を通過させ、前記磁場が形成されていないときに前記電源からの電力を遮断するリードリレーを含み、前記検出手段は、前記リードリレーと直列に接続され、前記電源からの電力の通過と遮断とを切り替えるスイッチと、前記一の装置に設けられ、前記一の装置と前記他の装置とが前記所定の位置関係にあるときに前記スイッチを操作して前記電力を通過させるように切り替える切替部材と、を含む、ことを特徴とする。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の電力供給システムであって、前記複数の装置は、各々が独立の経路で前記電源から電力の供給を受ける、ことを特徴とする。
【0019】
また、請求項9に記載の発明は、記録材に画像を形成する装置本体と、前記装置本体とは別の筐体を有し、前記装置本体により画像が形成された記録材を処理する後処理装置とを備える画像形成装置であって、前記装置本体に設けられ、前記後処理装置への電力の供給を要求する電力供給要求を発信する発信手段と、前前記後処理装置に設けられ、前記発信手段により発信された前記電力供給要求を非接触で受け付ける受付手段と、前記装置本体と前記後処理装置とが連係して動作可能な所定の位置関係にあることを検出する検出手段と、を備え、前記受付手段が前記電力供給要求を受け付けたときに、前記検出手段により前記所定の位置関係にあることが検出された場合にのみ、前記後処理装置に前記電源からの電力を供給する、ことを特徴とする。
【0020】
また、請求項10に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置であって、前記発信手段は、前記電力供給要求としての磁場を形成する磁場形成手段を含み、前記受付手段は、前記形成された磁場を受けて前記電源からの電力を通過させ、前記磁場が形成されていないときに前記電源からの電力を遮断するリードリレーを含む、ことを特徴とする。
【0021】
また、請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の画像形成装置であって、前記磁場形成手段は、前記電源からの電力の供給を受けて前記磁場を形成するコイルを含む、ことを特徴とする。
【0022】
また、請求項12に記載の発明は、請求項11に記載の画像形成装置であって、前記一の装置は、操作手段と、前記操作手段が操作されたことに対応して、前記電源からの電力の前記コイルへの供給を開始する制御手段と、を備える、ことを特徴とする。
【0023】
また、請求項13に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置であって、前記検出手段は、前記後処理装置に設けられ、前記電源からの電力の通過と遮断とを切り替えるスイッチと、前記装置本体に設けられ、前記装置本体と前記後処理装置とが前記所定の位置関係にあるときに前記スイッチを操作して前記電力を通過させるように切り替える切替部材と、を含む、ことを特徴とする。
【0024】
また、請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の画像形成装置であって、前記切替部材及び前記スイッチは、前記装置本体と前記後処理装置とが前記所定の位置関係にあるときに接触するように前記装置本体及び前記後処理装置にそれぞれ配設され、前記切替部材と前記スイッチとが接触しているときに、前記スイッチは前記電力を通過させる、ことを特徴とする。
【0025】
また、請求項15に記載の発明は、請求項9に記載の画像形成装置であって、前記発信手段は、前記電力供給要求としての磁場を形成する磁場形成手段を含み、前記受付手段は、前記形成された磁場を受けて前記電源からの電力を通過させ、前記磁場が形成されていないときに前記電源からの電力を遮断するリードリレーを含み、前記検出手段は、前記リードリレーと直列に接続され、前記電源からの電力の通過と遮断とを切り替えるスイッチと、前記装置本体に設けられ、前記装置本体と前記後処理装置とが前記所定の位置関係にあるときに前記スイッチを操作して前記電力を通過させるように切り替える切替部材と、を含む、ことを特徴とする。
【0026】
また、請求項16に記載の発明は、請求項9〜請求項15のいずれか一項に記載の電力供給システムであって、前記装置本体及び前記後処理装置は、各々が独立の経路で前記電源から電力の供給を受ける、ことを特徴とする。
【0027】
また、請求項17に記載の発明は、請求項9〜請求項16のいずれか一項に記載の画像形成装置であって、複数の前記後処理装置のうちの少なくともいずれかを、前記所定の位置関係となるように選択的に前記装置本体に対して配置可能である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
本発明に係る電力供給システムは、連係して動作する複数の装置に対して電源からの電力を供給するものであり、複数の装置のうちの一の装置に設けられ、他の装置への電力の供給を要求する電力供給要求を発信する発信手段と、発信手段に対して非接触な他の装置の位置に設けられ、発信手段により発信された電力供給要求を受け付ける受付手段と、複数の装置が連係して動作可能な所定の位置関係にあることを検出する検出手段とを備えている。そして、受付手段が電力供給要求を受け付けたときに、検出手段により所定の位置関係にあることが検出された場合にのみ、他の装置に電源からの電力を供給するように作用するものである。
【0029】
したがって、本発明に係る電力供給システムによれば、複数の装置が連係動作可能な位置関係にないときには他の装置に電力が供給されないので、周囲の環境によって他の装置に電源が誤って投入されることがなく、連係して動作する複数の装置に対する電力の供給を好適に実施することが可能である。
【0030】
また、本発明に係る画像形成装置は、記録材に画像を形成する装置本体と、この装置本体とは別の筐体を有し、装置本体により画像が形成された記録材を処理する後処理装置とを備える画像形成装置であって、装置本体に設けられ、後処理装置への電力の供給を要求する電力供給要求を発信する発信手段と、発信手段に対して非接触な後処理装置の位置に設けられ、発信手段により発信された電力供給要求を受け付ける受付手段と、装置本体と後処理装置とが連係して動作可能な所定の位置関係にあることを検出する検出手段と備えている。そして、受付手段が電力供給要求を受け付けたときに、検出手段により所定の位置関係にあることが検出された場合にのみ、後処理装置に電源からの電力を供給するように作用する。
【0031】
したがって、本発明に係る画像形成装置によれば、装置本体と後処理装置とが連係動作可能な位置関係にないときには後処理装置に電力が供給されないので、周囲の環境によって後処理装置に電源が誤って投入されることがなく、連係して動作する装置本体及び後処理装置に対する電力の供給を好適に実施することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
本発明に係る電力供給システム及び画像形成装置の好適な実施の形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
[電力供給システム]
まず、図1及び図2を参照しつつ、本発明に係る電力供給システムの実施の形態を説明する。図1は、本実施形態に係る電力供給システムの全体構成を表している。図2は、この電力供給システムの動作を表している。
【0034】
〔構成〕
図1に示す電力供給システムは、連係して動作する2つの装置100、200に対して電力を供給するものである。装置100、200は、それぞれ、電源C1、C2から電力の供給を受けるものである。各電源C1、C2は、商用電源からの電力(交流電流)を供給するためのコンセント(socket、electric point、outlet)を示している。装置100は、そのプラグ101をコンセントC1に差し込むことによって商用電源から電力の供給を受ける。また、装置200は、そのプラグ201をコンセントC2に差し込むことによって商用電源から電力の供給を受ける。
【0035】
装置100には、プラグ101とともに、電源スイッチ102、接続線103、AC/DC電源104、接続線105、コイル106、スイッチ押下部材107、通信部108及びロック部材109が設けられている。この実施形態に係る電力供給システムは、プラグ101、電源スイッチ102、接続線103、AC/DC電源104、接続線105、コイル106及びスイッチ押下部材107を含んで構成される。
【0036】
電源スイッチ102は、装置100に対する電力供給のオン/オフを切り替えるためのスイッチであり、オペレータによって操作される。電源スイッチ102は、プラグ101側の接点102aと、AC/DC電源104側の接点102bと、接点102a、102bとを接続するための接続片102cとを含んで構成される。
【0037】
オペレータがスイッチ102をオンにすると、接続片102cが接点102a、102bを接続するようになっている。それにより、プラグ101から入力される電力が、接続線103を介してAC/DC電源104に印可される。
【0038】
また、オペレータがスイッチ102をオフにすると、接続片102cによる接点102a、102bの接続が解除され、AC/DC電源104への電力供給が切断される。
【0039】
AC/DC電源104は、商用電源から供給される交流電流を直流電流に変換し、この直流電流を装置100の各部に供給する。AC/DC電源104は、交流電流から複数の電圧の直流電流を生成するように構成されていてもよい。たとえば、装置100が画像形成装置の装置本体である場合、AC/DC電源104は、画像形成用の電力として24ボルトの直流電流を生成してワイヤ電極等に供給するとともに、装置制御用の電力として5ボルトの直流電流を生成してCPU(central prosessing unit)等のマイクロプロセッサなどに供給する。
【0040】
また、AC/DC電源104は、接続線105を介して直流電流をコイル106に供給する。コイル106は、AC/DC電源104からの直流電流を受けて磁場を形成する。コイル106は、装置100と装置200とを連係して動作する所定の位置関係に配置したときに装置200側に位置するように、装置100の筐体の近傍に配設されている。それにより、コイル106が形成する磁場が装置200のリードリレー202(後述)に影響を与えるようになっている。
【0041】
ここで、「所定の位置関係」とは、装置100と装置200とが連係動作するときに、装置100と装置200とが処理対象物やデータのやりとりを行えるような位置関係を少なくとも含むものとする。たとえば、装置100が画像形成装置の装置本体であり、装置200が後処理装置である場合においては、装置本体から搬出される記録材(処理対象物)が後処理装置に自動的に搬入されるような位置関係が「所定の位置関係」に相当する。また、装置本体の通信部108と後処理装置の通信部207とが通信可能であるような位置関係も「所定の位置関係」に相当する。
【0042】
コイル106は、この発明の「磁場形成手段」として機能して「発信手段」の一例を構成している。また、コイル106が形成する磁場は「電力供給要求」の一例に相当するものである。
【0043】
スイッチ押下部材107は、装置100の筐体外部に凸形状を形成するようにして配設されている。また、スイッチ押下部材107は、装置200のスイッチ204に対峙する位置に配設されている。詳細については後述するが、装置100と装置200とが連係動作可能な位置関係に配置されると、スイッチ押下部材107が装置200のスイッチ204をオンにするようになっている。
【0044】
通信部108は、図示しないCPU等のマイクロプロセッサの制御を受けて、装置200の通信部207と非接触でデータ通信を行う。通信部108は、装置200を連係動作させるためのデータを通信部207に向けて送信する。通信部108、207によるデータ通信は、たとえば光通信や赤外線通信などの任意のリモート通信(無線通信)によって行う。なお、通信部108、207によるデータ通信は、通信線を介した有線通信であってもよい。
【0045】
たとえば装置100が画像形成装置の装置本体であり、装置200が後処理装置である場合、通信部108は、後処理装置をイニシャライズするためのデータや、ステープル処理におけるステープル位置のデータや、パンチ処理におけるパンチ位置のデータや、製本処理における記録材の接着位置のデータなどを通信部207に送信する。
【0046】
ロック部材109は、装置100と装置200とを連係動作可能な位置関係に配置させて連結する部材である。ロック部材208は、装置200のロック部材208と係合することにより、装置100と装置200とを連結するように作用する。
【0047】
装置200には、プラグ201とともに、リードリレー202、接続線203、スイッチ204、接続線205、AC/DC電源206、通信部207及びロック部材208が設けられている。ここで、リードリレー202とスイッチ204は、接続線203を介して直列に接続されている。
【0048】
リードリレー202は、ガラス管等で封止された一対の磁性リード片を接点とするリードスイッチを備えるとともに、このガラス管等の周囲にコイルを巻装して形成される部材である。リードリレー202に磁場(装置100のコイル106による磁場)が印可されると、リードリレー202のコイルが磁場を形成し、この磁場によって一対の磁性リード片が接触する。それにより、プラグ201を介して供給される電流をスイッチ204側に流すように作用する。また、磁場が印可されていない状態においては、リードリレー202の一対の磁性リード片は離間している。
【0049】
このように、リードリレー202は、コイル106により形成された磁場を受けて電源C2からの電力(電流)を通過させ、磁場が形成されていないときに電源C2からの電力(電流)を遮断するように作用するものである。また、リードリレー202は、コイル106に対して非接触な装置200の位置に設けられており、コイル106により発信された磁場(電力供給要求)を受け付ける、この発明の「受付手段」の一例として機能するものである。
【0050】
スイッチ204は、プラグ201側の接点204aと、AC/DC電源206側の接点204bと、接点204a、204bとを接続するための接続片204cとを含んで構成される。
【0051】
装置100と装置200とがロック部材109、208によって連結されている状態、つまり装置100と装置200とが連係動作可能な位置関係に配置されている状態になっていると、装置100のスイッチ押下部材107がスイッチ204の接続片204cを押下するように作用し、それにより、接続片204cが接点204a、204bを接続するように作用する。それにより、プラグ201からリードリレー0202を介して入力される電力が、接続線205を介してAC/DC電源206に印可される。
【0052】
一方、装置100と装置200とがロック部材109、208によって連結されていない状態、つまり装置100と装置200とが連係動作可能な位置関係に配置されていない状態になっている場合、スイッチ204の接続片204cは、接点204a、204bを接続しない状態になっている。
【0053】
このように、スイッチ204は、電源C2からの電力(電流)の通過と遮断とを切り替える、この発明の「スイッチ」として機能するものである。また、スイッチ押下部材107は、装置100と装置200とが所定の位置関係にあるときにスイッチ204を電力(電流)を通過させるように切り替える、この発明の「切替部材」の一例として機能するものである。また、スイッチ押下部材107とスイッチ204は、装置100と装置200とが連係して動作可能な位置関係にあることを検出する、この発明の「検出手段」の一例として機能するものである。
【0054】
AC/DC電源206は、商用電源から供給される交流電流を直流電流に変換し、この直流電流を装置200の各部に供給する。AC/DC電源206は、交流電流から複数の電圧の直流電流を生成するように構成されていてもよい。たとえば、装置200が画像形成装置の後処理装置である場合、AC/DC電源206は、記録材に対してステープル処理やパンチ処理や製本処理を施すための電力として24ボルトの直流電流を生成して供給するとともに、装置制御用の電力として5ボルトの直流電流を生成してCPU等のマイクロプロセッサなどに供給する。
【0055】
通信部207は、装置100の通信部108から送信されたデータを受信する。装置200には、図示しないCPU等のマイクロプロセッサが設けられている。通信部207は、受信したデータをマイクロプロセッサに送る。マイクロプロセッサは、通信部207からのデータに基づいて、装置200の各部の制御を行う。
【0056】
たとえば装置100が画像形成装置の装置本体であり、装置200が後処理装置である場合、通信部207は、装置本体から送信されたイニシャライズ用のデータや、ステープル処理におけるステープル位置のデータや、パンチ処理におけるパンチ位置のデータや、製本処理における記録材の接着位置のデータなどをマイクロプロセッサに送る。マイクロプロセッサは、イニシャライズ用のデータに基づいて後処理装置のイニシャライズを行ったり、ステープル位置のデータに基づいて後処理装置を制御して記録材にステープルを施したり、パンチ位置のデータに基づいて後処置装置を制御して記録材にパンチ穴を形成したり、接着位置のデータに基づいて後処理装置を制御して製本処理を行ったりする。
【0057】
ロック部材208は、前述のように、装置100のロック部材109と係合して、装置100と装置200とを連係動作可能な位置関係にて連結するように機能する。
【0058】
なお、この実施形態に係る電力供給システムは、装置100側のプラグ101、電源スイッチ102、接続線103、AC/DC電源104、接続線105、コイル106及びスイッチ押下部材107と、装置200側のプラグ201、リードリレー202、接続線203及びスイッチ204とを含んで構成される。なお、ロック部材109、208を更に含んでいてもよい。
【0059】
〔動作〕
以上のような構成を有する本実施形態に係る電力供給システムの動作について、図2のフローチャートを参照しつつ説明する。なお、図2においては、装置100を「本体」と記載し、装置200を「オプション」と記載している。
【0060】
まず、オペレータが装置100のスイッチ102を操作して、装置100に対する電力供給を開始する(S1)。それにより、電源C1からの電力がAC/DC電源104に供給される(S2)。
【0061】
AC/DC電源104は、コイル106に電力を供給してコイル106を励磁する(S3)。それにより、コイル106は磁場を形成する。
【0062】
コイル106が形成した磁場が装置200のリードリレー202に影響を与えない場合(S4;N)、この電力供給システムの動作は終了となる。
【0063】
一方、コイル106が形成した磁場が装置200のリードリレー202に影響を与えると、リードリレー202がオンとなる(S4;Y)。
【0064】
更に、スイッチ204の接続片204cが接点204a、204bを接続しておらずスイッチ204がオフになっている場合、すなわち装置100と装置200とが連係動作可能な状態に配置されていない場合(S5;N)、この電力供給システムの動作は終了となる。
【0065】
一方、スイッチ204の接続片204cが接点204a、204bを接続してスイッチ204がオンになっている場合、すなわち装置100と装置200とが連係動作可能な状態に配置されている場合(S5;Y)、リードリレー202及びスイッチ204を介して電源C2からの電力がAC/DC電源206に供給されてAC/DC電源206が電源オンされる(S6)。
【0066】
装置100は、通信部108からデータ(イニシャライズ用のデータやステープル処理用のデータ等)を発信する。装置200は、このデータを通信部207により受信して処理を開始する。それにより、装置100と装置200との連係動作が開始される(S7)。以上で、この電源供給システムによる装置100、200への電力供給動作は終了となる。
【0067】
〔作用・効果〕
以上のように動作する本実施形態に係る電力供給システムの作用及び効果について説明する。
【0068】
本実施形態に係る電力供給システムは、連係して動作する装置100、200に対して電源からの電力を供給する電力供給システムであって、装置100に設けられ、装置200への電力の供給を要求する磁場(電力供給要求)を発信するコイル106(発信手段)と、コイル106に対して非接触な装置200の位置に設けられ、コイル106により発信された磁場を受け付けるリードリレー202(受付手段)と、装置100、200が連係して動作可能な位置関係にあることを検出する(スイッチ押下部材107及び)スイッチ204(検出手段)とを備えている。そして、リードリレー202がコイル106が形成する磁場を受け付けてオンになったときに、スイッチ204により上記の位置関係にあることが検出された場合にのみ、装置200に電源C2からの電力を供給するように構成されている。
【0069】
このような電力供給システムによれば、装置100と装置200とが連係動作可能な位置関係にないときには装置200に電力が供給されないので、周囲の環境(磁場)がリードリレー202に影響を与えたとしても、装置200の電源が誤って入ってしまうことがない。したがって、この電力供給システムによれば、連係して動作する2つの装置100、200に対する電力の供給を好適に実施することが可能である。
【0070】
[具体例:画像形成装置]
以下、本発明に係る電力供給システムの具体例としての画像形成装置について説明する。この画像形成装置は、本発明に係る電力供給システムを具備している。
【0071】
図3は、この画像形成装置の構成の一例を表している。なお、図1の電力供給システムと同様の構成部分には、同一の符号を付して説明することにする。なお、画像形成装置に電力を供給するための電源については図示を省略した。また、画像形成装置の各部を結ぶ接続線についても、図面が煩雑になることを避けるために、一部の図示を省略した。また、画像形成装置の通信部についても図示は省略した。
【0072】
図3に示す画像形成装置は、装置本体GHと後処理装置(フィニッシャ)FSとを含んで構成されている。装置本体GHは、所定の記録材に画像を形成する装置である。装置本体GHは、画像を形成した記録材を後処理装置FSに搬送するようになっている。後処理装置FSは、装置本体GHにより画像が形成された記録材に対して所定の後処理を施す装置である。
【0073】
装置本体GHと後処理装置FSは、それぞれ個別の筐体を有している。装置本体GHと後処理装置FSは、図3に示すように互いに近接した所定の位置関係に配置された状態で使用されるものである。
【0074】
〔装置本体〕
装置本体GHには、画像読取部1、画像処理部2、画像書込部3、画像形成部4、給紙トレイ部5、大容量給紙部6、定着処理部7、排紙部8及び自動両面コピー給紙部9がそれぞれ設けられている。一方、後処理装置FSには、後述のステープル処理やパンチ(穿孔)処理や製本処理等の後処理を実行するための構成が設けられている。
【0075】
給紙トレイ部5には、複数の給紙トレイが設けられている。これら複数の給紙トレイには、用紙サイズや種類の異なる記録紙CPがそれぞれ格納される。各給紙トレイは、図3の紙面手前側に引き出すことができる。ユーザは、所望の給紙トレイを手前に引き出した状態で記録紙CPの補充を行う。記録紙CPは、この発明の「記録材」の一例に相当する。
【0076】
大容量給紙部6は、図3の紙面右方向に引き出すことができ、ユーザは、大容量給紙部6を右方向に引き出した状態で記録紙CPの補充を行う。
【0077】
装置本体GHの上部には、自動原稿送り装置DFが搭載されている。装置本体GHの図示の左側面の排紙部8側には、後処理装置FSが連結されている。
【0078】
装置本体GHの後処理装置FS側の位置には、ロック部材109が設けられている。また、後処理装置FSの装置本体GH側の位置には、ロック部材208が設けられている。双方のロック部材109、208を係合させることにより、装置本体GHと後処理装置FSとを所定の位置関係(連係動作可能な位置関係)に配置させることができる。
【0079】
自動原稿送り装置DFの原稿台上に載置された原稿GKは図中の矢印方向に搬送されて画像読取部1に送られる。画像読取部1のCCDイメージセンサ1Aは、その原稿GKの片面又は両面の画像(原稿画像)を読み取る。
【0080】
また、自動原稿送り装置DFの下側には原稿ステージGSが設けられている。CCDイメージセンサ1Aは、原稿ステージGSに載置された原稿の下面側の画像(原稿画像)を読み取るようになっている。
【0081】
CCDイメージセンサ1Aは、読み取った原稿画像をアナログ信号に光電変換し、画像データとして出力する。
【0082】
CCDイメージセンサ1Aから出力されたアナログ信号は、図示しないCPU等のマイクロプロセッサによってアナログ処理、A/D変換、シェーディング補正、画像圧縮処理等が施され、そのデジタル信号として画像書込部3に伝送される。
【0083】
画像処理部2は、図示しないクライアントPC等から要求される印刷ジョブ(原稿画像の画像データ)を受け付けて処理する。この印刷ジョブは、所定の処理が施されて画像書込部3に送られる。
【0084】
画像書込部3は、画像読取部1が読み取った画像の画像データや、画像処理部2が受け付けた印刷ジョブの画像データなどに基づいて半導体レーザを制御し、その出力光を画像形成部4の感光体ドラムに照射して潜像を形成する。
【0085】
画像形成部4は、帯電、露光、現像、転写、分離、及びクリーニング等の処理を行って、感光体ドラム上の潜像を記録紙CPに転写する。この記録紙CPは、給紙トレイ部5あるいは大容量給紙部6から複数のローラにより搬送されて、画像形成部4に供給される。
【0086】
画像が転写された記録紙CPは、定着処理部7により定着処理が施された後に、排紙ローラ8により後処理装置FSに搬送される。
【0087】
なお、記録紙CPの両面に画像を形成する場合には、片面に画像が定着された記録紙CPは、搬送路切り替え板8Aによって自動両面コピー給紙部9に送られる。自動両面コピー給紙部9は、この記録紙CPを画像形成部4に搬送する。この記録紙CPは、画像形成部4に再び搬送され、前回とは逆側の面に画像が転写され、定着処理を経て後処理装置FSに搬送される。また、搬送路切り替え板8Aは、画像が形成された記録紙CPを自動両面コピー給紙部9への搬送路に一旦引き入れ、排紙ローラ8に向けてスイッチバックさせるように動作する。それにより、搬送される記録紙CPの向きが逆転される。
【0088】
装置本体GHには、操作パネルやハードキー等を備えた操作部OPが設けられている。操作部OPには、装置本体GHに対する電力供給のオン/オフを切り替えるための電源スイッチ102が設けられている。
【0089】
装置本体GHのAC/DC電源104は、図示しない電源から供給される交流電流を直流電流に変換し、この直流電流を装置本体GHの各部に供給する。AC/DC電源104は、画像形成用の電力として24ボルトの直流電流を生成して各部に供給するとともに、装置制御用の電力として5ボルトの直流電流を生成して図示しないマイクロプロセッサ等に供給する。
【0090】
また、AC/DC電源104は、コイル106に直流電流(たとえば上記の5ボルトの直流電流)を供給する。コイル106は、AC/DC電源104からの直流電流を受けて磁場を形成する。
【0091】
装置本体GHの後処理装置FS側の位置には、スイッチ押下部材107が設けられている。スイッチ押下部材107は、装置本体GHの筐体外部に凸形状を形成するようにして配設されている。また、スイッチ押下部材107は、後処理装置FSのスイッチ204に対峙する位置に配設されている。
【0092】
〔後処理装置〕
後処理装置FSには、穿孔手段10、シフト手段11、中間スタッカ12、ステープラ14が設けられている。また、この他に、複数の記録紙CPを接着等して製本する製本手段などの任意の後処理を実行する手段が設けられていてもよい。
【0093】
穿孔手段10は、ファイル用の孔(パンチ穴)を記録紙CPに形成するように構成されている。この穿孔手段10は、パンチ位置等に関する設定条件に従って、記録紙CPの縦辺部又は横辺部にパンチ穴を形成する。なお、この設定条件は、装置本体GHの操作部OPや、ネットワーク等を介して装置本体GHに接続されたクライアントPCなどによって設定することができる。
【0094】
シフト手段11は、順次搬送されてくる記録紙CPを、部ごとに排紙位置を変えて排紙させる処理ユニットである。排紙位置を何枚ごとにシフトさせるかは、操作部OPやクライアントPCからの設定に従う。
【0095】
ステープラ14は、中間スタッカ12に蓄積された記録紙CPの束を針で綴じる処理を実行する。1部として綴じる記録紙CPの枚数や、ステープルを施す位置(縦辺部、横辺部、角部)や、部数等の処理条件は、操作部OPやクライアントPCにて設定される。
【0096】
なお、後処理に関するデータは、図示しない通信部によって装置本体GHから送信されるようになっている。
【0097】
後処理装置FSには、更に、昇降排紙トレイ23が設けられている。この昇降排紙トレイ23は、後処理装置FSから排出された記録紙CPを蓄積するためのトレイであり、図示しない駆動機構によって上下に移動可能に構成されている。
【0098】
このような後処理装置FSが行う処理について、各処理モードごとに簡単に説明する。処理モードとしては、たとえば、記録紙CPのパンチ穴を形成するパンチモード、記録紙CPの排紙位置を部単位でシフトさせるシフトモード、記録紙CPを部単位で綴じるステープルモードなどがある。また、この他に、複数の記録紙CPを束ねて製本する製本モード等の任意の処理モードが設けられていてもよい。
【0099】
なお、これらの処理モードが設定されていない場合、画像形成装置GHにより画像が形成された記録紙CPは、搬入部A、共通搬送路B、搬送路Cを順次経由して、昇降排紙トレイ23あるいは図示しない固定排紙トレイ上に排紙される。
【0100】
ここで、共通搬送路Bは、搬入部Aからローラ30、穿孔手段10及びローラ31を経由して分岐機構39に至る経路である。また、搬送路Cは、分岐機構39からシフト手段11を経由して排紙ローラ33に至る経路である。
【0101】
なお、搬送路D、Eは、ステープラ14による処理を施す場合に、記録紙CPを中間スタッカ12に案内する経路を形成する。搬送路Dは、分岐機構39からローラ34、35、36を経由する経路である。また、搬送路Eは、ローラ36によって上方に向けて搬送された記録紙CPが下方に落下してストッパEAに保持されるまでの経路である。
【0102】
さて、パンチモードが設定されている場合、後処理装置FSは、搬入部Aより搬入された記録紙CPに対して穿孔手段10によりパンチ穴を形成する。このとき、穿孔手段10は、搬入されてきた記録紙CPのたとえば進行方向後側にパンチ穴を形成するようになっている。後処理装置FSは、パンチ穴が形成された記録紙CPを、搬送路C経由で昇降排紙トレイ23に排紙する。なお、パンチモードとともにステープルモードが設定されている場合には、その記録紙CPを搬送路D、E経由で搬送してステープル処理を施してから昇降排紙トレイ23に排紙する。
【0103】
シフトモードが設定されている場合、後処理装置FSは、搬入部Aより搬入された記録紙CPを共通搬送路B経由で搬送路Cに送り、シフト手段11によってシフト処理した後に、昇降排紙トレイ23に排紙する。
【0104】
ステープルモードが設定されている場合、搬入部Aより搬入された記録紙CPを共通搬送路B経由で搬送路D、搬送路Eに送る。それにより、記録紙CPは、ストッパEAによりその下端が揃えられた状態で中間スタッカ12に保持されて、設定部数だけ集積される。ステープラ14は、集積された記録紙CPの束に対してステープル処理を行う。ステープル処理が完了すると、ストッパEAを上方に移動させて記録紙CPの束を押し上げ、排紙ローラ33により昇降排紙トレイ23に排紙する。
【0105】
リードリレー202は、本体装置GHのコイル106による磁場が印可されたことに対応して、図示しない電源から供給される電流をスイッチ204に流すように作用する。また、磁場が印可されていない状態においては、リードリレー202は、図示しない電源からの電流を遮断するように作用する。の一対の磁性リード片は離間している。
【0106】
装置本体GHと後処理装置FSが連係動作可能な位置関係に配置されている状態、つまりロック部材109、208により装置本体GHと後処理装置FSとが連結されている状態においては、装置本体GHのスイッチ押下部材107が、後処理装置FSのスイッチ204を押下するようになっている。また、装置本体GHと後処理装置FSとが当該位置関係になっていない状態においては、スイッチ押下部材107とスイッチ204とが離間し、スイッチ204は押下されない。このようにして、スイッチ204は、図示しない電源からの電力(電流)の通過と遮断とを切り替えるようになっている。
【0107】
AC/DC電源206は、図示しない電源から供給される交流電流を直流電流に変換し、この直流電流を後処理装置FSの各部に供給する。AC/DC電源206は、装置本体GHから搬送された記録紙CPに対してステープル処理やパンチ処理や製本処理を施すための電力として24ボルトの直流電流を生成して供給するとともに、装置制御用の電力として5ボルトの直流電流を生成してマイクロプロセッサ等に供給する。
【0108】
〔作用・効果〕
以上のような構成を有する本実施形態に係る画像形成装置の作用及び効果について説明する。
【0109】
本実施形態に係る画像形成装置は、記録材に画像を形成する装置本体GHと、この装置本体GHとは別の筐体を有し、装置本体GHにより画像が形成された記録材を処理する後処理装置FSとを備えている。装置本体GHには、後処理装置FSへの電力の供給を要求する磁場(電力供給要求)を発信するコイル106(発信手段)が設けられている。また、後処理装置FSには、コイル106に対して非接触な位置に設けられ、コイル106により発信された磁場を受け付けるリードリレー202(受付手段)が設けられている。更に、この画像形成装置には、装置本体GHと後処理装置FSとが連係して動作可能な位置関係にあることを検出するための検出手段として、装置本体GH側にスイッチ押下部材107が設けられ、後処理装置FS側にスイッチ204が設けられている。そして、リードリレー202がコイル106が形成する磁場を受け付けてオンになったときに、スイッチ204により上記位置関係にあることが検出された場合にのみ、後処理装置FSに図示しない電源からの電力を供給するように構成されている。
【0110】
このような画像形成装置によれば、装置本体GHと後処理装置FSとが連係動作可能な位置関係にないときには後処理装置FSに電力が供給されないので、周囲の環境(磁場)がリードリレー202に影響を与えたとしても、後処理装置FSの電源が誤って入ってしまうことがない。したがって、この画像形成装置によれば、連係して動作する装置本体GHと後処理装置FSに対する電力の供給を好適に実施することが可能である。
【0111】
ところで、画像形成装置の使用現場として、クライアントの要求に応じた少部数印刷(POD(print on demand)などと呼ばれる)が普及している。PODにおいては、ステープル、パンチ、製本方法など、クライアントからの要求の種類が多岐にわたっている。そのため、各種の後処理装置を用意しておき、要求に応じた後処理装置をその都度装置本体に連結して処理を行うようになっている。
【0112】
このような現場においては、本体装置に対する後処理装置の付け替えを頻繁に行うために、本体装置と後処理装置とが適正に連結されていない状態(連係動作可能な位置関係にない状態)で後処理装置の電源がオンされるなどの誤動作が発生するおそれが高くなってしまう。
【0113】
このような現場に本実施形態に係る画像形成装置を適用すると、装置本体と後処理装置とが所定の位置関係にならないと後処理装置を電源オンすることができないという特徴により、上記の問題点を解消することが可能である。
【0114】
また、画像形成装置の装置本体や後処理装置は、比較的サイズが大きく、重量も重く、更には配線も煩雑であるといった事情から、ユーザへの負担が大きかった。そこで、前述したように、リモート通信可能な通信部を装置本体と各後処理装置にそれぞれ設けることにより、後処理装置を本体に連結する作業が容易になる。特に、データ通信のための配線を行う必要がなくなるために、後処理装置の付け替え作業時のユーザへの負担を軽減することができる。
【0115】
このようにリモート通信によって装置本体と後処理装置との間のデータ通信を行う場合に、コイルとリードリレー等を用いて電源投入動作を同期させる構成を適用すると、前述のような誤動作が発生する可能性が高まるが、スイッチとスイッチ押下部材等により位置関係の適否を検出する機能を備えることによって、同期した電源投入動作を適正に行うことが可能になる。
【0116】
なお、以上のような事情は、画像形成装置に限定されるものではなく、装置の付け替え作業を頻繁に行うような現場にて使用される任意の装置にも当てはまる。したがって、そのような現場にて使用される装置に対しても、本発明に係る構成は有効に作用する。
【0117】
[変形例]
以上において説明した構成は、この発明に係る電力供給システムや画像形成装置を好適に実施するための具体例の一例に過ぎない。したがって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
【0118】
上記の実施形態では、装置100や装置本体GHへの電源投入に同期して装置200や後処理装置FSの電源を投入するようになっているが、装置200や後処理装置FSに対して電源を投入するタイミングはこれに限定されるものではない。
【0119】
図4は、装置200に他のタイミングで電源を投入するように構成された電力供給システムを示している。図4に示す電力供給システムは、図1に示した電力供給システムに加えて、装置100に操作部110と制御部111とを備えている。
【0120】
操作部110は、オペレータによって操作される操作パネルやハードキー等の操作デバイスである。オペレータは、操作部110を操作することにより、装置200に対する電力供給の開始を指示することができる。この指示は、電力供給開始を直接に指示するものであってもよいし、装置200に対する処理要求などの間接的な指示であってもよい。制御部111は、CPU等のマイクロプロセッサやメモリ等の記憶装置などを含む演算制御装置である。
【0121】
操作部110によって装置200への電力供給開始が指示されると、当該指示が制御部111に入力される。制御部111は、当該指示を受けたことに対応し、AC/DC電源206を制御して、コイル106に電力を供給させる。それにより、コイル106は磁場を形成する。リードリレー202は、コイル106が形成した磁場を受けてオンとなる。スイッチ204もオンになっている場合、AC/DC電源206に電力が供給されて装置200の電源がオンになる。
【0122】
このような変形例によれば、上記の実施形態と同様の作用効果に加えて、装置200の電源を所望のタイミングでオンにすることができるという利点がある。更に、この変形例によれば、装置200を使用するときに電力供給が開始されるので、装置200の消費電力(待機電力等)を低減させることができるという利点もある。
【0123】
上記の実施形態では、連係して動作する2つの装置に対して電力の供給する場合について説明したが、連係して動作する3つ以上の装置に対して電力供給を行う場合についても同様の構成を適用することが可能である。
【0124】
たとえば、一つの装置(装置本体)に対して複数の装置(オプション)をそれぞれ連結する場合、各オプションにリードリレー202及びスイッチ204を設けるとともに、各オプションのリードリレー202に対応する位置にコイル106を設け、スイッチ204に対応する位置にスイッチ押下部材107を設ける。このような構成とすることにより、複数のオプションを装置本体に連結する場合であっても、各オプションの誤動作を防止することが可能になる。このケースは、たとえば、画像形成装置の装置本体に、後処理装置と大容量給紙装置とを連結して使用する場合に相当する。
【0125】
また、連係して動作する複数の装置を直列に配置させることも可能である。このケースとしては、たとえば、画像形成装置の装置本体に、パンチ処理専用の後処理装置(第1のオプション)を連結し、この第1のオプションの下流側に製本処理専用の後処理装置(第2のオプション)を連結する場合などがある。この場合、装置本体と第1のオプションとの連結位置に、コイル106及びリードリレー202と、スイッチ押下部材107及びスイッチ204とを設けるとともに、第1のオプションと第2のオプションとの連結位置にコイル106及びリードリレー202と、スイッチ押下部材107及びスイッチ204とを設ける。このように構成することにより、装置本体の起動や指示にしたがって第1、第2のオプションを電源オンすることができる。
【0126】
上記の実施形態では、電力会社が提供する商用電源から電力を供給するようになっているが、自家発電した電力を供給するようにしてもよい。また、上記の実施形態では、交流電流からなる電力を供給するようになっているが、直流電流からなる電力を供給するようにしてもよい。
【0127】
上記の実施形態にて説明した発信手段、受付手段、検出手段、磁場形成手段、リードリレー、操作手段、制御手段、スイッチ、切替部材は、それぞれ、本発明における各手段や各部材の一具体例である。本発明においては、これらと同様に機能する任意の手段や部材を適宜に用いることが可能である。
【0128】
たとえば、検出手段として、対向配置された鏡に向かって赤外線発信器から赤外線を発信して鏡による反射光を検出するとともに、発信から検出までの経過時間によって位置関係の適否を検出するように構成することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【図1】この発明に係る電力供給システムの好適な実施の形態の全体構成の一例を表す概略図である。
【図2】この発明に係る電力供給システムの好適な実施の形態の動作の一例を表すフローチャートである。
【図3】この発明に係る画像形成装置の好適な実施の形態の全体構成の一例を表す概略図である。
【図4】この発明に係る電力供給システムの好適な実施の形態の変形例の全体構成の一例を表す概略図である。
【符号の説明】
【0130】
100、200 装置
101、201 プラグ
102 電源スイッチ
103、105、203、205 接続線
104、206 AC/DC電源
106 コイル
107 スイッチ押下部材
108、207 通信部
109、208 ロック部材
202 リードリレー
204 スイッチ
GH 装置本体
FS 後処理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連係して動作する複数の装置に対して電源からの電力を供給する電力供給システムであって、
前記複数の装置のうちの一の装置に設けられ、他の装置への電力の供給を要求する電力供給要求を発信する発信手段と、
前記他の装置に設けられ、前記発信手段により発信された前記電力供給要求を非接触で受け付ける受付手段と、
前記複数の装置が連係して動作可能な所定の位置関係にあることを検出する検出手段と、
を備え、
前記受付手段が前記電力供給要求を受け付けたときに、前記検出手段により前記所定の位置関係にあることが検出された場合にのみ、前記他の装置に前記電源からの電力を供給する、
ことを特徴とする電力供給システム。
【請求項2】
前記発信手段は、前記電力供給要求としての磁場を形成する磁場形成手段を含み、
前記受付手段は、前記形成された磁場を受けて前記電源からの電力を通過させ、前記磁場が形成されていないときに前記電源からの電力を遮断するリードリレーを含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項3】
前記磁場形成手段は、前記電源からの電力の供給を受けて前記磁場を形成するコイルを含む、
ことを特徴とする請求項2に記載の電力供給システム。
【請求項4】
前記一の装置は、
操作手段と、
前記操作手段が操作されたことに対応して、前記電源からの電力の前記コイルへの供給を開始する制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする請求項3に記載の電力供給システム。
【請求項5】
前記検出手段は、
前記他の装置に設けられ、前記電源からの電力の通過と遮断とを切り替えるスイッチと、
前記一の装置に設けられ、前記一の装置と前記他の装置とが前記所定の位置関係にあるときに前記スイッチを操作して前記電力を通過させるように切り替える切替部材と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項6】
前記切替部材及び前記スイッチは、前記一の装置と前記他の装置とが前記所定の位置関係にあるときに接触するように前記一の装置及び前記他の装置にそれぞれ配設され、
前記切替部材と前記スイッチとが接触しているときに、前記スイッチは前記電力を通過させる、
ことを特徴とする請求項5に記載の電力供給システム。
【請求項7】
前記発信手段は、前記電力供給要求としての磁場を形成する磁場形成手段を含み、
前記受付手段は、前記形成された磁場を受けて前記電源からの電力を通過させ、前記磁場が形成されていないときに前記電源からの電力を遮断するリードリレーを含み、
前記検出手段は、
前記リードリレーと直列に接続され、前記電源からの電力の通過と遮断とを切り替えるスイッチと、
前記一の装置に設けられ、前記一の装置と前記他の装置とが前記所定の位置関係にあるときに前記スイッチを操作して前記電力を通過させるように切り替える切替部材と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記複数の装置は、各々が独立の経路で前記電源から電力の供給を受ける、
ことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項9】
記録材に画像を形成する装置本体と、前記装置本体とは別の筐体を有し、前記装置本体により画像が形成された記録材を処理する後処理装置とを備える画像形成装置であって、
前記装置本体に設けられ、前記後処理装置への電力の供給を要求する電力供給要求を発信する発信手段と、
前前記後処理装置に設けられ、前記発信手段により発信された前記電力供給要求を非接触で受け付ける受付手段と、
前記装置本体と前記後処理装置とが連係して動作可能な所定の位置関係にあることを検出する検出手段と、
を備え、
前記受付手段が前記電力供給要求を受け付けたときに、前記検出手段により前記所定の位置関係にあることが検出された場合にのみ、前記後処理装置に前記電源からの電力を供給する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
前記発信手段は、前記電力供給要求としての磁場を形成する磁場形成手段を含み、
前記受付手段は、前記形成された磁場を受けて前記電源からの電力を通過させ、前記磁場が形成されていないときに前記電源からの電力を遮断するリードリレーを含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記磁場形成手段は、前記電源からの電力の供給を受けて前記磁場を形成するコイルを含む、
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記一の装置は、
操作手段と、
前記操作手段が操作されたことに対応して、前記電源からの電力の前記コイルへの供給を開始する制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記検出手段は、
前記後処理装置に設けられ、前記電源からの電力の通過と遮断とを切り替えるスイッチと、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体と前記後処理装置とが前記所定の位置関係にあるときに前記スイッチを操作して前記電力を通過させるように切り替える切替部材と、
を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記切替部材及び前記スイッチは、前記装置本体と前記後処理装置とが前記所定の位置関係にあるときに接触するように前記装置本体及び前記後処理装置にそれぞれ配設され、
前記切替部材と前記スイッチとが接触しているときに、前記スイッチは前記電力を通過させる、
ことを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記発信手段は、前記電力供給要求としての磁場を形成する磁場形成手段を含み、
前記受付手段は、前記形成された磁場を受けて前記電源からの電力を通過させ、前記磁場が形成されていないときに前記電源からの電力を遮断するリードリレーを含み、
前記検出手段は、
前記リードリレーと直列に接続され、前記電源からの電力の通過と遮断とを切り替えるスイッチと、
前記装置本体に設けられ、前記装置本体と前記後処理装置とが前記所定の位置関係にあるときに前記スイッチを操作して前記電力を通過させるように切り替える切替部材と、
を含む、
ことを特徴とする請求項9に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記装置本体及び前記後処理装置は、各々が独立の経路で前記電源から電力の供給を受ける、
ことを特徴とする請求項9〜請求項15のいずれか一項に記載の電力供給システム。
【請求項17】
複数の前記後処理装置のうちの少なくともいずれかを、前記所定の位置関係となるように選択的に前記装置本体に対して配置可能である、
ことを特徴とする請求項9〜請求項16のいずれか一項に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−122655(P2008−122655A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306315(P2006−306315)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】