説明

電力供給装置、管理装置、及び電力管理システム

【課題】電気機器の使用状態に基づいて、利用者に電気機器の使用法に関する報知を行う電力供給装置、管理装置、及び電力管理システムを提供する。
【解決手段】電源タップ20は、電気機器を接続可能であり、当該電気機器に電力を供給する接続口22と、接続口22に接続された電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる特徴データ、又はその両方を含む計測データを取得する取得部23と、取得部23が取得した計測データを、該計測データに基づいて報知を行う報知装置に送信する通信部24と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気機器へ電力を供給する電力供給装置、電気機器の管理装置、及び電力管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の電気機器の普及により、オフィスや家庭内などで多くの電気機器が使用されており、その消費電力の増大が問題となっている。特に、電気機器の中には電力を供給する電源配線接続口(いわゆるコンセントなどの接続口)に接続している状態では、電源スイッチがオフであっても待機状態となり、待機電力を消費する電気機器が多く存在する。そこで、電源コンセントなど電力供給側で、電気機器の不要な電力消費を抑える省電力技術が求められている。
【0003】
下記特許文献1に記載の電源タップは、電源配線接続口を備え、当該電源配線接続口に接続した電気機器に対して電力を供給する。そして、電源配線接続口に接続した電気機器と電力線通信を行い、電気機器から当該電気機器の電源管理に関する設定情報を受け取り、当該設定情報に基づいて、電源配線接続口への電力供給をオンオフする電源管理を行うものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−197755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した特許文献1の電源タップにおいては、電源管理を行うための設定情報に基づいて電気機器の電源管理を行うことができるが、電気機器の使用中に消費する電力の削減を行うことはできず、利用者が電気機器を不適切に使用した場合、消費電力が増大するという問題点があった。
【0006】
本発明は、かかる事情に鑑みて成されたものであり、電気機器の使用状態に基づいて、利用者に電気機器の使用法に関する報知を行う電力供給装置、管理装置、及び電力管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様に係る電力供給装置は、電気機器を接続可能であり、当該電気機器に電力を供給する接続口と、前記接続口に接続された前記電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる前記電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、前記電気機器の計測データを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記電気機器の計測データを、ネットワークを介して、前記計測データに基づいて報知を行う報知装置に送信する送信手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
第1の態様に係る電力供給装置によれば、取得手段は、接続口に接続された電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる当該電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、当該電気機器の計測データを取得する。そして、送信手段は当該計測データを報知装置に送信する。したがって、報知装置は、当該電気機器の動作状態を判定し、当該動作状態に応じた当該電気機器の使用法に関する報知を行うことができる。
【0009】
本発明の第2の態様に係る電力供給装置は、第1の態様に係る電力供給装置において特に、前記計測データを前記ネットワークから受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記計測データに基づいて、報知を行う報知手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
第2の態様に係る電力供給装置によれば、電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる当該電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、当該電気機器の計測データを受信手段が受信する。報知手段は、当該計測データに基づくことで、当該電気機器の使用法に関する報知を行う。したがって、接続口に接続された電気機器の動作状態を基にした当該電気機器の使用法に関する報知を行うことができる。
【0011】
本発明の第3の態様に係る管理装置は、電気機器を接続可能であり、当該電気機器に電力を供給する一又は複数の接続口を備える電力供給装置とネットワークを介して接続される前記電気機器の管理装置であって、前記接続口に接続された前記電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる前記電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、前記電気機器の計測データを、前記ネットワークを通じて前記電力供給装置から受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記計測データに基づいて、前記電気機器の使用法に関する報知データの生成を行う生成手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
第3の態様に係る管理装置によれば、受信手段は、接続口に接続された電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、当該電気機器の計測データを、電力供給装置から受信する。生成手段は、当該計測データに基づいて、当該電気機器の使用法に関する報知データの生成を行う。したがって、当該報知データに基づくことで、接続口に接続された電気機器の動作状態を基にした当該電気機器の使用法に関する報知を行うことが可能となる。
【0013】
本発明の第4の態様に係る管理装置は、第3の態様に係る管理装置において特に、前記生成手段が生成した前記報知データに基づいて、報知を行う報知手段をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
第4の態様に係る管理装置によれば、報知手段は、電力管理装置の接続口に接続された電気機器の計測データに基づいて生成された報知データを基に、報知を行う。したがって、当該電気機器の動作状態を基にした当該電気機器の使用法に関する報知を行うことが可能となる。
【0015】
本発明の第5の態様に係る管理装置は、第3又は第4の態様に係る管理装置において特に、予め登録された計測データを記憶する記憶手段をさらに備え、前記生成手段は、前記記憶手段が記憶している前記計測データと、前記受信手段が受信した前記計測データとに基づいて、前記報知データを生成することを特徴とする。
【0016】
第5の態様に係る管理装置によれば、予め登録された計測データと、受信した計測データとを比べ、受信した計測データが異常な値であった場合、当該電気機器の動作が異常であるので注意する旨の報知を行うなど、電気機器の異常を検知した報知を行うことが可能になる。
【0017】
本発明の第6の態様に係る電力供給装置は、電気機器を接続可能であり、当該電気機器に電力を供給する接続口と、前記接続口に接続された前記電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる前記電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、前記電気機器の計測データを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記計測データに基づいて、前記電気機器の使用法に関する報知データの生成を行う生成手段と、前記生成手段が生成した前記報知データに基づいて、報知を行う報知手段と、を備えることを特徴とする。
【0018】
第6の態様に係る電力供給装置によれば、生成した報知データに基づいて報知を行うことで、接続口に接続された電気機器の動作状態を基にした当該電気機器の使用法に関する報知を行うことが可能となる。
【0019】
本発明の第7の態様に係る電力供給装置は、第6の態様に係る電力供給装置において特に、予め登録された前記計測データを記憶するデータベースに対し、前記取得手段が取得した前記計測データを送信する送信処理と、前記データベースに登録された前記計測データを受信する受信処理とを行う通信手段をさらに備え、前記生成手段は、前記通信手段が受信した前記計測データと、前記取得手段が取得した前記計測データとに基づいて、前記報知データを生成することを特徴とする。
【0020】
第7の態様に係る電力供給装置によれば、予めデータベースに登録された計測データと、取得した計測データとを比べ、取得した計測データが異常な値であった場合、当該電気機器の動作が異常であるので注意する旨の報知を行うなど、電気機器の異常を検知した報知を行うことが可能になる。
【0021】
本発明の第8の態様に係る電力供給装置は、第6の態様に係る電力供給装置において特に、予め登録された前記計測データを記憶する記憶手段をさらに備え、前記生成手段は、前記記憶手段に登録された前記計測データと、前記取得手段が取得した前記計測データとに基づいて、前記報知データを生成することを特徴とする。
【0022】
第8の態様に係る電力供給装置によれば、予め登録された計測データと、取得した計測データとを比べ、取得した計測データが異常な値であった場合、当該電気機器の動作が異常であるので注意する旨の報知を行うなど、電気機器の異常を検知した報知を行うことが可能になる。
【0023】
本発明の第9の態様に係る電力管理システムは、電力供給装置と、電力管理装置と、を備え、前記電力供給装置は、電気機器を接続可能であり、当該電気機器に電力を供給する接続口と、前記接続口に接続された前記電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる前記電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、前記電気機器の計測データを取得する取得手段と、前記取得手段が取得した前記計測データを、前記電力管理装置に送信する送信手段と、を有し、前記電力管理装置は、前記送信手段が送信した前記計測データを、前記電力供給装置から受信する受信手段と、前記受信手段が受信した前記計測データに基づいて、前記電気機器の使用法に関する報知データの生成を行う生成手段と、を有することを特徴とする。
【0024】
第9の態様に係る電力管理システムによれば、生成した報知データに基づいて報知を行うことで、接続口に接続された電気機器の動作状態を基にした当該電気機器の使用法に関する報知を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電気機器の使用状態に基づいて、利用者に電気機器の使用法に関する報知を行う電力供給装置、管理装置、及び電力管理システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態に係る電力管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】電力管理システムが行う電力状態報知処理の処理手順を示したフローチャートである。
【図3】LEDによって報知を行う電源タップを模式的に示した図である。
【図4】音によって報知を行う電源タップを模式的に示した図である。
【図5】ディスプレイによって報知を行う電源タップを模式的に示した図である。
【図6】電源タップを複数備える電力管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図7】本発明の第1の変形例に係る電力管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図8】本発明の第2の変形例に係る電源タップの構成を概略的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、異なる図面において同一の符号を付した要素は、同一又は相応する要素を示すものとする。
【0028】
本発明の実施の形態に係る電力管理システム1は、電気機器に対して電力を供給し、当該供給する電力を管理するシステムである。図1は、本発明の実施の形態に係る電力管理システム1の構成を概略的に示すブロック図である(ただし、図1では、接続口22Bに電気機器30Bが接続されており、接続口22Cに電気機器30Cが接続されている状態を例示している。また電気機器30とは、電気機器30B及び電気機器30Cを含む、接続口22に接続された電気機器のことである)。電力管理システム1は、電力管理装置である管理装置10と電力供給装置である電源タップ20とを備える。さらに、管理装置10は、受信手段である通信部11、記憶手段である記憶部12、判定部13、生成手段である生成部14、及び報知手段である報知部15を有している。電源タップ20は、電力分配部21、プラグ差込口である接続口22(図1における参照符号22A〜22C)、取得手段である取得部23、送信手段である通信部24、及び報知手段である報知部25を有している。
【0029】
電力管理システム1の各構成ブロックの接続関係を説明する。通信部11の出力は、記憶部12、判定部13、及び電源タップ20の通信部24の入力に接続されている。記憶部12の出力は、判定部13の入力に接続されている。判定部13の出力は、生成部14及び記憶部12の入力に接続されている。生成部14の出力は、報知部15及び通信部11の入力に接続されている。電力分配部21の出力は、接続口22A〜22Cの入力に接続されている。接続口22A〜22Cの各出力は、取得部23の入力に接続されている。取得部23の出力は、通信部24の入力に接続されている。通信部24の出力は、報知部25及び管理装置10の通信部11の入力に接続されている。
【0030】
電力管理システム1の電源タップ20は、屋内電源配線などのプラグ差込口である電源配線接続口に接続するプラグを有している。当該プラグより供給される電力S1は、接続口22A〜22Cそれぞれに分配され、接続口22A〜22Cに接続される電気機器に対して電力が供給される。電力管理システム1はこれらの接続口22に接続される電気機器30に対して供給する電力を制御することで電力管理を行っている。
【0031】
図2は、電力管理システム1が行う電力状態報知処理の処理手順を示したフローチャートである。接続口22Bに電気機器30Bが接続されている場合(図1の状態)を例として、電気機器30Bに対する電力状態報知処理を行う際の電力管理システム1の動作の説明を、図2を用いて行う。まず、ステップSP100において、取得部23は、電力分配部21から接続口22Bに供給されている電力の電流及び位相差の少なくとも一方を計測し、電流及び位相差の少なくとも一方の時系列データ、当該時系列データから求められる特徴データ、又はその両方を含む計測データを取得する。この特徴データとは、時系列データの所定期間における最大値や最小値、又は時系列データにおける平均値や分散などの統計データやそれらを分類した符号であってよく、取得した時系列データの電力的な特徴を有し、当該電力が供給される電気機器の動作の状態を判定できるものであればよい。そして、取得部23は、取得した取得情報(計測データ)を信号S5として通信部24に向けて出力する。通信部24は、管理装置10の通信部11と通信を行い、取得情報を信号S6として送信する。信号S6により取得情報が入力された通信部11は、記憶部12及び判定部13に向けて取得情報を信号S8及び信号S7として出力する。なお、取得部23が行う計測データの取得は、常時行ってもよいし、所定の間隔で定期的に行ってもよい。
【0032】
次に、ステップSP110において、電力管理システム1は、現在接続口22Bに接続されている電気機器30Bが、利用者に対して報知すべき状態の動作を行っているか否かを判定する。具体的には、記憶部12には、取得部23が取得した過去の計測データ(例えば、過去に取得された時系列データや特徴データの平均値などを含んでもよい。つまり、計測データを統計的処理した値などの、取得部23が取得した過去の計測データから求められる値を含んでもよい)が記憶されている。記憶部12は、判定部13に対して、これらの過去に取得した計測データを入力する。判定部13は、入力された過去の計測データと取得部23が取得した現在の計測データとに基づいて、電気機器30Bが異常な動作をしているなどの、利用者に報知をすべき動作状態であるか否かを判定する。
【0033】
判定部13の行う電気機器の動作状態の判定は、例えば、過去に取得した電気機器の特徴データである供給される電流の最大値と、現在供給されている電流の値とを比較し、現在供給されている電流の値が当該最大値の1.5倍以上であれば、消費電流が過大である異常な動作をしていると判定してよい。また、例えば、過去に取得した電気機器の特徴データである供給される電流の最小値(ただし、電気機器が動作している間の電流の最小値)と、現在供給されている電流の値とを比較し、現在供給されている電流の値が当該最小値の0.5倍以下であれば、消費電流が過小である異常な動作をしていると判定してよい。なお、判定部13が行う電気機器の動作状態の判定は、例示した判定方法以外にも、取得部23が取得した現在の計測データと、過去に取得した計測データとに基づいて電気機器の動作状態を判定できるものであればよい。また、これらの動作状態の判定は、電流及び位相差の双方のデータを用いて判定を行ってもよいし、電流及び位相差のいずれか一方を用いて判定を行ってもよい。さらにまた、取得された時系列データ及び特徴データの双方を用いて判定を行ってもよいし、取得された時系列データ及び特徴データのいずれか一方を用いて判定を行ってもよい。
【0034】
現在接続口22Bに接続されている電気機器30Bが、利用者に報知をすべき動作を行っていた場合(つまりステップSP110における判定結果が「YES」である場合)、判定部13は、電気機器30Bの動作状態に関する情報を、信号S10として生成部14に向けて出力する。そして、電力管理システム1はステップSP120の動作を行う。一方、現在接続口22Bに接続されている電気機器30Bが、利用者に報知をすべき動作を行っていなかった場合(つまりステップSP110における判定結果が「NO」である場合)、判定部13は、記憶部12に向けて、電気機器30Bの動作は正常であった旨の情報を信号S9として出力する。そして、電力管理システム1はステップSP130の動作を行う。
【0035】
ステップSP110における判定結果が「YES」であり、現在接続口22Bに接続されている電気機器30Bが、利用者に報知をすべき動作を行っていた場合、ステップSP120において、生成部14は、入力された電気機器30Bの動作状態に関する情報に基づいて、電気機器30Bの動作状態の情報と使用法に関する情報とを含む報知情報(報知データ)を生成し、報知部15及び通信部11に対して信号S11として出力する。通信部11は電源タップ20の通信部24に対して報知情報を送信し、通信部24は報知部25に対して報知情報を入力する。そして、報知情報が入力された報知部15及び報知部25は、利用者に対して電気機器30Bの動作状態及び使用法に関する情報の報知を行う。
【0036】
図3は、LED(Light Emitting Diode)によって報知を行う電源タップ20を模式的に示した図である。図3における電源タップ20は、報知部25としてLED80(図3における参照符号80A〜80C)を備え、LED80Aは接続口22Aに接続された電気機器の動作に関する情報の報知を行う。LED80Bは接続口22Bに接続された電気機器の動作に関する情報の報知を行う。LED80Cは接続口22Cに接続された電気機器の動作に関する情報の報知を行う。これらのLED80が行う電気機器の動作に関する情報の報知は、例えば、LED80が点灯している場合は、対応する電気機器は正常な動作を行っており、LED80が点滅している場合は、対応する電気機器は異常な動作を行っているので当該電気機器の使用を中止するべきであるという旨の報知を行ってよい。また、LED80が点灯する際の点灯色によって電気機器の動作状態に関する報知を行ってもよい。
【0037】
図4は、音によって報知を行う電源タップ20を模式的に示した図である。図4における電源タップ20は、報知部25としてスピーカ81を備え、スピーカ81は各接続口22に接続された電気機器の動作に関する情報の報知を行う。スピーカ81が行う電気機器の動作に関する情報の報知は、例えば、接続口22Bに接続された電気機器が異常な動作を行っていると判定された場合、音声により「Bのコンセントに接続された機器が異常な動作を行っています。Bのコンセントに接続された機器の使用を中止してください」などの音声案内がされてよい。
【0038】
図5は、ディスプレイによって報知を行う電源タップ20を模式的に示した図である。図5における電源タップ20は、報知部25としてディスプレイ82を備え、ディスプレイ82は、各接続口22に接続された電気機器の動作に関する情報の報知を行う。ディスプレイ82が行う電気機器の動作に関する情報の報知は、例えば、接続口22Bに接続された電気機器が異常な動作を行っていると判定された場合、図5に示したように「Bのコンセントの機器が異常です。機器の使用を中止してください」などといった文字列による情報の表示を行ってもよいし、電気機器の状態を表す記号や図形の表示で行ってもよい。
【0039】
また、管理装置10の報知部15も、ディスプレイやスピーカなどを有し、情報の表示や音声による案内によって、電源タップ20の接続口22に接続された電気機器の動作状態及び使用法に関する報知を行ってもよい。
【0040】
図2のフローチャートを参照して、ステップSP110における判定結果が「NO」であり、現在接続口22Bに接続されている電気機器30Bが、利用者に報知をすべき動作を行っていなかった場合、ステップSP130において、記憶部12は、取得部23がステップSP100にて取得した計測データに基づいて、これまで記憶していた過去の計測データを更新する。この更新は、取得部23が取得した現在の計測データを、過去の計測データに加えて記憶するものであってもよいし、取得部23が取得した現在の計測データと過去の計測データとに基づいて求められた値を、新たな過去の計測データとして記憶するものであってもよい。なお、現在接続口22Bに接続されている電気機器30Bが、利用者に報知をすべき動作を行っていない場合に、判定部13は、電気機器30Bの動作が正常であった旨の情報を、信号S10として生成部14に向けて出力し、生成部14が生成した電気機器30Bが正常な動作を行っている旨の報知データに基づいて、報知部15及び報知部25は、利用者に対して電気機器30Bが正常な動作を行っている旨の報知を行ってもよい。
【0041】
このようにステップSP100からステップSP130の動作を接続口22それぞれで行うことで、電力管理システム1は電力状態報知処理を行う。なお、電力状態報知処理において、電気機器30が異常な動作を行っている場合を例示したが、本発明において、判定部13が判定し、報知部12及び報知部25が報知を行う電気機器の状態は、異常な動作を行っている状態に限らず、その他、取得部23が取得する接続口22に接続された電気機器の計測データから判別できる状態であればよい。例えば、判定部13において、過去に取得した電気機器の特徴データである供給される電流の最大値と、現在供給されている電流の値とを比較し、現在供給されている電流の値が当該最大値の1.2倍以上かつ1.5倍未満であれば、消費電流が通常の状態から増大していると判定を行い、生成部14によって、電気機器の消費電力が増大しているので当該電気機器の使用法を見直す旨の助言を含む報知データを生成してもよい。この場合、報知部15及び報知部25は、利用者に対して、電気機器の消費電力が増大しているので当該電気機器の使用法を見直す旨の助言の報知を行う。
【0042】
以上のように、電力管理システム1は、接続口22に接続された電気機器の計測データを取得し、記憶部12に記憶された過去の計測データと、取得部23が取得した現在の計測データとに基づくことで、現在接続口22に接続されている電気機器の動作状態を判定し、その判定結果に基づいて、当該電気機器の動作状態に応じた当該電気機器の使用法に関する報知を利用者に対して行うことが可能となる。
【0043】
なお、本実施の形態において、電源タップ20が一つの場合の電力管理システムを示したが、本発明において、電源タップ20は一つに限るものではない。図6は、電源タップ20を複数備える電力管理システム2の構成を概略的に示すブロック図である。電力管理システム2は、管理装置10、電源タップ20(図6における参照符号20A〜20C)、及びネットワーク40を備える。管理装置10は、ネットワーク40を介して電源タップ20A〜20Cに接続されている。
【0044】
電源タップ20A〜20Cがそれぞれ有する取得部23は、電源タップ20A〜20Cの接続口22にそれぞれ接続された電気機器30の計測データを取得し、それぞれの電源タップ20の各接続口22に固有の識別情報を付与した取得情報として、ネットワーク40を介して管理装置10に送信する。管理装置10は、受信した取得情報に、それぞれの電源タップ20の各接続口22に固有の識別情報が付与されているため、どの電源タップ20のどの接続口22に接続された電気機器30の情報であるかを識別することができる。記憶部12は、各電源タップ20からネットワーク40を介して送られてきた取得情報を、識別情報ごとの過去の計測データとして記憶する。そして判定部13が記憶部12に記憶されている過去の計測データと、各電源タップ20の取得部23が取得した計測データとに基づいて電気機器の動作状態の判定を行うので、管理装置10の報知部15は、それぞれの電源タップ20の接続口22に接続された電気機器の動作状態、及び当該電気機器の使用法に関する情報の報知を行うことができる。
【0045】
また、管理装置10は、ネットワーク40を介して接続した全ての電源タップ20が供給する電力の総計値から、電力管理システム2が電力管理する対象となっている電力システム全体の状態を判定し、電力システムの状態の情報及び当該電力システムの使用法に関する情報の報知を行ってもよい。
【0046】
なお、通信部11及び通信部24が行う通信は、電力線通信、無線通信、及び有線通信など、管理装置10と電源タップ20とが通信機能によって情報の送受信を行える通信であればよい。
【0047】
<第1の変形例>
本発明の第1の変形例に係る電力管理システム3は、電気機器に対して電力を供給し、当該供給する電力を管理するシステムである。図7は、本発明の第1の変形例に係る電力管理システム3の構成を概略的に示すブロック図である(ただし、図7では、接続口22Bに電気機器30Bが接続されており、接続口22Cに電気機器30Cが接続されている状態を例示している。また電気機器30とは、電気機器30B及び電気機器30Cを含む、接続口22に接続された電気機器のことである)。電力管理システム3は、電力供給装置である電源タップ60、ネットワーク41、及びデータベース50を備える。さらに、電源タップ60は、判定部13、生成手段である生成部14、電力分配部21、プラグ差込口である接続口22(図7における参照符号22A〜22C)、取得手段である取得部23、通信手段である通信部24、及び報知手段である報知部25を有している。
【0048】
次に、電力管理システム3の各構成ブロックの接続関係を説明する。電力分配部21の出力は、接続口22A〜22Cの入力に接続されている。接続口22A〜22Cの各出力は、取得部23の入力に接続されている。取得部23の出力は、通信部24及び判定部13の入力に接続されている。通信部24の出力は、判定部13及びネットワーク41を介してデータベース50の入力に接続されている。判定部13の出力は、生成部14及び通信部24の入力に接続されている。生成部14の出力は、報知部25の入力に接続されている。
【0049】
電力管理システム3の電源タップ60は、屋内電源配線などのプラグ差込口である電源配線接続口に接続するプラグを有する。当該プラグより供給される電力S1は、接続口22A〜22Cそれぞれに分配され、接続口22A〜22Cに接続される電気機器に対して電力が供給される。この接続口22から供給する電力を管理することで、電力管理システム3は電力管理を行っている。
【0050】
電力管理システム3は、図2に示したフローチャートの処理手順である電力状態報知処理を行う。この電力状態報知処理にて行われる電気機器の動作状態の判定は、本発明の実施の形態にて示した方法と同様のものである。ただし、ステップSP100において、取得部23は、取得した接続口22に接続した電気機器30に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の時系列データ、当該時系列データから求めた特徴データ、又はその両方を含む取得情報(計測データ)を、信号S5及び信号S13として通信部24及び判定部13に向けて出力する。そして通信部24は、取得情報をネットワーク41を介してデータベース50に向けて出力する。ステップSP110において、判定部13は、ネットワーク41を介して、データベース50に記憶されている過去に取得された計測データを問い合わせ、当該過去に取得された計測データと、取得部23によって取得された電気機器30の現在の計測データとに基づいて、接続口22に接続されている電気機器の動作状態の判定を行う。そして、判定部13は、当該判定結果の情報を、生成部14とネットワーク41を介してデータベース50とに向けて出力する。
【0051】
そして、ステップSP120において、生成部14は、利用者に対して電気機器の動作状態及び電気機器の使用法に関する報知を行う。ステップSP130において、データベース50は、判定部13から入力された取得情報に基づいて、記憶している過去の計測データの情報を更新する。
【0052】
したがって、第1の変形例に係る電力管理システム3を用いれば、管理装置10を用いずとも、本発明の実施の形態において示した電力管理システム1と同様の効果を得ることが可能である(ただし、管理装置10を備えていないので電力管理システム3は管理装置10による報知を行うことはできない)。なお、図7において、電力管理システム3が備える電源タップ60が一つの場合を例示したが、本発明の第1の変形例において、電源タップ60は一つに限るものではなく、ネットワーク41を介して複数の電源タップ60を備えることが可能である。
【0053】
なお、通信部11及び通信部24が行う通信は、電力線通信、無線通信、及び有線通信など、データベース50と電源タップ60とが通信機能によって情報の送受信を行える通信であればよい。
【0054】
<第2の変形例>
本発明の第2の変形例に係る電源タップ70は、電気機器に対して電力を供給し、当該供給する電力を管理する電力供給装置である。図8は、本発明の第2の変形例に係る電源タップ70の構成を概略的に示すブロック図である(ただし、図8では、接続口22Bに電気機器30Bが接続されており、接続口22Cに電気機器30Cが接続されている状態を例示している。また電気機器30とは、電気機器30B及び電気機器30Cを含む、接続口22に接続された電気機器のことである)。電源タップ70は、記憶手段である記憶装置12、判定部13、生成手段である生成部14、電力分配部21、プラグ差込口である接続口22(図8における参照符号22A〜22C)、取得手段である取得部23、及び報知手段である報知部25を備える。
【0055】
次に、電源タップ70の各構成ブロックの接続関係を説明する。電力分配部21の出力は、接続口22A〜22Cの入力に接続されている。接続口22A〜22Cの各出力は、取得部23の入力に接続されている。取得部23の出力は、記憶部12及び判定部13の入力に接続されている。記憶部12の出力は、判定部13の入力に接続されている。判定部13の出力は、生成部14及び記憶部12の入力に接続されている。生成部14の出力は、報知部25の入力に接続されている。
【0056】
電源タップ70は、屋内電源配線などのプラグ差込口である電源配線接続口に接続するプラグを有する。当該プラグより供給される電力S1は、接続口22A〜22Cそれぞれに分配され、接続口22A〜22Cに接続される電気機器に対して電力が供給される。この接続口22から供給する電力を管理することで、電源タップ70は電力管理を行っている。
【0057】
電源タップ70は、図2に示したフローチャートの処理手順である電力状態報知処理を行う。この電力状態報知処理にて行われる電気機器の動作状態の判定は、本発明の実施の形態にて示した方法と同様のものである。ただし、ステップSP100において、取得部23は、取得した接続口22に接続した電気機器30に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の時系列データ、当該時系列データから求めた特徴データ、又はその両方を含む取得情報(計測データ)を、信号S13及び信号S17として判定部13及び記憶部12に向けて出力する。ステップSP110において、判定部13は、記憶部12に記憶されている過去に取得された計測データを問い合わせ、当該過去に取得された計測データと、取得部23によって取得された電気機器30の現在の計測データとに基づいて、接続口22に接続されている電気機器の動作状態の判定を行う。そして、判定部13は、当該判定結果の情報を、生成部14と記憶部12とに向けて出力する。
【0058】
そして、ステップSP120において、生成部14は、電気機器の動作状態の判定結果に基づいて、利用者に対して電気機器の動作状態及び電気機器の使用法に関する報知を行う。ステップSP130において、記憶部12は、判定部13から入力された取得情報に基づいて、記憶している過去の計測データの情報を更新する。
【0059】
したがって、第2の変形例に係る電源タップ70を用いれば、接続口22に接続された電気機器の計測データを取得し、記憶部12に記憶された過去の計測データと、取得部23が取得した現在の計測データとに基づくことで、現在接続口22に接続されている電気機器の動作状態を判定し、その判定結果に基づいて、当該動作状態に応じた当該電気機器の使用法に関する報知を利用者に対して行うことが可能となる。
【0060】
なお、本発明の実施の形態及び本発明の変形例において、電源タップ20、電源タップ60、及び電源タップ70が有する接続口22の数が三つの場合を例示したが、本発明において、電源タップが有する接続口22の数は三つに限るものではない。
【0061】
また、今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であり制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲にとって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0062】
1、2、3 電力管理システム
10 管理装置
20、60、70 電源タップ
11、24 通信部
12 記憶部
13 判定部
14 生成部
15、25 報知部
21 電力分配部
22A〜22C 接続口
23 取得部
30 電気機器
40、41 ネットワーク
50 データベース





【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器を接続可能であり、当該電気機器に電力を供給する接続口と、
前記接続口に接続された前記電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる前記電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、前記電気機器の計測データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記電気機器の計測データを、ネットワークを介して、前記計測データに基づいて報知を行う報知装置に送信する送信手段と、
を備える、電力供給装置。
【請求項2】
前記計測データを前記ネットワークから受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記計測データに基づいて、報知を行う報知手段と、
をさらに備える、請求項1に記載の電力供給装置。
【請求項3】
電気機器を接続可能であり、当該電気機器に電力を供給する一又は複数の接続口を備える電力供給装置とネットワークを介して接続される前記電気機器の管理装置であって、
前記接続口に接続された前記電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる前記電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、前記電気機器の計測データを、前記ネットワークを通じて前記電力供給装置から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記計測データに基づいて、前記電気機器の使用法に関する報知データの生成を行う生成手段と、
を備える、管理装置。
【請求項4】
前記生成手段が生成した前記報知データに基づいて、報知を行う報知手段をさらに備える、請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
予め登録された計測データを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記記憶手段が記憶している前記計測データと、前記受信手段が受信した前記計測データとに基づいて、前記報知データを生成する、請求項3又は4に記載の管理装置。
【請求項6】
電気機器を接続可能であり、当該電気機器に電力を供給する接続口と、
前記接続口に接続された前記電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる前記電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、前記電気機器の計測データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記計測データに基づいて、前記電気機器の使用法に関する報知データの生成を行う生成手段と、
前記生成手段が生成した前記報知データに基づいて、報知を行う報知手段と、
を備える、電力供給装置。
【請求項7】
予め登録された前記計測データを記憶するデータベースに対し、前記取得手段が取得した前記計測データを送信する送信処理と、前記データベースに登録された前記計測データを受信する受信処理とを行う通信手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記通信手段が受信した前記計測データと、前記取得手段が取得した前記計測データとに基づいて、前記報知データを生成する、請求項6に記載の電力供給装置。
【請求項8】
予め登録された前記計測データを記憶する記憶手段をさらに備え、
前記生成手段は、前記記憶手段に登録された前記計測データと、前記取得手段が取得した前記計測データとに基づいて、前記報知データを生成する、請求項6に記載の電力供給装置。
【請求項9】
電力供給装置と、
電力管理装置と、
を備え、
前記電力供給装置は、
電気機器を接続可能であり、当該電気機器に電力を供給する接続口と、
前記接続口に接続された前記電気機器に供給される電力の電流及び位相差の少なくとも一方の値を含む時系列データ、当該時系列データから求められる前記電気機器の特徴データ、又はその両方を含む、前記電気機器の計測データを取得する取得手段と、
前記取得手段が取得した前記計測データを、前記電力管理装置に送信する送信手段と、
を有し、
前記電力管理装置は、
前記送信手段が送信した前記計測データを、前記電力供給装置から受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記計測データに基づいて、前記電気機器の使用法に関する報知データの生成を行う生成手段と、
を有する、電力管理システム。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−23893(P2012−23893A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160676(P2010−160676)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】