電力変換装置
【課題】太陽光電圧を昇圧した後、交流変換して負荷あるいは系統に交流電力を供給する電力変換装置において、損失が低減された変換効率の高い装置構成を実現する。
【解決手段】第1〜第3のコンデンサ3〜5の各直流電力を入力とする単相インバータ6〜8の交流側を直列接続して各発生電圧の総和により出力電圧を制御し、最大電圧の第1のコンデンサ3の電圧は、太陽光電圧から降圧コンバータ17および昇圧チョッパ11を介して所望電圧に生成し、バイパス回路12、18、28を設けて、降圧コンバータ17、昇圧チョッパ11の双方あるいは一方を必要に応じてバイパスする。第2、第3のコンデンサ4、5の電圧が所定電圧以上に上昇すると、第1のコンデンサ6の電圧を低減させる制御を行い、第2、第3のコンデンサ4、5の単相インバータ2、3を介した放電量を増加させる。
【解決手段】第1〜第3のコンデンサ3〜5の各直流電力を入力とする単相インバータ6〜8の交流側を直列接続して各発生電圧の総和により出力電圧を制御し、最大電圧の第1のコンデンサ3の電圧は、太陽光電圧から降圧コンバータ17および昇圧チョッパ11を介して所望電圧に生成し、バイパス回路12、18、28を設けて、降圧コンバータ17、昇圧チョッパ11の双方あるいは一方を必要に応じてバイパスする。第2、第3のコンデンサ4、5の電圧が所定電圧以上に上昇すると、第1のコンデンサ6の電圧を低減させる制御を行い、第2、第3のコンデンサ4、5の単相インバータ2、3を介した放電量を増加させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に関し、特に分散電源を系統に連系するパワーコンディショナ等に用いる電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパワーコンディショナでは、例えばソーラパワーコンディショナに示されるように、太陽電池である分散電源からチョッパを用いて昇圧し、その後段にPWM制御のインバータを挿入して、出力の交流電圧を発生している。
このような従来のパワーコンディショナの基本的な動作を以下に示す。太陽電池から出力される直流電力は、パワーコンディショナの内部制御電源を駆動し内部回路が動作可能になる。チョッパ回路を用い、太陽電池の電圧を、系統へ連系するのに必要となる電圧まで昇圧する。インバータ部は4つのスイッチから構成され、系統電圧に同期した位相の出力電流となるようPWMスイッチングを行う。このように出力に短冊状の波形を出力し、出力する時間比率を変えることによって出力の平均電圧をコントロールし、出力された電圧は出力側に設けられた平滑フィルタによって平均化し、系統へは交流電力が出力される(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「ソーラーパワーコンディショナ形KP40Fの開発」OMRON TECHNICS Vol.42 No.2(通巻142号)2002年、
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光電圧を系統に連系させる従来のパワーコンディショナでは、インバータの出力電圧の最大値は、チョッパによる昇圧電圧の大きさによって決まる。このため、例えば200Vの交流電圧を出力する場合には、昇圧された直流電圧は282V以上が必要であり、通常は余裕を見てさらに高く設定されている。太陽光電圧の出力電圧は、通常200V程度、あるいはそれ以下であり、上述したように282V以上に昇圧する必要がある。昇圧率が高くなるとチョッパ部のスイッチング素子やダイオードの損失が大きくなる。また、インバータの入出力電圧が大きいとインバータを構成する素子の耐圧も大きくする必要があり、各素子の損失が大きくなる。このように、パワーコンデショナ全体の効率が低下してしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解消するために成されたものであって、太陽光などの直流電源からの電力を交流に変換して系統や負荷に出力する電力変換装置において、各部の損失を低減して変換効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による電力変換装置は、直流電源の直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続し、上記複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力電圧を制御する。そして、第2の直流電源と、該第2の直流電源の電圧を降圧する降圧回路とを備え、上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、上記第2の直流電源から上記降圧回路を介して生成され、上記第1のインバータ以外の他の単相インバータの直流電源電圧を検出し、該直流電源電圧が所定電圧を超えると、上記第2の直流電源から生成する上記第1のインバータの直流電源電圧を低減させる制御を行って、上記他の単相インバータを介した上記直流電源からの放電量を増加させるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明による電力変換装置は、複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力するため、各単相インバータは全体の出力電圧よりも低い電圧を出力すれば良く、各単相インバータを構成する各素子の耐圧を低減できる。また、電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、上記第2の直流電源から上記降圧回路を介して生成されるため、第2の直流電源の電圧上昇がある場合にも、第1のインバータ内の各素子の破壊が防止でき電力変換装置の安定して運転できる。このため、各単相インバータを構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高い電力変換装置が得られる。
また、第1のインバータ以外の他の単相インバータの直流電源電圧が所定電圧を超えると、上記第2の直流電源から生成する上記第1のインバータの直流電源電圧を低減させる制御を行って、上記他の単相インバータを介した上記直流電源からの放電量を増加させるため、上記直流電源の上昇を抑制できて損失の増大を抑制すると共に、電力変換装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態2によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるパワーコンディショナの構成および動作を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態3によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図10】この発明の実施の形態4によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図11】この発明の実施の形態5によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図12】この発明の実施の形態6によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図13】この発明の実施の形態7によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図14】この発明の実施の形態8によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図15】この発明の実施の形態9によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図16】この発明の実施の形態10によるパワーコンディショナの動作を説明する電圧波形図である。
【図17】この発明の実施の形態11によるパワーコンディショナの動作を説明する電圧波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による電力変換装置(以下、パワーコンディショナと称す)を図について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。図1に示すように、複数(この場合3個)の単相インバータ6〜8の交流側を直列に接続してインバータユニットを構成する。各単相インバータ6〜8は、ダイオードを逆並列に接続した複数個のIGBT等の自己消弧型半導体スイッチング素子で構成され、直流電源となる第1のコンデンサ3を入力とする第1のインバータ6の交流側両端子の一方に第2のインバータ7が、他方に第3のインバータ8が接続される。また、第1のインバータ6の交流側両端子間を短絡させる短絡用スイッチ9としてダイオードを逆並列に接続した2個のIGBT等の自己消弧型半導体スイッチング素子が互いに逆極性に直列接続され、この短絡用スイッチ9は第1のインバータ6に並列に接続される。
【0010】
また、第2の直流電源としての太陽光による直流電源1の後段に、入力コンデンサ2を介して、降圧回路としての降圧コンバータ17と昇圧回路としての昇圧チョッパ11とが直列接続される。第1のインバータ6の入力となる第1のコンデンサ3は、直流電源1から降圧コンバータ17と昇圧チョッパ11とを介して充電される。降圧コンバータ17は、降圧用スイッチ素子23とリアクトル27と、両素子23、27の接続点にカソードが接続された降圧用ダイオード24とで構成される。昇圧チョッパ11は、降圧コンバータ17に兼用して用いられるリアクトル27と整流用素子としての昇圧用ダイオード25と、両素子27、25の接続点に接続された昇圧用スイッチ素子26とで構成される。
【0011】
また、降圧コンバータ17と昇圧チョッパ11とを直列接続した回路をバイパスするバイパス回路12(第3のバイパス回路)が接続される。このバイパス回路12は、バイパスリレー21と、バイパスリレー21に並列接続されバイパスリレー21を遮断するための遮断回路を構成する第1、第2のバイパススイッチ素子19、20とで構成される。第1のバイパススイッチ素子19と第2のバイパススイッチ素子20とは、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチで互いに逆極性に直列接続される。
さらに、降圧コンバータ17をバイパスする第1のバイパス回路18が接続される。この第1のバイパス回路18は、降圧用スイッチ素子23をバイパスするように接続された第1のバイパスリレー22で構成される。
【0012】
第1のインバータ6の入力となる第1のコンデンサ3の電圧V1は、他の第2、第3のインバータ7、8の入力となる直流電源としての第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3よりも大きく、V2、V3は、例えば所定の電圧になるようにDC/DCコンバータ10にて制御される。ここでは、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧が等しいものとする。
これらのインバータ6〜8は出力として正負およびゼロの電圧を発生することができ、インバータユニット6〜8は、これらの発生電圧を組み合わせた総和としての電圧を出力する。この出力電圧はリアクトル13、14およびコンデンサ15から成る平滑フィルタにより平滑され、交流電圧Voutを系統(負荷)16に供給する。なお、系統16は柱状トランスにて中点を接地しているものとする。
【0013】
第2のインバータ7の出力と第3のインバータ8の出力とは等しく、各インバータ7、8は、目標の出力電圧と第1のインバータ6の出力電圧との差分を補うようにPWM制御により出力される。
また、第1のインバータ6の出力電圧が0である期間では、第1のインバータ6の交流側両端子間を短絡させる短絡用スイッチ9をオンして導通状態にすると共に、第1のインバータ6内の全ての半導体スイッチをオフ状態にする。これにより第1のコンデンサ3と系統16(交流出力用電力線)とは遮断されて、第1のコンデンサ3の中間点電位はアース電位を保持することができ、第1のコンデンサ3の正極、負極側はそれぞれアース電位から一定の直流電位を維持できる。太陽光を発生させる太陽光パネル(直流電源1)はアースに対して大きな浮遊容量を有するが、直流電源1から生成した第1のコンデンサ3の中間点電位をアース電位に固定できるため、直流電源1の電位変動が抑制でき浮遊容量に流れる電流も抑制できる。
【0014】
ところで、200Vの交流出力に必要な最大出力電圧は約282Vであり、インバータユニット6〜8の出力電圧は、最大でV1+V2+V3まで出力できる。このためV1+V2+V3が約282V以上であれば、パワーコンディショナは200Vの交流出力が可能になる。
直流電源1の定格電圧を240Vとすると、定格電圧時には従来のように昇圧する必要はなく、第1のコンデンサ3の電圧V1を生成できる。また、第1のインバータ6は、定格電圧240Vに適した、即ち耐電圧の低減された半導体素子で構成することができる。第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3はV1よりも低く、このため、各インバータ6〜8も耐電圧の低い素子で構成でき、損失の低減された効率の良いインバータユニット6〜8となる。
【0015】
第1のコンデンサ3への充電動作について以下に説明する。
太陽光による直流電源1の場合、無負荷運転時には直流電源1の電圧が定格電圧より高くなる場合がある。例えば、定格電圧240Vの直流電源電圧が、システム起動時の無負荷の場合、350V程度の出力電圧になることがある。このように直流電源1の電圧が運転中に定格電圧を上回った場合は、降圧コンバータ17にて降圧して第1のコンデンサ3の電圧V1を生成する。また、直流電源1が定格電圧を下回り、さらに所定の電圧、例えば200V以下になると、昇圧チョッパ11にて昇圧して第1のコンデンサ3の電圧V1を生成する。
【0016】
まず、直流電源1が発生する電圧が定格電圧を含む所定の範囲(例えば200V〜定格電圧)である場合、図2に示すように、バイパス回路12のバイパスリレー21を導通させることで、電流は定格電流経路30を流れる。
次に、直流電源1の電圧が上記所定の範囲を外れ、降圧コンバータ17や昇圧チョッパ11を動作させる必要が発生した場合、バイパス回路12を遮断する。この時、まず、図3に示すように第1のバイパススイッチ素子19と第2のバイパススイッチ素子20を導通させ、転流電流経路31を生成する。次いでバイパスリレー21を切ることにより、バイパスリレー21を流れていた電流は第1、第2のバイパススイッチ素子19、20を流れ、バイパスリレー21を高速に遮断できる。そして、第1、第2のバイパススイッチ素子19、20をオフすることにより、バイパス回路12は信頼性よく確実に遮断でき、電流は降圧コンバータ17や昇圧チョッパ11へ流れる。
【0017】
直流電源1の電圧が所定の電圧(例えば200V)以下になり、昇圧が必要になった場合、上述したようにバイパス回路12を遮断すると共に、降圧コンバータ17をバイパスする。即ち図4に示すように、第1のバイパスリレー22を導通させ、電流を降圧バイパス経路32に流す。そして、昇圧用スイッチ素子26をオンオフして所定の電圧に昇圧する。このように、降圧用スイッチ素子23での損失発生を防止すると共に、昇圧チョッパ11による昇圧動作を実現することができる。
直流電源1の電圧が定格電圧を超えて降圧が必要になった場合、上述したようにバイパス回路12を遮断すると共に、降圧コンバータ17により降圧動作させる。図5に示すように、降圧用スイッチ素子23をオンオフ動作させ、第1のバイパスリレー22を開放する。こうすることで、第1のバイパスリレー22ではアークを発生することなく遮断でき、電流を電流経路33に流して降圧コンバータ17の降圧動作を開始できる。
さらに、降圧コンバータ17や、昇圧チョッパ11の動作中に直流電源1の電圧が所定の範囲(200V〜定格電圧)に復帰した場合、降圧動作、昇圧動作を停止し、バイパス回路12内のバイパスリレー21を導通させることで、定格電流経路30による運転へ戻ることができる。
【0018】
以上のようにこの実施の形態では、直流電源1から生成される第1のコンデンサ3の直流電圧V1を直流源とした第1のインバータ6と、他の第2、第3のインバータ6、7との交流側を直列に接続して、各インバータの発生電圧の総和にて出力電圧を得るようにパワーコンディショナを構成した。このように構成されるパワーコンディショナでは、各インバータ6〜8を耐電圧の低い素子で構成できる。半導体スイッチ素子は耐圧が高くなるほど導通損失が大きくなる傾向があり、損失の低減された効率の良い装置構成が達成できる。また、第1のコンデンサ3の直流電圧V1よりも高い電圧を出力することができ、昇圧チョッパ11の昇圧率を低減できて損失を低減できる。
さらに、降圧コンバータ17を設けて、直流電源1の電圧が定格電圧を超えるときに降圧するようにしたため、各インバータ6〜8に入力される電圧が大きくなって素子の耐電圧を超えるのが防止でき、素子破壊が防止できる。このため各インバータ6〜8を構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高いパワーコンディショナが得られる。
【0019】
さらにまた第1のバイパス回路18を設けて降圧コンバータ17内の降圧用スイッチ素子23をバイパスできるようにしたため、降圧動作が不要なときに降圧用スイッチ素子23での損失発生を防止でき、さらに損失低減が図れる。さらに、降圧動作も昇圧動作も不要なときは、バイパス回路12により降圧コンバータ17および昇圧チョッパ11をバイパスさせるようにしたため、さらに導通損失が低減でき変換効率の向上が図れる。また、バイパス回路12は、バイパスリレー21と、バイパスリレー21に並列接続された遮断回路(第1、第2のバイパススイッチ素子19、20)とで構成したため、バイパス回路12を遮断する際にバイパスリレー21にアークを発生させることなく確実に遮断できる。
【0020】
また、パワーコンディショナは、直流電源1の電圧に応じて、昇圧チョッパ11による昇圧動作、降圧コンバータ17による降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないで第1のコンデンサ3の直流電圧V1を生成するため、直流電圧V1を安定して生成でき、安定した交流出力が信頼性よく得られる。
【0021】
なお、この場合パワーコンディショナは出力電力を系統16に供給するものを示したが、負荷に供給する場合も同様の効果を有する。
また、この実施の形態では、第1のインバータ6の両側に接続された2つのインバータ7、8は出力を等しくしてPWM制御により電圧波形を精度良くコントロールしたものを示したが、PWM制御をしなくても良い。さらに、第1のインバータ6の両側に接続されるインバータは、それぞれ複数個でも良く、両側の各出力電圧の総和が等しいものであれば良い。
さらにまた、第1のコンデンサ3の中間点電位をアース電位に固定できる効果は無くなるが、第1のインバータ6の交流側両端子間を短絡させる短絡用スイッチ9は無くても良く、その場合、第1のインバータ6以外のインバータ6、7は、第1のインバータ6の片側のみに複数個直列接続されても良く、それぞれのインバータ出力が異なるものでも良い。
【0022】
実施の形態2.
次に、上記実施の形態1によるパワーコンディショナの昇圧チョッパ11にバイパス回路を設けたものを以下に説明する。
図6に示すように、昇圧チョッパ11内の昇圧用ダイオード25をバイパスする第2のバイパス回路28が昇圧用ダイオード25に並列に接続される。この第2のバイパス回路28は、昇圧用ダイオード25より導通損失の少ない第2のバイパスリレー29で構成される。
直流電源1の電圧が定格電圧を超える場合、降圧コンバータ17は降圧動作し、昇圧チョッパ11は昇圧動作しない。この場合図7に示すように、電流を昇圧ダイオードバイパス電流経路34に流して、昇圧用ダイオード25に流れる電流を第2のバイパス回路28でバイパスする。これにより、導通損失の低減が図れ、より効率の良いパワーコンディショナが得られる。
【0023】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、昇圧チョッパ11が昇圧動作しないときに昇圧用ダイオード25を第2のバイパス回路28でバイパスしたが、この実施の形態では、昇圧チョッパ11が昇圧動作するときに昇圧用ダイオード25をバイパスさせる。図8に示すように、昇圧用ダイオード25より導通損失の少ないFETなどから成るバイパス半導体スイッチ35が昇圧用ダイオード25に並列に接続される。
この場合、電流が昇圧用ダイオード25を流れようとするタイミングでバイパス半導体スイッチ35を導通させ、第2の昇圧ダイオードバイパス電流経路37に電流が流れる。そして、電流の向きが反転する直前にバイパス半導体スイッチ35をオフし、順方向電流が昇圧用ダイオード25に流れるように転流させる。これにより、図9に示すように、昇圧電流経路36に電流が流れるときに、第1のコンデンサ3側から昇圧用ダイオード25への昇圧ダイオードリカバリー電流経路39に逆方向の電流が流れ、昇圧用ダイオード25でのリカバリ損失が発生する。
【0024】
ところで、バイパス半導体スイッチ35にはダイオードが逆並列接続されるものであるが、このダイオードでのリカバリ損失は、単体のダイオードである昇圧用ダイオード25のリカバリ損失よりも大きい。
この実施の形態では、バイパス半導体スイッチ35で昇圧用ダイオード25をバイパスすることにより、導通損失の低減が図れる。また、リカバリ損失は昇圧用ダイオード25において発生させるようにしたため、さらに損失を低減でき、効率の良いパワーコンディショナが得られる。
【0025】
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、降圧コンバータ17や昇圧チョッパ11をバイパスさせる回路12、18、28、35を設けたものを示したが、図10に示すように、これらのバイパス回路は無くても良い。
この場合、降圧コンバータ17の降圧用スイッチ素子23をオン状態で保持すると、昇圧チョッパ11にて昇圧動作でき、直流電源1からの電圧を昇圧することができる。降圧する場合は降圧コンバータ17を降圧動作させ、その出力電流を昇圧チョッパ11内の昇圧用ダイオード25に通す。
このように構成されるパワーコンディショナでは、各インバータ6〜8を耐電圧の低い素子で構成でき損失の低減された効率の良い装置構成が達成できる。また、第1のコンデンサ3の直流電圧V1よりも高い電圧を出力することができ、昇圧チョッパ11の昇圧率を低減できて損失を低減できる。さらに、降圧コンバータ17を設けたため、第1のコンデンサ3の電圧は、第1のインバータ6を構成する素子の耐電圧を越えない電圧に制御することができ、直流電源1の過電圧に対して素子破壊を防止できる。このため各インバータ6〜8を構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高いパワーコンディショナが得られる。
【0026】
実施の形態5.
上記実施の形態4では、降圧コンバータ17や昇圧チョッパ11をバイパスさせる回路の無いものを示したが、図11に示すように、降圧コンバータ17をバイパスする第1のバイパス回路18のみを接続しても良い。上述したように、この第1のバイパス回路18は、降圧用スイッチ素子23をバイパスするように接続された第1のバイパスリレー22で構成される。
このように、直流電源1からの電圧を降圧する必要の無い場合は、降圧コンバータ17内の降圧用スイッチ素子23をバイパスできるようにしたため、降圧用スイッチ素子23での損失発生を防止できると共に、昇圧チョッパ11による昇圧動作を実現することができ、損失低減が図れる。
【0027】
実施の形態6.
上記各実施の形態では、昇圧チョッパ11を備えたパワーコンディショナを示したが、昇圧チョッパ11などの昇圧回路を備えないものであっても良い。この場合、図12に示すように、降圧コンバータ17が直流電源1と第1のコンデンサ3との間に配置されている。
このようなパワーコンディショナにおいても、第1のコンデンサ3の電圧は、第1のインバータ6を構成する素子の耐電圧を越えない電圧に制御することができ、直流電源1の過電圧に対して素子破壊を防止できる。このため、各インバータ6〜8を構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高いパワーコンディショナが得られる。
なお、この場合も、降圧コンバータ17をバイパスする第1のバイパス回路18を接続しても良く、損失低減が図れる。
【0028】
実施の形態7.
図13は、この発明の実施の形態7によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。これは、図1で示した上記実施の形態1によるパワーコンディショナにおいて、直流電源1からバイパス回路12を介して第1のコンデンサへ至る電流経路に、逆流防止用素子としての逆流防止ダイオード47を備えたものである。
上述したように、直流電源1が発生する電圧が定格電圧を含む所定の範囲(200V〜定格電圧)である場合、バイパス回路12のバイパスリレー21を導通させることで、電流は定格電流経路30を流れる(図2参照)。この時、直流電源1と第1のコンデンサ3との電圧はほぼ等しくなっている。この状態で、例えば急激に直流電源1の電圧が低下しても、逆流防止ダイオード47を備えたため、第1のコンデンサ3からバイパス回路12を経て直流電源1へ電流が流れることはない。
このように、第1のコンデンサ3から直流電源1へ電流が流れないため、急激に直流電源1電圧が低下しても第1のコンデンサ3の電圧は変動せず、出力電圧波形に歪が発生したり出力不能の状態に陥るのが回避でき、安定した出力が得られる。
【0029】
実施の形態8.
図14は、この発明の実施の形態8によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。上記実施の形態7と同様に、直流電源1からバイパス回路12を介して第1のコンデンサへ至る電流経路に、逆流防止用素子を備えたものである。
この実施の形態では、図に示すように、バイパス回路12を降圧用スイッチ素子23およびリアクトル27に並列に接続し、リアクトル27側の接続点は、リアクトル27と昇圧用ダイオード25との間とする。このように、昇圧チョッパ11内の昇圧用ダイオード25をバイパスされる経路の外側に配置して接続することで、昇圧用ダイオード25を上記逆流防止用素子として兼用させる。
【0030】
上述したように、直流電源1が発生する電圧が定格電圧を含む所定の範囲(200V〜定格電圧)である場合、バイパス回路12のバイパスリレー21を導通させることで、電流は定格電流経路30を流れる(図2参照)。この時、直流電源1と第1のコンデンサ3との電圧はほぼ等しくなっている。この状態で、例えば急激に直流電源1の電圧が低下しても、昇圧用ダイオード25が逆流防止用のダイオードとして機能するため、第1のコンデンサ3からバイパス回路12を経て直流電源1へ電流が流れることはない。
このように、第1のコンデンサ3から直流電源1へ電流が流れないため、急激に直流電源1電圧が低下しても第1のコンデンサ3の電圧は変動せず、出力電圧波形に歪が発生したり出力不能の状態に陥るのが回避でき、安定した出力が得られる。また、昇圧用ダイオード25を上記逆流防止用素子として兼用させるため部品点数を削減でき、小型で安価な装置構成となる。
【0031】
実施の形態9.
図15は、この発明の実施の形態9によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。図1で示した上記実施の形態1によるパワーコンディショナでは、降圧コンバータ17と昇圧チョッパ11とをそれぞれ備えたが、この実施の形態では、直流電源1と第1のコンデンサ3との間に、直流電源1の電圧を昇圧したり、降圧したりできる昇降圧コンバータ48を配置する。
次に動作について説明する。
直流電源1からの電圧が、第1のコンデンサ3を充電する規定電圧より低い場合、昇降圧コンバータ48が電圧を規定電圧まで上昇させ、第1のコンデンサ3の電圧を規定電圧に充電するように保つ。また、直流電源1の電圧が、第1のコンデンサ3の規定電圧より高い場合、昇降圧コンバータ48により直流電源1からの電圧を下げ、第1のコンデンサ3の電圧を規定電圧に充電するように保つ。
【0032】
ここで、第1のコンデンサ3の規定電圧の範囲の上限は第1のインバータ6を構成するスイッチ素子の耐圧を超えないように設計される。下限についてはパワーコンディショナが出力する最大電圧を、各インバータ6〜8の出力電圧の総和で十分出力可能な値に設定する。
このように、昇降圧コンバータ48を備えたため、直流電源1の電圧変動に対して、各インバータ6〜8内のスイッチ素子を破壊することがない。このため各インバータ6〜8を構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高いパワーコンディショナが得られる。
【0033】
なお、この実施の形態においても、昇降圧コンバータ48をバイパスする回路を上記実施の形態1と同様のバイパス回路12により構成して備えても良く、導通損失が低減でき変換効率の向上が図れる。
【0034】
実施の形態10.
上記各実施の形態はいずれも降圧コンバータ17あるいは昇降圧コンバータ48を備えて、直流電源1の電圧が規定範囲よりも高い場合に降圧させるものであるが、規定範囲自体が変更される場合の制御について以下に説明する。
例えば、太陽光発電を用いたパワーコンディショナでは、系統に連系時には出力の定格電圧が200Vrmsであるのに対して、系統の停電時などの自立運転時では出力の定格電圧が100Vrmsで運転する。このように、出力電圧指令値となる目標電圧が変更されるとき、直流電源1から第1のコンデンサ3に充電される電圧を調整することで、第1のインバータ6からの出力電圧のレベルを変化させる。
【0035】
図16は、定格電圧が200Vrmsの場合と100Vrmsの場合とにおけるパワーコンディショナの出力電圧波形を示すものである。図に示すように、定格電圧200Vrmsの出力条件の出力目標電圧波形40では、第1のインバータ6は第1の出力電圧42を発生していたところ、定格電圧100Vrmsの出力条件の出力目標電圧波形41では、第1のインバータ6は第2の出力電圧43を発生している。
このように、定格電圧が200Vrmsから100Vrmsに変化するなど、電圧指令値が変化する場合、第1のコンデンサ3に充電される電圧を、降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により調整(降圧)することで、第1のインバータ6の出力電圧を変化させ、各インバータ6〜8の出力電圧の総和であるパワーコンディショナの出力電圧が目標電圧波形に従う制御を容易に制御性良く実現できる。
【0036】
ところで、各コンデンサ3〜5の充電電圧を変更せずに、定格電圧が変更されるなど電圧指令値の変化に対応しようとすれば、第1のインバータ6の出力パルス幅を狭める。目標電圧と第1のインバータ出力電圧との差電圧を、第2のインバータ7と第3のインバータ8とで出力するため、第2、第3のインバータ7、8の負担は大きくなり、特にPWM制御により波形生成する場合は多くの損失が発生するものである。
この実施の形態では、電圧指令値の変化に応じて第1のコンデンサ3に充電される電圧を調整する制御を行うため、上記のような第2、第3のインバータ7、8の負担増大による損失が防止できる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、第1のコンデンサ3に充電される電圧を降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により調整(降圧)するとしたが、必要に応じて昇圧チョッパ11あるいは昇降圧コンバータ48により昇圧して調整する。
【0038】
実施の形態11.
次に、上記実施の形態1〜9で示したパワーコンディショナにおいて、第2、第3のコンデンサ4、5の充電電圧に関連して第1のコンデンサ3に充電される電圧を調整する制御について以下に説明する。
パワーコンディショナでは、目標電圧と第1のインバータ出力電圧との差電圧を、第2のインバータ7と第3のインバータ8とで出力するため、第2、第3のインバータ7、8では、出力に応じて第2、第3のコンデンサ4、5から放電、あるいは第2、第3のコンデンサ4、5を充電する。出力電圧と出力電流の位相がずれた場合、第2、第3のコンデンサ4、5では放電量よりも充電量が多くなることがある。
第2、第3のコンデンサ4、5は、第1のコンデンサ3からDC/DCコンバータ10を介してエネルギ供給され、その電圧V2、V3はDC/DCコンバータ10にて制御される。上述したように第2、第3のコンデンサ4、5にて放電量よりも充電量が多くなる場合、DC/DCコンバータ10が降圧機能を有する場合は、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3はDC/DCコンバータ10により所望の電圧に制御できる。DC/DCコンバータ10が降圧機能を有しない場合の制御について以下に説明する。
【0039】
この実施の形態では、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3を検出し、これらの電圧がそれぞれ所定の電圧を超えると、直流電源1から第1のコンデンサ3に充電する電圧V1を降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により低減させる制御を行う。
図17は、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3が定常時と所定電圧以上の上昇時とにおけるパワーコンディショナの出力電圧波形を示すものである。図17(a)に示すように、電圧V2、V3が定常時では出力目標電圧波形46に対して、第1のインバータ6は大きさV1の出力電圧45を発生し、第2のインバータ7と第3のインバータ8との出力和による負担電圧44はそれほど大きくない。電圧V2、V3が所定電圧以上の上昇時には、第1のコンデンサ3に充電される電圧V1が低減され、図17(b)に示すように、出力目標電圧波形46に対して第1のインバータ6が発生する大きさV1の出力電圧45も低減され、第2のインバータ7と第3のインバータ8との出力和による負担電圧44は大きくなる。なお、負担電圧44は出力目標電圧波形46の電圧から第1の出力電圧45を差し引いた電圧である。
【0040】
このように、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3が所定電圧以上に上昇すると、第1のコンデンサ3に充電する電圧V1を低減させることにより、第2、第3のインバータ7、8の出力負担電圧44が大きくなる。第2、第3のインバータ7、8では、この出力負担電圧44を例えばPWM制御により出力するものであるが、出力電圧が大きくなるため、第2、第3のコンデンサ4、5では充電量より放電量が多くなり、電圧V2、V3が低減する。
【0041】
以上のようにこの実施の形態では、DC/DCコンバータ10が降圧機能を有しない場合においても、直流電源1から第1のコンデンサ3に充電する電圧V1を降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により低減させる制御を行うことで、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3が所定電圧を超えて上昇するのを抑制できる。
このため、損失の増大を抑制できると共に、電圧V2、V3の上昇による過電圧で第2、第3のインバータ7、8を構成するスイッチ素子を破壊するのを防止でき、信頼性の高いパワーコンディショナが得られる。
【0042】
なお、上記実施の形態では、第1のコンデンサ3に充電される電圧を降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により低減させるとしたが、必要に応じて昇圧チョッパ11あるいは昇降圧コンバータ48の昇圧率を低減して調整する。
【符号の説明】
【0043】
1 直流電源(第2の直流電源)、3 直流電源としての第1のコンデンサ、
4 直流電源としての第2のコンデンサ、5 直流電源としての第3のコンデンサ、
6 第1のインバータ(単相インバータ)、
7 単相インバータとしての第2のインバータ、
8 単相インバータとしての第3のインバータ、10 DC/DCコンバータ、
11 昇圧回路としての昇圧チョッパ、12 バイパス回路(第3のバイパス回路)、
17 降圧回路としての降圧コンバータ、18 第1のバイパス回路、
19,20 遮断回路としての第1,第2のバイパススイッチ素子、
21 バイパスリレー、22 第1のバイパスリレー、23 降圧用スイッチ素子、
24 降圧用ダイオード、25 整流用素子としての昇圧用ダイオード、
26 昇圧用スイッチ素子、27 リアクトル、30 定格電流経路、
32 降圧バイパス経路、28 第2のバイパス回路、29 第2のバイパスリレー、
34 昇圧ダイオードバイパス電流経路、35 バイパス半導体スイッチ、
37 第2の昇圧ダイオードバイパス電流経路、
47 逆流防止用素子としての逆流防止ダイオード、48 昇降圧コンバータ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、直流電力を交流電力に変換する電力変換装置に関し、特に分散電源を系統に連系するパワーコンディショナ等に用いる電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のパワーコンディショナでは、例えばソーラパワーコンディショナに示されるように、太陽電池である分散電源からチョッパを用いて昇圧し、その後段にPWM制御のインバータを挿入して、出力の交流電圧を発生している。
このような従来のパワーコンディショナの基本的な動作を以下に示す。太陽電池から出力される直流電力は、パワーコンディショナの内部制御電源を駆動し内部回路が動作可能になる。チョッパ回路を用い、太陽電池の電圧を、系統へ連系するのに必要となる電圧まで昇圧する。インバータ部は4つのスイッチから構成され、系統電圧に同期した位相の出力電流となるようPWMスイッチングを行う。このように出力に短冊状の波形を出力し、出力する時間比率を変えることによって出力の平均電圧をコントロールし、出力された電圧は出力側に設けられた平滑フィルタによって平均化し、系統へは交流電力が出力される(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【非特許文献1】「ソーラーパワーコンディショナ形KP40Fの開発」OMRON TECHNICS Vol.42 No.2(通巻142号)2002年、
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光電圧を系統に連系させる従来のパワーコンディショナでは、インバータの出力電圧の最大値は、チョッパによる昇圧電圧の大きさによって決まる。このため、例えば200Vの交流電圧を出力する場合には、昇圧された直流電圧は282V以上が必要であり、通常は余裕を見てさらに高く設定されている。太陽光電圧の出力電圧は、通常200V程度、あるいはそれ以下であり、上述したように282V以上に昇圧する必要がある。昇圧率が高くなるとチョッパ部のスイッチング素子やダイオードの損失が大きくなる。また、インバータの入出力電圧が大きいとインバータを構成する素子の耐圧も大きくする必要があり、各素子の損失が大きくなる。このように、パワーコンデショナ全体の効率が低下してしまうという問題点があった。
【0005】
この発明は、上記のような問題点を解消するために成されたものであって、太陽光などの直流電源からの電力を交流に変換して系統や負荷に出力する電力変換装置において、各部の損失を低減して変換効率の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明による電力変換装置は、直流電源の直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続し、上記複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力電圧を制御する。そして、第2の直流電源と、該第2の直流電源の電圧を降圧する降圧回路とを備え、上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、上記第2の直流電源から上記降圧回路を介して生成され、上記第1のインバータ以外の他の単相インバータの直流電源電圧を検出し、該直流電源電圧が所定電圧を超えると、上記第2の直流電源から生成する上記第1のインバータの直流電源電圧を低減させる制御を行って、上記他の単相インバータを介した上記直流電源からの放電量を増加させるものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明による電力変換装置は、複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力するため、各単相インバータは全体の出力電圧よりも低い電圧を出力すれば良く、各単相インバータを構成する各素子の耐圧を低減できる。また、電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、上記第2の直流電源から上記降圧回路を介して生成されるため、第2の直流電源の電圧上昇がある場合にも、第1のインバータ内の各素子の破壊が防止でき電力変換装置の安定して運転できる。このため、各単相インバータを構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高い電力変換装置が得られる。
また、第1のインバータ以外の他の単相インバータの直流電源電圧が所定電圧を超えると、上記第2の直流電源から生成する上記第1のインバータの直流電源電圧を低減させる制御を行って、上記他の単相インバータを介した上記直流電源からの放電量を増加させるため、上記直流電源の上昇を抑制できて損失の増大を抑制すると共に、電力変換装置の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図3】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図6】この発明の実施の形態2によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図7】この発明の実施の形態2によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図8】この発明の実施の形態3によるパワーコンディショナの構成および動作を示す図である。
【図9】この発明の実施の形態3によるパワーコンディショナの動作を説明する図である。
【図10】この発明の実施の形態4によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図11】この発明の実施の形態5によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図12】この発明の実施の形態6によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図13】この発明の実施の形態7によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図14】この発明の実施の形態8によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図15】この発明の実施の形態9によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。
【図16】この発明の実施の形態10によるパワーコンディショナの動作を説明する電圧波形図である。
【図17】この発明の実施の形態11によるパワーコンディショナの動作を説明する電圧波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1による電力変換装置(以下、パワーコンディショナと称す)を図について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。図1に示すように、複数(この場合3個)の単相インバータ6〜8の交流側を直列に接続してインバータユニットを構成する。各単相インバータ6〜8は、ダイオードを逆並列に接続した複数個のIGBT等の自己消弧型半導体スイッチング素子で構成され、直流電源となる第1のコンデンサ3を入力とする第1のインバータ6の交流側両端子の一方に第2のインバータ7が、他方に第3のインバータ8が接続される。また、第1のインバータ6の交流側両端子間を短絡させる短絡用スイッチ9としてダイオードを逆並列に接続した2個のIGBT等の自己消弧型半導体スイッチング素子が互いに逆極性に直列接続され、この短絡用スイッチ9は第1のインバータ6に並列に接続される。
【0010】
また、第2の直流電源としての太陽光による直流電源1の後段に、入力コンデンサ2を介して、降圧回路としての降圧コンバータ17と昇圧回路としての昇圧チョッパ11とが直列接続される。第1のインバータ6の入力となる第1のコンデンサ3は、直流電源1から降圧コンバータ17と昇圧チョッパ11とを介して充電される。降圧コンバータ17は、降圧用スイッチ素子23とリアクトル27と、両素子23、27の接続点にカソードが接続された降圧用ダイオード24とで構成される。昇圧チョッパ11は、降圧コンバータ17に兼用して用いられるリアクトル27と整流用素子としての昇圧用ダイオード25と、両素子27、25の接続点に接続された昇圧用スイッチ素子26とで構成される。
【0011】
また、降圧コンバータ17と昇圧チョッパ11とを直列接続した回路をバイパスするバイパス回路12(第3のバイパス回路)が接続される。このバイパス回路12は、バイパスリレー21と、バイパスリレー21に並列接続されバイパスリレー21を遮断するための遮断回路を構成する第1、第2のバイパススイッチ素子19、20とで構成される。第1のバイパススイッチ素子19と第2のバイパススイッチ素子20とは、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチで互いに逆極性に直列接続される。
さらに、降圧コンバータ17をバイパスする第1のバイパス回路18が接続される。この第1のバイパス回路18は、降圧用スイッチ素子23をバイパスするように接続された第1のバイパスリレー22で構成される。
【0012】
第1のインバータ6の入力となる第1のコンデンサ3の電圧V1は、他の第2、第3のインバータ7、8の入力となる直流電源としての第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3よりも大きく、V2、V3は、例えば所定の電圧になるようにDC/DCコンバータ10にて制御される。ここでは、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧が等しいものとする。
これらのインバータ6〜8は出力として正負およびゼロの電圧を発生することができ、インバータユニット6〜8は、これらの発生電圧を組み合わせた総和としての電圧を出力する。この出力電圧はリアクトル13、14およびコンデンサ15から成る平滑フィルタにより平滑され、交流電圧Voutを系統(負荷)16に供給する。なお、系統16は柱状トランスにて中点を接地しているものとする。
【0013】
第2のインバータ7の出力と第3のインバータ8の出力とは等しく、各インバータ7、8は、目標の出力電圧と第1のインバータ6の出力電圧との差分を補うようにPWM制御により出力される。
また、第1のインバータ6の出力電圧が0である期間では、第1のインバータ6の交流側両端子間を短絡させる短絡用スイッチ9をオンして導通状態にすると共に、第1のインバータ6内の全ての半導体スイッチをオフ状態にする。これにより第1のコンデンサ3と系統16(交流出力用電力線)とは遮断されて、第1のコンデンサ3の中間点電位はアース電位を保持することができ、第1のコンデンサ3の正極、負極側はそれぞれアース電位から一定の直流電位を維持できる。太陽光を発生させる太陽光パネル(直流電源1)はアースに対して大きな浮遊容量を有するが、直流電源1から生成した第1のコンデンサ3の中間点電位をアース電位に固定できるため、直流電源1の電位変動が抑制でき浮遊容量に流れる電流も抑制できる。
【0014】
ところで、200Vの交流出力に必要な最大出力電圧は約282Vであり、インバータユニット6〜8の出力電圧は、最大でV1+V2+V3まで出力できる。このためV1+V2+V3が約282V以上であれば、パワーコンディショナは200Vの交流出力が可能になる。
直流電源1の定格電圧を240Vとすると、定格電圧時には従来のように昇圧する必要はなく、第1のコンデンサ3の電圧V1を生成できる。また、第1のインバータ6は、定格電圧240Vに適した、即ち耐電圧の低減された半導体素子で構成することができる。第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3はV1よりも低く、このため、各インバータ6〜8も耐電圧の低い素子で構成でき、損失の低減された効率の良いインバータユニット6〜8となる。
【0015】
第1のコンデンサ3への充電動作について以下に説明する。
太陽光による直流電源1の場合、無負荷運転時には直流電源1の電圧が定格電圧より高くなる場合がある。例えば、定格電圧240Vの直流電源電圧が、システム起動時の無負荷の場合、350V程度の出力電圧になることがある。このように直流電源1の電圧が運転中に定格電圧を上回った場合は、降圧コンバータ17にて降圧して第1のコンデンサ3の電圧V1を生成する。また、直流電源1が定格電圧を下回り、さらに所定の電圧、例えば200V以下になると、昇圧チョッパ11にて昇圧して第1のコンデンサ3の電圧V1を生成する。
【0016】
まず、直流電源1が発生する電圧が定格電圧を含む所定の範囲(例えば200V〜定格電圧)である場合、図2に示すように、バイパス回路12のバイパスリレー21を導通させることで、電流は定格電流経路30を流れる。
次に、直流電源1の電圧が上記所定の範囲を外れ、降圧コンバータ17や昇圧チョッパ11を動作させる必要が発生した場合、バイパス回路12を遮断する。この時、まず、図3に示すように第1のバイパススイッチ素子19と第2のバイパススイッチ素子20を導通させ、転流電流経路31を生成する。次いでバイパスリレー21を切ることにより、バイパスリレー21を流れていた電流は第1、第2のバイパススイッチ素子19、20を流れ、バイパスリレー21を高速に遮断できる。そして、第1、第2のバイパススイッチ素子19、20をオフすることにより、バイパス回路12は信頼性よく確実に遮断でき、電流は降圧コンバータ17や昇圧チョッパ11へ流れる。
【0017】
直流電源1の電圧が所定の電圧(例えば200V)以下になり、昇圧が必要になった場合、上述したようにバイパス回路12を遮断すると共に、降圧コンバータ17をバイパスする。即ち図4に示すように、第1のバイパスリレー22を導通させ、電流を降圧バイパス経路32に流す。そして、昇圧用スイッチ素子26をオンオフして所定の電圧に昇圧する。このように、降圧用スイッチ素子23での損失発生を防止すると共に、昇圧チョッパ11による昇圧動作を実現することができる。
直流電源1の電圧が定格電圧を超えて降圧が必要になった場合、上述したようにバイパス回路12を遮断すると共に、降圧コンバータ17により降圧動作させる。図5に示すように、降圧用スイッチ素子23をオンオフ動作させ、第1のバイパスリレー22を開放する。こうすることで、第1のバイパスリレー22ではアークを発生することなく遮断でき、電流を電流経路33に流して降圧コンバータ17の降圧動作を開始できる。
さらに、降圧コンバータ17や、昇圧チョッパ11の動作中に直流電源1の電圧が所定の範囲(200V〜定格電圧)に復帰した場合、降圧動作、昇圧動作を停止し、バイパス回路12内のバイパスリレー21を導通させることで、定格電流経路30による運転へ戻ることができる。
【0018】
以上のようにこの実施の形態では、直流電源1から生成される第1のコンデンサ3の直流電圧V1を直流源とした第1のインバータ6と、他の第2、第3のインバータ6、7との交流側を直列に接続して、各インバータの発生電圧の総和にて出力電圧を得るようにパワーコンディショナを構成した。このように構成されるパワーコンディショナでは、各インバータ6〜8を耐電圧の低い素子で構成できる。半導体スイッチ素子は耐圧が高くなるほど導通損失が大きくなる傾向があり、損失の低減された効率の良い装置構成が達成できる。また、第1のコンデンサ3の直流電圧V1よりも高い電圧を出力することができ、昇圧チョッパ11の昇圧率を低減できて損失を低減できる。
さらに、降圧コンバータ17を設けて、直流電源1の電圧が定格電圧を超えるときに降圧するようにしたため、各インバータ6〜8に入力される電圧が大きくなって素子の耐電圧を超えるのが防止でき、素子破壊が防止できる。このため各インバータ6〜8を構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高いパワーコンディショナが得られる。
【0019】
さらにまた第1のバイパス回路18を設けて降圧コンバータ17内の降圧用スイッチ素子23をバイパスできるようにしたため、降圧動作が不要なときに降圧用スイッチ素子23での損失発生を防止でき、さらに損失低減が図れる。さらに、降圧動作も昇圧動作も不要なときは、バイパス回路12により降圧コンバータ17および昇圧チョッパ11をバイパスさせるようにしたため、さらに導通損失が低減でき変換効率の向上が図れる。また、バイパス回路12は、バイパスリレー21と、バイパスリレー21に並列接続された遮断回路(第1、第2のバイパススイッチ素子19、20)とで構成したため、バイパス回路12を遮断する際にバイパスリレー21にアークを発生させることなく確実に遮断できる。
【0020】
また、パワーコンディショナは、直流電源1の電圧に応じて、昇圧チョッパ11による昇圧動作、降圧コンバータ17による降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないで第1のコンデンサ3の直流電圧V1を生成するため、直流電圧V1を安定して生成でき、安定した交流出力が信頼性よく得られる。
【0021】
なお、この場合パワーコンディショナは出力電力を系統16に供給するものを示したが、負荷に供給する場合も同様の効果を有する。
また、この実施の形態では、第1のインバータ6の両側に接続された2つのインバータ7、8は出力を等しくしてPWM制御により電圧波形を精度良くコントロールしたものを示したが、PWM制御をしなくても良い。さらに、第1のインバータ6の両側に接続されるインバータは、それぞれ複数個でも良く、両側の各出力電圧の総和が等しいものであれば良い。
さらにまた、第1のコンデンサ3の中間点電位をアース電位に固定できる効果は無くなるが、第1のインバータ6の交流側両端子間を短絡させる短絡用スイッチ9は無くても良く、その場合、第1のインバータ6以外のインバータ6、7は、第1のインバータ6の片側のみに複数個直列接続されても良く、それぞれのインバータ出力が異なるものでも良い。
【0022】
実施の形態2.
次に、上記実施の形態1によるパワーコンディショナの昇圧チョッパ11にバイパス回路を設けたものを以下に説明する。
図6に示すように、昇圧チョッパ11内の昇圧用ダイオード25をバイパスする第2のバイパス回路28が昇圧用ダイオード25に並列に接続される。この第2のバイパス回路28は、昇圧用ダイオード25より導通損失の少ない第2のバイパスリレー29で構成される。
直流電源1の電圧が定格電圧を超える場合、降圧コンバータ17は降圧動作し、昇圧チョッパ11は昇圧動作しない。この場合図7に示すように、電流を昇圧ダイオードバイパス電流経路34に流して、昇圧用ダイオード25に流れる電流を第2のバイパス回路28でバイパスする。これにより、導通損失の低減が図れ、より効率の良いパワーコンディショナが得られる。
【0023】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、昇圧チョッパ11が昇圧動作しないときに昇圧用ダイオード25を第2のバイパス回路28でバイパスしたが、この実施の形態では、昇圧チョッパ11が昇圧動作するときに昇圧用ダイオード25をバイパスさせる。図8に示すように、昇圧用ダイオード25より導通損失の少ないFETなどから成るバイパス半導体スイッチ35が昇圧用ダイオード25に並列に接続される。
この場合、電流が昇圧用ダイオード25を流れようとするタイミングでバイパス半導体スイッチ35を導通させ、第2の昇圧ダイオードバイパス電流経路37に電流が流れる。そして、電流の向きが反転する直前にバイパス半導体スイッチ35をオフし、順方向電流が昇圧用ダイオード25に流れるように転流させる。これにより、図9に示すように、昇圧電流経路36に電流が流れるときに、第1のコンデンサ3側から昇圧用ダイオード25への昇圧ダイオードリカバリー電流経路39に逆方向の電流が流れ、昇圧用ダイオード25でのリカバリ損失が発生する。
【0024】
ところで、バイパス半導体スイッチ35にはダイオードが逆並列接続されるものであるが、このダイオードでのリカバリ損失は、単体のダイオードである昇圧用ダイオード25のリカバリ損失よりも大きい。
この実施の形態では、バイパス半導体スイッチ35で昇圧用ダイオード25をバイパスすることにより、導通損失の低減が図れる。また、リカバリ損失は昇圧用ダイオード25において発生させるようにしたため、さらに損失を低減でき、効率の良いパワーコンディショナが得られる。
【0025】
実施の形態4.
上記実施の形態1〜3では、降圧コンバータ17や昇圧チョッパ11をバイパスさせる回路12、18、28、35を設けたものを示したが、図10に示すように、これらのバイパス回路は無くても良い。
この場合、降圧コンバータ17の降圧用スイッチ素子23をオン状態で保持すると、昇圧チョッパ11にて昇圧動作でき、直流電源1からの電圧を昇圧することができる。降圧する場合は降圧コンバータ17を降圧動作させ、その出力電流を昇圧チョッパ11内の昇圧用ダイオード25に通す。
このように構成されるパワーコンディショナでは、各インバータ6〜8を耐電圧の低い素子で構成でき損失の低減された効率の良い装置構成が達成できる。また、第1のコンデンサ3の直流電圧V1よりも高い電圧を出力することができ、昇圧チョッパ11の昇圧率を低減できて損失を低減できる。さらに、降圧コンバータ17を設けたため、第1のコンデンサ3の電圧は、第1のインバータ6を構成する素子の耐電圧を越えない電圧に制御することができ、直流電源1の過電圧に対して素子破壊を防止できる。このため各インバータ6〜8を構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高いパワーコンディショナが得られる。
【0026】
実施の形態5.
上記実施の形態4では、降圧コンバータ17や昇圧チョッパ11をバイパスさせる回路の無いものを示したが、図11に示すように、降圧コンバータ17をバイパスする第1のバイパス回路18のみを接続しても良い。上述したように、この第1のバイパス回路18は、降圧用スイッチ素子23をバイパスするように接続された第1のバイパスリレー22で構成される。
このように、直流電源1からの電圧を降圧する必要の無い場合は、降圧コンバータ17内の降圧用スイッチ素子23をバイパスできるようにしたため、降圧用スイッチ素子23での損失発生を防止できると共に、昇圧チョッパ11による昇圧動作を実現することができ、損失低減が図れる。
【0027】
実施の形態6.
上記各実施の形態では、昇圧チョッパ11を備えたパワーコンディショナを示したが、昇圧チョッパ11などの昇圧回路を備えないものであっても良い。この場合、図12に示すように、降圧コンバータ17が直流電源1と第1のコンデンサ3との間に配置されている。
このようなパワーコンディショナにおいても、第1のコンデンサ3の電圧は、第1のインバータ6を構成する素子の耐電圧を越えない電圧に制御することができ、直流電源1の過電圧に対して素子破壊を防止できる。このため、各インバータ6〜8を構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高いパワーコンディショナが得られる。
なお、この場合も、降圧コンバータ17をバイパスする第1のバイパス回路18を接続しても良く、損失低減が図れる。
【0028】
実施の形態7.
図13は、この発明の実施の形態7によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。これは、図1で示した上記実施の形態1によるパワーコンディショナにおいて、直流電源1からバイパス回路12を介して第1のコンデンサへ至る電流経路に、逆流防止用素子としての逆流防止ダイオード47を備えたものである。
上述したように、直流電源1が発生する電圧が定格電圧を含む所定の範囲(200V〜定格電圧)である場合、バイパス回路12のバイパスリレー21を導通させることで、電流は定格電流経路30を流れる(図2参照)。この時、直流電源1と第1のコンデンサ3との電圧はほぼ等しくなっている。この状態で、例えば急激に直流電源1の電圧が低下しても、逆流防止ダイオード47を備えたため、第1のコンデンサ3からバイパス回路12を経て直流電源1へ電流が流れることはない。
このように、第1のコンデンサ3から直流電源1へ電流が流れないため、急激に直流電源1電圧が低下しても第1のコンデンサ3の電圧は変動せず、出力電圧波形に歪が発生したり出力不能の状態に陥るのが回避でき、安定した出力が得られる。
【0029】
実施の形態8.
図14は、この発明の実施の形態8によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。上記実施の形態7と同様に、直流電源1からバイパス回路12を介して第1のコンデンサへ至る電流経路に、逆流防止用素子を備えたものである。
この実施の形態では、図に示すように、バイパス回路12を降圧用スイッチ素子23およびリアクトル27に並列に接続し、リアクトル27側の接続点は、リアクトル27と昇圧用ダイオード25との間とする。このように、昇圧チョッパ11内の昇圧用ダイオード25をバイパスされる経路の外側に配置して接続することで、昇圧用ダイオード25を上記逆流防止用素子として兼用させる。
【0030】
上述したように、直流電源1が発生する電圧が定格電圧を含む所定の範囲(200V〜定格電圧)である場合、バイパス回路12のバイパスリレー21を導通させることで、電流は定格電流経路30を流れる(図2参照)。この時、直流電源1と第1のコンデンサ3との電圧はほぼ等しくなっている。この状態で、例えば急激に直流電源1の電圧が低下しても、昇圧用ダイオード25が逆流防止用のダイオードとして機能するため、第1のコンデンサ3からバイパス回路12を経て直流電源1へ電流が流れることはない。
このように、第1のコンデンサ3から直流電源1へ電流が流れないため、急激に直流電源1電圧が低下しても第1のコンデンサ3の電圧は変動せず、出力電圧波形に歪が発生したり出力不能の状態に陥るのが回避でき、安定した出力が得られる。また、昇圧用ダイオード25を上記逆流防止用素子として兼用させるため部品点数を削減でき、小型で安価な装置構成となる。
【0031】
実施の形態9.
図15は、この発明の実施の形態9によるパワーコンディショナを示す概略構成図である。図1で示した上記実施の形態1によるパワーコンディショナでは、降圧コンバータ17と昇圧チョッパ11とをそれぞれ備えたが、この実施の形態では、直流電源1と第1のコンデンサ3との間に、直流電源1の電圧を昇圧したり、降圧したりできる昇降圧コンバータ48を配置する。
次に動作について説明する。
直流電源1からの電圧が、第1のコンデンサ3を充電する規定電圧より低い場合、昇降圧コンバータ48が電圧を規定電圧まで上昇させ、第1のコンデンサ3の電圧を規定電圧に充電するように保つ。また、直流電源1の電圧が、第1のコンデンサ3の規定電圧より高い場合、昇降圧コンバータ48により直流電源1からの電圧を下げ、第1のコンデンサ3の電圧を規定電圧に充電するように保つ。
【0032】
ここで、第1のコンデンサ3の規定電圧の範囲の上限は第1のインバータ6を構成するスイッチ素子の耐圧を超えないように設計される。下限についてはパワーコンディショナが出力する最大電圧を、各インバータ6〜8の出力電圧の総和で十分出力可能な値に設定する。
このように、昇降圧コンバータ48を備えたため、直流電源1の電圧変動に対して、各インバータ6〜8内のスイッチ素子を破壊することがない。このため各インバータ6〜8を構成する各素子の耐圧を信頼性よく低減でき、損失の低減された変換効率の高いパワーコンディショナが得られる。
【0033】
なお、この実施の形態においても、昇降圧コンバータ48をバイパスする回路を上記実施の形態1と同様のバイパス回路12により構成して備えても良く、導通損失が低減でき変換効率の向上が図れる。
【0034】
実施の形態10.
上記各実施の形態はいずれも降圧コンバータ17あるいは昇降圧コンバータ48を備えて、直流電源1の電圧が規定範囲よりも高い場合に降圧させるものであるが、規定範囲自体が変更される場合の制御について以下に説明する。
例えば、太陽光発電を用いたパワーコンディショナでは、系統に連系時には出力の定格電圧が200Vrmsであるのに対して、系統の停電時などの自立運転時では出力の定格電圧が100Vrmsで運転する。このように、出力電圧指令値となる目標電圧が変更されるとき、直流電源1から第1のコンデンサ3に充電される電圧を調整することで、第1のインバータ6からの出力電圧のレベルを変化させる。
【0035】
図16は、定格電圧が200Vrmsの場合と100Vrmsの場合とにおけるパワーコンディショナの出力電圧波形を示すものである。図に示すように、定格電圧200Vrmsの出力条件の出力目標電圧波形40では、第1のインバータ6は第1の出力電圧42を発生していたところ、定格電圧100Vrmsの出力条件の出力目標電圧波形41では、第1のインバータ6は第2の出力電圧43を発生している。
このように、定格電圧が200Vrmsから100Vrmsに変化するなど、電圧指令値が変化する場合、第1のコンデンサ3に充電される電圧を、降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により調整(降圧)することで、第1のインバータ6の出力電圧を変化させ、各インバータ6〜8の出力電圧の総和であるパワーコンディショナの出力電圧が目標電圧波形に従う制御を容易に制御性良く実現できる。
【0036】
ところで、各コンデンサ3〜5の充電電圧を変更せずに、定格電圧が変更されるなど電圧指令値の変化に対応しようとすれば、第1のインバータ6の出力パルス幅を狭める。目標電圧と第1のインバータ出力電圧との差電圧を、第2のインバータ7と第3のインバータ8とで出力するため、第2、第3のインバータ7、8の負担は大きくなり、特にPWM制御により波形生成する場合は多くの損失が発生するものである。
この実施の形態では、電圧指令値の変化に応じて第1のコンデンサ3に充電される電圧を調整する制御を行うため、上記のような第2、第3のインバータ7、8の負担増大による損失が防止できる。
【0037】
なお、上記実施の形態では、第1のコンデンサ3に充電される電圧を降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により調整(降圧)するとしたが、必要に応じて昇圧チョッパ11あるいは昇降圧コンバータ48により昇圧して調整する。
【0038】
実施の形態11.
次に、上記実施の形態1〜9で示したパワーコンディショナにおいて、第2、第3のコンデンサ4、5の充電電圧に関連して第1のコンデンサ3に充電される電圧を調整する制御について以下に説明する。
パワーコンディショナでは、目標電圧と第1のインバータ出力電圧との差電圧を、第2のインバータ7と第3のインバータ8とで出力するため、第2、第3のインバータ7、8では、出力に応じて第2、第3のコンデンサ4、5から放電、あるいは第2、第3のコンデンサ4、5を充電する。出力電圧と出力電流の位相がずれた場合、第2、第3のコンデンサ4、5では放電量よりも充電量が多くなることがある。
第2、第3のコンデンサ4、5は、第1のコンデンサ3からDC/DCコンバータ10を介してエネルギ供給され、その電圧V2、V3はDC/DCコンバータ10にて制御される。上述したように第2、第3のコンデンサ4、5にて放電量よりも充電量が多くなる場合、DC/DCコンバータ10が降圧機能を有する場合は、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3はDC/DCコンバータ10により所望の電圧に制御できる。DC/DCコンバータ10が降圧機能を有しない場合の制御について以下に説明する。
【0039】
この実施の形態では、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3を検出し、これらの電圧がそれぞれ所定の電圧を超えると、直流電源1から第1のコンデンサ3に充電する電圧V1を降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により低減させる制御を行う。
図17は、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3が定常時と所定電圧以上の上昇時とにおけるパワーコンディショナの出力電圧波形を示すものである。図17(a)に示すように、電圧V2、V3が定常時では出力目標電圧波形46に対して、第1のインバータ6は大きさV1の出力電圧45を発生し、第2のインバータ7と第3のインバータ8との出力和による負担電圧44はそれほど大きくない。電圧V2、V3が所定電圧以上の上昇時には、第1のコンデンサ3に充電される電圧V1が低減され、図17(b)に示すように、出力目標電圧波形46に対して第1のインバータ6が発生する大きさV1の出力電圧45も低減され、第2のインバータ7と第3のインバータ8との出力和による負担電圧44は大きくなる。なお、負担電圧44は出力目標電圧波形46の電圧から第1の出力電圧45を差し引いた電圧である。
【0040】
このように、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3が所定電圧以上に上昇すると、第1のコンデンサ3に充電する電圧V1を低減させることにより、第2、第3のインバータ7、8の出力負担電圧44が大きくなる。第2、第3のインバータ7、8では、この出力負担電圧44を例えばPWM制御により出力するものであるが、出力電圧が大きくなるため、第2、第3のコンデンサ4、5では充電量より放電量が多くなり、電圧V2、V3が低減する。
【0041】
以上のようにこの実施の形態では、DC/DCコンバータ10が降圧機能を有しない場合においても、直流電源1から第1のコンデンサ3に充電する電圧V1を降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により低減させる制御を行うことで、第2、第3のコンデンサ4、5の電圧V2、V3が所定電圧を超えて上昇するのを抑制できる。
このため、損失の増大を抑制できると共に、電圧V2、V3の上昇による過電圧で第2、第3のインバータ7、8を構成するスイッチ素子を破壊するのを防止でき、信頼性の高いパワーコンディショナが得られる。
【0042】
なお、上記実施の形態では、第1のコンデンサ3に充電される電圧を降圧コンバータ17や昇降圧コンバータ48により低減させるとしたが、必要に応じて昇圧チョッパ11あるいは昇降圧コンバータ48の昇圧率を低減して調整する。
【符号の説明】
【0043】
1 直流電源(第2の直流電源)、3 直流電源としての第1のコンデンサ、
4 直流電源としての第2のコンデンサ、5 直流電源としての第3のコンデンサ、
6 第1のインバータ(単相インバータ)、
7 単相インバータとしての第2のインバータ、
8 単相インバータとしての第3のインバータ、10 DC/DCコンバータ、
11 昇圧回路としての昇圧チョッパ、12 バイパス回路(第3のバイパス回路)、
17 降圧回路としての降圧コンバータ、18 第1のバイパス回路、
19,20 遮断回路としての第1,第2のバイパススイッチ素子、
21 バイパスリレー、22 第1のバイパスリレー、23 降圧用スイッチ素子、
24 降圧用ダイオード、25 整流用素子としての昇圧用ダイオード、
26 昇圧用スイッチ素子、27 リアクトル、30 定格電流経路、
32 降圧バイパス経路、28 第2のバイパス回路、29 第2のバイパスリレー、
34 昇圧ダイオードバイパス電流経路、35 バイパス半導体スイッチ、
37 第2の昇圧ダイオードバイパス電流経路、
47 逆流防止用素子としての逆流防止ダイオード、48 昇降圧コンバータ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源の直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続し、上記複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力電圧を制御する電力変換装置において、
第2の直流電源と、該第2の直流電源の電圧を降圧する降圧回路とを備え、
上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、上記第2の直流電源から上記降圧回路を介して生成され、
上記第1のインバータ以外の他の単相インバータの直流電源電圧を検出し、該直流電源電圧が所定電圧を超えると、上記第2の直流電源から生成する上記第1のインバータの直流電源電圧を低減させる制御を行って、上記他の単相インバータを介した上記直流電源からの放電量を増加させることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源と、他の単相インバータの各直流電源とは、DC/DCコンバータを介して接続されたことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
上記降圧回路をバイパスするバイパス回路をリレーで構成して備え、上記第2の直流電源の電圧が所定電圧以下となるとき、上記降圧回路の降圧動作を停止し、上記バイパス回路を導通して該降圧回路をバイパスすることを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
上記第2の直流電源と上記第1のインバータの直流電源との間に、上記降圧回路と昇圧回路とを1つで構成した昇降圧コンバータを備え、上記第2の直流電源の電圧に応じて、昇圧動作、降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
上記第2の直流電源と上記第1のインバータの直流電源との間に、上記降圧回路と直列接続されるように昇圧回路を接続し、上記第2の直流電源の電圧に応じて、上記昇圧回路による昇圧動作、上記降圧回路による降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
上記昇圧回路を、リアクトル、整流用素子、およびスイッチで構成すると共に、該整流用素子をバイパスする第2のバイパス回路をリレーで構成して備え、上記第2の直流電源の電圧が所定電圧を超えるとき、上記昇圧回路の昇圧動作を停止し、上記第2のバイパス回路を導通して上記整流用素子をバイパスすることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
上記昇圧回路を、リアクトル、整流用素子、およびスイッチで構成すると共に、該整流用素子をバイパスする半導体スイッチを備え、該半導体スイッチを導通して上記直流電源からの電流を上記整流用素子をバイパスして流し、電流の向きが反転する直前に上記半導体スイッチを遮断することを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項8】
上記昇降圧コンバータをバイパスする第3のバイパス回路を備え、該第3のバイパス回路は、バイパスリレーと該バイパスリレーに並列接続され該バイパスリレーを遮断するための遮断回路とを有し、該遮断回路は、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチを互いに逆極性に直列接続して構成することを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項9】
上記降圧回路と上記昇圧回路とを直列接続した直列回路をバイパスする第3のバイパス回路を備え、該第3のバイパス回路は、バイパスリレーと該バイパスリレーに並列接続され該バイパスリレーを遮断するための遮断回路とを有し、該遮断回路は、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチを互いに逆極性に直列接続して構成することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
上記第2の直流電源から上記第3のバイパス回路を介して上記第1のインバータの直流電源へ至る電流経路に、逆流防止用素子を備えたことを特徴とする請求項8または9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
上記第3のバイパス回路は、上記昇圧回路内の整流用素子をバイパスされる経路の外側に配置して接続し、該整流用素子を、上記第2の直流電源から上記第3のバイパス回路を介して上記第1のインバータの直流電源へ至る電流経路における逆流防止用に兼用することを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。
【請求項12】
直流電源の直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続し、上記複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力電圧を制御する電力変換装置において、
第2の直流電源と、降圧回路と昇圧回路とを1つで構成して上記第2の直流電源の電圧を昇降圧する昇降圧コンバータと、該昇降圧コンバータをバイパスする第3のバイパス回路とを備え、
上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、上記第2の直流電源の電圧に応じて上記昇降圧コンバータの昇圧動作、降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないようにして、上記第2の直流電源から上記昇降圧コンバータを介して生成され、
上記第3のバイパス回路は、バイパスリレーと該バイパスリレーに並列接続され該バイパスリレーを遮断するための遮断回路とを有し、該遮断回路は、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチを互いに逆極性に直列接続して構成されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項13】
直流電源の直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続し、上記複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力電圧を制御する電力変換装置において、
第2の直流電源と、該第2の直流電源の電圧を降圧する降圧回路と昇圧する昇圧回路とを直列接続した直列回路と、該直列回路をバイパスする第3のバイパス回路とを備え、
上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、
上記第2の直流電源の電圧に応じて、上記昇圧回路による昇圧動作、上記降圧回路による降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないようにして、上記第2の直流電源から上記直列回路を介して生成され、
上記第3のバイパス回路は、バイパスリレーと該バイパスリレーに並列接続され該バイパスリレーを遮断するための遮断回路とを有し、該遮断回路は、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチを互いに逆極性に直列接続して構成されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項14】
上記第2の直流電源から上記第3のバイパス回路を介して上記第1のインバータの直流電源へ至る電流経路に、逆流防止用素子を備えたことを特徴とする請求項12または13に記載の電力変換装置。
【請求項15】
上記第3のバイパス回路は、上記昇圧回路内の整流用素子をバイパスされる経路の外側に配置して接続し、該整流用素子を、上記第2の直流電源から上記第3のバイパス回路を介して上記第1のインバータの直流電源へ至る電流経路における逆流防止用に兼用することを特徴とする請求項13に記載の電力変換装置。
【請求項1】
直流電源の直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続し、上記複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力電圧を制御する電力変換装置において、
第2の直流電源と、該第2の直流電源の電圧を降圧する降圧回路とを備え、
上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、上記第2の直流電源から上記降圧回路を介して生成され、
上記第1のインバータ以外の他の単相インバータの直流電源電圧を検出し、該直流電源電圧が所定電圧を超えると、上記第2の直流電源から生成する上記第1のインバータの直流電源電圧を低減させる制御を行って、上記他の単相インバータを介した上記直流電源からの放電量を増加させることを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源と、他の単相インバータの各直流電源とは、DC/DCコンバータを介して接続されたことを特徴とする請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
上記降圧回路をバイパスするバイパス回路をリレーで構成して備え、上記第2の直流電源の電圧が所定電圧以下となるとき、上記降圧回路の降圧動作を停止し、上記バイパス回路を導通して該降圧回路をバイパスすることを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
上記第2の直流電源と上記第1のインバータの直流電源との間に、上記降圧回路と昇圧回路とを1つで構成した昇降圧コンバータを備え、上記第2の直流電源の電圧に応じて、昇圧動作、降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないことを特徴とする請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
上記第2の直流電源と上記第1のインバータの直流電源との間に、上記降圧回路と直列接続されるように昇圧回路を接続し、上記第2の直流電源の電圧に応じて、上記昇圧回路による昇圧動作、上記降圧回路による降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項6】
上記昇圧回路を、リアクトル、整流用素子、およびスイッチで構成すると共に、該整流用素子をバイパスする第2のバイパス回路をリレーで構成して備え、上記第2の直流電源の電圧が所定電圧を超えるとき、上記昇圧回路の昇圧動作を停止し、上記第2のバイパス回路を導通して上記整流用素子をバイパスすることを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
上記昇圧回路を、リアクトル、整流用素子、およびスイッチで構成すると共に、該整流用素子をバイパスする半導体スイッチを備え、該半導体スイッチを導通して上記直流電源からの電流を上記整流用素子をバイパスして流し、電流の向きが反転する直前に上記半導体スイッチを遮断することを特徴とする請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項8】
上記昇降圧コンバータをバイパスする第3のバイパス回路を備え、該第3のバイパス回路は、バイパスリレーと該バイパスリレーに並列接続され該バイパスリレーを遮断するための遮断回路とを有し、該遮断回路は、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチを互いに逆極性に直列接続して構成することを特徴とする請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項9】
上記降圧回路と上記昇圧回路とを直列接続した直列回路をバイパスする第3のバイパス回路を備え、該第3のバイパス回路は、バイパスリレーと該バイパスリレーに並列接続され該バイパスリレーを遮断するための遮断回路とを有し、該遮断回路は、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチを互いに逆極性に直列接続して構成することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の電力変換装置。
【請求項10】
上記第2の直流電源から上記第3のバイパス回路を介して上記第1のインバータの直流電源へ至る電流経路に、逆流防止用素子を備えたことを特徴とする請求項8または9に記載の電力変換装置。
【請求項11】
上記第3のバイパス回路は、上記昇圧回路内の整流用素子をバイパスされる経路の外側に配置して接続し、該整流用素子を、上記第2の直流電源から上記第3のバイパス回路を介して上記第1のインバータの直流電源へ至る電流経路における逆流防止用に兼用することを特徴とする請求項9に記載の電力変換装置。
【請求項12】
直流電源の直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続し、上記複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力電圧を制御する電力変換装置において、
第2の直流電源と、降圧回路と昇圧回路とを1つで構成して上記第2の直流電源の電圧を昇降圧する昇降圧コンバータと、該昇降圧コンバータをバイパスする第3のバイパス回路とを備え、
上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、上記第2の直流電源の電圧に応じて上記昇降圧コンバータの昇圧動作、降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないようにして、上記第2の直流電源から上記昇降圧コンバータを介して生成され、
上記第3のバイパス回路は、バイパスリレーと該バイパスリレーに並列接続され該バイパスリレーを遮断するための遮断回路とを有し、該遮断回路は、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチを互いに逆極性に直列接続して構成されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項13】
直流電源の直流電力を交流電力に変換する単相インバータの交流側を複数直列接続し、上記複数の単相インバータの各発生電圧の総和により出力電圧を制御する電力変換装置において、
第2の直流電源と、該第2の直流電源の電圧を降圧する降圧回路と昇圧する昇圧回路とを直列接続した直列回路と、該直列回路をバイパスする第3のバイパス回路とを備え、
上記複数の単相インバータのうち電圧が最大である第1のインバータの直流電源電圧は、
上記第2の直流電源の電圧に応じて、上記昇圧回路による昇圧動作、上記降圧回路による降圧動作のどちらかを選択的に動作させるか、あるいは双方動作させないようにして、上記第2の直流電源から上記直列回路を介して生成され、
上記第3のバイパス回路は、バイパスリレーと該バイパスリレーに並列接続され該バイパスリレーを遮断するための遮断回路とを有し、該遮断回路は、ダイオードが逆並列接続された2つの半導体スイッチを互いに逆極性に直列接続して構成されることを特徴とする電力変換装置。
【請求項14】
上記第2の直流電源から上記第3のバイパス回路を介して上記第1のインバータの直流電源へ至る電流経路に、逆流防止用素子を備えたことを特徴とする請求項12または13に記載の電力変換装置。
【請求項15】
上記第3のバイパス回路は、上記昇圧回路内の整流用素子をバイパスされる経路の外側に配置して接続し、該整流用素子を、上記第2の直流電源から上記第3のバイパス回路を介して上記第1のインバータの直流電源へ至る電流経路における逆流防止用に兼用することを特徴とする請求項13に記載の電力変換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−172485(P2011−172485A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125951(P2011−125951)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【分割の表示】特願2005−359809(P2005−359809)の分割
【原出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【分割の表示】特願2005−359809(P2005−359809)の分割
【原出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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