説明

電力用の電源装置及び電源装置を備える車両

【課題】アッセンブリーコストを低減しながら、高い安全性を確保する。
【解決手段】電力用の電源装置は、導電性を有する外装缶11を備えた複数の角形電池1を、絶縁層2で絶縁して積層状態で配置してなる電池ブロック3と、この電池ブロック3の底面にあって各々の角形電池1に熱結合状態に配置されて、各角形電池1を底面から強制的に冷却する冷却プレート4と、この冷却プレート4を冷却する冷却機構5とを備えている。絶縁層2は、互いに嵌合する嵌合構造で定位置に積層される形状であると共に、外装缶11と一体に形成されている。電池ブロック3は、絶縁層2と角形電池1とが一体構造となった電池ユニット10を、複数積層して構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、ハイブリッド自動車、燃料電池自動車、電気自動車等の自動車を駆動するモータの電源用に使用され、あるいは太陽電池の電力を蓄える電力用の電源装置とこの電源装置を備える車両に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車を走行させるモータを駆動する電源装置や太陽電池で充電されて夜間に電力を供給し、あるいは昼間の電力需要の大きいときに電力を供給する電源装置は、大きな出力が要求される。この電源装置は、複数の電池を直列に接続して出力電圧を高くしている。この種の用途に使用される電源装置として、複数の角形電池を積層して、隣接する角形電池を直列に接続して出力電圧を高くする構造のものが開発されている。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−153141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の電源装置は、複数の角形電池の間に絶縁セパレータを配置して、絶縁セパレータで隣の角形電池を絶縁して積層している。複数の角形電池を積層して電池ブロックとする構造は、隣の角形電池の外装缶との間に電位差ができる。したがって、隣の角形電池を絶縁して積層する必要がある。隣の角形電池を絶縁するために、角形電池の間にはプラスチックなどの絶縁材で成形している絶縁セパレータが配置される。すなわち、電池ブロックは、角形電池と絶縁セパレータとを交互に積層して電池ブロックとしている。この構造の電池ブロックは、角形電池と絶縁セパレータとを定位置に配置して、角形電池を積層状態に固定する必要がある。絶縁セパレータと角形電池との相対位置がずれて、隣の角形電池の外装缶が接触すると、大きなショート電流が流れて安全に使用できず、また電池自体に著しいダメージを与える弊害がある。このため、絶縁セパレータは角形電池の間に正確に、しかも位置ずれしないように配置する必要がある。したがって、多数の角形電池を積層している電池ブロックは組み立てに手間がかかり、また部品点数が多くなって、アッセンブリーコストが高くなる欠点がある。また、長期間使用され、また振動などで絶縁セパレータと角形電池との相対位置がずれると、角形電池に大きなショート電流が流れる弊害も発生する。
【0005】
本発明は、以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、アッセンブリーコストを低減しながら、高い安全性を確保できる電力用の電源装置及び電源装置を備える車両を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0006】
本発明の電力用の電源装置は、導電性を有する外装缶11を備えた複数の角形電池1を、絶縁層2、42、52、62で絶縁して積層状態で配置してなる電池ブロック3と、この電池ブロック3の底面にあって各々の角形電池1に熱結合状態に配置されて、各角形電池1を底面から強制的に冷却する冷却プレート4と、この冷却プレート4を冷却する冷却機構5とを備えている。絶縁層2、42、52、62は、互いに嵌合する嵌合構造で定位置に積層される形状であると共に、外装缶11と一体に形成されている。電池ブロック3は、絶縁層2、42、52、62と角形電池1とが一体構造となった電池ユニット10を、複数積層して構成している。
【0007】
以上の電源装置は、アッセンブリーコストを低減しながら、高い安全性を確保できる特徴がある。それは、嵌合構造を有する絶縁層を外装缶と一体に形成して、角形電池と絶縁層とを一体構造の電池ユニットとすることで、従来の絶縁セパレータを備えない構成であっても、隣接する角形電池を確実に絶縁すると共に、角形電池の相対位置のずれを防止することができるからである。
【0008】
本発明の電力用の電源装置は、絶縁層2、42、52、62を、少なくとも外装缶11の主面1Bを覆う形状とすることができる。
本明細書において、外装缶の主面とは、互いに積層される角形電池同士の対向面となる面を意味している。
以上の電源装置は、外装缶の主面が絶縁層によって覆われているため、積層された角形電池同士を確実に絶縁することができる。また、角形電池に結露が生じても、角形電池の主面が絶縁層によって覆われているため、角形電池の上面に備えられている出力端子に結露した水が伝わることを抑制することができる。
【0009】
本発明の電力用の電源装置は、角形電池1を絶縁層2、42、52、62にインサート成形して、角形電池1と絶縁層2、42、52、62とを一体構造の電池ユニット10とすることができる。
以上の電源装置は、簡単かつ容易に、角形電池の表面に絶縁層を設けて、隣接する角形電池を確実に絶縁できる。
【0010】
本発明の電力用の電源装置は、電池ブロック3が、互いに積層してなる複数の電池ユニット10を両側から一対のエンドプレート7で積層方向に挟着して、さらに、一対のエンドプレート7を連結具8で連結して、一対のエンドプレート7でもって複数の電池ユニット10を積層状態に固定することができる。
以上の電力用の電源装置は、電池ユニットを冷却プレートの上に載せ、電池ブロックを両端をエンドプレートと連結具とで連結することで、電池ユニットを冷却プレートに熱結合状態で確実に固定できる。
【0011】
本発明の電力用の電源装置は、電池ユニット10とエンドプレート7とを嵌合構造で定位置に積層することができる。
以上の電源装置は、電池ユニットとエンドプレートとを位置ずれしない状態で確実に固定できる。
【0012】
本発明の電力用の電源装置は、電池ユニット10の絶縁層2、42、52、62が、中央部を外周部よりも厚く成形することができる。
以上の電源装置は、電池ユニットの積層状態において、絶縁層の中央部が面接触状態で接触して、角形電池の外周部が強く押圧されるのを防止できる。このため、角形電池の外周部が変形する等の弊害を防止できる。
【0013】
本発明の電力用の電源装置は、電池ブロック3と冷却プレート4との間に圧縮されて変形する熱伝導シート6を配置することができる。
以上の電源装置は、熱伝導シートを介して各々の角形電池を確実に安定して冷却プレートに熱結合状態に連結できる。このため、各々の角形電池を確実に温度差が少なくなるように冷却できる。
【0014】
本発明の電力用の電源装置は、電池ユニット10の絶縁層2、42、52、62が、冷却プレート4との対向面である底面に、外装缶11を露出させる開口部22を有し、この開口部22に絶縁材からなる熱伝導シート6を配置し、外装缶11を、熱伝導シート6を介して冷却プレート4に熱結合状態に連結することができる
以上の電源装置は、熱伝導シートを絶縁層の定位置に位置ずれしないように配置して、これでもって、角形電池の外装缶の底面を冷却プレートに確実に熱結合状態に連結できる。このため、冷却プレートでもって、各々の角形電池を安定して温度差が少なくなるように冷却できる。
【0015】
本発明の電力用の電源装置は、電池ユニット10の絶縁層2、42、52、62が、外装缶11の底面1Aの両端部をカバーするカバー部23を有し、このカバー部23の間に開口部22を設けて、このカバー部23と開口部22との境界に位置する境界面24を、角形電池1の底面1Aから冷却プレート4の接触面に向かって開口面積を大きくするように傾斜してなる傾斜面とすることができる。
以上の電源装置は、絶縁層の開口部に配置される熱伝導シートを、角形電池の底面と冷却プレートとで挟着することで、熱伝導シートを拡開させながら、冷却プレートにより広い面積で熱結合状態に密着して、冷却プレートでもって、各々の角形電池を効率よく温度差が少なくなるように冷却できる。
【0016】
本発明の電力用の電源装置は、車両を走行させるモータに電力を供給する装置とすることができる。
以上の電源装置は、出力を大きくしてモータに大電力を供給する構造としながら、多数の角形電池を電池ユニットとして定位置に確実に固定して使用できる。とくに、車両の振動などで角形電池や絶縁層の位置ずれを防止しながら、長期間にわたって多数の角形電池を定位置に固定し、安定に使用できる特徴がある。
【0017】
本発明の電力用の電源装置は、太陽電池の電力で充電して、太陽電池の発電電力を蓄える装置とすることができる
以上の電源装置は、出力を大きくして太陽電池の大きな出力を充電できる構造としながら、多数の角形電池を電池ユニットとして定位置に確実に固定して使用できる。さらに、長期間にわたって多数の角形電池を安定して定位置に固定して使用できる特徴がある。
【0018】
本発明の車両は、上記のいずれかの電源装置を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例にかかる電力用の電源装置の斜視図である。
【図2】図1に示す電源装置の分解斜視図である。
【図3】図1に示す電源装置を背面下側から見た分解斜視図である。
【図4】図1に示す電源装置の水平断面図である。
【図5】図1に示す電源装置の垂直縦断面図である。
【図6】図1に示す電源装置の一部拡大垂直横断面図である。
【図7】図4に示す電源装置の要部拡大断面図である。
【図8】図5に示す電源装置の要部拡大断面図である。
【図9】電池ユニットの拡大斜視図である。
【図10】複数の電池ユニットを積層する嵌合構造を示す分解断面図である。
【図11】複数の電池ユニットを積層する嵌合構造の他の一例を示す分解断面図である。
【図12】複数の電池ユニットを積層する嵌合構造の他の一例を示す分解断面図である。
【図13】複数の電池ユニットを積層する嵌合構造の他の一例を示す分解斜視図である。
【図14】本発明の一実施例にかかる電源装置をエンジンとモータで走行するハイブリッド車に搭載する例を示すブロック図である。
【図15】本発明の一実施例にかかる電源装置をモータのみで走行する電気自動車に搭載する例を示すブロック図である。
【図16】本発明の一実施例にかかる電源装置を蓄電装置に適用する例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための電力用の電源装置及び電源装置を備える車両を例示するものであって、本発明は電源装置及び車両を以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】
本発明の電力用の電源装置は、主として、ハイブリッド自動車や電気自動車などの電動車両に搭載されて、車両の走行モータに電力を供給して、車両を走行させる電源装置に使用され、あるいは太陽電池の電力を蓄えて夜間や昼間のピーク電力時に出力する電源装置に使用される。
【0022】
図1ないし図8に示す電源装置は、導電性を有する外装缶11を備えた複数の角形電池1を絶縁層2で絶縁して積層状態で配置している電池ブロック3と、この電池ブロック3を構成する角形電池1の外装缶11を底面1Aから冷却する冷却プレート4と、この冷却プレート4を冷却する冷却機構5とを備える。以上の電源装置の冷却機構5は、冷却プレート4に冷媒を循環して、冷却プレート4を冷却し、この冷却プレート4を外装缶11に熱結合状態に連結して、角形電池1を強制的に冷却する。冷却機構5は、角形電池1の温度を検出して冷却プレート4の温度を制御する。冷却機構5は、角形電池1の温度が設定温度よりも高くなると、冷却プレート4に冷媒を循環させて冷却プレート4を介して角形電池1を冷却する。角形電池1の温度が設定温度よりも低くなると冷却機構5は冷却プレート4への冷媒の循環を停止する。
【0023】
角形電池1はリチウムイオン二次電池である。ただし、角形電池はリチウムイオン二次電池には特定されず、充電できる全ての電池、たとえばニッケル水素電池なども使用できる。角形電池1は、正負の電極板を積層している電極体(図示せず)を外装缶11に収納して電解液を充填して気密に密閉したものである。外装缶11は、図6に示すように、底を閉塞する四角い筒状に成形したもので、上方の開口部を封口板12で気密に閉塞している。外装缶11は、アルミニウムやアルミニウム合金などの金属板を深絞り加工したもので、表面が導電性を有する。積層される角形電池1は、薄い角形に成形される。封口板12もアルミニウムやアルミニウム合金などの金属板で製作される。この封口板12は、正負の電極端子13を両端部に、絶縁材14を介して固定している。正負の電極端子13は内蔵する正負の電極板(図示せず)に接続される。リチウムイオン二次電池は、外装缶11を電極に接続しない。ただ、外装缶11は電解液を介して電極板に接続されることから、正負の電極板の中間電位となる。ただし、角形電池は、一方の電極端子をリード線で外装缶に接続することもできる。この角形電池は、外装缶に接続される電極端子を絶縁することなく封口板に固定できる。さらに、封口板12は、安全弁15の開口部16を設けている。安全弁15は、外装缶11の内圧が設定値よりも高くなると開弁して、外装缶11が破損するのを防止する。安全弁15が開弁すると内部のガスが封口板12の開口部16から外部に排出される。図6と図9の角形電池1は、封口板12に安全弁15の開口部16を設けている。この角形電池1は、開弁する安全弁15の開口部16からガスを排出できる。それは、外装缶11の内部にはガスが溜まっているからである。角形電池は、外装缶の底部や側部に安全弁の開口部を設けることもできる。ただ、この角形電池は、安全弁が開口するときに電解液が排出される。電解液は導電性の液体で、これが排出されると、接触部をショートさせることがある。封口板12に安全弁15を設ける角形電池1は、開口する安全弁15からガスを排出して内圧を低下できる。このため、安全弁15が開口するときに、電解液の排出を制限して、電解液による弊害を少なくできる。
【0024】
積層される角形電池1は、図示しないが、隣接する電極端子13を接続して、互いに直列又は並列に接続される。並列に接続される角形電池1は外装缶11に電位差が発生しない。ただ、出力を大きくする電源装置は、全ての角形電池1を並列に接続することなく、直列に接続して出力電圧を高くしている。直列に接続される角形電池1は、隣の角形電池1の外装缶11との間に電位差が発生する。したがって、電源装置は、隣の角形電池1の外装缶11の間に絶縁層2を挟んで、隣の角形電池1を絶縁状態で積層している。さらに、各々の角形電池1の間に挟まれる絶縁層2は、隣の角形電池1を熱的に遮断して積層することで、いずれかの角形電池1の温度が異常に高くなって熱暴走する状態となっても、熱暴走が隣の角形電池1の熱暴走を誘発するのを防止する作用もある。したがって、並列に接続している角形電池の間にも絶縁層を配置している電池ブロックは、熱暴走の誘発を防止して、安全性を向上できる。
【0025】
さらに、図示しないが、各々の角形電池1の電極端子13にはリード線(図示せず)が接続される。このリード線は、角形電池1の電圧を検出する保護回路を実装する回路基板(図示せず)に接続される。図示しないが、回路基板は、図1において、電源装置の上方に配設される。
【0026】
電池ブロック3は、互いに隣接する角形電池1の間に絶縁層2を配置している。絶縁層2は、少なくとも、互いに隣接する角形電池1の対向面となる外装缶11の主面1Bのほぼ全体を覆う形状としている。絶縁層2は、隣接する角形電池1の外装缶11を絶縁すると共に、隣接する角形電池1を熱的に遮断する。したがって、絶縁層2は、プラスチックを成形して製作される。ただし、絶縁層は、プラスチックに代わって、ゴム等の絶縁材を成形して製作することもできる。
【0027】
絶縁層2は、角形電池1をインサート成形して、絶縁層2と角形電池1とを一体構造の電池ユニット10としている。この電池ユニット10は、絶縁層2を成形する金型の成形室に角形電池1を仮止めし、成形室にプラスチックを注入して製作される。絶縁層2は、図6ないし図9に示すように、角形電池1の外周面全体と、底面1Aの両端部をカバーし、角形電池1の上面全体と、底面1Aの両端部を除く領域を露出させる形状に成形される。
【0028】
さらに、絶縁層は、図示しないが、軟質のプラスチックやゴム等のゴム状弾性体を角形電池の外形に沿う形状に成形した成形体で構成し、この成形体を角形電池の表面に装着して設けることもできる。この絶縁層は、たとえば、ゴム状弾性体で成形された成形体の内形を広げる状態として内側に角形電池を挿入し、外装缶の表面に弾性的に密着する状態で装着して角形電池を被覆する。これにより、絶縁層と外装缶とを一体的に形成して、絶縁層と角形電池とを一体構造の電池ユニットとすることができる。この絶縁層も、角形電池の外周面全体と、底面の両端部をカバーし、角形電池の上面全体と、底面の両端部を除く領域を露出させる形状とすることができる。
【0029】
図6と図9の絶縁層2は、角形電池1の電極端子13を設けている上面を露出させている。角形電池1は、上面の封口板12に電極端子13や安全弁15の開口部16を設けている。封口板12の表面を露出させている電池ユニット10は、電極端子13の接続を簡単にできる。また安全弁15の開口部16を閉塞しないので、安全弁15の開口部16に排出ダクト(図示せず)などを連結できる。
【0030】
絶縁層2は、電池ユニット10の積層面17の中央部をカバーする領域を、積層面17の外周部よりも厚く成形して肉厚部21を設けている。この電池ユニット10は、積層面17を互いに密着させる状態で積層して、絶縁層2の積層面17の中央部に設けた肉厚部21が面接触状態で接触して、角形電池1の対向面の外周部が強く押圧されるのを防止できる。
【0031】
さらに、絶縁層2と角形電池1とを一体構造とする電池ユニット10は、絶縁層2を嵌合構造として、定位置に積層される形状としている。絶縁層2の嵌合構造は、互いに隣接して積層される電池ユニット10の対向する積層面17に対向して設けた嵌着凸部25と嵌入凹部26とで構成している。この嵌合構造は、積層面17から突出する嵌着凸部25を、対向する嵌入凹部26に案内して嵌合状態で連結する。ただ、嵌合構造は、嵌着凸部を案内する嵌入凹部にかわって、嵌合孔を設けることもできる。
【0032】
図2と図3に示す電池ユニット10の絶縁層2は、一方の積層面17に嵌着凸部25を設けて、他方の積層面17には嵌着凸部25を案内する嵌入凹部26を設けている。すなわち、図2と図3において、互いに隣接して積層される電池ユニット10の絶縁層2は、互いに対向する積層面17の一方に嵌着凸部25を設けて、他方にこの嵌着凸部25を案内する嵌入凹部26を設けている。図の絶縁層2は、一方の積層面17に複数の嵌着凸部25を設けると共に、この積層面17と対向する積層面17には、これらの嵌着凸部25を案内する複数の嵌入凹部26を設けており、互いに積層される電池ユニット10の位置と姿勢とを特定できるようにしている。図の絶縁層2は、互いに対向する積層面17であって、肉厚部21の四隅部に位置して、嵌着凸部25と嵌入凹部26とを設けている。
【0033】
図に示す絶縁層2は、嵌着凸部25の外形を円形として、この円形の嵌着凸部25を案内する嵌入凹部26の内形を嵌着凸部25の外形に沿う円形状としている。嵌入凹部26の内形は、嵌着凸部25の外形にほぼ等しくし、あるいはやや大きくして、嵌着凸部25を嵌入凹部26に嵌合状態で連結できるようにしている。このように、円形の嵌着凸部25を嵌入凹部26に案内して位置決めする嵌合構造は、積層面17に複数の嵌着凸部25と嵌入凹部26を設けることで、電池ユニット10の位置と姿勢とを特定して定位置に積層できる。ただ、嵌着凸部と嵌入凹部は、必ずしも円形とする必要はなく、多角形状とすることもできる。すなわち、嵌着凸部の外形を多角形状として、嵌入凹部の内形をこの嵌着凸部の外形に沿う多角形状とすることもできる。このように、多角形状の嵌着凸部を嵌入凹部に案内して位置決めする嵌合構造は、積層面に、1ないし複数の嵌着凸部と嵌入凹部を設けて、電池ユニットの位置と姿勢とを特定して定位置に積層できる。さらに、絶縁層の嵌合構造は、嵌着凸部を凸条として、この凸条の嵌着凸部を案内する嵌入凹部を溝状とすることもできる。この嵌合構造も電池ユニットの位置と姿勢とを特定しながら定位置に積層できる。
【0034】
以上の嵌合構造は、図10に示すように、隣接する電池ユニット10同士の互いに対向する積層面17の一方に設けた嵌着凸部25を、他方に設けた嵌入凹部26に案内して、複数の電池ユニット10を定位置に位置決めしながら積層する。さらに、互いに積層される電池ユニット10は、図10に示すように、互いに隣接する電池セル1同士を直列に接続するために、隣接する電池セル1の正負の出力端子13が逆向きとなるように、電池セル1を交互に左右反転する姿勢で積層している。したがって、図10において上下に位置する電池ユニット10と、中間に位置する電池ユニット10とでは、電池セル1の正負の出力端子13の配置に対して、絶縁層2に設ける嵌着凸部25と嵌入凹部26の配列を逆転させている。
【0035】
さらに、絶縁層の嵌合構造は、図11に示す構造とすることもできる。図11に示す嵌合構造は、一方の積層面17の両側に位置して嵌着凸部25と嵌入凹部26とを設けると共に、この積層面17に積層される他方の積層面17の両側の対向位置に、嵌入凹部26と嵌着凸部25とを設けて、互いに対向する嵌着凸部25を嵌入凹部26に案内して嵌合させる構造としている。図11に示す電池ユニット10は、絶縁層42の対向する積層面17に設ける嵌着凸部25と嵌入凹部26とを、平面視で点対称の配列となるようにそれぞれ配置している。この構造は、互いに隣接する電池セル1同士を直列に接続するために、隣接する電池セル1を交互に左右反転させて正負の出力端子13が逆向きとなるように配置しても、積層面17の対向位置に配置される嵌着凸部25と嵌入凹部26とを同じ配列にできる。したがって、同じ構造の電池ユニットを製造して、複数の電池セル1を直列に接続できる姿勢で、すなわち、交互に左右反転させながら積層できる。
【0036】
さらに、絶縁層の嵌合構造は、嵌着凸部と嵌入凹部からなる以上の構造には特定されず、たとえば、図12に示すように、絶縁層52の両側にガイド片27を設けて、このガイド片27の内側に隣接する電池ユニット10を案内する形状とすることもできる。図12に示す絶縁層52は、電池ユニット10の両側面に位置して、電池ユニット10の積層方向に突出するガイド片27を一体成形して設けている。図の絶縁層52は、両側のガイド片27を一方向に突出させており、両側のガイド片27の間に隣接する電池ユニット10を案内して、積層される電池ユニット10同士の左右方向の位置ずれを防止している。さらに、図に示す絶縁層52は、隣接する電池ユニット10のガイド片27を定位置に連結するために、ガイド片27を案内するガイド凹部28をガイド片27に対向して設けている。このガイド凹部28に左右のガイド片27を案内して、積層される電池ユニット10同士の上下方向の位置ずれを防止している。さらに、図12において、互いに積層される電池ユニット10は、互いに隣接する電池セル1同士を直列に接続するために、隣接する電池セル1の正負の出力端子13が逆向きとなるように、電池セル1を交互に左右反転する姿勢で積層している。したがって、図12において上下に位置する電池ユニット10と、中間に位置する電池ユニット10とでは、電池セル1の正負の出力端子13の配置に対して、絶縁層52に設けるガイド片27とガイド凹部28の配列を逆転させている。
【0037】
さらに、絶縁層に設けるガイド片は、図13に示す構造とすることもできる。図13に示す絶縁層62は、電池ユニット10の各側面において、互いに逆方向に突出するガイド片27を上下に隣接して設けると共に、電池ユニット10の両側面に設けるガイド片27同士を、平面視で点対称の姿勢となるようにそれぞれ配置している。これにより、互いに積層される電池ユニット10同士は、上下に位置して対向するガイド片27同士を互いに当接させることで上下の位置ずれが防止されると共に、電池ユニット10の両側面において同方向に突出するガイド片27に挟着される状態で位置決めされて、左右方向の位置ずれが防止される。さらに、この構造は、互いに隣接する電池セル1同士を直列に接続するために、隣接する電池セル1を交互に左右反転させて正負の出力端子13が逆向きとなるように配置しても、電池ユニット10の両側面の対向位置に配置されるガイド片27を同じ配列にできる。したがって、同じ構造の電池ユニットを製造して、複数の電池セル1を直列に接続できる姿勢で、すなわち、交互に左右反転させながら積層できる。
【0038】
さらに、本発明の電源装置は、絶縁層の嵌合構造を、以上の構造には特定しない。絶縁層の嵌合構造は、互いに隣接して積層される電池ユニットを位置ずれしないように嵌合できる他の全ての形状とすることができる。
【0039】
絶縁層2は、図3と図6に示すように、冷却プレート4との対向面である底面に、外装缶11を露出させる開口部22を設けている。この開口部22に絶縁性の熱伝導シート6を配置して、外装缶11を熱伝導シート6を介して冷却プレート4に熱結合状態に連結している。図3と図6の絶縁層2は、外装缶11の底面1Aの両端部をカバーするカバー部23を有し、このカバー部23の間に開口部22を設けている。カバー部23の厚さは、熱伝導シート6の厚さに等しく、カバー部23と熱伝導シート6の両方を冷却プレート4の表面に密着させている。この構造は、カバー部23を薄くして熱伝導シート6を薄くし、カバー部23を厚くして熱伝導シート6を厚くする。熱伝導シート6は、薄くすることで、角形電池1をより効果的に冷却プレート4で冷却できる。ただ、熱伝導シートが薄すぎると充分な強度を実現することが難しくなるので、好ましくは熱伝導シートの厚さは0.5mm〜1.5mm程度とする。
【0040】
さらに、カバー部23は、図6の一部拡大断面図に示すように、開口部22との境界に位置する境界面24を、角形電池1の底面1Aから冷却プレート4との接触面に向かって開口面積を大きくするように傾斜している傾斜面としている。この構造は、絶縁層2の開口部22に配置する熱伝導シート6を、角形電池1の底面1Aと冷却プレート4とで挟着して、押圧して変形できる熱伝導シート6を冷却プレート4の表面に沿って拡開させながら密着できる。このため、熱伝導シート6を冷却プレート4により広い面積で確実に密着させて、より好ましい熱結合状態にできる。このため、冷却プレート4でもって、各々の角形電池1を効率よく温度差が少なくなるように冷却できる。
【0041】
熱伝導シート6は、電池ブロック3の角形電池1と冷却プレート4の間で圧縮されて変形して、角形電池1の底面1Aと冷却プレート4の両面に面接触状態で密着する。熱伝導シート6は、その表面にシリコンオイル等の絶縁性の熱伝導ペーストを塗布することで、角形電池1の底面1Aと冷却プレート4との表面により確実に安定して面接触状態に密着させることもできる。また、図示しないが、角形電池の底面を露出させる開口部に熱伝導ペーストを充填して、熱伝導ペーストを介して角形電池の底面を冷却プレートに熱結合状態に連結することもできる。この構造は、必ずしも熱伝導シートを使用することなく、熱伝導ペーストのみで角形電池を冷却プレートの表面に熱結合状態に連結できる。
【0042】
以上の電源装置は、熱伝導シート6や熱伝導ペーストを介して各々の角形電池1の底面1Aを確実に安定して冷却プレート4に熱結合状態に連結して、各々の角形電池1を温度差が少なくなるように効率よく冷却できる。ただし、本発明の電源装置は、角形電池の底面を露出させることなく絶縁層でカバーして、冷却プレートの表面に熱結合状態に連結することもできる。
【0043】
積層される複数の電池ユニット10は、図1ないし図6に示すように、積層している電池ユニット10の両端面に配置される一対のエンドプレート7と、このエンドプレート7に、端部を連結している連結具8とで積層状態に固定される。
【0044】
エンドプレート7は、硬質のプラスチックで成形され、あるいはアルミニウムやその合金などの金属で製作される。エンドプレート7は、広い面積で電池ユニット10を挟着するために、その外形を電池ユニット10と同じ四角形としている。四角形のエンドプレート7は、電池ユニット10と同じ大きさに、あるいは電池ユニット10よりもわずかに大きくしている。さらに、エンドプレート7は、電池ユニット10との積層面17を嵌合構造とすることで、電池ユニット10と位置ずれしないように連結できる。この嵌合構造は、前述した電池ユニット10の嵌合構造と同じ構造とすることができる。図2と図3に示すエンドプレート7は、電池ユニット10の積層面17に設けた嵌着凸部25と対向する位置に、この嵌着凸部25を案内する嵌入凹部26を設けると共に、電池ユニット10の積層面17に設けた嵌入凹部26と対向する位置に、この嵌入凹部26に案内される嵌着凸部25を設けている。以上の電源装置は、電池ユニット10とエンドプレート7の積層面17に対向して設けた嵌着凸部25と嵌入凹部26とを嵌合させて位置ずれしない状態で固定される。さらに、電池ユニットとエンドプレートの嵌合構造は、図示しないが、両側に設けたガイド片で構成することもできる。ただし、必ずしも電池ユニットの嵌合構造と同じ構造とする必要はなく、電池ユニットとエンドプレートとを位置ずれしないように嵌合できる全ての形状とすることができる。
【0045】
エンドプレート7には、金属バンド8Aからなる連結具8の端部が連結される。金属バンド8Aは、止ネジ8Bを介してエンドプレート7に連結している。止ネジ8Bで金属バンド8Aを連結するエンドプレート7は、止ネジ8Bをねじ込む雌ネジ孔7aを設けている。雌ネジ孔7aは、エンドプレート7の外側表面に設けられて、金属バンド8Aの両端に設けた折曲部8aを貫通する止ネジ8Bをねじ込んで金属バンド8Aを連結する。図の金属バンド8Aは、止ネジ8Bでエンドプレート7に固定しているが、金属バンドの端部を内側に折曲してエンドプレートに連結し、あるいはまた、端部をかしめてエンドプレートに連結することもできる。
【0046】
図1ないし図3の電源装置は、電池ユニット10の上端部に沿って配置される金属バンド8Aと、電池ユニット10の下端部に沿って配設される金属バンド8Aをエンドプレート7に連結している。この電源装置は、エンドプレート7の上端と下端であって、外側表面の両側部に雌ネジ孔7aを設けている。この電源装置は、電池ユニット10の上下を金属バンド8Aで固定する。電源装置は、図示しないが、金属バンドを上下の中間であって、中央部の上下に配設することもできる。金属バンド8Aの端部を止ネジ8Bで固定するエンドプレート7は、雌ネジ孔7aを金属バンド8Aの連結位置に設けている。
【0047】
金属バンド8Aは、所定の厚さの金属板を所定の幅に加工して製作される。金属バンド8Aは、端部をエンドプレート7に連結して、一対のエンドプレート7を連結して、その間に複数の電池ユニット10を圧縮状態に保持する。金属バンド8Aは、一対のエンドプレート7を所定の寸法に固定して、その間に積層される角形電池1と絶縁層2を所定の圧縮状態に固定する。角形電池1の膨張圧力で金属バンド8Aが伸びると、角形電池1の膨張を阻止できない。したがって、金属バンド8Aには、角形電池1の膨張圧で伸びない強度の金属板、たとえばSUS304等のステンレス板や鋼板等の金属板を十分な強度を有する幅と厚さに加工して製作される。さらに、金属バンドは、金属板を溝形に加工することもできる。この形状の金属バンドは、曲げ強度を強くできるので、幅を狭くしながら、積層する角形電池をしっかりと所定の圧縮状態に固定できる特長がある。
【0048】
金属バンド8Aは、端部に折曲部8aを設けて、折曲部8aをエンドプレート7に連結する。折曲部8aは、止ネジ8Bの貫通孔を設けて、ここに挿入される止ネジ8Bを介してエンドプレート7に固定される。
【0049】
冷却プレート4は、図1ないし図3、及び図6に示すように、内部に冷媒を循環させる冷媒路31を設けている。冷媒路31は、フレオンや炭酸ガスなどの冷媒が液状で供給され、内部で冷媒を気化させて気化熱で冷却プレート4を冷却する。この冷却プレート4は、冷媒路31を冷却機構5に連結している。
【0050】
冷却機構5は、図1に示すように、冷媒路31で気化された気体状の冷媒を加圧するコンプレッサ36と、このコンプレッサ36で圧縮された冷媒を冷却して液化させる冷却熱交換器37と、この冷却熱交換器37で液化された冷媒を冷媒路31に供給する膨張弁38とを備える。膨張弁38を介して供給される液状の冷媒は、冷却プレート4内の冷媒路31で気化され、気化熱で冷却プレート4を冷却して冷却機構5に排出される。したがって、冷媒は冷却プレート4の冷媒路31と冷却機構5とに循環して、冷却プレート4を冷却する。この冷却機構5は、冷媒の気化熱で冷却プレート4を低温に冷却するが、冷却プレートは、気化熱によらず冷却することもできる。この冷却プレートは、冷媒路には、低温に冷却されたブラインなどの冷媒を供給して、冷媒の気化熱でなくて、低温の冷媒で直接に冷却プレートを冷却する。
【0051】
冷却機構5は、角形電池1の温度を検出する温度センサ(図示せず)で冷却プレート4の冷却状態をコントロールする。すなわち、角形電池1の温度があらかじめ設定している冷却開始温度よりも高くなると、冷却プレート4に冷媒を供給して冷却し、角形電池1が冷却停止温度よりも低くなると、冷却プレート4への冷媒の供給を停止して、角形電池1をあらかじめ設定している温度範囲にコントロールする。
【0052】
以上の電源装置は、車載用の電源として利用できる。電源装置を搭載する車両としては、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車やプラグインハイブリッド自動車、あるいはモータのみで走行する電気自動車などの電動車両が利用でき、これらの車両の電源として使用される。
【0053】
図14は、エンジンとモータの両方で走行するハイブリッド自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両HVは、車両HVを走行させるエンジン96及び走行用のモータ93と、モータ93に電力を供給する電源装置90と、電源装置90の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置90は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。車両HVは、電源装置90の電池を充放電しながらモータ93とエンジン96の両方で走行する。モータ93は、エンジン効率の悪い領域、たとえば加速時や低速走行時に駆動されて車両を走行させる。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、エンジン96で駆動され、あるいは車両にブレーキをかけるときの回生制動で駆動されて、電源装置90の電池を充電する。
【0054】
また、図15は、モータのみで走行する電気自動車に電源装置を搭載する例を示す。この図に示す電源装置90を搭載した車両EVは、車両EVを走行させる走行用のモータ93と、このモータ93に電力を供給する電源装置90と、この電源装置90の電池を充電する発電機94とを備えている。電源装置90は、DC/ACインバータ95を介してモータ93と発電機94に接続している。モータ93は、電源装置90から電力が供給されて駆動する。発電機94は、車両EVを回生制動する時のエネルギーで駆動されて、電源装置90の電池を充電する。
【0055】
さらに、本発明は、電源装置の用途を、車両を走行させるモータの電源には特定しない。本発明の電源装置は、太陽光発電や風力発電等で発電された電力で電池を充電して蓄電する蓄電装置用の電源として使用することができ、あるいは、夜間の深夜電力を利用して電池を充電して蓄電する蓄電装置用の電源として使用することもできる。深夜電力で充電される電源装置は、発電所の余剰電力である深夜電力で充電して、電力負荷の大きくなる昼間に電力を出力して、昼間のピーク電力を小さく制限することができる。さらに、電源装置は、太陽電池の出力と深夜電力の両方で充電する電源としても使用できる。この電源装置は、太陽電池で発電される電力と深夜電力の両方を有効に利用して、天候や消費電力を考慮しながら効率よく蓄電できる。
【0056】
図16に示す蓄電装置は、商用電源の深夜電力や太陽電池等の充電用電源85で電源装置80の電池を充電し、電源装置80の電池を放電して負荷81のDC/ACインバータ82に電力を供給する。このため、図の蓄電装置は、充電モードと放電モードを備える。充電用電源85は、充電スイッチ86を介して電源装置80に接続されており、DC/ACインバータ82は、放電スイッチ84を介して電源装置80に接続されている。放電スイッチ84及び充電スイッチ86のON/OFFは、電源装置80の制御回路87によって切り替えられる。充電モードにおいて、制御回路87は充電スイッチ86をONに、放電スイッチ84をOFFに切り替えて、充電用電源85から供給される電力で電源装置80の電池を充電する。電源装置80は、充電が完了して満充電になり、あるいは所定値以上の容量が充電されると、制御回路87が充電スイッチ86をOFFに切り換えて充電を停止する。また、放電モードにおいて、制御回路87は、放電スイッチ84をONに、充電スイッチ86をOFFに切り替えて、電源装置80から負荷81へ電力を供給する。電源装置80から電力が供給される負荷81は、DC/ACインバータ82を介して電源装置80からの電力を電気機器83に供給する。電源装置80は、電池の残容量が所定の容量まで低下すると、制御回路87が放電スイッチ84をOFFに切り換えて放電を停止する。さらに、蓄電装置は、必要に応じて、充電スイッチ86と放電スイッチ84の両方をONにして、負荷81への電力供給と、電源装置80への充電を同時に行うこともできる。
【0057】
以上のような蓄電装置は、コンピュータサーバのラックに搭載可能なバックアップ電源、携帯電話等の無線基地局用のバックアップ電源、家庭内用または工場用の蓄電用電源、街路灯の電源、信号機や道路用の交通表示器等の電源などの用途に好適に利用できる。
【符号の説明】
【0058】
1…角形電池 1A…底面
1B…主面
2…絶縁層
3…電池ブロック
4…冷却プレート
5…冷却機構
6…熱伝導シート
7…エンドプレート 7a…雌ネジ孔
8…連結具 8A…金属バンド
8a…折曲部
8B…止ネジ
10…電池ユニット
11…外装缶
12…封口板
13…電極端子
14…絶縁材
15…安全弁
16…開口部
17…積層面
21…肉厚部
22…開口部
23…カバー部
24…境界面
25…嵌着凸部
26…嵌入凹部
27…ガイド片
28…ガイド凹部
31…循環路
36…コンプレッサ
37…冷却熱交換器
38…膨張弁
42…絶縁層
52…絶縁層
62…絶縁層
80…電源装置
81…負荷
82…DC/ACインバータ
83…電気機器
84…放電スイッチ
85…充電用電源
86…充電スイッチ
87…制御回路
90…電源装置
93…モータ
94…発電機
95…DC/ACインバータ
96…エンジン
EV…車両
HV…車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有する外装缶(11)を備えた複数の角形電池(1)を、絶縁層(2;42;52;62)で絶縁して積層状態で配置してなる電池ブロック(3)と、この電池ブロック(3)の底面にあって各々の角形電池(1)に熱結合状態に配置されて、各角形電池(1)を底面から強制的に冷却する冷却プレート(4)と、この冷却プレート(4)を冷却する冷却機構(5)とを備える電力用の電源装置であって、
前記絶縁層(2;42;52;62)は、互いに嵌合する嵌合構造により定位置に積層される形状であると共に、前記外装缶(11)と一体に形成され、
前記電池ブロック(3)は、前記絶縁層(2;42;52;62)と前記角形電池(1)とが一体構造となった電池ユニット(10)を、複数積層して構成されることを特徴とする電力用の電源装置。
【請求項2】
前記絶縁層(2;42;52;62)は、少なくとも前記外装缶(11)の主面(1B)を覆う形状である請求項1に記載される電力用の電源装置。
【請求項3】
前記角形電池(1)が前記絶縁層(2;42;52;62)にインサート成形されて、角形電池(1)と絶縁層(2;42;52;62)とを一体構造の電池ユニット(10)としてなる請求項1または2に記載される電力用の電源装置。
【請求項4】
前記電池ブロック(3)が、互いに積層してなる複数の電池ユニット(10)を両側から一対のエンドプレート(7)で積層方向に挟着しており、さらに、一対のエンドプレート(7)を連結具(8)で連結して、一対のエンドプレート(7)でもって複数の電池ユニット(10)を積層状態に固定している請求項1ないし3のいずれかに記載される電力用の電源装置。
【請求項5】
前記電池ユニット(10)とエンドプレート(7)とが嵌合構造である請求項4に記載される電力用の電源装置。
【請求項6】
前記電池ユニット(10)の絶縁層(2;42;52;62)が、中央部を外周部よりも厚く成形してなる請求項1ないし5のいずれかに記載される電力用の電源装置。
【請求項7】
前記電池ブロック(3)と冷却プレート(4)との間に圧縮されて変形する熱伝導シート(6)を配置してなる請求項1ないし6のいずれかに記載される電力用の電源装置。
【請求項8】
前記電池ユニット(10)の絶縁層(2;42;52;62)が、冷却プレート(4)との対向面である底面に、外装缶(11)を露出させる開口部(22)を有し、この開口部(22)に絶縁材からなる熱伝導シート(6)が配置されて、外装缶(11)が熱伝導シート(6)を介して冷却プレート(4)に熱結合状態に連結されてなる請求項7に記載される電力用の電源装置。
【請求項9】
前記電池ユニット(10)の絶縁層(2;42;52;62)が、外装缶(11)の底面(1A)の両端部をカバーするカバー部(23)を有し、このカバー部(23)の間に開口部(22)を設けており、このカバー部(23)と開口部(22)との境界に位置する境界面(24)が、角形電池(1)の底面(1A)から冷却プレート(4)の接触面に向かって開口面積を大きくするように傾斜してなる傾斜面である請求項8に記載される電力用の電源装置。
【請求項10】
電源装置が車両を走行させるモータに電力を供給する装置である請求項1ないし9のいずれかに記載される電力用の電源装置。
【請求項11】
電源装置が太陽電池の電力で充電されて、太陽電池の発電電力を蓄える装置である請求項1ないし9のいずれかに記載される電力用の電源装置。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれか一に記載される電源装置を備える車両。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−248339(P2012−248339A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117416(P2011−117416)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】