説明

電動カーテン用プーリ緊張機構

【課題】先導ランナの稼動範囲を大きくし、カーテンを終端までしっかりと閉じることのでき、そして、手でも軽くカーテンの開閉を行えるプーリ緊張機構を提供する。
【解決手段】フレーム1に形成された軸方向に伸びるコ型溝1aに当接し、且つ、フレーム1に形成された長穴1bを介しフレーム1に調整後固定されるブラケット15がフレーム1の終端に緊張機構を備えた従動プーリ2を収納すべく配設されている。また、前記ブラケット15は前記フレーム1のコ型溝1aとの間に軸方向に延長する複数の平行溝を形成するスポット溶接で接合された補助ブラケット17を有し、且つ、前記ブラケット15のL字加工されたバール部15dで弾性部材18の一端を受ける構成となっている。そして、該弾性部材18および前記ブラケット15のL字加工部の横幅Aは従動プーリ2を周回する紐間幅Bより充分狭く構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカーテンの開閉に用いられる紐を常時緊張状態におくために従動プーリに緊張機構を備える電動カーテンに関するものである。
【背景技術】
【0002】
カーテンの開閉に用いられる紐を常時緊張状態におくために2つの方法がとられている。
1つはカーテンの先導ランナ本体に、その前後に、ストッパを立設し、該ストッパ間にコイルスプリングを配し、その両端に紐の各一端を連結して、紐自体をコイルスプリングの伸張力で緊張状態とするものである。
【特許文献1】特許公開平10−151064 他の1つは駆動プーリと紐で駆動される従動プーリの構成において、駆動プーリを回転自由に固定し、従動プーリを回転自由の状態で紐が緊張する側にコイルスプリングにより常に付勢するプーリ緊張機構がある。
【特許文献2】特許公開2000−350652
【0003】
前記紐自体に緊張を与える方式においては、構造は簡単であるが先導ランナと紐が固定されているために次の2つの欠点を有する。1つは、電動モータでカーテンを開閉する場合にカーテンの開閉の終端において先導ランナおよび紐の動きが止まっても電動モータはしばらく回転を継続し、駆動側プーリは回転を継続し、所定の時間後に停止する(時間停止制御)。この間、駆動プーリと紐の同じ終端2位置で常にスリップを生ずることとなる。そのため、不本意に紐が伸びたり、損傷するという欠点を生じる。
本来、先導ランナの動きを時間停止制御ではなく位置決め制御すれば、このような不本意なプーリと紐間のスリップを防止できるが、カーテンを開く動きの場合には、カーテンの綴じ込み厚さが一定せず、位置が決まらないことと、更に、カーテンの開閉時に、カーテンの裾が窓サッシに引っかかるとか、或いはカーテンの房で縛られていてカーテンが動かない開閉阻害時には、位置決め制御ではプーリと紐間のスリップが持続するという危険性があるため時間停止制御を採用するのが一般的となっている。
2つは、手でカーテンを開閉させる場合に先導ランナ、コイルスプリングおよび紐の終端部が強制的に引かれるため電動モータを強制的に手で回す結果となる。一般的にはこの種の電動モータはDCブラシ付モータが使用され、ドラッグトルクが大きく、且つ、プーリやタイミングベルトで減速しているため、減速比に比例してドラッグトルクが大きくなる。引き荷重では15〜25N程度になり、手によるカーテンの開閉がかなり重たくなるという欠点がある。
しかしながら、前述の紐自体に緊張を与える方式は従動プーリを単独でフレーム終端に配設でき、先導ランナの稼動範囲を大きく取れるという利点がある。
【0004】
一方、従動プーリに緊張を与える方式においては、従動プーリ緊張機構を別体のプーリフレームに軸方向摺嵌可能に配設すると共にプーリフレーム自体もフレーム本体に軸方向調節可能に配設し、更に、コイルスプリングで常時緊張状態を維持させることから、構造が複雑化する。この結果、フレームが無駄に長くなり、そして、先導ランナの稼動範囲を狭める。結果として、カーテンを閉める際に終端に間隙を生じやすくなる。
【0005】
このようなことから、紐やプーリがスリップでたるんだり、破損しなく、且つ、カーテンを終端までしっかりと閉じ、そして、手でも軽く開閉することができるという前述の2方式の電動カーテンの利点のみを有する電動カーテンが望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
この様な問題解決のため、直接フレーム本体に従動プーリ緊張機構が軸方向調節可能に配設でき、先導ランナの稼動範囲を大きくし、カーテンを終端までしっかりと閉じることのでき、時間停止制御時のスリップによる局部的な紐の磨耗による破損のない、そして、手でも軽くカーテンの開閉を行える構造簡単なプーリ緊張機構を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
フレーム1に形成された軸方向に伸びるコ型溝1aに当接し、且つ、フレーム1に形成された長穴1bを介しフレーム1に調整後固定されるブラケット15がフレーム1の終端に緊張機構を備えた従動プーリ2を収納すべく配設されている。また、前記ブラケット15は前記フレーム1のコ型溝1aとの間に軸方向に延長する複数の平行溝を形成するスポット溶接で接合された補助ブラケット17を有し、且つ、前記ブラケット15のL字加工されたバール部15dで弾性部材18の一端を受ける構成となっている。そして、該弾性部材18および前記ブラケット15のL字加工部の横幅Aは従動プーリ2を周回する紐間幅Bより充分狭く構成されている。
更に、該ブラケット15、補助ブラケット17およびフレーム1のコ型溝1aで形成された複数の平行溝に軸方向に摺動可能に摺嵌するフォーク部14aを有し、従動プーリ2を回転自由に付設し、且つ、前記弾性部材18の他端をバール部16bで受けるケース14と該ケース14にスポット溶接されたプーリケース16を備えるコンパクトなプーリ緊張機構。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明のプーリ緊張機構はフレーム1の終端に調節可能にコンパクトに配置され、尚且つ、先導ランナ6が弾性手段18およびブラケット15のL字部の横を何の妨げも無く通過し、従動プーリの近傍まで稼動できるため、先導ランナの金具7のカーテン先導部がカーテンを充分閉じる位置まで進行可能となり、カーテンを閉じた際に間隙を生じない。また、カーテンの開閉の終端部に於いて、時間停止制御を採っている限り、駆動プーリと紐間のスリップは避けがたいことであるが、図1の様に先導ランナ6が紐5に拘束されていなければ、紐5は連続的に周回し、特定の場所のみでの局部的な駆動プーリ3と紐5間のスリップを生じない。合わせて、ループ状に周回する紐5は本発明によるプーリ緊張機構で適度に緊張維持され紐がだれることはない。
更に、手でカーテンを開閉させる場合には、先導ランナ6と紐5の間で摺動するのみで減速機構を備えた電動モータ11を共回させることがないため軽くカーテン12の開閉を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
電動モータ11で減速駆動される駆動プーリ3と緊張機構を備えた従動プーリ2間をループ状に周回する紐5に適度な摩擦で牽引される先導ランナ6の稼動範囲を大きくとれるプーリ緊張機構
【実施例1】
【0010】
図1は電動カーテンの一般的な全体構成を示すものである。カバー13は電動モータ11、制御基板および減速機構を収納し、カーテン12を移動させるための機構を収納するフレーム1と取外し可能に結合されている。減速機構は電動モータ11と結合し回転する減速用駆動プーリ10とタイミングベルト9で駆動される減速用従動プーリ4で電動モータの回転の約1/5〜1/10に減速する。減速用従動プーリ4と駆動プーリ3は一体結合されており、該駆動プーリ3はフレーム1の終端に位置する従動プーリ2の間をループ状に周回する紐5を介して、先導ランナ6を適度な摩擦で駆動する。また、該先導ランナー6に具備された金具7はカーテン12の先頭部を拘束し、フレーム1に形成されたガイドレール1dを摺嵌する数個のランナ8の案内で電動モータ11の正逆回転に従ってカーテンを適時往復動せしめる構成となっている。
【0011】
図2は実施例を斜視図で示したものでフレーム1の終端部に本発明である従動プーリ緊張機構を取り付ける前の状態を示したものである。
フレーム1には前記先導ランナ6および数個のランナ8が摺嵌するための軸方向に伸びるガイドレル1d、前記ランナが通過する開口部1c、前記フレームの内側にコ型溝1aおよび上部外側に長穴1bが形成されている。
ブラケット15は前記フレーム1に形成された軸方向に伸びるコ型溝1aに当接し、且つ、フレーム1に形成された長穴1bを介し、一体結合された2個のボルト19、ワッシャ21及びナット20で該フレーム1の終端部に調整後固定される構成となっている。また、前記ブラケット15は前記フレーム1のコ型溝1aとの間に2つの平行溝15bを形成するためのスポット溶接接合15cされた補助ブラケット17を有し、且つ、該ブラケット15のL字加工されたバール部15dで弾性部材18の一端を受ける構成となっている。更に、ケース14は前記2つの平行溝15bに軸方向に摺動可能に摺嵌するフオーク部14aを有し、該ケース14にスポット溶接接合16aされたプーリケース16を有し、そして、該プーリケース16には従動プーリ2がボルト22ナット23で回転自由に付設され、且つ、前記弾性部材18の他端をバール部16bで受け、常時、前記弾性部材18により前記従動プーリ2および紐5が緊張する方向に付勢されている。
【0012】
図3は他の実施例を斜視図で示したものである。前記実施例はブラケット15及びケース14のプレス加工性を良くし、前記ブラケットの平行溝15bとケース14のフオーク部14aの摺嵌精度を高めるため、補助ブラケット17及びプーリブラケット16に夫々分割スポット溶接で接合した実施例を示すが、図3はブラケット15’及びケース14’を夫々一体でプレス加工した実施例を示す。ブラケット15’はフレーム1のコ型溝1aに当接する面15aと軸方向に延長する複数の平行溝を形成するガイド部15eを一体化しており、フォーク部14aを有するケース14’は前記プーリケース16を一体化している。しかしながら、この場合ブラケット15’のガイド部15eの肩部にプレス加工時のRが生じるため、前記フオーク部14aの間にスキマCを生じる可能性があり、前述のスポット溶接タイプ比較して組み付け精度が悪くなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】電動カーテンの一般的な全体構成を示すものである。
【図2】本発明の実施例を斜視図で示したものを示す。
【図3】本発明の他の実施例を斜視図で示したものを示す。
【符号の説明】
【0014】
1 フレーム
2 従動プーリ
3 駆動プーリ
4 減速用従動プーリ
5 紐

6 先導ランナ
7 金具
8 ランナ

9 タイミングベルト

10 減速用駆動プーリ
11 電動モータ
12カーテン
13カバー


【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンの開閉に用いられる紐を常時緊張状態におくために従動プーリに緊張機構を備える電動カーテンにおいて、フレームに形成された長穴で軸方向調整可能に付設され、弾性部材の一端を受け、且つ、該フレームの内側に形成されたコ型溝との間に軸方向に延長する複数の平行溝を形成するブラケット、そして、該複数の平行溝に軸方向に摺嵌するフォーク部を有し、従動プーリを回転自由に付設し、且つ前記弾性部材の他端を受けるプーリケースを備えるプーリ緊張機構。
【請求項2】
請求項1のプーリ緊張機構において、フレームの内側に形成されたコ型溝との間に軸方向に延長する複数の平行溝を精度よく形成するためにブラケットを2分割して補助ブラケットをスポット溶接で接合したことを特徴とするプーリ緊張機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−244784(P2007−244784A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−75866(P2006−75866)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(301010892)百瀬機械設計株式会社 (16)
【出願人】(592174154)和光技研工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】