説明

電動ドアの開閉操作装置

【課題】 ペットなどの挟み込みを確実に防止できながら、カーテンなどを誤検知することを防止できる電動ドアの開閉操作装置を提供する。
【解決手段】 本発明の開閉操作装置は、リモコン4と、リモコン4の指示に応じて一方のガラス引き戸3Aを開閉する駆動部5を有している。リモコン4は、一方のガラス引き戸3Aの閉じ動作を指示するための閉ボタンスイッチ26を有している。駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aの閉じ動作の開始後に当該一方のガラス引き戸3Aが所定の一時停止位置に達したときには一方のガラス引き戸3Aを一時停止させ、その一時停止後に閉ボタンスイッチ6が押されると、その押されている状態が維持されている間のみ一方のガラス引き戸3Aを閉じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動ドアの開閉を操作するための開閉操作装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、バリアフリー化に関心が高まっており、それに応じてマンションや一般住宅などにおいて、例えば特許文献1に示すように、ベランダへの出入り口に配置される引き戸の開閉を自動化したもの(以下、ベランダ用電動ドアという。)が提案されている。その特許文献1のベランダ用電動ドアでは、当該電動ドアを閉じているときに感知センサ(スポットセンサ)によって人体が検知されると、閉じ動作を中止するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−270407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ベランダの出入り口には、通常カーテンを配置しているために、前記感知センサがカーテンを人体と誤検知して閉じ動作を中止する虞がある。この誤検知を防ごうとすると、例えば電動ドアを開閉する前にカーテンを感知センサの検知範囲外まで開けておかねばならず、その手間が煩わしいことになる。
【0005】
また、ベランダには、プランターなどを置く場合があり、それを誤検知しないように感知センサを調節すると、当該感知センサが猫や子犬などの小動物のペットを感知できない虞がある。この場合、電動ドアを閉じている最中にペットがベランダへ出入りしても、感知センサが当該ペットを検知できないために、ペットが電動ドアに挟み込まれる場合がある。また、感知センサを配置している分だけ、電動ドアの構成が複雑になって電動ドアのコストアップを招いてしまう。
【0006】
本発明は、かかる不都合を解決することを目的とするものであり、ペットなどの挟み込みを確実に防止できながら、カーテンなどを誤検知することを確実に防止できる電動ドアの開閉操作装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記不都合を解決するものである。すなわち本発明は、電動ドア3Aの開閉を指示するための操作部4と、その操作部4の指示に応じて電動ドア3Aを開閉する駆動部5とを有している。操作部4は、電動ドア3Aの閉じ動作を指示するための閉スイッチ26を有している。駆動部5は、電動ドア3Aの閉じ動作の開始後に当該電動ドア3Aが所定の一時停止位置に達したときには電動ドア3Aを一時停止させ、その一時停止後に操作部4の閉スイッチ26がオン操作されると、そのオン操作の状態が維持されている間のみ電動ドア3Aを閉じることを特徴とする。
【0008】
ここでの電動ドア3Aの一時停止位置としては、電動ドア3Aが一時停止している状態で、例えば犬や猫などのペットが通過可能である位置が該当する。またここでは、操作部4が無線通信で駆動部5に指示する場合と、有線通信で駆動部5に指示する場合とが含まれる。さらにここでは、駆動部5が電動ドア3Aの位置をセンサで検出する場合と、駆動部5が電動ドア3Aを駆動するモータ11の回転数から電動ドア3Aの位置を検出する場合などが含まれる。閉スイッチ26には、押しボタン式のスイッチなどが該当する。
【0009】
詳しくは、駆動部5は、電動ドア3Aが一時停止位置よりも全開位置側にあるときには、操作部4の閉スイッチ26を一度だけオン操作するだけで電動ドア3Aを一時停止位置に移動させるようになっている。ここでの全開位置としては、例えば電動ドア3Aの縦框7aに付設した鍵8などが竪枠2aや駆動部5などに当接しない範囲で、電動ドア3Aを開き切った位置が該当する。
【0010】
また、駆動部5は、電動ドア3Aが一時停止位置から全閉位置に達するまでの速度を、電動ドア3Aが全開位置から前記一時停止位置に達するまでの速度よりも遅くしている。全閉位置としては、電動ドア3Aを閉め切った位置が該当する。
【0011】
かかる駆動部5は、電動ドア3Aを駆動するためのモータ11の回転数から電動ドア3Aの位置を判断している。モータ11の回転数とは、当該モータ11が回転した回数を意味する。
【0012】
また、操作部4は、電動ドア3Aの開き動作を指示するための開スイッチ25を有している。駆動部5は、電動ドア3Aの開き動作の開始後に、当該電動ドア3Aが人31の通過が可能な所定の通常開口位置に達すると、電動ドア3Aを一時停止させ、その一時停止後に操作部4の開スイッチ25がオン操作されると、電動ドア3Aを全開位置まで移動させる。開スイッチ25には、押しボタン式のスイッチなどが該当する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の電動ドアの開閉操作装置は、電動ドア3Aが所定の一時停止位置に達したときには当該電動ドア3Aを一時停止させるので、電動ドア3Aと全閉位置側に位置する竪枠2aとの間にペットや障害物があっても、そのペットや障害物を電動ドア3Aと竪枠2aとで挟み込んでしまうことを防止することができる。
【0014】
加えて、一時停止後には閉スイッチ26のオン操作の状態を維持し続けないと、電動ドア3Aを閉じることができないので、例えばペットが一時停止後の閉じ動作の最中に突然ベランダに出ようとしても、そのときには利用者が閉スイッチ26のオン操作を止めるだけで電動ドア3Aを迅速に停止させることができる。これによって前記ペットの挟み込みを確実に防止することができる。
【0015】
しかも、本発明では、特許文献1に示すような感知センサを設けていないので、電動ドア3A付近に配置したカーテンなどを人体と誤検知して、電動ドア3Aの閉じ動作を誤って中止することなどが生じない。また感知センサを配置していない分だけ電動ドア3Aの構成を簡単にでき、それによって電動ドア3Aの低コスト化を図ることができる。
【0016】
電動ドア3Aが一時停止位置よりも全開位置側にあるときには、操作部4の閉スイッチ26を一度だけ操作するだけで電動ドア3Aを一時停止位置に移動するようにすると、例えば閉スイッチ26を操作し続けなければ電動ドア3Aを全開位置から全閉位置まで移動できない場合よりも、利用者の操作の手間を低減できる。
【0017】
電動ドア3Aが一時停止位置から全閉位置に達するまでの速度を全開位置から一時停止位置に達するまでの速度よりも遅くすると、電動ドア3Aをゆっくりと全閉することができて、電動ドア3Aが全閉位置側に位置する竪枠2aに強く衝突することなどを確実に防止することができる。
【0018】
電動ドア3Aの駆動用のモータ11の回転数から電動ドア3Aの位置を判断すると、電動ドア3Aの位置を検知するためのセンサを設けなくても済み、これによっても電動ドア3Aの低コスト化を図ることができる。
【0019】
電動ドア3Aが人31の通過が可能な通常開口位置に達したときに一時停止すると、例えば人31のみが出入りするために操作部4の開スイッチ25をオン操作した場合、電動ドア3Aは人31の出入りに必要な分しか開かないことになり、当該電動ドア3Aの過度の開き動作が抑えられ、その分だけ消費電力の低減を図ることができる。加えて、例えば人31が荷物などを持って出入りする場合には、前記一時停止後に操作部4の開スイッチ25をオン操作することで、電動ドア3Aを全開位置まで開くことができ、人31が荷物などを持った状態で確実に出入りすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係るベランダ用電動ドアの正面図である。
【図2】図1のA−A線矢視断面図である。
【図3】図1のB−B線矢視断面図である。
【図4】図3のC−C線矢視断面図である。
【図5】本発明に係る駆動部を示すブロック構成図である。
【図6】本発明に係るリモコンの正面図である。
【図7】本発明の開閉操作装置の動作を説明するための電動ドアの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る電動ドアの開閉操作装置をベランダ用電動ドアに用いた場合の実施例を図1ないし図7に基づいて説明する。そのベランダ用電動ドアは、室内からベランダへの出入り口部に配置している。
【0022】
ベランダ用電動ドア1は、図1に示すように、前記出入り口部に固定しているアルミニウム製の矩形状の枠2と、二枚のガラス引き戸3A・3Bと、電動ドアである一方のガラス引き戸3A(図1では右側)の開閉を指示するための携帯可能なリモコン(操作部)4と、そのリモコン4の指示に応じて一方のガラス引き戸3Aを開閉駆動する駆動部5とを有している。枠2は、左右の竪枠2a・2aと、それらの竪枠2a・2aの上端間に掛け渡した上枠2bと、竪枠2a・2aの下端間に掛け渡した下枠2cとで構成している。
【0023】
上枠2bと下枠2cとには、図2および図3に示すように、レール6をそれぞれ設けており、各ガラス引き戸3A・3Bが上下のレール6に沿って左右方向にスライド移動可能になっている。枠2の竪枠2aの室内側には、縦額縁10aを配置しており(図2)、枠2の上枠2bの室内側には、上額縁10bを配置している(図3)。なお、図1では、縦額縁10aおよび上額縁10bの記載を省略している。
【0024】
各ガラス引き戸3A・3Bは、図1に示すように、ガラス19をアルミニウム製の矩形状の框7の中に取り付けている。その框7は、左右の縦框7a・7aと、その縦框7a・7aの上端間に掛け渡した上框7bと、左右の縦框7a・7aの下端間に掛け渡した下框7cとで構成している。両ガラス引き戸3A・3Bの框7・7において前記出入り口部の中央に位置する縦框7aには、その室内側に鍵8を取り付けている。また、両ガラス引き戸3A・3Bにおいて前記出入り口部の左右の端部に位置する縦框7a・7aには、その室内側および室外側に取っ手9をそれぞれ取り付けている。
【0025】
駆動部5は、図1および図2に示すように、縦額縁10aの上部に取り付けている。その駆動部5は、図2および図5に示すように、モータ11と、そのモータ11に減速ギヤ部12を介して連結されるピニオンギヤ13と、リモコン4と無線通信を行うための通信部14と、リモコン4での操作に応じてモータ11を制御する制御部15を有している。ピニオンギヤ13は、一方のガラス引き戸3Aに連結されているラック16(図4参照)に噛合している。
【0026】
ラック16は、合成樹脂などからなり、図2および図4に示すように、ガイドレール20の内部空間20aに嵌め込まれていて当該ガイドレール20に沿って摺動する基部17と、その基部17に一体形成している複数個の歯18とを有している。基部17は、可撓性を有しており、ガイドレール20に沿って延びている。各歯18は、基部17の長さ方向に沿って等間隔で並べて配置してあり、断面台形状に形成してある。
【0027】
ガイドレール20は、アルミニウムなどからなり、図1に示すように、上枠2bの左右方向の中央から上枠2bに沿って左側(一方のガラス引き戸3Aの開き方向)へ延びたのち、下方へ湾曲して左側の竪枠2aに沿って下方へ延びている。ガイドレール20には、図2および図3に示すように、ラック16の各歯18をガイドレール20外へ突出させるための開口20bを形成しており、その開口20bはガイドレール20に沿って延びている。
【0028】
なお、ラック16の基部17は、その幅方向の縁がガイドレール20の開口20bの縁に受け止められるようになっており、これによってラック16のガイドレール20からの抜け止めを図っている。ガイドレール20は、縦額縁10aと上額縁10bとに取り付けている。
【0029】
ラック16の一端は、図3および図4に示すように、連結部21を介して一方のガラス引き戸3Aの框7の上面に連結している。その連結部21は、左右方向に延びる長方形状の基板21aと、その基板21aの下面中央から下方へ突出する円柱形状のピン21bとを有している。前記基板21aは、ラック16の歯18に接する状態で当該ラック16にビスなどで取り付けている。
【0030】
一方のガラス引き戸3Aの框7の上面の一端には、連結部21に臨ませてアングル22を取り付けている。アングル22は、図4に示すように正面視でL字状に形成しており、水平方向(図4の左右方向)へ延びる係合部22aと、下方へ延びて一方のガラス引き戸3Aの縦框7aにビスなどで取り付ける取付部22bとからなる。係合部22aには、連結部21のピン21bが嵌め込まれて係合する係合孔23を形成している。なお、アングル22の係合部22aは、框7の上面よりも高くなっている。
【0031】
このように、連結部21のピン21bをアングル22の係合孔23に嵌め込んで、一方のガラス引き戸3Aとラック16とを連結しているので、例えば一方のガラス引き戸3Aが移動の際に上下に動いても、その動きがラック16に伝達され難くなり、それによって前記動きによるラック16の損傷などを抑えることができる。
【0032】
そして、モータ11によってピニオンギヤ13が駆動されると、ラック16がガイドレール20に沿って移動し、これに伴って一方のガラス引き戸3Aが左右方向にスライド移動する。リモコン4は、例えばホルダーに着脱自在に装着された状態で、ベランダへの出入り口部の周辺の壁などに配置される。
【0033】
リモコン4は、扁平な直方体状に形成しており、図6に示すように、その表(おもて)面に、一方のガラス引き戸3Aの開き動作を指示するための開ボタンスイッチ25と、一方のガラス引き戸3Aの閉じ動作を指示するための閉ボタンスイッチ(閉スイッチ)26と、一方のガラス引き戸3Aの開閉動作の停止を指示するための停止ボタンスイッチ27とを上下に並べて配置している。リモコン4は、前記スイッチ25〜27の操作に応じた指示信号を駆動部5に送信する。図6では、開ボタンスイッチ25と閉ボタンスイッチ26との間に停止ボタンスイッチ27を配置している。
【0034】
なお、本実施例では、開ボタンスイッチ25と閉ボタンスイッチ26と停止ボタンスイッチ27とは、それぞれ押しボタンで構成している。また、リモコン4には、作動確認用のLED28を配置している。駆動部5はカバー30で覆われている(図2参照)。また、駆動部5より下側に延びているガイドレール20の一部およびそのガイドレール20の一部に位置するラック16の一部は、保護カバー29(図1)で覆われている。
【0035】
リモコン4と駆動部5の通信部14との通信には、赤外線や電波や超音波などの無線通信方式を用いている。他方(図1の左側)のガラス引き戸3Bは、手動で開閉できるようになっている。
【0036】
次に、駆動部5の動作について説明する。例えば一方のガラス引き戸3Aを閉め切った全閉状態(図1の状態)で、利用者がリモコン4の開ボタンスイッチ25を指などで一度だけ押すと(オン操作すると)、駆動部5は、モータ11を駆動して一方のガラス引き戸3Aを開き始める。そして、駆動部5は、その開き動作によって一方のガラス引き戸3Aが所定の通常開口位置に達すると、モータ11を停止して一方のガラス引き戸3Aを一時停止させる。
【0037】
その停止状態で、利用者がリモコン4の開ボタンスイッチ25を再度一度だけ押すと(オン操作すると)、駆動部5は、モータ11を駆動して、一方のガラス引き戸3Aを所定の全開位置まで移動(開き動作)させたのち、モータ11を停止する。全開位置としては、例えば、鍵8が図1の左側の竪枠2aや駆動部5に当接しない範囲で、一方のガラス引き戸3Aを開き切った位置に設定している(例えば図7の実線図の位置)。前記通常開口位置としては、人31が通過可能である、例えば図7の仮想線図の位置に設定している。
【0038】
なお、駆動部5は、例えば電源を投入したのち(初期状態)、リモコン4の閉ボタンスイッチ26が所定時間以上押し続けられると、一方のガラス引き戸3Aを低速で閉じ、その一方のガラス引き戸3Aが右側の竪枠2aに当接してモータ11が回転しなくなったときを前記全閉位置として設定(記憶)する。そして、駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aの位置を、例えば前記全閉位置を基準にしてモータ11が何回転したか、すなわちモータ11の回転数で判断するようになっている。全閉位置のデータなどは、例えば学習手法によって得られ、そのデータは駆動部5に記憶される。
【0039】
駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aを開いている最中に、利用者がリモコン4の停止ボタンスイッチ27または閉ボタンスイッチ26を押すと(オン操作すると)、その時点でモータ11を停止して一方のガラス引き戸3Aを停止させる。その停止状態で、利用者がリモコン4の開ボタンスイッチ25を再度一度だけ押すと、駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aが前記通常開口位置よりも全閉位置側にある場合には、一方のガラス引き戸3Aを通常開口位置まで移動させて停止させ、一方のガラス引き戸3Aが通常開口位置よりも全開位置側にある場合には、一方のガラス引き戸3Aを全開位置まで移動させて停止させる。前記停止状態で、閉ボタンスイッチ26が押されると、駆動部5は、後述のような閉じ動作を行う。
【0040】
駆動部5は、例えば一方のガラス引き戸3Aが全開位置(例えば図7の実線図の位置)で停止しているときに、利用者が閉ボタンスイッチ26を一度だけ押すと(オン操作すると)、閉じ動作を行う。すなわち、駆動部5は、モータ11を駆動して一方のガラス引き戸3Aを閉じ始める。そして、駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aが所定の一時停止位置まで閉じたときにモータ11を停止する。その一時停止位置としては、例えば、前記通常開口位置よりも全閉位置側の位置であって、犬や猫などのペットが通過可能である位置(例えば全閉位置から通常開口位置側へ20cmの位置)に設定している。
【0041】
前記一時停止後に、閉ボタンスイッチ26が押されると、駆動部5は、閉ボタンスイッチ26が指などで押されている状態が維持されている間のみ一方のガラス引き戸3Aを閉じる。そして、駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aが全閉位置まで閉じると、モータ11を停止して一方のガラス引き戸3Aを停止させる。駆動部5は、前記一時停止位置に達するまでの一方のガラス引き戸3Aの移動速度よりも、一時停止位置から全閉位置に達するまでの一方のガラス引き戸3Aの移動速度を遅くしており、これによって一方のガラス引き戸3Aは、ゆっくりとした速度で全閉するようになっている。
【0042】
前記一時停止位置から全閉位置までの閉じ動作を行っているときに、利用者が閉ボタンスイッチ26から指などを離すと、駆動部5は、その時点でモータ11を停止して、一方のガラス引き戸3Aの閉じ動作を停止させる。
【0043】
駆動部5は、前記全開位置から一時停止位置への一方のガラス引き戸3Aの閉じ動作の最中に、利用者がリモコン4の停止ボタンスイッチ27または開ボタンスイッチ25を指などで押すと、その時点で一方のガラス引き戸3Aを停止させる。その停止状態で、利用者がリモコン4の閉ボタンスイッチ26を再度押すと、一方のガラス引き戸3Aは一時停止位置まで移動して停止する。前記停止状態で、開ボタンスイッチ25が押されると、駆動部5は、前述のような開き動作を行う。
【0044】
なお、駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aが全開位置のときに開ボタンスイッチ25が押され、または一方のガラス引き戸3Aが全閉位置のときに閉ボタンスイッチ26が押されても、モータ11を駆動しない。
【0045】
駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aが全閉の状態のときに、利用者が一方のガラス引き戸3Aを所定寸法(例えば1cm)以上手動で開いたときには、前述のリモコン4の開ボタンスイッチ25での操作と同様に、一方のガラス引き戸3Aを開き始めて通常開口位置で停止させる。
【0046】
駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aの閉じ動作の最中に、例えば障害物などが挟み込まれて一方のガラス引き戸3Aが異常停止したときには、モータ11を反転させて一方のガラス引き戸3Aを所定寸法だけ開いて停止させる。その後、閉ボタンスイッチ26または開ボタンスイッチ25が押されることで、駆動部5は、そのスイッチ25・26の操作に応じて一方のガラス引き戸3Aを閉じ、または開く。前記所定寸法としては、例えば10cmに設定してある。
【0047】
駆動部5は、一方のガラス引き戸3Aが前記一時停止位置で停止している状態が所定時間(例えば30秒)以上継続したときには、内蔵のブザーなどを作動させて注意喚起するようになっている。これによって一方のガラス引き戸3Aの閉じ忘れを防止することができる。リモコン4は、操作対象のガラス引き戸3Aが特定されており、例えば一つのガラス引き戸3Aには一つのリモコン4が配置されるようになっている。
【0048】
このように、一方のガラス引き戸3Aが一時停止位置まで閉じたときには、その一方のガラス引き戸3Aが一時停止するので、ペットや障害物を誤って挟み込んでしまうことを確実に防止することができる。そして、利用者が、ペットや障害物が一方のガラス引き戸3Aと竪枠2a(図1の右側)との間に無いことを確認したのちに閉ボタンスイッチ26を押すことで、一方のガラス引き戸3Aを全閉することができる。
【0049】
また、前記一時停止位置から全閉位置までは閉ボタンスイッチ26が押され続けている状態が維持されている間のみ閉じるので、例えばペットがベランダへ突然出ようとしたときには、利用者は、閉ボタンスイッチ26を押すことを止めるだけで一方のガラス引き戸3Aを迅速に停止させて、前記ペットの挟み込みを防止することができる。加えて一時停止位置から全閉位置まではゆっくりと閉まるので、一方のガラス引き戸3Aが竪枠2aに激突することなどを防止することができる。
【0050】
一方のガラス引き戸3Aが人31の通過が可能な通常開口位置まで開くと一時停止するので、例えば人31のみがベランダへ出るためにリモコン4の開ボタンスイッチ25を押した場合、一方のガラス引き戸3Aは人31の出入りに必要な分しか開かないことになり、当該一方のガラス引き戸3Aの過度の開き動作が抑えられ、その分だけ消費電力の低減を図ることができる。加えて、例えばベランダで布団を干す場合には、前記一時停止後にリモコン4の開ボタンスイッチ25を押すことで、一方のガラス引き戸3Aを全開位置まで開くことができ、人31が前記布団を持った状態で確実にベランダへ出ることができる。
【0051】
車椅子に乗った人でも、その車椅子に乗った状態のままでリモコン4によって一方のガラス引き戸3Aの開閉を操作できるので、その分だけ車椅子に乗った人の負担を軽減できる。
【0052】
前記説明では、開閉操作装置をベランダ用電動ドア1の開閉操作に用いたが、本発明の開閉操作装置は、ベランダ用電動ドア以外、例えば玄関や室内から廊下への出入り口に配置される電動ドアの開閉操作に用いてもよい。リモコン4と駆動部5の通信部14とは、例えば有線で通信を行ってもよい。
【0053】
また、例えば、ラック16に代えてギヤードケーブルを配置するとともに、ピニオンギヤ13に代えて前記ギヤードケーブルに噛合するギヤホイールを配置して、駆動部5がモータ11を駆動することで一方のガラス引き戸3Aを開閉するようにしてもよい。さらに、一方のガラス引き戸3Aにワイヤーなどを連結し、そのワイヤーなどを用いて一方のガラス引き戸3Aを開閉してもよい。
【符号の説明】
【0054】
1 ベランダ用電動ドア
3A 一方のガラス引き戸
4 リモコン
5 駆動部
11 モータ
25 開ボタンスイッチ
26 閉ボタンスイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動ドア(3A)の開閉を指示するための操作部(4)と、その操作部(4)の指示に応じて電動ドア(3A)を開閉する駆動部(5)とを有しており、
操作部(4)は、電動ドア(3A)の閉じ動作を指示するための閉スイッチ(26)を有しており、
駆動部(5)は、電動ドア(3A)の閉じ動作の開始後に当該電動ドア(3A)が所定の一時停止位置に達したときには電動ドア(3A)を一時停止させ、その一時停止後に操作部(4)の閉スイッチ(26)がオン操作されると、そのオン操作の状態が維持されている間のみ電動ドア(3A)を閉じることを特徴とする電動ドアの開閉操作装置。
【請求項2】
駆動部(5)は、電動ドア(3A)が前記一時停止位置よりも所定の全開位置側にあるときには、操作部(4)の閉スイッチ(26)を一度だけオン操作するだけで電動ドア(3A)を前記一時停止位置に移動させることを特徴とする請求項1記載の電動ドアの開閉操作装置。
【請求項3】
駆動部(5)は、電動ドア(3A)が前記一時停止位置から全閉位置に達するまでの速度を、電動ドア(3A)が全開位置から前記一時停止位置に達するまでの速度よりも遅くしていることを特徴とする請求項1又は2記載の電動ドアの開閉操作装置。
【請求項4】
駆動部(5)は、電動ドア(3A)を駆動するためのモータ(11)の回転数から電動ドア(3A)の位置を判断していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電動ドアの開閉操作装置。
【請求項5】
操作部(4)は、電動ドア(3A)の開き動作を指示するための開スイッチ(25)を有しており、
駆動部(5)は、電動ドア(3A)の開き動作の開始後に、当該電動ドア(3A)が人(31)の通過が可能な所定の通常開口位置に達すると、電動ドア(3A)を一時停止させ、その一時停止後に操作部(4)の開スイッチ(25)がオン操作されると、電動ドア(3A)を全開位置まで移動させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電動ドアの開閉操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−219431(P2012−219431A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82361(P2011−82361)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(397000160)株式会社豊和 (47)
【Fターム(参考)】