説明

電動式ディスクブレーキ

【課題】低コストで、しかも優れた耐候性を確保できる電動式ディスクブレーキを実現する。
【解決手段】制動力を測定する為の軸力センサ8bを、全体を円環状に構成する。この軸力センサ8bを、電動モータにより回転駆動されて増力機構の入力部となる回転軸の周囲に配置する。前記軸力センサ8bは、それぞれが円環状に構成されて互いに平行に配置された1対の押圧板47a、47bと、これら両押圧板47a、47b同士の間に挟持された複数個の水晶圧電素子48、48と、これら両押圧板47a、47b同士の間でこれら各水晶圧電素子48、48が押圧される事に伴って発生する電荷を取り出す為のリード線50とを備えたものとする。そして、このリード線50を、前記両押圧板47a、47bの外径側に取り出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電動モータを駆動源とした電動式アクチュエータにより自動車の制動を行う、電動式ディスクブレーキの改良に関する。具体的には、所望の制動力を安定して得るべく、前記電動式アクチュエータにより一対のパッドに加えられる推力を高精度で測定する為の軸力センサとして、低コストのものを使用できる構造の実現を図るものである。
【背景技術】
【0002】
電動モータを駆動源とする電動式ディスクブレーキは、従来から広く実施されている油圧式のディスクブレーキに比べて、配管が不要になり、製造の容易化、低コスト化を図れるだけでなく、用済のブレーキ液が生じず環境負荷が少ない、ブレーキ液の移動がない分応答性の向上を図れる等、多くの利点がある為、研究が進められている。この様な電動式ディスクブレーキとして、電動モータの出力を増力機構に入力し、この増力機構により、この電動モータの回転運動を増力しつつ直線運動に変換し、一対のパッドをロータの両側面に強く押し付ける構造のものが、例えば特許文献1〜6に記載される等により、従来から各種提案されている。
【0003】
前記増力機構としては、送りねじ機構、カム機構、リンク機構、これらを組み合わせたもの等、各種機構が知られている。何れの機構の場合も、程度の差があるにしても、摩擦に伴う損失が避けられず、前記電動モータの出力がそのまま全部、前記ロータに対して前記パッドを押圧する力(押圧力)にはならない。又、前記増力機構内部でのヒステリシスに基づき、前記電動モータへの通電量が同じで、この電動モータの出力軸の駆動トルクが同じであったとしても、この通電量を増大させる場合と減少させる場合とで、前記押圧力に差を生じる。しかも、この差の程度及び前記損失の程度は、各部の摩擦により変化し、一定しない。従って、所望の制動力を、精度良く、しかも安定して得る為には、前記電動モータへの通電量を制御するだけでは足りず、前記押圧力を測定し、この測定値に基づいて前記電動モータへの通電量を制御する、フィードバック制御を行う必要がある。
【0004】
この為従来から、前記特許文献1〜5等に記載されている様に、前記押圧力が加わる部分に軸力センサを設け、この軸力センサにより、前記押圧力を測定する様にしている。図27は、このうちの特許文献5に記載された構造を示している。この従来構造の場合には、電動モータ1の回転運動を増力機構2により直線運動に変換してピストン3に伝え、このピストン3とキャリパ爪4とによりアウタ、インナ両パッド5、6を、車輪と共に回転するロータ7の両側面に押し付ける様にしている。又、前記ピストン3と前記インナパッド6との間に軸力センサ8を設け、この軸力センサ8によって、このインナパッド6を前記ロータ7に押圧する力を測定自在としている。
【0005】
制動力の制御を精度良く行う為には、上述の様な軸力センサ8として、高精度でしかもヒステリシスの小さなものを使用する必要がある。この軸力センサ8としてヒステリシスの大きなものを使用すると、押圧力の値が同じであっても、その増大過程と減少過程とで、測定値に無視できない程の差を生じて、制動力制御の精度が悪化する。この様な事情に鑑みて、電動式ディスクブレーキに組み込む軸力センサとして、水晶圧電素子を組み込んだものを使用する事が好ましい。水晶圧電素子は、セラミック圧電素子に比べて高精度でヒステリシスが小さいので、電動式ディスクブレーキの押圧力制御を、実用的な精度を確保しつつ行える。この様な水晶圧電素子を使用した軸力センサとしては、例えば非特許文献1に記載されたものが使用可能である。
【0006】
但し、図27に示す様な構造で、前記軸力センサ8として水晶圧電素子を組み込んだものを使用すると、次の(1) 〜(3) の様な問題を生じる。
(1) 水晶圧電素子として、形状が大きくて高価なものを使用する必要があり、前記軸力センサ8の製造コスト、延いてはこの軸力センサ8を組み込んだ電動式ディスクブレーキのコストが嵩む。
(2) 前記軸力センサ8を、前記ピストン3と前記インナパッド6との間に、軸方向に関して直列に配置している為、ライニングの磨耗等によりこのインナパッド6及び前記アウタパッド5を交換する際に、前記軸力センサ8が前記ピストン3から外れる可能性があり、これら両パッド5、6の交換作業に注意を要する。
(3) 前記軸力センサ8が外部空間に露出しているので、十分な耐候性を持たせる為に、この軸力センサ8を構成するケースやそのシール構造を工夫する必要があり、その面からもコストが嵩む。
【0007】
上述した(1) 〜(3) の様な問題のうち、(1) の問題は、軸力センサを構成する水晶圧電素子として、1個の大きなものに代えて、小さな複数個のものを使用する事により解決できる。例えば、本発明の対象となる電動式ディスクブレーキに組み込む、外径が2〜4cm程度で径方向の幅が4〜6mm程度であり、全体が円環状の水晶圧電素子の価格は、非常に高価である。これに対して、直径が4〜6mm程度である水晶圧電素子の小片の価格は、極めて安価である。従って、水晶圧電素子の小片を円環状に並べ、これら各小片を一対の押圧面同士の間で押圧する様な構造を有する軸力センサを構成すれば、高精度且つ低ヒステリシスの軸力センサを低コストで得られる。
【0008】
この様な軸力センサとして、特許文献7に記載された、図28〜29に示す様なものが知られている。この軸力センサ8aは、環状(円輪状)に構成された保持体9の軸方向片面の円周方向複数個所に形成した保持凹部10、10に、それぞれ水晶圧電素子11を保持し、これら各保持凹部10、10の開口部を、蓋板12、12により塞いでいる。前記保持体9の内径側には、電荷増幅器13を配置し、この電荷増幅器13の入力部と前記各水晶圧電素子11の出力部とを接続している。この様な特許文献7に記載された軸力センサ8aは、前記水晶圧電素子11として、低コストで調達できる小片を使用するので、軸力センサ8a全体としてのコストを抑えられる。
【0009】
但し、上述の様な特許文献7に記載された従来構造の軸力センサ8aは、中ぐり盤の、駆動軸と工具担持軸との突合せ面同士の間に挟持する事を考慮したものである。この様な特許文献7に記載された軸力センサ8aを電動式ディスクブレーキのブレーキ力測定に利用する場合、前述した(1) 〜(3) の問題のうち、(1) の問題は解決できるが、残りの(2)(3)の問題を解決する事はできない。即ち、前記従来構造の軸力センサ8aは、中央部に電荷増幅器13を配置している為、この軸力センサ8aの中心部に、ねじ杆等、電動式ディスクブレーキを構成して回転運動を直線運動に変換しつつ増力する部材を挿通する事ができない。この為、電動式ディスクブレーキに適用する場合に於ける設置位置が限られて、前記(2)(3)の問題を解決できない。
尚、本発明に関連する技術を記載した刊行物として、特許文献8が存在する。この特許文献8には、荷重センサを構成するセラミック製の受圧板の角部に面取りを施す事により、この受圧板に割れや欠け等の損傷が発生するのを防止する構造が記載されている。但し、前記特許文献8にも、前記(2)(3)の問題を解決する事を示唆する記述は存在しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述の様な事情に鑑みて、低コストで、しかも優れたパッド交換作業性と耐候性とを確保できる電動式ディスクブレーキを実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の電動式ディスクブレーキは、従来から知られている電動式ディスクブレーキと同様に、ロータと、トルク受部材と、アウタ側とインナ側との一対のパッドと、アクチュエータを備える。
このうちのロータは、車輪と共に回転する。
又、前記トルク受部材は、前記ロータに隣接する状態で車体に支持される。このトルク受部材としては、フローティングキャリパ型ディスクブレーキのサポートが、対向ピストン型ディスクブレーキのキャリパが、それぞれ対応する。
又、前記両パッドは、このロータを軸方向(軸方向とは、特に断らない限り、ロータの軸方向を言う。本明細書、及び、特許請求の範囲全体で同じ。)両側から挟む状態で、軸方向の変位を可能に前記トルク受部材に支持されている。
更に、前記アクチュエータは、前記両パッドを前記ロータの両側面に押圧する為のもので、電動モータと、この電動モータの回転駆動力を軸方向の推力に変換して前記インナ側パッドに伝達する増力機構と、この増力機構からこのインナ側パッドに加えられる押し付け力を測定する軸力センサとを備えたものである。
尚、フローティングキャリパ型ディスクブレーキの場合には、前記トルク受部材であるサポートに加えてキャリパを備える。このキャリパは、アウタ側端部に前記アウタ側パッドのアウタ側面に対向するキャリパ爪を、インナ側部分の内部に設けた収納空間内に前記インナ側パッドを前記ロータのインナ側面に向け押圧する為の前記アクチュエータを、それぞれ設け、前記サポートに対し軸方向の変位を可能に支持される。前記両パッドのうちのアウタ側パッドは前記アクチュエータにより、前記キャリパを介して、前記ロータのアウタ側面に押圧される。
【0012】
特に、本発明の電動式ディスクブレーキに於いては、前記軸力センサは、全体を円環状に構成されたもので、前記電動モータにより回転駆動されて前記増力機構の入力部となる回転軸の周囲に配置されている。
且つ、前記軸力センサは、それぞれが円環状に構成されて互いに平行に配置された一対の押圧板と、これら両押圧板同士の間に挟持された複数個の水晶圧電素子と、これら両押圧板同士の間でこれら各水晶圧電素子が押圧される事に伴って発生する電荷を取り出す為のリード線とを備える。
そして、このリード線を、前記両押圧板の外径側に取り出している。
【0013】
上述の様な本発明の電動式ディスクブレーキを実施する場合に好ましくは、請求項2に記載した発明の様に、前記回転軸の中間部外周面に外向フランジ状の鍔部を固設する。そして、この鍔部のインナ側面と前記アクチュエータを収納した収納空間のインナ側奥端面との間に、この鍔部の側から順番に、スラスト転がり軸受と前記軸力センサとを挟持する。
【0014】
この様な請求項2に記載した発明を実施する場合に好ましくは、請求項3に記載した発明の様に、前記スラスト転がり軸受と鍔部とを、このスラスト転がり軸受よりもインナ側を含む部分に設けられたインナ側ケースと、前記鍔部よりもアウタ側を含む部分に設けられてこのインナ側ケースに対して非分離に組み合わされたアウタ側ケースとを備えたケースユニット内に収納する。そして、このアウタ側ケースのインナ側面と前記鍔部のアウタ側面との間に設けた弾性部材により前記スラスト転がり軸受を、前記軸力センサを設置した前記インナ側ケースの側に弾性的に押圧する。
【0015】
又、本発明を実施する場合に、例えば請求項4に記載した発明の様に、前記両押圧板を金属製とする。そして、前記各水晶圧電素子の軸方向両端面のうちの一方の端面を接地電極となる一方の押圧板に導通させ、同じく他方の端面を前記押し付け力を支承可能な絶縁板を介して他方の押圧板に突き当てる。更に、前記各水晶圧電素子の他方の端面同士を、これら絶縁板と各水晶圧電素子の他方の端面との間に配置した導体により導通させて、前記リード線の一端をこの導体に接続する。
【0016】
或は、請求項5に記載した発明の様に、前記両押圧板を金属製とする。又、前記各水晶圧電素子をそれぞれ、一対の水晶圧電素子片同士の間に電極を挟持する事により構成し、これら各水晶圧電素子を複数組、前記両押圧板同士の間に挟持する。更に、これら各水晶圧電素子片の軸方向両端面のうちで前記電極と反対側の面を、それぞれが接地電極となる前記両押圧板に導通させ、同じく他方の端面は、前記電極を介して前記リード線の一端に接続する。
【0017】
或は、請求項6に記載した発明の様に、前記両押圧板を金属製とする。又、これら両押圧板の互いに対向する側面同士の間に、通電板を設ける。又、この通電板の軸方向両側面と前記両押圧板の側面との間部分に、これら両間部分毎にそれぞれ複数個ずつの前記各水晶圧電素子を設ける。そして、これら各水晶圧電素子の軸方向両端面のうちの一方の端面を、前記通電板に導通させ、同じく他方の端面を、前記両押圧板のうちの何れかの押圧板に導通させる。更に、これら両押圧板と前記通電板とに、それぞれリード線の端部を接続する。
【0018】
又、本発明を実施する場合に、例えば請求項7に記載した発明の様に、前記両押圧板のうちの少なくとも一方の押圧板のうちで、相手押圧板に対向する面に複数の保持凹部を設け、これら各保持凹部に前記各水晶圧電素子の軸方向端部を内嵌する。
或は、請求項8に記載した発明の様に、前記両押圧板の互いに対向する面を平坦面とする。又、これら両押圧板同士の間に、円周方向複数個所に保持孔を形成した円環状の保持環を配置する。そして、これら各保持孔に、前記各水晶圧電素子の軸方向中間部を内嵌しする。
【0019】
又、本発明を実施する場合に、例えば請求項9に記載した発明の様に、前記両押圧板のうちの一方の押圧板を、中心部にねじ孔を形成したナットプレートとし、同じく他方の押圧板を、中心部に円形の通孔を形成したものとする。そして、外周面の軸方向一端部に外向フランジ状の鍔部を、同じく他端寄り部分に雄ねじ部を、それぞれ設けた円筒状の結合ねじを前記通孔に、軸方向他端側から挿通し、更にこの雄ねじ部と前記ねじ孔とを螺合させると共に、前記鍔部を、前記他方の押圧板の軸方向両側面のうちで前記一方の押圧板と反対側の側面の内周縁部に係合させる。
更に、本発明を実施する場合に好ましくは、請求項10に記載した発明の様に、前記各水晶圧電素子の角部に面取りを施す。
そして、請求項10に記載した発明を実施する場合に、より好ましくは、前記各水晶圧電素子の軸方向両端面のうちで、前記面取りの内側に存在する部分全体が、これら各水晶圧電素子を挟持する前記両押圧板がスラスト荷重を受ける範囲の外周縁よりも、前記軸力センサの径方向に関して内側に存在する様に、各部の寸法を規制する。
【発明の効果】
【0020】
上述の様に構成する本発明によれば、低コストで、しかも優れたパッド交換作業性及び耐候性を確保できる電動式ディスクブレーキを実現できる。
先ず、低コスト化は、軸力センサを、一対の押圧板同士の間に複数個の水晶圧電素子を挟持して構成する事により図れる。前述した様に、軸力センサを、比較的大きな、単一の水晶圧電素子により造る場合、当該水晶圧電素子の調達コストが嵩むが、複数集まる事で1個の軸力センサを構成する様な、比較的小型の水晶圧電素子は、遥かに低コストで得られる。この為、この軸力センサを組み込んだ電動式ディスクブレーキの低コスト化を図れる。
【0021】
又、優れたパッド交換作業性と耐候性とは、前記軸力センサを全体を円環状に構成すると共に電荷取り出し用のリード線を外径側に取り出して、この軸力センサを、増力機構の入力部となる回転軸の周囲に配置する事により図れる。即ち、この軸力センサをこの回転軸の周囲に配置し、更に、必要に応じて、ケースユニット内に保持した状態で、キャリパ等のディスクブレーキの構成部材の内部に支持する為、パッド交換時にこの軸力センサが落下する事を防止できて、パッドの交換作業性の向上を図れる。又、前記回転軸は、異物が存在する外部空間からは隔てられた、キャリパ等のディスクブレーキの構成部材の内部の空間内に存在する。この為、前記軸力センサの構造を工夫する事により、この軸力センサを前記回転軸の周囲に配置すれば、この軸力センサに、泥水等の異物が付着する事を防止できて、この軸力センサを組み込んだ電動式ディスクブレーキの耐候性の向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】下部は図2のa−o−a断面部分に、右端部及び上部は同b−o−b断面部分に、それぞれ対応する、本発明の実施の形態の第1例を示す、電動式ディスクブレーキの断面図。
【図2】図1のc−c断面図。
【図3】増力機構及び軸力センサを組み合わせたユニットを取り出して、キャリパに組み付けた状態で示す断面図(A)及び組み付ける以前の状態で示す断面図(B)。
【図4】軸力センサを取り出して示す断面図。
【図5】同じく分解斜視図。
【図6】水晶圧電素子を1個取り出して示す斜視図。
【図7】片面に導体を被覆した絶縁板を、(A)は導体を被覆していない面から見た状態で、(B)は導体を被覆した面から見た状態で、それぞれ示す斜視図。
【図8】本発明の実施の形態の第2例を示す、軸力センサの要部分解斜視図。
【図9】同第3例を示す、軸力センサの要部斜視図。
【図10】同じく水晶圧電素子を1個取り出して示す斜視図。
【図11】本発明の実施の形態の第4例を示す、軸力センサの断面図。
【図12】同じく分解斜視図。
【図13】同じく水晶圧電素子を1個取り出して示す斜視図。
【図14】本発明の実施の形態の第5例を示す、軸力センサの断面図。
【図15】同じく水晶圧電素子を1個取り出して示す斜視図。
【図16】本発明の実施の形態の第6例を示す、軸力センサの斜視図。
【図17】同じく端面図。
【図18】図17のd−d断面図。
【図19】同じく分解斜視図。
【図20】本発明の実施の形態の第7例を示す、軸力センサの斜視図。
【図21】同じく端面図。
【図22】図21のe−e断面図。
【図23】同じく分解斜視図。
【図24】角部に面取りを施した水晶圧電素子の4例それぞれを示す、斜視図及び側面図。
【図25】円盤状の水晶圧電素子に対する導体の添着状態の3例を示す、斜視図(A)、(C)及び側面図(B)。
【図26】四角板状の水晶圧電素子に対する導体の添着状況の3例を示す、斜視図(A)、(C)及び側面図(B)。
【図27】従来構造の1例を示す断面図。
【図28】従来から知られている軸力センサの1例を示す端面図。
【図29】図28の拡大f−f断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
[実施の形態の第1例]
図1〜7は、請求項1〜4、7に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。先ず、電動式ディスクブレーキ全体の構造に就いて、図1〜2により説明する。尚、本例の構造の場合には、フローティングキャリパ型ディスクブレーキを対象としており、電動モータ1aにより駆動される増力機構2a、及び、予圧を付与した軸力センサ8bを含む測定ユニットを、キャリパ14に対して容易に組み付けられる様にしている。このキャリパ14を、特許請求の範囲に記載したトルク受部材に相当する図示しないサポートに対し軸方向の変位を可能に支持する構造は、油圧式を含めて、従来から広く知られているフローティングキャリパ型ディスクブレーキと同様である。又、制動時に、前記増力機構2aを伸長させてアウタ、インナ両パッド5a、6aをロータ7aの両側面に押し付ける際の機能等は、前述の図27に記載された構造を含めて、従来から知られている電動式ディスクブレーキと同様である。図1に示した増力機構2aの構造は、基本的には、前記特許文献6に記載された従来構造と同様である。但し、本発明を実施する場合、増力機構2aは、図示の様な送りねじ機構15とボール・ランプ機構16とを組み合わせた構造に限らず、カム・ローラ機構、送りねじ機構等、回転方向の力を増力しつつ軸力に変換する、各種機械的な増力機構を採用できる。
【0024】
本例の場合には、前記増力機構2aを構成し、その先半部(アウタ側半部)を駆動側ロータ17の中心部に設けたねじ孔18に螺合させた駆動スピンドル19の基端部を、減速機20を構成する減速大歯車21の中心部にスプライン係合させている。又、前記駆動スピンドル19の軸方向中間部に外向フランジ状の鍔部22を形成し、この鍔部22のインナ側面をスラスト転がり軸受23により支承している。この構成により前記駆動スピンドル19を、インナ側に向いたスラスト荷重を支承しつつ、回転駆動自在としている。
【0025】
前記鍔部22と前記スラスト転がり軸受23とは、前記軸力センサ8b、及び、波板ばね、圧縮コイルばね、ゴム等、軸方向に関して弾性変形自在な弾性部材24と共に、ケースユニット25内に収納している。このケースユニット25は、インナ側ケース26とアウタ側ケース27とを組み合わせて成る。このケースユニット25は、これらインナ側、アウタ側両ケース26、27を、軸方向に関する若干の相対変位を可能に、且つ、非分離に組み合わせて成る。
【0026】
このうちのインナ側ケース26は、中心部に円形の通孔28を有する円輪形の底板部29の外周縁からアウタ側に向け、円筒状の固定側周壁部30を設けている。この固定側周壁部30の基半寄り部分(インナ寄り部分)の円周方向1箇所位置に、前記軸力センサ8bの測定信号を取り出すコネクタ31の端部を露出させる為の取り出し孔32を形成している。又、前記固定側周壁部30の先半寄り部分(アウタ寄り部分)の円周方向複数箇所(例えば、円周方向等間隔の2〜3箇所位置)に、軸方向に長い係合孔33、33を形成している。尚、前記コネクタ31の端部を露出させる為の構造は、前記取り出し孔32に代えて、前記固定側周壁部30の先端縁(アウタ側端縁)に開口する切り欠きとしても良い。但し、この場合には、この切り欠きと前記各係止孔33、33との円周方向に関する位相をずらせる(円周方向に隣り合う係止孔33、33同士の間に切り欠きを設ける)。
【0027】
一方、前記アウタ側ケース27は、中心部に円形の通孔34を有する円輪形の底板部35の外周縁からインナ側に向け、円筒状の変位側周壁部36を設けている。そして、この変位側周壁部36の先端縁(インナ側端縁)の円周方向複数箇所位置で、前記各係止孔33、33に整合する部分に、インナ側に突出する舌片を形成している。前記インナ側、アウタ側両ケース26、27を組み合わせて前記ケースユニット25を構成した状態では、前記各舌片を、このケースユニット25の径方向内方に折り曲げて係合片37、37とし、これら各係合片37、37を前記各係合孔33、33に、軸方向の変位を可能に係合させる。この状態で前記ケースユニット25の軸方向寸法は、前記各係合孔33、33内で前記各係合片37、37が変位できる範囲で、伸縮可能になる。
【0028】
又、前記変位側周壁部36の円周方向複数箇所(例えば、円周方向等間隔の2〜3箇所位置)に、この変位側周壁部36の外周面から、前記ケースユニット25の径方向外方に突出する状態で、それぞれ係止片38、38を、突出形成している。これら各係止片38、38はそれぞれ、前記アウタ側ケース27の変位側周壁部36を構成する金属板の一部をこのアウタ側ケース27の径方向外方に曲げ起こしたもので、それぞれの外径側部分を、この外径側部分のアウタ側端縁と後述する係止凹部39とを係合させる係止縁とする方向、即ち、アウタ側に向かうに従って前記変位側周壁部36の外周面からの突出量が多くなる方向に傾斜させている。
【0029】
この様なケースユニット25内に、前記駆動スピンドル19の中間部に設けた鍔部22と、前記軸力センサ8bと、前記スラスト転がり軸受23と、前記弾性部材24とを組み込む。この組み込み作業は、先ず、前記軸力センサ8bを前記インナ側ケース26の奥部に挿入した後、前記駆動スピンドル19と、前記スラスト転がり軸受23と、前記弾性部材24とを前記インナ側ケース26に挿入する。更に、前記アウタ側ケース27の変位側周壁部36の先端部(インナ側端部)を、前記インナ側ケース26の固定側周壁部30の前端部(アウタ側端部)に外嵌し、更に、前記各係合片37、37と前記各係合孔33、33とを係合させる。この状態で、図3の(B)に示す様な、前記ケースユニット25内に、前記各部材或いは各部19、22、8b、23、24を組み込んだ(サブアッセンブリした)、軸力測定ユニット40を得られる。尚、この状態では、前記軸力センサ8bには、必ずしも、測定精度を確保する為に十分な予圧は付与されていない。
【0030】
上述の様な軸力測定ユニット40は、図1に示す様に、前記キャリパ14のインナ側部分に設けたシリンダ空間41の奥端部(インナ側端部)に組み付ける。このシリンダ空間41の奥端部の内径は、前記インナ側ケース26の固定側周壁部30の外径とほぼ同じとして、このインナ側ケース26を前記シリンダ空間41の奥端部に、がたつきなく保持できる様にしている。但し、この奥端部のうちで前記コネクタ31の端部に整合する部分には、前記シリンダ空間41の内径側及びアウタ側に開口する凹溝42を形成して、前記コネクタ31の端部との干渉防止を図っている。又、前記シリンダ空間41の中間部奥端寄り部分に前記係止凹部39を、前記凹溝42部分を除き、ほぼ全周に亙って形成している。この係止凹部39のアウタ側端部は、前記シリンダ空間41の中心軸に対し直角方向に存在する、段差面43としている。
【0031】
前記軸力測定ユニット40を前記シリンダ空間41の奥端部に組み付けるには、前記弾性部材24を軸方向に圧縮しつつ、前記ケースユニット25を前記シリンダ空間41に押し込む。この押し込み作業に伴って、前記各係止片38、38が前記ケースユニット25の径方向内方に弾性変形し、前記シリンダ空間41のアウタ側乃至中間部を通過する。そして、前記インナ側ケース26をこのシリンダ空間41の奥端部に内嵌すると共に、前記各係止片38、38を前記係止凹部39の内径側に位置する迄、前記アウタ側ケース27を前記シリンダ空間41内に押し込む。すると、前記各係止片38、38が前記変位側周壁部36の外周面から弾性的に突出し、前記係止凹部39内に進入する。この状態で、前記ケースユニット25を前記シリンダ空間41に押し込んだ力を解除すると、前記弾性部材24の弾力により、前記各係止片38、38の先端縁が前記段差面43に突き当たり、前記アウタ側ケース27が前記シリンダ空間41から抜け出る方向(アウタ側)に変位する事はなくなる。又、この状態で、前記軸力センサ8bに、測定精度を確保する為に十分な予圧が付与された状態となる。そこで、前記キャリパ14に形成した接続孔44を通じて前記シリンダ空間41内に、ハーネス45の端部に設けたプラグ46を差し込んで、このプラグ46と前記コネクタ31とを接続し、前記軸力センサ8bの測定信号を取り出し可能とする。
【0032】
前記軸力測定ユニット40を組み立てる作業は、前記シリンダ空間41外の広い空間で行えるし、この軸力測定ユニット40をこのシリンダ空間41内に組み付ける作業は、単に前記コネクタ31と前記凹溝42との位相を合わせてから、前記軸力測定ユニット40を前記シリンダ空間41内に押し込むだけで、容易に行える。更に、この軸力測定ユニット40のアウタ側にボール・ランプ機構16を構成する駆動側ロータ17を組み付ける作業は、前記駆動スピンドル19のインナ側端部で前記キャリパ14のインナ側端面から突出した部分を回転させながら、前記駆動スピンドル19のアウタ側部分に前記駆動側ロータ17を螺合させる事により、容易に行える。他の部材の組み付け作業に関しても、前記シリンダ空間41内に、アウタ側開口から挿入する事により、容易に行える。そして、前記軸力測定ユニット40を前記シリンダ空間41内に組み付けた状態では、前記軸力センサ8bに適切な予圧が付与された状態となり、制動に伴ってこの軸力センサ8bに加わる軸力と、この軸力センサ8bの測定信号との関係をほぼ直線的にできる。この為、この測定信号を処理する為の演算器の構成を簡単にしても、前記軸力を十分な精度を確保して求められる。
【0033】
本例の電動式ディスクブレーキ全体の構造は上述の通りであるが、前記軸力測定ユニット40を構成する、前記軸力センサ8bは、図4〜7に示す様に構成している。即ち、この軸力センサ8bは、全体を円環状に構成する事により、前記増力機構2aの入力部となる回転軸である、前記駆動スピンドル19の中間部インナ寄り部分の周囲に配置している。この為に前記軸力センサ8bを、一対の押圧板47a、47bと、複数個の水晶圧電素子48、48と、絶縁板49と、リード線50とから構成している。このうちの両押圧板47a、47bは、それぞれが円環状に構成されて互いに平行に、且つ、互いに同心に配置されている。又、上記各水晶圧電素子48、48は、それぞれ円柱状に造られたもので、軸方向両端面に電極を被覆しており、前記両押圧板47a、47b同士の間に挟持されている。又、前記絶縁板49は、前記各水晶圧電素子48、48の軸方向一端面(図4〜6の上面)と、前記両押圧板47a、47bのうちの一方(図4〜5の上方)の押圧板47aとを絶縁する為のもので、優れた耐圧縮性を有する合成樹脂或はセラミック等の薄板としている。この様な絶縁板49の軸方向両側面のうち、前記各水晶圧電素子48、48の軸方向一端面と対向する面の径方向中間部には、図7の(B)に示す様に環状の導体51を、全周に亙って添着している。前記リード線50の一端は、この導体51に導通させている。この構成により、前記両押圧板47a、47b同士の間で前記各水晶圧電素子48、48が押圧される事に伴って発生する電荷を、前記リード線50を通じて取り出し可能としている。特に、本例の軸力センサ8bの場合には、このリード線50を、前記両押圧板47a、47bの外径側に取り出している。
【0034】
本例の場合には、前記両押圧板47a、47bを、十分な剛性を確保できる、鋼板、ステンレス鋼板等の金属製としている。これら両押圧板47a、47bのうち、一方(図4〜5の上方)の押圧板47aは上下両面を、後述する通孔55、55を形成した部分を除き、何れも平坦面としている。これに対して、他方(図4〜5の下方)の押圧板47bの両端面のうちで、上記一方の押圧板47aに対向する面には複数の凹部53、53を、円周方向に関して等間隔に形成している。そして、前記各水晶圧電素子48、48の軸方向両端面のうちの一方の端面を、前記各凹部53、53の奥端面(底面)に突き当てて、この一方の端面と、接地電極となる前記他方の押圧板47bとを導通させている。更に、この他方の押圧板47bの内周縁部に円筒部57を、前記一方の押圧板47a側に突出する状態で形成している。この円筒部57の外径は、この一方の押圧板47aの内径よりも僅かに小さくしている。
【0035】
尚、本例の場合には、前記各凹部53、53を、前記各水晶圧電素子48、48の外径よりも少し大きな内径を有する円形として、これら各水晶圧電素子48、48の軸方向他半部(図4〜6の下半部)を前記各凹部53、53に、緩く内嵌して保持している。そして、この様に、前記各水晶圧電素子48、48を前記他方の押圧板47bの凹部53、53に保持した状態で、この押圧板47bと前記一方の押圧板47aとを、複数本(図示の例では3本)のねじ54により結合している。この為に、この一方の押圧板47aに通孔55、55を、前記他方の押圧板47bにねじ孔56、56を、それぞれ形成している。
【0036】
前記各通孔55、55は、それぞれの奥半部(他方の押圧板47b寄り半部)を、前記各ねじ54の杆部を挿通できるだけの内径を有する小径部とし、開口側半部(他方の押圧板47bと反対側半部)を、前記各ねじ54の頭部を緩く収納できるだけの内径及び深さを有する大径部としている。これら各ねじ54の杆部を前記各通孔55、55に挿通すると共に、前記各ねじ孔56、56に螺合させて、前記両押圧板47a、47b同士を軸方向に関する僅かな相対変位を可能とした状態で結合し、これら両押圧板47a、47b同士の間に、前記各水晶圧電素子48、48と前記絶縁板49とを挟持した状態で、前記各ねじ54の頭部は、前記各通孔55、55の大径部に沈入して、前記一方の押圧板47aの軸方向側面から突出しない。従って、組み立てられた軸力センサ8bを前記インナ側ケース26の底板部29と前記スラスト転がり軸受23(図1参照)との間で挟持した状態で、前記各ねじ54が突っ張る事はない。この結果、前記底板部29と前記スラスト転がり軸受23との間に加わる軸力が、前記両押圧板47a、47b同士の間に存在する前記各水晶圧電素子48、48に有効に(前記軸力の大部分がこれら各水晶圧電素子48、48に)加わる。
【0037】
又、この様な軸力センサ8bを構成する、前記各水晶圧電素子48、48の軸方向両端面のうち、一端面は前記導体51を介して前記リード線50に通じ、他端面は前記他方の押圧板47bを通じて接地(アース)されている。従って、前記リード線50の他端を、図示しない増幅器に入力する事で、前記各水晶圧電素子48、48に発生した電荷の合計がこの増幅器により電圧値に変換され、この電圧値に基づいて、前記軸力を求められる。尚、上述の様に前記軸力センサ8bの構成各部材を組み立てた状態で、前記他方の押圧板47b側に設けた前記円筒部57が、前記一方の押圧板47aの内径側に、隙間嵌めで係合(嵌合)する。そして、この係合により、これら両押圧板47a、47bを互いに同心に保持する。従って、これら両押圧板47a、47b同士の間で前記各水晶圧電素子48、48を均等に押圧し、前記軸力を精度良く求められる。
【0038】
上述の様な構成を有する軸力センサ8bを、前述の様に底板部29とスラスト転がり軸受23との間に組み付けた、本例の構造によれば、低コストで、しかも優れたパッド交換作業性と耐候性とを確保できる電動式ディスクブレーキを実現できる。
先ず、低コスト化は、前記軸力センサ8bを、前記両押圧板47a、47b同士の間に前記各水晶圧電素子48、48を挟持して構成する事により図れる。図6に示す様な、それぞれが円柱状で小さな(外径寸法及び軸方向寸法が小さい)水晶圧電素子48、48は極めて安価であり、低コストで調達できる。この為、非常に高価な、単一の円環状の水晶圧電素子を使用する場合に比べて、軸力センサ8b全体としてのコストを、十分に低く抑えられる。この為、この軸力センサ8bを組み込んだ電動式ディスクブレーキの低コスト化を図れる。
【0039】
又、優れたパッド交換作業性と耐候性とは、前記軸力センサ8bを、全体を円環状に構成すると共に、電荷取り出し用の前記リード線50を、この軸力センサ8bの外径側に取り出して、この軸力センサ8bを、前記増力機構2aの入力部となる、前記駆動スピンドル19の周囲に配置する事により図れる。即ち、本例の場合には、前記軸力センサ8bをこの駆動スピンドル19の周囲に配置している為、前記アウタ、インナパッド5a、6aの交換時に、この軸力センサ8bが落下する事を防止できて、パッド交換作業性の向上を図れる。又、前記駆動スピンドル19は、異物が存在する外部空間からは隔てられた、前記キャリパ14の内部のシリンダ空間41内に存在する。従って、前記駆動スピンドル19の周囲に配置した前記軸力センサ8bに関しても、前記シリンダ空間41内に存在する事になるので、この軸力センサ8bに泥水等の異物が付着する事を防止できて、この軸力センサ8bの故障を抑えられる。即ち、この軸力センサ8bを組み込んだ電動式ディスクブレーキの耐候性の向上を図れる。
【0040】
[実施の形態の第2例]
図8は、請求項1〜4、8に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例に関しても、電動式ディスクブレーキ全体の構造は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様、図1〜3に示した通りである。特に、本例の場合には、一対の押圧板47a、47cの互いに対向する面を、(押圧板47c側に設けた円筒部57部分を除き)平坦面としている。そして、これら両押圧板47a、47c同士の間に複数個の水晶圧電素子48を、保持環58により位置決めした状態で挟持している。この保持環58は、前記円筒部57の外径よりも少しだけ大きな内径を有する円環状で、円周方向複数個所に保持孔59、59を形成している。これら各保持孔59、59の内径は、前記各水晶圧電素子48の外径よりも少しだけ大きくして、これら各保持孔59、59の内側にこれら各水晶圧電素子48を、緩く、且つ、位置決めを図った状態で保持可能としている。その他の部分の構成及び作用は、前記実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
【0041】
[実施の形態の第3例]
図9〜10は、請求項1〜4、7に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。本例の場合には、各水晶圧電素子48a、48aを角柱状(立方体状)としている。この様な角柱状の水晶圧電素子48a、48aを形成するには、大きな人工結晶をスライスして得た平板状の結晶板を碁盤目状に切断する。これら一連の作業(スライス→切断)は容易であり、又、これら一連の作業により生じる廃棄物(水晶の削り滓)は極く少量に抑えられる。この為、前記各水晶圧電素子48a、48aの加工作業の容易化と歩留まりの向上とにより、これら各水晶圧電素子48a、48aのコスト低減を図れる。尚、本例の場合、前記各水晶圧電素子48a、48aの軸方向一端部を保持する為の凹部53、53を設けた押圧板47dには、円筒部57(図4、5、8参照)を設けていない。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
【0042】
[実施の形態の第4例]
図11〜13は、請求項1〜3、7に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。本例の場合には、それぞれが角柱状(立方体状)である、複数個の水晶圧電素子48a、48aにそれぞれ設けた6個の面のうち、隣り合う2個の面に、それぞれ電極を被覆している。但し、これら両面に被覆した電極は、互いに離隔させている。そして、一方の面の電極を、押圧板47dに形成した凹部53、53の底面に突き当てて、当該電極をこの押圧板47dを通じて接地している。これに対して、他方の面の電極を、リード線50を介して、図示しない増幅器に通じさせている。この為に、この他方の面の電極を、両押圧板47a、47dの径方向外側に位置させると共に、前記各水晶圧電素子48a、48aの周囲に、導体51aを巻き掛け、この導体51aと前記他方の電極とを導通させると共に、この導体51aに前記リード線50の端部を接続している。この導体51aと前記押圧板47dとは、互いに絶縁している。その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
【0043】
[実施の形態の第5例]
図14〜15は、請求項1〜3、5、7に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。本例の場合には、各水晶圧電素子48b、48bをそれぞれ、一対の水晶圧電素子片60、60同士の間に電極61を挟持する事により構成している。そして、この様な各水晶圧電素子48b、48bを複数組、一対の押圧板47b、47d同士の間で挟持している。又、前記各水晶圧電素子片60、60の軸方向両端面のうちで前記電極61と反対側の面は、それぞれが接地電極となる前記両押圧板47b、47dに導通させ、同じく他方の端面は、前記電極61を介してリード線50の一端に接続している。その他の部分の構成及び作用は、前述した実施の形態の第1例の場合と同様であるから、重複する図示並びに説明は省略する。
【0044】
[実施の形態の第6例]
図16〜19は、請求項1〜4、8、9に対応する、本発明の実施の形態の第6例を示している。本例の場合には、一対の押圧板47e、47fのうちの一方の押圧板47eを、中心部にねじ孔62を形成したナットプレートとしている。又、同じく他方の押圧板47fを、中心部に円形の通孔63を形成したものとしている。そして、これら両押圧板47e、47f同士を、円筒状の結合ねじ64により結合している。この結合ねじ64は、外周面の軸方向一端部に外向フランジ状の鍔部65を、同じく他端寄り部分に雄ねじ部66を、それぞれ設けて成る。又、前記一方の押圧板47eと各水晶圧電素子48、48との間に、これら各水晶圧電素子48、48の設置側に導体51(図7参照)を添着した絶縁板49を配置している。更に、これら各水晶圧電素子48、48を保持する為の保持環58aの内周縁部に、この絶縁板49の内周縁と係合する、円筒状の係合突条67を形成している。
【0045】
本例の構造を組み立てる場合には、前記両押圧板47e、47f同士の間に、前記各水晶圧電素子48、48を保持した前記保持環58a、及び、前記絶縁板49を挟持した状態で、前記結合ねじ64を前記他方の押圧板47fの通孔63に、軸方向他端側から挿通する。更に、この結合ねじ64の雄ねじ部66と前記一方の押圧板47eのねじ孔62とを螺合させると共に、前記鍔部65を、前記他方の押圧板47fの軸方向両側面のうちで前記一方の押圧板47eと反対側の側面の内周縁部に係合させる。そして、前記結合ねじ64を所定のトルクで締め付けて、前記両押圧板47e、47fを不離に結合すると共に、前記各水晶圧電素子48、48に、適切な予圧を付与する。尚、本例の場合には、前記他方の押圧板47fの軸方向両側面のうちで前記一方の押圧板47eと反対側の側面の内径寄り部分に形成した環状凹部68に前記鍔部65を収納して、この鍔部65が前記他方の押圧板47fの軸方向側面から突出しない様にしている。
【0046】
この様な本例の場合には、前記結合ねじ64の締め付けに伴って前記各水晶圧電素子48、48を、均等に押圧できる。この結果、得られる軸力センサ8cの性能を良好にできるだけでなく、組立作業時に、一部の水晶圧電素子48に過大な圧縮応力が加わって、当該水晶圧電素子48が損傷する事を防止できる。その他、軸力センサ8cとしての基本的な構造及び作用は、前述の図8に示した実施の形態の第2例と同様である。
【0047】
[実施の形態の第7例]
図20〜23は、請求項1〜3、6、8、9に対応する、本発明の実施の形態の第7例を示している。本例の場合には、一対の押圧板47e、47fの互いに対向する側面同士の間に絶縁板49を設けている。この絶縁板49は、軸方向両側面に導体51(図7参照)を、それぞれ全周に亙って添着して、特許請求の範囲に記載した通電板としている。又、前記絶縁板49の軸方向両側面と前記両押圧板47e、47fの側面との間部分に、これら両間部分毎にそれぞれ複数個ずつの前記各水晶圧電素子48、48を設けている。そして、これら各水晶圧電素子48、48の軸方向両端面のうちの一方の端面を、前記絶縁板49の軸方向側面の導体51に導通させ、同じく他方の端面を、前記両押圧板47e、47fのうちの何れかの押圧板に導通させている。更に、これら両押圧板47e、47fと前記両導体51とに、それぞれリード線50、50の端部を接続している。
この様な本例の構造によれば、前記各水晶圧電素子48、48の数を増やせる分だけ、軸力センサ8dの出力を大きくできる。その他の部分の構成及び作用は、上述した実施の形態の第6例と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明の電動式ディスクブレーキを実施する場合に、特許請求の範囲中の請求項10に記載した様に、各水晶圧電素子の角部に面取りを施す事が好ましい。この理由は、前記各圧電素子の角部に、割れや欠け等の損傷が発生する事を防止する為である。即ち、尖った角部は、組み立て以前に他の物品と衝突する事で欠け易いだけでなく、使用時に過大な応力が発生する可能性もある。この応力が発生するメカニズムは、次の通りである。
【0049】
軸力センサの組み立て時や、組み立て後の軸力センサをケースユニット内に組み付ける際に発生するミスアライメント等により、前記軸力センサを構成する一対の押圧板の互いに対向する面同士が多少非平行になる可能性がある。そして、これら両面同士が互いに非平行になった状態のまま、制動時に加わるスラスト荷重に基づいて、これら両面が前記各水晶圧電素子を強く押圧すると、これら各水晶圧電素子に偏荷重が加わる。そして、この偏荷重に基づいて、これら各水晶圧電素子の角部に過大な応力が発生し、この応力により前記角部に、割れや欠け等の損傷が発生し易くなる。角部が損傷した水晶圧電素子は、加わるスラスト荷重と発生する電荷の量との関係が、僅かとは言え、所期の関係(設計値)とはずれ、その分だけ、前記スラスト荷重の測定精度が悪化する可能性がある。更に著しい場合には、前記各水晶圧電素子全体が割れて、前記スラスト荷重の測定自体不能になる可能性もある。
【0050】
そこで、上述の様な原因で、前記スラスト荷重の測定精度が悪化したり、測定不能となる事態が発生するのを防止すべく、前記各水晶圧電素子の角部に、割れや欠け等の損傷が発生しない様にする為に、図24の(A)〜(D)に示す様に、水晶圧電素子48c〜48fの角部に面取り69a〜69dを施す事が好ましい。図24の(A)〜(D)に示した4種類の水晶圧電素子48c〜48fのうち、(A)に示した水晶圧電素子48cは、全体が円盤状で、外周面と軸方向両端面との連続部に、断面形状が四分の一円弧状の面取り69a、69aを施したものである。又、(B)に示した水晶圧電素子48dは、全体が円盤状で、外周面と軸方向両端面との連続部に、部分円すい面状(テーパ面状)の面取り69b、69bを施したものである。又、(C)に示した水晶圧電素子48eは、全体が四角板状で、外周面と軸方向両端面との連続部に、断面形状が四分の一円弧状の面取り69c、69cを施したものである。更に、(D)に示した水晶圧電素子48fは、全体が四角板状で、外周面と軸方向両端面との連続部に、部分円すい面状の面取り69d、69dを施したものである。
【0051】
図24の(A)〜(D)に示した4種類の水晶圧電素子48c〜48fは、何れの形状のものでも、角部に割れや欠け等の損傷を発生しにくくできる。即ち、角部が尖っていない為、組み立て以前にこの角部が他の物品と衝突しても、この角部が欠けにくくなる。又、前述した様なミスアライメントにより、前記水晶圧電素子48c〜48fに偏荷重が加わった場合でも、この水晶圧電素子48c〜48fの角部に過大な応力が発生しにくくなって、偏荷重に基づく損傷の発生も防止できる。この結果、制動時にピストンに加わるスラスト荷重の測定精度が悪化したり、測定不能となる事態が発生するのを防止できる。
【0052】
尚、上記4種類の水晶圧電素子48c〜48fに関しても、その使用状態に応じて、所望の部分に電極を添着する。例えば、図24の(A)〜(D)の上段及び図25〜26の(A)に示す様に、軸方向片面の中央寄り部分に電極を添着する事ができる。或いは、図25〜26の(B)に示す様に、外周面の軸方向中間部に電極を、全周に亙って添着する事もできる。更には、図25〜26の(C)に示す様に、軸方向片面から外周面に掛けての部分に電極を添着する事もできる。
【0053】
更に、前記偏荷重に基づく前記水晶圧電素子48c〜48fの角部の損傷を、より効果的に防止する為に、この水晶圧電素子48c〜48fを挟持する押圧板がスラスト荷重を受ける範囲を、前記各面取り69a〜69dを設けた位置との関係で規制する事が好ましい。即ち、前記各水晶圧電素子48c〜48fの軸方向両端面のうちで、前記面取りの内側に存在する部分(中央の平坦面部分)全体が、前記各水晶圧電素子48c〜48fを挟持する一対の押圧板47e、47f(図16、18〜20、22、23参照)がスラスト荷重を受ける範囲の外周縁よりも、軸力センサ8c、8dの径方向に関して内側に存在する様に、各部の寸法を規制する。
【0054】
具体的には、前記各水晶圧電素子48c〜48fを、前述の図16〜23と同様の構造で、一対の押圧板47e、47f同士の間に挟持する。これら両押圧板47e、47fの軸方向両側面のうち、前記各水晶圧電素子48c〜48fを挟持する面とは反対面である外側面に、それぞれ、高さがδ(図18参照)である、環状凸部70、70を形成する。そして、これら両環状凸部70、70の外径dを、前記水晶圧電素子48c〜48f(図18参照)の外径Dよりも十分に小さくする(これら各水晶圧電素子48c〜48fの外接円の直径から、各面取り69a〜69dの後方向に関する幅寸法の2倍以上を減じた値とする)。要するに、前記各水晶圧電素子48c〜48fの軸方向両端面のうちの中央の平坦面部分を、総て、直径がdの円の内側に存在させる。この構成により、前記各水晶圧電素子48c〜48fを挟持する押圧板がスラスト荷重を受ける範囲を、前記面取り69a、69b、69c、69dよりも中央寄り部分のみとして、この面取り69a、69b、69c、69d部分に発生する応力を、より小さく抑える事ができる。
【符号の説明】
【0055】
1、1a 電動モータ
2、2a 増力機構
3 ピストン
4 キャリパ爪
5、5a アウタパッド
6、6a インナパッド
7、7a ロータ
8、8a、8b、8c、8d 軸力センサ
9 保持体
10 保持凹部
11 水晶圧電素子
12 蓋板
13 電荷増幅器
14 キャリパ
15 送りねじ機構
16 ボール・ランプ機構
17 駆動側ロータ
18 ねじ孔
19 駆動スピンドル
20 減速機
21 減速大歯車
22 鍔部
23 スラスト転がり軸受
24 弾性部材
25 ケースユニット
26 インナ側ケース
27 アウタ側ケース
28 通孔
29 底板部
30 固定側周壁部
31 コネクタ
32 取り出し孔
33 係合孔
34 通孔
35 底板部
36 変位側周壁部
37 係合片
38 係止片
39 係止凹部
40 軸力測定ユニット
41 シリンダ空間
42 凹溝
43 段差面
44 接続孔
45 ハーネス
46 プラグ
47a、47b、47c、47d、47e、47f 押圧板
48、48a、48b、48c、48d、48e、48f 水晶圧電素子
49 絶縁板
50 リード線
51、51a 導体
53 凹部
54 ねじ
55 通孔
56 ねじ孔
57 円筒部
58、58a 保持環
59 保持孔
60 水晶圧電素子片
61 電極
62 ねじ孔
63 通孔
64 結合ねじ
65 鍔部
66 雄ねじ部
67 係合突条
68 環状凹部
69a、69b、69c、69d 面取り
70 環状凸部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0056】
【特許文献1】特開平8−244580号公報
【特許文献2】特開平11−147458号公報
【特許文献3】特開2000−213575号公報
【特許文献4】特開2004−60867号公報
【特許文献5】特開2006−232259号公報
【特許文献6】特開2004−169729号公報
【特許文献7】特開平4−231829号公報
【特許文献8】特開2003−139629号公報
【非特許文献】
【0057】
【非特許文献1】日本キスラー社のホームページ、「アプリケーション紹介」、[online]、[平成21年7月27日検索]、インターネット、<URL:http://www.kistler.co.jp/app/006/app802.html>

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と共に回転するロータと、このロータに隣接する状態で車体に支持されるトルク受部材と、このロータを軸方向両側から挟む状態で、軸方向の変位を可能にこのトルク受部材に支持された、アウタ側とインナ側との一対のパッドと、これら両パッドを前記ロータの両側面に向け押圧する為のアクチュエータとを備え、このアクチュエータは、電動モータと、この電動モータの回転駆動力を軸方向の推力に変換して前記インナ側パッドに伝達する増力機構と、この増力機構からこのインナ側パッドに加えられる押し付け力を測定する軸力センサとを備えたものである電動式ディスクブレーキに於いて、この軸力センサは、全体を円環状に構成されたもので、前記電動モータにより回転駆動されて前記増力機構の入力部となる回転軸の周囲に配置されており、且つ、前記軸力センサは、それぞれが円環状に構成されて互いに平行に配置された一対の押圧板と、これら両押圧板同士の間に挟持された複数個の水晶圧電素子と、これら両押圧板同士の間でこれら各水晶圧電素子が押圧される事に伴って発生する電荷を取り出す為のリード線とを備えたものであって、このリード線を、前記両押圧板の外径側に取り出している事を特徴とする電動式ディスクブレーキ。
【請求項2】
前記回転軸の中間部外周面に外向フランジ状の鍔部が固設されており、この鍔部のインナ側面と前記アクチュエータを収納した収納空間のインナ側奥端面との間に、この鍔部の側から順番に、スラスト転がり軸受と前記軸力センサとを挟持している、請求項1に記載した電動式ディスクブレーキ。
【請求項3】
前記スラスト転がり軸受と鍔部とを、このスラスト転がり軸受よりもインナ側を含む部分に設けられたインナ側ケースと、前記鍔部よりもアウタ側を含む部分に設けられてこのインナ側ケースに対して非分離に組み合わされたアウタ側ケースとを備えたケースユニット内に収納し、このアウタ側ケースのインナ側面と前記鍔部のアウタ側面との間に設けた弾性部材により前記スラスト転がり軸受を、前記軸力センサを設置した前記インナ側ケースの側に弾性的に押圧している、請求項2に記載した電動式ディスクブレーキ。
【請求項4】
前記両押圧板は金属製であり、前記各水晶圧電素子の軸方向両端面のうちの一方の端面は、接地電極となる一方の押圧板に導通させており、同じく他方の端面は、前記押し付け力を支承可能な絶縁板を介して他方の押圧板に突き当てており、前記各水晶圧電素子の他方の端面同士を、これら絶縁板と各水晶圧電素子の他方の端面との間に配置した導体により導通させており、前記リード線の一端をこの導体に接続している、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した電動式ディスクブレーキ。
【請求項5】
前記両押圧板は金属製であり、前記各水晶圧電素子はそれぞれが、一対の水晶圧電素子片同士の間に電極を挟持する事により構成されており、これら各水晶圧電素子を複数組、前記両押圧板同士の間に挟持しており、これら各水晶圧電素子片の軸方向両端面のうちで前記電極と反対側の面は、それぞれが接地電極となる前記両押圧板に導通させており、同じく他方の端面は、前記電極を介して前記リード線の一端に接続している、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した電動式ディスクブレーキ。
【請求項6】
前記両押圧板は金属製であり、これら両押圧板の互いに対向する側面同士の間に、通電板が設けられており、この通電板の軸方向両側面と前記両押圧板の側面との間部分に、これら両間部分毎にそれぞれ複数個ずつの前記各水晶圧電素子が設けられており、これら各水晶圧電素子の軸方向両端面のうちの一方の端面は、前記通電板に導通させており、同じく他方の端面は、前記両押圧板のうちの何れかの押圧板に導通させており、これら両押圧板と前記通電板とに、それぞれリード線の端部を接続している、請求項1〜3のうちの何れか1項に記載した電動式ディスクブレーキ。
【請求項7】
前記両押圧板のうちの少なくとも一方の押圧板のうちで、相手押圧板に対向する面に複数の保持凹部を設け、これら各保持凹部に前記各水晶圧電素子の軸方向端部を内嵌した、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載した電動式ディスクブレーキ。
【請求項8】
前記両押圧板の互いに対向する面が平坦面であり、これら両押圧板同士の間に、円周方向複数個所に保持孔を形成した円環状の保持環を配置しており、これら各保持孔に前記各水晶圧電素子の軸方向中間部を内嵌した、請求項1〜6のうちの何れか1項に記載した電動式ディスクブレーキ。
【請求項9】
前記両押圧板のうちの一方の押圧板が、中心部にねじ孔を形成したナットプレートであり、同じく他方の押圧板が、中心部に円形の通孔を形成したものであり、外周面の軸方向一端部に外向フランジ状の鍔部を、同じく他端寄り部分に雄ねじ部を、それぞれ設けた円筒状の結合ねじを前記通孔に、軸方向他端側から挿通し、更にこの雄ねじ部と前記ねじ孔とを螺合させると共に、前記鍔部を、前記他方の押圧板の軸方向両側面のうちで前記一方の押圧板と反対側の側面の内周縁部に係合させた、請求項1〜8のうちの何れか1項に記載した電動式ディスクブレーキ。
【請求項10】
各水晶圧電素子の角部に面取りが施されている、請求項1〜9のうちの何れか1項に記載した電動式ディスクブレーキ。
【請求項11】
前記各水晶圧電素子の軸方向両端面のうちで、これら各水晶圧電素子の径方向に関して前記面取りの内側に存在する部分全体が、これら各水晶圧電素子を挟持する前記両押圧板がスラスト荷重を受ける範囲の外周縁よりも、前記軸力センサの径方向に関して内側に存在する、請求項10に記載した電動式ディスクブレーキ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−80586(P2011−80586A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−166716(P2010−166716)
【出願日】平成22年7月26日(2010.7.26)
【出願人】(000000516)曙ブレーキ工業株式会社 (621)
【Fターム(参考)】