説明

電動車両のパワーユニット搭載構造

【課題】車両衝突時に、強電ハーネスを長くしておかなくても、これが断線したりコネクタから外れることのないインバータおよび電動モータの搭載構造とする。
【解決手段】車両が物体20に衝突した時サスペンションメンバ4は脆弱部Bの付近で矢βのごとく下方へ折れ曲がり、メンバ4上のモータ5も同方向へ移動する。左右サイドメンバ1,2は、ビード1a,2aの潰れで衝突エネルギーを吸収した後、前部1a,2aが高剛性部1b,2bに対し相対的に、両者の境界部Aの周りで矢αのごとく下方へ折れ曲がり、前インバータマウンティング11がインバータ3の前縁部を伴って同方向へ変位する。後インバータマウンティング12は、高剛性部1b,2b上にあって位置を不変に保ち、長手方向軸線周りに捻れ変形されながら、インバータ3をマウンティング12の周りに矢γ方向へ回動させる。以上により、インバータ3およびモータ5が衝突前の相対位置を保って下方へ移動し、強電ハーネス6の断線が防止され、また、コネクタ3bと強電ハーネス7との接続点7aが衝突の前後でほぼ同じ位置に保たれ、強電ハーネス7の断線が防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータにより車輪を駆動して走行する電動車両につき、パワーユニット、特に電動モータおよびインバータを、前部衝突時も強電ハーネスが断線したり、これが配電コネクタから外れて、走行不能になることのないようにした、パワーユニット搭載構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上記のように、車両の前部衝突時も強電ハーネスが断線したり、これが配電コネクタから外れることのないようにする技術としては従来、例えば特許文献1に記載のようなものが知られている。
この技術は、電動車両の強電ハーネスの配索に工夫をこらして上記の要求を満足させようとするもので、パワーユニットを構成する部品間の車両前部衝突時の相対変位(部品の弾性支持による揺動分や、衝突による部品の移動に伴う部品間相対変位)を予め予測しておき、この部品間相対変位があっても強電ハーネスが断線したり、これが配電コネクタから外れることのないよう強電ハーネス長に余裕を持たせて強電ハーネスを配索するものである。
かかる対策によれば、車両の前部衝突時も強電ハーネスが断線したり、これが配電コネクタから外れることがなく、万一の軽い衝突などの場合でも自走可能状態を維持することができる。
【特許文献1】特開昭2000−152470号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし従来の技術にあっては、パワーユニット構成部品間相対変位を吸収し得るように強電ハーネス長に余裕を持たせて配索する対策であったため、強電ハーネスの配索に際し広いスペースが必要となり、スペース的にも作業上もパワーユニットの搭載性が低下してしまうという問題を生じたり、強電ハーネス同士の接触、摩耗に関する問題も発生し易いといった問題も生ずる。
また、強電ハーネス長を長くすることに起因して、インピーダンスの増加による電気的な効率の低下に関する問題を生じたり、更には、強電ハーネスの固定点増加に伴って、組込み作業工数の増加によるコスト高や、強電ハーネス固定具数の増加による重量増の問題を生ずる。
【0004】
本発明は、上記の問題がとりもなおさず、強電ハーネス長を長くすることに起因するとの事実認識に基づき、
パワーユニットを構成するインバータおよび電動モータの搭載構造に工夫を凝らして、強電ハーネス長を長くすることなく、車両の前部衝突時に強電ハーネスが断線したり、これが配電コネクタから外れるのを回避し得るようにしたパワーユニット搭載構造を提案し、もって上記従来対策の問題をことごとく解消することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のため本発明による電動車両のパワーユニット搭載構造は、請求項1に記載のごとくに構成する。
先ず前提となる電動車両は、インバータを介しバッテリからの電力で駆動される電動モータにより車輪を駆動する電動車両とする。
そして本発明は、上記インバータを車両前部のエンジンルーム内において車体の左右サイドメンバ上に搭載し、これらサイドメンバの下方に設けたサスペンションメンバ上に上記電動モータを搭載し、上記左右サイドメンバおよびサスペンションメンバがそれぞれ車両の前部衝突時に折れ曲がることで、インバータおよび電動モータの後方移動を抑制するようにした電動車両のパワーユニット搭載構造を前提とする。
【0006】
本発明は、かかるパワーユニット搭載構造におけるサスペンションメンバおよび左右サイドメンバをそれぞれ、車両の前部衝突時にこれらサスペンションメンバおよび左右サイドメンバが車体下方への折れ曲がるよう構成する。
そして、左右サイドメンバの折れ曲がりに伴ってインバータが、車体後方側取り付け点の位置を不変に保って該車体後方側取り付け点の周りで車体下方へ回動するよう、左右サイドメンバ、および、該左右サイドメンバに対するインバータの車体後方側取り付け部を構成し、これにより、
インバータおよび電動モータ間に延在する強電ハーネス用の、車体前方寄りに配置されたインバータ側配線コネクタおよびモータ側配線コネクタ間の距離が前部衝突前後でほぼ同じに保たれるようにすると共に、インバータおよびバッテリ間に延在する強電ハーネス用の、車体後方寄りに配置されたインバータ側配線コネクタの位置が前部衝突前後でほぼ同じに保たれるようする。
【発明の効果】
【0007】
かかる本発明の構成によれば、車両の前部衝突時にサスペンションメンバおよび左右サイドメンバが共に車体下方への折れ曲がることから、そして、左右サイドメンバの折れ曲がりに伴ってインバータが、車体後方側取り付け点の位置を不変に保ってこの点の周りで車体下方へ回動することから、
インバータおよび電動モータ間に延在する強電ハーネス用の、車体前方寄りに配置されたインバータ側配線コネクタおよびモータ側配線コネクタ間の距離が前部衝突前後でほぼ同じに保たれると共に、インバータおよびバッテリ間に延在する強電ハーネス用の、車体後方寄りに配置されたインバータ側配線コネクタの位置が前部衝突前後でほぼ同じに保たれることとなり、
車両の前部衝突時に強電ハーネスが断線したり、これが配電コネクタから外れるのを回避し得て、軽度の衝突であれば車両を自走させ得る状態に保つことができる。
【0008】
そして、従来のように強電ハーネス長を長くすることなく上記の作用効果を達成し得ることから、強電ハーネスの配索に際して広いスペースが必要になることがなく、スペース的にも作業上もパワーユニットの搭載性が低下するという問題を生ずることがないし、強電ハーネス同士の接触、摩耗に関する懸念も減ずることができる。
また、強電ハーネス長を長くしないことから、インピーダンスの増加による電気的な効率低下の問題を生ずることもないし、強電ハーネスの固定点が増加することもなく、従って、組込み作業工数の増加によるコスト高や、強電ハーネス固定具数の増加による重量増の問題を生ずることもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
図1〜図4は、本発明の一実施例になるパワーユニット搭載構造を具えた電動車両の前部エンジンルームを示し、
図1は、該エンジンルームを車両の左側方から見て示す側面図、
図2は、該エンジンルームを車両の上方から見て示す平面図、
図3は、該エンジンルーム内の要部を車両前方から見て示す正面図、
図4は、該エンジンルーム内の要部を車両後方から見て示す背面図である。
【0010】
1は、車体の左サイドメンバ、2は、車体の右サイドメンバで、エンジンルーム内においてこれら左右サイドメンバ1,2上に、後で詳述するようにしてインバータ3を搭載する。
左右サイドメンバ1,2の下方にサスペンションメンバ4を配置し、該サスペンションメンバ4の車体後方側における後端4aを左右サイドメンバ1,2に取着し、サスペンションメンバ4の車体前方側における前端クロスメンバ4bと左右サイドメンバ1,2との間にラジエータコアサポート17を架設して、サスペンションメンバ4の前端クロスメンバ4bを左右サイドメンバ1,2に取着し、サスペンションメンバ4上に、後で詳述するように電動モータ5を搭載する。
【0011】
インバータ3の車体前方側における前面に配電コネクタ3aを設け、電動モータ5の車体前方側における前面に配電コネクタ5aを設け、これらコネクタ3a,5a間に、インバータ3および電動モータ5間を電気接続するための強電ハーネス6を延在させる。
インバータ3の車体後方側における後面に配電コネクタ3bを設け、これから図示せざるバッテリへ至る強電ハーネス7を、ハーネスクリップ8(図1参照)によりサイドメンバ1,2に固定して配索する。
電動車両は、インバータ3を介しバッテリからの電力で電動モータ5を駆動され、該モータ5の回転動力により左右前輪9L,9Rを駆動されて走行可能である。
【0012】
エンジンルーム内における左右サイドメンバ1,2の部分はそれぞれ、図1および図2に示すように車体前方寄りの前部1a,2aに対し、車体後方寄りの後部1b,2bを高剛性部となし、これにより、前部衝突時に図5に示すごとく、左右サイドメンバ1,2の前部1a,2aがその後方における高剛性部1b,2bに対し、これら前部1a,2aおよび高剛性部1b,2b間の境界部Aの周りで矢αで示す車体下方へ折れ曲がるようにする。
高剛性部1b,2bは、サイドメンバ1,2の内側に板材をスポット溶接などで固着して剛性を高めた構造にすることができる。
左右サイドメンバ1,2の前部1a,2aには更に、前端近傍に配して潰れビード1c,2cを設定し、この潰れビード1c,2cが車両の前部衝突時に図5のごとく車両後方に潰れて衝突エネルギーを吸収するものとする。
【0013】
上記のような左右サイドメンバ1,2上にインバータ3を搭載するに際しては、図1に示すようにインバータ3を潰れビード1c,2cよりも所定距離Lだけ後方へずらせて配置する。
そして、インバータ3の車体前方寄りの前縁部は、左右サイドメンバ1,2の前部1a,2a間に橋絡して横架した前インバータマウンティング11を介し左右サイドメンバ1,2の前部1a,2a上に取り付ける。
また、インバータ3の車体後方寄りの後縁部は、左右サイドメンバ1,2の高剛性部1b,2b間に橋絡して横架した後インバータマウンティング12を介し左右サイドメンバ1,2の高剛性部1b,2b上に取り付ける。
【0014】
前インバータマウンティング11は図1〜図3に示すように閉断面長尺ボックス形状としてその長手方向軸線周りの捻れ剛性が比較的高いものとする。
この前インバータマウンティング11の両端をそれぞれ図2および図3に示すように、ボルト&ナット手段13で左右サイドメンバ1,2の前部1a,2aに締結し、前インバータマウンティング11に対するインバータ3の前縁部の取り付けは、図1および図3に示すような2個のブラケット14を介してこれを行う。
【0015】
後インバータマウンティング12は図1、図2および図4に示すように長尺チャンネル形状として、その長手方向軸線周りの捻れ剛性が前インバータマウンティング11のそれよりも低いものとする。
この後インバータマウンティング12の両端をそれぞれ図2および図4に示すように、左右サイドメンバ1,2の高剛性部1b,2bと接するフランジ部においてボルト&ナット手段15により左右サイドメンバ1,2の高剛性部1b,2bに締結し、後インバータマウンティング12に対するインバータ3の後縁部の取り付けは、図1および図4に示すような2個のブラケット16を介してこれを行う。
【0016】
サスペンションメンバ4上に電動モータ5を搭載するに際しては、図1に示すごとくサスペンションメンバ4の両端間に上下方向折れ曲がり点を提供するための脆弱部Bを設定し、これにより、車両の前部衝突時にサスペンションメンバ4がこの脆弱部Bにおいて図5に矢βで示すごとく車体下方へ折れ曲がるようにし、これよりも車体後方におけるサスペンションメンバ4の箇所に電動モータ5を搭載する。
【0017】
上記した実施例のパワーユニット搭載構造を持つ電動車両が、図5に示すように衝突対象物20に前部衝突した場合の作用を以下に説明する。
この前突時にサスペンションメンバ4は前端部を押されて脆弱部Bの付近で矢βで示すごとく車体下方へ折れ曲がり、これに伴い電動モータ5が同じ矢βで示すごとく車体後方および車体下方へ移動する。よって電動モータ5が車室に向けて後方移動されるのを抑制することができる。
この時の電動モータの移動量および移動方向は、サスペンションメンバ4に設ける脆弱部Bの設定箇所の調整により加減することができる。
【0018】
左右サイドメンバ1,2は上記の衝突時に、前部1a,2a上の潰れビード1a,2aが図5のごとくに潰れて衝突エネルギーを吸収する。
一方で左右サイドメンバ1,2は、上記の衝突によっても変形しない高剛性部1b,2bを反力受けとして前部1a,2aが高剛性部1b,2bに対し相対的に、これら前部1a,2aおよび高剛性部1b,2b間の境界部Aの周りで矢αで示すごとく車体下方へ回動するよう折れ曲がる。
かように左右サイドメンバ1,2の前部1a,2aが折れ曲がることにより、前インバータマウンティング11がインバータ3の前縁部を伴って矢αで示すように変位する。
【0019】
ところで後インバータマウンティング12は、高剛性部1b,2b上にあってインバータ3の後縁部取り付け点位置を不変に保つ。
しかし後インバータマウンティング12が前記した通り、その長手方向軸線周りの捻れ剛性を前インバータマウンティング11のそれよりも小さくされていることから、前インバータマウンティング11(インバータ3の前縁部)の上記した変位αは、後インバータマウンティング12をその長手方向軸線周りに捻れ変形させながら、インバータ3をその後方側取り付け点(後インバータマウンティング12)の周りに矢γで示す方向へ回動させる。
【0020】
以上により、前部衝突時にインバータ3および電動モータ5が衝突前の相対位置を保って車体下方へ移動することとなり、インバータ3および電動モータ5間に延在する強電ハーネス6用の、車体前方寄りに配置されたインバータ側配線コネクタ3aおよびモータ側配線コネクタ5a間の距離を前部衝突前後でほぼ同じに保つことができ、強電ハーネス6が断線したり、配線コネクタ3a, 5aから外れるのを防止することができる。
また上記の衝突時に、インバータ3が後方側取り付け点(後インバータマウンティング12)の位置を不変に保たれたまま、当該取り付け点の周りに矢γで示す方向へ回動されることから、車体後方寄りに配置された配電コネクタ3bと強電ハーネス7との接続点7aが、図6(a)に二点鎖線で示すインバータ3の衝突前位置および実線で示す衝突後位置の比較から明らかなように、衝突の前後でほぼ同じ位置に保たれる。よって、強電ハーネス7が断線したり、配線コネクタ3bから外れるのを防止することができる。
【0021】
ちなみに図6(b)に示すごとく、後インバータマウンティング12(インバータ3の後方側取り付け点)が前インバータマウンティング11(インバータ3の前方側取り付け点)と同じく、サイドメンバ1,2の折れ曲がる前部1a,2a上にあって、上記の衝突時に、サイドメンバ前部1a,2aの折れ曲がりに伴ってインバータ3の後方側取り付け点(後インバータマウンティング12)がインバータ3の前方側取り付け点(前インバータマウンティング11)と同方向へ変位する場合、車体後方寄りに配置された配電コネクタ3bと強電ハーネス7との接続点7aは、図6(b)に二点鎖線で示すインバータ3の衝突前位置および実線で示す衝突後位置の比較から明らかなように、衝突の前後で大きく(Dにより示す)位置を変化される。
よって、強電ハーネス7が断線したり、配線コネクタ3bから外れる懸念があるが、本実施例では上記のように、この懸念を払拭することができる。
【0022】
以上のように本実施例によれば、車両の軽い前部衝突なら、インバータ3の前後に配索した強電ハーネス6,7が断線したり、これら強電ハーネス6,7が配電コネクタ3a,5aおよび3bから外れるのを回避し得て、車両を自走させ得る状態に保つことができるが、
かかる作用効果を、従来のような強電ハーネス長の延長に頼ることなく達成し得ることから、強電ハーネス6,7の配索に際して広いスペースが必要になることがなく、スペース的にも作業上も電動車両用パワーユニットの搭載性が低下するという問題を生ずることがないし、強電ハーネス同士の接触、摩耗に関する懸念も減ずることができる。
また、強電ハーネス長を長くしないことから、インピーダンスの増加による電気的な効率低下の問題を生ずることもないし、強電ハーネスの固定点が増加することもなく、従って、組込み作業工数の増加によるコスト高や、強電ハーネス固定具数の増加による重量増の問題を生ずることもない。
【0023】
なお上記実施例では、衝突時にサイドメンバ前部1a,2aの折れ曲がりに伴いインバータ3が後方側取り付け点(後インバータマウンティング12)の周りに矢γ(図5および図6参照)で示す方向へ回動するようになすに際し、後インバータマウンティング12の長手方向軸線周りにおける捻れ変形により当該インバータ3の回動を生起させるようにしたが、この代わりに、後インバータマウンティング12を用いない図7および図8に示すようなインバータ3の車体後方側枢支取り付け構造とするのがよい。
【0024】
つまり、サイドメンバ1,2の高剛性部1b,2b上にそれぞれ図7および図8(a),(b)に示すごとく筒状インシュレータ21をボルト&ナット手段22により取着して設ける。
これら筒状インシュレータ21は、内筒21aと、これを包套する外筒21bと、これら内外筒21a,21b間に加硫接着した弾性ブッシュ21cとで構成し、その中心位置が前記した後インバータマウンティング12(図1、図2および図4参照)の長手方向軸線に一致するよう配置する。
そして、インバータ3に図7および図8(a),(c)に示すごとくブラケット23をボルト&ナット手段24により取着して設ける。
筒状インシュレータ21の内筒21a内に枢支軸25を貫通して設け、内筒21aから吐出する枢支軸25の端部をブラケット23に回転自在に挿通する。
【0025】
本実施例では、衝突時にサイドメンバ前部1a,2aの前記折れ曲がりに伴いインバータ3が、位置を不変に保たれている枢支軸25の周りに矢γ(図5および図6参照)で示す方向へ回動して前記した実施例と同様の作用効果を奏し得るが、インバータ3の車体後方側取り付け構造が枢支取り付け構造であるため、インバータ3の上記回動を一層確実に行わせることができて前記の作用効果を一層顕著なものにし得る。
なお、この作用効果だけのためなら筒状インシュレータ21は必ずしも必要ではないが、本実施例のように筒状インシュレータ21を用いる場合、その弾性ブッシュ21cがインバータ3の振動に弱い内蔵部品を防振する機能を果たして、耐久性を向上させることができるし、弾性ブッシュ21cは更に漏電防止作用をも果たして大いに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施例になるパワーユニット搭載構造を具えた電動車両の前部エンジンルームを車両の左側方から見て示す側面図である。
【図2】同エンジンルームを車両の上方から見て示す平面図である。
【図3】同エンジンルーム内の要部を車両の前方から見て示す正面図である。
【図4】同エンジンルーム内の要部を車両の後方から見て示す背面図である。
【図5】同実施例になるパワーユニット搭載構造を、電動車両が前部衝突した時の変形状態で示す、図1と同様な側面図である。
【図6】電動車両が前部衝突した時の変形状態を説明するための図面で、(a)は、図5の変形状態をインバータ搭載部に関し拡大して示す詳細側面図、(b)は、一般的なインバータ搭載構造を用いた場合におけるインバータ搭載部の変形状態を示す詳細側面図である。
【図7】本発明の他の実施例になるパワーユニット搭載構造を示す、図4と同様な要部背面図である。
【図8】同実施例において用いたインシュレータおよびブラケットの詳細を示し、(a)は、これらインシュレータおよびブラケットを結合状態で示す背面図、(b)は、インシュレータの側面図 (c)は、ブラケットの側面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 左サイドメンバ
2 右サイドメンバ
3 インバータ
4 サスペンションメンバ
5 電動モータ
3a 配電コネクタ
5a 配電コネクタ
6 強電ハーネス
7 強電ハーネス
11 前インバータマウンティング
12 後インバータマウンティング
1a,2a サイドメンバの折り曲げ前部
1b,2b サイドメンバの高剛性部
1c,2c サイドメンバの潰れビード部
A サイドメンバ前部の折り曲げ中心
B サスペンションメンバ脆弱部
20 衝突対象物
21 筒状インシュレータ
24 ブラケット
25 枢支軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インバータを介しバッテリからの電力で駆動される電動モータにより車輪を駆動する電動車両であって、前記インバータを車両前部のエンジンルーム内において車体の左右サイドメンバ上に搭載し、これらサイドメンバの下方に設けたサスペンションメンバ上に前記電動モータを搭載し、前記左右サイドメンバおよびサスペンションメンバがそれぞれ車両の前部衝突時に折れ曲がることで、インバータおよび電動モータの後方移動を抑制するようにした電動車両のパワーユニット搭載構造において、
前記前部衝突時に前記サスペンションメンバおよび左右サイドメンバが車体下方への折れ曲がるよう該サスペンションメンバおよび左右サイドメンバをそれぞれ構成し、
該左右サイドメンバの折れ曲がりに伴ってインバータが、車体後方側取り付け点の位置を不変に保って該車体後方側取り付け点の周りで車体下方へ回動するよう、前記左右サイドメンバ、および、該左右サイドメンバに対するインバータの車体後方側取り付け部を構成して、
前記インバータおよび電動モータ間に延在する強電ハーネス用の、車体前方寄りに配置されたインバータ側配線コネクタおよびモータ側配線コネクタ間の距離が前部衝突前後でほぼ同じに保たれるようにすると共に、前記インバータおよびバッテリ間に延在する強電ハーネス用の、車体後方寄りに配置されたインバータ側配線コネクタの位置が前部衝突前後でほぼ同じに保たれるようにしたことを特長とする電動車両のパワーユニット搭載構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電動車両のパワーユニット搭載構造において、
前記左右サイドメンバは、前記前部衝突時に車体前方寄りの前部が、該前部の後方における高剛性部に対し、これら前部および高剛性部間の境界部周りで相対的に車体下方へ回動する態様で折れ曲がるよう構成し、
該左右サイドメンバに対する前記インバータの車体前方側取り付け点を前記左右サイドメンバの前部上とし、該左右サイドメンバに対する前記インバータの車体後方側取り付け点を前記左右サイドメンバの高剛性部上としたことを特徴とする電動車両のパワーユニット搭載構造。
【請求項3】
請求項2に記載の電動車両のパワーユニット搭載構造において、
前記左右サイドメンバに対するインバータの車体後方側取り付け部を、前記左右サイドメンバの折れ曲がり時にインバータが車体後方側取り付け点の周りで車体下方へ回動するのを許容するよう変形可能な構造としたことを特徴とする電動車両のパワーユニット搭載構造。
【請求項4】
請求項3に記載の電動車両のパワーユニット搭載構造において、
前記左右サイドメンバの前部間に橋絡して設けた前インバータマウンティングを介しインバータの車体前方寄り箇所を左右サイドメンバの前部に取り付けて左右サイドメンバに対するインバータの車体前方側取り付け部を構成し、
前記左右サイドメンバの高剛性部間に橋絡して設けた後インバータマウンティングを介しインバータの車体後方寄り箇所を左右サイドメンバの高剛性部に取り付けて左右サイドメンバに対するインバータの車体後方側取り付け部を構成し、
後インバータマウンティングの長手方向軸線周りの捻り剛性を前インバータマウンティングの長手方向軸線周りの捻り剛性よりも小さくしたことを特徴とする電動車両のパワーユニット搭載構造。
【請求項5】
請求項4に記載の電動車両のパワーユニット搭載構造において、
前記前インバータマウンティングを閉断面長尺ボックス形状とし、前記後インバータマウンティングを長尺チャンネル形状としたことを特徴とする電動車両のパワーユニット搭載構造。
【請求項6】
請求項2に記載の電動車両のパワーユニット搭載構造において、
前記左右サイドメンバに対するインバータの車体後方側取り付け部を、前記左右サイドメンバの折れ曲がり時にインバータが車体後方側取り付け点の周りで車体下方へ回動するのを許容するような枢支取り付け構造としたことを特徴とする電動車両のパワーユニット搭載構造。
【請求項7】
請求項6に記載の電動車両のパワーユニット搭載構造において、
前記枢支取り付け構造は、前記左右サイドメンバに固設した筒状インシュレータと、該筒状インシュレータから延在する中心軸とを具え、該中心軸にインバータを枢支して、前記左右サイドメンバの折れ曲がり時にインバータが車体後方側取り付け点の周りで車体下方へ回動するのを許容するものであることを特徴とする電動車両のパワーユニット搭載構造。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電動車両のパワーユニット搭載構造において、
前記サスペンションメンバに、前記折れ曲がりの起点を提供する脆弱部を設定し、該脆弱部よりも車体後方におけるサスペンションメンバの箇所に前記電動モータを搭載したことを特徴とする電動車両のパワーユニット搭載構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−88871(P2006−88871A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−276719(P2004−276719)
【出願日】平成16年9月24日(2004.9.24)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】