説明

電子カメラ

【課題】頭や肩等の体の一部に装着して使用する電子カメラにおいて、カメラに触れることなく、また、リモコン等の操作部材を使用することなくカメラの操作を行えるようにした電子カメラを提供する。
【解決手段】
本発明の電子カメラシステム2は、眼鏡型のフレームにアイ・グラスディスプレイ10、カメラ部14、マイクロホン20等が設置される。撮影者4はこの電子カメラシステム2を眼鏡のようにして頭部に装着し、被写体を観察しながら記録したい画像の構図を両手を使って決める。カメラ部14はこの撮影者の両手の位置を検出し、この両手の位置に基づいて画像の切り出し範囲を設定する。続いて撮影者がシャッターレリーズを指示する言葉を発すると、マイクロホン20がこれを検知し、カメラ部14にシャッターレリーズを指示する。これにより、カメラ部14の全撮影範囲の画像から前記切り出し範囲の画像が切り出され、その画像がメモリに記録される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子カメラに係り、特に撮像範囲内の撮影者の手の位置や形状に基づいて撮像動作や撮像した画像の画像処理を制御する電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バーチャル・リアリティ(仮想現実感)を用いて種々の入力を行う装置や、バーチャル・リアリティの技術に関連してユーザの手や指の3次元位置や形状を測定する方法が知られている。例えば、特許文献1には、使用者の目にビュー装置を装着して仮想空間を作り、この仮想空間に電話機等の通信機器を立体視させると共に、使用者の指や手の位置を3次元的に検出することによって、仮想空間内で通信機器をあたかも現実に操作しているかのように扱えるようにしたものが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、ユーザの手の形状や動きを認識し、この手の形状や動きによって機器の操作を行えるようにすることで、キーボードやマウス等の入力装置を不要にしたインタフェース装置が提案されている。
【0004】
また、特許文献3及び特許文献4には、使用者の頭部又は顔面に保持して眼球に映像を投影する頭部又は顔面装着式の画像表示装置が開示されている。
【特許文献1】特開平6−175778号公報
【特許文献2】特開平9−185456号公報
【特許文献3】特開平9−65245号公報
【特許文献4】特開平9−197336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来、デジタルスチルカメラ等の電子カメラで撮影を行う場合、まず、撮影者がカメラを把持し、カメラを被写体に向けて構え、光学ファインダーや液晶ファインダ等で構図を確認する。そして、構図が決まるとレリーズスイッチを指で押して画像をメモリに記録させるというのが一般的な操作手順である。
【0006】
しかしながら、このような一連の操作は煩雑な手間を要し、予め、カメラをもって撮影の準備をしていないとシャッターチャンスを逃す場合が少なくなかった。一方、シャッターチャンスを逃さないようにカメラを手でもっていつでも撮影を行えるように準備しておくと、手が自由でなく他の動作に支障をきたす場合があった。
【0007】
そこで、撮影者の頭部等の体の一部にカメラを装着しておき、所望の時にそのままの状態で撮影を行うことができれば、カメラをもってカメラを被写体に向けて構えるといった煩わしい動作が不要となり、シャッターチャンスを逃すといった不具合が解消される。また、少なくとも撮影時以外では手も自由に使えて便利である。一方、このようにした場合には、カメラの各種操作部材を操作するのが困難で(例えば、カメラを頭部に装着した場合には操作部材が見えない。)、また、カメラを操作するためリモコン等を別個に用意するようにしたのでは撮影に備えてそのリモコンをもっていなければならない等の煩わしさがある。このため、シャッターレリーズ等のカメラ操作をカメラに触れることなく、また、リモコン等の操作部材を用いることなく、簡単に行えるようにする必要がある。また、特にこのようなカメラでは、ファインダーを使用することができないため、ズーミングやフレーミングの操作が適切に行えず撮影者が望む構図の画像を得ることができないという問題がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、頭や肩等の体の一部に装着して使用する電子カメラにおいて、カメラに触れることなく、また、リモコン等の操作部材を使用することなくカメラの操作を行えるようにし、また、ズーミングやフレーミングの操作を適切且つ容易に行えるようした電子カメラを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、撮影者の頭部又はその近傍に装着可能で、画像認識範囲と、画像認識範囲よりも内側の記録画像切り出し範囲の2つの領域の画像読み出しが可能な撮像手段と、前記撮像手段からの画像に基づいて、該撮像手段の画像認識範囲内にある撮影者の手の位置及び/又は形を認識する認識手段と、前記認識手段によって認識した手の位置及び/又は形に基づいて前記撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理を制御する制御手段と、前記撮像手段からの画像に基づいて、記録画像切り出し範囲の画像を記録する画像記録手段と、を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明は、撮影者の頭部又はその近傍に装着可能で、画像認識範囲と、画像認識範囲よりも内側の記録画像切り出し範囲の2つの領域の画像読み出しが可能な撮像手段と、前記撮像手段からの画像に基づいて、該撮像手段の画像認識範囲内にある撮影者の手の位置及び/又は形を認識する認識手段と、前記認識手段によって認識した手の位置及び/又は形に基づいて前記撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理を制御する制御手段と、前記撮像手段からの画像に基づいて、記録画像切り出し範囲の位置に基づいてその切り出し範囲を示す切り出し枠を画像表示素子に表示する表示手段と、を備えたことを特徴としている。
【0011】
請求項3に記載の発明は、撮影者の頭部又はその近傍に装着可能な撮像手段と、前記撮像手段の画像認識範囲の内側の領域にあり、前記撮像手段によって認識される撮影者の手の位置及び/又は形に基づいて該撮像手段の撮像範囲内に撮影者の手が位置する場合にその手の位置及び/又は形を認識する認識手段と、前記認識手段によって認識した手の位置及び/又は形に基づいて前記撮像手段によって撮像される記録画像の切り出し範囲を設定する切り出し手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、頭部又はその近傍に撮像手段を装着し、その撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理の制御を、撮像手段の撮像範囲内に映る撮影者の手の位置や形に基づいて行うようにしたため、カメラの操作部材を操作することなく、カメラの操作を容易に行うことができ、シャッターチャンスを逃すといった不具合や、カメラをもって撮影しなければならないといった煩わしさを軽減することができる。
【0013】
また、撮影範囲の手の位置によって構図を設定することができるため、撮影者は、ファインダを使用することなく被写体を直接見ながらズーミングやフレーミングの制御を的確且つ容易に行うことができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下添付図面に従って本発明に係る電子カメラの好ましい実施の形態について詳説する。
【0015】
図1は本発明に係る電子カメラが適用された電子カメラシステムの斜視図であり、図2は、本電子カメラシステムを使用している様子を示した図である。これらの図に示すように、電子カメラシステム2は、眼鏡のように撮影者4の耳と鼻で保持される形状となって
おり、アイグラスディスプレイ10の中央下部10Aが撮影者4の鼻に当接し、アイグラスディスプレイ10の左右両端に固設された蔓12、12の先端の湾曲部12A、12Aが撮影者4の耳にかけられることで、本システム2が撮影者4の頭部に装着されるようになっている。本システム2を装着した際には、撮影者4の目に近接してアイグラスディスプレイ10が配置され、このアイグラスディスプレイ10によって撮影者4の視野全体が覆われる。
【0016】
右耳にかけられる蔓12の基端部、即ち、アイグラスディスプレイ10の右端には上下左右にパン・チルト動作可能なカメラ部14が設置され、左耳にかけられる蔓12の基端部、即ち、アイグラスディスプレイ10の左端には音声検知装置16が設置される。音声検知装置16からはアーム18が撮影者4の口もとまで延設され、そのアーム18の先端にマイクロホン20が設置される。また、アイグラスディスプレイ10の内面側(顔と対向する側)には撮影者4の視線方向を検知する視線方向検知装置22が設置されている。
【0017】
前記アイグラスディスプレイ10は、上面10B側に図示しない画像表示素子が設けられ、この画像表示素子に表示された画像がアイグラスディスプレイ10内に配置された光学系を介して撮影者4の眼球に導かれるようになっている。また、このアイグラスディスプレイ10は、外界からの光を透過させるため、撮影者4は、外界の被写体像を通常通り見ることができる。従って、撮影者4には、外界の被写体像と画像表示素子に表示された像とが重なって見えるようになっている。この画像表示素子には、カメラ部14の撮影モード、残り撮影可能枚数、バッテリー残量等の各種情報や後述するように撮像範囲を示す枠等が表示される。
【0018】
前記カメラ部14は、電源がオンされるとCCD撮像素子によって被写体像を常時撮像し、シャッターレリーズの指示が加えられるとそのときの静止画像をメモリに記録する。このカメラ部14は、前記視線方向検知装置22によって撮影者4の視線方向を検知し、撮影者4の視線方向に合わせてモータ駆動によりパン・チルト動作するようになっている。従って、撮影者4が見ている方向の被写体像が常にカメラ部14の撮影範囲に収められるようになっている。また、カメラ部14は、撮影画像内に映された撮影者4の左右の指の位置を検知し、この左右の指の位置に基づいてフレーミングを行い、CCD撮像素子の撮影画像に対してメモリに記録する記録画像の切り出し範囲を設定する。即ち、撮影者4は、図2に示すように実際観察している被写体像に対して両手5A、5Bの指で記録画像の構図(枠)を決めるだけで、メモリに記録する記録画像のフレーミングを行うことができるようになっている。尚、このフレーミングの操作については後述する。
【0019】
前記音声検知装置16、前記マイクロホン20によりユーザの発する言葉を取り込み、言葉の内容に応じてカメラ部14に所定のコマンドを送る。例えば、「シャッター」という言葉を検知すると、これに連動してカメラ部14にシャッターレリーズのコマンドを送る。これにより、カメラ部14は、CCD撮像素子によって取り込まれた全範囲の撮影画像から上述のようにフレーミングによって設定された切り出し範囲の画像を抽出し、この画像をメモリに記録する。
【0020】
次に、上記電子カメラシステム2で撮影を行う際の撮影者4の操作について説明する。まず、撮影を行う際には図3に示すように撮影者4の手5の人指し指に座標検出用のリング30を装着する。このリング30には所定形状のマーク32が描画されており、カメラ部14が撮影画像からこのマーク32の位置をパターン検出の処理によって検出することができるようになっている。即ち、撮影者4は、このリング30を両手の人指し指に装着することで、両手の人指し指の位置をカメラ部14が撮影画像から認識できるようにする。尚、必ずしもリング30を人指し指に装着する必要はなく、他の指でもよい。
【0021】
次に撮影時に撮影者4は、図2に示したように、実際に観測している被写体像に対してメモリに保存する記録画像の構図(枠)を両手の人指し指と親指とを使って決める。このとき、撮影者4の両手5A(右手)、5B(左手)の指は、図4(A)に示すようにカメラ部14によって撮影される。尚、同図に示す外枠40は、カメラ部14のCCD撮像素子によって撮像される撮影範囲(画像認識範囲40)を示している。カメラ部14は、撮影者4の両手5A、5Bの人指し指に装着された2つのリング30の位置を撮影画像から検出し、これらの2つのリング30の位置に基づいて、メモリに記録する記録画像の切り出し範囲を画像認識範囲40に対して設定する。この記録画像の切り出し範囲は、図4(A)の枠42で示されており、この枠42が示すようにリング30、30の位置を矩形枠の対角とするのではなく、人指し指の一般的な長さとリング30を人指し指に装着する位置(予めリング30を人指し指のどの位置に装着するかを約束しておく)とを考慮して、略左右の手5A、5Bの人指し指と親指の付け根辺りが対角となるように設定される。また、カメラ部14は、上述のように記録画像の切り出し範囲を設定すると、その切り出し範囲が実際にどの位置に設定されたかを撮影者が確認できるように、設定した切り出し範囲の位置に基づいてその切り出し範囲を示す切り出し枠(内枠)42をアイグラスディスプレイ10の画像表示素子の所定位置に表示させ、その切り出し枠42を撮影者4が被写体像に重ねて見えるようにしている。尚、画像認識範囲を示す外枠40も同様に画像表示素子に表示して撮影者4が把握できるようにしてもよい。
【0022】
このように撮影者4が実際に観測している被写体像に対して自分の手で枠を作れば記録画像の切り出し範囲(切り出し枠42)が設定されるが、撮影者4が手の位置を動かせばこれに連動してその切り出し範囲も移動する。例えば、撮影者4が図4(A)に示す指の位置から左斜め下方向(図4(B)の矢印S方向)に両手5A、5Bを動かすと、これに伴って図4(B)に示すように切り出し枠42が左斜め下方向にシフトし、更にこの位置から右手5Aのみ右斜め上方向(図4(C)の矢印S方向)に動かすと、これに伴って図4(C)に示すように切り出し枠42の右上隅の位置が右斜め上方向にシフトし、切り出し範囲が拡大する。
【0023】
また、図5に示すように、手をカメラ部14の画像認識範囲40の内側から外側に移動させると、光学ズームによりズームレンズがワイド側に移動し、画像認識範囲40が同図画像認識範囲40′のように拡大すると共に切り出し枠42の設定範囲が拡大するようになっている。尚、画像認識範囲40の内側の領域41は光学ズームを行うための領域であり、この領域41で上述とは逆に画像認識範囲40の外側から内側に向かって手を動かすと光学ズームによりズームレンズがテレ側に移動するようになっている。
【0024】
このようにして記録画像の切り出し範囲を決定した後、その切り出し範囲の画像をメモリに記録させる場合には、まず、撮影者4は、人指し指のリング30を即座に隠し、又は、画像認識範囲40の外に退避させて切り出し範囲を固定する。カメラ部14は、リング30位置が所定速度以上で移動した場合には切り出し範囲の設定を変更しないようにしているため、このようにして切り出し範囲を固定することができる。そして、撮影者4は切り出し範囲に手が入らないようにして、「シャッター」という言葉を発してカメラ部14にシャッターレリーズを実行させる。これにより、カメラ部14のメモリに切り出し範囲の画像が記録される。
【0025】
次に上述の如く処理を行う電子カメラシステム2の処理ブロックの構成について説明する。図6は、その処理ブロックを示した図である。頭部装着カメラユニット2は、上述したようにアイグラスディスプレイ10、カメラ部14、音声検知装置16、視線方向検知装置22を備え、アイグラスディスプレイ10は主として画像を表示する画像表示素子52と画像表示素子52を制御するCPU50等から構成され、音声検知装置16は主としてマイクロホン20とマイクロホン20によって取得した音声信号を処理するCPU54
とから構成される。また、カメラ部14は主としてレンズ部60、撮像部62、画像処理部64、画像切り出し部66、メモリ68、CPU70及びパン・チルトモータ72等から構成される。
【0026】
前記カメラ部14のレンズ部60は、フォーカスレンズやズームレンズを備え、これらのレンズはCPU70からのコマンドによってモータ駆動されるようになっている。このレンズ部60を通過した被写体光は撮像部62のCCD撮像素子によって電気信号に変換され画像処理部64に転送される。画像処理部64は、ホワイトバランス調整やガンマ補正等の一般的な画像処理を行うほか、画像信号から上記リング30のマーク32の位置を検出するためのパターン検出処理を行う。CPU70は画像処理部64から2つのリング30の位置を取得し、CCD撮像素子によって撮像される画像認識範囲の画像に対してメモリ68に記録する記録画像の切り出し範囲を設定する。そして、この設定した切り出し範囲の位置をアイグラスディスプレイ10のCPU50に出力する。アイグラスディスプレイ10のCPU50は、カメラ部14から入力された切り出し範囲の位置に基づいて、その切り出し範囲を示す切り出し枠(図4符号42参照)を画像表示素子52に表示させ、撮影者4が被写体像と重ねてその切り出し枠を見えるようにする。
【0027】
尚、視線方向検知装置22によって撮影者4の視線方向が検知されると、この視線方向に合わせてパン・チルトモータ72がカメラ部14をパン・チルト動作させ、撮影者4の視線方向とカメラ部14の撮影方向とを一致させるようにしている。
【0028】
一方、音声検知装置16のCPU54は、マイクロホン20によって取り込まれた音声信号を解析し、撮影者4が発した言葉を認識する。例えば、撮影者が「シャッター」という音声を発すると、CPU54は、これを認識しカメラ部14のCPU70にシャッターレリーズのコマンドを送る。カメラ部14のCPU70は、音声検知装置16のCPU54からシャッターレリーズのコマンドが入力されると、画像切り出し部66に上述のように設定した記録画像の切り出し範囲を指定する。画像切り出し部66は、画像処理部64から入力される画像認識範囲の画像信号からCPU70に指定された切り出し範囲の画像信号を切り出し、この画像信号に電子ズームの処理を施して所定の大きさの画像信号に変換する。そして、この電子ズームの処理を施した画像信号をメモリ68に記憶させる。
【0029】
尚、音声検知装置16は、上述のようにシャッターレリーズを指示する言葉だけでなく、ズームやフォーカス等の操作を指示するする言葉を認識し、指示に応じたコマンドをカメラのCPU70に送信するようにしてもよい。この場合にはカメラ部14のCPU70は、音声検知装置16から入力される指示に従って各種制御を行うことで、撮影者4の音声によるカメラ部14の種々の操作を可能にすることができる。
【0030】
以上のように、撮影者は実際に見ている被写体像に対して手で枠を作る動作を行うだけで記録したい画像の構図を設定することができるため、容易にズーミングやフレーミングといった操作を行うことができるようになる。また、カメラに触れることなくカメラ操作を行うことができるため、カメラの操作を簡単に行うことができる。
【0031】
以上、上記実施の形態では、撮影者の手(指)の位置をリング30によって検出するようにしたが、撮影者の手の位置を検出する方法はこれに限らない。リング30を装着しなくても撮影画像から手の位置や形状を検知することは可能である。
【0032】
また、上記実施の形態では、音声によってカメラ部14の各種制御を行うようにしたが、これに代わって、又はこれと合わせて、手の位置や形によってカメラ部14の各種制御(撮像動作や撮像した画像の画像処理の内容)を行えるようにしてもよい。例えば、撮影者が手を所定形状にしたこと或いは所定動作させたことを検知するとシャッターレリーズを実行するようにしてもよい。また、撮影者が手を上向きを指し示す形状にしたことを検知すると例えば操作ダイヤルをアップ方向に回動させる操作に相当させ、下向きを指し示す形状にしたことを検知すると操作ダイヤルをダウン方向に回動させる操作に相当させるようにして通常のカメラに設置されているような操作部材の操作を手の形状等で指定できるようにしてもよい。更に、アイグラスディスプレイ10によって仮想空間に操作部材(操作スイッチや操作ダイヤル等)を表示し、撮影者がその操作部材を操作する動作をカメラ部14の撮影画像から検知するようにし、これに基づいてカメラ部14の各種制御を行うようにしてもよい。これにより撮影者はあたかも現実に存在する操作部材を操作してカメラ部14の操作を行うことができるようになる。
【0033】
また、上記電子カメラシステム2でメモリ68に記録した記録画像をアイグラスディスプレイ10を用いて再生できるようにしてもよい。例えば、アイグラスディスプレイ10によって仮想空間にアルバム(バーチャルアルバム)を表示させ、このアルバムを撮影者がめくる動作を検知すると、そのアルバムのページに合わせてメモリ68に記録した所定の記録画像をアイグラスディスプレイ10によって仮想空間に表示させるようにしてもよい。
【0034】
また、上記実施の形態では、撮影者が記録画像の切り出し枠42(図4参照)を確認できるようにアイグラスディスプレイ10によってその切り出し枠42等を表示させるようにしたが、必ずしも切り出し枠42を表示させる必要はなく、アイグラスディスプレイ10のような画像表示手段も必ずしも必要ではない。
【0035】
また、上記実施の形態では、撮影者が手で切り出し枠を指定するとその範囲の画像をカメラ部14の撮影画像から切り出すようにしたが、撮影者が手で枠を指定すると、その方向にカメラ部14がパン・チルト動作すると共に光学ズームにより指定された枠内の画像を拡大して撮影するようにしてもよい。
【0036】
また、上記実施の形態では、カメラ部14を眼鏡型のアイグラスディスプレイ10に装着して撮影者の頭部に装着するようにしたが、これに限らず、撮影者の肩等他の部分に装着できるようにしてもよい。
【0037】
また、上記実施の形態では、撮影画像の構図を手で位置で設定するようにしたが、音声によって行えるようにしてもよい。例えば、アイグラスディスプレイ10にカメラ部14の撮影範囲を表示し、撮影者がその撮影範囲の位置や大きさを音声で指定すれば、それに合わせてカメラ部が自動でパン・チルト動作、光学ズーム、電子ズーム、フレーミング等の制御を行うようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明に係る電子カメラが適用された電子カメラシステムの斜視図である。
【図2】図2は、電子カメラシステムを使用している様子を示した図である。
【図3】図3は、座標検出用リングの一実施の形態を示した図である。
【図4】図4は、フレーミングの操作の説明に用いた説明図である。
【図5】図5は、フレーミングの操作の説明に用いた説明図である。
【図6】図6は、電子カメラシステムの処理ブロックの構成を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
2…電子カメラシステム
10…アイグラスディスプレイ
14…カメラ部
16…音声検知装置
20…マイクロホン
22…視線方向検知装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影者の頭部又はその近傍に装着可能で、画像認識範囲と、画像認識範囲よりも内側の記録画像切り出し範囲の2つの領域の画像読み出しが可能な撮像手段と、
前記撮像手段からの画像に基づいて、該撮像手段の画像認識範囲内にある撮影者の手の位置及び/又は形を認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識した手の位置及び/又は形に基づいて前記撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理を制御する制御手段と、
前記撮像手段からの画像に基づいて、記録画像切り出し範囲の画像を記録する画像記録手段と、
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項2】
撮影者の頭部又はその近傍に装着可能で、画像認識範囲と、画像認識範囲よりも内側の記録画像切り出し範囲の2つの領域の画像読み出しが可能な撮像手段と、
前記撮像手段からの画像に基づいて、該撮像手段の画像認識範囲内にある撮影者の手の位置及び/又は形を認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識した手の位置及び/又は形に基づいて前記撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理を制御する制御手段と、
前記撮像手段からの画像に基づいて、記録画像切り出し範囲の位置に基づいてその切り出し範囲を示す切り出し枠を画像表示素子に表示する表示手段と、
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項3】
撮影者の頭部又はその近傍に装着可能な撮像手段と、
前記撮像手段の画像認識範囲の内側の領域にあり、前記撮像手段によって認識される撮影者の手の位置及び/又は形に基づいて該撮像手段の撮像範囲内に撮影者の手が位置する場合にその手の位置及び/又は形を認識する認識手段と、
前記認識手段によって認識した手の位置及び/又は形に基づいて前記撮像手段によって撮像される記録画像の切り出し範囲を設定する切り出し手段と、
を備えたことを特徴とする電子カメラ。
【請求項4】
前記撮影者の視線方向を検知する視線方向検知手段と、前記撮像手段の撮影方向と前記視線方向検知手段によって検知された前記撮影者の視線方向とが一致するように前記撮像手段をパン・チルト動作させる駆動手段と、を備えたことを特徴とする請求項1、2、又は、3の電子カメラ。
【請求項5】
前記撮影者が観測している被写体に所要の画像を重ねて見えるようにした眼鏡型の表示手段を備え、該表示手段によって前記撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理の内容を設定又は確認するための情報を表示することを特徴とする請求項1、3、又は、4の電子カメラ。
【請求項6】
前記表示手段は、前記撮影者が観測している被写体に所要の画像を重ねて見えるようにした眼鏡型の表示手段であることを特徴とする請求項2の電子カメラ。
【請求項7】
前記表示手段は、前記撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理の内容を設定又は確認するための情報を表示することを特徴とする請求項6の電子カメラ。
【請求項8】
前記撮影者の音声を検知する音声検知手段を備え、前記制御手段は、前記音声検知手段によって検知した音声に基づいて前記撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理を制御することを特徴とする請求項1乃至7のうちのいずれか1に記載の電子カメラ。
【請求項9】
撮影者が手を所定形状にしたこと或いは所定動作させたことが前記認識手段により検出されると、前記制御手段は、シャッターレリーズを実行することを特徴とする請求項1乃至8のうちのいずれか1に記載の電子カメラ。
【請求項10】
撮像手段と、撮影者の手の位置及び/又は形を認識する認識手段と、前記認識手段によって認識した手の位置及び/又は形に基づいて前記撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理を制御する制御手段と、を備えた電子カメラにおいて、
撮影者が手を上向き又は下向きを指し示す形状にしたことが前記認識手段により検出されると、前記制御手段は、上又は下方向へのダイヤル回動操作に対応する制御を実行することを特徴とする電子カメラ。
【請求項11】
撮像手段と、撮影者の手の位置及び/又は形を認識する認識手段と、前記認識手段によって認識した手の位置及び/又は形に基づいて前記撮像手段による撮像動作及び/又は撮像した画像の画像処理を制御する制御手段と、を備えた電子カメラにおいて、
頭部に装着するアイグラスディスプレイと、該アイグラスディスプレイによる仮想空間に操作部材を表示する表示制御手段とを備え、
操作者が前記仮想空間の操作部材を操作する動作が前記認識手段により検出されると、前記制御手段は、該操作部材を操作する動作に対応する制御を実行することを特徴とする電子カメラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−10987(P2009−10987A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−214442(P2008−214442)
【出願日】平成20年8月22日(2008.8.22)
【分割の表示】特願2007−196482(P2007−196482)の分割
【原出願日】平成10年9月21日(1998.9.21)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】