説明

電子キー

【課題】内部回路の起動状況を把握可能である電子キーを提供する。
【解決手段】電子キー4は、対応する作動制御装置3と無線通信を介して接続され、作動制御装置3の作動を制御可能である。電子キー4は、作動制御装置3から送信される信号を受信する受信回路9と、作動制御装置3が発信する起動信号を受信した受信回路9から、起動信号に基づいて起動するマイコン11と、マイコン11の指示により作動制御装置3に起動信号に対する応答信号を送信する送信回路10と、マイコン11の起動をユーザに報知するLED14とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対応する作動制御装置と無線通信を介して接続され、該作動制御装置の作動を制御可能な電子キーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、対応する作動制御装置に対して無線通信で接続され、該作動対象を制御可能な電子キーが提案されている。例えば、電子キーを所持したユーザが車両に対して設定されたエリア内に入ると、電子キーと車両に備えられた作動制御装置とが無線通信を介して接続され、作動制御装置がドアロック装置を制御して車両ドアを解錠する。
【0003】
電子キーには、信号を受信する受信回路と、信号を送信する送信回路と、リクエスト信号を受信するとその信号に対する信号を発信する制御回路が内蔵されている。この制御回路は、駆動電源の消耗を低減するため、リクエスト信号を受信していないときは休止状態にある。このため、作動制御装置からは制御回路を起動するための起動信号が発信され、受信回路から起動信号を受信したデジタル信号が出力される。制御回路は、該制御回路の休止状態にあっても動作して受信回路の出力信号を監視する監視回路を有しており、その監視回路により受信回路の出力信号が検出されると、制御回路が起動するように構成されている。そして、起動信号に基づいて起動した制御回路は、識別コード照合やドアロック装置の制御等のため、一定時間起動する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、受信回路は、上記の起動信号の周波数を含む周波数帯域の電波を受信可能に構成され、受信した電波をデジタル信号に変換して制御回路に出力する。このため、起動信号と同じ周波数を含む電波が到来する環境下では、起動信号ではない電波を受信した場合でも前記制御回路が起動する。また、電波は目に見えないため、ユーザは電子キーが何らかの電波(リクエスト信号以外の電波)を受信していても気付かない。すると、上記周波数帯域の電波が到来する環境下に保管されると、制御回路が起動され続けることにより駆動電源が消耗されてしまう可能性がある。このため、電子キーにおいて制御回路が起動されているか否かを確認できるようになることが望まれていた。
【0005】
本発明は、こうした実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内部回路の起動状況を把握可能である電子キーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、対応する作動制御装置と無線通信を介して接続され、該作動制御装置の作動を制御可能な電子キーであって、前記作動制御装置から送信される信号を受信する受信手段と、前記作動制御装置が発信する起動信号を受信した受信手段から、該起動信号に基づいて起動する制御手段と、前記制御手段の指示により前記作動制御装置に前記起動信号に対する応答信号を送信する送信手段と、前記制御手段の起動をユーザに報知する報知手段と、を備えたことを要旨とする。
【0007】
この発明によれば、報知手段により制御手段の起動が報知されるため、ユーザは制御手段の起動信号以外の信号による起動を把握することができる。この結果、ユーザは制御手段が起動する環境下、即ち、起動信号と誤認される電波が到来する環境下に電子キーを保管することを回避し、制御手段の駆動電源の消耗を低減することができるようになる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電子キーにおいて、前記報知手段の作動状態・非作動状態を選択する選択手段を備えたことを要旨とする。
この発明によれば、選択手段により選択されたときのみ報知手段を作動状態とすることができる。このため、必要がないときは報知手段を非作動状態とし、報知手段の駆動電源の消耗を低減することができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の電子キーにおいて、前記報知手段は、前記受信手段の出力信号に基づいて、前記制御手段の起動をユーザに報知することを要旨とする。
【0010】
この発明によれば、受信手段が起動信号又は起動信号の周波数を含む周波数帯域の電波を受信してその信号に基づく信号を出力すると、制御手段の起動がユーザに報知される。このため、制御回路が起動したことがユーザに確実に報知される。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のうち何れか1項に記載の電子キーにおいて、前記制御手段は、起動した旨を示す信号を前記送信手段に出力し、前記報知手段は、前記制御手段から送信手段に出力される信号に基づいて該制御手段の起動をユーザに報知することを要旨とする。
【0012】
この発明によれば、起動した旨を示す信号が制御手段から送信手段に出力されると、制御手段の起動がユーザに報知される。このため、制御手段の起動がユーザに確実に報知される。
【0013】
また、例えば、電子キーが作動制御装置から発信される信号を受信可能な範囲内になく、起動信号と誤認する電波が到来する環境下にあった場合、電子キーは何らかの電波を受信してもその電波に対して信号を発信しない場合がある。そのような場合、電子キーが起動信号と誤認する信号を受信したときのみ、制御手段が起動したことがユーザに報知される。このため、制御手段が起動したことがユーザに確実に報知されるとともに、報知手段の駆動電源の消費が低減される。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1〜4のうち何れか1項に記載の電子キーにおいて、前記制御手段が起動した回数と、前記制御手段が前記作動制御装置と接続された回数とを記憶する記憶手段を備えたことを要旨とする。
【0015】
この発明によれば、正規の起動信号及び起動信号と誤認される電波に基づいて制御手段が起動した回数と、正規の起動信号のみに基づいて制御手段が起動して作動制御装置と接続された回数とが記憶されるため、これらの回数を比較することで、制御手段の駆動電源が有効に駆動したか否かを判断できるようになる。この結果、例えば、制御手段が起動した回数が、正規の起動信号のみにより起動した回数よりも多ければ、電子キーが日常的に保管される場所は起動信号と誤認される電波が到来する場所である可能性が高い。その場合、ユーザは電子キーの保管場所を変更することで、制御手段の駆動電源の消耗を低減することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、内部回路の起動状況を把握可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1実施形態)
以下、本発明の電子キーを適用した電子キーシステムの第1の実施形態を図面に従って説明する。
【0018】
図1に示すように、電子キーシステム1は、車両2に搭載され、車両2のドアの施錠・解錠を行う作動制御装置3と、作動制御装置3と無線通信を介して接続され、作動制御装置3を制御可能な電子キー4とを備えている。
【0019】
電子キーシステム1では、車両2毎に登録されたIDコード(識別コード)と電子キー4のIDコードとが照合(コード照合)され、これらのコードが一致すれば、電子キー4の制御による車両2のドアの施錠・解錠が許可される。電子キーシステム1は、例えば、運転者(ユーザ)が車両2に乗り込むときにコード照合を実施し、電子キー4固有の識別コードと車両2に予め設定された識別コードとを比較してそれらのコードが一致すれば(作動制御装置3と電子キー4との間で通信が確立すれば)、電子キー4の制御によるドアロックの解錠を許可する。
【0020】
作動制御装置3は、送信アンテナ5aを介して信号を送信する送信回路5と、受信アンテナ6aを介して信号を送信する受信回路6と、送信回路5及び受信回路6に接続されたマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という)7とを備えている。車両2が駐車状態のときは、送信回路5は電子キー4を起動(ウェイクアップ)するための起動信号(ウェイクアップ信号)を所定の範囲内に間欠的に発信している。
【0021】
マイコン7は、図示しないCPU、ROM、RAM等からなるCPUユニットである。マイコン7には、ドアロック装置8が電気的に接続されている。マイコン7は、コード照合により電子キー4と車両2のコードが一致したとき、ドアロック装置8にドアの施錠・解錠の許可信号を出力する。
【0022】
ドアロック装置8は、車両2のドアを自動的に施錠・解錠するためのものである。ドアロック装置8は、マイコン7からドアの施錠・解錠を許可する信号を入力すると、ドアロック用のアクチュエータを駆動してドアロックを自動的に施錠・解錠する。
【0023】
電子キー4は、受信アンテナ9aを介して信号を受信する受信手段としての受信回路9と、送信アンテナ10aを介して信号を送信する送信回路10と、受信回路9及び送信回路10に接続された制御手段としてのマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」という)11とを備えている。また、電子キー4は、車両2のドアに対して施錠を指示することができるドアロック部12と、前記ドアの解錠を指示することができるアンロック部13とを備え、これらドアロック部12及びアンロック部13はマイコン11に接続されている。また、マイコン11には発光ダイオード(以下、「LED( Light Emitting Diode )」という)14が接続されており、マイコン11はLED14をドアロック部12又はアンロック部13が操作されたときに点灯するように構成されている。
【0024】
受信回路9は、受信した信号を車両2から発信された起動信号と認識すると、パルス信号(起動信号に基づく信号)に復調してそのパルス信号をマイコン11に出力する。受信回路9は、起動信号ではない外来電波であっても、起動信号と同じ周波数帯域の電波を受信した場合は、その信号を起動信号とみなして前記パルス信号を出力してしまう。つまり、受信回路9は、起動信号及び起動信号と誤認する信号を受信すると、その信号をパルス信号に復調してマイコン11に出力する。なお、この受信回路9は、駆動電源の消費を低減するために、電子キー4と通信を行わない状態では間欠的に駆動するように構成されている。詳しくは、マイコン11にはタイマ11aが内蔵されており、受信回路9はタイマにより管理されて定期的に一定時間毎に起動される。
【0025】
マイコン11は、図示しないCPU、ROM、RAM等からなるCPUユニットである。マイコン11は受信回路9から起動信号に基づく信号(前記パルス信号)を入力すると起動(ウェイクアップ)する。詳しくは、マイコン11は受信回路9及び送信回路10との信号の送受信を行うための出入力回路11bと、受信回路9から起動信号に基づく信号を入力する入力監視回路11cとを内蔵している。入力監視回路11cは、マイコン11に含まれる他の回路が起動していなくても常時起動しており、受信回路9から信号を受信できる状態となっている。なお、マイコン11においては前記タイマ11aも常時起動している。入力監視回路11cは起動信号に基づく信号を入力すると、マイコン11全体の回路を起動する。つまり、マイコン11は、作動制御装置3と通信を行わない状態では、入力監視回路11c及びタイマ11aのみが起動し、他の大部分の回路は休止状態となっている。
【0026】
マイコン11は、起動信号に基づいて起動すると、起動信号に対する応答信号の送信指令を送信回路10に出力する。その送信指令を受けて送信回路10は応答信号を送信する。また、マイコン11は不揮発性の記憶手段としてのメモリ11dを備えており、メモリ11dは電子キー4固有の識別コード等を記憶している。
【0027】
本実施の形態では、受信回路9/マイコン11間とLED14との間に、スイッチ15を介してトランジスタ16が接続されている。これにより、受信回路9からマイコン11に信号が出力されると、スイッチ15がオン状態とされていれば、トランジスタ16に電流が流れLED14が点灯するように構成されている。この場合、LED14はマイコン11の起動をユーザに報知する報知手段に相当し、受信回路9の出力信号に基づいてマイコン11の起動をユーザに報知するものである。スイッチ15は、報知手段としてのLED14の機能の作動状態・非作動状態を選択することができる選択手段に相当し、このスイッチ15がユーザによりオン・オフ操作されることで、LED14の報知手段としての機能は作動状態・非作動状態とされる。
【0028】
次に、上記の構成の電子キーシステム1の作動の一例について説明する。ここでは、駐車状態にある車両2に電子キー4を所持した運転者(ユーザ)が近づいて車両2のドアロックを解除する場合について説明する。
【0029】
まず、運転者が起動信号を受信可能な範囲内に入り込み、電子キー4が起動信号を受信すると、電子キー4は起動信号に対する応答信号を送信する。その後、作動制御装置3と電子キー4との間でコード照合が行われ、車両2のコードと電子キー4のコードとが一致すれば、電子キー4と作動制御装置3との間の通信が確立する。その状態で、ユーザはアンロック部13を操作することにより、車両2のドアロックを解除することができる。
【0030】
ところで、電子キー4のマイコン11は、駆動電源の消耗を低減するため、作動制御装置3と通信を行わないときは、大部分の回路が休止状態となっているが、作動制御装置3と通信を行うためには起動(ウェイクアップ)する必要がある。このため、マイコン11は、受信回路9が起動信号に基づく信号(パルス信号)をマイコン11の入力監視回路11cに入力すると起動し、起動したまま作動制御装置3とコード照合を行うための待機状態となるように構成されている。
【0031】
そこで、本実施形態では、前記パルス信号が受信回路9からマイコン11に出力されるときに、ユーザがスイッチ15をオン状態としていれば、LED14が点灯するように構成されている。LED14が点灯することで、ユーザはマイコン11が起動したことを視覚的に知ることができる。
【0032】
ここで、電子キー4が車両2から発信される起動信号の受信可能範囲内になく、起動信号と同じ周波数帯域の電波を受信した場合でも、マイコン11は起動し受信回路9からその信号を復調したパルス信号を入力してしまう。パルス信号を入力したマイコン11は車両2から起動信号を受信したと認識し、応答信号を送信する指令を送信回路10に出力するとともに、作動制御装置3との間でコード照合を行うための待機状態となる。つまり、マイコン11は起動されたまま、作動制御装置3からコード照合のための信号を受信するための待機状態となる。
【0033】
仮に、電子キー4にトランジスタ16が設けられていなければ、ユーザは起動信号ではない電波を受信することによりマイコン11の起動に気付かない。このため、起動信号と誤認される電波が到来する環境下に電子キー4を保管してしまう可能性がある。すると、電子キー4のマイコン11は起動し続け、駆動電源は消耗されてしまう。
【0034】
この点、本実施の形態では、受信回路9が起動信号を受信したと認識してマイコン11の入力監視回路11cに信号を出力するとLED14が点灯するため、受信回路9が起動信号及び起動信号と誤認する電波を受信すると、ユーザはマイコン11が起動したことを知ることができる。このため、ユーザは電子キー4の保管場所として、受信回路9が起動信号を受信したと認識する電波が発生していない場所を探すことができる。
【0035】
また、本実施の形態では、メモリ11dは記憶手段に相当し、マイコン11が起動した回数と、マイコン11が作動制御装置3と接続された回数(即ち、作動制御装置3と間で通信が確立された回数)とを記憶する。このため、例えば、マイコン11はそれらの回数を読み出して比較することができる。例えば、マイコン11は、マイコン11の起動回数の方が作動制御装置3と接続された回数よりも多いと判断すると、マイコン11が起動信号ではない電波により起動した可能性が高い。このため、ユーザは電子キー4の保管場所が電子キー4の駆動電源を消耗する場所であることを知ることができる。
【0036】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)LED14によりマイコン11の起動が報知されるため、ユーザはマイコン11の起動信号以外の信号による起動を把握することができる。この結果、ユーザはマイコン11が起動する環境下、即ち起動信号と誤認される電波が到来する環境下に電子キー4を保管することを回避し、マイコン11の駆動電源の消耗を低減することができるようになる。
【0037】
(2)スイッチ15により選択されたときのみLED14の報知手段としての機能を作動状態とすることができる。このため、必要がないときはLED14の報知手段としての機能を非作動状態とし、LED14の駆動電源の消耗を低減することができる。
【0038】
(3)受信回路9が起動信号又は起動信号の周波数を含む周波数帯域の電波を受信してその信号に基づく信号を出力すると、マイコン11の起動がユーザに報知される。このため、マイコン11が起動したことがユーザに確実に報知される。
【0039】
(4)正規の起動信号及び起動信号と誤認される電波に基づいてマイコン11が起動した回数と、正規の起動信号のみに基づいてマイコン11が起動して作動制御装置3と接続された回数とが記憶されるため、これらの回数を比較することで、マイコン11の駆動電源が有効に駆動したか否かを判断できるようになる。この結果、例えば、マイコン11が起動した回数が、正規の起動信号のみにより起動した回数よりも多ければ、電子キー4が日常的に保管される場所は起動信号と誤認される電波が到来する場所である可能性が高い。その場合、ユーザは電子キー4の保管場所を変更することで、マイコン11の駆動電源の消耗を低減することができる。
【0040】
(第2実施形態)
次に、本発明の電子キーを適用した電子キーシステムの第2の実施形態を図面に従って説明する。
【0041】
図2に示すように、本実施形態の電子キーシステム20では、上記第1実施形態の構成と電子キーの構成が異なっている。本実施形態の電子キー21は、上記実施形態の電子キー4においてスイッチ15を介してLED14に接続されたトランジスタ16に代えて、マイコン11の送信回路10の反転端子とLED14との間にスイッチ22を介して接続されたトランジスタ23を備えている。
【0042】
これにより、スイッチ22がオン状態とされていれば、マイコン11から送信回路10に信号が出力されると、その反転端子がグランドに落ちるため、トランジスタ23がオン状態となりLED14が点灯するように構成されている。
【0043】
この場合、LED14はマイコン11の起動をユーザに報知する報知手段に相当する。マイコン11は、起動した旨を示す信号(応答信号の送信指令)を送信回路10に出力し、LED14はマイコン11から送信回路10に出力される信号に基づいてマイコン11の起動をユーザに報知する。
【0044】
スイッチ22は、報知手段としてのLED14の機能の作動状態・非作動状態を選択することができる選択手段に相当し、このスイッチ22がユーザによりオン・オフ操作されることで、LED14の報知手段としての機能は作動状態・非作動状態とされる。
【0045】
ところで、電子キー21は車両2から発信される起動信号を受信して応答信号を送信すると、コード照合を行う状態となる。例えば、電子キー21は作動制御装置3から、車両2固有の識別コードを含む信号を受信し、その識別コードが自身(電子キー21)の識別コードに対応すると判断すれば、その信号に応答する。
【0046】
しかし、電子キー21が車両2からの信号を受信可能な範囲内になく、電子キー21が起動信号と誤認する電波を受信する場所にあった場合、マイコン11は起動信号と認識した電波に対して応答信号を送信し、更に何らかの電波を受信した場合には、信号を送信しない。つまり、このような環境下では、電子キー21は何らかの電波を受信しても送信は行わない場合がある。マイコン11は、起動信号と誤認する電波を受信して起動し、更に電波を受信するがコード照合ができないため自身からは信号を送信することなく休止状態に入ることを繰り返す。
【0047】
この場合、LED14は、起動信号と誤認する信号に対する応答信号を送信するときのみ点灯可能である。つまり、起動信号と誤認する信号に対する応答信号送信時にはLED14は点灯するが、それ以外のときは点灯しない。このため、マイコン11が起動したことは確実にユーザに報知されるとともに、LED14の駆動電源の消費が低減される。
【0048】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)起動した旨を示す信号がマイコン11から送信回路10に出力されると、マイコン11の起動がユーザに報知される。このため、マイコン11の起動がユーザに確実に報知される。
【0049】
(2)電子キー21が作動制御装置3から発信される信号を受信可能な範囲内になく、起動信号と誤認する電波が到来する環境下にあった場合、電子キー21は何らかの電波を受信してもその電波に対して信号を発信しない場合がある。そのような場合、電子キー21が起動信号と誤認する信号を受信したときのみ、マイコン11が起動したことがユーザに報知される。このため、マイコン11が起動したことがユーザに確実に報知されるとともに、LED14の駆動電源の消費が低減される。
【0050】
なお、上記各実施形態は上記構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
・マイコン11の起動を報知する報知手段の態様は、上記各実施形態の態様に限定されない。例えば、間欠的に起動する受信回路9が予め設定された時間よりも長く起動した場合に、マイコン11の起動をユーザに報知する報知手段としてもよい。その場合、例えば、受信回路9の起動時間が一定時間を越えれば点灯するLEDを設ければよい。このように構成すれば、受信回路9が起動信号、又は起動信号と誤認する電波を受信した動作を行った場合に、ユーザにマイコン11の起動が報知される。
【0051】
・上記実施の形態では、電子キー4により車両2のドアが施錠・解錠されるものとしたが、電子キーが作動制御装置3を制御する態様はこれに限定されない。例えば、電子キーにより、自動的に車両2のドアロック解除の準備がなされるように構成してもよい。
【0052】
・上記各実施形態では、選択手段としてスイッチ15,22を備えた電子キー4,21としたが、これらのスイッチ15,22は必ずしも設けなくてもよい。スイッチ15,22を省略することで、ユーザはスイッチを操作することなくLED14によりマイコン11の起動を確認できるようになる。
【0053】
・上記各実施の形態では、マイコン11の起動を報知する報知手段としてLEDを用いたが、ユーザに報知するための手段は他の態様でもよく、例えば音により報知するものとしてもよい。
【0054】
・電子キー4,21は、車両のドアの作動を許可するものに限らず、車両のエンジンの始動を許可するものに適用されてもよい。
・電子キー4,21は、車両のドアに限らず、建物のドアに適用されてもよい。
【0055】
上記各実施の形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1〜5のうち何れか1項に記載の電子キーにおいて、前記受信手段は間欠的に起動するものであり、前記受信手段が予め設定された時間よりも長く起動した場合、前記報知手段は前記制御手段の起動をユーザに報知することを特徴とする電子キー。このように構成すれば、受信手段が起動信号、又は起動信号と誤認する電波を受信した動作を行った場合に、ユーザに制御手段の起動が報知される。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】電子キーシステムの電気的構成を示す模式図。
【図2】電子キーシステムの電気的構成を示す模式図。
【符号の説明】
【0057】
2…車両、3…作動制御装置、4,21…電子キー、9…受信回路(受信手段)、10…送信回路(送信手段)、11…マイコン(制御手段)、11d…メモリ(記憶手段)、14…LED(報知手段)、15,22…スイッチ(選択手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対応する作動制御装置と無線通信を介して接続され、該作動制御装置の作動を制御可能な電子キーであって、
前記作動制御装置から送信される信号を受信する受信手段と、
前記作動制御装置が発信する起動信号を受信した受信手段から、該起動信号に基づいて起動する制御手段と、
前記制御手段の指示により前記作動制御装置に前記起動信号に対する応答信号を送信する送信手段と、
前記制御手段の起動をユーザに報知する報知手段と、
を備えたことを特徴とする電子キー。
【請求項2】
前記報知手段の作動状態・非作動状態を選択する選択手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子キー。
【請求項3】
前記報知手段は、前記受信手段の出力信号に基づいて、前記制御手段の起動をユーザに報知することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子キー。
【請求項4】
前記制御手段は、起動した旨を示す信号を前記送信手段に出力し、
前記報知手段は、前記制御手段から送信手段に出力される信号に基づいて該制御手段の起動をユーザに報知することを特徴とする請求項1〜3のうち何れか1項に記載の電子キー。
【請求項5】
前記制御手段が起動した回数と、前記制御手段が前記作動制御装置と接続された回数とを記憶する記憶手段を備えたことを特徴とする請求項1〜4のうち何れか1項に記載の電子キー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−113269(P2007−113269A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−305740(P2005−305740)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】