説明

電子ディバイス装置、およびその端子接続方法

【課題】第1の電子部品の接続端子と第2の電子部品の接続端子の電気的な導通をより一層確実にするとともに、接続端子間の電気的な接続抵抗を小さくする。
【解決手段】第1の電子部品4に、第1の共通交点CP1を通って、例えば等角度αの間隔で放射状に複数設けられる第1の直線L1に沿って延びる第1の接続端子1が形成され、第2の電子部品8に、第2の共通交点CP2を通って、同じ等角度αの間隔で放射状に複数設けられる第2の直線L2に沿って延びる第2の接続端子5が形成され、それらの第1の接続端子1と第2の接続端子5とが重ね合わされて電気的に接続されている。そのような電子ディバイス装置において、第1の接続端子1が第1の共通交点CP1から離れるにしたがい、かつ第2接続端子5が第2の共通交点CP2から離れるにしたがい、ともに幅広に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、COF(Chip On Film)等の第1の電子部品に形成された、例えば絶縁基板上の複数の第1の接続端子と、液晶パネル等の第2の電子部品に形成された例えばガラス基板上の複数の第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されている電子ディバイス装置に関する。および、そのような電子ディバイス装置における第1の接続端子と第2の接続端子との端子接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図18に示すように、COF(Chip On Film)104の絶縁基板103上に複数の第1の接続端子101が形成される一方、液晶パネル108のガラス基板107上に複数の第2の接続端子105が形成され、それらの第1の接続端子101の第1の接続領域J1と第2の接続端子105の第2の接続領域J2とが、図19に示すように重ね合わされて電気的に接続されている。図中符号102、106は、各々第1の接続端子101に接続される第1の配線であり、第2の接続端子105に接続される第2の配線である。
【0003】
図20には、その重ね合わされて電気的に接続されたときのC−C線に沿う矢示方向断面を示す。第1の接続端子101と第2の接続端子105とは、異方性導電接着剤111を挟んで熱と圧力とが加えられる。異方性導電接着剤111は、絶縁性と接着性を発現する樹脂109と、電気的な接続に寄与する導電性粒子110とにより構成されており、第1の接続端子101と第2の接続端子105が、導電性粒子110を介して電気的に接続される。
【0004】
ところで、COF104の絶縁基板103は、一般的に薄いフィルム状のポリイミド等で構成されており、COF104を製造する段階で加わる熱により収縮し、またその後の温度や湿度によって膨張または収縮しやすい。他方、昨今では、液晶画面の微細化が進み、第1の接続端子101および第2の接続端子105の幅および端子間ピッチが小さくなる傾向にあり、そのためCOF104が膨張または収縮した場合、第1の接続端子101の端子間のピッチ寸法が変化し、第2の接続端子105との位置合わせが大変困難になる問題があった。
【0005】
いま、COF104に形成された第1の接続端子101の端子間ピッチの規定値をPとし、液晶パネル108に形成された第2の接続端子105の端子間ピッチの規定値を同じPとした場合、COF104が収縮して第1の接続端子101の端子間ピッチがP−αになったとする。
【0006】
このとき、図21に示すように、第1の接続端子101と第2の接続端子105の相対位置ずれを極力少なくするため、センターラインCLのところに設けられた第1の接続端子101と第2の接続端子105が一致するように位置合わせすると、COF104の収縮により、第1の接続端子101の最も外側同士の寸法は、図21に示すように、第1の接続端子101の端子間ピッチP−αが累積した8P−8αになる。そして、最も外側の第1の接続端子101と第2の接続端子105の相対位置ずれ量が最も大きくなる。
【0007】
図22には、図21のD−D線に沿う矢示方向断面を示す。図示のとおり、センターラインCLから離れるほど、第1の接続端子101と第2の接続端子105の相対位置ずれ量が大きくなる。そして、相対位置ずれ量が大きくなるほど、電気的な接続に寄与する導電性粒子110の数が少なくなって、接続抵抗が大きくなり、液晶表示が不安定になる。また、第1の接続端子101が、隣接する第2の接続端子105と、その間にある導電性粒子110によってショートしたり、第1の接続端子101と第2の接続端子105間にある導電性粒子110がそれらの端子に接触することができない状態になって接続不良になったりして、液晶表示が正しく行われなくなる問題があった。
【0008】
そこで、このような問題を解決すべく、従来の電子ディバイス装置の中には、例えば特許文献1に記載されるようにしたものが提案されている。
【0009】
すなわち、図23に示すように、第1の電子部品210には、第1の直線L1に沿って延びる第1の接続端子211が形成され、第2の電子部品220には、第2の直線L2に沿って延びる第2の接続端子221が形成されており、第1の直線L1は、第1の共通交点P1を通って放射状に複数設けられ、第2の直線L2は、第2の共通交点P2を通って、複数の第1の直線L1間のそれぞれの角度と対応する角度で、同様に順に放射状に複数設けられている。なお、この図23では、第1の直線L1も第2の直線L2も、ともに等角度αの間隔で放射状に複数設けられている場合を示す。
【0010】
このようにすると、第1の電子部品210の絶縁基板214が膨張または収縮しても、第1の接続端子211の位置が第1の直線L1に沿ってずれるだけである。よって、第1の接続端子211と第2の接続端子221とを重ねた状態でどちらか一方を、第1の共通交点P1または第2の共通交点P2に近付ける方向、または遠ざける方向に平面的にずらすだけで、第1の接続端子211と第2の接続端子221とを位置合わせして重ね合わせることができる。または、図24に示すように、第1の共通交点P1と第2の共通交点P2とを位置合わせした後、第1の電子部品210または第2の電子部品220のいずれか一方または双方を回動することで、複数の第1の接続端子211と複数の第2の接続端子221とを重ね合わせることができ、それらが電気的に接続される。図中符号224は、第2の電子部品220のガラス基板等の基板である。
【0011】
そこで、絶縁基板214が膨張または収縮しても、第1の接続端子211と第2の接続端子221との重ね合わせを精度良く行うことが可能になる。そして、図25に示すように、樹脂226と導電性粒子227で構成された導電性ペースト225を使用して、複数の第1の端子211と複数の第2の端子221とを接続し、導電性粒子227を介して電気的に接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2007−242941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところが、昨今では、液晶表示の微細化がさらに進む傾向にあり、それにともない接続端子211、221のピッチが小さくなり、またそれら接続端子211、221の幅も狭くなって、特許文献1の方法を用いた場合でも、電気的な接続に寄与する導電性粒子227の数は不十分であり、電気的な接続抵抗値も必要な値まで小さくすることができず、液晶表示が不安定になる問題があった。
【0014】
そこで、この発明の目的は、第1の電子部品の第1の接続端子と第2の電子部品の第2の接続端子の電気的な導通をより一層確実にするとともに、接続端子間の電気的な接続抵抗を小さくすることを可能とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
そのため、この発明の第1の態様である電子ディバイス装置は、
COF(Chip On Film)等の第1の電子部品に、第1の直線に沿って延びる第1の接続端子が形成され、
液晶パネル等の第2の電子部品に、第2の直線に沿って延びる第2の接続端子が形成され、
それらの第1の接続端子と第2の接続端子とが重ね合わされて、電気的に接続されている。
ここで、第1の直線は、第1の共通交点を通って放射状に複数設けられ、第2の直線は、第2の共通交点を通って、複数の第1の直線間のそれぞれの角度と対応する角度で放射状に複数設けられる。
そして、前記第1の接続端子が前記第1の共通交点から離れるにしたがい、かつ前記第2接続端子が前記第2の共通交点から離れるにしたがい、ともに幅広に形成されていることを特徴とする。
【0016】
第1の接続端子と第2の接続端子のどちらか一方または双方には、金めっき、ニッケル下地の金めっき、錫めっき、錫鉛合金めっき、錫ビスマス合金めっきのいずれか1つが施されているとよい。
【0017】
第1の接続端子と第2の接続端子とは、異方性導電接着剤に含まれる導電性粒子または異方性導電膜に含まれる導電性粒子を挟んで、重ね合わされて電気的に接続されるようにするとよい。
【0018】
第1の接続端子と第2の接続端子の双方に施されためっきが、常時圧力が加えられた状態で接触されて、それらの第1の接続端子と第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されるようにするとよい。
【0019】
この発明の第2の態様である電子ディバイス装置の端子接続方法は、第1の態様に係る電子ディバイス装置における複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子とが電気的に接続されるとき、前記第1の共通交点と前記第2の共通交点とが位置合わせされた後、前記第1の電子部品または前記第2の電子部品のいずれか一方または双方が回動されて、複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子とが重ね合わされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
この発明の第1の態様によれば、第1の接続端子が第1の共通交点から離れるにしたがい、かつ第2接続端子が第2の共通交点から離れるにしたがい、ともに幅広に形成されているので、第1の電子部品の第1の接続端子と第2の電子部品の第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されるときの接続面積を広くして、それらの接続端子の電気的な導通をより一層確実にするとともに、接続端子間の電気的な接続抵抗を小さくすることができる。
【0021】
この第1の態様の電子ディバイス装置において、第1の接続端子と第2の接続端子のどちらか一方または双方に、金めっき、ニッケル下地の金めっき、錫めっき、錫鉛合金めっき、錫ビスマス合金めっきのいずれか1つが施されていると、防錆効果や電気的な接続抵抗を小さくすることができる。
【0022】
また、第1の接続端子と第2の接続端子が、異方性導電接着剤に含まれる導電性粒子または異方性導電膜に含まれる導電性粒子を挟んで、重ね合わされて電気的に接続されていると、接続面積が広くなる分、電気的な接続に寄与する導電性粒子の数を多くして、電気的な接続抵抗を小さくすることができる。
【0023】
また、第1の接続端子と第2の接続端子の双方に施されためっきが、常時圧力が加えられた状態で接触されて、それらの第1の接続端子と第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されるようにすると、特別な接続装置や接続のための部材を用いる必要がなく、安価に電気的な接続を行うことができる。
【0024】
この発明の第2の態様によれば、第1の共通交点と第2の共通交点とが位置合わせされた後、第1の電子部品または第2の電子部品のいずれか一方または双方が回動され、複数の第1の接続端子と複数の第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されるので、幅方向の位置合わせのみ行い、第1の接続端子と第2の接続端子の長さ方向の位置合わせを不要とするので、位置合わせを容易とすることができる。
【0025】
加えて、第1の接続端子が第1の共通交点から離れるにしたがい、かつ第2接続端子が第2の共通交点から離れるにしたがい、ともに幅広に形成されているので、第1の電子部品の第1の接続端子と第2の電子部品の第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されるときの接続面積を広くして、それらの接続端子の電気的な導通をより一層確実にするとともに、接続端子間の電気的な接続抵抗を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一例である電子ディバイス装置で使用されている第1の電子部品と第2の電子部品の部分平面図である。
【図2】その第1の電子部品の第1の接続端子の一部を拡大して示す平面図である。
【図3】その第2の電子部品の第2の接続端子の一部を拡大して示す平面図である。
【図4】それらの第1の接続端子と第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されている状態を示す平面図である。
【図5】ガラス基板の上に第2の合い印を付した第2の電子部品の平面図である。
【図6】絶縁基板の上に第1の合い印を付した第1の電子部品の平面図である。
【図7】図4のA−A線に沿う矢示方向断面図である。
【図8】図4のB−B線に沿う矢示方向断面図である。
【図9】第2の接続端子の近傍に第2のアライメントマークを設けた場合を示す省略平面図である。
【図10】第1の接続端子の近傍に第1のアライメントマークを設けた場合を示す省略平面図である。
【図11】図10に示す第1のアライメントマークにマスクを重ねた状態を示す平面図である。
【図12】それらの第1の接続端子と第2の接続端子の位置合わせを行った状態を示す平面図である。
【図13】第1の電子部品が膨張した場合において、第1の接続端子の近傍に設けた第1のアライメントマークにマスクを重ねた状態を示す平面図である。
【図14】その第1のアライメントマークを設ける第1の接続端子と、図9に示す第2の接続端子とを位置合わせをした状態を示す平面図である。
【図15】第1の接続端子の近傍に別例の第1のアライメントマークを設け、その第1のアライメントマークにマスクを重ねた状態を示す平面図である。
【図16】圧力を加えて接続端子同士が重ね合わされて電気的に接続されている状態を示す断面図である。
【図17】紫外線硬化型接着剤を用いて接続端子同士が重ね合わされて電気的に接続されている状態を示す断面図である。
【図18】従来の電子ディバイス装置の第1の接続端子と第2の接続端子の端子形状を示す第1の電子部品と第2の電子部品の部分平面図である。
【図19】図18に示す電子ディバイス装置の第1の接続端子と第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続された状態の平面図である。
【図20】図19のC−C線に沿う矢示方向断面図である。
【図21】第1の電子部品が収縮した場合において、図18に示す電子ディバイス装置の第1の接続端子と第2の接続端子とを位置合わせしたときの状態平面図である。
【図22】図21のD−D線に沿う矢示方向断面図である。
【図23】別の従来の電子ディバイス装置の第1の接続端子と第2の接続端子の端子形状を示す第1の電子部品と第2の電子部品の部分平面図である。
【図24】図23に示す電子ディバイス装置の第1の接続端子と第2の接続端子とを位置合わせした状態の平面図である。
【図25】図24の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態につき説明する。
図1には、この発明の一例である電子ディバイス装置で使用される第1の電子部品4および第2の電子部品8を示す。
【0028】
第1の電子部品4は、この例では、COF(Chip On Film)であり、絶縁基板3の上に、複数の第1の接続端子1とそれに繋がる第1の配線2が形成されている。複数の第1の接続端子1は、それぞれ、第1の共通交点CP1を通って放射状に複数設けられる第1の直線L1に沿って延びており、そのまま第1の配線2に繋がっている。第1の接続端子1および第1の配線2は、銅箔等をエッチングして形成されており、防錆効果や後に行う電気的な接続効果を高めるために、その上に金めっき、ニッケル下地の金めっき、錫めっき、錫鉛合金めっき、錫ビスマス合金めっきのいずれか1つが施されていることが好ましい。そして、図中符号aの領域が、この複数の第1の接続端子1の接続領域とされる。各第1の接続端子1の長さは、この接続領域aによって決定される。
【0029】
各第1の接続端子1は、端子幅の中央を第1の直線L1が通るように、第1の直線L1を中心線として第1の共通交点CP1から離れるにしたがい、階段状で段階的でもよいが、連続的に湾曲状や、この例のように直線状に幅広となるように、先太のテーパ状に形成されている。詳しくは、一部を拡大して示す図2から判るとおり、例えばショートが生じないように電気的な絶縁特性等を確保するために必要な、第1の接続端子間の中心寄り寸法IG1が、優先的に確保されるようにした上で、第1の接続端子幅の中心寄り寸法IW1は、後に行う後述の複数の第2の接続端子5との位置合わせを容易にするためと、異方性導電接着剤を用いて接続するときの電気的な接続抵抗を小さくするため、極力広く設定されている。
【0030】
一方、第1の接続端子幅の外寄り寸法OW1は、前記と同様に電気的な接続抵抗を小さくするために極力広く設定されることが好ましく、第1の接続端子幅の中心寄り寸法IW1よりも大きな値(OW1>IW1)に設定されている。第1の接続端子間の外寄り寸法OG1は、第1の接続端子間の中心寄り寸法IG1に等しいかそれよりも大きくなるように(OG1≧IG1)設定される。なお、第1の配線2は、第1の接続端子幅の中心寄り寸法IW1のまま一定幅で延びている。
【0031】
他方、第2の電子部品8は、この例では、液晶パネルであり、図1に示すように、ガラス基板7の上に、複数の第2の接続端子5とそれに繋がる第2の配線6が形成されている。複数の第2の接続端子5は、それぞれ、第2の共通交点CP2を通って、複数の第1の直線L1間のそれぞれの角度と対応する角度で、同様に順に放射状に複数設けられる第2の直線L2に沿って延びており、そのまま第2の配線6に繋がっている。例えば、第1の接続端子1の配置角度が端から順に、A°、B°、C°、A°、B°、C°・・・・の場合は、第2の接続端子の配置角度も同じく端から順に、A°、B°、C°、A°、B°、C°・・・・のようになっており、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5の対応する配置角度は、すべて等しくなっている。
【0032】
因みに、この例では、複数の第1の接続端子1および複数の第2の接続端子5は、ともに等角度αの間隔で放射状に複数設けられている。第2の接続端子5および第2の配線6は、ITO膜(InO3)などの金属酸化膜で形成されており、防錆効果や後に行う電気的な接続効果を高めるために、その上に金めっき、ニッケル下地の金めっき、錫めっき、錫鉛合金めっき、錫ビスマス合金めっきのいずれか1つが施されていることが好ましい。この金めっき等は、第1の接続端子1と第2の接続端子5のどちらか一方に施されるようにしてもよいし、または双方に施されるようにしてもよい。そして、図中符号bの領域が、この複数の第2の接続端子5の接続領域とされる。第2の接続端子5の長さは、この接続領域bによって決定される。第2の電子部品8に設けることができる範囲で、極力長く設定されることが好ましい。
【0033】
各第2の接続端子5は、端子幅の中央を第2の直線L2が通るように、第2の直線L2を中心線として第2の共通交点CP2から離れるにしたがい、段階的でもよいが、この例のように連続的に幅広となるように、先太のテーパ状に形成されている。詳しくは、一部を拡大して示す図3から判るとおり、例えばショートが生じないように電気的な絶縁特性等を確保するために必要な、第2の接続端子間の中心寄り寸法IG2が、優先的に確保されるようにした上で、第2の接続端子幅の中心寄り寸法IW2は、後に行う前述の複数の第1の接続端子1との位置合わせを容易にするためと、異方性導電接着剤を用いて接続するときの電気的な接続抵抗を小さくするため、極力広く設定される。この例では、IW1=IW2に設定されている。
【0034】
一方、第2の接続端子幅の外寄り寸法OW2は、電気的な絶縁特性等を確保するために必要な、第2の接続端子間の中心寄り寸法IG2が、優先的に確保されるようにした上で、前記と同様に後に行う後述の複数の第1の接続端子1との位置合わせを容易にするためと、異方性導電接着剤を用いて接続するときの電気的な接続抵抗を小さくするため、極力広く設定されることが好ましく、第2の接続端子幅の中心寄り寸法IW2よりも大きな値(OW2>IW2)に設定されている。第2の接続端子間の外寄り寸法OG2は、第2の接続端子間の中心寄り寸法IG2に等しいかそれよりも大きくなるように(OG2≧IG2)設定され、特に寸法OG2=IG2に設定されることが好ましい。
【0035】
すなわち、第1の接続端子1および第2の接続端子5のピッチは、第1の共通交点CP1または第2の共通交点CP2に最も近い部分が最も小さくなるので、この部分で必要な所定の間隔(図2のIG1、図3のIG2)を確保して、この部分の第1の接続端子1と第2の接続端子5の幅(図2のIW1、図3のIW2)を決定する。そして、第1の接続端子1および第2の接続端子5の幅は、従来例のように一定の幅ではなく、第1の共通交点CP1または第2の共通交点CP2から遠ざかるほど連続的または段階的に広く形成される。この接続端子間ピッチが最も小さい部分の条件が従来例と同じであれば、図2のIG1、図3のIG2を従来例の最小ギャップと同じにすることができ、また図2のIW1、図3のIW2が従来例の第1の接続端子1および第2の接続端子5の幅と同じになる。よって、この発明の場合、その幅を基にして第1の共通交点CP1または第2の共通交点CP2から遠ざかるほど広く形成するので、従来例よりも常に「接続面積を広くすることができる」といえる。このとき、間隔は、常に最小ギャップ以下にならないようにする。すなわち、図2のOG1≧IG1、図3のOG2≧IG2の関係になるように設定する。なお、この例では、OW1=OW2に設定されている。
【0036】
そして、第1の電子部品4と第2の電子部品8とは、端子面が対向されて位置合わせされ、第1の接続端子1と第2の接続端子5とが重ね合わされて電気的に接続される。図4には、その状態を、絶縁基板3、ガラス基板7、および後述の異方性導電接着剤11を省略して示す。このとき、第1の共通交点CP1を通る複数の放射状の線L1と第2の共通交点CP2を通る複数の第2の直線L2とは、上述したとおり、それぞれ第1の共通交点CP1または第2の共通交点CP2を通って同じ等角度αの間隔で放射状に複数設けられているから、位置が一致して重なった状態とすることができ、それらの放射状の線L1、L2上にある複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5も位置が一致し、重なった状態とすることができる。
【0037】
ここで、いま第1の電子部品4が、第2の電子部品8に対して、相対的に膨脹しまたは収縮した場合について考える。図1に示すX方向とY方向とに同率で膨脹しまたは収縮した場合は、複数の第1の接続端子1は、同様に複数の第1の直線L1上に存在し、第1の共通交点CP1からの距離が変わるだけである。
【0038】
よって、第1の電子部品4が、第2の電子部品8に対し、相対的に膨脹した場合には、複数の第1の接続端子1が複数の放射状の線L1に沿って第2の共通交点CP2から遠ざかる方向にずれるだけであるから、複数の第1の接続端子1を第2の接続端子5に正確に位置合わせすることができる。
【0039】
反対に、第1の電子部品4が、第2の電子部品8に対し、相対的に収縮した場合には、複数の第1の接続端子1が複数の放射状の線L1に沿って第2の共通交点CP2に近付く方向にずれるだけであるから、複数の第1の接続端子1を第2の接続端子5に正確に位置合わせすることができる。このように、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5の位置合わせを正確に行うと、図4に示すように、第1の共通交点CP1と第2の共通交点CP2の位置が一致して重なることとなる。
【0040】
このことから、第1の共通交点CP1と第2の共通交点CP2の位置を合わせることで、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5の位置合わせを容易に行うことができる。そこで、例えば第1の共通交点CP1と第2の共通交点CP2の位置に位置合わせ用の印を設け、その印を用いて、第1の共通交点CP1と第2の共通交点CP2とが位置合わせされた後、第1の電子部品4と第2の電子部品8のいずれか一方または双方が回動されて、図示電子ディバイス装置における複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5とが重ね合わされ、電気的に接続されるようにすると良い。
【0041】
具体的に説明すると、図5に示すように、第2の共通交点CP2がガラス基板7の上にある場合、例えば丸い形状の第2の合い印23の中心点を、第2の共通交点CP2に一致させて、第2の接続端子5と同じ工程を用いて形成する。また、図6に示すように、第1の中心点CP1が絶縁基板3の上にある場合、例えば丸い形状の第1の合い印22の中心点を、第1の共通交点CP1に一致させて、第1の接続端子1と同じ工程を用いて形成する。
【0042】
そして、形成した第2の合い印23と第1の合い印22を重ねて位置合わせを行い、同時に、図5および図6に示すY軸上に形成した第2の接続端子5とY軸上に形成された第1の接続端子1を重ねて位置あわせを行う。すると、その他の複数の第2の接続端子5と複数の第1の接続端子1の位置も正確に合わせることができる。
【0043】
なお、図1に示す例では、第1の共通交点CP1が第1の電子部品4の絶縁基板3上に位置し、その位置に印を設けることは可能であるが、第2の共通交点CP2の位置は、第2の電子部品8のガラス基板7の外にあって空間に位置するため、印を設けることができない。そのため、図1に示す例では難しいが、別の例で、第1の共通交点CP1と第2の共通交点CP2の位置に印を設けることができる場合には、それらを設けることが好ましい。
【0044】
次に、第1の電子部品4が、第2の電子部品に対して、図1に示すX方向とY方向とに異なる率で膨脹しまたは収縮した場合について考える。
【0045】
X方向とY方向の膨脹率または収縮率が僅かな差である場合は、以上の説明と同じ方法を用いて、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5の位置合わせを行っても、生じる位置合わせ誤差は無視できる程度であり、問題ない。しかし、X方向とY方向の膨脹率または収縮率に大きな差が生じた場合には、第1の共通交点CP1と第2の共通交点CP2の位置に印を設け、この印を用いて位置合わせを行う方法を用いた場合、位置合わせの誤差が無視できなくなる場合がある。そのような場合には、印を用いないで、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5の位置合わせのみ行う方法を用いると良く、位置合わせ誤差を無視できる程度に小さくすることができる。
【0046】
さて、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5の位置合わせを行った後、図7および図8に示すように、絶縁性と接着性を発現する樹脂9と、電気的導通性のある導電性粒子10で構成された異方性導電接着剤11を、第1の電子部品4と第2の電子部品8の間に挟んで熱と圧力を加える。すると、第1の接続端子1と第2の接続端子5は、導電性粒子11が接触または圧接されて電気的に接続される。図7は図4のA−A線に沿う矢示方向断面を示し、図8は図4のB−B線に沿う矢示方向断面を示す。
【0047】
図7および図8に示すように、第1の接続端子1と第2の接続端子5とは、異方性導電接着剤11を構成する樹脂9によって固着され、また第1の接続端子1と第2の接続端子5の両方に接触または圧接された導電性粒子10によって、電気的に接続されている。
【0048】
ところで、異方性導電接着剤11を構成する導電性粒子10は、異方性導電接着剤11を構成する樹脂9の中に、ほぼ均一に分散されている。そのため、電気的な接続に寄与する導電性粒子10の総数は、第1の接続端子1と第2の接続端子5との接触面積が広くなればなるほど確率的に多くなる。そして、第1の接続端子1および第2の接続端子5の幅が広いほど、接触面積は大きくなって、電気的な接続に寄与する導電性粒子10の数が多くなる。
【0049】
また、第1の共通交点CP1または第2の共通交点CP2からの距離は、図7の断面部分よりも図8の断面部分の方が遠い位置にある。そのため、図7と図8を比べた場合、図8に示す第1の接続端子1および第2の接続端子5の幅の方が広く、電気的な接続に寄与する導電性粒子10の数も、図7の断面部分より図8の断面部分の方が多くなる。
【0050】
このように、複数の第1の接続端子1および複数の第2の接続端子5の幅は、第1の共通交点CP1または第2の共通交点CP2から離れるほど広くなるように設けられており、広くなった分だけ面積も広くなるので、電気的な接続に寄与する導電性粒子10の総数を増すことができ、電気的な接続抵抗を小さくすることができる。よって、液晶パネルである第2の電子部品8の液晶表示が不安定になるなどの問題をなくすことができる。
【0051】
さて上述した例では、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5が、異方性導電接着剤11に含まれる導電性粒子10を挟んで、電気的に接続されている場合について説明したが、異方性導電接着剤ではなく、異方性導電膜に含まれる導電性粒子を挟んで、電気的に接続されるようにしてもよい。
【0052】
次に、この発明の電子ディバイス装置において、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5のそれぞれを重ねて、画像認識装置と自動位置制御装置を組み合わせた装置を用いて位置合わせを行う方法について説明する。この方法は、現在行われているように、例えば、予め露光機に設置した乾板の両端に形成した位置決めマークを画像認識装置を用いて認識し、演算処理を行ってX座標とY座標を求めて記憶させておく。次いで、製品の両端に形成され、搬送に用いているスプロケットホールを画像認識してその位置を把握し、演算処理してX座標とY座標を求めて記憶させ、乾板と製品のX座標とY座標同士を自動位置決め装置を用いて一致するように位置決めするものである。
【0053】
ここで、液晶パネルである第2の電子部品8は、基材がガラス基板7で形成されているため、湿度と熱の影響を受けにくく、膨脹量や収縮量もごく僅かで無視できる程度である。そのため、複数の第2の接続端子5間の寸法の変化量もごく僅かであるので、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5との位置合わせに際しては、寸法変化しないものとして取り扱うことができる。
【0054】
一方、COFである第1の電子部品4は、一般的にポリイミドフィルムを用いた絶縁基板3で形成されており、ポリイミドフィルムは、湿度および熱の影響を受けやすく、ガラス基板7に比べて大きく膨脹および収縮する。そのため、絶縁基板3上に形成された複数の第1の接続端子1間の寸法は、ガラス基板7に形成された第2の接続端子5に比べて大きく変化する。
【0055】
このことについてさらに詳述すると、第1の電子部品4は、絶縁基板3によって形成されているが、この絶縁基板3は前述したとおり一般的にポリイミドなどの有機材料を用いて形成されており、加工工程の加熱によって収縮し、また加工後完成品の水分吸湿によって拡張(膨張)する。これに対し、第1の接続端子1および第1の配線2を形成する材料として一般的に用いられている銅箔は、加工工程の加熱による収縮がほとんどなく、また加工後の水分吸湿による拡張もない。
【0056】
このように、特性に違いがあり、第1の接続端子1および第1の配線2は、例えば図6の場合、Y軸方向に沿って形成されるから、この第1の接続端子1および第1の配線2が、絶縁基板3の拡張収縮を拘束する働きがある。よって、第1の電子部品4の拡張率(膨張率)および収縮率は、図6のX軸方向の方が大きくなる傾向にある。
【0057】
例えば第1の電子部品4が収縮した場合について考えてみると、この傾向により図6に示すX軸方向がより収縮(縮小)するので、第1の共通交点CP1と第2の共通交点CP2の位置に印を設け、この印を用いて位置合わせを行った場合、第1の直線L1上に設けられた複数の第1の接続端子1は、図6に示すY軸方向に寄った(近付いた)状態になり、複数の第2の接続端子5に対し、相対的なずれを生ずる。第1の電子部品4が拡張(膨張)した場合は、この逆になる。
【0058】
そこで、次に複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5との位置合わせ方法について、複数の第1の接続端子1間の寸法が変化しなかった場合と大きく変化した場合に分けて説明する。はじめは、複数の第1の接続端子1間の寸法が変化しなかった場合から説明する。
【0059】
複数の第1の接続端子1間の寸法が変化しなかった場合は、まず、図9に示すように、第2のアライメントマーク13を、例えば両端の第2の接続端子5の近傍に左右各1個(計2個)、第2の共通交点CP2を通る第2の直線L2上に設ける。この第2のアライメントマーク13は、第2の接続端子5と同じ形成方法を用いてそれと同時に形成する。なお、この図9では、両端と中心に位置する第2の接続端子5のみを示し、その他の第2の接続端子5およびガラス基板7は省略してある。
【0060】
次に、図10に示すように、第1のアライメントマーク12を、例えば両端の第1の接続端子1の近傍に左右各5個(計10個)、第1の共通交点CP1を通る第1の直線L1上に設ける。この第1のアライメントマーク12は、第1の接続端子1と同じ形成方法を用いてそれと同時に形成する。なお、この図10でも、両端と中心に位置する第1の接続端子1のみを示し、その他の第1の接続端子1および絶縁基板3は省略してある。
【0061】
ここで、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5を対面させて重ねて位置合わせを行ったとき、第2のアライメントマーク13を通る第2の直線L2と、第1のアライメントマーク12を通る第1の直線L1は、重なり一致するようにする。また、複数の第1のアライメントマーク12の内、左右の各中央に設けられた第1のアライメントマーク12は、第2のアライメントマーク13と重なり一致するように設計して形成する。
【0062】
そして、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5の位置合わせを行うために、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5を対面する方向にして、所定の位置にセットする。
【0063】
その後、形成された左右各1個(計2個)の第2のアライメントマーク13を、画像認識装置を用いて認識してその中心位置を求め、さらに左右の第2のアライメントマーク13の中心位置同士の距離と、その距離間の中心を演算処理によって求め、図9に示すX2座標軸とY2座標軸情報として記憶する。ここで用いる画像認識装置は、第2のアライメントマーク13の形状欠陥の影響を受けにくくするために、面積から重心を求め、その重心の位置をアライメントマークの中心位置として認識する方法を用いることが好ましい。
【0064】
次いで、図10に示すように形成した、左右の第1のアライメントマーク12の各5個を1つとして、画像認識装置で認識して取り込み、演算処理を行ってその面積の重心を求め、その重心位置を第1のアライメントマーク12群の中心位置として認識させる。この方法により、左右各5個の第1のアライメントマーク12群の位置の中心は、中央に設けた1個の第1のアライメントマーク12の中心位置と一致する。ところで、この画像認識装置は、第2のアライメントマーク13の認識に用いたものを用いても良いし、別のものを用いても良い。ただし、前記と同様の理由により、面積から重心位置を求めてその重心位置をアライメントマークの位置として認識する方式を用いることが好ましい。
【0065】
それから、認識した左右の第1のアライメントマーク12群の中心位置同士の距離と、その距離間の中心を演算処理によって求め、図10に示すX1座標軸とY1座標軸情報として記憶する。そして、この座標軸が予め設定した位置と一致するように、自動位置制御装置を用いて第1の電子部品4を移動させて仮の位置決めを行う。
【0066】
次に、仮の位置決めを行った後、図11に示すように、予め画像認識装置に装備されている、マスクスリット15の周囲を遮光状態にしたマスク14を、画像認識装置の画像に重ねる。ところで、遮光部に重なる第1のアライメントマーク12および第1の接続端子1は、遮光されて画像認識されないが、この図11では、説明のために図示している。そして、このマスクスリット15の中心位置は、第2のアライメントマーク13の中心と一致するように設定し、マスクスリット15の幅は、第1のアライメントマーク12が1個入る程度の寸法に設定して形成されている。
【0067】
ここで、以上は、複数の第1の接続端子1間の寸法が変化しなかった場合についての説明であるので、第1のアライメントマーク12は設計値通りに形成されており、図11に示すように、マスクスリット15の中心に一致した状態になる。そして、この状態でマスクスリット15の中にある第1のアライメントマーク12を画像認識装置によって認識し、その面積から重心位置を求め、その重心位置を位置合わせ用中心点16として求める。それから、左右の位置合わせ用中心点16間の距離を演算処理して中心を求め、図11に示すように、演算処理を行ってX3座標軸とY3座標軸を求めて記憶する。
【0068】
その後、自動位置制御装置を用いて、X3座標軸およびY3座標軸と、第2のアライメントマーク13から求めて、記憶させておいたX2座標軸とY2座標軸とが一致するように位置制御を行う。すると、図12に示すように、複数の第2の接続端子5と複数の第1の接続端子1を正確に一致させて重ねることができる。
【0069】
以上は、第1の電子部品4が膨張または収縮せず、複数の第1の接続端子1間の寸法が設計値通りに形成できた場合である。次に、第1の電子部品4が膨張して、第1の接続端子1間の寸法が設計値より大きくなった場合の位置合わせ方法について説明する。
【0070】
まず、図9に示すように、左右各1個(計2個)の第2のアライメントマーク13を、画像認識装置を用いて認識してその中心位置を求め、さらに左右の第2のアライメントマーク13の中心位置同士の距離と、その距離間の中心を演算処理によって求め、図9に示すX2座標軸とY2座標軸情報として記憶する。
【0071】
次に、図10に示すように形成した、左右の第1のアライメントマーク12の各5個を1つとして、画像認識装置で認識して取り込み、演算処理を行ってその面積の重心を求め、その重心位置を第1のアライメントマーク12群の中心位置として認識させる。この方法により、左右各5個の第1のアライメントマーク12群の位置の中心は、中央に設けた1個の第1のアライメントマーク12の中心位置と一致する。
【0072】
その後、認識した左右の第1のアライメントマーク12群の中心位置同士の距離と、その距離間の中心を演算処理によって求め、図10に示すX1座標軸とY1座標軸情報として記憶する。そして、この座標軸が予め設定した位置と一致するように、自動位置制御装置を用いて第1の電子部品4を移動させて仮の位置決めを行う。
【0073】
それから、位置決めを行った後、図13に示すように、予め画像認識装置に装備され前記と同様に形成されたマスク14を、画像認識装置の画像に重ねる。ここで、第1の電子部品4は膨張して、第1の接続端子1間の寸法が設計値より大きくなり、また左右の第1のアライメントマーク12群の中心位置同士の距離も大きくなっている。図13では、例えば左右両端から4番目の第1のアライメントマーク12の中心とマスクスリット15の軸方向中心とが一致した状態を示している。
【0074】
この状態で、マスクスリット15の中にある第1のアライメントマーク12を画像認識装置によって認識し、その面積から重心位置を求め、その重心位置を位置合わせ用中心点16として求める。その後、左右の位置合わせ用中心点16間の距離を演算処理して中心を求め、図13に示すX3座標軸とY3座標軸を求めて記憶する。
【0075】
次いで、X3座標軸およびY3座標軸と、第2のアライメントマーク13から求められ、記憶させておいたX2座標軸とY2座標軸とが一致するように自動位置制御装置を用いて位置制御を行う。すると、図14に示すように、複数の第2の接続端子5と複数の第1の接続端子1の位置を合わせることができる。
【0076】
ところで、以上の説明は、第1の電子部品4が膨張して、第1の接続端子1間の寸法が設計値より大きくなった場合の位置合わせ方法であるが、第1の電子部品4が収縮して、第1の接続端子1間の寸法が設計値より小さくなった場合でも、同じ方法を用いることによって同様に位置合わせを行うことができる。
【0077】
第1のアライメントマーク12は、丸い形状で左右に各5個(計10個)設ける方法について説明した。しかし、このような形状の場合、第1の電子部品4の膨張または収縮の量によっては、マスクスリット15の幅の中に第1のアライメントマーク12が2つ入る場合がある、このような状態になった場合、第1のアライメントマーク12の面積の大きい方に重心が偏った位置に位置合わせ用中心点16が設定される。そのため、位置合わせ精度に誤差が生じる。
【0078】
そこで、第1のアライメントマーク12の形状を、図15に示すように1つの長い形状にして設けるとよい。そして、画像認識装置で認識した第1のアライメントマーク12間の距離を演算処理して中心を求め、図15に示すように、X1座標軸およびY1座標軸を演算処理して求め、この座標軸が予め設定した位置に一致するように、自動位置制御装置を用いて第1の電子部品4を移動させて仮の位置決めを行う。第1のアライメントマーク12の形状欠陥の影響を受けにくくするために、面積から重心を求め、その重心の位置をアライメントマークの中心位置として認識する方法を用いることが好ましい。
【0079】
その後、図15に示すように、マスク14を、画像認識装置の画像に重ねる。この状態でマスクスリット15の中にある第1のアライメントマーク12を画像認識装置によって認識し、その面積から重心位置を求め、その重心位置を位置合わせ用中心点16として求める。そして次に、左右の位置合わせ用中心点16間の距離を演算処理して中心を求め、図15に示すX3座標軸とY3座標軸を求めて記憶する。このような1つの長い形状を用いると、マスクスリット内の第1のアライメントマーク12の面積に偏りが生じないため、位置合わせ用中心点16も偏りのない位置に設定される。
【0080】
そこで、自動位置制御装置を用いて、X3座標軸およびY3座標軸と、第2のアライメントマーク13から求められ、記憶させておいたX2座標軸とY2座標軸とが一致するように位置制御を行い、複数の第2の接続端子5と複数の第1の接続端子1を正確に一致させて合わせることができる。
【0081】
次に、従来技術との比較について説明する。例えば、図23ないし図25に示す特許文献1の方法を用いた場合、最も外側の第1の端子211および第2の端子221の幅を広くして面積も広くしているが、その他の端子に関しては、一定の幅で形成されている。そのため、電気的な接続抵抗が大きく、液晶表示が不安定になるなどの問題をなくすことができない。
【0082】
これに対し、この発明では、図2に示す第1の接続端子幅の中心寄り寸法IW1と図3に示す第2の接続端子幅の中心寄り寸法IW2とを同じ幅(IW1=IW2)にし、また従来技術の第1の端子211および第2の端子221の幅と同じ値にした場合、第1と第2の共通交点CP1、CP2から離れた位置にある、第1の接続端子幅の外寄り寸法OW1と第2の接続端子幅の外寄り寸法OW2とは、より広く形成されており、OW2>IW2およびOW1>IW1の関係になっている。よって、従来の接続端子とこの発明の接続端子の長さを同じにした場合、従来の第1の端子211および第2の端子221の面積より、この発明の第1の接続端子1および第2の接続端子5の面積の方が広くなり、電気的な接続に寄与する導電性粒子の総数を増すことができ、電気的な接続抵抗を小さくすることができるので、液晶表示が不安定になるなどの問題をなくすことができる。
【0083】
ところで、別の例として、複数の第1の接続端子と複数の第2の接続端子の双方にめっきが施され、それらのめっきが対面されて常時圧力を加えた状態にして接触され、それらの第1の接続端子と第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されるようにしても良い。
【0084】
例えば、図4に示すように、複数の第1の接続端子1と複数の第2の接続端子5の位置合わせを行った後、図16に示すように、第1の電子部品4(COF)と押さえ板21の間に弾性体19を介在させ、挟むような力を加えた状態で、押さえ板21と第2の電子部品8を固定する。このようにすると、弾性体19の反発力によって、第1の接続端子1と第2の接続端子5には、常に当接させる力が加わることになり、常に当接した状態を維持することができるので、電気的に安定した接続をすることができる。
【0085】
また、このような方法を用いて接続すると、第1の電子部品4(COF)および第1の接続端子1はフレキシビリティがあるので、第1の接続端子1と第2の接続端子5を4点以上(現実には多数の点)で接触させて電気的に接続することが可能になり、接続抵抗を小さくすることができる。この発明の第1の接続端子1および第2の接続端子5の面積を増すことができるので、接触点の数をさらに多くすることができるため、より接続抵抗を小さくすることができる。
【0086】
ここで、第1の電子部品4(COF)には、均一に圧力を加える必要があるため、弾性体19には、微細な形状にも追従できるゴム系のものを用いることが好ましく、また永年にわたり反発力を発生する必要があるので、経年劣化の少ない種類のものを選択することが好ましい。
【0087】
また、異方性導電接着剤を用いる以外にも、例えば図17に示すようなものがある。図4に示すように、複数の第1の接続端子1と前記複数の第2の接続端子5の位置合わせを行った後、図17に示すように、紫外線硬化型接着剤17を第1の接続端子1と第2の接続端子5の間に介在させてから、第1の電子部品4(COF)と紫外線硬化型接着剤17を、弾性体19を貼り付けた押さえ治具18と第2の電子部品8によって挟んで圧力を加え、その状態で紫外光線20を照射して紫外線硬化型接着剤17を硬化する。これにより、紫外線硬化型接着剤17が硬化することによって生じる硬化収縮現象によって、常に第1の接続端子1と第2の接続端子5には接触状態を維持する力が加わることになり、常に接触した状態にすることができるので、電気的に安定した接続がなされる。
【0088】
また、このような方法を用いて接続すると、前記と重複するが、第1の電子部品4(COF)および第1の接続端子1は、フレキシビリティがあるので、第1の接続端子1と第2の接続端子5を4点以上(現実には多数の点)で接触させて電気的に接続することが可能になり、接続抵抗を小さくすることができる。そして、この発明の電子ディバイス装置で用いる第1の接続端子1および第2の接続端子5の面積を増すことができるので、接触点の数をさらに多くすることができ、より接続抵抗を小さくすることができる。なお、弾性体19は、均一に圧力を加えるために用いるものであり、紫外光線20によって侵されにくく、耐紫外性の優れたゴム系の弾性体を用いることが好ましい。
【符号の説明】
【0089】
1 第1の接続端子
2 第1の配線
3 絶縁基板
4 第1の電子部品
5 第2の接続端子
6 第2の配線
7 ガラス基板
8 第2の電子部品
9 樹脂
10 導電性粒子
11 異方性導電接着剤
12 第1のアライメントマーク
13 第2のアライメントマーク
14 マスク
15 マスクスリット
16 位置合わせ用中心点
17 紫外線硬化型接着剤
18 押さえ治具
19 弾性体
20 紫外光線
21 押さえ板
22 第1の合い印
23 第2の合い印
a 第1の接続端子の接続領域
b 第2の接続端子の接続領域
CP1 第1の共通交点
CP2 第2の共通交点
L1 第1の直線
L2 第2の直線
OW1 第1の接続端子幅の外寄り寸法
IW1 第1の接続端子幅の中心寄り寸法
OG1 第1の接続端子間の外寄り寸法
IG1 第1の接続端子間の中心寄り寸法
OW2 第2の接続端子幅の外寄り寸法
IW2 第2の接続端子幅の中心寄り寸法
OG2 第2の接続端子間の外寄り寸法
IG2 第2の接続端子間の中心寄り寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電子部品に、第1の共通交点を通って放射状に複数設けられる第1の直線に沿って延びる第1の接続端子が形成され、
第2の電子部品に、第2の共通交点を通って、複数の前記第1の直線間のそれぞれの角度と対応する角度で放射状に複数設けられる第2の直線に沿って延びる第2の接続端子が形成され、
それらの第1の接続端子と第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されている電子ディバイス装置において、
前記第1の接続端子が前記第1の共通交点から離れるにしたがい、かつ前記第2接続端子が前記第2の共通交点から離れるにしたがい、ともに幅広に形成されていることを特徴とする電子ディバイス装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子ディバイス装置において、
前記第1の接続端子と前記第2の接続端子のどちらか一方または双方に、金めっき、ニッケル下地の金めっき、錫めっき、錫鉛合金めっき、錫ビスマス合金めっきのいずれか1つが施されていることを特徴とする電子ディバイス装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子ディバイス装置において、
前記第1の接続端子と前記第2の接続端子が、異方性導電接着剤に含まれる導電性粒子または異方性導電膜に含まれる導電性粒子を挟んで、重ね合わされて電気的に接続されていることを特徴とする電子ディバイス装置。
【請求項4】
請求項2に記載の電子ディバイス装置において、
前記第1の接続端子と前記第2の接続端子の双方に施されためっきが、常時圧力が加えられた状態で接触されて、それらの第1の接続端子と第2の接続端子とが重ね合わされて電気的に接続されていることを特徴とする電子ディバイス装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の電子ディバイス装置における複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子とが電気的に接続されるとき、前記第1の共通交点と前記第2の共通交点とが位置合わせされた後、前記第1の電子部品または前記第2の電子部品のいずれか一方または双方が回動されて、複数の前記第1の接続端子と複数の前記第2の接続端子とが重ね合わされることを特徴とする電子ディバイス装置の端子接続方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2010−177493(P2010−177493A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−19254(P2009−19254)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(391022186)新藤電子工業株式会社 (23)
【Fターム(参考)】