説明

電子デバイスおよび電子機器

【課題】小型化を図りつつ、電子部品の位置決めを簡単かつ正確に行うことができる電子デバイスおよび電子機器を提供すること。
【解決手段】電子デバイス1は、実装基板2と、台座3と、蓋部材8とを有している。また、台座3は、実装基板2に含まれる第1のリジッド基板21を支持する第1の支持部32と、実装基板2に含まれる第2のリジッド基板22をその厚さ方向が第1のリジッド基板21の厚さ方向に対して直交するように支持する第2の支持部33とを有している。また、蓋部材8は、その内側に実装基板2に含まれる第3のリジッド基板23を支持する第3の支持部82を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子デバイスおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているようなセンサーユニット(電子デバイス)が知られている。特許文献1に記載のセンサーユニットは、直方体形状をなし、互いに直交する3つの面を有する固定部材(mounting member)と、3つの面それぞれに実装されたセンサー素子(sensor devices)とを有している。
このようなセンサー素子を回路基板等に実装する場合、センサー素子を回路基板に直接実装することは困難であり、台座と蓋部材とからなるケーシングに収容した状態で実装するのが一般的である。しかし、このようなケーシングに収容すると、センサー素子が大型化する問題がある。また、センサー素子がケーシングに対して傾いて固定されると、センサー素子の検出軸が傾いてしまい、検出精度が低下するという問題もある。すなわち、小型化を図りつつ、センサー素子の位置決めが正確に行われた電子デバイスが待ち望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第7040922号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、小型化を図りつつ、電子部品の位置決めを簡単かつ正確に行うことができる電子デバイスおよび電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の電子デバイスは、電子部品が実装された複数の実装部と、
前記複数の実装部を支持する台座と、
前記台座に固定される蓋部材と、を有し、
前記複数の実装部には、第1の実装部と、第2の実装部と、第3の実装部とが含まれ、
前記台座は、前記第1の実装部を支持する第1の支持部と、前記第2の実装部を支持する第2の支持部とを有し、
前記蓋部材は、前記第1の実装部および前記第2の実装部を覆うように前記台座に固定され、内側に前記第3の実装部を支持する第3の支持部を有していることを特徴とする。
これにより、小型化を図りつつ、電子部品の位置決めを簡単かつ正確に行うことができる電子デバイスを提供することができる。
【0006】
本発明の電子デバイスでは、前記複数の実装部は、さらに、第4の実装部を備え、
前記台座は、前記第4の実装部を支持する第4の支持部を有していることが好ましい。
これにより、第4の実装部の位置決めを簡単に行うことができる。
本発明の電子デバイスでは、前記第1の実装部、前記第2の実装部、前記第3の実装部および前記第4の実装部のうちの少なくとも2つの実装部には、前記電子部品としてのセンサー部品が実装されており、各前記センサー部品の検出軸が交差していることが好ましい。
これにより、電子デバイスを3軸検出型のジャイロセンサーとして利用することができる。
【0007】
本発明の電子デバイスでは、前記台座は、一方の面に開放する凹部を有し、
前記第1の支持部は、前記第1の実装部を、該第1の実装部が有する少なくとも1つの前記電子部品が前記凹部内に位置するとともに、厚さ方向が前記基部の厚さ方向と平行となるように支持することが好ましい。
これにより、電子デバイスの小型化をさらに図ることができる。
【0008】
本発明の電子デバイスでは、前記凹部には、充填剤が充填されていることが好ましい。
これにより、第1の実装部に不要な振動が発生するのを効果的に防止することができるため、電子デバイスの精度が向上する。
本発明の電子デバイスでは、前記第3の支持部は、前記第3の実装部を前記第1の実装部と前記台座の厚さ方向に対向するように支持することが好ましい。
これにより、電子デバイスの小型化をさらに図ることができる。
【0009】
本発明の電子デバイスでは、前記蓋部材は、凹部を有し、
前記凹部は、前記第3の実装部に実装された前記電子部品の少なくとも一部を収納することが好ましい。
これにより、電子デバイスの小型化をさらに図ることができる。
本発明の電子デバイスでは、前記第1の実装部および前記第3の実装部の一方には、アナログ回路が形成されており、他方には、デジタル回路が形成されていることが好ましい。
これにより、アナログ回路からデジタル回路へのノイズの伝達をより効果的に防止することができ、電子デバイスの特性が向上する。
【0010】
本発明の電子デバイスでは、前記複数の実装部には、電子部品としての出力用コネクターが実装された第5の実装部が含まれ、
前記台座または前記蓋部材は、前記第5の実装部を支持する第5の支持部を有していることが好ましい。
これにより、信号の出力が容易となる。
【0011】
本発明の電子デバイスでは、前記複数の実装部は、それぞれ、可撓性を有する連結部によって接続されていることが好ましい。
これにより、実装部の台座または蓋部材への固定が容易となる。
本発明の電子機器は、本発明の電子デバイスを備えることを特徴とする。
これにより、優れた信頼性を発揮することのできる電子機器が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電子デバイスの好適な実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す電子デバイスの蓋部材を開いた状態の平面図である。
【図3】図1に示す電子デバイスが有する実装基板の展開図である。
【図4】図1に示す電子デバイスが備える角速度センサーの一例を示す平面図である。
【図5】図1に示す電子デバイスが有する台座の斜視図である。
【図6】図5に示す台座の平面図である。
【図7】図1に示す電子デバイスが有する蓋部材の平面図である。
【図8】本発明の電子デバイスを搭載した電子機器の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の電子デバイスおよび電子機器を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
1.電子デバイス
図1は、本発明の電子デバイスの好適な実施形態を示す斜視図、図2は、図1に示す電子デバイスの蓋部材を開いた状態の平面図、図3は、図1に示す電子デバイスが有する実装基板の展開図、図4は、図1に示す電子デバイスが備える角速度センサーの一例を示す平面図、図5は、図1に示す電子デバイスが有する台座の斜視図、図6は、図5に示す台座の平面図、図7は、図1に示す電子デバイスが有する蓋部材の平面図である。
【0014】
なお、以下では、説明の都合上、図1中の上側を「上」、下側を「下」として説明を行う。また、図1に示すように、互いに直交する3軸を「x軸」、「y軸」および「z軸」とする。z軸は、台座3の厚さ方向と平行な軸であり、x軸は、台座の平面視にて、台座の対向する1組の辺の延在方向と平行な軸であり、y軸は、台座の対向する他の1組の辺の延在方向と平行な軸である。
また、以下では、x軸と平行な方向を「x軸方向」とし、y軸と平行な方向を「y軸方向」とし、z軸と平行な方向を「z軸方向」とする。また、x軸とy軸とで形成される平面を「xy平面」とし、y軸とz軸とで形成される平面を「yz平面」とし、z軸とx軸とで形成される平面を「xz平面」とする。
【0015】
電子デバイス1は、角速度センサー711、712、713を備え、互いに直交するx軸、y軸、z軸の各軸まわりの角速度を検出することのできる3軸ジャイロセンサーデバイスである。このような電子デバイス1は、利便性に優れ、例えば、モーショントレース、モーショントラッキング、モーションコントローラー、PDR(歩行者位置方位計測)等に好適に利用することができる。
図1および図2に示すように、このような電子デバイス1は、電子部品7が実装された実装基板2と、実装基板2を収容するパッケージ10とを有している。また、パッケージ10は、台座3と、台座3に固定された蓋部材8とを有している。
以下、これら各部材について順次説明する。
【0016】
[実装基板2]
実装基板2は、硬質で変形し難いリジッド基板と、軟質で変形し易い可撓性を有するフレキシブル基板とを組み合わせたリジッドフレキシブル基板である。このような実装基板2としては、例えば、フレキシブル基板の両側にガラスエポキシ基板等の硬質層を貼り付け、この部分をリジッド基板として用いるもの等、公知のリジッドフレキシブル基板を用いることができる。
【0017】
図3(a)は、展開した状態の実装基板2を一方の面側から見た平面図であり、図3(b)は、展開した状態の実装基板2を他方の面側から見た平面図である。図3に示すように、実装基板2は、互いに離間して配置された第1のリジッド基板(第1の実装部)21と、第2のリジッド基板(第2の実装部)22、第3のリジッド基板(第3の実装部)23と、第4のリジッド基板(第4の実装部)24と、第5のリジッド基板(第5の実装部)25と、これらを連結するフレキシブル基板26とで構成されている。
なお、以下では、説明の便宜上、各リジッド基板21〜25の図3(a)にて図示されている面を「表側実装面」と言い、図3(b)にて図示されている面を「裏側実装面」と言う。
【0018】
フレキシブル基板26は、第1のリジッド基板21と第2のリジッド基板22とを連結する第1の連結部261と、第1のリジッド基板21と第3のリジッド基板23とを連結する第2の連結部262と、第1のリジッド基板21と第4のリジッド基板24とを連結する第3の連結部263と、第3のリジッド基板23と第5のリジッド基板25とを連結する第4の連結部264とを有している。各連結部261〜264は、可撓性を有しており、面方向への曲げ変形を容易に行うことができる。
【0019】
実装基板2は、フレキシブル基板26の各連結部261〜264を曲げることで、リジッド基板21〜25同士の姿勢を変化させることができる。具体的には、各リジッド基板21〜25の表側実装面211〜251が内側を向くように連結部261〜264を曲げることで、隣接するリジッド基板同士が直交する直方体状に変形させることができる。この状態では、例えば、第1のリジッド基板21を下面とすると、第3のリジッド基板23が上面をなし、第2、第4、第5のリジッド基板22、24、25がそれぞれ側面をなす。
【0020】
このように、実装基板2をリジッドフレキシブル基板で構成することにより、実装基板2を容易に変形させることができるため、実装基板2の台座3への固定が簡単となる。また、連結部261〜264によって各リジッド基板21〜25がひとまとまりに連結されているため、この点でも、実装基板2の台座3への固定を簡単かつ円滑に行うことができる。また、複数のリジッド基板を備えることによって、電子部品7の配置の自由度が増す。
【0021】
また、硬質なリジッド基板に電子部品7を実装することにより、電子部品7(特に、角速度センサー711〜713)の不要な振動を抑制でき、電子デバイス1の検出精度が向上する。また、実装基板2に電子部品7を実装し易い。また、電子部品7の平行度が取り易く、特に、角速度センサー711〜713を簡単に所望の姿勢とし、かつその姿勢を維持することができる。また、電子部品7を高密度実装することもできる。
【0022】
ここで、本実施形態では、第1のリジッド基板21は、その縁(外周)に開放する欠損部21c、欠損部21d、欠損部21eを有している。欠損部21cは、第1のリジッド基板21の図3(a)中上側の辺に対して段差を付けて形成されており、この欠損部21cから第1の連結部261が延出している。また、欠損部21dは、第1のリジッド基板21の図3(a)中右側の辺に対して段差を付けて形成されており、この欠損部21dから第2の連結部262が延出している。また、欠損部21eは、第1のリジッド基板21の図3(a)中左側の辺に対して段差を付けて形成されており、この欠損部21eから第3の連結部263が延出している。
【0023】
第1のリジッド基板21に欠損部21cを形成することにより、第1の連結部261を、第1のリジッド基板21との接続部付近(より第1のリジッド基板21側)にて簡単に曲げ変形させることができ、また、曲げ変形させたときの曲率半径を比較的大きく保つことができる。また、第1の連結部261の過度な突出が抑制され、電子デバイス1の小型化を図ることができる。欠損部21d、21eについても同様の効果が得られる。
【0024】
また、本実施形態では、第3のリジッド基板23は、その縁(外周)に開放する欠損部23cおよび欠損部23dを有している。欠損部23cは、第3のリジッド基板23の図3(a)中左側の辺に対して段差を付けて形成されており、この欠損部23cから第2の連結部262が延出している。同様に、欠損部23dは、第3のリジッド基板23の図3(a)中下側の辺に対して段差を付けて形成されており、この欠損部23cから第4の連結部264が延出している。
【0025】
第3のリジッド基板23に欠損部23cを形成することにより、第2の連結部262を、第3のリジッド基板23との接続部付近(より第3のリジッド基板23側)にて簡単に曲げ変形させることができ、また、曲げ変形させたときの曲率半径を比較的大きく保つことができる。また、折り曲がった部分の、第3のリジッド基板23の外周からの過度な突出が抑制され、電子デバイス1の小型化を図ることができる。欠損部23dについても同様の効果が得られる。
以上、実装基板2について説明した。なお、実装基板2の各リジッド基板21〜25およびフレキシブル基板26には、図示しない導体パターンが形成されており、この導体パターンを介して複数の電子部品7が適切に電気接続されている。
【0026】
また、実装基板2には、図示しないグランド層が形成されており、このグランド層が外部磁場を遮断する機能を発揮する。そのため、台座3に固定された状態にて、実装基板2より内側にある電子部品7(すなわち、表側実装面211〜251に実装されている電子部品7)については、電子デバイス1の外部からの外部磁場(外来ノイズ)による影響を排除することができる。
【0027】
[電子部品7]
図3(a)、(b)に示すように、実装基板2には複数の電子部品7が実装されている。
実装基板2には、電子部品7として、1軸検出型の3つの角速度センサー711〜713と、3軸検出型の加速度センサー72と、各種電子部品を駆動するための電源回路73と、センサー類(711〜713、72)からの出力信号を増幅する増幅回路74と、増幅回路74で増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ/デジタル変換回路75と、所望の制御を行うマイクロコントローラー76と、EEPROM等の不揮発性メモリー77と、方位を検出する方位センサー(磁気センサー)78と、信号を出力するためのコネクター(インターフェースコネクター)79とが実装されている。なお、実装する電子部品7としては、これに限定されず、その目的に応じたものを適宜実装すればよい。
以下、これら電子部品7の配置について詳細に説明する。
【0028】
(第1のリジッド基板21)
第1のリジッド基板21の表側実装面211には、電源回路73、増幅回路74およびアナログ/デジタル変換回路75が実装されており、裏側実装面212には、角速度センサー711および加速度センサー72が実装されている。
アナログ/デジタル変換回路75は、表側実装面211に実装されている他の電子部品7(電源回路73および増幅回路74)に対してサイズが大きい。そのため、アナログ/デジタル変換回路75を表側実装面221の中央部に配置するのが好ましい。これにより、アナログ/デジタル変換回路75を第1のリジッド基板21の強度を補強する補強部材として効果的に用いることができる。そのため、第1のリジッド基板21の撓み変形に起因する不本意な振動が抑えられ、角速度センサー711〜713に不要な振動が伝わらず、角速度センサー711〜713(特に第1のリジッド基板21に実装されている角速度センサー711)による角速度の検出精度が高まる。
【0029】
また、角速度センサー711および加速度センサー72は、裏側実装面212の角部付近に配置するのが好ましい。後述するように、第1のリジッド基板21は、接着剤を介して角部が台座3に固定される。そのため、第1のリジッド基板21の角部は、変形し難く、不要な振動が発生し難い。よって、このような場所に角速度センサー711および加速度センサー72を配置することで、より高精度に角速度および加速度を検出することができる。
【0030】
また、角速度センサー711および加速度センサー72を裏側実装面212に実装することにより、実装基板2がパッケージ10に固定された状態にて、マイクロコントローラー76との距離をより離間させることができる。また、角速度センサー711および加速度センサー72とマイクロコントローラー76との間に、第1のリジッド基板21の前記グランド層を位置させることができる。そのため、マイクロコントローラー76から発生する放射ノイズが、角速度センサー711および加速度センサー72に悪影響を及ぼすのを防止でき、角速度センサー711および加速度センサー72の検出精度を向上させることができる。
【0031】
(第2のリジッド基板22)
第2のリジッド基板22の表側実装面221には、角速度センサー712が実装されている。
(第3のリジッド基板23)
第3のリジッド基板23の表側実装面231には、マイクロコントローラー76が実装され、裏側実装面232には、不揮発性メモリー77および方位センサー78が実装されている。
【0032】
マイクロコントローラー76は、第3のリジッド基板23に実装された他の電子部品7(不揮発性メモリー77および方位センサー78)に対してサイズが大きい。そのため、マイクロコントローラー76を表側実装面231の中央部に配置するのが好ましい。これにより、マイクロコントローラー76を第3のリジッド基板23の強度を補強する補強部材として効果的に用いることができる。そのため、第3のリジッド基板23の撓み変形による不要な振動が抑えられ、角速度センサー711〜713に不要な振動が伝わらず、角速度センサー711〜713による角速度の検出精度が高まる。
【0033】
また、方位センサー78をマイクロコントローラー76と反対の実装面に実装することにより、マイクロコントローラー76から発生する放射ノイズを第3のリジッド基板23の前記グランド層によって遮断することができるため、放射ノイズ(磁場)が方位センサー78に悪影響を及ぼすことを効果的に防止することができる。そのため、方位センサー78の検出精度を向上させることができる。
【0034】
(第4のリジッド基板24)
第4のリジッド基板24の表側実装面241には、角速度センサー713が実装されている。
(第5のリジッド基板25)
第5のリジッド基板25の裏側実装面252には、コネクター79が実装されている。
以上、電子部品7の配置について詳細に説明した。
【0035】
実装基板2では、第1のリジッド基板21に電源回路73、増幅回路74、アナログ/デジタル変換回路75などからなるアナログ回路を形成し、第3のリジッド基板23にマイクロコントローラー76および不揮発性メモリー77などからなるデジタル回路が形成されている。このように、アナログ回路とデジタル回路とを別のリジッド基板上に形成することにより、ノイズの発生および伝達を効果的に抑制することができ、電子デバイス1の検出精度がより高くなる。
角速度センサー711〜713としては、角速度を検出することができれば、特に限定されず、公知の1軸検出型の角速度センサーを用いることができる。このような角速度センサー711〜713としては、例えば、図4に示すような振動片5を有するセンサーを用いることができる。
【0036】
振動片5は、水晶(圧電材料)で構成されている。また、振動片5は、基部51と、基部51の両側から紙面縦方向へ延出する一対の検出用振動腕52、53と、基部51の両側から紙面横方向へ延出する一対の連結腕54、55と、各連結腕54、55の先端部の両側から紙面縦方向へ延出する各一対の駆動用振動腕56、57、58、59とを有している。また、各検出用振動腕52、53の表面には検出用電極(図示せず)が形成されており、駆動用振動腕56、57、58、59の表面には駆動用電極(図示せず)が形成されている。
【0037】
このような振動片5では、駆動用電極に電圧を印加することにより、駆動用振動腕56、58および駆動用振動腕57、59を、互いに接近・離間を繰り返すように振動させた状態にて、振動片5の法線A(検出軸A)まわりの角速度ωが加わると、振動片5にコリオリ力が加わり、検出用振動腕52、53の振動が励起される。そして、検出用振動腕52、53の振動により発生した検出用振動腕52、53の歪を検出用電極で検出することにより、振動片5に加わった角速度を求めることができる。
以上のような構成の角速度センサー711〜713は、それぞれ、厚さ方向を検出軸とするように第1、第2、第4のリジッド基板21、22、24に実装される。
【0038】
[台座3]
図5および図6に示すように、台座3は、板状のベース31と、ベース31に設けられた第1の支持部32、第2の支持部33および第4の支持部35とを有している。
(基部)
ベース31は、z軸方向を厚さ方向とし、x軸およびy軸により形成されるxy平面と平行な下面および上面312を有している。また、ベース31は、上面312に開放する凹部313を有している。凹部313は、上面312の縁部を除く中央部に開放しており、ベース31の側面には開放していない。すなわち、凹部313は、周囲が側壁により囲まれた槽状をなしている。
【0039】
このような凹部313は、台座3に第1のリジッド基板21を固定した状態にて、第1のリジッド基板21の裏側実装面212に実装された角速度センサー711および加速度センサー72を収納する収納部として機能する。言い換えれば、凹部313は、台座3と角速度センサー711および加速度センサー72との接触を防止するための逃げ部を構成する。このような凹部313を形成することによって、台座3のスペースを有効活用でき、電子デバイス1の小型化(薄型化、低背化)を図ることができる。
【0040】
また、ベース31の対角上に位置する2つの角部には、それぞれ、外周(外縁)に開放する長孔318、319が形成されている。これら長孔318、319は、互いに同じ方向に延在している。このような長孔318、319は、電子デバイス1を例えばマザーボード等の回路基板に固定するためのネジ穴として用いられる。この長孔318、319を用いて、電子デバイス1を回路基板にネジ止めすることにより、電子デバイス1を回路基板に簡単かつ確実に固定することができる。
【0041】
ここで、長孔318、319のうちの一方をネジによって回路基板に仮止めした状態とすると、このネジを回動中心として電子デバイス1を回路基板上にてz軸まわりに回動させることができる。そのため、まず、一方の長孔を用いて電子デバイス1を仮止め(ネジ止め)し、次いで、電子デバイス1のz軸まわりの位置決めを行い、次いで、他方の長孔をネジ止めし、最後に、両ネジを本締めすることにより、電子デバイス1をz軸まわりに精度よく位置決めした状態で回路基板に固定することができる。
【0042】
また、各長孔318、319を用いて電子デバイス1が回路基板に仮止めされている状態では、電子デバイス1を回路基板に対して長孔318、319の延在方向にスライドさせることができる。そのため、電子デバイス1を回路基板に対してx軸方向およびy軸方向の位置を微細に調整することができる。これにより、回路基板に対する電子デバイス1の位置決めをより精度よく行うことができる。
【0043】
(第1の支持部)
第1の支持部32は、凹部313の周囲に設けられた2つの固定面321、322を有している。2つの固定面321、322は、台座3に対する第1のリジッド基板21の位置決めを行いつつ、台座3に第1のリジッド基板21を固定するための面である。具体的には、固定面321、322は、角速度センサー711の検出軸がz軸と平行となるように、台座3に対して第1のリジッド基板21を位置決めし、固定する機能を有している。
【0044】
固定面321、322は、第1のリジッド基板21の対角上の2つの角部に対応するように、凹部313の周囲に形成されている。このような固定面321、322は、それぞれ、上面312で構成されている。上面312を固定面321、322として利用することにより、第1の支持部32を簡単かつ精度よく形成することができる。
固定面321、322は、互いにxy平面と平行な同一平面上に位置しているため、固定面321、322に第1のリジッド基板21を載置すると、角速度センサー711の検出軸A1がz軸と平行となる。このように、固定面321、322に第1のリジッド基板21を載置するだけで、簡単に、台座3に対する角速度センサー711の位置決め(検出軸A1の軸合わせ)を精度よく行うことができる。
【0045】
固定面321、322へ第1のリジッド基板21を固定する方法は、特に限定されないが、接着剤による固定とネジ止めとを併用するのが好ましい。これにより、第1の支持部32への第1のリジッド基板21の固定を確実に行うことができる。また、台座3と第1のリジッド基板21との間に接着剤の層が介在するため、台座3からの振動を接着剤が吸収、緩和し、第1のリジッド基板21の不要な振動が抑制される。その結果、電子デバイス1の検出精度がより向上する。
【0046】
また、本実施形態では、台座3は、上面312から突出する3つの突出部41、42、43を有している。各突出部41、42、43の内側の面413、423、433は、それぞれ、xy平面視にて、直角に屈曲した面で構成されている。そして、第1のリジッド基板21は、各突出部41〜43の面413、423、433に当接した状態で、第1の支持部32に支持されている。すなわち、各突出部41〜43は、第1のリジッド基板21の位置決めを行う位置決め部として機能する。これにより、第1のリジッド基板21を簡単に所定の位置に載置することができる。
【0047】
また、本実施形態では、凹部313には、充填剤が充填されており、この充填剤によって、台座3と第1のリジッド基板21との隙間が埋められている。これにより、第1のリジッド基板21(角速度センサー711、加速度センサー72)や、第1のリジッド基板21から延出する連結部261、262、263が固定され、第1のリジッド基板21に不要な振動が発生するのを効果的に防止することができる。そのため、電子デバイス1の検出精度が向上する。
【0048】
充填剤の構成材料としては、絶縁性を有するものが好ましい。このような材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
(第2の支持部)
第2の支持部33は、台座3に対する第2のリジッド基板22の位置決めを行うとともに、台座3に第2のリジッド基板22を固定するための部位である。具体的には、第2の支持部33は、角速度センサー712の検出軸がx軸と平行となるように、台座3に対して第2のリジッド基板22を位置決めし、固定する機能を有している。
【0050】
第2の支持部33は、ベース31縁部に位置し、その上面312から突出する突出部41が備える固定面411を有している。固定面411は、台座3の外側に臨むとともに、yz平面と平行な面である。そのため、固定面411に第2のリジッド基板22を固定すると、第2のリジッド基板22の厚さ方向がx軸方向と平行となると同時に、角速度センサー712の検出軸がx軸と平行となる。このように、第2の支持部33によれば、固定面411に第2のリジッド基板22を固定するだけで、簡単かつ精度よく、台座3に対する角速度センサー712の位置決め(検出軸の軸合わせ)を行うことができる。
【0051】
固定面411へ第2のリジッド基板22を固定する方法は、特に限定されないが、接着剤による固定とネジ止めとを併用するのが好ましい。これにより、第2の支持部33への第2のリジッド基板22の固定を確実に行うことができる。また、台座3と第2のリジッド基板22との間に接着剤の層が介在するため、台座3からの振動を接着剤が吸収、緩和し、第2のリジッド基板22の不要な振動が抑制される。その結果、電子デバイス1の検出精度がより向上する。
【0052】
また、凹部313は、xy平面視にて、固定面411よりも台座3の外周側へ突出する領域313aを有している。このような領域313aには、第1のリジッド基板21と第2のリジッド基板22とを連結する第1の連結部261を過度な変形をさせることなく配置することができる。なお、領域313aは、固定面411に対して、第2のリジッド基板22の厚さ程度突出しているのが好ましい。
【0053】
また、第2のリジッド基板22が固定面411に固定された状態では、角速度センサー712が第2のリジッド基板22よりも内側に位置している。そのため、例えば、電子デバイス1の製造時などに、角速度センサー712と作業者や製造機器等との接触が抑制され、角速度センサー712の破損を効果的に防止することができる。また、前述したように、実装基板2が有するグランド層によって外部磁場を遮断することができるため、角速度センサー712の検出精度が向上する。
【0054】
(第4の支持部)
第4の支持部35は、台座3に対する第4のリジッド基板24の位置決めを行うとともに、台座3に第4のリジッド基板24を固定するための部位である。具体的には、第4の支持部35は、角速度センサー713の検出軸がy軸と平行となるように、台座3に対して第4のリジッド基板24を位置決めし、固定する機能を有している。
【0055】
このような第4の支持部35は、突出部41が備える固定面412を有している。固定面412は、台座3の外側に臨むとともに、xz平面と平行な面である。そのため、固定面412に第4のリジッド基板24を固定すると、第4のリジッド基板24の厚さ方向がy軸方向と平行となり、第1、第2、第4のリジッド基板21、22、24の厚さ方向が互いに直交する。すなわち、角速度センサー713の検出軸がy軸と平行となり、角速度センサー711〜713の検出軸が互いに直交する。
【0056】
このように、第4の支持部35によれば、固定面412に第4のリジッド基板24を固定するだけで、簡単かつ精度よく、台座3に対する角速度センサー713の位置決め(検出軸A3の軸合わせ)を行うことができる。
【0057】
固定面412へ第4のリジッド基板24を固定する方法は、特に限定されないが、接着剤による固定とネジ止めとを併用するのが好ましい。これにより、第4の支持部35への第4のリジッド基板24の固定を確実に行うことができる。また、台座3と第4のリジッド基板24との間に接着剤の層が介在するため、台座3からの振動を接着剤が吸収、緩和し、第4のリジッド基板24の不要な振動が抑制される。その結果、電子デバイス1の検出精度がより向上する。
【0058】
また、凹部313は、xy平面視にて、固定面412よりも台座3の外周側へ突出する領域313bを有している。このような領域313bには、第1のリジッド基板21と第4のリジッド基板24とを連結する第3の連結部263を過度な変形をさせることなく配置することができる。なお、領域313bは、固定面412に対して、第4のリジッド基板24の厚さ程度突出しているのが好ましい。
【0059】
また、第4のリジッド基板24が固定面412に固定された状態では、角速度センサー713が第4のリジッド基板24よりも内側に位置している。そのため、例えば電子デバイス1の製造時などに、角速度センサー713と作業者や製造機器等との接触が抑制され、角速度センサー713の破損を効果的に防止することができる。また、前述したように、実装基板2が有するグランド層によって、外部磁場を遮断することができるため、角速度センサー713の検出精度が向上する。
台座3の構成材料としては、特に限定されないが、制振特性を有する材料であるのが好ましい。これにより、不要な振動が抑えられ、角速度センサー711〜713等の検出精度が向上する。このような材料としては、例えば、マグネシウム合金、鉄系合金、銅合金、マンガン合金、Ni−Ti系合金などの各種制振合金が挙げられる。
【0060】
[蓋部材8]
蓋部材8は、実装基板2を覆うように台座3に固定される。これにより、電子部品7を保護することができる。図7に示すように、このような蓋部材8は、側面(側壁)に開口811を有する本体81と、第3のリジッド基板23を支持する第3の支持部82と、第5のリジッド基板25を支持する第5の支持部83とを有している。
【0061】
(本体)
本体81は、箱状をなしている。また、本体81は、その内底面812に開放する凹部813を有している。また、凹部813は、内底面812の縁部を除く中央部に開放している。
このような凹部813は、蓋部材8に第3のリジッド基板23を固定した状態にて、第3のリジッド基板23の裏側実装面232に実装された不揮発性メモリー77および方位センサー78を収納する収納部として機能する。言い換えれば、凹部813は、蓋部材8と不揮発性メモリー77および方位センサー78との接触を防止するための逃げ部を構成する。このような凹部813を形成することによって、電子デバイス1の小型化(薄型化、低背化)を図ることができる。
また、蓋部材8は、xy平面視にて、台座3に形成された長孔318、319と重ならないように、2つの角部が欠損している。これにより、電子デバイス1の回路基板への固定を容易に行うことができる。
【0062】
(第3の支持部)
第3の支持部82は、蓋部材8に対する第3のリジッド基板23の位置決めを行いつつ、蓋部材8に第3のリジッド基板23を固定するため部位である。このような第3の支持部82は、固定面としての内底面812で構成されている。内底面812は、蓋部材8が台座3に固定された状態では、xy平面と平行な面である。そのため、内底面812に第3のリジッド基板23を載置すると、第3のリジッド基板23は、第1のリジッド基板21とz軸方向に対向とするとともに、第1のリジッド基板21と平行となる。第3のリジッド基板23をこのように配置することにより、電子デバイス1の小型化(薄型化、低背化)を図ることができる。
また、第3のリジッド基板23を、第1のリジッド基板21と対向するように配置することにより、第3のリジッド基板23と第1のリジッド基板21とをなるべく離間させることができ、アナログ回路とデジタル回路のノイズの伝達をより効果的に防止することができる。
【0063】
内底面812へ第3のリジッド基板23を固定する方法は、特に限定されないが、接着剤による固定とネジ止めとを併用するのが好ましい。これにより、第3の支持部82への第3のリジッド基板23の固定を確実に行うことができる。また、蓋部材8と第3のリジッド基板23との間に接着剤の層が介在するため、蓋部材8からの振動を接着剤が吸収、緩和し、第3のリジッド基板23の不要な振動が抑制される。その結果、電子デバイス1の検出精度がより向上する。
【0064】
また、本実施形態では、蓋部材8は、内底面812から突出する2つの突出部84、85を有している。各突出部84、85の内側の面841、851は、それぞれ、xy平面視にて、直角に屈曲した面で構成されている。そして、第3のリジッド基板23は、各突出部84、85の面841、851に当接した状態で、第3の支持部82に支持されている。すなわち、各突出部84、85は、第3のリジッド基板23の位置決めを行う位置決め部として機能する。これにより、第3のリジッド基板23を簡単に所定の位置に載置することができる。
【0065】
(第5の支持部)
第5の支持部83は、蓋部材8に対する第5のリジッド基板25の位置決めを行いつつ、蓋部材8に第5のリジッド基板25を固定するため部位である。このような第5の支持部83は、開口811の両側に位置する一対の固定面831、832を有している。蓋部材8が台座3に固定されている状態では、固定面831、832は、yz平面と平行な面である。また、固定面831、832は、同一平面上に位置している。そのため、固定面831、832に固定された第5のリジッド基板25は、その厚さ方向がx軸方向と平行となる。第5のリジッド基板25が第5の支持部83に固定された状態では、コネクター79が開口811から電子デバイス1の外部へ露出する。第5のリジッド基板25をこのように配置することにより、対向する第2のリジッド基板22と平行に配置できるため、電子デバイス1の小型化を図ることができる。
【0066】
固定面831、832へ第5のリジッド基板25を固定する方法は、特に限定されないが、接着剤による固定と、ネジ止めとを併用するのが好ましい。これにより、第5の支持部83への第5のリジッド基板25の固定を確実に行うことができる。また、蓋部材8と第5のリジッド基板25との間に接着剤の層が介在するため、蓋部材8からの振動を接着剤が吸収、緩和し、第5のリジッド基板25の不要な振動が抑制される。その結果、電子デバイス1の検出精度がより向上する。
【0067】
なお、本実施形態では、第5の支持部83を補強するために、補強部材を第5のリジッド基板25とともに固定面831、832に固定している。
蓋部材8の構成材料としては、特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0068】
以上、電子デバイス1について詳細に説明した。
このような電子デバイス1によれば、台座3および蓋部材8に直接、実装基板2を固定するため、部品点数が少なく、その分、小型化を図ることができる。また、各リジッド基板21〜25の位置決めを簡単かつ正確に行うことができるため、優れた検出能力および信頼性を発揮することができる。
【0069】
なお、電子デバイス1をマザーボード等の回路基板に実装する場合には、台座3の直交する2つの側面3a、3bを基準とすることで、角速度センサー712、713の検出軸A2、A3を簡単に所望の方向に向けることができる。具体的には、側面3aは、検出軸A3と平行な面であり、側面3bは、検出軸A2と平行な面である。そのため、これら側面3a、3bを基準に回路基板に対する位置決めを行うことにより、簡単かつ確実に、角速度センサー712、713の検出軸A2、A3を所望の方向に向けることができる。
【0070】
2.電子機器
以上のような電子デバイス1は、各種電子機器に組み込むことができる。以下、電子デバイス1を搭載した本発明の電子機器について説明する。図8は、電子デバイス1を搭載した電子機器500の構成の一例を示す図である。電子機器500としては、特に限定されず、例えば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、カーナビゲーションシステム、携帯電話、モバイルPC、ロボット、ゲーム機、ゲームコントローラーなどが挙げられる。
【0071】
図8に示す電子機器500は、電子デバイス1を含むセンサーモジュール510と、処理部520と、メモリー530と、操作部540と、表示部550とを有している。これらは、バス560にて接続されている。処理部(CPU、MPU等)520は、センサーモジュール510等の制御や電子機器500の全体制御を行う。また処理部520は、センサーモジュール510により検出された角速度情報に基づいて処理を行う。例えば、角速度情報に基づいて、手ぶれ補正、姿勢制御、GPS自律航法などのための処理を行う。メモリー530は、制御プログラムや各種データを記憶し、また、ワーク領域やデータ格納領域として機能する。操作部540は、ユーザーが電子機器500を操作するためのものである。表示部550は、種々の情報をユーザーに表示するものである。
【0072】
以上、本発明の電子デバイスおよび電子機器について、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。
また、前述した実施形態では、実装基板に3つの角速度センサーが実装された構成について説明したが、角速度センサーの数は、これに限定されず、1つでもよいし、2つでもよい。また、角速度センサーの数に応じて、リジッド基板の数も変更してもよい。
【0073】
また、前述した実施形態では、3つの角速度センサーが第1、第2、第4のリジッド基板に実装された構成について説明したが、3つの角速度センサーを実装するリジッド基板としては、これに限定されず、例えば、第2、第3、第4のリジッド基板に実装してもよい。
また、前述した実施形態では、第1のリジッド基板にアナログ回路が形成され、第3のリジッド基板にデジタル回路を形成した構成について説明したが、反対に、第1のリジッド基板にデジタル回路が形成され、第3のリジッド基板にアナログ回路を形成した構成であってもよい。
また、前述した実施形態では、実装基板がリジッドフレキシブル基板で構成されていたが、実装基板の構成は、これに限定されず、例えば、互いに連結していない複数のリジッド基板で構成されていてもよい。この場合には、各リジッド基板を台座に固定した後、コネクター等を用いてリジッド基板同士を電気的に接続することができる。
【符号の説明】
【0074】
1‥‥電子デバイス 10‥‥パッケージ 2‥‥実装基板 21‥‥第1のリジッド基板 211‥‥表側実装面 212‥‥裏側実装面 21c‥‥欠損部 21d‥‥欠損部 21e‥‥欠損部 22‥‥第2のリジッド基板 221‥‥表側実装面 23‥‥第3のリジッド基板 231‥‥表側実装面 232‥‥裏側実装面 23c‥‥欠損部 23d‥‥欠損部 24‥‥第4のリジッド基板 241‥‥表側実装面 25‥‥第5のリジッド基板 251‥‥表側実装面 252‥‥裏側実装面 26‥‥フレキシブル基板 261‥‥第1の連結部 262‥‥第2の連結部 263‥‥第3の連結部 264‥‥第4の連結部 3‥‥台座 3a、3b‥‥側面 31‥‥ベース 312‥‥上面 313‥‥凹部 313a、313b‥‥領域 318、319‥‥長孔 32‥‥第1の支持部 321、322‥‥固定面 33‥‥第2の支持部 35‥‥第4の支持部 41、42、43‥‥突出部 411、412‥‥固定面 413、423、433‥‥面 5‥‥振動片 51‥‥基部 52、53‥‥検出用振動腕 54、55‥‥連結腕 56、57、58、59‥‥駆動用振動腕 7‥‥電子部品 711、712、713‥‥角速度センサー 72‥‥加速度センサー 73‥‥電源回路 74‥‥増幅回路 75‥‥アナログ/デジタル変換回路 76‥‥マイクロコントローラー 77‥‥不揮発性メモリー 78‥‥方位センサー 79‥‥コネクター 8‥‥蓋部材 81‥‥本体 811‥‥開口 812‥‥内底面 813‥‥凹部 82‥‥第3の支持部 83‥‥第5の支持部 831、832‥‥固定面 84、85‥‥突出部 841、851‥‥面 500‥‥電子機器 510‥‥ジャイロセンサー 520‥‥処理部 530‥‥メモリー 540‥‥操作部 550‥‥表示部 560‥‥バス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が実装された複数の実装部と、
前記複数の実装部を支持する台座と、
前記台座に固定される蓋部材と、を有し、
前記複数の実装部には、第1の実装部と、第2の実装部と、第3の実装部とが含まれ、
前記台座は、前記第1の実装部を支持する第1の支持部と、前記第2の実装部を支持する第2の支持部とを有し、
前記蓋部材は、前記第1の実装部および前記第2の実装部を覆うように前記台座に固定され、内側に前記第3の実装部を支持する第3の支持部を有していることを特徴とする電子デバイス。
【請求項2】
前記複数の実装部は、さらに、第4の実装部を備え、
前記台座は、前記第4の実装部を支持する第4の支持部を有している請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
前記第1の実装部、前記第2の実装部、前記第3の実装部および前記第4の実装部のうちの少なくとも2つの実装部には、前記電子部品としてのセンサー部品が実装されており、各前記センサー部品の検出軸が交差している請求項2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記台座は、一方の面に開放する凹部を有し、
前記第1の支持部は、前記第1の実装部を、該第1の実装部が有する少なくとも1つの前記電子部品が前記凹部内に位置するとともに、厚さ方向が前記基部の厚さ方向と平行となるように支持する請求項1ないし3のいずれかに記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記凹部には、充填剤が充填されている請求項4に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記第3の支持部は、前記第3の実装部を前記第1の実装部と前記台座の厚さ方向に対向するように支持する請求項4または5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
前記蓋部材は、凹部を有し、
前記凹部は、前記第3の実装部に実装された前記電子部品の少なくとも一部を収納する請求項6に記載の電子デバイス。
【請求項8】
前記第1の実装部および前記第3の実装部の一方には、アナログ回路が形成されており、他方には、デジタル回路が形成されている請求項6または7に記載の電子デバイス。
【請求項9】
前記複数の実装部には、電子部品としての出力用コネクターが実装された第5の実装部が含まれ、
前記台座または前記蓋部材は、前記第5の実装部を支持する第5の支持部を有している請求項1ないし8のいずれかに記載の電子デバイス。
【請求項10】
前記複数の実装部は、それぞれ、可撓性を有する連結部によって接続されている請求項1ないし9のいずれかに記載の電子デバイス。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の電子デバイスを備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−19746(P2013−19746A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152732(P2011−152732)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】