説明

電子デバイスの製造方法及びその製造装置

【課題】回路基板と実装部品とを異方性導電材料を介して熱圧着して実装する電子デバイスの製造方法において、回路基板に実装部品を実装した後に室温に冷却すると回路基板が反るために、回路基板の品質を悪化させた。
【解決手段】実装部品を回路基板に仮圧着した後に、実装部品を圧着ステージ側に向けて圧着ステージに設置し、仮圧着温度よりも高い本圧着温度に設定した圧着ヘッドを回路基板に当接して、実装部品を回路基板に実装する。これにより、回路基板の反り量を縮小する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板と実装部品とを加熱圧着して電子デバイスを製造する製造方法及びその製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電極を多数有する回路基板とICチップとを接続する方法として、異方性導電フィルム(以下ACFという)、異方性導電ペースト(ACP)、非導電性フィルム(NCF)等の熱硬化型接着剤を、回路基板とICチップとの間に介して熱圧着する方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
図7は、従来から公知のCOG(Chip on Glass)実装方法を示す断面図である。図7の断面図は、ガラス基板102の上にICチップを加熱圧着して実装する方法を示している。図7(a)は、回路基板であるガラス基板102の上に第1電極101が形成された状態を示す。第1電極101は図示しない液晶表示パネルを駆動させるための電極であり、液晶表示パネル部は省略している。図7(b)は、ガラス基板102の第1電極101の上に接着剤103を載置した状態を示す。接着剤103の内部には導電性粒子が分散している。導電性粒子は絶縁体である接着剤103の中に分散しているので隣り合う電極同士は互いに絶縁されている。図7(c)は、ICチップ105を接着剤103の上に装着した状態を示す。この場合に、圧着ステージ106は室温又は所定の温度に加熱する。この加熱は、接着剤103の表面の粘着性を向上させて、ガラス基板102と接着剤103及び接着剤103とICチップ105が相互に移動して位置ずれを発生しないように固定するためである。
【0004】
ICチップ105の表面には多数の第2電極104が形成されている。ICチップ105を装着する際にはICチップ105の第2電極104とガラス基板102上の第1電極101とを対向するように位置合わせ行う。図7(d)は、ガラス基板102の上に装着したICチップ105を、圧着ステージ106の上に載置して圧着ヘッド107を降下させ、圧着している状態を示している。圧着ヘッド107を下方に加圧することにより、接着剤103中に分散した導電粒子が第1電極101と第2電極104との間に介在して、第1電極101と第2電極104との間の電気的導通をとる。圧着ヘッド107により加圧した後に、圧着ヘッド107を加熱する。圧着ヘッド107を加熱することにより接着剤103は流動する。そして接着剤が硬化し、その後冷却する。冷却は加圧状態のままに冷却する。そして圧着ヘッド107の圧力を解除してガラス基板102を圧着ステージ106から取り除く。
【0005】
特許文献1においては、特に、冷却後に接着剤103に残留応力が発生し、ガラス基板等が反ることを防止するために、圧着ステージ106と圧着ヘッド107との間の加圧状態を維持しながら加熱を開始する。その結果、接着剤103が急激に加熱・昇温されることがなく、硬化した接着剤の残留応力を低減させることができる、というものである。
【0006】
図8は、ガラス基板102とICチップ105とを接着剤103を介して熱圧着する場合に、熱圧着後にガラス基板が反る原因を説明するための説明図である。図8(a)は、圧着ステージ106の上にガラス基板102とICチップ105とを接着剤103を介して熱圧着している状態を示す模式的断面図であり、図8(b)は、その断面における温度分布を表すグラフである。横軸が温度で縦軸が圧着ステージ106と圧着ヘッド107の断面位置を表している。グラフ112が低温で熱圧着する場合、グラフ113が高温で熱圧着する場合の温度分布を示している。
【0007】
圧着ステージ106は室温又は所定の低温に維持し、圧着ヘッド107は接着剤103の硬化温度に維持している。グラフ112及びグラフ113から、ICチップ105からガラス基板102にかけて温度勾配が生じている。即ち、高温の圧着ヘッド107をICチップ105に当接して加圧する場合に、ICチップ105は圧着ヘッド107の温度と同程度の温度まで上昇するが、ガラス基板102は圧着ヘッド107と圧着ステージ106との間の温度に加熱される。
【0008】
図8(c)は、熱圧着時のガラス基板102とICチップ105の断面図であり、図8(d)は、室温に冷却したときのガラス基板102とICチップ105の断面図である。圧着時においては、ICチップ105の温度がガラス基板102の温度よりも高いので、熱膨張による伸びはガラス基板102よりもICチップ105のほうが大きい。しかしこれを冷却すると、ICチップ105の縮みがガラス基板102の縮みよりも大きいので、ガラス基板102はICチップ105に対して凹状の反りが発生する。なお、シリコン基板の線熱膨張係数は約3ppm/Kであり、ガラスは約5ppm/Kである。
【0009】
このような反りは、ガラス基板102が液晶表示パネルを構成するガラス基板の場合には特に問題となる。ガラス基板102が反ることにより、液晶層のギャップが変化し、その変化した部分の表示の色が変化する、あるいは液晶表示パネルに色むらが生ずる等の不具合が発生する原因となった。
【特許文献1】特開2002−120815号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来例においては、実装時に回路基板と実装部品との間に温度勾配が生じて、冷却後に回路基板に反りが発生した。そこで、本発明は上記点に鑑みてなされたものであり、回路基板に実装部品を実装後においても回路基板の反りを低減した電子デバイスの製造方法及び電子デバイス製造装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明においては、上記課題を解決するために、以下の構成とした。
【0012】
(1)第1電極を有する回路基板と第2電極を有する実装部品との間に異方性導電材料を介在して対向させ、圧着ステージ及び前記圧着ステージに対向して配置した圧着ヘッドにより加熱圧着して前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する電子デバイスの製造方法において、前記圧着ステージ及び前記圧着ヘッドを前記異方性導電材料が接着力を発生する仮圧着温度に設定すると共に、前記異方性導電材料を介在して前記実装部品が装着された前記回路基板を前記圧着ステージに設置する仮圧着前工程と、前記圧着ヘッドを前記実装部品又は前記回路基板に当接して前記実装部品を前記回路基板に仮圧着する仮圧着工程と、前記圧着ヘッドを前記仮圧着温度よりも高い本圧着温度に設定すると共に、前記仮圧着された実装部品が圧着ステージ側に配置されるようにして前記回路基板を前記圧着ステージに設置する本圧着前工程と、前記圧着ヘッドを前記回路基板に当接して前記実装部品を前記回路基板に本圧着する本圧着工程と、を含む電子デバイスの製造方法とした。
【0013】
(2)上記(1)の電子デバイスの製造方法において、前記圧着ヘッドは、第1圧着ヘッド及び第2圧着ヘッドから成り、前記第1圧着ヘッドにより仮圧着する仮圧着工程を行い、前記第2圧着ヘッドにより前記本圧着する本圧着固定を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの製造方法とした。
【0014】
(3)上記(1)又は(2)において、前記仮圧着温度は、前記異方性導電材料の硬化反応率が0.1%以上であり、かつ、50%未満となる温度であることを特徴とする電子デバイスの製造方法とした。
【0015】
(4)上記(1)〜(3)のいずれか1において、前記仮圧着温度は、20℃〜120℃であることを特徴とする電子デバイスの製造方法とした。
【0016】
(5)上記(1)〜(4)のいずれか1において、前記本圧着温度は、前記異方性導電材料の硬化反応率が80%以上となる温度であることを特徴とする電子デバイスの製造方法とした。
【0017】
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1において、前記回路基板は、その板厚が0.001mm〜2.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法とした。
【0018】
(7)上記(1)〜(6)のいずれか1において、前記回路基板は液晶パネルであり、前記実装部品は前記液晶パネルを駆動するための半導体チップであることを特徴とする電子デバイスの製造方法とした。
【0019】
(8)第1電極を有する第1部材と、第2電極を有し、前記第1部材よりも熱容量の小さな第2部材との間に異方性導電材料を介在して対向させ、圧着ステージ及び圧着ステージに対向して配置した圧着ヘッドにより加熱圧着して前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する電子デバイスの製造方法であって、前記第2部材を、前記異方性導電材料を介在して前記第1部材に装着する装着工程と、前記圧着ヘッドを前記圧着ステージよりも温度が高い圧着温度に設定すると共に、前記第2部材が装着された第1部材を、前記第1部材が前記圧着ヘッド側に位置するように前記圧着ステージ側に設置する圧着前工程と、前記圧着ヘッドを前記第1部材に当接して前記第2部材を前記第1部材に圧着する圧着工程と、を含む電子デバイスの製造方法。
【0020】
(9)第1電極を有する回路基板と第2電極を有する実装部品とを異方性導電材料を介して加熱圧着して前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続させる電子デバイス製造装置において、前記回路基板の第1電極の上に異方性導電材料を載置する載置手段と、前記回路基板の第1電極と前記実装部品の第2電極とを対向させて位置決めする位置決め手段と、前記実装部品を前記異方性導電材料の上に装着する装着手段と、第1圧着ステージ及び第1圧着ヘッドと、前記第1ステージ及び前記第1ヘッドを前記異方性導電材料が接着力を発生する仮圧着温度に設定するための加熱手段と、前記実装部品が装着された回路基板を前記第1圧着ステージに設置するための第1移動手段とを備え、前記第1圧着ヘッドを前記実装部品又は前記回路基板に当接して前記実装部品を前記回路基板に仮圧着するための仮圧着部と、第2圧着ステージ及び第2圧着ヘッドと、前記第2圧着ヘッドの温度を前記仮圧着温度より高い本圧着温度に設定するための加熱手段と、前記実装部品が仮圧着された前記回路基板を、前記実装部品を第2圧着ステージ側に向けて前記第2圧着ステージに設置するための第2移動手段とを備え、前記第2圧着ヘッドを前記回路基板に当接して前記実装部品を前記回路基板に本圧着するための本圧着部と、を備えた電子デバイス製造装置とした。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、実装部品を、異方性導電材料を介在して回路基板の上に装着し、圧着ヘッドと圧着ステージを仮圧着温度に設定し、圧着ヘッドを実装部品側又は回路基板側から当接して仮圧着を行い、次に仮圧着した回路基板を圧着ヘッド側に向けて圧着ステージに設置し、本圧着温度に設定した圧着ヘッドを回路基板側から当接して本圧着を行う。これにより、回路基板の実装部品側の表面温度と、回路基板の実装部品側とは反対側の表面温度との間の温度差が小さくなり、実装部品と回路基板間の残留応力が減少して回路基板の反りを防止することができる、という利点を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、仮圧着前工程、仮圧着工程、本圧着前工程及び本圧着工程を有する。まず、仮圧着前工程において、圧着ステージに対向して配置された圧着ヘッドを、異方性導電接着材が接着力を発生する仮圧着温度に設定する。そして、第1電極を有する回路基板に第2電極を有する実装部品を、異方性導電材料を介在して装着する。次に、実装部品が装着された回路基板を圧着ステージに載置する。この場合、実装部品を圧着ヘッド側に向けて載置してもよいし、回路基板を圧着ヘッド側に向けて載置してもよい。
【0023】
ここで、実装部品を回路基板に装着する際には、第1電極と第2電極とを所定精度で位置合わせを行う。この装着は、圧着ステージ外で行ってもよいし、圧着ステージ上で行ってもよい。仮圧着温度の設定は、圧着ヘッドを高温に、圧着ステージを低温に設定しても良いし、圧着ステージと圧着ヘッドとを同温度としても良い。
【0024】
次に、仮圧着工程において、圧着ヘッドを降下して実装部品又は回路基板に当接させて仮圧着を行う。次に、本圧着前工程において、圧着ヘッドを仮圧着温度よりも高い本圧着温度に設定する。そして、実装部品が仮圧着された回路基板を、回路基板が圧着ヘッド側に配置されるようにして圧着ステージに設置する。このときに、圧着ステージは例えば仮圧着の温度に保持しておく。次に、本圧着工程において、圧着ヘッドを降下して回路基板に当接させて本圧着を行う。
【0025】
ここで、回路基板として、液晶表示パネル、有機EL発光素子、プラズマ表示パネル、プリンターヘッド、水晶振動子のベース基板、センサ素子のベース基板等を対象とし、実装部品としてこれらの素子を駆動するためのICチップを対象としていが、これらに限定されない。実装部品としてICチップに代えてフレキシブルシート等を対象とすることができる。異方性導電材料を介在してICチップ等を回路基板等に実装する際に、残留応力を減少させ、デバイスの信頼性を向上させる実装を行うことができる。
【0026】
異方性導電材料としては、熱硬化性樹脂に導電性粒子を分散させた異方性導電フィルムや異方性導電ペーストを使用することができる。これらのフィルムやペーストは加熱圧着後に上下方向の電極同士は電気的に接続するが、横方向の電極間においては絶縁性を有する。熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂等を使用することができる。
【0027】
上記実施形態において、圧着ヘッドは圧着ステージよりも高温に設定されている。また、実装部品の体積よりも回路基板の体積が大きい。本圧着工程において、体積の小さな実装部品側から加熱する場合は、回路基板の温度上昇に時間を要するとともに、回路基板内に温度分布が生じた。その結果、常温に冷却したときに残留応力により回路基板に反りが発生しやすかった。一方、体積の大きな回路基板側から加熱する場合は、回路基板内の温度分布が縮小し、しかも実装部品は比較的急速に昇温するので、実装部品と回路基板との間の温度差が減少する。その結果、常温に冷却したときに残留応力が発生し難くなり、反りの発生を抑制することができる。同時に、実装のサイクルタイムを短縮することができる。
【0028】
また、圧着ヘッドを、第1圧着ヘッドと第2圧着ヘッドに分離することができる。第1圧着ヘッドは実装部品と回路基板とを仮圧着する仮圧着工程において使用し、第2圧着ヘッドは実装部品と回路基板とを本圧着する本圧着工程において使用する。仮圧着温度は例えば20℃〜100℃に設定するのに対して、本圧着温度は、例えば150℃〜300℃に設定する。1台の圧着ヘッドを仮圧着工程と本圧着工程において使用する場合は、仮圧着工程から本圧着工程へ、また本圧着工程から仮圧着工程へ移行するときに圧着ヘッドの温度を上昇又は下降させなければならない。従って、実装のサイクルタイムが長くなる。これを、第1圧着ヘッドを仮圧着温度に設定し、第2圧着ヘッドを本圧着温度に設定しておけば、圧着ヘッドの温度上昇や温度降下に時間を要することがなくなる利点がある。
【0029】
また、異方性導電材料の硬化反応率が0.1%以上であり50%未満となる温度を仮圧着温度とすることができる。仮圧着時に回路基板と実装部品とを互いに仮固定するためである。例えば、接着剤としてポリイミド系を使用している場合には、イミド化反応が0.1%〜10%程度まで促進していることが望ましい。エポキシ系を使用する場合には、エポキシ樹脂の重合による硬化反応が0.1%〜10%程度まで促進していることが望ましい。
【0030】
なお、異方性導電材料に含まれる接着剤中の熱硬化性樹脂成分は、上記の他に(メタ)アクリル化合物、アクリル樹脂、ウレタン化合物、ウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ化合物、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等からなるものを使用することができる。更に、熱硬化性樹脂の硬化反応の形態も二重結合のラジカル重合や、エポキシ樹脂のイオン重合、重付加等、いずれの重合形態を利用するものであっても良い。また、それ自身熱硬化しないフィルム形成ポリマーを含んでいても良い。また、添加物としてラジカル重合開始剤、エポキシ硬化剤、シランカップリング剤を含んでいても良い。
【0031】
また、仮圧着温度として、20℃〜120℃に設定する。好ましくは40℃〜80℃に設定する。また、圧着ステージと圧着ヘッドとの間の温度差は±20℃以内に設定し、より好ましくは±5℃以内に設定する。回路基板として液晶表示素子を使用する場合は、液晶表示素子を高温にすると液晶の分解や偏光板の劣化等が発生する恐れがある。そのため、あまりに高温に設定することは好ましくない。また、仮圧着温度を低温にすると、熱硬化性樹脂の硬化反応が進まず、回路基板と実装部品とがしっかり固定されなくなる。そのために、低温にすることは好ましくない。
【0032】
また、本圧着温度は、異方性導電材料の硬化反応率が80%以上に達する温度とする。硬化率が80%以上に達することにより、温度変化や耐湿性、その他の対環境性が向上する。異方性導電材料として異方性導電フィルムを使用する場合には、圧着ヘッドの本圧着温度として150℃〜300℃の範囲、好ましくは180℃〜250℃に設定する。また、圧着ステージは仮圧着温度に設定してもよいし、常温に設定してもよい。圧着ヘッドの圧力は、異方性導電材料に含まれる導電粒子の径が1/4〜3/4潰れる圧力とする。
【0033】
また、回路基板の板厚は、0.05mm〜0.4mmが望ましい。板厚は厚くなるほど本圧着の際の圧着ヘッドから実装部品まで熱が伝達する時間が長くなり、実装時間が長くなる。板厚が薄くなるほど本圧着時に割れやすくなる。また、回路基板を液晶パネルとし、実装部品を、液晶パネルを駆動するためのICチップからなる駆動ドライバとすることができる。
【0034】
また、本発明の他の実施形態に係る電子デバイスの製造方法においては、第1電極を有する第1部材と、第1部材よりも熱容量の小さな第2電極を有する第2部材とを、第1電極及び第2電極とを対向させ、異方性導電材料を介在させて装着する。装着の際には、第1電極と第2電極とを位置合わせを行っておく。次に、圧着ヘッドを圧着ステージより高温の圧着温度に設定し、第2部材が装着された第1部材を、熱容量の大きな第1部材を圧着ヘッド側に向けて第1圧着ステージに設置する。次に、圧着ヘッドを第1部材に当接して第2部材を第1部材に圧着する。
【0035】
この場合に、第1部材は、例えば液晶パネル、有機EL発光素子、プラズマ表示パネル、プリンターヘッド、水晶振動子のベース基板、照度センサのベース基板等からなる回路基板を使用し、第2部材は、これらの素子を駆動するためのICチップ等からなる実装部品を使用する。また、これらの素子や材料に限定されず、第1部材は第2部材よりも熱容量が大きい材料を使用することができる。異方性導電材料は既に上記で説明した材料を使用することができる。また、圧着温度は150℃〜300℃の範囲内に設定する。圧着ステージの温度は常温〜120℃に設定する。ここで、熱容量が大きいとは、部品単体としての熱容量が大きいことをいう。
【0036】
本実施形態において、圧着ヘッドは圧着ステージよりも高温に設定される。また、第2部材の熱容量よりも第1部材の熱容量が大きい。例えば、熱容量の小さな第2部材から加熱する場合は、第1部材の温度上昇に時間を要するとともに、第1部材内に温度分布が生じた。そのために、常温に冷却したときに残留応力により第1部材に反りが発生しやすかった。一方、本実施形態のように熱容量の大きな第1部材側から加熱する場合は、第1部材内の温度差が縮小し、しかも第2部材は比較的急速に昇温するので、第2部材と第1部材との間の温度差が減少する。その結果、常温に冷却したときに残留応力が発生し難くなり、反りの発生を抑制することができる。同時に、実装のサイクルタイムを短縮することができる。
【0037】
また、本発明の実施形態に係る電子デバイス製造装置は次の構成を有する。回路基板上の第1電極の上に異方性導電材料を載置する載置手段と、回路基板の第1電極と実装部品の第2電極とを対向させて位置決めする位置決め手段と、実装部品を異方性導電材料の上に装着する装着手段とを備えている。また、仮圧着用の第1圧着ステージ及び第1圧着ヘッドと、この第1圧着ステージ及び第1圧着ヘッドを共に仮圧着温度に達するまで加熱するための第1加熱手段と、実装部品が装着された回路基板を、実装部品を第1圧着ヘッド側に向けて、又は回路基板を圧着ヘッド側に向けて第1圧着ステージに設置するための第1移動手段とを備え、第1圧着ヘッドを相対的に降下して実装部品又は回路基板に当接して仮圧着を行うための仮圧着部を有している。また、第2圧着ステージ及び第2圧着ヘッドと、この第2圧着ヘッドの温度を第2圧着ステージの温度よりも高い本圧着温度に達するまで加熱するための第2加熱手段と、実装部品が仮圧着された回路基板を、実装部品を第2圧着ステージに向けて第2圧着ステージに設置するための第2移動手段とを備え、第2圧着ヘッドを相対的に降下して実装部品に当接して本圧着を行うための本圧着部を有している。
【0038】
即ち、既に仮圧着温度に加熱されている第1圧着ステージに、異方性導電材料を介して実装部品が装着さている回路基板を、実装部品を第1圧着ヘッド側に向けて、又は回路基板を第1圧着ヘッド側に向けて設置し、既に仮圧着温度に加熱されている第1圧着ヘッドを降下して仮圧着を行う。同様に、既に第2圧着ステージは本圧着温度よりも低い所定の温度に設定され、第2圧着ヘッドは本圧着温度に設定されており、実装部品が仮圧着された回路基板を、実装部品を第2圧着ステージ側に向けて第2圧着ステージに設置し、第2圧着ヘッドを降下して本圧着を行う。従って、圧着ステージや圧着ヘッドを低温から高温へ、また、高温から低温へ変動させる必要がないので、短時間で実装を行うことができる。
【0039】
なお、上記載置手段、位置決め手段、及び装着手段を転写部が有する構成とすることができる。また、これに変えて、上記位置決め手段及び装着手段を仮圧着部が有する構成とすることができる。即ち、回路基板を第1圧着ステージに設置し、実装部品を圧着ヘッドが吸着し、この状態で回路基板の第1電極と実装部品の第2電極とを位置決め手段により位置決めし、異方性導電材料を装着手段により回路基板上に装着する。これにより、転写部に位置決め手段や実装部品を保持するための保持手段等を設ける必要がなくなり、電子デバイス製造装置のコスト低減、生産性の向上を図ることができる。
【0040】
以下、本発明について図面を用いて具体的に説明する。
【0041】
図1は、本発明の実施形態に係る電子デバイスの製造方法を表すフロー図である。図1(a)は、第1電極2を上面に形成した回路基板1の断面図である。回路基板1として、例えば液晶パネルを使用することができる。図1(b)は、異方性導電材料3を回路基板1の第1電極2の上に載置した断面を示す。異方性導電材料3は異方性導電フィルムを使用している。異方性導電材料3の表面には粘着剤が形成されており、第1電極2の上に載置すると、回路基板1上に仮止めされる。
【0042】
図1(c)は、異方性導電材料3の上に第2電極5が形成された実装部品4を装着した断面を示す。実装部品4は、例えば液晶パネル駆動用のICチップである。実装部品4を異方性導電材料3の上に設置する際には、回路基板1の第1電極と、実装部品4の第2電極5とを位置合わせする。実装部品4を異方性導電材料3の上に設置すると、異方性導電材料3の表面に形成した粘着剤により、実装部品4が回路基板1に仮止めされる(仮圧着前工程)。従って、この状態で移動しても、実装部品4が回路基板1上で移動して、位置ずれを起こすことはない。
【0043】
図1(d)は、圧着ステージ6上に実装部品4を仮止めした回路基板1を設置し、圧着ヘッド7を降下して仮圧着を行う状態を表す断面図である。実装部品4を装着した回路基板1を圧着ステージ6の上に載置する前に、圧着ステージ6及び圧着ヘッド7を仮圧着温度に加熱しておく。仮圧着温度とは、例えば、実装部品4と回路基板1の間に挟持された異方性導電材料に、0.1%〜10%の範囲の硬化反応率を生じさせる温度である。仮圧着温度は、例えば20℃〜120℃の範囲内となる温度である。回路基板1として液晶パネルを使用する場合には、圧着ヘッド7及び圧着ステージ6を、液晶パネルに封入した液晶や液晶パネルの表面に貼り付けた偏光板が分解又は変質しない仮圧着温度に設定する。例えば40℃〜80℃に設定する。次に、圧着ヘッド7を降下して実装部品4に当接させて、実装部品4を回路基板1に仮圧着する(仮圧着工程)。仮圧着により実装部品4は回路基板1に固定される。
【0044】
なお、上記実施例では、実装部品4を圧着ヘッド7側に向けて圧着ステージ6に設置したが、これに代えて、回路基板1を圧着ヘッド7側に向けて圧着ステージ6に設置してもよい。要は、実装部品4を回路基板1に仮圧着することができればよい。
【0045】
図1(e)は、仮圧着した実装部品4と回路基板1を上下反転して、回路基板1を圧着ヘッド7側にして圧着ステージ6に設置した状態を表している。圧着ステージ6は仮圧着温度に設定してもよいし、他の温度に設定してもよい(本圧着前工程)。
【0046】
図1(f)は、圧着ヘッド7を降下して回路基板1に当接して圧着している状態を表す。圧着ヘッドは本圧着温度に加熱しておく。本圧着温度とは、例えば、実装部品4と回路基板1との間に挟持された異方性導電材料3に、80%以上の硬化反応率を生じさせる温度である。接着強度を確保し実装の信頼性を向上させるためである。本圧着温度は、例えば150℃〜300℃の範囲内となる温度である。好ましくは180℃〜250℃の範囲である。圧着ヘッド7を降下して回路基板1に加圧して当接させる。異方性導電材料3は軟化して、実装部品4と回路基板1を接着する。異方性導電材料3の内部には導電粒子が分散している。圧着ヘッド7による圧力は、導電粒子の直径が約1/4〜3/4程度潰れる圧力とするのが好ましい。回路基板1上の第1電極2と実装部品4上の第2電極5との間の導電性を確実にするためである(本圧着工程)。
【0047】
なお、上記の実施形態において、仮圧着工程において使用する圧着ヘッド7を仮圧着専用とし、本圧着工程において使用する圧着ヘッド7を本圧着専用とすれば、圧着工程の時間短縮を図ることができる。
【0048】
図2は、本発明の実施形態に係る電子デバイスの製造方法を表し、回路基板1としての液晶パネル30に実装部品4としてのICチップ35を実装する製造方法を説明するための説明図である。同一の部分又は同一の機能を表す部分には同一の符号を付している。
【0049】
図2(a)は液晶パネル30の上面図であり、図2(b)はその断面図であり、液晶パネル30にICチップ35を装着した仮圧着前工程を表す。液晶パネル30は、図示しない液晶層を挟持する下ガラス基板31と上ガラス基板32と、下ガラス基板31の下部に設けた下偏光板33と上偏光板34とから構成されている。下ガラス基板31の右端部は上ガラス基板32の右端部より突出しており、液晶を駆動するための駆動電極がその上面に形成され、第1電極2を構成している。ICチップ35は異方性導電材料3を介して下ガラス基板31の上に装着されている。ICチップ35の下面には図示しない第2電極5が形成され、液晶パネル30の第1電極2に位置合わせして装着されている。
【0050】
液晶パネル30のガラス基板は厚さが約0.2mm、大きさは約6インチである。ICチップ35は、幅が約0.4mm〜2mm、長さは1インチ以上である。ICチップ35が実装される下ガラス基板31の線膨張係数は約5ppm/Kである。ICチップ35の線膨張係数は約3ppm/Kである。
【0051】
図2(c)は、仮圧着工程を説明するための模式的な断面図である。圧着ステージ6には、液晶パネル30の下偏光板33の厚さと同じ深さを有し、下偏光板33を収納可能な平面的大きさを有する凹部36が形成されている。圧着ステージ6の、破線Xより右側の領域Hの内部にヒータ8が設置されている。この領域Hが加熱領域であり、下ガラス基板31の第1電極2が形成される領域が設置される。破線Xより左側の領域Lにはヒータが設置されていない。圧着ヘッド7の内部には圧着ヘッド7を加熱するためのヒータ9が設置されている。圧着ステージ6と圧着ヘッド7を温度約60℃に加熱する。その圧着ステージ6にICチップ35を装着した液晶パネル30を設置する。その後圧着ヘッド7を矢印方向に降下してICチップ35に当接させてICチップ35を液晶パネル30に仮圧着する(仮圧着工程)。
【0052】
なお、液晶パネル30には上下偏光板33、34が設置され、上下ガラス基板31、32間には図示しない液晶層が形成されている。上下偏光板31、32や液晶層は高温に晒されると劣化する。そこで、圧着ステージ6の領域Lに冷却部を設けて、上下偏光板33、34や液晶層の加熱による劣化を防止する対策を施すことができる。
【0053】
図2(d)は、本圧着工程を説明するための模式的な断面図である。圧着ステージ6には凹部36’が形成されている。下偏光板33の厚さをt1、下ガラス基板31の厚さをt2、ICチップ35の厚さをt3としたときに、圧着ステージ6の凹部36’の深さt4は、(t4=t1+t2−t3)とする。圧着ステージ6の領域Hに加熱用のヒータ8を設置している。圧着ヘッド7には、加熱用のヒータ9が設置されている。
【0054】
予め圧着ヘッド7を温度約210℃に設定しておく。圧着ステージ6は、加熱しないで常温に設定することができるし、必要に応じてヒータ8により加熱する。ICチップ35を仮圧着した液晶パネル30を、下ガラス基板31を圧着ヘッド7側に向けて圧着ステージ6の上に設置する。圧着ヘッド7を降下して下ガラス基板31に当接させて、ICチップ35を液晶パネル30の下ガラス基板31上に実装する(本圧着工程)。
【0055】
なお、圧着ステージ6をヒータ8により加熱する場合には、領域Lに冷却手段を設けて、液晶パネル30の上下偏光板33、34が設置された領域が加熱されないようにすることが望ましい。また、液晶パネル30を設置した圧着ステージ6の上方から冷却風等を吹き付けて温度が上昇しないようにすることができる。
【0056】
以上の工程により実装した液晶パネル30は、残留応力が減少した結果、液晶パネル30に反りが発生せず、表示面に色むら等が発生しなかった。
【0057】
図3は、本発明の実施形態に係る電子デバイスの製造方法を表し、回路基板1としてのガラス基板41に、実装部品4としてのセンサ素子チップ43を実装する製造方法を説明するための説明図である。同一の部分又は同一の機能を表す部分には同一の符号を付している。
【0058】
図3(a)は、ガラス基板41の断面を表している。ガラス基板41の表面には、視感度フィルタ42が形成され、視感度フィルタ42の表面には第1電極2が形成されている。図3(b)は、ガラス基板41の上に異方性導電材料3を介してセンサ素子チップ43を装着した断面を表している。センサ素子チップ43の下面中央部には受光素子44が形成されており、この受光素子44を挟むようにして第2電極5が形成されている。第1電極2と第2電極5とは異方性導電材料3を介して互いに対応して装着されている(仮圧着前工程)。
【0059】
図3(c)は、仮圧着工程を説明するための模式的な断面図である。圧着ステージ6と圧着ヘッド7は予め仮圧着温度に設定しておく。センサ素子チップ43を装着したガラス基板41を圧着ステージ6に設置する。そして、圧着ヘッド7を降下してセンサ素子チップ43に当接させて仮圧着を行う(仮圧着工程)。
【0060】
図3(d)は、本圧着工程を説明するための模式的な断面図である。圧着ヘッド7を予め本圧着温度に設定しておく。圧着ステージ6は必要に応じて加熱しておく。そして、センサ素子チップ43が仮圧着されたガラス基板41を、ガラス基板41が圧着ヘッド7側に位置するように圧着ステージ6に設置する(本圧着前工程)。そして、圧着ヘッド7を降下してガラス基板41に当接させて本圧着を行う(本圧着工程)。
【0061】
図3(e)は、上記の製造方法により製造したセンサ素子40の模式的な断面図である。センサ素子40は、ガラス基板41にセンサ素子チップ43を実装した後に、センサ素子チップ43が内包されるようにして筐体45に収納している。筐体45の側壁には埋め込み電極46が埋め込んであり、ガラス基板41上の第1電極2と筐体45の底面に形成した端子47とを電気的に接続している。
【0062】
図4は、水晶振動子50の模式的な断面図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0063】
絶縁基板51と蓋54の間隙に水晶振動片52が設置されている。絶縁基板51の表面には第1電極2が形成され、裏面には端子47が形成され、貫通電極53により電気的に接続されている。水晶振動片52の表面には第2電極5が形成されている。水晶振動片52と絶縁基板51とは、本発明に係る電子デバイスの製造方法により実装されている。水晶振動片52と絶縁基板51とは異方性導電材料3により固定され、第1電極2と第2電極5とは異方性導電材料3により電気的に接続している。
【0064】
即ち、実装部品4としての水晶振動片52を回路基板1としての絶縁基板51に装着する。装着の際には、絶縁基板51上の第1電極2を、異方性導電材料3を介して水晶振動片52上の第2電極5と対向して装着する。圧着ヘッド7及び圧着ステージ6を仮圧着温度に設定する(仮圧着前工程)。次に、水晶振動片52を圧着ヘッド7側に配置し、絶縁基板51を圧着ステージ6の上に設置し、圧着ヘッド7を降下して水晶振動片52に当接させて仮圧着を行う(仮圧着工程)。次に、圧着ヘッド7を本圧着温度に設定し、水晶振動片52を仮圧着した絶縁基板51を、絶縁基板51を圧着ヘッド7側に向けて圧着ステージ6に設置する(本圧着前工程)。次に、圧着ヘッド7を絶縁基板51に当接させて、本圧着を行う(本圧着工程)。このようにして、実装部品4としての水晶振動片52を回路基板1としての絶縁基板51に実装することができる。
【0065】
図5は、LED発光体60の模式的な断面図である。同一の部分又は同一の機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0066】
絶縁基板51の上面にはLEDチップ62が実装されている。LEDチップ62は、絶縁基板51とガラス側板61に囲まれた凹部に設置され、この凹部に充填されたシリコーン樹脂63により埋め込まれている。シリコーン樹脂63には蛍光体64が分散している。絶縁基板51の表面には第1電極2が形成されている。LEDチップ62の裏面には第2電極5が形成されている。絶縁基板51上の第1電極2とLEDチップ62上の第2電極5とは、本発明に係る電子デバイスの製造方法を用いて実装されている。
【0067】
即ち、実装部品4としてのLEDチップ62を回路基板1としての絶縁基板51に装着する。装着の際には、絶縁基板51上の第1電極2を、異方性導電材料3を介してLEDチップ62上の第2電極5と対向して装着する。圧着ヘッド7及び圧着ステージ6を仮圧着温度に設定する(仮圧着前工程)。次に、LEDチップ62を圧着ヘッド7側に配置し、絶縁基板51を圧着ステージ6の上に設置し、圧着ヘッド7を降下してLEDチップ62に当接させて仮圧着を行う(仮圧着工程)。次に、圧着ヘッド7を本圧着温度に設定し、LEDチップ62を仮圧着した絶縁基板51を、絶縁基板51を圧着ヘッド7側に向けて圧着ステージ6に設置する(本圧着前工程)。次に、圧着ヘッド7を絶縁基板51に当接させて、本圧着を行う(本圧着工程)。このようにして、実装部品4としてのLEDチップ62を回路基板1としての絶縁基板51に実装することができる。
【0068】
図6は、本発明の実施形態に係る電子デバイス製造装置10の模式的な平面図である。電子デバイス製造装置10は、回路基板1を搬送するローダー部11と、回路基板1の第1電極2の上に異方性導電材料3を載置するACF転写部12と、異方性導電材料3の上に実装部品4を装着して仮圧着を行う仮圧着部13と、本圧着を行う本圧着部14と、実装部品4を実装した電子デバイスを搬送するアンローダー部15とから構成されている。
【0069】
まず、回路基板1がローダー16、ローダー17を経由して搬送される。搬送された回路基板1は載置手段であるACF貼付け機18により取り出され、異方性導電材料3が回路基板1上の第1電極2に貼り付けられる。異方性導電材料3が第1電極2上に貼り付けられた回路基板1は、コンベア19により搬送される。搬送されてきた回路基板1は仮圧着機23に移動される。
【0070】
一方、チップローダー29のトレイ28から実装部品4がXYロボット20により取り出され、コンベア21上に載置されて搬送される。装着手段である反転機22はコンベア21上の実装部品4を取り出して、実装部品4の第2電極5を下部に反転させ、回路基板1上の異方性導電材料3の上に装着する。装着する際には図示しない位置合わせ手段により回路基板1上の第1電極2と実装部品4の第2電極5との間の位置合わせを行う。実装部品4が装着された回路基板1は図示しない仮圧着機の第1圧着ステージに、実装部品4を圧着ヘッド7側に位置するようにして設置される。第1圧着ステージ及び第1圧着ヘッドは内部に加熱手段が装着され、仮圧着温度制御手段により制御される。仮圧着温度制御手段は、第1圧着ステージと第1圧着ヘッドが仮圧着温度に達したことを検知して、第1圧着ヘッドを降下して仮圧着を行う。
【0071】
実装部品4が仮圧着された回路基板1はコンベア24により搬送され、本圧着機25に取り出される。本圧着機は、図示しない第2圧着ステージ及び第2圧着ヘッドを備え、第2圧着ステージ及び第2圧着ヘッドはそれぞれ加熱手段を備えている。これらの加熱手段は本圧着温度制御手段により制御される。本圧着機25に移動された回路基板1は、回路基板1を圧着ヘッド側に位置するようにして第2圧着ステージに設置され、本圧着制御手段が圧着ヘッドの温度が本圧着温度に達したことを検知して、第2圧着ヘッドを降下して本圧着を行う。本圧着の際の第2圧着ステージは仮圧着温度に設定している。本圧着が終了した回路基板1は、コンベア26、コンベア27により搬送される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の製造方法により実装したセンサ素子の模式的断面図である。
【図5】本発明の製造方法により実装した水晶振動子の模式的断面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る電子デバイス製造装置を表す模式的平面図である。
【図7】従来から公知のCOG実装方法を示す模式的断面図である。
【図8】従来から公知の圧着後にガラス基板が反る原因を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0073】
1 回路基板
2 第1電極
3 異方性導電材料
4 実装部品
5 第2電極
6 圧着ステージ
7 圧着ヘッド
8、9 ヒータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電極を有する回路基板と第2電極を有する実装部品との間に異方性導電材料を介在して対向させ、圧着ステージ及び前記圧着ステージに対向して配置した圧着ヘッドにより加熱圧着して前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する電子デバイスの製造方法において、
前記圧着ステージ及び前記圧着ヘッドを前記異方性導電材料が接着力を発生する仮圧着温度に設定すると共に、前記異方性導電材料を介在して前記実装部品が装着された前記回路基板を前記圧着ステージに設置する仮圧着前工程と、
前記圧着ヘッドを前記実装部品又は前記回路基板に当接して前記実装部品を前記回路基板に仮圧着する仮圧着工程と、
前記圧着ヘッドを前記仮圧着温度よりも高い本圧着温度に設定すると共に、前記仮圧着された実装部品が圧着ステージ側に配置されるようにして前記回路基板を前記圧着ステージに設置する本圧着前工程と、
前記圧着ヘッドを前記回路基板に当接して前記実装部品を前記回路基板に本圧着する本圧着工程と、を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項2】
前記圧着ヘッドは、第1圧着ヘッド及び第2圧着ヘッドから成り、
前記第1圧着ヘッドにより仮圧着する仮圧着工程を行い、前記第2圧着ヘッドにより前記本圧着する本圧着固定を行うことを特徴とする請求項1に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項3】
前記仮圧着温度は、前記異方性導電材料の硬化反応率が0.1%以上であり、かつ、50%未満となる温度であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項4】
前記仮圧着温度は、20℃〜120℃であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項5】
前記本圧着温度は、前記異方性導電材料の硬化反応率が80%以上となる温度であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項6】
前記回路基板は、その板厚が0.001mm〜2.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項7】
前記回路基板は液晶パネルであり、前記実装部品は前記液晶パネルを駆動するための半導体チップであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子デバイスの製造方法。
【請求項8】
第1電極を有する第1部材と、第2電極を有し、前記第1部材よりも熱容量の小さな第2部材との間に異方性導電材料を介在して対向させ、圧着ステージ及び圧着ステージに対向して配置した圧着ヘッドにより加熱圧着して前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続する電子デバイスの製造方法であって、
前記第2部材を、前記異方性導電材料を介在して前記第1部材に装着する装着工程と、
前記圧着ヘッドを前記圧着ステージよりも温度が高い圧着温度に設定すると共に、前記第2部材が装着された第1部材を、前記第1部材が前記圧着ヘッド側に位置するように前記圧着ステージ側に設置する圧着前工程と、
前記圧着ヘッドを前記第1部材に当接して前記第2部材を前記第1部材に圧着する圧着工程と、を含む電子デバイスの製造方法。
【請求項9】
第1電極を有する回路基板と第2電極を有する実装部品とを異方性導電材料を介して加熱圧着して前記第1電極と前記第2電極とを電気的に接続させる電子デバイス製造装置において、
前記回路基板の第1電極の上に異方性導電材料を載置する載置手段と、
前記回路基板の第1電極と前記実装部品の第2電極とを対向させて位置決めする位置決め手段と、
前記実装部品を前記異方性導電材料の上に装着する装着手段と、
第1圧着ステージ及び第1圧着ヘッドと、前記第1ステージ及び前記第1ヘッドを前記異方性導電材料が接着力を発生する仮圧着温度に設定するための加熱手段と、前記実装部品が装着された回路基板を前記第1圧着ステージに設置するための第1移動手段とを備え、前記第1圧着ヘッドを前記実装部品又は前記回路基板に当接して前記実装部品を前記回路基板に仮圧着するための仮圧着部と、
第2圧着ステージ及び第2圧着ヘッドと、前記第2圧着ヘッドの温度を前記仮圧着温度より高い本圧着温度に設定するための加熱手段と、前記実装部品が仮圧着された前記回路基板を、前記実装部品を第2圧着ステージ側に向けて前記第2圧着ステージに設置するための第2移動手段とを備え、前記第2圧着ヘッドを前記回路基板に当接して前記実装部品を前記回路基板に本圧着するための本圧着部と、を備えた電子デバイス製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−170587(P2009−170587A)
【公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5631(P2008−5631)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】