説明

電子デバイス

電子デバイスは、基板にモノドメイン構造における有機半導体材料を含む。前記半導体材料は、好ましくは、トランジスタの部分であり、ここで、モノドメインは、チャネルに、即ち、ソースからドレイン電極まで、延在する。材料は、スペーサー基及び末端基を備えたメソゲンの単位を含む。末端基は、好ましくは、反応性、即ち、ジエン類、アクリラート類、オキセタン類、又は同様のものである。メソゲンの単位は、中央のオリゴチオフェニル基、剛直なスペーサー基、特にアセチレン類、及び、追加の基、たとえば、チオフェニル又はフェニルを含有する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、E−D−A−Z−A−Z−A−D−Eの構造を有し、その構造において、E、Eが、末端基であり、D、Dが、スペーサー基であり、A、A、Aが、自由選択で置換された共役した単位であり、且つ、Z、Zが、剛直なスペーサー基である、一個以上のメソゲンの単位を含む有機半導体材料が提供された半導体素子を含む電子デバイスに関係する。
【0002】
また、本発明は、デバイスを製造する方法に、及び、反応性のメソゲンの化合物にも関係する。さらに、本発明は、一個以上の反応性のメソゲンの単位を含む有機半導体材料を含有するチャネルによって相互に分離されるソース電極及びドレイン電極が提供された薄膜トランジスタを含み、そのトランジスタには、ゲート誘電体によってチャネルから分離されるゲート電極がさらに提供される、電子デバイスに関係する。
【背景技術】
【0003】
このような電子デバイスは、国際公開第03/006468号パンフレット(特許文献1)から知られたものである。この特許出願は、それの第一の例において、共役した基Aとして、縮合チオフェン系、即ち、ジチエノチオフェニル基を有する材料を開示する。剛直なスペーサー基は、アセチレン基である。共役した基A、Aは、フェニル基である。直鎖のスペーサー基は、脂肪族アルコールの基、即ち、−O−C−である。末端基は、アクリラート、即ち、−OC(O)−CH=CHであり、それは、重合性である。その材料は、それの結晶性の相、スメクチック相、及びネマチック相の間における相転移を有する。
【0004】
これらのタイプの材料は、反応性のメソゲンとして知られたものであり、且つ、堆積の後に整列させられ得る。これは、有機半導体材料のラメラ構造に帰着することになる。スメクチック相における配向の提供の後に、重合が、この分子系の所望の形態を維持するために、起こり得る。同じグループの発明者のJ.Mater.Chem.13(2003),2436−2444(非特許文献1)の論文に説明されるもののように、整列が、有機半導体材料における大面積のドメインの形成を促進させることは、見出されてきたことである。整列層のエリアのいたるところで存続するこのような大面積のドメインは、モドメインともまた呼ばれる。粒状物又は相の境界は、一般に、有機半導体における電荷のトラッピングを引き起こすので、モノドメインの形成は、電荷の担体の移動度を最適化する際に、好都合である。
【0005】
しかしながら、その特許出願に開示された材料の整列が、困難であるか又は少なくとも簡単ではないことは、不都合である。第一の例の材料は、120℃におけるそれの結晶性−スメクチックの相転移、145℃におけるそれのスメクチック−ネマチックの相転移、及び167℃におけるそれのネマチック−等方性の相転移を有する。高度に秩序化されたスメクチック又は結晶性の相へのこのような材料の転換は、一般に、等方性の相からゆっくりと冷却することによって成し遂げられる。相対的に高い転移温度を考慮して、その材料は、高度に秩序化されたスメクチック相へと直ちに入り、且つ、このように、より粘性になることが信じられる。この粘弾性の挙動は、整列を阻害する。述べられた相転移間のより大きい温度差を備えた材料を有することは、このように、望ましいものであろう。
【特許文献1】国際公開第03/006468号パンフレット
【非特許文献1】J.Mater.Chem.13(2003),2436−2444
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の第一の目的は、適切に整列させることができる有機半導体材料を有する冒頭の段落に述べた種類のデバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第一の態様において、これは、共役した基Aが、オリゴチオフェニル基を含むことで達成される。驚くべきことに、オリゴチオフェニル基とのメソゲンの単位の使用は、改善された加工性、良好な温度安定性、及びモノドメイン構造の形成に至ることが見出されてきた。
【0008】
本発明の第二の態様において、これは、整列のステップを含む、請求項7に記載の方法によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
用語‘モノドメイン構造’は、本発明の状況においては、内部の粒状物又は相の境界無しに実質的に秩序化された構造であり、その構造は、電荷の担体の連続的な輸送にとって十分な大きさのものであることが、理解される。特に、それは、第一の電極から第二の電極まで延在する、トランジスタにおけるチャネルと同様に大きいものである。本発明の状況においては、それは、特に、スメクチック相及び結晶性の相の一方におけるモノドメインに当てはまる。これらの相は、大部分秩序化され、そのことは、結果として生じる有機半導体材料における最高の移動度に至る。
【0010】
先行技術との比較において、縮合チオフェン環の系は、オリゴチオフェン単位と取り替えられてきたものである。これは、驚くほど改善された挙動に帰着してきた。それら結果についての一つの説明は、両方ともが平面のものであるとはいえ、オリゴチオフェンが、縮合環の系よりもあまり剛直な単位ではないというものである。これは、秩序化された構造における応力についての重要な側面であると思われる:固有の応力が、大きいエリアにわたって限定される場合に限り、モノドメインの構造は、光重合の後にもまた、形成され且つ安定であり得る。
【0011】
参照された論文が、別の構造のメソゲンの単位を備えた他の材料を開示することが、観察される。−A−Z−A−Z−A−の代わりに、メソゲンの単位は、第一の例におけるフェニルナフタレン及び第二の例におけるクアテルチオフェンである。しかしながら、チオフェン基を含有する材料を、適切に整列させることができないであろうということが、観察され、且つ、マルチドメインの乏しく整列させられた半導体フィルムが、観察された。これは、等方性の相から形成された高次のスメクチック相に直ちに入る際の粘度における大きな増加に帰するものであった。
【0012】
さらには、有機半導体材料に存在するようなメソゲンの単位が、それ自体、Zhanget al,Synt.Metals 126(2002),11−18から知られたものであることは、承認されたことである。しかしながら、その論文の結論は、チオフェンの間の三重結合の挿入が、π−非局在化に好ましくないというものである。分子構造は、結晶性の形態において非対称的である。二個の末端のチオフェンは、三個の中央のものと同一平面にない。これは、かなり共役の長さを短くする。このようなものとして、化合物は、半導体素子における使用にはあまり適切ではないように思えると共に、この使用は、開示されてない。しかしながら、モノドメインの構造の形成によって、異なる分子の共役した単位Aは、相互に隣接したものであり、且つ、電荷輸送のための主要な経路を形成する。アセチレン基が、共役した単位A、A、及びAの間の電荷輸送を低減するという事実は、あまり重大ではない。事実上、二面角は、非平面の構造が、隣接したメソゲンの単位において簡単に繰り返されるという点で、モノドメインの形成に良好に寄与することもある。
【0013】
適用されたメソゲンの単位は、好ましくは、ネマチック相を有する。ネマチック相が一般には、秩序化された相ではなく、その相においてメソゲンの単位が光重合されるとはいえ、ネマチック相の存在が、良好に秩序化されたスメクチック相を、又は結晶性の相でさえも、得ることに好都合であることが、観察された。その上、欠陥及び粒状物の境界の数を低減することが見出された。適切には、等方性からネマチック相までの転移は、相対的に低い温度で起こり、その温度は、たとえば、120℃−200℃の範囲に、より詳しくは、140℃と160℃との間に、ある。最も好ましくは、適用されたメソゲンの単位は、追加的に、一個を超えるスメクチック相を有する。
【0014】
オリゴチオフェニル基は、二個、三個、四個、五個、又は六個のチオフェン基の鎖を適切に含む。好ましくは、鎖の長さは、二個、三個、又は四個である。自由選択で、共役した基Aは、1,4−フェニレン基、フェニレン−ビニレン基、チエニレン−ビニレン基、フラニレン基、フラニレン−ビニレン基、アニリン基、ピロール基、ジシクロペンタターチオフェンジオンのような、さらに共役した要素を含有することもある。しかしながら、これは、好適なものではない。A基のいずれも、当技術において知られた側基で置換されることもある。適切な側基は、たとえば、アルキル、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキソ、ペルフルオロアルキルカルボニル、及びペルフルオロアルキルカルボニルオキソの側基である。低級のアルキル、アルコキシ、ペルフルオロアルキル、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキソ、ペルフルオロアルキルカルボニル、及びペルフルオロアルキルカルボニルオキソは、ここでは、秩序化された構造の形成を妨げないためには、好適である。
【0015】
適切な側基は、好ましくは、1個の炭素原子と20個の炭素原子との間の、より好ましくは4個から10個までの炭素原子の、及び、最も好ましくは6個の炭素原子から8個の炭素原子までの、長さを有する。特に良好な結果が、対称的に築き上げられた化合物で得られてきたものである。その場合には、共役した単位A及びAは、同じである。共役した単位A及びAの例は、たとえば、チオフェニレン、チエニレン−ビニレン、フラニレン、フラニレン−ビニレン、フェニレン、ピローレン、2個から4個までのチオフェニル基を備えたオリゴチオフェニレンであり、それらの基は、自由選択で置換されることもある。中間の剛直なスペーサー基Z、Zは、好ましくは、アセチレン基であるが、しかし代わりに、−CH=CH−、−CH=CH−CH=CH−、−N=N−、−CH=N−、−N=CH−、−O−、−S−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CH−CH−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CH=CR−であることもあり、ここでRは、1個から12個のC原子を備えたアルキルである。
【0016】
最も適切な実施形態において、末端基の少なくとも一部は、反応性の末端基であり、それらの少なくとも一部は、重合体のネットワークへと架橋される。架橋されたモノドメインは、上記特許出願又は参照された論文のいずれによっても開示されてこなかったものである。上記特許は、これらの化合物の相の挙動及び転移温度のみならず、数個の化合物の合成を開示する。しかしながら、例のいずれも、光重合を開示するものではない。上記論文は、試料が、等方性からスメクチック相までゆっくりと冷却されるとき、そのスメクチック相では、はるかにより大きい且つより良好に秩序化されたドメインが形成されるが、熱処理の後の移動度における増加を述べる。にもかかわらず、光重合される反応性のメソゲンは、論文の2443頁の第2カラムに述べられるもののような、マルチドメインの乏しく整列させられた半導体フィルムであることが述べられる。その上、光重合の際に、移動度における五倍の低減が、見出されたが、それは、低減された程度の分子の秩序によって説明される。
【0017】
本発明のメソゲンの単位で、架橋されたモノドメインが、得られてきたものである。
【0018】
有機半導体材料における反応性の末端基は、好ましくは、反応性の末端基当たりの少なくとも二個の結合を形成するために、反応することもある。末端基のこのような結合形成は、増加させられた温度における分子の振動に耐えるためには十分に強い、相対的に強いネットワークに至る。
【0019】
その上、異なる分子の末端基の間の距離が、メソゲンの単位間の距離に匹敵するものであることは、高度に好適である。これは、良好な構造を提供し、その材料内の最小の応力に至る。
【0020】
驚くべきことに、メソゲンの単位が同じ相にあることを条件として、異なるメソゲンの単位が存在するとき、より良好なモノドメイン構造が得られることが、判明してきたことである。このような混合物と共に得られたモノドメイン構造は、高度に平面の表面を示す。これは、良好な品質のトランジスタを得るためには、半導体と誘電体材料との間の界面が、トランジスタの動作における主として重要なものであると、非常に重要である。ゲート電圧の印加の影響下で、電荷の担体の欠乏又は集積が起こるのは、半導体材料のこの領域においてである。
【0021】
好ましくは、有機半導体材料は、異なるメソゲンの単位を含み、前記の単位は、スペーサー基において異なる。特に、第一のメソゲンの単位のスペーサー基は、第二のメソゲンの単位のスペーサー基よりも長い鎖の長さを有する(D1及びD2)。一つの好都合な実施形態において、第一の単位における鎖の長さは、六個である、且つ、第二の単位におけるそれは、十個である。
【0022】
半導体材料に適用されたメソゲンの単位が、相互に異なる共役した単位を含むとすれば、そのときには、これらの共役した単位のエネルギー準位が、それら単位は半導体の挙動に関連するものであるが、類似であるか又は同じであることは、高度に好適である。pタイプの導電性についての関連するエネルギー準位は、最高被占軌道(HOMO)であり、且つ、nタイプの導電性については、最低空軌道(LUMO)である。HOMOとLUMOの準位との間の距離は、バンドギャップとして知られたものである。異なる分子において共役した単位の間におけるp及びnの導電性についてのHOMOの準位及びLUMOの準位の類似性は、分子の間における電荷の担体の輸送に対する障壁を低減するためには、要求される。このタイプの電荷の担体の輸送は、半導体の挙動について決定的である。
【0023】
有機半導体材料における単位の存在が、メソゲンの単位が単量体として存在する状況及びそれが重合体のネットワークに含まれる状況の両方をカバーすることは、理解される。このようなネットワークは、反応性の末端基の光重合の際に発生する。このようなネットワークは、例えば、国際公開第2003/79400号パンフレットから知られたものであり、それは、ここでは参照によって含まれる。メソゲンの単位に加えて、さらなる単量体が、別のタイプのネットワークを作り出すために存在することは、排除されるものではない。有機半導体材料が単量体として存在する実施形態が、動作するトランジスタに好適ではないとはいえ、これが、好都合な半製品の物品であることは、排除されるものではない。
【0024】
有機半導体材料における全てのメソゲンの単位が、二つの反応性の末端基E、Eを有することは、好都合であるように思えるとはいえ、材料の一部分が、一つの反応性の末端基のみを有することはあり得ることである。メソゲンの単位のいくつかが、反応性の末端基を全く有するものではないことは、なお可能性のあることである。あるいは、メソゲンの単位のいくつか又は全ては、二個を超える反応性の末端基を有することもある。事実上、末端基の数は、個々のメソゲンの単位について温度の増加の際における又は溶剤への露出の際における秩序化されたモノドメイン構造の維持に利用可能な十分な架橋があるようなものであることを必要とする。
【0025】
適切なスペーサー基D、Dは、線形である。スペーサー基は、好ましくは、一般式S−Xのものである。ここで、Sは、20個までのC原子を備えたアルキレン基であり、その基は、置換されてないもの、F、Cl、Br、I、又はCNによって、一置換されたもの、又は、多置換されたものであることもあり、一つ以上の隣接してないCH2基が、と各々の事例において相互に独立して、O及び/又はS原子が相互に対して直接的に連鎖されないような様式で、−O−、−S−、−NH−、−NR−、−SiR00−、−CO−、−COO−、−OCO−O−、−OCO−、−SCO−、−CO−S−、−CH=CH−、又は−C≡C−によって、取り替えられることは、また可能性のあることである。前記の一般式において、Xは、−O−、−S−、−CO−、−COO−、−OCO−、−OCO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−OCH−、−CHO−、−SCH−、−CHS−、−CFO−、−OCF−、−CFS−、−SCF−、−CFCH−、−CHCF−、−CFCF−、−CHCH−、−CH、−S(CFCF、−S(CHCH、−(CF(CHCH、−(CH(CFCF、−(CFCF、−(CHCH、−CH=N−、−N=CH−、−N=N−、−CH=CR−、−CX=CX−、−C≡C−、−CH=CH−COO−、−OCO−CH=CH−、又は単結合であり、且つ、X、Xは、Xと同じ意味を有し、且つ、R及びR00は、相互に独立して、H又は1個から12個までのC原子を備えたアルキルである。N及びmは、相互に独立して、1と20との間にある。
【0026】
好ましくは、スペーサー基は、少なくとも六個の原子且つ多くても十個の原子の鎖の長さを有し、且つ、最も好ましくは、アルキレン基Sは、少なくとも六個の原子の鎖の長さを有する。これが、光重合の間にモノドメイン構造を維持するために、適切であることは、見出されてきたことである。より短いスペーサー基の使用は、モノドメイン構造において隣り合うメソゲンの単位の相互の回転、及び、よって、秩序の喪失、に至る傾向がある。
【0027】
適切な末端基E、Eは、たとえば、CH=CW−COO−、エポキシド類、オキセタン類、CH=CW−(O)k1−、CH−CH=CH−O−、HO−CW−、HS−CW−、HWN−、HO−CW−NH−、−CH=CW−CO−NH−、CH=CH−(COO)k1−Phe−(O)k2−、Phe−CH=CH−、HOOC−、OCN−、及びWSi−であり、ここで、Wは、H、Cl、CN、フェニル、又は1個から5個までのC原子を備えたアルキル、特に、H、Cl、又はCH、であり、W及びWは、相互に独立して、H又は1個から5個までのC原子を備えたアルキル、特にメチル、エチル、又はn−プロピルであり、W、W、及びWは、相互に独立して、Cl、オキサアルキル、1個から5個までのC原子を備えたオキサカルボニルアルキルであり、Pheは、1−又は1,2−又は1,3−、1,4−フェニレンであり、且つ、k及びkは、相互に独立して、0又は1である。特に好適なものは、オキセタン、アクリラート、メタクリラート、アミド、ジエン、及びオキセタールの基である。
【0028】
最も好適な末端基は、オキセタン及びアクリラートの基である。
【0029】
ネットワークを形成するための反応性の基の相互の反応を、適切な波長の放射による照射によって開始することができる。適切な種類の放射の例は、UV光、IR光、又は可視光、X線、ガンマ線、レーザー光を、及び、高エネルギー粒子さえも、含む。光化学的な開始剤は、反応を開始するために存在する。当技術において知られた様々な開始剤を使用してもよいが、それら開始剤は、使用された末端基のタイプに依存して、ラジカル光開始剤又は陽イオン性開始剤のいずれかである。
【0030】
架橋した後で、有機半導体の相の架橋されてない部分は、たとえばアセトンのような適切な溶剤において取り除かれることもある。これは、所望のパターンへの層のパターニングを可能にする。一つの実施形態においては、層の選択されたエリアは、垂直な相互接続エリアを作り出すために、取り除かれる。別の実施形態においては、有機半導体の層は、特にそれが電気的な機能を満足するそれらのエリアにおいて、実質的に取り除かれ且つ維持される。モノドメインが、秩序化された相であると、特にガラス温度よりも下では、半導体の層の主要な部分の除去が、機械的な性質を考慮すると、適切である。特に、折り曲げにおける機械的な安定性が、改善されることもある。
【0031】
一つのさらなる実施形態においては、第二の有機半導体の層が、第一のパターニングされた有機半導体の層の次のエリアにおいて提供される。これは、異なる半導体の層を有するデバイスを備えた回路の提供を可能にする。よって、異なる性質を備えたデバイスが、相互に隣接した一つの基体に提供されることもある。
【0032】
別のさらなる実施形態において、電気的絶縁層が、それが半導体の層をカプセル化するように、半導体層の上部に提供される。絶縁層は、電界効果トランジスタにおける誘電体として働くかもしれない。国際公開第03/052841号パンフレットに述べられたように。
【0033】
さらなる変更において、チャネルとゲート誘電体との間の界面とは別個である単一の整列層の使用がなされる。これは、特に、トランジスタの上部ゲート構造で達成可能である。特に好適な整列層は、ラビングされたポリイミドである。典型的には、これは、約50nmの厚さを有する。これが、従来の下部ゲート構造において使用されるとき、ポリイミド層は、ゲート誘電体に存在することになる。これは、途方もなくトランジスタの性質を反対に遂げるが、それら性質には、ゲート誘電体とチャネルとの間の界面が、主として重要なものである。J.Mater.Chem.13(2003),2436−2444における論文は、上述したように、整列層としてのヘキサメチルジシラザン(HMDS)の使用を提案する。これは、一般に、単層よりも大幅に多いものではなく、且つ、よって、トランジスタの性質におけるそれの効果が限定されることが、考えられる。しかしながら、このような層は、モノドメインの構造を得るために必要されるもののような大面積にわたる整列を得るために、必ずしも十分に有効ではない。その上、ヘキサメチルジシラザンの使用は、ケイ素酸化物のゲート誘電体との組み合わせで特に有用である。この無機の誘電体は、薄膜トランジスタの産業の用途に好適ではない。HMDSで処理された表面の別の不都合は、それらの低い極性、及び、従って、アニーリングを通じた小分子の有機半導体についての高いデウェッティングポテンシャルである。
【0034】
メソゲンの単位の配向は、従来、整列層で実行される。整列層が、好ましくは、有機半導体層との界面を有するとはいえ、他の実施形態が、排除されるものではない。たとえば、整列層は、基体に統合されることもある。あるいは、整列層及び基体を、デバイスの製造の後で、取り除くことができるであろう。基体搬送技術は、それ自体、当技術において知られたものである。配向層を、基体の一部分のみに提供することができる。この目的のために、フォトリソグラフィーでパターニング可能な配向層が、使用されることもある。あるいは、他の整列の技術が、使用されることもあるが、それら技術においては、半導体材料が、ある距離に位置させられた源による材料における添加剤の整列によって、配向させられる。たとえば、整列のために磁場を使用すること、又は、材料へ界面活性化合物を追加することは、可能性のあることであろう。
【0035】
有機半導体層が、ある限定された、特に100nmより下の、厚さのみを有することは、適切なことが見出されてきた。有機半導体層のより大きい厚さで、マルチドメインの形成は、移動度における対応する減少を伴って、モノドメインの形成よりも好まれる傾向がある。より大きい厚さが、望まれるとすれば、第二の有機半導体層が、架橋することによって安定化された第一の層の所望の相及び配向を安定化させた後に、第一の半導体層の上部に提供されることもある。
【0036】
最も適切には、トランジスタは、いわゆる上部ゲートの幾何学的配置で作られる。これは、ゲート電極が、半導体層の上部におけるゲート誘電体の提供の後にのみ、堆積させられることを意味する。これは、ゲート誘電体の選択におけるより大きい自由度の利点を、それが整列層の機能を同時に満足させることを必要としないので、有する。
【0037】
さらなる変更において、ゲート誘電体は、多孔質の材料のような、低い、特に1と3との間の、誘電率を備えた材料、並びに、ポリアルキレン及びポリアリーレンを含む。このような材料の例は、たとえば、ポリ(p−キシリレン)、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプレン、及びポリスチレンである。最も好ましくは、ゲート誘電体は、低い誘電率の材料よりも高い誘電率を有するさらなる絶縁体の層を含む。国際公開第03/052841A1号パンフレットに述べられたように。
【0038】
本発明は、架橋性である本発明に用いる化合物にさらに関係する。これらは、少なくとも一つの反応性の末端基を備えた、上に説明したような反応性のメソゲンの単位である。反応性の末端基は、他の場所での末端基との比較において、それらが、整列された且つ配向させられた構造の劣化を最小化する傾向があるという点で、好都合なものと考えられる。
【0039】
本発明は、また、架橋する工程においてこれらの化合物から形成された重合体に関係する。このような重合体は、特に、基体における堆積の後に形成される。
【0040】
本発明は、さらに、半製品の物品に関係する。液晶性の材料の整列を、当技術において知られた多数の異なる方式で達成することができる。本発明の重合体の整列させられた且つ架橋させられた層を備えた基体が、一つの単位として販売されることになることは、このように、予見されることである。
【0041】
本発明は、また、二つの異なる反応性のメソゲンの単量体を含む組成物に関係する。上に説明したように、非常に良好な結果が、特に半導体の層の上部の表面が高度に平面のものであることに帰着する混合物で達成されてきたものである。これは、界面の挙動を改善し、且つ、上に説明されるように、トランジスタの性能に特に重要である。改善されたモノドメインを提供するための異なる反応性のメソゲンの単量体の使用のこの態様は、本発明のもの以外の反応性のメソゲンの単量体にもまた妥当である。
【0042】
本発明のこれらの及び他の態様を、図を参照して、さらに説明することにする:

後に続くLC半導体は、調製され且つ特性決定された:
(a)5,5’’−ビス(5−アルキル−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェン;
(b)5,5’’−ビス(4−アルキル−1−フェニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェン;
(c)5,5’’−ビス(5−アルキル−2−チエニルエチニル)−2,2’−ビチオフェン;
(d)5,5’’−ビス(4−アルキル−1−フェニルエチニル)−2,2’−ビチオフェン;
(e)5,5’’−ビス(5−(オキセタン−アルキル)−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェン;
(f)5,5’’−ビス(5−(アクリラート−アルキル)−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェン;
例a−dは、反応性の末端基無しのメソゲンであり、例e、fは、反応性の末端基を備えたメソゲンの単位に関係する。
【0043】
合成
図1は、ビス(2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェン7を主材料とした一連のLC半導体の調製用の二つの異なる合成方法を示す。方法1は、Zhang et al,Synt.Metals 126(2002),11−18から知られたものである。両方の方法は、エチニルで置換された(オリゴ)チオフェニルとのブロモ−(オリゴ)チオフェニルのSonogashiraカップリングを含む。方法2は、一対の不都合を有する:方法2で使用された試薬のジエチニルターチオフェンは、安定ではない;先行技術の方法2におけるSonogashiraカップリングは、低い収率(<20%)を有し、且つ、再現性のあるものではない。これに反して、方法1におけるSonogashiraカップリングは、約80%の再現性のある収率を与える。方法1を、上述した化合物のいずれの調製用にも使用することができる。
【0044】
図2は、反応性のメソゲンの単位の調製用の合成経路を示し、ここで、反応性の末端基は、オキセタン基である。
【0045】
図3は、反応性のメソゲンの単位の調製用の合成経路を示し、ここで、反応性の末端基は、アクリラート基である。
【0046】
5,5’’−ビス(5−アルキル−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェンの合成
例1:2−アルキル−5−トリメチルシリルエチニル−チオフェンの調製
2−ブロモ−5−アルキルチオフェン(40mmol)及びジイソプロピルアミン(50mL)の脱気された溶液へ、添加されたものは、Pd(PPh(3mol%)であった。混合物は、再度脱気され、且つ、15分の間40℃で加熱された。トリメチルシリルアセチレン(60mmol)及びCuI(3.5mol%)が、その後添加され、且つ、混合物は、18時間の間85℃でかき混ぜられた。室温まで冷却した後に、混合物は、CHClで希釈され、Celite上で濾過され、且つ、真空中で濃縮された。粗生成物は、カラムクロマトグラフィーによって精製された。
【0047】
例2:5,5’’−ビス(5−アルキル−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェン7の調製
乾燥したTHF(50mL)における2−アルキル−5−トリメチルシリルエチニル−チオフェン(19mmol)の混合物へ、シリカ上のTBAF(21.6g,24mmol)が、Nの下で添加された。5分後に、混合物は、Celite上で濾過され、且つ、真空中で濃縮された。この材料は、次のステップに直ちに使用された。
【0048】
ジイソプロピルアミン(60mL)及びTHF(15mL)におけるジブロモターチオフェン(3.05g,7.5mmol)及び2−アルキル−5−エチニル−チオフェン3(19mmol)の脱気された溶液へ、Pd(PPh(260mg,0.22mmol)が、添加される。混合物は、再度脱気され、且つ、混合物は、18時間の間還流で加熱される。溶液は、室温まで冷却することが許容され、CHCl(100mL)が、添加され、且つ、沈殿が、Celite上で濾過して分離された。濾液は、真空中で濃縮され、ヘキサン−CHClを使用することでシリカ上のカラムクロマトグラフィーによって精製され、ヘキサンからの再結晶が後に続けられた。
【0049】
オキセタン末端基を備えた反応性のメソゲンの単位の合成
例3:3−[ω−(5−ブロモチオフェン−2−イル)−アルコキシメチル]−3−エチル−オキセタンの調製
2−ブロモ−5−(ω−ブロモアルキル)チオフェン(46mmol)、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン(60mmol)、n−BuBr(5mol%)、ヘキサン(50mL)及び水性のNaOH(50重量%,50mL)の混合物は、18時間の間80℃でかき混ぜられた。室温まで冷却した後に、混合物は、ヘキサンで抽出され、且つ、水(3×150mL)で洗浄された。粗生成物は、カラムクロマトグラフィーによって精製された。
【0050】
例4:3−[ω−(5−トリメチルシリルエチニル−チオフェン−2−イル)−アルキルオキシメチル]−3−エチル−オキセタン16の調製
3−[ω−(5−ブロモチオフェン−2−イル)−アルキルオキシメチル]−3−エチル−オキセタン(40mmol)及びジイソプロピルアミン(50mL)の脱気された溶液へ、Pd(PPh(3mol%)が、添加された。混合物は、再度脱気され、且つ、15分の間40℃で加熱された。トリメチルシリルアセチレン(60mmol)及びCuI(3.5mol%)が、その後、添加され、且つ、混合物は、18時間の間85℃でかき混ぜられた。室温まで冷却した後で、混合物は、CHClで希釈され、Celite上で濾過され、且つ、真空中で濃縮された。粗生成物は、カラムクロマトグラフィーによって精製された。
【0051】
例5:ビスオキセタン18の調製
乾燥したTHF(50mL)における3−[ω−(5−トリメチルシリルエチニル−チオフェン−2−イル)−アルキルオキシメチル]−3−エチル−オキセタン(19mmol)の混合物へ、シリカ上のTBAF(21.6g,24mmol)が、Nの下で添加された。5分後に、混合物は、Celite上で濾過され、且つ、真空中で濃縮された。この材料は、次のステップにおいて直ちに使用された。
【0052】
ジイソプロピルアミン(60mL)及びTHF(15mL)におけるジブロモターチオフェン(3.05g,7.5mmol)及び3−[ω−(5−エチニル−チオフェン−2−イル)−アルキルオキシメチル]−3−エチル−オキセタン17(19mmol)の脱気された溶液へ、添加されるのは、Pd(PPh(260mg,0.22mmol)である。混合物は、再度脱気され、且つ、15分の間40℃で加熱される。その後、CuI(100mg,0.52mmol)が、添加され、且つ、混合物は、18時間の間還流で加熱される。溶液は、室温まで冷却することが許容され、CHCl(100mL)が、添加され、且つ、沈殿は、Celite上で濾過して分離された。濾液は、真空中で濃縮され、且つ、ヘキサン/エチル=アセタートを使用することでアルミニウム酸化物上でのカラムクロマトグラフィーによって精製された。
【0053】
アクリラートの末端基での反応性のメソゲンの単位の合成
例6:ビスTHPエーテル24の調製
乾燥したTHF(50mL)における2−[ω−(5−トリメチルシリルエチニル−チオフェン−2−イル)−アルコキシ]−テトラヒドロピラン22(19mmol)の混合物へ、シリカ上のTBAF(21.6g,24mmol)が、Nの下で添加された。5分後に、混合物は、Celite上で濾過され、且つ、真空中で濃縮された。この材料は、次のステップにおいて直ちに使用された。
【0054】
ジイソプロピルアミン(60mL)及びTHF(15mL)におけるジブロモターチオフェン(3.05g,7.5mmol)及び2−[ω−(5−エチニル−チオフェン−2−イル)−アルコキシ]−テトラヒドロピラン17(19mmol)の脱気された溶液へ、添加されるものは、Pd(PPh(260mg,0.22mmol)である。混合物は、再度脱気され、且つ、15分の間に40℃で加熱される。その後、CuI(100mg,0.52mmol)が、添加され、且つ、混合物は、18時間の間還流で加熱される。溶液は、室温まで冷却することが許容され、CHCl(100mL)が、添加され、且つ、沈殿が、Celite上で濾過して分離された。濾液は、真空中で濃縮され、且つ、ヘキサン/CHClを使用することでアルミニウム酸化物上でのカラムクロマトグラフィーによって精製された。
【0055】
例7:ビスヒドロキシ25の調製
MeOH(200g)及びTHF(90g)の混合物におけるビス−THPエーテル24(5.3mmol)及びp−トルエンスルホン酸(2.6mmol)の溶液は、脱気され、且つ、その後、30分の間還流するように加熱された。熱い(50℃)溶液は、水において沈殿させられた。固体は、濾過され、水で洗浄され、且つ、THFに溶解させられた。この溶液は、MgSO上で乾燥させられ、且つ、真空中で濃縮された。
【0056】
例8:ビスアクリラート26の調製
ジクロロメタン(120mL)におけるヒドロキシ化合物25(4.8mmol)及びジメチルアニリン(14.5mmol)の不均質な混合物は、0℃まで冷却される。塩化アクリロイル(14.5mmol)が、添加される。室温でかき混ぜること18時間後に、再度、ジメチルアニリン(4mmol)及び塩化アクリロイル(4mmol)並びに触媒作用の量のジメチルアミノピリジンが、添加される。室温で40時間後に、均質な溶液が、水(75mL)、水性のHCl(0.5M,75ml)、及び再度水(4×75mL)で洗浄される。組み合わせられた有機のフラクションは、MgSO上で乾燥させられ、且つ、真空中で濃縮された。粗生成物は、ジクロロメタンに溶解させられ、Al上濾過され、且つ、沈殿によって精製された。
【0057】
5,5’’−ビス(5−アルキル−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェンの相の挙動の特性決定;
スペーサーの長さの点で異なる、六個の誘導体7a−fが、合成された。相の挙動が、DSC、偏光顕微鏡、及びX線の測定の組み合わせを使用することで、試験された。予備的な結果は、表1に描かれる。
【0058】
【表1】

表1 7a−fの相の挙動
5,5’’−ビス(4−アルキル−1−フェニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェンの相の挙動の特性決定;
化合物7のフェニル類似体の相の挙動は、表2に描かれる。これらは、この差と共に、商業的に入手可能な1−アルキル−4−エチルベンゼンが使用される、方法1に従って調製された。
【0059】
【表2】

表2 9a−cの相の挙動
5,5’’−ビス(5−アルキル−2−チエニルエチニル)−2,2’−ビチオフェン及び5,5’’−ビス(4−アルキル−1−フェニルエチニル)−2,2’−ビチオフェンの相の挙動の特性決定
二つの誘導体10及び11が、合成され、それら誘導体においては、中央のチオフェンの単位は、ビチオフェンの単位によって取り替えられた。合成は、誘導体7のものと類似のものである。ジブロモターチオフェンの代わりに、ジブロモビチオフェンが、Sonogashiraカップリングに使用される。10及び11の相の挙動は、表3に描かれる。
【0060】
【表3】

表3 10−11の相の挙動
5,5’’−ビス(5−(オキセタン−アルキル)−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェンの相の挙動の特性決定;
ビスオキセタンの相の挙動は、表8に描かれる。
【0061】
【表4】

表4 18の相の挙動
5,5’’−ビス(5−(アクリラート−アルキル)−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェンの相の挙動の特性決定;
ビスアクリラートの相の挙動は、表10に描かれる。
【0062】
【表5】

表5 26の相の挙動
移動度
調製されたLC材料の移動度は、標準的なヘキサメチルジシラザン(HMDS)で下塗りされたSiOの試験基板におけるこれらの材料の適用によって特性決定された。これらの試験基板は、半導体材料無しに組み立てられた電界効果トランジスタを含む。デバイスの幾何学的配置は、下部ゲートのものである。ここで、ゲートは、シリコン基板における高度にドープされたエリアである。金のソース及びドレイン電極は、SiOの層の上部に存在する。
【0063】
実験は、空気/光における40℃で、及び、それ自体当業者に知られたもののような、飛行時間(TOF)の技術を使用することによって100℃で、実行された。結果は、表2に与えられる。
【0064】
【表6】

表2 標準における7a−fの電界効果の移動度
HMDSで下塗りされたSiOの下部ゲートの試験デバイス
上部ゲートのトランジスタでの移動度
移動度の実験が、下部ゲートの幾何学的配置の代わりに、上部ゲートの幾何学的配置を備えたトランジスタで繰り返された。ガラス基板(W36)に、Ti/Auのソース及びドレイン電極が、標準的なリソグラフィーの加工を使用することで、約50nmの厚さで製作された。25nmの厚さのポリイミドの層(1051,JSP)が、基板の全体の上にスピンコートされた。フィルムが、一時間の間に90℃でプリベークされ、3時間の間における180℃でのイミド化が後に続けられた。そして、ポリイミドフィルムが、ラビングされた。次に、LC分子は、1重量%でトルエンに溶解させられ、且つ、1200回転毎分でスピンコートされた。そして、デバイスは、150℃で加熱され、且つ、ゆっくりと、約5℃/分で、室温まで冷却される。ゲートの誘電体として、約300nmの厚さのTeflon AF 1600フィルムが、使用されたが、そのフィルムは、溶剤FC75からスピンコートされた。静電容量は、約6nF/cmである。最後に、金の上部ゲート電極は、シャドウマスクを通じて蒸発させられる。
【0065】
最初の実験において、5,5’’−ビス(5−ヘキシル−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェンの使用がなされる。モノドメインは、室温まで冷却する際に、形成される。この化合物については、モノドメインの形成が、層の厚さに強く依存することが、判明した。約100nmよりも大きいフィルムの厚さについて、マルチドメインが、結晶化の際に形成される。
【0066】
図4は、ヘキシル化合物を備えたトランジスタの出力特性を示す。その特性は、真空において40℃で測定された。チャネルの長さは、20μmであった。低いゲートバイアスで、明瞭な非オーミック接触抵抗が、観察される。これは、ソース・ドレイン接触とLC半導体との間に位置させられるポリイミドの層によるものであるかもしれない。電荷の注入を、ラビングされたポリイミドの層における孔を通じたもののみであり得る。接触抵抗を低減するためには、ソース及びドレイン電極を、ポリイミドの層の上部に製作することができる。
【0067】
図5は、ゲートバイアスの関数としての線形の且つ飽和した移動度のグラフを示す。線形の移動度は、飽和したものよりも低い。これは、おそらく、同様に、注入の障壁によるものである。飽和した移動度は、およそ0.03cm/V秒である。移動度を、ゲート誘電体のタイプを変化させることによって、最適化することができる。約3倍の移動度の増加が、期待される。
【0068】
電気的な輸送のデータをベンチマーク試験するために、ヘキシル化合物のマルチドメインの上部ゲート及び下部ゲートのトランジスタが、製作された。マルチドメインの上部ゲートのトランジスタにおける移動度は、0.0001cm/V秒から0.003cm/V秒まで変動した。我々の標準的なHMDSで下塗りされたSiOの下部ゲートの試験デバイスで、様々なトランジスタが、作られた。移動度は、典型的には、2.10−3cm/V秒である。これは、電界効果の移動度が、トランジスタのチャネルにおけるLC分子の巨視的な整列について約一桁だけ改善することを示す。
【0069】
第二の実験において、5,5’’−ビス(5−デシル−2−チエニルエチニル)−2,2’:5’,2’’−ターチオフェンの使用が、なされる。モノドメインの上部ゲートのトランジスタにおける電界効果の移動度についての類似の値、即ち、0.03cm/V秒が、見出された。
【0070】
第三の実験において、ヘキシル化合物のビスアクリラートの使用が、なされる。最適の加工条件がまだ見出されてきてないとはいえ、5 10−3cm/Vの電界効果の移動度が、実現される。光開始剤は、基板にスピンされた組成物に存在した。その後、材料をモノドメインの構造へと持ってきた後に、それは、架橋された。ここでは、モノドメイン構造が、維持された。
【0071】
要約すると、電子デバイスは、基体におけるモノドメイン構造に有機半導体材料を含む。それは、好ましくは、トランジスタの部分であるが、そこでは、モノドメインが、チャネルに、即ち、ソースからドレイン電極まで、延在する。材料は、スペーサー基及び末端基を備えたメソゲンの単位を含む。末端基は、好ましくは、反応性のもの、即ち、ジエン、アクリラート、オキセタン類、又は同様のものである。メソゲンの単位は、中央のオリゴチオフェニル基、剛直なスペーサー基、特にアセチレン類、及び、追加の基、たとえば、チオフェニル又はフェニルを含有する。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】図1は、メソゲンの単位の調製用の反応スキームである;
【図2】図2は、オキセタンの反応性の末端基との図1のメソゲンの単位の調製用の反応スキームである;
【図3】図3は、アクリラートの反応性の末端基との図1のメソゲンの単位の調製用の反応スキームである;
【図4】図4は、上部ゲートの幾何学的配置を有し且つ半導体材料として図1のメソゲンの単位を含むトランジスタの出力特性を示すグラフである;
【図5】図5は、図4におけるものと同じトランジスタに関係する、ゲートバイアスの関数としての線形の且つ飽和した移動度のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スメクチック又は結晶性の相に存在し且つモノドメイン構造において少なくとも部分的に秩序化されるメソゲンの単位を含む有機半導体材料が提供された半導体素子を含む電子デバイスであって、
前記メソゲン単位は、式:
−D−A−Z−A−Z−A−D−E
に対応し、前記式において、
、Eは、末端基であり、
、Dは、スペーサー基であり、
、A、Aは、自由選択で置換された共役した単位であり、
、Zは、剛直なスペーサー基であり、
は、オリゴチオフェニル基の群より選ばれる、電子デバイス。
【請求項2】
前記末端基の少なくとも一部は、重合体のネットワークへと少なくとも部分的に架橋される反応性の末端基である、請求項1に記載の電子デバイス。
【請求項3】
第一の及び第二のメソゲンの単位が、存在し、前記単位は、相互に異なる、請求項1又は2に記載の電子デバイス。
【請求項4】
前記第一の及び第二のメソゲンの単位は、スペーサー基D、Dの長さにおいて異なる、請求項3に記載の電子デバイス。
【請求項5】
前記半導体素子は、前記有機半導体材料を含有するチャネルによって相互に分離されるソース電極及びドレイン電極が提供された薄膜トランジスタであり、
前記トランジスタは、ゲート誘電体によって前記チャネルから分離されるゲート電極がさらに提供され、
前記トランジスタにおいて、前記ゲート電極と前記チャネルとの間における界面から分離される整列相が、存在し、且つ、
前記トランジスタは、上部ゲート構造を有し、
前記上部ゲート構造において、前記チャネルが、前記ゲート誘電体と前記整列層との間に存在する、請求項1又は2に記載の電子デバイス。
【請求項6】
前記チャネルは、多くても200nmの厚さを有する、請求項5に記載の電子デバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の電子デバイスを製造する方法であって、
当該方法は、
− 基体を提供するステップ、
− 前記基体に有機半導体材料の層を設けるステップ、
を含み、前記有機半導体材料は、式:
−D−A−Z−A−Z−A−D−E
に対応するメソゲンの単位を含み、前記式において、
、Eは、末端基であり、
、Dは、スペーサー基であり、
、A、Aは、自由選択で置換された共役した単位であり、
、Zは、剛直なスペーサー基であり、
は、オリゴチオフェニル基の群より選ばれ、且つ、
当該方法は、
冷却することが後に続く熱処理を適用し、それによって、前記メソゲンの単位を、整列の手段に従って、スメクチック又は自由選択で結晶性の相へと配向させ、前記相において少なくとも一個のモノドメイン構造を含む構造が形成されるステップ
:を含む方法。
【請求項8】
前記末端基の少なくとも一部は、反応性の末端基であり、且つ、当該方法は、前記モノドメイン構造を形成した後で、前記反応性の末端基を架橋させる追加のステップを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記反応は、照射で開始され、前記照射は、パターン化された様式で行われ、且つ、前記有機半導体の層の露出されてないエリアは、その後、適切な溶剤への露出によって取り除かれる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
− 前記半導体材料を設けることより先にソース電極及びドレイン電極を提供する追加のステップ、
− 前記誘電体に少なくとも部分的に有機誘電体及びゲート電極を、前記ゲート電極が、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に存在する前記半導体の層の一部分に重なるように、設ける追加のステップ
:を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項11】
式:
−D−A−Z−A−Z−A−D−E
に対応する反応性のメソゲンの化合物であって、前記式において、
、Eは、末端基であり、前記末端基のEは、照射において架橋性である少なくとも一個の反応性の末端基を含み、
、Dは、スペーサー基であり、
、A、Aは、自由選択で置換された共役した単位であり、
、Zは、剛直なスペーサー基であり、
は、オリゴチオフェニル基の群より選ばれる、化合物。
【請求項12】
におけるチオフェン環の数は、1個と6個との間にある、好ましくは2個又は3個である、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
基A及びAは、等しく、且つ、自由選択で置換されたチオフェニル及びフェニル基の群より選ばれる、請求項11に記載の化合物。
【請求項14】
、Zは、アセチレン基である、請求項11に記載の化合物。
【請求項15】
前記反応性のメソゲンの単位は、A及びAが相互に等しい、D及びDが相互に等しい、並びにE及びEが相互に等しい程度まで対称性である、請求項11に記載の化合物。
【請求項16】
請求項11に記載の反応性のメソゲンの単位を含む、重合体ネットワークであって、前記単位の少なくとも反応性の末端基Eは、架橋されてしまっている、重合体ネットワーク。
【請求項17】
電子部品における請求項11乃至16のいずれかに記載の材料の使用。
【請求項18】
整列層及び請求項1乃至16のいずれかに記載の反応性のメソゲンの単位を含む有機半導体材料の層を備えた基体を含む半製品の物品であって、
前記メソゲンの単位は、前記整列層に従ってスメクチック又は結晶性の相へと秩序化されてしまっており、且つ、少なくとも一個のモノドメイン構造へと秩序化されてしまっている、半製品の物品。
【請求項19】
溶剤に請求項11乃至15のいずれかに記載の第一のメソゲンの単位及び少なくとも一個の反応性の末端基が提供された第二のメソゲンの単位を含む組成物であって、
前記第一の及び第二のメソゲンの単位は、相互に異なり、且つ、架橋する際に、同じスメクチック又は結晶性の相を有する、組成物。
【請求項20】
前記第一の及び第二のメソゲンの単位は、前記スペーサー基D、Dの少なくとも一方の長さにおいて異なる、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
溶剤に式E−D−T−D−Eの第一の及び第二のメソゲンの単位を含む組成物であって、前記式において、
、Eは、末端基であり、前記末端基のEは、照射において架橋性であり;
、Dは、スペーサー基であり、且つ、
Tは、一個以上の自由選択で置換された共役した単位を含むコアであり、
前記第一の及び第二のメソゲンの単位は、相互に異なり、且つ、架橋する際に、同じスメクチック又は結晶性の相を有する、組成物。
【請求項22】
スメクチック又は結晶性の相に存在し且つモノドメイン構造において少なくとも部分的に秩序化される反応性のメソゲンの単位を含む有機半導体材料が提供された半導体素子を含む電子デバイスであって、
前記メソゲンの単位は、式:
−D−T−D−E
に対応し、前記式において、
、Eは、末端基であり、前記末端基のEは、照射において架橋性であり;
、Dは、スペーサー基であり、
Tは、一個以上の自由選択で置換された共役した単位を含むコアであり、
前記材料は、相互に異なり且つ架橋する際に同じスメクチック又は結晶性の相を有する第一の及び第二のメソゲンの単位を含む、電子デバイス。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−537634(P2008−537634A)
【公表日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−555758(P2007−555758)
【出願日】平成18年2月15日(2006.2.15)
【国際出願番号】PCT/IB2006/050498
【国際公開番号】WO2006/087680
【国際公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】