説明

電子データ配信システム

【課題】利用者に対して、確実に所定の情報を配信することができる電子データ配信システムを提供する。
【解決手段】配信サーバー3は、テレビ放送受信機4を識別するテレビIDと、当該テレビ放送受信機4の設置場所を示す住所とを関連付けて記憶するテレビ情報記憶部28と、企業サーバー2から電子データおよびその配信先の住所を取得する電子データ取得部61と、取得した電子データに、住所と関連付けられたテレビIDを付加してテレビ放送受信機4に配信する電子データ配信部63とを備え、テレビ放送受信機4は、電子データを記録する記憶媒体34と、配信サーバー3から電子データを受信する電子データ受信部71と、受信した電子データに付加されたテレビIDが自身のテレビIDと一致する場合、当該電子データを記憶媒体34に記録する電子データ記録部73と、記録された電子データを表示する電子データ表示部78とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ放送受信機を利用して、所定の電子データを当該テレビ放送受信機の所有者に配信する電子データ配信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、クレジットカードや口座振替サービス等の利用明細書を、電子メールを用いて配信する配信システムが知られている。この配信システムは、クレジット会社が管理するサーバーと、利用者が保有するユーザー端末とにより構成されている。そして、利用者がユーザー端末からクレジット会社(サーバー)に所定の情報(カード番号、暗証番号およびメールアドレス等)を登録することで、クレジット会社は、利用者に対して利用明細書を電子メールで配信する(例えば、特許文献1参照)。
また、特許文献2には、ダイレクトメール(DM)を電子メールを用いて配信する電子メール装置が記載されている。この電子メール装置には、DMデータ(DMの分野情報(属性情報)を含む)と、DM送付先のユーザー情報(ユーザーの属性情報やメールアドレス等)とが登録されており、DMデータの分野情報とDM送付先ユーザーの属性情報が一致するユーザーに対して、電子メールでDMを配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−92325号公報
【特許文献2】特開平10−307772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子メールアドレスは、ユーザーが簡単に且つ自由に変更できるため、上記のように電子メールにより利用明細書やDMなどを配信する場合、ユーザーが変更後の電子メールアドレスを登録し忘れると配信することができないという問題がある。特に、近年では頻繁に電子メールアドレスを変更することが多いため、上記の問題が発生しやすく、ユーザーおよび情報提供者(クレジット会社やDM発信者)の双方にとって不利益となる。
【0005】
本発明は、上記の問題に鑑みたものであり、利用者に対して、確実に所定の情報を配信することができる電子データ配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子データ配信システムは、電子データの配信を依頼する企業サーバーと、企業サーバーの依頼に基づき、電子データを配信する配信サーバーと、配信サーバーから、電子データを受信するテレビ放送受信機と、を有する電子データ配信システムであって、配信サーバーは、テレビ放送受信機を識別するためのテレビIDと、当該テレビ放送受信機の設置場所を示す住所と、を関連付けて記憶するテレビ情報記憶部と、企業サーバーから、電子データおよびその配信先となる住所を取得する電子データ取得部と、取得した電子データに、住所と関連付けられたテレビIDを付加して、テレビ放送受信機に配信する電子データ配信部と、を備え、テレビ放送受信機は、電子データを記録するための記憶媒体と、配信サーバーから、電子データを受信する電子データ受信部と、受信した電子データに付加されたテレビIDが、予め登録されている自身のテレビIDと一致する場合、当該電子データを記憶媒体に記録する電子データ記録部と、記録された電子データを表示する電子データ表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の電子データ配信システムにおいて、テレビ情報記憶部は、テレビIDおよび住所に、住所の居住人の氏名をさらに関連付けて記憶し、電子データ取得部は、企業サーバーから、電子データの受取主となる氏名をさらに取得し、電子データ配信部は、取得した電子データに、住所および氏名と関連付けられたテレビIDを付加して、テレビ放送受信機に配信することが好ましい。
【0008】
これらの構成によれば、配信サーバーは、電子データの配信先となる住所(または、配信先の住所および受取主の氏名)からテレビIDを特定し、当該テレビIDを付加した電子データをテレビ放送受信機に配信する。そして、テレビ放送受信機は、受信したテレビIDが自身のテレビIDと一致する場合に電子データを受信する。テレビIDとしては、例えば地上デジタル放送の視聴に使用されるB−CASカードのID番号を適用可能である。一般的に、B−CASカードはテレビ放送受信機を変えても引続き利用できる。つまり、このID番号は、電子メールアドレスのように変更されることが考え難い。また、住所も頻繁に変更することは考え難い。このため、住所(または、住所および氏名)とテレビIDとを関連付け、このテレビIDに基づいて電子データの配信を行うことで、所定の電子データを確実に配信先に配信することができる。
【0009】
本発明の電子データ配信システムにおいて、テレビ情報記憶部は、1の氏名に対して、複数のテレビIDを関連付けて記憶することが好ましい。
【0010】
この構成によれば、1の氏名に対して複数のテレビIDを関連付けることで、複数のテレビ放送受信機で電子データを受信することができる。例えば、配信を希望するユーザーが自宅とは別の場所(例えば、別荘等)にいる場合にも、その場所にあるテレビ放送受信機(テレビID)を登録しておくことで電子データを受け取ることができるため、利便性が良い。
【0011】
本発明の電子データ配信システムにおいて、テレビ放送受信機は、氏名に関連付けられた複数のテレビIDの内、いずれか1のテレビIDを指定する転送指示部をさらに備えたことが好ましい。
【0012】
この構成によれば、テレビ放送受信機側で、どのテレビ放送受信機に電子データを配信するのかを指定することができる。つまり、ユーザーが自宅で配信先を指定できるため、例えば、ユーザーが配信サーバーを管理する会社に電話をかけたり、あるいは申請書を提出したりするなどの手間がかからず、利便性が良い。
【0013】
本発明の電子データ配信システムにおいて、電子データ配信部は、電子データおよびテレビIDと共に、氏名をさらに配信し、テレビ放送受信機は、氏名とパスワードとを関連付けて記憶するパスワード記憶部と、パスワードを入力する入力部と、をさらに備え、電子データ表示部は、入力されたパスワードと一致するパスワードに関連付けられた氏名が付加されている電子データを表示することが好ましい。
【0014】
この構成によれば、各人が自分宛の電子データのみを確認することができる。これにより、たとえ家族であっても、情報が他人に漏洩することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る電子データ配信システムのシステム構成図である。
【図2】電子データ配信システムの各構成要素の制御ブロック図である。
【図3】住所および氏名と、テレビIDとの関連付けを説明する図である。
【図4】電子データ配信システムの各構成要素の機能ブロック図である。
【図5】電子データを配信する一連の処理手順について説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。本発明の電子データ配信システムは、個人宛てに所定の電子データを配信するシステムである。なお、本実施形態では、配信対象となる電子データとして、クレジットカードの利用明細書、銀行の口座残高明細書、ダイレクトメール、商品カタログおよびレシート情報などを想定する。
【0017】
図1は、本実施形態に係る電子データ配信システム1のシステム構成図である。図1に示すように、電子データ配信システム1は、個人宛ての電子データの配信を希望する各企業に設置された企業サーバー2(2a〜2m)と、電子データの配信サービスを提供する企業(第三者機関)に設置された配信サーバー3と、各家庭に設置されたテレビ放送受信機4(4a〜4n)とにより構成されている。企業サーバー2と配信サーバー3、および配信サーバー3とテレビ放送受信機4は、ネットワークNTを介して接続されている。
【0018】
企業サーバー2は、配信サーバー3に対して、個人宛ての電子データの配信を依頼(委託)するためのサーバーである。企業サーバー2では、配信対象となる電子データを作成し、これを配信先となる住所および受取主の氏名と共に配信サーバー3へ送信することにより、電子データの配信依頼(配信委託)を行う。
【0019】
配信サーバー3は、企業サーバー2からの配信依頼に基づき、テレビ放送受信機4に対して電子データの配信を行う。この電子データは、デジタルTV放送の所定のデータ送信チャンネルを用いて、テレビ放送受信機4に送信される。
【0020】
テレビ放送受信機4は、デジタルTV放送を受信可能な(地上波デジタル放送や衛星デジタル放送に対応した)テレビであり、配信サーバー3からデジタルTV放送によって送られてくる電子データを受信し、これを自身のディスプレイ38に表示する。
【0021】
次に、図2の制御ブロック図を参照して、電子データ配信システム1の各構成要素の制御構成について説明する。
【0022】
企業サーバー2は、制御部11、HDD12(Hard Disk Drive)、通信部13の他、一般的なパーソナルコンピューターに搭載されるハードウェア構成を有している。制御部11は、CPU15(Central Processing Unit)は、ROM16(Read Only Memory)、RAM17(Random Access Memory)を有し、企業サーバー2全体を制御する。ROM16は、CPU15が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。また、RAM17は、CPU15が各種処理を実行する際の作業領域として利用される。
【0023】
HDD12は、電子データ記憶領域18を有している。電子データ記憶領域18には、電子データの配信先となる住所および受取主の氏名と、配信対象となる電子データと、が関連付けて記憶されている。なお、この住所および氏名の登録は、電子データの配信を希望するユーザー(配信対象者)が、事前に申請することで登録されるものとする。例えば、クレジット会社(企業)からカードの利用明細書(電子データ)を配信する場合、ユーザーがクレジットカードを作成する際に住所、氏名および配信の有無を登録する。
【0024】
通信部13は、配信サーバー3に対し、配信対象となる電子データを送信するための通信手段として機能する。この時、電子データに、その配信先となる住所および受取主の氏名を付加して送信する。
【0025】
配信サーバー3は、制御部21、HDD22、通信部23、データ送信部24の他、一般的なパーソナルコンピューターに搭載されるハードウェア構成を有している。制御部21は、CPU25、ROM26、RAM27を有し、配信サーバー3全体を制御する。ROM26は、CPU25が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。また、RAM27は、CPU25が各種処理を実行する際の作業領域として利用される。
【0026】
HDD22は、テレビ情報記憶領域28(テレビ情報記憶部)を有している。図3に示すように、テレビ情報記憶領域28には、電子データの配信先となるテレビ放送受信機4の設置場所を示す住所と、電子データの受取主の氏名と、電子データの配信先となるテレビ放送受信機4のテレビID(以下、「標準テレビID」と称す。)と、電子データの転送先となるテレビ放送受信機4のテレビID(以下、「転送先テレビID」と称す。)と、電子データの転送の有無を示す転送フラグ(「OFF」であれば、配信先となるテレビIDを標準テレビIDとし、「ON」であれば転送先テレビIDとする)と、が関連付けられている。
【0027】
図3に示すように、1の氏名に対して複数のテレビID(標準テレビIDおよび転送先テレビID)を関連付けることで、複数のテレビ放送受信機4で電子データを受信することができる。例えば、配信を希望するユーザーが自宅とは別の場所(例えば、別荘等)にいる場合にも、その場所にあるテレビ放送受信機4のテレビIDを転送先テレビIDとして登録しておくことで電子データを受け取ることができるため、利便性が良い。
【0028】
なお、上述のテレビID(標準テレビIDおよび転送先テレビID)は、個々のテレビ放送受信機4を一意に識別するIDであれば、どのようなものであっても良い。本実施形態では、テレビIDとして各テレビ放送受信機4に装着されたB−CASカード40に記録されている固有のIDを用いる。また、このテレビ情報記憶領域28の登録内容は、ユーザーがB−CASカード40の登録時に申請することで登録されるものとする。
【0029】
通信部23は、企業サーバー2から、電子データ、その配信先となる住所および受取主の氏名を受信するための手段として機能する。また、詳細は後述するが、テレビ放送受信機4から、電子データの受信確認信号等の情報を受信するための手段としても機能する。
【0030】
データ送信部24は、デジタルTV放送の所定のチャンネルを用いて、各テレビ放送受信機4に、配信先となるテレビID(標準テレビIDまたは転送先テレビID)および受取主の氏名を付加した電子データを配信(送信)する配信手段として機能する。この配信先のテレビIDは、企業サーバー2から受信した配信先の住所および受取主の氏名に関連付けられたテレビIDが割り当てられる。また、配信対象となる電子データおよび受取主の氏名は、暗号化処理されてテレビ放送受信機4に配信される。
【0031】
テレビ放送受信機4は、デジタルTV用アンテナ32、チューナー部33、記憶部34(記憶媒体)、映像データ処理部35、音声データ処理部36、電子データ処理部37、ディスプレイ38、スピーカー39、B−CASカード40、通信部41、リモコン42(リモートコントローラー)、リモコン受信部43、外部接続部44、およびこれらを制御する制御部31により構成されている。
【0032】
制御部31は、CPU45は、ROM46、RAM47を有し、テレビ放送受信機4全体を制御する。ROM46は、CPU45が各種処理を実行するための制御プログラムや制御データを記憶する。また、RAM47は、CPU45が各種処理を実行する際の作業領域として利用される。B−CASカード40は、デジタルTV放送を受信可能にするために装着するICカードであり、ユニークなテレビIDを記憶する。
【0033】
記憶部34は、不揮発性のメモリーであり、受信データ記憶領域48およびパスワード記憶領域49(パスワード記憶部)を有している。受信データ記憶領域48は、当該テレビ放送受信機4(当該テレビID)宛の電子データおよび受取主の氏名を関連付けて記憶する。一方、パスワード記憶領域49は、当該テレビ放送受信機4の利用者毎に、氏名およびパスワードを関連付けて記憶する。
【0034】
チューナー部33は、デジタルTV用アンテナ32を介してデジタルTV放送(放送信号)を受信し、その受信した信号を復調することによって、映像データ、音声データおよび電子データに分別(分離)する。
【0035】
映像データ処理部35は、チューナー部33で復調された映像データに対して所定の処理を行う。この処理された映像データがディスプレイ38に入力(供給)され、デジタルTV放送の番組がディスプレイ38に表示される。
【0036】
音声データ処理部36は、チューナー部33で復調された音声データに対して所定の処理を行う。この処理された音声データがスピーカー39に出力され、デジタルTV放送の番組の音声がスピーカー39で再生される。
【0037】
電子データ処理部37は、チューナー部33で復調された電子データに対して所定の処理を行う。具体的には、電子データが当該テレビ放送受信機4(テレビID)宛のものか否かを判別し、当該テレビ放送受信機4(テレビID)宛で有ればその電子データを記憶部34に記憶し、当該テレビ放送受信機4(テレビID)宛のものでない場合は破棄する。また、電子データ処理部37は、記憶部34に記憶した電子データを読み出し、これをディスプレイ38に表示する。
【0038】
リモコン42は、各種操作ボタンおよび情報入力ボタンを備えており、リモコン受信部43を介して、テレビ放送受信機4に対する各種動作指示および各種情報入力をするための手段として機能する。本実施形態では、特に、電子データを表示する際の認証に必要なパスワードの入力や、電子データの転送設定をする際に用いられる。このように、リモコン42の操作で転送設定ができる。つまり、ユーザーが自宅で配信先を指定することができるため、例えば、ユーザーが配信サーバー3を管理する企業に電話をかけたり、あるいは申請書を提出したりするなどの手間がかからず、利便性が良い。
【0039】
通信部41は、配信サーバー3に対し、電子データを正常に受信した旨を示す受信確認信号、およびリモコン42により入力された転送設定に関する情報を送信する手段として機能する。
【0040】
外部接続部44は、ハードディスクレコーダーやDVDレコーダー等の外部装置(図示省略)と接続するインターフェイスであり、これら外部装置に対して記憶部34に記憶した電子データを出力する際に用いられる。
【0041】
次に、図4の機能ブロック図を参照して、電子データ配信システム1における各構成要素の機能について説明する。企業サーバー2は、電子データ作成手段51および電子データ配信依頼手段52を有している。電子データ作成手段51は、配信対象となる電子データの作成を行う。電子データ配信依頼手段52は、配信サーバー3に対して、配信対象となる電子データ(作成した電子データ)、その配信先となる住所、および受取主の氏名を送信する。
【0042】
配信サーバー3は、電子データ取得手段61(電子データ取得部)、テレビID取得手段62、電子データ配信手段63(電子データ配信部)、受信確認信号受信手段64、および転送設定手段65を有している。
【0043】
電子データ取得手段61は、企業サーバー2(電子データ配信依頼手段52)により送信された電子データ、住所、および氏名を取得する。テレビID取得手段62は、配信先のテレビIDを取得するものであり、テレビ情報記憶領域28を参照し、電子データ取得手段61により取得した住所および氏名に関連付けられたテレビIDを取得する。この時、この住所および氏名に関連付けられた転送フラグが「OFF」に設定されている場合、配信先のテレビIDとして標準テレビIDを取得し、「ON」に設定されている場合、配信先のテレビIDとして転送先テレビIDを取得する。
【0044】
電子データ配信手段63は、電子データ取得手段61により取得した電子データおよび氏名を暗号化する。そして、暗号化した電子データおよび氏名に、テレビID取得手段62により取得したテレビID(標準テレビIDまたは転送先テレビID)を付加して、デジタルTV放送の所定のデータ送信チャンネルを用いて全てのテレビ放送受信機4に配信する。また、電子データの送信後、所定時間内に、受信確認信号受信手段64により、テレビ放送受信機4から当該電子データに関する受信確認信号が受信できない場合、当該電子データの再配信処理(再送処理)を行う。
【0045】
受信確認信号受信手段64は、上述のように、テレビ放送受信機4から電子データを受信した旨を示す受信確認信号を受信する。転送設定手段65は、テレビ放送受信機4からの転送指示により、配信先のテレビIDを標準テレビIDまたは転送先テレビIDに設定変更する。具体的には、配信先のテレビIDを転送先テレビIDに設定する指示を受けた場合、転送フラグを「ON」に設定する。一方、配信先のテレビIDを標準テレビIDに設定する指示を受けた場合、転送フラグを「OFF」に設定する。
【0046】
テレビ放送受信機4は、電子データ受信手段71(電子データ受信部)、テレビID判別手段72、電子データ記録手段73(電子データ記録部)、受信確認信号送信手段74、転送指示手段75(転送指示部)、パスワード入力手段76(入力部)、パスワード認証手段77および表示手段78(電子データ表示部)を有している。
【0047】
電子データ受信手段71は、配信サーバー3(電子データ配信手段63)により配信された電子データ、氏名およびテレビIDを受信する。テレビID判別手段72は、受信したテレビIDが、自身のテレビIDか否かを判別する。つまり、自身に装着されたB−CASカード40のテレビIDと、受信したテレビIDとが一致するか否かを判別する。
【0048】
電子データ記録手段73は、テレビID判別手段72による判別の結果、受信したテレビIDと、自身のテレビIDとが一致した場合に、電子データ受信手段71により受信した電子データおよび氏名を復号し、これらを関連付けて受信データ記憶領域48に記録する。なお、テレビIDが一致しない場合は、当該電子データを破棄する。
【0049】
受信確認信号送信手段74は、電子データおよび氏名を受信データ記憶領域48に記憶した場合、つまり、自身宛の電子データを受信した場合、配信サーバー3に対してその旨(電子データを受信した旨)を示す受信確認信号を送信する。転送指示手段75は、配信サーバー3に対して、配信先のテレビIDを標準テレビIDまたは転送先テレビIDに変更する指示を送信する。この転送指示は、ユーザーがリモコン42で所定の操作を行うことにより発行される。
【0050】
パスワード入力手段76は、受信データ記憶領域48に記録した電子データをディスプレイ38に表示するための認証用のパスワードを入力する。このパスワード入力は、ユーザーによりリモコン42から入力される。このとき、一台のテレビ放送受信機4で複数の家族が個別に電子データを確認する場合は、パスワード記憶領域49に、予め各人の氏名とパスワードを関連付けて登録しておくことで、自分宛の電子データを確認することができる。すなわち、パスワード認証手段77は、パスワードが入力された時、複数のパスワードが登録されている場合には、入力されたパスワードに関連付けられた氏名を確認し、電子データに含まれる氏名と一致する電子データのみを表示手段78に送る。
【0051】
表示手段78は、パスワード認証が成功した場合にのみ電子データを表示する。つまり、各人が自分宛の電子データのみを確認することができるため、たとえ家族であっても情報が他人に漏洩することを防止できる。なお、この表示に際しては、まず、受信データ記憶領域48に記録されている当人宛の全ての電子データについて、各々の一部の情報が一覧表示され(例えば、電子データの件名等)、その中からユーザーが所望の電子データを選択することで、その内容を表示することが好ましい。
【0052】
ここで、図5のフローチャートを参照し、電子データの配信処理についての一連の処理手順について説明する。まず、配信サーバー3は、企業サーバー2から電子データ、その配信先となる住所および受取主の氏名を取得する(S01)。次に、配信サーバー3は、受信した住所および氏名がテレビ情報記憶領域28に存在するか否かを判別する(S02)。
【0053】
一致する住所および氏名がない場合(S03;No)、配信サーバー3は、その旨を企業サーバー2に通知するなどのエラー処理を行う(S04)。一方、一致する住所および氏名がある場合(S03;Yes)、配信サーバー3は、当該住所および氏名に関連付けられたテレビID(標準テレビIDまたは転送先テレビID)を取得し、このテレビIDと、受取主の氏名とを付加した電子データを、デジタルTV放送によって全てのテレビ放送受信機4に配信する(S05)。この時、配信サーバー3は、電子データおよび受取主の氏名を暗号化した上で配信する。
【0054】
電子データの配信後、配信サーバー3は、配信した電子データに関する受信確認信号をテレビ放送受信機4から受信したか否かを判別する。所定時間内に受信確認信号を受信した場合(S06、S07;Yes)、配信サーバー3は、電子データの配信処理を終了する。一方、所定時間内に受信確認信号を受信できない場合(S07;No)、配信サーバー3は、S05以降の処理を繰り返し、電子データの再配信を行う。なお、テレビ放送受信機4から配信サーバー3への受信確認信号の送信は、テレビ放送受信機4に接続した、電話回線、あるいはインタネット回線等を経由して、配信サーバー3に送られる。
【0055】
一方、テレビ放送受信機4は、配信サーバー3から配信された電子データ、受取主の氏名およびテレビIDを受信する(S08)。続いて、テレビ放送受信機4は、受信したテレビIDと自身のテレビIDとが一致するか否か判別する(S09)。テレビIDが一致しない場合(S10;No)、受信した電子データを破棄し(S11)、処理を終える。一方、テレビIDが一致した場合(S09;Yes)、受信した電子データおよび受取主の氏名を復号すると共に、これらを受信データ記憶領域48に記録する(S12)。そして、テレビ放送受信機4は、配信サーバー3に対して、電子データを受信した旨を示す受信確認信号を送信する(S13)。
【0056】
次に、テレビ放送受信機4は、ユーザーの入力操作により、電子データをディスプレイ38に表示するための認証用のパスワードを入力する(S14)。テレビ放送受信機4は、このパスワードから、当該パスワードに関連付けて登録されている氏名を確認する(S15)。そして、受信データ記憶領域48に記録した電子データの受取主の氏名と一致するものがある場合(S16;Yes)、テレビ放送受信機4は、当該電子データをディスプレイ38に表示する(S17)。一方、氏名が一致した電子データがない場合(S17;No)、テレビ放送受信機4は、表示対象となる電子データがない旨のメッセージを表示し、再度パスワードの入力待ち(S14以降の処理)を繰り返す。なお、この際、パスワードが1つしか登録されていない場合は、S15の処理を行わず、受信したすべての電子データを表示しても良い。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、ユーザーにより変更されることが考え難い住所および氏名と、テレビID(B−CASカード40のID)とを関連付け、配信先となる住所および受取主の氏名からテレビIDを特定し、このテレビIDに基づいて電子データの配信を行うことで、所定の電子データを確実に配信先に配信することができる。
【0058】
なお、図3では、転送先テレビIDが1つしか登録されていないが、例えば、転送先1、転送先2・・・のように、複数の転送先テレビIDを登録することが可能である。この場合、転送先フラグは、例えば、標準テレビIDは「0」、転送先1のテレビIDは「1」、転送先2のテレビIDは「2」・・・のようになる。
【0059】
また、上述した実施例によらず、電子データ配信システム1の各構成要素の装置構成や処理工程等について、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更も可能である。
【符号の説明】
【0060】
1…電子データ配信システム 2…企業サーバー 3…配信サーバー 4…テレビ放送受信機 28…テレビ情報記憶領域 34…記憶部 42…リモコン 48…受信データ記憶領域 49…パスワード記憶領域 61…電子データ取得手段 63…電子データ配信手段 71…電子データ受信手段 73…電子データ記録手段 75…転送指示手段 76…パスワード入力手段 78…表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子データの配信を依頼する企業サーバーと、
前記企業サーバーの依頼に基づき、電子データを配信する配信サーバーと、
前記配信サーバーから、前記電子データを受信するテレビ放送受信機と、を有する電子データ配信システムであって、
前記配信サーバーは、
前記テレビ放送受信機を識別するためのテレビIDと、当該テレビ放送受信機の設置場所を示す住所と、を関連付けて記憶するテレビ情報記憶部と、
前記企業サーバーから、前記電子データおよびその配信先となる前記住所を取得する電子データ取得部と、
取得した前記電子データに、前記住所と関連付けられた前記テレビIDを付加して、前記テレビ放送受信機に配信する電子データ配信部と、を備え、
前記テレビ放送受信機は、
前記電子データを記録するための記憶媒体と、
前記配信サーバーから、前記電子データを受信する電子データ受信部と、
受信した電子データに付加された前記テレビIDが、予め登録されている自身のテレビIDと一致する場合、当該電子データを前記記憶媒体に記録する電子データ記録部と、
記録された前記電子データを表示する電子データ表示部と、を備えたことを特徴とする電子データ配信システム。
【請求項2】
前記テレビ情報記憶部は、
前記テレビIDおよび前記住所に、前記住所の居住人の氏名をさらに関連付けて記憶し、
前記電子データ取得部は、
前記企業サーバーから、前記電子データの受取主となる前記氏名をさらに取得し、
前記電子データ配信部は、
取得した前記電子データに、前記住所および前記氏名と関連付けられたテレビIDを付加して、前記テレビ放送受信機に配信することを特徴とする請求項1に記載の電子データ配信システム。
【請求項3】
前記テレビ情報記憶部は、
1の前記氏名に対して、複数の前記テレビIDを関連付けて記憶することを特徴とする請求項2に記載の電子データ配信システム。
【請求項4】
前記テレビ放送受信機は、
前記氏名に関連付けられた前記複数のテレビIDの内、いずれか1のテレビIDを指定する転送指示部をさらに備えたことを特徴とする請求項3に記載の電子データ配信システム。
【請求項5】
前記電子データ配信部は、
前記電子データおよび前記テレビIDと共に、前記氏名をさらに配信し、
前記テレビ放送受信機は、
前記氏名とパスワードとを関連付けて記憶するパスワード記憶部と、
前記パスワードを入力する入力部と、をさらに備え、
前記電子データ表示部は、
入力された前記パスワードと一致するパスワードに関連付けられた前記氏名が付加されている前記電子データを表示することを特徴とする請求項2ないし4のいずれか1項に記載の電子データ配信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−187064(P2010−187064A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−28241(P2009−28241)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】