説明

電子マイクロ流体素子のシステム・イン・パッケージプラットフォーム

本発明は集積電子マイクロ流体素子に関する。当該素子は、第1支持体(122)上に存在する半導体基板(106)、該半導体基板の第1半導体基板面上に存在する電子回路(102,104)、及び外部素子への信号インターフェース構造を有する。前記信号インターフェース構造は、前記第1半導体基板面上に備えられ、かつ前記電子回路から電気信号を受け取るように備えられている。マイクロ流体構造(126)は、前記半導体基板内に形成され、かつ流体を閉じこめて、該流体が、前記第1半導体基板面に対向して、かつ前記第1支持体の反対を向く第2半導体基板面上にのみ存在する前記マイクロ流体構造から流れること、及び前記マイクロ流体構造へ流れることを可能にするように備えられている。当該電子マイクロ流体素子は、様々なシステム・イン・パッケージ用途を構築するための柔軟性を有するプラットフォームを形成する。それにより、電気面と液体化学面とが明確に分離される。本発明の素子を作製する方法についての請求項に係る方法はまた、単純な断熱マイクロ流体構造の構築をも可能にする。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集積電子マイクロ流体素子に関する。本発明はまた集積電子マイクロ流体素子を有する集合体にも関する。本発明はさらに、集積電子マイクロ流体素子の製造方法及び集合体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
小さなスケールでの化学及び生物学分析を行うためのマイクロ流体が開発されてきた。これが、流体成分及び同一基板上に集積された電気駆動回路又はセンサ部品を有するマイクロ流体のラボ・オン・チップ素子につながった。よってそのような小型化素子は化学反応装置を形成する。化学反応装置は、試薬の混合、熱サイクル、又は反応生成物の検出を含む他の機能を行うことができる。係る素子はたとえば特許文献1から既知である。
【0003】
係る集積電子マイクロ流体素子の問題は、液体化学界面と電気界面とが近接していることである。このことにより、電気コンタクトが化学物質に曝露される危険が生じので、集合体の誤作動又は破壊となる。
【特許文献1】米国特許第6057149号明細書
【特許文献2】国際公開第95/19645号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って本発明の目的は、化学界面と電気界面との間を良好に隔離する、集積電子マイクロ流体素子及び当該集積電子マイクロ流体素子を有する集合体を提供することである。
【0005】
さらに本発明の目的は、化学界面と電気界面との間を良好に隔離する、集積電子マイクロ流体素子の製造方法及び当該集積電子マイクロ流体素子を有する集合体の製造方法を供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によると、集積電子マイクロ流体素子が供される。当該集積電子マイクロ流体素子は、
第1支持体上に設けられた半導体基板、
該半導体基板上に設けられた電子回路、
前記第1支持体の方向を向く第1半導体基板面上に備えられ、前記電子回路と接続し、かつ前記電子回路及び外部通信チャネルと入出力信号のやり取りをするように備えられている信号インターフェース構造、並びに
前記半導体基板内のマイクロ流体構造であって、流体を閉じこめるように備えられ、及び、前記第1半導体基板面に対向してかつ前記第1支持体の反対を向く第2半導体基板面上に存在する当該マイクロ流体構造に対してのみ前記流体が流入出可能となるように備えられているマイクロ流体構造、
を有する。
【0007】
本発明の集積電子マイクロ流体素子では、機能電子素子部分及びマイクロ流体素子部分が半導体基板内に集中している。一方で、半導体基板は1つ以上の電子回路及び1つ以上の外部素子への信号インターフェース構造を有する。電子回路は、たとえば半導体基板内でのヒータ構造の駆動、又はアナログセンサ信号のデジタル信号への変換等の特定機能を供するため、たとえばトランジスタ、ダイオード、抵抗器、キャパシタ、インダクタ等の回路素子のネットワークを形成する。信号インターフェース構造は、半導体基板上に設けられた電子回路と外部素子との間のインターフェースを形成する。たとえば電流又は電圧のような電気信号が、電子回路と信号インターフェース構造との間でやり取りされる。そのようなものとして信号インターフェース構造は、電子回路から電気信号を受け取る。外部素子とのやり取りには電気信号が用いられて良いし、又は他の種類の信号が用いられても良い。他の種類の信号とはたとえば、高周波又は光学周波数での電磁波信号である。当然ことだが任意で、インターフェース構造は、外部素子で開始されて電子回路へ向かう通信を可能にするように備えられても良い。しかしたとえばセンサ用途では、外部素子へ“一方通行”の信号をやり取りすれば十分である。
【0008】
他方半導体基板はさらにマイクロ流体構造を有する。マイクロ流体構造自体は前述したように当技術分野において既知である。またマイクロ流体構造は、たとえば流体中での分子の検出、流体の加熱、1種類以上の流体の化学反応の実現、又は単純な流体の貯蔵若しくは輸送のような多くの様々な目的を供して良い。マイクロ流体構造は半導体基板中に形成され、かつ流体を閉じこめる。つまりマイクロ流体構造は、流体(気体又は液体)の収容、保持、又は輸送を行うための容積を供する。よって流体の閉じこめは、ある特定の方向に流体を案内し、又はある特定の地点を超える流体を制限するように機能して良い。一般的にはマイクロ流体構造は、半導体基板中の所望容積内に流体を閉じこめるため、流体を透過しない壁を有する。
【0009】
流体の閉じこめは、複数の方向にて供されて良い。複数の方向とは具体的には半導体基板の主表面に対して平行又は垂直な方向である。当然のことだが、流体が閉じこめられる方向は、特定の用途において閉じこめが必要とされる方向である。しかし本発明によると、少なくとも1つのマイクロ流体構造は、流体が、前記第1半導体基板面に対向して、かつ前記第1支持体の反対を向く第2半導体基板面上にのみ存在する前記マイクロ流体構造から流れること、及び前記マイクロ流体構造へ流れることを可能にするように備えられている。
【0010】
一方では電子回路と信号インターフェース構造が半導体基板の一の面上に供され、他方ではマイクロ流体構造がその一の面と対向する半導体基板の他の面上に供されている。従って半導体基板に対する流体-具体的には液体-界面と電気界面が、その半導体基板の対向する面上に供される。よって本発明の集積電子マイクロ流体素子は、当該素子の電気部分とマイクロ流体部分との明確な分離を保証する。よってこの構造の特徴は、特に外部素子に対する化学及び電気界面の厳密な局所分離のような、本発明の全体的な考え方を反映している。
【0011】
しかし当該素子は当然のことながら、所望の組合せである電気-化学界面をさらに有しても良いことに留意して欲しい。たとえば、流体と、半導体基板中に反応チャンバを形成するマイクロ流体構造内の電気コンタクト素子との間で直接ガルバニックコンタクトがとられても良い。
【0012】
第1支持体の機能は半導体基板を支持することである。よって第1支持体は、支持を供するのに程度の剛性を有していなければならず、かつ服しなければならない製造中の処理条件及び動作条件(化学物質、高温又は放射線)に耐えるのに十分な程度の耐久性を有していなければならない。そのようなものとして第1支持体は、たとえばガラス、プラスチック、エポキシ樹脂などの様々な材料、及び、平板、立方体状又は梁のような様々な形状で作製されて良い。材料及び形状は各対応するマイクロ流体用途に依存する。さらに半導体基板の“電気面”は、第1支持体の方向を向いている。これは、回路及び信号インターフェース構造を流体の接触から保護するという利点を有する。
【0013】
本発明の電子マイクロ流体素子は、多くの特化した素子用途の基礎として用いることのできるシステム・イン・パッケージ(SiP)プラットフォームを形成する。SiP素子は、複数のサブシステムから構成される機能システムである。SiP素子は、産業界標準の集積回路パッケージのパッケージ形式に組み込まれる。
【0014】
マイクロ流体素子についての多くの構造が当技術分野において知られている。またその中には好適実施例においてより詳細に記載されているものもある。以降で詳述するように、本発明の電子マイクロ流体素子はまた、回路基板上の集合体に容易に集積されるモジュールをも形成する。
【0015】
以降では、本発明の第1態様に係る電子マイクロ流体素子の好適実施例について説明する。これらの実施例は、明細書中の対応する説明から代替物しか形成できないことが明示されている又は明らかである場合を除いて、互いに組み合わせられて良い。
【0016】
本発明の電子マイクロ流体素子は、基板搬送技術(STT)に基づくことが好ましい。STTは、薄くした半導体基板中にさえも、プロセス及び後処理中に素子が破壊する危険性を生じさせることなく、マイクロ流体構造を作製することを可能にする。STTの概要は、2004年にデルフト工科大学のロナルド・デッカーによって与えられた。
【0017】
半導体基板の好適材料はシリコンである。この材料を選択することの利点は、好適実施例の説明の箇所で後述する。
【0018】
当該電子マイクロ流体素子の好適実施例はさらに、第2半導体基板面上に第2支持体を有する。第2支持体は、流体がマイクロ流体構造へ流れ、かつ該マイクロ流体構造から流れることを可能にする開口部を有する。第2支持体はさらに、当該素子を安定化させて、かつプラットフォーム又は流体に曝露されていない第2半導体基板面の一部を密閉する。
【0019】
他の好適実施例によると、信号インターフェース構造は、少なくとも1つの内部コンタクト素子を有する。この内部コンタクト素子は、“T”の文字の横棒と縦棒に対応する2つの部分を有する。Tの縦棒に対応する部分は基板部分とも呼ばれる。基板部分は、半導体基板上に備えられ、かつ電子回路と接続する。Tの横棒に対応する内部コンタクト素子の他の部分は、基板積層体の傾斜面上に供されている。この部分は、側面部分とも呼ばれる。その理由は、その他の部分は外部コンタクト素子と接続する絶縁リードを形成するからである。従って内部コンタクト素子の基板部分及び側面部分は、半導体基板上の電子回路を外部コンタクト素子と接続する。内部コンタクト素子の両部分は流体が接触しないように密閉されている。基板部分は、第1支持体、半導体基板、及び第2支持体によって形成される基板積層体のサンドイッチ構造により、密閉されている。側面部分の絶縁は、傾斜側面上の内部コンタクト素子を密閉する。
【0020】
この実施例の素子構造は、特許文献2から周知であるシェルケース(ShellCase)パッケージ構想と相性がよい。本実施例は、このパッケージ構想の適用可能性を電子マイクロ流体素子にまで拡張する。
【0021】
支持体は支持板の形態をとることが好ましい。導電性支持体が用いられる場合、半導体基板上に供された電子回路間での意図しない短絡を回避するため、支持板と半導体基板との間に絶縁を供することに注意しなければならない。また各異なるコンタクト構造間での短絡を回避することが当該素子を適切に機能させるのに必要な場合、支持板は、電子マイクロ流体素子上に供される如何なる電気コンタクト素子からも絶縁されていなければならない。
【0022】
T字内部コンタクト素子を用いる実施例のさらなる改良型では、T字内部コンタクト素子の断面は半導体基板に隣接するように備えられている。半導体基板は第1絶縁溝を有する。その第1絶縁溝は、その一の面上に存在するT字内部コンタクト素子の断面を、その一の面に対向する面上に存在する半導体基板部分から隔離するように備えられている。分離溝は、基板上に過去に形成され、かつ分離溝を超えて横方向に延びる酸化膜に向かって、半導体基板を貫通することが好ましい。
【0023】
この実施例は、積層基板の傾斜面上に存在する側面部分と半導体基板との間の短絡を回避する。代替実施例では、基板の横方向の拡張は、半導体基板と内部コンタクト素子との間に絶縁充填物が供されるように減少する。充填材料は、第1支持板上に半導体基板を設けるのに用いられる接合剤であることが好ましい。
【0024】
一の好適実施例では、第1支持体のみ、又は第1及び第2支持体が断熱性である。マイクロ流体構造は、半導体基板中の第1断熱溝によって取り囲まれる。断熱溝は、第2半導体基板側に対して開いていて、かつ断熱材料で満たされているか、又は少なくとも部分的に空である。
【0025】
本実施例は、電子マイクロ流体素子の有利な特性を利用して断熱マイクロ流体構造を集積している。マイクロ流体構造の断熱は、たとえばこの構造をある特定の温度にまで加熱するときに有利である。たとえば化学反応の促進又は持続には加熱が必要になると考えられる。そのような化学反応の一例は、DNA(デボキシリボ核酸)を増幅するためのポリメラーゼ連鎖反応(PCR)である。断熱領域の別な用途は、たとえば微小熱量測定センサによる、化学反応に起因する温度変化の高感度検出である。
【0026】
加熱手段又は検出手段はそれぞれ、第1半導体基板面上の断熱領域内に有利に備えられる。断熱領域の外側にある電子回路の他の部分に対して加熱手段又は検出手段を結合しても、それほど断熱は妨害されない。
【0027】
本実施例は、シリコン半導体基板を有する集積電子マイクロ流体素子にとって特に有利である。シリコンは、たとえばラボ・オン・チップのような集積電子マイクロ流体素子、又はセンサ素子の作製に非常に適した材料であると考えられる。しかしシリコンは熱伝導率が高いために、当該素子内に断熱領域を作製するのが難しい。従来技術では、その問題を解決する一の一般的な方法は、シリコン基板を局所的に薄くすることで薄膜を形成することである。しかし薄膜処理は大量生産には適していない。薄膜は傷つきやすく、後続の処理中に壊れやすい。その結果製造プロセスの歩留まりが低下する。さらに薄膜処理はほとんど大抵の場合、テトラメチルアンモニウム(TMAH)又は水酸化カリウム(KOH)を用いた背面からのシリコンウエハのエッチングに基づいている。このようなエッチングでは、エッチャントの浸食性ゆえにウエハの前面を保護する必要がある。しかしそれは困難なことである。さらにKOHエッチングは十分に理解されておらず、時に予期せぬエッチング特性を示す恐れがある。エッチャントにKOHを用いることの別な欠点は、KOHエッチングには、特別なウエットベンチが必要なことである。それは、ほとんどの半導体工場で見られるような標準的な装備ではない。
【0028】
対照的に本実施例は、第1断熱支持体上に半導体基板が備えられた構成を利用する。適した断熱体はたとえば絶縁体である。絶縁体は一般に良好な断熱体でもある。たとえばダイアモンドやBeOのようなこの法則に対する例外を形成する材料は、本実施例の支持体材料には用いられるべきではない。
【0029】
この実施例では、基板搬送技術を利用することは特に有利であることが分かる。STTは、当技術分野の多くの用途にとって不利であると考えられてきた。これは、セラミックス又はポリマーを選ぶことで耐熱性が大きくなるためである。しかし本実施例では、その結果本発明の積層基板は断熱目的にとって非常に適したものとなっている。また断熱領域は、1つ以上の断熱溝を断熱領域の周りに形成することで、半導体基板中に容易に形成することができる。
【0030】
第1断熱溝は、第2半導体基板面から半導体基板まで延在し、第1基板面上で断熱層によって覆われている。断熱層とはたとえば、半導体基板上に備えられた二酸化シリコン層である。このようにして伝熱性基板材料(シリコン)の存在は最小限に抑えられる。
【0031】
断熱溝は断熱材料によって満たされて良い。良好な断熱を得るための代替手法は、断熱溝の少なくとも一部を空にしておくことである。断熱溝を部分的に満たす際には、耐熱性率の高い材料を用いることが好ましい。第1支持板上に半導体基板を設けるのに用いられる接合剤の多くはこの場合に適している。
【0032】
本実施例に係る別な特定の構造上の特徴に関わらず、一般的には本発明の電子マイクロ流体素子の他の用途についても絶縁性支持体及び/又は断熱性支持体を用いることが好ましい。
【0033】
以降では本発明の素子でのマイクロ流体構造に係る複数の有利な実装例について説明する。
【0034】
以降の例のマイクロ流体構造は、たとえば薄くしたシリコン基板のような薄くした半導体基板中に実装されることが好ましい。
【0035】
第1例は、半導体基板中の第1凹部によって形成される反応チャンバである。反応チャンバは凹部壁によって閉じこめられている。反応チャンバの断熱には、その凹部壁を取り囲むように第2断熱溝を備えることが好ましい。
【0036】
このようにして、化学反応によって反応チャンバ内で生成される熱は、その反応チャンバの横方向での基板領域に閉じこめられる。断熱溝はまた冷却流体の循環にも用いられて良い。
【0037】
他の発展型では、反応チャンバは、電子回路の一部を形成し、かつ第1半導体基板面上に備えられているヒータアレイに対向して備えられて良い。このようにして化学反応を制御して実行することができる。
【0038】
第2例では、マイクロ流体構造は電気泳動ポンプを有する。このため、第2凹部が半導体基板内であって2つのフィールドプレート中に備えられる。2つのフィールドプレートは、凹部壁によって形成され、かつ隣接する第2絶縁溝によってその半導体基板から絶縁されている。
【0039】
第3例は電子マイクロ流体素子によって形成される。当該電子マイクロ流体素子では、電子回路はフォトダイオードを有し、そのフォトダイオードは半導体基板中でのマイクロ流体チャネルの形態をとるマイクロ流体構造に直接隣接するように備えられている。よって化学反応中での発光をオンチップで検出することができる。
【0040】
第4例では、電子回路は、第1半導体基板面上に2つのコンタクト素子を有する。その2つのコンタクト素子は、その半導体基板中の第3凹部の形態をとるマイクロ流体構造にまで延在する。コンタクト素子は、当該素子の動作中に第3凹部内の流体への直接ガルバニックコンタクトを確立するように備えられている。
【0041】
さらなる好適実施例では、ベンゾシクロブテン(BCB)層が、第2支持板と半導体基板との間に備えられている。
【0042】
BCBを使用するということは、陽極結合を使用するよりも有利な実施例を意味する。陽極結合を使用する実施例は、表面の平坦性及び清浄性に関して厳しい要件を有する。それに加えて陽極結合では高温が必要となる。そのため、第1支持板へ半導体基板を接合させるのに用いられる接合剤には、そのような高温に耐えうる材料を選ばなければならないという制限がかかる。対照的にBCBは、理想的には半導体基板中の空洞の平坦化及びその空洞にわたる接合に適している。従って半導体基板と第2支持板との間での永続的な付着が実現可能となり、かつ半導体基板に含まれるマイクロ流体構造に意図しない充填が起こることが回避される。BCBの使用のさらなる詳細については、本発明の方法に係る好適実施例のところで説明する。
【0043】
さらなる好適実施例では、第2支持板中の開口部は、取り外し可能な蓋を保持するように備えられている。従って集積電子マイクロ流体素子のさらなる実施例は、第2支持板中の開口部に備えられた取り外し可能な蓋を有する。取り外し可能な蓋は、半導体基板上に供されるマイクロ流体構造への流体の流入出を可能にするように備えられた少なくとも1つの開口部を有して良い。しかし係る開口部はまた、第2支持板中に設けられても良い。それにより、取り外し可能な蓋に開口部を設けないままにすることが可能となる。この場合、取り外し可能な蓋は、マイクロ流体構造を洗浄する開口部を供するようにのみ機能する。取り外し可能な蓋は、安価な成型技術によって製造することができる。当該素子が異なる化学反応に用いられるとき、取り外し可能な蓋は、容易に取り換えることができる。また取り外し可能な蓋は、マイクロ流体構造を洗浄する目的で、半導体中のマイクロ流体構造への大面積でのアクセスを可能にする。
【0044】
第1及び第2支持体はガラス板であることが好ましい。ガラスは集積電子マイクロ流体素子用の周知な材料である。集積電子マイクロ流体素子用材料としてのガラスの利点は高い耐熱性である。
【0045】
しかし代替材料はまた、支持体用に有利に用いられて良い。ある特定のポリマー、特にポリイミドは、半導体基板を支持し、かつ破壊を防ぐための剛性を供する。他方で、既知のポリイミドは、優れた耐熱性及び耐化学性を供する。優れた耐熱性及び耐化学性ゆえ、既知のポリイミドは特にラボ・オン・チップ用途に適したものとなる。代替実施例では、第1支持体、若しくは第2支持体、又は第1支持体と第2支持体の両方は、ポリイミドによって形成される。たとえば第2支持体と化学物質が接触することが予想される、つまりたとえばガラスのような他の支持体材料に損傷を与える恐れがあるとき、ポリイミドが用いられて良い。他方で当該素子が広い領域で高温を発生させる、又は広い領域で高温に曝露される場合も、ポリイミドの第1支持体を供することが有利になると思われる。ポリイミドに加えて、エポキシ樹脂又はある特定のポリカーボネートも有用な特性を供することができる。そのような有用な特性により、エポキシ樹脂又はある特定のポリカーボネートは第1又は第2支持体用に適した材料となる。
【0046】
本発明の第2態様によると、本発明の第1態様又はその実施例のうちの1つによる集積電子マイクロ流体素子を有する集合体が供される。当該電子マイクロ流体素子は回路基板上に設けられる。当該集積電子マイクロ流体素子の外部コンタクト素子は、回路基板上に供されるコンタクト構造に接続する。
【0047】
電気界面と化学界面との間に明確な境界を供することに加えて、本発明の第2態様に係る集合体は、様々な電子マイクロ流体素子及び回路基板の組合せにおいて大きな柔軟性を有するという利点を有する。所望の用途に依存して、特定の電子マイクロ流体素子が選択され、かつ回路基板上に設けられて良い。その回路基板は当該電子マイクロ流体素子との接続用に標準的な電気界面を有することが好ましい。
【0048】
当該集合体の好適実施例では、絶縁性のアンダーフィル層が、回路基板と電子マイクロ流体素子との間の空間に備えられている。アンダーフィルは、その空間に流体が侵入するのを防ぐように備えられている。
【0049】
このようにして、電子マイクロ流体素子の外側電気界面の密閉は、プリント回路基板上の集合体でも維持される。“液体面”と“電気面”との間での明確な分離がさらに改善される。
【0050】
この構想のさらなる発展型では、コンタクト構造が、回路基板の一の面上に備えられる。その一の面は電子マイクロ流体素子の方向を向き、かつその回路基板の一の面に対向する面上に供される電子回路と電気的に接続する。外部素子へのボンドパッドはまた、その回路基板の一の面に対向する面上に供されることが好ましい。その回路基板の2つの互いに対向する面間での電気的接続は、貫通ビアによって実現されることが好ましい。
【0051】
本発明の第3態様によると、電子回路及びマイクロ流体構造を有する集積電子マイクロ流体素子の作製方法が供される。当該方法は、
-以降において多数の各独立した電子マイクロ流体素子に分離するため、多数の電子回路及び信号インターフェース構造を第1ウエハ面上に有する半導体ウエハを製造する工程、
-前記半導体ウエハを第1支持体上に設ける工程であって、前記第1ウエハ面が前記第1支持体の方向を向いている、工程、
-前記第1ウエハ面に対向する第2ウエハ面から前記半導体ウエハを薄くする工程、
-前記第2ウエハ面から前記半導体ウエハ中に複数のマイクロ流体構造を作製する工程、及び
-前記ウエハをダイシングする工程、
を有する。
【0052】
本発明の第2態様に係る方法は、本発明の第1態様に係る集積電子マイクロ流体素子の経済的な作製を可能にする。本発明の方法の利点は、本発明の第1態様に係る集積電子マイクロ流体素子について前述した利点に対応する。それに加えて本発明の方法は、本発明の方法に従って処理される半導体ウエハから多数の電子マイクロ流体素子を効率よく製造する方法を供する。
【0053】
様々なエレクトロニクス及びマイクロ流体の用途のために多数の様々な素子が、本発明の第2態様の方法を用いて作製されて良い。これにより経済的な利点が供される。その理由は、特別な電子素子及びマイクロ流体構造を作製するのにマスクプロセスのみを変更すれば良いからである。一般的なプロセス手順は、電子マイクロ流体素子の全種類について同一である。
【0054】
以降では、本発明の方法の好適実施例について説明する。これらの実施例は、明細書中の対応する説明から代替物を形成することが明示されている又は明らかである場合を除いて、互いに組み合わせられて良い。
【0055】
好適実施例では、多数のマイクロ流体構造を形成する工程は、前記半導体ウエハ中であって前記マイクロ流体構造のうちの1つの周りに第1断熱溝を形成する工程を有する。本発明の第1態様に係る電子マイクロ流体素子の対応する実施例について記載した際に述べたように、この実施例は、断熱マイクロ流体構造を形成する単純なプロセスを供する。
【0056】
さらなる好適実施例では、第2支持板を設けることによってマイクロ流体構造を密閉する工程は、
-前記第2支持板上にベンゾシクロブテン(BCB)層を堆積する工程、
-前記第2ウエハ面上に前記第2支持板を設けることで、積層基板を形成する工程、
-最初に前記積層基板を170℃から200℃未満の温度にまで加熱し、その後前記積層基板を200℃の温度に加熱することによって前記BCB層を硬化する工程、
を有する。
【0057】
この実施例はBCBの有利な特性を利用している。この材料は特有の温度特性を有する。温度が170℃に到達するとき、BCBは水と同様の粘性を有する液体となる。さらに200℃にまで加熱すると、BCBは再度固化して、最終的には200℃で架橋する。従ってBCBは、理想的には半導体基板中の空洞の平坦化及びその空洞にわたる接合に適している。BCB層の硬化工程前に、BCB層が完全に乾くまで170℃未満の温度でのベーキング工程が行われることが好ましい。
【0058】
当該方法の好適実施例はさらに、
-前記ウエハ上の各電子マイクロ流体素子について、T字形状の内部コンタクト素子の基板部分を形成する工程であって、前記基板部分は、T字の縦棒に対応し、かつ各対応する前記電子マイクロ流体素子の電子回路と接続する、工程
-前記第1支持体及び半導体ウエハ中に切り込みを形成することで、各電子マイクロ流体素子の傾斜面を画定する工程、
-前記傾斜面上にリードを形成することで、T字の横棒に対応する前記T字形状の内部コンタクト素子の側面部分を完成させる工程、及び
-外部素子に対して電気的接続を行うために外部コンタクト素子を形成する工程、
を有する。
【0059】
この実施例は、電子マイクロ流体素子の分野における新たなSiPプラットフォーム技術に集積回路素子を導入するため、基板搬送技術の利点と特許文献2のシェルケース法の利点とを組み合わせている。
【0060】
さらなる好適実施例では、傾斜側面上にリードを形成する工程は半導体基板に隣接するようにT字の内部コンタクトの断面を形成する工程を有し、かつT字の内部コンタクトの断面を半導体基板部分から隔離する第1絶縁溝を形成する工程は多数のマイクロ流体構造を形成する工程と共に実行される。この処理により、半導体基板の側面上に直接リード部分を形成することが可能となる。それと同時に、内部コンタクト素子と基板との間での短絡の危険が回避される。
【0061】
さらなる実施例では、第1支持体上に半導体ウエハを設ける工程は、
-前記ウエハ上にポリマー層を形成する工程、
-前記ポリマー層上にリフトオフ層を形成する工程、及び
-前記リフトオフ層上に暫定的支持体を設ける工程、
を有する。
【0062】
この実施例では、暫定的支持体は、リフトオフ層を除去することによって以降の処理中にリフトオフされる。このようにしてポリマー層は電子マイクロ流体素子の動作中に第1支持体を形成する。暫定的支持層は、当該素子の作製中に更なる安定性を与える。リフト層はたとえば、容易に除去される酸化膜であって良い。
【0063】
本発明の方法のさらなる実施例では、各電子マイクロ流体素子について第2支持板中に少なくとも1つの開口部を供する工程は、取り外し可能な蓋を保持するために第2支持板中に1つの開口部を備える工程を有する。この実施例は、洗浄プロセスで用いることができる蓋の開口部内でのマイクロ流体構造への大面積アクセスを供することにより、異なる化学物質についての電子マイクロ流体素子の容易な再利用を可能する。
【0064】
本発明の第4態様によると、本発明の第2態様による集合体を作製する方法は、本発明の第3態様又はその実施例の1つによる方法に従って集積電子マイクロ流体素子を作製する工程、及び回路基板上に前記電子マイクロ流体素子を設ける工程を有する。
【0065】
本発明の第4態様による方法の利点は、本発明の第3態様による方法の利点の結果生じる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0066】
以降では、本発明のさらなる実施例について図を参照しながら説明する。
【0067】
図1のA)-J)は、微小熱量測定センサを有する集積電子マイクロ流体素子の製造プロセスの様々な段階を図示している。
【0068】
その説明の開始点は十分に処理されたCMOS又はBiCMOSである。他の専用集積回路プロセスで処理された半導体ウエハも当然のことながら用いられて良い。本明細書においてはウエハという語は、半導体ウエハの語を短くしたものとして用いていることに留意して欲しい。ウエハの語はときに本発明に従って処理された半導体ウエハ-つまり以降の記載から明らかなように2枚の支持板の間に挟まれた半導体-を指すのにも用いられる。
【0069】
図1A)は、センサ集積回路(IC)100の概略的断面を図示している。これまでのCMOS若しくはBiCMOS又は他の回路処理中に、電子回路102と104がシリコン基板106上に形成された。回路は図示されていない。しかし回路はフィールド酸化膜108の間に備えられている。ボンドパッドを形成又は接続するため金属層110が上に設けられている。シリコン基板106の端部では、ボンドパッド拡張部112と114が堆積される。ボンドパッド拡張部112と114は、以降のプロセスではT字形状の内部コンタクト素子を形成するのに用いられる。
【0070】
垂直矢印116は、微小熱量測定センサ素子に用いられるマイクロ流体構造の所望位置を示している。温度センサは、シリコン基板中の矢印116によって示された位置に供される。周りを取り囲んでいるフィールド酸化領域118と120が図示されている。温度センサはたとえばpn接合(図示されていない)によって形成されて良い。信号増幅、アナログ-デジタル変換、インターフェース等として機能する追加の回路が供されて良い。
【0071】
産業上の製造では、図示されたシリコン基板106が、図1A)に図示されたような多数の素子を含むシリコンウエハの一部を形成することが分かる。従ってこの説明では、基板及びウエハの語は、明示されている場合を除いて同義に用いられる。
【0072】
次の処理工程では、シリコンウエハ106はその全体が覆われるようにガラス支持板122に接合される。接合層124は、この処理工程で用いられる。その結果が図1Bに図示されている。
【0073】
続く処理工程では、シリコンウエハは研磨によって薄くされる(図1C)を参照のこと)。典型的な厚さは50〜100μmである。次の工程では、シリコン基板は、後の処理工程(図1F)を参照のこと)においてウエハ中に切り込みを形成するのに用いられる部分から除去される。その除去はドライエッチングによって実行される。そのドライエッチングは、延在したボンドパッド領域112と114に隣接するフィールド酸化膜で止まる。
【0074】
同一工程において、マイクロ流体構造126はドライエッチングによって形成される。従って同一マスクが、将来のチップの横方向端部上に存在する基板の除去、及びマイクロ流体構造126の作製に用いられて良い。この場合では、マイクロ流体構造は1組のマイクロ流体チャネルを有する。チャネルの一例は参照番号128の下に図示されている。マイクロ流体構造126の多チャネル構造は、化学流体の反応表面を増大させる機能をする。
【0075】
溝130は、マイクロ流体構造126の周囲に存在するシリコン基板中に形成される。溝はまた、ドライエッチング工程において同一のマスクを用いることによってチャネル構造と共に形成される。従ってこの処理はマイクロ流体構造の形成と特許文献2に記載された既知のシェルケース処理とを統合する。マスク設計には修正が必要であっても、処理の変更は必要とされない。
【0076】
続いてウエハは、接合層134を用いることによって第2ガラス支持板(図1E))に接合される。続いて切り込み136と138が、第1ガラス支持板122と接合層124を貫通し、さらにボンドパッド112と114に隣接するように形成される。その切り込みはダイシングによって形成される。切り込みの底面140と142はそれぞれ、第2接合層134内に存在する。
【0077】
続いて再度塗布したメタライゼーション層144,146が第1ガラス支持板122の外側面上に形成される。このようにして延在したボンドパッド領域112と114は、再塗布したメタライゼーション144と146にそれぞれ接続する。T字内部コンタクト素子148と150を有する信号インターフェース構造はこのようにして作製される。ここで、ボンドパッド拡張部112と114はT字の縦棒に対応するコンタクト素子の基板部分112と114を形成する。また再塗布したメタライゼーションの側面部分152と154は、ガラス支持板122中の切り込みの傾斜面上に分離されたリード部分を形成し、かつT字の横棒に対応する。切り込みの外側面上の分離は、再塗布したメタライゼーション144,146にわたって分離層155を堆積することによって実現される。再塗布したメタライゼーション層ははんだバンプ156と158に接続する。
【0078】
図1H)に図示された次の工程では、マイクロ流体構造126の側部領域に位置する第2ガラス支持板132中に穴160が形成される。これはたとえば、ガラス支持板132の選択領域をサンドブラスト処理し、弾性接合層134で止めることによって実現されて良い。
【0079】
続いて図1I)に図示されているように、酸素プラズマエッチングによって穴160の領域に存在する接合層134は除去される。このようにして接合134の接合材料はすべて、マイクロ流体構造126及び溝130の周辺領域から除去される。よってマイクロ流体構造126の周囲の断熱が効率的に供される。所望であれば、溝130は断熱材料で満たされて良い。しかしマイクロ流体構造126のチャネル128を満たしてはならない。
【0080】
以降の工程では、個々の電子マイクロ流体素子162を得るため、ウエハは切り込み136と138でダイシングされる。
【0081】
図1J)から明らかなように、化学流体のためのアクセスは、当該素子162の一面上に設けられたガラス支持板132内に穴160を貫通することで供される。その一方で外部素子への電気界面ははんだバンプ156と158によって供される。
【0082】
図2は、プリント回路基板(PCB)202上に電子マイクロ流体素子162を設けることによって形成されたシステム・イン・パッケージ200を図示している。PCB202上に電子マイクロ流体素子162を設けるのははんだ付け工程によって実行され、その後電気コンタクトの密閉に適したアンダーフィル204が用いられる。所望であればビアホールを設けることが可能である。そのようなビアホールの例は参照番号206と208によって図示されている。ビアホール206と208は、PCB202のセンサ面上に導体が存在しないように、当該電子マイクロ流体素子の下に設けられている。
【0083】
このようにしてシステム・イン・パッケージ200は、液体化学物質のアクセスを可能にする“液体面”210を有する。その“液体面”210は、外部素子との電気信号のやり取りを行うための“電気面”212から明確に分離されている。
【実施例1】
【0084】
図3A-Iは、ラボ・オン・チップ素子の製造中における様々な段階を図示している。
【0085】
この実施例の開始点は繰り返しになるが、十分に処理されたシリコンウエハ300である。ウエハは、標準的なCMOS又はBiCMOSプロセスに従って作製された電子回路を有する。作製されるラボ・オン・チップの要件に依存して、CMOSプロセスへの小さな付加又は修正が必要となる場合があるものと思われる。他の例では、CMOS又はBiCMOSプロセスの代わりに能動素子を用いることなく単純な低コストプロセスを用いることが、より費用対効果の良いものとなる場合がある。
【0086】
図3A)の概略的断面図は、事前作製された複数の部品を有するウエハ300を図示している。本実施例で述べる様々な部品の配置は例示であり、かつ主として様々な特徴部位の処理を説明するためであることに留意して欲しい。現実のラボ・オン・チップ素子では、特定用途の必要性及び要件に対応して、個々のマイクロ流体構造が全く異なる配置であって良い。
【0087】
左から右へ向かう方向に、金属又は多結晶シリコンの蛇行レジスタ(meander resistor)の形態をとるヒーターアレイ302が、層間誘電体層304上に形成される。そのヒーターアレイの横方向位置は、後の処理中に作製される断熱反応チャンバ(図3E)を参照のこと)の横方向位置に対応する。
【0088】
ヒーターアレイ302の右側では、シリコンウエハへの2つのコンタクト308が供される。その2つのコンタクト308は、以降の処理工程中に電気泳動ポンプ用の2つのフィールドプレートと接続する。2つのコンタクト308の右側では、以降の処理に形成される隣接するマイクロ流体チャネル(図3E)を参照のこと)からの発光検出に用いられるフォトダイオードアレイ310が供される。フォトダイオードアレイ310の右側では、以降の処理に形成される、反応チャンバ内の液体への直接ガルバニックコンタクトための(図3E)を参照のこと)2つのコンタクト312が供される。またこれまでに述べた実施例に記載されたように、内部コンタクト素子の形成に用いられるボンドパッド拡張部314も図示されている。供することのできるポンプ構造の別な例は電気浸透流ポンプである。
【0089】
図3B)から図3D)に図示された後続の処理は、図1C)を参照しながら述べた以前の実施例のところでの処理に対応する。シリコンウエハは、接合層の手段によって第1ガラス基板322に接合される(図3B))。続いてウエハは上下をひっくり返される(図3C))。さらにシリコン基板は背面から所望の薄さにまで薄くされる(図3D))。この工程後のシリコン基板の厚さは典型的には50〜100μmのオーダーである。
【0090】
その後シリコンウエハはマイクロ流体構造を形成するようにパターニングされる。マイクロ流体構造の作製は、シェルケースパターニングが実行されるマスクと同一のマスクで行われる。しかし図1及び図2の実施例とは対照的に、シェルケース処理を行わないので、この実施例では、シリコンウエハ306の横方向の減少はない。T字の内部コンタクト素子と基板との間での短絡の結果生じる問題を解決するため、絶縁溝383が、ウエハ中のボンドパッド拡張部314付近に形成される。
【0091】
このパターニング工程では、反応チャンバ364がヒーターアレイ302の横方向位置に形成される。断熱溝366は反応チャンバ364を取り囲んでいる。さらに2つのフィールドプレート368と370は、基板306中のコンタクト素子308の横方向位置に形成される。フィールドプレートは溝372によって取り囲まれている。さらにマイクロチャネル374から380は、フォトダイオードアレイ310に隣接するように形成される。最終的に電気化学反応チャンバ382は、電気化学コンタクト312の横方向位置に形成される。
【0092】
マイクロ流体構造の作製はたとえば、当技術分野において周知であるボッシュエッチングプロセスによって実現されて良い。半導体ウエハ306の前面に存在するフィールド酸化膜304はこの工程においてエッチストップ層として用いられる。
【0093】
次の工程で、ウエハ306中に生成されたマイクロ流体構造は、第2ガラス支持板332上に基板を設けることによって密閉される。第2ガラス支持板332は穴(図示されていない)を有する。その穴は、流入出する流体の開口部として機能する。
【0094】
生成されたマイクロチャネルの空洞を埋めることなく第2ガラス支持板332をシリコンウエハ306に取り付けることができる方法は複数存在する。標準的な方法は陽極結合の利用である。しかしこの方法は非常に平坦で清浄な表面を必要とする。それに加えて結合プロセスに必要とされる温度は、第1ガラス支持板322の接合に用いられる接合剤にとっては高すぎると思われる。
【0095】
従ってこの実施例では、接合剤にベンゾシクロブテン(BCB)が用いられることが好ましい。BCBは5〜10μmの厚さを有する層334にスピン塗布される。その後BCB層334は、完全に乾燥するまで120℃でソフトベーキングされる。後続の加熱工程では、温度が170℃に到達するときに、BCBは水のような粘性を有する流体となる。さらに200℃にまで加熱すると、BCB層334は再度固化して、かつ最終的には200℃で架橋する。この特性によって、BCBは理想的には形成される空洞の平坦化、及びその空洞にわたる接合にも適している。このような工程は、ウエハ306上にBCB層で第2ガラス支持板332を設け、かつこの結果形成されるサンドイッチ構造を170℃にまで加熱するときに、圧力を印加することによって実現されて良い。この点では、BCBは液体であるが、ウエハ306中に形成された空洞には入り込まない。その理由は、有効なBCB容積が限られていること、及び毛管力が働くためである。温度がさらに200℃にまで上昇するとき、BCBは架橋する。その結果第2ガラス支持板332はウエハ334へ永続的に付着する。
【0096】
さらなるプロセスフローは、図1F)、図1G)、及び図1I)のプロセスフローに対応する。そのさらなるプロセスフローは、図3G)、図3H)、及び図3I)に図示されている。この実施例では、切り込み338の形成は、切り込みの底面340がウエハ材料中に存在して接合層中には存在しない点において、図1の処理による切り込みとは異なる。従って積層基板の傾斜面上に塗布される再塗布層354はウエハ306と直接接触することで、界面390を形成する。絶縁溝383は、ウエハ306とT字の内部コンタクト素子350との間での短絡を回避する。この処理もまた既知であるシェルケースプロセスのものとは異なる。
【0097】
図4は、プリント回路基板上の集合体に集積されるラボ・オン・チップ素子を図示している。図2に図示された集合体と同様に、完成した電子マイクロ流体ラボ・オン・チップ素子362がプリント回路基板402上に設けられ、かつ電子マイクロ流体ラボ・オン・チップ素子362とPCB402との間での電気コンタクトはアンダーフィル404によって密閉されている。繰り返しになるが、当該集合体の電気面と液体化学面との間での明確な分離が実現される。
【実施例2】
【0098】
図5A)-D)は、図3及び4のラボ・オン・チップ素子の変化型の製造中における様々な段階を図示している。この実施例の処理は図3に図示された処理にほとんど対応している。しかしこの実施例のラボ・オン・チップ素子500には、液体界面の変更及びラボ・オン・チップ構造の容易な洗浄を可能にする使い捨て可能な蓋用のインターフェースが供されている。
【0099】
説明を単純にするため、1つのマイクロ流体反応チャンバ564しか有していないシリコンウエハ506が図示されている。反応チャンバ564及び周囲の断熱溝566が図示されている。しかしこれは、使い捨て可能な蓋が適用可能であるという一例を与えているに過ぎないことに留意して欲しい。他のマイクロ流体構造も同様にこの基本構想から利益を得ることができる。
【0100】
またボンドパッド拡張部512と514の付近に絶縁溝583と585が図示されていて、ヒーターアレイ502がフィールド酸化膜504にわたって形成されている。図5A)に図示された処理工程では、半導体ウエハ506は、第1ガラス支持板522上に設けられ、薄くされ、かつマイクロ流体構造564,566を形成するため、ボッシュプロセスによる背面からのパターニングを受ける。この処理段階は、図3F)に図示された処理段階に対応する。また図3A)から図3E)を参照して説明された工程に対応する工程は、この状態に到達するように続けて行われて良い。
【0101】
最初の頃に示した実施例に図示された処理との違いは、傾斜側面596と598を有する開口部594が第2ガラス支持板532に供されている点である。以降で開口部594は使い捨て可能な蓋を保持するのに用いられる。開口部594は、第2ガラス支持板532にBCB接合層534を塗布した後に形成されることに留意して欲しい。
【0102】
次の工程では、図5B)に図示されているように、接合剤にBCBを用いることで、第2ガラス支持板532がシリコンウエハ506に接合される。
【0103】
図5C)及び図5D)に図示されている他の処理は、これまでに記載された例の図2H)及び図2I)の処理と同一である。
【0104】
図6は、図5の方法に従って作製されたラボ・オン・チップ素子を図示している。
【0105】
図6のラボ・オン・チップ素子600は図4に図示された構造に似ている。唯一の違いは使い捨て可能な蓋が供されていることである。この使い捨て可能な蓋もまた、開口部622によって例示的に図示されているように、液体化学物質の流入出口を有する。蓋は必ずしもそのような液体化学物質の流入出開口部を有している必要がないことに留意して欲しい。その代わり流入出開口部は第2ガラス支持板532上に供されて良い。使い捨て可能な蓋620は、型成形技術によって作られることが好ましく、かつ一の実施例ではラボ・オン・チップ素子562のマイクロチャネル構造を適切に密閉するため、柔軟性を有する層によってコーティングされる。蓋を開口部594内の適切な位置に保持するために機械クリップ又は固定器具を用いることも可能である。さらに他の有用な実施例では、開口部594の側面596と598は垂直である(傾斜していない)ことに留意して欲しい。あるいはその代わりに側面は負の傾きで傾斜して良い。つまりこのとき開口部594のサイズは、第2ガラス支持板の外側表面へ向かって減少する。後者の実施例では、蓋を開口部594へ“合わせる”ことによって蓋620を固定する他の単純な方法の実現が可能となる。
【0106】
図7A)-7C)は、代替型のラボ・オン・チップ素子の製造中における様々な段階を図示している。
【0107】
全般的には、電子マイクロ流体素子700の作製は最初に紹介した実施例の電子マイクロ流体素子の作製に似ていて、特に基板搬送技術が用いられている点が似ている。また半導体基板710の作製及び構造の形成は、以降で概説する手順に続く。
【0108】
これまでの実施例とは対照的に、信号インターフェース構造はアンテナ712によって形成される。アンテナ712はさらに層を堆積する前に半導体基板上で形成される。アンテナ712はコイル構造を有し、かつ電子回路と外部素子との間での信号の受送信に用いられる。たとえば信号の送信中の操作に用いることのできるエネルギーを受け取るアンテナを用いることも可能である。それに続いて、半導体基板710上に存在するポリイミド層708、酸化膜706、接合層704、及びガラス板702を有する層の積層体が作製される。
【0109】
ガラス板702、接合剤704、及び酸化膜706の順序は、図7B)及び図7C)の記載から明らかなように、製造プロセス中での暫定的な支持体として用いられる。
【0110】
後続の工程では、接合剤718及び第2支持体722の堆積に続き、半導体基板710は、マイクロ流体構造716が背面上に作製されるように加工される。この例では、第2支持体722はポリイミドから作られる。しかし当該素子の動作中での具体的必要性に従って、ガラスが用いられても良い。特定の材料選択に依存して、接合層718は実際にポリイミド層722の一部を形成しても良いことに留意して欲しい。この例に図示されているように、任意でコーティング層724が第2支持体722上部に堆積されて良い。コーティングはたとえば撥水性であって良い。
【0111】
図7C)は、ガラス板702、接合剤704、及び酸化膜706の除去後である完成した素子700を図示している。除去するためにリフトオフプロセスが用いられて良い。酸化膜706は、ガラス板及び接合層704がさらに処理しなくても除去できるように、溶解される。
【0112】
好適実施例の上記説明は、化学物質の界面と電気信号の界面とが明確に分離した電子マイクロ流体素子を作製する本発明に係る方法の適用可能性を示している。また実施例では、本発明の方法が、処理を複雑にすることなく半導体基板中でのマイクロ流体構造の作製を統合する。単にマスクを修正することで、マイクロ流体素子の利点が得られ、そのうちの数例だけだが例示として上記説明で言及されている。
【0113】
本発明の電子マイクロ流体素子はまた中間製品の形態、たとえばダイシング前のウエハのような、でも取引されても良いことに留意して欲しい。
【0114】
一の実施例では、本発明の電子マイクロ流体素子の半導体基板は絶縁体上のシリコン(SOI)基板である。この実施例の電子マイクロ流体素子は、SOI基板の絶縁領域内に形成されるマイクロチャネル又は反応チャンバに隣接する、SOI基板の半導体領域内にたとえばフォトダイオードのような半導体素子を有していることが好ましい。
【0115】
電子マイクロ流体素子は、各異なる界面を用いることによって、液体若しくは気体又は液体と気体の両方に用いられて良い。この場合では、これまでの実施例中で説明されてきた化学界面のように、別個の気体界面が液体化学界面と同一面上に供される。
【0116】
ガラス又はポリマーの代わりに、たとえばセラミックスのような他の既知材料が、支持板に用いられて良い。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】A)-J)は、微小熱量測定センサを有する集積電子マイクロ流体素子の製造プロセスの様々な段階を図示している。
【図2】請求項1のプロセスに従って作製された電子マイクロ流体素子を有する集合体の一例を図示している。
【図3】A)-I)は、ラボ・オン・チップ素子の製造中における様々な段階を図示している。
【図4】プリント回路基板上の集合体に集積されたラボ・オン・チップ素子を図示している。
【図5】A)-D)は、図3及び4のラボ・オン・チップ素子の変化型の製造中における様々な段階を図示している。
【図6】図5の方法に従って作製されたラボ・オン・チップ素子を図示している。
【図7】A)-C)は、代替型のラボ・オン・チップ素子の製造中における様々な段階を図示している。
【図1−1】

【図1−2】

【図1−3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1支持体上に設けられた半導体基板、
該半導体基板の第1半導体基板面上に設けられた電子回路、
前記第1半導体基板面上に備えられ、かつ前記電子回路からの電気信号を受信するように備えられている、外部素子に対する信号インターフェース構造、並びに、
前記半導体基板内に形成されるマイクロ流体構造であって、流体を閉じこめるように備えられ、及び、前記第1半導体基板面に対向してかつ前記第1支持体の反対を向く第2半導体基板面上に存在する当該マイクロ流体構造に対してのみ前記流体が流入出可能となるように備えられているマイクロ流体構造、
を有する集積電子マイクロ流体素子。
【請求項2】
前記第2半導体基板面上に第2支持体をさらに有する集積電子マイクロ流体素子であって、前記第2支持体は前記マイクロ流体構造に対する前記流体の流入出を可能にする開口部を有する、請求項1に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項3】
前記信号インターフェース構造は少なくとも1つのT字形状の内部コンタクト素子を有し、
該内部コンタクト素子は、前記半導体基板上に備えられ、かつ前記電子回路と接続する、Tの縦棒に対応する基板部分に対応する基板部分、及び、前記基板の傾斜側面上に備えられ、かつ外部コンタクト素子と接続する絶縁リードを形成する、Tの横棒に対応する側面部分、を有し、
前記外部コンタクト素子は、外部素子に対する電気コンタクトを確立するように備えられている、
請求項2に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項4】
前記T字形状の内部コンタクト素子が前記半導体基板に隣接するように備えられ、
前記半導体基板は第1絶縁溝を有し、
該第1絶縁溝は、該第1絶縁溝の一の面に対向する面上に存在する半導体基板部分から、前記第1絶縁溝の一の面上に存在する前記T字形状の内部コンタクト素子の側面部分を分離するように備えられている、
請求項3に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項5】
前記第1支持板のみ又は前記第1支持板と前記第2支持板の両方が断熱性であり、
前記マイクロ流体構造が前記半導体基板中の第1断熱溝によって取り囲まれ、
前記第1断熱溝は前記第2半導体基板側に対して開いていて、かつ
前記第1断熱溝は、断熱材料で満たされているか又は少なくとも部分的に空である、
請求項1に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項6】
前記第1断熱溝は、前記第2半導体基板面から前記半導体基板まで延在し、かつ前記半導体基板上に備えられる断熱層によって前記第1基板面上で覆われる、請求項5に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項7】
前記マイクロ流体構造が、前記半導体基板中の第1凹部によって形成され、かつ凹部壁によって閉じこめられている反応チャンバを有し、かつ
前記凹部壁は第2断熱溝によって取り囲まれる、
請求項1に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項8】
前記マイクロ流体構造は電気泳動ポンプを有し、
該電気泳動ポンプは、前記半導体基板中に備えられる第2凹部、及び、凹部壁によって形成され、かつ隣接する第2絶縁溝によって前記半導体基板から絶縁されている2つのフィールドプレートを有する、
請求項1に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項9】
前記電子回路がフォトダイオードを有し、
該フォトダイオードは、半導体基板中のマイクロ流体チャネルの形態をとるマイクロ流体構造に直接隣接する状態で備えられる、
請求項1に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項10】
前記電子回路は前記第1半導体基板面上に2つのコンタクト素子を有し、
該2つのコンタクト素子は、前記半導体基板中の第3凹部の形態をとるマイクロ流体構造にまで延在し、
前記2つのコンタクト素子は、当該素子の動作中に前記第3凹部内の流体への直接ガルバニックコンタクトを確立するように備えられている、
請求項1に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項11】
ベンゾシクロブテン(BCB)の接合層が前記第2支持板と前記半導体基板との間に備えられている、請求項2に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項12】
前記第2支持板内の開口部は、取り外し可能な蓋を保持するように備えられている、請求項1に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項13】
前記開口部内に備えられた取り外し可能な蓋をさらに有する、請求項12に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項14】
前記第1及び第2支持板がガラス板である、請求項2に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項15】
前記第1又は第2支持板がポリマーで作られる、請求項2に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項16】
前記信号インターフェース構造が、高周波スペクトルでの電磁波信号の送受信を行うように備えられているアンテナを有する、請求項1に記載の集積電子マイクロ流体素子。
【請求項17】
回路基板上に設けられた請求項2に記載の集積電子マイクロ流体素子を有する集合体であって、前記集積電子マイクロ流体素子は前記回路基板上のコンタクト構造と接続する、集合体。
【請求項18】
絶縁アンダーフィル層が、前記回路基板と前記電子マイクロ流体素子との間の空間内に備えられ、かつ該空間への流体の侵入を防ぐように備えられている、請求項17に記載の集合体。
【請求項19】
コンタクト構造が前記回路基板の一の面上に備えられ、かつ前記回路基板の一の面に対向する面上に供される電子回路と電気的に接続する、請求項17に記載の集合体。
【請求項20】
電子回路及びマイクロ流体構造を有する集積電子マイクロ流体素子の作製方法であって:
以降において多数の各独立した電子マイクロ流体素子に分離するため、多数の電子回路及び信号インターフェース構造を第1ウエハ面上に有する半導体ウエハを製造する工程;
前記半導体ウエハを第1支持体上に設ける工程であって、前記第1ウエハ面は前記第1支持体の方向を向いている、工程;
前記第1ウエハ面に対向する第2ウエハ面から前記半導体ウエハを薄くする工程;
前記第2ウエハ面から前記半導体ウエハ中に複数のマイクロ流体構造を作製する工程;及び
前記半導体ウエハをダイシングする工程;
を有する方法。
【請求項21】
前記半導体ウエハの前記第2ウエハ面上に第2支持板を設ける工程、及び前記第2支持板内に、各対応するマイクロ流体構造とやり取りをする少なくとも1つの開口部を供する工程、をさらに有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第2支持板を設ける工程が:
前記第2支持板上にベンゾシクロブテン(BCB)接合層を堆積する工程;
前記第2ウエハ面上に前記第2支持板を設けることで積層基板を形成する工程;及び
前記積層基板を170℃から200℃未満の間の温度にまで加熱し、その後前記積層基板を200℃の温度にまで加熱することによって前記BCB層を硬化させる工程;
を有する、
請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ウエハ上の各電子マイクロ流体素子について、T字形状の内部コンタクト素子の基板部分を形成する工程であって、前記基板部分は、T字の縦棒に対応し、かつ各対応する前記の電子マイクロ流体素子の電子回路と接続する、工程;
前記第1支持体及び前記半導体ウエハ中に切り込みを形成することで、各電子マイクロ流体素子の傾斜面を画定する工程;
前記傾斜面上にリードを形成する工程によって、T字の横棒に対応する前記T字形状の内部コンタクト素子の側面部分を完成させる工程;及び
外部素子に対して電気的接続を行うために外部コンタクト素子を形成する工程;
をさらに有する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記の傾斜面上にリードを形成する工程は前記半導体基板に隣接する前記T字形状の内部コンタクト素子の側面部分を形成する工程を有し、かつ
第1絶縁溝を形成して半導体基板部分から前記T字形状の内部コンタクト素子の側面部分を分離する工程が、多数のマイクロ流体構造を形成する工程と共に行われる、
請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記の半導体ウエハを第1支持体上に設ける工程が:
前記半導体ウエハ上にポリマー層を形成する工程;
前記ポリマー層上にリフトオフ層を形成する工程;
前記リフトオフ層上に暫定的支持体を設ける工程;
を有し、
前記暫定的支持体は、以降の処理中に前記リフトオフ層を除去することによってリフトオフされる、
請求項21に記載の方法。
【請求項26】
請求項17に記載の集合体を製造する方法であって:
請求項17に記載の集積電子マイクロ流体素子を製造する工程;及び
前記電子マイクロ流体素子を回路基板上に設ける工程;
を有する方法。

【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2009−530633(P2009−530633A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500972(P2009−500972)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国際出願番号】PCT/IB2007/050759
【国際公開番号】WO2007/107901
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】