説明

電子レンジ加熱用包装体

【課題】 本発明は、包装袋と該包装袋が収納された外装箱とを備える電子レンジ加熱用包装体に於いて、外装箱の底面部を載置して電子レンジ加熱することをユーザーに認識させることができる電子レンジ加熱用包装体を提供することを課題とする。
【解決手段】 内容物が密封状に封入され、且つ電子レンジ加熱によって生じる蒸気を逃がす通蒸部5が設けられた包装袋2と、包装袋2が収納された外装箱3と、を備え、外装箱3は、外装箱3を自立させる底面部31と、該底面部31に対向し且つ円弧状又は少なくとも2以上の傾斜面が接合された角頂部35を有する形状に形成された上面部32とを有し、外装箱3の底面部31以外の面部に、包装袋2の通蒸部5から出る蒸気を外装箱外へと逃がす開口形成手段6が設けられている電子レンジ加熱用包装体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品などが封入された包装袋が外装箱に収納された電子レンジ加熱用包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、レトルト食品などの内容物を可撓性のあるフィルム袋に密封状に封入した包装袋(所謂パウチ)が広く用いられている。かかる包装袋に充填された食品等を食する際には、包装袋をお湯に入れることで食品等を暖めていたが、近年、家庭用電子レンジに包装袋を入れ、マイクロ波を利用して食品等を加熱することが行われている。
しかしながら、電子レンジで加熱すると、包装袋内から生じる蒸気によって内圧が上昇して袋が破裂する虞がある。そこで、包装袋内に生じる蒸気を自動的に逃して内圧を下げる通蒸部が設けられた様々な包装袋が提案されている。
【0003】
さらに、上記のような電子レンジ処理時に自動的に開口する通蒸部を有する包装袋を、外装箱内に収納した電子レンジ加熱包装体も知られている。
例えば、特許第3560862号公報には、扁平袋状にして上面に逃圧用部を有する電子レンジ加熱包装袋と、この包装袋を収納する外装用箱であって扁平な直方体状の外装用箱と、を備え、内圧を利用して剥離開口させる弱シール部又は脆弱部を有する背貼り部が上記逃圧用部として設けられ、外装用箱の上面に、背貼り部を外部に露出させるための切離開封部が設けられている電子レンジ加熱包装体が開示されている。
かかる電子レンジ加熱包装体は、同公報の図2及び図4などに示すように、切離開封部を外装用箱から切り離すことにより外装用箱を開口し、この開口から背貼り部を露出させた状態で、電子レンジ加熱に供される。そして、電子レンジ加熱中、包装袋の内圧が上昇することで、背貼り部の弱シール部又は脆弱部が自動的に剥離して、その開口部分から蒸気を逃がすことができるものである。
【0004】
ところで、該電子レンジ加熱包装体は、外装用箱の切離開封部を開口した後、外装用箱の底面を電子レンジのターンテーブル上に載置した状態で電子レンジ加熱を行うことが正しい使用法であり、一般に、外装用箱などに、かかる使用法についての説明書きが記載されている。
しかしながら、上記特許第3560862号公報記載の電子レンジ加熱包装体は、外装用箱が扁平な直方体状に形成されているので、底面と上面は、同一の矩形状平坦面に形成されている。よって、外装用箱の上面を下にしてターンテーブル上に載置しても外観上何ら違和感がない。
このようなことから、ユーザーによっては、説明書きを十分に読まず或いは勘違いして、外装用箱の上面を下にしてターンテーブル上に載置し、電子レンジ加熱を行ってしまうことがある。
このように外装用箱の上面をターンテーブル上に載置すると、包装袋内の蒸気が外装用箱の外部に円滑に排出されなかったり、或いは、包装袋内の食品などが蒸気と共にターンテーブル上に噴き零れるという問題点がある。
従って、ユーザーに対して、使用説明書き以外の方法を用いて、外装箱の底面を電子レンジ内に載置して電子レンジ加熱することを認識させることが求められている。
【0005】
【特許文献1】特許第3560862号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明は、包装袋と該包装袋が収納された外装箱とを備える電子レンジ加熱用包装体に於いて、外装箱の底面部を載置して電子レンジ加熱することをユーザーに認識させることができる電子レンジ加熱用包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の手段は、内容物が密封状に封入され、且つ電子レンジ加熱によって生じる蒸気を逃がす通蒸部が設けられた包装袋と、包装袋が収納された外装箱と、を備え、外装箱は、外装箱を自立させる底面部と、該底面部に対向し且つ非平坦状に形成された上面部とを有し、外装箱の底面部以外の面部に、包装袋の通蒸部から出る蒸気を外装箱外へと逃がす開口形成手段が設けられている電子レンジ加熱用包装体を提供する。
【0008】
かかる電子レンジ加熱用包装体は、外装箱の底面部以外の面部に、包装袋の通蒸部から出る蒸気を外装箱外へと逃がす開口形成手段が設けられている。この外装箱の底面部を下にして電子レンジの被載置面(ターンテーブルなど)に載置し、電子レンジ加熱を行うことにより、包装袋の通蒸部から出た蒸気は、電子レンジの被載置面で塞がれず或いは該被載置面に内容物が噴き出すことなく、外装箱の開口形成手段を通じて外装箱の外部へと円滑に排出される。
このように電子レンジ加熱用包装体を電子レンジ加熱する際、外装箱の底面部を被載置面に載置するのが正しい使用法である。
この点、本発明の電子レンジ加熱用包装体は、外装箱の底面部に対向する外装箱の上面部が非平坦状に形成されているので、ユーザーに、外装箱の底面部を電子レンジ内に載置して自立させることを認識させることができる。
よって、ユーザーが、上面部を下にして電子レンジ内に載置するという間違った使用法にて電子レンジ加熱することを防止できる。
【0009】
さらに、本発明の第2の手段は、内容物が密封状に封入され、且つ電子レンジ加熱によって生じる蒸気を逃がす通蒸部が設けられた包装袋と、包装袋が収納された外装箱と、を備え、外装箱は、外装箱を自立させる底面部と、該底面部に対向し且つ円弧状又は少なくとも2以上の傾斜面が接合された角頂部を有する形状に形成された上面部とを有し、外装箱の底面部以外の面部に、包装袋の通蒸部から出る蒸気を外装箱外へと逃がす開口形成手段が設けられている電子レンジ加熱用包装体を提供する。
【0010】
かかる電子レンジ加熱用包装体も同様に、外装箱の底面部を下にして電子レンジの被載置面に載置し、電子レンジ加熱を行うことにより、蒸気は、外装箱の外部へと円滑に排出される。
上記電子レンジ加熱用包装体は、外装箱の底面部に対向する外装箱の上面部が円弧状又は少なくとも2以上の傾斜面が接合された角頂部を有する形状に形成されているので、該上面部の形状を見たユーザーは、外装箱の上面部を下にして載置すると包装体の自立安定性が悪いこと認識する。よって、ユーザーに対して、底面部を電子レンジ内の被載置面に載置して外装箱を自立させ、電子レンジ加熱することを認識させることができる。
【0011】
また、本発明の第3の手段は、内容物が密封状に封入され、且つ電子レンジ加熱によって生じる蒸気を逃がす通蒸部が設けられた包装袋と、包装袋が収納された外装箱と、を備え、外装箱は、外装箱を自立させる底面部と、底面部に対向し且つ底面部よりも小面積の上面部と、を有する錐台状に形成され、外装箱の底面部以外の面部に、包装袋の通蒸部から出る蒸気を外装箱外へと逃がす開口形成手段が設けられている電子レンジ加熱用包装体を提供する。
【0012】
かかる電子レンジ加熱用包装体も同様に、外装箱の底面部を下にして電子レンジの被載置面に載置し、電子レンジ加熱を行うことにより、蒸気は、外装箱の外部へと円滑に排出される。
上記電子レンジ加熱用包装体は、外装箱が、平坦状の底面部と底面部に対向し且つ底面部よりも小面積の上面部とを有する錐台状に形成されているので、該上面部の形状を見たユーザーは、外装箱の上面部を下にして載置すれば包装体の自立安定性が悪いこと認識する。よって、ユーザーに対して、底面部を電子レンジ内の被載置面に載置して外装箱を自立させ、電子レンジ加熱することを認識させることができる。
【0013】
好ましくは、上記開口形成手段が、外装箱の底面部以外の面部に形成された孔部と、孔部を覆い且つ取外し可能な被覆部材とからなる上記電子レンジ加熱用包装体を提供する。
【0014】
上記好ましい態様の電子レンジ加熱用包装体は、被覆部材を取り外して孔部を開放した後、外装箱の底面部を下にして電子レンジ内に載置して加熱すると、包装袋の通蒸部から出た蒸気は、外装箱に形成された孔部を通じて外装箱の外部へと円滑に排出される。
かかる包装体は、包装袋の通蒸部を外装箱の外部に露出させないで電子レンジ加熱できるため、包装袋の通蒸部から蒸気と共に食品等の内容物が出しても、該内容物が外装箱の外部に出ることを防止できる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る電子レンジ加熱用包装体は、外装箱の上面部の形状を見たユーザーに、外装箱の底面部を下にして自立させ、電子レンジ加熱することを認識させることができる。
従って、本発明の電子レンジ加熱用包装体を電子レンジ加熱する際、包装袋から出る蒸気が外部に円滑に排出され、又、食品などの内容物が電子レンジ内の被載置面に噴き零れを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(第1実施形態)
図1及び図2に於いて、1は、内部に食品などの内容物が密封状に封入され、且つ通蒸部5が設けられた包装袋2と、該包装袋2が収納された外装箱3と、を備えた電子レンジ加熱用包装体1を示す。
外装箱3は、外装箱3を自立させる面となる底面部31と、底面部31に対向して設けられた上面部32とを有する。
この外装箱3の底面部31は、被載置面(電子レンジの底面又は電子レンジのターンテーブルなど)に載置した際、包装袋2が収納された外装箱3を安定自立状態に保持可能な平坦状に形成されており、上面部32は、非平坦状に形成されている。
外装箱3の各面部のうち底面部31以外の面部には、収納された包装袋2の通蒸部5から出る蒸気を外装箱3の外部へと逃がすための開口形成手段が設けられている。
以下、電子レンジ加熱用包装体1の各構成要素について具体的に説明する。
【0017】
<包装袋2>
包装袋2は、図3(a)にも示すように、柔軟なフィルムの周端部を熱シールすることにより、内部に収納部が形成された袋本体4と、この袋本体4に設けられ、且つ電子レンジ加熱によって自動的に開口する通蒸部5と、を備えている。
袋本体4は、例えば、表面部41、裏面部42及び底面ガセット部43を構成する3枚の可撓性フィルム片からなり、この表裏面部41,42下方の間に底面ガセット部43を折り畳んで介装し、表裏面部41,42の周端部及び底面ガセット部43の周端部の内面を熱シール接着することにより、自立可能な密封袋状に形成されている(所謂スタンディングパウチ)。
【0018】
袋本体4の正面形状(表裏面部41,42)は、自立安定性の観点から、上方に向かうに従い幅狭となる正面略台形状に形成されている。
尚、袋本体4は、3枚のフィルム片から構成されているが、例えば、1枚のフィルム片によって表裏面部41,42及び底面ガセット部43が構成されていてもよく、又、2枚のフィルム片にて構成されていてもよい。
また、袋本体4は、表裏面部41,42及び底面ガセット部43によって構成されているものに限られず、従来公知の構成のものを適宜選択して用いることができる。他の形態の袋本体4としては、特に図示しないが、例えば、表裏面部及び両側面ガセット部(又は片側のみの側面ガセット部)からなる自立型の袋や、表裏面部、両側面ガセット部(又は片側のみの側面ガセット部)及び底面部からなる自立型の袋などが挙げられる。
また、自立型の包装袋2に於いて、図3(b)に示すように、袋本体4の面部(例えば、表面部41)を構成するフィルムを幅方向に分断し、分断された上下のフィルム部分を外側へ延出させ、この延出フィルム部分を合掌貼り状に重ね合わせて熱シールした背貼り部8を設けてもよい。該背貼り部8は、袋本体4の面部から外側へ突出する小袋状の部分であって、この背貼り部8の一部分を弱く接着(例えば弱く熱シールしたり、イージーピール性のフィルム(又はコーティング)を介在させるなど)することにより、自動的に開口する通蒸部5が設けられている。
【0019】
表裏面部41,42及び底面ガセット部43を構成するフィルムは、電子レンジ加熱に耐えうる耐熱性を有し、且つ内面が熱シール可能なものであれば特に限定されず、例えば、耐熱性を有する外層フィルムに、熱シール性を有する内層フィルムが積層された積層フィルムを用いることができ、更にガスバリア性又は/及び遮光性を備える積層フィルムを用いることが好ましい。
外層フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリプロピレン、ナイロンなどのポリアミド系フィルムなどの単層フィルム、及び2種以上の積層体などを用いることができ、更に、合成樹脂製フィルムの場合は延伸フィルムを用いることが好ましい。外層フィルムの厚みは、例えば、10〜70μm程度である。
内層フィルムとしては、例えば、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体などを用いることができる。内層フィルムの厚みは、例えば、20〜100μm程度である。
尚、外層フィルムの内面(又は外面)には、絵柄、商標、説明書きなどの意匠印刷が必要に応じて施されている。
【0020】
さらに、上記袋本体4の上端部に、通蒸部5が設けられている。
具体的には、表面部41の上端部内面と裏面部42の上端部内面を熱シールすることで形成される袋本体4の上端シール部は、その一部分(例えば幅方向略中央部)が他の部分よりも弱く熱シールされている。この弱い熱シールは、電子レンジ加熱時に袋本体4内の内圧上昇によって弱シール部分が剥離する、又は電子レンジ加熱時に生じる熱によって弱シール部分が溶融するなどの接着強度でシールされている。弱シール部分は、例えば、シール温度や圧力の調整、シール強度を弱くする薄片やコーティング層を介在させて熱シールするなどによって形成することができる。この弱く熱シールされた部分が、電子レンジ加熱時に自動的に開口する通蒸部5に相当する。
図2(b)及び図3に於いて、便宜上、弱く熱シールされた部分(通蒸部5)を薄墨塗りで、電子レンジ加熱時に層間剥離しないように強く熱シールされた周端部を網掛けで示している。
【0021】
尚、包装袋2に収納される内容物としては、加熱時に蒸気を発生するもの、例えば、カレー、シチュー、スープ、みそ汁、丼の具、おでん、チョコレート、リゾット、雑炊、惣菜などの各種の食品などが挙げられる。
【0022】
<外装箱3>
外装箱3は、内部に包装袋2を収納可能な収納空間を有し、この収納空間は、内容物が密封されて膨らんだ包装袋2の体積よりも大きく形成されていることが好ましい。例えば、内容物が密封された包装袋2を外装箱3内に収納した際、その表裏面部41,42が外装箱3の内面に密着しないように、外装箱3の内面と袋本体4の表裏面部41,42との間に空隙が確保されている。このように外装箱3に空隙を設けることにより、電子レンジ加熱時に於ける包装袋2の膨張スペースを確保することができる。尚、膨張スペースを確保するという点から、収納空間は、包装袋2の体積よりも大きく形成されていることが好ましいが、余りに収納空間が大きいと包装袋2が膨張し過ぎて通蒸部5以外に応力が掛かる虞がある。これらを勘案して、外装箱3の大きさは、包装袋2の過剰な膨張を抑えることができる程度に形成される。
【0023】
外装箱3は、外装箱3を自立させる底面部31と、この底面部31に対向して設けられた上面部32と、底面部31及び上面部32の間に生じる開口部分に設けられた両側面部33,33と、を有する。
外装箱3の底面部31は、平面視矩形状に形成され、底面部31の外面は、被載置面(電子レンジの底面又は電子レンジのターンテーブルなど)に載置した際に包装袋2が収納された外装箱3を自立状態に保持可能なように、平坦状に形成されている。
外装箱3の上面部32は、接合された2つの傾斜面34,34からなり、該傾斜面34の接合部分に於いて屈曲した直線状の角頂部35を有し、全体として三角屋根状(非平坦状)に形成されている。この一対の傾斜面34,34の下端辺は、底面部31の一辺及び他辺に接合されていると共に、一対の傾斜面34,34の上端辺は互いに接合されて上記角頂部35が形成されている。
外装箱3の側面部33は、正面視三角形状に形成され、その下端辺が底面部31の側辺に接合され、側面部33の両斜辺が、一対の傾斜面34,34の側辺に接合されている。
【0024】
上記外装箱3は、例えば、厚紙などの紙、合成樹脂シートなどの剛性のあるシートを所定形状に形成し、これを折り曲げて組み立てた組立箱から構成されている。例えば、外装箱3を厚紙で形成する場合、厚み0.5〜1.5mm程度のものを用いることができる。
図4は、上記外装箱3を構成する展開シート3aを示す。展開シート3aは、底面部形成領域31a、傾斜面形成領域34a及び側面部形成領域33aが、折り目37aを介して接合されている。展開シート3aに於いては、同一形状の底面部形成領域31a及び側面部形成領域33aが、それぞれ一対設けられているが、展開シート3aを組み立てる際に両領域を重ね合わせることで、外装箱3の底面部31及び側面部33が構成される。尚、38aは、差込み片を示し、39aは、差込み片38aを差し込むための切れ目を示す。一方の底面部形成領域31aには、フラップ片が延設されている。
【0025】
<開口形成手段>
上記外装箱3の底面部31以外の面部には、開口形成手段が設けられている。
この開口形成手段は、図1及び図2に示すように、外装箱3の底面部31以外の面部に形成された孔部6と、該孔部6を覆い且つ取外し可能な被覆部材7と、からなる。
具体的には、外装箱3の上面部32の上方中央部には、孔部6が穿設されている。この孔部6は、包装袋2の通蒸部5から出る蒸気を外装箱3の外部に排出するためのものである。この孔部6は、外装箱3の上面部32の角頂部35に跨って両傾斜面34,34の上方中央部に形成されている。尚、一方の傾斜面34の上方中央部のみに孔部6を形成してもよい。
孔部6の大きさは、通蒸部5が、孔部6を通じて外装箱3の外部に露出(又は突出)しない程度の大きさに形成されている。
孔部6の正面形状は、特に限定されず、略円形状、略四角形状、略三角形状などの適宜な形状に形成できる。1つの孔部6の開口面積は、例えば、略円形状の孔部6の場合、直径1〜10mm程度、好ましくは、5mm〜10mm程度に形成される。孔部6の数も特に限定されず、1個でも良いが、複数個形成されていることが好ましく、又、図示したように複数個が所定範囲に密集して形成されていることが好ましい。
【0026】
外装箱3の外面には、孔部6(複数形成されている場合には、全ての孔部6)を覆うように、被覆部材として粘着性のラベル7が貼着されている。この粘着ラベル7は、紙、合成樹脂フィルム、合成紙などの公知の基材の裏面に、感圧型粘着剤などが塗工された所謂タックラベルであり、手で剥離することができる程度の粘着強度を有するラベルである。
【0027】
<外装箱3のその他の構成要素>
外装箱3には、電子レンジ加熱した後の包装袋2を取り出す取出口を形成するため、外装箱3の一部を分断する分断補助線36が形成されている。分断補助線36としては、ミシン目、ハーフカット線、テアテープなどが例示され、該分断補助線36は、例えば、外装箱3の中途部に於いて、外装箱3の周方向に形成されている。ミシン目やハーフカット線を用いる場合には、図1に示すように、例えば、分断補助線36の一部を切込み線にして、外装箱3の一面に指によって押し抜き可能な摘み部を刻設しておくことが好ましい。もっとも、このような分断補助線36や摘み部を形成しない外装箱3を用いることもできる。
また、外装箱3には、包装体1の使用方法に関する説明書き、商品名、商標、絵柄、写真などの所定の意匠印刷が施されている。
【0028】
そして、外装箱3の孔部6が包装袋2の通蒸部5に対応するように位置させ、包装袋2が外装箱3内に自立状態で収納されている。このように包装袋2を外装箱3に収納することにより、電子レンジ加熱時に通蒸部5から出る蒸気が、孔部6を通じて外装箱3の外部へと排出される。
尚、孔部6が通蒸部5に対応する位置とは、孔部6と通蒸部5(蒸気が出る開口予定部分)が、ピンポイント的に対応している状態を含む他、孔部6が通蒸部5の近傍に位置している状態を含む意味である。
【0029】
<使用例>
次に、上記電子レンジ加熱用包装体1の使用例について説明する。
先ず、外装箱3に貼着されたラベル7を引き剥がして孔部6を開放した後、外装箱3の底面部31を下にして電子レンジ内の被載置面に載置することにより、包装体1を自立させる。次に、マイクロ波を照射することによって、内容物が加熱され、袋本体4の内圧が上昇又は袋本体4の温度が上がると、通蒸部5が自動的に開口し、そこから蒸気が排出される。これにより、包装袋2の内圧が下がり、包装袋2が破裂することを防止できる。通蒸部5から出た蒸気は、孔部6を通じて外装箱3の外部へと排出される。そして、電子レンジ加熱を所定時間行った後、包装体1を電子レンジから取り出し、外装箱3の分断補助線36を利用して外装箱3の取出し口を開口することにより、加熱された包装袋2を取り出すことができる。
【0030】
本発明に係る電子レンジ加熱用包装体1は、外装箱3の底面部31が平坦状に形成され、外装箱3の上面部32が三角屋根状に形成されている。かかる外装箱3の形状を見たユーザは、外装箱の上面部32を下にして載置すると包装体1が傾いて自立安定性が悪いことを明確に認識する。よって、本発明の電子レンジ加熱用包装体1によれば、ユーザーに対して、底面部31を電子レンジ内の被載置面に載置して電子レンジ加熱するという正しい使用法を認識させることができる。
このように底面部31を載置して電子レンジ加熱を確実に行わせることで、電子レンジ加熱用包装体1を電子レンジ加熱する際、包装袋2から出る蒸気が円滑に排出され、又、食品などの内容物が電子レンジ内の被載置面に噴き零れを防止できる。
【0031】
また、開口形成手段が、外装箱3の上面部32に形成された孔部6と、孔部6を覆い且つ取外し可能なラベル7とからなるので、ラベル7を剥離して孔部6を開放すれば、包装袋2の通蒸部5を外装箱3の外部に露出させないで加熱できる。従って、包装袋2の通蒸部5から零れ出る食品等が、外装箱3の外面に付着したり、電子レンジ内を汚すことを防止できる。
このように上記包装体1は、外装箱3内に包装袋2を入れたままで電子レンジ加熱できるので、包装体1を電子レンジに出し入れする際に、誤って包装袋2が外装箱3から落ちる虞がない。
尚、上記包装体1は、ラベル7を引き剥がす作業を行うだけで電子レンジ加熱できるので、加熱する前の準備作業が少なくて済むという利点もある。
【0032】
<第1実施形態の変形例>
本実施形態では、外装箱3の上面部32が、角頂部35を有する三角屋根状に形成されているが、図5(a)に示すように、上面部32が、円弧状に形成されていてもよい。また、本実施形態では、上面部32は、直線状の角頂部35に於いて接合された2つの傾斜面34,34からなるが、例えば、図5(b)に示すように、外装箱3の上面部32が、4つの傾斜面34からなり、点状の角頂部35を有するように形成されていてもよい。
【0033】
(第2実施形態)
第2実施形態は、外装箱が錐台状に形成された電子レンジ加熱用包装体に関する。以下、主として上記実施形態と異なる部分を説明し、同様の構成については、明細書及び図面に於いて、用語及び図番を援用し、その説明を省略することがある(この点、下記第3〜第7実施形態についても同様)。
【0034】
本実施形態の外装箱3は、図6及び図7に示すように、全体として円錐台状に形成されている。
具体的には、外装箱3は、外装箱3を自立させる平坦状の底面部31と、該底面部31に対向する上面部32と、底面部31及び上面部32の間に設けられ、且つ上方に向かうに従い小径となる筒状の側面部33と、を有し、該上面部32は、底面部31よりも小面積で且つ底面部31に平行な平坦状に形成されている。
この上面部32には、開口形成手段として孔部6と、これを塞ぐラベル7とが設けられている。尚、開口形成手段は、側面部33に設けることもできる。
該外装箱3内に上記自立型の包装袋2が収納されることにより、電子レンジ加熱用包装体1が構成されている。
【0035】
本実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体1も同様に、外装箱3に貼着されたラベル7を引き剥がして孔部6を開放した後、外装箱3の底面部31を下にして電子レンジ内の被載置面に載置することにより、包装体1を自立させる。この状態でマイクロ波照射することにより、蒸気を外装箱3の外部へ円滑に排出して電子レンジ加熱を行うことができる。
【0036】
本実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体1は、外装箱3全体が円錐台状に形成されている。かかる外装箱3の形状を見たユーザは、外装箱の上面部32を下にして載置すると包装体1の自立安定性が悪いことを明確に認識する。よって、本実施形態の電子レンジ加熱用包装体1も、ユーザーに対して、底面部31を電子レンジ内の被載置面に載置して自立させ、電子レンジ加熱するという正しい使用法を認識させることができる。
【0037】
<第2実施形態の変形例>
本実施形態では、外装箱3は、全体として円錐台状に形成されているが、例えば、図8に示すように、外装箱3が四角錐台状に形成されていてもよく、又、その他図示しないが、底面部31及び上面部32が平面五角形状に形成された五角錐台状などに形成されていてもよい。外装箱3は、上面部32が底面部31よりも小面積な錐台状に形成されていれば、底面部31や上面部32の平面形状は適宜なものを選択できる。
【0038】
(第3実施形態)
第3実施形態は、扁平状の包装袋を収納するのに適した外装箱を用いた電子レンジ加熱用包装体に関する。
本実施形態の包装袋2は、例えば、図9に示すように、表裏面部41,42を構成する2枚のフィルム片の周端部を熱シールすることにより、袋本体4が略扁平状に形成されている。かかる略扁平状に形成された袋本体4は、裏面部42を下にして外装箱3内に収納されるので、表面部41に通蒸部5が設けられている。
該通蒸部5は、表面部41の幅方向に延出された背貼り部8に形成されている。
該背貼り部8は図3(b)に示したものと同様である。以下、簡単に説明すると、背貼り部8は、図9(b)に示すように、袋本体4の表面部41を構成するフィルムを幅方向に分断し、分断線を境に分断された上下のフィルム部分81,81を外側へ延出させ、この延出フィルム部分81,81を合掌貼り状に重ね合わせ、この重ね合わせた延出フィルム部分81,81の外側周囲を熱シールすることにより形成されている。従って、背貼り部8は、袋本体4の面部から外側へ突出する小袋状の部分であって、上下の延出フィルム部分81の内面同士が熱シールされた接着部と、同内面が熱シールされてない非接着部83と、を備えており、非接着部83は、袋本体4の収納部に連通している。
この背貼り部8の接着部の一部分を弱く接着(例えば弱く熱シール)することにより、背貼り部8に通蒸部5が設けられている。尚、背貼り部8の非接着部83の外面にマイクロ波によって発熱する導電性材料を塗布又は同様に発熱する通蒸ラベルを貼着するなどして通蒸部5を設けることもできる。
【0039】
本実施形態の外装箱3は、図10に示すように、外装箱3を自立させる平坦状の底面部31と、上方側に膨らんだ円弧状の上面部32と、底面部31及び上面部32の間の開口部分に設けられた両側面部33と、からなる。
該外装箱3の上面部32には、孔部6と、これを塞ぐラベル7とが設けられている。
図11は、上記外装箱3を構成する展開シート3aを示す。展開シート3aは、底面部形成領域31a、上面部形成領域32a及び側面部形成領域33aが、折り目37aを介して接合されている。上面部形成領域32aには、差込み片38aが形成され、底面部形成領域31aの折り目部分に、該差込み片38aを差し込む切れ目39aが形成されている。また、側面部形成領域33aの両側及び底面部形成領域31aの一辺側には、フラップ片が形成されている。
【0040】
上記外装箱2内に、背貼り部8を上にした状態で上記包装袋2が収納されることにより、本実施形態の電子レンジ加熱用包装体1が構成されている。
【0041】
本実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体1も同様に、外装箱3に貼着されたラベル7を引き剥がして孔部6を開放した後、外装箱3の底面部31を下にして電子レンジ内の被載置面に載置することにより、包装体1を自立させる。この状態でマイクロ波照射することにより、蒸気を外装箱3の外部へ円滑に排出して電子レンジ加熱を行うことができる。
【0042】
本実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体1は、外装箱3の上面部32が円弧状に形成されている。よって、該電子レンジ加熱用包装体1も、その形状により、ユーザーに対して、底面部31を電子レンジ内の被載置面に載置して自立させ、電子レンジ加熱するという正しい使用法を認識させることができる。
【0043】
また、本実施形態では、背貼り部8を有する包装袋2が用いられているが、該背貼り部8は、電子レンジ加熱時に上方へ大きく膨出する。この点、外装箱3の上面部32は、上方側へ膨らむ円弧状に形成されているので、包装袋2の上方側に比較的大きな空隙が形成される。従って、電子レンジ加熱時に、背貼り部8の立ち上がりスペースを十分に確保できる。
【0044】
<第3実施形態の変形例>
本実施形態では、外装箱3の上面部32は、円弧状に形成されているが、例えば、図12(a)に示すように、外装箱3の上面部32が、第1実施形態の如く三角屋根状に形成されていてもよく、又、特に図示しないが、上面部32が、複数の円弧状面が連なる形状に形成されていてもよい。又、外装箱3が、第2実施形態と同様に、四角錐台状などの錐台状に形成されていてもよい。
さらに、外装箱3の上面部32が、外側(例えば、上方側)に拡張可能に形成されていてもよい。このように拡張可能な上面部32を有する外装箱3の場合、包装袋2から出る蒸気によって上面部32が膨らむ。この結果、外装箱3の上面部32と側面部33などの間隙が大きくなり、外装箱3に孔部6を形成しなくても、外装箱3の外部へ蒸気を逃がすこともできる。
このような拡張可能な上面部32を有する外装箱3としては、図12(b)に示すように、上面部32の両辺側(又は一辺側)に、上面部シートを襞状に折り畳んだ蛇腹部分325を設けることなどが例示される。
【0045】
(第4実施形態)
第4実施形態は、開口形成手段が、孔部と、外装箱を構成するシート片とから構成されている電子レンジ加熱用包装体に関する。
図13に示すように、外装箱3を構成する各面部のうち、少なくとも孔部6が形成される面部は、孔部6の形成されたシート片321とこれを覆うシート片322とを備えている。
具体的には、例えば、外装箱3の上面部32に孔部6を形成する場合を例に採ると、剛性のあるシートを組み立てた外装箱3の上面部32は、2枚のシート片321,322を上下に重ね合わせることによって形成されている。
【0046】
このうち下方のシート片321は、外装箱3の一方の側面部33から一体的に延設されており、外装箱3の上面開口を閉塞するように、折り目を介して外装箱3の他方の側面部33へ折り曲げられていると共に、下方のシート片321の先端部321aが他方の側面部33に接着されている。
この下方のシート片321には、孔部6が穿設されている。この孔部6(複数形成を含む)は、例えば、下方のシート片321の略中央部に設けられている。
一方、上方のシート片322は、外装箱3の他方の側面部33から一体的に延設されており、少なくとも孔部6を覆うように、折り目を介して下方のシート片321上に折り曲げられて重ね合わされている。上方のシート片322は、孔部6が形成された領域以外の領域に於いて、下方のシート片321と接着されている(例えば、上方のシート片322の先端部322a。同図(a)に於いて接着部分を網掛けで示す)。
この上方のシート片322には、上方のシート片322を分断するための分断補助線323が形成されている。分断補助線323としては、ミシン目、ハーフカット線、テアテープなどが例示される。この分断補助線323は、2本形成することが好ましく、特に、2本の分断補助線323に沿って切り取ることで、下方のシート片321の孔部6が開放されるように形成されていることが好ましい。
【0047】
本実施形態の包装体1は、電子レンジ加熱する際、上方のシート片322の一部を分断補助線323を利用して切り取る、又は上方のシート片322を剥離することにより、孔部6が開放される。事後、上記と同様にして電子レンジ加熱に供される。
【0048】
(第5実施形態)
本実施形態は、被覆部材を取り外すことにより、外装箱に孔部が形成される電子レンジ加熱用包装体に関する。
図14に示すように、外装箱3の底面部31以外の面部には、孔部形成用の切込線61が形成され、この切込線61を覆うように被覆部材が設けられている。
【0049】
この孔部形成用切込線61としては、例えば、同図(a)に示すように、略半円弧状の2本の切込線63を対向形成し、該2本の切込線63の両端部の間に未切断部64を形成した態様、同図(b)に示すように、ミシン目65(細長い切断部65aが断続的に繋がったもの)を無端状(例えば円弧状)に刻設した態様などが挙げられる。
そして、外装箱3の外面には、被覆部材として、例えば第1実施形態で示したような粘着ラベル7が、孔部形成用切込線61を覆うように剥離可能に貼着されている。
【0050】
本実施形態に係る包装体1は、電子レンジ加熱する際、粘着ラベル7を剥離することにより、切込線61で囲われた領域62がラベル7に接着したままラベル7と共に取り除かれ、その結果、外装箱3に孔部6が形成される。事後、上記と同様にして電子レンジ加熱に供される。
上記のように外装箱3に予め孔部6を穿設する場合には、外装箱3の製造時、穿設した孔部6の抜き滓が生じる。この点、本実施形態のように、孔部形成用切込線61を形成する構成によれば、外装箱3の製造時には孔部6の抜き滓が生じないという利点がある。
【0051】
尚、本実施形態に於いて、被覆部材として、粘着ラベル7が用いられているが、例えば、上記第4実施形態で示したように、外装箱3の面部を構成するシート片を、被覆部材として用いることもできる。
この場合、例えば、図15に示すように、外装箱3の面部32を構成する下方のシート片321に、孔部形成用切込線61を形成し、この上に上方のシート片322を重ね合わせると共に、孔部形成用切込線61で囲われた領域62と上方のシート片322の裏面を接着する。
このように上方のシート片322を、下方のシート片321のうち孔部形成用切込線61で囲われた領域62に接着することにより、上方のシート片322を引き剥がすと、これと共に領域62が切り取られ、外装箱3に孔部6が形成される。
【0052】
(第6実施形態)
本実施形態は、被覆部材を取り外さなくても電子レンジ加熱に供することができる電子レンジ加熱用包装体に関する。
図16に示すように、本実施形態では、外装箱3の外面又は内面の少なくとも何れか一方に、外装箱3に形成された孔部6を覆うように熱収縮性フィルム7(被覆部材に相当する)が設けられている。
【0053】
熱収縮性フィルム7としては、例えば、図16(a)に示すように、1軸方向又は2軸方向に熱収縮性を有する基材フィルム71(例えば、1軸又は2軸延伸処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムなど)の内面に、外装箱3に貼着するための粘着剤72(好ましくは、蒸気を受けることによって粘着性が低下する粘着剤)が塗工されたものが挙げられる。かかる熱収縮性フィルム7は、電子レンジ加熱時に、熱収縮性の基材フィルム71が熱収縮することで、同図二点鎖線で示すように、該フィルム71が上方に湾曲する又は面方向に縮み、外装箱3の外面から自動的に剥がれ、これにより孔部6が開放される。
【0054】
本実施形態に係る包装体1は、熱収縮性フィルム7で孔部6が閉塞された外装箱3を備えている。かかる包装体1は、電子レンジ加熱をする際、上記各実施形態のように、被覆部材を剥離しなくても、電子レンジ加熱時に包装袋2の通蒸部5から排出される蒸気熱によって該フィルム7が熱収縮する。このように熱収縮したフィルム7は、外装箱3から部分的に剥がれ、これにより孔部6が開放され、包装袋2から出る蒸気は、孔部6を通じて外装箱3の外部へと排出される。
かかる熱収縮性フィルム7を孔部6の被覆用に用いた包装体1は、そのまま電子レンジ加熱できるので、加熱する前の準備作業を行う必要がないので好ましい態様である。
【0055】
尚、熱収縮性フィルム7の他の例として、例えば、図16(b)に示すように、熱収縮性の基材フィルム71の内面に、通気可能な通気基材73(例えば不織布など)を剥離可能な程度の接着力を以て積層し、該通気基材73の内面に、粘着剤72を塗工したものが挙げられる。かかる熱収縮性フィルム7は、電子レンジ加熱時に、同図二点鎖線に示すように、熱収縮性の基材フィルム71が熱収縮することで、該フィルム71が通気基材73から剥がれ、通気基材73の一部又は全部が露出する。これにより孔部6を覆う通気基材73の上面が開放され、孔部6から排出される蒸気は通気基材73を通じて外装箱3の外部へと排出される。
【0056】
さらに、熱収縮性のフィルム7の他の例として、上記熱収縮性の基材フィルム71に無数の微細孔(例えば直径1mm以下程度)を穿設しておいてもよい。かかる熱収縮性フィルム7は、同様に粘着剤などを介して、孔部6を覆うように外装箱3に貼着され、電子レンジ加熱時に熱収縮性の基材フィルム71が熱収縮することで、予め穿設された微細孔が拡張し、基材フィルム71に比較的大きな拡張孔が形成される。このように微細孔の穿設された熱収縮性の基材フィルム71を備えるフィルム7を用いれば、フィルム7が外装箱3から剥がれなくても、基材フィルム71に形成された拡張孔を通じて、蒸気が外装箱3の外部へと排出される。
【0057】
また、外装箱3に、孔部6を覆うように熱溶融しうるフィルムを被覆すると共に、この孔部6を覆う熱溶融性フィルムに、導電性材料を備える通蒸ラベルを貼着してもよい。該導電性材料を備える通蒸ラベルとしては、例えば特開2005−224381に記載の通蒸ラベルなどを用いることができる。かかる通蒸ラベルは、スリット部の形成された導電体層を有するラベル基材を備え、粘着剤などを介して被貼付体に貼着可能に構成されているもので、マイクロ波照射によってスリット部等が発熱しフィルムの一部分を溶断するものである。孔部6が熱溶融性フィルムで覆われ且つ通蒸ラベルが貼着されているマイクロ波加熱用包装体1は、そのまま電子レンジ加熱に供され、マイクロ波照射時に、通蒸ラベルによって熱溶融性フィルムが溶融して孔部6が開放される。
【0058】
(第7実施形態)
本実施形態は、包装袋の通蒸部などの変形例を示す。
上記各実施形態では、通蒸部5は、包装袋2を構成するフィルム片の熱シール部の一部分を弱く熱シールすることにより形成されているが、通蒸部5は、電子レンジ加熱時に包装袋2の一部を自動的に開口して蒸気を逃がすようにできるものであれば、従来公知の手段を採用できる。
例えば、袋本体4を構成するフィルム片の熱シール部の一部分に、イージーピール性のフィルム(又はコーティング)を介在させてもよい。該イージーピール性フィルム等の介在部が通蒸部5となり、かかる袋本体4を備える包装袋2は、電子レンジ加熱時の内圧上昇により、このイージーピール性フィルム等の介在部が剥離して、包装袋2の一部が自動的に開口する。
【0059】
また、他の例として、例えば、袋本体4を構成するフィルムの一部分に、アルミニウム、ニッケル、クロムなどの金属、合金又は金属酸化物などの導電性物質を含有する導電性材料を使用した素材を用いることもできる。
【0060】
さらに、他の例として、導電性材料を備える通蒸ラベルを、袋本体4のフィルム片の外面に貼着してもよい。該導電性材料を備える通蒸ラベルとしては、例えば上記特開2005−224381に記載の通蒸ラベルなどを用いることができる。かかる通蒸ラベルは、マイクロ波照射によって発熱しフィルムの一部分を溶断するもので、該通蒸ラベルの貼着部分が、通蒸部5となる。
【0061】
また、上記各実施形態では、外装箱3に設けられる開口形成手段として、孔部6(又は孔部形成用切込線61)及びこれを覆う被覆部材7を例示したが、開口形成手段はこれに限られず、例えば、図17に示すように、外装箱3の一部分を切り取って開口部を形成するために、外装箱3の上面部32(又は側面部33)に開口切取線9を設けてものよい。電子レンジ加熱時に、該開口切取線9に沿って切取線9で囲われた部分91を切り取ることにより、同図(b)に示すように、蒸気を逃がす開口部92を外装箱3に形成できる。開口切取線9としては、ミシン目やハーフカット線などが挙げられる。
【0062】
さらに、上記各実施形態の包装体1に用いられる外装箱3は、その底面部31が平坦状に形成されているものを例示したが、外装箱3の底面部31は、電子レンジのターンテーブル上などの被載置面上に自立させることができるように形成されていれば平坦状に限定されるものではない。例えば、図18に示すように、周縁部から下方に突出された周壁状の自立脚部311が形成された底面部31を有する外装箱3や、図19(a)に示すように、各隅部から下方に突出した自立脚部311が形成された底面部31を有する外装箱3や、同図(b)に示すように、対向する二辺から下方に突出された帯状の自立脚部311が形成された底面部31を有する外装箱3などを用いることもできる。これら底面部31も、各自立脚部311の下端311aが平坦状であるため、包装体1(外装箱3)を安定的に自立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体の斜視図。
【図2】(a)は、図1のA−A線断面図、(b)同B−B線断面図。但し、(b)に於いては、外装箱のみ断面で示し、包装袋は正面図で示している(図7及び図15も同様)。また、網掛けは、包装袋の強く熱シールされた部分を、薄墨塗りは、包装袋の通蒸部を示す(以下、他の図も同様)。
【図3】(a)は、同包装袋の斜視図、(b)は、同包装袋の変形例を示す斜視図。
【図4】外装箱の展開シートを示す平面図。
【図5】(a)、(b)共に、第1実施形態の変形例に係る電子レンジ加熱用包装体を示す斜視図。
【図6】第2実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体の斜視図。
【図7】図6のC−C線断面図。
【図8】第2実施形態の変形例に係る電子レンジ加熱用包装体を示す斜視図。
【図9】(a)は、第3実施形態の包装袋を示す斜視図、(b)は、同D−D線断面図。
【図10】(a)は、第3実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体を示す斜視図、(b)は、同E−E線断面図。、
【図11】外装箱の展開シートを示す平面図。
【図12】(a)、(b)共に、変形例に係る電子レンジ加熱用包装体を示す斜視図。
【図13】(a)は、第4実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体を示す斜視図、(b)は、同F−F線断面図。
【図14】(a)、(b)共に、第5実施形態に係る孔部形成用切込線を示す参考平面図。
【図15】第5実施形態に係るで電子レンジ加熱用包装体を示す一部省略断面図。
【図16】(a)、(b)共に、第6実施形態に係る電子レンジ加熱用包装体を示す一部省略断面図。
【図17】(a)は、変形例に係る開口形成手段が具備された係る電子レンジ加熱用包装体を示す斜視図、(b)は、開口部を形成した状態のG−G線断面図。
【図18】外装箱の底面部に自立脚部が突設された電子レンジ加熱用包装体を示す断面図。
【図19】(a)、(b)共に、外装箱の底面部に自立脚部が突設された電子レンジ加熱用包装体を示す斜視図。
【符号の説明】
【0064】
1…電子レンジ加熱用包装体、2…包装袋、3…外装箱、31…底面部、32…上面部、33…側面部、35…角頂部、36…分断補助線、4…袋本体、41…袋本体の表面部、42…袋本体の裏面部、43…袋本体の底面ガセット部、5…通蒸部、6…孔部、61…孔部形成用切込線、62…切込線で囲われた領域、7…被覆部材(ラベル,フィルムなど)、8…背貼り部、9…開口切取線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が密封状に封入され、且つ電子レンジ加熱によって生じる蒸気を逃がす通蒸部が設けられた包装袋と、包装袋が収納された外装箱と、を備え、
外装箱は、外装箱を自立させる底面部と、該底面部に対向し且つ非平坦状に形成された上面部とを有し、
外装箱の底面部以外の面部に、包装袋の通蒸部から出る蒸気を外装箱外へと逃がす開口形成手段が設けられていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装体。
【請求項2】
内容物が密封状に封入され、且つ電子レンジ加熱によって生じる蒸気を逃がす通蒸部が設けられた包装袋と、包装袋が収納された外装箱と、を備え、
外装箱は、外装箱を自立させる底面部と、該底面部に対向し且つ円弧状又は少なくとも2以上の傾斜面が接合された角頂部を有する形状に形成された上面部とを有し、
外装箱の底面部以外の面部に、包装袋の通蒸部から出る蒸気を外装箱外へと逃がす開口形成手段が設けられていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装体。
【請求項3】
内容物が密封状に封入され、且つ電子レンジ加熱によって生じる蒸気を逃がす通蒸部が設けられた包装袋と、包装袋が収納された外装箱と、を備え、
外装箱は、外装箱を自立させる底面部と、底面部に対向し且つ底面部よりも小面積の上面部と、を有する錐台状に形成され、
外装箱の底面部以外の面部に、包装袋の通蒸部から出る蒸気を外装箱外へと逃がす開口形成手段が設けられていることを特徴とする電子レンジ加熱用包装体。
【請求項4】
前記開口形成手段が、外装箱の底面部以外の面部に形成された孔部と、孔部を覆い且つ取外し可能な被覆部材とからなる請求項1〜3の何れかに記載の電子レンジ加熱用包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2007−168832(P2007−168832A)
【公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−367531(P2005−367531)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【出願人】(000238005)株式会社フジシールインターナショナル (641)
【Fターム(参考)】