説明

電子レンジ用蒸籠台、電子レンジ用蒸籠ユニット、蒸し調理済み食品の製造方法

【課題】電子レンジによる長時間の蒸し調理に対応するべく水等の蒸気源液状物の液深を深く確保でき、しかも、電子レンジによる蒸気源液状物の加熱による蒸気発生を短時間で実現できる技術の開発。
【解決手段】貯液部13の外壁部11の内側にて該貯液部13の平面視中央部に設けられた内筒部12の周囲の凹所13aに蒸気源液状物Rが貯留される構成であり、少ない液量で蒸気源液状物Rの液深を確保でき、しかも、電子レンジの庫内側面で反射されるマイクロ波を蒸気源液状物の加熱に有効に利用できるため、蒸気源液状物Rからの蒸気発生を短時間で実現できる電子レンジ用蒸籠台10、電子レンジ用蒸籠ユニット、蒸し調理済み食品の製造方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸籠に収容した食品を電子レンジにて蒸し調理する際に前記蒸籠を載せる電子レンジ用蒸籠台、電子レンジ用蒸籠ユニット、蒸し調理済み食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
食品を電子レンジにて蒸し調理するための調理器具としては、蒸気発生用の水を収容できる下部容器と、この下部容器に設けられ蒸し調理する食品が載置される食品載せ台と、下部容器上に着脱自在に設けられる蓋部とを具備し、電子レンジによる加熱時に下部容器の前記食品載せ台よりも下側に入れておいた水から発生させた蒸気を食品に接触させて食品の蒸し調理を行えるようにした構成のもの(以下、蒸し器とも言う)が提案されている(例えば特許文献1、2)。この種の蒸し器は、食品載せ台として、その下側から立ち上る蒸気を透過させ蒸気を食品に接触させるための孔が多数形成されたものが採用される。
【特許文献1】特開2005−296159号公報
【特許文献2】特開平6−30848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来、電子レンジ用の蒸し器は、比較的短時間の蒸し調理に対応することを念頭においた構成となっており、長時間の蒸し調理に適したものが求められていた。また、近年では、電子レンジを用いた加熱調理によって優れた食味の食品を得たいというユーザーの要求が高まっており、単なる短時間の蒸し調理ではなく、長時間の蒸し調理によって食味に優れた食品を得たいというニーズも高まっている。
例えば、ジャガイモ、サツマイモ、南瓜等は、蒸し鍋をガスレンジで加熱する蒸し調理で優れた食味を得るためには20分以上の調理時間を掛けることが適切である(圧力鍋の場合は火を止めた後、蓋を開放するまでの時間を含む)。特に、サツマイモは加熱によるデンプンの分解に長時間を要する食品の一つであり、サツマイモを収容した蒸し鍋をガスレンジで加熱する蒸し調理で優れた食味を得るためには、30分以上の調理時間を掛けることが適切である。
【0004】
電子レンジを使用した蒸し調理でも、食品を水蒸気(本明細書において、単に蒸気とも言う)と接触させながら長時間(例えば15分以上)加熱し、その結果、食品の調理状態を、ガスレンジや炭火で蒸し鍋を長時間加熱して蒸し調理を行った場合に近づけたいという要求がある。このような長時間の蒸し調理を電子レンジ調理にて実現するには、調理途中で水が無くならないように、蒸し器に入れておく水量を充分に確保する必要がある。
【0005】
蒸し器の下部容器に入れた水からの蒸気供給時間の長さは、下部容器における水の水深に依存する。しかしながら、従来の電子レンジ用蒸し器は、例えば、既述の特許文献1の開示技術のように、水を収容する部分の深さが浅く、長時間の蒸し調理に対応できる充分な水深を確保できる構成になっていないものが多く存在する。
【0006】
一方、例えば特許文献2の記載の蒸し器のように、充分な貯水量を確保できる単純なカップ形の下部容器(特許文献2の容器本体1)を具備する蒸し器の場合は、下部容器に入れる水の量を多くすることで水深も確保できるが、長時間の蒸し調理に対応するべく水深を充分に確保したときに、電子レンジによる下部容器内の水の水温の上昇、水蒸気の発生に掛かる時間が長いといった問題がある。
【0007】
電子レンジとしては、ターンテーブルを有し、庫上部に設けられたマグネトロンからターンテーブル上の加熱対象物(被加熱物)にマイクロ波を照射するタイプ(以下、ターンテーブル式とも言う)と、ターンテーブルが無く、庫内の床面下側に設けられたマグネトロンから庫内床面上の加熱対象物にマイクロ波を照射するタイプ(以下、下部マグネトロン式とも言う)とが知られている。いずれのタイプの電子レンジでも、マグネトロンから加熱対象物へのマイクロ波の直接的な照射の他、前記マグネトロンから出力して庫内面で反射させたマイクロ波も有効に活用し、前記加熱対象物の広範囲にマイクロ波を照射して加熱対象物を加熱する構成が採用される。上記により、電子レンジによる加熱対象物の加熱は加熱対象物の中央部が加熱されにくく、周囲が加熱されやすいという加熱特性がある。マイクロ波のエネルギーは水に吸収されやすいため、水分が多い食品や容器に貯留した液体については、中央部が加熱されにくく周囲が加熱されやすいという加熱特性が顕著になる。
【0008】
特許文献2の蒸し器の下部容器に長時間の蒸し調理に対応できる充分な量の水を入れて水深を確保し電子レンジに入れ加熱するとき、上述したいずれのタイプの電子レンジを使用した場合でも、下部容器内の水の中央部ではマイクロ波が水温上昇に作用しにくい傾向がある。加熱する水量が多い上、下部容器内の水の中央部に昇温しにくい領域が発生することで、蒸気の発生に時間が掛かる。蒸気の発生に時間が掛かると、蒸し調理に充分な量の蒸気が発生する前に蒸し調理する食品の入熱が過剰になってしまい、上手く蒸し調理できない、という不都合が生じる可能性がある。特に、ターンテーブル式の電子レンジを使用した場合は、下部容器のターンテーブルと接触している部分の中央部付近から下部容器内の水の中央部にかけて、マイクロ波が水温上昇に作用しにくい領域が生じるため、下部マグネトロン式の電子レンジに比べて水の加熱効率が低くなる。また、金属製ターンテーブル等、ターンテーブルが熱伝導率が比較的高い材料で形成されている場合、ターンテーブルへの放熱も生じる。
【0009】
もう一つの問題として、従来の電子レンジ用蒸し器を用いた蒸し調理の場合、食品載せ台上の食品の調理結果(調理状態)にばらつきが出ることがあるという問題がある。
前記蒸し器を電子レンジで加熱して食品の蒸し調理を行うとき、下部容器内の水から発生させた蒸気を食品載せ台上の食品に接触させることで良好な蒸し状態が得られるが、電子レンジ内での加熱調理では食品も加熱されて蒸気(水蒸気)を放出するため、食品から放出された蒸気が、下部容器から立ち上る蒸気の食品との接触の障害となることがある。
【0010】
食品載せ台上に複数載置された食品同士が互いに接触している接触部の近傍や、食品間に確保された隙間が非常に狭い箇所では、食品から放出された蒸気が高い濃度を保ったまま滞留する滞留領域が形成されやすく、この滞留領域が形成された箇所では、食品間の距離が充分に確保されている箇所に比べて、下部容器から立ち上る蒸気の上昇、この蒸気の食品との接触が阻害されやすい。このため、食品間の距離のばらつきが、食品載せ台上の食品の調理結果(調理状態)にばらつきの原因となる。
このため、下部容器から立ち上る蒸気の食品との接触が食品載せ台上における複数の食品の載置状態に左右されにくく、食品載せ台上の食品の調理結果(調理状態)のばらつきを極力抑えて出来るだけ均等化できる技術の開発が求められていた。
【0011】
本発明は、前記課題に鑑みて、長時間の蒸し調理に対応するべく蒸気源液状物の液深を充分に確保でき、しかも、電子レンジによる蒸気源液状物の加熱効率を向上できる構成により蒸気源液状物からの蒸気発生に要する時間の短縮が可能であり、さらに、蒸籠内の食品に蒸気(水蒸気)を満遍なく接触させることができ蒸し調理状態の均等化を図ることができる電子レンジ用蒸籠台、電子レンジ用蒸籠ユニット、蒸し調理済み食品の製造方法の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明では以下の構成を提供する。
第1の発明は、蒸籠に収容した食品を電子レンジにて蒸し調理する際に前記蒸籠を載せて用いられる電子レンジ用蒸籠台であって、マイクロ波を透過する材料によって椀形に形成された外壁部の内側に該外壁部の底部から立ち上げるように立設された内筒部を有し、前記外壁部の内側にて前記内筒部の周囲に環状に確保された凹所内に、水、水分を含む飲料、含水液状食品から選択される1つ又は複数を混合したものであり電子レンジでの加熱によって水蒸気を発生する蒸気源液状物が貯留される貯液部と、この貯液部の前記外壁部の開口部に周設され前記蒸籠が載置される蒸籠載置部とを具備し、前記内筒部は前記外壁部の底部に開口されている底部開口部の周囲から立ち上げるように突設されて前記貯液部の平面視中央部に設けられ、この内筒部の先端部には前記貯液部内からの蒸気源液状物の排出用の液排出用開口部が開口されていることを特徴とする電子レンジ用蒸籠台を提供する。
第2の発明は、前記内筒部は前記外壁部の底部から該内筒部の先端部側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成されていることを特徴とする第1の発明の電子レンジ用蒸籠台を提供する。
第3の発明は、蒸籠に収容した食品を電子レンジにて蒸し調理する際に前記蒸籠を載せて用いられる電子レンジ用蒸籠台であって、マイクロ波を透過する材料によって筒状に形成された外壁部及び該外壁部の両端の開口端部の一方の全周から他方の開口端部に向かって前記外壁部の内側に立ち上げるように形成されたテーパ筒状の内筒部を有し、前記外壁部の内側にて前記内筒部の周囲に環状に確保された凹所内に、水、水分を含む飲料、含水液状食品から選択される1つ又は複数を混合したものであり電子レンジでの加熱によって水蒸気を発生する蒸気源液状物が貯留される貯液部と、この貯液部の前記外壁部の他方の開口端部に周設され前記蒸籠が載置される蒸籠載置部とを具備し、前記内筒部は前記外壁部の一方の開口端部から該内筒部の先端部側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成されて前記貯液部の平面視中央部に設けられ、この内筒部の先端部には前記貯液部内からの蒸気源液状物の排出用の液排出用開口部が開口されていることを特徴とする電子レンジ用蒸籠台を提供する。
第4の発明は、前記内筒部は前記外壁部からの突出先端を塞ぐ先端閉鎖壁を有し、該内筒部の先端部側の前記液排出用開口部は前記内筒部の外周面に開口されていることを特徴とする第1〜3のいずれかの発明の電子レンジ用蒸籠台を提供する。
第5の発明は、前記貯液部には、前記外壁部と前記内筒部との連続部である屈曲部が前記内筒部の中心軸線に直交する仮想平面内にて環状に延在され、前記外壁部及び前記内筒部は前記屈曲部から前記仮想平面に対して傾斜する方向に延在しており、前記屈曲部が前記電子レンジの調理物設置台に当接される設置用当接部として機能することを特徴とする第1〜4のいずれかの発明の電子レンジ用蒸籠台を提供する。
第6の発明は、前記貯液部の底部には、前記屈曲部の前記電子レンジの調理物設置台と接触される部分から窪んで該前記内筒部の内側空間から前記外壁部の外側に向かって貫通する通気用凹溝が形成されており、前記屈曲部の周方向において略均等の3以上の箇所に、前記屈曲部が前記電子レンジの調理物設置台と接触される接触部が確保されていることを特徴とする第5の発明の電子レンジ用蒸籠台を提供する。
第7の発明は、前記内筒部の前記貯液部の前記屈曲部からの突出寸法が、前記貯液部の深さ寸法よりも小さく、かつ、前記貯液部の深さ寸法の1/2よりも大きいことを特徴とする第1〜6のいずれかの発明の電子レンジ用蒸籠台を提供する。
第8の発明は、前記蒸籠が、木、竹、マイクロ波を透過可能な材料、から選択されるいずれか1つあるいは複数によって形成されたものであることを特徴とする第1〜7のいずれかの発明の電子レンジ用蒸籠台を提供する。
第9の発明は、第1〜8のいずれかの発明の電子レンジ用蒸籠台と、この電子レンジ用蒸籠台の前記蒸籠載置部に載置可能な蒸籠とを具備することを特徴とする電子レンジ用蒸籠ユニットを提供する。
第10の発明は、前記蒸籠は、筒状の外周壁の内側に該外周壁の中心軸線に直交する向きで延在する食品載置面を形成する食品載せ台が設けられてなる胴部と、この胴部上に着脱可能に設けられる開閉蓋とを具備し、前記食品載せ台には前記電子レンジ用蒸籠台から立ち上る蒸気を通過させる透孔が形成され、前記開閉蓋は隙間無く形成されており、前記電子レンジ用蒸籠台の前記蒸籠載置部上に前記蒸籠の前記胴部の前記外周壁を載置し、この外周壁上に設置した前記開閉蓋によって前記胴部上を塞ぐことで、前記電子レンジ用蒸籠台の前記内筒部の内側空間のみを蒸気排出用の開口部とする蒸し器が構成されることを特徴とする第9の発明の電子レンジ用蒸籠ユニットを提供する。
第11の発明は、前記蒸籠の前記外周壁及び前記開閉蓋が気密性部材によって構成されていることを特徴とする第10の発明の電子レンジ用蒸籠ユニットを提供する。
第12の発明は、第1〜9のいずれかの発明の電子レンジ用蒸籠台あるいは第10又は11の発明の電子レンジ用蒸籠ユニットを用いて食品を蒸し調理して蒸し調理済み食品を製造する方法であって、水、水分を含む飲料、含水液状食品から選択される1つ又は複数を混合したものである蒸気源液状物を前記電子レンジ用蒸籠台の前記貯液部に貯留した状態で、蒸し調理を行う前記食品を収容した蒸籠を前記電子レンジ用蒸籠台の蒸籠載置部に載置し、電子レンジ用蒸籠台と該電子レンジ用蒸籠台上に載置された前記蒸籠とを電子レンジにて加熱することを特徴とする蒸し調理済み食品の製造方法を提供する。
第13の発明は、前記電子レンジ用蒸籠台、前記蒸籠の電子レンジでの加熱を開始する前、あるいは、加熱の途中で加熱を一旦停止して、前記蒸気源液状物に香料を添加することを特徴とする第12の発明の蒸し調理済み食品の製造方法を提供する。
【0013】
本発明では、水、水分を含む飲料、含水液状食品から選択される1つ又は複数を混合したものである蒸気源液状物を、電子レンジ用蒸籠台の前記貯液部の外壁部の内側にて前記内筒部の周囲に環状に確保された凹所に貯留した状態で、蒸し調理を行う食品を収容した蒸籠を前記電子レンジ用蒸籠台の蒸籠載置部に載置し、電子レンジ用蒸籠台と該電子レンジ用蒸籠台上に載置された前記蒸籠とを電子レンジにて加熱することで、食品の蒸し調理を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、電子レンジ用蒸籠台は、貯液部の外壁部の内側にて該貯液部の平面視中央部に設けられた内筒部の周囲の凹所に蒸気源液状物が貯留される構成であるため、内筒部が無い従来の蒸し器の下部容器に比べて少ない液量で蒸気源液状物の液深(水の場合は水深)を確保できる。しかも、前記内筒部が有る構成であれば、凹所の平面視中央部に蒸気源液状物が貯留されず、また、内筒部の存在によって、蒸気源液状物の前記内筒部外周面に接する部分にも電子レンジのマイクロ波が効率良く作用する。その結果、長時間の蒸し調理に対応するべく貯液部に貯留した蒸気源液状物の液深を深くした場合でも、蒸気源液状物の加熱を効率良く行え、水蒸気発生までの加熱時間を短縮できる。
つまり、本発明では、電子レンジ用蒸籠台に貯留した蒸気源液状物は、貯液部の外壁部の内側にて該貯液部の平面視中央部に設けられた内筒部の周囲の凹所に貯留されるため、内筒部が無い従来の蒸し器の下部容器に比べて少ない液量で充分な液深を確保することができ、これにより、電子レンジの庫内側面(天井面、床面に垂直の縦方向の内壁面)からのマイクロ波の反射波を効率良く利用でき、電子レンジ用蒸籠台の中の蒸気源液状物の加熱効率を上げるとともに、長時間の蒸し調理を可能にする(蒸気供給時間を充分に確保できる)。
【0015】
また、貯液部に収容する蒸気源液状物の量は、内筒部の先端部側に開口する液排出用開口部の位置でその上限が決まる。貯液部に蒸気源液状物を入れるとき、蒸気源液状物の液面レベルが、内筒部の先端部側に開口する液排出用開口部よりも高くなると、蒸気源液状物が液排出用開口部を介して内筒部内に流入し、貯液部の底部に開口する底部開口部から排出される。このため、貯液部における蒸気源液状物の収容量が過剰になって蒸気が発生しにくくなるといった不都合を簡単かつ確実に防止できる。
【0016】
また、本発明では、電子レンジ用蒸籠台の貯液部の平面視中央部に内筒部が存在する構成により、電子レンジ用蒸籠台上に載置した蒸籠の内側空間に蒸気が循環する循環流(蒸気循環流)を形成できる。これにより、蒸籠内の食品に蒸気を満遍なく接触させることができ蒸し調理状態の均等化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の1実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態を説明する。
図1は本発明に係る電子レンジ用蒸籠台10(以下、単に蒸籠台とも言う)を示す斜視図、図2は前記蒸籠台10の構造を示す正断面図、図3は前記蒸籠台10の構造を示す平断面図であり、図2のA−A線断面矢視図、図4は本発明に係る電子レンジ用蒸籠ユニット(以下、単に蒸籠ユニットとも言う)の一例を示す図であって、蒸籠ユニットの組み立て状態(蒸籠台上に蒸籠を設置して蒸し器を組み立てた状態)を示す断面図である。
なお、図1、図2、図4において、上側を「上」、下側を「下」として説明する。
【0019】
図1〜図4に示すように、前記蒸籠台10は、椀形に形成された外壁部11の内側に該外壁部11の底部11aに立設された内筒部12を有する貯液部13と、この貯液部13の前記外壁部11の開口部に周設され蒸籠80が載置される蒸籠載置部14とを具備して構成されている。
【0020】
この蒸籠台10は、全体が、マイクロ波を透過する合成樹脂材料によって形成された一体成形品である。
この蒸籠台10を形成する樹脂材料としては、遮水性及び気密性が得られ、マイクロ波を透過し、電子レンジを用いた加熱に耐えるものであれば特に制限はなく、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート等のポリエステル、ポリアミド等の合成樹脂からなる単層ないし複層の成形品などを例示することができる。
また、日本工業規格S 2029(プラスチック製食器)の耐熱性試験によって得られる耐熱温度が100℃よりも高いものを使用する。
また、本発明に係る蒸籠台は、例えば、ガラスの一体成形品も含む。
【0021】
図4に示すように、この蒸籠台10は、電子レンジ90での蒸し調理に使用する場合は、貯液部13の外壁部11の底部11aが下、前記外壁部11の開口部に周設されている蒸籠載置部14が上端となる向きで使用する。
貯液部13に蒸気源液状物(例えば水)を入れる際も、この向きで作業を行う。
なお、前記外壁部11の開口部について、以下、上部開口部とも言う。
【0022】
図1、図3に示すように、蒸籠台10の外壁部11は、平面視円形(外壁部11の上部開口部側、蒸籠台10の蒸籠載置部14側から見た形状が円形)に形成されている。
貯液部13も平面視円形である。
また、既述の通り蒸籠載置部14は、外壁部11の上部開口部に沿って周設されており、蒸籠台10全体も平面視円形に形成されている。
【0023】
内筒部12は、前記外壁部11,貯液部13の平面視中央部に設けられている。
この内筒部12は、前記外壁部11からの突出先端を塞ぐ先端閉鎖壁12aを有している。内筒部12の先端閉鎖壁12aは、図4に示すように、蒸籠台10上に蒸籠を設置して電子レンジ90にて加熱し蒸籠内の食品Fの蒸し調理を行う際に、蒸籠から水滴等が内筒部12の内側空間12cに落下することを防ぐ役割を果たす。
【0024】
図1、図2に示すように、貯液部13は、外壁部11の内側にて内筒部12の周囲に環状に、蒸気源液状物R(例えば水)が貯留される凹所13a(以下、液状物貯留凹所、あるいは、単に貯液凹所とも言う)が確保されている。
蒸籠台10を電子レンジ90に入れて蒸し調理に使用する際には、この液状物貯留凹所13aに、蒸気源液状物R(例えば水)を貯留する。
貯液部13は、蒸気源液状物Rを貯留するために、遮水性を有する。
【0025】
前記内筒部12は、貯液部13の平面視中央部を、外壁部11の底部11aから上部開口部側に向かって延出するように賦形した部分である。内筒部12は、外壁部11の底部11aに形成された底部開口部11bの周囲から立ち上がるようにして、前記底部11aから連続して外壁部11の上部開口部側(蒸籠載置部14側)に延出されている。
この内筒部12の中心軸線L1方向において外壁部11の底部11a側の端部は前記底部開口部11bによって開放状態になっている。
【0026】
また、図4に示すように、前記内筒部12は、その先端部に、貯液部13に投入された蒸気源液状物Rの貯液部13からの排出用の液排出用開口部12bを有している。この液排出用開口部12bは内筒部12を貫通して内筒部12の外周面に開口する透孔であり、内筒部12の先端部において前記先端閉鎖壁12aから外壁部11の底部11a側にずれた位置に形成されている。この液排出用開口部12bは、内筒部12の外側から内筒部12の内側空間12cへ蒸気源液状物Rを導入するための導入路として機能する。
【0027】
内筒部12は、その両端に開口部12b、11bを持つ構成となっている。
液排出用開口部12bから内筒部12の内側空間12cに導入された蒸気源液状物Rは、外壁部11の底部11aの前記底部開口部11bから排出できる。
【0028】
液排出用開口部12bは、貯液部13(詳細には貯液凹所13a)に入れる蒸気源液状物Rの量の上限値を決める機能(リミッター機能)を果たす。
貯液部13に蒸気源液状物Rを入れるとき、蒸気源液状物Rの液面レベルが、液排出用開口部12bよりも高くなると、蒸気源液状物が液排出用開口部12bを介して内筒部12内に流入し、貯液部13の底部に開口する底部開口部11bから排出される。
液排出用開口部12bがリミッター機能を果たすことで、貯液部13における蒸気源液状物Rの収容量が過剰になって水蒸気が発生しにくくなるといった不都合を簡単かつ確実に防止できる。
【0029】
なお、例えば、特許文献2のような従来構成の蒸し器に水を入れて食品の蒸し調理を行う場合、ユーザーによる蒸気発生用の水の量の調整は必ずしも厳密には行われず、長時間の蒸し調理を行うために、調理途中で蒸気発生用の水が不足にならないように留意すると、不用意に、必要量をかなり上回る量の水を入れてしまう可能性がある。
本発明に係る蒸籠台では、リミッター機能を果たす液排出用開口部12bを有する構成とすることで、貯液部13における蒸気源液状物Rの収容量が多すぎて水蒸気が発生しにくくなるといった不都合を簡単かつ確実に防止できる。
【0030】
また、本発明に係る蒸籠台としては、前記リミッター機能(液排出用開口部12bの位置)で決まる貯液量を基準に、特定範囲の電子レンジのマイクロ波出力、蒸し調理時間で使用する専用のものとして提供しても良いが、電子レンジのマイクロ波出力、蒸し調理時間に応じた蒸気源液状物Rの適切収容量を表示する目盛を設けても良い。目盛を設けた場合でも、液排出用開口部12bを、蒸し調理時間が最も長い液深を過不足無く確保するために、有効に機能させることができる。
【0031】
図1、図4に示すように、蒸籠載置部14は、外壁部11の上部開口部の口縁部から該外壁部11の外側にフランジ状に突設された台板部14aと、この台板部14aの外周の全周にわたって立設された立壁部14bとを具備して構成されている。立壁部14bは、台板部14aを介して外壁部11とは反対の側に突設されている。
【0032】
図4に示すように、この蒸籠載置部14には、台板部14a上に、蒸籠80の円筒状の外周壁81が載置される。
蒸籠80は、前記外周壁81の内側に食品載置用の食品載せ台82が固設されてなる胴部83と、この胴部83上に着脱自在に設けられた開閉蓋84とを具備する。開閉蓋84は、胴部83の前記外周壁81上に重ね合わされる外周リング84bと、この外周リング84bの内側を塞ぐように設けられた天板部84aとを具備する。開閉蓋84の外周リング84bは、胴部83の外周壁81と内径及び外径が揃えられた円筒状に形成されている。図示例の蒸籠80においては、胴部83の外周壁81上に開閉蓋84の外周リング84bを重ね合わせることで、胴部83上に開閉蓋84を設置し、胴部83上を開閉蓋84によって塞ぐようになっている。
【0033】
蒸籠80の外周壁81は、その外径が、蒸籠載置部14の立壁部14bの内径に揃えられている。蒸籠80は、前記外周壁81の下端部を蒸籠台10の蒸籠載置部14の立壁部14bの内側に収容し台板部14a上に載置することで、蒸籠台10上に安定に設置される。
本実施形態に係る蒸籠ユニットは前記蒸籠台10と前記蒸籠80とで構成されている。
【0034】
なお、蒸籠80の外周壁81の外径は、蒸籠台10の蒸籠載置部14の台板部14aの内径と蒸籠載置部14の立壁部14bの内径との間の大きさであれば良い。蒸籠台10は、蒸籠載置部14の台板部14aの内径と蒸籠載置部14の立壁部14bの内径との差によって、蒸籠80の外周壁81の外径に対する蒸籠台10の汎用性を確保できる。
また、開閉蓋84は、胴部83上を塞ぐことができる構成であれば良く、外周リング84bに該外周リング84bとは別の部材である天板部84aを固定した複数部材からなる構成のものに限定されず、全体が1部材で形成されたもの、例えば、天板部のみからなる構成のもの等も採用可能である。
【0035】
前記蒸籠80の食品載せ台82は、前記外周壁81の下端部の内側に設けられており、外周壁81の中心軸線に直交する向きで延在する食品載置面82aを形成している。但し、この食品載せ台82は、その下側の蒸籠台10から立ち上る蒸気を通過させ、該食品載せ台82上に載置された食品に蒸気を接触させるために、例えば、孔が多数形成されたものや、簀の子状のもの、メッシュ状のもの等が採用される。
図4中、符号82bは、食品載せ台82に形成された蒸気通過用の透孔(貫通孔)を示す。
【0036】
また、ここでは、蒸籠として、例えば木、竹等の植物系材質で形成されたものを採用している。但し、蒸籠は、その一部又は全体が、例えば、マイクロ波を透過する合成樹脂材料、ガラス等で形成されたものであっても良い。蒸籠の材質としては、マイクロ波を反射するものは採用しない。
合成樹脂材料としては、日本工業規格S 2029(プラスチック製食器)の耐熱性試験によって得られる耐熱温度が100℃よりも高いものを使用する。
【0037】
前記蒸籠台10、蒸籠ユニットを用いて、食品を蒸し調理して蒸し調理済み食品を製造する方法(蒸し調理済み食品の製造方法)としては、図4に示すように、蒸気源液状物Rを蒸籠台10の前記貯液部13に貯留した状態で、蒸し調理を行う食品Fを収容した蒸籠80を蒸籠台10の蒸籠載置部14に設置し(蒸し器を組み立てる)、蒸籠台10上に蒸籠80を設置してなる蒸し器を電子レンジ90にて加熱する。蒸籠80は開閉蓋84で胴部83上端を塞いでおく。食品Fは食品載せ台82上に載せて蒸籠80に収容する。
【0038】
電子レンジによる加熱を開始すると、貯液部13に貯留した蒸気源液状物R、蒸籠80内の食品Fの温度が上昇していく。そして、加熱によって蒸気源液状物Rから上昇した蒸気が蒸籠80内に流入し、蒸籠80内の食品Fが蒸し調理される。
【0039】
蒸気源液状物Rとしては、水蒸気を発生させるための水分を含むものであることが必須条件であり、水、水分を含む飲料、含水液状食品から選択される1つ又は複数を混合したものを用いることができる。
水としては、飲料水として用いることができるものであれば特に限定は無い。
水分を含む飲料は、飲料水を含む語であるが、ここでは飲料水以外の含水飲料も蒸気源液状物Rに含まれることを指すために用いている。例えば、ワイン、日本酒、焼酎、ビール等のアルコール飲料、果汁を含むジュース等の清涼飲料水、茶飲料、コーヒー飲料、牛乳、乳飲料等を挙げることができる。この飲料は水分を30%(重量%)以上含むものが好ましく、例えばアルコール100%のものや、油分やアルコール分が多く実質的に水分を全く(あるいは殆ど)含まないものは採用しない。
含水液状食品としては、食品固形物を含んでいても良く、例えば、みそ汁、シチュー、カレールー、各種スープ類、ヨーグルト等を挙げることができる。但し、この含水液状食品としては、食品固形物が少なく、液状部分が多いものが好ましい。
水以外の飲料、含水液状食品は、蒸し調理を行う食品への蒸気の供給のみならず、蒸し調理を行う食品への香り付けの役割も果たす。
【0040】
また、蒸籠台10、蒸籠80の電子レンジ90での加熱を開始する前、あるいは、加熱の途中で加熱を一旦停止して、蒸気源液状物Rに香料を添加しても良い。香料を添加した蒸気源液状物Rの加熱によって発生させた蒸気を食品Fに接触させることで、食品Fに香りを付けることができる。
香料としては、食品添加物として使用可能なものであり、例えば香辛料(スパイス、ハーブを含む)、植物等から抽出した精油等の天然香料や、合成香料等を挙げることができる。
【0041】
ところで、図2に示すように、蒸籠台10の貯液部13は、前記外壁部11と前記内筒部12との連続部である屈曲部13bが前記内筒部12の中心軸線L1に直交する仮想平面G内にて環状に延在された構成になっている。この屈曲部13bは前記底部開口部11bの口縁部として機能する。貯液部13の前記外壁部11及び前記内筒部12は、貯液部13の底部側に行くほど互いに接近するように形成されており、前記屈曲部13bから前記仮想平面Gに対して傾斜する方向に延在している。このため、前記屈曲部13bが、蒸籠台10、貯液部13において前記電子レンジ90の調理物設置台91(図4参照)に当接される設置用当接部として機能する。
【0042】
なお、電子レンジ90としては、ここではターンテーブル式電子レンジを例示する。ターンテーブル式電子レンジ90の場合、調理物設置台91(図4参照)はターンテーブルである。また、図4中、符号93は、電子レンジ90の庫内側空間である。蒸籠に収容した食品Fの蒸し調理を行う場合、蒸籠台10上に蒸籠を設置してなる蒸し器を電子レンジ90の庫内側空間93に収納して加熱する。
但し、本発明では、電子レンジとして下部マグネトロン式の電子レンジも採用可能である。下部マグネトロン式の電子レンジの場合は、前記調理物設置台は、電子レンジ90の庫内の床面を形成する床部である。
このことは、本発明に係る他の実施形態についても共通である。
【0043】
図示例の蒸籠台10において、屈曲部13bは、電子レンジ90の調理物設置台91に当接される部分(調理物設置台91に接触される接触部)が、仮想平面G内にて環状に延在する線状になっている。
この蒸籠台10は、貯液部13の電子レンジ90の調理物設置台91に対する当接面積が非常に小さい。このため、蒸気源液状物Rから調理物設置台91への熱の逃げを最小限に抑えることができ、蒸気源液状物Rの加熱効率を向上できる。このことは、特に、ターンテーブル式の電子レンジ90を採用した場合に、蒸気源液状物Rの昇温時間の短縮、蒸気発生までの時間の短縮に有効に寄与する。
【0044】
しかも、この蒸籠台10では内筒部12の存在によって貯液部13の平面視中央部には蒸気源液状物Rは貯留されず、蒸気源液状物Rは、内筒部12の周囲の環状の貯液凹所13aのみに貯留される。
この構成であれば、長時間(例えば15分以上)の蒸し調理を実現するべく蒸気源液状物Rに充分な貯留量を確保して蒸気源液状物Rの液面から貯液凹所13aの底部までの深さ(液深)が深くなっても、蒸気源液状物Rにマイクロ波の照射面積を充分に確保できる。特に、電子レンジ90の庫内の内側面92(天井面、床面に垂直の縦方向の内壁面)で反射されるマイクロ波を蒸気源液状物Rの加熱に有効に利用できるようになる。その結果、マイクロ波による蒸気源液状物Rの加熱を効率良く行うことができ、短時間で効率良く蒸気を発生させることができる。
【0045】
さらに、図4に示すように、図示例の蒸籠台10は、前記内筒部12が、貯液部13の外壁部11の底部11a(屈曲部13b)から該内筒部12の先端部側に行くにしたがって先細りのテーパ状(テーパ円筒状)に形成されている。
本発明において、内筒部は、その長手方向(中心軸線に沿った方向)の全長にわたって断面形状が一定(外形が一定)の構成であっても良いが、上述のように内筒部12が先端部側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成されている構成であると、貯液部13の貯液凹所13aの底部側(屈曲部13b側)と開口部側(蒸籠載置部14に近い側)との容積比、換言すれば内筒部の中心軸線に垂直の方向における貯液凹所13aの断面積の比(開口部側断面積/底部側断面積)が拡大する。貯液凹所13aが、その開口部側(換言すれば外壁部11の開口部側)により多くの蒸気源液状物Rを貯留できる構成となる。
この構成であれば、特に、電子レンジ90として庫上部にマグネトロンを有するタイプのものを使用する場合に蒸気源液状物Rの加熱に有利である。
【0046】
なお、椀形の外壁部11は、環状の屈曲部13bから開口部側に行くに従って末広がりの形状になっている。この椀形の外壁部11の採用も、貯液凹所13aをその開口部側(換言すれば外壁部11の開口部側)により多くの蒸気源液状物Rを貯留できる構成とすることに有効に寄与することは言うまでも無い。
【0047】
また、前記蒸籠台10の貯液部13は、蒸気源液状物Rが収容されるのは、その平面視中央部の内筒部12の周囲の貯液凹所13aであるから、図4に示すように、電子レンジ90による蒸し調理中において貯液部13から上昇する蒸気は、主に貯液凹所13aからその真上の方向に上昇していく流れ(蒸気流S)を形成する。この蒸気流Sは、蒸籠80において外周壁81内面に沿って上昇し、開閉蓋84の天板部84aに達した所で天板部84aの中央部に向かい、天板部84aの中央部の近傍から下方へ向かった後、食品Fや食品載せ台82に衝突するなどして蒸籠80の外周壁81に向かって拡散し、貯液凹所13aからその真上の方向に上昇していく蒸気流Sに合流する循環流を形成する。
【0048】
内筒部12が存在する箇所からは蒸気は発生しない。このため、蒸籠80の食品載せ台82の下方から食品載せ台82を透過して食品載置面82aの中央部の上方へ上昇する蒸気流は殆どあるいは全く無い。その結果、蒸籠80の天板部84aの中央部の近傍から下方への蒸気の流れが形成されやすく、蒸籠80の内側空間に蒸気が循環する循環流(以下、蒸気循環流とも言う)が形成される。
【0049】
なお、蒸籠80の開閉蓋84の天板部84aは、開口部(図示略)が1以上開口された板状部材であり、蒸籠80内の蒸気は天板部84aの開口部から少しずつ漏出する。
天板部84aとしては、例えば、竹、木等からなる帯状部材を編み込んで構成したものであり、帯状部材同士の間の隙間が開口部として機能する。また、天板部84aとしては、木、竹等の植物系材質で形成された1枚の板状部材に前記開口部として機能する貫通孔を多数穿設したもの等も採用可能である。天板部84aに形成する開口部は、蒸籠台と該蒸籠台上に設置した蒸籠とで構成される容器状の蒸し器の内圧上昇を抑える機能を果たすものであり、例えばピンホール状のものを1つ形成してあれば足りる。この点、天板部84aは、開口部として1以上の孔が穿設されている構成であれば良い。
天板部84aとしては、竹、木等の植物系材料で形成された板状部材に前記開口部として機能する貫通孔を穿設したものや、マイクロ波を透過するプラスチック、ガラスで形成された板状部材に前記開口部として機能する貫通孔を穿設したもの等も採用可能である。
【0050】
本発明によれば、蒸気循環流の形成により、蒸籠80内の食品Fに蒸気を満遍なく接触させることができる。このため、蒸籠80内に食品Fを複数収納した場合であっても調理状態のばらつきを抑えることができる。
また、蒸気循環流の形成により、食品Fから放出される蒸気の滞留に起因する調理状態のばらつきも抑えることができる。
したがって、蒸気循環流の形成により調理状態を均等化できる。
【0051】
図4に示すように、前記蒸籠台10の前記内筒部12の前記外壁部11(具体的には屈曲部13b)からの突出寸法tは、前記貯液部13の深さ寸法dよりも小さくする。
前記内筒部12の突出寸法tが前記貯液部13(外壁部11)の深さ寸法dよりも小さければ、内筒部12先端と食品載せ台82との間にクリアランスを確実に確保でき、天板部84aの中央部の近傍から下方へ向かう蒸気流Sが、蒸籠80の食品載せ台82からその下方の前記クリアランスに流入する流れを形成しやすくなり、食品Fに対する蒸気の接触をより効率良く行える。
【0052】
一方、内筒部12は、貯液部13の貯液凹所13aに入れる蒸気源液状物Rの量が少ない場合や、蒸し調理の進行に伴う蒸気源液状物Rの減少で、蒸気源液状物Rの液面位置が低く(屈曲部13bに近付く)なっても、貯液凹所13aから上昇する蒸気が内筒部12の上方に拡散してくることを抑え、蒸気が貯液凹所13aから真上の方向へ上昇する流れを形成するように蒸気を案内する機能を果たす。このことは蒸し調理中の蒸気循環流の安定維持に寄与する。内筒部12の蒸気案内機能を得る点では、前記内筒部12の突出寸法tが大きいことが好ましい。
【0053】
これらのことから、前記内筒部12の前記屈曲部13bからの突出寸法tは、前記貯液部13の深さ寸法dよりも小さく、かつ、前記貯液部13の深さ寸法dの1/2よりも大きいことが好ましい。また、内筒部12の前記突出寸法tの下限値は、貯液部13の深さ寸法dの70%以上であることがより好ましく、前記深さ寸法dの80%以上であることがさらに好ましい。
【0054】
また、前記内筒部12は、その先端の外径が、前記外壁部11の最大内径の20〜70%の大きさの円筒状あるいはテーパ円筒状に形成されていることが好ましい。内筒部12の先端の外径は、外壁部11の最大内径の40〜60%であることがより好ましい。
【0055】
本発明に係る蒸籠台は、市販の蒸籠を載せて使用できる点も利点の一つである。
ところで、本発明では、電子レンジ90内での長時間の蒸し調理を行う場合、木、竹等の植物系材質で形成された蒸籠80に蒸気流Sが接触することにより、蒸籠80の過剰な温度上昇や焦げを防止できるという利点もある。
木、竹等の植物系材質で形成された蒸籠80は、電子レンジ90のマイクロ波によって加熱されるが、仮に蒸籠への蒸気の供給が無い状態で長時間の加熱を継続すると、蒸籠80の表面の温度がかなり高くなる。また、長時間の加熱で蒸籠80に焦げが発生することがある。
【0056】
本発明者は、蒸籠台10から蒸籠80への蒸気の供給が継続されれば、電子レンジ90での加熱を長時間(例えば400Wで1〜1.5時間)継続しても蒸籠80(植物系材質の蒸籠)に焦げが発生しないことを見出した。
実験の結果、蒸気源液状物から蒸籠80内への蒸気の供給が停止した後も加熱を継続(例えば、400Wで10分以上)すると蒸籠80には焦げが発生することを確認した。また、蒸籠台10から蒸籠80への蒸気の供給が継続されれば、電子レンジ90での加熱を長時間(例えば400Wで1〜1.5時間)継続しても蒸籠80に焦げが発生しないことが確認できた。
【0057】
蒸籠台10から蒸籠80への蒸気の供給によって、蒸籠80の焦げが防止される原因はさらに検証が必要であるが、以下の2点が考えられる。
第1は、蒸籠80内面に蒸気流Sが接触することで、蒸籠80の熱が蒸気流によって奪われて、蒸籠80の温度上昇を抑えることができる点である。これにより蒸籠80の温度が蒸籠80内の蒸気の温度よりも高くなりにくく、蒸籠の焦げが防止されるものと考えられる。また、蒸籠80内の蒸気は、開閉蓋84の天板部84aに形成されている開口部(図示略)から僅かずつ漏出する。この蒸気の漏出によって蒸籠80から熱エネルギーが放出されることも、蒸籠80の温度上昇の抑制に寄与するものと考えられる。
第2は、植物系材質で形成された蒸籠80に蒸籠80内の蒸気が僅かずつ浸透し、この蒸気が蒸籠80の外表面から放出される際に、蒸籠80から熱を奪う点である。これにより、特に蒸籠80表面の温度上昇が抑えられ、蒸籠の焦げが防止されることが考えられる。
【0058】
図5は、複数の胴部83を上下多段(図5では2段)に設けた構成の蒸籠80Aを、蒸籠台10上に設置した場合を示す。開閉蓋84は最上段の胴部83上に設置する。
この場合も、蒸籠台10から上昇する蒸気によって、蒸籠80A内に蒸気循環流を形成できる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。
図6に、この実施形態の蒸籠台50(電子レンジ用蒸籠台)、この蒸籠台50を用いて構成した蒸籠ユニット(電子レンジ用蒸籠ユニット)の一例を示す。
図6、図7に示すように、この実施形態の蒸籠台50は、第1実施形態の蒸籠台10の貯液部13の底部に通気用凹溝51を形成した構成になっている。この蒸籠台50の貯液部に符号52を付す。蒸籠台50の通気用凹溝51以外の構成は第1実施形態の蒸籠台10と同様であり、図中、第1実施形態と同様の構成部分に共通の符号を付す。
【0060】
また、この実施形態の蒸籠ユニットは、前記蒸籠台50と、図6中符号80Bの蒸籠とで構成したものである。
前記蒸籠80Bは、第1実施形態の蒸籠80の開閉蓋84にかえて、蒸気排出用の開口部として機能する隙間や貫通孔が形成されていない天板部85aを有する開閉蓋85を採用したものである。開閉蓋85は前記天板部85aを採用した点のみが第1実施形態にて説明した開閉蓋84と異なる。その他の構成、材質等は、第1実施形態にて説明した開閉蓋84と同様である。天板部85aは外周リング84bの内側を塞ぐようにして外周リング84bに取り付けられている。図中、第1実施形態にて説明した蒸籠80と同様の構成部分に共通の符号を付す。
この蒸籠80Bは、胴部83と開閉蓋85とで構成されている。
【0061】
開閉蓋85は、蒸気排出用の開口部として機能する隙間や貫通孔が存在しない部材で全体が隙間無く形成されており、胴部83上に設置することで胴部83上を隙間無く塞ぐことができる。
また、胴部83の外周壁81も全体が隙間無く形成されている。
このため、蒸籠台50の前記蒸籠載置部14上に前記蒸籠80Bの前記胴部83の前記外周壁81を載置し、この外周壁81上に設置した前記開閉蓋85によって前記胴部83上を塞ぐことで、前記蒸籠台50の前記内筒部12の内側空間12cのみを蒸気排出用の開口部とする蒸し器を構成できる。
【0062】
なお、開閉蓋85は、全体が隙間無く形成され胴部83上を隙間無く塞ぐことができるものであれば良く、外周リング84bの内側に該外周リング84bとは別の部材である天板部85aを固定して外周リング84bの内側を天板部85aで塞いだ構成に限定されず、全体が1部材からなるもの(いわば、天板部のみで構成した開閉蓋)であっても良い。
【0063】
図6に示すように、貯液部52の貯液凹所13aに蒸気源液状物Rを入れた蒸籠台50上に、食品載せ台82上に食品Fを載置した胴部83を設置してなる蒸し器を電子レンジ90内にて加熱して食品Fの蒸し調理を行う場合、蒸籠台50から立ち上る蒸気流Sによって蒸籠80B内に蒸気循環流を形成できる。
内筒部12の周囲の貯液凹所13aから上昇した蒸気流Sは、蒸籠80Bの開閉蓋85の天板部85aに達した所で天板部85aの中央部に向かい、天板部85aの中央部の近傍から下方へ向かった後、食品Fや食品載せ台82に衝突するなどして蒸籠80Bの外周壁81に向かって拡散し、貯液凹所13aからその真上の方向に上昇していく蒸気流Sに合流する循環流を形成する。
【0064】
但し、この蒸籠ユニット、蒸し器の場合、蒸気排出用の開口部を有していない開閉蓋85を採用しているため、蒸気排出用の開口部からの蒸気の漏出が無い分、蒸気排出用の開口部を有する開閉蓋84を採用している第1実施形態の蒸籠ユニットに比べて、蒸籠内において開閉蓋の天板部の中央部付近から下降する蒸気流Sの蒸気量が増大する。
さらに、この蒸籠ユニット、蒸し器の場合、蒸し器内の蒸気が、内筒部12の内側空間12cを介して蒸籠台50の貯液部52の底部に形成されている通気用凹溝51から排出可能になっている。蒸気源液状物Rや食品Fからの蒸気の放出や、蒸し器内の蒸気のマイクロ波による加熱膨張の継続に伴い、蒸し器内の蒸気が内筒部12の内側空間12cを介して蒸籠台50の通気用凹溝51から円滑に排出されることで、蒸し器内の内圧が上昇することは無い。また、天板部85aの中央部付近から内筒部12の内側空間12cを通って下降する蒸気流が形成されることで、天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sの流れが形成されやすくなりこの蒸気流Sを形成する蒸気量が増大するため、食品載せ台82上の食品Fの蒸し調理の均等化をより確実に実現できるようになる。
【0065】
蒸籠台50の通気用凹溝51について説明する。
図8は、この蒸籠台50を下側(貯液部52の底部側)から見た構造を示す図である。
図6、図7、図8に示すように、通気用凹溝51は、貯液部52の底部において前記屈曲部13bの電子レンジの調理物設置台91と接触される部分(接触部13c)から窪んで該前記内筒部12の内側空間12cから貯液部52の外壁部11の外側に向かって貫通する溝状に形成されている。通気用凹溝51は、換言すれば、接触部13cが位置する仮想平面Gから窪む溝状に形成されている。
図示例の蒸籠台50は、貯液部52の屈曲部13bの通気用凹溝51に対応する部分が薄肉に形成されている。但し、蒸籠台としては、これに限定されず、屈曲部13bの通気用凹溝51に対応する部分を局所的に貯液凹所13a内に張り出すように湾曲あるいは屈曲させて形成した構成であっても良い。
【0066】
図示例の蒸籠台50は、通気用凹溝51を1本のみ有する構成を例示しているが、本発明に係る蒸籠台としては、屈曲部13bの周方向における複数箇所に通気用凹溝を形成した構成であっても良い。
蒸籠台50に形成する通気用凹溝51の数、及び、屈曲部13bの周方向における通気用凹溝51の寸法(溝幅)は適宜選択し得るが、蒸籠台50を電子レンジ90の調理物設置台91上に設置したときのがたつき防止、設置安定性の確保に鑑みて、貯液部52の底部には、前記屈曲部13bの周方向において略均等の3以上の箇所に、前記屈曲部13bの前記電子レンジの調理物設置台91と接触される接触部が確保されるようにする。
このことは、必ずしも、屈曲部13bにおいて前記接触部が確保された部位の数が3以上であることを意味するものでは無く、前記屈曲部13bの周方向において略均等の3以上の箇所に前記接触部が存在する構成を意味するものであり、屈曲部13bの前記接触部が確保された部位の数が1又は2である場合も含む。
【0067】
一例として、図9は、貯液部52の底部の屈曲部13bの周方向の3箇所に通気用凹溝51を形成し、屈曲部13bの周方向において略均等の3箇所に、前記電子レンジ90の調理物設置台91と接触される接触部13cを確保した構成の蒸籠台50A(第2実施形態の蒸籠台の変形例)を例示する。
また、この図9に例示した蒸籠台50Aでは、3箇所の接触部13cの屈曲部13bの周方向における寸法(周方向延在寸法)の合計が、3つの通気用凹溝51の屈曲部13bの周方向における寸法(溝幅)の合計よりも小さくしてある。屈曲部13bの内、接触部13cに対応する部分は、貯液部52の底部において突起状に形成されている。
貯液部52の底部に通気用凹溝51を4以上形成する場合も、全ての接触部13cの屈曲部13bの周方向における寸法(周方向延在寸法)の合計が、全ての通気用凹溝51の屈曲部13bの周方向における寸法(溝幅)の合計よりも小さい構成を採用できる。
【0068】
なお、貯液部52の底部に1以上の通気用凹溝51を持つ蒸籠台としては、前記屈曲部13bの周方向において略均等の3以上の箇所に、前記屈曲部13bが前記電子レンジの調理物設置台91と接触される接触部が確保されている構成であれば良く、全ての接触部13cの屈曲部13bの周方向における寸法(周方向延在寸法)の合計が、全ての通気用凹溝51の屈曲部13bの周方向における寸法(溝幅)の合計よりも大きい構成も採用可能であることは言うまでも無い。
屈曲部13bの周方向における接触部の数が1又は2である場合は、この構成を採ることを必須とする。
【0069】
上述のように、貯液部52の底部に通気用凹溝51を有する構成の蒸籠台50は、電子レンジ90の調理物設置台91上に設置したときに、通気用凹溝51によって、電子レンジ90の調理物設置台91と貯液部52(詳細には屈曲部13b)との間に、内筒部12の内側空間12c内の蒸気を貯液部52の外壁部11の外側に排出するための蒸気排出路が確保される。これにより、蒸し器内の蒸気を、内筒部12の内側空間12cを介して蒸籠台50の通気用凹溝51から円滑に排出でき、天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sを形成する蒸気量を増大させることができ、食品載せ台82上の食品Fの蒸し調理の均等化をより確実に実現できる。蒸気源液状物Rからの蒸気発生量が少ない場合でも、天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sが得られやすくなる、といった利点がある。
【0070】
また、蒸籠80Bとして、胴部83の外周壁81及び開閉蓋85の内の少なくとも開閉蓋85が、ガラスあるいは合成樹脂材料から形成された気密性部材で形成されている構成のものを採用すると、蒸籠80Bからの蒸気漏れを容易に減少させることができ、天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sを形成する蒸気量を増大させる点で有利である。
【0071】
蒸籠ユニット、蒸し器を構成する蒸籠としては、胴部83がひとつのみの構成に限定されず、複数の胴部83が上下多段に設けられた構成、例えば、図5に例示した蒸籠80Aにおいて開閉蓋84にかえて、本実施形態にて説明した開閉蓋85を用いた構成としても良い。
【0072】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
図10に示すように、この実施形態の蒸籠台20(電子レンジ用蒸籠台)は、第2実施形態の蒸籠台50の内筒部12の先端部の先端閉鎖壁12a、内筒部12の先端部の外周面に開口する液排出用開口部12bを省略した構成になっている。この蒸籠台20の内筒部に符号21を付す。
先端閉鎖壁12a、液排出用開口部12bを省略した点以外は、第2実施形態の蒸籠台50と同様の構成になっている。図10、図11中、図6〜図9と同一の構成部分に、共通の符号を付す。
図中、符号23は、この蒸籠台20の貯液部である。この貯液部23は、前記内筒部21を採用した点のみが、第2実施形態の蒸籠台50の貯液部52と異なる。
【0073】
この蒸籠台20は、内筒部21の先端部が単純な筒状に形成されており、内筒部21は無底筒状になっている。この内筒部21は、その先端の開口部が液排出用開口部22となっている。この液排出用開口部22は、内筒部21の先端の内側部分を指す。この液排出用開口部22の中心軸線は内筒部21の中心軸線L2に一致しており、内筒部21の先端の内径が液排出用開口部22の内径である。
【0074】
第2実施形態の蒸籠台50では、内筒部12の液排出用開口部12bの下端位置が、貯液凹所13aに貯留する蒸気源液状物Rの液面の上限位置となる。これに対して、本実施形態の蒸籠台20では、外壁部11の底部11a、屈曲部13bからの内筒部12の突出寸法t1が、貯液凹所13aに貯留する蒸気源液状物Rの液面の上限位置となる。
【0075】
図11は、この蒸籠台20を用いて構成した蒸籠ユニット(電子レンジ用蒸籠ユニット)の一例を示すものであり、前記蒸籠台20の上に蒸籠80Bを設置してなる蒸し器を組み立てた状態を示す。
蒸気源液状物Rを蒸籠台20の前記貯液部23に貯留した状態で、蒸し調理を行う食品Fを収容した蒸籠80Bを蒸籠台20の蒸籠載置部14に設置し、蒸籠台20と該蒸籠台20上に設置された蒸籠80Bとを電子レンジ90にて加熱することで、第2実施形態の場合と同様に食品Fを蒸し調理することができる。蒸籠台20と蒸籠80Bとで構成される蒸し器内に蒸気循環流を形成できることも、第2実施形態の場合と同様である。
【0076】
図11中、符号21aは、内筒部21の内側空間である。
貯液部23において、外壁部11と内筒部21との連続部である屈曲部13bの接触部13c(図示略)から窪む溝状に形成された通気用凹溝51は、内筒部21の内側空間21aから外壁部11の外側に向かって貯液部23の底部(図示例では屈曲部13b)を貫通している。
【0077】
この蒸籠台20の場合は、内筒部21の構成が単純な分、製造が容易であり、低コストで製造できる。
また、内筒部21は、その中心軸線L2に一致する中心軸線を以て開口する液排出用開口部22を先端に具備する構成であることから、蒸籠台20上に蒸籠を設置して食品の蒸し調理を行う際に、第2実施形態の内筒部12に比べて、蒸籠の開閉蓋85の天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sの内筒部21の内側空間21aへの流入が容易である。このため、この実施形態の蒸籠台20では、第2実施形態の蒸籠台50に比べて、天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sの流れが円滑であり、その結果、蒸籠台20と蒸籠80Bとで構成される蒸し器内に蒸気が移動せずに滞留したままとなる箇所が減少し、食品載せ台82上の食品Fの蒸し調理の均等化をより確実に実現できるという利点がある。蒸気源液状物Rからの蒸気発生量が少ない場合でも、天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sが得られやすくなる。
【0078】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
図12に、この実施形態の蒸籠台30(電子レンジ用蒸籠台)、及び、この蒸籠台30を用いて構成した蒸籠ユニット(電子レンジ用蒸籠ユニット)の一例を示す。
図12に示すように、この実施形態の蒸籠台30は、第2実施形態の蒸籠台50の椀形の外壁部11にかえて、円筒状の外壁部31を採用したものである。
前記外壁部31は、その中心軸線L3に沿った方向の全長にわたって内径及び外径が一定である。
【0079】
図中、符号33はこの蒸籠台の貯液部、33aは貯液凹所である。この貯液部33は、前記外壁部31を採用した点が、第2実施形態の蒸籠台50の貯液部52と異なる。また、円筒状の外壁部31の採用によって貯液凹所33aの形状が、第2実施形態の蒸籠台50の貯液部52の貯液凹所13aと異なっている。また、この蒸籠台30の貯液部33の底部には通気用凹溝34が形成されている。
図12中、図6〜図9と同一の構成部分に、共通の符号を付す。
【0080】
符号35はこの蒸籠台30の内筒部である。この内筒部35は、外壁部31の一方の開口端部(中心軸線方向両端の開口端部の片方)の全周から他方の開口端部に向かって前記外壁部31の内側に立ち上げるように形成されている。この内筒部35は、外壁部31の一方の開口端部から突出先端側(該内筒部35の突出先端側)に行くに従って縮径する先細りのテーパ円筒状に形成されている。また、この内筒部35は、第2実施形態にて説明した蒸籠台50の内筒部12と同様に、その先端部に、先端閉鎖壁12a及び液排出用開口部12bを具備するものである。
蒸籠載置部14は、前記外壁部31の他方の開口端部に周設されている。
【0081】
この蒸籠台30では、前記外壁部31と前記内筒部35との連続部である屈曲部32が前記内筒部35の中心軸線(図示例では外壁部31の中心軸線L3と一致)に直交する仮想平面G1内にて環状に延在された構成になっている。
【0082】
貯液部33の前記外壁部31及び前記内筒部35は、前記屈曲部32から前記仮想平面G1に対して傾斜する方向(外壁部31は仮想平面G1に対して垂直)に延在しており、前記屈曲部32が、蒸籠台30、貯液部33において前記電子レンジ90の調理物設置台91に当接される設置用当接部として機能する。前記屈曲部32は、電子レンジ90の調理物設置台91に当接される部分(接触部)が、仮想平面G1内にて環状に延在する線状になっている。
【0083】
この蒸籠台30では、外壁部31の内側にて内筒部35の周囲に環状に確保された貯液凹所33aの底部は屈曲部32の付近に位置している。つまり、貯液凹所33aは、外壁部31の内面付近が深さが最も深い構成となっている。
この蒸籠台30では、貯液凹所33aに入れた蒸気源液状物Rは、外壁部31の内面付近で、その液面からの深さ(液深)が最も深くなるように貯留される。このため、この蒸籠台30では、電子レンジの庫内の内側面92(図11等参照。天井面、床面に垂直の縦方向の内壁面)で反射されるマイクロ波を、第1実施形態の蒸籠台10、第2実施形態の蒸籠台50に比べて一層有効に、蒸気源液状物Rの加熱に利用できる。
【0084】
図12では蒸籠台30上に蒸籠80Cを設置してなる蒸し器を組み立てた状態を示す。
蒸籠80Cは、上下多段(図示例では2段)に重ね合わせた胴部83と、最上段の胴部83上に設置され該胴部83上を塞ぐ開閉蓋85とを具備して構成されている。
但し、蒸籠としては、これに限定されず、例えば図6に例示したように胴部83をひとつのみ有する蒸籠80B等も採用可能である。
【0085】
この蒸籠台30の通気用凹溝34について説明する。
図13は蒸籠台30を下側(貯液部33の底部側)から見た構成を示す図である。
図12、図13に示すように、通気用凹溝34は、貯液部33の底部において前記屈曲部32の電子レンジの調理物設置台91と接触される部分(下端部。接触部32a)から窪み前記屈曲部32を該前記内筒部35の内側空間12cから貯液部33の外壁部31の外側に向かって貫通する溝状に形成されている。通気用凹溝34は、換言すれば、接触部32aが位置する仮想平面G1から窪む溝状に形成されている。
【0086】
図示例の蒸籠台30は、貯液部33の屈曲部32の通気用凹溝34に対応する部分が薄肉に形成されている。但し、蒸籠台としては、これに限定されず、屈曲部32の通気用凹溝34に対応する部分を局所的に貯液凹所33a内に張り出すように湾曲あるいは屈曲させて形成した構成であっても良い。
【0087】
図13では、通気用凹溝34を1本のみ有する構成の蒸籠台30を例示しているが、これに限定されず、屈曲部32の周方向における複数箇所に通気用凹溝34を形成した構成であっても良い。蒸籠台30に形成する通気用凹溝34の数、及び、屈曲部32の周方向における通気用凹溝34の寸法(溝幅)は適宜選択し得るが、蒸籠台30を電子レンジ90の調理物設置台91上に設置したときのがたつき防止、設置安定性の確保に鑑みて、貯液部33の底部には、前記屈曲部32の周方向において略均等の3以上の箇所に、前記屈曲部32の前記電子レンジの調理物設置台91と接触される接触部32aが確保されるようにする。このことは、必ずしも、屈曲部32において前記接触部32aが確保された部位の数が3以上であることを意味するものでは無く、前記屈曲部32の周方向において略均等の3以上の箇所に前記接触部32aが存在する構成を意味するものであり、屈曲部32の前記接触部32aが確保された部位の数が1又は2である場合も含む。
【0088】
一例として、図14は、貯液部33の底部の屈曲部32の周方向の3箇所に通気用凹溝34を形成し、屈曲部32の周方向において略均等の3箇所に、前記電子レンジ90の調理物設置台91と接触される接触部32aを確保した構成の蒸籠台30A(第4実施形態の蒸籠台の変形例)を例示する。
また、この図14に例示した蒸籠台30Aでは、3箇所の接触部32aの屈曲部32の周方向における寸法(周方向延在寸法)の合計が、3つの通気用凹溝34の屈曲部32の周方向における寸法(溝幅)の合計よりも小さくしてある。屈曲部32の内、接触部32aに対応する部分は、貯液部33の底部において突起状に形成されている。
貯液部33の底部に通気用凹溝34を4以上形成する場合も、全ての接触部32aの屈曲部33の周方向における寸法(周方向延在寸法)の合計が、全ての通気用凹溝34の屈曲部32の周方向における寸法(溝幅)の合計よりも小さい構成を採用できる。
【0089】
なお、貯液部33の底部に1以上の通気用凹溝34を持つ蒸籠台としては、前記屈曲部32の周方向において略均等の3以上の箇所に、前記屈曲部32が前記電子レンジの調理物設置台91と接触される接触部32aが確保されている構成であれば良く、全ての接触部32aの屈曲部32の周方向における寸法(周方向延在寸法)の合計が、全ての通気用凹溝34の屈曲部32の周方向における寸法(溝幅)の合計よりも大きい構成も採用可能であることは言うまでも無い。
屈曲部32の周方向における接触部32aの数が1又は2である場合は、この構成を採ることを必須とする。
【0090】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
図15に、この実施形態の蒸籠台40(電子レンジ用蒸籠台)、および、この蒸籠台40を用いて構成した蒸籠ユニット(電子レンジ用蒸籠ユニット)の一例を示す。
図15に示すように、この実施形態の蒸籠台40は、第4実施形態の蒸籠台30の内筒部35の先端部の先端閉鎖壁12a、内筒部35の先端部の外周面に開口する液排出用開口部12bを省略した構成の内筒部41を具備している。
この蒸籠台40の内筒部41以外の構成は第4実施形態の蒸籠台30と同様である。
図15中、図12〜図14と同一の構成部分に、共通の符号を付す。
【0091】
図中、符号43は、この蒸籠台40の貯液部である。この貯液部43は、前記内筒部41を採用した点のみが、第4実施形態の蒸籠台30の貯液部33と異なる。また、貯液部43の貯液凹所に符号43aを付す。
【0092】
この蒸籠台40の内筒部41の先端部は単純な筒状に形成されており、内筒部41は無底筒状になっている。この内筒部41は、その先端の開口部が液排出用開口部42となっている。この液排出用開口部42は、内筒部41の先端の内側部分を指す。この液排出用開口部42の中心軸線は内筒部41の中心軸線L4に一致しており、内筒部41の先端の内径が液排出用開口部42の内径である。
【0093】
図15中、符号41aは、内筒部41の内側空間である。
貯液部43において、外壁部31と内筒部41との連続部である屈曲部32の接触部32aから窪む溝状に形成された通気用凹溝34は、内筒部41の内側空間41aから外壁部31の外側に向かって貯液部43の底部(図示例では屈曲部32)を貫通している。
【0094】
本実施形態の蒸籠台40では、貯液部43の屈曲部32からの内筒部41の突出寸法、すなわち、内筒部41の中心軸線L4方向の寸法が、貯液凹所43aに貯留する蒸気源液状物Rの液面の上限位置となる。
【0095】
この蒸籠台40の場合は、内筒部41の構成が単純な分、製造が容易であり、低コストで製造できる。
また、内筒部41は、その中心軸線L4に一致する中心軸線を以て開口する液排出用開口部42を先端に具備する構成であることから、第4実施形態の蒸籠台30の内筒部35に比べて、蒸気排出用の開口部として機能する隙間や貫通孔が形成されていない開閉蓋85を有する蒸籠を蒸籠台40上に設置して食品の蒸し調理を行う際に蒸籠の開閉蓋85の天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sの内筒部41の内側空間41aへの流入が容易である。このため、この実施形態の蒸籠台40では、第4実施形態の蒸籠台30に比べて、天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sの流れが円滑であり、その結果、蒸籠台40と蒸籠とで構成される蒸し器内に蒸気が移動せずに滞留したままとなる箇所が減少し、蒸籠の食品載せ台82上の食品F(図15中、図示略)の蒸し調理の均等化をより確実に実現できるという利点がある。蒸気源液状物Rからの蒸気発生量が少ない場合でも、天板部85aの中央部付近から下降する蒸気流Sが得られやすくなる。
【0096】
図15では、蒸籠台40上に蒸籠80B(ひとつの胴部83と、蒸気排出用の開口部として機能する隙間や貫通孔が形成されていない開閉蓋85とで構成される蒸籠)を設置してなる蒸し器を構成した状態を例示しているが、蒸籠台40に設置する蒸籠はこれに限定されない。例えば、図12に例示した蒸籠80Cのように、複数の胴部83と、蒸気排出用の開口部として機能する隙間や貫通孔が形成されていない開閉蓋85とで構成したものであっても良い。
【0097】
本発明に係る蒸籠台としては、第2〜5実施形態に例示した蒸籠台から通気用凹溝を省略した構成のものも採用可能である。
本発明に係る蒸籠ユニット、蒸し調理済み食品の製造方法としては、蒸籠台として、第1〜5実施形態に例示した蒸籠台のいずれも採用可能であり、さらに、第2〜5実施形態に例示した蒸籠台から通気用凹溝を省略した構成の蒸籠台を採用することも可能である。通気用凹溝を省略した構成の蒸籠台を採用し、この蒸籠台上に蒸気排出用の開口部を有していない開閉蓋)を用いた構成の蒸籠を載置した構成の蒸し器を組み立てて食品の蒸し調理を行った場合も、蒸籠台の貯液部の底部の屈曲部の形成精度や、電子レンジの調理物設置台の上面の形成精度によって、蒸籠台の屈曲部と電子レンジの調理物設置台との間に形成される微小な隙間から蒸し器内の蒸気が漏出したり、このような隙間が存在しない場合は蒸し器内圧の上昇によって蒸籠台の屈曲部の一部が電子レンジの調理物設置台から僅かに浮き上がりを生じて蒸し器内の蒸気が放出される。但し、通気用凹溝を有する蒸籠台を採用した場合は、通気用凹溝によって蒸気放出用の空間が確実に確保されるため、蒸気の放出が確実かつ円滑になされる点で好ましい。
また、図6、図11、図12、図15では、蒸籠台上に設置する蒸籠として、第2実施形態にて説明した開閉蓋85(蒸気排出用の開口部を有していない開閉蓋)を用いた構成の蒸籠を例示しているが、これに限定されず、第1実施形態にて説明した蒸気排出用の開口部を有する構成の開閉蓋84を最上段の胴部83上に設置した構成の蒸籠を使用することも可能であることは言うまでも無い。蒸籠を構成する胴部83の数には特には限定は無い。
【0098】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。
上述の実施形態では、内筒部としてテーパ円筒状の構成のものを例示したが、これに限定されず、内筒部としては、例えば断面外形が矩形のテーパ筒状のもの(テーパ角筒状)も採用可能である。また、内筒部としては、断面外形が矩形のもの以外、例えば断面外形が楕円形、五角形、六角形のテーパ筒状等も採用可能である。
また、外壁部についても、椀形、円筒状のものに限定されず、例えば角筒状のもの等も採用可能である。
上述した各実施形態の蒸籠台は、全体が、マイクロ波を透過する合成樹脂材料によって形成された一体成形品であり、具体的には第1実施形態に例示したものと同様の合成樹脂材料を用いることができる。但し、本発明に係る蒸籠台としてはこれに限定されず、例えば、一部にマイクロ波を吸収する材料で形成された部分を持つものも採用可能である。
本発明に係る蒸籠ユニットを構成する蒸籠としては、胴部を一つだけ持つもの、胴部を2以上持つもの、のいずれも採用可能である。蒸籠を構成する胴部の数には限定は無い。
本発明に係る蒸籠台、蒸籠ユニット、蒸し調理済み食品の製造方法は、15分以上の蒸し調理以外、数分程度の蒸し調理にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明に係る電子レンジ用蒸籠台の第1実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の蒸籠台の構造を示す正断面図である。
【図3】図1の蒸籠台の構造を示す平断面図であり図2のA−A線断面矢視図である。
【図4】本発明に係る蒸籠ユニットの一例を示す図であって、図1の蒸籠台を用いた蒸籠ユニットの組み立て状態を示す断面図である。
【図5】本発明に係る蒸籠ユニットの一例を示す図であって、蒸籠の胴部を上下多段にした蒸籠ユニットの組み立て状態を示す断面図である。
【図6】本発明に係る電子レンジ用蒸籠台の第2実施形態、この蒸籠台を用いて構成した蒸籠ユニットの一例を示す断面図である。
【図7】図6の電子レンジ用蒸籠台の外観構成を示す正面図である。
【図8】図6の電子レンジ用蒸籠台を下側(貯液部の底部側)から見た構造を示す図である。
【図9】本発明の第2実施形態の変形例の電子レンジ用蒸籠台を下側(貯液部の底部側)から見た構造を示す図である。
【図10】本発明に係る電子レンジ用蒸籠台の第3実施形態を示す斜視図である。
【図11】図10の蒸籠台、この蒸籠台を用いて構成した蒸籠ユニットの一例を示す断面図である。
【図12】本発明に係る電子レンジ用蒸籠台の第4実施形態、この蒸籠台を用いて構成した蒸籠ユニットの一例を示す断面図である。
【図13】図12の電子レンジ用蒸籠台を下側(貯液部の底部側)から見た構造を示す図である。
【図14】本発明の第4実施形態の変形例の電子レンジ用蒸籠台を下側(貯液部の底部側)から見た構造を示す図である。
【図15】本発明に係る電子レンジ用蒸籠台の第5実施形態、この蒸籠台を用いて構成した蒸籠ユニットの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0100】
10…電子レンジ用蒸籠台、11…外壁部、11a…底部、11b…底部開口部、12…内筒部、12a…先端閉鎖壁、12b…液排出用開口部、12c…内側空間、13…貯液部、13a…凹所(貯液凹所)、13b…屈曲部、13c…接触部、14…蒸籠載置部、20…電子レンジ用蒸籠台、21…内筒部、21a…内側空間、22…液排出用開口部、23…貯液部、30、30A…電子レンジ用蒸籠台、31…外壁部、32…屈曲部、32a…接触部、33…貯液部、33a…凹所(貯液凹所)、34…通気用凹溝、35…内筒部、40…電子レンジ用蒸籠台、41…内筒部、41a…内側空間、42…液排出用開口部、43…貯液部、43a…凹所(貯液凹所)、50、50A…電子レンジ用蒸籠台、51…通気用凹溝、52…貯液部、80、80A、80B、80C…蒸籠、81…外周壁、82…食品載せ台、82a…食品載置面、82b…透孔、83…胴部、84…開閉蓋、84a…天板部、85…開閉蓋、85a…天板部、90…電子レンジ、91…調理物載置台(ターンテーブル)、92…内側面、93…庫内側空間、F…食品、G、G1…仮想平面、L1〜L4…中心軸線、R…蒸気源液状物、S…蒸気流、d…(貯液部の)深さ寸法、t、t1…(内筒部の)突出寸法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蒸籠に収容した食品を電子レンジにて蒸し調理する際に前記蒸籠を載せて用いられる電子レンジ用蒸籠台であって、
マイクロ波を透過する材料によって椀形に形成された外壁部の内側に該外壁部の底部から立ち上げるように立設された内筒部を有し、前記外壁部の内側にて前記内筒部の周囲に環状に確保された凹所内に、水、水分を含む飲料、含水液状食品から選択される1つ又は複数を混合したものであり電子レンジでの加熱によって水蒸気を発生する蒸気源液状物が貯留される貯液部と、
この貯液部の前記外壁部の開口部に周設され前記蒸籠が載置される蒸籠載置部とを具備し、
前記内筒部は前記外壁部の底部に開口されている底部開口部の周囲から立ち上げるように突設されて前記貯液部の平面視中央部に設けられ、この内筒部の先端部には前記貯液部内からの蒸気源液状物の排出用の液排出用開口部が開口されていることを特徴とする電子レンジ用蒸籠台。
【請求項2】
前記内筒部は前記外壁部の底部から該内筒部の先端部側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の電子レンジ用蒸籠台。
【請求項3】
蒸籠に収容した食品を電子レンジにて蒸し調理する際に前記蒸籠を載せて用いられる電子レンジ用蒸籠台であって、
マイクロ波を透過する材料によって筒状に形成された外壁部及び該外壁部の両端の開口端部の一方の全周から他方の開口端部に向かって前記外壁部の内側に立ち上げるように形成されたテーパ筒状の内筒部を有し、前記外壁部の内側にて前記内筒部の周囲に環状に確保された凹所内に、水、水分を含む飲料、含水液状食品から選択される1つ又は複数を混合したものであり電子レンジでの加熱によって水蒸気を発生する蒸気源液状物が貯留される貯液部と、
この貯液部の前記外壁部の他方の開口端部に周設され前記蒸籠が載置される蒸籠載置部とを具備し、
前記内筒部は前記外壁部の一方の開口端部から該内筒部の先端部側に行くにしたがって先細りのテーパ状に形成されて前記貯液部の平面視中央部に設けられ、この内筒部の先端部には前記貯液部内からの蒸気源液状物の排出用の液排出用開口部が開口されていることを特徴とする電子レンジ用蒸籠台。
【請求項4】
前記内筒部は前記外壁部からの突出先端を塞ぐ先端閉鎖壁を有し、該内筒部の先端部側の前記液排出用開口部は前記内筒部の外周面に開口されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の電子レンジ用蒸籠台。
【請求項5】
前記貯液部には、前記外壁部と前記内筒部との連続部である屈曲部が前記内筒部の中心軸線に直交する仮想平面内にて環状に延在され、前記外壁部及び前記内筒部は前記屈曲部から前記仮想平面に対して傾斜する方向に延在しており、前記屈曲部が前記電子レンジの調理物設置台に当接される設置用当接部として機能することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電子レンジ用蒸籠台。
【請求項6】
前記貯液部の底部には、前記屈曲部の前記電子レンジの調理物設置台と接触される部分から窪んで該前記内筒部の内側空間から前記外壁部の外側に向かって貫通する通気用凹溝が形成されており、前記屈曲部の周方向において略均等の3以上の箇所に、前記屈曲部が前記電子レンジの調理物設置台と接触される接触部が確保されていることを特徴とする請求項5記載の電子レンジ用蒸籠台。
【請求項7】
前記内筒部の前記貯液部の前記屈曲部からの突出寸法が、前記貯液部の深さ寸法よりも小さく、かつ、前記貯液部の深さ寸法の1/2よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子レンジ用蒸籠台。
【請求項8】
前記蒸籠が、木、竹、マイクロ波を透過可能な材料、から選択されるいずれか1つあるいは複数によって形成されたものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の電子レンジ用蒸籠台。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の電子レンジ用蒸籠台と、この電子レンジ用蒸籠台の前記蒸籠載置部に載置可能な蒸籠とを具備することを特徴とする電子レンジ用蒸籠ユニット。
【請求項10】
前記蒸籠は、筒状の外周壁の内側に該外周壁の中心軸線に直交する向きで延在する食品載置面を形成する食品載せ台が設けられてなる胴部と、この胴部上に着脱可能に設けられる開閉蓋とを具備し、前記食品載せ台には前記電子レンジ用蒸籠台から立ち上る蒸気を通過させる透孔が形成され、前記開閉蓋は隙間無く形成されており、
前記電子レンジ用蒸籠台の前記蒸籠載置部上に前記蒸籠の前記胴部の前記外周壁を載置し、この外周壁上に設置した前記開閉蓋によって前記胴部上を塞ぐことで、前記電子レンジ用蒸籠台の前記内筒部の内側空間のみを蒸気排出用の開口部とする蒸し器が構成されることを特徴とする請求項9記載の電子レンジ用蒸籠ユニット。
【請求項11】
前記蒸籠の前記外周壁及び前記開閉蓋が気密性部材によって構成されていることを特徴とする請求項10記載の電子レンジ用蒸籠ユニット。
【請求項12】
請求項1〜9のいずれかに記載の電子レンジ用蒸籠台あるいは請求項10又は11記載の電子レンジ用蒸籠ユニットを用いて食品を蒸し調理して蒸し調理済み食品を製造する方法であって、
水、水分を含む飲料、含水液状食品から選択される1つ又は複数を混合したものである蒸気源液状物を前記電子レンジ用蒸籠台の前記貯液部に貯留した状態で、蒸し調理を行う前記食品を収容した蒸籠を前記電子レンジ用蒸籠台の蒸籠載置部に載置し、電子レンジ用蒸籠台と該電子レンジ用蒸籠台上に載置された前記蒸籠とを電子レンジにて加熱することを特徴とする蒸し調理済み食品の製造方法。
【請求項13】
前記電子レンジ用蒸籠台、前記蒸籠の電子レンジでの加熱を開始する前、あるいは、加熱の途中で加熱を一旦停止して、前記蒸気源液状物に香料を添加することを特徴とする請求項12記載の蒸し調理済み食品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−273650(P2009−273650A)
【公開日】平成21年11月26日(2009.11.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−127638(P2008−127638)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【出願人】(595073742)
【Fターム(参考)】