電子値札システムおよび電子値札装置
【課題】安価に構築可能な電子値札システムおよび電子値札装置を提供すること。
【解決手段】売価を含む商品情報を表示する複数の値札ユニット2を有する電子値札装置1と、電子値札装置1に対し商品情報を提供するESLサーバ7と、電子値札装置1に対し各値札ユニット2に対応する各商品の商品コードを提供するハンディデータターミナル15と、から成る電子値札システムSYであって、電子値札装置1は、ハンディデータターミナル15およびESLサーバ7との通信手段21を搭載した1の親機2aと、値札ユニット2として機能すると共に親機2aを介して商品情報を取得する1以上の子機2bと、を有し、親機2aは、ハンディデータターミナル15から取得した複数の商品コードと、各値札ユニット2を識別するためのユニットIDとを対応付けた商品コード対応情報をESLサーバ7に送信する。
【解決手段】売価を含む商品情報を表示する複数の値札ユニット2を有する電子値札装置1と、電子値札装置1に対し商品情報を提供するESLサーバ7と、電子値札装置1に対し各値札ユニット2に対応する各商品の商品コードを提供するハンディデータターミナル15と、から成る電子値札システムSYであって、電子値札装置1は、ハンディデータターミナル15およびESLサーバ7との通信手段21を搭載した1の親機2aと、値札ユニット2として機能すると共に親機2aを介して商品情報を取得する1以上の子機2bと、を有し、親機2aは、ハンディデータターミナル15から取得した複数の商品コードと、各値札ユニット2を識別するためのユニットIDとを対応付けた商品コード対応情報をESLサーバ7に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、売価を含む商品情報を表示する複数の値札ユニットと、当該複数の値札ユニットに商品情報を提供するホスト装置と、を有する電子値札システムおよび電子値札装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、売価を含む商品情報を表示するためのディスプレイを有する複数の電子値札(電子棚札)ユニットと、複数の値札ユニットを統括的に制御するホスト装置(ESLサーバ)とを有する電子値札システムが知られている(特許文献1参照)。この種の電子値札システムは、ホスト装置から、商品マスタに基づいて決定される売価等の商品情報を、店内に複数設置されたトランシーバ等を介して赤外線通信や無線通信により各値札ユニットに送信する。したがって、商品マスタが変更された場合など、各値札ユニットに表示するための商品情報を即座に変更することができ、タイムサービス等における価格変更に有用である。また、商品情報に商品名を含めた構成とすれば、1台の値札ユニットで種々の商品に対応させることができるため、日替わり商品の価格表示等にも便利である。このような背景から、近年では電子値札システムを導入する小売店が急速に増加している。
【特許文献1】特開2006−092121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、この種の電子値札システムは、その構築に多額の費用を要する。したがって、小規模な店舗では、上記のような電子値札システムの有用性を認識しつつも、導入が難しいのが現実である。このため、小売業界では、安価に構築可能な電子値札システムの実現が強く望まれている。
【0004】
そこで、本発明は、安価に構築可能な電子値札システムおよび電子値札装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子値札システムは、商品の陳列ケースまたは陳列棚に設けられ、売価を含む商品情報を表示する複数の値札ユニットを有する電子値札装置と、電子値札装置に対し商品情報を提供すると共に、各商品の商品コードを管理するホスト装置と、電子値札装置に対し複数の値札ユニットに対応する複数の商品コードを提供する外部装置と、から成る電子値札システムであって、電子値札装置は、外部装置およびホスト装置との通信手段を搭載した1の親機と、値札ユニットとして機能すると共に親機を介して商品情報を取得する1以上の子機と、を有し、親機は、外部装置から、複数の商品コードを取得する商品コード取得手段と、取得した複数の商品コードと、値札ユニットを識別するための複数の識別子とをそれぞれ1対1の関係となるように対応付けた商品コード対応情報をホスト装置に送信する商品コード対応情報送信手段を有していることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、親機の通信手段を用いて、値札ユニットとして機能する複数の子機に対応する複数の商品コードを取得することができると共に、各子機に対しホスト装置から取得した商品情報を提供することができる。言い換えれば、各子機に外部装置やホスト装置との通信手段を搭載する必要がないため、子機の部品点数および組み立て工数を削減でき、ひいては電子値札システムの構築費用を低減できる。また、商品コードを、各値札ユニットに個別に入力する必要がないため、入力作業を迅速且つ容易に行うことができる。さらに、親機は、各値札ユニットに対応する商品コードと、各値札ユニットの識別子とを対応付けた商品コード対応情報をホスト装置に送信するため、値札ユニット毎に商品コードを送信する必要がなく、全体としてホスト装置との通信負荷を軽減できる。
【0007】
上記の電子値札システムにおいて親機は、複数の値札ユニットのうちの一つとして機能することが好ましい。
【0008】
この構成によれば、子機だけでなく親機も値札ユニットとして機能するため、子機に通信手段を搭載したものを親機として用いるようにすれば、値札ユニットの部品を共通化することができ、さらに製造コストを低減できる。
【0009】
上記の電子値札システムにおいて、親機とホスト装置、および親機と外部装置とは無線接続されており、親機と子機とは有線接続されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、親機とホスト装置、および親機と外部装置とは無線接続されているため、電子値札装置の配置移動が容易であると共に、配線が不要であるため陳列ケース周りの見た目を損ねることがない。また、親機と子機とは有線接続されているため、接続に要するコスト、および通信障害の発生を抑えることができる。
【0011】
上記の電子値札システムにおいて、親機は、ホスト装置と通信可能な遠隔モードと、外部装置と通信可能なローカルモードとを切り替える通信モード切替手段をさらに有し、遠隔モードの時は、商品情報を表示し、ローカルモードの時は、商品コード取得手段により取得した商品コードと、当該商品コードに対応付けられる識別子とを並列表示することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ローカルモードの時、取得した商品コードと当該商品コードに対応付けられる識別子とを並列表示するため、ユーザは親機に商品コードが確実に入力されているかを確認しながら商品コードの登録作業を行うことができる。したがって、わざわざホスト装置の登録内容を確認しなくとも、電子値札装置側で商品コードの取得確認作業ができると共に、誤登録の防止に役立つ。
【0013】
上記の電子値札システムにおいて、外部装置は、各商品から複数の商品コードを読み取る商品コード読み取り手段と、読み取った各商品コードを親機に送信する商品コード送信手段と、を有し、親機は、取得した複数の商品コードに基づいて、商品コード対応情報を生成する商品コード対応情報生成手段をさらに有していることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、親機側で商品コード対応情報を生成するため、汎用性の高い外部装置を用いて商品コードを取得することができる。
【0015】
上記の電子値札システムにおいて、商品コード対応情報生成手段は、商品コードの取得順序に基づいて、当該商品コードを順次複数の値札ユニットに割り当てることにより商品コード対応情報を生成することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、例えば識別子が「A1」,「A2」,「A3」の値札ユニットがあり、「111」,「112」,「113」の順に商品コードを取得した場合、『「A1」−「111」,「A2」−「112」,「A3」−「113」』の組み合わせを、商品コード対応情報として生成できる。すなわち、予め設定された値札ユニット(識別子)の順序性に従って商品コードを取得するだけで、容易に商品コードの登録作業を行うことができる。なお、この場合、各値札ユニットには順序性を示すマークや記号が付されていることが好ましい。この構成によれば、ユーザは商品と対応させる値札ユニットを確認しながら作業を行うことができる。
【0017】
上記の電子値札システムにおいて、外部装置の商品コード送信手段は、読み取った各商品コードに、各値札ユニットを特定するための付加情報を付加して親機に送信し、親機の商品コード対応情報生成手段は、取得した付加情報に基づいて、商品コード対応情報を生成することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、例えば外部装置が商品コードの読み取り毎に読み取り順序を示す番号(「1」,「2」など)を付加情報として付加する構成とすれば、「111」,「112」,「113」の順に商品コードを読み取った場合、『「1」−「111」,「2」−「112」,「3」−「113」』の情報を、商品コードおよび付加情報として親機に送信でき、親機側で、付加情報「1」→識別子「A1」、付加情報「2」→識別子「A2」の要領で書き換えを行うことにより、『「A1」−「111」,「A2」−「112」,「A3」−「113」』の組み合わせを、商品コード対応情報として生成できる。このように、商品コードに付加情報を付加することで、親機側の商品コード対応情報の生成ミス(商品コードと値札ユニットとの対応付けのミス)を軽減できる。
【0019】
上記の電子値札システムにおいて、外部装置は、各商品から複数の商品コードを読み取る商品コード読み取り手段と、複数の値札ユニットの各識別子を取得する識別子取得手段と、読み取った複数の商品コードと、取得した各識別子とに基づいて、商品コード対応情報を生成する商品コード対応情報生成手段と、生成した商品コード対応情報を、親機に送信する商品コード対応情報送信手段と、を有し、親機は、外部装置から商品コード対応情報を取得する商品コード対応情報取得手段を有していることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、外部装置側で商品コード対応情報を生成し、親機側では商品コード対応情報を取得するだけで良いため、親機の制御構成を簡素化でき、電子値札装置の低廉化を図ることができる。
【0021】
上記の電子値札システムにおいて、識別子取得手段は、複数の値札ユニットに貼付または表示された各ユニットコードを読み取ることにより、各識別子を取得することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、例えば外部装置が、ユニットコードの読み取り→商品コード読み取りを繰り返すことで識別子と商品コードとを取得するように規定しておけば、読み取り順に従って商品コード対応情報を生成することができる。なお、読み取り順序は逆であっても良いし、n個(但し、nはn≧2となる整数)のユニットコードの読み取り後、n個の商品コードを読み取ることで商品コード対応情報を生成するようにしても良い。
【0023】
上記の電子値札システムにおいて、外部装置は、各種情報を入力するための入力手段をさらに有し、識別子取得手段は、入力手段の入力により、各識別子を取得することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、例えば外部装置が、識別子入力→商品コード読み取りを繰り返すことで識別子と商品コードとを取得するように規定しておけば、読み取り順に従って商品コード対応情報を生成することができる。なお、この場合も、読み取り順序は逆であっても良いし、n個(但し、nはn≧2となる整数)の識別子入力後、n個の商品コードを読み取ることで商品コード対応情報を生成するようにしても良い。
【0025】
本発明の電子値札装置は、上記の電子値札システムに適用されることを特徴とする。
【0026】
この電子値札装置を用いることで、安価に構築可能な電子値札システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る電子値札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)および電子値札装置について説明する。図1は、本発明の電子値札システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、電子値札システムSYは、商品の陳列ケース21(図2参照)に設置される複数の電子値札装置1(2台のみ図示)と、当該電子値札装置1(親機2a)がローカルモードの状態において無線通信を行う複数のハンディデータターミナル(外部装置)15(2台のみ図示)と、当該電子値札装置1が遠隔モードの状態において無線通信を行う複数のトランシーバ5(2台のみ図示)と、当該複数のトランシーバ5と接続されるベースステーション6と、当該ベースステーション6およびPOS(Point Of Sales)サーバ10と接続されるESLサーバ(ホスト装置)7と、これらベースステーション6、POSサーバ10およびESLサーバ7を接続するLAN8と、によって構成されている。
【0028】
電子値札装置1は、売価等の商品情報を表示する複数の値札ユニット2を有している。図示の例は、各電子値札装置1に4つの値札ユニット2が搭載されている場合を示している。複数の値札ユニット2は、その機能によって親機2aと、子機2bとに区別される。
【0029】
親機2aは、1台の電子値札装置1に1機だけ搭載されるものであり、トランシーバ5およびハンディデータターミナル15と通信を行うためのアンテナ21を有している。ハンディデータターミナル15は、商品に貼付または印刷されたバーコードを読み取るバーコードリーダ(商品コード読み取り手段)、その読取結果である商品コードを親機2aに送信する通信部(商品コード送信手段)、各種情報を入力する入力手段、および入力内容や読み取り内容を確認するためのディスプレイを有している(いずれも図示省略)。親機2aは、取得した商品コードと、各値札ユニット2を識別するためのユニットID(識別子)とを対応付けた商品コード対応情報を生成し、トランシーバ5およびベースステーション6を介してESLサーバ7に送信する。すなわち、本実施形態では、電子値札システムSYに対する商品コードの登録(各値札ユニット2と商品との対応付け)を目的として、このハンディデータターミナル15を用いる。
【0030】
子機2bは、1台の電子値札装置1に1機以上搭載されるものであり(図示の例では3機)、その数は任意である。各子機2bは、筺体サイズなど外観上は親機2aとほぼ同様であるが、トランシーバ5およびハンディデータターミナル15との通信機能を有しておらず、親機2aとのみ有線接続されている。したがって、売価等を表示するための商品情報は、当該親機2aを介して取得する構成となっている。
【0031】
トランシーバ5は、店舗内の販売エリアの天井に略等間隔で設置されているものであり、該当するエリア内の電子値札装置1と赤外線通信を行う。具体的には、ESLサーバ7から提供される商品情報を各電子値札装置1へ送信する機能、および各電子値札装置1(親機2a)に入力された商品コードを受信する機能を有している。
【0032】
ベースステーション6は、ESLサーバ7および複数のトランシーバ5と有線または無線接続され、両者間におけるアクセスポイント(中継機)として機能する。
【0033】
ESLサーバ7は、一般に店舗内のバックヤードに配置され、電子値札システムSYを統括的に管理する。また、POSサーバ10や、店舗内における各種情報(売上情報および在庫管理情報など)を統括管理する不図示のストアコントローラとLAN接続されて用いられる。本実施形態では、特にPOSサーバ10内で管理されている商品マスタD2の変更を検知し、電子値札システムSYの管理データであるESL管理データD1の更新、表示内容の新規登録や変更が必要な値札ユニット2への商品情報の提供を行う。また、この商品情報の提供により、各値札ユニット2の表示内容をリアルタイムに制御できるようになっている。
【0034】
次に、図2ないし図4を参照し、電子値札装置1の設置状況および外観構成について説明する。図2は、電子値札装置1が設置された陳列ケース21の斜視図である。ここでは、冷蔵商品用の陳列ケース(冷蔵ショーケース)21を例示している。陳列ケース21は、内部に冷却コイルを有すると共に断熱材で構成したケース本体22と、これに水平に設けた複数の棚板23と、で構成されている。ケース本体22には、主冷気吹出し口(図示省略)の他、上前部に下向きスリット状の冷気吹出し口24が設けられ、下前部に冷気吹出し口24に対応して配設した上向きスリット状の冷気吸込み口25が設けられている。冷気吹出し口24から吹出されたダウンフローの冷気は、エアーカーテンを構成し冷気吸込み口25に吸引されるようになっている。そして、各棚板23の前面には、陳列商品26に対応して配設した複数の値札ユニット2を有する電子値札装置1が設置されている。
【0035】
図3は、電子値札装置1の斜視図である。同図(a)、(b)に示すように、電子値札装置1は、4個の値札ユニット2と、4個の値札ユニット2をそれぞれ対応する陳列商品26に位置合わせできるように保持する保持プレート13と、保持プレート13と共に4個の値札ユニット2を収容する値札ケース14と、を備えている。値札ケース14は、少なくとも前面側の一部、または全てが値札ユニット2を視認可能な透明な樹脂、例えばアクリル、あるいはポリカーボネートで構成されることが好ましい。更に値札ケース14は、一般的に製造されている円筒形であることで、製造コストを抑制することができる。
【0036】
値札ケース14は、棚板23の幅と略同長に形成されており(図2参照)、円筒状の値札ケース本体41と、値札ケース本体41の両端部を気密に封止する一対の端部キャップ42、42と、から構成されている。値札ケース本体41は、アクリルやガラス等の透光性材料で構成され、顧客が、値札ケース14外部から値札ユニット2の液晶ディスプレイ12を視認できるようになっている。正面右側の端部キャップ42には、電源線31が挿通する電源線用開口44がさらに形成されている。この電源線用開口44は、封止ゴム(図示省略)で封止されており、電源線31はこの封止ゴムを貫通するように設けられている。
【0037】
保持プレート13には、親機2a(商品情報転送手段)と各子機2bとを接続するための複数のコネクタ33と、各値札ユニット2を保持するための複数の止め金37,38とが形成されている。
【0038】
コネクタ33は、各値札ユニット2の右側面に形成された接続インターフェース35と接続されるものであり、親機2aが管理できる値札ユニット2の最大数以上の数だけ、横並びに配設されている。つまり、1台の電子値札装置1に取り付け可能な値札ユニット2の数より多くのコネクタ33が配設されている。これにより、値札ユニット2の横方向における位置を可変可能とすることができる。また、各子機2bは、これらコネクタ33を介して、親機2aから商品情報を取得できるようになっている。
【0039】
止め金37,38は、各値札ユニット2の上側中央部を1箇所だけ保持する幅広の上止め金37と、各値札ユニット2の下側を2箇所保持する下止め金38とから成る。各止め金37,38は、断面クランク状に形成され、値札ユニット2側に屈曲形成した先端屈曲部(押え片)が、各値札ユニット2が保持プレート13から脱落しないように保持している。また、下止め金38は、値札ユニット2の幅よりも幾分狭い間隙を存して設けられている。これにより、商品の配置に合わせて値札ユニット2の保持位置を横方向に移動させることができる。
【0040】
なお、上下止め金37,38間に、上記の先端屈曲部と値札ユニット2との隙間を埋めるためのクッション部材(図示省略)を設けることが好ましい。この構成によれば、移設の際の値札ユニット2のガタつきを防止することができると共に値札ユニット2の姿勢を安定させることができる。さらに、クッション部材の適度な摩擦により値札ユニット2を制動しながら移動させることができ、オーバラン等を防止することができる。
【0041】
また、本実施形態のように、電子値札装置1が冷蔵商品用の陳列ケース21に用いられる場合、値札ユニット2の周囲温度を当該値札ユニット2の動作保証温度に維持するようにヒータ(図示省略)および当該ヒータによるヒートエアを値札ケース14内に循環させるファン(図示省略)を、値札ケース14内に設けることが好ましい。この構成によれば、電子値札装置1を冷凍・冷蔵商品の陳列ケース等の低温下で使用する際の問題点(冷気により液晶パネルが暗くなり、表示された文字と背景とのコントラストが悪くなるといった問題点や、電子紛粒体の動作速度が極端に低下して、表示の切り替わりに支障が発生するといった問題点など)を解決することができる。
【0042】
また、値札ケース14の内側には、断熱材(図示省略)を設けることが好ましい。この構成によれば、値札ケース14内の温度が、冷蔵商品用の陳列ケース21に作用(昇温)するのを防止することができる。逆に、冷蔵商品用の陳列ケース21の温度が値札ケース14に作用(冷却)するのを防止しすることができる。また、上記のようにヒータを設ける場合は、ヒータの駆動頻度を減らすことができ、エネルギー消費量を抑えることができる。
【0043】
また、値札ユニット2の電力は、電源線31からではなく、内部にリチウム電池等のボタン電池を取り付けて供給するようにしてもよいし、表面に太陽電池を取り付けて供給するようにしてもよい。
【0044】
図4は、値札ユニット2の正面図である。同図に示すように、親機2aおよび子機2bの両方に共通して、各値札ユニット2の本体11には、その前面に売価等を表示する液晶ディスプレイ12が設けられている。また、液晶ディスプレイ12の上方には、どの商品に対応する値札ユニット2であるかを示す商品ラベル13が貼付されている。
【0045】
上記のとおり、親機2aは、ESLサーバ7と通信可能な遠隔モードと、ハンディデータターミナル15と通信可能なローカルモードとを切り替え可能となっており(通信モード切替手段)、遠隔モードでは液晶ディスプレイ12に売価等の商品情報を表示する。すなわち、同図(a)に示すように、遠隔モード時の液晶ディスプレイ12は、売価を表示する売価表示部55と、商品の値引率(割引率)を表示する値引率表示部56と、商品の通常価格を表示する通常価格表示部57と、を有している。また、本体11には、各表示部55,56,57の表示内容を顧客が把握できるように、「売価」、「値引率」および「通常価格」といった文字が印字されている。
【0046】
一方、ローカルモード時の液晶ディスプレイ12は、同図(b)に示すように、ハンディデータターミナル15から取得した商品コードを表示する商品コード表示部58と、これと対応付けられる(当該商品コードの商品前に設置される)値札ユニット2のユニットIDを表示するユニットID表示部59と、を有している。この商品コードとユニットIDの並列表示は、商品コード取得毎に切り替わるようになっている。また、当該表示は、商品コードの登録時において店員が登録確認のために視認する内容であるため、それらの内容を示す印字は本体11上に存在しない。なお、ディスプレイ13は、液晶ディスプレイに限らず電子ペーパや電子粉粒で画像を表示するようにしてもよい。
【0047】
商品ラベル13は、不図示のラベルプリンターで作成されたものであり、商品名51およびJANコード52が印刷されている。この商品ラベル13は、貼替え可能であるから、当然1機の値札ユニット2を別の商品の値札として利用することも可能である。但し、この場合は値札ユニット2と対応する商品との対応付けを変更する必要がある。値札ユニット2と商品との対応付けについては後述する。
【0048】
次に、図5ないし図8を参照し、電子値札システムSYの制御構成について説明する。図5は、ESLサーバ7の制御ブロック図である。ESLサーバ7は、一般的なコンピュータと同様の構成であり、表示部71、入力部72、通信部73、CPU74、ROM75、RAM76およびハードディスク(HDD)77を有している。
【0049】
表示部71は、入力部72による入力内容やエラー表示、後述するESL管理データD1(図6参照)の内容を確認するためのものである。入力部72は、キーボードやマウス等で構成される。通信部73は、LAN8と接続されるものであり、具体的には各値札ユニット2に提供する商品情報の送信、および電子値札装置1(親機2a)から送信された商品コードの受信を行う。
【0050】
CPU74は、ESLサーバ7全体を制御する中央制御装置である。ROM75は、CPU74が各種制御を行うための基本プログラムを記憶しており、RAM76は、ワークエリアとして利用される。また、ハードディスク77は、各種制御プログラムの他、電子値札システムSYを管理するためのESL管理データD1を記憶している。このESL管理データD1は、POSサーバ10(図1参照)内に記憶されている商品マスタと同期して、その内容が更新されるようになっている。
【0051】
図6は、ESL管理データD1の一例を示す図である。ESL管理データD1は、テーブル形式となっており、表の各行に相当する各レコードが、各商品とそれに対応する値札ユニット2に関する情報を示す。各レコードは、「商品コード」、「商品名」、「商品情報」、「ユニットID」および「送信アドレスID」を関連付けて記憶しており、同図はESL管理データD1中の4つのレコードのみ(同一の電子値札装置1に搭載された4つの値札ユニット2に関連する情報のみ)を示している。
【0052】
「商品コード」は、商品に貼付または印刷されているバーコード(図示省略)によって特定されるものであり、「商品名」は各商品を区別するための名称である。また、「商品情報」として、それぞれ液晶ディスプレイ12の売価表示部55、通常価格表示部57および値引率表示部56(いずれも図4参照)に表示するための「売価」、「通常価格」および「値引率」を記憶している。なお、これら「商品コード」、「商品名」および「商品情報」は、商品マスタD2から提供される情報である。
【0053】
また、「ユニットID」は、値札ユニット2を識別するために付与された識別子である。また、「送信アドレスID」は、電子値札装置1を識別するために付与された識別子である。すなわち、同一送信アドレスIDであれば、同一の電子値札装置1に搭載されていることを意味する。
【0054】
「ユニットID」は、一例として5桁の英数字で表現され、上4桁で電子値札装置1を特定し、下1桁で各値札ユニット2を特定している。また、下1桁が「0」の場合は親機2aを、「1〜9」の場合は子機2bであることを示している。さらに、「ユニットID」の上4桁が「送信アドレスID」となっている。すなわち、上4桁が共通するユニットIDの商品については、「送信アドレスID」により特定される親機2aに対して、その商品情報を送信する。また、同一の「送信アドレスID」を有する複数の商品に関する商品情報の書き換えが必要となった場合は、それらの商品情報を親機2aに対して一括送信する。なお、送信アドレスIDとユニットIDを完全に切り離して(ユニットIDを独立したユニークな複数桁の英数字列として)、その帰属先として送信アドレスIDを付加し、トータルのIDを親機2aとESLサーバ7とで管理するという方式でも良い。
【0055】
このように、ESL管理データD1は、例えば同図のESL管理データD1の最上段に示すように、商品コード「123456」の商品「A社オレンジジュース」が、ユニットID「A1350」の値札ユニット2により値札表示されると共に、当該ユニットID「A1350」の値札ユニット2に表示させる商品情報の新規設定または書き換えの必要性が生じた場合、送信アドレスID「A135」に商品情報を送信することを意味している。
【0056】
続いて、図7は、電子値札装置1の制御ブロック図である。電子値札装置1は、上記のとおり1機の親機2aと、1機以上の子機2bとの2種類の値札ユニット2が搭載されている。親機2aの値札ユニット2は、表示制御部81、液晶ディスプレイ12、赤外線通信部82、有線通信部83、記憶部84、およびこれら各部を制御する中央制御部85を有している。
【0057】
表示制御部81は、遠隔モード時において、ESLサーバ7から受信した商品情報(売価表示部55、値引率表示部56および通常価格表示部57への表示,図4(a)参照)を液晶ディスプレイ12に表示させる。また、ローカルモード時において、ハンディデータターミナル15からの商品コード取得に伴い、登録確認情報(商品コード表示部58およびユニットID表示部59への表示,図4(b)参照)を液晶ディスプレイ12に表示させる。
【0058】
赤外線通信部82は、ハンディデータターミナル15およびトランシーバ5との赤外線通信を行うためのものであり、アンテナ21(図1参照)によってその主要部が構成される。なお、通信先は、親機2aに備えられたディップスイッチ(図示省略)の通信モード切替操作、またはハンディデータターミナル15からのコマンド送信によって決定される。
【0059】
有線通信部83は、親機2aと子機2bとが通信を行うためのものであり、保持プレート13に形成されたコネクタ33と接続される接続インターフェース35(図3(b)参照)によってその主要部が構成される。
【0060】
記憶部82は、中央制御部85が各種制御を行うための基本プログラムである制御プログラムD3と、各値札ユニット2のユニットIDが記録されたユニットID対応リストD4を記憶している。
【0061】
図8に示すように、ユニットID対応リストD4は、値札ユニット2のユニットIDが、そのID順に記憶されている。また、当該ID順に従ってハンディデータターミナル15から商品コードを取得するようになっている。すなわち、親機2aをローカルモード(ハンディデータターミナル15と通信を行うためのモード)に設定した状態で、ハンディデータターミナル15が商品バーコード(商品コード)を読み取って、これを親機2aに送信すると、親機2aはその商品コードの取得順序に従って各商品コードとユニットIDとを対応付け、商品コード対応情報を生成する。その後、親機2aを遠隔モード(ESLサーバ7と通信を行うためのモード)に設定し、生成した当該商品コード対応情報をESLサーバ7に送信する。
【0062】
なお、4つの値札ユニット2の中に商品コードを登録しない値札ユニット2が存在する場合、すなわち使用しない値札ユニット2が存在する場合は、その旨を示す所定のバーコードを読み取らせることによって対応する。また、ハンディデータターミナル15は、親機2aに対し、商品コードの読み取り毎にデータ送信を行うのではなく、複数の(4つ)商品コードを読み取り、その読み取り結果を一括して親機2aに送信するようにしても良い。この構成によれば、商品コードの送信の手間を軽減できる。
【0063】
また、各値札ユニット2には、ユニットID対応リストD4のID順序に対応してID順を示すマークや記号が付されていることが好ましい。この構成によれば、店員は商品と対応させる値札ユニット2を確認しながら、順次商品コードの読み取り作業を行うことができる。
【0064】
図7の説明に戻る。中央制御部85は、記憶部82に記憶された制御プログラムD3に基づいて各種制御を行う。具体的には、ユーザによる通信モードの設定にしたがって、赤外線通信部82の通信先を切り換え、商品情報や商品コードの入出力を行う。また、ユニットID対応リストD4を参照して、受信した商品情報を表示制御部81または有線通信部83に出力する。
【0065】
一方、子機2bの値札ユニット2は、有線通信部93、表示制御部91および液晶ディスプレイ12を有している。すなわち、親機2aから赤外線通信部82、記憶部84および中央制御部85を省略した簡易な構成となっている。なお、各部の機能については、親機2aとほぼ同様であるため説明を省略する。
【0066】
次に、図9を参照し、ESLサーバ7の商品情報送信処理について説明する。当該処理は、例えばタイムサービスにより売価が変更となった場合などに実行される。ESLサーバ7は、POSサーバ10内の商品マスタD2の変更を検知すると(S11:Yes)、その変更内容に伴ってESL管理データD1を更新する(S12)。そして、その変更されたレコードに含まれる商品情報にユニットIDを付与し、これらの情報を送信先アドレスIDに基づいて、該当する値札ユニット2(親機2a)に送信する(S13)。商品情報およびユニットIDは、1の商品毎に送信しても良いし、同一の送信アドレスIDが関連付けられた複数の商品を一括送信しても良い。
【0067】
その後、電子値札装置1(親機2a)から、当該電子値札装置1が商品情報を受信したことを示す装置受信確認コマンドを受信すると(S14:Yes)、商品情報の変更を完了した旨(例えば「ユニットID○○○○○の表示内容を変更しました」のようなメッセージ)を表示部71(図5参照)に表示する(S15)。また、送信から所定時間内に装置受信確認コマンドを受信しなかった場合は(S14:No)、表示部71にエラー表示を行う(S16)。なお、エラー表示を行う前に、商品情報を複数回送信するようにしても良い。また、電子値札装置1(親機2a)の通信モードがローカルモードに切り替えられている可能性もあるため、商品情報送信時(S13)には、通信モードを遠隔モードに強制的に書き換えるコマンドを送信するようにしても良い。
【0068】
次に、図10を参照し、値札ユニット2(親機2a)の商品情報受信処理について説明する。当該処理は、上記の商品情報送信処理による商品情報の送信をきっかけとして実行される処理である。親機2aが遠隔モードに設定されている状態において、ESLサーバ7からベースステーション6およびトランシーバ5を介して商品情報およびユニットIDを受信すると(S21:Yes)、まず装置受信確認コマンドを送信する(S22)。また、ユニットIDに基づいて、対応する値札ユニット2に商品情報を転送する(S23)。なお、ユニットIDが自装置を示している場合は、自装置内の表示制御部81に商品情報を転送する。
【0069】
次に、図11を参照し、値札ユニット2(親機2a)の商品コード対応情報送信処理について説明する。当該処理は、商品の配置換え等により値札ユニット2と商品との対応関係が変更となった場合などに、ESL管理データD1を書き換えるために実行される。親機2aがローカルモードに設定されている状態において、ハンディデータターミナル15から商品コード(商品バーコードのデコード結果)を取得すると(S31:Yes,商品コード取得手段)、ユニットID対応リストD4(図8参照)を参照して(S32)、商品コードとユニットIDとを対応付け、商品コード対応情報を生成する(S33,商品コード対応情報生成手段)。この対応付けは、上記のとおり商品コードの取得順序に基づく。そして、通信モードを遠隔モードに切り替えた後、生成した当該商品コード対応情報をESLサーバ7に送信する(S34,商品コード対応情報送信手段)。
【0070】
その後、ESLサーバ7から、ESLサーバ7が商品コードを受信した旨を示すサーバ受信確認コマンドを受信すると(S35:Yes)、商品コード対応情報送信処理を終了する。また、送信から所定時間内にサーバ受信確認コマンドを受信しなかった場合は(S35:No)、再度商品コード対応情報を送信する。なお、商品コード対応情報の再送信に代えて、液晶ディスプレイ12にエラー表示(例えば、表示文字の点滅など)を行うようにしても良い。
【0071】
以上、本実施形態によれば、親機2aの赤外線通信部82を用いて、同一の電子値札装置1に搭載された各子機2bに、ESLサーバ7から商品情報を提供することができる。すなわち、各子機2bにESLサーバ7と通信するための通信手段を搭載する必要がないため、電子値札装置1全体として低廉化を図ることができ、ひいては電子値札システムSYの構築費用を低減できる。また、同じく赤外線通信部82を用いてハンディデータターミナル15と通信し、商品コードの登録作業も行うことができるため、各子機2bにハンディデータターミナル15との通信手段も必要とせず、さらに低廉化を図ることができる。
【0072】
また、本実施形態の電子値札装置1は、子機2bだけでなく親機2aも値札ユニット2として機能するため、親機2aと子機2bの値札ユニット2の部品を共通化することができ、さらに低廉化を図ることができる。
【0073】
また、値札ユニット2に表示させる商品情報の新規設定または書き換えの必要性が生じた場合、ESLサーバ7は、同一の電子値札装置1に搭載された複数の値札ユニット2に提供すべき複数の商品情報を一括送信することができる。このため、各値札ユニット2に商品情報を個別に送信する場合と比べて、送信回数を少なくすることができ、これによって制御負荷を軽減できる。
【0074】
また、複数の値札ユニット2のそれぞれに該当する商品の商品コードをまとめて親機2aに入力することができ、これに伴って各値札ユニット2に対応する商品コード対応情報を一括してESLサーバ7に送信する(登録する)ことができる。このため、商品コードの入力作業を迅速且つ容易に行うことができる。
【0075】
なお、上記の例では、親機2aおよび子機2bの両方が値札ユニット2として機能するものとしたが、子機2bのみを値札ユニット2として機能させるようにしても良い。この場合、親機2aは、赤外線通信部82、有線通信部83、記憶部84および中央制御部85のみを備えれば良く(図7参照)、例えばRFIDなどの無線ICタグにより構成される。
【0076】
また、親機2aとトランシーバ5、および親機2aとハンディデータターミナル15は、いずれも赤外線通信を行うものとしたが、Bluetoothなど他の無線方式を採用しても良い。
【0077】
また、上記の例では、取得した商品コードを、ユニットID対応リストD4(図8参照)のID順に割り当てることで商品コード対応情報を生成するものとしたが、ハンディデータターミナル15から商品コードに付加して送信される情報に基づいて商品コード対応情報を生成するようにしても良い。例えば、ハンディデータターミナル15側で、読み取った各商品コードに、各値札ユニット2を特定するための付加情報を付加して親機2aに送信するように構成することで、親機2aは、取得した当該付加情報に基づいて商品コード対応情報を生成することができる。この場合、例えばハンディデータターミナル15が商品コードの読み取り毎に読み取り順序を示す番号(「1」,「2」など)を付加情報として付加する構成とすれば、「111」,「112」,「113」の順に商品コードを読み取った場合、『「1」−「111」,「2」−「112」,「3」−「113」』の情報を、商品コードおよび付加情報として親機2aに送信でき、親機2a側で、付加情報「1」→ユニットID「A1」、付加情報「2」→ユニットID「A2」、付加情報「3」→ユニットID「A3」の要領で書き換え(変換)を行うことにより、『「A1」−「111」,「A2」−「112」,「A3」−「113」』の組み合わせを、商品コード対応情報として生成できる。この構成によれば、商品コードに付加情報を付加することで、親機2a側で商品コード対応情報の生成ミス(商品コードとユニットIDとの対応付けのミス)を軽減できる。なお、付加情報として「1」,「2」などの数字を、ハンディデータターミナル15に搭載された入力手段(テンキー等)により入力する構成とすれば、任意の順序で商品コードの読み取りが可能である。
【0078】
続いて、図12および図13を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の実施形態では、親機2a側で商品コード対応情報を生成するものとしたが、本実施形態ではハンディデータターミナル15側で商品コード対応情報を生成する点で異なる。すなわち、本実施形態は、親機2aから商品コード対応情報生成手段を省略する代わりに、ハンディデータターミナル15が、親機2aからユニットID(識別子)を取得する手段(識別子取得手段)と、当該ユニットIDと、商品から読み取った商品コードとに基づいて商品コード対応情報を生成する手段(商品コード対応情報生成手段)と、を備えることを特徴とする。以下、上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0079】
図12は、第2実施形態に係るハンディデータターミナル15の商品コード対応情報送信処理を示すフローチャートである。同図に示すように、ハンディデータターミナル15は、例えば値札ユニット2に貼付または表示されたユニットコード(バーコードまたは2次元コード等)を読み取ることにより、ユニットIDを取得する(S41)。続けて、その値札ユニット2に対応する商品の商品コードを読み取る(S42)。そして、S41で取得したユニットIDと、S42で取得した商品コードとを対応付けた商品コード対応情報(の一部)を生成する(S43)。ここで、電子値札装置1に搭載された全ての値札ユニット2に対応する商品コードを読み取ったか否かを判別し(S44)、全て読み取っていない場合は(S44;No)、S41〜S43を繰り返す。一方、全て読み取った場合は(S44:Yes)、全ての値札ユニット2のユニットIDと、各値札ユニット2に対応する商品の商品コードとを組み合わせた商品コード対応情報を、親機2aに対して一括送信する。
【0080】
なお、S44を省略し、ユニットIDおよび商品コードの読み取り毎(1つの組み合わせ毎)に、商品コード対応情報を親機2aに送信する構成としても良い。また、S41では、値札ユニット2に貼付または表示されたユニットコードを読み取るのではなく、ハンディデータターミナル15に搭載された入力手段の入力によって、ユニットIDを取得するようにしても良い。この構成によれば、値札ユニット2へのユニットコードの貼付を省略できる。
【0081】
次に、図13を参照し、値札ユニット2(親機2a)の商品コード対応情報送信処理について説明する。当該処理は、上記の商品コード対応情報送信処理によるハンディデータターミナル15からの商品コード対応情報の送信をきっかけとして実行される処理である。親機2aがローカルモードに設定されている状態において、ハンディデータターミナル15から商品コード対応情報を取得すると(S51:Yes,商品コード取得手段)、これを液晶ディスプレイ12に表示する(S52,図4(b)参照)。ここで、複数の商品コードに対応する商品コード対応情報を一括受信した場合は、数秒おきに商品コードとユニットIDの表示を切り替えながら、全ての組み合わせについて表示する。
【0082】
続いて、電子値札装置1に搭載された全ての値札ユニット2の商品コード対応情報を取得したか否かを判別し(S53)、全て取得していない場合は(S53;No)、S51〜S52を繰り返す。一方、全て取得した場合は(S53:Yes)、店員によるディップスイッチ等の操作により通信モードが遠隔モードに切り替えられた後(通信モード切替手段)、全ての値札ユニット2のユニットIDと、各値札ユニット2に対応する商品の商品コードとを組み合わせた商品コード対応情報を、ESLサーバ7に送信する(S54)。その後、ESLサーバ7から、ESLサーバ7が商品コードを受信した旨を示すサーバ受信確認コマンドを受信すると(S55:Yes)、商品コード対応情報送信処理を終了する。
【0083】
なお、S5において、商品コード対応情報を表示する場合、親機2aの液晶ディスプレイ12に表示するのではなく、対応する子機2bの液晶ディスプレイ12に商品コード対応情報を表示させるようにしても良い。この場合、複数の商品コードに対応する商品コード対応情報を一括受信すると、各値札ユニット2の液晶ディスプレイ12に異なる商品コード対応情報(各値札ユニット2に対応する商品コード対応情報)が表示されることとなる。また、この場合、ユニットIDの表示を省略し、商品コードのみを液晶ディスプレイ12に表示させるようにしても良い。
【0084】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、ハンディデータターミナル15側で商品コード対応情報を生成し、親機2a側では商品コード対応情報を取得するだけで良いため、親機2aの制御構成を簡素化でき、電子値札装置1の低廉化を図ることができる。
【0085】
以上、2つの実施形態を示したが、上記の電子値札装置1およびESLサーバ7の各構成要素(各機能)をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード等)に格納して提供することも可能である。すなわち、これらのプログラムおよび記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。
【0086】
また、上記の実施形態によらず、電子値札装置1の装置構成や処理工程など、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子値札システムのシステム構成図である。
【図2】電子値札装置が設置された陳列ケースの斜視図である。
【図3】電子値札装置の斜視図である。
【図4】値札ユニットの正面図である。
【図5】ESLサーバの制御ブロック図である。
【図6】ESL管理データの一例を示す図である。
【図7】電子値札装置の制御ブロック図である。
【図8】ユニットID対応リストの一例を示す図である。
【図9】ESLサーバの商品情報送信処理を示すフローチャートである。
【図10】値札ユニットの商品情報受信処理を示すフローチャートである。
【図11】値札ユニットの商品コード対応情報送信処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係るハンディデータターミナルの商品コード対応情報送信処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態に係る値札ユニットの商品コード対応情報送信処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1…電子値札装置 2…値札ユニット 7…ESLサーバ 13…保持プレート 14…値札ケース 15…ハンディデータターミナル 21…陳列ケース D1…ESL管理データ D2…商品マスタ D3…制御プログラム D4…ユニットID対応リスト
【技術分野】
【0001】
本発明は、売価を含む商品情報を表示する複数の値札ユニットと、当該複数の値札ユニットに商品情報を提供するホスト装置と、を有する電子値札システムおよび電子値札装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、売価を含む商品情報を表示するためのディスプレイを有する複数の電子値札(電子棚札)ユニットと、複数の値札ユニットを統括的に制御するホスト装置(ESLサーバ)とを有する電子値札システムが知られている(特許文献1参照)。この種の電子値札システムは、ホスト装置から、商品マスタに基づいて決定される売価等の商品情報を、店内に複数設置されたトランシーバ等を介して赤外線通信や無線通信により各値札ユニットに送信する。したがって、商品マスタが変更された場合など、各値札ユニットに表示するための商品情報を即座に変更することができ、タイムサービス等における価格変更に有用である。また、商品情報に商品名を含めた構成とすれば、1台の値札ユニットで種々の商品に対応させることができるため、日替わり商品の価格表示等にも便利である。このような背景から、近年では電子値札システムを導入する小売店が急速に増加している。
【特許文献1】特開2006−092121号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
一方、この種の電子値札システムは、その構築に多額の費用を要する。したがって、小規模な店舗では、上記のような電子値札システムの有用性を認識しつつも、導入が難しいのが現実である。このため、小売業界では、安価に構築可能な電子値札システムの実現が強く望まれている。
【0004】
そこで、本発明は、安価に構築可能な電子値札システムおよび電子値札装置を提供することをその課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子値札システムは、商品の陳列ケースまたは陳列棚に設けられ、売価を含む商品情報を表示する複数の値札ユニットを有する電子値札装置と、電子値札装置に対し商品情報を提供すると共に、各商品の商品コードを管理するホスト装置と、電子値札装置に対し複数の値札ユニットに対応する複数の商品コードを提供する外部装置と、から成る電子値札システムであって、電子値札装置は、外部装置およびホスト装置との通信手段を搭載した1の親機と、値札ユニットとして機能すると共に親機を介して商品情報を取得する1以上の子機と、を有し、親機は、外部装置から、複数の商品コードを取得する商品コード取得手段と、取得した複数の商品コードと、値札ユニットを識別するための複数の識別子とをそれぞれ1対1の関係となるように対応付けた商品コード対応情報をホスト装置に送信する商品コード対応情報送信手段を有していることを特徴とする。
【0006】
この構成によれば、親機の通信手段を用いて、値札ユニットとして機能する複数の子機に対応する複数の商品コードを取得することができると共に、各子機に対しホスト装置から取得した商品情報を提供することができる。言い換えれば、各子機に外部装置やホスト装置との通信手段を搭載する必要がないため、子機の部品点数および組み立て工数を削減でき、ひいては電子値札システムの構築費用を低減できる。また、商品コードを、各値札ユニットに個別に入力する必要がないため、入力作業を迅速且つ容易に行うことができる。さらに、親機は、各値札ユニットに対応する商品コードと、各値札ユニットの識別子とを対応付けた商品コード対応情報をホスト装置に送信するため、値札ユニット毎に商品コードを送信する必要がなく、全体としてホスト装置との通信負荷を軽減できる。
【0007】
上記の電子値札システムにおいて親機は、複数の値札ユニットのうちの一つとして機能することが好ましい。
【0008】
この構成によれば、子機だけでなく親機も値札ユニットとして機能するため、子機に通信手段を搭載したものを親機として用いるようにすれば、値札ユニットの部品を共通化することができ、さらに製造コストを低減できる。
【0009】
上記の電子値札システムにおいて、親機とホスト装置、および親機と外部装置とは無線接続されており、親機と子機とは有線接続されていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、親機とホスト装置、および親機と外部装置とは無線接続されているため、電子値札装置の配置移動が容易であると共に、配線が不要であるため陳列ケース周りの見た目を損ねることがない。また、親機と子機とは有線接続されているため、接続に要するコスト、および通信障害の発生を抑えることができる。
【0011】
上記の電子値札システムにおいて、親機は、ホスト装置と通信可能な遠隔モードと、外部装置と通信可能なローカルモードとを切り替える通信モード切替手段をさらに有し、遠隔モードの時は、商品情報を表示し、ローカルモードの時は、商品コード取得手段により取得した商品コードと、当該商品コードに対応付けられる識別子とを並列表示することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、ローカルモードの時、取得した商品コードと当該商品コードに対応付けられる識別子とを並列表示するため、ユーザは親機に商品コードが確実に入力されているかを確認しながら商品コードの登録作業を行うことができる。したがって、わざわざホスト装置の登録内容を確認しなくとも、電子値札装置側で商品コードの取得確認作業ができると共に、誤登録の防止に役立つ。
【0013】
上記の電子値札システムにおいて、外部装置は、各商品から複数の商品コードを読み取る商品コード読み取り手段と、読み取った各商品コードを親機に送信する商品コード送信手段と、を有し、親機は、取得した複数の商品コードに基づいて、商品コード対応情報を生成する商品コード対応情報生成手段をさらに有していることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、親機側で商品コード対応情報を生成するため、汎用性の高い外部装置を用いて商品コードを取得することができる。
【0015】
上記の電子値札システムにおいて、商品コード対応情報生成手段は、商品コードの取得順序に基づいて、当該商品コードを順次複数の値札ユニットに割り当てることにより商品コード対応情報を生成することが好ましい。
【0016】
この構成によれば、例えば識別子が「A1」,「A2」,「A3」の値札ユニットがあり、「111」,「112」,「113」の順に商品コードを取得した場合、『「A1」−「111」,「A2」−「112」,「A3」−「113」』の組み合わせを、商品コード対応情報として生成できる。すなわち、予め設定された値札ユニット(識別子)の順序性に従って商品コードを取得するだけで、容易に商品コードの登録作業を行うことができる。なお、この場合、各値札ユニットには順序性を示すマークや記号が付されていることが好ましい。この構成によれば、ユーザは商品と対応させる値札ユニットを確認しながら作業を行うことができる。
【0017】
上記の電子値札システムにおいて、外部装置の商品コード送信手段は、読み取った各商品コードに、各値札ユニットを特定するための付加情報を付加して親機に送信し、親機の商品コード対応情報生成手段は、取得した付加情報に基づいて、商品コード対応情報を生成することが好ましい。
【0018】
この構成によれば、例えば外部装置が商品コードの読み取り毎に読み取り順序を示す番号(「1」,「2」など)を付加情報として付加する構成とすれば、「111」,「112」,「113」の順に商品コードを読み取った場合、『「1」−「111」,「2」−「112」,「3」−「113」』の情報を、商品コードおよび付加情報として親機に送信でき、親機側で、付加情報「1」→識別子「A1」、付加情報「2」→識別子「A2」の要領で書き換えを行うことにより、『「A1」−「111」,「A2」−「112」,「A3」−「113」』の組み合わせを、商品コード対応情報として生成できる。このように、商品コードに付加情報を付加することで、親機側の商品コード対応情報の生成ミス(商品コードと値札ユニットとの対応付けのミス)を軽減できる。
【0019】
上記の電子値札システムにおいて、外部装置は、各商品から複数の商品コードを読み取る商品コード読み取り手段と、複数の値札ユニットの各識別子を取得する識別子取得手段と、読み取った複数の商品コードと、取得した各識別子とに基づいて、商品コード対応情報を生成する商品コード対応情報生成手段と、生成した商品コード対応情報を、親機に送信する商品コード対応情報送信手段と、を有し、親機は、外部装置から商品コード対応情報を取得する商品コード対応情報取得手段を有していることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、外部装置側で商品コード対応情報を生成し、親機側では商品コード対応情報を取得するだけで良いため、親機の制御構成を簡素化でき、電子値札装置の低廉化を図ることができる。
【0021】
上記の電子値札システムにおいて、識別子取得手段は、複数の値札ユニットに貼付または表示された各ユニットコードを読み取ることにより、各識別子を取得することが好ましい。
【0022】
この構成によれば、例えば外部装置が、ユニットコードの読み取り→商品コード読み取りを繰り返すことで識別子と商品コードとを取得するように規定しておけば、読み取り順に従って商品コード対応情報を生成することができる。なお、読み取り順序は逆であっても良いし、n個(但し、nはn≧2となる整数)のユニットコードの読み取り後、n個の商品コードを読み取ることで商品コード対応情報を生成するようにしても良い。
【0023】
上記の電子値札システムにおいて、外部装置は、各種情報を入力するための入力手段をさらに有し、識別子取得手段は、入力手段の入力により、各識別子を取得することが好ましい。
【0024】
この構成によれば、例えば外部装置が、識別子入力→商品コード読み取りを繰り返すことで識別子と商品コードとを取得するように規定しておけば、読み取り順に従って商品コード対応情報を生成することができる。なお、この場合も、読み取り順序は逆であっても良いし、n個(但し、nはn≧2となる整数)の識別子入力後、n個の商品コードを読み取ることで商品コード対応情報を生成するようにしても良い。
【0025】
本発明の電子値札装置は、上記の電子値札システムに適用されることを特徴とする。
【0026】
この電子値札装置を用いることで、安価に構築可能な電子値札システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、添付の図面を参照して、本発明の一実施形態に係る電子値札システム(ESLシステム/Electronic Shelf Label System)および電子値札装置について説明する。図1は、本発明の電子値札システムSYのシステム構成図である。同図に示すように、電子値札システムSYは、商品の陳列ケース21(図2参照)に設置される複数の電子値札装置1(2台のみ図示)と、当該電子値札装置1(親機2a)がローカルモードの状態において無線通信を行う複数のハンディデータターミナル(外部装置)15(2台のみ図示)と、当該電子値札装置1が遠隔モードの状態において無線通信を行う複数のトランシーバ5(2台のみ図示)と、当該複数のトランシーバ5と接続されるベースステーション6と、当該ベースステーション6およびPOS(Point Of Sales)サーバ10と接続されるESLサーバ(ホスト装置)7と、これらベースステーション6、POSサーバ10およびESLサーバ7を接続するLAN8と、によって構成されている。
【0028】
電子値札装置1は、売価等の商品情報を表示する複数の値札ユニット2を有している。図示の例は、各電子値札装置1に4つの値札ユニット2が搭載されている場合を示している。複数の値札ユニット2は、その機能によって親機2aと、子機2bとに区別される。
【0029】
親機2aは、1台の電子値札装置1に1機だけ搭載されるものであり、トランシーバ5およびハンディデータターミナル15と通信を行うためのアンテナ21を有している。ハンディデータターミナル15は、商品に貼付または印刷されたバーコードを読み取るバーコードリーダ(商品コード読み取り手段)、その読取結果である商品コードを親機2aに送信する通信部(商品コード送信手段)、各種情報を入力する入力手段、および入力内容や読み取り内容を確認するためのディスプレイを有している(いずれも図示省略)。親機2aは、取得した商品コードと、各値札ユニット2を識別するためのユニットID(識別子)とを対応付けた商品コード対応情報を生成し、トランシーバ5およびベースステーション6を介してESLサーバ7に送信する。すなわち、本実施形態では、電子値札システムSYに対する商品コードの登録(各値札ユニット2と商品との対応付け)を目的として、このハンディデータターミナル15を用いる。
【0030】
子機2bは、1台の電子値札装置1に1機以上搭載されるものであり(図示の例では3機)、その数は任意である。各子機2bは、筺体サイズなど外観上は親機2aとほぼ同様であるが、トランシーバ5およびハンディデータターミナル15との通信機能を有しておらず、親機2aとのみ有線接続されている。したがって、売価等を表示するための商品情報は、当該親機2aを介して取得する構成となっている。
【0031】
トランシーバ5は、店舗内の販売エリアの天井に略等間隔で設置されているものであり、該当するエリア内の電子値札装置1と赤外線通信を行う。具体的には、ESLサーバ7から提供される商品情報を各電子値札装置1へ送信する機能、および各電子値札装置1(親機2a)に入力された商品コードを受信する機能を有している。
【0032】
ベースステーション6は、ESLサーバ7および複数のトランシーバ5と有線または無線接続され、両者間におけるアクセスポイント(中継機)として機能する。
【0033】
ESLサーバ7は、一般に店舗内のバックヤードに配置され、電子値札システムSYを統括的に管理する。また、POSサーバ10や、店舗内における各種情報(売上情報および在庫管理情報など)を統括管理する不図示のストアコントローラとLAN接続されて用いられる。本実施形態では、特にPOSサーバ10内で管理されている商品マスタD2の変更を検知し、電子値札システムSYの管理データであるESL管理データD1の更新、表示内容の新規登録や変更が必要な値札ユニット2への商品情報の提供を行う。また、この商品情報の提供により、各値札ユニット2の表示内容をリアルタイムに制御できるようになっている。
【0034】
次に、図2ないし図4を参照し、電子値札装置1の設置状況および外観構成について説明する。図2は、電子値札装置1が設置された陳列ケース21の斜視図である。ここでは、冷蔵商品用の陳列ケース(冷蔵ショーケース)21を例示している。陳列ケース21は、内部に冷却コイルを有すると共に断熱材で構成したケース本体22と、これに水平に設けた複数の棚板23と、で構成されている。ケース本体22には、主冷気吹出し口(図示省略)の他、上前部に下向きスリット状の冷気吹出し口24が設けられ、下前部に冷気吹出し口24に対応して配設した上向きスリット状の冷気吸込み口25が設けられている。冷気吹出し口24から吹出されたダウンフローの冷気は、エアーカーテンを構成し冷気吸込み口25に吸引されるようになっている。そして、各棚板23の前面には、陳列商品26に対応して配設した複数の値札ユニット2を有する電子値札装置1が設置されている。
【0035】
図3は、電子値札装置1の斜視図である。同図(a)、(b)に示すように、電子値札装置1は、4個の値札ユニット2と、4個の値札ユニット2をそれぞれ対応する陳列商品26に位置合わせできるように保持する保持プレート13と、保持プレート13と共に4個の値札ユニット2を収容する値札ケース14と、を備えている。値札ケース14は、少なくとも前面側の一部、または全てが値札ユニット2を視認可能な透明な樹脂、例えばアクリル、あるいはポリカーボネートで構成されることが好ましい。更に値札ケース14は、一般的に製造されている円筒形であることで、製造コストを抑制することができる。
【0036】
値札ケース14は、棚板23の幅と略同長に形成されており(図2参照)、円筒状の値札ケース本体41と、値札ケース本体41の両端部を気密に封止する一対の端部キャップ42、42と、から構成されている。値札ケース本体41は、アクリルやガラス等の透光性材料で構成され、顧客が、値札ケース14外部から値札ユニット2の液晶ディスプレイ12を視認できるようになっている。正面右側の端部キャップ42には、電源線31が挿通する電源線用開口44がさらに形成されている。この電源線用開口44は、封止ゴム(図示省略)で封止されており、電源線31はこの封止ゴムを貫通するように設けられている。
【0037】
保持プレート13には、親機2a(商品情報転送手段)と各子機2bとを接続するための複数のコネクタ33と、各値札ユニット2を保持するための複数の止め金37,38とが形成されている。
【0038】
コネクタ33は、各値札ユニット2の右側面に形成された接続インターフェース35と接続されるものであり、親機2aが管理できる値札ユニット2の最大数以上の数だけ、横並びに配設されている。つまり、1台の電子値札装置1に取り付け可能な値札ユニット2の数より多くのコネクタ33が配設されている。これにより、値札ユニット2の横方向における位置を可変可能とすることができる。また、各子機2bは、これらコネクタ33を介して、親機2aから商品情報を取得できるようになっている。
【0039】
止め金37,38は、各値札ユニット2の上側中央部を1箇所だけ保持する幅広の上止め金37と、各値札ユニット2の下側を2箇所保持する下止め金38とから成る。各止め金37,38は、断面クランク状に形成され、値札ユニット2側に屈曲形成した先端屈曲部(押え片)が、各値札ユニット2が保持プレート13から脱落しないように保持している。また、下止め金38は、値札ユニット2の幅よりも幾分狭い間隙を存して設けられている。これにより、商品の配置に合わせて値札ユニット2の保持位置を横方向に移動させることができる。
【0040】
なお、上下止め金37,38間に、上記の先端屈曲部と値札ユニット2との隙間を埋めるためのクッション部材(図示省略)を設けることが好ましい。この構成によれば、移設の際の値札ユニット2のガタつきを防止することができると共に値札ユニット2の姿勢を安定させることができる。さらに、クッション部材の適度な摩擦により値札ユニット2を制動しながら移動させることができ、オーバラン等を防止することができる。
【0041】
また、本実施形態のように、電子値札装置1が冷蔵商品用の陳列ケース21に用いられる場合、値札ユニット2の周囲温度を当該値札ユニット2の動作保証温度に維持するようにヒータ(図示省略)および当該ヒータによるヒートエアを値札ケース14内に循環させるファン(図示省略)を、値札ケース14内に設けることが好ましい。この構成によれば、電子値札装置1を冷凍・冷蔵商品の陳列ケース等の低温下で使用する際の問題点(冷気により液晶パネルが暗くなり、表示された文字と背景とのコントラストが悪くなるといった問題点や、電子紛粒体の動作速度が極端に低下して、表示の切り替わりに支障が発生するといった問題点など)を解決することができる。
【0042】
また、値札ケース14の内側には、断熱材(図示省略)を設けることが好ましい。この構成によれば、値札ケース14内の温度が、冷蔵商品用の陳列ケース21に作用(昇温)するのを防止することができる。逆に、冷蔵商品用の陳列ケース21の温度が値札ケース14に作用(冷却)するのを防止しすることができる。また、上記のようにヒータを設ける場合は、ヒータの駆動頻度を減らすことができ、エネルギー消費量を抑えることができる。
【0043】
また、値札ユニット2の電力は、電源線31からではなく、内部にリチウム電池等のボタン電池を取り付けて供給するようにしてもよいし、表面に太陽電池を取り付けて供給するようにしてもよい。
【0044】
図4は、値札ユニット2の正面図である。同図に示すように、親機2aおよび子機2bの両方に共通して、各値札ユニット2の本体11には、その前面に売価等を表示する液晶ディスプレイ12が設けられている。また、液晶ディスプレイ12の上方には、どの商品に対応する値札ユニット2であるかを示す商品ラベル13が貼付されている。
【0045】
上記のとおり、親機2aは、ESLサーバ7と通信可能な遠隔モードと、ハンディデータターミナル15と通信可能なローカルモードとを切り替え可能となっており(通信モード切替手段)、遠隔モードでは液晶ディスプレイ12に売価等の商品情報を表示する。すなわち、同図(a)に示すように、遠隔モード時の液晶ディスプレイ12は、売価を表示する売価表示部55と、商品の値引率(割引率)を表示する値引率表示部56と、商品の通常価格を表示する通常価格表示部57と、を有している。また、本体11には、各表示部55,56,57の表示内容を顧客が把握できるように、「売価」、「値引率」および「通常価格」といった文字が印字されている。
【0046】
一方、ローカルモード時の液晶ディスプレイ12は、同図(b)に示すように、ハンディデータターミナル15から取得した商品コードを表示する商品コード表示部58と、これと対応付けられる(当該商品コードの商品前に設置される)値札ユニット2のユニットIDを表示するユニットID表示部59と、を有している。この商品コードとユニットIDの並列表示は、商品コード取得毎に切り替わるようになっている。また、当該表示は、商品コードの登録時において店員が登録確認のために視認する内容であるため、それらの内容を示す印字は本体11上に存在しない。なお、ディスプレイ13は、液晶ディスプレイに限らず電子ペーパや電子粉粒で画像を表示するようにしてもよい。
【0047】
商品ラベル13は、不図示のラベルプリンターで作成されたものであり、商品名51およびJANコード52が印刷されている。この商品ラベル13は、貼替え可能であるから、当然1機の値札ユニット2を別の商品の値札として利用することも可能である。但し、この場合は値札ユニット2と対応する商品との対応付けを変更する必要がある。値札ユニット2と商品との対応付けについては後述する。
【0048】
次に、図5ないし図8を参照し、電子値札システムSYの制御構成について説明する。図5は、ESLサーバ7の制御ブロック図である。ESLサーバ7は、一般的なコンピュータと同様の構成であり、表示部71、入力部72、通信部73、CPU74、ROM75、RAM76およびハードディスク(HDD)77を有している。
【0049】
表示部71は、入力部72による入力内容やエラー表示、後述するESL管理データD1(図6参照)の内容を確認するためのものである。入力部72は、キーボードやマウス等で構成される。通信部73は、LAN8と接続されるものであり、具体的には各値札ユニット2に提供する商品情報の送信、および電子値札装置1(親機2a)から送信された商品コードの受信を行う。
【0050】
CPU74は、ESLサーバ7全体を制御する中央制御装置である。ROM75は、CPU74が各種制御を行うための基本プログラムを記憶しており、RAM76は、ワークエリアとして利用される。また、ハードディスク77は、各種制御プログラムの他、電子値札システムSYを管理するためのESL管理データD1を記憶している。このESL管理データD1は、POSサーバ10(図1参照)内に記憶されている商品マスタと同期して、その内容が更新されるようになっている。
【0051】
図6は、ESL管理データD1の一例を示す図である。ESL管理データD1は、テーブル形式となっており、表の各行に相当する各レコードが、各商品とそれに対応する値札ユニット2に関する情報を示す。各レコードは、「商品コード」、「商品名」、「商品情報」、「ユニットID」および「送信アドレスID」を関連付けて記憶しており、同図はESL管理データD1中の4つのレコードのみ(同一の電子値札装置1に搭載された4つの値札ユニット2に関連する情報のみ)を示している。
【0052】
「商品コード」は、商品に貼付または印刷されているバーコード(図示省略)によって特定されるものであり、「商品名」は各商品を区別するための名称である。また、「商品情報」として、それぞれ液晶ディスプレイ12の売価表示部55、通常価格表示部57および値引率表示部56(いずれも図4参照)に表示するための「売価」、「通常価格」および「値引率」を記憶している。なお、これら「商品コード」、「商品名」および「商品情報」は、商品マスタD2から提供される情報である。
【0053】
また、「ユニットID」は、値札ユニット2を識別するために付与された識別子である。また、「送信アドレスID」は、電子値札装置1を識別するために付与された識別子である。すなわち、同一送信アドレスIDであれば、同一の電子値札装置1に搭載されていることを意味する。
【0054】
「ユニットID」は、一例として5桁の英数字で表現され、上4桁で電子値札装置1を特定し、下1桁で各値札ユニット2を特定している。また、下1桁が「0」の場合は親機2aを、「1〜9」の場合は子機2bであることを示している。さらに、「ユニットID」の上4桁が「送信アドレスID」となっている。すなわち、上4桁が共通するユニットIDの商品については、「送信アドレスID」により特定される親機2aに対して、その商品情報を送信する。また、同一の「送信アドレスID」を有する複数の商品に関する商品情報の書き換えが必要となった場合は、それらの商品情報を親機2aに対して一括送信する。なお、送信アドレスIDとユニットIDを完全に切り離して(ユニットIDを独立したユニークな複数桁の英数字列として)、その帰属先として送信アドレスIDを付加し、トータルのIDを親機2aとESLサーバ7とで管理するという方式でも良い。
【0055】
このように、ESL管理データD1は、例えば同図のESL管理データD1の最上段に示すように、商品コード「123456」の商品「A社オレンジジュース」が、ユニットID「A1350」の値札ユニット2により値札表示されると共に、当該ユニットID「A1350」の値札ユニット2に表示させる商品情報の新規設定または書き換えの必要性が生じた場合、送信アドレスID「A135」に商品情報を送信することを意味している。
【0056】
続いて、図7は、電子値札装置1の制御ブロック図である。電子値札装置1は、上記のとおり1機の親機2aと、1機以上の子機2bとの2種類の値札ユニット2が搭載されている。親機2aの値札ユニット2は、表示制御部81、液晶ディスプレイ12、赤外線通信部82、有線通信部83、記憶部84、およびこれら各部を制御する中央制御部85を有している。
【0057】
表示制御部81は、遠隔モード時において、ESLサーバ7から受信した商品情報(売価表示部55、値引率表示部56および通常価格表示部57への表示,図4(a)参照)を液晶ディスプレイ12に表示させる。また、ローカルモード時において、ハンディデータターミナル15からの商品コード取得に伴い、登録確認情報(商品コード表示部58およびユニットID表示部59への表示,図4(b)参照)を液晶ディスプレイ12に表示させる。
【0058】
赤外線通信部82は、ハンディデータターミナル15およびトランシーバ5との赤外線通信を行うためのものであり、アンテナ21(図1参照)によってその主要部が構成される。なお、通信先は、親機2aに備えられたディップスイッチ(図示省略)の通信モード切替操作、またはハンディデータターミナル15からのコマンド送信によって決定される。
【0059】
有線通信部83は、親機2aと子機2bとが通信を行うためのものであり、保持プレート13に形成されたコネクタ33と接続される接続インターフェース35(図3(b)参照)によってその主要部が構成される。
【0060】
記憶部82は、中央制御部85が各種制御を行うための基本プログラムである制御プログラムD3と、各値札ユニット2のユニットIDが記録されたユニットID対応リストD4を記憶している。
【0061】
図8に示すように、ユニットID対応リストD4は、値札ユニット2のユニットIDが、そのID順に記憶されている。また、当該ID順に従ってハンディデータターミナル15から商品コードを取得するようになっている。すなわち、親機2aをローカルモード(ハンディデータターミナル15と通信を行うためのモード)に設定した状態で、ハンディデータターミナル15が商品バーコード(商品コード)を読み取って、これを親機2aに送信すると、親機2aはその商品コードの取得順序に従って各商品コードとユニットIDとを対応付け、商品コード対応情報を生成する。その後、親機2aを遠隔モード(ESLサーバ7と通信を行うためのモード)に設定し、生成した当該商品コード対応情報をESLサーバ7に送信する。
【0062】
なお、4つの値札ユニット2の中に商品コードを登録しない値札ユニット2が存在する場合、すなわち使用しない値札ユニット2が存在する場合は、その旨を示す所定のバーコードを読み取らせることによって対応する。また、ハンディデータターミナル15は、親機2aに対し、商品コードの読み取り毎にデータ送信を行うのではなく、複数の(4つ)商品コードを読み取り、その読み取り結果を一括して親機2aに送信するようにしても良い。この構成によれば、商品コードの送信の手間を軽減できる。
【0063】
また、各値札ユニット2には、ユニットID対応リストD4のID順序に対応してID順を示すマークや記号が付されていることが好ましい。この構成によれば、店員は商品と対応させる値札ユニット2を確認しながら、順次商品コードの読み取り作業を行うことができる。
【0064】
図7の説明に戻る。中央制御部85は、記憶部82に記憶された制御プログラムD3に基づいて各種制御を行う。具体的には、ユーザによる通信モードの設定にしたがって、赤外線通信部82の通信先を切り換え、商品情報や商品コードの入出力を行う。また、ユニットID対応リストD4を参照して、受信した商品情報を表示制御部81または有線通信部83に出力する。
【0065】
一方、子機2bの値札ユニット2は、有線通信部93、表示制御部91および液晶ディスプレイ12を有している。すなわち、親機2aから赤外線通信部82、記憶部84および中央制御部85を省略した簡易な構成となっている。なお、各部の機能については、親機2aとほぼ同様であるため説明を省略する。
【0066】
次に、図9を参照し、ESLサーバ7の商品情報送信処理について説明する。当該処理は、例えばタイムサービスにより売価が変更となった場合などに実行される。ESLサーバ7は、POSサーバ10内の商品マスタD2の変更を検知すると(S11:Yes)、その変更内容に伴ってESL管理データD1を更新する(S12)。そして、その変更されたレコードに含まれる商品情報にユニットIDを付与し、これらの情報を送信先アドレスIDに基づいて、該当する値札ユニット2(親機2a)に送信する(S13)。商品情報およびユニットIDは、1の商品毎に送信しても良いし、同一の送信アドレスIDが関連付けられた複数の商品を一括送信しても良い。
【0067】
その後、電子値札装置1(親機2a)から、当該電子値札装置1が商品情報を受信したことを示す装置受信確認コマンドを受信すると(S14:Yes)、商品情報の変更を完了した旨(例えば「ユニットID○○○○○の表示内容を変更しました」のようなメッセージ)を表示部71(図5参照)に表示する(S15)。また、送信から所定時間内に装置受信確認コマンドを受信しなかった場合は(S14:No)、表示部71にエラー表示を行う(S16)。なお、エラー表示を行う前に、商品情報を複数回送信するようにしても良い。また、電子値札装置1(親機2a)の通信モードがローカルモードに切り替えられている可能性もあるため、商品情報送信時(S13)には、通信モードを遠隔モードに強制的に書き換えるコマンドを送信するようにしても良い。
【0068】
次に、図10を参照し、値札ユニット2(親機2a)の商品情報受信処理について説明する。当該処理は、上記の商品情報送信処理による商品情報の送信をきっかけとして実行される処理である。親機2aが遠隔モードに設定されている状態において、ESLサーバ7からベースステーション6およびトランシーバ5を介して商品情報およびユニットIDを受信すると(S21:Yes)、まず装置受信確認コマンドを送信する(S22)。また、ユニットIDに基づいて、対応する値札ユニット2に商品情報を転送する(S23)。なお、ユニットIDが自装置を示している場合は、自装置内の表示制御部81に商品情報を転送する。
【0069】
次に、図11を参照し、値札ユニット2(親機2a)の商品コード対応情報送信処理について説明する。当該処理は、商品の配置換え等により値札ユニット2と商品との対応関係が変更となった場合などに、ESL管理データD1を書き換えるために実行される。親機2aがローカルモードに設定されている状態において、ハンディデータターミナル15から商品コード(商品バーコードのデコード結果)を取得すると(S31:Yes,商品コード取得手段)、ユニットID対応リストD4(図8参照)を参照して(S32)、商品コードとユニットIDとを対応付け、商品コード対応情報を生成する(S33,商品コード対応情報生成手段)。この対応付けは、上記のとおり商品コードの取得順序に基づく。そして、通信モードを遠隔モードに切り替えた後、生成した当該商品コード対応情報をESLサーバ7に送信する(S34,商品コード対応情報送信手段)。
【0070】
その後、ESLサーバ7から、ESLサーバ7が商品コードを受信した旨を示すサーバ受信確認コマンドを受信すると(S35:Yes)、商品コード対応情報送信処理を終了する。また、送信から所定時間内にサーバ受信確認コマンドを受信しなかった場合は(S35:No)、再度商品コード対応情報を送信する。なお、商品コード対応情報の再送信に代えて、液晶ディスプレイ12にエラー表示(例えば、表示文字の点滅など)を行うようにしても良い。
【0071】
以上、本実施形態によれば、親機2aの赤外線通信部82を用いて、同一の電子値札装置1に搭載された各子機2bに、ESLサーバ7から商品情報を提供することができる。すなわち、各子機2bにESLサーバ7と通信するための通信手段を搭載する必要がないため、電子値札装置1全体として低廉化を図ることができ、ひいては電子値札システムSYの構築費用を低減できる。また、同じく赤外線通信部82を用いてハンディデータターミナル15と通信し、商品コードの登録作業も行うことができるため、各子機2bにハンディデータターミナル15との通信手段も必要とせず、さらに低廉化を図ることができる。
【0072】
また、本実施形態の電子値札装置1は、子機2bだけでなく親機2aも値札ユニット2として機能するため、親機2aと子機2bの値札ユニット2の部品を共通化することができ、さらに低廉化を図ることができる。
【0073】
また、値札ユニット2に表示させる商品情報の新規設定または書き換えの必要性が生じた場合、ESLサーバ7は、同一の電子値札装置1に搭載された複数の値札ユニット2に提供すべき複数の商品情報を一括送信することができる。このため、各値札ユニット2に商品情報を個別に送信する場合と比べて、送信回数を少なくすることができ、これによって制御負荷を軽減できる。
【0074】
また、複数の値札ユニット2のそれぞれに該当する商品の商品コードをまとめて親機2aに入力することができ、これに伴って各値札ユニット2に対応する商品コード対応情報を一括してESLサーバ7に送信する(登録する)ことができる。このため、商品コードの入力作業を迅速且つ容易に行うことができる。
【0075】
なお、上記の例では、親機2aおよび子機2bの両方が値札ユニット2として機能するものとしたが、子機2bのみを値札ユニット2として機能させるようにしても良い。この場合、親機2aは、赤外線通信部82、有線通信部83、記憶部84および中央制御部85のみを備えれば良く(図7参照)、例えばRFIDなどの無線ICタグにより構成される。
【0076】
また、親機2aとトランシーバ5、および親機2aとハンディデータターミナル15は、いずれも赤外線通信を行うものとしたが、Bluetoothなど他の無線方式を採用しても良い。
【0077】
また、上記の例では、取得した商品コードを、ユニットID対応リストD4(図8参照)のID順に割り当てることで商品コード対応情報を生成するものとしたが、ハンディデータターミナル15から商品コードに付加して送信される情報に基づいて商品コード対応情報を生成するようにしても良い。例えば、ハンディデータターミナル15側で、読み取った各商品コードに、各値札ユニット2を特定するための付加情報を付加して親機2aに送信するように構成することで、親機2aは、取得した当該付加情報に基づいて商品コード対応情報を生成することができる。この場合、例えばハンディデータターミナル15が商品コードの読み取り毎に読み取り順序を示す番号(「1」,「2」など)を付加情報として付加する構成とすれば、「111」,「112」,「113」の順に商品コードを読み取った場合、『「1」−「111」,「2」−「112」,「3」−「113」』の情報を、商品コードおよび付加情報として親機2aに送信でき、親機2a側で、付加情報「1」→ユニットID「A1」、付加情報「2」→ユニットID「A2」、付加情報「3」→ユニットID「A3」の要領で書き換え(変換)を行うことにより、『「A1」−「111」,「A2」−「112」,「A3」−「113」』の組み合わせを、商品コード対応情報として生成できる。この構成によれば、商品コードに付加情報を付加することで、親機2a側で商品コード対応情報の生成ミス(商品コードとユニットIDとの対応付けのミス)を軽減できる。なお、付加情報として「1」,「2」などの数字を、ハンディデータターミナル15に搭載された入力手段(テンキー等)により入力する構成とすれば、任意の順序で商品コードの読み取りが可能である。
【0078】
続いて、図12および図13を参照し、本発明の第2実施形態について説明する。上記の実施形態では、親機2a側で商品コード対応情報を生成するものとしたが、本実施形態ではハンディデータターミナル15側で商品コード対応情報を生成する点で異なる。すなわち、本実施形態は、親機2aから商品コード対応情報生成手段を省略する代わりに、ハンディデータターミナル15が、親機2aからユニットID(識別子)を取得する手段(識別子取得手段)と、当該ユニットIDと、商品から読み取った商品コードとに基づいて商品コード対応情報を生成する手段(商品コード対応情報生成手段)と、を備えることを特徴とする。以下、上記の実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0079】
図12は、第2実施形態に係るハンディデータターミナル15の商品コード対応情報送信処理を示すフローチャートである。同図に示すように、ハンディデータターミナル15は、例えば値札ユニット2に貼付または表示されたユニットコード(バーコードまたは2次元コード等)を読み取ることにより、ユニットIDを取得する(S41)。続けて、その値札ユニット2に対応する商品の商品コードを読み取る(S42)。そして、S41で取得したユニットIDと、S42で取得した商品コードとを対応付けた商品コード対応情報(の一部)を生成する(S43)。ここで、電子値札装置1に搭載された全ての値札ユニット2に対応する商品コードを読み取ったか否かを判別し(S44)、全て読み取っていない場合は(S44;No)、S41〜S43を繰り返す。一方、全て読み取った場合は(S44:Yes)、全ての値札ユニット2のユニットIDと、各値札ユニット2に対応する商品の商品コードとを組み合わせた商品コード対応情報を、親機2aに対して一括送信する。
【0080】
なお、S44を省略し、ユニットIDおよび商品コードの読み取り毎(1つの組み合わせ毎)に、商品コード対応情報を親機2aに送信する構成としても良い。また、S41では、値札ユニット2に貼付または表示されたユニットコードを読み取るのではなく、ハンディデータターミナル15に搭載された入力手段の入力によって、ユニットIDを取得するようにしても良い。この構成によれば、値札ユニット2へのユニットコードの貼付を省略できる。
【0081】
次に、図13を参照し、値札ユニット2(親機2a)の商品コード対応情報送信処理について説明する。当該処理は、上記の商品コード対応情報送信処理によるハンディデータターミナル15からの商品コード対応情報の送信をきっかけとして実行される処理である。親機2aがローカルモードに設定されている状態において、ハンディデータターミナル15から商品コード対応情報を取得すると(S51:Yes,商品コード取得手段)、これを液晶ディスプレイ12に表示する(S52,図4(b)参照)。ここで、複数の商品コードに対応する商品コード対応情報を一括受信した場合は、数秒おきに商品コードとユニットIDの表示を切り替えながら、全ての組み合わせについて表示する。
【0082】
続いて、電子値札装置1に搭載された全ての値札ユニット2の商品コード対応情報を取得したか否かを判別し(S53)、全て取得していない場合は(S53;No)、S51〜S52を繰り返す。一方、全て取得した場合は(S53:Yes)、店員によるディップスイッチ等の操作により通信モードが遠隔モードに切り替えられた後(通信モード切替手段)、全ての値札ユニット2のユニットIDと、各値札ユニット2に対応する商品の商品コードとを組み合わせた商品コード対応情報を、ESLサーバ7に送信する(S54)。その後、ESLサーバ7から、ESLサーバ7が商品コードを受信した旨を示すサーバ受信確認コマンドを受信すると(S55:Yes)、商品コード対応情報送信処理を終了する。
【0083】
なお、S5において、商品コード対応情報を表示する場合、親機2aの液晶ディスプレイ12に表示するのではなく、対応する子機2bの液晶ディスプレイ12に商品コード対応情報を表示させるようにしても良い。この場合、複数の商品コードに対応する商品コード対応情報を一括受信すると、各値札ユニット2の液晶ディスプレイ12に異なる商品コード対応情報(各値札ユニット2に対応する商品コード対応情報)が表示されることとなる。また、この場合、ユニットIDの表示を省略し、商品コードのみを液晶ディスプレイ12に表示させるようにしても良い。
【0084】
以上、説明したとおり、本実施形態によれば、ハンディデータターミナル15側で商品コード対応情報を生成し、親機2a側では商品コード対応情報を取得するだけで良いため、親機2aの制御構成を簡素化でき、電子値札装置1の低廉化を図ることができる。
【0085】
以上、2つの実施形態を示したが、上記の電子値札装置1およびESLサーバ7の各構成要素(各機能)をプログラムとして提供することが可能である。また、そのプログラムを各種記録媒体(CD−ROM、フラッシュROM、メモリカード等)に格納して提供することも可能である。すなわち、これらのプログラムおよび記録媒体も、本発明の権利範囲に含まれる。
【0086】
また、上記の実施形態によらず、電子値札装置1の装置構成や処理工程など、本発明を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の一実施形態に係る電子値札システムのシステム構成図である。
【図2】電子値札装置が設置された陳列ケースの斜視図である。
【図3】電子値札装置の斜視図である。
【図4】値札ユニットの正面図である。
【図5】ESLサーバの制御ブロック図である。
【図6】ESL管理データの一例を示す図である。
【図7】電子値札装置の制御ブロック図である。
【図8】ユニットID対応リストの一例を示す図である。
【図9】ESLサーバの商品情報送信処理を示すフローチャートである。
【図10】値札ユニットの商品情報受信処理を示すフローチャートである。
【図11】値札ユニットの商品コード対応情報送信処理を示すフローチャートである。
【図12】第2実施形態に係るハンディデータターミナルの商品コード対応情報送信処理を示すフローチャートである。
【図13】第2実施形態に係る値札ユニットの商品コード対応情報送信処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1…電子値札装置 2…値札ユニット 7…ESLサーバ 13…保持プレート 14…値札ケース 15…ハンディデータターミナル 21…陳列ケース D1…ESL管理データ D2…商品マスタ D3…制御プログラム D4…ユニットID対応リスト
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商品の陳列ケースまたは陳列棚に設けられ、売価を含む商品情報を表示する複数の値札ユニットを有する電子値札装置と、
前記電子値札装置に対し前記商品情報を提供すると共に、各商品の商品コードを管理するホスト装置と、
前記電子値札装置に対し前記複数の値札ユニットに対応する複数の前記商品コードを提供する外部装置と、から成る電子値札システムであって、
前記電子値札装置は、前記外部装置および前記ホスト装置との通信手段を搭載した1の親機と、前記値札ユニットとして機能すると共に前記親機を介して前記商品情報を取得する1以上の子機と、を有し、
前記親機は、前記外部装置から、前記複数の商品コードを取得する商品コード取得手段と、
取得した前記複数の商品コードと、前記値札ユニットを識別するための複数の識別子とをそれぞれ1対1の関係となるように対応付けた前記商品コード対応情報を前記ホスト装置に送信する商品コード対応情報送信手段を有していることを特徴とする電子値札システム。
【請求項2】
前記親機は、前記複数の値札ユニットのうちの一つとして機能することを特徴とする請求項1に記載の電子値札システム。
【請求項3】
前記親機と前記ホスト装置、および前記親機と前記外部装置とは無線接続されており、
前記親機と前記子機とは有線接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子値札システム。
【請求項4】
前記親機は、前記ホスト装置と通信可能な遠隔モードと、前記外部装置と通信可能なローカルモードとを切り替える通信モード切替手段をさらに有し、
前記遠隔モードの時は、前記商品情報を表示し、
前記ローカルモードの時は、前記商品コード取得手段により取得した前記商品コードと、当該商品コードに対応付けられる前記識別子とを並列表示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子値札システム。
【請求項5】
前記外部装置は、各商品から前記複数の商品コードを読み取る商品コード読み取り手段と、
読み取った前記各商品コードを前記親機に送信する商品コード送信手段と、を有し、
前記親機は、取得した前記複数の商品コードに基づいて、前記商品コード対応情報を生成する商品コード対応情報生成手段をさらに有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子値札システム。
【請求項6】
前記商品コード対応情報生成手段は、前記商品コードの取得順序に基づいて、当該商品コードを順次前記複数の値札ユニットに割り当てることにより前記商品コード対応情報を生成することを特徴とする請求項5に記載の電子値札システム。
【請求項7】
前記外部装置の商品コード送信手段は、読み取った前記各商品コードに、前記各値札ユニットを特定するための付加情報を付加して前記親機に送信し、
前記親機の前記商品コード対応情報生成手段は、取得した前記付加情報に基づいて、前記商品コード対応情報を生成することを特徴とする請求項5に記載の電子値札システム。
【請求項8】
前記外部装置は、前記各商品から前記複数の商品コードを読み取る商品コード読み取り手段と、
前記複数の値札ユニットの各識別子を取得する識別子取得手段と、
読み取った前記複数の商品コードと、取得した前記各識別子とに基づいて、前記商品コード対応情報を生成する商品コード対応情報生成手段と、
生成した前記商品コード対応情報を、前記親機に送信する商品コード対応情報送信手段と、を有し、
前記親機は、前記外部装置から前記商品コード対応情報を取得する商品コード対応情報取得手段を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子値札システム。
【請求項9】
前記識別子取得手段は、前記複数の値札ユニットに貼付または表示された各ユニットコードを読み取ることにより、前記各識別子を取得することを特徴とする請求項8に記載の電子値札システム。
【請求項10】
前記外部装置は、
各種情報を入力するための入力手段をさらに有し、
前記識別子取得手段は、前記入力手段の入力により、前記各識別子を取得することを特徴とする請求項8に記載の電子値札システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の電子値札システムに適用されることを特徴とする電子値札装置。
【請求項1】
商品の陳列ケースまたは陳列棚に設けられ、売価を含む商品情報を表示する複数の値札ユニットを有する電子値札装置と、
前記電子値札装置に対し前記商品情報を提供すると共に、各商品の商品コードを管理するホスト装置と、
前記電子値札装置に対し前記複数の値札ユニットに対応する複数の前記商品コードを提供する外部装置と、から成る電子値札システムであって、
前記電子値札装置は、前記外部装置および前記ホスト装置との通信手段を搭載した1の親機と、前記値札ユニットとして機能すると共に前記親機を介して前記商品情報を取得する1以上の子機と、を有し、
前記親機は、前記外部装置から、前記複数の商品コードを取得する商品コード取得手段と、
取得した前記複数の商品コードと、前記値札ユニットを識別するための複数の識別子とをそれぞれ1対1の関係となるように対応付けた前記商品コード対応情報を前記ホスト装置に送信する商品コード対応情報送信手段を有していることを特徴とする電子値札システム。
【請求項2】
前記親機は、前記複数の値札ユニットのうちの一つとして機能することを特徴とする請求項1に記載の電子値札システム。
【請求項3】
前記親機と前記ホスト装置、および前記親機と前記外部装置とは無線接続されており、
前記親機と前記子機とは有線接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電子値札システム。
【請求項4】
前記親機は、前記ホスト装置と通信可能な遠隔モードと、前記外部装置と通信可能なローカルモードとを切り替える通信モード切替手段をさらに有し、
前記遠隔モードの時は、前記商品情報を表示し、
前記ローカルモードの時は、前記商品コード取得手段により取得した前記商品コードと、当該商品コードに対応付けられる前記識別子とを並列表示することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子値札システム。
【請求項5】
前記外部装置は、各商品から前記複数の商品コードを読み取る商品コード読み取り手段と、
読み取った前記各商品コードを前記親機に送信する商品コード送信手段と、を有し、
前記親機は、取得した前記複数の商品コードに基づいて、前記商品コード対応情報を生成する商品コード対応情報生成手段をさらに有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子値札システム。
【請求項6】
前記商品コード対応情報生成手段は、前記商品コードの取得順序に基づいて、当該商品コードを順次前記複数の値札ユニットに割り当てることにより前記商品コード対応情報を生成することを特徴とする請求項5に記載の電子値札システム。
【請求項7】
前記外部装置の商品コード送信手段は、読み取った前記各商品コードに、前記各値札ユニットを特定するための付加情報を付加して前記親機に送信し、
前記親機の前記商品コード対応情報生成手段は、取得した前記付加情報に基づいて、前記商品コード対応情報を生成することを特徴とする請求項5に記載の電子値札システム。
【請求項8】
前記外部装置は、前記各商品から前記複数の商品コードを読み取る商品コード読み取り手段と、
前記複数の値札ユニットの各識別子を取得する識別子取得手段と、
読み取った前記複数の商品コードと、取得した前記各識別子とに基づいて、前記商品コード対応情報を生成する商品コード対応情報生成手段と、
生成した前記商品コード対応情報を、前記親機に送信する商品コード対応情報送信手段と、を有し、
前記親機は、前記外部装置から前記商品コード対応情報を取得する商品コード対応情報取得手段を有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子値札システム。
【請求項9】
前記識別子取得手段は、前記複数の値札ユニットに貼付または表示された各ユニットコードを読み取ることにより、前記各識別子を取得することを特徴とする請求項8に記載の電子値札システム。
【請求項10】
前記外部装置は、
各種情報を入力するための入力手段をさらに有し、
前記識別子取得手段は、前記入力手段の入力により、前記各識別子を取得することを特徴とする請求項8に記載の電子値札システム。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の電子値札システムに適用されることを特徴とする電子値札装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−217738(P2008−217738A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−58184(P2007−58184)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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