説明

電子写真装置

【課題】 現像器などのユニットが寿命となる時期を適切に判断する為に、各色現像器からのトナー飛散量の検出を共通のトナー飛散量検出装置で行い、現像装置を適切な時期に交換できる電子写真装置を提供することを課題とする。
【解決手段】 各色作像部の現像器と感光体の間の下方に設けられた空気の吸引口17より、現像器から感光体への移動時に発生する飛散トナーを吸引する。吸引された空気は18空気搬送路1を通じて各色共通の19空気搬送路2に合流され、トナー飛散量検知装置20で通過するトナー粉の量を光学的に検出する。この様な構成により、各色のトナー飛散量を検出して、飛散量が規定量を超えた時に、ユニットの交換、現像器内部のキャリアの交換を即す表示を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンター等に用いられる画像形成装置に関し、特に、2成分または1成分の現像装置を有する電子写真装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置では、現像ユニットや感光体ユニット、クリーニングユニットなど画像を作像する為のユニットが用いられているが、各ユニット(部品)は画像の形成回数に応じて性能が劣化する為、定期的な交換が必要である。
特に、トナーとキャリアを用いる2成分現像器の場合、トナーは消費されて新しいトナーが順次補給されるのに対してキャリアは継続してトナーと攪拌される為にキャリア表面のコート層が削られたり、又はトナーの成分がキャリアの表面に付着したりしてキャリアの性能が画像形成に伴なって低下することが問題となる。キャリアがトナーに適正な帯電量を与えることが出来なくなり、良い画像が得られなくなる為、定期的にキャリアを新しいキャリアと入替えたり、又は現像器をユニットごと新しい物に交換することで良好な画像を保つ必要がある。
又、トナーのみを使用して現像する1成分現像器においては、画像形成に伴なって現像ローラや薄層形成用のブレードなどにトナー成分が付着することによりトナーに適正な帯電量を与えることができなくなり画質が低下する為、現像器を新しいユニットと交換することによって良好な画像を保つ必要がある。
【0003】
ユニットの交換、又はキャリア交換等の時期の判断は画像の形成回数を記憶して一定の枚数に達したら交換を即す表示を出して交換を実施する方式、又は画像を見て画像上の不具合により交換を実施する方式が一般的である。この為、装置の使用状況により規定の作像回数に至らなくても良好な画像が得られなくなってしまったり、又は、規定の枚数に達してもまだユニットが充分使用に耐える状況である、というような不具合又は無駄が発生するケースが発生する欠点があった。
特に現像器の性能が低下した時の現象としては、上記の様にトナーの帯電量が不充分となり、帯電量の低いトナーや逆極性に帯電したトナーが増加し、感光体上の潜像に付着せずに、紙面上の画像のない部分にトナーが付着して紙面全体が汚れた画像となる、地汚れと呼ばれる現象が発生する。又これと同時に、不良帯電トナーは現像器から空中に排出されて飛散する現象が起こる。
【0004】
特許文献1には、トナー飛散検出手段を設け、検出結果に応じてトナー補給動作を制御又はトナー攪拌手段の動作を制御する方法が示されているが、本発明とは構成において異なるものである。
また、特許文献2には、トナー飛散量を検出して現像器に搬送するリサイクルトナーの搬送量を制御する発明についての記載があるが、トナー飛散量検出装置の構成についての開示がなく、目的においても本発明とは異なっている。
【特許文献1】特開平8−328435号公報
【特許文献2】特開2003−241598号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、現像器などのユニットが寿命となる時期を適切に判断する為に、各色現像器からのトナー飛散量の検出を共通のトナー飛散量検出装置で行い、現像器の劣化状態を把握して、適切な時期に交換できる電子写真装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有している。
本発明の電子写真装置では、感光体上の静電潜像に現像器よりトナーを供給して付着させることにより複数色の現像を行うカラー電子写真装置において、現像器から空中に飛散するトナーの量を検知するトナー飛散量検出装置と現像器近傍の空気を上記検出装置に導く各色現像器に対応した複数の空気搬送路を設け、複数の空気搬送路を切りかえることにより各色現像器からのトナー飛散量を独立に検知可能とし、トナー飛散量の増加により、現像器の異常を検知可能としたことを特徴とする。
本発明の電子写真装置では、さらに、前記空気搬送路は、各現像器が感光体にトナーを供給する部分の下方に対応して吸引口が配置される吸引路、各吸引路を集合した共通流路、及び装置本体に設けられた排気ファンの吸引側に接続された排出流路により構成され、前記トナー飛散量検出装置は、共通流路部分に設けられることを特徴とする。
【0007】
本発明の電子写真装置では、さらに、前記共通流路の一部を鉛直方向に配置し、かつ、空気が上下方向に流れる部分にトナー飛散量検出装置を設けたことを特徴とする。
本発明の電子写真装置では、さらに、前記流路の切り替えは、吸引路の先端にシャッター機構を設け、各シャッターをON,OFF切り替えすることにより行われることを特徴とする。
本発明の電子写真装置では、さらに、前記トナー飛散量検出装置は、空気の流路に斜め上方向から光を照射する発光部と、トナー粒子に当たって反射する光を斜め上から検出する受光部により構成されることを特徴とする。
本発明の電子写真装置では、さらに、前記電子写真装置は、検知したトナー飛散量に応じて、現像器の交換又は現像剤の交換を即す信号を出すことを特徴とする。
本発明の電子写真装置では、さらに、前記電子写真装置は、検知したトナー飛散量に応じて、装置の稼動の禁止を即す信号を出すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明では、上記トナー飛散量検出装置のデータにより、現像装置の交換を即すことにより、画像形成装置本体の故障の発生を防止し、画像品質を維持するとともに、現像装置を最大限の寿命まで有効に使用する事が可能となる。又、交換が遅れた場合においても障害が装置本体にまで及ぶことを防止することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明では、現像器などのユニットが寿命となる時期を適切に判断する為に、現像器から空中に排出される飛散トナーの量を検出し、この計測値によりユニットの劣化状態、交換の必要性を判断し、これを表示して装置使用者に交換を即すことにより、ユニットを無駄なく適正に使用する。
特に、現像器をイエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの4色用いるカラー電子写真装置においては、各色毎にトナー飛散検知用のセンサーを設けるのは複雑でコストアップとなる為、本発明では各色からの吸引経路を切り替え可能として、ソレノイドにより駆動することにより、一つのセンサーで各色のトナー飛散量を独立に計測できるように構成した。
【0010】
以下に、本発明の電子写真装置の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
図1に、本装置が搭載されたタンデム型のフルカラー電子写真装置の全体構成を示す。搬送ベルト7により静電吸着されて搬送される用紙の通過経路に4色の作像ユニットを配置した構成である。4色の作像ユニットは、イエロー(記号Y)、マゼンタ(記号M)シアン(記号C)、ブラック(記号K)、であり、それぞれ同様の構成であり、トナーの色のみが異なる構成である。
構成は、感光体ドラム1の表面に帯電器2によって一様な帯電電位を与え、レーザー光学による光書込ユニット3により潜像を形成し、現像器4でトナー像を形成し、転写機5により用紙上にトナー像を形成する。転写の済んだ感光体の表面はクリーニング6により残ったトナーが清掃回収される。
【0011】
用紙は、給紙カセット12から給紙コロ13により一枚ずつ送り出され、レジストローラ対14によりタイミングを合わせて、搬送ベルト部に供給される。搬送ベルトは駆動ローラ8と従動ローラ9により一定の張力で駆動搬送される。搬送ベルトに静電気により吸着された転写紙は、順に、Y,M,C,K の転写により4色のトナーが転写されて、フルカラー像が形成された後に搬送ベルトから分離され、定着ローラ15及び加圧ローラ16の間を通過して定着される。
又、搬送ベルトは次の作像に備えて、除電器10により表面に残った電荷が除去され、転写ベルトクリーニング11により表面を清掃される。
【0012】
17〜22は本発明の特徴を成す部材である。吸引口17は各色作像部の現像器と感光体の間の下方に設けられた空気の吸引口であり、現像器から感光体にトナーを移動させる時に、空中に吐き出されてしまう飛散トナーを吸引する為の吸引口である。吸引された空気は18空気搬送路1を通じて各色共通の19空気搬送路2に合流される。20はトナー飛散量検知装置であり、内部を通過するトナー粉の量を光学的に検出して信号を発生する装置(センサー)である。検知装置20を通過した空気は21空気搬送路3を通じて排気ファン22に接続される。排気ファンは通常、機内の温度上昇を防止する為に設けられるものを流用して用いることが出来、特別に飛散量検出の為のファンを設ける必要がない。
【0013】
この様な構成により、排気ファンの吸引力を利用して現像器下方の空気をトナー飛散量検出装置に導き、各色のトナー飛散量を検出して、飛散量が規定量を超えた時に、現像器又は感光体の性能が稼動に伴なって劣化したものと判断し、ユニットの交換、現像器内部のキャリアの交換を即す表示を行うものである。交換を即す表示は図示されていないが、通常装置に設けられる、表示パネル(オペレーションパネル)に表示される構成である。
【0014】
図2はトナー飛散量検出部の詳細を示す斜視図である。18空気搬送路1は本体装置の奥側から水平に延びて、現像器と感光体の下方で現像器の中央部まで延びている。18空気搬送路1の先端には吸引口17が設けられて、ここの空気を吸引する。吸引する位置は現像器の中央部に限らず、現像器の端部又は中央と端部等搬送路の構成と吸引口の個数で選択が可能である。30はシャッター部材であり空気搬送路の外形上をスライド可能に設けられたチューブ状の部材で構成してある。31はプランジャー型のソレノイドであり、本体内部の側板等に固定して設けられる。このソレノイドのON、OFFにより、シャッター30をスライドさせて吸引口17の開閉を制御する構成である。以上空気搬送絽とシャッター30、ソレノイド31は各色現像器毎に設けられ、それぞれ吸引される空気は19空気搬送路2で統合される。吸引される空気は19空気搬送路2の鉛直部に設けられた検知装置20を通って排気ファン22より排出される。32はダクトであり、通常は吸引したい場所の空気を効率よく吸い込む為にエアーのガイドとして設けられる。尚排気ファンはトナーを通さないフィルターを設けて使用する。
このような構成とすることで、各色現像器からのトナー飛散量の検出を、空気搬送路を切りかえることにより、1つの共通のトナー飛散量検出装置で行うことができる。
図2では、イエローのシャッター30Yをスライドさせて吸引口17Yのみを開けた状態を示してある。先端の吸引口17の部分にシャッターを設けることにより、非計側時に吸引口17にトナーが付着することを防止できる。
また、19空気搬送路2の鉛直部で計測することにより、計測部の近傍にトナーが堆積することを防止して、壁面に付着堆積するトナーの影響を受けずに安定した計測ができる。
【0015】
図3はトナー飛散量検出装置の内部の構成を示す図である。トナーを含んだ空気は入り口から矢印Aの様に装置に入り、矢印Bの方向に排出される。41は発光部であり、LED光源等で構成される。42は受光部であり、フォトトランジスタ等で構成される。発光部41から照射されトナー粉に当たって反射する光を受光部で検出し、その強度によってトナーの量を判断する構成である。
【0016】
図4はトナー飛散量検出器を通過するトナー量(トナー飛散量)と検出器の出力電圧の関係を示す図である。図の様にトナー飛散量の増加に伴なって出力電圧は増加する。一方正常な現像器においても吸引により僅かな飛散が発生し、正常な範囲を横軸のFの範囲までとする。この時の検出器の出力はV1であり、従って検出器の出力がV1を越えると現像器の劣化が限界に達していることが分かる。又、このまま使いつづけるとトナー飛散がより増加して、機内汚染画激しくなり装置本体が使用に耐えなくなるトナー飛散量の限界をGとするとこの時の出力値はV2であり、交換をせずに使用している場合はここで本体の使用をストップすることが被害を拡大させない為に好ましい。以上のように、画像形成上良好な画像が得られなくなる限界をV1,装置を続けて使用する事が好ましくない限界をV2として検知することが出きる。
図4の特性及び限界値はトナーの色が変ることによって変化する為V1,V2の限界は各色事に設定する必要が有る。
【0017】
図5は制御のフローを示す図である。検知のスタートは一定枚数毎、又は装置の電源のON時等適宜に設定する。ここではイエローの現像器からチェックを行う順で示すが、まずチェックする色の作像が行われるタイミングを待つ。作像の開始に合わせてソレノイドを駆動して吸引口のシャッターを開放する。次に一定時間のトナー飛散量の計測を行い、平均値化等の処理をした上でそのデータを記録する。次に計測値がV1、V2の値に対して超えているかどうかを比較し、超えている場合はそれぞれユニットの交換を即すメッセージまたは装置の使用停止を即すメッセージを表示する。これらの動作をマゼンタ、シアン、ブラックについて繰り返すことによりチェックを完了する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明のトナー飛散量検出装置を搭載するタンデム型のフルカラー電子写真装置の一例を示す全体構成図である。
【図2】本発明のトナー飛散量検出部の詳細を示す斜視図である。
【図3】本発明のトナー飛散量検出装置の内部の構成を示す図である。
【図4】トナーの飛散量と検出器の出力電圧の関係を説明するための図である。
【図5】本発明の制御のフローを説明するための図である。
【符号の説明】
【0019】
1 感光体ドラム
2 帯電器
3 光書込ユニット
4 現像器
5 転写機
6 クリーニング
7 搬送ベルト
8 駆動ローラ
9 従動ローラ
10 除電器
11 転写ベルトクリーニング
12 給紙カセット
13 給紙コロ
14 レジストローラ対
15 定着ローラ
16 加圧ローラ
17 吸引口
18 空気搬送路1
19 空気搬送路2
20 検知装置
21 空気搬送路3
22 排気ファン
30 シャッター部材
31 プランジャー型ソレノイド
32 ダクト
41 発光部
42 受光部
Y イエロー
M マゼンタ
C シアン
K ブラック
A、B 空気搬送方向
C、D 光路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体上の静電潜像に現像器よりトナーを供給して付着させることにより複数色の現像を行うカラー電子写真装置において、
現像器から空中に飛散するトナーの量を検知するトナー飛散量検出装置と現像器近傍の空気を上記検出装置に導く各色現像器に対応した複数の空気搬送路を設け、
複数の空気搬送路を切りかえることにより各色現像器からのトナー飛散量を独立に検知可能とし、
トナー飛散量の増加により、現像器の異常を検知可能とした
ことを特徴とする電子写真装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子写真装置において、
前記空気搬送路は、各現像器が感光体にトナーを供給する部分の下方に対応して吸引口が配置される吸引路、各吸引路を集合した共通流路、及び装置本体に設けられた排気ファンの吸引側に接続された排出流路により構成され、
前記トナー飛散量検出装置は、共通流路部分に設けられる
ことを特徴とする電子写真装置。
【請求項3】
請求項2に記載の電子写真装置において、
前記共通流路の一部を鉛直方向に配置し、
かつ、空気が上下方向に流れる部分にトナー飛散量検出装置を設けた
ことを特徴とする電子写真装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の電子写真装置において、
前記流路の切り替えは、吸引路の先端にシャッター機構を設け、
各シャッターをON,OFF切り替えすることにより行われる
ことを特徴とする電子写真装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の電子写真装置において、
前記トナー飛散量検出装置は、空気の流路に斜め上方向から光を照射する発光部と、
トナー粒子に当たって反射する光を斜め上から検出する受光部により構成される
ことを特徴とする電子写真装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の電子写真装置において、
前記電子写真装置は、検知したトナー飛散量に応じて、現像器の交換又は現像剤の交換を即す信号を出す
ことを特徴とする電子写真装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の電子写真装置において、
前記電子写真装置は、検知したトナー飛散量に応じて、装置の稼動の禁止を即す信号を出す
ことを特徴とする電子写真装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−3601(P2006−3601A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−179555(P2004−179555)
【出願日】平成16年6月17日(2004.6.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】