説明

電子制御装置

【課題】小型化を可能にするとともに、放熱性も高めた電子制御装置を提供する。
【解決手段】配線パターンを有する回路基板2と、回路基板2上にて互いに隣り合って実装された複数の発熱電子部品の内、少なくとも一対の発熱電子部品5A、5Bとを備えた電子制御装置である。発熱電子部品5A、5Bは、一方の側に回路基板2と電気的及び機械的に接続するリード9を延出し、他方の側に放熱用金属プレート10を延出して構成されている。隣り合って実装された一対の発熱電子部品5A、5Bは、これらが隣り合う方向と交差する方向にリード9及び放熱用金属プレート10を向け、かつ、リード9及び放熱用金属プレート10の向く方向が互いに逆になるように配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に搭載される電子制御装置は、要求される機能が増えることに伴い、その数が増加する傾向にある。ところが、電子制御装置を配置する空間については、車室空間を広げる必要上、減少する傾向にある。したがって、電子制御装置はその小型化が強く望まれている。しかしながら、電子制御装置を小型化すると、回路の高密度化による放熱性の悪化が懸念される。
【0003】
このような背景のもとに、従来では、例えば特許文献1の図1に、パワーMOSFET(電子部品)を樹脂基板(回路基板)上に複数実装した際、互いの端子を逆側に向けた状態で互いに向かい合わせて配置した構造が開示されている。
また、特許文献2の図5には、隣り合うMOS間に熱伝導抑制部を設け、MOS間の熱干渉を抑制する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−245174号公報
【特許文献2】特開2011−23593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載された構造では、パワーMOSFETを互いに向かい合わせて配置しているため、放熱機能を担うメタルベースもパワーMOSFETから延出することでその一部が互いに向かい合っている。したがって、向かい合うメタルベースからそれぞれ放出された熱がパワーMOSFET間に滞留することにより、放熱性が低下する懸念がある。
また、前記特許文献2に記載された構造では、隣り合うMOS間に熱伝導抑制部を設けているため、熱伝導抑制部のためのスペースが余分に必要となり、電子制御装置の小型化を妨げる一因となってしまう。
【0006】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、小型化を可能にするとともに、放熱性も高めた電子制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電子制御装置は、配線パターンを有する回路基板と、該回路基板上にて互いに隣り合って実装された複数の発熱電子部品と、を備えた電子制御装置であって、
前記発熱電子部品は、一方の側に前記回路基板と電気的及び機械的に接続するリードを延出し、他方の側に放熱用金属プレートを延出して構成され、
前記隣り合って実装された複数の発熱電子部品の内、少なくとも一対の発熱電子部品は、これらが隣り合う方向と交差する方向に前記リード及び前記放熱用金属プレートを向け、かつ、前記リード及び前記放熱用金属プレートの向く方向が互いに逆になるように配置されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記電子制御装置において、前記隣り合って実装された複数の発熱電子部品の内、少なくとも一対の発熱電子部品は、これらが隣り合う方向と直交する方向に前記リード及び前記放熱用金属プレートを向けて配置されていることが好ましい。
【0009】
また、前記電子制御装置において、前記複数の発熱電子部品は、前記回路基板の実装領域の端部に配置されていることが好ましい。
【0010】
また、前記電子制御装置において、前記回路基板には、該回路基板の表面及び該回路基板の内部に設けられて、前記発熱電子部品の発する熱を伝導する熱伝導経路手段が設けられていることが好ましい。
また、前記熱伝導経路手段は、前記回路基板の表面から裏面に貫通し、かつ前記配線パターンに接続するスルーホールを備えていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子制御装置によれば、隣り合って実装する複数の発熱電子部品の内、少なくとも一対の発熱電子部品を、これらが隣り合う方向と交差する方向にリード及び放熱用金属プレートを向け、かつ、リード及び放熱用金属プレートの向く方向が互いに逆になるように配置している。それにより、リードに比べて放熱面積が大きく、したがって放熱容量の大きい放熱用金属プレートの中心部が隣り合う方向と直交する方向に一定の間隔分ずれた状態で配置される。そのため、リードや放熱用金属プレートを介して放出される熱の流れも一定の間隔分ずれが生じる。したがって、一対の発熱電子部品から放出される熱によって形成される熱干渉部を従来に比べて減少させることができるため、熱の滞留が抑制され放熱性が高まる。
また、一対の発熱電子部品の向きを逆にして互いに隣り合わせて配置することにより、一対の発熱電子部品を接続する内層を含む各面の配線パターン(図示せず)の接続距離を短縮でき、回路基板の実装領域を無駄なく効率的に使用することができるため、小型化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の電子制御装置の一実施形態の概略構成を示す分解斜視図である。
【図2】回路基板の要部平面図である。
【図3】本発明の電子制御装置の他の実施形態に係る回路基板を示す図であって、(a)は発熱電子部品を実装した状態を示す要部平面図、(b)は発熱電子部品を実装する前の状態を示す要部平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明に係る電子制御装置について説明する。なお、以下の図面においては、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の電子制御装置の一実施形態の概略構成を示す分解斜視図であり、図1中符号1は、自動車用の電子制御装置(ECU:Electronic Control Unit)である。
この電子制御装置1は、回路基板2と、該回路基板2を収容保持する金属製のケース3と、該ケース3に装着される金属製のカバー4とを備えて構成されている。なお、ケース3とカバー4とにより、回路基板2を収容する筐体が形成される。
【0014】
回路基板2は、その上面に電子部品として複数の発熱電子部品5A、5B(5A、5B以外は図示せず)を実装し、下面に大型電子部品6及びコネクタ7等を実装し、さらに内層を含む各面に配線パターン(図示せず)を形成した略矩形状のプリント基板である。発熱電子部品5A、5Bは、電流が流れることで大きく発熱するもの、例えばトランジスタやダイオード等からなっている。大型電子部品6は、前記発熱電子部品5A、5Bより大型のもの、例えばコンデンサやコイル等からなっている。
【0015】
発熱電子部品5A、5Bは、回路基板2の一方の長辺2a側のコーナー部寄りに配置されたもので、図2に示すように回路基板2に設けられた略矩形の実装領域2bの端部(外周部)に互いに隣り合って配置されている。なお、本実施形態では、回路基板2の一方の長辺2a側のコーナー部側に配置された発熱電子部品5Aはダイオードであり、これより中央部側に配置された発熱電子部品5Bはトランジスタ(MOSFET)である。ただし、このように配置された発熱電子部品5A、5Bは、トランジスタやダイオード以外の発熱電子部品からなっていてもよいのはもちろんである。
【0016】
これら発熱電子部品5A、5Bは、平面視矩形状のパッケージ8内にダイオードやトランジスタを構成する各要素を組み込み、さらにパッケーシ8の一方の側(一辺側)にリード9を複数延出し、他方の側(前記一辺側と反対の側の辺側)に放熱用金属プレート10を延出したものである。放熱用金属プレート10は、銅等の金属からなる矩形板状のもので、平面視した状態で一方の側がパッケージ8の他方の側から延出するよう、パッケージ8の底面に貼設固定されている。
【0017】
なお、この放熱用金属プレート10については、パッケージ8内に収容されてその一部がパッケージ8の他方の側から延出するように構成されたものであってもよい。また、この放熱用金属プレート10は、本実施形態では端子としても機能するようになっている。ただし、端子として機能することなく、放熱板としてのみ機能するものであってもよい。
【0018】
発熱電子部品5A、5Bは、本実施形態では図2中にXで示す方向に隣り合っており、このX方向と直交するY方向に、パッケージ8から延出するリード9及び放熱用金属プレート10を向けて配置されている。また、これら一対の発熱電子部品5A、5Bにおいては、リード9及び放熱用金属プレート10の向く方向が、互いに逆になるように配置されている。
【0019】
すなわち、発熱電子部品5Aはリード9を回路基板2の一方の長辺2aと反対の側(以下、Y1方向とする)に向けて延出し、放熱用金属プレート10を回路基板2の一方の長辺2a側(以下、Y2方向とする)に向けて延出している。また、発熱電子部品5Bはリード9をY2方向に向けて延出し、放熱用金属プレート10をY1方向に向けて延出している。
【0020】
また、これら発熱電子部品5A、5Bが実装された回路基板2の上面には、前記配線パターンからなる回路パターン11A、11Bが形成されている。回路パターン11Aには発熱電子部品5Aが接続され、回路パターン11A、11Bには発熱電子部品5Bが接続されている。すなわち、発熱電子部品5Aは、放熱用金属プレート10を介して回路パターン11Aに電気的及び機械的に接続されている。なお、発熱電子部品5Aのリード9は、回路基板2上の他の配線パターン(図示せず)に電気的及び機械的に接続されている。また、発熱電子部品5Bは、リード9を介して回路パターン11Aに電気的及び機械的に接続され、放熱用金属プレート10を介して回路パターン11Bに電気的及び機械的に接続されている。
【0021】
図1に示すように大型電子部品6は、回路基板2の下面の、前記長辺2aと反対側の端部に配置されている。
コネクタ7は、例えばPBTやPPS等の高熱伝導性樹脂から形成されたもので、大型電子部品6が配置された長辺側に配置されており、回路基板2の裏面側から表面側へ向けて挿通される2本のコネクタ固定用ネジにより、回路基板2にネジ止め固定されている。
また、回路基板2には、前記発熱電子部品5A、5Bが配置された一方の長辺2a側の外端部、及び前記大型電子部品6が配置された他方の長辺側の略中央部に、ケース3に回路基板2を固定するためのネジ孔12が合計4箇所形成されている。
【0022】
ケース3は、前記回路基板2を内部に収容保持して保護する、鉄あるいはアルミニウム等の金属製のものである。このケース3は、平面視して前記回路基板2にほぼ一致する略矩形状の収容空間を有しており、該収容空間の前記大型電子部品6に対応する位置に、大型電子部品6を収容する大型電子部品収容部13を形成している。
また、ケース3には、大型電子部品収容部13に隣接して放熱用台座14が形成されている。
【0023】
放熱用台座14は、回路基板2の発熱電子部品5A、5Bに対応するコーナー部(隅部)に形成配置されたもので、ケース3の底面より上方に、すなわち前記回路基板2側に突出して形成されている。これによって放熱用台座14には、ケースの底面より充分に高い位置に、前記発熱電子部品5A、5Bに対応して台座面14aが形成されている。
【0024】
台座面14aには、熱伝導材15が設けられている。熱伝導材15は、回路基板2に当接し、したがって回路基板2を挟んで前記発熱電子部品5A、5Bと間接的に接するように配置されている。この熱伝導材15は、グリス状のものや弾性変形可能なシート状のものなど、従来公知のものが用いられる。このような熱伝導材15を介して回路基板2上の発熱電子部品5A、5Bに接することにより、放熱用台座11は、発熱電子部品5A、5Bが生じた熱をケース3の外部に放出し、発熱電子部品5A、5Bの温度上昇による性能低下を抑制するものとなっている。
【0025】
ここで、熱伝導材15としてグリス状のものを用いた場合、熱伝導材15はその可塑性によって回路基板2に良好に密着するため、回路基板2上の発熱電子部品5A、5Bと放熱用台座14との間の熱伝導性をより良好にする。また、回路基板2と放熱用台座14の台座面14aとの間に異物が混入するのを防止することができる。
また、シート状のものを用いた場合にも、熱伝導材12はその弾性変形によって回路基板2に良好に密着するため、回路基板2上の発熱電子部品5A、5Bと放熱用台座14との間の熱伝導性をより良好にする。また、回路基板2を弾性的に支持するため、振動を吸収して回路基板2の変形を防止することができる。
【0026】
また、ケース3には、前記回路基板2のネジ孔12と対応する位置、すなわち放熱用台座14が形成された側の側壁3aの両端部の各隅部、及び側壁3aと反対の側の側壁の内側の2箇所に、それぞれ回路基板保持部16が形成配置されている。これら回路基板保持部16には、その保持面(上面)に、前記ネジ孔12に連通してネジが挿通されるネジ孔17が形成されている。
【0027】
カバー4は、鉄あるいはアルミニウム等の金属製のもので、ケース3の平面視形状に対応した略矩形板状のものである。このカバー4にも、回路基板2のネジ孔12と対応する位置に、それぞれネジ孔18が形成されている。これにより、カバー4は回路基板2を収容保持した状態のケース3に被着され、ネジ孔18、ネジ孔12、ネジ孔17にネジ19が挿通され螺着されることにより、ケース3に固定されるようになっている。
【0028】
すなわち、カバー4はケース3にネジ止めされることにより、ケース3内に回路基板2を固定するとともに、ケース3の収容空間を封止するようになっている。そして、このようにケース3内に回路基板2が収容保持され、その状態でカバー4が被着され、ケース3に固定されることにより、本実施形態の電子制御装置1が形成されている。
【0029】
このような構成の電子制御装置1では、隣り合って実装される複数の発熱電子部品の内、少なくとも一対の発熱電子部品5A、5Bを図2に示すように配置し、したがって延出したリード9及び放熱用金属プレート10を、それぞれ発熱電子部品5A、5Bが隣り合う方向(X方向)と直交(交差)する方向(Y方向)に向けているので、駆動に伴って発熱電子部品5A、5Bが発熱した際にこれらから放出される熱が、リード9や放熱用金属プレート10を通って回路パターン11A、11B全体に流れるようになる。
【0030】
ここで、この電子制御装置1では隣り合って実装する複数の発熱電子部品の内、少なくとも一対の発熱電子部品5A、5Bを、これらが隣り合う方向(X方向)と交差する方向(Y方向)にリード9及び放熱用金属プレート10を向け、かつ、リード9及び放熱用金属プレート10の向く方向が互いに逆になるように配置している。それにより、リード9に比べて放熱面積が大きく、したがって放熱容量の大きい放熱用金属プレート10の中心部が隣り合う方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に一定の間隔分ずれた状態、すなわち発熱電子部品5AはY2方向、電子部品5BはY1方向にずれた状態で配置される。そのため、リード9や放熱用金属プレート10を介して放出される熱の流れも一定の間隔分ずれが生じる。したがって、一対の発熱電子部品5A、5Bから放出される熱によって形成される熱干渉部Hを従来に比べて減少させることができるため、熱の滞留が抑制され放熱性が高まる。
【0031】
よって、本実施形態の電子制御装置1によれば、放熱性が充分に高いため、発熱電子部品5A、5Bや大型電子部品6の機能が安定した良好なものとなる。
また、一対の発熱電子部品5A、5Bの向きを逆にして互いに隣り合わせて配置することにより、一対の発熱電子部品5A、5Bを接続する内層を含む各面の配線パターン(図示せず)の接続距離を短縮でき、回路基板2の実装領域2bを無駄なく効率的に使用することができる。したがって、電子制御装置1の小型化を図ることができる。
【0032】
さらに、発熱電子部品5A、5Bを、回路基板2の実装領域2bの端部(外周部)に配置しているので、実装領域2bにおける他の部位に他の部品等を容易に配置することができ、したがって高密度実装が可能になるなど、実装レイアウトについての自由度が高いものとなる。また、実装領域2bの端部(外周部)に配置されることによって発熱電子部品5A、5Bはケース3の側壁に近くなるため、これら発熱電子部品5A、5Bで発生した熱が比較的速くケース3に伝わって外部に放出されるようになる。よって、電子制御装置1内に熱がこもるのが防止されるため、電子制御装置1は放熱性が高いものとなる。
【0033】
次に、本発明の電子制御装置の他の実施形態を説明する。
図3(a)、(b)は、電子制御装置の他の実施形態を説明するための図であって、回路基板2の要部平面図である。なお、図3(a)は発熱電子部品5A、5Bを実装した状態を示す要部平面図であり、図3(b)は発熱電子部品5A、5Bを実装する前の状態を示す要部平面図である。
【0034】
本実施形態が図2に示した実施形態と異なるところは、図3(a)に示すように、回路基板2の回路パターン11A、11B及びその近傍部に、発熱電子部品5A及び発熱電子部品5Bをそれぞれ囲って多数(複数)のスルーホール(ビア)20が形成されている点である。
【0035】
図3(b)に示すように回路パターン11Aは、略L状に折れ曲がって形成されており、発熱電子部品5Aに対応する矩形状の箇所に発熱電子部品5Aの放熱用金属プレート10に接続する第1のパッド21Aを有し、発熱電子部品5Bに対応する細長い矩形状の箇所に発熱電子部品5Bのリード9に接続する第2のパッド22Bを有している。
また、回路パターン11Bは矩形状に形成されており、発熱電子部品5Bの放熱用金属プレート10に接続する第1のパッド21Bを有している。また、図3(b)中において回路パターン11Aの下方であり、かつ回路パターン11Bの右方には、発熱電子部品5Aのリード9に接続する第2のパッド22Aが設けられている。
これら第2のパッド22A、22Bは、それぞれの中心OA、OBが、図2に示したY方向においてずれて配置されている。本実施形態では、図3(b)に示すように、αのずれ幅で第2のパッド22A、22Bが配置されている。
【0036】
そして、これら各パッドに対応する放熱用金属プレート10やリード9が半田等によって接続固定されることにより、図3(a)に示すように発熱電子部品5A、5Bが実装領域2b上にそれぞれ実装されている。このように配置されることで、発熱電子部品5A、5B間には、熱干渉部Hが形成されることになる。
スルーホール20は、このようにして実装される発熱電子部品5A及び発熱電子部品5Bをそれぞれ囲った状態で、多数(複数)が形成配置されている。
【0037】
これらスルーホール20は、回路基板2の表面(上面)から裏面(下面)にまで貫通して形成されたもので、その内面及び開口周辺にはメッキによって導体(図示せず)が設けられている。導体は、回路基板2に形成された他の配線パターン(図示せず)に接続されている。
このような構成によってスルーホール20は、配線パターン(回路パターン11A、11Bを含む)を介して発熱電子部品5A、5Bに、電気的、熱的に接続したものとなっている。したがって、これらスルーホール20は、発熱電子部品5A、5Bの発する熱を伝導する熱伝導経路手段として機能するようになっている。
【0038】
すなわち、スルーホール20は、配線パターンを介して発熱電子部品5A、5Bに接続することにより、これら発熱電子部品5A、5Bが発した熱を伝導し、回路基板2の裏面側に伝え、したがって前記放熱用台座14上の熱伝導材15に放熱するようになっている。また、発熱電子部品5A、5Bの放熱用金属プレート10やリード9から発せられた熱に対しても、これらの熱の流れに導体が接し、さらにはスルーホール20内に熱の流れを通過させることにより、回路基板2の裏面側に案内され、熱伝導材15に放熱するようになっている。
【0039】
したがって、本実施形態の電子制御装置1にあっては、スルーホール20によって発熱電子部品5A、5Bが発した熱を回路基板2の裏面側に効率的に伝え、放熱用台座14やこれの上の熱伝導材15に効率的に放出できるようになっているため、放熱性がより一層高いものとなる。
特に、発熱電子部品5A及び発熱電子部品5Bをそれぞれ囲った状態で、多数のスルーホール20を形成配置しているので、熱の伝わりが発熱電子部品5Aと発熱電子部品5Bとの間で互いに独立し、したがって干渉し合わないため、放熱性が充分に高いものとなる。
【0040】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
例えば、前記実施形態では、隣り合う複数の発熱電子部品の内、少なくとも一対の発熱電子部品5A、5Bの各リード9、各放熱用金属プレート10を、発熱電子部品5A、5Bが隣り合う方向(X方向)に対してその延出する向きが直交するように配置したが、一対の発熱電子部品5A、5Bの各リード9、各放熱用金属プレート10の延出する向きが同じ方向(例えば図2中のY方向)になっていれば、これらの延出する向き(Y方向)は、発熱電子部品5A、5Bの隣り合う方向に対して直交することなく、単に交差した状態で配置されていてもよい。
【0041】
すなわち、図2中において、一対の発熱電子部品5A、5Bのうちのいずれか一方は、Y1方向あるいはY2方向に全体がずれて配置され、したがって発熱電子部品5A、5Bが隣り合う方向が図2中のX方向に対して傾くようになっていてもよい。このような配置であっても、リード9や放熱用金属プレート10を介して放出される熱によって形成される熱干渉部Hを従来に比べて減少させることができるため、熱の滞留が抑制され放熱性が高まる。
【0042】
また、前記実施形態では、互いに隣り合って実装される発熱電子部品の対を一対のみ示したが、このような関係にある発熱電子部品の対を複数設けた構成としてもよい。
さらに、前記実施形態では、本発明の電子制御装置を自動車用の電子制御装置に適用したが、本発明はこれに限定されることなく、放熱性や小型化が要求される全ての電子制御装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0043】
1…電子制御装置、2…回路基板、3…ケース、4…カバー、5A、5B…発熱電子部品、9…リード、10…放熱用金属プレート、11A、11B…回路パターン、20…スルーホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配線パターンを有する回路基板と、該回路基板上にて互いに隣り合って実装された複数の発熱電子部品と、を備えた電子制御装置であって、
前記発熱電子部品は、一方の側に前記回路基板と電気的及び機械的に接続するリードを延出し、他方の側に放熱用金属プレートを延出して構成され、
前記隣り合って実装された複数の発熱電子部品の内、少なくとも一対の発熱電子部品は、これらが隣り合う方向と交差する方向に前記リード及び前記放熱用金属プレートを向け、かつ、前記リード及び前記放熱用金属プレートの向く方向が互いに逆になるように配置されていることを特徴とする電子制御装置。
【請求項2】
前記隣り合って実装された複数の発熱電子部品の内、少なくとも一対の発熱電子部品は、これらが隣り合う方向と直交する方向に前記リード及び前記放熱用金属プレートを向けて配置されていることを特徴とする請求項1記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記複数の発熱電子部品は、前記回路基板の実装領域の端部に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記回路基板には、該回路基板の表面及び該回路基板の内部に設けられて、前記発熱電子部品の発する熱を伝導する熱伝導経路手段が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記熱伝導経路手段は、前記回路基板の表面から裏面に貫通し、かつ前記配線パターンに接続するスルーホールを備えていることを特徴とする請求項4記載の電子制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−93378(P2013−93378A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233118(P2011−233118)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(000141901)株式会社ケーヒン (1,140)
【Fターム(参考)】