説明

電子回路の検査方法

【課題】電子回路の実装状態の検査に使用する検査装置の簡素化を図るとともに、インサーキットテスタによらないECU単体での検査対象回路の検査を実現する電子回路の検査方法を提供し、テストパッドの削減および省略を図ることによりECUの小型化を実現する。
【解決手段】マイコン3から検査対象回路2に対して、特性に応じた出力信号Voutを出力する工程と、出力信号Voutを検査対象回路2に通過させて、特性に応じて変化した計測対象信号Vを生成する工程と、計測対象信号Vをマイコン3に入力する工程と、マイコン3によって、出力信号Voutが出力された時刻から、計測対象信号Vの値と予め設定した閾値X等との大小関係が入れ替わる時刻までの時間である遅れ時間t等を計測する工程と、遅れ時間t等に基づいて、マイコン3あるいは検査装置8によって、検査対象回路2の実装状態の良否を判定する工程と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路の検査方法の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に搭載される制御装置として、電子回路を備えるECU(Electronic Control Unit:電子制御装置)が広く採用されている。このECUには、各種のセンサ類等が接続されるが、ECU内部の電子回路の実装状態(はんだ付けの良否や短絡・断線の有無等)の検査は、センサ類等を接続する前にECU単体で行うことが望ましい。
【0003】
このため従来、ECUに対する電子回路の実装状態の検査は、インサーキットテスタを用いて、ECU単体で行うのが一般的である。インサーキットテスタを用いたECU単体での検査は、ECU内部の電子回路を露出させた状態で、電子回路の要所に検査用に設けられたテストパッドと呼ばれる銅箔が露出した部位にインサーキットテスタのプローブを接触させることによって行われる。つまり、インサーキットテスタを用いた検査では、抵抗の抵抗値やコンデンサの静電容量等をそれぞれ個別に実際に測定することによって、はんだ付けの良否等の検査を行うことができ、より正確に電子回路の実装状態の良否を判断することができる。
【0004】
近年、ECUの小型化を図るニーズが高まっているが、基板の面積を縮小すればECUの小型化を図ることが可能である。そして、基板の面積縮小を実現するためには、基板に設けたテストパッドを削減あるいは省略することが有効であり、この場合、インサーキットテスタを用いずにECUの電子回路に対する検査を行うことのできる検査方法が必要となる。
インサーキットテスタを用いずにECUに対する電子回路の検査を行う方法は、例えば、以下に示す特許文献1および特許文献2にその技術が開示され公知となっている。
【0005】
特許文献1に開示された従来技術は、検査対象となるインターフェース(ローパスフィルタ回路)にセンサ(加速度センサ)が接続されている状態で、マイコン等の制御回路からセンサに診断信号を出力するとともに、該診断信号に基づくセンサからの信号をインタフェースに出力し、さらに制御回路にインタフェースからの信号を入力し、制御回路によって、入力された信号の波形からインタフェースの故障の有無を判定するものである。
【0006】
また、特許文献2に開示された従来技術は、検査対象となるアナログ回路に検査装置を接続し、検査装置からアナログ回路に検査用の反転信号を出力するとともに、アナログ回路を通した反転信号を、通信手段によって検査装置に転送し、検査装置によって、反転信号の電圧データから、アナログ回路の故障の有無を判定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−065878号公報
【特許文献2】特開2008−275373号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および特許文献2に開示された従来技術によれば、インサーキットテスタを用いずに検査対象回路の検査を行うことができ、テストパッドを削減あるいは省略することが可能である。
しかしながら、特許文献1に示された従来技術では、ECUにセンサを接続した状態でセンサからの入力信号を用いて検査を行うことを前提としており、ECU単体で電子回路の実装状態を検査するための具体的な方法は開示されておらず不明であった。
【0009】
また従来、インサーキットテスタを用いずに検査を行う場合に必要となる検査装置について簡素化を図りたいというニーズが存在しているが、特許文献2に示された従来技術では、検査装置に反転信号を出力するための手段等を装備する必要があるため、検査装置の簡素化を図ることが困難であった。
【0010】
本発明は、このような現状の課題を鑑みてなされたものであり、電子回路の実装状態の検査に使用する検査装置の簡素化を図るとともに、インサーキットテスタによらないECU単体での検査対象回路の検査を実現する電子回路の検査方法を提供し、テストパッドの削減および省略を図ることによりECUの小型化を実現することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0012】
即ち、請求項1においては、基板上にマイコンとともに実装される電子回路の実装状態の良否を検査するための電子回路の検査方法であって、前記マイコンから前記電子回路に対して、前記電子回路の特性に応じた出力信号を出力する工程と、前記出力信号を前記電子回路に通過させて、該電子回路の特性に応じて変化した入力信号を生成する工程と、前記入力信号を前記マイコンに入力する工程と、前記マイコンによって、前記出力信号が出力された時刻から、前記入力信号の値と予め設定した閾値との大小関係が入れ替わる時刻までの時間である遅れ時間を計測する工程と、前記遅れ時間に基づいて、前記マイコンあるいは該マイコンに接続される検査装置によって、前記電子回路の実装状態の良否を判定する工程と、を備えるものである。
【0013】
請求項2においては、前記電子回路は、ローパスフィルタ回路であって、前記マイコンから前記ローパスフィルタ回路に対して、矩形波状のパルス信号である出力信号を出力する工程と、前記出力信号を前記ローパスフィルタ回路に通過させて、該ローパスフィルタ回路の特性に応じて変化した入力信号を生成する工程と、前記入力信号を前記マイコンに入力する工程と、前記マイコンによって、前記出力信号が出力された時刻から、前記入力信号の値が予め設定した閾値を越える時刻までの時間である遅れ時間を計測する工程と、前記遅れ時間に基づいて、前記マイコンあるいは該マイコンに接続される前記検査装置によって、前記ローパスフィルタ回路の実装状態の良否を判定する工程と、を備えるものである。
【0014】
請求項3においては、前記電子回路は、ハイパスフィルタ回路であって、前記マイコンから前記ハイパスフィルタ回路に対して、矩形波状のパルス信号である出力信号を出力する工程と、前記出力信号を前記ハイパスフィルタ回路に通過させて、該ハイパスフィルタ回路の特性に応じて変化した入力信号を生成する工程と、前記入力信号を前記マイコンに入力する工程と、前記マイコンによって、前記出力信号が出力された時刻から、前記入力信号の値が予め設定した閾値を下回る時刻までの時間である遅れ時間を計測する工程と、前記遅れ時間に基づいて、前記マイコンあるいは該マイコンに接続される前記検査装置によって、前記ハイパスフィルタ回路の実装状態の良否を判定する工程と、を備えるものである。
【0015】
請求項4においては、前記電子回路は、分圧回路であって、前記マイコンから前記分圧回路に対して、鋸刃状のランプ信号である出力信号を出力する工程と、前記出力信号を前記分圧回路に通過させて、該分圧回路の特性に応じて変化した入力信号を生成する工程と、前記入力信号を前記マイコンに入力する工程と、前記マイコンによって、前記出力信号が出力された時刻から、前記入力信号の値が予め設定した閾値を越える時刻までの時間である遅れ時間を計測する工程と、前記遅れ時間に基づいて、前記マイコンあるいは該マイコンに接続される前記検査装置によって、前記分圧回路の実装状態の良否を判定する工程と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0017】
請求項1においては、インサーキットテスタを用いずに検査対象回路の実装状態の検査をすることができ、基板におけるテストパッドの削減および省略を図ることにより、検査対象回路を有するECUの小型化を実現できる。また、検査に用いる検査装置の簡素化を図ることができる。
【0018】
請求項2においては、インサーキットテスタを用いずにローパスフィルタ回路の実装状態の検査をすることができ、基板におけるテストパッドの削減および省略を図ることにより、ローパスフィルタ回路を有するECUの小型化を実現できる。また、検査に用いる検査装置の簡素化を図ることができる。
【0019】
請求項3においては、インサーキットテスタを用いずにハイパスフィルタ回路の実装状態の検査をすることができ、基板におけるテストパッドの削減および省略を図ることにより、ハイパスフィルタ回路を有するECUの小型化を実現できる。また、検査に用いる検査装置の簡素化を図ることができる。
【0020】
請求項4においては、インサーキットテスタを用いずに分圧回路の実装状態の検査をすることができ、基板におけるテストパッドの削減および省略を図ることにより、分圧回路を有するECUの小型化を実現できる。また、検査に用いる検査装置の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の適用対象に係るECUおよびECUの検査に用いる検査装置の全体構成を示す模式図、(a)ECUの全体構成を示す模式図、(b)ECUの検査に用いる検査装置の全体構成を示す模式図。
【図2】ECUにローパスフィルタ回路が備えられる場合における本発明の適用例を示す模式図、(a)検査時におけるマイコンおよび検査対象回路に対する信号の入出力状態を示す模式図、(b)検査時におけるマイコンからの出力信号、マイコンへの入力信号およびマイコンにおける認識値の関係を示す図。
【図3】ECUにハイパスフィルタ回路が備えられる場合における本発明の適用例を示す模式図、(a)検査時におけるマイコンおよび検査対象回路に対する信号の入出力状態を示す模式図、(b)検査時におけるマイコンからの出力信号、マイコンへの入力信号およびマイコンにおける認識値の関係を示す図。
【図4】ECUに分圧回路が備えられる場合における本発明の適用例を示す模式図、(a)検査時におけるマイコンおよび検査対象回路に対する信号の入出力状態を示す模式図、(b)検査時におけるマイコンからの出力信号、マイコンへの入力信号およびマイコンにおける認識値の関係を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず始めに、本発明の適用による検査対象の一例であるECUの全体構成について、図1を用いて説明する。
図1(a)に示す如く、本発明の適用による検査対象の一例であるECU1は、電子回路である検査対象回路2やマイコン3等が実装された基板9を備える制御装置である。
【0023】
検査対象回路2は、ECU1に要求される制御機能を実現するために抵抗やコンデンサ等の電子部品を組み合わせて形成された電子回路であり、例えば、抵抗とコンデンサを組み合わせたフィルタ回路や複数の抵抗を組み合わせた分圧回路等がこれに該当する。尚、フィルタ回路や分圧回路は、本発明に係る検査方法の適用対象となる電子回路の一例を示したものであり、本発明に係る検査方法を適用する電子回路をこれに限定するものではない。
【0024】
検査対象回路2に対して入力された信号は、検査対象回路2を通過することによって、検査対象回路2の特性に応じて変化され、計測対象信号Vとして出力される。この計測対象信号Vは、入力信号が一定であって、かつ、検査対象回路2の実装状態が正常であれば、ほぼ一定の信号として出力される。
【0025】
しかしながら、例えば、検査対象回路2を構成する抵抗やコンデンサ等のはんだ付けが不良であるために抵抗値や静電容量が所望する値となっていなかったり、あるいは、断線や短絡等の不具合があったりして、検査対象回路2の実装状態が正常でない場合には、検査対象回路2を通過する際に入力信号に対して与えられる変化の度合が異なってくるため、検査対象回路2から出力される計測対象信号Vを検査することによって、検査対象回路2の実装状態の良否を判定することができる。
【0026】
マイコン3は、所謂ワンチップマイコンと呼ばれる素子であって、CPU、ROM、RAM、I/Oポート等がワンチップに集約されたものであり、所定のプログラムを組み組むことによって、各種の信号を出力することができる出力回路4としての機能や、マイコン3による計測結果を外部と通信することができる通信回路6としての機能等を発揮することができる。また、マイコン3は、ROM、RAM等に、計測用ソフトを予め記憶しておくことによって、マイコン3に対する入力信号の電圧値を測定する計測回路5としての機能を発揮することもできる。
【0027】
このようなマイコン3の機能は、マイコン3本来の自動車の制御装置としての機能ではないが、マイコン3のメモリ容量の余裕や、空いているI/Oポート等を有効に活用することによって、出力回路4、計測回路5、通信回路6等としての機能を実現することが可能である。あるいは、マイコン3のメモリ容量に余裕が無い場合であっても、検査時のみマイコン3のプログラムを書き換えることによって、検査時のみ各回路4・5・6等の機能を実現することも可能である。
【0028】
マイコン3から検査対象回路2に対して出力される出力信号Voutは、検査対象となる検査対象回路2の特性に応じて設定される。さらに詳述すると、出力信号Voutとしては、検査対象回路2の実装状態が変化した場合に、その変化が検査対象回路2から出力される計測対象信号Vの変化として現れるような特性を有する信号が選ばれて、マイコン3によって、所望する特性を有する信号を出力することができる出力回路4を実現するようにプログラムが設定されるものである。
【0029】
次に、本発明に係る検査方法を適用する場合における、検査装置の構成について説明する。
図1(b)に示す如く、例えば、ECU1に対して本発明に係る検査方法を適用するときには、ECU1の出力端子1aと入力端子1bにショート回路7を接続する。
ショート回路7は、リレー7a、配線7b・7b等によって構成され、リレー7aに接続される各配線7b・7bが、ECU1の出力端子1aおよび入力端子1bに接続される。
そして、リレー7aを作動させる(即ち、接点を閉じる)ことによって、検査対象回路2とマイコン3を含む閉回路を形成することができる。
【0030】
このような閉回路を形成した状態において、マイコン3の出力回路4によって、検査対象回路2の特性に応じた所定の出力信号Voutを出力端子1aから出力すると、該出力信号Voutが入力信号Vinとしてショート回路7を介して入力端子1bに入力され、入力信号Vinを検査対象回路2に入力することができる。そして最終的に、検査対象回路2に入力された入力信号Vinは、検査対象回路2の特性に応じて変化されて計測対象信号Vとして検査対象回路2から出力され、マイコン3に入力される。
【0031】
マイコン3は、マイコン3自身が出力した出力信号Voutの情報(即ち、電圧値の変化(波形)や出力時刻等)を取得することができ、かつ、計測回路5によって検査対象回路2から入力された計測対象信号Vを計測した計測結果を取得することができる。また、マイコン3は、取得した各信号Vout・Vに係る情報等に基づいて、遅れ時間の演算等を行うことができる。
そして、マイコン3は、マイコン3が取得した各信号Vout・Vや遅れ時間の演算結果等の情報を、通信回路6によってECU1の外部に出力することができる。
【0032】
また、通信回路6には、検査装置8が接続されており、マイコン3から出力される各信号Vout・Vや遅れ時間の演算結果等の情報が検査装置8に入力される。
検査装置8は、遅れ時間等の基準値(即ち、上限値および下限値)の情報が予め記憶されており、マイコン3から入力される各情報と、基準値を比較することによって、検査対象回路2の実装状態の良否を判定することができる。
【0033】
あるいは、ここで検査装置8が行っている検査対象回路2の実装状態の良否判定を、マイコン3の機能によって行い、検査装置8には、判定結果だけを出力する構成とすることも可能である。この場合、検査装置8は、判定結果を出力するだけの機能を有する装置とすることができる。
このように、本発明に係る電子回路の検査方法では、これに用いる検査装置の簡素化を図ることが可能である。
【0034】
次に、本発明に係る電子回路の検査方法による具体的な検査の実施状況について説明する。ここではまず、本発明に係る電子回路の検査方法の第一の実施態様として、本発明に係る検査方法を、ローパスフィルタ回路を有するECUに適用する場合について、図2を用いて説明する。
【0035】
図2(a)に示す如く、第一の実施態様において例示するECU1は、基板9上に検査対象回路2として抵抗RおよびコンデンサCからなるローパスフィルタ回路2aを備えている。このECU1に対して、本発明に係る検査方法によって、ローパスフィルタ回路2aの実装状態の検査をするときには、ECU1の出力端子1aと入力端子1bにショート回路7の各配線7b・7bを接続する。
【0036】
そして、ショート回路7のリレー7aの接点を閉じることによって、マイコン3の出力回路4からの出力信号Voutを、ショート回路7を介して入力信号Vinとしてローパスフィルタ回路2aに通過させ、そして、ローパスフィルタ回路2aから出力される計測対象信号Vたる出力信号VRCをマイコン3に入力する構成としている。
【0037】
図2(b)に示す如く、本実施態様において、出力回路4は、ローパスフィルタ回路2aに対応する出力信号Voutとして矩形波状のパルス信号を出力するようにしている。尚、本実施態様では、ローレベル信号VoLの電圧値を0Vとし、ハイレベル信号VoHの電圧値を5Vとしている。
【0038】
ローパスフィルタ回路2aには、出力信号Voutに等しい入力信号Vinが入力されるため、図2(b)のように、ローパスフィルタ回路2aによって変化された計測対象信号Vである出力信号VRCが出力される。
ローパスフィルタ回路2aは、入力信号Vinのうち高周波成分を通過させない性質があるため、出力信号VRCの波形は、出力信号Vout(即ち、入力信号Vin)の矩形波状の波形に比して、立ち上がり部分と立ち下がり部分に遅れが生じて円弧状の波形になるという特徴がある。
【0039】
この出力信号VRCの波形は、以下の数式1によって表すことができ、ローパスフィルタ回路2aの実装状態が正常であれば、ほぼ一定の波形となる。
【0040】
【数1】

【0041】
本実施態様では、ローパスフィルタ回路2aの実装状態が正常であれば、出力信号VRCの波形が、ほぼ一定となることを利用して、ローパスフィルタ回路2aの実装状態の良否を判定するようにしている。
【0042】
具体的には、出力信号VRCに対する閾値Xを設定し、出力信号VRCの立ち上がり部分において閾値Xを超えた時刻をマイコン3の計測回路5によって計測する。そして、出力信号Voutが出力された時刻に対する出力信号VRCが閾値Xを超えた時刻の遅れ時間tをマイコン3によって算出する。
【0043】
マイコン3は、マイコン3自身が出力した出力信号Voutの出力時刻を正確に取得できる。またマイコン3は、出力信号VRCをI/Oポートから入力することによって、出力信号VRCを二値化(ONかOFF)して取り扱うことができるため、計測回路5によって、出力信号VRCが閾値Xを超えた(即ち、ONとなった)時刻を計測することができる。そして、マイコン3によって、出力信号Voutの出力時刻と出力信号VRCが閾値Xを超えた(即ち、ONとなった)時刻に基づいて、遅れ時間tを求めることができる。
【0044】
また、この遅れ時間tを評価するために、実装状態が正常であると認められるローパスフィルタ回路2aにおける遅れ時間tの基準値(上限値および下限値)を予め検査装置8に記憶させておく。そして、算出した遅れ時間tが、設定した遅れ時間tの基準値(上限値および下限値)の範囲内に該当するか否かを検査装置8によって判定することによって、ローパスフィルタ回路2aの実装状態の良否を検査する構成としている。
【0045】
尚、マイコン3のROM等に遅れ時間tの基準値(上限値および下限値)を予め記憶しておき、遅れ時間tの判定をマイコン3によって行い、通信回路6を用いて、判定結果のみをECU1に接続された検査装置8に対して出力することが可能である。この場合、検査装置8は、判定結果を表示する表示装置としての役割を果たすものとなる。
【0046】
さらに、遅れ時間tの判定をマイコン3によって行うとともに、判定結果を表示するランプ等を基板9に設ける構成とし、マイコン3による判定結果を当該ランプの点灯および不点灯によって表示する構成とすることも可能である。この場合、検査装置8は不要となる。
【0047】
つまり、本実施態様の検査方法に用いられる検査装置8は、マイコン3による判定結果を表示させたり、あるいは、遅れ時間tが基準値内にあるか否かを判定したりする等の役割を果たせばよいため、一般的なパーソナルコンピュータ等を用いて、該パーソナルコンピュータに所定の検査結果表示プログラムや判定プログラム等を実装したものによって簡易に実現することができる。
【0048】
このように、本発明に係る電子回路の検査方法を適用する場合、インサーキットテスタを用いることなく、ECU1単体で、ローパスフィルタ回路2aの実装状態の良否を検査することができるため、インサーキットテスタを用いる場合に、ECU1の要所に設けることが必要であった図2に示すテストパッドTP1〜TP4を省略(あるいは削減)することができる。
【0049】
即ち、本発明に係るローパスフィルタ回路2aの検査方法は、基板9上にマイコン3とともに実装されるローパスフィルタ回路2aの実装状態の良否を検査するための検査方法であって、マイコン3からローパスフィルタ回路2aに対して、矩形波状のパルス信号である出力信号Voutを出力する工程と、出力信号Voutをローパスフィルタ回路2aに通過させて、該ローパスフィルタ回路2aの特性に応じて変化した入力信号である計測対象信号Vを生成する工程と、計測対象信号Vをマイコン3に入力する工程と、マイコン3によって、出力信号Voutが出力された時刻から、計測対象信号Vの値が予め設定した閾値Xを越える時刻までの時間である遅れ時間tを計測する工程と、遅れ時間tに基づいて、マイコン3あるいはマイコン3に接続される検査装置8によって、ローパスフィルタ回路2aの実装状態の良否を判定する工程と、を備えるものである。
これにより、インサーキットテスタを用いずにローパスフィルタ回路2aの実装状態の検査をすることができ、基板9におけるテストパッドTP1〜TP4の削減および省略を図ることにより、ローパスフィルタ回路2aを有するECU1の小型化を実現できる。また、検査に用いる検査装置8の簡素化を図ることができる。
【0050】
次に、本発明に係る電子回路の検査方法の第二の実施態様として、本発明に係る検査方法を、ハイパスフィルタ回路を有するECUに適用する場合について、図3を用いて説明する。
【0051】
図3(a)に示す如く、第二の実施態様において例示するECU1は、基板9上に検査対象回路2としてコンデンサCおよび抵抗Rからなるハイパスフィルタ回路2bを備えている。このECU1に対して、本発明に係る検査方法によって、ハイパスフィルタ回路2bの実装状態の検査をするときには、ECU1の出力端子1aと入力端子1bにショート回路7の各配線7b・7bを接続する。
【0052】
そして、ショート回路7のリレー7aの接点を閉じることによって、マイコン3の出力回路4からの出力信号Voutを、ショート回路7を介して入力信号Vinとしてハイパスフィルタ回路2bに通過させ、そして、ハイパスフィルタ回路2bから出力される計測対象信号Vたる出力信号VCRをマイコン3に入力する構成としている。
【0053】
図3(b)に示す如く、本実施態様において、出力回路4は、ハイパスフィルタ回路2bに対応する出力信号Voutとして矩形波状のパルス信号を出力するようにしている。尚、本実施態様では、ローレベル信号VoLの電圧値を0Vとし、ハイレベル信号VoHの電圧値を5Vとしている。
【0054】
ハイパスフィルタ回路2bには、出力信号Voutに等しい入力信号Vinが入力されるため、図3(b)のように、ハイパスフィルタ回路2bによって変化された計測対象信号Vである出力信号VCRが出力される。
ハイパスフィルタ回路2bは、入力信号Vinのうち低周波成分を通過させない性質があるため、出力信号VCRの波形は、出力信号Vout(即ち、入力信号Vin)の矩形波状の波形に比して、立ち上がり部分と立ち下がり部分において、急峻なステップ状の変化を呈するが、その後は円弧状に変化する波形になるという特徴がある。つまり、出力信号VCRは、立ち上がり部分では一旦急峻に立ち上がった後、徐々に立ち下がっていき、立ち下がり部分では一旦急峻に立ち下がった後、徐々に立ち上がっていく。
【0055】
この出力信号VCRの波形は、以下の数式2によって表すことができ、ハイパスフィルタ回路2bの実装状態が正常であれば、ほぼ一定の波形となる。
【0056】
【数2】

【0057】
本実施態様では、ハイパスフィルタ回路2bの実装状態が正常であれば、出力信号VCRの波形が、ほぼ一定となることを利用して、ハイパスフィルタ回路2bの実装状態の良否を判定するようにしている。
【0058】
具体的には、出力信号VCRに対する閾値Xを設定し、出力信号VCRが閾値Xを下回るまでの時刻をマイコン3の計測回路5によって計測する。そして、そして、出力信号Voutが出力された時刻に対する出力信号VCRが閾値Xを下回った時刻の遅れ時間tをマイコン3によって算出する。
【0059】
マイコン3は、マイコン3自身が出力した出力信号Voutの出力時刻を正確に取得できる。またマイコン3は、出力信号VCRをI/Oポートから入力することによって、出力信号VCRを二値化(ONかOFF)して取り扱うことができるため、計測回路5によって、出力信号VCRが閾値Xを下回った(即ち、OFFとなった)時刻を計測することができる。そして、マイコン3によって、出力信号Voutの出力時刻と出力信号VCRが閾値Xを下回った(即ち、OFFとなった)時刻に基づいて、遅れ時間tを求めることができる。
【0060】
また、この遅れ時間tを評価するために、実装状態が正常であると認められるハイパスフィルタ回路2bにおける遅れ時間tの基準値(上限値および下限値)を予め検査装置8に記憶させておく。そして、算出した遅れ時間tが、設定した遅れ時間tの基準値(上限値および下限値)の範囲内に該当するか否かを検査装置8によって判定することによって、ハイパスフィルタ回路2bの実装状態の良否を検査する構成としている。
【0061】
尚、マイコン3のROM等に遅れ時間tの基準値(上限値および下限値)を予め記憶しておき、遅れ時間tの判定をマイコン3によって行い、通信回路6を用いて、判定結果のみをECU1に接続された検査装置8に対して出力することが可能である。この場合、検査装置8は、判定結果を表示する表示装置としての役割を果たすものとなる。
【0062】
さらに、遅れ時間tの判定をマイコン3によって行うとともに、判定結果を表示するランプ等を基板9に設ける構成とし、マイコン3による判定結果を当該ランプの点灯および不点灯によって表示する構成とすることも可能である。この場合、検査装置8は不要となる。
【0063】
つまり、本実施態様の検査方法に用いられる検査装置8は、マイコン3による判定結果を表示させたり、あるいは、遅れ時間tが基準値内にあるか否かを判定したりする等の役割を果たせばよいため、一般的なパーソナルコンピュータ等を用いて、該パーソナルコンピュータに所定の検査結果表示プログラムや判定プログラム等を実装したものによって簡易に実現することができる。
【0064】
このように、本発明に係る電子回路の検査方法を適用する場合、インサーキットテスタを用いることなく、ECU1単体で、ハイパスフィルタ回路2bの実装状態の良否を検査することができるため、インサーキットテスタを用いる場合に、ECU1の要所に設けることが必要であった図3に示すテストパッドTP1〜TP4を省略(あるいは削減)することができる。
【0065】
即ち、本発明に係るハイパスフィルタ回路2bの検査方法は、基板9上にマイコン3とともに実装されるハイパスフィルタ回路2bの実装状態の良否を検査するための検査方法であって、マイコン3からハイパスフィルタ回路2bに対して、矩形波状のパルス信号である出力信号Voutを出力する工程と、出力信号Voutをハイパスフィルタ回路2bに通過させて、該ハイパスフィルタ回路2bの特性に応じて変化した入力信号である計測対象信号Vを生成する工程と、計測対象信号Vをマイコン3に入力する工程と、マイコン3によって、出力信号Voutが出力された時刻から、計測対象信号Vの値が予め設定した閾値Xを下回る時刻までの時間である遅れ時間tを計測する工程と、遅れ時間tに基づいて、マイコン3あるいはマイコン3に接続される検査装置8によって、ハイパスフィルタ回路2bの実装状態の良否を判定する工程と、を備えるものである。
これにより、インサーキットテスタを用いずにハイパスフィルタ回路2bの実装状態の検査をすることができ、基板9におけるテストパッドTP1〜TP4の削減および省略を図ることにより、ハイパスフィルタ回路2bを有するECU1の小型化を実現できる。また、検査に用いる検査装置8の簡素化を図ることができる。
【0066】
次に、本発明に係る電子回路の検査方法の第三の実施態様として、本発明に係る検査方法を、分圧回路を有するECUに適用する場合について、図4を用いて説明する。
【0067】
図4(a)に示す如く、第三の実施態様において例示するECU1は、基板9上に検査対象回路2として2個の抵抗R1・R2からなる分圧回路2cを備えている。このECU1に対して、本発明に係る検査方法によって、分圧回路2cの実装状態の検査をするときには、ECU1の出力端子1aと入力端子1bにショート回路7の各配線7b・7bを接続する。
【0068】
そして、ショート回路7のリレー7aの接点を閉じることによって、マイコン3の出力回路4からの出力信号Voutを、ショート回路7を介して入力信号Vinとして分圧回路2cに通過させ、そして、分圧回路2cから出力される計測対象信号Vたる出力信号VRRをマイコン3に入力する構成としている。
【0069】
図4(b)に示す如く、本実施態様において、出力回路4は、分圧回路2cに対応する出力信号Voutとして鋸刃状の波形を有するランプ信号を出力するようにしている。尚、本実施態様では、ローレベル信号VoLの電圧値を0Vとし、ハイレベル信号VoHの電圧値を5Vとしている。
【0070】
増幅回路7cのゲインGの値が「1」の場合は、分圧回路2cには、出力信号Voutに等しい入力信号Vinが入力されるため、図4(b)のように、分圧回路2cによって変化された計測対象信号Vである出力信号VRRが出力される。
分圧回路2cは、各抵抗R1・R2の抵抗値の比によって、入力信号Vinを低減させる性質があるため、出力信号VRRの波形は、出力信号Vout(即ち、入力信号Vin)のランプ波形に比して電圧値が低いランプ波形になるという特徴がある。
【0071】
この出力信号VRRの波形は、以下の数式3によって表すことができ、分圧回路2cの実装状態が正常であれば、ほぼ一定の波形となる。
【0072】
【数3】

【0073】
本実施態様では、分圧回路2cの実装状態が正常であれば、出力信号VRRの波形が、ほぼ一定となることを利用して、分圧回路2cの実装状態の良否を判定するようにしている。
【0074】
具体的には、出力信号VRRに対する閾値Xを設定し、出力信号VRRが閾値Xを越えるときの時刻をマイコン3の計測回路5によって計測する。そして、出力信号Voutが出力された時刻に対する出力信号VRRが閾値Xを超えた時刻の遅れ時間tをマイコン3によって算出する。
【0075】
尚、分圧回路2cによって、入力信号Vinを低減させた結果、出力信号VRRが、常に閾値X未満の値になってしまう場合も想定されるため、ショート回路7に増幅回路7cを設けている。これにより、出力信号VRRが閾値Xを越えるように出力信号Vout(即ち、入力信号Vin)に対して適宜ゲインGを与えることができる。
【0076】
マイコン3は、マイコン3自身が出力した出力信号Voutの出力時刻を正確に取得できる。またマイコン3は、出力信号VRRをI/Oポートから入力することによって、出力信号VRRを二値化(ONかOFF)して取り扱うことができるため、計測回路5によって、出力信号VRRが閾値Xを超えた(即ち、ONとなった)時刻を計測することができる。そして、マイコン3によって、出力信号Voutの出力時刻と出力信号VRRが閾値Xを超えた(即ち、ONとなった)時刻に基づいて、遅れ時間tを求めることができる。
【0077】
また、この遅れ時間tを評価するために、実装状態が正常であると認められる分圧回路2cにおける遅れ時間tの基準値(上限値および下限値)を予め検査装置8に記憶させておく。そして、算出した遅れ時間tが、設定した遅れ時間tの基準値(上限値および下限値)の範囲内に該当するか否かを検査装置8によって判定することによって、分圧回路2cの実装状態の良否を検査する構成としている。
【0078】
尚、マイコン3のROM等に遅れ時間tの基準値(上限値および下限値)を予め記憶しておき、遅れ時間tの判定をマイコン3によって行い、通信回路6を用いて、判定結果のみをECU1に接続された検査装置8に対して出力することが可能である。この場合、検査装置8は、判定結果を表示する表示装置としての役割を果たすものとなる。
【0079】
さらに、遅れ時間tの判定をマイコン3によって行うとともに、判定結果を表示するランプ等を基板9に設ける構成とし、マイコン3による判定結果を当該ランプの点灯および不点灯によって表示する構成とすることも可能である。この場合、検査装置8は不要となる。
【0080】
つまり、本実施態様の検査方法に用いられる検査装置8は、マイコン3による判定結果を表示させたり、あるいは、遅れ時間tが基準値内にあるか否かを判定したりする等の役割を果たせばよいため、一般的なパーソナルコンピュータ等を用いて、該パーソナルコンピュータに所定の検査結果表示プログラムや判定プログラム等を実装したものによって簡易に実現することができる。
【0081】
このように、本発明に係る電子回路の検査方法を適用する場合、インサーキットテスタを用いることなく、ECU1単体で、分圧回路2cの実装状態の良否を検査することができるため、インサーキットテスタを用いる場合に、ECU1の要所に設けることが必要であった図4に示すテストパッドTP1〜TP4を省略(あるいは削減)することができる。
【0082】
即ち、本発明に係る分圧回路2cの検査方法は、基板9上にマイコン3とともに実装される分圧回路2cの実装状態の良否を検査するための検査方法であって、マイコン3から分圧回路2cに対して、鋸刃状のランプ信号である出力信号Voutを出力する工程と、出力信号Voutを分圧回路2cに通過させて、該分圧回路2cの特性に応じて変化した入力信号である計測対象信号Vを生成する工程と、計測対象信号Vをマイコン3に入力する工程と、マイコン3によって、出力信号Voutが出力された時刻から、計測対象信号Vの値が予め設定した閾値Xを越える時刻までの時間である遅れ時間tを計測する工程と、遅れ時間tに基づいて、マイコン3あるいはマイコン3に接続される検査装置8によって、分圧回路2cの実装状態の良否を判定する工程と、を備えるものである。
これにより、インサーキットテスタを用いずに分圧回路2cの実装状態の検査をすることができ、基板9におけるテストパッドTP1〜TP4の削減および省略を図ることにより、分圧回路2cを有するECU1の小型化を実現できる。また、検査に用いる検査装置8の簡素化を図ることができる。
【0083】
つまり、本発明に係る電子回路の検査方法に用いられる検査装置8は、マイコン3による判定結果を表示させたり、あるいは、遅れ時間t〜tが基準値内にあるか否かを判定したりする等の役割を果たせばよいため、検査対象回路2の種類・特性等に応じて個々に異なる検査装置8を準備する必要はなく、一般的なパーソナルコンピュータ等を用いて、該パーソナルコンピュータに所定の検査結果表示プログラムや判定プログラム等を実装したものによって簡易に実現することができる。
【0084】
このように、本発明に係る電子回路の検査方法を適用する場合、インサーキットテスタを用いることなく、ECU1単体で、検査対象回路2の実装状態の良否を検査することができるため、インサーキットテスタを用いる場合に、ECU1の要所に設けることが必要であったテストパッド(例えば、図2〜図4に示すTP1〜TP4)を省略(あるいは削減)することができる。
【0085】
即ち、本発明に係る電子回路の検査方法は、検査対象の電子回路である検査対象回路2(例えば、ローパスフィルタ回路2a、ハイパスフィルタ回路2b、分圧回路2c等)の実装状態の良否を検査するため検査方法であって、マイコン3から検査対象回路2に対して、検査対象回路2の特性に応じた出力信号Voutを出力する工程と、出力信号Voutを検査対象回路2に通過させて、該検査対象回路2の特性に応じて変化した入力信号である計測対象信号Vを生成する工程と、計測対象信号Vをマイコン3に入力する工程と、マイコン3によって、出力信号Voutが出力された時刻から、計測対象信号Vの値と予め設定した閾値(即ち、閾値X・X・X等)との大小関係が入れ替わる時刻までの時間である遅れ時間(即ち、遅れ時間t・t・t等)を計測する工程と、遅れ時間(即ち、遅れ時間t・t・t等)に基づいて、マイコン3あるいはマイコン3に接続される検査装置8によって、検査対象回路2の実装状態の良否を判定する工程と、を備えるものである。
これにより、インサーキットテスタを用いずに検査対象回路2の実装状態の検査をすることができ、基板9におけるテストパッドTP1〜TP4の削減および省略を図ることにより、検査対象回路2を有するECU1の小型化を実現できる。また、検査に用いる検査装置8の簡素化を図ることができる。
【0086】
また、本発明に係る電子回路の検査方法は、ECU単体の検査に適用する場合だけでなく、各種のセンサ類が既に接続されている状態のECUや、あるいは、自動車等に既に組み込まれた状態のECUであっても、自己診断的に電子回路の検査を行う用途等に用いることも可能である。
【符号の説明】
【0087】
1 ECU
1a 出力端子
1b 入力端子
2 検査対象回路
2a ローパスフィルタ回路
2b ハイパスフィルタ回路
2c 分圧回路
3 マイコン
4 出力回路
5 計測回路
6 通信回路
7 ショート回路
8 検査装置
9 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にマイコンとともに実装される電子回路の実装状態の良否を検査するための電子回路の検査方法であって、
前記マイコンから前記電子回路に対して、前記電子回路の特性に応じた出力信号を出力する工程と、
前記出力信号を前記電子回路に通過させて、該電子回路の特性に応じて変化した入力信号を生成する工程と、
前記入力信号を前記マイコンに入力する工程と、
前記マイコンによって、
前記出力信号が出力された時刻から、前記入力信号の値と予め設定した閾値との大小関係が入れ替わる時刻までの時間である遅れ時間を計測する工程と、
前記遅れ時間に基づいて、
前記マイコンあるいは該マイコンに接続される検査装置によって、
前記電子回路の実装状態の良否を判定する工程と、
を備える、
ことを特徴とする電子回路の検査方法。
【請求項2】
前記電子回路は、ローパスフィルタ回路であって、
前記マイコンから前記ローパスフィルタ回路に対して、矩形波状のパルス信号である出力信号を出力する工程と、
前記出力信号を前記ローパスフィルタ回路に通過させて、該ローパスフィルタ回路の特性に応じて変化した入力信号を生成する工程と、
前記入力信号を前記マイコンに入力する工程と、
前記マイコンによって、
前記出力信号が出力された時刻から、前記入力信号の値が予め設定した閾値を越える時刻までの時間である遅れ時間を計測する工程と、
前記遅れ時間に基づいて、
前記マイコンあるいは該マイコンに接続される前記検査装置によって、
前記ローパスフィルタ回路の実装状態の良否を判定する工程と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の電子回路の検査方法。
【請求項3】
前記電子回路は、ハイパスフィルタ回路であって、
前記マイコンから前記ハイパスフィルタ回路に対して、矩形波状のパルス信号である出力信号を出力する工程と、
前記出力信号を前記ハイパスフィルタ回路に通過させて、該ハイパスフィルタ回路の特性に応じて変化した入力信号を生成する工程と、
前記入力信号を前記マイコンに入力する工程と、
前記マイコンによって、
前記出力信号が出力された時刻から、前記入力信号の値が予め設定した閾値を下回る時刻までの時間である遅れ時間を計測する工程と、
前記遅れ時間に基づいて、
前記マイコンあるいは該マイコンに接続される前記検査装置によって、
前記ハイパスフィルタ回路の実装状態の良否を判定する工程と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の電子回路の検査方法。
【請求項4】
前記電子回路は、分圧回路であって、
前記マイコンから前記分圧回路に対して、鋸刃状のランプ信号である出力信号を出力する工程と、
前記出力信号を前記分圧回路に通過させて、該分圧回路の特性に応じて変化した入力信号を生成する工程と、
前記入力信号を前記マイコンに入力する工程と、
前記マイコンによって、
前記出力信号が出力された時刻から、前記入力信号の値が予め設定した閾値を越える時刻までの時間である遅れ時間を計測する工程と、
前記遅れ時間に基づいて、
前記マイコンあるいは該マイコンに接続される前記検査装置によって、
前記分圧回路の実装状態の良否を判定する工程と、
を備える、
ことを特徴とする請求項1記載の電子回路の検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−43440(P2011−43440A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192439(P2009−192439)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】