説明

電子機器、及び、情報管理システム

【課題】駆動部の動作状況を示す情報を記憶し、外部の情報処理端末によって、容易に、当該情報を利用できる状態とする。
【解決手段】レシートプリンター10は、外部の情報処理端末装置との間で非接触で無線通信を実行すると共に、情報処理端末との間での無線通信に基づいて、フラッシュメモリー26に対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能なRFIDタグ27と、フラッシュメモリー26に対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能な制御部20とを備え、制御部20は、プリントエンジン25の動作状況を検出し、検出したプリントエンジン25の動作状況を示す情報をフラッシュメモリー26に書き込む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部を備える電子機器、及び、当該電子機器を備える情報管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動作のログや、エラーログを記録することにより、動作状況を示す情報を記憶する電子機器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種の電子機器では、例えば、各種情報を表示可能な表示パネルが設け、この表示パネルに動作状況を示す情報が表示することにより、動作状況について報知するものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−56752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上述した電子機器では、外部の情報処理端末によって、容易に、動作状況を示す情報を利用できる状態とし、例えば、電子機器に設けられた表示パネルが故障等した場合であっても、外部の情報処理端末により動作状況を示す情報を報知できるようにしたいとするニーズがある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、外部の情報処理端末によって、容易に、動作状況を利用できる状態とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、駆動部を備える電子機器であって、外部の情報処理端末装置との間で非接触で無線通信を実行すると共に、前記情報処理端末との間での無線通信に基づいて、メモリーに対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能な非接触タグと、前記メモリーに対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能な制御部と、を筐体内に設け、前記非接触タグ及び前記制御部のいずれからも前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを実行可能に構成し、前記制御部は、前記駆動部の動作状況を検出し、検出した前記駆動部の動作状況を示す情報を前記メモリーに書き込むこと、を特徴とする。
この構成によれば、駆動部の動作状況を示す情報が制御部によってメモリーに書き込まれると共に、外部の情報処理端末は、非接触タグとの非接触の無線通信を介して、メモリーから駆動部の動作状況を示す情報を読み取ることができる。このため、外部の情報処理端末と、非接触タグとの間で無線通信させるという容易な作業によってメモリーに記憶された駆動部の動作状況を示す情報を、外部の情報処理端末に読み取らせることが可能な状態となる。
【0006】
また、本発明は、上記発明の電子機器であって、前記非接触タグを、前記情報処理端末から受信した電力供給用の電波を利用して、前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを実行できる構成とすることにより、電源のオフ時に、前記情報処理端末装置による前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを可能としたことを特徴とする。
この構成によれば、電源をオンできないようなエラーが電子機器に発生した場合であっても、外部の情報処理端末によって、メモリーに記憶された駆動部の利用状況を示す情報を読み取らせることができる。
【0007】
また、本発明は、上記発明の電子機器であって、前記非接触タグは、前記情報処理端末との間で、NFCの規格に準拠した近距離無線通信可能に構成されたことを特徴とする。
ここで、NFCは、国際標準機関に次世代の標準規格として承認された近距離無線通信規格であると共に、既に広く普及している他の近距離無線通信規格と広く互換性を持っている、という特徴を有しており、今後、NFCの規格に準拠した近距離無線通信を行う機器が広く普及していくと考えられる。
これを踏まえ、上記構成によれば、非接触タグをNFCの規格に準拠した近距離無線通信可能な構成とすることにより、現在においても、さらに、将来においても、高い利用性、利便性を持って、非接触タグを利用した保証に関する情報の処理を実行できる。
【0008】
また、上記目的を達成するために、本発明は、情報管理システムであって、駆動部と、外部の情報処理端末装置との間で非接触で無線通信を実行すると共に、前記情報処理端末との間での無線通信に基づいて、メモリーに対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能な非接触タグと、前記メモリーに対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能に構成され、前記駆動部の動作状況に係る情報を前記メモリーに書き込む制御部と、を有する電子機器と、前記情報処理端末と通信回線を介して接続されたサーバー装置と、を備え、前記情報処理端末は、前記電子機器の前記メモリーに記憶された前記駆動部の動作状況に係る情報を読み取り、読み取った情報を前記サーバー装置へ送信し、前記サーバー装置は、前記情報処理端末から受信した情報を記憶すること、を特徴とする。
この構成によれば、電子機器において、駆動部の動作状況を示す情報が制御部によってメモリーに書き込まれると共に、外部の情報処理端末は、非接触タグとの非接触の無線通信を介して、電子機器のメモリーから駆動部の動作状況を示す情報を読み取ることができる。すなわち、上記構成によれば、外部の情報処理端末と、非接触タグとの間で無線通信させるという容易な作業によってメモリーに記憶された駆動部の動作状況を示す情報を、外部の情報処理端末に読み取らせることが可能な状態となる。
さらに、電子機器が備える駆動部の動作状況を示す情報がサーバー装置へ送信されると共に、サーバー装置においてこれら情報が記憶されるため、サーバー装置は、個々の電子機器について、統括的に、駆動部の動作状況を示す情報を管理できる。
【0009】
また、上記発明の情報管理システムであって、前記電子機器が備える前記非接触タグを、前記情報処理端末から受信した電力供給用の電波を利用して、前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを実行できる構成とすることにより、前記電子機器の電源のオフ時に、前記情報処理端末装置による前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを可能としたことを特徴とする。
この構成によれば、電源をオンできないようなエラーが電子機器に発生した場合であっても、外部の情報処理端末によって、メモリーに記憶された駆動部の利用状況を示す情報を読み取らせることができる。
【0010】
また、上記発明の情報管理システムであって、前記サーバー装置は、前記情報処理端末から受信した情報に基づいて、複数の異なる前記電子機器について、これら電子機器が備える前記駆動部の動作状況に係る情報を、それぞれの前記電子機器を識別する識別情報に対応付けて記憶し、記憶した情報に基づいて、前記電子機器の動作状況の傾向を分析し、又は、前記電子機器の利用態様を分析することを特徴とする。
この構成によれば、サーバー装置は、複数の電子機器が備える駆動部の動作状況を示す情報のそれぞれを利用して、総合的、かつ、統括的に、電子機器の動作状況の傾向を分析し、又は、電子機器の利用態様を分析することができる。この分析結果は、例えば、電子機器の開発や、電子機器の販売に関する有益な情報として利用できる。
【0011】
また、上記発明の情報管理システムであって、前記非接触タグは、前記情報処理端末との間で、NFCの規格に準拠した近距離無線通信可能に構成されたことを特徴とする。
ここで、NFCは、国際標準機関に次世代の標準規格として承認された近距離無線通信規格であると共に、既に広く普及している他の近距離無線通信規格と広く互換性を持っている、という特徴を有しており、今後、NFCの規格に準拠した近距離無線通信を行う機器が広く普及していくと考えられる。
これを踏まえ、上記構成によれば、非接触タグとして、NFCの規格に準拠した近距離無線通信可能な構成とすることにより、現在においても、さらに、将来においても、高い利用性、利便性を持って、非接触タグを利用した保証に関する情報の処理を実行できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、駆動部の動作状況を示す情報を記憶すると共に、外部の情報処理端末によって、容易に、当該情報を利用できる状態とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】情報管理システムの構成を示す図である。
【図2】レシートプリンターの機能的構成を示すブロック図である。
【図3】フラッシュメモリーに記憶されるデータの一覧である。
【図4】梱包材の斜視図である。
【図5】リード/ライト機能付携帯電話の機能的構成を示すブロック図である。
【図6】データ入力画面を示す図である。
【図7】フラッシュメモリーに記憶されるデータの一覧である。
【図8】レシートプリンター管理データベースのデータ構造を示す図である。
【図9】レシートプリンターの動作を示すフローチャートである。
【図10】フラッシュメモリーに記憶されるデータの一覧である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報管理システム1の構成を示す図である。
以下では、スーパーマーケットや百貨店等の小売店Kが、POSシステムを実現する環境を構築した上で、POSシステムを構築するべく、POSシステムの物理的な構成要素であるレシート発行用のレシートプリンター10(電子機器)を複数台(例えば、50台)導入する場合を例にして本発明を説明する。
周知のとおり、POSシステムを実現する環境の構築にあたっては、レシートプリンター10のみならず、小売店Kの各レジに配置されるキャッシュドロアーや、バーコード読取装置等のキャッシュドロアーに付随する装置、売り上げや商品の在庫等を管理するためのサーバー装置等、の機器が必要となるが、本実施形態では、発明の明確化のため、小売店Kにレシートプリンター10を導入する場合を例として説明する。
また、以下の説明では、メーカーMが、レシートプリンター10の製造を行う主体であり、このメーカーMと別の組織であるシステムインテグレーターSIが、小売店KへのPOSシステムの構築を実行する主体であるものとする。
【0015】
まず、メーカーMが、レシートプリンター10を製造し、製造したレシートプリンター10を、システムインテグレーターSIへ出荷する製造/出荷ステップS1について説明する。
上述したように、メーカーMは、レシートプリンター10を製造する組織であり、図1に示すように、通信ネットワーク11(通信回線)を介して、外部からアクセス可能に構成されたメーカー管理サーバー12(サーバー装置)を備え、このメーカー管理サーバー12は、レシートプリンター管理データベース13を備えている。これらメーカー管理サーバー12、及び、レシートプリンター管理データベース13については、後述する。
【0016】
図2は、メーカーMによって製造されるレシートプリンター10の機能的構成を示すブロック図である。
本実施形態に係るレシートプリンター10は、ホストコンピューター等の外部機器に接続され、当該外部機器の制御に従って、ロール紙に画像を記録し、所定の長さでロール紙を切断することにより、レシートを発行するサーマルプリンターであり、図2に示すように、制御部20と、記憶部21と、入力部22と、表示部23と、外部インターフェース部24と、プリントエンジン25と、フラッシュメモリー26(メモリー)と、RFIDタグ27と、を備えている。
【0017】
制御部20は、レシートプリンター10の各部を中枢的に制御するものであり、CPUや、ROM、RAMその他の周辺回路を備えている。制御部20には、RTC(不図示)が接続されており、RTCからの入力値に基づいて、現在日時(日付、時刻)を検出できる。制御部20は、保証期限警告部28を備えているが、これについては、後述する。
記憶部21は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、制御部20の制御の下、各種データを記憶する。
入力部22は、レシートプリンター10に設けられた各種操作スイッチに接続され、操作スイッチに対する操作を検出して、操作信号として制御部20に出力する。
表示部23は、液晶表示パネル等の表示パネルを備え、制御部20の制御の下、各種情報を表示パネルに表示する。
外部インターフェース部24は、制御部20の制御の下、接続された外部機器との間で、通信規格に準拠した通信を行う。
プリントエンジン25は、制御部20の制御の下、接続された外部機器から送信された印刷用データやコマンドに基づき、レシートプリンター10が備える印刷機構を制御して、ロール紙に印刷を行う。具体的には、レシートプリンター10は、ロール紙の印刷面に熱を与える印刷ヘッド、ロール紙に対して印刷ヘッドを移動させる印刷ヘッド駆動機構、ロール紙を搬送する搬送機構等を有する印刷機構を備えており、この印刷機構がプリントエンジン25によって制御される。
フラッシュメモリー26は、不揮発性の半導体メモリーである。制御部20は、メモリーインターフェース部29を介して、フラッシュメモリー26に対して、各種データを読み書きする。
【0018】
RFIDタグ27は、パッシブタイプの非接触タグであり、後述するリード/ライト機能付携帯電話30(情報処理端末)との間で、NFC(Near Field Communication)の規格に準拠した近距離無線通信が可能である。
NFCは、国際標準機関に次世代の標準規格として承認された近距離無線通信規格であると共に、既に広く普及している他の近距離無線通信規格と広く互換性を持っている、という特徴を有しており、今後、NFCの規格に準拠した近距離無線通信を行う機器が広く普及していくと考えられる。従って、RFIDタグ27として、NFCの規格に準拠した非接触タグを採用することにより、現在においても、さらに、将来においても、高い利用性、利便性を持って、RFIDタグ27を利用した各種の処理を実行できる、というメリットがある。
【0019】
図2に示すように、RFIDタグ27は、アンテナ部31と、RF部32と、変調/復調部33と、タグ制御部34と、電力供給部35と、を有している。
アンテナ部31は、データの送受信用のアンテナとして機能するものである。
RF部32は、アンテナ部31を介して後述するリード/ライト機能付携帯電話30との間でデータの送受信を行うものであり、データの送信時は、送信データを電波としてアンテナ部31を介してリード/ライト機能付携帯電話30に送信し、一方、データの受信時は、アンテナ部31を介してリード/ライト機能付携帯電話30から受信した電波を示す信号を変調/復調部33に出力する。
変調/復調部33は、送受信データの変調または復調を行う部分であり、データの送信時は、送信データを変調してRF部32に出力し、一方、データの受信時は、RF部32から受信した信号に基づいて、受信データを復元し、タグ制御部34に出力する。
タグ制御部34は、RFIDタグ27を中枢的に制御するものである。タグ制御部34は、データの送信時には、送信データのエンコードを行って変調/復調部33に出力し、一方、データの受信時には、変調/復調部33から入力された受信データをデコードする。タグ制御部34は、デコードした受信データを、制御部20に出力し、また、メモリーインターフェース部37を介して、フラッシュメモリー26に書き込むことが可能である。また、タグ制御部34は、メモリーインターフェース部37を介して、フラッシュメモリー26から各種データを取得することが可能である。
電力供給部35は、図示せぬ整流回路を備えており、アンテナ部31を介してリード/ライト機能付携帯電話30から受信した電力供給用の搬送波を利用して、RFIDタグ27の各部に電力を供給する。また、本実施形態では、レシートプリンター10の電源がオフの状態の場合、電力供給部35は、RFIDタグ27の各部だけでなく、メモリーインターフェース部37、及び、フラッシュメモリー26に対しても電力を供給可能な構成となっている。この構成により、レシートプリンター10の電源がオフの場合であっても、タグ制御部34は、受信データに基づいて、各種データをフラッシュメモリー26に書き込みことができ、また、フラッシュメモリー26にアクセスして、フラッシュメモリー26に記憶された各種データを取得することができる。
【0020】
さらに、メーカーMは、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26の所定の記憶領域に、以下のデータを記憶する。
【0021】
図3は、製造/出荷ステップS1において、メーカーMによってフラッシュメモリー26に記憶されるデータを、一覧表示した図である。
図3において、領域フィールド40には、フラッシュメモリー26に形成された記憶領域のそれぞれに便宜的に付与した名称が表示されており、データフィールド41には、対応する記憶領域に記憶されるデータに対して便宜的に付与した名称が表示されている。
図3に示すように、フラッシュメモリー26において、領域A1(フラッシュメモリー26の記憶可能領域を区分して形成された記憶領域の1つであり、記憶可能領域におけるデータの記憶開始位置を示すアドレスによって一意に定義される記憶領域のこと。以下も同様である。)には、レシートプリンター10ごとに一意に付与されるシリアル番号を示すシリアル番号データが記憶される。
領域A2には、領域A1に記憶されたシリアル番号データを書き換える際に必要とされるパスワードを示すシリアル番号パスワードが記憶される。このシリアル番号パスワードは、メーカーMのみが把握するパスワードである。
本実施形態に係るレシートプリンター10は、表示部23の表示パネルに表示された各種情報を参照しつつ、入力部22の各種操作スイッチを操作することにより、領域A1に記憶されたシリアル番号データの書き換えを実行できる構成とされ、かつ、後述するリード/ライト機能付携帯電話30にダウンロードされた専用のアプリケーションにより提供されるユーザーインターフェースを利用して、領域A1に記憶されたシリアル番号データの書き換えを実行できる構成とされている。そして、領域A1に記憶されたシリアル番号データを書き換える際には、シリアル番号パスワードの入力が要求され、入力されたシリアル番号パスワードと、領域A2に記憶されたシリアル番号パスワードとが一致する場合にのみ、シリアル番号データの書き換えが行われる構成となっている。この構成により、メーカーM以外の者により、シリアル番号データが不正に書き換えられることが防止されている。
領域A3には、レシートプリンター10の製造地を示す製造地データが格納され、領域A4には、領域A3に記憶された製造地データを書き換える際に必要とされるパスワードを示す製造地パスワードが格納される。
領域A5には、レシートプリンター10の製品名を示す製品名データが格納され、領域A6には、領域A5に記憶された製品名データを書き換える際に必要とされるパスワードを示す製品名パスワードが格納される。
領域A7には、レシートプリンター10の保証期間として、メーカーMが定めた期間(例えば、3年)を示す保証期間データが格納され、領域A8には、領域A7に記憶された保証期間データを書き換える際に必要とされるパスワードを示す保証期間パスワードが格納される。
製造地データ、製品名データ、及び、保証期間データも、シリアル番号データと同様、パスワードによる保護によって、メーカーM以外の者による不正な書き換えが防止されている。
これらシリアル番号データ、製造地データ、製品名データ、及び、保証期間データは、メーカーMのみが設定できるデータであり、かつ、メーカーMが、レシートプリンター10の保守や、修理等の製品サポートを行う際に、レシートプリンター10を特定し、また、レシートプリンター10の製造、出荷の過程を把握するために必要なデータである。
【0022】
製造/出荷ステップS1において、メーカーMは、上記構成を有するレシートプリンター10を製造すると共に、製造したレシートプリンター10を専用の梱包材45に収納し、システムインテグレーターSIに出荷する。その際、レシートプリンター10を収納した梱包材45は、例えば、システムインテグレーターSIが管理する倉庫に搬送される。
【0023】
図4は、レシートプリンター10を収納した状態の梱包材45を示す図である。
図4に示すように、直方体形状の梱包材45の一側面には、タグマーク46が記されている。
このタグマーク46は、梱包材45に収納されたレシートプリンター10において、RFIDタグ27のアンテナ部31に対応する位置(アンテナ部31が近接する位置)に記されるマークである。このタグマーク46は、タグマーク46に後述するリード/ライト機能付携帯電話30を近接させたときに、リード/ライト機能付携帯電話30とRFIDタグ27との間で近距離無線通信を確実に行わせるようにする、という観点から、事前の実験、シミュレーションにより、梱包材45における適切な位置に記されており、リード/ライト機能付携帯電話30をタグマーク46に近接させることにより、リード/ライト機能付携帯電話30とRFIDタグ27との間で近距離無線通信をほぼ確実に行わせることができる。
なお、レシートプリンター10は、メーカーMにおいて、量産されるプリンターであり、レシートプリンター10におけるアンテナ部31の位置は、各レシートプリンター10で同一である。従って、各梱包材45においてレシートプリンター10が収納される向きを統一することを前提とした場合、梱包材45のそれぞれについて、タグマーク46を記すべき位置は、同一である。このため、容易に量産可能である。
【0024】
次いで、製造/出荷ステップS1の次のステップである準備ステップS2について説明する。この準備ステップS2では、システムインテグレーターSIにより、梱包材45に収納されたレシートプリンター10に対して所定の処理が施される。
なお、以下の説明において、システムインテグレーターSIと表現するときは、組織としてのシステムインテグレーターSIを意味するだけでなく、説明に応じて、適宜、システムインテグレーターSI内で実際に作業を行う作業者を意味するものとする。
準備ステップS2に際し、システムインテグレーターSIは、リード/ライト機能付携帯電話30を準備する。
【0025】
図5は、リード/ライト機能付携帯電話30の機能的構成を示すブロック図である。
図5に示すように、リード/ライト機能付携帯電話30は、レシートプリンター10のRFIDタグ27と近距離無線通信を行い、RFIDタグ27に対して各種データを読み書きする機能を有する携帯電話であり、携帯側制御部50と、携帯側入力部51と、携帯側表示部52と、音声出力部53と、GPSユニット54と、無線通信部55と、携帯側記憶部56と、RFID通信部57と、を備えている。
携帯側制御部50は、リード/ライト機能付携帯電話30の各部を中枢的に制御する者であり、CPUやROM、RAMその他の周辺回路を備えている。
携帯側入力部51は、リード/ライト機能付携帯電話30に設けられた操作スイッチに対するユーザーの操作を検出し、携帯側制御部50に出力する。
携帯側表示部52は、液晶表示パネルを備え、携帯側制御部50の制御の下、各種情報を液晶表示パネルに表示する。
音声出力部53は、携帯側制御部50の制御の下、各種音声を出力する。
GPSユニット54は、GPS衛星から送られてくるGPS電波をGPSアンテナやレシーバーなどで受信し、GPS電波に重畳されたGPS信号から、リード/ライト機能付携帯電話30の位置を算出し、携帯側制御部50に出力する。
無線通信部55は、携帯側制御部50の制御の下、リード/ライト機能付携帯電話30が在圏しているエリアの無線基地局58(図1)との間で所定の規格に準拠した無線通信を行う。無線基地局58は、インターネットや移動通信網等の通信ネットワーク11(図1)に接続されており、リード/ライト機能付携帯電話30は、通信ネットワーク11を介して、メーカー管理サーバー12との間で各種データの送受信が可能である。
携帯側記憶部56は、不揮発性の記憶装置を備え、各種データを不揮発的に記憶する。
【0026】
RFID通信部57は、レシートプリンター10のRFIDタグ27との間で、NFCの規格に準拠した近距離無線通信を行うものであり、アンテナ部60と、RF部61と、変調/復調部62と、携帯側タグ制御部63と、を備えている。
アンテナ部60は、データの送受信用のアンテナとして機能するものである。
RF部61は、アンテナ部60を介してRFIDタグ27との間でデータの送受信を行うものであり、データの送信時は、アンテナ部60を介して電力供給用の搬送波、及び、送信データを電波としてRFIDタグ27に送信し、一方、データの受信時は、アンテナ部60を介してRFIDタグ27から受信した電波を示す信号を変調/復調部62に出力する。
変調/復調部62は、送受信データの変調または復調を行う部分であり、データの送信時は、送信データを変調してRF部61に出力し、一方、データの受信時は、RF部61から受信した信号に基づいて、受信データを復元し、携帯側タグ制御部63に出力する。
携帯側タグ制御部63は、RFID通信部57を中枢的に制御するものである。携帯側タグ制御部63は、携帯側制御部50の制御の下、データの送信時には、送信データのエンコードを行って変調/復調部62に出力し、一方、データの受信時には、変調/復調部62から入力された受信データをデコードして、携帯側制御部50に出力する。
なお、RFID通信部57の機能については、携帯電話が備えるSDカードなど外部メモリー用オプションスロットを用い、RFID通信機能内蔵のSDカードを取り付けることにより、既存の携帯電話に当該機能を付加してもよい。この場合、図5に示す携帯側記憶部56は、追加したSDカードの記憶メモリーを利用することも可能である。
【0027】
準備ステップS2では、まず、システムインテグレーターSIは、準備したリード/ライト機能付携帯電話30を利用して、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26に所定のデータを書き込む。
詳述すると、まず、システムインテグレーターSIは、メーカーMが管理するメーカー管理サーバー12から事前にダウンロードしたアプリケーションを起動し、携帯側表示部52の表示パネルにデータ入力画面65を表示する。なお、メーカー管理サーバー12に係るサイトのURLについては、メーカーMからシステムインテグレーターSIに対して事前に連絡によって伝えるようにしてもよく、また、梱包材45に当該URLを記すようにしてもよく、また、梱包材45に当該URLを示す二次元バーコードをリード/ライト機能付携帯電話30によって読み取り可能な態様で記すようにしてもよい。
【0028】
図6は、データ入力画面65を示す図である。
会社名欄67には、POSシステムの構築を担当するシステムインテグレーターSIの会社名が入力され、また、会社名欄67に対応する会社名パスワード欄68には、詳細は後述するが、フラッシュメモリー26の所定の記憶領域に、会社名欄67に入力された会社名を示す会社名データが格納された後に、当該会社名データを書き換えるために必要とされるパスワードが入力される。
担当者欄69には、POSシステムの構築の代表担当者が入力され、また、担当者欄69に対応する担当者パスワード欄70には、フラッシュメモリー26の所定の記憶領域に、担当者欄69に入力された担当者を示す担当者データが格納された後に、当該担当者データを書き換えるために必要とされるパスワードが入力される。
保証期間基準日欄71には、レシートプリンター10の保証期間の基準日が入力される。保証期間の基準日とは、保証期間を起算すべき日として予め定められた日のことであり、例えば、メーカーMからシステムインテグレーターSIにレシートプリンター10が搬送された日が保証期間を起算すべき日として定められている場合には、当該搬送された日が、保証期間の基準日に該当し、また例えば、小売店Kにレシートプリンター10を搬送する日が保証期間を起算すべき日として定められている場合には、当該搬送する日が、保証期間の基準日に該当する。保証期間基準日欄71に対応する保証期間基準日パスワード欄72には、フラッシュメモリー26の所定の記憶領域に、保証期間基準日欄71に入力された保証期間基準日を示す保証期間基準日データが格納された後に、当該保証期間基準日データを書き換えるために必要とされるパスワードが入力される。
保証期間延長日数欄73には、システムインテグレーターSIが、メーカーMが定めた保証期間を延長する場合に、その延長する日数が入力される。一般に、システムインテグレーターSIの責任、負担において、システムインテグレーターSIが保証期間を延長するサービスを行ったり、また、保証期間を延長するキャンペーンを実施したりすることがあり、このことを考慮して保証期間延長日数欄73が設けられている。保証期間延長日数欄73に対応する保証期間延長日数パスワード欄74には、フラッシュメモリー26の所定の記憶領域に、保証期間延長日数欄73に入力された保証期間延長日数を示す保証期間延長日数データが格納された後に、当該保証期間延長日数データを書き換えるために必要とされるパスワードが入力される。
【0029】
システムインテグレーターSIは、データ入力画面65の入力欄のそれぞれに情報を入力した後、リード/ライト機能付携帯電話30に設けられた操作スイッチを操作して、入力を確定する。
次いで、システムインテグレーターSIは、リード/ライト機能付携帯電話30に設けられた操作スイッチを操作して、リード/ライト機能付携帯電話30の動作モードを、データ送受信モードへ移行する。
データ送受信モードは、リード/ライト機能付携帯電話30と、レシートプリンター10のRFIDタグ27とが近接し、近距離無線通信可能な状態となった場合に、リード/ライト機能付携帯電話30から、レシートプリンター10のRFIDタグ27に対して、書込指示データ、及び、記憶データ送信指示データを送信する動作モードである。
書込指示データとは、データ入力画面65の入力欄のそれぞれに入力された情報を示すデータのそれぞれを、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26における予め定められた所定の記憶領域のそれぞれに格納させるためのデータである。書込指示データを受信したタグ制御部34は、書込指示データの内容に従って、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26の所定の記憶領域のそれぞれに、対応するデータのそれぞれを格納する。上述したように、レシートプリンター10が梱包材45に収納され、レシートプリンター10の電源がオフの状態の状態であっても、電力供給部35によりメモリーインターフェース部37、及び、フラッシュメモリー26に対して電力が供給されており、タグ制御部34によるフラッシュメモリー26へのデータの書き込みが可能である。
また、記憶データ送信指示データとは、書込指示データに基づいて、フラッシュメモリー26にデータが書き込まれた後に、フラッシュメモリー26に記憶されている各データ(パスワードに係るデータを除く)をリード/ライト機能付携帯電話30に対して送信することを指示するデータである。記憶データ送信指示データを受信したタグ制御部34は、フラッシュメモリー26にアクセスして、フラッシュメモリー26の各記憶領域に記憶されている各データを取得し、取得した各データをリード/ライト機能付携帯電話30に送信する。
なお、書込指示データ、及び、記憶データ送信指示データの生成、及び、送信は、アプリケーションを実行する携帯側制御部50の機能により実現される。
また、近距離無線通信可能な状態となり、リード/ライト機能付携帯電話30とレシートプリンター10との間で、送受信すべきデータの送受信が正常に完了した場合、リード/ライト機能付携帯電話30の音声出力部53からその旨を示す電子音が出力され、かつ、リード/ライト機能付携帯電話30の携帯側表示部52の表示パネルにその旨を示す情報が表示される構成となっている。
【0030】
図7は、書込指示データに基づいて、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26の所定の記憶領域のそれぞれに各データが格納された後の、記憶領域に記憶されたデータを一覧表示した図である。
なお、領域A1から領域A8に記憶されるデータについては、図3を用いて説明したため、図7における図示を省略する。
図7に示すように、フラッシュメモリー26において、領域A9には、データ入力画面65の会社名欄67に入力された会社名を示す会社名データが格納され、領域A10には、会社名パスワード欄68に入力されたパスワードを示す会社名パスワードが格納される。
本実施形態では、リード/ライト機能付携帯電話30にダウンロードされたアプリケーションにより提供されるユーザーインターフェースを利用して、領域A9に記憶された会社名データの書き換えを実行できる構成となっている。そして、領域A9に記憶された会社名データを書き換える際には、会社名パスワードの入力が要求され、入力された会社名パスワードと、領域A10に記憶された会社名パスワードとが一致する場合にのみ、会社名データの書き換えが行われる構成となっている。この構成により、正しいパスワードを知る正規のシステムインテグレーターSI以外の者によって、会社名データが不正に書き換えられることが防止されている。
領域A11には、データ入力画面65の担当者欄69に入力された担当者を示す担当者データが格納され、領域A12には、担当者パスワード欄70に入力されたパスワードを示す担当者パスワードが格納される。
領域A13には、データ入力画面65の保証期間基準日欄71に入力された保証期間基準日を示す保証期間基準日データが格納され、領域A14には、保証期間基準日パスワード欄72に入力されたパスワードを示す保障期間基準日パスワードが格納される。
領域A15には、データ入力画面65の保証期間延長日数欄73に入力された保証期間延長日数を示す保証期間延長日数データが格納され、領域A16には、保証期間延長日数パスワード欄74に入力されたパスワードを示す保証期間延長日数パスワードが格納される。
担当者データ、保証期間基準日データ、及び、保証期間延長日数データについても、会社名データと同様、パスワードによる保護によって、システムインテグレーターSI以外による不正な書き換えが防止されている。
【0031】
なお、上述したように、動作モードがデータ送受信モードの場合、リード/ライト機能付携帯電話30からレシートプリンター10に、書込指示データと併せて、記憶データ送信指示データが送信され、この記憶データ送信指示データに基づいて、RFIDタグ27からリード/ライト機能付携帯電話30に、フラッシュメモリー26に記憶された各データ(パスワードに係るデータを除く)が送信されるが、ここで送信されるデータは、具体的には、シリアル番号データ(領域A1)、製造地データ(領域A3)、製品名データ(領域A5)、保証期間データ(領域A7)、会社名データ(領域A9)、担当者データ(領域A11)、保証期間基準日データ(領域A13)、及び、保証期間延長日数データ(領域A15)である。
【0032】
さらに、動作モードがデータ送受信モードの場合において、RFIDタグ27からリード/ライト機能付携帯電話30に、フラッシュメモリー26に記憶された各データが送信された場合、携帯側制御部50は、無線通信部55を制御して、RFIDタグ27から受信した各データを、メーカー管理サーバー12に送信する。
その際、携帯側制御部50は、GPSユニット54からの入力値に基づいて、現在位置を検出し、検出した現在位置を示す現在位置データをメーカー管理サーバー12に送信する。
メーカー管理サーバー12は、受信したデータに基づいて、レシートプリンター管理データベース13の1件のレコードを生成する。
【0033】
図8は、レシートプリンター管理データベース13のデータ構造を模式的に示す図である。
図8に示すように、レシートプリンター管理データベース13の1件のレコードには、シリアル番号データが格納されるシリアル番号フィールド76、製造地データが格納される製造地フィールド77、製品名データが格納される製品名フィールド78、保証期間データが格納される保証期間フィールド79、会社名データが格納される会社名フィールド80、担当者データが格納される担当者フィールド81、保証期間基準日データが格納される保証期間基準日フィールド82、保証期間延長日数データが格納される保証期間延長日数フィールド83、及び、上述した現在位置データが格納される現在位置フィールド84が含まれている。他のフィールドについては、後述する。
【0034】
このように、本実施形態では、フラッシュメモリー26に記憶された保証期間基準日データ、及び、保証期間延長日数データ(製品の保証に関する情報を示すデータ)が、リード/ライト機能付携帯電話30からメーカー管理サーバー12に送信される。そして、メーカー管理サーバー12では、これらデータを、レシートプリンター管理データベース13において、レシートプリンター10毎に分けて記憶する。
これによれば、メーカー管理サーバー12は、レシートプリンター10毎に、統括的に、製品の保証に関するデータを管理できる。特に、本実施形態では、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26に記憶されている製品の保証に関するデータが、リード/ライト機能付携帯電話30に読み取られて、メーカー管理サーバー12に送信され、メーカー管理サーバー12は、受信したデータに基づいて、レシートプリンター管理データベース13において、レシートプリンター10ごとに、製品の保証に関するデータを管理するため、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26に記憶されたデータの内容と、メーカー管理サーバー12によって管理されるデータの内容との同一性が完全に担保され、従って、メーカー管理サーバー12を管理するメーカーMと、実際にPOSシステムを構築するシステムインテグレーターSIとの間での、レシートプリンター10の製品の保証に関する認識を完全に一致させることができる。
【0035】
ここで、フラッシュメモリー26に記憶された各データの役割について説明する。
フラッシュメモリー26において、領域A1〜領域A8には、図3に示すように、シリアル番号データ、製造地データ、製品名データ、及び、保証期間データがそれぞれ記憶されるが、これらデータが示す情報は、レシートプリンター10を特定し、また、レシートプリンター10の製造の過程を把握するために必要な情報である。さらに、フラッシュメモリー26において、領域A9〜領域A16には、図7に示すように、会社名データ、担当者データ、保証期間基準日データ、保証期間延長日数データがそれぞれ記憶されるが、これらデータが示す情報は、レシートプリンター10の保証期間の終了日を把握し、また、レシートプリンター10を利用したPOSシステムの構築を行ったシステムインテグレーターSI、及び、その担当者を把握するために必要な情報である。
そして、これらフラッシュメモリー26に記憶された各データが示す情報は、従来、紙タイプの保証書に記入されていた情報である。
これを踏まえ、本実施形態では、フラッシュメモリー26に記憶された各データは、従来の紙タイプの保証書の代わりとしての役割を果たしている。このため、本実施形態では、紙タイプの保証書の作成が行われない。
なお、シリアル番号データ、製造地データ、製品名データ、及び、保証期間データのそれぞれは、メーカーM以外の者が不正に書き換えることができないようパスワードによって保護されているため、その内容の信頼性は担保され、かつ、維持される。同様に、会社名データ、担当者データ、保証期間基準日データ、及び、保証期間延長日数データのそれぞれは、システムインテグレーターSI以外の者が不正に書き換えることができないようパスワードによって保護されているため、その内容の信頼性は担保され、かつ、維持される。
【0036】
準備工程S2では、メーカーMから搬送された全てのレシートプリンター10に対して、上述したフラッシュメモリー26に対するデータの書き込み、及び、読み取りが実行される。
具体的には、システムインテグレーターSIは、データ入力画面65を開いて各入力欄に情報を入力した後、リード/ライト機能付携帯電話30の動作モードをデータ送受信モードへ移行する。そして、リード/ライト機能付携帯電話30をレシートプリンター10が収納された梱包材45に近接させて、リード/ライト機能付携帯電話30とレシートプリンター10のRFIDタグ27との間で近距離無線通信を行わせる、という作業を、全ての梱包材45に対して行う。
ここで、上述したように、梱包材45のそれぞれにはタグマーク46が記されているため、システムインテグレーターSIは、リード/ライト機能付携帯電話30をタグマーク46に近接させることにより、スムーズ、かつ、確実に、リード/ライト機能付携帯電話30とレシートプリンター10のRFIDタグ27との間で近距離無線通信を行わせることができる。
【0037】
また、上述したように、フラッシュメモリー26に記憶された各データは、従来の紙タイプの保証書を代替するものであり、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26に対する各データの書き込みは、従来の紙タイプの保証書に当該各データが示す情報を記入する行為に該当する。
ここで、従来の紙タイプの保証書は、保証書を添付すべき電子機器を明確にしつつ紛失等のリスクを低減すべく、梱包材45の中にレシートプリンター10と共に収納されることが多かった。この場合、紙タイプの保証書に情報を記入するためには、一旦、梱包材45を開封して保証書を取り出した上で、取り出した保証書に情報を記入する必要があった。そして、電子機器の品質の確実な維持という観点から、梱包材45が開封されることを望まない小売店Kの関係者も少なからず存在しており、梱包材45を開封しないようにすることが求められていた。さらに、梱包材45の開封、保証書への情報の記入、及び、梱包材45の封印という一連の作業は、煩雑であり、かつ、作業にかかる時間も少なくなく、作業の効率化が求められていた。
そして、本実施形態では、梱包材45を開封することなく、リード/ライト機能付携帯電話30を梱包材45のタグマーク46が記された位置に近接させる、という単純、かつ、容易な作業を行うのみで、フラッシュメモリー26への各データの書き込み(従来の紙タイプの保証書に当該各データが示す情報を記入する行為に該当する処理)、及び、フラッシュメモリー26からの各データの読み取りを実行することができるため、梱包材45を開封しないようにしたいとするニーズに適切に応えることができ、かつ、作業の容易化、及び、作業にかかる時間の短縮化を実現できる。
さらに、従来のように、紙タイプの保証書に情報を記入する場合、誤った内容が記入されてしまうというリスクがあったが、本実施形態では、データ入力画面65の各入力欄へ誤った情報が入力されない限りにおいて、フラッシュメモリー26に誤ったデータが書き込まれるといった事態が起こりえない。
【0038】
次いで、準備ステップS2の次のステップである構築ステップS3について説明する。
この構築ステップS3では、システムインテグレーターSIは、レシートプリンター10が収納された梱包材45を、小売店Kに搬送する。その際、梱包材45は、開封されておらず、開封した形跡がない状態であるため、小売店Kの関係者に対し、安心感、信頼感を与えることができる。
次いで、システムインテグレーターSIは、梱包材45に収納されたレシートプリンター10を取り出し、レシートプリンター10のそれぞれを適切な位置に設置すると共に、レシートプリンター10の電気的な接続や、外部機器との通信的な接続を行い、POSシステムが導入される環境を構築する。POSシステムが導入される環境を構築した上で、システムインテグレーターSIは、当該環境を利用してPOSシステムを構築する。
【0039】
ここで、従来は、小売店Kへのレシートプリンター10の導入にあたり、システムインテグレーターSIは、レシートプリンター10のそれぞれについて、紙タイプの保証書を小売店Kに対して渡していた。
この場合、紙タイプの保証書を受け取った小売店Kでは、保証書を保管するスペースを確保した上で、レシートプリンター10のそれぞれと、保証書のそれぞれとを対応づけて、保証書を管理、保管する必要があり、管理、保管に係る作業が煩雑であった。
さらに、この場合、システムインテグレーターSIは、紙タイプの保証書に間違いなく情報を記入した上で、小売店Kに全ての保証書を確実に渡す必要があり、これらの作業が煩雑であった。
一方で、本実施形態では、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26に記憶された各データが紙タイプの保証書を代替し、紙タイプの保証書の受け渡しが行われないため、小売店K、及び、システムインテグレーターSIが上記煩雑な作業を行う必要がなくなり、小売店K、及び、システムインテグレーターSIの作業性、利便性が向上する。
【0040】
小売店KにPOSシステムが構築された後、小売店Kの関係者が、フラッシュメモリー26の各データが示す情報(すなわち、従来の紙ベースの保証書に記載されていた情報に対応する情報)を参照したい場合は、以下のようにして行われる。なお、小売店Kの関係者は、例えば、1のレシートプリンター10が故障し、当該1のレシートプリンター10の保証期間について調べたいときなどに、フラッシュメモリー26の各データが示す情報を参照したいと考える。
すなわち、本実施形態に係るレシートプリンター10は、フラッシュメモリー26に記憶された各データ(パスワードに係るデータを除く)が示す情報を表示パネルに一覧表示させ、また、ロール紙にその一覧を記録するためのプログラムがROM等の記憶領域に記憶されている。そして、フラッシュメモリー26の各データが示す情報を参照しようとする関係者は、レシートプリンター10に設けられた操作スイッチを操作して、フラッシュメモリー26に記憶された各データが示す情報を表示パネルに表示すること、又は、当該情報をロール紙に記録することのいずれかを指示する。
表示パネルに表示することが指示された場合、制御部20は、フラッシュメモリー26にアクセスして、各データを取得し、取得した各データが示す情報を表示パネルに一覧表示する。一方、ロール紙に記録することが指示された場合、制御部20は、フラッシュメモリー26にアクセスして、各データを取得し、プリントエンジン25を制御して、取得した各データが示す情報をロール紙に記録する。
このように、小売店Kの関係者が、フラッシュメモリー26の各データが示す情報を参照したいと考えた場合は、当該情報を表示パネルに表示し、また、ロール紙に記録することにより、スムーズに参照できる構成となっている。特に、従来は、1のレシートプリンター10の保証書を参照する場合は、当該1のレシートプリンター10の裏面等に記載されたシリアル番号を確認し、このシリアル番号に対応する保証書を特定するという作業が必要であったが、本実施形態では、このような作業を行うことなく、スムーズ、かつ、容易に、1のレシートプリンター10にフラッシュメモリー26に記憶された各データが示す情報を参照することができる。
【0041】
次いで、小売店KにPOSシステムが構築された後の稼働ステップS4におけるレシートプリンター10の動作について説明する。
まず、稼働ステップS4におけるレシートプリンター10の制御部20が備える保証期限警告部28の動作について説明する。
【0042】
図9は、保証期限警告部28の動作を示すフローチャートである。
この保証期限警告部28の機能は、制御部20が備えるCPUがROMに記憶されたプログラムを実行する等、ハードウェアとソフトウェアとの協働によって実現される。
図9のフローチャートが示す動作は、例えば、レシートプリンター10に電源が投入されたことをトリガーとして、また例えば、現在時刻が予め定められた時刻に到来したことをトリガーとして、実行される。
まず、保証期限警告部28は、RTCからの入力値に基づいて、現在日付を取得する(ステップSA1)。
次いで、保証期限警告部28は、フラッシュメモリー26にアクセスして、保証期間データ、保証期間基準日データ、及び、保証期間延長日数データを取得し、これらデータに基づいて、保証期間の最終日を取得する(ステップSA2)。
次いで、保証期限警告部28は、ステップSA1で取得した現在日付と、ステップSA2で取得した保証期間の最終日とを比較し、これらが一致するか否かを判別する(ステップSA3)。
現在日付と、保証期間の最終日とが一致する場合(ステップSA3:NO)、保証期限警告部28は、表示部23を制御して、本日がレシートプリンター10の保証期間の最終日である旨の情報を表示する(ステップSA4)。
一方で、現在日付と、保証期間の最終日とが一致しない場合、保証期限警告部28は、現在日付が、保証期間の最終日より時間的に前であり、かつ、現在日付と、保証期間の最終日との差の日数が、所定の閾値を下回るか否かを判別する(ステップSA5)。
現在日付と、保証期間の最終日との差の日数が、所定の閾値を下回る場合、保証期限警告部28は、表示部23を制御して、保証期間の最終日を示す情報と、保証期間の最終日が近づいている旨の情報を表示する(ステップSA6)。
【0043】
このように、POSシステムが構築された後は、各レシートプリンター10において、本日が保証期間の最終日であるか否か、及び、保証期間の最終日が近づいたか否かが監視され、本日が保証期間の最終日であり、又は、保証期間の最終日が近づいた場合は、その旨が、自動で、報知される。これにより、小売店Kの関係者は、容易、かつ、確実に、これらのことを認識できる。特に、本日が保証期間の最終日であること、又は、保証期間の最終日が近づいたことの報知は、レシートプリンター10ごとに行われるため、POSシステムの構築後、新たに追加したレシートプリンター10等が存在し、レシートプリンター10ごとに保証期間の基準日が異なる場合であっても、小売店Kの関係者は、煩雑な作業を行うことなく、容易、かつ、確実に、それぞれのレシートプリンター10について、上記のことを認識できる。
【0044】
また、稼働ステップS4では、レシートプリンター10の制御部20は、駆動部たるプリントエンジン25、及び、プリントエンジン25に制御される印刷機構の動作状況を検出し、検出した動作状況を示すデータをフラッシュメモリー26に書き込む。
詳述すると、制御部20は、POSシステムの構築後、1日ごとに、レシートプリンター10の電源がオンされていた時間の累計を計測し、計測結果に基づいて、1日に電源がオンされていた時間の平均を算出し、所定のタイミングで、算出した時間を示す平均通電時間データをフラッシュメモリー26の所定の記憶領域に記憶する。当該所定の記憶領域に既にデータが格納されている場合は、上書き更新する。
また、制御部20は、POSシステムが構築された後、電源がオンされていた時間の累計を計測し、総通電時間データとして所定のタイミングでフラッシュメモリー26の所定の記憶領域に記憶する。当該所定の記憶領域に既にデータが格納されている場合は、上書き更新する。
また、制御部20は、レシートプリンター10の印刷行数、及び、レシートプリンター10が発行したレシートの発行枚数をカウントし、1日の印刷行数の平均を示す平均印刷行数データ、及び、1日の発行枚数の平均を示す平均発行枚数データのそれぞれを所定のタイミングでフラッシュメモリー26の所定の記憶領域に記憶する。当該所定の記憶領域に既にデータが格納されている場合は、上書き更新する。
また、制御部20は、POSシステムが構築された後におけるレシートプリンター10の印刷行数の総数、及び、レシートプリンター10が発行したレシートの発行枚数の総数をカウントし、それぞれ総印刷行数データ、総発行枚数データとして、所定のタイミングでフラッシュメモリー26の所定の記憶領域に記憶する。
また、制御部20は、現在から一定期間遡った間におけるエラーログを示すエラーログデータを所定のタイミングでフラッシュメモリー26の所定の記憶領域に記憶する。当該所定の記憶領域に既にデータが格納されている場合は、上書き更新する。
【0045】
図10は、稼働ステップS4において、制御部20により、フラッシュメモリー26の所定の記憶領域に、各データが格納された後の、記憶領域に記憶されたデータを一覧表示した図である。
なお、領域A1から領域A16に記憶されるデータについては、図3、及び、図7を用いて説明したため、図10における図示を省略する。
図10に示すように、フラッシュメモリー26において、領域A17には、上述した平均通電時間データが格納され、領域A18には、上述した印刷枚数データが格納され、領域A19には、上述した平均発行枚数データが格納され、領域A20には、上述した総通電時間データが格納され、領域A21には、上述した総印刷行数データが格納され、領域A22には、総発行枚数データが格納され、領域A23には、エラーログデータが格納される。
領域A17〜領域A23に格納されるこれらデータは、駆動部たるプリントエンジン25の動作状況を示す情報に該当する。
【0046】
このように、本実施形態では、駆動部たるプリントエンジン25等の動作状況を示すデータが、フラッシュメモリー26に記憶される。
ここで、フラッシュメモリー26は、上述したように、制御部20、及び、RFIDタグ27の双方から、データの読み書きを実行可能である。このため、プリントエンジン25の動作状況を常に管理可能な制御部20によって、プリントエンジン25の動作状況を示すデータをフラッシュメモリー26に書き込むことにより、フラッシュメモリー26に記憶された当該データの利用性、信頼性の高さを維持しつつ、外部のリード/ライト機能付携帯電話30をRFIDタグ27に近接させ、これら機器の間で近距離無線通信させるという、容易、単純な作業によってフラッシュメモリー26に記憶された当該データをリード/ライト機能付携帯電話30に読み取らせることが可能な状態となる。
【0047】
これら領域A17〜領域A23に格納されたデータは、システムインテグレーターSIによる定期メンテナンス時に、リード/ライト機能付携帯電話30によって読み取られて、メーカー管理サーバー12に、他のデータ(領域A1〜領域A16に格納されたデータであって、パスワードに係るデータを除いたもの)と共に送信される。その際、リード/ライト機能付携帯電話30の携帯側制御部50は、GPSユニット54からの入力値に基づいて、現在位置を検出し、検出した現在位置を示す現在位置データを併せてメーカー管理サーバー12に送信する。
メーカー管理サーバー12は、リード/ライト機能付携帯電話30から上記データを受信した場合、レシートプリンター管理データベース13にアクセスし、受信したデータに含まれるシリアル番号データに基づいて、当該データベースの各レコードのうち、処理対象とすべきレコード(フラッシュメモリー26からデータを読み取ったレシートプリンター10に対応するレコード)を特定する。次いで、メーカー管理サーバー12は、リード/ライト機能付携帯電話30から受信したデータに基づいて、処理対象としたレコードの各フィールドに、データを格納する。既にデータが格納されているフィールドについては、データを上書き更新する。
【0048】
具体的には、図8を参照して、シリアル番号フィールド76、製造地フィールド77、製品名フィールド78、保証期間フィールド79、会社名フィールド80、担当者フィールド81、保証期間基準日フィールド82、及び、保証期間延長日数フィールド83には、リード/ライト機能付携帯電話30から受信したデータのうち、対応するデータが格納(上書き更新)される。
また、現在位置フィールド84には、リード/ライト機能付携帯電話30から受信した現在位置データが格納(上書き更新)される。これにより、現在位置フィールド84には、レシートプリンター10の直近の位置を示す現在位置データが格納された状態となる。
平均通電時間フィールド85には、リード/ライト機能付携帯電話30から受信したデータに含まれる平均通電時間データが格納され、平均印刷行数フィールド86には、平均印刷行数データが格納され、平均発行枚数フィールド87には、平均発行枚数データが格納され、総通電時間フィールド88には、総通電時間データが格納され、総印刷行数フィールド89には、総印刷行数データが格納され、総発行枚数フィールド90には、総発行枚数データが格納され、エラーログフィールド91には、エラーログデータが格納される。
【0049】
メーカー管理サーバー12は、レシートプリンター管理データベース13に記憶されたデータを利用して、レシートプリンター10の動作状況の傾向を分析し、レシートプリンター10の利用態様を分析する。
以下、レシートプリンター10が実行する分析について、具体例を挙げて説明する。
なお、メーカー管理サーバー12には、以下の分析を行うためのアルゴリズムが組み込まれたプログラムが記憶されており、メーカー管理サーバー12は、当該プログラムを実行することにより、以下の分析を実行する。すなわち、以下の分析は、メーカー管理サーバー12において、ハードウェアとソフトウェアとが協働して行われる。
【0050】
例えば、メーカー管理サーバー12は、各レコードの平均通電時間フィールド85に格納された平均通電時間データに基づいて、レシートプリンター管理データベース13のレコードに係るレシートプリンター10全体の平均通電時間(1日に電源がオンされた時間の累計)の平均を算出する。次いで、メーカー管理サーバー12は、メーカーMによって予想されていたレシートプリンター10の1日における通電時間と、算出したレシートプリンター10全体の通電時間の平均とを比較し、予想されていた通電時間と、実際の通電時間との乖離量を検出し、検出した乖離量を記憶する。ここで検出された乖離量は、メーカーMが、レシートプリンター10を開発するにあたり、有益な情報として、利用される。
同様にして、メーカー管理サーバー12は、平均印刷行数データや、平均発行枚数データに基づいて、メーカーMによって予想されていたレシートプリンター10の1日における印刷枚数や、発行枚数と、実際の印刷枚数や、発行枚数との乖離量を検出する。
このように、メーカー管理サーバー12は、レシートプリンター10の実際の利用態様を分析し、分析結果に基づいて、有益な情報を出力する。
【0051】
また、例えば、メーカー管理サーバー12は、各レコードのエラーログフィールド91に格納されたエラーログデータに基づいて、発生したエラーの傾向を分析する。
詳細には、メーカー管理サーバー12は、エラーのそれぞれについて、各エラーが発生する頻度(傾向)を検出し、各エラーの発生頻度が各エラーの発生する頻度として許容される範囲を超えていないかどうかを検出する。そして、エラーの頻度が許容される範囲を超えていることを検出した場合、当該エラーの内容を明示した上で、その旨を報知、警告する。当該報知、警告は、例えば、メーカー管理サーバー12が備える表示パネルに表示されることによって行われる。当該報知、警告が行われることにより、メーカーMは、許容される範囲を超える頻度で発生しているエラーが存在していることを迅速に認識でき、この認識に基づいて、原因の究明や、当該エラーに関する告知等の適切な処理を実行することができる。
なお、製造地フィールド77に格納された製造地データを利用して、製造地ごとに、エラーの発生頻度を検出するようにしてもよい。これによれば、特定の製造地で製造されたレシートプリンター10について、許容される範囲を超える頻度でエラーが発生していることを検出可能となり、エラーがこのような頻度で発生することに対する原因究明に関する有益な情報を、メーカーMに対して出力可能となる。
同様に、会社名フィールド80に格納された会社名データを利用して、POSシステムを構築したシステムインテグレーターSIごとに、エラーの発生頻度を検出するようにしてもよい。
このように、メーカー管理サーバー12は、レシートプリンター10について、発生するエラーの傾向を含む動作状況の傾向を分析し、分析結果に基づいて、有益な情報を出力する。
【0052】
また、例えば、メーカー管理サーバー12は、現在位置フィールド84に格納された現在位置データが示す情報に基づいて、レシートプリンター10が設置されている位置を検出する。そして、検出した位置が、レシートプリンター10が設置されるエリアとして想定されているエリアから外れている場合、当該レシートプリンター10が盗難その他の理由により、想定エリアから外れた場所に位置していることがあるため、その旨を報知、警告する。
また、例えば、メーカー管理サーバー12は、各レコードの現在位置フィールド84に格納された現在位置データが示す情報に基づいて、エリア毎に、レシートプリンター10が配置されている台数を検出する等して、レシートプリンター10の配置状況を分析し、記憶する。この分析結果は、メーカーMが、レシートプリンター10を販売するにあたり、有益な情報として、利用される。
【0053】
次いで、稼働ステップS4において、1のレシートプリンター10が故障し、また、何らかのエラーが発生した場合について説明する。
この場合、小売店Kの関係者は、POSシステムの構築を担当したシステムインテグレーターSIに連絡し、1のレシートプリンター10が故障し、また、エラーが発生したことを伝える。なお、当該連絡に際し、小売店Kの関係者は、本日が保証期間中であるか否かを知りたいと考えた場合、上述したように、故障が発生したレシートプリンター10に設けられた操作スイッチを操作して、フラッシュメモリー26に記憶されたデータが示す情報を表示パネルに表示し、また、当該情報をロール紙に記録することにより、容易、かつ、確実に、本日が保証期間中であるか否かを知ることができる。
小売店Kから連絡を受けたシステムインテグレーターSIは、小売店Kに赴く。そして、システムインテグレーターSIは、リード/ライト機能付携帯電話30に設けられた操作スイッチを操作して、リード/ライト機能付携帯電話30の動作モードを、データ吸い上げモードへ移行する。
データ吸い上げモードとは、リード/ライト機能付携帯電話30と、レシートプリンター10のRFIDタグ27とが近接し、近距離無線通信可能な状態となった場合に、レシートプリンター10のRFIDタグ27から、リード/ライト機能付携帯電話30に対して、フラッシュメモリー26に記憶された各データを送信させる動作モードである。
ここで、レシートプリンター10の故障には、電源系統の故障等、レシートプリンター10の電源がオンできなくなるような故障もある。そして、上述したように、本実施形態では、レシートプリンター10のRFIDタグ27は、リード/ライト機能付携帯電話30から受信した電力供給用の電波を利用して、レシートプリンター10の電源がオフの場合であっても、フラッシュメモリー26に対するデータの読み書きを実行できる構成となっている。このため、上記のような故障が発生した場合であっても、動作モードがデータ吸い上げモードであるリード/ライト機能付携帯電話30をRFIDタグ27に近接させることにより、確実に、フラッシュメモリー26に記憶されたデータを、RFIDタグ27から、リード/ライト機能付携帯電話30に対して送信させることができる。
【0054】
データ吸い上げモードのリード/ライト機能付携帯電話30に、RFIDタグ27から各データが送信されると、リード/ライト機能付携帯電話30の携帯側制御部50は、携帯側表示部52を制御して、受信した各データを示す情報を表示パネルに表示する。この情報には、保証期間、保証期間基準日、及び、保証期間延長日数が含まれると共に、エラーログが含まれている。
このように、保証期間、保証期間基準日、及び、保証期間延長日数がリード/ライト機能付携帯電話30の表示パネルに表示されるため、システムインテグレーターSIは、これら情報に基づいて、容易に、現時点が、保証期間中であるか否かを判別できる。
また、エラーログがリード/ライト機能付携帯電話30の表示パネルに表示されるため、システムインテグレーターSIは、表示パネルに表示されたエラーログの内容を参照して、効率よく故障や、エラーの原因を究明できる。
【0055】
さらに、本実施形態では、レシートプリンター10の修理にあたり、システムインテグレーターSIは、メーカー管理サーバー12が提供する以下のサービスを利用できる。
すなわち、エラーログデータをメーカー管理サーバー12に送信することを指示するためのユーザーインターフェースを提供するアプリケーションがメーカーMから提供されており、システムインテグレーターSIは、事前に、当該アプリケーションをリード/ライト機能付携帯電話30にダウンロードする。
そして、システムインテグレーターSIは、当該アプリケーションの機能によって実現されるユーザーインターフェースを利用して、RFIDタグ27から受信したエラーログデータを、メーカー管理サーバー12に送信することを指示する。
当該指示をトリガーとして、携帯側制御部50は、当該アプリケーションの機能により、無線通信部55を制御して、エラーログデータをメーカー管理サーバー12に送信する。
メーカー管理サーバー12では、過去に受信したエラーログデータと、当該エラーログデータの内容が示すエラーに対処したときの対処手順に関する情報を示すデータとが対応づけて記憶されている。そして、リード/ライト機能付携帯電話30からエラーログを受信した場合、メーカー管理サーバー12は、受信したエラーログデータを分析し、過去に受信したエラーログデータの中から、受信したエラーログデータの内容と同一の、又は、類似した内容を有するエラーログデータを検出する。そして、メーカー管理サーバー12は、検出したエラーログデータの内容が示すエラーに対処したときの対処手順に関する情報を示すデータ取得し、取得したデータをリード/ライト機能付携帯電話30に送信する。
システムインテグレーターSIは、メーカー管理サーバー12からリード/ライト機能付携帯電話30が受信した対処手順に係るデータに基づいて、表示パネルに対処手順に係る情報を表示し、この情報を利用して、適切に、レシートプリンター10の修理を実行する。
なお、メーカー管理サーバー12は、エラーログデータの内容が示すエラーごとに、各エラーを解消するための手順が記載されたマニュアルを電子データとして用意しておき、受信したエラーログデータに応じて、マニュアルに係る電子データをリード/ライト機能付携帯電話30に送信するようにしてもよい。
【0056】
さらに、レシートプリンター10に、エラーログがフラッシュメモリー26に正常に書き込まれないようなエラーが発生している場合もある。この場合、システムインテグレーターSIは、メーカー管理サーバー12が提供する以下のサービスを利用できる。
すなわち、エラーの状況を○×式や選択方式で入力するためのユーザーインターフェースを提供するアプリケーションがメーカーMから提供されており、システムインテグレーターSIは、事前に、当該アプリケーションをリード/ライト機能付携帯電話30にダウンロードする。
エラーの状況を○×式や選択方式で入力するとは、例えば、「電源が入らない→○(はい)or×(いいえ)」といったようなエラーの状況に関する質問に対して、択一的、選択的に答えることにより、エラー、故障の状況を入力することをいう。
そして、システムインテグレーターSIは、当該アプリケーションの機能によって実現されるユーザーインターフェースを利用して、エラーの状況を入力し、入力内容を確定する操作を行う。
当該操作をトリガーとして、携帯側制御部50は、当該アプリケーションの機能により、無線通信部55を制御して、入力内容を示すデータをメーカー管理サーバー12に送信する。
メーカー管理サーバー12では、過去に受信したデータに基づいて、質問に対する答えの組み合わせと、エラーの対処手順に関する情報を示すデータとが対応づけて記憶されている。そして、リード/ライト機能付携帯電話30からデータを受信した場合、メーカー管理サーバー12は、受信したデータに基づいて、受信したデータが示すエラーに対応する対処手順に関する情報を示すデータを取得し、取得したデータをリード/ライト機能付携帯電話30に送信する。
システムインテグレーターSIは、メーカー管理サーバー12からリード/ライト機能付携帯電話30が受信した対処手順に係るデータに基づいて、表示パネルに対処手順に係る情報を表示し、この情報を利用して、適切に、レシートプリンター10の修理を実行する。
なお、メーカー管理サーバー12は、質問に対する答えの組み合わせごとに、各エラーを解消するための手順が記載されたマニュアルを電子データとして用意しておき、受信したデータに応じて、マニュアルに係る電子データをリード/ライト機能付携帯電話30に送信するようにしてもよい。
また、メーカー管理サーバー12は、エラーの特定にあたり、エラーログデータや、質問に対する回答に係るデータのみならず、総通電時間データや、総印刷行数データ、総発行枚数データをさらに利用して、エラーを特定するようにしてもよい。これにより、多面的なエラーの特定が可能となる。
【0057】
以上説明したように、本実施形態に係るレシートプリンター10は、リード/ライト機能付携帯電話30との間で非接触で無線通信を実行すると共に、リード/ライト機能付携帯電話30との間での無線通信に基づいて、フラッシュメモリー26に対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能なRFIDタグ27と、フラッシュメモリー26に対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能な制御部20と、が筐体内に設けられ、RFIDタグ27及び制御部20のいずれからもフラッシュメモリー26に対する情報の書き込み及び読み取りを実行可能に構成されている。そして、制御部20は、駆動部たるプリントエンジン25や、このプリントエンジン25によって制御される印刷機構の動作状況を検出し、検出した動作状況を示す情報をフラッシュメモリー26に書き込む。
これによれば、駆動部たるプリントエンジン25や、このプリントエンジン25によって制御される印刷機構の動作状況を示す情報が制御部20によってメモリーに書き込まれると共に、リード/ライト機能付携帯電話30は、RFIDタグ27との非接触の無線通信を介して、フラッシュメモリー26から駆動部の動作状況を示す情報を読み取ることができる。このため、リード/ライト機能付携帯電話30と、RFIDタグ27との間で無線通信させるという容易な作業によってフラッシュメモリー26に記憶された駆動部の動作状況を示す情報を、リード/ライト機能付携帯電話30に読み取らせることが可能な状態となる。
【0058】
また、本実施形態では、RFIDタグ27を、リード/ライト機能付携帯電話30から受信した電力供給用の電波を利用して、フラッシュメモリー26に対する情報の書き込み及び読み取りを実行できる構成とすることにより、電源のオフ時に、リード/ライト機能付携帯電話30によるフラッシュメモリー26に対する情報の書き込み及び読み取りを可能とした。
これによれば、電源をオンできないようなエラーがレシートプリンター10に発生した場合であっても、リード/ライト機能付携帯電話30によって、フラッシュメモリー26に記憶された駆動部の利用状況を示す情報を読み取らせることができる。
【0059】
また、本実施形態では、RFIDタグ27は、リード/ライト機能付携帯電話30との間で、NFCの規格に準拠した近距離無線通信可能に構成されている。
ここで、NFCは、国際標準機関に次世代の標準規格として承認された近距離無線通信規格であると共に、既に広く普及している他の近距離無線通信規格と広く互換性を持っている、という特徴を有しており、今後、NFCの規格に準拠した近距離無線通信を行う機器が広く普及していくと考えられる。
これを踏まえ、上記構成によれば、RFIDタグ27を、NFCの規格に準拠した近距離無線通信可能な構成とすることにより、現在においても、さらに、将来においても、高い利用性、利便性を持って、RFIDタグ27を利用した保証に関する情報の処理を実行できる。
【0060】
また、本実施形態では、RFIDタグ27は、レシートプリンター10のフラッシュメモリー26に記憶された駆動部の動作状況に係るデータ(平均通電時間データ、平均印刷行数データ、平均発行枚数データ、総通電時間データや、総印刷行数データ、総発行枚数データ、及び、エラーログデータ)を読み取り、読み取ったデータをメーカー管理サーバー12へ送信し、メーカー管理サーバー12は、リード/ライト機能付携帯電話30から受信した情報を記憶する。
これによれば、メーカー管理サーバー12は、個々のレシートプリンター10について、統括的に、駆動部の動作状況を示すデータを管理できる。
【0061】
また、本実施形態では、メーカー管理サーバー12は、レシートプリンター管理データベース13を用いて、複数の異なるレシートプリンター10について、これらレシートプリンター10の動作状況に係る情報を、それぞれレシートプリンター10を識別するシリアル番号データに対応付けて記憶し、記憶した情報に基づいて、レシートプリンター10の動作状況の傾向を分析し、又は、レシートプリンター10の利用態様を分析することを特徴とする。
これによれば、メーカー管理サーバー12は、レシートプリンター管理データベース13に記憶された動作状況を示すデータを利用して、総合的、かつ、統括的に、レシートプリンター10の動作状況の傾向を分析し、又は、レシートプリンター10の利用態様を分析することができる。この分析結果は、例えば、レシートプリンター10の開発や、レシートプリンター10の販売に関する有益な情報として利用できる。
【0062】
なお、上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の範囲内で任意に変形および応用が可能である。
例えば、上述した実施形態では、フラッシュメモリー26に記憶されるデータについて、例を挙げて具体的に説明したが、フラッシュメモリー26に記憶されるデータは、上述した実施形態で説明したものに限らず、必要に応じて増減してもよい。例えば、製品コードや、製品機種に係るデータを記憶するようにしてもよく、また、保証期間の最終日を示すデータを記憶するようにしてもよい。このことは、レシートプリンター管理データベース13において記憶するデータについても同様である。
また、上述した実施形態では、電子機器として、レシートプリンター10を例に挙げて説明したが、本発明が適用される電子機器は、レシートプリンター10に限らない。すなわち、駆動部を備える電子機器に広く本発明を適用可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…情報管理システム、10…レシートプリンター(電子機器)、11…通信ネットワーク(通信回線)、12…メーカー管理サーバー(サーバー装置)、20…制御部、25…プリントエンジン(駆動部)、26…フラッシュメモリー(メモリー)、27…RFIDタグ(非接触タグ)、30…ライト機能付携帯電話(情報処理端末)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部を備える電子機器であって、
外部の情報処理端末装置との間で非接触で無線通信を実行すると共に、前記情報処理端末との間での無線通信に基づいて、メモリーに対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能な非接触タグと、
前記メモリーに対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能な制御部と、を筐体内に設け、前記非接触タグ及び前記制御部のいずれからも前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを実行可能に構成し、
前記制御部は、前記駆動部の動作状況を検出し、検出した前記駆動部の動作状況を示す情報を前記メモリーに書き込むこと、を特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記非接触タグを、前記情報処理端末から受信した電力供給用の電波を利用して、前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを実行できる構成とすることにより、電源のオフ時に、前記情報処理端末装置による前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを可能としたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記非接触タグは、前記情報処理端末との間で、NFCの規格に準拠した近距離無線通信可能に構成されたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
駆動部と、外部の情報処理端末装置との間で非接触で無線通信を実行すると共に、前記情報処理端末との間での無線通信に基づいて、メモリーに対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能な非接触タグと、前記メモリーに対して情報の書き込み及び読み取りを実行可能に構成され、前記駆動部の動作状況に係る情報を前記メモリーに書き込む制御部と、を有する電子機器と、
前記情報処理端末と通信回線を介して接続されたサーバー装置と、を備え、
前記情報処理端末は、前記電子機器の前記メモリーに記憶された前記駆動部の動作状況に係る情報を読み取り、読み取った情報を前記サーバー装置へ送信し、
前記サーバー装置は、前記情報処理端末から受信した情報を記憶すること、を特徴とする情報管理システム。
【請求項5】
前記電子機器が備える前記非接触タグを、前記情報処理端末から受信した電力供給用の電波を利用して、前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを実行できる構成とすることにより、前記電子機器の電源のオフ時に、前記情報処理端末装置による前記メモリーに対する情報の書き込み及び読み取りを可能としたことを特徴とする請求項4に記載の情報管理システム。
【請求項6】
前記サーバー装置は、
前記情報処理端末から受信した情報に基づいて、複数の異なる前記電子機器について、これら電子機器が備える前記駆動部の動作状況に係る情報を、それぞれの前記電子機器を識別する識別情報に対応付けて記憶し、記憶した情報に基づいて、前記電子機器の動作状況の傾向を分析し、又は、前記電子機器の利用態様を分析することを特徴とする請求項4又は5に記載の情報管理システム。
【請求項7】
前記非接触タグは、前記情報処理端末との間で、NFCの規格に準拠した近距離無線通信可能に構成されたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−42995(P2012−42995A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−180861(P2010−180861)
【出願日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】