電子機器および電子機器の衛星信号受信方法
【課題】電子機器の受信環境を適切に判断でき、効率的な受信動作を行うことができる電子機器を提供すること。
【解決手段】GPS付き腕時計は、位置情報衛星を捕捉して衛星信号を受信する受信部と、受信部を制御する受信制御部21と、ソーラーパネルとを備える。受信制御部21は、ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部211と、判定部211の判定結果に基づいて、時刻情報受信モードまたは位置時刻情報受信モードを選択するモード選択部212とを備え、選択した受信モードで受信部の動作を制御する。このため、受信環境に適した受信モードで受信処理を実行でき、消費電力を削減して電池寿命を伸ばすことができる。
【解決手段】GPS付き腕時計は、位置情報衛星を捕捉して衛星信号を受信する受信部と、受信部を制御する受信制御部21と、ソーラーパネルとを備える。受信制御部21は、ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部211と、判定部211の判定結果に基づいて、時刻情報受信モードまたは位置時刻情報受信モードを選択するモード選択部212とを備え、選択した受信モードで受信部の動作を制御する。このため、受信環境に適した受信モードで受信処理を実行でき、消費電力を削減して電池寿命を伸ばすことができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばGPS衛星等の位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して現在の位置や時刻情報を取得する電子機器および電子機器の衛星信号受信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自己位置を測位するためのシステムであるGPS(Global Positioning System)システムでは、地球を周回する軌道を有するGPS衛星が用いられており、このGPS衛星には、原子時計が備えられている。このため、GPS衛星は、極めて正確な時刻情報(GPS時刻、衛星時刻情報)を有している。そこで、GPS衛星の時刻情報(GPS時刻)を利用して時刻修正を行う電子時計が提案されている。
【0003】
ところで、GPS衛星からの信号は、マイクロ波であって直進性が強いため、GPS衛星と、この衛星からの信号を受信する電子時計等の電子機器との間に障害物があると、衛星信号を受信することができない。特に、電子機器が屋内に配置されている場合には、壁や屋根などで周囲が囲まれてしまうため、GPS衛星からの信号を受信することが困難となる。
【0004】
このような環境で受信処理を行うと、衛星信号を受信できずに電力消費が嵩み、特に腕時計のような電池で駆動される電子機器では、電池の電力が無駄に消費され、持続時間も短くなってしまう。
【0005】
このため、電子機器が屋内外のいずれの環境にあるのかを判断し、屋外にあると判断した場合には受信動作を実行するが、屋内にあると判断した場合には受信動作を行わないように制御して、無駄に電力が消費されることを防止できる電子機器が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−39565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、屋内外を判断した際に、受信動作を実行するかしないかの制御を行っているだけであるため、効率的な受信動作を行うことが難しいという問題があった。
特に、腕時計のように人に装着された電子機器では、屋外と判断された場合でも、装着者が歩行などで移動していると、電子機器の向きが変化したり、建物の陰に隠れて受信できない可能性があり、このような受信環境が実際に悪い場合でも受信動作を継続してしまうという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、電子機器の受信環境を適切に判断でき、その判断に基づいて受信動作を制御することで,効率的な受信動作を行うことができる電子機器および電子機器の衛星信号受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子機器は、位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、前記受信部を制御する受信制御部と、ソーラーパネルと、を備える電子機器であって、前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記衛星信号を受信して時刻情報を取得する時刻情報受信モード、または、前記衛星信号を受信して位置情報および時刻情報を取得する位置時刻情報受信モードを選択するモード選択部と、を備え、前記モード選択部で選択した受信モードで前記受信部の動作を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ソーラーパネルの発電量は、太陽光が照射しない室内では低くなり、太陽光が照射する屋外では、仮に曇天であっても室内の場合よりも高くなる。従って、判定部は、太陽が出ている昼間であれば、ソーラーパネルの発電量により、電子機器が現在配置されているのが、室内であるのか屋外であるのかを判定できる。
そして、モード選択部は、判定部において、例えば室内と判定された場合には、屋外に比べて衛星信号の受信が難しい環境となる点を考慮し、1つの衛星からの信号受信のみで処理可能な時刻情報受信モードを選択する。一方、モード選択部は、判定部において、室外と判定された場合には、3以上の衛星からの信号受信で処理することになる位置時刻情報受信モードを選択すればよい。
【0011】
このような本発明によれば、判定部がソーラーパネルの発電量に基づいて受信環境を判定しているので、モード選択部では、時刻情報受信モードおよび位置時刻情報受信モードのうち、その受信環境に適した受信モードを適切に選択できる。
これにより、複数の位置情報衛星を捕捉し、各衛星からの信号を受信する必要がある位置時刻情報受信モードは、電子機器が屋外にあって受信環境が良好であると判定された場合のみ実施することができるため、衛星信号を効率的に受信することができ、消費電力の削減を図り、電池寿命をのばすことができる。
また、電源としても利用できるソーラーパネルの発電量で受信環境を判断しているため、受信環境を判断するための専用の部品を設ける場合に比べて、部品点数を少なくでき、電子機器を小型化でき、かつ、コストも低減できる。
さらに、ソーラーパネルの発電量は、太陽に対向して静止状態で配置されているときに最も高くなる一方で、昼間であっても、ソーラーパネルの向きが変化したり、建物の陰に隠れてしまう場合には低くなる。従って、ソーラーパネルの発電量を確認すれば、電子機器が屋外に配置されていることだけでなく、ソーラーパネルが静止状態でかつ建物の陰に隠れていない状態つまり受信環境が良好な状態であるのか、あるいは、ソーラーパネルの向きが変化したり、建物の陰に隠れている状態つまり受信環境が必ずしも良くない状態であるのかも判別できる。従って、判定部は受信環境を精度よく判定でき、モード選択部は適切な受信モードを選択することができる。
【0012】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量を所定の変化量監視時間監視して、前記変化量監視時間における発電量の変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定し、前記モード選択部は、前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値以上であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択し、前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値未満であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択することが好ましい。
なお、変化量監視時間としては、ソーラーパネルの発電変化量を把握できる時間であればよく、例えば10〜20秒程度に設定すればよい。
【0013】
発電量の変化量が変化量判定閾値以上と大きい場合には、電子機器の向きが変化していることが予測される。例えば、電子機器として腕時計を想定した場合、利用者が腕時計を静止状態に維持している場合には、ソーラーパネルの向きも一定となるため、発電量の変化量も小さくなる。この場合、位置情報衛星に対する電子機器の向きや位置も変化が少ないと予測でき、受信環境も良好であると判断できる。
一方、利用者が腕時計を装着しながら歩行している場合には、歩行に伴い、腕時計を装着した利用者も移動して建物の陰に出入りしたり、歩行で腕が振られることで、腕時計の向きが大きく変化するため、発電量の変化量も大きくなる。この場合には、位置情報衛星に対する電子機器の向きや位置も大きく変化すると予測でき、また、ビルなどで衛星信号が遮られるおそれもあり、そのため、受信環境は必ずしも良好ではないと判断できる。
従って、発電量の変化量に基づいて受信モードを選択すれば、受信環境に適した受信モードを選択でき、効率的に受信できる。このため、消費電力の削減を図り、電池寿命ものばすことができる。
【0014】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定し、前記モード選択部は、前記判定部において発電量が発電量判定閾値以上であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択し、前記判定部において発電量が発電量判定閾値未満であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択することが好ましい。
【0015】
発電量が発電量判定閾値以上と大きい場合には、電子機器が屋外にあって受信環境も良好であると予測できるため、位置時刻情報受信モードで受信処理を行っても効率的に受信処理を行うことができる。
一方、発電量が発電量判定閾値未満と小さい場合には、電子機器が室内にあって受信環境は必ずしも良好ではないと予測できるため、その受信環境においても受信処理が可能である時刻情報受信モードを選択することで、効率的な受信処理が可能となる。
従って、判定部は、発電量を発電量判定閾値と比較することで、受信環境を容易に判断でき、モード選択部は受信環境に応じた受信モードを選択できて、効率的に受信できる。このため、消費電力の削減を図り、電池寿命も伸ばすことができる。
【0016】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定第1閾値以上であるか、前記発電量判定第1閾値よりも小さな発電量判定第2閾値未満であるか、あるいは前記発電量判定第1閾値未満でかつ発電量判定第2閾値以上であるかを判定し、前記モード選択部は、前記判定部において発電量が発電量判定第1閾値以上であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択し、前記判定部において発電量が発電量判定第1閾値未満であり、かつ、発電量判定第2閾値以上であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択し、前記判定部において発電量が発電量判定第2閾値未満であると判定した場合は、利用者が受信モードを選択できる状態に移行することが好ましい。
【0017】
本発明では、発電量が発電量判定第1閾値以上であれば、昼間の屋外に電子機器が配置され、受信環境も良好であると予測できるため、位置時刻情報受信モードで受信処理を行っても効率的に受信処理を行うことができる。
また、発電量が発電量判定第1閾値未満、発電量判定第2閾値以上であれば、室内に電子機器が配置されていると予測できるため、その受信環境においても受信処理が可能である時刻情報受信モードを選択することで、効率的な受信処理が可能となる。
さらに、発電量が発電量判定第2閾値未満と非常に小さい場合は、電子機器は夜間の屋外や、消灯した室内に配置されている可能性が高い。この場合、利用者に受信モードを選択させるため、例えば、夜間であっても受信環境が良好な屋外に電子機器が配置されている場合には、利用者が位置時刻情報受信モードを選択しても効率的に受信を行うことができる。一方、消灯された室内に電子機器が配置されている場合は、利用者がその受信環境を考慮し、時刻情報受信モードを選択すれば、効率的な受信処理が可能となる。
【0018】
本発明の電子機器において、前記受信制御部は、前記モード選択部で前記時刻情報受信モードが選択された場合のタイムアウト時間を、前記位置時刻情報受信モードが選択された場合のタイムアウト時間に比べて短く設定することが好ましい。
【0019】
時刻情報受信モードが選択された場合は、受信環境が悪いと判定されているため、例えば、地下街やビルにおいて窓の無い部屋内など、1つの位置情報衛星からの信号も受信できない環境に電子機器が配置されている可能性がある。
本発明では、時刻情報受信モードが選択された場合は、タイムアウト時間を短くしているので、衛星信号をまったく受信できない環境であっても、受信処理を無駄に継続することがないため、消費電流が増大して電池寿命が短縮されることを防止できる。
【0020】
本発明の電子機器は、位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、前記受信部を制御する受信制御部と、ソーラーパネルと、を備える電子機器であって、前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定部と、を備え、前記受信部を動作させて受信を開始した後、受信に成功せずに前記タイムアウト時間設定部で設定されたタイムアウト時間に達した場合には、受信部を停止させて受信を終了することを特徴とする。
【0021】
本発明においても、前記判定部は、太陽が出ている昼間であれば、ソーラーパネルの発電量により、電子機器が現在配置されているのが、室内であるのか屋外であるのかを判定できる。
そして、タイムアウト時間設定部は、判定部において、例えば室内と判定された場合には、屋外に比べて衛星信号の受信が難しい環境となり、受信時間を長くしても結局受信できない場合が多い点を考慮し、タイムアウト時間を短くすればよい。一方、タイムアウト時間設定部は、判定部において、室外と判定された場合には、受信をある程度継続すれば、建物の陰で受信できない状態であっても、電子機器が移動することなどで、受信に成功する可能性も高い点を考慮し、タイムアウト時間を長くすればよい。
【0022】
このような本発明によれば、判定部がソーラーパネルの発電量に基づいて受信環境を判定しているので、タイムアウト時間設定部では、その受信環境に適したタイムアウト時間を適切に設定できる。
これにより、電子機器が屋外にあって受信環境が良好であると判定された場合には、受信開始当初に位置情報衛星を捕捉できなくても、電子機器が建物の陰などから移動すれば受信できるようになるため、タイムアウト時間を長くすることで、衛星信号を効率的に受信することができる。
一方、電子機器が屋内にあって受信環境が良くないと判定された場合には、受信処理を継続しても位置情報衛星を捕捉できない可能性が高いため、タイムアウト時間を短くすることで、無駄な受信処理が長時間継続されることを防止できる。
また、電源としても利用できるソーラーパネルの発電量で受信環境を判断しているため、受信環境を判断するための専用の部品を設ける場合に比べて、部品点数を少なくでき、電子機器を小型化でき、かつ、コストも低減できる。
さらに、前述したように、ソーラーパネルの発電量を確認すれば、電子機器が屋外に配置されていることだけでなく、ソーラーパネルが静止状態でかつ建物の陰に隠れていない状態つまり受信環境が良好な状態であるのか、あるいは、ソーラーパネルの向きが変化したり、建物の陰に隠れている状態つまり受信環境が必ずしも良くない状態であるのかも判別できる。従って、判定部は受信環境を精度よく判定でき、タイムアウト時間設定部は適切なタイムアウト時間を設定することができる。
【0023】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定し、前記タイムアウト時間設定部は、前記判定部において発電量が発電量判定閾値以上であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を第1時間に設定し、前記判定部において発電量が発電量判定閾値未満であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を前記第1時間よりも短い第2時間に設定することが好ましい。
【0024】
発電量が発電量判定閾値以上と大きい場合には、電子機器が屋外にあって受信環境も良好であると予測できるため、タイムアウト時間を第2時間よりも長い第1時間に設定することで、一部の位置情報衛星が建物の陰に一時隠れて受信できないことがあっても、タイムアウト時間をある程度長くして受信を継続することで、電子機器等が移動して位置情報衛星を捕捉できるようになり、衛星信号の受信に成功する可能性を高めることができる。
一方、発電量が発電量判定閾値未満と小さい場合には、電子機器が室内にあって受信環境は必ずしも良好ではないと予測できるため、タイムアウト時間を短くすることで無駄な受信処理を長時間継続することを防止できる。
従って、判定部は、発電量を発電量判定閾値と比較することで、受信環境を容易に判断でき、タイムアウト時間設定部は受信環境に応じたタイムアウト時間を設定できて、効率的に受信できる。このため、消費電力の削減を図り、電池寿命も伸ばすことができる。
【0025】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量を所定の変化量監視時間監視して、前記変化量監視時間における発電量の変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定し、前記タイムアウト時間設定部は、前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値未満であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を第1時間に設定し、前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値以上であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を前記第1時間よりも短い第2時間に設定することが好ましい。
なお、変化量監視時間としては、ソーラーパネルの発電変化量を把握できる時間であればよく、例えば10〜20秒程度に設定すればよい。
【0026】
発電量の変化量が変化量判定閾値以上と大きい場合には、電子機器の向きが変化していることが予測される。例えば、電子機器として腕時計を想定した場合、利用者が腕時計を静止状態に維持している場合には、ソーラーパネルの向きも一定となるため、発電量の変化量も小さくなる。この場合、位置情報衛星に対する電子機器の向きや位置も変化が少ないと予測でき、受信環境も良好であると判断できる。
一方、利用者が腕時計を装着しながら歩行している場合には、歩行に伴い、腕時計を装着した利用者も移動して建物の陰に出入りしたり、歩行で腕が振られることで、腕時計の向きが大きく変化するため、発電量の変化量も大きくなる。この場合には、位置情報衛星に対する電子機器の向きや位置も大きく変化すると予測でき、また、ビルなどで衛星信号が遮られるおそれもあり、そのため、受信環境は必ずしも良好ではないと判断できる。
従って、発電量の変化量に基づいてタイムアウト時間を設定すれば、受信環境に適したタイムアウト時間を設定でき、効率的に受信できる。このため、消費電力の削減を図り、電池寿命ものばすことができる。
【0027】
本発明の電子機器において、前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量が、予め設定された発電量閾値を超えた状態が所定の屋外判定時間以上継続した場合に、前記受信部を作動して受信動作を開始することが好ましい。
なお、前記屋外判定時間とは、電子機器が屋外に移動したことを判断できる時間であればよく、通常は、数秒から10秒程度の期間であればよい。
【0028】
本発明では、例えば、電子機器を室外から屋外に移動すると、ソーラーパネルの発電量が増大する。従って、発電量閾値を超えた状態が所定の屋外判定時間以上継続した場合には、電子機器は完全に屋外に移動し、良好な受信環境に配置されていると予測できる。そして、この場合に、自動的に受信動作を開始すれば、電子機器の自動受信を、常に受信環境が良好な状態で開始することができ、自動受信時の受信処理を効率的に行うことができ、消費電力の削減を図り、電池寿命を伸ばすことができる。
【0029】
ここで、前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量が、予め設定された発電量閾値を超えた状態が前記屋外判定時間以上継続した場合に、前回の受信成功時から所定の受信間隔設定時間以上経過していない場合には、前記受信動作を開始しないことが好ましい。
なお、受信間隔設定時間は、受信処理の最小間隔を設定するものであり、例えば、24時間(1日)に設定すればよい。
【0030】
本発明では、発電量が閾値を超えた状態が前記屋外判定時間以上継続した場合に自動受信を開始すると、1日に複数回建物から出入りするような場合にも、その都度、受信処理を行ってしまい、消費電力が増大する。
電子機器が時計である場合、時刻合わせのための受信動作は、通常、1日以上の間隔で行えば十分であるため、1日に何度も自動受信を行う必要は無い。
本発明では、前回の受信成功時から所定の受信間隔設定時間以上経過していない場合には、自動受信を実行しないため、例えば、前記受信間隔設定時間を24時間などに設定すれば、1日に複数回受信処理を行うことを確実に防止できる。このため、受信回数を必要最小限に押さえることができ、効率的な受信処理を行うことができ、消費電力の増大や電池寿命の短縮を防止できる。
【0031】
本発明の電子機器において、前記受信制御部は、利用者の手動操作によって受信指示操作が行われた場合に、前記受信部を作動して受信動作を開始することが好ましい。
【0032】
手動操作で受信動作を開始した場合も、判定部がソーラーパネルの発電量に基づいて受信モードを選択するため、効率的な受信処理を行うことができ、消費電力の増大や電池寿命の短縮を防止できる。
【0033】
本発明は、位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、前記受信部を制御する受信制御部と、ソーラーパネルと、を備える電子機器の衛星信号受信方法であって、前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定工程と、前記判定工程の判定結果に基づいて、前記衛星信号を受信して時刻情報を取得する時刻情報受信モード、または、前記衛星信号を受信して位置情報および時刻情報を取得する位置時刻情報受信モードを選択するモード選択工程と、前記モード選択工程で選択した受信モードで前記受信部の動作を制御する受信制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0034】
本発明は、位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、前記受信部を制御する受信制御部と、ソーラーパネルと、を備える電子機器の衛星信号受信方法であって、前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定工程と、前記判定工程の判定結果に基づいて、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定工程と、前記受信部を動作させて受信を開始した後、受信に成功せずに前記タイムアウト時間設定工程で設定されたタイムアウト時間に達した場合には、受信部を停止させて受信を終了する受信制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0035】
このような各発明においても、前記電子機器の発明と同様に、受信環境に応じた効率的な受信処理を行うことができ、消費電力の増大や電池寿命の短縮を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態であるGPS付き腕時計を示す概略図である。
【図2】GPS付き腕時計の回路構成を示す概略図である。
【図3】GPS付き腕時計のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】制御装置における受信処理を示すフローチャートである。
【図6】照度と発電量の関係の一例を示すグラフである。
【図7】時間経過に伴う発電電圧の変化の一例を示すグラフである。
【図8】時刻情報受信モードの処理を示すフローチャートである。
【図9】位置時刻情報受信モードの処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第4実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の変形例の受信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0038】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明に係る電子機器であるGPS衛星信号受信装置付き腕時計1(以下「GPS付き腕時計1」という)を示す概略図である。また、図2は、GPS付き腕時計1の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
図1に示すように、GPS付き腕時計1は、文字板2および指針3からなる時刻表示部を備える。文字板2の一部には開口が形成され、LCD表示パネル等からなるディスプレイ4が組み込まれている。
【0039】
指針3は、秒針、分針、時針等を備えて構成され、ステップモータで歯車を介して駆動される。
ディスプレイ4はLCD表示パネル等で構成され、緯度、経度や都市名等の位置情報を表示する他、メッセージ情報を表示する。
そして、GPS付き腕時計1は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星5からの衛星信号を受信して衛星時刻情報を取得し、内部時刻情報を修正したり、測位情報つまり現在位置をディスプレイ4に表示できるように構成されている。
なお、GPS衛星5は、本発明における位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。現在は約30個のGPS衛星5が周回している。
【0040】
また、GPS付き腕時計1には、外部操作部材であるボタン6やリュウズ7が設けられている。
【0041】
[GPS付き腕時計の回路構成]
次に、GPS付き腕時計1の回路構成について説明する。
GPS付き腕時計1は、図2に示すように、GPS装置(GPSモジュール)10、制御装置(CPU)20、記憶装置(記憶部)30、入力装置40、表示装置(表示部)50、電源60、ソーラーパネル70を備えている。記憶装置30は、RAM31およびROM32を備える。これらの各装置は、データバス80等を介してデータを通信している。
なお、表示装置50は、時刻や測位情報を表示する前記指針3やディスプレイ4で構成されている。
また、電源60は、ソーラーパネル70で発電された電力を蓄積可能な二次電池で構成されている。
【0042】
[GPS装置の構成]
GPS装置10は、GPSアンテナ11を備え、GPSアンテナ11を介して受信した衛星信号を処理して時刻情報や位置情報を取得するものである。
GPSアンテナ11は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星5からの衛星信号を受信するパッチアンテナとなっている。このGPSアンテナ11は文字板2の裏面側に配置され、GPS付き腕時計1の表面ガラスおよび文字板2を通過した電波を受信するように構成されている。
このため、文字板2および表面ガラスは、GPS衛星5から送信される衛星信号である電波を通す材料で構成されている。例えば、文字板2はプラスチックで構成されている。
【0043】
そして、GPS装置10は、図示を略すが、通常のGPS装置と同様に、GPS衛星5から送信される衛星信号を受信してデジタル信号に変換するRF(Radio Frequency)部と、受信信号の相関判定を行って同期を行うBB部(ベースバンド部)と、BB部で復調された航法メッセージ(衛星信号)から時刻情報や測位情報を取得する情報取得部とを備える。
【0044】
RF部は、バンドパスフィルタ、PLL回路、IFフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、ADC(A/D変換器)、ミキサ、LNA(Low Noise Amplifier)、IFアンプ等を備えている。
そして、バンドパスフィルタで抜き出された衛星信号は、LNAで増幅された後、ミキサでVCOの信号とミキシングされ、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)にダウンコンバートされる。ミキサでミキシングされたIFは、IFアンプ、IFフィルタを通り、ADC(A/D変換器)でデジタル信号に変換される。
【0045】
BB部は、GPS衛星5で送信時に使用されたものと同一のC/Aコードからなるローカルコードを生成するローカルコード生成部と、前記ローカルコードとRF部から出力される受信信号との相関値を算出する相関部とを備える。
そして、前記相関部で算出された相関値が所定の閾値以上であれば、受信した衛星信号に用いられたC/Aコードと生成したローカルコードが一致していることになり、衛星信号を捕捉(同期)することができる。このため、受信した衛星信号を、前記ローカルコードを用いて相関処理することで、航法メッセージを復調することができる。
【0046】
情報取得部は、BB部で復調した航法メッセージから時刻情報や位置情報を取得する。すなわち、GPS衛星5から送信される航法メッセージには、プリアンブルデータ及びHOWワードのTOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)、各サブフレームデータが含まれている。サブフレームデータは、サブフレーム1からサブフレーム5まであり、各サブフレームには、例えば、週番号データや衛星健康状態データを含む衛星補正データ等や、エフェメリス(GPS衛星5毎の詳細な軌道情報)や、アルマナック(全GPS衛星5の概略軌道情報)などのデータが含まれている。
従って、情報取得部は、受信した航法メッセージから所定のデータ部分を抽出し、時刻情報や位置情報を取得している。このため、本実施形態では、GPS装置10によって受信部が構成されている。
【0047】
記憶装置30のROM32には、制御装置20で実行するプログラム等が記憶されている。
一方、記憶装置30のRAM31には、受信により取得した時刻情報や位置情報や、後述するソーラーパネル70の発電量(例えば、発電電圧)が記憶される。
【0048】
図3には、本実施形態の腕時計1の回路ブロックが示されている。
制御装置(制御回路)20は、GPS装置10のGPS受信回路10Aを制御するとともに、駆動回路51を介して表示装置50を制御する。また、充電回路61を制御して電源60への充電処理を制御する。さらに、腕時計1には、ソーラーパネル70の発電量(発電電圧)を測定する測定回路71が設けられており、制御装置20は、測定回路71の動作を制御して測定値を検出できるように構成されている。
【0049】
このように制御装置(制御回路、CPU)20は、ROM32に記憶されたプログラムにより各種制御を行う。このため、制御装置20は、図4に示すように、受信制御部21、表示制御部22、充電制御部23、測定制御部24を備える。
【0050】
表示制御部22は、駆動回路51を介して表示装置50における表示を制御するものである。例えば、表示制御部22は、受信処理によって時刻情報を取得した場合には、取得した時刻情報に基づいて前記表示装置50の指針3を移動させる処理を行う。また、表示制御部22は、位置情報を取得した場合には、ディスプレイ4にその位置情報を表示する処理を行う。
【0051】
充電制御部23は、充電回路61によって電源60の充電状態を把握し、過充電が生じないように充電処理を行う。
測定制御部24は、測定回路71を作動させてソーラーパネル70の発電量(発電電圧)を測定し、測定回路71から測定値を取得して記憶装置30のRAM31に記憶する処理を行う。
【0052】
受信制御部21は、判定部211と、モード選択部212を備える。
判定部211は、前記測定制御部24によって取得されたソーラーパネル70の発電量に基づいて受信環境を判定する。判定部211の具体的な処理は後述する。
モード選択部212は、判定部211の判定結果に基づいて、時刻情報受信モードまたは位置時刻情報受信モードを選択する。
そして、受信制御部21は、モード選択部212で選択された受信モードに基づいてGPS受信回路10Aを制御し、受信処理を行う。
【0053】
[受信処理]
次に、受信制御部21における受信制御について、図5のフローチャートも参照して説明する。図5の処理は、自動的に受信処理を行う場合の処理である。
まず、受信制御部21の判定部211は、前回の情報取得から受信間隔設定時間が経過したかを確認する(S11)。ここで、受信間隔設定時間は、腕時計1において必要な受信間隔に基づいて設定すればよく、本実施形態では24時間に設定されている。
そして、S11で「Yes」と判定されるまで、つまり前回の情報取得から受信間隔設定時間が経過するまでは受信処理を開始しないように制御している。
【0054】
判定部211は、S11で「Yes」と判定すると、測定制御部24を介して測定回路71を作動し、ソーラーパネル70の発電量が発電量閾値以上であるかを判定する(S12)。なお、本実施形態の測定回路71は、具体的にはソーラーパネル70の発電電圧を測定している。
ここで、発電量閾値は、ソーラーパネル70に入射する光の照度と発電量の関係に基づいて設定している。図6は、10000lx(ルクス)の発電量を1とした場合の相対発電量と照度との関係を示すグラフである。この図6に示すように、ソーラーパネル70の発電量は、晴天(昼間)が最も高く、曇天は晴天に比べて発電量が低下する。さらに、室内の場合は、曇天に比べても発電量が低下する。
そして、発電環境としては、屋外であれば、曇天・晴天に関係なく、室内に比べて良好であるため、発電量閾値は、室内(約5000lx以下)と屋外(約5000lx以上)との発電量を区別できる値に設定している。図6の場合、相対発電量における発電量閾値を0.5程度とすれば、室内であるか屋外であるのかを発電量で判定できる。
【0055】
次に、判定部211は、上記発電量閾値以上の発電量が屋外判定時間以上継続したか否かを判定する(S13)。ここで、屋外判定時間としては、例えば数秒(3秒)程度の時間に設定すればよい。例えば、室内を移動中に、窓からの光が一瞬ソーラーパネル70に照射した場合にも、測定回路71で測定される発電量が発電量閾値以上となる可能性があり、腕時計1が室内に配置されているのに、屋外であると誤判断する可能性がある。
これに対し、上記発電量閾値以上の発電量が屋外判定時間以上継続していれば、腕時計1が屋外にあることを正しく判定することができる。
判定部211は、S12、S13で「No」と判定された場合は、S12の判定処理から繰り返す。
【0056】
一方、判定部211は、S13で「Yes」と判定された場合は、所定の変化量監視時間における発電変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定する(S14)。ここで、変化量監視時間は、例えば10〜20秒程度に設定すればよい。
ここで、ソーラーパネル70の発電量(発電電圧)は、太陽に対するソーラーパネル70の向きなどで変化する。例えば、腕時計1の場合、利用者が腕時計1を太陽に向けて静止していれば発電量の変化は殆ど無い。そして、このように腕時計1を静止している場合、GPS衛星5に対する向きや位置も一定となるため、受信環境も良好となる。
【0057】
これに対し、利用者が腕に腕時計1を装着した状態で、歩行している場合には、腕が振られることで腕時計1の向きも逐次変化し、そのため、発電量も変化する。また、利用者がビルの陰などに移動しても発電量が変化する。このような状態では、GPS衛星5に対する腕時計1の位置や向きが逐次変化し、さらに、GPS衛星5と腕時計1との間にビルなどの遮蔽物が配置される場面もあり、受信環境は良好とは言えない。
そこで、判定部211は、図7に示すように、発電量(発電電圧)が発電量閾値Tを超えた時点から、変化量監視時間(例えば10秒)の間の発電変化を観察し、前記変化量監視時間内の発電電圧の最大値および最小値の差を発電変化量ΔVとし、この発電変化量ΔVが予め設定された変化量判定閾値未満であれば受信環境が良好であると判定し、前記閾値以上であれば受信環境が良好ではないと判定する。
なお、変化量判定閾値は実験データ等から設定すればよい。例えば、腕時計1を装着した状態で歩行したり、建物の陰に出入りした際の変化量を測定し、その最大変化量の半分の変化量を前記変化量判定閾値に設定すればよい。
【0058】
そこで、モード選択部212は、S14で「Yes」と判定された場合には、受信環境が良好ではないため、時刻情報受信モードを選択して受信処理を行う(S15)。
一方、モード選択部212は、S14で「No」と判定された場合には、受信環境が良好であると判定できるので、位置時刻情報受信モードを選択して受信処理を行う(S16)。
【0059】
[時刻情報受信モード]
次に、時刻情報受信モード(S15)での処理を図8に基づいて説明する。
時刻情報受信モード(S15)での処理が開始されると、受信制御部21は、GPS衛星5をサーチして1つのGPS衛星5を捕捉する一衛星サーチ処理を実行する(S21)。
次に、受信制御部21は、衛星を捕捉したか否かを判定する(S22)。受信制御部21はS22で衛星を捕捉していないと判断した場合は、サーチを開始してから所定時間を経過したか、すなわちタイムアウトになったか否かを判定する(S23)。ここで、サーチ時間のタイムアウト時間としては、たとえば、3秒程度に設定すればよい。
【0060】
S23でタイムアウト時間ではない場合、S22の衛星捕捉判定処理に戻る。一方、S23でタイムアウトであると判定した場合、受信制御部21は、GPS受信処理を停止する(S24)。また、表示制御部22は、受信に失敗したことを表示するとともに、現状の内部時刻を表示する(S25)。
【0061】
一方、S22で衛星を捕捉したと判定した場合、受信制御部21は時刻情報を取得したか否かを判定する(S26)。
ここで、S26で時刻情報を取得していない場合、受信制御部21は衛星捕捉後、所定時間を経過したか、すなわちデコード時間のタイムアウト時間になったか否かを判定する(S27)。ここで、デコードタイムアウト判定時間は、例えば1分程度に設定すればよい。
【0062】
S27でタイムアウト時間ではない場合、S26の時刻情報取得判定処理に戻る。一方、S27でタイムアウトであると判定した場合、受信制御部21は、GPS受信処理を停止する(S24)。また、表示制御部22は、受信に失敗したことを表示するとともに、現状の内部時刻を表示する(S25)。
【0063】
受信制御部21は、S26で「Yes」と判定すると、GPS受信処理を停止する(S28)。また、表示制御部22は、受信に成功したことを表示するとともに、取得した時刻情報を表示する(S29)。
【0064】
[位置時刻情報受信モード]
次に、位置時刻情報受信モード(S16)での処理を図9に基づいて説明する。
図9に示すように、位置時刻情報受信モード(S16)は、図8に示す時刻情報受信モード(S15)の一衛星サーチ処理(S21)の代わりに複数衛星サーチ処理(S31)を行い、時刻情報取得処理(S26)の代わりに位置情報取得処理(S36)を行い、取得時刻情報表示処理(S29)の代わりに取得位置&時刻情報表示処理(S39)を行うものである。
【0065】
位置時刻情報受信モードでは、位置情報を取得つまり測位を行うためには、GPS衛星5の正確な軌道情報であるエフェメリスパラメータを3衛星以上、通常は4衛星分、受信する必要がある。このため、複数衛星サーチ処理(S31)では、4つのGPS衛星5を捕捉できたか否かを判定している。
そして、位置情報取得処理(S36)では、捕捉した各GPS衛星5から送信される衛星信号において、位置情報を演算するために必要なエフェメリスパラメータを取得し、位置情報を取得している。
このエフェメリスパラメータを4衛星分取得するには約1〜2分程度かかるため、S37のデコード時間のタイムアウト判定は、例えば、3分に設定され、3分以上経過しても位置情報を取得できない場合にタイムアウトと判定している。従って、時刻情報受信モードのS27におけるデコード時間のタイムアウト時間(例えば1分)は、位置時刻情報受信モードのS37におけるデコード時間のタイムアウト時間(例えば3分)に比べて短く設定されている。
なお、位置時刻情報受信モードにおけるその他の処理は、図8の時刻情報受信モードと同じであるため、説明を省略する。
【0066】
このような本実施形態によれば、次の作用効果がある。
判定部211がソーラーパネル70の発電量に基づいて受信環境を判定しているので、モード選択部212では、時刻情報受信モードおよび位置時刻情報受信モードのうち、その受信環境に適した受信モードを適切に選択できる。このため、受信環境が良好な場合のみ位置時刻情報受信モードが選択されるため、衛星信号を効率的に受信することができ、消費電力の削減を図り、電池寿命をのばすことができる。
【0067】
また、判定部211は、S14により、発電変化量を考慮して受信環境を判定しているので、GPS付き腕時計1が屋外にあることだけでなく、そのGPS付き腕時計1の状態までをも考慮して受信モードを選択できるため、より適切な受信モードを選択することができる。
【0068】
さらに、判定部211は、S13により、発電量閾値以上の発電量が屋外判定時間以上継続している場合に、自動的に受信を開始しているので、GPS衛星5が屋外に移動したタイミングで受信処理を自動的に実行できる。このため、予め決められた時間に受信処理を行う定時受信の場合には、GPS付き腕時計1が屋内にある状態で受信処理が開始されてしまう可能性があるが、本実施形態では、腕時計1が屋外に移動した場合のみ受信処理が行われるため、屋内に比べて良好な受信環境で受信処理を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、S12により、発電量が発電量閾値以上、つまり屋外にGPS付き腕時計1が移動しないとそれ以降の処理が実行されないため、GPS付き腕時計1が室内に保管されている場合等には無駄な受信処理を行うことがなく、消費電力を低減できて、電池寿命を長くすることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、S11により、前回の情報取得処理時から受信間隔設定時間(例えば24時間)経過しなければ、それ以降の自動受信処理が実行されないため、受信処理を必要最小限に抑えることができる。この点でも、消費電力を低減できて、電池寿命を長くすることができる。
【0071】
受信制御部21は、時刻情報受信モードのS27のタイムアウト時間を、位置時刻情報受信モードのS37のタイムアウト時間よりも短く設定しているので、受信環境が悪い可能性がある場合に実行される時刻情報受信モードにおいて、時刻情報を受信できない状態にある場合には早めに受信処理を中止できる。このため、無駄な受信処理を継続することがなく、消費電流を低減できる。
【0072】
また、判定部211は、電源としても利用できるソーラーパネル70の発電量で受信環境を判断しているため、受信環境を判断するための専用の部品を設ける場合に比べて、部品点数を少なくでき、GPS付き腕時計1を小型化でき、かつ、コストも低減できる。
【0073】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図10のフローチャートに基づいて説明する。
第2実施形態のGPS付き腕時計1の回路構成等は前記第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
そして、第2実施形態では、まず、受信要求が有るかを確認する(S41)。受信要求とは、受信制御部21に対して受信処理の開始を要求する信号であり、利用者が手動で受信操作を行った場合や、予め決められた受信時間に達した場合に出力される。
【0074】
このような受信要求があると、判定部211は、発電量が発電量判定第1閾値以上であるかを判定する(S42)。この発電量判定第1閾値は、昼間の屋外であるか室内であるのかを判定できる閾値であればよいため、前記第1実施形態の発電量閾値と同じ値に設定できる。
S42で「Yes」と判定されると、GPS付き腕時計1が屋外に配置されていて受信環境が良好であると判定できるため、モード選択部212は、前記第1実施形態と同じく位置時刻情報受信モードを選択して受信処理を行う(S16)。
【0075】
一方、S42で「No」と判定されると、判定部211は、発電量が発電量判定第2閾値以上であるかを判定する(S43)。S42で「No」と判定された場合は、GPS付き腕時計1が室内に配置されている場合、消灯された室内に配置されている場合、屋外に配置されているが夜間であるため発電量が低い場合が想定される。そこで、発電量判定第2閾値は、室内の照明による発電量よりも小さな値(例えば相対発電量「0」)に設定されている。
従って、S43で「Yes」と判定されると、GPS付き腕時計1は室内に配置されていると判定できるため、モード選択部212は、前記第1実施形態と同じく時刻情報受信モードを選択して受信処理を行う(S15)。
【0076】
S43で「No」と判定された場合、判定部211はGPS付き腕時計1が消灯された室内にあるのか、夜間の屋外にあるのかを判断できない。このため、モード選択部212は、ユーザーが受信モードを選択できる状態にGPS付き腕時計1を移行する(S44)。そして、モード選択部212は、ユーザーが時刻情報受信モードを選択したか否かを判断する(S45)。受信制御部21は、ユーザーが時刻情報受信モードを選択した場合、そのモードで受信処理を行う(S15)。一方、ユーザーが位置時刻情報受信モードを選択した場合、受信制御部21は、そのモードで受信処理を行う(S16)。
【0077】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、夜間の屋外や消灯された室内で受信操作が行われた場合のように、ソーラーパネル70の発電量が低い場合には、ユーザーに受信モードを選択させているので、夜間であっても受信環境が良好な屋外にGPS付き腕時計1が配置されている場合には、利用者が位置時刻情報受信モードを選択しても効率的に受信を行うことができる。一方、消灯された室内にGPS付き腕時計1が配置されている場合は、利用者がその受信環境を考慮し、時刻情報受信モードを選択すれば、効率的な受信処理が可能となる。
【0078】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について図11のフローチャートに基づいて説明する。
第3実施形態は、第1実施形態に対し、図11のS51に示すように、発電量が発電量判定閾値以上であるか否かによって受信モードを選択している点のみが相違する。他の構成や処理は前記第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0079】
すなわち、第3実施形態では、前記第1実施形態と同じく、前回の情報取得処理時から受信間隔設定時間を経過し(S11でYes)、発電量が発電量閾値以上であり(S12でYes)、発電量閾値以上の発電量が屋外判定時間継続した場合(S13でYes)に、発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定する(S51)。
【0080】
ここで、前記発電量判定閾値は、S12での発電量閾値と同じ値でもよいし、その値よりも大きな値でもよい。
前記発電量判定閾値を、発電量閾値よりも大きな値にした場合は、屋外においても、例えば、GPS付き腕時計1が、直射日光があたる見通しのよい場所にあるのか、あるいは建物の陰にあるのかを判断できるように発電量判定閾値を設定すればよい。この場合、発電量が発電量判定閾値よりも低いと、つまりGPS付き腕時計1が建物の陰などにあると、時刻情報受信モードで受信処理を行い(S15)、発電量が発電量判定閾値以上の場合、つまりGPS付き腕時計1が見通しのよい屋外にある場合には、位置時刻情報受信モードで受信処理を行う(S16)。
【0081】
なお、各閾値を同じ値にした場合は、S51でGPS付き腕時計1が屋内または屋外のいずれに配置されているのかを再度確認することになる。そして、S51において「No」と判定された場合に、屋内でも受信できる可能性がある時刻情報受信モードで受信処理を行い(S15)、屋外のままでS51において「Yes」と判定された場合は、位置時刻情報受信モードで受信処理を行う(S16)。
【0082】
このような第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、発電量を発電量判定閾値(S51)と比較することで、受信モードを選択しているので、変化量監視時間の間の発電変化量で判断する第1実施形態に比べて、迅速に受信環境を判定して受信モードを選択することができる。
【0083】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について図12のブロック図および図13のフローチャートに基づいて説明する。
前記各実施形態は、発電量や発電変化量に基づいて受信モードを選択するモード選択部212が設けられていた。これに対し、第4実施形態は、図12に示すように、モード選択部212の代わりにタイムアウト時間設定部213を設けた点を特徴とする。
【0084】
すなわち、判定部211において、前記第3実施形態と同様の処理フローS11、S12、S13、S51で、発電量が発電量判定閾値以上であるか否かが判断される。なお、発電量判定閾値は、第3実施形態と同じく、S12の発電量閾値と同じでも良いし、異なる値でも良い。
そして、S51で、発電量が発電量判定閾値以上であると判定された場合には、タイムアウト時間設定部213は、タイムアウト時間を第1時間(例えば3分)に設定する(S61)。
一方、S51でNoと判定された場合、タイムアウト時間設定部213は、タイムアウト時間を、前記第1時間よりも短い第2時間(例えば1分)に設定する(S62)。
【0085】
そして、受信制御部21は、受信処理を実行する(S63)。受信処理では、前記各実施形態と同様に、衛星サーチおよび捕捉したGPS衛星5からの時刻情報や位置情報の取得処理等を実行するが、受信を開始してから、前記タイムアウト時間設定部213が設定したタイムアウト時間に達すると、受信処理を中止する。
従って、タイムアウト時間が第1時間(3分)に設定されている場合は、GPS付き腕時計1が屋外に配置され、受信環境も良好である可能性が高いため、前記第1時間以内に3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できる可能性も高い。
そして、受信制御部21は、3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できた場合には、前記第1実施形態のS39と同様に、取得位置&時刻情報表示処理を行う。
また、3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できていない場合には、1個以上のGPS衛星5から時刻情報を取得していれば、前記第1実施形態のS29と同様に、取得時刻情報表示処理を行う。
【0086】
一方、タイムアウト時間が第2時間(1分)に設定されている場合は、GPS付き腕時計1が屋内に配置されている可能性が高いため、前記第2時間では3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できる可能性は低い。
この場合、受信制御部21は、1個以上のGPS衛星5から時刻情報を取得していれば、前記第1実施形態のS29と同様に、取得時刻情報表示処理を行う。
また、仮に、3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できた場合には、前記第1実施形態のS39と同様に、取得位置&時刻情報表示処理を行う。
以上のような受信処理S63が終了すれば、受信制御部21は受信制御を終了する。
【0087】
このような第4実施形態によれば、発電量に応じて、タイムアウト時間設定部213でタイムアウト時間を設定しているので、例えば、GPS付き腕時計1が屋内に配置されている場合のように発電量が低い状態では、タイムアウト時間を第1時間よりも短い第2時間に設定できる。このため、GPS衛星5を捕捉できない状態で設定されたタイムアウト時間(第2時間)以上、受信処理を継続することがないため、無駄な電力消費を防止できる。
一方、GPS付き腕時計1が屋外に配置されている場合のように発電量が高い状態では、タイムアウト時間を第2時間よりも長い第1時間に設定しているので、複数個のGPS衛星5を捕捉して位置情報を取得できる可能性も高まり、取得位置&時刻情報表示処理を行うことができる。
【0088】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されない。
例えば、前記第1,3,4実施形態は自動受信を行う場合について説明したが、利用者が手動で受信処理を行う場合に適用してもよい。すなわち、利用者が手動で受信処理を操作した場合には、図5,11,13のS12の判定処理から実行すればよい。
【0089】
また、前記第1,3,4実施形態では、S11〜S14,S51までの判定処理を行って受信モードを選択していたが、S12の発電量が発電量閾値以上であるか否かの判定処理のみで受信モードを選択してもよいし、S13の判定処理のみで受信モードを選択してもよい。少なくとも、腕時計1が室内に配置されているのか、屋外に配置されているのかを判定できる処理を行って受信モードやタイムアウト時間を選択・設定すればよい。
【0090】
さらに、前記第2実施形態において、S42で「Yes」と判定された場合に、第1実施形態のS13,S14の判定処理を行い、受信モードを選択しても良い。
【0091】
また、タイムアウト時間設定部213は、前記第4実施形態のS51のように、発電量が発電量判定閾値以上であるか否かで、タイムアウト時間を設定するものに限らない。例えば、タイムアウト時間設定部213は、図14に示すように、第1実施形態と同じく発電変化量が変化量判定閾値以上であればタイムアウト時間を第2時間に設定し、発電変化量が変化量判定閾値未満であればタイムアウト時間を第1時間に設定してもよい。
さらに、タイムアウト時間設定部213は、第2実施形態と同様に、発電量が発電量判定第1閾値以上であればタイムアウト時間を第1時間に設定し、発電量が発電量判定第1閾値未満、発電量判定第2閾値以上であればタイムアウト時間を第2時間に設定し、発電量が発電量判定第2閾値未満であればユーザーがタイムアウト時間を設定するものでもよい。
【0092】
さらに、電子機器は、GPS付き腕時計1に限らない。例えば、GPS付きの携帯電話機などでもよいし、登山などに用いられるGPS付きのナビゲーション装置などでもよい。
また、上述の実施形態は、位置情報衛星としてGPS衛星5について説明したが、本発明の位置情報衛星としては、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国)などの他の全地球的航法衛星システム(GNSS)や、SBASなどの静止衛星や準天頂衛星などの時刻情報を含む衛星信号を発信する位置情報衛星でも良い。
【符号の説明】
【0093】
1…GPS付き腕時計、3…指針、4…ディスプレイ、5…GPS衛星、10…GPS装置、11…GPSアンテナ、20…制御装置、21…受信制御部、22…表示制御部、23…充電制御部、24…測定制御部、30…記憶装置、40…入力装置、50…表示装置、60…電源、70…ソーラーパネル、71…測定回路、211…判定部、212…モード選択部、213…タイムアウト時間設定部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばGPS衛星等の位置情報衛星から送信される衛星信号を受信して現在の位置や時刻情報を取得する電子機器および電子機器の衛星信号受信方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自己位置を測位するためのシステムであるGPS(Global Positioning System)システムでは、地球を周回する軌道を有するGPS衛星が用いられており、このGPS衛星には、原子時計が備えられている。このため、GPS衛星は、極めて正確な時刻情報(GPS時刻、衛星時刻情報)を有している。そこで、GPS衛星の時刻情報(GPS時刻)を利用して時刻修正を行う電子時計が提案されている。
【0003】
ところで、GPS衛星からの信号は、マイクロ波であって直進性が強いため、GPS衛星と、この衛星からの信号を受信する電子時計等の電子機器との間に障害物があると、衛星信号を受信することができない。特に、電子機器が屋内に配置されている場合には、壁や屋根などで周囲が囲まれてしまうため、GPS衛星からの信号を受信することが困難となる。
【0004】
このような環境で受信処理を行うと、衛星信号を受信できずに電力消費が嵩み、特に腕時計のような電池で駆動される電子機器では、電池の電力が無駄に消費され、持続時間も短くなってしまう。
【0005】
このため、電子機器が屋内外のいずれの環境にあるのかを判断し、屋外にあると判断した場合には受信動作を実行するが、屋内にあると判断した場合には受信動作を行わないように制御して、無駄に電力が消費されることを防止できる電子機器が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−39565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、屋内外を判断した際に、受信動作を実行するかしないかの制御を行っているだけであるため、効率的な受信動作を行うことが難しいという問題があった。
特に、腕時計のように人に装着された電子機器では、屋外と判断された場合でも、装着者が歩行などで移動していると、電子機器の向きが変化したり、建物の陰に隠れて受信できない可能性があり、このような受信環境が実際に悪い場合でも受信動作を継続してしまうという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、電子機器の受信環境を適切に判断でき、その判断に基づいて受信動作を制御することで,効率的な受信動作を行うことができる電子機器および電子機器の衛星信号受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の電子機器は、位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、前記受信部を制御する受信制御部と、ソーラーパネルと、を備える電子機器であって、前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、前記衛星信号を受信して時刻情報を取得する時刻情報受信モード、または、前記衛星信号を受信して位置情報および時刻情報を取得する位置時刻情報受信モードを選択するモード選択部と、を備え、前記モード選択部で選択した受信モードで前記受信部の動作を制御することを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、ソーラーパネルの発電量は、太陽光が照射しない室内では低くなり、太陽光が照射する屋外では、仮に曇天であっても室内の場合よりも高くなる。従って、判定部は、太陽が出ている昼間であれば、ソーラーパネルの発電量により、電子機器が現在配置されているのが、室内であるのか屋外であるのかを判定できる。
そして、モード選択部は、判定部において、例えば室内と判定された場合には、屋外に比べて衛星信号の受信が難しい環境となる点を考慮し、1つの衛星からの信号受信のみで処理可能な時刻情報受信モードを選択する。一方、モード選択部は、判定部において、室外と判定された場合には、3以上の衛星からの信号受信で処理することになる位置時刻情報受信モードを選択すればよい。
【0011】
このような本発明によれば、判定部がソーラーパネルの発電量に基づいて受信環境を判定しているので、モード選択部では、時刻情報受信モードおよび位置時刻情報受信モードのうち、その受信環境に適した受信モードを適切に選択できる。
これにより、複数の位置情報衛星を捕捉し、各衛星からの信号を受信する必要がある位置時刻情報受信モードは、電子機器が屋外にあって受信環境が良好であると判定された場合のみ実施することができるため、衛星信号を効率的に受信することができ、消費電力の削減を図り、電池寿命をのばすことができる。
また、電源としても利用できるソーラーパネルの発電量で受信環境を判断しているため、受信環境を判断するための専用の部品を設ける場合に比べて、部品点数を少なくでき、電子機器を小型化でき、かつ、コストも低減できる。
さらに、ソーラーパネルの発電量は、太陽に対向して静止状態で配置されているときに最も高くなる一方で、昼間であっても、ソーラーパネルの向きが変化したり、建物の陰に隠れてしまう場合には低くなる。従って、ソーラーパネルの発電量を確認すれば、電子機器が屋外に配置されていることだけでなく、ソーラーパネルが静止状態でかつ建物の陰に隠れていない状態つまり受信環境が良好な状態であるのか、あるいは、ソーラーパネルの向きが変化したり、建物の陰に隠れている状態つまり受信環境が必ずしも良くない状態であるのかも判別できる。従って、判定部は受信環境を精度よく判定でき、モード選択部は適切な受信モードを選択することができる。
【0012】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量を所定の変化量監視時間監視して、前記変化量監視時間における発電量の変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定し、前記モード選択部は、前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値以上であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択し、前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値未満であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択することが好ましい。
なお、変化量監視時間としては、ソーラーパネルの発電変化量を把握できる時間であればよく、例えば10〜20秒程度に設定すればよい。
【0013】
発電量の変化量が変化量判定閾値以上と大きい場合には、電子機器の向きが変化していることが予測される。例えば、電子機器として腕時計を想定した場合、利用者が腕時計を静止状態に維持している場合には、ソーラーパネルの向きも一定となるため、発電量の変化量も小さくなる。この場合、位置情報衛星に対する電子機器の向きや位置も変化が少ないと予測でき、受信環境も良好であると判断できる。
一方、利用者が腕時計を装着しながら歩行している場合には、歩行に伴い、腕時計を装着した利用者も移動して建物の陰に出入りしたり、歩行で腕が振られることで、腕時計の向きが大きく変化するため、発電量の変化量も大きくなる。この場合には、位置情報衛星に対する電子機器の向きや位置も大きく変化すると予測でき、また、ビルなどで衛星信号が遮られるおそれもあり、そのため、受信環境は必ずしも良好ではないと判断できる。
従って、発電量の変化量に基づいて受信モードを選択すれば、受信環境に適した受信モードを選択でき、効率的に受信できる。このため、消費電力の削減を図り、電池寿命ものばすことができる。
【0014】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定し、前記モード選択部は、前記判定部において発電量が発電量判定閾値以上であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択し、前記判定部において発電量が発電量判定閾値未満であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択することが好ましい。
【0015】
発電量が発電量判定閾値以上と大きい場合には、電子機器が屋外にあって受信環境も良好であると予測できるため、位置時刻情報受信モードで受信処理を行っても効率的に受信処理を行うことができる。
一方、発電量が発電量判定閾値未満と小さい場合には、電子機器が室内にあって受信環境は必ずしも良好ではないと予測できるため、その受信環境においても受信処理が可能である時刻情報受信モードを選択することで、効率的な受信処理が可能となる。
従って、判定部は、発電量を発電量判定閾値と比較することで、受信環境を容易に判断でき、モード選択部は受信環境に応じた受信モードを選択できて、効率的に受信できる。このため、消費電力の削減を図り、電池寿命も伸ばすことができる。
【0016】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定第1閾値以上であるか、前記発電量判定第1閾値よりも小さな発電量判定第2閾値未満であるか、あるいは前記発電量判定第1閾値未満でかつ発電量判定第2閾値以上であるかを判定し、前記モード選択部は、前記判定部において発電量が発電量判定第1閾値以上であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択し、前記判定部において発電量が発電量判定第1閾値未満であり、かつ、発電量判定第2閾値以上であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択し、前記判定部において発電量が発電量判定第2閾値未満であると判定した場合は、利用者が受信モードを選択できる状態に移行することが好ましい。
【0017】
本発明では、発電量が発電量判定第1閾値以上であれば、昼間の屋外に電子機器が配置され、受信環境も良好であると予測できるため、位置時刻情報受信モードで受信処理を行っても効率的に受信処理を行うことができる。
また、発電量が発電量判定第1閾値未満、発電量判定第2閾値以上であれば、室内に電子機器が配置されていると予測できるため、その受信環境においても受信処理が可能である時刻情報受信モードを選択することで、効率的な受信処理が可能となる。
さらに、発電量が発電量判定第2閾値未満と非常に小さい場合は、電子機器は夜間の屋外や、消灯した室内に配置されている可能性が高い。この場合、利用者に受信モードを選択させるため、例えば、夜間であっても受信環境が良好な屋外に電子機器が配置されている場合には、利用者が位置時刻情報受信モードを選択しても効率的に受信を行うことができる。一方、消灯された室内に電子機器が配置されている場合は、利用者がその受信環境を考慮し、時刻情報受信モードを選択すれば、効率的な受信処理が可能となる。
【0018】
本発明の電子機器において、前記受信制御部は、前記モード選択部で前記時刻情報受信モードが選択された場合のタイムアウト時間を、前記位置時刻情報受信モードが選択された場合のタイムアウト時間に比べて短く設定することが好ましい。
【0019】
時刻情報受信モードが選択された場合は、受信環境が悪いと判定されているため、例えば、地下街やビルにおいて窓の無い部屋内など、1つの位置情報衛星からの信号も受信できない環境に電子機器が配置されている可能性がある。
本発明では、時刻情報受信モードが選択された場合は、タイムアウト時間を短くしているので、衛星信号をまったく受信できない環境であっても、受信処理を無駄に継続することがないため、消費電流が増大して電池寿命が短縮されることを防止できる。
【0020】
本発明の電子機器は、位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、前記受信部を制御する受信制御部と、ソーラーパネルと、を備える電子機器であって、前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づいて、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定部と、を備え、前記受信部を動作させて受信を開始した後、受信に成功せずに前記タイムアウト時間設定部で設定されたタイムアウト時間に達した場合には、受信部を停止させて受信を終了することを特徴とする。
【0021】
本発明においても、前記判定部は、太陽が出ている昼間であれば、ソーラーパネルの発電量により、電子機器が現在配置されているのが、室内であるのか屋外であるのかを判定できる。
そして、タイムアウト時間設定部は、判定部において、例えば室内と判定された場合には、屋外に比べて衛星信号の受信が難しい環境となり、受信時間を長くしても結局受信できない場合が多い点を考慮し、タイムアウト時間を短くすればよい。一方、タイムアウト時間設定部は、判定部において、室外と判定された場合には、受信をある程度継続すれば、建物の陰で受信できない状態であっても、電子機器が移動することなどで、受信に成功する可能性も高い点を考慮し、タイムアウト時間を長くすればよい。
【0022】
このような本発明によれば、判定部がソーラーパネルの発電量に基づいて受信環境を判定しているので、タイムアウト時間設定部では、その受信環境に適したタイムアウト時間を適切に設定できる。
これにより、電子機器が屋外にあって受信環境が良好であると判定された場合には、受信開始当初に位置情報衛星を捕捉できなくても、電子機器が建物の陰などから移動すれば受信できるようになるため、タイムアウト時間を長くすることで、衛星信号を効率的に受信することができる。
一方、電子機器が屋内にあって受信環境が良くないと判定された場合には、受信処理を継続しても位置情報衛星を捕捉できない可能性が高いため、タイムアウト時間を短くすることで、無駄な受信処理が長時間継続されることを防止できる。
また、電源としても利用できるソーラーパネルの発電量で受信環境を判断しているため、受信環境を判断するための専用の部品を設ける場合に比べて、部品点数を少なくでき、電子機器を小型化でき、かつ、コストも低減できる。
さらに、前述したように、ソーラーパネルの発電量を確認すれば、電子機器が屋外に配置されていることだけでなく、ソーラーパネルが静止状態でかつ建物の陰に隠れていない状態つまり受信環境が良好な状態であるのか、あるいは、ソーラーパネルの向きが変化したり、建物の陰に隠れている状態つまり受信環境が必ずしも良くない状態であるのかも判別できる。従って、判定部は受信環境を精度よく判定でき、タイムアウト時間設定部は適切なタイムアウト時間を設定することができる。
【0023】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定し、前記タイムアウト時間設定部は、前記判定部において発電量が発電量判定閾値以上であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を第1時間に設定し、前記判定部において発電量が発電量判定閾値未満であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を前記第1時間よりも短い第2時間に設定することが好ましい。
【0024】
発電量が発電量判定閾値以上と大きい場合には、電子機器が屋外にあって受信環境も良好であると予測できるため、タイムアウト時間を第2時間よりも長い第1時間に設定することで、一部の位置情報衛星が建物の陰に一時隠れて受信できないことがあっても、タイムアウト時間をある程度長くして受信を継続することで、電子機器等が移動して位置情報衛星を捕捉できるようになり、衛星信号の受信に成功する可能性を高めることができる。
一方、発電量が発電量判定閾値未満と小さい場合には、電子機器が室内にあって受信環境は必ずしも良好ではないと予測できるため、タイムアウト時間を短くすることで無駄な受信処理を長時間継続することを防止できる。
従って、判定部は、発電量を発電量判定閾値と比較することで、受信環境を容易に判断でき、タイムアウト時間設定部は受信環境に応じたタイムアウト時間を設定できて、効率的に受信できる。このため、消費電力の削減を図り、電池寿命も伸ばすことができる。
【0025】
本発明の電子機器において、前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量を所定の変化量監視時間監視して、前記変化量監視時間における発電量の変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定し、前記タイムアウト時間設定部は、前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値未満であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を第1時間に設定し、前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値以上であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を前記第1時間よりも短い第2時間に設定することが好ましい。
なお、変化量監視時間としては、ソーラーパネルの発電変化量を把握できる時間であればよく、例えば10〜20秒程度に設定すればよい。
【0026】
発電量の変化量が変化量判定閾値以上と大きい場合には、電子機器の向きが変化していることが予測される。例えば、電子機器として腕時計を想定した場合、利用者が腕時計を静止状態に維持している場合には、ソーラーパネルの向きも一定となるため、発電量の変化量も小さくなる。この場合、位置情報衛星に対する電子機器の向きや位置も変化が少ないと予測でき、受信環境も良好であると判断できる。
一方、利用者が腕時計を装着しながら歩行している場合には、歩行に伴い、腕時計を装着した利用者も移動して建物の陰に出入りしたり、歩行で腕が振られることで、腕時計の向きが大きく変化するため、発電量の変化量も大きくなる。この場合には、位置情報衛星に対する電子機器の向きや位置も大きく変化すると予測でき、また、ビルなどで衛星信号が遮られるおそれもあり、そのため、受信環境は必ずしも良好ではないと判断できる。
従って、発電量の変化量に基づいてタイムアウト時間を設定すれば、受信環境に適したタイムアウト時間を設定でき、効率的に受信できる。このため、消費電力の削減を図り、電池寿命ものばすことができる。
【0027】
本発明の電子機器において、前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量が、予め設定された発電量閾値を超えた状態が所定の屋外判定時間以上継続した場合に、前記受信部を作動して受信動作を開始することが好ましい。
なお、前記屋外判定時間とは、電子機器が屋外に移動したことを判断できる時間であればよく、通常は、数秒から10秒程度の期間であればよい。
【0028】
本発明では、例えば、電子機器を室外から屋外に移動すると、ソーラーパネルの発電量が増大する。従って、発電量閾値を超えた状態が所定の屋外判定時間以上継続した場合には、電子機器は完全に屋外に移動し、良好な受信環境に配置されていると予測できる。そして、この場合に、自動的に受信動作を開始すれば、電子機器の自動受信を、常に受信環境が良好な状態で開始することができ、自動受信時の受信処理を効率的に行うことができ、消費電力の削減を図り、電池寿命を伸ばすことができる。
【0029】
ここで、前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量が、予め設定された発電量閾値を超えた状態が前記屋外判定時間以上継続した場合に、前回の受信成功時から所定の受信間隔設定時間以上経過していない場合には、前記受信動作を開始しないことが好ましい。
なお、受信間隔設定時間は、受信処理の最小間隔を設定するものであり、例えば、24時間(1日)に設定すればよい。
【0030】
本発明では、発電量が閾値を超えた状態が前記屋外判定時間以上継続した場合に自動受信を開始すると、1日に複数回建物から出入りするような場合にも、その都度、受信処理を行ってしまい、消費電力が増大する。
電子機器が時計である場合、時刻合わせのための受信動作は、通常、1日以上の間隔で行えば十分であるため、1日に何度も自動受信を行う必要は無い。
本発明では、前回の受信成功時から所定の受信間隔設定時間以上経過していない場合には、自動受信を実行しないため、例えば、前記受信間隔設定時間を24時間などに設定すれば、1日に複数回受信処理を行うことを確実に防止できる。このため、受信回数を必要最小限に押さえることができ、効率的な受信処理を行うことができ、消費電力の増大や電池寿命の短縮を防止できる。
【0031】
本発明の電子機器において、前記受信制御部は、利用者の手動操作によって受信指示操作が行われた場合に、前記受信部を作動して受信動作を開始することが好ましい。
【0032】
手動操作で受信動作を開始した場合も、判定部がソーラーパネルの発電量に基づいて受信モードを選択するため、効率的な受信処理を行うことができ、消費電力の増大や電池寿命の短縮を防止できる。
【0033】
本発明は、位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、前記受信部を制御する受信制御部と、ソーラーパネルと、を備える電子機器の衛星信号受信方法であって、前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定工程と、前記判定工程の判定結果に基づいて、前記衛星信号を受信して時刻情報を取得する時刻情報受信モード、または、前記衛星信号を受信して位置情報および時刻情報を取得する位置時刻情報受信モードを選択するモード選択工程と、前記モード選択工程で選択した受信モードで前記受信部の動作を制御する受信制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0034】
本発明は、位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、前記受信部を制御する受信制御部と、ソーラーパネルと、を備える電子機器の衛星信号受信方法であって、前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定工程と、前記判定工程の判定結果に基づいて、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定工程と、前記受信部を動作させて受信を開始した後、受信に成功せずに前記タイムアウト時間設定工程で設定されたタイムアウト時間に達した場合には、受信部を停止させて受信を終了する受信制御工程と、を備えることを特徴とする。
【0035】
このような各発明においても、前記電子機器の発明と同様に、受信環境に応じた効率的な受信処理を行うことができ、消費電力の増大や電池寿命の短縮を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1実施形態であるGPS付き腕時計を示す概略図である。
【図2】GPS付き腕時計の回路構成を示す概略図である。
【図3】GPS付き腕時計のシステム構成を示すブロック図である。
【図4】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図5】制御装置における受信処理を示すフローチャートである。
【図6】照度と発電量の関係の一例を示すグラフである。
【図7】時間経過に伴う発電電圧の変化の一例を示すグラフである。
【図8】時刻情報受信モードの処理を示すフローチャートである。
【図9】位置時刻情報受信モードの処理を示すフローチャートである。
【図10】本発明の第2実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第3実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図12】本発明の第4実施形態の制御装置の構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第4実施形態の受信処理を示すフローチャートである。
【図14】本発明の変形例の受信処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、この発明の好適な実施の形態を、添付図面等を参照しながら詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0038】
〔第1実施形態〕
図1は、本発明に係る電子機器であるGPS衛星信号受信装置付き腕時計1(以下「GPS付き腕時計1」という)を示す概略図である。また、図2は、GPS付き腕時計1の主なハードウエア構成等を示す概略図である。
図1に示すように、GPS付き腕時計1は、文字板2および指針3からなる時刻表示部を備える。文字板2の一部には開口が形成され、LCD表示パネル等からなるディスプレイ4が組み込まれている。
【0039】
指針3は、秒針、分針、時針等を備えて構成され、ステップモータで歯車を介して駆動される。
ディスプレイ4はLCD表示パネル等で構成され、緯度、経度や都市名等の位置情報を表示する他、メッセージ情報を表示する。
そして、GPS付き腕時計1は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星5からの衛星信号を受信して衛星時刻情報を取得し、内部時刻情報を修正したり、測位情報つまり現在位置をディスプレイ4に表示できるように構成されている。
なお、GPS衛星5は、本発明における位置情報衛星の一例であり、地球の上空に複数存在している。現在は約30個のGPS衛星5が周回している。
【0040】
また、GPS付き腕時計1には、外部操作部材であるボタン6やリュウズ7が設けられている。
【0041】
[GPS付き腕時計の回路構成]
次に、GPS付き腕時計1の回路構成について説明する。
GPS付き腕時計1は、図2に示すように、GPS装置(GPSモジュール)10、制御装置(CPU)20、記憶装置(記憶部)30、入力装置40、表示装置(表示部)50、電源60、ソーラーパネル70を備えている。記憶装置30は、RAM31およびROM32を備える。これらの各装置は、データバス80等を介してデータを通信している。
なお、表示装置50は、時刻や測位情報を表示する前記指針3やディスプレイ4で構成されている。
また、電源60は、ソーラーパネル70で発電された電力を蓄積可能な二次電池で構成されている。
【0042】
[GPS装置の構成]
GPS装置10は、GPSアンテナ11を備え、GPSアンテナ11を介して受信した衛星信号を処理して時刻情報や位置情報を取得するものである。
GPSアンテナ11は、地球の上空を所定の軌道で周回している複数のGPS衛星5からの衛星信号を受信するパッチアンテナとなっている。このGPSアンテナ11は文字板2の裏面側に配置され、GPS付き腕時計1の表面ガラスおよび文字板2を通過した電波を受信するように構成されている。
このため、文字板2および表面ガラスは、GPS衛星5から送信される衛星信号である電波を通す材料で構成されている。例えば、文字板2はプラスチックで構成されている。
【0043】
そして、GPS装置10は、図示を略すが、通常のGPS装置と同様に、GPS衛星5から送信される衛星信号を受信してデジタル信号に変換するRF(Radio Frequency)部と、受信信号の相関判定を行って同期を行うBB部(ベースバンド部)と、BB部で復調された航法メッセージ(衛星信号)から時刻情報や測位情報を取得する情報取得部とを備える。
【0044】
RF部は、バンドパスフィルタ、PLL回路、IFフィルタ、VCO(Voltage Controlled Oscillator)、ADC(A/D変換器)、ミキサ、LNA(Low Noise Amplifier)、IFアンプ等を備えている。
そして、バンドパスフィルタで抜き出された衛星信号は、LNAで増幅された後、ミキサでVCOの信号とミキシングされ、IF(Intermediate Frequency:中間周波数)にダウンコンバートされる。ミキサでミキシングされたIFは、IFアンプ、IFフィルタを通り、ADC(A/D変換器)でデジタル信号に変換される。
【0045】
BB部は、GPS衛星5で送信時に使用されたものと同一のC/Aコードからなるローカルコードを生成するローカルコード生成部と、前記ローカルコードとRF部から出力される受信信号との相関値を算出する相関部とを備える。
そして、前記相関部で算出された相関値が所定の閾値以上であれば、受信した衛星信号に用いられたC/Aコードと生成したローカルコードが一致していることになり、衛星信号を捕捉(同期)することができる。このため、受信した衛星信号を、前記ローカルコードを用いて相関処理することで、航法メッセージを復調することができる。
【0046】
情報取得部は、BB部で復調した航法メッセージから時刻情報や位置情報を取得する。すなわち、GPS衛星5から送信される航法メッセージには、プリアンブルデータ及びHOWワードのTOW(Time of Week、「Zカウント」ともいう)、各サブフレームデータが含まれている。サブフレームデータは、サブフレーム1からサブフレーム5まであり、各サブフレームには、例えば、週番号データや衛星健康状態データを含む衛星補正データ等や、エフェメリス(GPS衛星5毎の詳細な軌道情報)や、アルマナック(全GPS衛星5の概略軌道情報)などのデータが含まれている。
従って、情報取得部は、受信した航法メッセージから所定のデータ部分を抽出し、時刻情報や位置情報を取得している。このため、本実施形態では、GPS装置10によって受信部が構成されている。
【0047】
記憶装置30のROM32には、制御装置20で実行するプログラム等が記憶されている。
一方、記憶装置30のRAM31には、受信により取得した時刻情報や位置情報や、後述するソーラーパネル70の発電量(例えば、発電電圧)が記憶される。
【0048】
図3には、本実施形態の腕時計1の回路ブロックが示されている。
制御装置(制御回路)20は、GPS装置10のGPS受信回路10Aを制御するとともに、駆動回路51を介して表示装置50を制御する。また、充電回路61を制御して電源60への充電処理を制御する。さらに、腕時計1には、ソーラーパネル70の発電量(発電電圧)を測定する測定回路71が設けられており、制御装置20は、測定回路71の動作を制御して測定値を検出できるように構成されている。
【0049】
このように制御装置(制御回路、CPU)20は、ROM32に記憶されたプログラムにより各種制御を行う。このため、制御装置20は、図4に示すように、受信制御部21、表示制御部22、充電制御部23、測定制御部24を備える。
【0050】
表示制御部22は、駆動回路51を介して表示装置50における表示を制御するものである。例えば、表示制御部22は、受信処理によって時刻情報を取得した場合には、取得した時刻情報に基づいて前記表示装置50の指針3を移動させる処理を行う。また、表示制御部22は、位置情報を取得した場合には、ディスプレイ4にその位置情報を表示する処理を行う。
【0051】
充電制御部23は、充電回路61によって電源60の充電状態を把握し、過充電が生じないように充電処理を行う。
測定制御部24は、測定回路71を作動させてソーラーパネル70の発電量(発電電圧)を測定し、測定回路71から測定値を取得して記憶装置30のRAM31に記憶する処理を行う。
【0052】
受信制御部21は、判定部211と、モード選択部212を備える。
判定部211は、前記測定制御部24によって取得されたソーラーパネル70の発電量に基づいて受信環境を判定する。判定部211の具体的な処理は後述する。
モード選択部212は、判定部211の判定結果に基づいて、時刻情報受信モードまたは位置時刻情報受信モードを選択する。
そして、受信制御部21は、モード選択部212で選択された受信モードに基づいてGPS受信回路10Aを制御し、受信処理を行う。
【0053】
[受信処理]
次に、受信制御部21における受信制御について、図5のフローチャートも参照して説明する。図5の処理は、自動的に受信処理を行う場合の処理である。
まず、受信制御部21の判定部211は、前回の情報取得から受信間隔設定時間が経過したかを確認する(S11)。ここで、受信間隔設定時間は、腕時計1において必要な受信間隔に基づいて設定すればよく、本実施形態では24時間に設定されている。
そして、S11で「Yes」と判定されるまで、つまり前回の情報取得から受信間隔設定時間が経過するまでは受信処理を開始しないように制御している。
【0054】
判定部211は、S11で「Yes」と判定すると、測定制御部24を介して測定回路71を作動し、ソーラーパネル70の発電量が発電量閾値以上であるかを判定する(S12)。なお、本実施形態の測定回路71は、具体的にはソーラーパネル70の発電電圧を測定している。
ここで、発電量閾値は、ソーラーパネル70に入射する光の照度と発電量の関係に基づいて設定している。図6は、10000lx(ルクス)の発電量を1とした場合の相対発電量と照度との関係を示すグラフである。この図6に示すように、ソーラーパネル70の発電量は、晴天(昼間)が最も高く、曇天は晴天に比べて発電量が低下する。さらに、室内の場合は、曇天に比べても発電量が低下する。
そして、発電環境としては、屋外であれば、曇天・晴天に関係なく、室内に比べて良好であるため、発電量閾値は、室内(約5000lx以下)と屋外(約5000lx以上)との発電量を区別できる値に設定している。図6の場合、相対発電量における発電量閾値を0.5程度とすれば、室内であるか屋外であるのかを発電量で判定できる。
【0055】
次に、判定部211は、上記発電量閾値以上の発電量が屋外判定時間以上継続したか否かを判定する(S13)。ここで、屋外判定時間としては、例えば数秒(3秒)程度の時間に設定すればよい。例えば、室内を移動中に、窓からの光が一瞬ソーラーパネル70に照射した場合にも、測定回路71で測定される発電量が発電量閾値以上となる可能性があり、腕時計1が室内に配置されているのに、屋外であると誤判断する可能性がある。
これに対し、上記発電量閾値以上の発電量が屋外判定時間以上継続していれば、腕時計1が屋外にあることを正しく判定することができる。
判定部211は、S12、S13で「No」と判定された場合は、S12の判定処理から繰り返す。
【0056】
一方、判定部211は、S13で「Yes」と判定された場合は、所定の変化量監視時間における発電変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定する(S14)。ここで、変化量監視時間は、例えば10〜20秒程度に設定すればよい。
ここで、ソーラーパネル70の発電量(発電電圧)は、太陽に対するソーラーパネル70の向きなどで変化する。例えば、腕時計1の場合、利用者が腕時計1を太陽に向けて静止していれば発電量の変化は殆ど無い。そして、このように腕時計1を静止している場合、GPS衛星5に対する向きや位置も一定となるため、受信環境も良好となる。
【0057】
これに対し、利用者が腕に腕時計1を装着した状態で、歩行している場合には、腕が振られることで腕時計1の向きも逐次変化し、そのため、発電量も変化する。また、利用者がビルの陰などに移動しても発電量が変化する。このような状態では、GPS衛星5に対する腕時計1の位置や向きが逐次変化し、さらに、GPS衛星5と腕時計1との間にビルなどの遮蔽物が配置される場面もあり、受信環境は良好とは言えない。
そこで、判定部211は、図7に示すように、発電量(発電電圧)が発電量閾値Tを超えた時点から、変化量監視時間(例えば10秒)の間の発電変化を観察し、前記変化量監視時間内の発電電圧の最大値および最小値の差を発電変化量ΔVとし、この発電変化量ΔVが予め設定された変化量判定閾値未満であれば受信環境が良好であると判定し、前記閾値以上であれば受信環境が良好ではないと判定する。
なお、変化量判定閾値は実験データ等から設定すればよい。例えば、腕時計1を装着した状態で歩行したり、建物の陰に出入りした際の変化量を測定し、その最大変化量の半分の変化量を前記変化量判定閾値に設定すればよい。
【0058】
そこで、モード選択部212は、S14で「Yes」と判定された場合には、受信環境が良好ではないため、時刻情報受信モードを選択して受信処理を行う(S15)。
一方、モード選択部212は、S14で「No」と判定された場合には、受信環境が良好であると判定できるので、位置時刻情報受信モードを選択して受信処理を行う(S16)。
【0059】
[時刻情報受信モード]
次に、時刻情報受信モード(S15)での処理を図8に基づいて説明する。
時刻情報受信モード(S15)での処理が開始されると、受信制御部21は、GPS衛星5をサーチして1つのGPS衛星5を捕捉する一衛星サーチ処理を実行する(S21)。
次に、受信制御部21は、衛星を捕捉したか否かを判定する(S22)。受信制御部21はS22で衛星を捕捉していないと判断した場合は、サーチを開始してから所定時間を経過したか、すなわちタイムアウトになったか否かを判定する(S23)。ここで、サーチ時間のタイムアウト時間としては、たとえば、3秒程度に設定すればよい。
【0060】
S23でタイムアウト時間ではない場合、S22の衛星捕捉判定処理に戻る。一方、S23でタイムアウトであると判定した場合、受信制御部21は、GPS受信処理を停止する(S24)。また、表示制御部22は、受信に失敗したことを表示するとともに、現状の内部時刻を表示する(S25)。
【0061】
一方、S22で衛星を捕捉したと判定した場合、受信制御部21は時刻情報を取得したか否かを判定する(S26)。
ここで、S26で時刻情報を取得していない場合、受信制御部21は衛星捕捉後、所定時間を経過したか、すなわちデコード時間のタイムアウト時間になったか否かを判定する(S27)。ここで、デコードタイムアウト判定時間は、例えば1分程度に設定すればよい。
【0062】
S27でタイムアウト時間ではない場合、S26の時刻情報取得判定処理に戻る。一方、S27でタイムアウトであると判定した場合、受信制御部21は、GPS受信処理を停止する(S24)。また、表示制御部22は、受信に失敗したことを表示するとともに、現状の内部時刻を表示する(S25)。
【0063】
受信制御部21は、S26で「Yes」と判定すると、GPS受信処理を停止する(S28)。また、表示制御部22は、受信に成功したことを表示するとともに、取得した時刻情報を表示する(S29)。
【0064】
[位置時刻情報受信モード]
次に、位置時刻情報受信モード(S16)での処理を図9に基づいて説明する。
図9に示すように、位置時刻情報受信モード(S16)は、図8に示す時刻情報受信モード(S15)の一衛星サーチ処理(S21)の代わりに複数衛星サーチ処理(S31)を行い、時刻情報取得処理(S26)の代わりに位置情報取得処理(S36)を行い、取得時刻情報表示処理(S29)の代わりに取得位置&時刻情報表示処理(S39)を行うものである。
【0065】
位置時刻情報受信モードでは、位置情報を取得つまり測位を行うためには、GPS衛星5の正確な軌道情報であるエフェメリスパラメータを3衛星以上、通常は4衛星分、受信する必要がある。このため、複数衛星サーチ処理(S31)では、4つのGPS衛星5を捕捉できたか否かを判定している。
そして、位置情報取得処理(S36)では、捕捉した各GPS衛星5から送信される衛星信号において、位置情報を演算するために必要なエフェメリスパラメータを取得し、位置情報を取得している。
このエフェメリスパラメータを4衛星分取得するには約1〜2分程度かかるため、S37のデコード時間のタイムアウト判定は、例えば、3分に設定され、3分以上経過しても位置情報を取得できない場合にタイムアウトと判定している。従って、時刻情報受信モードのS27におけるデコード時間のタイムアウト時間(例えば1分)は、位置時刻情報受信モードのS37におけるデコード時間のタイムアウト時間(例えば3分)に比べて短く設定されている。
なお、位置時刻情報受信モードにおけるその他の処理は、図8の時刻情報受信モードと同じであるため、説明を省略する。
【0066】
このような本実施形態によれば、次の作用効果がある。
判定部211がソーラーパネル70の発電量に基づいて受信環境を判定しているので、モード選択部212では、時刻情報受信モードおよび位置時刻情報受信モードのうち、その受信環境に適した受信モードを適切に選択できる。このため、受信環境が良好な場合のみ位置時刻情報受信モードが選択されるため、衛星信号を効率的に受信することができ、消費電力の削減を図り、電池寿命をのばすことができる。
【0067】
また、判定部211は、S14により、発電変化量を考慮して受信環境を判定しているので、GPS付き腕時計1が屋外にあることだけでなく、そのGPS付き腕時計1の状態までをも考慮して受信モードを選択できるため、より適切な受信モードを選択することができる。
【0068】
さらに、判定部211は、S13により、発電量閾値以上の発電量が屋外判定時間以上継続している場合に、自動的に受信を開始しているので、GPS衛星5が屋外に移動したタイミングで受信処理を自動的に実行できる。このため、予め決められた時間に受信処理を行う定時受信の場合には、GPS付き腕時計1が屋内にある状態で受信処理が開始されてしまう可能性があるが、本実施形態では、腕時計1が屋外に移動した場合のみ受信処理が行われるため、屋内に比べて良好な受信環境で受信処理を行うことができる。
【0069】
また、本実施形態では、S12により、発電量が発電量閾値以上、つまり屋外にGPS付き腕時計1が移動しないとそれ以降の処理が実行されないため、GPS付き腕時計1が室内に保管されている場合等には無駄な受信処理を行うことがなく、消費電力を低減できて、電池寿命を長くすることができる。
【0070】
さらに、本実施形態では、S11により、前回の情報取得処理時から受信間隔設定時間(例えば24時間)経過しなければ、それ以降の自動受信処理が実行されないため、受信処理を必要最小限に抑えることができる。この点でも、消費電力を低減できて、電池寿命を長くすることができる。
【0071】
受信制御部21は、時刻情報受信モードのS27のタイムアウト時間を、位置時刻情報受信モードのS37のタイムアウト時間よりも短く設定しているので、受信環境が悪い可能性がある場合に実行される時刻情報受信モードにおいて、時刻情報を受信できない状態にある場合には早めに受信処理を中止できる。このため、無駄な受信処理を継続することがなく、消費電流を低減できる。
【0072】
また、判定部211は、電源としても利用できるソーラーパネル70の発電量で受信環境を判断しているため、受信環境を判断するための専用の部品を設ける場合に比べて、部品点数を少なくでき、GPS付き腕時計1を小型化でき、かつ、コストも低減できる。
【0073】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について図10のフローチャートに基づいて説明する。
第2実施形態のGPS付き腕時計1の回路構成等は前記第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
そして、第2実施形態では、まず、受信要求が有るかを確認する(S41)。受信要求とは、受信制御部21に対して受信処理の開始を要求する信号であり、利用者が手動で受信操作を行った場合や、予め決められた受信時間に達した場合に出力される。
【0074】
このような受信要求があると、判定部211は、発電量が発電量判定第1閾値以上であるかを判定する(S42)。この発電量判定第1閾値は、昼間の屋外であるか室内であるのかを判定できる閾値であればよいため、前記第1実施形態の発電量閾値と同じ値に設定できる。
S42で「Yes」と判定されると、GPS付き腕時計1が屋外に配置されていて受信環境が良好であると判定できるため、モード選択部212は、前記第1実施形態と同じく位置時刻情報受信モードを選択して受信処理を行う(S16)。
【0075】
一方、S42で「No」と判定されると、判定部211は、発電量が発電量判定第2閾値以上であるかを判定する(S43)。S42で「No」と判定された場合は、GPS付き腕時計1が室内に配置されている場合、消灯された室内に配置されている場合、屋外に配置されているが夜間であるため発電量が低い場合が想定される。そこで、発電量判定第2閾値は、室内の照明による発電量よりも小さな値(例えば相対発電量「0」)に設定されている。
従って、S43で「Yes」と判定されると、GPS付き腕時計1は室内に配置されていると判定できるため、モード選択部212は、前記第1実施形態と同じく時刻情報受信モードを選択して受信処理を行う(S15)。
【0076】
S43で「No」と判定された場合、判定部211はGPS付き腕時計1が消灯された室内にあるのか、夜間の屋外にあるのかを判断できない。このため、モード選択部212は、ユーザーが受信モードを選択できる状態にGPS付き腕時計1を移行する(S44)。そして、モード選択部212は、ユーザーが時刻情報受信モードを選択したか否かを判断する(S45)。受信制御部21は、ユーザーが時刻情報受信モードを選択した場合、そのモードで受信処理を行う(S15)。一方、ユーザーが位置時刻情報受信モードを選択した場合、受信制御部21は、そのモードで受信処理を行う(S16)。
【0077】
このような第2実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
さらに、夜間の屋外や消灯された室内で受信操作が行われた場合のように、ソーラーパネル70の発電量が低い場合には、ユーザーに受信モードを選択させているので、夜間であっても受信環境が良好な屋外にGPS付き腕時計1が配置されている場合には、利用者が位置時刻情報受信モードを選択しても効率的に受信を行うことができる。一方、消灯された室内にGPS付き腕時計1が配置されている場合は、利用者がその受信環境を考慮し、時刻情報受信モードを選択すれば、効率的な受信処理が可能となる。
【0078】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態について図11のフローチャートに基づいて説明する。
第3実施形態は、第1実施形態に対し、図11のS51に示すように、発電量が発電量判定閾値以上であるか否かによって受信モードを選択している点のみが相違する。他の構成や処理は前記第1実施形態と同じであるため、説明を省略する。
【0079】
すなわち、第3実施形態では、前記第1実施形態と同じく、前回の情報取得処理時から受信間隔設定時間を経過し(S11でYes)、発電量が発電量閾値以上であり(S12でYes)、発電量閾値以上の発電量が屋外判定時間継続した場合(S13でYes)に、発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定する(S51)。
【0080】
ここで、前記発電量判定閾値は、S12での発電量閾値と同じ値でもよいし、その値よりも大きな値でもよい。
前記発電量判定閾値を、発電量閾値よりも大きな値にした場合は、屋外においても、例えば、GPS付き腕時計1が、直射日光があたる見通しのよい場所にあるのか、あるいは建物の陰にあるのかを判断できるように発電量判定閾値を設定すればよい。この場合、発電量が発電量判定閾値よりも低いと、つまりGPS付き腕時計1が建物の陰などにあると、時刻情報受信モードで受信処理を行い(S15)、発電量が発電量判定閾値以上の場合、つまりGPS付き腕時計1が見通しのよい屋外にある場合には、位置時刻情報受信モードで受信処理を行う(S16)。
【0081】
なお、各閾値を同じ値にした場合は、S51でGPS付き腕時計1が屋内または屋外のいずれに配置されているのかを再度確認することになる。そして、S51において「No」と判定された場合に、屋内でも受信できる可能性がある時刻情報受信モードで受信処理を行い(S15)、屋外のままでS51において「Yes」と判定された場合は、位置時刻情報受信モードで受信処理を行う(S16)。
【0082】
このような第3実施形態によれば、前記第1実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
また、発電量を発電量判定閾値(S51)と比較することで、受信モードを選択しているので、変化量監視時間の間の発電変化量で判断する第1実施形態に比べて、迅速に受信環境を判定して受信モードを選択することができる。
【0083】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態について図12のブロック図および図13のフローチャートに基づいて説明する。
前記各実施形態は、発電量や発電変化量に基づいて受信モードを選択するモード選択部212が設けられていた。これに対し、第4実施形態は、図12に示すように、モード選択部212の代わりにタイムアウト時間設定部213を設けた点を特徴とする。
【0084】
すなわち、判定部211において、前記第3実施形態と同様の処理フローS11、S12、S13、S51で、発電量が発電量判定閾値以上であるか否かが判断される。なお、発電量判定閾値は、第3実施形態と同じく、S12の発電量閾値と同じでも良いし、異なる値でも良い。
そして、S51で、発電量が発電量判定閾値以上であると判定された場合には、タイムアウト時間設定部213は、タイムアウト時間を第1時間(例えば3分)に設定する(S61)。
一方、S51でNoと判定された場合、タイムアウト時間設定部213は、タイムアウト時間を、前記第1時間よりも短い第2時間(例えば1分)に設定する(S62)。
【0085】
そして、受信制御部21は、受信処理を実行する(S63)。受信処理では、前記各実施形態と同様に、衛星サーチおよび捕捉したGPS衛星5からの時刻情報や位置情報の取得処理等を実行するが、受信を開始してから、前記タイムアウト時間設定部213が設定したタイムアウト時間に達すると、受信処理を中止する。
従って、タイムアウト時間が第1時間(3分)に設定されている場合は、GPS付き腕時計1が屋外に配置され、受信環境も良好である可能性が高いため、前記第1時間以内に3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できる可能性も高い。
そして、受信制御部21は、3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できた場合には、前記第1実施形態のS39と同様に、取得位置&時刻情報表示処理を行う。
また、3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できていない場合には、1個以上のGPS衛星5から時刻情報を取得していれば、前記第1実施形態のS29と同様に、取得時刻情報表示処理を行う。
【0086】
一方、タイムアウト時間が第2時間(1分)に設定されている場合は、GPS付き腕時計1が屋内に配置されている可能性が高いため、前記第2時間では3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できる可能性は低い。
この場合、受信制御部21は、1個以上のGPS衛星5から時刻情報を取得していれば、前記第1実施形態のS29と同様に、取得時刻情報表示処理を行う。
また、仮に、3個以上のGPS衛星5からの位置情報および時刻情報を取得できた場合には、前記第1実施形態のS39と同様に、取得位置&時刻情報表示処理を行う。
以上のような受信処理S63が終了すれば、受信制御部21は受信制御を終了する。
【0087】
このような第4実施形態によれば、発電量に応じて、タイムアウト時間設定部213でタイムアウト時間を設定しているので、例えば、GPS付き腕時計1が屋内に配置されている場合のように発電量が低い状態では、タイムアウト時間を第1時間よりも短い第2時間に設定できる。このため、GPS衛星5を捕捉できない状態で設定されたタイムアウト時間(第2時間)以上、受信処理を継続することがないため、無駄な電力消費を防止できる。
一方、GPS付き腕時計1が屋外に配置されている場合のように発電量が高い状態では、タイムアウト時間を第2時間よりも長い第1時間に設定しているので、複数個のGPS衛星5を捕捉して位置情報を取得できる可能性も高まり、取得位置&時刻情報表示処理を行うことができる。
【0088】
なお、本発明は前記各実施形態に限定されない。
例えば、前記第1,3,4実施形態は自動受信を行う場合について説明したが、利用者が手動で受信処理を行う場合に適用してもよい。すなわち、利用者が手動で受信処理を操作した場合には、図5,11,13のS12の判定処理から実行すればよい。
【0089】
また、前記第1,3,4実施形態では、S11〜S14,S51までの判定処理を行って受信モードを選択していたが、S12の発電量が発電量閾値以上であるか否かの判定処理のみで受信モードを選択してもよいし、S13の判定処理のみで受信モードを選択してもよい。少なくとも、腕時計1が室内に配置されているのか、屋外に配置されているのかを判定できる処理を行って受信モードやタイムアウト時間を選択・設定すればよい。
【0090】
さらに、前記第2実施形態において、S42で「Yes」と判定された場合に、第1実施形態のS13,S14の判定処理を行い、受信モードを選択しても良い。
【0091】
また、タイムアウト時間設定部213は、前記第4実施形態のS51のように、発電量が発電量判定閾値以上であるか否かで、タイムアウト時間を設定するものに限らない。例えば、タイムアウト時間設定部213は、図14に示すように、第1実施形態と同じく発電変化量が変化量判定閾値以上であればタイムアウト時間を第2時間に設定し、発電変化量が変化量判定閾値未満であればタイムアウト時間を第1時間に設定してもよい。
さらに、タイムアウト時間設定部213は、第2実施形態と同様に、発電量が発電量判定第1閾値以上であればタイムアウト時間を第1時間に設定し、発電量が発電量判定第1閾値未満、発電量判定第2閾値以上であればタイムアウト時間を第2時間に設定し、発電量が発電量判定第2閾値未満であればユーザーがタイムアウト時間を設定するものでもよい。
【0092】
さらに、電子機器は、GPS付き腕時計1に限らない。例えば、GPS付きの携帯電話機などでもよいし、登山などに用いられるGPS付きのナビゲーション装置などでもよい。
また、上述の実施形態は、位置情報衛星としてGPS衛星5について説明したが、本発明の位置情報衛星としては、ガリレオ(EU)、GLONASS(ロシア)、北斗(中国)などの他の全地球的航法衛星システム(GNSS)や、SBASなどの静止衛星や準天頂衛星などの時刻情報を含む衛星信号を発信する位置情報衛星でも良い。
【符号の説明】
【0093】
1…GPS付き腕時計、3…指針、4…ディスプレイ、5…GPS衛星、10…GPS装置、11…GPSアンテナ、20…制御装置、21…受信制御部、22…表示制御部、23…充電制御部、24…測定制御部、30…記憶装置、40…入力装置、50…表示装置、60…電源、70…ソーラーパネル、71…測定回路、211…判定部、212…モード選択部、213…タイムアウト時間設定部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
前記受信部を制御する受信制御部と、
ソーラーパネルと、を備える電子機器であって、
前記受信制御部は、
前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記衛星信号を受信して時刻情報を取得する時刻情報受信モード、または、前記衛星信号を受信して位置情報および時刻情報を取得する位置時刻情報受信モードを選択するモード選択部と、を備え、
前記モード選択部で選択した受信モードで前記受信部の動作を制御する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量を所定の変化量監視時間監視して、前記変化量監視時間における発電量の変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定し、
前記モード選択部は、
前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値以上であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択し、
前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値未満であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定し、
前記モード選択部は、
前記判定部において発電量が発電量判定閾値以上であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択し、
前記判定部において発電量が発電量判定閾値未満であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定第1閾値以上であるか、前記発電量判定第1閾値よりも小さな発電量判定第2閾値未満であるか、あるいは前記発電量判定第1閾値未満でかつ発電量判定第2閾値以上であるかを判定し、
前記モード選択部は、
前記判定部において発電量が発電量判定第1閾値以上であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択し、
前記判定部において発電量が発電量判定第1閾値未満であり、かつ、発電量判定第2閾値以上であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択し、
前記判定部において発電量が発電量判定第2閾値未満であると判定した場合は、利用者が受信モードを選択できる状態に移行する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器において、
前記受信制御部は、前記モード選択部で前記時刻情報受信モードが選択された場合のタイムアウト時間を、前記位置時刻情報受信モードが選択された場合のタイムアウト時間に比べて短く設定する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
前記受信部を制御する受信制御部と、
ソーラーパネルと、を備える電子機器であって、
前記受信制御部は、
前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定部と、を備え、
前記受信部を動作させて受信を開始した後、受信に成功せずに前記タイムアウト時間設定部で設定されたタイムアウト時間に達した場合には、受信部を停止させて受信を終了する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定し、
前記タイムアウト時間設定部は、
前記判定部において発電量が発電量判定閾値以上であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を第1時間に設定し、
前記判定部において発電量が発電量判定閾値未満であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を前記第1時間よりも短い第2時間に設定する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項6に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量を所定の変化量監視時間監視して、前記変化量監視時間における発電量の変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定し、
前記タイムアウト時間設定部は、
前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値未満であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を第1時間に設定し、
前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値以上であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を前記第1時間よりも短い第2時間に設定する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の電子機器において、
前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量が、予め設定された発電量閾値を超えた状態が所定の屋外判定時間以上継続した場合に、前記受信部を作動して受信動作を開始することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項9に記載の電子機器において、
前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量が、予め設定された発電量閾値を超えた状態が前記屋外判定時間以上継続した場合に、前回の受信成功時から所定の受信間隔設定時間以上経過していない場合には、前記受信動作を開始しないことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の電子機器において、
前記受信制御部は、利用者の手動操作によって受信指示操作が行われた場合に、前記受信部を作動して受信動作を開始することを特徴とする電子機器。
【請求項12】
位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
前記受信部を制御する受信制御部と、
ソーラーパネルと、を備える電子機器の衛星信号受信方法であって、
前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定工程と、
前記判定工程の判定結果に基づいて、前記衛星信号を受信して時刻情報を取得する時刻情報受信モード、または、前記衛星信号を受信して位置情報および時刻情報を取得する位置時刻情報受信モードを選択するモード選択工程と、
前記モード選択工程で選択した受信モードで前記受信部の動作を制御する受信制御工程と、
を備えることを特徴とする電子機器の衛星信号受信方法。
【請求項13】
位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
前記受信部を制御する受信制御部と、
ソーラーパネルと、を備える電子機器の衛星信号受信方法であって、
前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定工程と、
前記判定工程の判定結果に基づいて、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定工程と、
前記受信部を動作させて受信を開始した後、受信に成功せずに前記タイムアウト時間設定工程で設定されたタイムアウト時間に達した場合には、受信部を停止させて受信を終了する受信制御工程と、
を備えることを特徴とする電子機器の衛星信号受信方法。
【請求項1】
位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
前記受信部を制御する受信制御部と、
ソーラーパネルと、を備える電子機器であって、
前記受信制御部は、
前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、前記衛星信号を受信して時刻情報を取得する時刻情報受信モード、または、前記衛星信号を受信して位置情報および時刻情報を取得する位置時刻情報受信モードを選択するモード選択部と、を備え、
前記モード選択部で選択した受信モードで前記受信部の動作を制御する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量を所定の変化量監視時間監視して、前記変化量監視時間における発電量の変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定し、
前記モード選択部は、
前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値以上であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択し、
前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値未満であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定し、
前記モード選択部は、
前記判定部において発電量が発電量判定閾値以上であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択し、
前記判定部において発電量が発電量判定閾値未満であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定第1閾値以上であるか、前記発電量判定第1閾値よりも小さな発電量判定第2閾値未満であるか、あるいは前記発電量判定第1閾値未満でかつ発電量判定第2閾値以上であるかを判定し、
前記モード選択部は、
前記判定部において発電量が発電量判定第1閾値以上であると判定した場合は、前記位置時刻情報受信モードを選択し、
前記判定部において発電量が発電量判定第1閾値未満であり、かつ、発電量判定第2閾値以上であると判定した場合は、前記時刻情報受信モードを選択し、
前記判定部において発電量が発電量判定第2閾値未満であると判定した場合は、利用者が受信モードを選択できる状態に移行する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の電子機器において、
前記受信制御部は、前記モード選択部で前記時刻情報受信モードが選択された場合のタイムアウト時間を、前記位置時刻情報受信モードが選択された場合のタイムアウト時間に比べて短く設定する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
前記受信部を制御する受信制御部と、
ソーラーパネルと、を備える電子機器であって、
前記受信制御部は、
前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づいて、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定部と、を備え、
前記受信部を動作させて受信を開始した後、受信に成功せずに前記タイムアウト時間設定部で設定されたタイムアウト時間に達した場合には、受信部を停止させて受信を終了する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量が発電量判定閾値以上であるか否かを判定し、
前記タイムアウト時間設定部は、
前記判定部において発電量が発電量判定閾値以上であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を第1時間に設定し、
前記判定部において発電量が発電量判定閾値未満であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を前記第1時間よりも短い第2時間に設定する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項6に記載の電子機器において、
前記判定部は、前記ソーラーパネルの発電量を所定の変化量監視時間監視して、前記変化量監視時間における発電量の変化量が変化量判定閾値以上であるか否かを判定し、
前記タイムアウト時間設定部は、
前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値未満であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を第1時間に設定し、
前記判定部において発電量の変化量が変化量判定閾値以上であると判定した場合は、前記タイムアウト時間を前記第1時間よりも短い第2時間に設定する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれかに記載の電子機器において、
前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量が、予め設定された発電量閾値を超えた状態が所定の屋外判定時間以上継続した場合に、前記受信部を作動して受信動作を開始することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項9に記載の電子機器において、
前記受信制御部は、前記ソーラーパネルの発電量が、予め設定された発電量閾値を超えた状態が前記屋外判定時間以上継続した場合に、前回の受信成功時から所定の受信間隔設定時間以上経過していない場合には、前記受信動作を開始しないことを特徴とする電子機器。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれかに記載の電子機器において、
前記受信制御部は、利用者の手動操作によって受信指示操作が行われた場合に、前記受信部を作動して受信動作を開始することを特徴とする電子機器。
【請求項12】
位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
前記受信部を制御する受信制御部と、
ソーラーパネルと、を備える電子機器の衛星信号受信方法であって、
前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定工程と、
前記判定工程の判定結果に基づいて、前記衛星信号を受信して時刻情報を取得する時刻情報受信モード、または、前記衛星信号を受信して位置情報および時刻情報を取得する位置時刻情報受信モードを選択するモード選択工程と、
前記モード選択工程で選択した受信モードで前記受信部の動作を制御する受信制御工程と、
を備えることを特徴とする電子機器の衛星信号受信方法。
【請求項13】
位置情報衛星を捕捉し、この捕捉した前記位置情報衛星から送信される衛星信号を受信する受信部と、
前記受信部を制御する受信制御部と、
ソーラーパネルと、を備える電子機器の衛星信号受信方法であって、
前記ソーラーパネルの発電量により受信環境を判定する判定工程と、
前記判定工程の判定結果に基づいて、タイムアウト時間を設定するタイムアウト時間設定工程と、
前記受信部を動作させて受信を開始した後、受信に成功せずに前記タイムアウト時間設定工程で設定されたタイムアウト時間に達した場合には、受信部を停止させて受信を終了する受信制御工程と、
を備えることを特徴とする電子機器の衛星信号受信方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−203856(P2010−203856A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−48313(P2009−48313)
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月2日(2009.3.2)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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