説明

電子機器の放熱構造

【課題】電子デバイスに所望の冷却を与えることのできる電子機器の放熱構造を提供する。
【解決手段】基板15上には電子デバイス(IC)16が搭載され、電子デバイス16の上には放熱シート17が設けられ、さらに、放熱シート17の上には放熱シート17に密着させて伝熱冷却板18が設けられている。基板15および伝熱冷却板18は、止めネジ20でケース19(筐体)に固定されている。伝熱冷却板18は、一端側にZ状に折り曲げられたZ折り部25(高さ調整部)を有し、さらに水平に延伸させて、端部が止めネジ21でケース19に固定されている。Z折り部25は、伝熱冷却板18の高さに応じて、折り角度を変更できるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に搭載された電子デバイスの放熱を行う電子機器の放熱構造に関する。
【背景技術】
【0002】
通信の高速大容量化にともない、電子機器に内蔵された電子デバイスが演算処理の過程で極めて高温化する傾向にある。このため、電子デバイスからの熱を効果的に放熱する構造が望まれている。従来の放熱構造としては、例えば、集積回路(IC:Integrated Circuit)等の電子部品が搭載された基板全体を、ゴム弾性を有する放熱シートで覆い、その上面に伝熱冷却板を密着させるものが知られており、基板全体からの熱が放熱シートを介して伝熱冷却板に伝わり、伝熱冷却板から放熱されるようになっている(特許文献1参照)。
【0003】
図1は、従来の小型基地局装置の放熱構造を説明する図である。図1は、基地局装置の天板を外した状態の斜視図である。基板31に搭載された電子デバイスは、放熱シートのみではケース33に放熱することができないので、放熱シート(図示せず)の上に図2に示すアルミ製の伝熱冷却板32を載せ、伝熱冷却板32の一端をケース33に固定し、電子デバイスの熱を伝導させて、ケース33から冷却している。
【0004】
図3は、伝熱冷却板をケースへ固定する従来方法の一例を示す一部断面図である。基板35上には電子デバイス(IC)36が搭載され、電子デバイス36の上には放熱シート37が設けられ、さらに、放熱シート37の上にはアルミ製の伝熱冷却板38が密着されている。基板35および伝熱冷却板38は、止めネジ40でケース39に固定されている。また、伝熱冷却板38は、一端側がクランク状に屈曲されており、さらに水平に延伸させて、端部が止めネジ41でケース39に固定されている。伝熱冷却板38は、一端側がクランク状のままケース39に固定されるので、高さを調整することができない。
なお、図3において、ネジ丸穴42、43、44は、伝熱冷却板38をネジ締め付け側から見たときの、伝熱冷却板38に設けられたネジ穴の形状を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−347855号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、基板に搭載される個々の電子デバイスの高さ寸法のバラツキは加算されて、電子デバイスと伝熱冷却板との間隔の公差は大きくなる。従来の放熱構造では、伝熱冷却板の高さは調整することができないため、放熱シートの厚みを大きくすることで公差を調整しようとすれば、放熱シートの熱抵抗が大きくなりすぎて電子デバイスに所望の冷却が与えられない事態が発生する。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、電子デバイスに所望の冷却を与えることのできる電子機器の放熱構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、基板に搭載された電子デバイスの上に放熱シートを設け、前記放熱シートの上に伝熱冷却板を設けて、前記電子デバイスからの熱を放熱する電子機器の放熱構造において、前記伝熱冷却板は、前記伝熱冷却板の高さを調整する高さ調整部を有して、前記電子機器の筐体に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
前記伝熱冷却板は、前記高さ調整部でZ状に折り曲げられていることが好ましい。また、前記伝熱冷却板は、前記高さ調整部で逆U状に曲げられていることが好ましい。さらに、前記伝熱冷却板は、厚さが1〜2mmのアルミ製の冷却板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明は、伝熱冷却板の高さを調整して、放熱シートを厚くせずに伝熱冷却板を放熱シートに密着させることができるので、発熱する電子デバイスに所望の冷却を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】従来の小型基地局装置の放熱構造を説明する図である。
【図2】伝熱冷却板の一例を示す図である。
【図3】伝熱冷却板をケースへ固定する従来方法の一例を示す断面図である。
【図4】本発明の第1実施例に係る放熱構造の示す小型基地局装置の一部断面図である。
【図5】本発明の第2実施例に係る放熱構造の示す小型基地局装置の一部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図4は、本発明の第1実施例に係る放熱構造の示す小型基地局装置の一部断面図である。なお、以下の実施例では、小型基地局装置の放熱構造について説明するが、本発明は、基板上に発熱する電子デバイスを搭載する一般的な電子機器に適用可能である。
【0013】
基板15上には電子デバイス(IC)16が搭載され、電子デバイス16の上には放熱シート17が設けられ、さらに、放熱シート17の上には放熱シート17に密着させて伝熱冷却板18が設けられている。基板15および伝熱冷却板18は、止めネジ20でケース19(筐体)に固定されている。また、伝熱冷却板18は、一端側にZ状に折り曲げられたZ折り部25(高さ調整部)を有し、さらに水平に延伸させて、端部が止めネジ21でケース19に固定されている。Z折り部25は、伝熱冷却板18の高さに応じて、折り角度を変更できるようになっている。
【0014】
また、伝熱冷却板18には、止めネジ20で伝熱冷却板18をケース19に固定するためのネジ長穴23、24が形成されている。伝熱冷却板18を固定する位置は、伝熱冷却板18の高さに応じて変わるので、ねじ穴を長穴としている。なお、図4において、ネジ丸穴22、ネジ長穴23、24は、伝熱冷却板18をネジ締め付け側から見たときの、伝熱冷却板18に設けられたネジ穴の形状を示している。
【0015】
伝熱冷却板18は、外径寸法が、例えば、縦100〜200mm、横100〜200mm、厚さ1〜2mmのアルミ製の冷却板である。伝熱冷却板18は、厚さが1〜2mmのアルミ製であるので容易に折れ曲がることができる。したがって、伝熱冷却板18は、Z折り部25(高さ調整部)にて、折り角度を変更することで、高さ(電子デバイス16と伝熱冷却板18との間隔)を調整することができる。
【0016】
図5は、本発明の第2実施例に係る放熱構造の示す小型基地局装置の一部断面図である。基板15上には電子デバイス(IC)16が搭載され、電子デバイス16の上には放熱シート17が設けられ、さらに、放熱シート17の上には放熱シート17に密着させて伝熱冷却板28が設けられている。基板15および伝熱冷却板28は、止めネジ20でケース19(筐体)に固定されている。また、伝熱冷却板28は、一端側に逆U状に曲げられた逆U折り部26(高さ調整部)を有し、さらに水平に延伸させて、端部が止めネジ21でケース19に固定されている。逆U曲げ部26は、伝熱冷却板28の高さに応じて、撓み量を変更できるようになっている。
【0017】
また、伝熱冷却板28には、止めネジ20で伝熱冷却板28をケース19に固定するためのネジ長穴23、24が形成されている。伝熱冷却板28を固定する位置は、伝熱冷却板28の高さに応じて変わるので、ねじ穴を長穴としている。なお、図5において、ネジ丸穴22、ネジ長穴23、24は、伝熱冷却板28をネジ締め付け側から見たときの、伝熱冷却板28に設けられたネジ穴の形状を示している。
【0018】
伝熱冷却板28は、外径寸法が、例えば、縦100〜200mm、横100〜200mm、厚さ1〜2mmのアルミ製の冷却板である。伝熱冷却板28は、厚さが1〜2mmのアルミ製であるので容易に撓むことができる。したがって、伝熱冷却板28は、逆U曲げ部26(高さ調整部)にて、撓み量を変更することで、高さ(電子デバイス16と伝熱冷却板28との間隔)を調整することができる。
【0019】
上述したように、本発明の放熱構造は、伝熱冷却板の高さを調整して、放熱シートを厚くせずに伝熱冷却板を放熱シートに密着させることができるので、発熱する電子デバイスに所望の冷却を与えることができる。また、電子デバイスに所望の冷却を与えることができるため、小型基地局の更なる小型化が可能になる。
【符号の説明】
【0020】
15、31、35 基板
16、36 電子デバイス
17、37 放熱シート
18、28、32、38 伝熱冷却板
19、33、39 ケース
20、21、40、41 止めネジ
22、42、43、44 ネジ丸穴
23、24 ネジ長穴
25 Z折り部
26 逆U曲げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に搭載された電子デバイスの上に放熱シートを設け、前記放熱シートの上に伝熱冷却板を設けて、前記電子デバイスからの熱を放熱する電子機器の放熱構造において、
前記伝熱冷却板は、前記伝熱冷却板の高さを調整する高さ調整部を有して、前記電子機器の筐体に取り付けられていることを特徴とする電子機器の放熱構造。
【請求項2】
前記伝熱冷却板は、前記高さ調整部でZ状に折り曲げられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の放熱構造。
【請求項3】
前記伝熱冷却板は、前記高さ調整部で逆U状に曲げられていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器の放熱構造。
【請求項4】
前記伝熱冷却板は、厚さが1〜2mmのアルミ製の冷却板であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電子機器の放熱構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−49329(P2012−49329A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189934(P2010−189934)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】