説明

電子機器及び電源制御プログラム並びに電源制御方法

【課題】非動作時における待機電力消費を確実に低減して節電を図る。
【解決手段】テープ印字装置1は、直流電源ユニット134から供給される電圧に基づき2次側に定電圧を出力可能に構成されるとともに、外部からの起動制御信号の入力により2次側に定電圧を出力している起動状態と2次側の出力を停止する停止状態とを切り替え可能なレギュレータ147と、1次側電源の初期投入時に供給された電圧に基づき起動制御信号を出力してレギュレータ147を起動状態とするとともに、外部からの解除信号の入力により起動制御信号の出力を停止可能なトリガー回路141と、レギュレータ147から供給される定電圧に基づき動作し、レギュレータ147に対する起動制御信号、及び、トリガー回路141に対する解除信号、を出力可能なCPU137とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、定電圧を出力可能な定電圧回路を備えた電子機器及びそれに用いられる電源制御プログラム並びに電源制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1次側電源から供給される電圧に基づき2次側に定電圧を出力可能な定電圧回路を備えた電子機器として、特許文献1記載の技術が知られている。1次側電源が投入されると、定電圧回路は、その1次側電源から供給される電圧に基づき2次側に定電圧を生成し、制御手段(CPU)へ供給する。この結果、制御手段が動作を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−252129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術においては、1次側電源が投入されると、その後は定電圧回路及び制御手段に対し常時通電状態が維持される状態であり、例えば動作開始後の一定期間の経過等の所定の条件を契機に定電圧回路や制御手段への給電を自動的に停止する機能(いわゆるオートパワーオフ機能)等は特に設けられていない。このため、非動作時における待機電力消費を低減し、節電を図るのは困難であった。
【0005】
本発明の目的は、非動作時における待機電力消費を確実に低減して節電を図ることができる電子機器、及び電源制御プログラム、並びに電源制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、1次側電源から供給される電圧に基づき2次側に定電圧を出力可能に構成されるとともに、外部からの起動制御信号の入力により2次側に定電圧を出力している起動状態と2次側の出力を停止する停止状態とを切り替え可能な定電圧回路と、前記1次側電源の初期投入時に供給された電圧に基づき前記起動制御信号を出力して前記定電圧回路を起動状態にするとともに、外部からの解除信号の入力により前記起動制御信号の出力を停止可能なトリガー回路と、前記定電圧回路から供給される前記定電圧に基づき動作し、前記定電圧回路に対する前記起動制御信号、及び、前記トリガー回路に対する前記解除信号、を出力可能な制御手段と、を有することを特徴とする。
【0007】
本願発明の電子機器は、定電圧回路と、トリガー回路と、制御手段と、を有している。定電圧回路は、外部からの起動制御信号の入力により起動状態・停止状態を切り替え可能に構成されている。まず1次側電源が初期投入されると、その投入により電圧がトリガー回路に供給される。トリガー回路はその供給された電圧に基づき、起動制御信号を出力し、定電圧回路を起動状態にする。これにより定電圧回路は、その1次側電源から供給される電圧に基づき2次側に定電圧を生成し、制御手段へ供給する。この結果、制御手段が動作を開始する。
【0008】
このとき、本願発明においては、制御手段が、定電圧回路に対する起動制御信号を出力可能に構成されている。したがって、制御手段は、例えば動作開始後の一定期間の経過等の所定の条件を契機に、起動制御信号の定電圧回路への出力を停止して定電圧回路を停止状態にさせ、これによって制御手段自らへの定電圧回路からの給電を停止させることができる(いわゆるオートパワーオフ動作)。これにより、非動作時における待機電力消費を低減することができる。
【0009】
特に、本願発明においては、制御手段によるオートパワーオフ動作時に、制御手段以外の回路のみならず、制御手段自らへの給電も停止させることができる。これにより、オートパワーオフ動作時に制御手段への給電は継続される構造に比べ、待機電力消費を確実に低減しより大きな節電効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、非動作時における待機電力消費を確実に低減して節電を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態のテープ印字装置の外観を表す斜視図である。
【図2】テープ印字装置にロールシートホルダが装着された状態を開閉カバーを開けて示す斜視図である。
【図3】ロールシートホルダをテープ印字装置に装着した状態を示す側断面図である。
【図4】テープ印字装置の電気的構成を表す回路図である。
【図5】オートパワーオフの処理手順を説明するための説明図である。
【図6】図5の処理を実行する際の処理手順を説明するためのタイムチャートである。
【図7】手動で電源をOFFする場合の処理手順を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0013】
本実施形態は、本発明を電子機器としてのテープ印字装置1(印刷装置)に適用した実施形態である。まず、本実施形態に係るテープ印字装置1の概略構成について図1乃至図3に基づき説明する。
【0014】
<テープ印字装置1の概略構造>
図1乃至図3に示すように、テープ印字装置1は、当該装置1の外郭を構成するとともに、所定幅のロールシート3Aが巻回されたロールシートホルダ3を収納するロールシートホルダ収納部4を備える樹脂製の筐体2と、シートホルダ収納部4の上側を覆うように後側上端縁部に、後部側左右一対のヒンジ部60を介して開閉自在に取り付けられた透明樹脂製の開閉カバー5とを有している。
【0015】
ロールシート3Aは、自己発色性を有する長尺状の感熱シート(いわゆる、サーマルペーパー)や、該感熱シートの片面に粘着剤を介して離形紙が貼り合わされた長尺状のラベルシート等で構成され、ロールシートホルダ3に巻回されている。
【0016】
開閉カバー5は、回動可能となるようにヒンジ部60を介して筐体2に支持され、当該回動によりロールシートホルダ収納部4上方の開口部OPを開閉する。この開閉カバー5では、左側に設けられた左壁面5Dと、右側に設けられた右壁面5Cと、左壁面5Dと右壁面5Cとを接続するように延設される中間壁面5Eとにより、略コの字形状となって一体に構成されている。さらに、開閉カバー5には、略コの字形状の内縁部を覆うように天板5Fが取り付けられている。
【0017】
また、開閉カバー5の前側のフロントカバー6には、印刷されたロールシート3Aを外部に排出するシート排出口6Aが形成されている。また、このシート排出口6Aの上側の前面部には、電源ボタン7A、押下することによってシート排出口6Aの内側に設けられたカッターユニット80(図3参照)を駆動させてロールシート3Aを切断し印字ラベル(図示せず)を生成するカットボタン7B、押下している間ロールシート3Aを搬送方向に排出するフィードボタン7C、その他のボタン7Dの合計4個のボタンが略水平に配置されている。さらに、フロントカバー6における電源ボタン7Aと制御ボタン7Dそれぞれの近傍には、後述するLED表示部8,8が配置されている。以下適宜、これら各ボタン7A,7B,7C,7Dを、キートップ7A,7B,7C,7Dと称する。
【0018】
また、開閉カバー5の凹み部5Aの正面左側には、前側方向に所定長さ突出した押し爪部5Bが設けられている。また、開閉カバー5を閉じた場合に、筐体2の当該押し爪部5Bが当接する位置には、マイクロスイッチ等から構成されて、この押し爪部5Bによって押下されたか否か、即ち、開閉カバー5が閉じられたか否かを判別するための開閉カバー検出スイッチ18が配置されている。
【0019】
また、筐体2の背面部には図示せずの電源コードが接続されるインレット10が配設されると共に、その横側(図3中の左側)には図示せずのパーソナルコンピュータ等と接続されるUSB(Universal Serial Bus)コネクタ(図示省略)が設けられている。
【0020】
<サーマルヘッド・カッターユニット等の内部機器>
また、図3に示すように、挿入口26のロールシート搬送方向奥側には、ステッピングモータによって駆動されるプラテンローラ35(搬送手段)が回転自在に軸支されている。また、サーマルヘッド32(印字手段)が、押圧バネ36によって上方に付勢されているヘッド支持部材37の上面に固定されている。また、このヘッド支持部材37の搬送方向に対して後側の端縁部は、フレーム38の背面部によって上下方向に揺動可能に支持されている。そして、筐体2の開口部OP周縁の内側には、断面円形状でリンクレバー34の厚さにほぼ等しい高さに形成された係合軸33(図2参照)が立設されている。この係合軸33には、サーマルヘッド32を上下動させるリンクレバー34の一方の端縁部に形成された貫通孔34Aが嵌め込まれ、このリンクレバー34の端縁部が回動可能且つ着脱可能に取り付けられている(図2参照)。そして、開閉カバー5を開閉すると、リンクレバー34が前後方向に移動し、リリースレバー(図示せず)、レバー軸(図示せず)を介して、サーマルヘッド32が上下動される。
【0021】
また、プラテンローラ35及びサーマルヘッド32から、ロールシート3Aの搬送方向下流側(図3中左側)には、カッターユニット80が設けられている。このカッターユニット80は、上記図3に示すように、固定刃80Aと可動刃80Bとを有している。前述したカットボタン7Bが押下された場合には、可動刃80BがDCモータ等で構成される切断用モータ80Cにより上下方向に往復移動される。これにより、上記サーマルヘッド32による印字がなされた後のロールシート3Aが固定刃80Aと可動刃80Bとによって所望の長さに切断されて印字ラベルが生成され、シート排出口6Aから排出される。
【0022】
一方、ロールシートホルダ収納部4の下側には、仕切壁39を介して、制御基板40が設けられている。この制御基板40には、外部のパーソナルコンピュータ等からの指令によりサーマルヘッド32等の各機構部を駆動制御する制御回路(トリガー回路141、レギュレータ147、CPU137等。後述の図5参照)が形成されている。
【0023】
<電気的構成>
次に、本実施形態におけるテープ印字装置1の電気的構成について図4を参照して説明する。ここで、本実施形態に係るテープ印字装置1は、直流電源ユニット134と、レギュレータ(定電圧回路)147と、トリガー回路141と、CPU137(制御手段)及び負荷139を含む負荷回路と、手動スイッチSHを有している。なお、負荷139は、具体的には、上記CPU137の制御対象である、プラテンローラ35及びサーマルヘッド32等である。
【0024】
図4において、直流電源ユニット134は、AC電源と接続するプラグ134Cに接続されるAC/DC変換部(図示せず)とを有している。トリガー回路141は、コンデンサ144と、ダイオード143と、npn型の第1トランジスタTr1と、を備えている。また、レギュレータ147のイネーブル端子(図中「EN」で示す)とCPU137とは、ダイオード145を介し接続されている。このとき、上記ダイオード143と上記ダイオード145及び後述するダイオード146とはいわゆるワイヤードOR接続となっており、ダイオード143とダイオード145及びダイオード146のカソード側同士がレギュレータ147に接続されている。また、第1トランジスタTr1は、ベース側が抵抗R1を介してCPU137に接続されていると共に、コレクタ側はコンデンサ144とダイオード143との間に接続され、エミッタ側は接地されている。また、コレクタ側とエミッタ側(接地側)とを接続するように抵抗R2が設けられている。
【0025】
手動スイッチSHは、上記電源ボタン7Aに対応して設けられている。すなわち、操作者が上記電源ボタン7Aを操作し、手動スイッチSHを開閉することにより、直流電源ユニット134からレギュレータ147への電力供給、及び、レギュレータ147からCPU137への電源供給を、ON・OFFすることができる。この手動スイッチSHは、一方(図示下方)の接点端子は接地され、他方(図示上方)の接点端子は、抵抗R3を介し、pnp型の第2トランジスタTr2のベース側に接続されている。また、第2トランジスタTr2のエミッタ側はレギュレータ147の出力端子(図中「OUT」で示す)に接続され、さらにこのエミッタ側とベース側とは、抵抗R4を介して接続されている。一方、第2トランジスタTr2のコレクタ側は、上記ダイオード146を介しレギュレータ147の上記イネーブル端子に接続されるとともに、抵抗R5を介して、npn型の第3トランジスタTr3のベース側に接続されている。第3トランジスタTr3のエミッタ側は接地されており、このエミッタ側とベース側とが、抵抗R6を介し接続されている。また第3トランジスタTr3のコレクタ側は、抵抗R7を介してレギュレータ147の上記出力端子に接続されるとともに、直接CPU137にも接続されている。
【0026】
上記の電気的構成において、本実施形態の特徴は、CPU137の実行するオートパワーオフ動作にある。以下、このオートパワーオフ動作を含む本実施形態のテープ印字装置1の動作例について、図5〜図7を参照して説明する。
【0027】
<オートパワーオフで電源OFF後、手動でONする場合>
まず、オートパワーオフにより電源がOFFされる場合を説明する。例えば、直流電源ユニット134のプラグ134Cがコンセント(図示せず)に差し込まれてAC電源がONとなると、直流電源ユニット134からの電源電圧8V(1次側電源)がレギュレータ147の入力端子(図中「IN」で示す)及びトリガー回路141に供給される(図5及び図6中の(1)参照)。これにより、電源が供給されたトリガー回路141の出力電圧がHレベル(8V)になり(図5及び図6中の(3)参照)、トリガー回路141からレギュレータ147への起動制御信号としてのON/OFF制御信号(図5及び図6中の(6)参照)がON(8V)になる。この結果、レギュレータ147が起動状態となり、レギュレータ137で生成されたCPU137への電源3.3V(図5及び図6中の(2)参照)が供給開始される。この結果、CPU137が動作を開始する(各請求項記載の動作開始処理及び動作開始手順に相当)。CPU137は動作開始後ただちにON/OFF信号(図5及び図6中の(4)参照)をHレベル(3.3V)とすることでレギュレータ147への上記起動制御信号(図5及び図6中の(6)参照)をONし続ける(給電継続処理)とともに、トリガー回路141に対して、当該トリガー回路141に制御信号(解除信号)を出力して上記トリガー回路141からのON信号(図5及び図6中の(3)参照)をOFFとするように制御する(各請求項記載のトリガー停止処理及びトリガー停止手順に相当)。このようにして、レギュレータ147の起動状態・停止状態の切り替え制御をトリガー回路141に代わってCPU137が行うようにする際、レギュレータ147の上記イネーブル端子に対する制御上の空白期間(タイムラグ)が生じないようにしている(図6中の(6)の破線部分参照)。
【0028】
その後、CPU137は、上記のようにしてON/OFF信号(図5及び図6中の(4)参照)をONにした後、電源ボタン7Aが操作されず手動スイッチSHのON・OFF(図5及び図6中の(5)参照)が変化していない状態のまま所定期間が経過したことを確認して、上記ON/OFF信号(図5及び図6中の(4)参照)をLレベルに変化させる。これにより、レギュレータ147の上記イネーブル端子への上記起動制御信号としてのON/OFF信号(図5及び図6中の(6)参照)がOFFとなり、レギュレータ147が停止状態となる(各請求項記載の給電停止処理及び給電停止手順に相当)。この結果、CPU137及び負荷139への電源電圧3.3V(図5及び図6中の(2)参照)の供給が停止され、回路の消費電力が低減される(オートパワーオフ動作)。
【0029】
なお、その後、上記低消費電力状態から、例えば電源ボタン7Aが操作されることで手動スイッチSHがONされる(図5及び図6中の(5)参照)と、レギュレータ147のON/OFF信号(図5及び図6中の(6)参照)がONとなり、CPU137へ電源電圧3.3V(図5及び図6中の(2)参照)が供給され、CPU137が再び動作を開始する。前述と同様、CPU137は、動作開始後直ちにON/OFF信号(図5及び図6中の(4)参照)をHレベルにして、手動スイッチSHがOFFとなった後も、レギュレータ147へのON/OFF信号(図5及び図6中の(6)参照)をONする。またこのときCPU137は上述の手動スイッチSHからのON/OFF信号がONされたことを検出することで、上記ON/OFF信号(図5及び図6中の(4)参照)をHレベル電圧(3.3V)で出力することを維持する。
【0030】
なお、以上においては、CPU137が起動後に電源ボタン7Aが所定期間操作されていなかったら直ちにオートパワーオフ機能を実行したが、このオートパワーオフ機能の実行と不実行とを、操作者の適宜のボタンやスイッチの操作により選択的に切り替え可能(あるいは一時的にオートパワーオフを解除可能)としてもよい。この場合は、オートパワーオフ機能の実行が選択されているときには、例えば図示しないCPU137の不揮発性のメモリに記憶されている「電源ON持続フラグ」がOFFとされる。そして、CPU137は、上記のように手動スイッチSHのON・OFF(図5及び図6中の(5)参照)が変化していない状態のまま所定期間が経過したことを確認したら、上記メモリを参照して電源ON持続フラグがOFFであることを確認して、上記ON/OFF信号(図5及び図6中の(4)参照)をLレベルに変化させる。
【0031】
これに対して、オートパワーオフの不実行(又は解除)が選択されているときには、上記メモリに記憶されている「電源ON持続フラグ」がONとされる。この場合は、操作者の電源ボタン7Aの操作によってのみ、パワーオフが実行されることになる。この手動で電源がOFFされる場合を図7及び前述の図5を用いて説明する。
【0032】
図7において、パワーオン時の動作は前述と同様であるので説明を省略する。前述したように、CPU137は、上記ON/OFF信号(図5及び図7中の(4)参照)をONにした後、電源ボタン7Aが操作されず手動スイッチSH(図5及び図7中の(5)参照)が変化していない状態のまま所定期間が経過したことを確認したら、CPU137のメモリの電源ON持続フラグを参照する。そして、上記の選択によって電源ON持続フラグがONとなっていた場合には、CPU137は、手動スイッチSHからのON/OFF信号(図5及び図7中の(5)参照)等の要因が発生しない限り、上記ON/OFF信号(図5及び図7中の(4)参照)をHレベル(3.3V)の状態で維持し続ける。
【0033】
上述のようにCPU137が動作している状態で、その後、操作者の電源ボタン7Aの操作により手動スイッチSHからのON/OFF信号(図5及び図7中の(5)参照)がONとなると、上述のように、手動スイッチSHからのON/OFF信号(図5及び図7中の(5)参照)の出力はCPU137との結線に於いてはHレベルとLレベルとを反転させ電圧を0Vへ落としていることから、CPU137へLレベル信号が入力される。これにより、CPU137はON/OFF信号(図5及び図7中の(4)参照)としてLレベル信号を出力し、レギュレータ147へのON/OFF信号(図5及び図7中の(6)参照)をOFFにする。この結果、レギュレータ147は、CPU137や負荷139への電源電圧3.3V(図5及び図7中の(2)参照)の出力を停止する。これにより、前述と同様、CPU137や負荷139への電源供給が絶たれ、電源OFF状態となる。
【0034】
なお、図5〜図7を用いて説明した上記の制御手順を実行するための電源制御プログラムが、例えばCPU137のROMやEEPROMに予め記憶されており、このプログラムが読み出され実行されることにより、上記の処理が行われる。
【0035】
以上説明したように、本実施形態では、CPU137が、動作開始後の一定期間の経過等の所定の条件を契機に、レギュレータ147を停止状態にさせ、これによって負荷139及びCPU137自らへのレギュレータ147からの給電を停止させることができる(オートパワーオフ動作)。これにより、非動作時における待機電力消費を低減することができる。そして、このようなオートパワーオフ動作時に、CPU137以外の回路のみならず、CPU137自らへの給電も停止させることができるので、オートパワーオフ動作時にCPU137への給電は継続される構造に比べ、待機電力消費を確実に低減し、より大きな節電効果を得ることができる。
【0036】
また、本実施形態では特に、CPU137は、1次電源投入時にトリガー回路141及びレギュレータ147の機能によって円滑に動作開始した後、前述のトリガー停止処理によってレギュレータ147の起動状態・停止状態の切り替え制御を確実に支配的に行えるようにし、さらに所定期間が経過したら前述の給電停止処理によって確実にオートパワーオフを実行することができる。
【0037】
また、本実施形態では特に、CPU137は、上記動作開始処理の後、上記トリガー停止処理より前に、レギュレータ147に対する起動制御信号を出力してレギュレータ147の起動状態を継続させる上記給電継続処理を実行する。これにより、レギュレータ147の起動状態・停止状態の切り替え制御をトリガー回路141に代わってCPU137が行うようにする際、レギュレータ147に対する制御上の空白期間(タイムラグ)が生じないようにすることができる(図6中の(6)の破線部分参照)。これにより、安定的な上記起動状態・停止状態の切り替え制御を行うことができる。
【0038】
なお、上記の制御上の空白期間について特に配慮しなくてもよい場合(あるいは空白期間が生じないことが別の手段によって保証されている場合)においては、レギュレータ147の起動状態・停止状態の切り替え制御をトリガー回路141に代わってCPU137が行うようにする際、CPU137は、上記動作開始処理の後、上記トリガー停止処理と略同時にレギュレータ147に対する起動制御信号を出力し、レギュレータ147の起動状態を継続させるようにしてもよい。
【0039】
なお、以上においては、テープ印字装置に対し本発明を適用した場合を例にとって説明したが、これに限られない。すなわち、バッテリ電源により駆動される携帯用プリンタや、例えばA4、A3、B4、B5サイズ等の通常の被印刷用紙に画像を形成したり文字を印刷するプリンタ、等、他の種類の印刷装置に対し、本発明を適用してもよい。この場合も同様の効果を得る。さらに、印刷装置にも限られず、CPUとともに電源を供給されて駆動される負荷が存在する電子機器であれば、印刷装置以外の機器に対しても本発明は適用でき、この場合も同様の効果を得る。
【0040】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0041】
1 テープ印字装置(印刷装置:電子機器)
137 CPU(制御手段)
141 トリガー回路
147 レギュレータ(定電圧回路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側電源から供給される電圧に基づき2次側に定電圧を出力可能に構成されるとともに、外部からの起動制御信号の入力により2次側に定電圧を出力している起動状態と2次側の出力を停止する停止状態とを切り替え可能な定電圧回路と、
前記1次側電源の初期投入時に供給された電圧に基づき前記起動制御信号を出力して前記定電圧回路を起動状態にするとともに、外部からの解除信号の入力により前記起動制御信号の出力を停止可能なトリガー回路と、
前記定電圧回路から供給される前記定電圧に基づき動作し、前記定電圧回路に対する前記起動制御信号、及び、前記トリガー回路に対する前記解除信号、を出力可能な制御手段と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1記載の電子機器において、
前記制御手段は、
前記1次側電源の初期投入時に供給された電圧に基づき前記トリガー回路から供給された前記起動制御信号で起動された前記定電圧回路からの定電圧により動作開始する動作開始処理と、
前記動作開始処理に伴い、前記トリガー回路に対する前記解除信号を出力して前記起動制御信号の出力を停止させるトリガー停止処理と、
動作開始後の所定期間が経過したことに応じて、前記定電圧回路に対する前記起動制御信号を停止して当該定電圧回路の動作を停止させる給電停止処理と、
を実行する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項2記載の電子機器において、
前記制御手段は、
前記動作開始処理の後、前記トリガー停止処理と略同時に、前記定電圧回路に対する前記起動制御信号を出力して前記定電圧回路の起動状態を継続させる給電継続処理を実行する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項2記載の電子機器において、
前記制御手段は、
前記動作開始処理の後、前記トリガー停止処理より前に、前記定電圧回路に対する前記起動制御信号を出力して前記定電圧回路の起動状態を継続させる給電継続処理を実行する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項2乃至請求項4のいずれか1項記載の電子機器において、
前記制御手段の制御対象としての、被印字媒体を搬送する搬送手段、及び、前記搬送手段により搬送される前記被印字媒体に所望の印字を行う印字手段、を備える印刷装置である
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
1次側電源から供給される電圧に基づき2次側に定電圧を出力可能に構成されるとともに、外部からの起動制御信号の入力により2次側に定電圧を出力している起動状態と2次側の出力を停止する停止状態とを切り替え可能な定電圧回路と、前記1次側電源の初期投入時に供給された電圧に基づき前記起動制御信号を出力して前記定電圧回路を起動状態にするとともに、外部からの解除信号の入力により前記起動制御信号の出力を停止可能なトリガー回路と、を有する電子機器に備えられる制御手段に対し、
前記1次側電源の初期投入時に供給された電圧に基づき前記トリガー回路から供給された前記起動制御信号で起動された前記定電圧回路からの定電圧により動作開始する動作開始手順と、
前記動作開始手順の後、前記トリガー回路に対する前記解除信号を出力して前記起動制御信号の出力を停止させるトリガー停止手順と、
動作開始後の所定期間が経過したことに応じて、前記定電圧回路に対する前記起動制御信号を停止して当該定電圧回路の動作を停止させる給電停止手順と、
を実行させるための、電源制御プログラム。
【請求項7】
1次側電源から供給される電圧に基づき2次側に定電圧を出力可能に構成されるとともに、外部からの起動制御信号の入力により2次側に定電圧を出力している起動状態と2次側の出力を停止する停止状態とを切り替え可能な定電圧回路と、前記1次側電源の初期投入時に供給された電圧に基づき前記起動制御信号を出力して前記定電圧回路を起動状態にするとともに、外部からの解除信号の入力により前記起動制御信号の出力を停止可能なトリガー回路と、を有する電子機器に備えられる制御手段が実行する電源制御方法であって、
前記1次側電源の初期投入時に供給された電圧に基づき前記トリガー回路から供給された前記起動制御信号で起動された前記定電圧回路からの定電圧により動作開始する動作開始手順と、
前記動作開始手順の後、前記トリガー回路に対する前記解除信号を出力して前記起動制御信号の出力を停止させるトリガー停止手順と、
動作開始後の所定期間が経過したことに応じて、前記定電圧回路に対する前記起動制御信号を停止して当該定電圧回路の動作を停止させる給電停止手順と、
を有することを特徴とする電源制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−29968(P2013−29968A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−165300(P2011−165300)
【出願日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】