電子機器
【課題】表示部を駆動させる駆動機構に与える負荷を極力抑制できる電子機器を提供する。
【解決手段】カーナビ1は機器本体と表示ユニット3と駆動機構4とROM6とEPROM7とCPU8を備えている。表示ユニット3は機器本体の内外を移動自在である。駆動機構4は表示ユニット3を移動するモータ22,25を備えている。EPROM7は機器本体のインパネに対する取付角度としての傾きを記憶している。ROM6は駆動電圧テーブルを記憶している。駆動電圧テーブルは傾きと表示ユニット3を排出する場合と表示ユニット3を収容する場合とモータ22,25に印加する電圧との関係である。CPU8はEPROM7に記憶されている傾きに基づいて駆動電圧テーブル通りの電圧をモータ22,25に印加する。
【解決手段】カーナビ1は機器本体と表示ユニット3と駆動機構4とROM6とEPROM7とCPU8を備えている。表示ユニット3は機器本体の内外を移動自在である。駆動機構4は表示ユニット3を移動するモータ22,25を備えている。EPROM7は機器本体のインパネに対する取付角度としての傾きを記憶している。ROM6は駆動電圧テーブルを記憶している。駆動電圧テーブルは傾きと表示ユニット3を排出する場合と表示ユニット3を収容する場合とモータ22,25に印加する電圧との関係である。CPU8はEPROM7に記憶されている傾きに基づいて駆動電圧テーブル通りの電圧をモータ22,25に印加する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の移動体に装着されるとともに、機器本体に対して出し入れ自在に設けられた表示部を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動体としての自動車には、電子機器としてのナビゲーション装置(以下カーナビと呼び、例えば、特許文献1参照)が取り付けられることがある。カーナビは、箱状の本体部と、この本体部に出し入れ自在な表示部とを備えている。
【0003】
本体部は、扁平な箱状に形成されており、前述した自動車のインストルメントパネルに取り付けられる。本体部は、ナビゲーションユニット、テレビチューナや、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤなどを収容している。表示部は、扁平な板状に形成されており、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネルを備えている。表示部は、表示パネルに前述したナビゲーションユニットからの情報、DVDプレーヤが再生した情報や、テレビチューナが受信したテレビ映像を表示する。
【0004】
また、前述した本体部は、前述した表示部を本体部に出し入れする駆動機構などを備えている。駆動機構は、表示パネルが下方に相対する状態で前述した表示部を本体部に収容した収容位置と、この表示部を表示パネルの表面に沿って本体部外に一旦移動して該本体部外に位置付けた排出位置とに亘って、前記表示部を移動する。また、駆動機構は、前述した排出位置において、表示部の一端部としての下端部を中心として回転して、表示パネルを使用者に対して相対させたり、表示パネルを下方に相対させる。
【0005】
前述した特許文献1に示されたカーナビは、筐体内に表示部を収容した状態で、駆動機構が表示パネルの表面に沿って表示部を本体部外に一旦移動する。そして、駆動機構が、下端部を中心として表示部を回転して、表示パネルを前述した自動車の乗員などに相対させる。そして、前述したカーナビは、ナビゲーションユニットからの情報、DVDプレーヤが再生した情報や、テレビチューナが受信したテレビ映像を表示パネルに表示する。
【0006】
また、特許文献1に示されたカーナビは、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示部を移動させる場合の動作完了時間(タイムアウト時間と呼ぶ)と、前記排出位置において一端部を中心として回転して前記表示部を立ち上がらせる場合の動作完了時間(タイムアウト時間と呼ぶ)と、前記排出位置において一端部を中心として回転して前記表示部を立ち下げる場合の動作完了時間(タイムアウト時間と呼ぶ)と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動させる場合の動作完了時間(タイムアウト時間と呼ぶ)と、を予め記憶しておき、該タイムアウト時間内に各動作が完了したか否かを判定している。
【0007】
さらに、特許文献1に示されたカーナビは、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示部を移動させる場合にモータの印加する電圧と、前記排出位置において一端部を中心として回転して前記表示部を立ち上がらせる場合にモータの印加する電圧と、前記排出位置において一端部を中心として回転して前記表示部を立ち下げる場合にモータの印加する電圧と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動させる場合にモータの印加する電圧と、を予め記憶しておき、各動作時に当該電圧をモータに印加している。
【特許文献1】特開2002−55625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したカーナビは、種々の車種の自動車に取り付けられることが考えられる。このため、前述したカーナビは、取付物としてのインパネに取り付けられる際に種々の取付角度で機器本体が取り付けられることが考えられる。
【0009】
このため、前述した特許文献1に示されたカーナビは、前述したタイムアウト時間や電圧を、種々の取付角度に対応するために、前記表示部を移動及び回転する際に、最もモータにかかる負荷が強い状態であっても、確実に表示部を移動及び回転できる値に定めていた。
【0010】
このため、機器本体の取付角度によっては、表示部を移動しやすかったり回転しやすい場合においても、タイムアウト時間が長くなったり、モータに印加する電圧が大きくなってしまうことがあった。
【0011】
実際の動作完了時間と設定されたタイムアウト時間との差が大きくなると、表示部の移動中に何らかの要因によって、例えば操作者の手や障害物に当たるなどして表示部が途中で停止しても、タイムアウト時間が経過するまでは表示部を駆動させようと電圧を印加し続けるため停止後に電圧を印加する時間が長くなる。そして、停止している表示部を駆動させようと電圧を印加し続けることにより、その駆動機構へ与える負荷が増す傾向であった。また、モータに印加する電圧が必要以上に大きいと、勿論、駆動機構へ与える負荷が増加する傾向であった。
【0012】
本発明の目的は、例えば、表示部を駆動させる駆動機構に与える負荷を極力抑制できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電子機器は、被取付物に取り付けられる機器本体と、該機器本体の内外に移動自在でかつ情報を表示可能な表示部と、前記機器本体内に収容する収容位置と、前記収容位置から前記機器本体外に排出された排出位置とに亘って前記表示部を移動させるとともに、前記排出位置において一端部を中心として前記表示部を回転させる移送手段と、を備えた電子機器において、前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度と、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係と、前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度と、前記排出位置における前記一端部を中心として回転させて前記表示部を立ち上がらせる場合の前記移送手段の駆動条件と、前記排出位置における前記一端部を中心として回転させて前記表示部を立ち下げる場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係と、の双方を記憶した第1記憶手段と、前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度を記憶した第2記憶手段と、前記第2記憶手段が記憶した機器本体の取付角度に基づいて、前記第1記憶手段に記憶された関係通りの駆動条件で前記移送手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかる電子機器を説明する。本発明の一実施形態にかかる電子機器は、機器本体の取付角度毎に移送手段の駆動条件を予め定めておき、機器本体の取付角度に応じた駆動条件で移送手段を駆動することで、移動部が移動し易い取付角度や移動し難い取付角度に適切な駆動条件で移送手段を駆動することを可能としている。こうすることで、本実施形態の電子機器は、表示部の移動が途中で停止しても移送手段を駆動し続けることを防止でき、表示部を駆動する移送手段のモータなどに印加する電圧を抑制して、その表示部を駆動させる移送手段に与える負荷を極力抑制できるようにしている。
【0015】
また、本実施形態の電子機器は、第2記憶手段に機器本体の取付角度が記憶されていない場合に、表示部が排出位置に位置付けられた後に、当該表示部が鉛直方向と平行な状態であることが入力されると、表示部の回転角度に基づいて、制御手段が、機器本体の取付角度を算出した後に第2記憶手段に書き込むようにしても良い。この場合、機器本体の取付角度を、当該電子機器の被取付物への取り付け後に、入力できるので、正確な取付角度に基づいて、移送手段を駆動させることができる。
【0016】
さらに、本実施形態の電子機器は、取付角度毎に移送手段の第1モータ及び第2モータに印加する電圧を予め定めておき、機器本体の取付角度に応じて第1モータ及び第2モータに印加する電圧を変更するようにしても良い。この場合、表示部が移動しにくい場合には、第1モータ及び第2モータに印加する電圧を高くして表示部の移動にかかる所要時間を短くして、タイムアウト時間(即ち、動作を開始してからの次の動作に移行するまでの時間)が長くなることを防止できるとともに、表示部が移動し易い場合には、第1モータ及び第2モータに印加する電圧を低くして省電力化を図ることが可能となる。
【実施例】
【0017】
本発明の一実施例を、図1ないし図15に基づいて説明する。電子機器としてのカーナビゲーション装置(以下、カーナビと呼ぶ)1は、図1などに示すように、移動体としての自動車の被取付物としてのインストルメントパネル(以下、インパネと呼ぶ)Dなどに装着される。
【0018】
カーナビ1は、図2ないし図5に示すように、機器本体2と、機器本体2内に出し入れ自在に設けられた表示部としての表示ユニット3と、機器本体2内に表示ユニット3を出し入れする移送手段としての駆動機構4(図6及び図7に示す)と、第1記憶手段としてのROM6(図8に示す)と、第2記憶手段としてのEPROM7(図8に示す)と、制御手段としてのCPU8(図8に示す)などを備えている。
【0019】
機器本体2は、扁平な箱状に形成されている。機器本体2は、インパネDに取り付けられる。機器本体2は、インパネDに装着された際に、自動車の乗員室側に相対向する表面に開口部2aと後述のDVD―ROMやDVDビデオなどを出し入れする挿入口2bとを設けている。なお、以下、図2などに示す前述した自動車の車幅方向を矢印Xで示し、前述した自動車の前後方向を矢印Yで示し、前述した自動車の高さ方向を矢印Zで示す。なお、図示例では、カーナビ1の幅方向が矢印Xと一致し、カーナビ1の奥行き方向が矢印Yと一致し、カーナビ1の厚み方向が矢印Zと一致している。
【0020】
また、機器本体2は、図8に示すナビゲーションユニット9と、DVDプレーヤ10と、テレビチューナ11などを収容している。即ち、カーナビ1は、ナビゲーションユニット9と、DVDプレーヤ10と、テレビチューナ11を更に備えている。
【0021】
ナビゲーションユニット9は、前述した自動車の走行距離センサから該自動車のタイヤの回転に対応して車速パルス信号が入力する。ナビゲーションユニット9は、前述した矢印Y方向の加速度を検出する加速度センサや、GPS(Global Positioning System:全
地球測位システム)などを備えている。ナビゲーションユニット9は、前述した加速度センサやGPSなどを用いて、自動車の位置を測定したり、自動車の移動方向などを算出する。そして、ナビゲーションユニット9は、自動車の位置や移動方向などを表示ユニット3の後述する表示パネル3aに表示する。
【0022】
なお、図示例では、図14に示すように、後述する収容位置から排出位置に向かって表示ユニット3が移動する際に該表示ユニット3が上方に向かって移動する状態と、排出位置から収容位置に向かって表示ユニット3が移動する際に該表示ユニット3が下方に向かって移動する状態の場合の機器本体2の矢印Yの水平方向(図2乃至図5に示す)に対する傾きθ0を、プラスの角度としている。又、図15に示すように、収容位置から排出位置に向かって表示ユニット3が移動する際に該表示ユニット3が下方に向かって移動する状態と、排出位置から収容位置に向かって表示ユニット3が移動する際に該表示ユニット3が上方に向かって移動する状態の場合の機器本体2の矢印Yの水平方向(図2乃至図5に示す)に対する傾きθ0を、マイナスの角度としている。傾きθ0は、機器本体2のインパネDに対する取付角度をなしている。
【0023】
DVDプレーヤ10は、周知のDVD(Digital Versatile Disk)―ROM(Read Only Memory)やDVDビデオなどを再生して、これらのDVD―ROMやDVDビデオなどからの情報を表示ユニット3の表示パネル3aに表示する。テレビチューナ11は、テレビ放送を受信して、受信して得た映像を表示ユニット3の表示パネル3aに表示する。
【0024】
表示ユニット3は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)などからなる文字や画像などの情報を運転者などに向かって表示して視認させるための表示面としての表示パネル3aと、この表示パネル3aを収容する筐体部材3bなどを備えている。表示ユニット3は、前記機器本体2内に、表示パネル3aが下方に相対した状態で収容される。表示ユニット3は、駆動機構4により機器本体2内外に移動自在である。表示ユニット3の表示パネル3aは、前述したナビゲーションユニット9と、DVDプレーヤ10と、テレビチューナ11からの情報を表示する。
【0025】
また、前述した機器本体2の表面には、図1及び図2に示すように、操作手段としての操作部13が設けられている。操作部13は、複数の操作ボタン14などを備えている。これらの操作ボタン14即ち操作部13は、前述した表示パネル3aに表示する情報を、ナビゲーションユニット9からの情報と、DVDプレーヤ10からの情報と、テレビチューナ11からの情報とを切り換えるためなどに用いられる。また、操作ボタン14即ち操作部13は、機器本体2内から表示ユニット3を出し入れするためや、後述の視認位置で、表示ユニット3の向きを調整するためなどに用いられる。このため、操作ボタン14即ち操作部13は、視認位置にある表示ユニット3を後述の収容位置に移動させるための指令を発する。また、操作ボタン14は、後述する取付角度検知モードにおいて、表示ユニット3の向きを調整するためや、表示ユニット3が鉛直方向と平行な状態(表示パネル3aが鉛直方向と平行な状態)であることを示す情報を入力するために用いられる。
【0026】
駆動機構4は、図6及び図7に示すように、固定部5と、スライド部12と、回動部15と、第1スイッチ16(図8などに示す)と、第2スイッチ17(図8などに示す)と、検出手段としてのエンコーダ19(図8などに示す)を備えている。固定部5は、ラック20を備えている。ラック20は、機器本体2内に収容されかつ該機器本体2に固定されている。ラック20は、直線状に形成されており、その長手方向は、前述した矢印Y即ち自動車の前後方向と平行に配置されている。ラック20は、機器本体2の矢印Y方向の全長に亘って設けられている。
【0027】
スライド部12は、スライドシャーシ21と、第1モータ22と、ウォーム歯車23とを備えている。スライドシャーシ21は、板金などで構成されており、表示ユニット3の機器本体2寄りの一端部3cを、矢印Xを中心として回転自在に支持している。第1モータ22は、スライドシャーシ21に固定されている。第1モータ22の出力軸にはウォーム24が取り付けられている。ウォーム歯車23は、スライドシャーシ21に矢印Xを中心として回転自在に支持されている。ウォーム歯車23は、ウォーム24とラック20との双方と噛み合っている。
【0028】
スライド部12は、第1モータ22が例えば正転駆動すると、ラック20上をウォーム歯車23が走行して、スライドシャーシ21即ち表示ユニット3を機器本体2内から開口部2aを通して機器本体2外に向かって移動する。スライド部12は、第1モータ22が例えば逆転駆動すると、ラック20上をウォーム歯車23が走行して、スライドシャーシ21即ち表示ユニット3を機器本体2外から開口部2aを通して機器本体2内に向かって移動する。
【0029】
回動部15は、第2モータ25と、連結歯車26と、回動軸用歯車27とを備えている。第2モータ25は、スライドシャーシ21に固定されており、その出力軸にピニオン28が取り付けられている。連結歯車26は、スライドシャーシ21に矢印Xを中心として回転自在に支持されており、ピニオン28と噛み合っている。回動軸用歯車27は、表示ユニット3の前述した一端部3cに固定されている。回動軸用歯車27は、連結歯車26と噛み合っている。
【0030】
前述した構成によって、回動部15は、例えば、第2モータ25が正転駆動すると、前述した一端部3cを中心として、矢印X回りに表示ユニット3を立ち上げる方向に回転する。回動部15は、第2モータ25が逆転駆動すると、前述した一端部3cを中心として、矢印X回りに表示ユニット3を立ち下げる方向に回転する。
【0031】
第1スイッチ16は、機器本体2内の開口部2aから離れた側の奥に配置されている。第1スイッチ16は、機器本体2内に表示ユニット3が収容されて、該表示ユニット3が機器本体2内に収容された収容位置に位置付けられると、スライドシャーシ21によって押圧されてオンとなる。第1スイッチ16は、表示ユニット3が収容位置よりも機器本体2外に完全に排出された排出位置寄り即ち開口部2a寄りに位置付けられると、スライドシャーシ21から押圧されずにオフとなる。第1スイッチ16は、オン及びオフを示す情報をCPU8に向かって出力する。第1スイッチ16は、表示ユニット3が収容位置に位置付けられているか否かを検出して、検出結果をCPU8に向かって出力する。
【0032】
第2スイッチ17は、機器本体2内の開口部2a寄りの箇所に配置されている。第2スイッチ17は、機器本体2外に表示ユニット3が位置付けられて、該表示ユニット3が排出位置に位置付けられると、スライドシャーシ21によって押圧されてオンとなる。第2スイッチ17は、表示ユニット3が排出位置よりも前述した収容位置寄り即ち開口部2aの奥寄りに位置付けられると、スライドシャーシ21から押圧されずにオフとなる。第2スイッチ17は、オン及びオフを示す情報をCPU8に向かって出力する。第2スイッチ17は、表示ユニット3が露出位置に位置付けられているか否かを検出して、検出結果をCPU8に向かって出力する。
【0033】
エンコーダ19は、表示ユニット3の前述した一端部3cを中心した回転方向と回転角度を検出して、該検出した回転方向と回転角度に応じた情報をCPU8に向かって出力する。
【0034】
前述した構成によって、駆動機構4は、第1モータ22が例えば正転駆動してウォーム歯車23がラック20上を走行して、スライドシャーシ21即ち表示ユニット3を機器本体2内に収容された収容位置(図6に示す)から機器本体2外に排出された排出位置(図7に示す)に向かって、矢印Y即ち機器本体2の奥行き方向に沿って、表示ユニット3を移動する。即ち、駆動機構4は、第1モータ22が例えば正転駆動すると、開口部2aを通して、機器本体2内の表示ユニット3を機器本体2外に排出させる。
【0035】
また、駆動機構4は、第1モータ22が例えば逆転駆動すると、ウォーム歯車23がラック20上を走行して、スライドシャーシ21即ち表示ユニット3を前述の排出位置から収容位置に向かって、矢印Y即ち機器本体2の奥行き方向に沿って移動する。即ち、駆動機構4は、第1モータ22が例えば逆転駆動すると、開口部2aを通して、機器本体2外の表示ユニット3を機器本体2内に収容する。こうして、駆動機構4は、機器本体2内に収容された収容位置と、機器本体2内から排出された排出位置とに亘って、表示ユニット3などを移動する。
【0036】
さらに、前述した構成によって、駆動機構4は、第2モータ25が例えば正転駆動すると、機器本体2内から排出されて即ち収容位置から移動されて排出位置の初期位置(図7中に実線で示す)に位置付けられた表示ユニット3を、当該排出位置において、前述した一端部3cを中心として回転して、表示パネル3aが乗員室内の乗員などと相対する例えば図7中に二点鎖線で示す視認位置に位置付ける。なお、本明細書では、機器本体2外に位置付けられた表示ユニット3は、排出位置に位置付けられているという。即ち、本明細書では、視認位置と初期位置とは排出位置の一部である。また、本明細書では、排出位置において表示パネル3aが下方に相対する状態を、表示ユニット3が排出位置の初期位置(図9中に実線で示す)に位置付けられているという。視認位置とは、初期位置から一端部3cを中心として回転された位置をいう。
【0037】
また、駆動機構4は、第2モータ25が例えば逆転駆動すると、前述した視認位置に位置付けられた表示ユニット3を、前述した一端部3cを中心として回転して、表示パネル3aが下方に相対する前述した排出位置の初期位置に向かって移動させる。このように、駆動機構4は、収容位置と、当該収容位置から機器本体2外に排出された排出位置とに亘って、表示ユニット3を移動させる。また、駆動機構4は、排出位置において、一端部3cを中心として表示ユニット3を回転させて、表示パネル3aに表示した情報を乗員に視認させる視認位置に表示ユニット3を変位する。このように、駆動機構4は、一端部3cを中心として表示ユニット3を回転することで、機器本体2外に排出された表示ユニット3を立ち上げて視認位置に位置付けるとともに、当該視認位置から表示ユニット3を立ち下げて機器本体2から排出された排出位置の初期位置に表示ユニット3を位置付ける。なお、立ち上げるとは、排出位置の表示ユニット3を初期位置から視認位置に向かって変位させることをいい、立ち下げるとは、排出位置の表示ユニット3を視認位置から初期位置に向かって変位させることをいう。
【0038】
ROM6は、カーナビ1を動作されるためのプログラムなどを記憶している。ROM6は、CPU8を後述するように動作するためのプログラムを記憶している。また、ROM6は、図13(a)に示す機器本体2の取付角度としての傾きθ0と、収容位置から排出位置の初期位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の駆動機構4の第1モータ22の駆動条件と、排出位置の初期位置から収容位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の駆動機構4の第1モータ22の駆動条件との関係である駆動電圧テーブル30Aを記憶している。
【0039】
さらに、ROM6は、図13(b)に示す機器本体2の取付角度としての傾きθ0と、排出位置の初期位置から視認位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の駆動機構4の第2モータ25の駆動条件と、排出位置の視認位置から初期位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の駆動機構4の第2モータ25の駆動条件との関係である駆動電圧テーブル30Bを記憶している。ROM6が駆動電圧テーブル30A,30Bを記憶する工程は、機器本体2の傾きθ0と、前記収容位置と前記排出位置との間及び排出位置における初期位置と視認位置との間の前記表示ユニット3を移動させるための駆動条件と、の関係を記憶する記憶工程である。
【0040】
図13(a)に示された駆動電圧テーブル30Aは、前述した機器本体2の傾きθ0毎に、表示ユニット3を収容位置から排出位置の初期位置に移動させる際に第1モータ22に印加する電圧(排出時駆動電圧と記し、駆動条件に相当する)と、表示ユニット3を排出位置の初期位置から収容位置に移動させる際に第1モータ22に印加する電圧(収容時駆動電圧と記し、駆動条件に相当する)と、を定めている。駆動電圧テーブル30Aは、各動作を開始してからの各動作が完了するまでの時間が略等しくなるように、各場合の駆動電圧を定めている。即ち、駆動電圧テーブル30Aは、第1モータ22にかかる負荷が大きな場合には、該第1モータ22に印加する電圧を高くし、第1モータ22にかかる負荷が小さい場合には、該第1モータ22に印加する電圧を低くしている。
【0041】
このように、駆動電圧テーブル30Aは、各動作を開始してからの各動作が完了するまでの時間が略等しくなるような機器本体2の傾きθ0と、収容位置から排出位置の初期位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の第1モータ22の電圧と、排出位置の初期位置から収容位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の第1モータ22の電圧と、の関係を定めている。
【0042】
図13(b)に示された駆動電圧テーブル30Bは、前述した機器本体2の傾きθ0毎に、表示ユニット3を排出位置の初期位置から視認位置に移動させる際に第2モータ25に印加する電圧(立上時駆動電圧と記し、駆動条件に相当する)と、表示ユニット3を排出位置の視認位置から初期位置に移動させる際に第2モータ25に印加する電圧(立下時駆動電圧と記し、駆動条件に相当する)と、を定めている。駆動電圧テーブル30Bは、各動作を開始してからの各動作が完了するまでの時間が略等しくなるように、各場合の駆動電圧を定めている。即ち、駆動電圧テーブル30Bは、第2モータ25にかかる負荷が大きな場合には、該第2モータ25に印加する電圧を高くし、第2モータ25にかかる負荷が小さい場合には、該第2モータ25に印加する電圧を低くしている。
【0043】
このように、駆動電圧テーブル30Bは、各動作を開始してからの各動作が完了するまでの時間が略等しくなるような機器本体2の傾きθ0と、排出位置の初期位置から視認位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の第2第1モータ22の電圧と、排出位置の視認位置から初期位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の第2モータ25の電圧と、の関係を定めている。
【0044】
EPROM7は、周知の不揮発性メモリであり、CPU8によって機器本体2のインパネDに対する取付角度としての傾きθ0が書き込まれる。また、EPROM7は、収容位置から排出位置に位置付けられた後、CPU8によって排出位置におけるエンコーダ19からの情報に基づいて表示ユニット3の回転方向と回転角度が書き込まれる。
【0045】
CPU8は、特許請求の範囲に記した制御手段をなしており、図8に示すように、ナビゲーションユニット9と、DVDプレーヤ10と、テレビチューナ11と、前述した駆動機構4の各モータ22,25と、スイッチ16,17と、エンコーダ19と、ROM6と、EPROM7などと接続しており、これらを制御することにより、カーナビ1全体の制御をつかさどる。
【0046】
CPU8は、機器本体2内に表示ユニット3が収容された状態で、操作部13の操作ボタン14などから表示ユニット3を機器本体2外に排出して視認位置に位置付ける命令が入力すると、前記第1モータ22を正転駆動して、表示ユニット3を矢印Yに沿って移動して、開口部2aを通して、徐々に機器本体2外に排出する。そして、CPU8は、第1スイッチ16がオフとなり第2スイッチ17がオンとなると、第1モータ22を停止する。
【0047】
また、CPU8は、第1モータ22を正転駆動する際に、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30A通りの電圧を第1モータ22に印加する。
【0048】
そして、CPU8は、第2スイッチ17がオンとなってから所定時間経過した後、そして、CPU8は、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、表示パネル3aが乗員に相対するように、第2モータ25を正転駆動して、表示ユニット3を立ち上げる。このように、CPU8は、表示ユニット3を駆動機構4に排出位置の初期位置から視認位置に向かって変位させる。また、CPU8は、第2モータ25を正転駆動する際に、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30B通りの電圧を第2モータ25に印加する。
【0049】
また、CPU8は、前述した表示ユニット3が排出位置の視認位置に位置付けられた状態で、操作部13から該表示ユニット3の向きを変更する命令が入力すると、該命令通りに第2モータ25を駆動して、表示ユニット3の向きを変更する。さらに、CPU8は、エンコーダ19からの情報に基づいて、表示ユニット3の向きを示す前述した回転方向と回転角度を示す情報をEPROM7に書き込む。さらに、CPU8は、操作ボタン14からの命令にしたがって、ナビゲーションユニット9とDVDプレーヤ10とテレビチューナ11からの情報のうち表示ユニット3の表示パネル3aに表示するものを適宜変更する。
【0050】
CPU8は、視認位置に表示ユニット3を位置付けた状態で、操作部13の操作ボタン14などから表示ユニット3を機器本体2内に収容する命令(収容位置に移動させるための指令)が入力することがある。すると、CPU8は、EPROM7に記憶された情報から表示ユニット3の向きと回転角度を示す情報を読み出して、該表示ユニット3が排出位置の初期位置となる第2モータ25の回転方向と回転数を算出する。そして、CPU8は、エンコーダ19からの情報に基づいて、算出した回転方向に回転数、第2モータ25を駆動して、表示ユニット3を、一端部3cを中心として回転する。CPU8は、算出した回転方向に回転数、第2モータ25を駆動した後、該第2モータ25を停止する。また、CPU8は、第2モータ25を逆転駆動する際に、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30B通りの電圧を第2モータ25に印加する。
【0051】
そして、CPU8は、第2スイッチ17がオフとなり第1スイッチ16がオンとなるまで、第1モータ22を逆転駆動して、表示ユニット3を排出位置の初期位置から収容位置に向かって移動して、機器本体2内に収容する。また、CPU8は、第1モータ22を逆転駆動する際に、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30A通りの電圧を第1モータ22に印加する。
【0052】
このように、CPU8は、ナビゲーションユニット9が検出した機器本体2の取付角度としての傾きθ0に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30A,30B通りに、駆動機構4のモータ22,25を制御する。例えば、CPU8は、機器本体2の傾きθ0が30度を超えた状態では、収容位置から排出位置に向かって表示ユニット3を移動する際には第1モータ22に6Vの電圧を印加し、排出位置から収容位置に向かって表示ユニット3を移動する際には第1モータ22に2Vの電圧を印加する。また、CPU8は、機器本体2の傾きθが30度を超えた状態では、排出位置の初期位置から視認位置に向かって表示ユニット3を移動する際には第2モータ25に2Vの電圧を印加し、視認位置から初期位置に向かって表示ユニット3を移動する際には第1モータ22に6Vの電圧を印加する。
【0053】
さらに、CPU8は、EPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0を示す情報が書き込まれていない状態では、まず、カーナビに接続したカーオーディオのスピーカを介して、運転者に自動車を水平な場所で停車することを促す音声情報を出力させる。その後、CPU8は、機器本体2内の表示ユニット3を排出位置の初期位置に位置付けた後に、当該初期位置の表示ユニット3を、表示パネル3aが鉛直方向と平行となる位置に位置付けることを促す音声情報を出力させる。そこで、自動車の乗員が、表示ユニット3が垂直状態(鉛直方向と平行)となるように操作ボタン14を操作して、表示ユニット3の角度を調整する。そして、CPU8は、表示パネル3aが鉛直方向と平行となる位置に位置付けられたことを示す情報が、操作部13の操作ボタン14から入力されると、エンコーダ19から排出位置の初期位置からの表示ユニット3の一端部3cを中心とした回転角度θ(図9に示す)を入手して、以下の式1を用いて、機器本体2の傾きθ0を算出する。
【0054】
傾きθ0=90度−回転角度θ・・・・・・式1
【0055】
そして、CPU8は、算出した機器本体2の傾きθ0をEPROM7に書き込んで、前述したように、傾きθ0に基づいて駆動電圧テーブル30A,30B通りにモータ22,25を制御して、表示ユニット3を収容位置と排出位置の初期位置とに亘って移動し、表示ユニット3を排出位置の初期位置と視認位置とに亘って移動する。なお、図9には、回転角度θが略90度となって、傾きθ0が略0度である場合を示している。
【0056】
次に、前述した構成の電子機器としてのカーナビ1の動作を説明する。まず、図2に示すように、機器本体2内に表示ユニット3が収容された状態で、自動車のエンジンがオンになると、CPU8は、図10中のステップS51で、EPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0が書き込まれているか否かを判定する。なお、EPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0が書き込まれていない状態とは、新品のカーナビ1をインパネDに取り付けたばかりであったり、カーナビ1を自動車間で積み替えたり、自動車のバッテリを交換して、常時バッテリから給電されていた電力が途切れた場合が想定される。
【0057】
ステップS51でEPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0が書き込まれていると判定すると、CPU8は、図11中のステップS1に進み、ステップS51でEPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0が書き込まれていないと判定すると、CPU8は、図10中のステップS52に進む。
【0058】
ステップS52では、CPU8は、運転者に向かって前述したスピーカから自動車を水平となる位置に位置付けることを促す音声情報(コメント)を発する。そして、CPU8は、操作部13の操作ボタン14から自動車が水平な位置に位置付けられたことを示す情報が入力されると、CPU8は、ステップS53に進む。ステップS53では、CPU8は、運転者に向かって前述したスピーカから表示ユニット3を排出位置に位置付けた後、表示パネル3aが鉛直方向と平行となるように、即ち、表示ユニット3が略垂直に位置することを促す音声情報(コメント)を発する。
【0059】
そして、CPU8は、操作ボタン14からの命令通りに、表示ユニット3を収容位置から排出位置の初期位置に位置付けた後、当該排出位置で一端部3cを中心として、表示ユニット3を回転させて、ステップS54に進む。なお、図示例では、表示ユニット3は、略90度回転される。CPU8は、ステップS54で、表示ユニット3の表示パネル3aが鉛直方向と平行であることを示す情報が操作ボタン14から入力されると、ステップS55に進む。
【0060】
そして、ステップS55では、CPU8は、エンコーダ19から表示ユニット3の初期位置からの回転角度θを入手して、ステップS56に進む。ステップS56では、CPU8は、前述した式1に基づいて、機器本体2のインパネDに対する取付角度としての傾きθ0を算出して、ステップS57に進む。なお、図示例では、表示ユニット3の初期位置からの回転角度θが略90度であるので、傾きθ0は、略0度となる。ステップS57では、CPU8は、算出した機器本体2の傾きθ0をEPROM7に書き込む。このように、CPU8は、EPROM7に機器本体2の傾きθ0が記憶されていない場合に、表示ユニット3が排出位置に位置付けられて表示ユニット3が鉛直方向と平行な状態であることを示す情報が入力されると、エンコーダ19の検出した回転角度θに基づいて、機器本体2のインパネDに対する傾きθ0を算出して、EPROM7に書き込む。
【0061】
図2に示すように、表示ユニット3が収容位置に位置付けられた状態で、表示ユニット3を機器本体2外に排出して視認位置に位置付ける際には、まず、CPU8は、図11中のステップS1で、操作ボタン14のうち表示ユニット3を機器本体2外に排出するための即ち表示ユニット3を視認位置に位置付けるための操作ボタン14が操作された否かを判定する。CPU8は、表示ユニット3の排出用の操作ボタン14が操作されるまで、ステップS1を繰り返し、表示ユニット3の排出用の操作ボタン14が操作されると、ステップS2に進む。
【0062】
ステップS2では、CPU8は、EPROM7からの機器本体2の取付角度としての傾きθ0を示す情報を取得して、ステップS3に進む。ステップS2は、前記機器本体2の傾きθ0を読み出す検出工程である。ステップS3では、CPU8は、ROM6から駆動電圧テーブル30A,30Bを読み出して、前記機器本体2の傾きθ0に対応するモータ22,25の電圧を駆動電圧テーブル30A,30Bから抽出して、ステップS4に進む。
【0063】
ステップS4では、CPU8は、前述した駆動電圧テーブル30A通りの電圧を第1モータ22に印加して、ステップS5に進む。ステップS4は、前記検出工程で検出された前記機器本体2の傾きθ0に基づいて、前記記憶された駆動電圧テーブル30A通りの駆動条件で前記表示ユニット3を移動させる制御工程である。すると、図3に示すように、機器本体2内から表示ユニット3が徐々に排出される。
【0064】
ステップS5では、CPU8は、第1モータ22を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過した後、前述した第2スイッチ17がオンされたか否かを判定する。即ち、ステップS5では、CPU8は、第1モータ22を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過した後、前述した表示ユニット3が図4に示す排出位置の初期位置に位置付けられたか否かを判定する。CPU8は、前述した表示ユニット3が図4に示す排出位置の初期位置に位置付けられたと判定すると、第1モータ22を停止するとともに、前述した表示ユニット3が排出位置の初期位置に位置付けられていないと判定すると、第1モータ22を緊急停止する。
【0065】
そして、CPU8は、前記検出工程で検出された前記機器本体2の傾きθ0に基づいて、前記記憶された駆動電圧テーブル30B通りの駆動条件の電圧を第2モータ25に印加して、表示ユニット3を図5に示す視認位置に位置付ける。なお、CPU8は、第2モータ25を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過しても、表示ユニット3が排出位置の視認位置に位置付けられていない場合には、第2モータ25を緊急停止する。
【0066】
また、図5に示すように、表示ユニット3が視認位置に位置付けられた状態で、表示ユニット3を機器本体2内に収容する際には、まず、CPU8は、図12中のステップS11で、操作ボタン14のうち表示ユニット3を機器本体2内に収容するための即ち表示ユニット3を収容位置に位置付けるための操作ボタン14が操作されたか否かを判定する。CPU8は、表示ユニット3の収容用の操作ボタン14が操作されるまで、ステップS11を繰り返し、表示ユニット3の収容用の操作ボタン14が操作されると、ステップS12に進む。
【0067】
ステップS12では、CPU8は、EPROM7からの機器本体2の取付角度としての傾きθ0を示す情報を取得して、ステップS13に進む。ステップS13では、CPU8は、ROM6から駆動電圧テーブル30A,30Bを読み出して、前記機器本体2の傾きθ0に対応するモータ22,25の電圧を駆動電圧テーブル30A,30Bから抽出して、ステップS14に進む。
【0068】
ステップS14では、CPU8は、駆動電圧テーブル30B通りの電圧を第2モータ25に印加してステップS15に進む。ステップS15では、CPU8は、EPROM7に記憶された表示ユニット3の向きを示す情報(表示ユニット3の一端部3cを中心とした初期位置からの回転方向と回転角度)と、エンコーダ19からの情報に基づいて、表示ユニット3が排出位置の初期位置に位置付けられるまで、第2モータ25を駆動して、一端部3cを中心として表示ユニット3を回転する。CPU8は、第2モータ25を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過すると、第2モータ25を緊急停止する。
【0069】
CPU8は、表示ユニット3が排出位置の初期位置に位置付けられると、第2モータ25を停止して、前述した駆動電圧テーブル30A通りの電圧を第1モータ22に印加する。ステップS15では、CPU8は、第1モータ22を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過した後、前述した第1スイッチ16がオンされたか否かを判定する。即ち、ステップS15では、CPU8は、第1モータ22を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過した後、前述した表示ユニット3が収容位置に位置付けられたか否かを判定する。CPU8は、前述した表示ユニット3が収容位置に位置付けられたと判定すると、第1モータ22を停止するとともに、前述した表示ユニット3が収容位置に位置付けられていないと判定すると、第1モータ22を緊急停止する。
【0070】
このように、CPU8は、表示ユニット3を収容位置と排出位置とに亘って移動する。こうして、CPU8は、表示ユニット3を移動する場合に、機器本体2の取付角度としての傾きθ0に基づいて、駆動電圧テーブル30A,30B通りの電圧をモータ22,25に印加して、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30A,30B通りの駆動条件で駆動機構4を制御する。
【0071】
本実施例によれば、カーナビ1は、機器本体2の取付角度としての傾きθ0毎に駆動機構4の駆動条件を予め定めておき、機器本体2の傾きθ0に応じた駆動条件で駆動機構4を駆動することで、表示ユニット3が移動し易い傾きθ0や移動し難い傾きθ0に適切な駆動条件で駆動機構4を駆動することを可能としている。このため、カーナビ1は、表示ユニット3の移動が途中で停止しても駆動機構4を駆動し続けることを防止でき、表示ユニット3を駆動する駆動機構4のモータ22,25などに印加する電圧を抑制して、その表示ユニット3を駆動させる駆動機構4に与える負荷を極力抑制できる。
【0072】
また、カーナビ1は、EPROM7に機器本体2の傾きθ0が記憶されていない場合に、表示ユニット3が排出位置に位置付けられた後に、当該表示ユニット3が鉛直方向と平行な状態であることが入力されると、表示ユニット3の回転角度θに基づいて、CPU8が、機器本体2の傾きθ0を算出した後にEPROM7に書き込む。このため、機器本体2の傾きθ0を、当該カーナビ1のインパネDへの取り付け後に入力できるので、正確な傾きθ0に基づいて、駆動機構4を駆動させることができる。
【0073】
さらに、カーナビ1は、傾きθ0毎に駆動機構4のモータ22,25に印加する電圧を予め定めておき、機器本体2の傾きθ0に応じてモータ22,25に印加する電圧を変更するようにしている。このため、表示ユニット3が移動しにくい場合にはモータ22,25に印加する電圧を高くして表示ユニット3の移動にかかる所要時間を短くして、タイムアウト時間(即ち、動作を開始してからの次の動作に移行するまでの時間)が長くなることを防止できるとともに、表示ユニット3が移動し易い場合にはモータ22,25に印加する電圧を低くして省電力化を図ることが可能となる。
【0074】
なお、前述した実施例では、機器本体2のインパネDに対する取付角度としての傾きθ0が略0度である場合を示しているが、本発明では、勿論、図14及び図15に示すように、傾きθ0が角度を有していても良い。図14は、傾きθ0が約+30度であり、ステップS55における表示ユニット3の回転角度θが略60度となる場合を示している。図15は、傾きθ0が約−30度であり、ステップS55における表示ユニット3の回転角度θが略120度となる場合を示している。
【0075】
前述した図示例では、矢印Yの水平方向に対する機器本体2の傾きθのみを考慮して、モータ22,25の駆動電圧などの駆動条件を適宜変更している。しかしながら、本発明では、矢印Yの水平方向に対する機器本体2の傾きθ0以外の矢印X,Zの水平方向に対する機器本体2の傾きを考慮して、モータ22,25の駆動電圧などの駆動条件を適宜変更しても良い。即ち、本発明では、機器本体2のあらゆる方向のうちの少なくとも一方向の水平方向に対する傾き即ち姿勢を考慮して、モータ22,25の駆動電圧などの駆動条件を適宜変更すれば良い。
【0076】
また、前述した実施例では、機器本体2の幅方向と自動車の車幅方向Xとが一致し、機器本体2の奥行き方向と自動車の前後方向Yとが一致し、機器本体2の厚み方向と自動車の高さ方向Zとが一致した場合を示している。しかしながら、本発明では、機器本体2の幅方向と自動車の車幅方向Xとが一致しなくても良く、機器本体2の奥行き方向と自動車の前後方向Yとが一致しなくても良く、機器本体2の厚み方向と自動車の高さ方向Zとが一致しなくても良い。要するに、本発明では、機器本体2の水平方向に対する傾きθ0毎に駆動機構4の駆動条件を予め定めておき、検出手段が検出した機器本体2の水平方向に対する傾き即ち姿勢に基づいて定められた駆動条件で駆動機構4を駆動すれば良い。
【0077】
また、前述した実施例では、駆動条件としてのモータ22,25に印加する電圧を示している。しかしながら、本発明では、駆動条件として、電圧の他の駆動条件を用いても良い。また、前述した実施例では、傾きθ0毎に一種類の駆動条件のみを変更している。しかしながら、本発明では、傾きθ0毎に、例えば前述した電圧と他の駆動条件との双方を変更するなどの複数の駆動条件を適宜変更しても良い。
【0078】
また、前述した実施例では、EPROM7に傾きθ0を、表示ユニット3を実際に駆動して書き込むようにしているが、本発明では、工場出荷時に予めEPROM7に傾きθ0を書き込むなどしても良い。
【0079】
前述した実施例によれば、以下のカーナビ1が得られる。
【0080】
(付記) インパネDに取り付けられる機器本体2と、
該機器本体2の内外に移動自在でかつ情報を表示可能な表示ユニット3と、
前記機器本体2内に収容する収容位置と、前記収容位置から前記機器本体2外に排出された排出位置とに亘って前記表示ユニット3を移動させるとともに、前記排出位置において一端部3cを中心として前記表示ユニット3を回転させる駆動機構4と、を備えたカーナビ1において、
前記機器本体2の前記インパネDに対する傾きθ0と、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示ユニット3を移動する場合の前記駆動機構4の駆動条件と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係30Aと、
前記機器本体2の前記インパネDに対する傾きθ0と、前記排出位置における前記一端部3cを中心として回転させて前記表示ユニット3を立ち上がらせる場合の前記駆動機構4の駆動条件と、前記排出位置における前記一端部3cを中心として回転させて前記表示ユニット3を立ち下げる場合の前記駆動機構4の駆動条件と、の関係30Bと、の双方を記憶したROM6と、
前記機器本体2の前記インパネDに対する傾きθ0を記憶したEPROM7と、
前記EPROM7が記憶した機器本体2の傾きθに基づいて、前記ROM6に記憶された関係30A,30B通りの駆動条件で前記駆動機構4を制御するCPU8と、を備えたことを特徴とするカーナビ1。
【0081】
付記によれば、カーナビ1は、機器本体2の傾きθ0毎に駆動機構4の駆動条件を予め定めておき、機器本体2の傾きθ0に応じた駆動条件で駆動機構4を駆動することで、表示ユニット3が移動し易い傾きθ0や移動し難い傾きθ0に適切な駆動条件で駆動機構4を駆動することを可能としている。このため、カーナビ1は、表示ユニット3の移動が途中で停止しても駆動機構4を駆動し続けることを防止でき、表示ユニット3を駆動する駆動機構4のモータ22,25などに印加する電圧を抑制して、その表示ユニット3を駆動させる駆動機構4に与える負荷を極力抑制できる。
【0082】
なお、前述した実施例は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施例にかかる電子機器としてのカーナビが自動車のインパネに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたカーナビの表示ユニットが収容位置に位置付けられた状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示された表示ユニットが筐体内から徐々に排出される状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示された表示ユニットが排出位置の初期位置に位置付けられた状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示された表示ユニットが排出位置の初期位置から視認位置に変位した状態を示す斜視図である。
【図6】図2に示されたカーナビの要部の断面図である。
【図7】図4に示されたカーナビの要部の断面図である。
【図8】図1に示されたカーナビの主要な構成を示すブロック図である。
【図9】図2に示されたカーナビの傾きを説明する説明図である。
【図10】図1に示されたカーナビのEPROMに傾きが書き込まれる際のフローチャートである。
【図11】図1に示されたカーナビが収容位置から排出位置の視認位置に表示ユニットを移動する際のフローチャートである。
【図12】図1に示されたカーナビが排出位置の視認位置から収容位置に表示ユニットを移動する際のフローチャートである。
【図13】(a)は、図8に示されたカーナビのROMが記憶したモータに印加する電圧を示す駆動電圧テーブルを示す説明図であり、(b)は、図8に示されたカーナビのROMが記憶した第2モータに印加する電圧を示す駆動電圧テーブルを示す説明図である。
【図14】図9に示されたカーナビが他の傾きでインパネに取り付けられた状態を側方からみた説明図である。
【図15】図9に示されたカーナビが更に他の傾きでインパネに取り付けられた状態を側方からみた説明図である。
【符号の説明】
【0084】
1 カーナビ(電子機器)
2 機器本体
3 表示ユニット(表示部)
4 駆動機構(移送手段)
6 ROM(第1記憶手段)
7 EPROM(第2記憶手段)
8 CPU(制御手段)
22 第1モータ
25 第2モータ
30A,30B 駆動電圧テーブル(関係)
θ 回転角度
θ0 傾き(取付角度)
D インパネ(被取付物)
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車等の移動体に装着されるとともに、機器本体に対して出し入れ自在に設けられた表示部を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、移動体としての自動車には、電子機器としてのナビゲーション装置(以下カーナビと呼び、例えば、特許文献1参照)が取り付けられることがある。カーナビは、箱状の本体部と、この本体部に出し入れ自在な表示部とを備えている。
【0003】
本体部は、扁平な箱状に形成されており、前述した自動車のインストルメントパネルに取り付けられる。本体部は、ナビゲーションユニット、テレビチューナや、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤなどを収容している。表示部は、扁平な板状に形成されており、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)などの表示パネルを備えている。表示部は、表示パネルに前述したナビゲーションユニットからの情報、DVDプレーヤが再生した情報や、テレビチューナが受信したテレビ映像を表示する。
【0004】
また、前述した本体部は、前述した表示部を本体部に出し入れする駆動機構などを備えている。駆動機構は、表示パネルが下方に相対する状態で前述した表示部を本体部に収容した収容位置と、この表示部を表示パネルの表面に沿って本体部外に一旦移動して該本体部外に位置付けた排出位置とに亘って、前記表示部を移動する。また、駆動機構は、前述した排出位置において、表示部の一端部としての下端部を中心として回転して、表示パネルを使用者に対して相対させたり、表示パネルを下方に相対させる。
【0005】
前述した特許文献1に示されたカーナビは、筐体内に表示部を収容した状態で、駆動機構が表示パネルの表面に沿って表示部を本体部外に一旦移動する。そして、駆動機構が、下端部を中心として表示部を回転して、表示パネルを前述した自動車の乗員などに相対させる。そして、前述したカーナビは、ナビゲーションユニットからの情報、DVDプレーヤが再生した情報や、テレビチューナが受信したテレビ映像を表示パネルに表示する。
【0006】
また、特許文献1に示されたカーナビは、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示部を移動させる場合の動作完了時間(タイムアウト時間と呼ぶ)と、前記排出位置において一端部を中心として回転して前記表示部を立ち上がらせる場合の動作完了時間(タイムアウト時間と呼ぶ)と、前記排出位置において一端部を中心として回転して前記表示部を立ち下げる場合の動作完了時間(タイムアウト時間と呼ぶ)と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動させる場合の動作完了時間(タイムアウト時間と呼ぶ)と、を予め記憶しておき、該タイムアウト時間内に各動作が完了したか否かを判定している。
【0007】
さらに、特許文献1に示されたカーナビは、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示部を移動させる場合にモータの印加する電圧と、前記排出位置において一端部を中心として回転して前記表示部を立ち上がらせる場合にモータの印加する電圧と、前記排出位置において一端部を中心として回転して前記表示部を立ち下げる場合にモータの印加する電圧と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動させる場合にモータの印加する電圧と、を予め記憶しておき、各動作時に当該電圧をモータに印加している。
【特許文献1】特開2002−55625号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述したカーナビは、種々の車種の自動車に取り付けられることが考えられる。このため、前述したカーナビは、取付物としてのインパネに取り付けられる際に種々の取付角度で機器本体が取り付けられることが考えられる。
【0009】
このため、前述した特許文献1に示されたカーナビは、前述したタイムアウト時間や電圧を、種々の取付角度に対応するために、前記表示部を移動及び回転する際に、最もモータにかかる負荷が強い状態であっても、確実に表示部を移動及び回転できる値に定めていた。
【0010】
このため、機器本体の取付角度によっては、表示部を移動しやすかったり回転しやすい場合においても、タイムアウト時間が長くなったり、モータに印加する電圧が大きくなってしまうことがあった。
【0011】
実際の動作完了時間と設定されたタイムアウト時間との差が大きくなると、表示部の移動中に何らかの要因によって、例えば操作者の手や障害物に当たるなどして表示部が途中で停止しても、タイムアウト時間が経過するまでは表示部を駆動させようと電圧を印加し続けるため停止後に電圧を印加する時間が長くなる。そして、停止している表示部を駆動させようと電圧を印加し続けることにより、その駆動機構へ与える負荷が増す傾向であった。また、モータに印加する電圧が必要以上に大きいと、勿論、駆動機構へ与える負荷が増加する傾向であった。
【0012】
本発明の目的は、例えば、表示部を駆動させる駆動機構に与える負荷を極力抑制できる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明の電子機器は、被取付物に取り付けられる機器本体と、該機器本体の内外に移動自在でかつ情報を表示可能な表示部と、前記機器本体内に収容する収容位置と、前記収容位置から前記機器本体外に排出された排出位置とに亘って前記表示部を移動させるとともに、前記排出位置において一端部を中心として前記表示部を回転させる移送手段と、を備えた電子機器において、前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度と、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係と、前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度と、前記排出位置における前記一端部を中心として回転させて前記表示部を立ち上がらせる場合の前記移送手段の駆動条件と、前記排出位置における前記一端部を中心として回転させて前記表示部を立ち下げる場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係と、の双方を記憶した第1記憶手段と、前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度を記憶した第2記憶手段と、前記第2記憶手段が記憶した機器本体の取付角度に基づいて、前記第1記憶手段に記憶された関係通りの駆動条件で前記移送手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施形態にかかる電子機器を説明する。本発明の一実施形態にかかる電子機器は、機器本体の取付角度毎に移送手段の駆動条件を予め定めておき、機器本体の取付角度に応じた駆動条件で移送手段を駆動することで、移動部が移動し易い取付角度や移動し難い取付角度に適切な駆動条件で移送手段を駆動することを可能としている。こうすることで、本実施形態の電子機器は、表示部の移動が途中で停止しても移送手段を駆動し続けることを防止でき、表示部を駆動する移送手段のモータなどに印加する電圧を抑制して、その表示部を駆動させる移送手段に与える負荷を極力抑制できるようにしている。
【0015】
また、本実施形態の電子機器は、第2記憶手段に機器本体の取付角度が記憶されていない場合に、表示部が排出位置に位置付けられた後に、当該表示部が鉛直方向と平行な状態であることが入力されると、表示部の回転角度に基づいて、制御手段が、機器本体の取付角度を算出した後に第2記憶手段に書き込むようにしても良い。この場合、機器本体の取付角度を、当該電子機器の被取付物への取り付け後に、入力できるので、正確な取付角度に基づいて、移送手段を駆動させることができる。
【0016】
さらに、本実施形態の電子機器は、取付角度毎に移送手段の第1モータ及び第2モータに印加する電圧を予め定めておき、機器本体の取付角度に応じて第1モータ及び第2モータに印加する電圧を変更するようにしても良い。この場合、表示部が移動しにくい場合には、第1モータ及び第2モータに印加する電圧を高くして表示部の移動にかかる所要時間を短くして、タイムアウト時間(即ち、動作を開始してからの次の動作に移行するまでの時間)が長くなることを防止できるとともに、表示部が移動し易い場合には、第1モータ及び第2モータに印加する電圧を低くして省電力化を図ることが可能となる。
【実施例】
【0017】
本発明の一実施例を、図1ないし図15に基づいて説明する。電子機器としてのカーナビゲーション装置(以下、カーナビと呼ぶ)1は、図1などに示すように、移動体としての自動車の被取付物としてのインストルメントパネル(以下、インパネと呼ぶ)Dなどに装着される。
【0018】
カーナビ1は、図2ないし図5に示すように、機器本体2と、機器本体2内に出し入れ自在に設けられた表示部としての表示ユニット3と、機器本体2内に表示ユニット3を出し入れする移送手段としての駆動機構4(図6及び図7に示す)と、第1記憶手段としてのROM6(図8に示す)と、第2記憶手段としてのEPROM7(図8に示す)と、制御手段としてのCPU8(図8に示す)などを備えている。
【0019】
機器本体2は、扁平な箱状に形成されている。機器本体2は、インパネDに取り付けられる。機器本体2は、インパネDに装着された際に、自動車の乗員室側に相対向する表面に開口部2aと後述のDVD―ROMやDVDビデオなどを出し入れする挿入口2bとを設けている。なお、以下、図2などに示す前述した自動車の車幅方向を矢印Xで示し、前述した自動車の前後方向を矢印Yで示し、前述した自動車の高さ方向を矢印Zで示す。なお、図示例では、カーナビ1の幅方向が矢印Xと一致し、カーナビ1の奥行き方向が矢印Yと一致し、カーナビ1の厚み方向が矢印Zと一致している。
【0020】
また、機器本体2は、図8に示すナビゲーションユニット9と、DVDプレーヤ10と、テレビチューナ11などを収容している。即ち、カーナビ1は、ナビゲーションユニット9と、DVDプレーヤ10と、テレビチューナ11を更に備えている。
【0021】
ナビゲーションユニット9は、前述した自動車の走行距離センサから該自動車のタイヤの回転に対応して車速パルス信号が入力する。ナビゲーションユニット9は、前述した矢印Y方向の加速度を検出する加速度センサや、GPS(Global Positioning System:全
地球測位システム)などを備えている。ナビゲーションユニット9は、前述した加速度センサやGPSなどを用いて、自動車の位置を測定したり、自動車の移動方向などを算出する。そして、ナビゲーションユニット9は、自動車の位置や移動方向などを表示ユニット3の後述する表示パネル3aに表示する。
【0022】
なお、図示例では、図14に示すように、後述する収容位置から排出位置に向かって表示ユニット3が移動する際に該表示ユニット3が上方に向かって移動する状態と、排出位置から収容位置に向かって表示ユニット3が移動する際に該表示ユニット3が下方に向かって移動する状態の場合の機器本体2の矢印Yの水平方向(図2乃至図5に示す)に対する傾きθ0を、プラスの角度としている。又、図15に示すように、収容位置から排出位置に向かって表示ユニット3が移動する際に該表示ユニット3が下方に向かって移動する状態と、排出位置から収容位置に向かって表示ユニット3が移動する際に該表示ユニット3が上方に向かって移動する状態の場合の機器本体2の矢印Yの水平方向(図2乃至図5に示す)に対する傾きθ0を、マイナスの角度としている。傾きθ0は、機器本体2のインパネDに対する取付角度をなしている。
【0023】
DVDプレーヤ10は、周知のDVD(Digital Versatile Disk)―ROM(Read Only Memory)やDVDビデオなどを再生して、これらのDVD―ROMやDVDビデオなどからの情報を表示ユニット3の表示パネル3aに表示する。テレビチューナ11は、テレビ放送を受信して、受信して得た映像を表示ユニット3の表示パネル3aに表示する。
【0024】
表示ユニット3は、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)などからなる文字や画像などの情報を運転者などに向かって表示して視認させるための表示面としての表示パネル3aと、この表示パネル3aを収容する筐体部材3bなどを備えている。表示ユニット3は、前記機器本体2内に、表示パネル3aが下方に相対した状態で収容される。表示ユニット3は、駆動機構4により機器本体2内外に移動自在である。表示ユニット3の表示パネル3aは、前述したナビゲーションユニット9と、DVDプレーヤ10と、テレビチューナ11からの情報を表示する。
【0025】
また、前述した機器本体2の表面には、図1及び図2に示すように、操作手段としての操作部13が設けられている。操作部13は、複数の操作ボタン14などを備えている。これらの操作ボタン14即ち操作部13は、前述した表示パネル3aに表示する情報を、ナビゲーションユニット9からの情報と、DVDプレーヤ10からの情報と、テレビチューナ11からの情報とを切り換えるためなどに用いられる。また、操作ボタン14即ち操作部13は、機器本体2内から表示ユニット3を出し入れするためや、後述の視認位置で、表示ユニット3の向きを調整するためなどに用いられる。このため、操作ボタン14即ち操作部13は、視認位置にある表示ユニット3を後述の収容位置に移動させるための指令を発する。また、操作ボタン14は、後述する取付角度検知モードにおいて、表示ユニット3の向きを調整するためや、表示ユニット3が鉛直方向と平行な状態(表示パネル3aが鉛直方向と平行な状態)であることを示す情報を入力するために用いられる。
【0026】
駆動機構4は、図6及び図7に示すように、固定部5と、スライド部12と、回動部15と、第1スイッチ16(図8などに示す)と、第2スイッチ17(図8などに示す)と、検出手段としてのエンコーダ19(図8などに示す)を備えている。固定部5は、ラック20を備えている。ラック20は、機器本体2内に収容されかつ該機器本体2に固定されている。ラック20は、直線状に形成されており、その長手方向は、前述した矢印Y即ち自動車の前後方向と平行に配置されている。ラック20は、機器本体2の矢印Y方向の全長に亘って設けられている。
【0027】
スライド部12は、スライドシャーシ21と、第1モータ22と、ウォーム歯車23とを備えている。スライドシャーシ21は、板金などで構成されており、表示ユニット3の機器本体2寄りの一端部3cを、矢印Xを中心として回転自在に支持している。第1モータ22は、スライドシャーシ21に固定されている。第1モータ22の出力軸にはウォーム24が取り付けられている。ウォーム歯車23は、スライドシャーシ21に矢印Xを中心として回転自在に支持されている。ウォーム歯車23は、ウォーム24とラック20との双方と噛み合っている。
【0028】
スライド部12は、第1モータ22が例えば正転駆動すると、ラック20上をウォーム歯車23が走行して、スライドシャーシ21即ち表示ユニット3を機器本体2内から開口部2aを通して機器本体2外に向かって移動する。スライド部12は、第1モータ22が例えば逆転駆動すると、ラック20上をウォーム歯車23が走行して、スライドシャーシ21即ち表示ユニット3を機器本体2外から開口部2aを通して機器本体2内に向かって移動する。
【0029】
回動部15は、第2モータ25と、連結歯車26と、回動軸用歯車27とを備えている。第2モータ25は、スライドシャーシ21に固定されており、その出力軸にピニオン28が取り付けられている。連結歯車26は、スライドシャーシ21に矢印Xを中心として回転自在に支持されており、ピニオン28と噛み合っている。回動軸用歯車27は、表示ユニット3の前述した一端部3cに固定されている。回動軸用歯車27は、連結歯車26と噛み合っている。
【0030】
前述した構成によって、回動部15は、例えば、第2モータ25が正転駆動すると、前述した一端部3cを中心として、矢印X回りに表示ユニット3を立ち上げる方向に回転する。回動部15は、第2モータ25が逆転駆動すると、前述した一端部3cを中心として、矢印X回りに表示ユニット3を立ち下げる方向に回転する。
【0031】
第1スイッチ16は、機器本体2内の開口部2aから離れた側の奥に配置されている。第1スイッチ16は、機器本体2内に表示ユニット3が収容されて、該表示ユニット3が機器本体2内に収容された収容位置に位置付けられると、スライドシャーシ21によって押圧されてオンとなる。第1スイッチ16は、表示ユニット3が収容位置よりも機器本体2外に完全に排出された排出位置寄り即ち開口部2a寄りに位置付けられると、スライドシャーシ21から押圧されずにオフとなる。第1スイッチ16は、オン及びオフを示す情報をCPU8に向かって出力する。第1スイッチ16は、表示ユニット3が収容位置に位置付けられているか否かを検出して、検出結果をCPU8に向かって出力する。
【0032】
第2スイッチ17は、機器本体2内の開口部2a寄りの箇所に配置されている。第2スイッチ17は、機器本体2外に表示ユニット3が位置付けられて、該表示ユニット3が排出位置に位置付けられると、スライドシャーシ21によって押圧されてオンとなる。第2スイッチ17は、表示ユニット3が排出位置よりも前述した収容位置寄り即ち開口部2aの奥寄りに位置付けられると、スライドシャーシ21から押圧されずにオフとなる。第2スイッチ17は、オン及びオフを示す情報をCPU8に向かって出力する。第2スイッチ17は、表示ユニット3が露出位置に位置付けられているか否かを検出して、検出結果をCPU8に向かって出力する。
【0033】
エンコーダ19は、表示ユニット3の前述した一端部3cを中心した回転方向と回転角度を検出して、該検出した回転方向と回転角度に応じた情報をCPU8に向かって出力する。
【0034】
前述した構成によって、駆動機構4は、第1モータ22が例えば正転駆動してウォーム歯車23がラック20上を走行して、スライドシャーシ21即ち表示ユニット3を機器本体2内に収容された収容位置(図6に示す)から機器本体2外に排出された排出位置(図7に示す)に向かって、矢印Y即ち機器本体2の奥行き方向に沿って、表示ユニット3を移動する。即ち、駆動機構4は、第1モータ22が例えば正転駆動すると、開口部2aを通して、機器本体2内の表示ユニット3を機器本体2外に排出させる。
【0035】
また、駆動機構4は、第1モータ22が例えば逆転駆動すると、ウォーム歯車23がラック20上を走行して、スライドシャーシ21即ち表示ユニット3を前述の排出位置から収容位置に向かって、矢印Y即ち機器本体2の奥行き方向に沿って移動する。即ち、駆動機構4は、第1モータ22が例えば逆転駆動すると、開口部2aを通して、機器本体2外の表示ユニット3を機器本体2内に収容する。こうして、駆動機構4は、機器本体2内に収容された収容位置と、機器本体2内から排出された排出位置とに亘って、表示ユニット3などを移動する。
【0036】
さらに、前述した構成によって、駆動機構4は、第2モータ25が例えば正転駆動すると、機器本体2内から排出されて即ち収容位置から移動されて排出位置の初期位置(図7中に実線で示す)に位置付けられた表示ユニット3を、当該排出位置において、前述した一端部3cを中心として回転して、表示パネル3aが乗員室内の乗員などと相対する例えば図7中に二点鎖線で示す視認位置に位置付ける。なお、本明細書では、機器本体2外に位置付けられた表示ユニット3は、排出位置に位置付けられているという。即ち、本明細書では、視認位置と初期位置とは排出位置の一部である。また、本明細書では、排出位置において表示パネル3aが下方に相対する状態を、表示ユニット3が排出位置の初期位置(図9中に実線で示す)に位置付けられているという。視認位置とは、初期位置から一端部3cを中心として回転された位置をいう。
【0037】
また、駆動機構4は、第2モータ25が例えば逆転駆動すると、前述した視認位置に位置付けられた表示ユニット3を、前述した一端部3cを中心として回転して、表示パネル3aが下方に相対する前述した排出位置の初期位置に向かって移動させる。このように、駆動機構4は、収容位置と、当該収容位置から機器本体2外に排出された排出位置とに亘って、表示ユニット3を移動させる。また、駆動機構4は、排出位置において、一端部3cを中心として表示ユニット3を回転させて、表示パネル3aに表示した情報を乗員に視認させる視認位置に表示ユニット3を変位する。このように、駆動機構4は、一端部3cを中心として表示ユニット3を回転することで、機器本体2外に排出された表示ユニット3を立ち上げて視認位置に位置付けるとともに、当該視認位置から表示ユニット3を立ち下げて機器本体2から排出された排出位置の初期位置に表示ユニット3を位置付ける。なお、立ち上げるとは、排出位置の表示ユニット3を初期位置から視認位置に向かって変位させることをいい、立ち下げるとは、排出位置の表示ユニット3を視認位置から初期位置に向かって変位させることをいう。
【0038】
ROM6は、カーナビ1を動作されるためのプログラムなどを記憶している。ROM6は、CPU8を後述するように動作するためのプログラムを記憶している。また、ROM6は、図13(a)に示す機器本体2の取付角度としての傾きθ0と、収容位置から排出位置の初期位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の駆動機構4の第1モータ22の駆動条件と、排出位置の初期位置から収容位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の駆動機構4の第1モータ22の駆動条件との関係である駆動電圧テーブル30Aを記憶している。
【0039】
さらに、ROM6は、図13(b)に示す機器本体2の取付角度としての傾きθ0と、排出位置の初期位置から視認位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の駆動機構4の第2モータ25の駆動条件と、排出位置の視認位置から初期位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の駆動機構4の第2モータ25の駆動条件との関係である駆動電圧テーブル30Bを記憶している。ROM6が駆動電圧テーブル30A,30Bを記憶する工程は、機器本体2の傾きθ0と、前記収容位置と前記排出位置との間及び排出位置における初期位置と視認位置との間の前記表示ユニット3を移動させるための駆動条件と、の関係を記憶する記憶工程である。
【0040】
図13(a)に示された駆動電圧テーブル30Aは、前述した機器本体2の傾きθ0毎に、表示ユニット3を収容位置から排出位置の初期位置に移動させる際に第1モータ22に印加する電圧(排出時駆動電圧と記し、駆動条件に相当する)と、表示ユニット3を排出位置の初期位置から収容位置に移動させる際に第1モータ22に印加する電圧(収容時駆動電圧と記し、駆動条件に相当する)と、を定めている。駆動電圧テーブル30Aは、各動作を開始してからの各動作が完了するまでの時間が略等しくなるように、各場合の駆動電圧を定めている。即ち、駆動電圧テーブル30Aは、第1モータ22にかかる負荷が大きな場合には、該第1モータ22に印加する電圧を高くし、第1モータ22にかかる負荷が小さい場合には、該第1モータ22に印加する電圧を低くしている。
【0041】
このように、駆動電圧テーブル30Aは、各動作を開始してからの各動作が完了するまでの時間が略等しくなるような機器本体2の傾きθ0と、収容位置から排出位置の初期位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の第1モータ22の電圧と、排出位置の初期位置から収容位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の第1モータ22の電圧と、の関係を定めている。
【0042】
図13(b)に示された駆動電圧テーブル30Bは、前述した機器本体2の傾きθ0毎に、表示ユニット3を排出位置の初期位置から視認位置に移動させる際に第2モータ25に印加する電圧(立上時駆動電圧と記し、駆動条件に相当する)と、表示ユニット3を排出位置の視認位置から初期位置に移動させる際に第2モータ25に印加する電圧(立下時駆動電圧と記し、駆動条件に相当する)と、を定めている。駆動電圧テーブル30Bは、各動作を開始してからの各動作が完了するまでの時間が略等しくなるように、各場合の駆動電圧を定めている。即ち、駆動電圧テーブル30Bは、第2モータ25にかかる負荷が大きな場合には、該第2モータ25に印加する電圧を高くし、第2モータ25にかかる負荷が小さい場合には、該第2モータ25に印加する電圧を低くしている。
【0043】
このように、駆動電圧テーブル30Bは、各動作を開始してからの各動作が完了するまでの時間が略等しくなるような機器本体2の傾きθ0と、排出位置の初期位置から視認位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の第2第1モータ22の電圧と、排出位置の視認位置から初期位置に向かって表示ユニット3を移動する場合の第2モータ25の電圧と、の関係を定めている。
【0044】
EPROM7は、周知の不揮発性メモリであり、CPU8によって機器本体2のインパネDに対する取付角度としての傾きθ0が書き込まれる。また、EPROM7は、収容位置から排出位置に位置付けられた後、CPU8によって排出位置におけるエンコーダ19からの情報に基づいて表示ユニット3の回転方向と回転角度が書き込まれる。
【0045】
CPU8は、特許請求の範囲に記した制御手段をなしており、図8に示すように、ナビゲーションユニット9と、DVDプレーヤ10と、テレビチューナ11と、前述した駆動機構4の各モータ22,25と、スイッチ16,17と、エンコーダ19と、ROM6と、EPROM7などと接続しており、これらを制御することにより、カーナビ1全体の制御をつかさどる。
【0046】
CPU8は、機器本体2内に表示ユニット3が収容された状態で、操作部13の操作ボタン14などから表示ユニット3を機器本体2外に排出して視認位置に位置付ける命令が入力すると、前記第1モータ22を正転駆動して、表示ユニット3を矢印Yに沿って移動して、開口部2aを通して、徐々に機器本体2外に排出する。そして、CPU8は、第1スイッチ16がオフとなり第2スイッチ17がオンとなると、第1モータ22を停止する。
【0047】
また、CPU8は、第1モータ22を正転駆動する際に、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30A通りの電圧を第1モータ22に印加する。
【0048】
そして、CPU8は、第2スイッチ17がオンとなってから所定時間経過した後、そして、CPU8は、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、表示パネル3aが乗員に相対するように、第2モータ25を正転駆動して、表示ユニット3を立ち上げる。このように、CPU8は、表示ユニット3を駆動機構4に排出位置の初期位置から視認位置に向かって変位させる。また、CPU8は、第2モータ25を正転駆動する際に、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30B通りの電圧を第2モータ25に印加する。
【0049】
また、CPU8は、前述した表示ユニット3が排出位置の視認位置に位置付けられた状態で、操作部13から該表示ユニット3の向きを変更する命令が入力すると、該命令通りに第2モータ25を駆動して、表示ユニット3の向きを変更する。さらに、CPU8は、エンコーダ19からの情報に基づいて、表示ユニット3の向きを示す前述した回転方向と回転角度を示す情報をEPROM7に書き込む。さらに、CPU8は、操作ボタン14からの命令にしたがって、ナビゲーションユニット9とDVDプレーヤ10とテレビチューナ11からの情報のうち表示ユニット3の表示パネル3aに表示するものを適宜変更する。
【0050】
CPU8は、視認位置に表示ユニット3を位置付けた状態で、操作部13の操作ボタン14などから表示ユニット3を機器本体2内に収容する命令(収容位置に移動させるための指令)が入力することがある。すると、CPU8は、EPROM7に記憶された情報から表示ユニット3の向きと回転角度を示す情報を読み出して、該表示ユニット3が排出位置の初期位置となる第2モータ25の回転方向と回転数を算出する。そして、CPU8は、エンコーダ19からの情報に基づいて、算出した回転方向に回転数、第2モータ25を駆動して、表示ユニット3を、一端部3cを中心として回転する。CPU8は、算出した回転方向に回転数、第2モータ25を駆動した後、該第2モータ25を停止する。また、CPU8は、第2モータ25を逆転駆動する際に、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30B通りの電圧を第2モータ25に印加する。
【0051】
そして、CPU8は、第2スイッチ17がオフとなり第1スイッチ16がオンとなるまで、第1モータ22を逆転駆動して、表示ユニット3を排出位置の初期位置から収容位置に向かって移動して、機器本体2内に収容する。また、CPU8は、第1モータ22を逆転駆動する際に、EPROM7に記憶された機器本体2の傾きθ0を示す情報に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30A通りの電圧を第1モータ22に印加する。
【0052】
このように、CPU8は、ナビゲーションユニット9が検出した機器本体2の取付角度としての傾きθ0に基づいて、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30A,30B通りに、駆動機構4のモータ22,25を制御する。例えば、CPU8は、機器本体2の傾きθ0が30度を超えた状態では、収容位置から排出位置に向かって表示ユニット3を移動する際には第1モータ22に6Vの電圧を印加し、排出位置から収容位置に向かって表示ユニット3を移動する際には第1モータ22に2Vの電圧を印加する。また、CPU8は、機器本体2の傾きθが30度を超えた状態では、排出位置の初期位置から視認位置に向かって表示ユニット3を移動する際には第2モータ25に2Vの電圧を印加し、視認位置から初期位置に向かって表示ユニット3を移動する際には第1モータ22に6Vの電圧を印加する。
【0053】
さらに、CPU8は、EPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0を示す情報が書き込まれていない状態では、まず、カーナビに接続したカーオーディオのスピーカを介して、運転者に自動車を水平な場所で停車することを促す音声情報を出力させる。その後、CPU8は、機器本体2内の表示ユニット3を排出位置の初期位置に位置付けた後に、当該初期位置の表示ユニット3を、表示パネル3aが鉛直方向と平行となる位置に位置付けることを促す音声情報を出力させる。そこで、自動車の乗員が、表示ユニット3が垂直状態(鉛直方向と平行)となるように操作ボタン14を操作して、表示ユニット3の角度を調整する。そして、CPU8は、表示パネル3aが鉛直方向と平行となる位置に位置付けられたことを示す情報が、操作部13の操作ボタン14から入力されると、エンコーダ19から排出位置の初期位置からの表示ユニット3の一端部3cを中心とした回転角度θ(図9に示す)を入手して、以下の式1を用いて、機器本体2の傾きθ0を算出する。
【0054】
傾きθ0=90度−回転角度θ・・・・・・式1
【0055】
そして、CPU8は、算出した機器本体2の傾きθ0をEPROM7に書き込んで、前述したように、傾きθ0に基づいて駆動電圧テーブル30A,30B通りにモータ22,25を制御して、表示ユニット3を収容位置と排出位置の初期位置とに亘って移動し、表示ユニット3を排出位置の初期位置と視認位置とに亘って移動する。なお、図9には、回転角度θが略90度となって、傾きθ0が略0度である場合を示している。
【0056】
次に、前述した構成の電子機器としてのカーナビ1の動作を説明する。まず、図2に示すように、機器本体2内に表示ユニット3が収容された状態で、自動車のエンジンがオンになると、CPU8は、図10中のステップS51で、EPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0が書き込まれているか否かを判定する。なお、EPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0が書き込まれていない状態とは、新品のカーナビ1をインパネDに取り付けたばかりであったり、カーナビ1を自動車間で積み替えたり、自動車のバッテリを交換して、常時バッテリから給電されていた電力が途切れた場合が想定される。
【0057】
ステップS51でEPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0が書き込まれていると判定すると、CPU8は、図11中のステップS1に進み、ステップS51でEPROM7に機器本体2の取付角度としての傾きθ0が書き込まれていないと判定すると、CPU8は、図10中のステップS52に進む。
【0058】
ステップS52では、CPU8は、運転者に向かって前述したスピーカから自動車を水平となる位置に位置付けることを促す音声情報(コメント)を発する。そして、CPU8は、操作部13の操作ボタン14から自動車が水平な位置に位置付けられたことを示す情報が入力されると、CPU8は、ステップS53に進む。ステップS53では、CPU8は、運転者に向かって前述したスピーカから表示ユニット3を排出位置に位置付けた後、表示パネル3aが鉛直方向と平行となるように、即ち、表示ユニット3が略垂直に位置することを促す音声情報(コメント)を発する。
【0059】
そして、CPU8は、操作ボタン14からの命令通りに、表示ユニット3を収容位置から排出位置の初期位置に位置付けた後、当該排出位置で一端部3cを中心として、表示ユニット3を回転させて、ステップS54に進む。なお、図示例では、表示ユニット3は、略90度回転される。CPU8は、ステップS54で、表示ユニット3の表示パネル3aが鉛直方向と平行であることを示す情報が操作ボタン14から入力されると、ステップS55に進む。
【0060】
そして、ステップS55では、CPU8は、エンコーダ19から表示ユニット3の初期位置からの回転角度θを入手して、ステップS56に進む。ステップS56では、CPU8は、前述した式1に基づいて、機器本体2のインパネDに対する取付角度としての傾きθ0を算出して、ステップS57に進む。なお、図示例では、表示ユニット3の初期位置からの回転角度θが略90度であるので、傾きθ0は、略0度となる。ステップS57では、CPU8は、算出した機器本体2の傾きθ0をEPROM7に書き込む。このように、CPU8は、EPROM7に機器本体2の傾きθ0が記憶されていない場合に、表示ユニット3が排出位置に位置付けられて表示ユニット3が鉛直方向と平行な状態であることを示す情報が入力されると、エンコーダ19の検出した回転角度θに基づいて、機器本体2のインパネDに対する傾きθ0を算出して、EPROM7に書き込む。
【0061】
図2に示すように、表示ユニット3が収容位置に位置付けられた状態で、表示ユニット3を機器本体2外に排出して視認位置に位置付ける際には、まず、CPU8は、図11中のステップS1で、操作ボタン14のうち表示ユニット3を機器本体2外に排出するための即ち表示ユニット3を視認位置に位置付けるための操作ボタン14が操作された否かを判定する。CPU8は、表示ユニット3の排出用の操作ボタン14が操作されるまで、ステップS1を繰り返し、表示ユニット3の排出用の操作ボタン14が操作されると、ステップS2に進む。
【0062】
ステップS2では、CPU8は、EPROM7からの機器本体2の取付角度としての傾きθ0を示す情報を取得して、ステップS3に進む。ステップS2は、前記機器本体2の傾きθ0を読み出す検出工程である。ステップS3では、CPU8は、ROM6から駆動電圧テーブル30A,30Bを読み出して、前記機器本体2の傾きθ0に対応するモータ22,25の電圧を駆動電圧テーブル30A,30Bから抽出して、ステップS4に進む。
【0063】
ステップS4では、CPU8は、前述した駆動電圧テーブル30A通りの電圧を第1モータ22に印加して、ステップS5に進む。ステップS4は、前記検出工程で検出された前記機器本体2の傾きθ0に基づいて、前記記憶された駆動電圧テーブル30A通りの駆動条件で前記表示ユニット3を移動させる制御工程である。すると、図3に示すように、機器本体2内から表示ユニット3が徐々に排出される。
【0064】
ステップS5では、CPU8は、第1モータ22を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過した後、前述した第2スイッチ17がオンされたか否かを判定する。即ち、ステップS5では、CPU8は、第1モータ22を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過した後、前述した表示ユニット3が図4に示す排出位置の初期位置に位置付けられたか否かを判定する。CPU8は、前述した表示ユニット3が図4に示す排出位置の初期位置に位置付けられたと判定すると、第1モータ22を停止するとともに、前述した表示ユニット3が排出位置の初期位置に位置付けられていないと判定すると、第1モータ22を緊急停止する。
【0065】
そして、CPU8は、前記検出工程で検出された前記機器本体2の傾きθ0に基づいて、前記記憶された駆動電圧テーブル30B通りの駆動条件の電圧を第2モータ25に印加して、表示ユニット3を図5に示す視認位置に位置付ける。なお、CPU8は、第2モータ25を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過しても、表示ユニット3が排出位置の視認位置に位置付けられていない場合には、第2モータ25を緊急停止する。
【0066】
また、図5に示すように、表示ユニット3が視認位置に位置付けられた状態で、表示ユニット3を機器本体2内に収容する際には、まず、CPU8は、図12中のステップS11で、操作ボタン14のうち表示ユニット3を機器本体2内に収容するための即ち表示ユニット3を収容位置に位置付けるための操作ボタン14が操作されたか否かを判定する。CPU8は、表示ユニット3の収容用の操作ボタン14が操作されるまで、ステップS11を繰り返し、表示ユニット3の収容用の操作ボタン14が操作されると、ステップS12に進む。
【0067】
ステップS12では、CPU8は、EPROM7からの機器本体2の取付角度としての傾きθ0を示す情報を取得して、ステップS13に進む。ステップS13では、CPU8は、ROM6から駆動電圧テーブル30A,30Bを読み出して、前記機器本体2の傾きθ0に対応するモータ22,25の電圧を駆動電圧テーブル30A,30Bから抽出して、ステップS14に進む。
【0068】
ステップS14では、CPU8は、駆動電圧テーブル30B通りの電圧を第2モータ25に印加してステップS15に進む。ステップS15では、CPU8は、EPROM7に記憶された表示ユニット3の向きを示す情報(表示ユニット3の一端部3cを中心とした初期位置からの回転方向と回転角度)と、エンコーダ19からの情報に基づいて、表示ユニット3が排出位置の初期位置に位置付けられるまで、第2モータ25を駆動して、一端部3cを中心として表示ユニット3を回転する。CPU8は、第2モータ25を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過すると、第2モータ25を緊急停止する。
【0069】
CPU8は、表示ユニット3が排出位置の初期位置に位置付けられると、第2モータ25を停止して、前述した駆動電圧テーブル30A通りの電圧を第1モータ22に印加する。ステップS15では、CPU8は、第1モータ22を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過した後、前述した第1スイッチ16がオンされたか否かを判定する。即ち、ステップS15では、CPU8は、第1モータ22を駆動し始めてから予め定められた所定時間経過した後、前述した表示ユニット3が収容位置に位置付けられたか否かを判定する。CPU8は、前述した表示ユニット3が収容位置に位置付けられたと判定すると、第1モータ22を停止するとともに、前述した表示ユニット3が収容位置に位置付けられていないと判定すると、第1モータ22を緊急停止する。
【0070】
このように、CPU8は、表示ユニット3を収容位置と排出位置とに亘って移動する。こうして、CPU8は、表示ユニット3を移動する場合に、機器本体2の取付角度としての傾きθ0に基づいて、駆動電圧テーブル30A,30B通りの電圧をモータ22,25に印加して、ROM6に記憶された駆動電圧テーブル30A,30B通りの駆動条件で駆動機構4を制御する。
【0071】
本実施例によれば、カーナビ1は、機器本体2の取付角度としての傾きθ0毎に駆動機構4の駆動条件を予め定めておき、機器本体2の傾きθ0に応じた駆動条件で駆動機構4を駆動することで、表示ユニット3が移動し易い傾きθ0や移動し難い傾きθ0に適切な駆動条件で駆動機構4を駆動することを可能としている。このため、カーナビ1は、表示ユニット3の移動が途中で停止しても駆動機構4を駆動し続けることを防止でき、表示ユニット3を駆動する駆動機構4のモータ22,25などに印加する電圧を抑制して、その表示ユニット3を駆動させる駆動機構4に与える負荷を極力抑制できる。
【0072】
また、カーナビ1は、EPROM7に機器本体2の傾きθ0が記憶されていない場合に、表示ユニット3が排出位置に位置付けられた後に、当該表示ユニット3が鉛直方向と平行な状態であることが入力されると、表示ユニット3の回転角度θに基づいて、CPU8が、機器本体2の傾きθ0を算出した後にEPROM7に書き込む。このため、機器本体2の傾きθ0を、当該カーナビ1のインパネDへの取り付け後に入力できるので、正確な傾きθ0に基づいて、駆動機構4を駆動させることができる。
【0073】
さらに、カーナビ1は、傾きθ0毎に駆動機構4のモータ22,25に印加する電圧を予め定めておき、機器本体2の傾きθ0に応じてモータ22,25に印加する電圧を変更するようにしている。このため、表示ユニット3が移動しにくい場合にはモータ22,25に印加する電圧を高くして表示ユニット3の移動にかかる所要時間を短くして、タイムアウト時間(即ち、動作を開始してからの次の動作に移行するまでの時間)が長くなることを防止できるとともに、表示ユニット3が移動し易い場合にはモータ22,25に印加する電圧を低くして省電力化を図ることが可能となる。
【0074】
なお、前述した実施例では、機器本体2のインパネDに対する取付角度としての傾きθ0が略0度である場合を示しているが、本発明では、勿論、図14及び図15に示すように、傾きθ0が角度を有していても良い。図14は、傾きθ0が約+30度であり、ステップS55における表示ユニット3の回転角度θが略60度となる場合を示している。図15は、傾きθ0が約−30度であり、ステップS55における表示ユニット3の回転角度θが略120度となる場合を示している。
【0075】
前述した図示例では、矢印Yの水平方向に対する機器本体2の傾きθのみを考慮して、モータ22,25の駆動電圧などの駆動条件を適宜変更している。しかしながら、本発明では、矢印Yの水平方向に対する機器本体2の傾きθ0以外の矢印X,Zの水平方向に対する機器本体2の傾きを考慮して、モータ22,25の駆動電圧などの駆動条件を適宜変更しても良い。即ち、本発明では、機器本体2のあらゆる方向のうちの少なくとも一方向の水平方向に対する傾き即ち姿勢を考慮して、モータ22,25の駆動電圧などの駆動条件を適宜変更すれば良い。
【0076】
また、前述した実施例では、機器本体2の幅方向と自動車の車幅方向Xとが一致し、機器本体2の奥行き方向と自動車の前後方向Yとが一致し、機器本体2の厚み方向と自動車の高さ方向Zとが一致した場合を示している。しかしながら、本発明では、機器本体2の幅方向と自動車の車幅方向Xとが一致しなくても良く、機器本体2の奥行き方向と自動車の前後方向Yとが一致しなくても良く、機器本体2の厚み方向と自動車の高さ方向Zとが一致しなくても良い。要するに、本発明では、機器本体2の水平方向に対する傾きθ0毎に駆動機構4の駆動条件を予め定めておき、検出手段が検出した機器本体2の水平方向に対する傾き即ち姿勢に基づいて定められた駆動条件で駆動機構4を駆動すれば良い。
【0077】
また、前述した実施例では、駆動条件としてのモータ22,25に印加する電圧を示している。しかしながら、本発明では、駆動条件として、電圧の他の駆動条件を用いても良い。また、前述した実施例では、傾きθ0毎に一種類の駆動条件のみを変更している。しかしながら、本発明では、傾きθ0毎に、例えば前述した電圧と他の駆動条件との双方を変更するなどの複数の駆動条件を適宜変更しても良い。
【0078】
また、前述した実施例では、EPROM7に傾きθ0を、表示ユニット3を実際に駆動して書き込むようにしているが、本発明では、工場出荷時に予めEPROM7に傾きθ0を書き込むなどしても良い。
【0079】
前述した実施例によれば、以下のカーナビ1が得られる。
【0080】
(付記) インパネDに取り付けられる機器本体2と、
該機器本体2の内外に移動自在でかつ情報を表示可能な表示ユニット3と、
前記機器本体2内に収容する収容位置と、前記収容位置から前記機器本体2外に排出された排出位置とに亘って前記表示ユニット3を移動させるとともに、前記排出位置において一端部3cを中心として前記表示ユニット3を回転させる駆動機構4と、を備えたカーナビ1において、
前記機器本体2の前記インパネDに対する傾きθ0と、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示ユニット3を移動する場合の前記駆動機構4の駆動条件と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係30Aと、
前記機器本体2の前記インパネDに対する傾きθ0と、前記排出位置における前記一端部3cを中心として回転させて前記表示ユニット3を立ち上がらせる場合の前記駆動機構4の駆動条件と、前記排出位置における前記一端部3cを中心として回転させて前記表示ユニット3を立ち下げる場合の前記駆動機構4の駆動条件と、の関係30Bと、の双方を記憶したROM6と、
前記機器本体2の前記インパネDに対する傾きθ0を記憶したEPROM7と、
前記EPROM7が記憶した機器本体2の傾きθに基づいて、前記ROM6に記憶された関係30A,30B通りの駆動条件で前記駆動機構4を制御するCPU8と、を備えたことを特徴とするカーナビ1。
【0081】
付記によれば、カーナビ1は、機器本体2の傾きθ0毎に駆動機構4の駆動条件を予め定めておき、機器本体2の傾きθ0に応じた駆動条件で駆動機構4を駆動することで、表示ユニット3が移動し易い傾きθ0や移動し難い傾きθ0に適切な駆動条件で駆動機構4を駆動することを可能としている。このため、カーナビ1は、表示ユニット3の移動が途中で停止しても駆動機構4を駆動し続けることを防止でき、表示ユニット3を駆動する駆動機構4のモータ22,25などに印加する電圧を抑制して、その表示ユニット3を駆動させる駆動機構4に与える負荷を極力抑制できる。
【0082】
なお、前述した実施例は、本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の一実施例にかかる電子機器としてのカーナビが自動車のインパネに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたカーナビの表示ユニットが収容位置に位置付けられた状態を示す斜視図である。
【図3】図2に示された表示ユニットが筐体内から徐々に排出される状態を示す斜視図である。
【図4】図3に示された表示ユニットが排出位置の初期位置に位置付けられた状態を示す斜視図である。
【図5】図4に示された表示ユニットが排出位置の初期位置から視認位置に変位した状態を示す斜視図である。
【図6】図2に示されたカーナビの要部の断面図である。
【図7】図4に示されたカーナビの要部の断面図である。
【図8】図1に示されたカーナビの主要な構成を示すブロック図である。
【図9】図2に示されたカーナビの傾きを説明する説明図である。
【図10】図1に示されたカーナビのEPROMに傾きが書き込まれる際のフローチャートである。
【図11】図1に示されたカーナビが収容位置から排出位置の視認位置に表示ユニットを移動する際のフローチャートである。
【図12】図1に示されたカーナビが排出位置の視認位置から収容位置に表示ユニットを移動する際のフローチャートである。
【図13】(a)は、図8に示されたカーナビのROMが記憶したモータに印加する電圧を示す駆動電圧テーブルを示す説明図であり、(b)は、図8に示されたカーナビのROMが記憶した第2モータに印加する電圧を示す駆動電圧テーブルを示す説明図である。
【図14】図9に示されたカーナビが他の傾きでインパネに取り付けられた状態を側方からみた説明図である。
【図15】図9に示されたカーナビが更に他の傾きでインパネに取り付けられた状態を側方からみた説明図である。
【符号の説明】
【0084】
1 カーナビ(電子機器)
2 機器本体
3 表示ユニット(表示部)
4 駆動機構(移送手段)
6 ROM(第1記憶手段)
7 EPROM(第2記憶手段)
8 CPU(制御手段)
22 第1モータ
25 第2モータ
30A,30B 駆動電圧テーブル(関係)
θ 回転角度
θ0 傾き(取付角度)
D インパネ(被取付物)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被取付物に取り付けられる機器本体と、
該機器本体の内外に移動自在でかつ情報を表示可能な表示部と、
前記機器本体内に収容する収容位置と、前記収容位置から前記機器本体外に排出された排出位置とに亘って前記表示部を移動させるとともに、前記排出位置において一端部を中心として前記表示部を回転させる移送手段と、を備えた電子機器において、
前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度と、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係と、
前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度と、前記排出位置における前記一端部を中心として回転させて前記表示部を立ち上がらせる場合の前記移送手段の駆動条件と、前記排出位置における前記一端部を中心として回転させて前記表示部を立ち下げる場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係と、の双方を記憶した第1記憶手段と、
前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度を記憶した第2記憶手段と、
前記第2記憶手段が記憶した機器本体の取付角度に基づいて、前記第1記憶手段に記憶された関係通りの駆動条件で前記移送手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記排出位置における前記表示部の前記一端部を中心とした回転角度を検出する検出手段を備え、
前記制御手段が、前記第2記憶手段に前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度が記憶されていない場合に、前記表示部が前記排出位置に位置付けられて前記表示部が鉛直方向と平行な状態であることを示す情報が入力されると、前記検出手段の検出した回転角度に基づいて、前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度を算出して、前記第2記憶手段に書き込むことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記移送手段は、前記表示部を前記収容位置と前記排出位置とに亘って移動する第1モータと、前記表示部を前記排出位置において一端部を中心として回転させる第2モータとを備え、
前記制御手段は、前記表示部を移動する場合に、前記取付角度に基づいて、前記関係通りの前記移送手段の駆動条件としての電圧を前記第1モータ及び第2モータに印加することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子機器。
【請求項1】
被取付物に取り付けられる機器本体と、
該機器本体の内外に移動自在でかつ情報を表示可能な表示部と、
前記機器本体内に収容する収容位置と、前記収容位置から前記機器本体外に排出された排出位置とに亘って前記表示部を移動させるとともに、前記排出位置において一端部を中心として前記表示部を回転させる移送手段と、を備えた電子機器において、
前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度と、前記収容位置から前記排出位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、前記排出位置から前記収容位置に向かって前記表示部を移動する場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係と、
前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度と、前記排出位置における前記一端部を中心として回転させて前記表示部を立ち上がらせる場合の前記移送手段の駆動条件と、前記排出位置における前記一端部を中心として回転させて前記表示部を立ち下げる場合の前記移送手段の駆動条件と、の関係と、の双方を記憶した第1記憶手段と、
前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度を記憶した第2記憶手段と、
前記第2記憶手段が記憶した機器本体の取付角度に基づいて、前記第1記憶手段に記憶された関係通りの駆動条件で前記移送手段を制御する制御手段と、を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記排出位置における前記表示部の前記一端部を中心とした回転角度を検出する検出手段を備え、
前記制御手段が、前記第2記憶手段に前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度が記憶されていない場合に、前記表示部が前記排出位置に位置付けられて前記表示部が鉛直方向と平行な状態であることを示す情報が入力されると、前記検出手段の検出した回転角度に基づいて、前記機器本体の前記被取付物に対する取付角度を算出して、前記第2記憶手段に書き込むことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記移送手段は、前記表示部を前記収容位置と前記排出位置とに亘って移動する第1モータと、前記表示部を前記排出位置において一端部を中心として回転させる第2モータとを備え、
前記制御手段は、前記表示部を移動する場合に、前記取付角度に基づいて、前記関係通りの前記移送手段の駆動条件としての電圧を前記第1モータ及び第2モータに印加することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2008−203303(P2008−203303A)
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−35933(P2007−35933)
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月16日(2007.2.16)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】
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