説明

電子機器

【課題】 画像デバイスと音源デバイスとを併有する電子機器において画像デバイスによる画像の表示タイミングと音源デバイスによる音の出力タイミングとの調整を容易にする。
【解決手段】 画像音源LSI100において、画像処理部3は、コマンド処理部1から供給されるコマンドに従って画像データを生成する画像処理を実行し、垂直同期信号VSYNCに同期して、表示器203に画像データを供給して画像を表示させる。音源部4は、コマンド処理部1から同期化部5を介して供給されるコマンドに従って音データを生成する音データ生成処理を実行し、音出力部204に音データを供給して音を出力させる。同期化部5は、音源部4に対するコマンドの音源部4への供給タイミングを垂直同期信号VSYNCに同期させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、画像処理部および音源部を併有する電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アミューズメント機器等の電子機器では、画像デバイスと音源デバイスは分離されていた。そして、従来技術において、画像デバイスにある画像を表示させるのと同時に音源デバイスにあるフレーズの楽音等を発音させる必要がある場合には、音源デバイスの開発時に、当該画像の表示タイミングに当該楽音等が発音されるように、楽音発生を指示するコマンドの発生タイミングを最適化する設計を行っていた。なお、画像デバイスと音源デバイスとを併有する電子機器に関しては例えば特許文献1に開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4265650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の技術の下では、画像デバイスにおける上記画像の表示タイミングに関する仕様が変更された場合に、それに合わせて音源デバイスにおける楽音発生の指示コマンドの発生タイミングを変更するための設計変更を行う必要があり、開発の効率が低下するという問題があった。また、画像デバイスおよび音源デバイスを併用した電子機器において、画像デバイスのフレームレート(単位時間当たりの画面切り換え回数)が変更される場合がある。この場合、折角、あるフレームレートを想定して、楽音発生を指示するコマンドの発生タイミングを最適化したとしても、フレームレートの変更が行われることにより、目的とする画像の発生タイミングが変化するため、楽音発生を指示するコマンドの発生タイミングが最適なものでなくなるという問題がある。
【0005】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、画像デバイスと音源デバイスとを併有する電子機器において画像デバイスによる画像の表示タイミングと音源デバイスによる音の出力タイミングとの調整を容易にする技術的手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、供給されるコマンドに従って画像データを生成する画像データ生成処理を実行し、垂直同期信号に同期して、表示器に前記画像データを供給して画像を表示させる画像処理部と、供給されるコマンドに従って音データを生成する音データ生成処理を実行し、音出力部に音データを供給して音を出力させる音源部と、前記音源部に対するコマンドの前記音源部への供給タイミングを前記垂直同期信号に同期させる同期化部とを具備することを特徴とする電子機器を提供する。
【0007】
この発明によれば、音源部に対するコマンドは、同期化部の働きにより、垂直同期信号に同期して画像処理部に供給されるので、音出力部から音の出力されるタイミングは、垂直同期信号の発生タイミングにほぼ一致したタイミングとなる。従って、フレームレートが変更される状況においても、所望の画像が表示器に表示されるのに合わせて所望の楽音等を音出力部に出力させるためのタイミング調整を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】この発明による電子機器の第1実施形態であるアミューズメント機器の構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態の動作例を示すタイムチャートである。
【図3】この発明の第2実施形態における同期化部の構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の第3実施形態である電子機器の構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の他の実施形態である電子機器の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照し、この発明の一実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1はこの発明による電子機器の第1実施形態であるアミューズメント機器の構成を示すブロック図である。このアミューズメント機器は、画像音源LSI(Large Scale Integrated Circuit;大規模集積回路)100と、アミューズメント機器全体を制御するホストCPU201と、データメモリ202と、LCD(Liquid Crystal Display;液晶表示器)等の表示器203と、スピーカおよびこのスピーカを駆動するアンプ等により構成された音出力部204とを有する。データメモリ202は、例えばROM(Read Only Memory;読み出し専用メモリ)であり、各種の静止画や動画を示す画像データおよび各種の楽曲やフレーズの音波形を示す音源データを記憶している。画像音源LSI100は、画像デバイスとしての機能と音源デバイスとしての機能を併有するLSIであり、ホストコンピュータ201から与えられるコマンドに従い、表示器203に画像を表示させ、音出力部204に楽音等の音を出力させる。
【0010】
図1に示すように、画像音源LSI100は、コマンド処理部1と、タイミングジェネレータ2と、画像処理部3と、音源部4と、同期化部5とを有する。コマンド処理部1は、ホストCPU201が画像音源LSI100に対して出力するコマンドを画像音源LSI100内の関係する各部に伝達する回路である。画像音源LSI100に対するコマンドには、画像処理部3に所定の画像データ生成処理を命じる画像処理部宛コマンドと、音源部4に所定の音データ生成処理を命じる音源部宛コマンドと、画像処理部3および音源部4に所定の連係処理を命じるマクロコマンドがある。コマンド処理部1は、ホストCPU201から受け取った画像処理部宛コマンドを画像処理部3に供給し、音源部宛コマンドを同期化部5を介して音源部4に供給する。また、コマンド処理部1は、マクロコマンドをホストCPU201から受け取った場合、そのマクロコマンドをデコードし、そのマクロコマンドにより命じられた連係処理を画像処理部3および音源部4に行わせるための画像処理部宛コマンドと音源部宛コマンドとを生成し、画像処理部宛コマンドを画像処理部3に供給し、音源部宛コマンドを同期化部5を介して音源部4に供給する。
【0011】
タイミングジェネレータ2は、画像音源LSI100内の各部の動作タイミングを制御する各種のタイミング信号を生成する回路である。このタイミングジェネレータ2によって生成されるタイミング信号の1つとして、表示器203の画面切り換えを指示する垂直同期信号VSYNCがある。この垂直同期信号VSYNCは、画像処理部3に供給されるとともに、同期化部5に供給される。
【0012】
画像処理部3は、コマンド処理部1から供給される画像処理部宛コマンドに従って、静止画や動画の画像データをデータメモリ202から読み出し、この画像データに基づき表示器203の表示画面を構成するための画像データを生成する画像データ生成処理を実行し、垂直同期信号VSYNCに同期して、表示器203に1画面分ずつ画像データを供給して画像を表示させる。ここで、データメモリ202から読み出される画像データが圧縮符号化された画像データである場合、画像処理部3は、この読み出される圧縮符号化画像データを復号化し、表示画面を構成する画像データを生成する。音源部4は、コマンド処理部1から同期化部5を介して供給される音源部宛コマンドに従って、データメモリ202から音源データを読み出し、楽音等の音データを生成する音データ形成処理を実行し、音出力部204に音データを供給して楽音等を発音させる。ここで、データメモリ202から読み出される音源データが圧縮符号化された音源データである場合、音源部4は、この読み出される圧縮符号化音源データを復号化し、音データを生成する。
【0013】
同期化部5は、音源部宛コマンドの音源部4への供給タイミングを垂直同期信号VSYNCに同期させる回路である。本実施形態における同期化部5は、音源部宛コマンドを音源部4に供給するためのチャネル(伝達経路)として、同期チャネル51と非同期チャネル52とを有している。ここで、非同期チャネル52は、コマンド処理部1から与えられた音源部宛コマンドを直ちに音源部4に供給する。同期チャネル51は、コマンドFIFO(First In First Out;先入れ先出し方式のバッファ)53を有している。コマンドFIFO53は、コマンド処理部1から同期チャネル51に出力された音源部宛コマンドを順次記憶し、タイミングジェネレータ2から垂直同期信号VSYNCが出力されたとき、その時点において読み出し未了のコマンドを記憶している場合には、その読み出し未了のコマンドの中の最も古いコマンドを読み出して音源部4に出力するバッファである。
【0014】
コマンド処理部1は、ホストCPU201から受け取った音源部宛コマンドおよびマクロコマンドから生成した音源部宛コマンドを同期チャネル51または非同期チャネル52に振り分ける機能を備えている。なお、同期化部5およびコマンド処理部1は、ハードウェアにより構成するのではなく、ソフトウェア処理により実現してもよい。
【0015】
本実施形態では、この振り分け機能を次のように実現している。まず、ホストCPU201は、音源部宛コマンドを画像音源LSI100に出力するとき、その音源部宛コマンドの音源部4への供給タイミングを垂直同期信号VSYNCに同期させる必要がある場合には同期フラグ“1”を、同期させる必要がない場合には同期フラグ“0”をその音源部宛コマンドに設定する。コマンド処理部1は、ホストCPU201から受け取った音源部宛コマンドの同期フラグが“1”である場合はその音源部宛コマンドを同期チャネル51に出力し、同期フラグが“0”である場合はその音源部宛コマンドを非同期チャネル52に出力するのである。マクロコマンドに関しては、コマンド処理部1が実行するデコード処理において、そのマクロコマンドから生成される音源部宛コマンドを同期チャネル51または非同期チャネル52のいずれに出力するかが決定される。
【0016】
以上の構成によれば、同期チャネル51に振り分けられる音源部宛コマンドは垂直同期信号VSYNCに同期して音源部4に供給される。従って、例えばホストCPU201は、画像音源LSI100に対して、ある画像を表示させる画像処理部宛コマンドを出力した後、その画像の表示に合わせて発音させるべき楽音等についての音源部宛コマンドであって、同期フラグが“1”に設定されたものを出力することにより、その画像が表示器203に表示されるときに、その画像の表示に合わせて発音させるべき楽音等を音出力部204から出力させることができる。また、本実施形態によれば、同期チャネル51に振り分けられる音源部宛コマンドは垂直同期信号VSYNCに同期して音源部4に供給されるので、フレームレートが変更される状況においても、所望の画像の表示に合わせて、所望の楽音等を音出力部204から発音させることができる。
【0017】
この点はマクロコマンドにより画像の表示と楽音の出力を同時に行わせる場合も同様である。例えば、図2は、画像の表示と楽音の出力を命じるマクロコマンドがコマンド処理部1に与えられた場合の本実施形態の動作例を示すタイムチャートである。この場合、画像に関しては、マクロコマンドから画像処理部宛コマンドを発生するための所要時間1フレーム=16msと、画像処理部3による画像処理(復号化や描画処理)の所要時間1フレーム=16msと、表示器203に画像データを転送するための所要時間1フレーム=16msとを合わせた時間3フレーム=48msが、マクロコマンドの出力から画像表示までの全所要時間となる。一方、楽音に関しては、マクロコマンドから音源部宛コマンドを発生するための所要時間と、音源部4による音データ生成処理の所要時間と、音出力部204に音データを送るための所要時間とを合わせた時間は、5ms程度である。そこで、コマンド処理部1は、マクロコマンドのデコード結果として、マクロコマンドにより指定された画像の表示を命じる画像処理部宛コマンドを画像処理部3に出力するとともに、マクロコマンドにより指定された楽音の発生を指示するコマンドの前に、音源部4に対して何も命じない2個のNOP(No Operation)コマンドを配置した3個の音源部宛コマンドを同期チャネル51に出力する。これによりマクロコマンドにより命じられた画像が表示器203に表示されるタイミングの5ms後、すなわち、当該画像の表示タイミングとほぼ同時に、マクロコマンドにより命じられた楽音が音出力部204から出力される。
【0018】
また、楽音を画像の表示に同期させて発音させる必要がなく、その一方、その楽音を小発音レイテンシで発音させることが必要になる場合もある。このような場合には、その楽音の発音を命じる音源部宛コマンドの同期フラグを“0”とし、その音源部宛コマンドをコマンド処理部1および非同期チャネル52を介して音源部4に供給すればよい。このように、本実施形態によれば、同期チャネル51の他に、非同期チャネル52が設けられているので、小発音レイテンシでの楽音の発音を行わせることも可能である。
【0019】
<第2実施形態>
本実施形態は、上記第1実施形態における同期化部5を図3に示す同期化部5Aに置き換えたものである。この同期化部5Aには、コマンドFIFO53からのコマンドの読み出しを制御する読み出し制御部54が設けられている。コマンド処理部1は、同期フラグが“1”である音源部宛コマンドに加え、小発音レイテンシでの発音を要せず、かつ、画像の表示に同期させる必要がない楽音の発音を命じる音源部宛コマンド(同期フラグ=“0”)を同期チャネル51に出力し、コマンドFIFO53に記憶させる。読み出し制御部54は、コマンドFIFO53内の読み出し未了のコマンドのうち最も古いコマンドを常時監視する。一方、音源部4は、音源部宛コマンドを受け取って実行することが可能になったときに読み出し要求を読み出し制御部54に送る。そして、読み出し制御部54は、この読み出し要求を音源部4から受け取った場合において、コマンドFIFO53内の読み出し未了のコマンドのうち最も古いコマンドの同期フラグが“0”である場合、直ちに読み出し指令をコマンドFIFO53に送る。これによりその最も古いコマンドである音源部宛コマンドがコマンドFIFO53から読み出されて音源部4に供給される。一方、音源部4から読み出し要求を受け取った場合において、コマンドFIFO53内の読み出し未了のコマンドのうち最も古いコマンドの同期フラグが“1”である場合、読み出し制御部54は、垂直同期信号VSYNCが出力されるのを待って、読み出し指令をコマンドFIFO53に送る。これにより、垂直同期信号VSYNCに同期して、その最も古いコマンドである音源部宛コマンドがコマンドFIFO53から読み出されて音源部4に供給される。
【0020】
本実施形態によれば、次のような要求に応えることが可能になる。すなわち、複数種類の楽音を所定の順序で発音させ、かつ、それらの一部の楽音の発音タイミングを所望の画像の表示タイミングに合わせる旨の要求である。本実施形態において、このような要求をするマクロコマンドを受け取ったコマンド処理部1は、複数種類の楽音の発音を命じる音源部宛コマンドであって、画像の表示と同期させる一部の楽音については同期フラグを“1”とした音源部宛コマンドを発生して、同期チャネル51に出力する。これにより、複数種類の楽音の発音を命じる音源部宛コマンドが所定の順序でコマンドFIFO53から音源部4に出力され、かつ、それらの複数種類の楽音の発音を命じる音源部宛コマンドのうち同期フラグが“1”である音源部宛コマンドは、垂直同期信号VSYNCに同期してコマンドFIFO53から音源部4に出力される。従って、複数種類の楽音を所定の順序で発音させ、かつ、それらの一部の楽音の発音タイミングを所望の画像の表示タイミングに合わせることができる。
【0021】
<第3実施形態>
図4はこの発明の第3実施形態である電子機器の構成を示すブロック図である。この電子機器では、電子機器全体を制御するホストCPU201と、画像LSI100Aと、音源LSI100Bと、1または複数のその他のLSI100Cとがバス201Bを介して接続されている。
【0022】
画像LSI100Aは、上記第1実施形態における画像音源LSI100の全構成のうち画像処理に関連した要素のみを備えたLSIである。図4では、画像LSI100Aの構成要素の一部であるコマンド処理部1Aと、タイミングジェネレータ2と、画像処理部3とが示されている。ここで、コマンド処理部1Aは、ホストCPU201からバス201Bを介して画像LSI100A宛のコマンドを取り込み、そのコマンドを画像処理部3に供給する回路である。タイミングジェネレータ2および画像処理部3は、上記第1実施形態のものと同様な機能を有する。タイミングジェネレータ2が出力する垂直同期信号VSYNCは、画像処理部3に供給される他、音源LSI100Bおよびその他のLSI100Cに供給される。
【0023】
音源LSI100Bは、上記第1実施形態における画像音源LSI100の全構成のうち音データ生成処理に関連した要素のみを備えたLSIである。図4では、音源LSI100Bの構成要素の一部であるコマンド処理部1Bと、同期化部5Bとが示されている。ここで、コマンド処理部1Bは、ホストCPU201からバス201Bを介して音源LSI100B宛のコマンドを取り込み、そのコマンドを同期化部5Bに出力する。同期化部5Bは、上記第1実施形態の同期化部5と同様な構成を有しており、コマンド処理部1Bから出力されるコマンドを垂直同期信号VSYNCに同期させて音源部(図示略)に出力し、あるいは垂直同期信号VSYNCの発生を待たずに音源部(図示略)に出力する。
【0024】
1または複数のその他のLSI100Cは、ホストCPU201からのコマンドに従って、例えばブザーの鳴動またはモータの駆動等の処理を実行するLSIである。このLSI100Cも、音源LSI100Bと同様、コマンド処理部1Cと、同期化部5Cとを有している。ここで、コマンド処理部1Cは、ホストCPU201からバス201Bを介して当該LSI100C宛のコマンドを取り込み、そのコマンドを同期化部5Cに出力する。同期化部5Cは、上記第1実施形態の同期化部5と同様な構成を有しており、コマンド処理部1Cから出力されるコマンドを垂直同期信号VSYNCに同期させて、所定の機能(例えばブザーの鳴動制御等)を営む機能部(図示略)に出力し、あるいは垂直同期信号VSYNCの発生を待たずに機能部(図示略)に出力する。
【0025】
本実施形態においても上記第1実施形態と同様な効果が得られる。また、本実施形態によれば、楽音等の発音タイミングのみならず、ブザーの鳴動等のその他の動作の開始タイミングを所望の画像の表示タイミングに容易に同期させることができる。なお、図4では、画像LSI100A、音源LSI100B、その他のLSI100Cを別個のチップにより実現したが、これらの各LSIを構成する回路を1チップ上に実現してもよい。
【0026】
<他の実施形態>
以上、この発明の一実施形態を説明したが、この発明には、他にも各種の実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0027】
(1)上記第1実施形態において、垂直同期信号VSYNCに同期させて音源部4に出力させるコマンドに対し、垂直同期信号VSYNCの発生回数を指定する回数データNを付加してもよい。この態様において、コマンドFIFO53は、回数データNの付加されたコマンドが読み出し未了の最も古いコマンドになった場合に、回数データNにより指定されるN個の垂直同期信号VSYNCが出力されたときに当該コマンドを音源部4に出力する。この態様によれば、上記第1実施形態のように音源部4宛のコマンドにNOPコマンドを追加する必要がないので、音源部4による発音タイミングを所望の画像の表示タイミングに合わせるための調整がさらに容易になる。
【0028】
(2)上記第2実施形態において、垂直同期信号VSYNCに同期させて音源部4に出力させるコマンドに対し、同期フラグ“1”に加えて、垂直同期信号VSYNCの発生回数を指定する回数データNを付加してもよい。この態様では、読み出し制御部54は、同期フラグ“1”および回数データNの付加されたコマンドが読み出し未了の最も古いコマンドになった場合に、音源部4から読み出し要求を受け取った後、回数データNにより指定されるN個の垂直同期信号VSYNCが出力されたときにコマンドFIFO53に読み出し指令を送り、当該コマンドをコマンドFIFO53から音源部4に出力させる。この態様によれば、上記(1)の態様と同様な効果が得られる。なお、この態様において、回数データNに同期フラグの役割を兼ねさせてもよい。すなわち、読み出し制御部54は、最も古いコマンドの回数データNが「0」である場合には同期フラグが“0”であるとみなし、回数データNが「1」以上である場合は同期フラグが“1”であるとみなしてコマンドの読み出し制御を行うのである。この態様は、コマンドに同期フラグを含める必要がないという利点がある。
【0029】
(3)音源部4が楽音発生タイミンングを遅延させる機能を備えており、音源部宛コマンドにおいて楽音発生タイミングを遅延させる遅延時間の指定が可能な場合には、この遅延時間の指定を利用することにより、画像表示タイミングに楽音出力タイミングを合わせる精度を高めてもよい。
【0030】
(4)前記第2実施形態において非同期チャネル52を省略してもよい。
【0031】
(5)上記第1および第2実施形態においては、画像音源LSI100が画像デバイスと音源デバイスの機能を併有する構成としたが、必ずしもその必要はない。例えば図5に示す構成としてもよい。この図5に示す電子機器では、画像音源LSI100の代わりに、画像処理部3の機能を持つ画像LSI100Dと、音源部4の機能を持つ音源LSI100Eとが設けられており、ホストCPU201が画像処理部宛コマンドと音源部宛コマンドをそれぞれのLSIに供給する。音源LSI100Eは、同期化部5の機能を有し、画像処理LSI100Dから供給される垂直同期信号VSYNCに音源部宛コマンドを同期させてから音データを生成する。この態様においても上記各実施形態と同様な効果が得られる。また、上記第1および第2実施形態では、共通のデータメモリ202に画像データと音源データを格納したが、図5に示すように、画像データと音源データとを別々のメモリ202Dとメモリ202Eに格納し、画像LSI100Dはメモリ202Dから画像データを読み出して画像処理を実行し、音源LSI100Eはメモリ202Eから音源データを読み出して楽音等を生成するようにしてもよい。この態様によれば、画像LSI100Dと音源LSI100Eとがメモリアクセスにおいて競合することがないので、両LSIの処理効率を高めることができる。
【符号の説明】
【0032】
1,1A,1B,1C……コマンド処理部、2……タイミングジェネレータ、3……画像処理部、4……音源部、5,5A,5B,5C……同期化部、201……ホストCPU、202……データメモリ、203……表示器、204……音出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給されるコマンドに従って画像データを生成する画像データ生成処理を実行し、垂直同期信号に同期して、表示器に前記画像データを供給して画像を表示させる画像処理部と、
供給されるコマンドに従って音データを生成する音データ生成処理を実行し、音出力部に音データを供給して音を出力させる音源部と、
前記音源部に対するコマンドの前記音源部への供給タイミングを前記垂直同期信号に同期させる同期化部と
を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記同期化部は、前記音源部に対するコマンドを保持し、当該コマンドの前記音源部への供給タイミングを前記垂直同期信号の発生タイミングまで遅延させる同期チャネルと、前記音源部に対するコマンドを、前記垂直同期信号の発生を待たずに前記音源部に供給する非同期チャネルとを具備することを特徴とする請求項1に記載のデータ処理装置。
【請求項3】
前記同期化部は、前記音源部に対するコマンドの前記音源部への供給タイミングを前記垂直同期信号に同期させるための手段として、前記音源部に対するコマンドを記憶し、読み出し未了のコマンドのうち最も古いコマンドを前記垂直同期信号に同期して読み出して前記音源部に出力するコマンドFIFOを具備することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記同期化部は、前記コマンドFIFOにおける読み出し未了のコマンドのうち最も古いコマンドを監視し、前記音源部から読み出し要求を受け取った場合において、当該最も古いコマンドが所定の値の同期フラグを含む場合に限り、前記垂直同期信号の発生を待って当該最も古いコマンドを前記コマンドFIFOから前記音源部に出力させる読み出し制御部を具備することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記同期化部は、前記コマンドFIFOにおける読み出し未了のコマンドのうち最も古いコマンドを監視し、前記音源部から読み出し要求を受け取った場合において、当該最も古いコマンドが前記垂直同期信号の発生回数を指定する回数データを含む場合に、前記回数データにより指定された回数の前記垂直同期信号の発生を待って当該最も古いコマンドを前記コマンドFIFOから前記音源部に出力させる読み出し制御部を具備することを特徴とする請求項3に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−217024(P2011−217024A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−81681(P2010−81681)
【出願日】平成22年3月31日(2010.3.31)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】