説明

電子装置、及び電子システム

【課題】 ポータブル電子機器を装着する際に、蓋部材を傾斜させる構成が破損することを防止する電子装置、及び電子システムを提供する。
【解決手段】 電子システムは、ポータブル機器10と、車載機器100(電子装置)とを備えている。車載機器100は、車載機器本体110と、ポータブル機器10を装着可能な傾斜可能な前面部120と、前面部120を車載機器本体110に対して傾斜させるステッピングモータ190及びスライダ181と、前面部120からポータブル機器10が取り外されたことを検出した場合、ステッピングモータ190及びスライダ181を駆動して前面120を基準位置に戻す制御部140とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置、及び着脱可能なポータブル電子機器と電子装置とを備える電子システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のナビゲーション装置として、パーソナルナビゲーションデバイスと呼ばれる、簡易的ではあるが可搬性を持った小型のポータブルナビゲーション装置(以下、ポータブルナビと呼ぶ)と、車両のダッシュボードに形成された凹部(DIN開口)内に収容し固定される車載用のナビゲーション装置とが広く一般的に知られている。車載用のナビゲーション装置は、車両からの車速等の情報により高精度な案内が可能であり、さらにはオーディオ装置を備えたものも提案されている。
【0003】
近年、ポータブルナビの可搬性と、車載用ナビゲーション装置の高精度な案内性能とを兼ね備えたナビゲーション装置が検討されている。
【0004】
特許文献1〜4は、車両に搭載された車載機器からナビゲーション部を着脱可能とする構成が開示されている。車載機器からナビゲーション部を取り外すことで、ナビゲーション部をポータブルナビとして単体で使用することが可能となる。
【0005】
また、特許文献5は、ナビゲーション装置を車両から取り外して、歩行時にもナビゲーション装置を使用することが可能となっている。また、車両搭載時には、カーナビモードとなり、車両から取り外した時にはマンナビモードを実行することが開示されている。
【特許文献1】特開平8−318792号公報
【特許文献2】特開2002−328026号公報
【特許文献3】特表2005−524570号公報
【特許文献4】特開2001−239895号公報
【特許文献5】特開2003−166848号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1〜5では、ナビゲーション部が装着される、車載機器の蓋部材が傾斜(チルト)する構成は開示も示唆もされていない。
【0007】
図14に示すような、ナビゲーション部804が装着される、車載機器本体801に対して蓋部材802が傾斜(チルト)する構成では、傾斜した状態の蓋部材802にナビゲーション部804を装着しようとすると、蓋部材802を傾斜させるスライダ803や当該スライダ803を駆動する駆動機構(不図示)に過重がかかるために、当該スライダ803やスライダ803の駆動機構が破損するおそれがある。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ポータブル電子機器を装着する際に、蓋部材を傾斜させる構成が破損することを防止する電子装置、及び電子システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1の電子装置、及び請求項2の電子システムは、電子機器本体と、ポータブル電子機器を装着可能な傾斜可能な蓋部材と、前記蓋部材を、前記本体に対して傾斜させる駆動手段と、前記蓋部材から前記ポータブル電子機器が取り外されたことを検出した場合、前記駆動手段を駆動して前記蓋部材を基準位置に戻す制御手段と、を備える構成としている。
【0010】
かかる構成によれば、蓋部材が、電子装置本体に対して傾斜した状態で、蓋部材からポータブル電子装置を取り外したことが検出された場合に、傾斜した状態の蓋部材を元に戻すように駆動手段が制御されるので、蓋部材からポータブル電子装置を取り外したことが検出されると、蓋部材はチルト状態(傾いた状態)からチルトなしの状態(傾いていない状態:基準位置)に戻る。よって、再度、蓋部材にポータブル電子装置を装着する際には、蓋部材は傾斜していないため、蓋部材を駆動する駆動手段を破損することがない。また、蓋部材はチルトなしの状態(傾いていない状態)であるので、ポータブル電子装置を容易に装着することが可能になる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ポータブル電子機器を装着する際に、蓋部材を傾斜させる駆動手段の破損を防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
添付図面を参照しながら本発明の最良の実施例を説明する。但し、本発明の技術範囲は、以下で説明する実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【実施例】
【0013】
図1(A)、(B)に電子システムの一例である車載システム1の外観を示す。図1(A)、(B)に示すように車載システム1は、車両に搭載される車載機器100(電子装置)と、ナビゲーション機能を備えたポータブル機器10(ポータブル電子機器)とから構成される。ポータブル機器10は、図1(A)に示すように車載機器100の前面部120(蓋部材)に取り付けて使用したり、図1(B)に示すように車載機器100から取り外して使用することができる。車載機器100は、例えば、音楽データを再生する車載用音響装置であり、ポータブル機器10は、例えば、ナビゲーション機能を備えるポータブルナビゲーターである。
【0014】
車載機器100は、ラジオ放送の再生可能な機器や、CD(Compact Disc)等の記録媒体に書き込まれた音楽データを再生可能な機器であり、CD再生部やCD挿排口を有する車載機器本体110(本体)と、表示部131や操作部132を有する前面部120とを備えている。
【0015】
ポータブル機器10は、目的地までの誘導経路を検索し、地図上に検索した誘導経路を重ねて表示するナビゲーションの機能を備えている。
【0016】
図2は、ポータブル機器10を車載機器100(前面部120)から取り外した状態を示す図である。
【0017】
車載機器100の前面部120には、ポータブル機器10を装着するための凹部が形成された着脱部170が設けられている。この着脱部170には、車載機器100とポータブル機器10とを電気的に接続するためのコネクタ150と、ポータブル機器10を前面部120に固定するためのロック機構(不図示)が設けられている。前面部120に設けた取り外しボタン160を操作すると、不図示のロック機構が解除され、車載機器100からポータブル機器10が取り外し可能となる。
【0018】
図3には、前面部120を車載機器本体110に対して傾斜させ、CD挿排口180を露出させた状態を示す。
【0019】
スライダ181は、前面部120の下部に一端が接続され、前面部120の上部を支点として前面部120の下部を引き出す又は押し出すように、車載機器本体110の前後方向にスライドする。後述する図9の駆動機構によって図3に示すスライダ181を車載機器本体110の前後方向に駆動させることで、前面部120を車載機器本体110に対して傾斜(チルト)させることができる。チルト動作によって、車載機器本体110に設けられたCD挿排口180を露出させ、CDの挿排を行ったり、車載機器100の表示部131やポータブル機器10の表示部11を視聴し易いように調整することができる。車載機器100の前面部120には、操作ボタン(図6に示すチルト/イジェクトボタン132a)が設けられており、このボタンの操作に応じたチルト角度に設定することができる。
【0020】
図4は、車載システム1の車両への搭載例を示す。
【0021】
車載システム1は、例えば図4に示すように、運転席52と助手席51とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。
【0022】
尚、図示していないが、後述するGPS情報受信部133のGPSアンテナは、ダッシュボード上に配置されているか、又はフロントガラスの車室内側に貼り付けられる。
【0023】
図5は、車載システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
車載機器100とポータブル機器10とは、コネクタで電気的に接続される。車載機器100側には、コネクタ150が設けられており、ポータブル機器10には、コネクタ30が設けられている。これらのコネクタ150、30を接続することで、車載機器100とポータブル機器10との間で各種信号が送受信されて車載システム1として機能する。また、コネクタ150、30には、車両のバッテリからの電力をポータブル機器10に供給するための電力供給端子が設けられており、ポータブル機器10が車載機器100に接続された状態で、車載機器100に電力が供給されていると、電力供給端子を介してポータブル機器10にも電力が供給される。
【0025】
車載機器100は、表示部131、操作部132、GPS情報受信部133、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136、メモリ137、マイク138、外部音声/映像入力部139、制御部140(制御手段)、コネクタ150、及びステッピングモータ190を備えている。車載機器100は、エンジンキーがAcc又はONの位置にあるときに、車両側のバッテリから電力を供給されて動作する。
【0026】
以下、各部の機能の詳細について説明する。
【0027】
表示部131は、液晶パネルやバックライトを備え、13セグメント表示によって受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示する。
【0028】
操作部132は、車載機器100の動作モードを切り替えるための操作や、切り替えた各種モードでの操作を行うためのものである。操作部132には、図6に示すようにチルト/イジェクトボタン132a、ファンクション(以下、FUNCと表記する)/AFボタン132b、TEXTボタン132c、SCREENボタン132d、SOURCE/PWRボタン132e、MODEボタン132f、MUTEボタン132g、BAND切換ボタン132h、ロータリーボタン132i、十字キー/エンターキーボタン132jとからなるボタン群を備える。
【0029】
ここで、ボタン群の操作による制御について説明する。
【0030】
まず、SOURCE/PWRボタン132eの操作によるポータブル機器10と車載機器100の表示の切り替えについて説明する。
【0031】
まず、車載機器100のSOURCE/PWRボタン132eを押下することで、車載機器100がオンされる。また車載機器100がオンしているときに、SOURCE/PWRボタン132eを短押しすることでCD再生やラジオ等のソースの移行と行われる。このとき、車載機器100の表示部131には、選択されたソースにおける情報が表示され、ポータブル機器10の表示部11には、ソースに関係なくナビゲーション画像が表示される。
【0032】
次に、SCREENボタン132dを押下すると、ポータブル機器10の表示部11の表示をナビゲーション画像から車載機器100で選択されたソースに対応する画像に切り換えることができる。
【0033】
図7(A)は車載機器100でCDを再生中にポータブル機器10を装着し、ポータブル機器10でナビゲーション画像を表示している状態を示している。
【0034】
図7(A)の状態から、SOURCE/PWRボタン132eを押下して、CD再生からラジオのソースに切換操作を行うと、図7(B)に示すように、表示部131にラジオソースにおける情報が表示される。また、ポータブル機器10の表示部11には、ナビゲーション画像が表示されたままである。
【0035】
次に、ユーザがSCREENボタン132dを押下すると、図7(C)に示すようにポータブル機器10の表示部11に、車載機器100で処理中のソースに対応する画像が表示される(図7(C)ではラジオ画像)。ポータブル機器10の表示部11には、後述するタッチパネルが設けられており、ユーザはタッチパネルを介して表示部11に表示される操作ボタンを選択することで、現在処理中のソースに対する操作をすることができる。
【0036】
また、表示部11にラジオ画像が表示された状態で、SCREENボタン132dを押下すると、図7(D)に示すようにラジオ画像からナビゲーション画像に戻ることができる。ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態では、SCREENボタン132dの操作は無効となる。
【0037】
また、ポータブル機器10が車載機器100から取り外されている状態で、外部音声/映像入力部139にUSB(Universal Serial Bus)等が接続された場合には、SOURCE/PWRボタン132eを押下しても、USBのソースには切り替わらないようにすることもできる。
【0038】
次に、チルト/イジェクトボタン132aの操作による前面部120のチルト動作について説明する。
【0039】
チルト/イジェクトボタン132aが第1の態様(例えば、短押し)で操作されると、前面部120は、CD挿排口180が露出される角度まで、前面部120がチルトされ、第2の態様(例えば、長押し)で操作されると、所定角度づつ前面部120がチルトする。
【0040】
図5に戻って、GPS情報受信部133は、GPSアンテナとチューナ部とを有し、衛星からのGPS信号を受信する。GPS情報受信部133で受信したGPS信号は、制御部140、コネクタ150、コネクタ30及び制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置が割り出される。
【0041】
尚、GPS情報受信部133で受信したGPS信号を制御部20を介さずに、制御部20を介してポータブル機器10のナビゲーション部19に出力するようにしてもよいし、GPS情報受信部133をGPSアンテナのみで構成し、GPSアンテナで受信したGPS信号を、制御部140及び制御部20を介さず、後述するGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよいし、制御部20は介するが、制御部140を介さずGPS情報受信部13のチューナに出力するようにしてもよい等、適宜変更が可能である。
【0042】
ラジオ受信部134は、アンテナとチューナ部とを有しており、AM放送、FM放送、多重放送等の放送波を受信して、音声信号の出力、多重データの受信、復調を行い、復調信号を制御部140に出力する。
【0043】
CD再生部135は、CDに記録されたデータを再生し、再生信号を制御部140に出力する。尚、ラジオ受信部134から出力される復調信号を制御部140を介さずに、後述する音声調整部136に出力するようにしてもよい。
【0044】
音声調整部136は、ラジオ受信部134で受信、復調された音声や、CD再生部135で再生された音声信号に、音量調整や音質調整等の信号処理をしてスピーカ145に出力する。メモリ137は、データの読み出しと書き込みとが可能なRAM(Random Access Memory)で構成することができ、制御のために必要な情報、例えば、後述する前面部120のチルト状態等を一時的に記憶しておく。
【0045】
マイク138は、ハンズフリー通話を行うためのものであって、車室内のユーザの音声を取り込む。外部音声/映像入力部139は、USBメモリや、携帯型オーディオ装置等の外部機器との接続端子を備え、外部機器からの音声信号やデータを入力して制御部140に送り、制御部140からの制御信号、音声信号やデータ等を接続した外部機器に出力する。
【0046】
制御部140は、操作部132の操作に従って、ラジオ受信部134、CD再生部135、音声調整部136などを制御する。
【0047】
また、制御部140は、コネクタ150を介してポータブル機器10に各種信号を出力し、ポータブル機器10から入力した各種信号に基づいて車載機器100を制御する。例えば、制御部140は、GPS情報受信部133で受信したGPS信号や、マイク138で入力された音声信号を、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力する。
尚、マイク138で入力された音声信号を、制御部140を介さずに、コネクタ150を介してポータブル機器10に出力してもよい。
【0048】
また、制御部140は、ポータブル機器10と接続された携帯電話からの通話音声をコネクタ150を介して入力し、音声調整部136を介してスピーカ145に出力する。さらに、制御部140は、ポータブル機器10の表示部11に表示される、各種モードのメニュー画像に対する操作信号をポータブル機器10の制御部20から取得し、ラジオ受信部134やCD再生部135の制御を行う。
【0049】
また、制御部140には、車両に搭載されたバッテリからの電源が入力されている。制御部140は、ポータブル機器10が接続されている場合に、バッテリの電源をポータブル機器10に出力する。また、制御部140には、車両から車速パルスとイルミ電源信号が入力される。制御部140は、入力した車速パルスをポータブル機器10の制御部20に転送する。尚、車速パルスが入力されない構成でもよい。
【0050】
ステッピングモータ190は、図3のスライダ181を車載機器100から押し出すため、又は車載機器100に引き戻すために使用される。制御部140は、ステッピングモータ190にパルス信号を入力することにより、ステッピングモータ190に取り付けられた歯車(不図示)の回転角度を制御する。
【0051】
図8は、車載機器本体110と前面部120の係合関係を示す図である。
【0052】
車載機器本体110は、本体部111と前面パネル112から構成されている。前面パネル112には、前面部120の左右側面の上方側に設けられた係合ピン186がスライド自在に係合するためのスライド溝が前面パネルの両内側面188に設けられている。また、スライダ181に設けられたネジ止め孔184は、不図示のネジにより前面部120の左右側面の下方側に設けられたネジ止め孔187にネジ止めされる。
【0053】
図9は、車載機器100内の底部に設けられたステッピングモータ190とスライダ181を示す図である。
【0054】
車載機器100内の底部には、主として、ステッピングモータ190と、コの字状に形成されたスライダ181と、制御部140を備える不図示の基板と接続するためのコネクタ183とが設けられている。スライダ181には、ノコギリ歯182が形成されている。ノコギリ歯182はステッピングモータ190の歯車(不図示)とかみ合う。これにより、ステッピングモータ190の歯車が回転すると、スライダ181は車載機器本体110の奥行き方向に前後する。この動作に連動して、前面部120の下方が車載機器本体110の奥行き方向に前後すると共に、前面部120の係合ピン186がスライド溝185をスライドし、前面部120を車載機器本体110に対してチルトさせることができる。尚、図9の想像線は、スライダ181が車載機器本体110から押し出された状態を示す。
尚、ステッピングモータ190とスライダ181が駆動手段に相当する。
【0055】
次に、ポータブル機器10について説明する。ポータブル機器10は、表示部11、操作部12、GPS情報受信部13、スピーカ14、蓄電池15、充電回路16、無線通信送受信部17、メモリ18、ナビゲーション部19、制御部20、コネクタ30を備えている。
【0056】
以下、各部の機能の詳細について説明する。
【0057】
表示部11は、液晶パネルとバックライトとを備え、ナビゲーション部19で生成された地図情報や目的地までの誘導経路情報、また車載機器100から転送された受信放送周波数、再生楽曲トラックNo、再生楽曲名等を表示することができる。表示部11、131には、液晶パネル以外のフラットパネルディスプレイ、例えば、有機ELディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0058】
操作部12は、タッチパネルや、ポータブル機器10の電源をオン、オフするための電源ボタン55(図10(A)参照)を含む。タッチパネルは、例えば、表示部11の表示画面の上に配置されるものであり、指や専用のペンによりタッチパネルが接触されると、その接触された位置が検知されて、入力操作の有無が判別できるようになっている。電源ボタン55については後述する。
【0059】
GPS情報受信部13は、アンテナとチューナ部とを有しており、衛星からのGPS信号を受信する。受信したGPS信号はナビゲーション部19に出力され、GPS信号に基づいて自機位置が割り出される。なお、車載装置100にもGPS情報受信部133が設けられているが、車載機器100にポータブル機器10が取り付けられているときには、GPS情報受信部133で受信したGPS信号(及び車速パルス)を用いてポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置を特定し、ポータブル機器10単独で使用する場合には、GPS情報受信部13で受信したGPS信号を用いて自機位置を特定する。
【0060】
スピーカ14は、ナビゲーション部19からの音声情報を出力するためのものであり、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された状態、つまり単体で使用されるときに、音声情報を出力する。
【0061】
蓄電池15は、ポータブル機器10の各部に電力を供給する。またポータブル機器10を車載機器100に装着すると、コネクタ30の電力供給端子を介して車両のバッテリから電力が供給され、充電回路16によって蓄電池15を充電する。また、充電回路16はUSBスロット(図10(A)参照)を介して接続端末から電力の供給を受けて、蓄電池15を充電することができる。
【0062】
無線通信送受信部17は、携帯電話との間で通話音声の送受信を行ったり、携帯電話を介してナビゲーションに利用する情報を取得する。無線通信送受信部17には、例えば、2.4GHz帯域の無線伝送方式である、Bluetoothが用いられる。
【0063】
メモリ18は、例えば読み出しと書き込みとが可能なRAMであり、各制御のために読み出された情報を一時的に記憶しておく。
【0064】
ナビゲーション部19は、ナビゲーションのために利用される地図情報を記憶した後述するSDカードやUSBメモリから、当該地図情報を取得し記憶する地図情報記憶部を備え、GPS情報受信部133、又は13からのGPS信号によって現在位置情報を割り出し、ナビゲーション動作のための画像を作成する。作成した地図は、表示部11で表示させることができる。また、車載機器100とポータブル機器10とが接続されている場合には、車両から車速パルスを取得して、ポータブル機器10が収納された車載機器100が搭載される車両の位置検出の精度を高めることができる。
尚、地図情報はポータブル機器10内に保持していてもよい。
【0065】
制御部20は、ポータブル機器10の各部を制御する。また、制御部20は、コネクタ30を介して車載機器100に各種信号を出力し、車載機器100から入力した各種信号に基づいてポータブル機器10を制御する。例えば、制御部20は、車載機器100のGPS情報受信部133で受信したGPS信号、及び車速パルスを車載機器100の制御部140から取得し、ナビゲーション部19に出力する。
【0066】
また、制御部20は、車載機器100のマイク138で入力した音声信号を車載機器100の制御部140から取得し、音声信号に応じてナビゲーション部19を制御する。すなわち、ナビゲーション部19をハンズフリーで操作することができる。また、無線通信送受信部17にて接続された携帯電話からの通話音声を、コネクタ30を介して車載機器100側に出力し、車載機器100のスピーカ145から出力させる。また、表示部11に表示されたメニュー画面やコンテンツ画面に対する操作信号をコネクタ30を介して車載機器100の制御部140に出力する。制御部140は、ポータブル機器10の制御部20から送られた操作信号に応じて、ラジオ受信部134やCD再生部135を制御する。
【0067】
図10(A)に、ポータブル機器10の正面図、上面図、下面図、左側面図、右側面図を示し、図10(B)にポータブル機器10の背面図を示す。
【0068】
ポータブル機器10の上面には、ポータブル機器の電源をオン、オフさせる電源ボタン55が設けられており、下面には、SD(Secure Digital)メモリカードスロット56、USBスロット57が設けられている。地図情報が記憶されたSDカードやUSBメモリをこれらのスロットに差し込むことで、制御部20はSDカードやUSBメモリから地図情報を読み出し、ナビゲーション部19に地図情報を出力する。
【0069】
ポータブル機器10の電源は、ポータブル機器を車載機器100に装着したときには、車載機器100からの制御によって電源がオン、オフされる。また、車載機器100から取り外してポータブル機器10を単体で使用する場合には、電源ボタン55のオン、オフ操作に基づいて電源が操作される。
【0070】
さらに、ポータブル機器10の背面側には、車載機器100との電気的な接続をとるためのコネクタ30と、車載機器100側に設けたロック機構(不図示)と係合する係合部58とが設けられている。
【0071】
図11は、図1(A)で示した車載機器100およびポータブル機器10の外観の模式図に相当する実際の外観図である。図1(B)と同じ構成は同じ番号を付し説明を省略する。
【0072】
図12(A)、(B)、(C)は、車載機器100のメモリ137に記載されているテーブル情報の一例を示す図であり、(D)は車載システム1の概略的な側面図であり、(E)は、車載機器100のメモリ137に記憶されている前面部120の状態を示す図である。
【0073】
尚、図12(A)、(B)、(C)、(E)に示す情報は、メモリ137ではなく、制御部140内に設けられたメモリに記憶されていたり、記憶されるようにしてもよい。
【0074】
図12(A)のテーブル情報は、チルト/イジェクトボタン132a(図6参照)の第2態様(チルト指示:例えば、長押し)での押下回数と、車載機器110に対する前面部120の傾きを示すチルト角度θ(図12(D)参照)と、制御部140がステッピングモータ190に出力するパルス信号のパルス数との関係を示す。
【0075】
ここでは、図12(A)のテーブル情報に示すように、チルト/イジェクトボタン132aが第2の態様で1回押下される毎に、チルト角度θが5度ずつ増加するように、制御部140はステッピングモータ190に10個のパルスで構成されるパルス信号を出力する。パルス信号は、1回のオン/オフ(即ち1周期)で1個のパルスを構成され、1個のパルスあたりチルト角度θは0.5度増加する。
【0076】
尚、チルト/イジェクトボタン132aを第2の態様で7回押下すると、前面部120は初期位置(0°)に戻る。即ち、図12(A)のテーブル情報の押下回数「6」のレコードの次は、押下回数「0」のレコードとなる。
【0077】
つまり、チルト/イジェクトボタン132aを第2の態様で6回押下されて、前面部120のチルト角度が調整された後、更に1回押下されると、前述のチルト角度θを増加させるパルス信号と異なる極性のパルス信号が、制御部140からステッピングモータ190に出力され、チルト角度θが減少する方向に前面部120が変位する。
【0078】
また、チルト/イジェクトボタン132aを第2の態様での操作によるチルト最大角度(押下回数「6」のレコード)は、CD挿排口180が露出しない角度であることが望ましい。
【0079】
尚、チルト角度やレコード数は本テーブルの数値に限定されるものではない。
【0080】
図12(B)のテーブル情報は、前面部120が開状態時の車載機器本体110に対する前面部120の傾きを示すチルト角度(図12(D)参照)と、制御部140がステッピングモータ190に出力するパルス信号のパルス数との関係を示す。
【0081】
尚、前面部120の開状態のチルト角度は、本テーブルの数値に限定されるものではなく、CD挿排口180が露出する角度であればよい。また、前面部120が完全に倒れる状態であってもよい。
【0082】
図12(C)のテーブル情報は、基準位置における車載機器本体110に対する前面部120の傾きを示すチルト角度(図12(D)参照)と、制御部140がステッピングモータ190に出力するパルス信号のパルス数との関係を示す。
【0083】
ここでは、図12(C)のテーブル情報に示すように、前面部120が基準位置にある場合には、車載機器本体110に対する前面部120のチルト角度は0°である。
【0084】
図12(E)に示すように、メモリ137には、前面部120の現在のチルト角度θ及び開閉状態、つまり、チルト/イジェクトボタン132aの第2の態様での押下により調整された前面部120のチルト角度θが現在のチルト角度θとして記憶されると共に、チルト/イジェクトボタン132aの第1の態様での押下により変位された前面部120の開閉状態が更新記憶される。
【0085】
図13(A)は、車載機器100の制御部140により実行される、チルト/イジェクトボタン132aの操作時の制御を示すフローチャートであり、図13(B)は、車載機器100の制御部140により実行される、ポータブル機器10の車両機器100への装着状態の変化における制御を示すフローチャートである。
【0086】
尚、メモリ137には、前述のように、チルト/イジェクトボタン132aの第2の態様での押下により調整された前面部120のチルト角度θが現在のチルト角度θとして記憶されると共に、チルト/イジェクトボタン132aの第1の態様での押下により変位された前面部120の開閉状態が記憶されている。
【0087】
まず、図13(A)を用いて、チルト/イジェクトボタン132aの操作時の制御部140の制御を説明する。本制御は、制御部140が、ユーザがチルト/イジェクトボタン132aを押下したことを検出した場合に実行される。
【0088】
まず、制御部140は、チルト/イジェクトボタン132aの操作態様が第2の態様(チルト指示)であるか第1の態様(開閉指示)であるかを判断する(ステップS11)。
【0089】
制御部140が、ステップS11で、チルト/イジェクトボタン132aのユーザによる操作がチルト指示(第2の態様:例えば、長押し操作(例えば、1.7秒以上))であると判断した場合、制御部140はチルト/イジェクトボタン132aが第2の態様(チルト指示)で押下された回数をカウントし(ステップS12)、制御部140は、メモリ137(図12(E)に示すテーブル情報)から現在のチルト角度θを読み出す(ステップS13)。
【0090】
尚、メモリ137には、前述のように、図12(E)に示すチルト/イジェクトボタン132aが第2の態様(チルト指示)による操作により変位した前面部120のチルト角度が現在のチルト角度θが記憶されているものとする。
【0091】
また、現在のチルト角度θの代わりに現在のチルト角度θに関する情報が記憶されるようにしてもよい。
【0092】
次に、制御部140は、ステップS13で、メモリ137から読み出した現在のチルト角度θ、ステップS12でカウントしたチルト/イジェクトボタン132aの押下回数、及びメモリ137に記憶されている図12(A)に示すテーブル情報により、変位後のチルト角度θ’を決定すると共に、前面部120の現在のチルト角度θと変位後のチルト角度θ’とからステッピングモータ190に出力するパルス数を決定する(ステップS14)。
【0093】
次に、制御部140はステッピングモータ190に前面部120を変位後のチルト角度θ’にするために、ステップS14で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS15)。ステッピングモータ190は制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダ181を駆動させる。これにより、前面部120は所定のチルト角度θ’に変位する。制御部140は、メモリ137(図12(E)に示すテーブル情報)にチルト角度θ’を現在のチルト角度θとして更新記憶し(ステップS16)、処理を終了する。
【0094】
つまり、チルト/イジェクトボタン132aのチルト指示(第2の態様)での押下回数により、図12(A)に示すテーブル情報に基づいて、前面部120を車載機器本体110に対して変位(チルト)させることができる。
【0095】
制御部140が、ステップS11において、チルト/イジェクトボタン132aのユーザによる操作が第1の態様(開閉指示:例えば、短押し(と例えば、1.7秒未満))であると判断した場合、制御部140は、メモリ137に記憶されている情報(図12(E)のテーブル情報)から前面部120が開状態であるか否かを判断する(ステップS17)。
【0096】
尚、メモリ137には、図12(E)に示すように、前面部120が開状態又は閉状態であることを示す情報が記憶されており、初期値(過去に一度もチルト/イジェクトボタン132aを介したイジェクト指示での操作がされていない場合には、閉状態であることを示す情報)が記憶されている。
【0097】
制御部140が、ステップS17で、前面部120が開状態であると判断した場合、当該操作が、前面部120を開状態から閉状態に変位させる指示であるため、メモリ137(図12(E)のテーブル情報)から現在のチルト角度θ(開状態になる前のチルト角度)を読み出すと共に、読み出した現在のチルト角度θとメモリ137に記憶されている図12(A)、(B)に示すテーブル情報により、前面部120を、開状態になる前の状態(現在のチルト角度θ)に戻すためのステッピングモータ190へ出力するパルス数を決定する(ステップS18)。
【0098】
次に、制御部140はステッピングモータ190に前面部120を現在のチルト角度θ(開状態になる前のチルト角度)にするために、ステップS18で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS19)。ステッピングモータ190は制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダ181を駆動させる。これにより、前面部120は現在のチルト角度θ(開状態になる前のチルト角度)に変位する。制御部140は、メモリ137(図12(E)に示すテーブル情報)に前面部120が閉状態であることを示す情報を更新記憶し(ステップS20)、処理を終了する。
【0099】
また、制御部140が、ステップS17で、前面部120が開状態でないと判断した場合、当該操作が、前面部120を閉状態から開状態に変位させる指示であるため、メモリ137(図12(E)に示すテーブル情報)から現在のチルト角度θを読み出すと共に、読み出した現在のチルト角度θとメモリ137に記憶されている図12(A)、(B)に示すテーブル情報により、前面部120を、開状態にするためのステッピングモータ190へ出力するパルス数を決定する(ステップS21)。
【0100】
次に、制御部140はステッピングモータ190に前面部120を開状態にするために、ステップS21で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS22)。ステッピングモータ190は制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダ181を駆動させる。これにより、前面部120は開状態に変位する。制御部140は、メモリ137(図12(E)に示すテーブル情報)に前面部120が開状態であることを示す情報を更新記憶し(ステップS23)、処理を終了する。
【0101】
つまり、チルト/イジェクトボタン132aの開閉状態(第1の態様)での押下回数により、図12(A)、(B)に示すテーブル情報に基づいて、前面部120を車載機器本体110に対して変位(チルト)させることができる。
【0102】
尚、メモリ137に、前述の図12(B)のテーブル情報を備えず、スライダ181の移動量等によりCD挿排口180が露出する状態(開状態)を検出する検出手段(リミットスイッチ等)を設けると共に、メモリ137に図12(E)の前面部120が開状態であるか閉状態であるかを示す情報の代わりに当該検出手段の検出結果を記憶するようにし、当該検出結果から前面部120の開閉状態を検出するようにしてもよい。
【0103】
この場合、ユーザによって、開指示がなされると、前述の検出手段は前面部120が開状態になったことを検出するまで、ステッピングモータ190にパルス信号出力し続ける。
【0104】
次に、図13(B)を用いて、ポータブル機器10の車載機器100への装着状態の変化における制御部140の制御を説明する。本制御は、制御部140が、車載機器100の電源がON状態になったことを検出した場合に開始され、車載機器100の電源がONの状態の間、継続する。
【0105】
まず、制御部140は、ポータブル機器10の車載機器100への装着状態に変化があったか否かを判別する(ステップS31)。装着状態の変化の判別方法は、制御部140が制御部20に対して接続信号を定期的に又は任意のタイミングで送信し、制御部140が、前回の送信時には制御部20からレスポンスを受信していたが、今回の送信時には制御部20からレスポンスを受信しない場合には、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された(装着→非装着)と判断し、逆に、前回の送信時には制御部20からレスポンスを受信していなかったが、今回の送信時には制御部20からレスポンスを受信した場合には、ポータブル機器10が車載機器100に装着された(非装着→装着)と判断する。
【0106】
尚、装着状態の変化の判別方法は、前述の取り外しボタン160の操作状態を検出したり、装着状態の変化を検出するための構成を別途設ける等、適宜変更可能である。
【0107】
制御部140が、ステップS31で、ポータブル機器10の車載機器100への装着状態に変化がないと判断した場合、本ステップを繰り返す。
【0108】
制御部140が、ステップS31で、ポータブル機器10が車載機器100から取り外された(装着→非装着)と判断した場合、メモリ137(図12(E)に示すテーブル情報)から前面部120の現在のチルト角度θ、及び開閉状態を読み出し、読み出した現在のチルト角度θ及び開閉状態とメモリ137に記憶されている図12(A)、(B)、(C)に示すテーブル情報により、前面部120を基準位置に変位させるためにステッピングモータ190に出力するパルス数を決定する(ステップS32)。
【0109】
つまり、制御部140は、前面部120が開状態である場合には、図12(B)、(C)に示すテーブル情報により、前面部120を基準位置(0°)に変位させるためにステッピングモータ190に出力するパルス数を決定し、前面部120が閉状態である場合には、図12(A)、(C)に示すテーブル情報により、前面部120を基準位置(0°)に変位させるためにステッピングモータ190に出力するパルス数を決定する。
【0110】
尚、メモリ137には、前述のように、図12(E)に示す、チルト/イジェクトボタン132aが第2の態様(チルト指示)による操作により変位した前面部120の現在のチルト角度θが記憶されているものとする。
【0111】
また、現在のチルト角度θの代わりに現在のチルト角度θに関する情報が記憶されるようにしてもよい。
【0112】
次に、制御部140は、ステッピングモータ190に、前面部120を基準位置に変位させるために、ステップS32で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS33)。ステッピングモータ190は、制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダ181を駆動(引き戻し)させる。これにより、前面部120は基準位置(0°)に変位する。
【0113】
また、制御部140が、ステップS31で、ポータブル機器10が車載機器100に装着(非装着→装着)されたと判断した場合、メモリ137(図12(E)に示すテーブル情報)から現在のチルト角度θ、及び前面部120の開閉状態を読み出し、読み出した現在のチルト角度θ、及び前面部120の開閉状態とメモリ137に記憶されている図12(A)、(B)、(C)に示すテーブル情報により、前面部120を基準位置から現在のチルト角度θ又は開状態に変位させるためにステッピングモータ190に出力するパルス数を決定する(ステップS34)。
【0114】
つまり、制御部140は、前面部120が、基準位置に変位する前の状態が開状態である場合には、図12(B)、(C)に示すテーブル情報により、前面部120を開状態に変位させるためにステッピングモータ190に出力するパルス数を決定し、前面部120が、基準位置に変位する前の状態が閉状態である場合には、図12(A)、(C)に示すテーブル情報により、前面部120を閉状態(つまり、現在のチルト角度θ)に変位させるためにステッピングモータ190に出力するパルス数を決定する。
【0115】
尚、前面部120が、基準位置に変位する前の状態が開状態または閉状態に関わらず、前面部120を閉状態(つまり、現在のチルト角度θ)に変位させるためにステッピングモータ190に出力するパルス数を決定してもよい。
【0116】
尚、メモリ137には、前述のように、図12(E)に示す、チルト/イジェクトボタン132aが第2の態様(チルト指示)による操作により変位した前面部120の現在のチルト角度θが記憶されているものとする。
【0117】
また、現在のチルト角度θの代わりに現在のチルト角度θに関する情報が記憶されるようにしてもよい。
【0118】
次に、制御部140は、ステッピングモータ190に、前面部120を基準位置に変位させる前の状態に変位させるために、ステップS32で決定したパルス数のパルス信号を出力する(ステップS35)。ステッピングモータ190は、制御部140からのパルス信号のパルス数に相当する分、スライダ181を駆動(押し出し)させる。これにより、前面部120は基準位置に変位する前(ポータブル機器10が取り外される前)の状態に変位する。
【0119】
つまり、ポータブル機器10が取り外されると、前面部120は、基準位置(0°)に変位し、ポータブル機器10が装着されると、取り外される前の状態に戻る。
【0120】
尚、メモリ137に、前述の図12(C)のテーブル情報を記憶せず、スライダ181の移動量等により、前面部120が基準位置である状態を検出する検出手段(リミットスイッチ等)を設け、当該検出手段の検出結果から前面部120が基準位置に変位したことを検出するようにしてもよい。
【0121】
この場合、ポータブル機器10が装着された場合、前述の検出手段が、前面部120が基準位置に変位したことを検出するまで、ステッピングモータ190にパルス信号を出力し続ける。
【0122】
以上詳細に説明したように、本実施例によれば、車載機器100の前面部120からポータブル機器10を取り外したことが検出された場合に(装着→非装着)、スライドした状態のスライダ181を元に戻すようにステッピングモータ190が制御されるので、車載機器100の前面部120からポータブル機器10を取り外したことが検出されると、前面部120はチルト状態(傾いた状態)からチルトなしの状態(傾いていない状態:基準位置)に戻る。よって、再度、前面部120にポータブル機器10を装着する際には、スライダ181はスライドしていないため、ステッピングモータ190等に余分な過重がかからず、ステッピングモータ190等を破損することがない。また、前面部120はチルトなしの状態であるので、ポータブル機器を容易に装着することが可能になる。
【0123】
また、上記実施例によれば、スライダ181が車載機器本体110の前方向にスライドする際に、制御部140が前面部120のチルト角度をメモリ137に記憶し、車載機器100の前面部120からポータブル機器10を取り外したことが検出された場合に、制御部140は、メモリ137に記憶された前面部120のチルト角度を読み出し、当該読み出されたチルト角度に対応するパルス信号をステッピングモータ190に出力する。よって、スライダ181が車載機器本体110の前方向にスライドした量を、前面部120のチルト角度を介して正確に記憶でき、また、前面部120からポータブル機器10を取り外したことが検出された場合には、メモリ137に記憶された前面部120のチルト角度に対応するパルス信号を使って、スライドした量だけスライダ181を元に戻すことができる。
【0124】
尚、前面部120のチルト角度の代わりに、ステッピングモータ190に出力したパルス信号のパルス数をメモリ137に記憶しても、同様にスライダ181のスライドした量を、パルス数を介して正確に記憶でき、スライドした量だけスライダ181を元に戻すことができる。
【0125】
上記実施の形態では、前面部120のチルト角度を利用して、スライダ181の押し出し又は引き戻しの制御を実行したが、スライダ181のスライド量(即ち、距離などの移動量)を検知するセンサを車載機器100に設けて、当該センサで検知されたスライダ181のスライド量を利用して、スライダ181の押し出し又は引き戻しの制御を実行するようにしてもよい。この場合、メモリ137には、スライダ181のスライド量が記憶される。この構成によれば、スライダ181が車載機器本体110の前方向にスライドした量を正確に記憶でき、また、前面部120からポータブル機器10を取り外したことが検出された場合には、スライドした量だけスライダ181を元に戻すことができる。
【0126】
上述した実施例は本発明の好適な実施の一例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0127】
例えば、車載機器及びポータブル機器からなる車載システムについて説明したが、本発明は車載システムに限定されるものではない。また、ポータブル機器10がナビゲーション機能付き携帯電話、携帯端末(PDA)等であってもよい。
【0128】
更に、CD挿排口及びCD再生部の代わりに、MD、DVD、SDカード等の他の記憶媒体の挿排口及び再生部を設ける構成にしてもよいし、複数種の記憶媒体の挿排口及び再生部を設ける構成にしてもよい。
【0129】
また、車載機器(電子装置)の上面に設けられる上面部が車載機器(電子装置本体)に対して起立する構成にしてもよい。
さらに、1つのボタンの操作態様により、前面部120のチルトと開閉を制御する例について説明したが、チルト指示用のボタン、開閉指示用のボタンを別々に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0130】
【図1】(A)及び(B)は車載システムの外観をそれぞれ示す図である。
【図2】車載機器から取り外されたポータブル機器を示す図である。
【図3】車載機器の前面部を車載機器本体に対して傾斜させ、CD挿排口を露出させた状態を示す図である。
【図4】車載システムの車両への搭載例を示す図である。
【図5】車載システムの概略構成を示すブロック図である。
【図6】車載機器の前面部の一例を示す図である。
【図7】(A)から(D)は、車載機器の表示部及びポータブル機器の表示部で表示される表示内容の変遷を示す図である。
【図8】車載機器本体と前面部の係合関係を示す図である。
【図9】車載機器内の底部に設けられたステッピングモータとスライダを示す図である。
【図10】(A)は、ポータブル機器の正面図、上面図、下面図、左側面図、及び右側面図であり、(B)はポータブル機器の背面図である。
【図11】ポータブル機器を車載機器から取り外した状態を詳細に示す図である。
【図12】(A)は、チルト駆動時のチルト角度とステッピングモータのパルス数の関係を示す図、(B)は、開状態時のチルト角度とステッピングモータのパルス数の関係を示す図、(C)は、基準位置のチルト角度とステッピングモータのパルス数の関係を示す図、(D)は、車載機器の側面模式図、(E)は、前面部の現在の状態を示す図である。
【図13】(A)は、車載機器の制御部により実行されるチルト/イジェクトボタンの操作時の制御を示すフローチャートであり、(B)は、車載機器の制御部により実行される、ポータブル機器の車両機器への装着状態の変化における制御を示すフローチャートである。
【図14】従来の車載システムの外観を示す図である。
【符号の説明】
【0131】
10 ポータブル機器(ポータブル電子機器)
100 車載機器(電子装置)
120 前面部(蓋部材)
140 制御部(制御手段)
190 ステッピングモータ(駆動手段)
181 スライダ(駆動手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
ポータブル電子機器を装着可能な傾斜可能な蓋部材と、
前記蓋部材を、前記本体に対して傾斜させる駆動手段と、
前記蓋部材から前記ポータブル電子機器が取り外されたことを検出した場合、前記駆動手段を駆動して前記蓋部材を基準位置に戻す制御手段と、
を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
ポータブル電子機器と、
本体と、ポータブル電子機器を装着可能な傾斜可能な蓋部材と、前記蓋部材を、前記本体に対して傾斜させる駆動手段と、前記蓋部材から前記ポータブル電子機器が取り外されたことを検出した場合、前記駆動手段を駆動して前記蓋部材を基準位置に戻す制御手段と、を有する電子装置と、を備えたことを特徴とする電子システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−185367(P2008−185367A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−17042(P2007−17042)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】