説明

電子部品のリペア装置

【課題】実装時に端子が隠された状態になるBGAのような電子部品のリペアについて、その再実装時における電子部品側端子とプリント基板側端子の位置合せを高い精度で行えるようにする。
【解決手段】電子部品のリペア装置1は、XYテーブル12で保持のプリント基板17と電子部品保持具13で保持の再実装電子部品21それぞれの透視画像を取得するX線撮影手段14を備える。そしてこのX線撮影手段による撮影データから部品側端子23と基板側端子26それぞれについて生成される部品側端子群画像と基板側端子群画像に基づいて部品側端子群と基板側端子群に関する位置合せを高精度で行えるようにされ、その高精度な位置合せをなした状態ではんだ付けして電子部品の再実装をなすようにされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント基板について接続不良や故障などの電子部品を取り外し、その取り外したのと同種の電子部品を再実装する電子部品のリペアに用いられるリペア装置に関し、特にプリント基板に実装した際に端子が隠された状態になるタイプの電子部品のリペアに好適なリペア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プリント基板はその実装密度がますます高くなってきている。これに伴い、LSI(大規模集積回路)のような高価な電子部品が多数実装され、プリント基板の単価も高価になってきている。このための実装電子部品のリペア技術の重要性が一層増してきている。電子部品のリペアは、プリント基板からリペア対象の電子部品を取り外して同種の電子部品を再実装する処理であり、実装電子部品に接続不良や回路不良などの故障を生じた場合、はんだ付け不良や接続不良の修正が困難な電子部品の実装時にはんだ付け不良などを生じた場合、あるいは電子部品実装済みのプリント基板の製品検査で異常などが見出された際にその解析をする場合などに行われる(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなリペアの対象となる電子部品として、BGA(Ball Grid Array)と呼ばれる電子部品やCSP(Chip Size Package)と呼ばれる電子部品がある。BGAは、BGAパッケージ方式でパッケージされており、バンプあるいははんだボールと呼ばれるはんだによるボール状の端子(部品側端子)がパッケージ外面に例えば格子状に配列して多数設けられ、これらの多数の部品側端子が部品側端子群を形成している。一方、CSPは、内蔵する半導体チップとほぼ同じ程度の大きさでパッケージされた電子部品であり、そのパッケージにおける端子構造はBGAパッケージ方式とされるのが一般的である。
【0004】
これらBGAやCSP(以下では、仮にBGAと総称する)のプリント基板への実装は、BGAの部品側端子群に対応するようにしてプリント基板に形成されている基板側端子群における各基板側端子にBGAの各部品側端子をはんだ付けで接合することでなされる。
【0005】
こうしたBGAのプリント基板への実装については、BGAをプリント基板に実装する際に部品側端子群や基板側端子群がBGAによって隠された状態になることに起因する問題がある。
【0006】
例えば、端子位置合せ状態の直接的な確認を行えないという問題がその1つである。BGAのプリント基板への実装に際しては、端子のはんだ付けに先立って、プリント基板の実装位置にBGAを位置きめさせてBGA側各端子(部品側端子)とプリント基板側の各端子(基板側端子)の位置合せを行う。従来ではこの位置合せは、光学式カメラや人の目視によっていた。具体的には、実装対象の電子部品の輪郭などをシルク印刷などで印刷することで位置決めマークがプリント基板の実装面に形成されており、この位置決めマークにBGAの外形を光学式カメラによる画像を用いたり人の目視によったりして合せることで位置合わせを行うようにしていた。こうした位置合わせ法では、BGAによって端子が隠された状態になることから、端子の位置合せ状態を直接に確認することができない。このため端子の位置合せ精度が不十分となってしまう場合が発生する。すなわち位置決めマークは、シルク印刷などで形成されるものであることから、その精度が十分でない場合があり、そうした場合には電子部品側端子とプリント基板側端子に位置ずれを生じてしまことになるが、これを検出することができず、結果として端子の位置合せ精度が不十分となってしまう。そして端子の位置合せ精度が不十分であると、はんだ付け不良を生じる可能性が高くなってしまう。
【0007】
またはんだ付け不良への対応性の問題もある。すなわちはんだ付け不良を生じた場合に、その修正を行うことができず、リペアするかそのプリント基板を廃棄しなければならなくなるという問題である。さらに、実装後の端子のはんだ付け状態を検査することが困難であるという問題もある。
【0008】
こうした端子が隠された状態になることに起因する問題に対処する技術の一つとして、X線透視カメラで接合部の画像を取得し、その画像に基づいてはんだ付け状態の検査を行う技術が知られている(例えば特許文献2)。
【0009】
【特許文献1】特開平11−26929号公報
【特許文献2】特開2005−353712号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
BGAなどの電子部品のリペアでは、プリント基板に局部的な熱ストレスが加わり、それによりプリント基板が劣化する。したがってリペアが繰り返されると劣化が進み、ついには高価なプリント基板を廃棄しなければならなくなる。こうしたことから、できるだけリペアの回数を少なくできるようにすることが望まれ、実際的には可能なリペアは1回程度に限られている。つまりリペア時の再実装では、はんだ付け不良の発生などを招くことのない高精度な実装が強く求められるということである。
【0011】
しかるに、BGAのような端子が隠された状態になる電子部品では、上述のように、従来の光学式カメラや人の目視による手法であると、端子の位置合せ状態を直接に確認することができないことから、端子の位置合せ精度が不十分となる場合の発生を避け難く、上記のような高精度実装要求に応えることができない。
【0012】
本発明は以上のような事情を背景になされたものであり、その課題は、BGAのような端子が隠された状態になる電子部品のリペアについて、その再実装時における電子部品側端子とプリント基板側端子の位置合せを高い精度で行え、これによりはんだ付け不良や接続不良を生じることのない信頼性の高いリペアを可能とする電子部品のリペア装置の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明では上記課題を解決するために、複数の部品側端子が配列されてなる部品側端子群を有する電子部品がリペア対象として取り外されることで、当該リペア対象電子部品の前記部品側端子群における端子配列に対応する配列の基板側端子による基板側端子群が残されたプリント基板に、前記リペア対象電子部品と同種の新たな電子部品である再実装電子部品を、当該再実装電子部品の部品側端子群における部品側端子の前記基板側端子群における基板側端子への接合で実装するのに用いられる電子部品のリペア装置において、前記プリント基板を保持する第1の保持手段、前記再実装電子部品を前記第1の保持手段で保持の前記プリント基板に対向させる状態にして保持する第2の保持手段、前記第1、第2の各保持手段に保持させた前記プリント基板や前記再実装電子部品の透視撮影を行う透視撮影手段、前記プリント基板における前記基板側端子群と前記再実装電子部品における部品側端子群それぞれの画像を前記透視撮影手段による撮影データから生成する端子群画像生成手段、および前記第1の保持手段に保持のプリント基板または前記第2の保持手段に保持の前記再実装電子部品の一方を他方に対して相対移動させることで前記再実装電子部品と前記プリント基板の前記対向状態での前記部品側端子群と前記基板側端子群に関する位置合せをなす際の制御を前記端子群画像生成手段で生成の基板側端子群画像と部品側端子群画像に基づいて行う位置合せ制御手段を備え、前記位置合せ制御手段による制御により位置合せをなした状態で前記第1の保持手段に保持のプリント基板または前記第2の保持手段に保持の前記再実装電子部品に前進動を行わせて前記接合をなすようにされていることを特徴としている。
【0014】
また本発明では上記課題を解決するために、複数の部品側端子が配列されてなる部品側端子群を有する電子部品がリペア対象として取り外されることで、当該リペア対象電子部品の前記部品側端子群における端子配列に対応する配列の基板側端子による基板側端子群が残されたプリント基板に、前記リペア対象電子部品と同種の新たな電子部品である再実装電子部品を、当該再実装電子部品の部品側端子群における部品側端子の前記基板側端子群における基板側端子への接合で実装するのに用いられる電子部品のリペア装置において、前記プリント基板や前記再実装電子部品の透視画像を取得する透視撮影手段を備え、前記透視撮影手段による撮影データから前記部品側端子群と前記基板側端子群それぞれについて生成される部品側端子群画像と基板側端子群画像に基づいて前記部品側端子群と前記基板側端子群に関する位置合せを行い、前記位置合せをなした状態で前記接合をなすようにされていることを特徴としている。
【0015】
このように、透視撮影手段による撮影データから基板側端子群画像と部品側端子群画像を取得し、これらの端子群画像に基づいて部品側端子群と基板側端子群の位置合せを行うようにしたことにより、高精度な位置合せが可能となり、これによりはんだ付け不良や接続不良を生じることのない信頼性の高いリペアが可能となる。
【0016】
上記のような電子部品のリペア装置における透視撮影手段は、前記プリント基板や前記電子部品に向けてX線を照射するX線照射手段、および前記X線照射手段で照射されて前記プリント基板や前記電子部品を透過したX線を検出するX線検出手段を含む構成とすることができる。このように透視撮影をX線で行う構成とすることで、より鮮明な端子群画像とすることができ、部品側端子群と基板側端子群の位置合せをより高精度なものとすることができる。
【0017】
上記のような電子部品のリペア装置については、前記接合実装時における前記再実装電子部品の前記プリント基板への接合状態の画像を前記撮影手段による撮影データから生成する接合状態画像生成手段、および前記接合状態画像生成手段で生成した接合状態画像に基づいて前記再実装電子部品の前記プリント基板への接合状態を調整する接合状態調整手段をさらに備える構成とすることができる。このようにすることで、透視撮影手段の機能をより有効に活用することができ、リペアの信頼性をより高めることができる。
【0018】
上記のような電子部品のリペア装置については、前記接合状態画像に基づいて前記再実装電子部品の前記プリント基板への接合実装の完了を判定する実装完了判定手段をさらに備える構成とすることができる。このようにすることで、透視撮影手段の機能をさらに一層有効に活用することができ、リペアの信頼性をさらに一層高めることができる。
【発明の効果】
【0019】
上記のような本発明によれば、BGAのような端子が隠された状態になる電子部品のリペアについて、その再実装時における電子部品側端子とプリント基板側端子の位置合せを高い精度で行え、これによりはんだ付け不良や接続不良を生じることのない信頼性の高いリペアが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に第1の実施形態による電子部品のリペア装置の構成を模式化して示す。本実施形態の電子部品のリペア装置1は、リペア作業部2、制御部3および表示部4を備えている。
【0021】
リペア作業部2は、X線遮断性の高い材料で函状に形成されたカバー体11の内部に、XYテーブル12、電子部品保持具13、X線撮影手段14、電子部品加熱ノズル15、および予備加熱ヒータ16を設けた構成とされている。
【0022】
XYテーブル12は、プリント基板17を保持する第1の保持手段であり、水平状態を基本状態とするテーブル部18を有している。テーブル部18は、図2に模式化して示すように、X、Y、Zの各方向について、進退動と回転動を行えるようにされ、これらの動作によりプリント基板17を3次元的に自由に動かすことができるようにされている。またテーブル部18は、その下面に反り防止部材19が取り付けられることで反りの発生を抑制できるようにされている。つまり、後述のような局部的加熱でプリント基板17に生じようとする反りを反り防止部材19により抑制できるようにされている。
【0023】
電子部品保持具13は、電子部品21を保持する第2の保持手段であり、駆動機構22により図2に示すような進退動(図の状態での昇降動)と回転動を行えるようにされている。この電子部品保持具13は、後述のようにして電子部品21をプリント基板17に実装(再実装)する際に、XYテーブル12で保持のプリント基板17に対向させる状態にして電子部品21を保持し、その保持状態で必要時に電子部品21をプリント基板17に対して前進(下降)させて押接させるのに機能し、また後述のようにしてプリント基板17から電子部品21を取り外す際に、電子部品21を保持して後退(上昇)することでプリント基板17から引き離すのにも機能する。
【0024】
ここで、電子部品21は、例えばBGAであり、ボール状のはんだで形成された部品側端子23がパッケージ外面に図3の(a)の例のような格子状配列などで多数設けられ、これらの多数の部品側端子23が部品側端子群24を形成している。またプリント基板17には、部品側端子群24に対応する基板側端子群25(図3の(b))が形成されている。基板側端子群25は、はんだによる基板側端子26を部品側端子23の配列に対応させて配列することで形成されている。なお図1や図3では、電子部品21の実装に先立って各基板側端子26にはんだペースト27を施した場合として示してある。
【0025】
X線撮影手段14は、透視撮影手段であり、X線照射手段であるX線照射器28とX線検出手段であるX線カメラ29を含む。そしてX線照射器28がプリント基板17や電子部品21に向けてX線30を照射し、これによりプリント基板17や電子部品21を透過したX線30をX線カメラ29が受光して撮影データを出力する。
【0026】
電子部品加熱ノズル15は、電子部品加熱手段であり、電子部品21のプリント基板17への実装時やプリント基板17からの電子部品21の取外し時に、図示を省略の熱風発生源から供給される熱風を電子部品21に吹き付けて全体的に加熱することで部品側端子23や基板側端子26のはんだを溶融させる。
【0027】
予備加熱ヒータ16は、予備加熱手段であり、電子部品21のプリント基板17への実装時やプリント基板17からの電子部品21の取外し時に、プリント基板17を予備的に加熱する。この予備的加熱は、電子部品加熱ノズル15による電子部品21の加熱に伴うプリント基板17の局部的な加熱でプリント基板17に反りが発生するのを抑制するためにプリント基板17を全体的に加熱する処理であり、基板側端子26が溶融することのない範囲の加熱とされる。
【0028】
制御部3は、端子群画像生成手段31、位置合せ制御手段32、接合状態画像生成手段33、接合状態調整手段34、実装完了判定手段35、XYテーブル制御手段36、電子部品保持具制御手段37、加熱制御手段38、およびX線照射制御手段39を備えており、リペア作業部2におけるリペア作業を制御する。
【0029】
端子群画像生成手段31は、X線カメラ29が出力する撮影データから端子群画像を生成する。端子群画像生成手段31が生成する端子群画像には、部品側端子群24の画像である部品側端子群画像41a(図4の(a))と基板側端子群25の画像である基板側端子群画像41b(図4の(b))がある。これら端子群画像41a、41bは、撮影データに所定の処理を施して端子像42(部品側端子像42a、基板側端子像42b)を撮影データから抽出することで生成される。その端子群画像生成処理の一例について図5に処理の流れを示す。この例の処理は、撮影データの取得処理(ステップ101)、2値化処理(ステップ102)、膨張・収縮処理(ステップ103)、ラベリング処理(ステップ104)、テンプレートマッチング処理(ステップ105)および端子像の抽出処理(ステップ106)の各処理を含む。これらの処理は、画像処理分野で周知であるので、その詳細については説明を省略する。
【0030】
位置合せ制御手段32は、電子部品保持具13が保持している電子部品21の部品側端子群24に対しプリント基板17の基板側端子群25をXYテーブル12の動作で位置合せする際の制御を行う。その位置合せ制御では、位置合せ制御データを生成し、これをXYテーブル制御手段36に送る。具体的には、図6に示すように、まず部品側端子群画像41aにおける各部品側端子像42aと基板側端子群画像41bにおける各基板側端子像42bの個々について重心43a、重心43bを求める。それから図7に示すように、重心43aと重心43bを重ならせる状態に位置合せするのに必要なプリント基板17の移動ベクトル(移動方向と移動量)を求める。この処理は、全ての端子像42(部品側端子像42a、基板側端子像42b)について行うか、または適切な基準で選んだいくつかについて行う。このような処理により位置合せ制御データが生成されるので、その位置合せ制御データを位置合せ制御指令としてXYテーブル制御手段36に送る。するとXYテーブル制御手段36は、位置合せ制御指令に基づいた周知のサーボ制御方向などによりXYテーブル12を動作させ、これにより部品側端子群24に対する基板側端子群25の高精度な位置合せがなされる。
【0031】
ここで、本実施形態では位置合せ制御データを生成するについて、部品側端子像42aや基板側端子像42bの個々について求める重心を位置合せ指標とするようにしているが、このような端子別重心手法によることは必ずしも必要でない。例えば部品側端子群24と基板側端子群25それぞれの重心を位置合せ指標とする手法、あるいは部品側端子群24と基板側端子群25それぞれについて求める輪郭を位置合せ指標とする手法などであってもよい。ただ、端子別重心手法は、部品側端子23や基板側端子26の検査も可能とする。すなわち端子別重心手法にあって端子像42の全てについて個々に重心位置合せを行うことにより、その個々の重心位置合せについて例えば平均移動ベクトルを求めることができる。そして平均移動ベクトルが求まれば、この平均移動ベクトルと個々の移動ベクトルの偏差を求めてそれを所定の閾値と比較することで、部品側端子23や基板側端子26の位置不良やサイズ不良などのような実装不良に結びつく不良の検出が可能となる。こうした検査を実装に先立って行うことにより、無駄なリペア実装を事前に避けることができ、この点において端子別重心手法は有効性が高いものとなる。
【0032】
接合状態画像生成手段33は、リペア実装のための接合処理開始後の接合状態、具体的にははんだ付け状態についての画像である接合状態画像をX線カメラ29の撮影データから生成する。その接合状態画像は、図8に示す例について説明すると、部品側端子23と基板側端子26の溶融接合で形成されつつある接合過程端子44による接合過程端子群45の画像であり、X線カメラ29の撮影データから上述の端子群画像の場合と同様な処理で生成される。
【0033】
接合状態調整手段34は、接合状態画像生成手段33から提供される接合状態画像に基づいて接合状態を判定し、その結果に応じて接合状態調整制御データを生成する。生成された接合状態調整制御データは、接合状態調整制御指令としてXYテーブル制御手段36や電子部品保持具制御手段37に送られる。そしてXYテーブル制御手段36や電子部品保持具制御手段37は、接合状態調整制御指令に基づいた周知のサーボ制御などによりXYテーブル12や電子部品保持具13の駆動機構22を動作させ、これにより電子部品21とプリント基板17の間の位置関係や対向角度関係が調整されることで、はんだ付け不良やはんだブリッジなどの発生を効果的に防止することができる。
【0034】
図8〜図11に接合状態画像の例を部分的に拡大して誇張した状態にして示す。図8は、はんだブリッジが発生する可能性の高くなっている状態での接合状態画像である。接合状態調整手段34は、接合状態画像について、接合過程端子44同士の間隔wと接合過程端子44のサイズsについて常にデータを接合過程端子44ごとに取得するとともに、その取得した間隔データやサイズデータを所定のブリッジ間隔閾値やブリッジサイズ閾値と比較している。そして間隔wがブリッジ間隔閾値以下になったり、サイズsがブリッジサイズ閾値以上になったりした場合、接合状態調整手段34は、はんだブリッジ発生状態と判定するとともに、この状態ではんだブリッジの発生を避けるのに必要なXYテーブル12や電子部品保持具13の駆動機構22の動作についての接合状態調整制御データを生成し、それを接合状態調整制御指令としてXYテーブル制御手段36や電子部品保持具制御手段37に送る。
【0035】
図9は、部品側端子23と基板側端子26のはんだが十分に接合しない状態であるはんだ未接合が発生する可能性の高くなっている状態での接合状態画像である。この場合も上述のブリッジ発生状態の場合と同様の処理を接合状態調整手段34が行い、間隔wが未接合間隔閾値以上になったり、サイズsが未接合サイズ閾値以下であったりした場合、接合状態調整手段34は、はんだ未接合発生状態と判定するとともに、この状態でははんだ未接合の発生を避けるのに必要なXYテーブル12や電子部品保持具13の駆動機構22の動作についての接合状態調整制御データを生成し、それを接合状態調整制御指令としてXYテーブル制御手段36や電子部品保持具制御手段37に送る。
【0036】
図10は、電子部品21に図10の(b)のような傾きがあることではんだブリッジが発生する可能性の高くなっている状態での接合状態画像である。この場合も図8のブリッジ発生状態の場合と同様の処理を接合状態調整手段34が行い、間隔wがブリッジ間隔閾値以下になったり、サイズsがブリッジサイズ閾値以上になったりした場合、接合状態調整手段34は、はんだブリッジ発生状態と判定するとともに、この状態ではんだブリッジの発生を避けるのに必要なXYテーブル12や電子部品保持具13の駆動機構22の動作についての接合状態調整制御データを生成し、それを接合状態調整制御指令としてXYテーブル制御手段36や電子部品保持具制御手段37に送る。
【0037】
図11は、電子部品21に図11の(b)のような傾きがあることではんだ未接合が発生する可能性の高くなっている状態での接合状態画像である。この場合も図8のブリッジ発生状態の場合と同様の処理を接合状態調整手段34が行い、間隔wが未接合間隔閾値以上になったり、サイズsが未接合サイズ閾値以下であったりした場合、接合状態調整手段34は、はんだ未接合発生状態と判定するとともに、この状態でははんだ未接合の発生を避けるのに必要なXYテーブル12や電子部品保持具13の駆動機構22の動作についての接合状態調整制御データを生成し、それを接合状態調整制御指令としてXYテーブル制御手段36や電子部品保持具制御手段37に送る。
【0038】
実装完了判定手段35は、接合状態画像生成手段33から提供される接合状態画像に基づいて電子部品21のプリント基板17への接合実装の完了を判定する。図12の(a)に示す端子群画像における例えば部品側端子23の状態から実装が開始されて部品側端子23と基板側端子26の溶融接合が進むと、図12の(b)に示すような接合状態画像となってくる。実装完了判定手段35は、この接合状態画像について、接合状態調整手段34と同様に間隔wとサイズsを常時検出しており、図12の(b)におけるように、接合過程端子44のサイズsが全ての接合過程端子44について例えば実装完了閾値以上となり、しかも上記のようなはんだブリッジ状態やはんだ未接合状態などが現れていないことを条件に実装完了と判定する。
【0039】
XYテーブル制御手段36は、上述のような位置合せ制御手段32からの位置合せ制御指令や接合状態調整手段34からの接合状態調整制御指令を受けてXYテーブル12の動作を制御する。またXYテーブル制御手段36は、マニュアルによる入力を受けてXYテーブル12の動作を制御することもできるようにされている。
【0040】
電子部品保持具制御手段37は、上述のような接合状態調整手段34からの接合状態調整制御指令を受けて駆動機構22による電子部品保持具13の動作を制御する。また電子部品保持具制御手段37は、マニュアルによる入力を受けて電子部品保持具13の動作を制御することもできるようにされている。
【0041】
加熱制御手段38は、予め設定されている加熱スケジュールなどに基づいて電子部品加熱ノズル15や予備加熱ヒータ16を制御し、それにより電子部品21のプリント基板17からの取外しや電子部品21のプリント基板17への実装に最適な加熱状態を実現する。
【0042】
X線照射制御手段39は、リペア作業の進行に応じて必要となる電子部品21やプリント基板17の撮影のタイミングに合せてX線30を照射させるようにX線照射器28を制御する。
【0043】
表示部4は、端子群画像や接合状態画像などの表示に用いられる。そしてこの表示部4に表示される端子群画像や接合状態画像などを参照することで作業員によるマニュアル操作を行うことも可能となる。
【0044】
以下では上述のようなリペア装置1でなされるリペア作業について説明する。まずプリント基板からリペア対象の電子部品を取り外す作業について説明する。図1の状態は、プリント基板17から取り外した電子部品21を電子部品保持具13が保持している状態とする。この状態に至る前に、まずプリント基板17に電子部品21が実装されている状態で予備加熱ヒータ16によるプリント基板17の予備加熱がなされる。それからプリント基板17に実装状態の電子部品21を電子部品加熱ノズル15で加熱することにより、互いに接合しているプリント基板17の基板側端子26と電子部品21の部品側端子23のはんだを溶融させる。この際にプリント基板17は、局部的な加熱を受けて反りを生じようとするが、その反りは反り防止部材19により抑制される。はんだの溶融が十分に進んだら、電子部品保持具13を下降させて電子部品21を保持し、それから電子部品保持具13を上昇させて電子部品21をプリント基板17から引き離す。この引離しを終えたら、プリント基板17に残されている基板側端子群のはんだを除去するなど、必要な後処理を行い、取外し完了となる。
【0045】
次に、電子部品の再実装作業について説明する。図1の状態は、上述のようにしてリペア対象の電子部品の取外しを行った後に再実装用の電子部品21を電子部品保持具13が保持させた状態であるとする。この状態、つまり電子部品保持具13で保持の電子部品21とXYテーブル12で保持のプリント基板17が対向する状態で、X線照射器28にX線30を照射させて端子群画像を取得する。その処理は上述のようにしてなされ、図4の例のような部品側端子群画像41aと基板側端子群画像41bが取得される。
【0046】
端子群画像が得られたら、それに基づいて部品側端子23と基板側端子26の位置合せを行う。その端子位置合せは、上述のように、位置合せ制御手段32が端子群画像に基づいて位置合せ制御指令データを生成してこれを位置合せ制御指令としてXYテーブル制御手段36に送り、これを受けてXYテーブル制御手段36がXYテーブル12を動作させることによりなされる。
【0047】
ここで、位置合せ制御指令データの生成過程で得られるデータ(移動ベクトルデータ)は、上述のように、部品側端子23や基板側端子26の検査にも使うことができる。そこで、上記の端子位置合せに先立って、電子部品21やプリント基板17について部品側端子23や基板側端子26の不良を検査するようにしてもよい。そうした検査を行う場合には、部品側端子23に不良があれば、電子部品21を交換することになり、また基板側端子26に不良があれば、当該プリント基板17についてのリペア作業を終了する。
【0048】
端子位置合せを終えたら電子部品21の実装を行うことになるが、それに先立って位置合せ精度の確認を行うようにしてもよい。位置合せ精度の確認は、端子位置合せを終えた状態で端子群画像を取得し、その端子群画像に基づいて行うことができる。
【0049】
電子部品21の実装処理では、プリント基板17を予備加熱した後に電子部品21を電子部品加熱ノズル15で加熱し、それから電子部品21を電子部品保持具13で下降させてプリント基板17に押接させる。その加熱処理は、上述のように、電子部品加熱ノズル15から熱風を吹き付けることで電子部品21を全体的に加熱するようにしてなし、部品側端子群24における各部品側端子23のはんだが均一的に溶融するような所定のはんだ溶融状態とする。
【0050】
こうした加熱処理は、例えば電子部品加熱ノズル15による加熱時間を設定することで所定のはんだ溶融状態を得るようにして進めることもできるが、好ましくは、はんだ溶融状態画像を取得し、それに基づいてはんだ溶融状態を判定しながら進めるようにする。この場合のはんだ溶融状態画像の取得やそれに基づくはんだ溶融状態の判定は、上述の接合状態画像の取得やそれに基づく接合状態の判定に準じた処理として行うことができる。
【0051】
上述のようにして電子部品21がプリント基板17に押接させられて部品側端子23と基板側端子26の接合が進み始めたら、上述のような接合状態の調整を行う。そして最後に上述のような実装完了判定を行い、完了と判定されたら当該電子部品21についてのリペア作業は終了となる。
【0052】
以上のように、X線撮影手段14による撮影データから部品側端子群画像41aと基板側端子群画像41bを取得し、これらの端子群画像に基づいて部品側端子群24と基板側端子群25の位置合せを行うようにしたことにより、高精度な位置合せが可能となり、これによりはんだ付け不良や接続不良を生じることのない信頼性の高いリペアが可能となる。
【0053】
図13に、第2の実施形態によるリペア装置のリペア作業部の構成を示す。本実施形態におけるリペア作業部50は、基本的には第1の実施形態のリペア装置1におけるリペア作業部2と同じである。相違しているのは、X線撮影手段14を電子部品保持具13で保持の電子部品21やXYテーブル12で保持のプリント基板17に対して回転させることができるようにしていることである。このようにすることにより、電子部品21やプリント基板17を多様な角度で撮影することができ、接合状態の判定などをより高い精度で行えるようになる。この他の構成については、第1の実施形態におけるリペア作業部2と同じなので、図1と共通の符号を付し、それらについては上での説明を援用する。
【0054】
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、これらは代表的な例に過ぎず、本発明は、その趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。例えば上記の実施形態では、端子群画像生成手段31を独立に設けていたが、これに代えて端子群画像生成機能を位置合せ制御手段32に組み込むようにしてもよい。このことは、接合状態画像生成手段33と接合状態調整手段34についてもいえる。また例えば上記の実施形態では、実装完了判定手段35を独立に設けていたが、これに代えて接合状態調整手段34に実装完了判定機能を含めるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1の実施形態による電子部品のリペア装置の構成を模式化して示す図である。
【図2】XYテーブルと電子部品保持具の動作内容を示す図である。
【図3】部品側端子群と基板側端子群の例を示す図である。
【図4】部品側端子群画像と基板側端子群画像の例を示す図である。
【図5】端子群画像生成処理の一例について処理の流れを示す図である。
【図6】部品側端子像や基板側端子像について重心を求める処理をイメージ化して示す図である。
【図7】部品側端子像と基板側端子像の重心の位置合せ処理をイメージ化して示す図である。
【図8】はんだブリッジが発生する可能性の高くなっている状態での接合状態画像の例を示す図である。
【図9】はんだ未接合が発生する可能性の高くなっている状態での接合状態画像の例を示す図である。
【図10】電子部品に傾きがあることではんだブリッジが発生する可能性の高くなっている状態での接合状態画像の例を示す図である。
【図11】電子部品に傾きがあることではんだ未接合が発生する可能性の高くなっている状態での接合状態画像の他の例を示す図である。
【図12】実装完了判定について説明する図である。
【図13】第2の実施形態による電子部品のリペア装置におけるリペア作業部の構成を模式化して示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1 リペア装置
12 XYテーブル(第1の保持手段)
13 電子部品保持具(第2の保持手段)
14 X線撮影手段(透視撮影手段)
17 プリント基板
21 電子部品
23 部品側端子
24 部品側端子群
25 基板側端子群
26 基板側端子
28 X線照射器(X線照射手段)
29 X線カメラ(X線検出手段)
30 X線
31 端子群画像生成手段
32 位置合せ制御手段
33 接合状態画像生成手段
34 接合状態調整手段
35 実装完了判定手段
41a 部品側端子群画像
41b 基板側端子群画像

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の部品側端子が配列されてなる部品側端子群を有する電子部品がリペア対象として取り外されることで、当該リペア対象電子部品の前記部品側端子群における端子配列に対応する配列の基板側端子による基板側端子群が残されたプリント基板に、前記リペア対象電子部品と同種の新たな電子部品である再実装電子部品を、当該再実装電子部品の部品側端子群における部品側端子の前記基板側端子群における基板側端子への接合で実装するのに用いられる電子部品のリペア装置において、
前記プリント基板を保持する第1の保持手段、
前記再実装電子部品を前記第1の保持手段で保持の前記プリント基板に対向させる状態にして保持する第2の保持手段、
前記第1、第2の各保持手段に保持させた前記プリント基板や前記再実装電子部品の透視撮影を行う透視撮影手段、
前記プリント基板における前記基板側端子群と前記再実装電子部品における部品側端子群それぞれの画像を前記透視撮影手段による撮影データから生成する端子群画像生成手段、および
前記第1の保持手段に保持のプリント基板または前記第2の保持手段に保持の前記再実装電子部品の一方を他方に対して相対移動させることで前記再実装電子部品と前記プリント基板の前記対向状態での前記部品側端子群と前記基板側端子群に関する位置合せをなす際の制御を前記端子群画像生成手段で生成の基板側端子群画像と部品側端子群画像に基づいて行う位置合せ制御手段を備え、
前記位置合せ制御手段による制御により位置合せをなした状態で前記第1の保持手段に保持のプリント基板または前記第2の保持手段に保持の前記再実装電子部品に前進動を行わせて前記接合をなすようにされていることを特徴とする電子部品のリペア装置。
【請求項2】
前記透視撮影手段は、前記プリント基板や前記電子部品に向けてX線を照射するX線照射手段、および前記X線照射手段で照射されて前記プリント基板や前記電子部品を透過したX線を検出するX線検出手段を含んでなることを特徴とする請求項1に記載の電子部品のリペア装置。
【請求項3】
前記接合実装時における前記再実装電子部品の前記プリント基板への接合状態の画像を前記撮影手段による撮影データから生成する接合状態画像生成手段、および前記接合状態画像生成手段で生成した接合状態画像に基づいて前記再実装電子部品の前記プリント基板への接合状態を調整する接合状態調整手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品のリペア装置。
【請求項4】
前記接合状態画像に基づいて前記再実装電子部品の前記プリント基板への接合実装の完了を判定する実装完了判定手段をさらに備えていることを特徴とする請求項3に記載の電子部品のリペア装置。
【請求項5】
複数の部品側端子が配列されてなる部品側端子群を有する電子部品がリペア対象として取り外されることで、当該リペア対象電子部品の前記部品側端子群における端子配列に対応する配列の基板側端子による基板側端子群が残されたプリント基板に、前記リペア対象電子部品と同種の新たな電子部品である再実装電子部品を、当該再実装電子部品の部品側端子群における部品側端子の前記基板側端子群における基板側端子への接合で実装するのに用いられる電子部品のリペア装置において、
前記プリント基板や前記再実装電子部品の透視画像を取得する透視撮影手段を備え、前記透視撮影手段による撮影データから前記部品側端子群と前記基板側端子群それぞれについて生成される部品側端子群画像と基板側端子群画像に基づいて前記部品側端子群と前記基板側端子群に関する位置合せを行い、前記位置合せをなした状態で前記接合をなすようにされていることを特徴とする電子部品のリペア装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−182049(P2008−182049A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14366(P2007−14366)
【出願日】平成19年1月24日(2007.1.24)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】