説明

電子部品の実装装置及び実装方法

【課題】複数の半導体チップを実装精度の低下を招くことなく積層して実装することができる実装装置を提供する。
【解決手段】基板3に複数の半導体チップTを積層して実装する実装装置であって、2つ目以降の半導体チップを実装ツール5によってすでに実装ステージ1に供給された半導体チップに積層して実装するため、上下撮像カメラ14によって実装ツールに保持された2つ目以降の半導体チップと実装ステージにすでに供給された半導体チップを撮像する際、制御装置は、実装ツールと上下撮像カメラの高さを変えずに、実装ステージの高さを前の回に上記実装ステージに供給された半導体チップの厚さ分だけ下方に駆動して位置決めする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は複数の電子部品を積層して実装する電子部品の実装装置及び実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品としての半導体チップには集積回路が形成されている。そして、最近では電子回路の複雑化に伴い、複数の半導体チップを基板上に積層して基板の小型化や高密度化を図るようにしたり、基板を用いることなく積層して高密度化を図るなどのことが行われている。
【0003】
たとえば、実装ステージに設けられた基板に対して複数の半導体チップを積層して実装する場合、まず、ピックアップツールによって半導体チップを供給部から取り出し、その半導体チップを所定の高さで待機する実装ツールに受け渡す。
【0004】
実装ツールに受け渡された半導体チップはチップ認識カメラによって撮像されて位置認識され、上記実装ステージに設けられた基板は基板認識カメラによって撮像されて上記半導体チップが実装される位置が認識される。
【0005】
基板と、実装ツールに保持された半導体チップとの位置認識が終了すると、その位置認識に基づいて上記実装ツールが上記実装ステージの上方に位置決めされる。上記実装ツールは、通常、上記ピックアップツールから半導体チップを受け取ったときの高さの状態で水平方向に移動する。
【0006】
上記実装ツールが上記実装ステージの上方に位置決めされる際、上記実装ツールは上記チップ認識カメラと上記基板認識カメラの撮像によって求められた半導体チップと基板の座標位置に基づいて実装位置が補正され、補正された実装位置によって上記基板の上方に位置決めされる。
【0007】
上記実装ツールが実装ステージの上方に実装位置に位置決めされると、この実装ツールが下降方向に駆動され、その下端面に保持された半導体チップが上記基板の所定の位置に実装される。
【0008】
基板に実装された半導体チップにさらに半導体チップを積層して実装する場合、ピックアップツールから実装ツールに受け渡された半導体チップがチップ認識カメラによって位置認識され、基板に実装された半導体チップが基板認識カメラによって認識される。そして、これらの認識に基づいて基板に実装された半導体チップに対し、つぎの半導体チップが位置決めされて積層実装される。
このような先行技術は特許文献1に開示されている。
【0009】
ピックアップツールによって実装ツールに受け渡された半導体チップをチップ認識カメラによって撮像して位置認識し、実装ステージに載置された基板を基板認識カメラ基板認識カメラによって撮像して位置認識し、それらの位置認識に基づいて実装ツールを実装ステージの上方に実装位置に位置決めする構造であると、チップ認識カメラと基板認識カメラとを別々の場所に設置しなければならない。
【0010】
そのため、これらの認識カメラを別々に設置するための設置スペースを確保しなければならないから、装置の大型化を招くなどのことがあり、好ましくない。
【0011】
しかも、実装ツールに保持された半導体チップをチップ認識カメラで位置認識してから、実装ツールを実装ステージの上方の実装位置に位置決めするまでの、上記実装ツールの移動距離が長くなるから、上記実装ツールがチップ認識カメラの撮像に基づいて精密に位置決めされず、半導体チップの実装精度が低下するということがある。
【0012】
そこで、最近では上述した問題を解決するため、実装ツールがピックアップツールから半導体チップを受け取ったならば、実装ツールを実装ステージの上方の予めティーチングされた実装位置の上方へ移動させた後、実装ステージと実装ツールとの間に上下撮像カメラを進入させる。
【0013】
そして、この上下撮像カメラの下側カメラによって基板と、上側カメラによって実装ツールに保持された半導体チップを同時に撮像し、その撮像信号に基づいて上記実装ツールの予めティーチングされた実装位置を補正した後、この実装ツールを下降させて半導体チップを基板に実装するということが行われている。
【0014】
ところで、最初に基板に実装された半導体チップに対して複数の半導体チップを順次積層して実装する場合、上記上下撮像カメラの下側カメラは積層された最上段の半導体チップを撮像することになる。そのため、上記下側カメラによって撮像する半導体チップの高さは半導体チップが積層されるごとに高くなる。
【0015】
上記上下撮像カメラによって撮像される半導体チップの高さが、半導体チップが積層される半導体チップの数に応じて順次高くなると、最上段の半導体チップの上面の高さが上記下側カメラの焦点位置よりも上方になるから、上記下側カメラによって最上段の半導体チップを精密に撮像することができなくなる。
【0016】
そこで、従来は基板側の半導体チップに順次半導体チップを積層して実装するとき、最初の基板の高さに比べて順次高さが高くなる最上段の半導体チップを上下撮像カメラによって精密に撮像できるようにするため、半導体チップが積層されるごとに、最上段の半導体チップの高さが上昇した分だけ、つまり半導体チップの厚さ分だけ上下撮像カメラを上昇させるようにしている。
【0017】
さらに、上下撮像カメラを上昇させると、その上昇分だけ上側カメラの焦点位置が上方へ変位するから、それに応じて上側カメラによって撮像される半導体チップを保持した実装ツールを、半導体チップの厚さ分だけ上昇させる。それによって、基板に積層された最上段の半導体チップと、実装ツールに保持された半導体チップを上記上下撮像カメラによって精密に撮像できるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2005−26278号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
ところで、基板に半導体チップを積層する場合、その積層枚数は多いときには数十枚になることがある。そして、1枚の半導体チップを積層するごとにその半導体チップの厚さ分ずつ上下撮像カメラと実装ツールの両方の高さを上昇させるようにすると、そのための制御が複雑化するということがあるばかりか、上下撮像カメラを上昇させると、その光軸にずれが生じることがあるから、その場合には実装精度が低下するということがある。
【0020】
この発明は、電子部品を積層して実装する場合、上下撮像カメラを上昇させずに上下両方向を精密に撮像できるようにすることで、実装精度の低下や制御の複雑化などを招くことがないようにした電子部品の実装装置及び実装方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明は、複数の電子部品を積層して実装する実装装置であって、
実装ステージと、
下端面に上記電子部品を保持して上記実装ステージの上方に位置決めされる実装ツールと、
この実装ツールに保持された電子部品及び上記実装ステージの上記実装ツールに保持された電子部品が実装される部位を撮像する撮像手段と、
この撮像手段の撮像信号に基づいて上記実装ツール或いは上記実装ステージを水平方向に駆動し上記実装ツールに保持された電子部品と上記実装ステージの上記電子部品が供給される部位を相対的に位置決めしてから、上記実装ツールを下方へ駆動して上記電子部品を上記実装ステージの上記電子部品が供給される部位に実装させる制御手段を具備し、
2つ目以降の電子部品を上記実装ツールによってすでに実装ステージに供給された電子部品に積層して実装するため、上記撮像手段によって上記実装ツールに保持された2つ目以降の電子部品と上記実装ステージにすでに供給された電子部品を撮像する際、
上記制御手段は、上記実装ツールと上記撮像手段の高さを変えずに、上記実装ステージの高さを前の回に上記実装ステージに供給された電子部品の厚さ分だけ下方に駆動して位置決めすることを特徴とする電子部品の実装装置にある。
【0022】
上記実装ステージを上下方向に駆動位置決めする第1の駆動手段と、
上記実装ツールを水平方向及び上下方向に駆動位置決めする第2の駆動手段と、
上記上下カメラを水平方向に駆動位置決めする第3の駆動手段を備え、
上記第1の駆動手段、第2の駆動手段及び第3の駆動手段は、上記制御手段によって駆動が制御されることが好ましい。
【0023】
上記撮像手段は上記実装ツールに保持された電子部品及び上記実装ステージの上記実装ツールに保持された電子部品が実装される部位を同時に撮像する上下撮像カメラであることが好ましい。
【0024】
この発明は、複数の電子部品を積層して実装する実装方法であって、
下端面に上記電子部品を保持した実装ツールを実装ステージの上方に位置決めする工程と、
上記実装ツールに保持された電子部品と上記実装ステージの上記電子部品が実装される部位とを撮像手段によって撮像する工程と、
上記撮像手段の撮像信号に基づいて上記実装ツール或いは上記実装ステージを水平方向に駆動し上記実装ツールに保持された電子部品と上記実装ステージの上記電子部品が供給される部位を相対的に位置決めしてから、上記実装ツールを下方へ駆動して上記電子部品を上記実装ステージの上記電子部品が供給される部位に実装する工程と、
2つ目以降の電子部品を上記実装ツールによってすでに実装ステージに供給された電子部品に積層して実装するときに、上記実装ツールと上記撮像手段の高さを変えずに、上記実装ステージの高さを前の回に上記実装ステージに供給された電子部品の厚さ分だけ下方に駆動して位置決めして上記撮像手段によって上記実装ツールに保持された2つ目以降の電子部品と上記実装ステージにすでに供給された電子部品を撮像し、その撮像に基づいて上記電子部品をすでに実装ステージに供給された電子部品に積層して実装する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法にある。
【発明の効果】
【0025】
この発明によれば、電子部品を積層して実装する際、実装ステージを積層される電子部品の厚さ分だけ下方に駆動して位置決めするようにした。そのため、撮像手段の高さを変えずに、実装ステージ上の電子部品と実装ツールに保持された電子部品を精密に撮像できるから、撮像手段の光軸がずれて実装生徒が低下するのを防止することができるばかりか、実装ステージだけを制御すればよいから、制御の容易化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】この発明の一実施の形態の実装装置を示す概略的構成図。
【図2】実装装置の制御系統を示すブロック図。
【図3】実装ステージの上面に設けられた基板に複数の半導体チップを順次積層して実装するときの説明図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、この発明の一実施の形態を図面を参照しながら説明する。
図1はこの発明の実装装置の概略的構成を示し、この実装装置は実装ステージ1を備えている。この実装ステージ1は第1のX・Y・Z駆動手段2によってX、Y方向である水平方向及びZ方向である上下方向に駆動されるようになっている。上記実装ステージ1の上面には後述する電子部品としての半導体チップTが積層して実装される基板3が供給保持されている。
【0028】
上記実装ステージ1の上方には実装ツール5が配置されている。この実装ツール5は第2のX・Y・Z駆動手段6によって水平方向及び上下方向に駆動されるようになっている。
【0029】
上記実装ツール5の下端面にはピックアップツール7によって供給部8から取り出された半導体チップTが受け渡される。上記ピックアップツール7は、支軸9を支点として実線で示す取り出し位置から鎖線で示す受け渡し位置の間の180度の範囲で回転駆動源(図示せぬ)によって矢印Rで示す方向に回転駆動されるとともに、Z駆動源(図示せぬ)によって上下方向に駆動されるようになっている。
【0030】
上記供給部8には多数の半導体チップTに分割された半導体ウエハを保持したウエハホルダ11が供給される。そして、このウエハホルダ11に保持された多数の半導体チップTのうちの1つが図示せぬ突き上げピンによって突き上げられると、その半導体チップTを上記ピックアップツール7が実線で示す取り出し位置で受けてから、鎖線で示す受け渡し位置に回転する。
【0031】
上記ピックアップツール7が半導体チップTを供給部8のウエハホルダ11から取り出すと、上記実装ツール5は実線で示す実装ステージ1の上方の位置から鎖線で示すピックアップツール7の上方へ移動する。この移動を矢印Xで示す。
【0032】
ついで、上記ピックアップツール7が鎖線の状態から矢印Zで示す上方へ駆動され、ピックアップツール7に保持された半導体チップTが上記実装ツール5の下端面に受け渡される。ついで、上記ピックアップツール7が下降すると、半導体チップTを受けた実装ツール5は高さを変えずに矢印Xで示す水平方向に駆動され、実装ステージ1の上方の予めティーチングされた実装位置に位置決めされる。
【0033】
上記実装ステージ1と、この実装ステージ1の上方に位置決めされた実装ツール5との間にはX・Y駆動源13によって矢印Xで示す水平方向に駆動される撮像手段としての上下撮像カメラ14が設けられている。
【0034】
この上下撮像カメラ14は先端部の上下面には上側撮像窓15aと下側撮像窓15bが設けられ、各窓15a,15bによって観察される部位の像、つまり実装ツール5の下端面に保持された半導体チップTの像と、実装ステージ1に保持された基板3の半導体チップTが実装される部位の像がプリズム16を介して上側カメラ14aと下側カメラ14bに導かれる。
【0035】
各カメラ14a,14bは固体撮像素子(CCD)からなり、それらの撮像信号は図2に示す画像処理部17で二値化処理されてから、制御装置18に出力される。制御装置18では実装ツール5に保持された半導体チップTの位置と、基板3の半導体チップTが実装される部位との位置を算出して比較し、これらの位置のずれ量を求める。
【0036】
半導体チップTと基板3の半導体チップTが実装される部位との位置にずれがある場合、上記制御装置18はずれ量に基づいて実装ツール5の水平方向の位置を補正した後、この実装ツール5を矢印Zで示す下降方向に駆動する。それによって、上記実装ツール5の下端面に保持された半導体チップTが上記基板3に実装される。
【0037】
なお、図2に示すように上記第1のX・Y・Z駆動手段2、第2のX・Y・Z駆動手段6及びX・Y駆動手段13は上記制御装置によって駆動が制御されるようになっている。
【0038】
実装ステージ1に載置された基板3に最初に実装される半導体チップを第1の半導体チップT1とし、その状態を図3(a)に示す。このときの実装ステージ1の上面の基準位置からの高さをHで示す。
【0039】
図3(b)に示すように、上記基板3に最初に実装された第1の半導体チップT1に2番目の半導体チップである第2の半導体チップT2を積層して実装する場合、まず、実装ステージ1を第1のX・Y・Z駆動源2によって最初に実装された第1の半導体チップT1の厚さ分だけ下方に駆動する。第1の半導体チップT1の厚さtとすると、そのときの実装ステージ1の上面の基準位置からの高さは(H−t)となる。
【0040】
なお、半導体チップTの厚さtは予め知ることができるから、その厚さを制御装置18にティーチングしておくことで、上記実装ステージ1を所定の位置まで自動的に下降させることができる。
【0041】
実装ステージ1を下降させ、実装ツール5が第2の半導体チップT2をピックアップツール7から受け取って予めティーチングされた実装位置に位置決めされたならば、上下撮像カメラ14をX・Y駆動源13によってX方向に駆動し、実装ツール5と実装ステージ1との間に進入させる。
【0042】
ついで、上下撮像カメラ14の上側カメラ14aによって実装ツール5に保持された第2の半導体チップT2を撮像し、下側カメラ14bによって基板3に実装された第1の半導体チップT1を撮像する。
【0043】
上側カメラ14aと下側カメラ14bの撮像信号が画像処理部17で処理されて第1の半導体チップT1と第2の半導体チップT2のずれ量が算出されると、そのずれ量に基づいて実装ツール5の水平方向の位置が第2のX・Y・Z駆動手段2によって補正された後、上記実装ツール5が下降方向に駆動される。それによって、基板3の先に実装された第1の半導体チップT1の上に、実装ツール5に保持された第2の半導体チップT2が図3(b)に示すように積層されて実装される。
【0044】
同様にして、第2の半導体チップT2の上に第3の半導体チップT3、第4の半導体チップ、…第nの半導体チップTnが順次積層されて実装される。図3(c)は基板3に第1乃至第5の半導体チップT1〜T5が実装された状態を示し、第5の半導体チップT5上に第6の半導体チップT6(図示せず)を積層するときには、上記実装ステージ1の上面の基準位置からの高さが(H−5t)に設定される。
【0045】
それによって、実装ツール5に保持された第6の半導体チップT6と、基板に積層された最上段の第5の半導体チップT5を上下撮像カメラ14の上側カメラ14aと下側カメラ14bによって精密に撮像することができる。
【0046】
このように、基板3上に複数の半導体チップTを順次積層して実装する際、半導体チップTの厚さ分だけ実装ステージ1の高さを順次下降させて位置決めするようにした。
【0047】
そのため、上下撮像カメラ14と、実装ステージ1の上方の予めティーチングされた実装位置に位置決めされる実装ツール5の高さを変えることなく、上記上下撮像カメラ14の上側カメラ14aによって実装ツール5に保持された半導体チップTと、下側カメラ14bによって基板3或いは基板3に実装された半導体チップTを精密に撮像することができる。
【0048】
このように、基板3に複数の半導体チップTを順次積層して実装する際、上下撮像カメラ14の高さを変えずに、実装ツール5に保持された半導体チップTと、基板3或いは基板3に実装された半導体チップTを精密に撮像することができれば、上下撮像カメラ14の高さを変えて撮像する従来の場合のように、上下撮像カメラ14の光軸がずれることがないから、光軸のずれにより実装精度が低下するのを防止することができる。
【0049】
しかも、上下撮像カメラ14による撮像を行う際、実装ステージ1の高さだけを制御すればよいから、実装ツール5と上下撮像カメラ14の両方の高さを制御していた従来に比べて撮像時の制御が容易になるということがある。
【0050】
なお、上記一実施の形態では、実装ツールに保持された半導体チップと基板或いは基板に実装された半導体チップを上下撮像カメラの撮像に基づいて位置合わせするとき、実装ツールを水平方向に駆動するようにしたが、実装ツールに代わり、実装ステージを水平方向に駆動して位置決めするようにしてもよい。
【0051】
このとき、上下撮像カメラの下側カメラは、基板或いは基板にすでに実装された半導体チップ、つまり実装ステージの実装ツールに保持された半導体チップが実装される部位を撮像することになる。
【0052】
また、複数の半導体チップを基板上に積層する場合を例に挙げて説明したが、基板を用いずに実装ステージ上で半導体チップを順次積層する場合であっても、この発明を適用することができる。
【0053】
また、上記一実施の形態ではフリップチップ方式の実装装置に適用し、しかも実装ツールに保持された半導体チップと、この半導体チップが実装される部位である、実装ステージ上の基板とを上下撮像カメラによって同時に撮像する場合を例に挙げて説明したが、フリップチップ方式に代わってダイボンディング方式の実装装置に適用するようにしてもよい。
【0054】
その場合、実装ツールによって供給部のウエハホルダから半導体チップを直接ピックアップする。半導体チップをピックアップした実装ツールはピックアップ位置から実装ステージの上方の実装位置に位置決めされる。
【0055】
ピックアップ位置と実装位置との間には、上記実装ツールに保持された半導体チップを下方から撮像する第1の撮像カメラが配置されている。上記実装位置の上方には上記半導体チップが実装される部位である、上記実装ステージ上の基板を上方から撮像する第2の撮像カメラが配置されている。この第2の撮像カメラは実装ツールがピックアップ位置から実装位置の上方に戻る前に、実装位置の上方から退避できるよう水平方向、つまりX方向に駆動可能となっている。上記第1の撮像カメラと第2の撮像カメラとで撮像手段を構成している。
【0056】
それによって、上記第1の撮像カメラと第2の撮像カメラの撮像に基づいて上記半導体チップを上記基板に位置決めして実装することができる。
【0057】
このようなダイボンディング方式の実装装置においても、実装ステージを半導体チップの積層に応じて下降させることで、第1の撮像カメラと第2の撮像カメラを上下方向に駆動せずに複数の半導体チップを積層することができるから、第1の撮像カメラと第2の撮像カメラの光軸がずれて実装精度が低下するということを防止できる。
【0058】
また、積層される半導体チップの厚さが同一の場合について説明したが、半導体チップの厚さが異なる場合であっても差し支えない。
【符号の説明】
【0059】
1…実装ステージ、2…第1のX・Y・Z駆動手段、3…基板、5…実装ツール、6…第2のX・Y・Z駆動手段、7…ピックアップツール、13…X・Y駆動源、14…上下撮像カメラ、14a…上側カメラ、14b…下側カメラ、17…画像処理部、18…制御装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電子部品を積層して実装する実装装置であって、
実装ステージと、
下端面に上記電子部品を保持して上記実装ステージの上方に位置決めされる実装ツールと、
この実装ツールに保持された電子部品及び上記実装ステージの上記実装ツールに保持された電子部品が実装される部位を撮像する撮像手段と、
この撮像手段の撮像信号に基づいて上記実装ツール或いは上記実装ステージを水平方向に駆動し上記実装ツールに保持された電子部品と上記実装ステージの上記電子部品が供給される部位を相対的に位置決めしてから、上記実装ツールを下方へ駆動して上記電子部品を上記実装ステージの上記電子部品が供給される部位に実装させる制御手段を具備し、
2つ目以降の電子部品を上記実装ツールによってすでに実装ステージに供給された電子部品に積層して実装するため、上記撮像手段によって上記実装ツールに保持された2つ目以降の電子部品と上記実装ステージにすでに供給された電子部品を撮像する際、
上記制御手段は、上記実装ツールと上記撮像手段の高さを変えずに、上記実装ステージの高さを前の回に上記実装ステージに供給された電子部品の厚さ分だけ下方に駆動して位置決めすることを特徴とする電子部品の実装装置。
【請求項2】
上記実装ステージを上下方向に駆動位置決めする第1の駆動手段と、
上記実装ツールを水平方向及び上下方向に駆動位置決めする第2の駆動手段と、
上記上下カメラを水平方向に駆動位置決めする第3の駆動手段を備え、
上記第1の駆動手段、第2の駆動手段及び第3の駆動手段は、上記制御手段によって駆動が制御されることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項3】
上記撮像手段は上記実装ツールに保持された電子部品及び上記実装ステージの上記実装ツールに保持された電子部品が実装される部位を同時に撮像する上下撮像カメラであることを特徴とする請求項1記載の電子部品の実装装置。
【請求項4】
複数の電子部品を積層して実装する実装方法であって、
下端面に上記電子部品を保持した実装ツールを実装ステージの上方に位置決めする工程と、
上記実装ツールに保持された電子部品と上記実装ステージの上記電子部品が実装される部位とを撮像手段によって撮像する工程と、
上記撮像手段の撮像信号に基づいて上記実装ツール或いは上記実装ステージを水平方向に駆動し上記実装ツールに保持された電子部品と上記実装ステージの上記電子部品が供給される部位を相対的に位置決めしてから、上記実装ツールを下方へ駆動して上記電子部品を上記実装ステージの上記電子部品が供給される部位に実装する工程と、
2つ目以降の電子部品を上記実装ツールによってすでに実装ステージに供給された電子部品に積層して実装するときに、上記実装ツールと上記撮像手段の高さを変えずに、上記実装ステージの高さを前の回に上記実装ステージに供給された電子部品の厚さ分だけ下方に駆動して位置決めして上記撮像手段によって上記実装ツールに保持された2つ目以降の電子部品と上記実装ステージにすでに供給された電子部品を撮像し、その撮像に基づいて上記電子部品をすでに実装ステージに供給された電子部品に積層して実装する工程と
を具備したことを特徴とする電子部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−77173(P2011−77173A)
【公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−225136(P2009−225136)
【出願日】平成21年9月29日(2009.9.29)
【出願人】(000002428)芝浦メカトロニクス株式会社 (907)
【Fターム(参考)】