説明

電子部品システム・キャビネット用の冷却システム

【課題】電子部品システム・キャビネット用の冷却システムを提供する。
【解決手段】電子部品システム・キャビネットは、複数の電子部品システム用ベイ、および複数の電子部品システム用ベイの各々に装着された複数の電子部品システムを含む。電子部品システム・キャビネットは、複数の冷却剤リザーバを含む冷却システムをさらに含む。複数の冷却剤リザーバの各々は、複数の電子部品システム用ベイのうち少なくとも1つに関連している。冷却システムは、複数の冷却剤リザーバの各々に流体接続された少なくとも1つのポンプをさらに含む。少なくとも1つのポンプは選択的に作動し、複数の冷却剤リザーバの各々に冷却剤の供給を循環させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却システムの技術に関し、特に、電子部品システム・キャビネット用の冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気冷却システムは非効率的であり、サーバ・ラック内の情報技術(information technology:IT)機器の集積度を制限する。空気冷却は非効率的であるため、インフラストラクチャ・コストおよびエネルギー・コストが高くつく。冷却効率を上げるために、現在は液体冷却システムを使用しているITシステムが多い。一般的に液体冷却システムは、同様の定格の空気冷却システムと比較して、より小型である。さらに、空気と比較して液体は熱物性が優れているため、概して液体冷却システムは、同様の定格の空気冷却システムより必要な電力が少ない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
液体冷却システムは効率的である一方で、いくつか欠点がある。たとえば、ブレード・サーバなどの並列度および柔軟性の高いシステム内に液体冷却システムを高信頼に実装することは困難である。冷却剤として液体を用いる場合、各ブレード・サーバは対応するブレードの液体ループを含み、液体ループは関連するラックの液体ループと接続しなくてはならない。システムの柔軟性を維持するために、個々のブレード・サーバは稼働中に容易に交換できるものでなければならない。したがって、一般的に各ブレード・サーバは、関連する1つまたは複数のポンプ、およびブレードの液体ループをラックの液体ループに流体連結するクイック接続部材を含む。クイック接続は故障ポイントとなる可能性があり、ブレード・サーバ上の電子部品に流体が接触することになる恐れがある。さらに、余分に複数のポンプを用いることは、システムのコストを大幅に増大させる。電子部品に液体が接触することは、いかなる量であっても容認し得ない。クイック接続に欠陥があると、著しい漏液が生じる可能性がある。クイック接続を用いるとさらに、経時で液体が漸次的に喪失することを避けられないため、液体リザーバに液体を補充する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の例示的な実施形態によれば、電子部品システム・キャビネットは、複数の電子部品システム用ベイを備えた筐体、および複数の電子部品システム用ベイのうち1つの中に装着された電子部品システムを含む。この電子部品システムは、少なくとも1つの熱発生部品、および少なくとも1つの熱発生部品に作動可能に接続された冷却システムを含む。この冷却システムは、少なくとも1つの熱発生部品と熱を交換する関係に配置された第1の表面、および可撓性膜部分を含む第2の表面を有するスプレッダ・プレートを含む。このスプレッダ・プレートはさらに、流体を含む。システム・キャビネットはさらに、冷却剤を収容する少なくとも1つの冷却剤リザーバを備えたキャビネット冷却システムを含む。この少なくとも1つの冷却剤リザーバは、スプレッダ・プレートの可撓性膜部分に流体が接触しないように配置された可撓性膜を含む。冷却システムはさらに、少なくとも1つの冷却剤リザーバに流体接続された少なくとも1つのポンプを備えた集中型ポンプ・システムを含む。この少なくとも1つのポンプは選択的に作動し、少なくとも1つの冷却剤リザーバへと冷却剤流を循環させる。この冷却剤流は可撓性膜を膨張および収縮させて、スプレッダ・プレート内に流体を流動させ、少なくとも1つの熱発生部品によって発生した熱を吸収する。
【0005】
本発明の別の例示的な実施形態によれば、複数の電子部品システム用ベイを備えた筐体と、複数の電子部品システム用ベイの各々に装着された複数の電子部品システムとを含む電子部品システム・キャビネットを冷却することは、集中ポンプ・システムによって、冷却剤ループを通して少なくとも1つの冷却剤リザーバ内に冷却剤を送り込むことを含む。この少なくとも1つの冷却剤リザーバは、複数の電子部品システムの1つに流体が接触しないように、複数の電子部品システム用ベイの1つに配置される。冷却剤リザーバの可撓性膜は、膨張および収縮して電子部品システムのスプレッダ・プレートの可撓性膜部分に接触する。スプレッダ・プレート内の流体は循環し、熱発生部品から発生した熱は電子部品のスプレッダ・プレート内の流体中に抽出され、その熱は流体から除去される。
【0006】
本発明のさらに別の例示的な実施形態によれば、複数の電子部品システム用ベイを備えた電子部品システム・キャビネット用冷却システムは、冷却剤を収容する少なくとも1つの冷却剤リザーバを含む。この少なくとも1つの冷却剤リザーバは可撓性膜を含む。この冷却システムは、少なくとも1つの冷却剤リザーバに流体接続された少なくとも1つのポンプを含む集中型ポンプ・システムをさらに含む。この少なくとも1つのポンプは選択的に作動して少なくとも1つの冷却剤リザーバへと冷却剤流を循環させる。この冷却剤流は可撓性膜を膨張および収縮させる。
【0007】
他の特徴および利点は本発明の例示的な諸実施形態の技術を通して理解される。本発明の他の実施形態および態様は本明細書に詳細に記載され、特許を請求する本発明の一部であるとみなされる。利点および特徴とともに本発明をより十分に理解するために、記載および図面を参照されたい。
【0008】
本発明とみなされる主題は、本明細書に添付の特許請求の範囲の中で詳細に示され、明確に特許請求される。上述のおよび他の、本発明の目的、特徴、および利点は、添付の図面と併せてなされる以下の詳細な記載から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の例示的な実施形態によって構築された冷却システムを含む電子部品システム・キャビネットの側断面略図である。
【図2】本発明の別の例示的な実施形態によって構築された冷却システムを含む電子部品システム・キャビネットの側断面略図である。
【図3】本発明のさらに別の例示的な実施形態によって構築された冷却システムを含む電子部品システム・キャビネットの側断面略図である。
【図4】本発明のさらなる例示的な実施形態によって構築された冷却システムを含む電子部品システム・キャビネットの側断面略図である。
【図5】本発明のもう1つ別の例示的な実施形態によって構築された冷却システムを含む電子部品システム・キャビネットの側断面略図である。
【図6】本発明の例示的な諸実施形態によって構築された冷却システムを含む電子部品システム・キャビネットの側断面略図である。
【図7】本発明の例示的な実施形態による電子部品システム・キャビネットから電子部品が取り外された場合に使用される固定化システムの側断面略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
詳細な記載は、図面を参照して、例として、利点および特徴とともに本発明の例示的な実施形態を説明するものである。
【0011】
はじめに図1を参照すると、本発明の例示的な実施形態によって構築された電子部品システム・キャビネットの全体が2に示されている。キャビネット2は複数の電子部品システム用ベイ8〜13を備えた筐体4を含む。キャビネット2は、電子部品システム用ベイ8〜13のうち対応するベイ内に配置されたブレード・サーバの形態で示された複数の電子部品システム16〜21を含むことがさらに示されている。より詳細に以下に説明することにするが、キャビネット2は、ブレード・サーバ16〜21の各々の中に設けられた冷却システムに非流体接続された、キャビネットすなわちラック冷却システム38を含む。
【0012】
図示したように、各ブレード・サーバは対応する冷却システム55〜60を含む。冷却システム55〜56の各々は同様に構成されているため、冷却システム56が同様に構築されているという理解の上で、詳細な記載は冷却システム55を例として行うことにする。図示した例示的な実施形態では、冷却システム55は可撓性膜部分154を設けたスプレッダ・プレート153を含む。スプレッダ・プレート153は内部の流体リザーバ156および圧縮空気リザーバ158を含む。より詳細に以下に説明することにするが、冷却剤はスプレッダ・プレート153内に位置している。冷却剤は循環され、160および161に示されているような、電子部品によって発生した熱を取り除く。
【0013】
本発明の例示的な実施形態による冷却システム57〜60を記載するに当たり、図1の参照を続けることにする。しかし、冷却システム57〜60の各々は同様に構成されているため、他の冷却システム、すなわち冷却システム58〜60は同様に構築されているという理解の上で、詳細な説明は冷却システム57に関して行うことにする。図示したように、冷却システム57は第1の延長部すなわち可撓性膜部分164および第2の延長部すなわち可撓性膜部分166を設けたスプレッダ・プレート163を含む。より詳細に以下に説明することにするが、可撓性膜部分164および166はポンプの役割を果たし、スプレッダ・プレート163内に流体を循環させる。
【0014】
図示した例示的な実施形態によれば、ラック冷却システム38は集中型ポンプ・システム180に流体接続された複数の冷却剤リザーバ173〜175を含む。集中型ポンプ・システム180は、第1の導管183によって冷却剤リザーバ173〜175の各々に流体接続されたポンプ182を含む。第2の導管185は、圧力モジュレータ186および熱交換器187を経由してポンプ182に戻る、すなわち帰る。冷却剤リザーバ173〜175は、対応する電子部品システム16〜21の間に配置される。熱界面部材(thermal interface member:TIM)189はリザーバ173とスプレッダ・プレート153の間に界面を設ける。当然、他のTIM(個々に番号を付さず)は冷却剤リザーバ173〜175の各々と、冷却システム56〜60の対応する1つとの間に界面を設ける。いずれにしても、冷却剤リザーバ173および175の各々は同様に構成されているため、冷却剤リザーバ175が同様に構築されているという理解の上で、詳細な記載は冷却剤リザーバ173に関して行うことにする。
【0015】
図示したように、冷却剤リザーバ173は第1の可撓性膜200および第2の可撓性膜201を含む。このような配置で、ポンプ・システム180は冷却剤リザーバ173内に流体を循環させる。冷却剤は、可撓性膜200および201の各々を膨張および収縮させ、これらは、スプレッダ・プレート153上の可撓性膜部分154、および冷却システム56に関連した対向する可撓性膜部分(個々に番号を付さず)に作用する。冷却剤リザーバ173内に送り込まれた冷却剤は、スプレッダ・プレート153上の可撓性膜部分154に向かって可撓性膜200を膨張させる。可撓性膜部分154が膨張すると、スプレッダ・プレート153内に圧力を生じさせ、圧縮空気リザーバ158内の空気を圧縮する。冷却剤リザーバ173から圧力が除去されると、リザーバ158内の圧縮空気はスプレッダ・プレート153内の冷却剤に作用し、可撓性膜部分154を可撓性膜200に向かって押しつけて振動ポンプ運動を生じさせ、これは圧力モジュレータ186によって調整される。
【0016】
図示した例示的な実施形態では、冷却剤リザーバ174は、たとえばスプレッダ・プレート163と比較して短くなっている。しかし、上記と同様に、冷却剤リザーバ174は第1の可撓性膜205および第2の可撓性膜206を含む。冷却剤リザーバ174内に送り込まれた冷却剤はスプレッダ・プレート163上の可撓性膜部分164に向かって可撓性膜205を膨張させる。可撓性膜部分164が膨張すると、スプレッダ・プレート163内に圧力を生じさせ、可撓性膜部分166を膨張させる。圧力モジュレータ186によって冷却剤リザーバ174から圧力が除去されると、可撓性膜部分166は収縮し、スプレッダ・プレート163内の冷却剤が可撓性膜部分164を膨張させる。可撓性膜部分164が膨張すると可撓性膜205に作用し、ポンプ・システム180内に冷却剤を通過させ、その結果、振動ポンプ運動を生じさせ、これは圧力モジュレータ186によって調整される。このようにして、冷却剤は電子部品システム16〜21の各々の温度を下げる。さらに、ラック冷却を部品冷却と分離して維持することによって、流体のどの接続部を開くこともなく、電子部品を冷却剤に暴露することもなく、電子部品システム16〜21の各々を、取り外すこと、または交換する(活線挿抜する)こと、あるいはその両方を容易に行うことができる。
【0017】
次に図2を参照することにする。本発明の別の例示的な実施形態によって構築されたポンプ・システム220の記載において、同じ参照番号は、各図面中の対応する部分を表す。図示したように、ポンプ・システム220は第1の冷却剤ポンプ225および第2の冷却剤ポンプ226を含む。冷却剤ポンプ225および226の各々は、容積式ポンプ機構の形態で示されている。図示した例示的な実施形態では、第1の冷却剤ポンプ225は、第1の導管228によって、冷却剤リザーバ174および175の各々に流体接続されている。第2の導管229は、第2の冷却剤ポンプ226を冷却剤リザーバ174および175の各々に流体接続する。導管228、229の各々は、冷却剤リザーバ174および175を経由して互いに流体接続されている。さらに、導管228、229の各々は、関連する熱交換部材230および231に流体接続されている。このような配置で、流体すなわち冷却剤は、第1および第2の冷却剤ポンプ225および226の移送式による振動モードで、ポンプ・システム220を通して送られる。この発振動作は、対応するスプレッダ・プレートの膜164、166に作用し時変する圧力を生じさせ、スプレッダ・プレート163内に流体流を引き起こす。このようにして、冷却剤は冷却剤リザーバ174および175の各々を通してプッシュ・プル・モードで送られる。プッシュ・プル・モードをさらに促進するために、冷却剤リザーバ175内に実装された233に示すような流体抵抗部材がポンプ・システム220に接続され、システムの流動パラメータを高める。
【0018】
次に図3を参照することにする。本発明のさらに別の例示的な実施形態によって構築されたポンプ・システム240の記載において、同じ参照番号は、各図面中の対応する部分を表す。図示した例示的な実施形態では、冷却システム57はキャビネット2の奥行きいっぱいに延びた冷却剤リザーバ174’を含み、第1および第2の可撓性膜205および206を含むのみならず、スプレッダ・プレート163内の流体移動をさらに促進する第3および第4の可撓性膜244および245も含む。この構造で、ポンプ・システム240は第1の冷却剤ループ250および第2の冷却剤ループ252を含む。第1の冷却剤ループ250は、第1の導管256によって冷却剤リザーバ174’および175に作動可能に接続された第1の冷却剤ポンプ255を含む。第2の導管257は、冷却剤リザーバ174’および175から冷却剤ループ250を通して冷却剤を送り返し、圧力モジュレータ258および熱交換部材260を経由して冷却剤をポンプ255に戻す。同様に、第2の冷却剤ループ252は、第1の導管275によって冷却剤リザーバ174’および175に流体接続された第2の冷却剤ポンプ270を含む。冷却剤は第2の導管276を通り、圧力モジュレータ278および熱交換部材280を経由して第2の冷却剤ポンプ270に流動して戻る。このような配置で、冷却剤ループ250、252の各々は90度の位相シフトで作動し、スプレッダ・プレート163内に半径方向振動の流体流を実現する。
【0019】
次に図4を参照することにする。本発明のさらに別の例示的な実施形態によって構築されたポンプ・システム290の記載において、同じ参照番号は、各図面中の対応する部分を表す。図示したように、ポンプ・システム290は冷却ループ292および作動システム294を含む。冷却ループ292は、第1の導管298によって冷却剤リザーバ174’および175の各々に作動可能に接続された冷却剤ポンプ297を含む。冷却ループ292はさらに、冷却剤リザーバ174’および175の各々から、熱交換部材300を通して、冷却剤ポンプ297に冷却剤を送り返す第2の導管299を含む。作動システム294は、導管304によって冷却剤リザーバ174’および175の各々に流体接続された圧力モジュレータ302を含む。このような配置で、冷却剤ループ292は、冷却剤リザーバ174’および175の各々を通る冷却剤流を制御し、一方、作動システム294は、たとえば、冷却剤リザーバ174’の可撓性膜部分205、206および244、245を制御する圧力を制御する。この構成において、冷却剤ポンプ297はリザーバ174’および175内への冷却剤流を制御し、作動システム294は、たとえば、スプレッダ・プレート163内の冷却剤流を制御する。
【0020】
次に図5を参照して、本発明のさらに別の例示的な実施形態によるキャビネット冷却システム330を記載することにする。キャビネット冷却システム330は、第1の電子部品システム335および第2の電子部品システム336に関連して図示されている。冷却システム330は、液体の冷却剤を使用して膜を作動させる上記の冷却システムとは異なり、冷却および圧力調節媒体として空気のみを利用している。このため、クイック接続(個々に番号を付さず)を含めることができる。この目的を果たすために、電子部品システム335および336の各々は、対応するスプレッダ・プレート340、342に装着された、関連する複数のフィン338および339を含む。フィンから発生した熱は、ラックの水平ファン(図示せず)によって引き起こされた空気流343および344によって除去される。スプレッダ・プレート340、342の各々は、対応する第1の表面345、346および対向する第2の表面348、349を含む。図示したように、スプレッダ・プレート340および342の各々は、さらに、関連する可撓性膜部分350および357を含む。動作を開始すると、可撓性膜部分350および357は、スプレッダ・プレート340および342の各々の中に流体流を生じさせる。スプレッダ・プレート340および342を通過する流体は、電子部品システム335および336の各々の中に位置する他の熱交換部品(個々に番号を付さず)だけではなく、フィン338および339も用いて熱を交換する。このような配置で、空気圧モジュレータの形態で示された冷却剤ポンプ360は、冷却剤リザーバすなわち圧力室385に空気を供給する。空気は、スプレッダ・プレート340および342の各々の可撓性膜部分350および357に対して膨張および収縮する。上記のように、可撓性膜350および357の膨張および収縮は、電子部品システム335および336内に含まれる熱を吸収する流体流を生じさせる。ここで理解されるべきであるのは、冷却剤ポンプ360は、図6に示すようなリンケージ・システム395によってスプレッダ・プレート350、357の各々に作動可能に接続されたリニア・アクチュエータ390の形態を取ることができる、ということである。これによって、リニア・アクチュエータ390はリンケージ・システム395に作用して可撓性膜部分350および357内に振動を生じさせ、スプレッダ・プレート340および342の各々の中に流体流すなわち循環を引き起こす。
【0021】
図7は、膜の固定化システム400を示す。図示された実施形態によれば、ブレード・サーバ440は可撓性膜部分441を含む。可撓性膜部分441は、ブレード・サーバ440が設置されると、冷却剤リザーバ445上に設けられた可撓性膜442と相互作用するように設定されている。しかし、ブレード・サーバ440が取り外されると、可撓性膜442は適正な作動を確実に取るように抑制されなければならない。この目的を果たすために、固定化システム400は、電子部品システム440が対応する電子部品システム用ベイ内に挿入されたときの第1の位置と、電子部品システム440が取り外されたときの第2の位置、すなわち膜を抑制する位置との間で回転する遮断部材450を含む。第2の位置では、遮断部材450は可撓性膜442と接触する。これによって、関連するキャビネット冷却システム内に、悪影響を与えることも効率の損失を生じさせることも一切なく、電子部品システムを容易にキャビネット2から取り外したり交換(活線挿抜)したりすることができる。
【0022】
ここで理解されるべきであるのは、本発明の例示的な諸実施形態は、対応する電子部品冷却システムから分離されたキャビネット冷却システムを含む電子部品システム・キャビネットを提供するということである。キャビネット冷却システムと部品冷却システムとを分離することによって、作動している電子部品上に冷却剤が漏出する恐れがなく、電子部品システム・キャビネット内で部品を容易に取り外したり交換(活線挿抜)したりすることができる。加えて、キャビネット冷却システムを部品冷却システムから分離することによって、クイック切断、または他の関連するハードウェアの必要性がなくなる。さらに、本発明は、対応する液体冷却システムに比べて利用する流体が大幅に少なく、このためフラッディングに関連するリスクが著しく低減される。
【0023】
本発明に対する好ましい実施形態を記載してきたが、当然のことながら、当業者は、現在および将来において、以下の特許請求の範囲の範囲内に入る種々の改良および強化をすることができる。これらの請求項は、最初に記載された本発明の適正な保護を維持するものと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品システム・キャビネットであって、前記電子部品システム・キャビネットは、
複数の電子部品システム用ベイを含む筐体と、
前記複数の電子部品システム用ベイの1つに装着された電子部品システムであって、前記電子部品システムは、少なくとも1つの熱発生部品、および前記少なくとも1つの熱発生部品に作動可能に接続された冷却システムを含み、前記冷却システムは、前記少なくとも1つの熱発生部品と熱を交換する関係に配置された第1の表面、および可撓性膜部分を含む第2の表面を有するスプレッダ・プレートを含み、前記スプレッダ・プレートは流体を含む、電子部品システムと、
キャビネット冷却システムとを備え、前記キャビネット冷却システムは、
冷却剤を収容する少なくとも1つの冷却剤リザーバであって、前記少なくとも1つの冷却剤リザーバは、前記スプレッダ・プレートの前記可撓性膜部分に流体が接触しないように配置された可撓性膜を含む、冷却剤リザーバと、
前記少なくとも1つの冷却剤リザーバに流体接続された少なくとも1つのポンプを含む集中型ポンプ・システムであって、前記少なくとも1つのポンプが選択的に作動して前記少なくとも1つの冷却剤リザーバの各々に冷却剤流を循環させ、前記冷却剤流は、前記可撓性膜を膨張および収縮させて、前記スプレッダ・プレート内に前記流体を流動させ、前記少なくとも1つの熱発生部品によって発生した熱を吸収する、集中型ポンプ・システムと、
を含む、電子部品システム・キャビネット。
【請求項2】
前記少なくとも1つの冷却剤リザーバと前記スプレッダ・プレートの間に広がる熱界面部材をさらに備える請求項1に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項3】
前記少なくとも1つのポンプに流体接続された圧力モジュレータをさらに備える請求項1に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項4】
キャビネット冷却システムが複数の冷却剤リザーバを含み、前記複数の冷却剤リザーバの各々が前記複数の電子部品システム用ベイのうち2つに関連している、請求項1に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項5】
前記少なくとも1つのポンプが前記複数の冷却剤リザーバに流体接続された第1のポンプおよび前記複数の冷却剤リザーバに流体接続された第2のポンプを含む、請求項4に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項6】
前記第1のポンプが前記複数の冷却剤リザーバの各々の中に冷却剤を送り込み、前記第2のポンプが前記複数の冷却剤リザーバの各々から冷却剤を引き出す、請求項5に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項7】
前記第1のポンプが第1の冷却剤ループを規定し、前記第2のポンプが第2の冷却剤ループを規定し、前記第2の冷却剤ループは前記第1の冷却剤ループとは別個である、請求項5に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項8】
前記ポンプ・システムが前記少なくとも1つのポンプに流体接続された熱交換器を含み、前記熱交換器が、前記電子部品システムから取り込まれた熱を前記冷却剤から除去する、請求項1に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項9】
前記ポンプ・システムが冷却ループおよび作動システムを含み、前記冷却ループが前記少なくとも1つの冷却剤リザーバ内に冷却剤を移動させ、前記作動システムが圧力調節を生じさせて前記可撓性膜を膨張および収縮させる、請求項1に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項10】
前記少なくとも1つの冷却剤リザーバが、前記スプレッダ・プレートの前記可撓性膜部分に作用する圧力室を備える、請求項1に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項11】
前記少なくとも1つのポンプが、リンケージ・システムによって前記スプレッダ・プレートに作動可能に接続されたリニア・アクチュエータを備え、前記リニア・アクチュエータが、選択的に作動して前記可撓性膜部分を振動させ、前記スプレッダ・プレート内に冷却剤流を生じさせる、請求項1に記載の電子部品システム・キャビネット。
【請求項12】
複数の電子部品システム用ベイを備えた筐体と、前記複数の電子部品システム用ベイの各々に装着された複数の電子部品システムとを含む電子部品システム・キャビネットを冷却する方法であって、前記方法は、
集中ポンプ・システムによって、冷却剤ループを通して少なくとも1つの冷却剤リザーバ内に冷却剤を送り込むステップであって、前記少なくとも1つの冷却剤リザーバは、前記複数の電子部品システムの1つに流体が接触しないように、前記複数の電子部品システム用ベイの1つに配置される、送り込むステップと、
前記冷却剤リザーバの可撓性膜を膨張および収縮させて前記電子部品システムのスプレッダ・プレートの可撓性膜部分に接触させるステップと、
前記スプレッダ・プレート内に流体を循環させるステップと、
前記電子部品の前記スプレッダ・プレート内の前記流体中に、熱発生部品からの熱を抽出するステップと、
前記流体から前記熱を除去するステップと、
を含む方法。
【請求項13】
前記冷却剤を前記少なくとも1つの冷却剤リザーバに通過させるステップと、
前記冷却剤から熱を除去するステップと
をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記冷却剤ループ内の前記冷却剤流を調節して振動を生じさせ、前記可撓性膜を膨張および収縮させるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
冷却剤ループを通して冷却剤を送り込むステップが、前記少なくとも1つの冷却剤リザーバ内に第1の冷却剤ループを通して冷却剤を送り込むことと、前記少なくとも1つの冷却剤リザーバから第2の冷却剤ループを通して冷却剤を引き出すことを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
複数の電子部品システム用ベイを備えた電子部品システム・キャビネット用の冷却システムであって、前記冷却システムは、
冷却剤を収容する少なくとも1つの冷却剤リザーバであって、前記少なくとも1つの冷却剤リザーバは可撓性膜を含む、少なくとも1つの冷却剤リザーバと、
前記少なくとも1つの冷却剤リザーバに流体接続された少なくとも1つのポンプを含む集中型ポンプ・システムであって、前記少なくとも1つのポンプは選択的に作動して、前記少なくとも1つの冷却剤リザーバへと冷却剤流を循環させ、前記冷却剤流は前記可撓性膜を膨張および収縮させる、集中型ポンプ・システムと、
を含む、冷却システム。
【請求項17】
キャビネット冷却システムが複数の冷却剤リザーバを含み、前記複数の冷却剤リザーバの各々が、前記複数の電子部品システム用ベイのうち2つに関連している、請求項16に記載の冷却システム。
【請求項18】
前記少なくとも1つのポンプが、前記複数の冷却剤リザーバに流体接続された第1のポンプ、および前記複数の冷却剤リザーバに流体接続された第2のポンプを含む、請求項17に記載の冷却システム。
【請求項19】
前記第1のポンプが前記複数の冷却剤リザーバの各々の中に冷却剤を送り込み、前記第2のポンプが前記複数の冷却剤リザーバの各々から冷却剤を引き出す、請求項18に記載の冷却システム。
【請求項20】
前記ポンプ・システムが冷却ループおよび作動システムを含み、前記冷却ループが前記少なくとも1つの冷却剤リザーバ内に冷却剤を移動させ、前記作動システムが圧力調節を生じさせて前記可撓性膜を膨張および収縮させる、請求項16に記載の冷却システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−501544(P2012−501544A)
【公表日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−525101(P2011−525101)
【出願日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際出願番号】PCT/US2009/054422
【国際公開番号】WO2010/027685
【国際公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】