説明

電子部品供給用のキャリアテープパッケージ

【課題】電子部品供給用のキャリアテープの識別や使用履歴などに関する情報の管理を効率的且つ使い勝手よく行うことができる電子部品供給用のキャリアテープパッケージを提供することを目的とする。
【解決手段】テープフィーダによって電子部品を供給する電子部品実装装置において用いられ、キャリアテープ22をテープリール21に巻回状態で収納して成るキャリアテープパッケージ20において、キャリアテープ22に保持された電子部品Pの識別情報を含むキャリアテープ情報が予め書き込まれたICタグ25を保持体24に保持させたデータ記憶ユニット23がテープリール21に付属させる。キャリアテープ22をテープフィーダに装着する時点において、キャリアテープ22の先頭端部に装着された状態のデータ記憶ユニット23からテープフィーダに備えられたリーダ・ライタによってキャリアテープ情報を読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置において電子部品を供給するために用いられ、電子部品を保持したキャリアテープをテープリールに巻回状態で収納して成る電子部品実装用のキャリアテープパッケージに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品実装装置において電子部品を搭載ヘッドに対して供給する方法として、電子部品を保持したキャリアテープをテープフィーダによってピッチ送りすることにより、搭載ヘッドによるピックアップ位置まで電子部品を送給する方法が広く用いられている。キャリアテープはテープリールに巻回収納された状態で取り扱われ、部品実装作業の開始時や、実装作業中に部品切れとなった場合には、キャリアテープを巻回収納したテープリールを部品供給部にセットするリール装着作業が行われる。
【0003】
部品供給部には同一形状のテープリールが多数装着されるため、リール装着作業において作業者がテープリールの識別を誤り、各テープフィーダに正規でないテープリールを誤って装着する誤装着が発生しやすい。このような誤装着を防止するため、キャリアテープに保持された電子部品についての識別情報を書き込んだバーコードラベルをテープリールに貼り付けておき、リール装着作業時にこのバーコードラベルを読み取って識別する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2000−68690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のようにキャリアテープの識別情報としてバーコードラベルを用いる方法では、リール装着作業の都度作業者がバーコードリーダを操作して読み取り作業を行う必要があり、多数のテープリールを高頻度で取り扱う際には、テープリールの取り違えに起因する読み取りミスの発生が避けがたい。さらにバーコードラベルを用いる方法では、最初に書き込まれた同一の情報を繰り返し読み取ることができるのみで、新たな情報を追加して書き込むことができない。このため、未使用のキャリアテープを残した状態で使用を中断したテープリールに残部品数や生産履歴に関する情報を記録しようとすれば、作業者がテープリールに手書きで必要情報を書き込むしか方法がなかった。このように、従来よりテープリールに巻回収納された状態で取り扱われる電子部品供給用のキャリアテープの識別や使用履歴などに関する部品情報の管理には、効率的且つ使い勝手に優れた方法が確立されておらず、新たなシステムが望まれていた。
【0005】
そこで本発明は、電子部品供給用のキャリアテープの識別や使用履歴などに関する情報の管理を効率的且つ使い勝手よく行うことができる電子部品供給用のキャリアテープパッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子部品供給用のキャリアテープパッケージは、テープフィーダから電子部品を取り出して基板に実装する電子部品実装装置において前記電子部品を供給するために用いられ、前記電子部品を保持したキャリアテープをテープリールに巻回状態で収納して成る電子部品実装用のキャリアテープパッケージであって、前記キャリアテープパッケージには、書き込み・読み出しが自在であって前記キャリアテープに保持された電子部品の識別情報を含むキャリアテープ情報が予め書き込まれた記憶媒体を前記キャリアテープにスライド自在に装着可能な保持体に保持させたデータ記憶ユニットが付属しており、少なく
とも前記キャリアテープを前記テープフィーダに装着する時点において、前記データ記憶ユニットが当該キャリアテープの先頭端部に装着されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、キャリアテープをテープリールに巻回状態で収納したキャリアテープパッケージに、書き込み・読み出しが自在であってキャリアテープ情報が予め書き込まれた記憶媒体を保持させたデータ記憶ユニットを付属させ、キャリアテープをテープフィーダに装着する時点においてキャリアテープ情報を読み取らせることにより、読み取りミスを生じることなく自動的にキャリアテープ情報に含まれる識別情報を読み取ることができる。さらに記憶媒体にデータを書き込む書き込み手段を備えることにより使用履歴に関する情報を随時記憶媒体に書き込むことができ、キャリアテープの識別や使用履歴などに関する部品情報の管理を効率的且つ使い勝手よく行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の平面図、図2は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部分断面図、図3は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部品供給部の断面図、図4は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置に使用されるキャリアテープパッケージの構成説明図、図5、図6は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置において使用されるデータ記憶ユニットの構造説明図、図7は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置におけるデータ記憶ユニットの装着方法の説明図、図8は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置において使用されるデータ記憶ユニットのデータ読出・書込の説明図、図9は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図、図10は本発明の一実施の形態の電子部品実装装置におけるリール装着方法の説明図である。
【0009】
まず図1、図2を参照して電子部品実装装置の構造を説明する。図2は、図1におけるA−A断面を部分的に示している。図1において基台1の中央にはX方向(基板搬送方向)に搬送路2が配設されている。搬送路2は上流側から搬入された基板3を搬送し実装ステージに位置決めする。搬送路2の両側方には、部品供給部4が配置されており、それぞれの部品供給部4には複数のテープフィーダ5が並設されている。テープフィーダ5は電子部品を保持したキャリアテープをピッチ送りすることにより電子部品を供給する。
【0010】
基台1上面の両端部上にはY軸テーブル6A,6Bが配設されており、Y軸テーブル6A、6B上には2台のX軸テーブル7A,7Bが架設されている。Y軸テーブル6Aを駆動することにより、X軸テーブル7AがY方向に水平移動し、Y軸テーブル6Bを駆動することにより、X軸テーブル7BがY方向に水平移動する。X軸テーブル7A,7Bには、それぞれ搭載ヘッド8および搭載ヘッド8と一体的に移動する基板認識カメラ9が装着されている。
【0011】
Y軸テーブル6A,X軸テーブル7A,Y軸テーブル6B,X軸テーブル7Bをそれぞれ組み合わせて駆動することにより搭載ヘッド8は水平移動し、それぞれの部品供給部4から電子部品を吸着ノズル8a(図2参照)によってピックアップし、搬送路2に位置決めされた基板3上に実装する。基板3上に移動した基板認識カメラ9は、基板3を撮像して認識する。また部品供給部4から搬送路2に至る経路には、部品認識カメラ10およびノズル保持部11が配設されている。
【0012】
部品供給部4から電子部品を取り出した搭載ヘッド8が実装ステージに位置決めされた基板3へ移動する際に、吸着ノズル8aに保持された電子部品を部品認識カメラ10の上方でX方向に移動させることにより、部品認識カメラ10は吸着ノズル8aに保持された電子部品を撮像する。そして撮像結果を認識処理部(図示省略)によって認識処理するこ
とにより、吸着ノズル8aに保持された状態における電子部品の位置が認識されるとともに、電子部品の種類が識別される。ノズル保持部11は、複数種類の吸着ノズル8aを所定姿勢で収納し、搭載ヘッド8がノズル保持部11にアクセスしてノズル交換動作を行うことにより、搭載ヘッド8において対象とする電子部品の種類に応じてノズル交換が行われる。
【0013】
次に図3を参照して、部品供給部4の構造を説明する。部品供給部4には複数のテープフィーダ5を装着するためのフィーダベース12が設けられている。テープフィーダ5は、フィーダ装着用の台車13によって部品供給部4に配置される。台車13には、キャリアテープ22を巻回状態で収納したテープリール21を保持するためのリール保持部16が設けられている。リール保持部16はテープリール21を回転自在に保持するための保持ローラを備えており、部品供給部4に配置されたテープリール21を回転させることにより、キャリアテープ22を引き出すことができるようになっている。
【0014】
テープリール21から引き出されたキャリアテープ22がテープフィーダ5に引き込まれるテープ送給経路には、各テープフィーダ5に付属してテープ導入部14が設けられている。テープ導入部14には、後述するデータ記憶ユニット23を対象としてデータの読み書きを行うためのリーダ・ライタ15が配設されている。テープフィーダ5に引き込まれたキャリアテープ22は、テープフィーダ5に内蔵されたテープ送り機構によってピッチ送りされ、搭載ヘッド8による取り出し位置に順次送られる。そしてピッチ送りされたキャリアテープ22から、電子部品が搭載ヘッド8によって取り出されて基板3に移送搭載される。すなわち、部品供給部4においてテープリール21がセットされたテープフィーダ5は、キャリアテープ22に保持された電子部品を搭載ヘッド8に対して供給する電子部品供給装置となっている。
【0015】
次に図4を参照して、キャリアテープ22をテープリール21に収納して成るキャリアテープパッケージ20について説明する。図4(b)に示すように、キャリアテープ22の片面には複数のエンボス部22aが定ピッチで形成されており、図4(b)に示すように、エンボス部22aには電子部品Pが保持されている。キャリアテープ22は所定長さに切断された後、テープリール21に巻回状態で収納される。テープリール21は所定個数単位で箱や袋状の容器に収納されたパッケージの形で取り扱われ、この状態で電子部品実装ラインに供給される。
【0016】
キャリアテープパッケージ20には、データ記憶ユニット23がキャリアテープ22の先頭端部付近に保持された状態で付属している。データ記憶ユニット23は、図4(b)に示すように、ICタグ25を樹脂製の保持体24に保持させた構成となっている。ICタグ25は、書き込み・読み出しが自在な超小型の半導体メモリを内蔵したシート状の電子記憶装置であり、非接触によってデータの書き込み、読み出しが行えるようになっている。ICタグ25には、キャリアテープ22に保持された電子部品の識別情報を含むキャリアテープ情報などのデータが予め書き込まれている。
【0017】
ここでデータ記憶ユニット23は、1つのテープリール21に1対1対応で付属しており、本実施の形態においては、メーカによって予めキャリアテープ22にデータ記憶ユニット23を装着した状態のキャリアテープパッケージ20が供給されるようになっている。なおデータ記憶ユニット23は多様な形態でキャリアテープパッケージ20に付属させることが可能であり、例えばキャリアテープ22には未装着のままキャリアテープパッケージ20の容器に貼着による方法など、1対1対応が確保されるような方法で付属させるようにしてもよい。要はキャリアテープ22がテープフィーダ5に装着される状態において、データ記憶ユニット23とキャリアテープ22との対応関係が確保されればよく、換言すれば、少なくともテープリール21を部品供給部4にセットしてキャリアテープ22
をテープフィーダ5に装着する時点において、キャリアテープ22の先頭端部に装着されていればよい。
【0018】
次に図5を参照して、データ記憶ユニット23の詳細構造を説明する。保持体24は樹脂を略方形ブロック形状に成形して製作されており、ICタグ25は保持体24の内部に一体で埋め込まれている。保持体24の片面側(図5において下面側)には、キャリアテープ22のベーステープ部22bがスライド自在に挿通可能な断面形状のテープ挿通部24aが長手方向に貫通して設けられている。テープ挿通部24aにキャリアテープ22のベーステープ部22bを挿通させることにより、保持体24は、キャリアテープ22にスライド自在に装着される。
【0019】
保持体24において、テープ挿通部24aが設けられた面の反対側には、保持体24をテープ導入部14に着脱自在に装着保持するための装着部24bが設けられている。部品供給部4において新たなテープリール21をセットする際には、図7(a)に示すように、キャリアテープ22をテープ導入部14を経由してテープフィーダ5の内部に引き込むとともに、データ記憶ユニット23をテープ導入部14に装着する。
【0020】
テープ導入部14は、プレート部材14aに前述のリーダ・ライタ15および装着部24bに嵌合可能な断面形状の嵌合プレート14bを設けた構造となっており、データ記憶ユニット23の装着時には、保持体24に設けられた装着部24bに嵌合プレート14bを位置合わせし、図7(b)に示すように、保持体24を嵌合プレート14bに沿ってスライドさせて嵌合プレート14bを装着部24bに嵌合させる。これにより、データ記憶ユニット23のテープ導入部14への装着が完了し、データ記憶ユニット23はリーダ・ライタ15と相対した状態となる。そしてこの状態では、キャリアテープ22はテープ挿通部24a内をスライド自在に通過し、キャリアテープ22のピッチ送りを妨げることがないようになっている。
【0021】
なお、保持体24をテープ導入部14に着脱自在に装着保持するための装着部としては、嵌合プレート14bが嵌合する断面形状のもの以外にも、各種の機構・形状を用いることが可能である。例えば、ピンとピン穴の組み合わせなどの係止機構によって保持体24をプレート部材14aに係止してもよく、またはワンタッチ式のクランプ機構によってクランプしてもよい。
【0022】
図8は、データ記憶ユニット23の装着状態を示している。すなわち、保持体24は嵌合プレート14bによって位置が保持されており、この状態では保持体24に保持されたICタグ25は、リーダ・ライタ15に対して所定姿勢・間隔で位置保持され、リーダ・ライタ15によるデータの読み出し、書き込みが可能な状態となる。すなわちリーダ・ライタ15は、キャリアテープ22にスライド自在に装着された状態のデータ記憶ユニット23のICタグ25からのデータの読み出しを行うデータ読み出し手段に、ICタグ25へのデータの書き込みを行うデータ書き込み手段を併せた構成となっている。なお、データ記憶ユニットの構成として、保持体24内にICタグ25を一体で埋め込む替わりに、図6に示すように、ICタグ25を接着剤などによって接合して保持する構造の保持体24Aによってデータ記憶ユニット23Aを構成してもよい。
【0023】
次に図9を参照して、制御系の構成を説明する。図9は、電子部品実装装置において、部品供給部4から電子部品を取り出して搭載ヘッド8に対して供給する部品供給系に関連する制御系についてのみ示している。図9において、テープフィーダ5はフィーダ制御部27を個別に備えており、フィーダ制御部27はテープ送り機構28、カバーテープ排出機構29の動作を制御する。テープ送り機構28はテープフィーダ5に引き込まれたキャリアテープ22をピッチ送りする。カバーテープ排出機構29は、搭載ヘッド8による電
子部品の取り出し位置の手前においてキャリアテープ22から剥離されたカバーテープをテープ送り方向の後方に送り返すための機構である。
【0024】
テープフィーダ5はそれぞれ外部接続用のコネクタ26を備えており、テープフィーダ5をフィーダベース12に装着することにより、コネクタ26が電子部品実装装置本体の制御部30と接続されるようになっている。コネクタ26にはフィーダ制御部27およびリーダ・ライタ15が繋ぎ込まれており、テープフィーダ5を部品供給部4に装着することにより、当該テープフィーダ5のリーダ・ライタ15およびフィーダ制御部27が制御部30に接続される。
【0025】
データ記憶ユニット23のICタグ25には、識別情報25a、残部品数データ25bおよび生産履歴データ25cを書き込むための記憶領域が設定されている。識別情報25aは当該キャリアテープ22に保持された電子部品に関する情報であり、部品書類を示す部品コード、メーカ名、製造年月日および製造ロット番号などを含んでいる。
【0026】
残部品数データ25bは、テープリール21に巻回収納されたキャリアテープ22が途中まで消費された状態で使用が中断された場合における残部品数を示すデータである。この残部品数は、予め既知の収納部品総数から、消費された部品数を減算することによって算出される。消費された部品数の算出方法としては、テープフィーダ5によるピッチ送り回数または搭載ヘッド8によって取り出された回数に基づく方法のいずれかを用いることができる。
【0027】
生産履歴データ25cは、当該テープリール21が装着されて生産に使用された履歴、すなわち使用された年月日や装着された実装ライン・実装装置を特定するためのデータであり、識別情報25aとともに、後工程におけるトレーサビリティの確保のために用いられるものである。
【0028】
制御部30は、実装制御部31、記憶部32、識別処理部33、残部品数演算部34、読出・書込処理部35、表示部36、操作・入力部37を備えている。実装制御部31は搭載ヘッド8を移動させるための部品搭載機構の動作を制御するとともに、フィーダ制御部27へ動作指令を出力することにより、テープフィーダ5の動作を制御する。記憶部32は実装動作などの各種の処理動作を実行するためのプログラムや動作実行に用いられる実装データ、識別情報25aを参照してキャリアテープ22の正否を判断するための参照データなど各種のデータを記憶する。
【0029】
識別処理部33は、リーダ・ライタ15によってICタグ25から読み出されたキャリアテープ情報に含まれる識別情報25aを記憶部32に記憶された上述の参照データと比較することにより、その時点でテープフィーダ5に装着されたキャリアテープ22の正否,すなわち当該キャリアテープ22が正しい部品を供給する正規のキャリアテープ22であるか否かを判断する。すなわち、識別処理部33は、読み出されたキャリアテープ情報に含まれる識別情報に基づいて、当該キャリアテープ22の正否を識別する識別手段となっている。
【0030】
残部品数演算部34は搭載ヘッド8の動作回数のデータに基づいて、各タイミングにおけるテープリール21の残部品数、すなわち未使用のままキャリアテープ22に保持されてテープリール21に巻回されている部品数を演算する。したがって残部品数演算部34は、テープリール21における残部品数を算出する残部品数演算手段となっている。
【0031】
読出・書込処理部35は、リーダ・ライタ15によるICタグ25からのデータの読み出し、およびICタグ25へのデータの書き込みの処理を行う。すなわち本実施の形態に
おいては、読出・書込処理部35は、リーダ・ライタ15を制御してICタグ25からキャリアテープ情報を読み出す処理を行う読み出し制御手段と、ICタグ25へキャリアテープに関する情報を書き込む処理を行う書き込み制御手段とを併せて配設し、さらにリーダ・ライタ15を制御してICタグ25へ当該テープリール21に収納されたキャリアテープ22に関する情報を書き込む処理を行う書き込み制御手段を備えた形態となっている。
【0032】
そして読出・書込処理部35は、リーダ・ライタ15によってICタグ25に、残部品数演算部34によって演算された残部品数に関するデータを書き込む。表示部36はディスプレイ装置であり、操作のための入力指令や、データ入力時の操作画面を表示するとともに、識別処理部33による識別処理結果を表示して報知する。操作・入力部37はキーボードやタッチパネルなどの入力手段であり、操作入力やデータ入力を行う。
【0033】
図10は、電子部品実装装置において新たなキャリアテープパッケージ20を部品供給部4に装着する際の作業動作を示している。テープフィーダ5に新たにキャリアテープ22を装着する際には、図10(a)に示すように、キャリアテープ22が巻回されたテープリール21を、リール保持体16に載置して保持させる。このとき、キャリアテープ22の先頭端部には、このテープリール21に付属したデータ記憶ユニット23が装着された状態となっている。
【0034】
テープリール21をリール保持部16に載置したならば、図10(b)に示すように、キャリアテープ22の先頭端部をテープ導入部14を経由してテープフィーダ5の内部に引き込む。このとき、データ記憶ユニット23をキャリアテープ22に沿って下流側(上側)にスライドさせ、保持体24の装着部24bをテープ導入部14の嵌合プレート14bに嵌合させる。これにより、図10(c)に示すように、データ記憶ユニット23はリーダ・ライタ15と対向する位置にセットされ、図8に示す状態となる。
【0035】
そしてこの状態で、読出・書込処理部35がリーダ・ライタ15を制御することにより、ICタグ25に予め書き込まれたキャリアテープ情報、すなわち識別情報25a、残部品数データ25b、生産履歴データ25cのうち、その時点において必要とされる情報が読み出される。そして読み出された識別情報25aを識別処理部33が識別処理してキャリアテープ22が正規部品を保持したものであると判断されたならば、実装動作が開始される。また正規部品でないと判断されたならば、その旨表示部36に表示するとともに、装置動作を停止する。
【0036】
そして実装動作、すなわちテープフィーダ5によってテープリール21からキャリアテープ22を順次引き出して搭載ヘッド8による電子部品の取り出し位置にキャリアテープ22をピッチ送りする動作を反復実行する過程においては、残部品数演算が実行される。すなわち搭載ヘッド8による移送搭載動作、またはテープフィーダ5によるピッチ送り動作の動作回数を残部品数演算部34によってカウントし、これらの動作によって消費された部品数を収納部品総数から順次減算することにより、当該テープリール21のそのタイミングにおける残部品をリアルタイムで算出する。
【0037】
そしてデータ書き込みタイミングとして設定された所定タイミング(例えば装置稼動中断時、または機種切り替え操作時)にて、算出された残部品数をリーダ・ライタ15によってICタグ25に書き込む。これにより、各テープリール21に付属したデータ記憶ユニット23のICタグ25には、常にテープリール21の残部品が記憶される。また装置稼働を中断してテープリール21を取り外す際には、前述の生産履歴データ25cがICタグ25に書き込まれる。この生産履歴データ25cは、部品不良に起因する不具合が後工程で発見された場合において、同一テープリール21から供給された部品を追跡する必
要が生じた場合に参照される。
【0038】
このテープリール21を再度使用する際には、データ記憶ユニット23をテープ導入部14に装着してICタグ25から残部品数データ25bを読み出すことにより、電子部品実装装置の制御部30はこのテープリール21の残部品を把握して実装動作を開始することができる。したがってこの供給リール21が装着されたテープフィーダ5における部品切れ発生のタイミングの予知が可能となり、突発的な部品切れによる装置停止を防止することができる。
【0039】
すなわち上述のキャリアテープパッケージ20の装着に際しては、テープリール21をリール保持部16に保持させてキャリアテープ22をテープフィーダ5に装着する際に、テープリール21から引き出されたキャリアテープ22がテープフィーダ5に引き込まれるテープ送給経路に配設されたリーダ・ライタ15によって、データ記憶ユニット23のICタグ25からキャリアテープ情報を読み出すようにしている。そして読み出されたキャリアテープ情報に含まれる識別情報25aに基づいて、当該キャリアテープの正否の識別が行われる。そして実装動作の実行過程においては、ICタグ25に当該テープリールにおける残部品数に関するデータを書き込む処理が実行される。
【0040】
なお、上記実施の形態においては、電子部品実装装置の制御部30によってリーダ・ライタ15を制御することにより、ICタグ25からのデータの読み出しおよびICタグ25へのデータの書き込みを行い、さらにキャリアテープ22の識別およびテープリール21の残部品数算出を行うようにしているが、これらの機能をそれぞれのテープフィーダ5に持たせるようにしてもよい。
【0041】
すなわち、図9において、識別処理部33、残部品数演算部34、読出・書込処理部35の機能を、フィーダ制御部27に持たせることにより、電子部品実装装置の制御機能に依存することなく、キャリアテープ22の識別、残部品数の算出およびICタグ25に書き込まれる残部品数データの更新などの部品情報管理をテープフィーダ5単体によって行うことができる。この場合には、部品供給装置に備えられたフィーダ制御部27が、前述のデータ読み出し制御手段、データ書き込み制御手段、残部品数演算手段を兼ねた形態となっている。
【0042】
上記説明したように、本実施の形態においては、電子部品を保持したキャリアテープ22を供給するキャリアテープパッケージ20に、データの読み出し・書き込みが自在なICタグ25を備えたデータ記憶ユニット23を付属させるようにしている。これにより、キャリアテープの識別情報としてバーコードラベルを用いる従来方法と比較して、リール装着作業の都度作業者がバーコードリーダを操作して読み取り作業を行う必要が無く、テープリールの取り違えに起因する読み取りミスの発生を確実に防止することができる。
【0043】
さらにICタグ25には新たな情報の書き込みが可能なため、未使用のキャリアテープを残した状態でテープリール21の使用を中断した場合において、その時点における残部品数や生産履歴に関する情報を各テープリール21に付属したデータ記憶ユニット23に自動的に記録することができる。これにより、テープリールに巻回収納された状態で取り扱われる電子部品供給用のキャリアテープの識別や使用履歴などに関する部品情報の管理を、効率的且つ使い勝手に優れた方法で行うことが可能となっている。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のキャリアテープパッケージは、キャリアテープの識別や使用履歴などに関する部品情報の管理を効率的且つ使い勝手よく行うことができるという効果を有し、部品供給をキャリアテープによって行う形態の電子部品実装分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の平面図
【図2】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部分断面図
【図3】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の部品供給部の断面図
【図4】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置に使用されるキャリアテープパッケージの構成説明図
【図5】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置において使用されるデータ記憶ユニットの構造説明図
【図6】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置において使用されるデータ記憶ユニットの構造説明図
【図7】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置におけるデータ記憶ユニットの装着方法の説明図
【図8】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置において使用されるデータ記憶ユニットのデータ読出・書込の説明図
【図9】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置の制御系の構成を示すブロック図
【図10】本発明の一実施の形態の電子部品実装装置におけるリール装着方法の説明図
【符号の説明】
【0046】
3 基板
4 部品供給部
5 テープフィーダ
8 搭載ヘッド
14 テープ導入部
15 リーダ・ライタ
20 キャリアテープパッケージ
21 テープリール
22 キャリアテープ
23 データ記憶ユニット
24 保持体
24a テープ挿通部
24b 装着部
25 ICタグ
27 フィーダ制御部
30 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープフィーダから電子部品を取り出して基板に実装する電子部品実装装置において前記電子部品を供給するために用いられ、前記電子部品を保持したキャリアテープをテープリールに巻回状態で収納して成る電子部品実装用のキャリアテープパッケージであって、
前記キャリアテープパッケージには、書き込み・読み出しが自在であって前記キャリアテープに保持された電子部品の識別情報を含むキャリアテープ情報が予め書き込まれた記憶媒体を前記キャリアテープにスライド自在に装着可能な保持体に保持させたデータ記憶ユニットが付属しており、少なくとも前記キャリアテープを前記テープフィーダに装着する時点において、前記データ記憶ユニットが当該キャリアテープの先頭端部に装着されていることを特徴とする電子部品実装用のキャリアテープパッケージ。
【請求項2】
前記記憶媒体は、ICタグであることを特徴とする請求項1記載の電子部品実装用のキャリアテープパッケージ。
【請求項3】
前記保持体には、前記キャリアテープがスライド自在に挿通するテープ挿通部と、前記保持体を前記テープフィーダに着脱自在に装着保持するための装着部が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品実装用のキャリアテープパッケージ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−327591(P2006−327591A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−149061(P2005−149061)
【出願日】平成17年5月23日(2005.5.23)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】