電子部品供給装置
【課題】X方向における電子部品の取り出し位置調整を微小単位で行うことができる電子部品供給装置を提供する。
【解決手段】フィーダベース2のフィーダーバンク61との接合部1aに基準ピン11を設け、テープフィーダ1のフィーダーバンク61への装着時に基準ピン11をフィーダーバンク61に連結固定すると共に、基準ピン11のフィーダベース2に対するX方向相対位置を圧電アクチュエータ16によって変更可能な構成とする。そして、電子部品のX方向の取出し位置が所望の位置となるように圧電アクチュエータ16を駆動制御する。
【解決手段】フィーダベース2のフィーダーバンク61との接合部1aに基準ピン11を設け、テープフィーダ1のフィーダーバンク61への装着時に基準ピン11をフィーダーバンク61に連結固定すると共に、基準ピン11のフィーダベース2に対するX方向相対位置を圧電アクチュエータ16によって変更可能な構成とする。そして、電子部品のX方向の取出し位置が所望の位置となるように圧電アクチュエータ16を駆動制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置に取り付けられ、当該電子部品実装装置に電子部品を供給する電子部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品供給装置は、均一間隔で同一の電子部品が並んで封入された巻装テープが巻かれたリールを保持し、電子部品実装装置のフィーダーバンクに装着されて、巻装テープに封入された電子部品を逐次供給する(例えば、特許文献1参照)。
フィーダーバンクには、必要な電子部品の種類に応じて複数の電子部品供給装置(電子部品フィーダ)が装着される。電子部品フィーダから供給された電子部品は、電子部品実装装置側の吸着ヘッドによって吸着され、電子部品実装装置に設置された回路基板上の所定の位置に搭載される。
【0003】
ところで、従来の電子部品供給装置では、部品供給ユニットの位置調整は主に電子部品を間欠送りする方向(Y方向)で行っている。
部品供給ユニットの幅方向(Y方向に直交するX方向)の位置調整を行うものとしては、例えば特許文献2に記載の技術がある。この技術は、部品供給ユニットのベースにおける取付け台との接合部に、ベースの長さ方向(Y方向)で所定距離離して基準ピンと偏心ピンとを設け、偏心ピンを回転調整することで基準ピンを中心としてベースを旋回させるものである。これにより、ベースの先端側に設けられた電子部品の取出し位置のX方向の位置調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−134556号公報
【特許文献2】特開平5−191084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の電子部品供給装置にあっては、Y方向の電子部品実装装置に対する電子部品の取出し位置調整は、テープ送りに使用するモータを制御することで可能であり、ステッピングモータの場合はパルス単位での位置調整が可能である。ところが、X方向の電子部品実装装置に対する電子部品の取出し位置調整は、人の手で行う必要があり、微小単位での位置調整が困難であると共に、所望の位置に調整するまでに時間を要する。
そこで、本発明は、X方向における電子部品の取り出し位置調整を微小単位で行うことができる電子部品供給装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る電子部品供給装置は、電子部品実装装置の取付け台に対して分離・連結可能に構成されており、前記取付け台に連結された状態で、電子部品を前記電子部品実装装置の吸着ノズルによる部品取出し位置へ順次供給する電子部品供給装置であって、前記取付け台との接合部に設けられ、前記取付け台に連結固定されると共に、電子部品供給ユニットのベースに対する前記ベースの幅方向の相対位置が変更可能な連結部と、前記連結部の前記相対位置を調整するアクチュエータと、前記アクチュエータを駆動制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴としている。
このように、電子部品供給ユニットのベースに対する連結部のX方向相対位置を、アクチュエータによって調整可能とするので、従来装置のように人の手を介さずに電気的に電子部品の取出し位置調整を行うことができる。そのため、当該位置調整を微小単位で迅速に行うことができる。
【0007】
また、請求項2に係る電子部品供給装置は、請求項1に係る発明において、前記吸着ノズルによる実際の電子部品の吸着位置と所望の吸着位置との前記ベースの幅方向のズレ量を検出するズレ量検出手段を備え、前記駆動制御手段は、前記ズレ量検出手段で検出したズレ量が所定の許容範囲内となるように、前記アクチュエータを駆動制御することを特徴としている。
これにより、電子部品の吸着位置を適切に所望の位置に調整することができる。
さらに、請求項3に係る電子部品供給装置は、請求項2に係る発明において、前記所望の吸着位置は、電子部品の中心位置であることを特徴としている。
このように、電子部品の吸着位置を電子部品の中心位置に調整するので、吸着ノズルによる安定した部品吸着を実現することができる。
【0008】
また、請求項4に係る電子部品供給装置は、請求項1〜3の何れかに係る発明において、前記連結部は、前記取付け台に形成された連結穴と嵌合する基準ピンと、前記基準ピンを前記ベースの幅方向における一方向へ付勢する弾性体と、を備え、前記アクチュエータは、作動状態において、前記弾性体の付勢力に抗する方向に前記連結部を押圧するように構成されていることを特徴としている。
このように、比較的簡易な構成で電子部品の取り出し位置調整機構を実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品実装装置の取付け台に対する電子部品供給ユニットのベースのX方向相対位置を電気的に調整することができるため、X方向の部品吸着位置を微小単位で迅速に調整することができる。そのため、部品吸着位置を所望の位置に調整することができ、電子部品の吸着率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における電子部品供給装置の構成を示す側面図である。
【図2】基準ピン周辺部の具体的構成を示す斜視図である。
【図3】基準ピンの動作について説明するための図である。
【図4】ロック機構を説明するための図である。
【図5】電子部品実装装置の構成を示す平面図である。
【図6】フィーダーバンクの構成を示す部分斜視図である。
【図7】基準ピンガイドを示す平面図である。
【図8】フィーダのバンク装着動作を示す図である。
【図9】フィーダのバンク装着時における基準ピンの状態を示す図である。
【図10】フィーダのロック状態を示す図である。
【図11】フィーダ基板の回路ブロック図である。
【図12】吸着位置調整処理手順を示すフローチャートである。
【図13】基準ピン位置と吸着位置との関係を示す図である。
【図14】吸着位置調整前後の状態を示す図である。
【図15】アクチュエータ駆動電圧とアクチュエータ変位量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本発明における電子部品供給装置の構成を示す側面図である。
この図1に示すように、電子部品供給装置1は、テープリールを用いて電子部品を供給するテープフィーダである。このテープフィーダ1は、後述する電子部品実装装置のフィーダーバンク(取付け台)に、並列状態で複数装着される。
フィーダベース2の前端部(図1における右側端部)には、スプロケット3が配設されている。スプロケット3の歯は、キャリアテープ20に定ピッチで設けられた孔部と噛み合うようになっており、フィードモータ4を動力源としてスプロケット3がピッチ回転することで、キャリアテープ20が搬送方向Hに送り出される。
【0012】
キャリアテープ20は、複数の電子部品が収容されるベーステープ21と、電子部品が落ちないように蓋をするカバーテープ22との二層で構成されている。そして、電子部品をピックアップするノズル吸着位置(部品取出し位置)Pの手前で、アッパーカバー5によってカバーテープ22がベーステープ21から引き剥がされるようになっている。
ベーステープ21から引き剥がされたカバーテープ22は、対向する一対の回収ローラ6によって搬送方向Hと逆方向の回収方向Kに牽引され、導入口8aからカバーテープ収容部8内に収容される。回収ローラ6は、プルモータ7を動力源として回転する。
【0013】
また、フィーダベース2の前端部の下面には、基準ピン11が設けられている。この基準ピン11は、電子部品実装装置におけるテープフィーダ1の取付け台であるフィーダーバンクとの接合部1aに設けられており、電子部品実装装置への装着時にフィーダーバンクに連結固定されるものである。
さらに、フィーダベース2の下面には、後述するフィーダーバンクの各部材とそれぞれ係合するスライドレール31と、基準ピン32と、Y方向ストッププレート33とが設けられている。
なお、本明細書実施例中におけるY方向とはキャリアテープ20の搬送方向H(図1の左右方向)を意味し、X方向とはフィーダベース2の幅方向(図1の紙面垂直方向)を意味する。
【0014】
先ず、基準ピン11周辺の具体的構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。
図2に示すように、基準ピン11は、基準ピンブロック12の中央部に、その一部をフィーダベース2の下方に突出させた状態で固定されている。
基準ピンブロック12には、基準ピンブロック12をフィーダベース2に固定するための長穴形状の固定穴12aが形成されており、基準ピンブロック12は段ねじ13によってフィーダベース2の下面に取り付けられている。
このとき、基準ピンブロック12は、固定穴12aの長穴長手方向がフィーダベース2の幅方向(X方向)に一致するように、フィーダベース2に取り付けられる。すなわち、基準ピンブロック12は、固定穴12aの長穴長手側寸法の範囲で自由に可動する構成となっている。
【0015】
また、フィーダベース2における基準ピンブロック12の取り付け位置近傍には、アクチュエータ固定ブロック15がねじ固定されている。このアクチュエータ固定ブロック15は、圧電アクチュエータ16を保持している。
圧電アクチュエータ16は、後述する制御基板からの指令により駆動電圧が制御され、当該駆動電圧に応じてX方向に変位する。
【0016】
圧電アクチュエータ16の非作動時には、図3(a)に示すように、基準ピンブロック12は、ばね等の弾性体14によって圧電アクチュエータ15側に付勢されることで、アクチュエータ固定ブロック15及び圧電アクチュエータ16に一定の力で押し付けられる。つまり、圧電アクチュエータ16の非作動時には、基準ピンブロック12は弾性体14の付勢力によりX方向最大側に位置する。
【0017】
一方、圧電アクチュエータ16の作動時には、圧電アクチュエータ16に図中右方向に変位しようとする力が発生し、この力が弾性体14の付勢力に打ち勝つことにより、図3(b)に示すように、圧電アクチュエータ16が図中右方向(X方向マイナス側)に変位する。このとき、基準ピンブロック12も、圧電アクチュエータ16の変位に伴ってX方向マイナス側に変位する。
【0018】
図1に戻って、テープフィーダ1は、ロックリリースレバー35と、ロックスプリング36とを備える。これらは、テープフィーダ1のフィーダーバンクへの装着を固定するためのものであり、図4(a)及び(b)に示すように、ロックリリースレバー35を上下に動かすことにより、ロックスプリング36によるロック機構が動作する。ここでは、ロックリリースレバー35を下方向へ下げることでロック解除状態とし、ロックリリースレバー35を上方向へ上げることでロック状態とする。
【0019】
次に、電子部品実装装置の構成について説明する。
図5は、電子部品実装装置を示す平面図である。
図中、符号50は電子部品実装装置である。この電子部品実装装置50は、基台51の上面にX方向に延在する一対の搬送レール52を備える。この搬送レール52は、回路基板Cの両側辺部を支持し、搬送用モータ(図示せず)により駆動されることで回路基板CをX方向に搬送する。
【0020】
また、電子部品実装装置50は搭載ヘッド53を備える。この搭載ヘッド53は、下部に電子部品を吸着する複数の吸着ノズルを備え、X軸ガントリ54及びY軸ガントリ55により、基台51上をXY方向に水平移動可能に構成されている。
この電子部品実装装置50には、搬送レール52のY方向両側に、複数のテープフィーダ1が装着される。そして、テープフィーダ1から供給された電子部品は、搭載ヘッド53の吸着ノズルによって真空吸着され、回路基板C上に実装搭載される。
また、テープフィーダ1と回路基板Cとの間には、CCDカメラからなる認識カメラ56を配置する。この認識カメラ56は、電子部品の吸着位置ずれ(吸着ノズルの中心位置と吸着した部品の中心位置とのずれ)や、吸着角度ずれ(傾き)を検出するために、吸着ノズルで吸着した電子部品を撮像するものである。
【0021】
次に、電子部品実装装置50のフィーダーバンクの構成について説明する。
図6は、フィーダーバンクの構成を示す部分斜視図であり、図5のα部を示している。
図中、符号61はフィーダーバンクである。このフィーダーバンク61は、複数のテープフィーダ1を並列状態で着脱可能に保持するものであり、テープフィーダ1の装着方向(Y方向)に延在する複数のガイドレール62を備える。また、テープフィーダ1の装着方向前方には、テープフィーダ1の前端部に設けられた基準ピン11が挿入される基準ピンガイド63が設けられている。
【0022】
基準ピンガイド63は、図7にその平面図を示すように、ガイドレール62側に開口部を有する略U字状に形成されている。
このような構成により、テープフィーダ1をフィーダーバンク61に装着する際には、先ず、テープフィーダ1をフィーダーバンク61のガイドレール62間に、テープフィーダ1のスライドレール31がガイドレール62の下に配置するように挿入する。そして、図8に示すように、テープフィーダ1を装着方向へスライドさせる。
【0023】
図9(a)に示すように、基準ピンガイド63は、テープフィーダ1前端部に設けられた基準ピン11と当接可能な位置に設けられている。そのため、テープフィーダ1を装着方向にスライドさせていくと、図9(b)に示すように、基準ピン11は基準ピンガイド63と嵌合することになる。このとき、Y方向ストッププレート33がフィーダーバンク61の所定の当接面と当接する位置でテープフィーダ1が停止する。
【0024】
また、図8に示すように、フィーダーバンク61には、テープフィーダ1に設けられた基準ピン32が挿入される基準ピンガイド65が設けられている。図9(b)に示すように、Y方向ストッププレート33がフィーダーバンク61の所定の当接面と当接する位置までテープフィーダ1を挿入した状態では、基準ピン32は基準ピンガイド65に挿入された状態となる。
【0025】
さらに、図10に示すように、基準ピンガイド65の下方近傍には、テープフィーダ1のロックスプリング36と係合可能なロックシャフト64がX方向に延在している。そして、図9(b)に示す状態で、作業者がロックリリースレバー35を上方向に持ち上げると、ロックスプリング36が作動して、図10に示すようにロックスプリング36がロックシャフト64に係合する。これにより、テープフィーダ1がフィーダーバンク61に固定される。
【0026】
テープフィーダ1がフィーダーバンク61に固定され、作業者が所定の作業スイッチを操作すると、テープフィーダ1は、フィードモータ4に対して駆動及び停止を繰り返し指令することで、キャリアテープ20を一定量ずつ搬送方向Hに繰り出す。また、電子部品実装装置50は、部品吸着ノズルを制御して、ノズル吸着位置Pにおいてベーステープ21から電子部品を吸着し基板上の所定位置に搭載する。
このとき、電子部品実装装置50側では、認識カメラ56によって電子部品の形状を認識すると共に、電子部品の所望の吸着位置と実際の吸着位置とのX方向におけるズレ量を検知する。なお、ここで、上記所望の吸着位置は電子部品の中心位置に設定する。
【0027】
次に、テープフィーダ1の制御基板であるフィーダ基板について説明する。
図11は、フィーダ基板の回路ブロック図である。
この図11に示すように、フィーダ基板70は、DCコンバータ71と、通信回路72と、CPU73と、メモリ74と、モータ駆動回路75と、アクチュエータ駆動回路76とを備える。
DCコンバータ71は、電源41から供給される電力を変換する。
通信回路72は、電子部品実装装置50の制御基板44が有するマウンタI/F45との通信を行う回路であり、電子部品実装装置50側から入力された情報をCPU73に出力する。ここでは、認識カメラ56で撮影した画像データに基づいて認識装置46で算出した、部品吸着位置のX方向のズレ量をマウンタI/F45を介して入力する。
【0028】
CPU73には、上記以外に、作業者が操作する操作スイッチ(SW)42やテープ送り量を検出するセンサ43からの信号も入力する。そして、これら信号に基づいて、モータ駆動回路75及びアクチュエータ駆動回路76に対して、電動モータ4,7や圧電アクチュエータ16を駆動制御するための指令信号を出力する。
メモリ74には、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値が記憶される。このメモリ74に記憶された圧電アクチュエータ16の駆動電圧値は、CPU73によって読み出し及び書き換えが可能となっている。
【0029】
モータ駆動回路75は、CPU73からの指令信号に基づいて電動モータ(フィードモータ4やプルモータ7)を駆動制御する。また、アクチュエータ駆動回路76は、CPU73からの指令信号に基づいて圧電アクチュエータ16を駆動制御する。
図12は、CPU73で実行する吸着位置調整処理手順を示すフローチャートである。
この吸着位置調整処理は、電源投入時に実行開始し、先ずステップS1で、CPU73は、メモリ74に記憶している圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を読み出し、ステップS2に移行する。
ステップS2では、CPU73は、前記ステップS1で読み出した駆動電圧値で圧電アクチュエータ16を駆動制御するための指令信号を、アクチュエータ駆動回路76に対して出力する。
【0030】
次に、ステップS3では、CPU73は、通信回路72を介して電子部品実装装置50側から入力した実際の部品吸着位置と所望の部品吸着位置とのX方向のズレ量が、予め設定した一定値以内であるか否かを判定する。ここで、当該一定値は、実際の部品吸着位置と所望の部品吸着位置とのX方向のズレ量の許容範囲内の値に設定する。そして、ズレ量が一定値以内である場合にはステップS4に移行し、ズレ量が一定値を超えている場合には後述するステップS7に移行する。
【0031】
ステップS4では、CPU73は、現在の圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をメモリ74に記憶し、ステップS5に移行する。
ステップS5では、CPU73は、アクチュエータ駆動回路76に対して、現在の圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をそのまま保持するための指令信号を出力し、ステップS6に移行する。
ステップS6では、CPU73は、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を保持し始めてから予め設定した一定時間が経過したか否かを判定する。そして、一定時間が経過していない場合には一定時間が経過するまで待機し、一定時間が経過したら前記ステップS3に移行する。
【0032】
また、ステップS7では、CPU73は、部品吸着位置のX方向のズレ量がプラス側であるか、すなわち実際の部品吸着位置が所望の部品吸着位置に対してプラス側に位置しているか否かを判定する。そして、ズレ量がプラス側である場合にはステップS8に移行し、アクチュエータ駆動回路76に対して、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を現在の駆動電圧値から予め設定した所定値だけ上げた駆動電圧値とするための指令信号を出力して前記ステップS3に移行する。
【0033】
一方、前記ステップS7で、ズレ量がマイナス側であると判定した場合にはステップS9に移行し、アクチュエータ駆動回路76に対して、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を現在の駆動電圧値から予め設定した所定値だけ下げた駆動電圧値とするための指令信号を出力して前記ステップS3に移行する。
なお、基準ピン11、基準ピンブロック12及び弾性体14が連結部に対応し、基準ピンガイド63が連結穴に対応し、圧電アクチュエータ16がアクチュエータに対応し、アクチュエータ駆動回路76及び図11のステップS3,S7〜S9が駆動制御手段に対応し、認識カメラ56及び認識装置46がズレ量検出手段に対応している。
【0034】
(動作)
次に、本実施形態の動作について説明する。
テープフィーダ1を電子部品実装装置50のフィーダーバンク61に装着し、電子部品実装装置50において電子部品の供給作動がなされると、テープフィーダ1はフィーダモータ4を駆動制御してキャリアテープ20を搬送方向Hに送り出す。このとき、吸着位置Pの手前でベーステープ21からカバーテープ22が引き剥がされ、ベーステープ21はそのまま搬送方向Hに送られる。そして、吸着位置Pで搭載ヘッド53の吸着ノズルによって電子部品が吸着される。吸着された電子部品は、電子部品実装装置50に固定された回路基板C上の所定位置に装着される。
【0035】
このとき、認識カメラ56で電子部品のX方向の吸着位置ずれを確認する。このX方向のズレ量は、所望の部品吸着位置(電子部品の中心位置)に対する実際の部品吸着位置のX方向のズレ量であり、電子部品実装装置50側からフィーダ基板70の通信回路72を介してCPU73に入力される。そしてCPU73は、入力されたズレ量が一定値以内であるか否かを判定し、その判定結果に応じて実際の部品吸着位置が所望の部品吸着位置となるように、圧電アクチュエータ16を駆動制御する。
図13は、基準ピン位置P1と所望の吸着位置P2との関係を示す図であり、フィーダベース2を部品吸着側から見た図である。
【0036】
ここで、基準ピン位置P1は、電子部品実装装置50に形成された基準ピンガイド63の位置であり、実際の部品吸着位置のX方向位置は基準ピン位置P1のX方向位置と等しい。
この図13において、(1)に示すテープフィーダ1については、基準ピン位置P1のX方向位置と所望の吸着位置P2のX方向位置とが等しくなっている。すなわち、部品吸着位置のズレ量は零である(ステップS3でYes)。したがって、フィーダ基板70のCPU73は、(1)の基準ピン11に対応する圧電アクチュエータ16の現在の駆動電圧値をメモリ74に記憶し(ステップS4)、アクチュエータ駆動回路76に対して、現在の圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をそのまま保持するための指令信号を出力する(ステップS5)。これにより、基準ピン位置P1は図13の(1)に示す状態を維持する。そのため、電子部品実装装置50による部品実装処理において、搭載ヘッド53の吸着ノズルによって電子部品の中心部が吸着され、回路基板Cへの部品搭載を安定して行うことができる。
【0037】
また、(2)に示すテープフィーダ1については、基準ピン位置P1のX方向位置が所望の吸着位置P2に対してマイナス側に一定値以下のAだけずれている(ステップS3でYes)。したがって、この場合にも、上述した(1)に示すテープフィーダ1と同様に、(2)の基準ピン11に対応する圧電アクチュエータ16の現在の駆動電圧値をそのまま保持し(ステップS5)、基準ピン位置P1を図13の(2)に示す状態に維持する。
【0038】
一方、(3)に示すテープフィーダ1については、基準ピン位置P1のX方向位置が所望の吸着位置P2に対してマイナス側に一定値を超えるA´ずれている(ステップS3でNo、ステップS7でNo)。したがって、フィーダ基板70のCPU73は、(3)の基準ピン11に対応する圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を予め設定した所定値だけ下げるべく、アクチュエータ駆動回路76に対して指令信号を出力する(ステップS9)。
【0039】
これにより、(3)の基準ピン11に対応する圧電アクチュエータ16は、駆動電圧値の低下に応じてX方向プラス側に変位し、基準ピン11のX方向位置はフィーダベース2に対して相対的にプラス側へ移動する。基準ピン11は、基準ピンガイド63に対して相対変位不可に連結固定されているため、基準ピン11のX方向位置がフィーダベース2に対して相対的にプラス側へ移動すると、所望の吸着位置P2はフィーダーバンク61に対して相対的にマイナス側へ移動する。つまり、部品吸着位置のズレ量A´が小さくなる。
【0040】
そして、このズレ量A´が一定値以内となるまで圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を徐々に低下していき、ズレ量A´が一定値以内となると(ステップS3でYes)、その時点での圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をメモリ74に記憶し(ステップS4)、アクチュエータ駆動回路76に対して、現在の圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をそのまま保持するための指令信号を出力する(ステップS5)。これにより、基準ピン位置P1と吸着位置P2とのズレ量が一定値以内となる状態を維持する。
このように、X方向の部品吸着位置が所望の位置となるように調整することができるため、上記所望の位置を電子部品の中心位置に設定すれば、実際の部品吸着位置が電子部品の中心位置となるように調整することができる。そのため、吸着ノズルによる部品吸着率を向上させることができる。
【0041】
また、このとき、部品吸着位置の調整を、圧電アクチュエータ16を用いて電気的に行うので、微小単位での位置調整を迅速に行うことができる。
ところで、電子部品実装装置50の搭載ヘッド53には複数の吸着ノズルが搭載されており、複数の吸着ヘッドによって複数の電子部品を同時吸着して部品実装処理を行う。一般に、吸着ノズル間の距離は一定である。
【0042】
ところが、図14(a)に示すように、(1)〜(4)のテープフィーダ間距離がそれぞれ異なると、電子部品の同時吸着を適切に行うことができない。すなわち、吸着ノズル間の距離がそれぞれAであるものとすると、(1)の吸着位置P2と(2)の吸着位置P2との距離がA、(2)の吸着位置P2と(3)の吸着位置P2との距離がB、(3)の吸着位置P2と(4)の吸着位置P2との距離がCである場合(A<B<C)、(1)及び(2)では略中心位置で電子部品の吸着を行うことができるが、(3)及び(4)では電子部品の吸着位置が中心位置から大きくずれてしまう。
【0043】
しかしながら、本実施形態では、各テープフィーダ1において、基準ピン位置P1と所望の吸着位置P2とのX方向のズレ量が一定値以内となるように調整するので、図14(b)に示すように、(1)〜(4)の吸着位置P2間の距離を一定とすることができる。これにより、複数の電子部品の同時吸着を適切に行うことができる。
図15は、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値と圧電アクチュエータの変位量との関係を示す図である。
【0044】
圧電アクチュエータ16の駆動電圧値とその変位量とは、この図15に示すようにヒステリシスを持ち、一対一対応ではない。そのため、本実施形態では、電源ON時には、前回の駆動電圧値をメモリ74から読み出し(ステップS1)、その駆動電圧値で圧電アクチュエータ16を動作させ(ステップS2)、ズレ量が一定値以内となるように駆動電圧値を調整し(ステップS3,ステップS7〜S9)、ズレ量が一定値以内となったところでメモリ74に記憶した駆動電圧値をその時点での駆動電圧値で更新する(ステップS4)。そして、その後は、その駆動電圧値を保持し(ステップS5)、一定時間後に再度ズレ量を確認する(ステップS6→ステップS3)。これにより、より適切な位置調整が可能となる。
【0045】
(効果)
このように、上記実施形態では、フィーダベースのフィーダーバンクとの接合部に基準ピンを設け、この基準ピンをフィーダーバンクに形成された基準ピンガイドに連結固定すると共に、基準ピンのフィーダベースに対するX方向相対位置を変更可能な構成とする。そして、基準ピンのフィーダベースに対するX方向相対位置を、圧電アクチュエータを駆動制御することで調整する。したがって、X方向の電子部品実装装置に対する電子部品の取り出し位置調整を、微小単位(数十μm単位)で迅速に行うことができる。
【0046】
また、駆動電圧に応じて微小変位が可能な圧電素子を用いた圧電アクチュエータによって、基準ピンのフィーダベースに対するX方向相対位置を調整するので、高精度の位置調整が可能である。
さらに、電子部品実装装置側に設けられた認識カメラによって、吸着ノズルによる実際の電子部品の吸着位置と所望の吸着位置とのX方向のズレ量を検出し、このズレ量が許容範囲内となるように圧電アクチュエータを駆動制御するので、実際の部品吸着位置を確実に所望の位置に調整することができる。このとき、所望の位置を電子部品の中心位置に設定すれば、実際の部品吸着位置を確実に電子部品の中心位置に調整することができ、電子部品の吸着率を向上させることができる。
【0047】
(変形例)
なお、上記実施形態においては、基準ピンブロック12を押圧する手段として、圧電アクチュエータ16を用いる場合について説明したが、これに代えてモータやエアシリンダ等を用いてもよい。
また、上記実施形態においては、基準ピンブロック12をフィーダベース2の下面に配置し、基準ピン11をフィーダベース2の下方に突出させる構成とする場合について説明したが、基準ピン11のX方向位置をフィーダベース2に対して相対的に移動可能な構成であればよい。例えば、基準ピンブロック12をフィーダベース2の前面に配置し、基準ピン11をフィーダベース2の前方に突出させる構成であってもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態においては、弾性体14と圧電アクチュエータ16とを基準ピンブロック12を挟んで対向配置する場合について説明したが、弾性体14の付勢力と圧電アクチュエータ16の押圧力とがX方向において逆方向に作用すればよく、弾性体14と圧電アクチュエータ16とを基準ピンブロック12の片側に配置することもできる。
また、上記実施形態においては、電子部品実装装置50に設けた認識カメラ56で部品吸着位置のズレ量を検知する場合について説明したが、当該ズレ量を検知する手段をテープフィーダ1側に設けることもできる。
【符号の説明】
【0049】
1…電子部品供給装置(テープフィーダ)、1a…接合部、2…フィーダベース、3…スプロケット、4…フィードモータ、5…アッパーカバー、6…回収ローラ、7…プルモータ、8…カバーテープ収容部、8a…導入口、11…基準ピン(連結部)、12…基準ピンブロック(連結部)、12a…固定穴、13…段ねじ、14…弾性体(連結部)、15…アクチュエータ固定ブロック、16…圧電アクチュエータ(アクチュエータ)、20…キャリアテープ、21…ベーステープ、22…カバーテープ、31…スライドレール、32…基準ピン、35…ロックリリースレバー、36…ロックスプリング、50…電子部品実装装置、51…基台、52…搬送レール、53…搭載ヘッド、54…X軸ガントリ、55…Y軸ガントリ、56…認識センサ(ズレ量検出手段)、61…フィーダーバンク(取付け台)、62…ガイドレール、63…基準ピンガイド(連結穴)、64…ロックシャフト、65…基準ピンガイド
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品実装装置に取り付けられ、当該電子部品実装装置に電子部品を供給する電子部品供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品供給装置は、均一間隔で同一の電子部品が並んで封入された巻装テープが巻かれたリールを保持し、電子部品実装装置のフィーダーバンクに装着されて、巻装テープに封入された電子部品を逐次供給する(例えば、特許文献1参照)。
フィーダーバンクには、必要な電子部品の種類に応じて複数の電子部品供給装置(電子部品フィーダ)が装着される。電子部品フィーダから供給された電子部品は、電子部品実装装置側の吸着ヘッドによって吸着され、電子部品実装装置に設置された回路基板上の所定の位置に搭載される。
【0003】
ところで、従来の電子部品供給装置では、部品供給ユニットの位置調整は主に電子部品を間欠送りする方向(Y方向)で行っている。
部品供給ユニットの幅方向(Y方向に直交するX方向)の位置調整を行うものとしては、例えば特許文献2に記載の技術がある。この技術は、部品供給ユニットのベースにおける取付け台との接合部に、ベースの長さ方向(Y方向)で所定距離離して基準ピンと偏心ピンとを設け、偏心ピンを回転調整することで基準ピンを中心としてベースを旋回させるものである。これにより、ベースの先端側に設けられた電子部品の取出し位置のX方向の位置調整を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−134556号公報
【特許文献2】特開平5−191084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の電子部品供給装置にあっては、Y方向の電子部品実装装置に対する電子部品の取出し位置調整は、テープ送りに使用するモータを制御することで可能であり、ステッピングモータの場合はパルス単位での位置調整が可能である。ところが、X方向の電子部品実装装置に対する電子部品の取出し位置調整は、人の手で行う必要があり、微小単位での位置調整が困難であると共に、所望の位置に調整するまでに時間を要する。
そこで、本発明は、X方向における電子部品の取り出し位置調整を微小単位で行うことができる電子部品供給装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に係る電子部品供給装置は、電子部品実装装置の取付け台に対して分離・連結可能に構成されており、前記取付け台に連結された状態で、電子部品を前記電子部品実装装置の吸着ノズルによる部品取出し位置へ順次供給する電子部品供給装置であって、前記取付け台との接合部に設けられ、前記取付け台に連結固定されると共に、電子部品供給ユニットのベースに対する前記ベースの幅方向の相対位置が変更可能な連結部と、前記連結部の前記相対位置を調整するアクチュエータと、前記アクチュエータを駆動制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴としている。
このように、電子部品供給ユニットのベースに対する連結部のX方向相対位置を、アクチュエータによって調整可能とするので、従来装置のように人の手を介さずに電気的に電子部品の取出し位置調整を行うことができる。そのため、当該位置調整を微小単位で迅速に行うことができる。
【0007】
また、請求項2に係る電子部品供給装置は、請求項1に係る発明において、前記吸着ノズルによる実際の電子部品の吸着位置と所望の吸着位置との前記ベースの幅方向のズレ量を検出するズレ量検出手段を備え、前記駆動制御手段は、前記ズレ量検出手段で検出したズレ量が所定の許容範囲内となるように、前記アクチュエータを駆動制御することを特徴としている。
これにより、電子部品の吸着位置を適切に所望の位置に調整することができる。
さらに、請求項3に係る電子部品供給装置は、請求項2に係る発明において、前記所望の吸着位置は、電子部品の中心位置であることを特徴としている。
このように、電子部品の吸着位置を電子部品の中心位置に調整するので、吸着ノズルによる安定した部品吸着を実現することができる。
【0008】
また、請求項4に係る電子部品供給装置は、請求項1〜3の何れかに係る発明において、前記連結部は、前記取付け台に形成された連結穴と嵌合する基準ピンと、前記基準ピンを前記ベースの幅方向における一方向へ付勢する弾性体と、を備え、前記アクチュエータは、作動状態において、前記弾性体の付勢力に抗する方向に前記連結部を押圧するように構成されていることを特徴としている。
このように、比較的簡易な構成で電子部品の取り出し位置調整機構を実現することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電子部品実装装置の取付け台に対する電子部品供給ユニットのベースのX方向相対位置を電気的に調整することができるため、X方向の部品吸着位置を微小単位で迅速に調整することができる。そのため、部品吸着位置を所望の位置に調整することができ、電子部品の吸着率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明における電子部品供給装置の構成を示す側面図である。
【図2】基準ピン周辺部の具体的構成を示す斜視図である。
【図3】基準ピンの動作について説明するための図である。
【図4】ロック機構を説明するための図である。
【図5】電子部品実装装置の構成を示す平面図である。
【図6】フィーダーバンクの構成を示す部分斜視図である。
【図7】基準ピンガイドを示す平面図である。
【図8】フィーダのバンク装着動作を示す図である。
【図9】フィーダのバンク装着時における基準ピンの状態を示す図である。
【図10】フィーダのロック状態を示す図である。
【図11】フィーダ基板の回路ブロック図である。
【図12】吸着位置調整処理手順を示すフローチャートである。
【図13】基準ピン位置と吸着位置との関係を示す図である。
【図14】吸着位置調整前後の状態を示す図である。
【図15】アクチュエータ駆動電圧とアクチュエータ変位量との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
(第1の実施形態)
(構成)
図1は、本発明における電子部品供給装置の構成を示す側面図である。
この図1に示すように、電子部品供給装置1は、テープリールを用いて電子部品を供給するテープフィーダである。このテープフィーダ1は、後述する電子部品実装装置のフィーダーバンク(取付け台)に、並列状態で複数装着される。
フィーダベース2の前端部(図1における右側端部)には、スプロケット3が配設されている。スプロケット3の歯は、キャリアテープ20に定ピッチで設けられた孔部と噛み合うようになっており、フィードモータ4を動力源としてスプロケット3がピッチ回転することで、キャリアテープ20が搬送方向Hに送り出される。
【0012】
キャリアテープ20は、複数の電子部品が収容されるベーステープ21と、電子部品が落ちないように蓋をするカバーテープ22との二層で構成されている。そして、電子部品をピックアップするノズル吸着位置(部品取出し位置)Pの手前で、アッパーカバー5によってカバーテープ22がベーステープ21から引き剥がされるようになっている。
ベーステープ21から引き剥がされたカバーテープ22は、対向する一対の回収ローラ6によって搬送方向Hと逆方向の回収方向Kに牽引され、導入口8aからカバーテープ収容部8内に収容される。回収ローラ6は、プルモータ7を動力源として回転する。
【0013】
また、フィーダベース2の前端部の下面には、基準ピン11が設けられている。この基準ピン11は、電子部品実装装置におけるテープフィーダ1の取付け台であるフィーダーバンクとの接合部1aに設けられており、電子部品実装装置への装着時にフィーダーバンクに連結固定されるものである。
さらに、フィーダベース2の下面には、後述するフィーダーバンクの各部材とそれぞれ係合するスライドレール31と、基準ピン32と、Y方向ストッププレート33とが設けられている。
なお、本明細書実施例中におけるY方向とはキャリアテープ20の搬送方向H(図1の左右方向)を意味し、X方向とはフィーダベース2の幅方向(図1の紙面垂直方向)を意味する。
【0014】
先ず、基準ピン11周辺の具体的構成について、図2及び図3を参照しながら説明する。
図2に示すように、基準ピン11は、基準ピンブロック12の中央部に、その一部をフィーダベース2の下方に突出させた状態で固定されている。
基準ピンブロック12には、基準ピンブロック12をフィーダベース2に固定するための長穴形状の固定穴12aが形成されており、基準ピンブロック12は段ねじ13によってフィーダベース2の下面に取り付けられている。
このとき、基準ピンブロック12は、固定穴12aの長穴長手方向がフィーダベース2の幅方向(X方向)に一致するように、フィーダベース2に取り付けられる。すなわち、基準ピンブロック12は、固定穴12aの長穴長手側寸法の範囲で自由に可動する構成となっている。
【0015】
また、フィーダベース2における基準ピンブロック12の取り付け位置近傍には、アクチュエータ固定ブロック15がねじ固定されている。このアクチュエータ固定ブロック15は、圧電アクチュエータ16を保持している。
圧電アクチュエータ16は、後述する制御基板からの指令により駆動電圧が制御され、当該駆動電圧に応じてX方向に変位する。
【0016】
圧電アクチュエータ16の非作動時には、図3(a)に示すように、基準ピンブロック12は、ばね等の弾性体14によって圧電アクチュエータ15側に付勢されることで、アクチュエータ固定ブロック15及び圧電アクチュエータ16に一定の力で押し付けられる。つまり、圧電アクチュエータ16の非作動時には、基準ピンブロック12は弾性体14の付勢力によりX方向最大側に位置する。
【0017】
一方、圧電アクチュエータ16の作動時には、圧電アクチュエータ16に図中右方向に変位しようとする力が発生し、この力が弾性体14の付勢力に打ち勝つことにより、図3(b)に示すように、圧電アクチュエータ16が図中右方向(X方向マイナス側)に変位する。このとき、基準ピンブロック12も、圧電アクチュエータ16の変位に伴ってX方向マイナス側に変位する。
【0018】
図1に戻って、テープフィーダ1は、ロックリリースレバー35と、ロックスプリング36とを備える。これらは、テープフィーダ1のフィーダーバンクへの装着を固定するためのものであり、図4(a)及び(b)に示すように、ロックリリースレバー35を上下に動かすことにより、ロックスプリング36によるロック機構が動作する。ここでは、ロックリリースレバー35を下方向へ下げることでロック解除状態とし、ロックリリースレバー35を上方向へ上げることでロック状態とする。
【0019】
次に、電子部品実装装置の構成について説明する。
図5は、電子部品実装装置を示す平面図である。
図中、符号50は電子部品実装装置である。この電子部品実装装置50は、基台51の上面にX方向に延在する一対の搬送レール52を備える。この搬送レール52は、回路基板Cの両側辺部を支持し、搬送用モータ(図示せず)により駆動されることで回路基板CをX方向に搬送する。
【0020】
また、電子部品実装装置50は搭載ヘッド53を備える。この搭載ヘッド53は、下部に電子部品を吸着する複数の吸着ノズルを備え、X軸ガントリ54及びY軸ガントリ55により、基台51上をXY方向に水平移動可能に構成されている。
この電子部品実装装置50には、搬送レール52のY方向両側に、複数のテープフィーダ1が装着される。そして、テープフィーダ1から供給された電子部品は、搭載ヘッド53の吸着ノズルによって真空吸着され、回路基板C上に実装搭載される。
また、テープフィーダ1と回路基板Cとの間には、CCDカメラからなる認識カメラ56を配置する。この認識カメラ56は、電子部品の吸着位置ずれ(吸着ノズルの中心位置と吸着した部品の中心位置とのずれ)や、吸着角度ずれ(傾き)を検出するために、吸着ノズルで吸着した電子部品を撮像するものである。
【0021】
次に、電子部品実装装置50のフィーダーバンクの構成について説明する。
図6は、フィーダーバンクの構成を示す部分斜視図であり、図5のα部を示している。
図中、符号61はフィーダーバンクである。このフィーダーバンク61は、複数のテープフィーダ1を並列状態で着脱可能に保持するものであり、テープフィーダ1の装着方向(Y方向)に延在する複数のガイドレール62を備える。また、テープフィーダ1の装着方向前方には、テープフィーダ1の前端部に設けられた基準ピン11が挿入される基準ピンガイド63が設けられている。
【0022】
基準ピンガイド63は、図7にその平面図を示すように、ガイドレール62側に開口部を有する略U字状に形成されている。
このような構成により、テープフィーダ1をフィーダーバンク61に装着する際には、先ず、テープフィーダ1をフィーダーバンク61のガイドレール62間に、テープフィーダ1のスライドレール31がガイドレール62の下に配置するように挿入する。そして、図8に示すように、テープフィーダ1を装着方向へスライドさせる。
【0023】
図9(a)に示すように、基準ピンガイド63は、テープフィーダ1前端部に設けられた基準ピン11と当接可能な位置に設けられている。そのため、テープフィーダ1を装着方向にスライドさせていくと、図9(b)に示すように、基準ピン11は基準ピンガイド63と嵌合することになる。このとき、Y方向ストッププレート33がフィーダーバンク61の所定の当接面と当接する位置でテープフィーダ1が停止する。
【0024】
また、図8に示すように、フィーダーバンク61には、テープフィーダ1に設けられた基準ピン32が挿入される基準ピンガイド65が設けられている。図9(b)に示すように、Y方向ストッププレート33がフィーダーバンク61の所定の当接面と当接する位置までテープフィーダ1を挿入した状態では、基準ピン32は基準ピンガイド65に挿入された状態となる。
【0025】
さらに、図10に示すように、基準ピンガイド65の下方近傍には、テープフィーダ1のロックスプリング36と係合可能なロックシャフト64がX方向に延在している。そして、図9(b)に示す状態で、作業者がロックリリースレバー35を上方向に持ち上げると、ロックスプリング36が作動して、図10に示すようにロックスプリング36がロックシャフト64に係合する。これにより、テープフィーダ1がフィーダーバンク61に固定される。
【0026】
テープフィーダ1がフィーダーバンク61に固定され、作業者が所定の作業スイッチを操作すると、テープフィーダ1は、フィードモータ4に対して駆動及び停止を繰り返し指令することで、キャリアテープ20を一定量ずつ搬送方向Hに繰り出す。また、電子部品実装装置50は、部品吸着ノズルを制御して、ノズル吸着位置Pにおいてベーステープ21から電子部品を吸着し基板上の所定位置に搭載する。
このとき、電子部品実装装置50側では、認識カメラ56によって電子部品の形状を認識すると共に、電子部品の所望の吸着位置と実際の吸着位置とのX方向におけるズレ量を検知する。なお、ここで、上記所望の吸着位置は電子部品の中心位置に設定する。
【0027】
次に、テープフィーダ1の制御基板であるフィーダ基板について説明する。
図11は、フィーダ基板の回路ブロック図である。
この図11に示すように、フィーダ基板70は、DCコンバータ71と、通信回路72と、CPU73と、メモリ74と、モータ駆動回路75と、アクチュエータ駆動回路76とを備える。
DCコンバータ71は、電源41から供給される電力を変換する。
通信回路72は、電子部品実装装置50の制御基板44が有するマウンタI/F45との通信を行う回路であり、電子部品実装装置50側から入力された情報をCPU73に出力する。ここでは、認識カメラ56で撮影した画像データに基づいて認識装置46で算出した、部品吸着位置のX方向のズレ量をマウンタI/F45を介して入力する。
【0028】
CPU73には、上記以外に、作業者が操作する操作スイッチ(SW)42やテープ送り量を検出するセンサ43からの信号も入力する。そして、これら信号に基づいて、モータ駆動回路75及びアクチュエータ駆動回路76に対して、電動モータ4,7や圧電アクチュエータ16を駆動制御するための指令信号を出力する。
メモリ74には、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値が記憶される。このメモリ74に記憶された圧電アクチュエータ16の駆動電圧値は、CPU73によって読み出し及び書き換えが可能となっている。
【0029】
モータ駆動回路75は、CPU73からの指令信号に基づいて電動モータ(フィードモータ4やプルモータ7)を駆動制御する。また、アクチュエータ駆動回路76は、CPU73からの指令信号に基づいて圧電アクチュエータ16を駆動制御する。
図12は、CPU73で実行する吸着位置調整処理手順を示すフローチャートである。
この吸着位置調整処理は、電源投入時に実行開始し、先ずステップS1で、CPU73は、メモリ74に記憶している圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を読み出し、ステップS2に移行する。
ステップS2では、CPU73は、前記ステップS1で読み出した駆動電圧値で圧電アクチュエータ16を駆動制御するための指令信号を、アクチュエータ駆動回路76に対して出力する。
【0030】
次に、ステップS3では、CPU73は、通信回路72を介して電子部品実装装置50側から入力した実際の部品吸着位置と所望の部品吸着位置とのX方向のズレ量が、予め設定した一定値以内であるか否かを判定する。ここで、当該一定値は、実際の部品吸着位置と所望の部品吸着位置とのX方向のズレ量の許容範囲内の値に設定する。そして、ズレ量が一定値以内である場合にはステップS4に移行し、ズレ量が一定値を超えている場合には後述するステップS7に移行する。
【0031】
ステップS4では、CPU73は、現在の圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をメモリ74に記憶し、ステップS5に移行する。
ステップS5では、CPU73は、アクチュエータ駆動回路76に対して、現在の圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をそのまま保持するための指令信号を出力し、ステップS6に移行する。
ステップS6では、CPU73は、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を保持し始めてから予め設定した一定時間が経過したか否かを判定する。そして、一定時間が経過していない場合には一定時間が経過するまで待機し、一定時間が経過したら前記ステップS3に移行する。
【0032】
また、ステップS7では、CPU73は、部品吸着位置のX方向のズレ量がプラス側であるか、すなわち実際の部品吸着位置が所望の部品吸着位置に対してプラス側に位置しているか否かを判定する。そして、ズレ量がプラス側である場合にはステップS8に移行し、アクチュエータ駆動回路76に対して、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を現在の駆動電圧値から予め設定した所定値だけ上げた駆動電圧値とするための指令信号を出力して前記ステップS3に移行する。
【0033】
一方、前記ステップS7で、ズレ量がマイナス側であると判定した場合にはステップS9に移行し、アクチュエータ駆動回路76に対して、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を現在の駆動電圧値から予め設定した所定値だけ下げた駆動電圧値とするための指令信号を出力して前記ステップS3に移行する。
なお、基準ピン11、基準ピンブロック12及び弾性体14が連結部に対応し、基準ピンガイド63が連結穴に対応し、圧電アクチュエータ16がアクチュエータに対応し、アクチュエータ駆動回路76及び図11のステップS3,S7〜S9が駆動制御手段に対応し、認識カメラ56及び認識装置46がズレ量検出手段に対応している。
【0034】
(動作)
次に、本実施形態の動作について説明する。
テープフィーダ1を電子部品実装装置50のフィーダーバンク61に装着し、電子部品実装装置50において電子部品の供給作動がなされると、テープフィーダ1はフィーダモータ4を駆動制御してキャリアテープ20を搬送方向Hに送り出す。このとき、吸着位置Pの手前でベーステープ21からカバーテープ22が引き剥がされ、ベーステープ21はそのまま搬送方向Hに送られる。そして、吸着位置Pで搭載ヘッド53の吸着ノズルによって電子部品が吸着される。吸着された電子部品は、電子部品実装装置50に固定された回路基板C上の所定位置に装着される。
【0035】
このとき、認識カメラ56で電子部品のX方向の吸着位置ずれを確認する。このX方向のズレ量は、所望の部品吸着位置(電子部品の中心位置)に対する実際の部品吸着位置のX方向のズレ量であり、電子部品実装装置50側からフィーダ基板70の通信回路72を介してCPU73に入力される。そしてCPU73は、入力されたズレ量が一定値以内であるか否かを判定し、その判定結果に応じて実際の部品吸着位置が所望の部品吸着位置となるように、圧電アクチュエータ16を駆動制御する。
図13は、基準ピン位置P1と所望の吸着位置P2との関係を示す図であり、フィーダベース2を部品吸着側から見た図である。
【0036】
ここで、基準ピン位置P1は、電子部品実装装置50に形成された基準ピンガイド63の位置であり、実際の部品吸着位置のX方向位置は基準ピン位置P1のX方向位置と等しい。
この図13において、(1)に示すテープフィーダ1については、基準ピン位置P1のX方向位置と所望の吸着位置P2のX方向位置とが等しくなっている。すなわち、部品吸着位置のズレ量は零である(ステップS3でYes)。したがって、フィーダ基板70のCPU73は、(1)の基準ピン11に対応する圧電アクチュエータ16の現在の駆動電圧値をメモリ74に記憶し(ステップS4)、アクチュエータ駆動回路76に対して、現在の圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をそのまま保持するための指令信号を出力する(ステップS5)。これにより、基準ピン位置P1は図13の(1)に示す状態を維持する。そのため、電子部品実装装置50による部品実装処理において、搭載ヘッド53の吸着ノズルによって電子部品の中心部が吸着され、回路基板Cへの部品搭載を安定して行うことができる。
【0037】
また、(2)に示すテープフィーダ1については、基準ピン位置P1のX方向位置が所望の吸着位置P2に対してマイナス側に一定値以下のAだけずれている(ステップS3でYes)。したがって、この場合にも、上述した(1)に示すテープフィーダ1と同様に、(2)の基準ピン11に対応する圧電アクチュエータ16の現在の駆動電圧値をそのまま保持し(ステップS5)、基準ピン位置P1を図13の(2)に示す状態に維持する。
【0038】
一方、(3)に示すテープフィーダ1については、基準ピン位置P1のX方向位置が所望の吸着位置P2に対してマイナス側に一定値を超えるA´ずれている(ステップS3でNo、ステップS7でNo)。したがって、フィーダ基板70のCPU73は、(3)の基準ピン11に対応する圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を予め設定した所定値だけ下げるべく、アクチュエータ駆動回路76に対して指令信号を出力する(ステップS9)。
【0039】
これにより、(3)の基準ピン11に対応する圧電アクチュエータ16は、駆動電圧値の低下に応じてX方向プラス側に変位し、基準ピン11のX方向位置はフィーダベース2に対して相対的にプラス側へ移動する。基準ピン11は、基準ピンガイド63に対して相対変位不可に連結固定されているため、基準ピン11のX方向位置がフィーダベース2に対して相対的にプラス側へ移動すると、所望の吸着位置P2はフィーダーバンク61に対して相対的にマイナス側へ移動する。つまり、部品吸着位置のズレ量A´が小さくなる。
【0040】
そして、このズレ量A´が一定値以内となるまで圧電アクチュエータ16の駆動電圧値を徐々に低下していき、ズレ量A´が一定値以内となると(ステップS3でYes)、その時点での圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をメモリ74に記憶し(ステップS4)、アクチュエータ駆動回路76に対して、現在の圧電アクチュエータ16の駆動電圧値をそのまま保持するための指令信号を出力する(ステップS5)。これにより、基準ピン位置P1と吸着位置P2とのズレ量が一定値以内となる状態を維持する。
このように、X方向の部品吸着位置が所望の位置となるように調整することができるため、上記所望の位置を電子部品の中心位置に設定すれば、実際の部品吸着位置が電子部品の中心位置となるように調整することができる。そのため、吸着ノズルによる部品吸着率を向上させることができる。
【0041】
また、このとき、部品吸着位置の調整を、圧電アクチュエータ16を用いて電気的に行うので、微小単位での位置調整を迅速に行うことができる。
ところで、電子部品実装装置50の搭載ヘッド53には複数の吸着ノズルが搭載されており、複数の吸着ヘッドによって複数の電子部品を同時吸着して部品実装処理を行う。一般に、吸着ノズル間の距離は一定である。
【0042】
ところが、図14(a)に示すように、(1)〜(4)のテープフィーダ間距離がそれぞれ異なると、電子部品の同時吸着を適切に行うことができない。すなわち、吸着ノズル間の距離がそれぞれAであるものとすると、(1)の吸着位置P2と(2)の吸着位置P2との距離がA、(2)の吸着位置P2と(3)の吸着位置P2との距離がB、(3)の吸着位置P2と(4)の吸着位置P2との距離がCである場合(A<B<C)、(1)及び(2)では略中心位置で電子部品の吸着を行うことができるが、(3)及び(4)では電子部品の吸着位置が中心位置から大きくずれてしまう。
【0043】
しかしながら、本実施形態では、各テープフィーダ1において、基準ピン位置P1と所望の吸着位置P2とのX方向のズレ量が一定値以内となるように調整するので、図14(b)に示すように、(1)〜(4)の吸着位置P2間の距離を一定とすることができる。これにより、複数の電子部品の同時吸着を適切に行うことができる。
図15は、圧電アクチュエータ16の駆動電圧値と圧電アクチュエータの変位量との関係を示す図である。
【0044】
圧電アクチュエータ16の駆動電圧値とその変位量とは、この図15に示すようにヒステリシスを持ち、一対一対応ではない。そのため、本実施形態では、電源ON時には、前回の駆動電圧値をメモリ74から読み出し(ステップS1)、その駆動電圧値で圧電アクチュエータ16を動作させ(ステップS2)、ズレ量が一定値以内となるように駆動電圧値を調整し(ステップS3,ステップS7〜S9)、ズレ量が一定値以内となったところでメモリ74に記憶した駆動電圧値をその時点での駆動電圧値で更新する(ステップS4)。そして、その後は、その駆動電圧値を保持し(ステップS5)、一定時間後に再度ズレ量を確認する(ステップS6→ステップS3)。これにより、より適切な位置調整が可能となる。
【0045】
(効果)
このように、上記実施形態では、フィーダベースのフィーダーバンクとの接合部に基準ピンを設け、この基準ピンをフィーダーバンクに形成された基準ピンガイドに連結固定すると共に、基準ピンのフィーダベースに対するX方向相対位置を変更可能な構成とする。そして、基準ピンのフィーダベースに対するX方向相対位置を、圧電アクチュエータを駆動制御することで調整する。したがって、X方向の電子部品実装装置に対する電子部品の取り出し位置調整を、微小単位(数十μm単位)で迅速に行うことができる。
【0046】
また、駆動電圧に応じて微小変位が可能な圧電素子を用いた圧電アクチュエータによって、基準ピンのフィーダベースに対するX方向相対位置を調整するので、高精度の位置調整が可能である。
さらに、電子部品実装装置側に設けられた認識カメラによって、吸着ノズルによる実際の電子部品の吸着位置と所望の吸着位置とのX方向のズレ量を検出し、このズレ量が許容範囲内となるように圧電アクチュエータを駆動制御するので、実際の部品吸着位置を確実に所望の位置に調整することができる。このとき、所望の位置を電子部品の中心位置に設定すれば、実際の部品吸着位置を確実に電子部品の中心位置に調整することができ、電子部品の吸着率を向上させることができる。
【0047】
(変形例)
なお、上記実施形態においては、基準ピンブロック12を押圧する手段として、圧電アクチュエータ16を用いる場合について説明したが、これに代えてモータやエアシリンダ等を用いてもよい。
また、上記実施形態においては、基準ピンブロック12をフィーダベース2の下面に配置し、基準ピン11をフィーダベース2の下方に突出させる構成とする場合について説明したが、基準ピン11のX方向位置をフィーダベース2に対して相対的に移動可能な構成であればよい。例えば、基準ピンブロック12をフィーダベース2の前面に配置し、基準ピン11をフィーダベース2の前方に突出させる構成であってもよい。
【0048】
さらに、上記実施形態においては、弾性体14と圧電アクチュエータ16とを基準ピンブロック12を挟んで対向配置する場合について説明したが、弾性体14の付勢力と圧電アクチュエータ16の押圧力とがX方向において逆方向に作用すればよく、弾性体14と圧電アクチュエータ16とを基準ピンブロック12の片側に配置することもできる。
また、上記実施形態においては、電子部品実装装置50に設けた認識カメラ56で部品吸着位置のズレ量を検知する場合について説明したが、当該ズレ量を検知する手段をテープフィーダ1側に設けることもできる。
【符号の説明】
【0049】
1…電子部品供給装置(テープフィーダ)、1a…接合部、2…フィーダベース、3…スプロケット、4…フィードモータ、5…アッパーカバー、6…回収ローラ、7…プルモータ、8…カバーテープ収容部、8a…導入口、11…基準ピン(連結部)、12…基準ピンブロック(連結部)、12a…固定穴、13…段ねじ、14…弾性体(連結部)、15…アクチュエータ固定ブロック、16…圧電アクチュエータ(アクチュエータ)、20…キャリアテープ、21…ベーステープ、22…カバーテープ、31…スライドレール、32…基準ピン、35…ロックリリースレバー、36…ロックスプリング、50…電子部品実装装置、51…基台、52…搬送レール、53…搭載ヘッド、54…X軸ガントリ、55…Y軸ガントリ、56…認識センサ(ズレ量検出手段)、61…フィーダーバンク(取付け台)、62…ガイドレール、63…基準ピンガイド(連結穴)、64…ロックシャフト、65…基準ピンガイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品実装装置の取付け台に対して分離・連結可能に構成されており、前記取付け台に連結された状態で、電子部品を前記電子部品実装装置の吸着ノズルによる部品取出し位置へ順次供給する電子部品供給装置であって、
前記取付け台との接合部に設けられ、前記取付け台に連結固定されると共に、電子部品供給ユニットのベースに対する前記ベースの幅方向の相対位置が変更可能な連結部と、
前記連結部の前記相対位置を調整するアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする電子部品供給装置。
【請求項2】
前記吸着ノズルによる実際の電子部品の吸着位置と所望の吸着位置との前記ベースの幅方向のズレ量を検出するズレ量検出手段を備え、
前記駆動制御手段は、前記ズレ量検出手段で検出したズレ量が所定の許容範囲内となるように、前記アクチュエータを駆動制御することを特徴とする請求項1に記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記所望の吸着位置は、電子部品の中心位置であることを特徴とする請求項2に記載の電子部品供給装置。
【請求項4】
前記連結部は、前記取付け台に形成された連結穴と嵌合する基準ピンと、前記基準ピンを前記ベースの幅方向における一方向へ付勢する弾性体と、を備え、
前記アクチュエータは、作動状態において、前記弾性体の付勢力に抗する方向に前記連結部を押圧するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電子部品供給装置。
【請求項1】
電子部品実装装置の取付け台に対して分離・連結可能に構成されており、前記取付け台に連結された状態で、電子部品を前記電子部品実装装置の吸着ノズルによる部品取出し位置へ順次供給する電子部品供給装置であって、
前記取付け台との接合部に設けられ、前記取付け台に連結固定されると共に、電子部品供給ユニットのベースに対する前記ベースの幅方向の相対位置が変更可能な連結部と、
前記連結部の前記相対位置を調整するアクチュエータと、
前記アクチュエータを駆動制御する駆動制御手段と、を備えることを特徴とする電子部品供給装置。
【請求項2】
前記吸着ノズルによる実際の電子部品の吸着位置と所望の吸着位置との前記ベースの幅方向のズレ量を検出するズレ量検出手段を備え、
前記駆動制御手段は、前記ズレ量検出手段で検出したズレ量が所定の許容範囲内となるように、前記アクチュエータを駆動制御することを特徴とする請求項1に記載の電子部品供給装置。
【請求項3】
前記所望の吸着位置は、電子部品の中心位置であることを特徴とする請求項2に記載の電子部品供給装置。
【請求項4】
前記連結部は、前記取付け台に形成された連結穴と嵌合する基準ピンと、前記基準ピンを前記ベースの幅方向における一方向へ付勢する弾性体と、を備え、
前記アクチュエータは、作動状態において、前記弾性体の付勢力に抗する方向に前記連結部を押圧するように構成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電子部品供給装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−33735(P2012−33735A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172425(P2010−172425)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000003399)JUKI株式会社 (1,557)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]