電子部品保持装置,電子部品装着システムおよび電子部品装着方法
【課題】吸着ノズルを保持するノズルヘッドのヘッド保持部材に対する着脱が容易な電子部品保持装置,電子部品装着システム,電子部品装着方法を提供する。
【解決手段】ヘッド保持部材52の吸着面130をリボルバヘッド56の被吸着面200に密着させてヘッド吸着用負圧室204を形成し、リボルバヘッド56を負圧により吸着し、回転,昇降させる。リボルバヘッド56は12個ずつの吸着ノズル212,バルブ装置264を備え、ヘッド保持部材52の昇降に連動してレバー駆動部材510を回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310に係合させて吸着ノズル212を機械的に昇降させ、バルブ装置264を負圧供給状態と正圧供給状態とに機械的に切り換えさせ、吸着ノズル212に電子部品を吸着,装着させる。
【解決手段】ヘッド保持部材52の吸着面130をリボルバヘッド56の被吸着面200に密着させてヘッド吸着用負圧室204を形成し、リボルバヘッド56を負圧により吸着し、回転,昇降させる。リボルバヘッド56は12個ずつの吸着ノズル212,バルブ装置264を備え、ヘッド保持部材52の昇降に連動してレバー駆動部材510を回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310に係合させて吸着ノズル212を機械的に昇降させ、バルブ装置264を負圧供給状態と正圧供給状態とに機械的に切り換えさせ、吸着ノズル212に電子部品を吸着,装着させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品保持装置,電子部品装着システムおよび電子部品装着方法に関するものであり、特に、複数の吸着ノズルの各々により電子部品を保持するノズルヘッドがヘッド保持部材により着脱可能に保持される電子部品保持装置,その電子部品保持装置を備えた電子部品装着システムおよびその電子部品保持装置による電子部品の装着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子部品保持装置は、例えば、下記の特許文献1に記載されているように既に知られている。この電子部品保持装置は電子部品装着システムに設けられ、複数種類のノズルヘッドがヘッド保持部材により択一的に保持される。これらノズルヘッドはそれぞれ、保持する吸着ノズルの種類,数を異にし、回路基板に装着される電子部品の種類,数等に応じた吸着ノズルを保持したノズルヘッドがヘッド保持部材に保持される。
【0003】
そのため、ヘッド保持部材には、ヘッド固定装置が設けられている。ヘッド固定装置は、係止ピンおよび係止ピン作動装置を含む。係止ピン作動装置はカム板を備え、作業者がロッドを回転操作してカム板を回転させることにより、係止ピンが昇降させられる。ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる際には、作業者はカム板を回転させ、係止ピンを退避位置へ退避させた状態でノズルヘッドをヘッド保持部材にセットするとともに、カム板を逆方向に回転させ、係止ピンを作用位置へ移動させてノズルヘッドに設けられたローラに係合させる。ノズルヘッドをヘッド保持部材から取り外す場合には、作業者は逆の操作を行い、係止ピンによる係止を解除してノズルヘッドをヘッド保持部材から取り外す。
【特許文献1】特開2004−221518公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ヘッド固定装置を操作しつつノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させることは面倒であり、ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する取付け,取外しに時間がかかり、装着能率の低下を招来する。
本発明は、以上の事情に鑑みて為されたものであり、ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する着脱が容易な電子部品保持装置,電子部品装着システムおよび電子部品装着方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電子部品保持装置は、上記の課題を解決するために、(a)複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、(b)ヘッド保持部を備え、そのヘッド保持部において前記1つ以上の複ノズルヘッドを択一的に保持するヘッド保持部材とを含み、前記ヘッド保持部と、前記複ノズルヘッドの被保持部との少なくとも一方に、ヘッド用負圧供給通路に接続されるとともに他方と共同してヘッド吸着用負圧室を形成する負圧室用凹部を設けたことを特徴とする。
複ノズルヘッドが3つ以上の吸着ノズルを保持する多ノズルヘッドを含む場合、多ノズルヘッドは、例えば、発明の態様の項の(2)項に記載の多ノズルヘッドでもよく、一直線上の3つ以上の位置に、その一直線と直交する姿勢で3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドでもよく、互いに交差する複数本ずつの直線の3つ以上の交点の位置に、それら直線と直交する姿勢で3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドでもよい。
【発明の効果】
【0006】
複ノズルヘッドは、ヘッド吸着用負圧室に供給される負圧により、ヘッド保持部材によって吸着され、保持される。そのため、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる場合には、両者を合わせてヘッド吸着用負圧室を形成させるとともにそのヘッド吸着用負圧室に負圧を供給すればよく、ヘッド保持部材から外す場合には、ヘッド吸着用負圧室の負圧を解除して複ノズルヘッドとヘッド保持部材とを離せばよいのであり、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に容易に着脱することができる。また、複数の吸着ノズルはノズルヘッドごと一斉にヘッド保持部材に対して着脱され、複数の吸着ノズルの着脱あるいは交換を容易にかつ短時間で行うことができる。
複ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する取付け,取外しは、作業者が行ってもよく、取付・取外装置により自動で行ってもよい。自動で行えば、複ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する着脱が更に容易になる。
電子部品保持装置が複ノズルヘッドを複数有する場合、それら複ノズルヘッドは、吸着ノズルの配設ピッチを互いに異にする複ノズルヘッドであって、保持する電子部品の種類に応じた種類,数の吸着ノズルがスペース効率良く保持された複ノズルヘッドであることが望ましい。複数の複ノズルヘッドを有する場合、複ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する着脱は、ヘッド保持部材に対する複ノズルヘッドの交換となり、取付・取外装置はヘッド自動交換装置となる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(5)項と(9)項とを合わせたものが請求項5に、(10)項が請求項6に、(16)項が請求項7に、(20)項と(21)項とを合わせたものが請求項8に、(22)項が請求項9に、(27)項が請求項10に、(28)項が請求項11に、(11)項と(29)項とを合わせたものが請求項12に、(30)項が請求項13に、(32)項が請求項14に、(36)項が請求項15に、(37)項が請求項16にそれぞれ相当する。
【0009】
(1)複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、
ヘッド保持部を備え、そのヘッド保持部において前記1つ以上の複ノズルヘッドを択一的に保持するヘッド保持部材と
を含み、前記ヘッド保持部と、前記複ノズルヘッドの被保持部との少なくとも一方に、ヘッド用負圧供給通路に接続されるとともに他方と共同してヘッド吸着用負圧室を形成する負圧室用凹部が設けられた電子部品保持装置。
(2)前記1つ以上の複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドを1つ以上含む(1)項に記載の電子部品保持装置。
(3)前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルに負圧を供給する第一負圧供給系と、前記複数の吸着ノズルに正圧を供給する第一正圧供給系とを備え、前記ヘッド保持部材が、前記複ノズルヘッドが前記ヘッド保持部に保持されるのに伴って、前記第一負圧供給系および前記第一正圧供給系とそれぞれ連通する第二負圧供給系および第二正圧供給系を備えた(1)項または(2)項に記載の電子部品保持装置。
吸着ノズルは負圧の供給により電子部品を吸着し、正圧の供給により電子部品を解放しあるいは吸着ノズル内が清掃される。複ノズルヘッドがヘッド保持部材に保持されるとき、吸着ノズルに負圧および正圧が供給される状態が簡単に得られ、ヘッド保持部材の負圧による複ノズルヘッドの保持の容易さの利点を効果的に享受することができる。
なお、本項および(5)項ないし(33)項にそれぞれ記載の各特徴は、(1)項および(2)項に記載の各特徴とは独立して採用することができる。
(4)前記第一負圧供給系と前記第二負圧供給系とが前記負圧室用凹部を介して互いに連通し、前記ヘッド用負圧供給通路が前記第二負圧供給系の負圧供給通路を兼ねる(3)項に記載の電子部品保持装置。
第二負圧供給系とヘッド用負圧供給通路とを別個に設けることもできる。しかし、本項の電子部品保持装置によれば、ヘッド保持部材を簡易に構成することができる。
(5)前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルの各々に対して設けられ、各吸着ノズルをそれぞれ、少なくとも前記第一負圧供給系に連通させる状態と前記第一正圧供給系に連通させる状態とに切り換えが可能な複数のバルブ装置を含む(3)項または(4)項に記載の電子部品保持装置。
複数の吸着ノズルについて個々に負圧,正圧の供給の切換えが行われる。バルブ装置は、切換えを電気的に行うものとすることも、機械的に行うものとすることもできる。
(6)前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルを保持する複数のノズル保持部と、前記複数のバルブ装置を保持する複数のバルブ装置保持部とを備え、前記ヘッド保持部材に負圧により吸着されるヘッド本体を含む(5)項に記載の電子部品保持装置。
(7)前記複数の吸着ノズルの各々と前記ヘッド本体とを相対的に昇降させる相対昇降装置を含む(6)項に記載の電子部品保持装置。
例えば、複数の吸着ノズルのうちの少なくとも1つを選択して昇降させ、電子部品の吸着,解放を行わせることができる。相対昇降装置は、吸着ノズルとヘッド本体とを電気的に相対昇降させる装置とすることも、機械的に相対昇降させる装置とすることもできる。
(8)前記複数のバルブ装置の各々を切り換えるバルブ切換装置を含む(5)項ないし(7)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
バルブ切換装置は、複数のバルブ装置の各々について設けてもよく、共通に設けてもよい。共通に設ければ、電子部品保持装置を簡易に構成することができる。
(9)当該電子部品保持装置が、
前記ヘッド保持部材を前記吸着ノズルに平行な方向に昇降可能に保持する保持装置本体と、
その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材を相対的に昇降させるヘッド保持部材昇降装置と
を含む(5)項ないし(8)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
ヘッド保持部材の昇降により、複ノズルヘッドを昇降させることができる。
(10)前記保持装置本体に保持され、前記ヘッド保持部材の昇降に連動して前記バルブ装置を機械的に切り換えるバルブ切換装置を含む(9)項に記載の電子部品保持装置。
本項のバルブ装置は、正圧供給状態と負圧供給状態とに機械的に切り換えられるバルブ装置とされる。そのため、バルブ装置の切換えが電気的に為される場合のように、複ノズルヘッドおよびヘッド保持部材における電気配線や、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる際の電気的な接続が不要であり、負圧によるノズルヘッド着脱の利点を損なうことなく、吸着ノズルへの負圧,正圧の供給の切換えを行うことができる。また、ヘッド保持部材の昇降の利用により、バルブ切換装置を簡易に構成することができる。
(11)前記バルブ装置が、前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体に、前記複数の吸着ノズルの各々と平行な方向に移動可能に保持された少なくとも1つのバルブスプールを含み、前記バルブ切換装置が、前記ヘッド保持部材の下降に伴って前記バルブスプールの被係合部に係合し、そのバルブスプールを前記ヘッド本体に対して相対移動させるバルブ切換部材を含む(10)項に記載の電子部品保持装置。
(12)前記バルブスプールの前記被係合部が、そのバルブスプールの軸線に平行な方向の位置が段階的に異なる複数の被係合面を備えた(11)項に記載の電子部品保持装置。
バルブ切換部材が係合する被係合面の選択により、ヘッド保持部材の下降に対するバルブ装置の切換タイミングを変えることができる。
(13)前記バルブ装置が、前記バルブスプールの、前記バルブ切換装置により移動させられた位置を維持するスプール位置維持装置を含む(11)項または(12)項に記載の電子部品保持装置。
バルブスプールが所定の位置に移動させられた状態に保たれ、吸着ノズルへの負圧,正圧の供給,遮断が正確に行われる。
(14)前記スプール位置維持装置が、前記バルブスプールが嵌合されるスプール孔の内周面に開口する圧力室であって、前記バルブスプールにそれの軸線に対して非対称に圧力を作用させる形状を有する非対称圧力室を含む(13)項に記載の電子部品保持装置。
バルブスプールは、軸線に対して一方の側から他方の側に向かって作用させられる圧力によってスプール孔の内周面に押し付けられ、摩擦により位置が維持される。機械的なブレーキ装置を設けてバルブスプールの位置を維持する場合に比較して、寿命の長いスプール位置維持装置が得られる。
(15)前記複数のバルブ装置の各々が、前記複数の吸着ノズルの各々を前記第一負圧供給系に接続する複数の個別通路の各々に設けられ、第一バルブスプールを備えて前記吸着ノズルを前記第一負圧供給系に連通させる負圧供給状態と前記第一正圧供給系に連通させる正圧供給状態とに切換え可能な第一バルブと、その第一バルブと前記第一負圧供給系との間に設けられ、第二バルブスプールを備えて前記第一バルブと前記第一負圧供給系とを連通させる負圧供給状態と前記第一バルブと前記第一負圧供給系とを遮断する負圧不供給状態とに切換え可能な第二バルブとを含む(5)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
第一,第二バルブの各々の切換えの組合わせにより、吸着ノズルに負圧あるいは正圧が供給され、供給が遮断される。1つのバルブにより正圧供給状態,負圧供給状態,正圧・負圧不供給状態の3つの状態を得るようにすることも可能である。しかし、バルブスプールを2つ設ければ、各バルブスプールをそれぞれ2つの位置に移動させることによりバルブ装置の切換えを行うことができ、切換え動作が容易である。
(16)前記保持装置本体に保持され、前記ヘッド保持部材の昇降に機械的に連動して前記複数の吸着ノズルの任意のものを前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体に対して相対的に昇降させる相対昇降装置を含む(9)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
ヘッド保持部材の昇降の利用により、相対昇降装置を簡易に構成することができる。また、吸着ノズルとヘッド本体とを機械的に相対移動させるものであるため、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる際の電気的な接続が不要である。
(17)前記複ノズルヘッドが、それぞれ一対のアームを備え、前記ヘッド本体に、前記複数の吸着ノズルの各々の軸線と直角に立体交差する回動軸線のまわりに回動可能に保持され、前記一対のアームの一方が前記複数の吸着ノズルの各々と連携させられた回動レバーを含み、前記相対昇降装置が、その回動レバーの前記一対のアームの前記一方とは別のアームに係合して、その回動レバーを回動させるレバー駆動部材を含む(16)項に記載の電子部品保持装置。
(18)前記レバー駆動部材が、前記ヘッド保持部材の昇降に連動して前記バルブ装置を切り換えるバルブ切換部材を兼ねる(17)項に記載の電子部品保持装置。
吸着ノズルとヘッド本体との相対的な昇降時に、吸着ノズルへの気体供給の切換えが必要とされることが多く、レバー駆動部材にバルブ切換部材を兼ねさせることは容易であり、電子部品保持装置を簡易に構成することができる。
(19)前記第一正圧供給系が、正圧を減圧する作用状態と、正圧を減圧しない非作用状態とに切り換えが可能な減圧バルブを含む(3)項ないし(18)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
吸着ノズルに減圧されない正圧と、減圧された正圧とを選択に供給することができる。減圧バルブを電磁圧力調整弁装置とし、作用状態における正圧の減圧を電気的に行うものとすることもでき、減圧バルブを作用状態における正圧の減圧を機械的に行うものとすることもできる。機械的に行えば、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる際の電気的な接続が不要である。また、減圧バルブの作用状態と非作用状態との切換えも、電気的に行ってもよく、機械的に行ってもよく、手動で行ってもよい。
(20)前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体が、それぞれ互いに異なる気体通路が形成された複数枚のプレートが互いに気密に積層されて成る積層構造部を含む(1)項ないし(19)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
複数枚のプレートは、ボルト等取り外し可能な結合部材により分離可能に結合しても、接着剤等で分離不能に固着してもよく、両者を併用してもよい。例えば、原則として分離不能に固着するが、一個所以上において分離可能とすれば、複ノズルヘッド内に構成部品を組み込むこと、あるいは複ノズルヘッド内から構成部品を取り出すことが容易となる。
複ノズルヘッドにおいては複数の吸着ノズルの各々について負圧が供給され、ヘッド本体内には多数の負圧供給通路を設けることが必要であり、これら通路を互いに干渉することなく、一体のヘッド本体内に形成することは容易ではないが、ヘッド本体を積層構造部を含むものとすれば、複数枚のプレートの各々に形成された気体通路を組み合わせて多数の負圧供給通路を容易に形成することができる。更に複数の吸着ノズルの各々に正圧が正圧供給通路により供給される場合、通路形成容易化の効果を特に有効に享受し得る。
(21)前記積層構造部が前記プレートを3枚以上含む(20)項に記載の電子部品保持装置。
プレート数が多いほど気体通路の形成の自由度が高く、容易に形成することができる。
(22)前記複数枚のプレートの少なくとも1枚は、表裏両面の少なくとも一方にその一方と平行に延びる溝部と、その少なくとも1枚を貫通する貫通路とを含む(20)項または(21)項に記載の電子部品保持装置。
これら溝部や貫通路は、複数枚のプレートが互いに重ねられることにより塞がれ、あるいは互いに連通させられて気体通路を構成し、正圧供給通路や負圧供給通路を形成する。
(23)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記溝部が、前記一円周の周方向に延びる周方向溝部と、前記一円周のほぼ半径方向に延びる半径方向溝部との少なくとも一方を含む(22)項に記載の電子部品保持装置。
半径方向溝部は、一円周の中心線に近い部分と中心線から遠い部分とをつなぐ通路であり、その目的からすれば、半径方向に延びればよいのであるが、その半径方向溝部がつなぐべき2部分の相対位置関係や、他の部分との干渉を回避するため等の理由で、半径方向に対してやや傾斜させざるを得ない場合がある。ここにおいて、「ほぼ半径方向」は、半径方向に対して±30度の範囲内の方向とする。
(24)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記複数枚のプレートの少なくとも1枚に形成される前記溝部が、前記一円周と同心の円周に沿って形成された円環溝である(22)項または(23)項に記載の電子部品保持装置。
(25)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、それら吸着ノズルの各々に対する負圧と正圧との供給を制御するバルブ装置がそれら吸着ノズルより外周側に配設された(1)項ないし(24)項のいずれかにか記載の電子部品保持装置。
外周側の方が内周側より広く、バルブ装置の配設が容易である。
(26)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、その多ノズルヘッドを前記一円周の中心線のまわりに回転させるヘッド回転装置を含む(1)項ないし(25)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
本多ノズルヘッドは、回転多ノズルヘッドであり、リボルバヘッドと称することができ、例えば、その回転により、吸着ノズルを予め設定された回転位置に位置させたり、吸着ノズルに保持された電子部品の回転姿勢を修正,変更したりすることができる。
(27)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記バルブ切換装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記バルブ切換装置を任意の位置へ旋回させるバルブ切換装置旋回装置を含む(10)項または(11)項に記載の電子部品保持装置。
バルブ切換装置を複数のバルブ装置のうちの任意の1つについて、それを切り換える位置へ移動させることができ、複数のバルブ装置に共通とすることができる。
(28)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記相対昇降装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記相対昇降装置を任意の位置へ旋回させる相対昇降装置旋回装置を含む(16)項ないし(18)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
相対昇降装置を複数の吸着ノズルのうちの任意の1つを昇降させる位置へ移動させることができ、相対昇降装置を複数の吸着ノズルに共通とすることができる。
(29)前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材がリセット位置まで上昇させられた場合に前記バルブスプールに係合して、そのバルブスプールを原位置にリセットするリセット部材を含む(11)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
ヘッド保持部材の上昇を利用してバルブスプールを容易に原位置にリセットすることができる。
(30)前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材が特別リセット位置まで上昇させられた場合に、前記複数の吸着ノズルのうちの任意の一つに対応する前記バルブスプールに係合して、そのバルブスプールを原位置にリセットする特別リセット部材を含む(29)項に記載の電子部品保持装置。
特別リセット部材によれば、例えば、電子部品の吸着ミスを起こした吸着ノズルに対応するバルブスプールのみを原位置にリセットすることができる。ヘッド保持部材の上昇を利用して、任意の1つのバルブスプールを原位置にリセットすることができる。本項の特別リセット部材との対比において(29)項のリセット部材を通常リセット部材と称することとする。
(31)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記特別リセット部材が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記特別リセット部材を任意の位置へ旋回させる特別リセット部材旋回装置を含む(30)項に記載の電子部品保持装置。
(32)前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材が特別切換位置まで下降させられた場合に、前記複数の吸着ノズルのうちの任意の一つに対応する前記バルブスプールに係合して、その任意の一つを前記第一正圧供給系に連通させる状態にそのバルブスプールを切り換える特別バルブ切換装置を含む(30)項または(31)項に記載の電子部品保持装置。
特別バルブ切換装置によれば、例えば、電子部品の吸着ミスを起こした吸着ノズルに対応するバルブスプールのみを第一正圧供給系に連通させる状態に切り換え、吸着ミスを起こした吸着ノズルに正圧を供給して不適切な姿勢で吸着されている電子部品を放棄させ、あるいは異物の詰まった吸着ノズルの清掃を行うことができる。本項の特別バルブ切換装置との対比において電子部品の吸着や装着のためのバルブ切換装置を通常バルブ切換装置と称することとする。特別バルブ切換装置と通常バルブ切換装置とを別個に設けることも可能であるが、バルブ切換部材やそれに切換作用を行わせるための切換駆動装置は両バルブ切換装置に兼用とし、切換駆動装置の制御プログラムのみを互いに異なるものとすることも可能である。本項においては切換駆動装置はヘッド保持部材を含み、その下降を利用して任意の1つのバルブスプールを特別に切り換えることができる。
(33)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記特別バルブ切換装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記特別バルブ切換装置を任意の位置へ旋回させる特別バルブ切換装置旋回装置を含む(32)項に記載の電子部品保持装置。
特別リセット部材旋回装置と特別バルブ切換装置旋回装置と別個に設けることも可能である。しかし、兼用とすることも可能であり、その場合には装置コストを低減し得る。特別リセット部材を特別バルブ切換装置の特別バルブ切換部材と一体的に構成することも可能である。
(34)1つの吸着ノズルを保持し、前記複ノズルヘッドと択一的に前記ヘッド保持部に保持される一ノズルヘッドを1つ以上含む(1)項ないし(33)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
(35)高粘性流体を収容する流体収容部と、その流体収容部内の高粘性流体を吐出する1つ以上の吐出ノズルとを備え、前記複ノズルヘッドと択一的に前記ヘッド保持部に保持されるディスペンサヘッドを1つ以上含む(1)項ないし(34)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
例えば、電子部品装着システムと高粘性流体塗布システムとを一体に設け、1つのシステムによって回路基板への電子部品の装着と高粘性流体の塗布との両方を行うことができ、装置設置スペース,装置コストを低減させることが可能である。場合によっては、電子部品装着システムとしてのみ使用することもでき、あるいは高粘性流体塗布システムとしてのみ使用することもできる。
(36)(34)項に記載の電子部品保持装置と、
電子部品を供給する部品供給装置と、
その部品供給装置から供給される電子部品が装着されるべき回路基板を保持する基板保持装置と、
それら電子部品保持装置,部品供給装置および基板保持装置を、前記吸着ノズルの軸線と直交する方向に相対移動させる相対移動装置と、
その相対移動装置と前記電子部品保持装置とを制御することにより、電子部品保持装置に前記部品供給装置から電子部品を受け取らせ、基板保持装置に保持された回路基板に装着させる制御装置と
を含む電子部品装着システム。
電子部品装着システムは、複数の吸着ノズルの配設ピッチを異にする複数種類の複ノズルヘッドを含むものとすることが望ましい。
本電子部品装着システムによれば、設備コストを低減し、あるいは装着効率を向上させることができる。例えば、一ノズルヘッドを有する電子部品保持装置を含む電子部品装着システムと、複ノズルヘッドを有する電子部品保持装置を含む電子部品装着システムとにより電子部品装着ラインを構成し、各装着システムにおいて並行して回路基板への電子部品の装着を行わせる場合、複数の装着システムが必要となり、設備コストが高くなる。それに対し、本電子部品装着システムは1台で済み、設備コストを低減させることができる。また、複数台の装着システムによる場合は、各システムが装着すべき電子部品の種類,数等によって装着時間が異なり、複数のシステムの一方が他方における装着終了を待つ事態が生ずることが多く、その分、装着効率が低下する。それに対し、1つの電子部品装着システムが一ノズルヘッドも複ノズルヘッドも有して択一的に使用し得るものであれば、一ノズルヘッドの使用が望ましい装着も、複ノズルヘッドの使用が望ましい装着も行うことができ、待機時期が生ぜず、電子部品の装着を効率良く行うことができる。
(37)共通のヘッド保持部材に、(a)複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、(b)1つの吸着ノズルを保持する1つ以上の一ノズルヘッドとを、負圧に基づく吸着により択一的に保持させ、それら複ノズルヘッドと一ノズルヘッドとに電子部品を保持させて、それら電子部品を1枚の回路基板に装着させる電子部品装着方法。
複ノズルヘッドとして、複数の吸着ノズルの配設ピッチを互いに異にする複数種類のものを使用することが望ましい。保持させるべき電子部品の大きさに適したものを選択的にヘッド保持部材に保持させて使用するのである。本項の方法によれば、例えば、(36)項に記載の作用,効果が得られる。
【実施例】
【0010】
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0011】
本電子部品装着システムは、図1に示すように、電子部品保持装置10,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給12およびトレイ型部品供給装置14,基板保持装置16,電子部品保持装置移動装置18,ヘッド収納装置20,基板搬送装置22および制御装置24(図20参照)を含む。
【0012】
基板搬送装置22は、システム本体としてのベッド30上に設けられ、例えば、ベルトコンベヤを備え、回路基板32を水平な一方向に搬送して基板保持装置16に搬入し、基板保持装置16から搬出する。基板搬送方向をX軸方向とし、回路基板32に平行な面である水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。基板保持装置16は位置を固定して設けられ、図示は省略するが、例えば、回路基板32を下方から支持する基板支持装置と、回路基板32をクランプするクランプ装置とを含み、基板搬送装置22により搬入された回路基板32を水平に保持する。フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14は、本実施例では、図1に示すように、ベッド30上の、基板搬送装置22に対してY軸方向に隔たった両側にそれぞれ位置を固定して設けられている。
【0013】
電子部品保持装置移動装置18は、本実施例では、X軸方向移動装置40およびY軸方向移動装置42を含み、相対移動装置を構成している。移動装置40,42はそれぞれ、電動モータの一種であるエンコーダ付サーボモータを駆動源とし、移動部材たるX軸スライド44,Y軸スライド46がX軸,Y軸方向に移動させられることにより、電子部品保持装置10が水平面内の任意の位置へ移動させられる。X軸スライド44には部品撮像システム47が設けられ、Y軸スライド46にはマーク撮像装置48が設けられている。
【0014】
電子部品保持装置10は、保持装置本体50,ヘッド保持部材52,複数の一ノズルヘッド54,複数のリボルバヘッド56,ディスペンサヘッド58,ヘッド保持部材昇降装置60およびヘッド回転装置62等を含む。ヘッド保持部材52は、図2に示すように、軸部66と、軸部66の一端部に同心に設けられたノズル保持部68とを含む。軸部66は、横断面形状が円形を成し、外周面にスプライン70が設けられたスプライン軸部である。ノズル保持部68は横断面形状が円形を成し、軸部66より大きい直径を有する。
【0015】
保持装置本体50はY軸スライド46と一体的に設けられ、回転部材としての回転体74が鉛直軸線まわりに回転可能かつ軸方向に移動不能に保持されている。回転体74は円筒状を成し、内周面にスプライン76が設けられ、保持装置本体50から下方へ突出した突出端部にギヤ78が着脱可能に固定されている。ギヤ78は駆動源たるヘッド回転用モータ80(図20参照)により回転させられ、回転体74が鉛直軸線まわりに回転させられる。前記ヘッド保持部材52は、軸部66のスプライン70において回転体74のスプライン76に嵌合されており、回転体74に対して軸方向に移動させられるとともに、その軸方向の位置を問わず、ヘッド回転装置62により自身の鉛直な軸線まわりに正逆両方向に任意の角度回転させられる。本実施例においてヘッド回転装置62は、回転体74,ギヤ78およびヘッド回転用モータ80を含む。
【0016】
前記ヘッド保持部材昇降装置60は、保持装置本体50に昇降可能に設けられた昇降部材84,駆動源としてのヘッド保持部材昇降用モータ86(図20参照),保持装置本体50により軸方向に相対移動不能かつ鉛直軸線まわりに回転可能に設けられたねじ軸としてのボールねじ88および昇降部材84に固定のナット90を含む。ヘッド保持部材52の軸部66の上部は、昇降部材84により相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持されており、ボールねじ88がヘッド保持部材昇降用モータ86により回転させられ、昇降部材84が昇降させられることによりヘッド保持部材52が昇降させられる。
【0017】
軸部66内には、その軸線を中心とする円形断面の孔96が設けられるとともに、円管状の通路形成部材98が同心に嵌合されている。ヘッド保持部材52内には、通路形成部材98内の通路100と、通路形成部材98と孔96の内周面との間の円環状通路102とが形成され、円環状通路102は、軸部66に設けられた半径方向通路104,昇降部材84に設けられた円環状通路106,通路108等により、負圧ポンプ等の負圧源110に接続されている。負圧源110から円環状通路102への負圧の供給は、開閉装置112により許容,遮断される。以後、円環状通路102を負圧供給通路102と称する。負圧供給通路102が大気に解放されるようにしてもよい。
【0018】
通路形成部材98の上端部は、昇降部材84により相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持され、通路100は、通路形成部材98に設けられた半径方向通路116,昇降部材84に設けられた円環状通路118,通路120等によりコンプレッサ等の正圧源122および前記負圧源110に接続されている。通路100への正圧の供給と負圧の供給とは切換装置124により切り換えられ、正圧と負圧とが択一的に供給される。切換装置124は、通路100に供給される正圧の大きさの調節も行う。以後、通路100を正圧供給通路100と称する。正圧供給通路100が第二正圧供給系を構成している。
【0019】
前記ヘッド保持部68は、ヘッド保持部材52の軸線に直角で下向きの一平面状の吸着面130を備えている。ヘッド保持部68には、吸着面130に開口し、ヘッド保持部材52の軸線を中心線とする円環状の負圧室用凹部132が形成され、通路134により負圧供給通路102に連通させられている。正圧供給通路100の下端部は、吸着面130に開口させられている。ヘッド保持部68にはまた、吸着面130と、ヘッド保持部68の外周面とに開口する大気通路140が形成されている。さらに、ヘッド保持部68の下端部には、半径方向外向きに突出する係合部としての係合突部142が複数、本実施例では3つ、等角度間隔で設けられている。
【0020】
前記一ノズルヘッド54は、図2に示すようにヘッド本体150および被保持部152を含む。ヘッド本体150はノズル保持部(図示省略)を備え、負圧により電子部品154を吸着する吸着ノズル156を1つ、保持する。被保持部152は、本実施例では、横断面形状が円形の円板状を成し、その軸線に直角で一平面状の被吸着面158を備えている。被保持部152にはまた、その直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ、下面および外周面に開口する位置決め部たる凹部160が形成されている。一ノズルヘッド54は、被吸着面158が吸着面130に密着させられ、負圧室用凹部132が塞がれてヘッド吸着用負圧室162が形成され、負圧供給通路102からヘッド吸着用負圧室162に供給される負圧により一ノズルヘッド54がヘッド保持部材52により吸着される。負圧供給通路102はヘッド用負圧供給通路である。正圧供給通路100はヘッド本体150内に連通させられ、吸着ノズル156に負圧あるいは正圧が供給される状態となる。
【0021】
前記リボルバヘッド56を図3に基づいて説明する。
リボルバヘッド56のヘッド本体180は、本実施例では、積層構造部182を含む。積層構造部182は、複数枚、本実施例では7枚のプレート184,186,188,190,192,194,196が互いに気密に積層されて成る。これらプレート184〜196はそれぞれ、横断面形状が円形を成し、直径が同じであり、プレート186〜196は、図示を省略する位置決め部材としての複数の位置決めピンがそれらにわたって軸線方向に平行に嵌合され、軸線と直交する方向において位置決めされた状態で接着剤により分離不能にかつ気密に固着されている。
【0022】
プレート184は、プレート186との間に薄いシート状のシール部材197を挟んだ状態でボルト198等、適宜の結合部材によりプレート186に着脱可能に固定されている。リボルバヘッド56においてはプレート184が被保持部を構成し、そのプレート186とは反対側の面が、ヘッド本体180の軸線に直角で一平面状の被保持面ないし被吸着面200を構成している。プレート184には、被吸着面200に開口し、ヘッド本体180の軸線を中心線とする円環状の負圧室用凹部202が形成され、リボルバヘッド56がヘッド保持部材52に保持される際、負圧室用凹部132と共同してヘッド吸着用負圧室204を形成する。負圧,正圧の漏れは、上記シール部材197,3つのシール部材としてのOリング207,208,209により防止される。プレート184にはまた、その外周部に、複数、本実施例では、3つの係合部たる係合突部206が等角度間隔で設けられている。これら係合突部206はそれぞれ、被吸着面200から突出させられた後、半径方向内向きに曲げられてなる。
【0023】
ヘッド本体180には、3つ以上、本実施例では12個のノズル保持部210が設けられ、それぞれ吸着ノズル212を保持している。リボルバヘッド56において12個のノズル保持部210は同様に構成され、それぞれ吸着ノズル212を保持する。これらノズル保持部210が保持する吸着ノズル212の種類は、全部同じでもよく、一部あるいは全部が異なっていてもよい。種類が異なる場合、例えば、吸着管の直径が異なり、複数種類の吸着ノズル212が12個のノズル保持部210により任意の配置(順序)で保持される。ノズル保持部210は、プレート186〜196をヘッド本体180の軸線に平行な方向に貫通して形成されたホルダ孔214を含み、ノズルホルダ216が軸方向に相対移動可能に嵌合されるとともに、吸着ノズル212が軸方向に相対移動可能に嵌合されている。これらホルダ孔214は、ヘッド本体180の軸線を中心とする一円周上に設けられているが、それらのうちの2つは、30度より大きい角度間隔で設けられ、残りは、30度より小さい等角度間隔で設けられている。ヘッド本体180の吸着ノズル配置角度が大きい部分を干渉回避部217(図7参照)と称する。干渉回避部217においては、隣接する吸着ノズル212の一方について設けられた第一バルブ270と他方について設けられた第二バルブ272との間の隙間が他より大きい。12個の吸着ノズル212は、上記一円周上の12の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で保持されている。吸着ノズル212が保持された一円周をノズル保持円周と称する。また、ノズルホルダ216の周壁には、外周面に開口し、軸方向に延びる円環溝218および円環溝218の上端部とノズルホルダ216内の空間とを連通させる半径方向通路220が形成されている。
【0024】
12個のノズルホルダ216の各上端部にはそれぞれ、回動レバー224が相対回動可能に係合させられている。これら回動レバー224はそれぞれ、長手形状の板状を成し、1対のアーム226,228を備え、プレート186に形成されたレバー収容部たる凹部230(図3,図4参照)に収容され、軸232により、多数の吸着ノズル212の各々の軸線と直角に立体交差する回動軸線のまわりに回動可能に保持されている。アーム226,228は、回動レバー224の回動軸線から互いに逆向きに延び出させられ、本実施例では長さが同じにされている。一方のアーム226は、その先端部において、ノズルホルダ216の上端部に設けられた係合部236に相対回動可能に係合させられている。係合部236は、本実施例では、ノズルホルダ216の上端部に設けられた1対の側壁部238(図3には一方の側壁部238のみ図示されている)により、回動レバー224の回動軸線と平行な姿勢で支持された円形断面のピンにより構成されている。また、他方のアーム228は、ヘッド本体180の外へ突出させられ、その突出端部に被係合部240が設けられている。被係合部240は、回動レバー224の回動軸線に平行な中心線を中心とする部分円筒面状の被係合面242を備えている。
【0025】
回動レバー224は、アーム226とヘッド本体180との間に配設された付勢手段としてのスプリング244により、ノズルホルダ216を上昇させる向きに付勢されている。スプリング244の付勢による回動レバー224の回動限度であって、ノズルホルダ216ないし吸着ノズル212の上昇端位置は、ノズルホルダ216が、ホルダ孔214の上側開口を塞ぐ前記プレート184に当接することにより規定される。スプリング244の付勢による回動限度が規定された状態での回動レバー224の位置を原位置とする。
【0026】
なお、回動レバー224は、図8ないし図11に示すように、支持部材246に回動可能に組み付けられ、レバー組立体248とされた状態でヘッド本体180に組み付けられる。回動レバー224は、長穴250から支持部材246に挿入されるとともに、アーム226,228が支持部材246から突出させられた状態で軸232が軸孔252を通って回動レバー224に嵌合され、回動レバー224が支持部材246に回動可能に支持される。プレート186には、図3および図4に示すように、その軸線方向に貫通する円形断面の嵌合穴254が、凹部230と直交する状態で形成され、レバー組立体保持部が設けられている。レバー組立体248は、プレート184のプレート186への固定に先立って、支持部材246が嵌合穴254に嵌合されるとともに、アーム226,228の支持部材246からの各突出端部が凹部230に収容され、回動レバー224がヘッド本体180に回動可能に保持される。
【0027】
リボルバヘッド56はまた、図3に示すように、12個の吸着ノズル212に負圧を供給する第一負圧供給系260と、正圧を供給する第一正圧供給系262と、12個の吸着ノズル212の各々に対して設けられたバルブ装置264とを含む。これら12個のバルブ装置264は同様に構成されており、1つを代表的に説明する。
【0028】
バルブ装置264は、第一バルブ270,第二バルブ272およびスプール位置維持装置274を含む。第一バルブ270は第一バルブスプール280を備えている。図4に示すように、ヘッド本体180の周方向においては前記回動レバー224の一方の側であって、ヘッド本体180の半径方向においては吸着ノズル212より外周側に第一スプール孔282が設けられている。第一スプール孔282は、前記プレート186〜196をヘッド本体180の軸線に平行な方向に貫通して形成されるとともに、その上端部は、図12に示すように、プレート186の上部の外周面に開口する開口部284とされている。
【0029】
第一バルブスプール280は、図3に示すように、その外周面に開口する2個の円環溝286,288が長手方向に距離を隔てた位置にそれぞれ形成されるとともに、上端部から第一被係合部290が半径方向に延び出させられている。第一バルブスプール280は、第一スプール孔282に軸方向に移動可能に嵌合され、12個の吸着ノズル212の各々と平行な方向に移動可能に保持されるとともに、第一被係合部290が開口部284に嵌合され、第一バルブスプール280のヘッド本体180に対する回転が阻止されるとともに、ヘッド本体180の外へ突出させられている。なお、図3は原則として、リボルバヘッド56を回動レバー224において断面にして示す図であるが、第一,第二バルブ270,272において断面にして示す部分もある。
【0030】
また、第一被係合部290が、開口部284の上向きの係合面ないしストッパ面292(図12参照)に当接することにより第一バルブスプール280の自重による落下が防止され、原位置に位置決めされる。さらに、第一被係合部290には、図12および図13に示すように、下向きで、第一バルブスプール280の軸線に平行な方向の位置であって、高さが段階的に異なる複数の第一被係合面、本実施例では高さが4段階に異なる4つの第一被係合面296,298,300,302が形成されている。回動レバー224,第一バルブスプール290がそれぞれ原位置に位置する状態では、第一被係合面296〜302が被係合面242より上方に位置する。
【0031】
前記第二バルブ272は第二バルブスプール310を備えている。図4に示すように、ヘッド本体180の周方向においては前記回動レバー224に対して前記第一スプール孔282とは反対側であって、ヘッド本体180の半径方向においては吸着ノズル212より外周側であって、第一スプール孔282と同一円周上に第二スプール孔312が設けられている。第二スプール孔312は、図3に示すように、第一スプール孔282と同様に、プレート186〜196をヘッド本体180の軸線に平行な方向に貫通して形成されるとともに、その上端部には、図14に示すようにプレート186の外周面に開口する開口部314が設けられ、第二バルブスプール310が軸方向に移動可能に嵌合されている。
【0032】
第二バルブスプール310には、外周面に開口する円環溝318(図3参照)が形成され、上端部から第二被係合部320が半径方向に延び出させられるとともに開口部314に嵌合され、第二バルブスプール310のヘッド本体180に対する相対回転が防止されている。第二被係合部320の先端部はヘッド本体180の外へ突出させられ、その突出端部の下面が第二被係合面322(図14参照)を構成している。また、第二被係合部320が、開口部314の上向きの係合面ないしストッパ面324に係合することにより、第二バルブスプール310のヘッド本体180から落下が防止され、原位置に位置決めされる。回動レバー224,第二バルブスプール320がそれぞれ原位置に位置する状態では、第二被係合面322は前記第一被係合面296〜302より下方であって、回動レバー224の被係合面242よりやや上に位置する。また、回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310はノズル保持円周の周方向に並んで設けられ、被係合部240,290,320はノズル保持円周の中心線を中心とする一円周上に位置する。
【0033】
第一負圧供給系260を説明する。第一負圧供給系260は、前記被吸着面200に開口させられ、プレート184を貫通して形成された貫通路(図示省略),その貫通路に連通させられ、プレート186,188をそれぞれ貫通して形成された貫通路348(図4参照),プレート190に形成された円環溝350(図3参照)を含む。円環溝350は、プレート190の表面(プレート188に固着される側の面)に前記ノズル保持円周と同心の円周に沿って形成され、貫通路348によってプレート184に形成された上記貫通路に連通させられている。
【0034】
プレート190にはまた、図3に示すように12個のバルブ装置264の各々に対して貫通路352が円環溝350に連通する状態で形成されており、プレート192の表面には、これら貫通路352の各々と12個の第二スプール孔312との間にそれぞれ、図5に1つを代表的に示すように、ノズル保持円周のほぼ半径方向に延びる半径方向溝部354が形成されている。プレート192の表面にはさらに、第二スプール孔312と第一スプール孔282との間に、ノズル保持円周の周方向に延びる周方向溝356が形成され、第一スプール孔282とホルダ孔214との間に半径方向溝部358が形成され、ノズルホルダ216の円環溝218に連通させられている。
【0035】
図3に示すように、第一バルブスプール280が原位置に位置する状態では、円環溝286が半径方向溝部358および周方向溝部356に連通し、それらを連通させ、第二バルブスプール310が原位置に位置する状態では、円環溝318が周方向溝部356および半径方向溝部354から外れて下方に位置し、それらを遮断する。常には、第一バルブ270は負圧供給状態にあり、第二バルブ272は、第一バルブ270と第一負圧供給系260とを遮断する負圧不供給状態にある。第二バルブスプール310が原位置からヘッド本体180に対して上昇させられ、円環溝318が周方向溝部356および半径方向溝部354に連通させられれば、第二バルブ272は第一バルブ270を第一負圧供給系260に連通させ、負圧供給状態とされ、円環溝286,半径方向溝部358,円環溝218,半径方向通路220を経て吸着ノズル212に負圧が供給される。第二バルブスプール310のこの位置を負圧供給位置と称する。第一バルブスプール280の原位置は負圧供給位置でもある。本実施例においては、ヘッド本体180の第一,第二スプール孔282,312が形成された部分がバルブ装置保持部を構成し、貫通路352,半径方向溝部354,周方向溝部356,半径方向溝部358が個別通路を構成し、その途中に第一,第二バルブ270,272が設けられている。
【0036】
前記第一正圧供給系262を説明する。第一正圧供給系262は、図3および図15に示すように、前記プレート184に、その軸線上を貫通して形成された貫通路380,プレート186,188に、その軸線上を貫通して形成された貫通路382,384,プレート190の軸線上に形成された有底路386,プレート190の表面に開口して形成され、ノズル保持円周のほぼ半径方向に延びる半径方向溝部388,貫通路390,プレート192に形成された貫通路392,プレート194の表面に形成された半径方向溝部394,円環溝395,減圧バルブ396,プレート196の表面に形成された半径方向溝部398および円環溝400を含む。
【0037】
減圧バルブ396は、本実施例では、図15に示すように、段付状の減圧ピストン410を備え、ヘッド本体180に、その軸線を中心として形成された段付状のシリンダボア412に液密にかつ軸方向に移動可能に嵌合されている。それにより、減圧ピストン410の上側に大気圧室424が形成され、プレート192に形成された半径方向溝部426,プレート190,188,186,184にそれぞれ形成された貫通路428,430,431,433(図3,図15参照),プレート184に形成された円環溝432によって大気に解放される。また、シリンダボア412の肩面434と大径ピストン部436との間に減圧室440が形成され、前記半径方向溝部398に連通させられている。半径方向溝部398の減圧室440側の部分は円環溝とされている。なお、円環溝とすることは不可欠ではない。さらに、大径ピストン部436の下側に大気圧室442が形成され、大気に解放されるとともに、付勢手段の一種である弾性部材としてのスプリング444が配設され、減圧ピストン410を減圧室440の容積が減少する向きに付勢している。
【0038】
減圧ピストン410の小径ピストン部446には、図15に示すように、その外周面に開口する円環溝450が形成されるとともに、内部に形成された通路452によって減圧室440に連通させられている。円環溝450が前記円環溝395に連通する状態では、減圧室440に正圧が供給され、減圧ピストン410には、正圧に基づく力と、スプリング444の付勢力とが互いに逆向きに作用し、それらが釣り合う状態になれば、円環溝395,450が遮断され、正圧がスプリング444のセット荷重によって決まる大きさに調整され、減圧される。ここでは、真空破壊に適した大きさに減圧される。減圧室440の圧力が減少すれば、減圧ピストン410がスプリング444の付勢により移動させられて円環溝395,450が連通させられる。このように減圧ピストン410が軸方向に移動して正圧を減圧する状態が作用状態である。
【0039】
なお、ヘッド本体180には、減圧作用解除部材460が設けられている。減圧作用解除部材460は、本実施例では、円形断面のピン状を成し、大気圧室442に減圧ピストン410と同心に軸方向に移動可能に設けられている。減圧作用解除部材460は、図15に示すように減圧作用許容位置に位置する状態では、減圧ピストン410が、スプリング444の付勢力に抗して移動することを許容し、減圧バルブ396が正圧を減圧することができる。減圧作用解除部材460は減圧作用解除位置において、減圧ピストン410を大径ピストン部436が肩面434に当接した状態に保ち、円環溝395,450が連通状態に保たれ、正圧が減圧されない。減圧バルブ396が非作用状態とされるのである。この状態でも、減圧室440は半径方向溝398に連通した状態に保たれる。
【0040】
プレート194には、図3および図6に一部を示すように、12個のバルブ装置264の各々について、円環溝400に連通させられた貫通路464が形成されるとともに、プレート194の表面には、それら貫通路464と12個の第一スプール孔282との間にそれぞれ、半径方向溝部466が形成され、12個ずつの第一スプール孔282とホルダ孔214との間にそれぞれ、半径方向溝部468が形成されている。前記第一バルブスプール280が原位置に位置する状態では、図3に示すように、円環溝288が半径方向溝部466,468から下方へ外れ、吸着ノズル212を第一正圧供給系262に連通させず、第一バルブスプール280がヘッド本体180に対して上昇させられ、円環溝288が半径方向溝部466,468に連通させられれば、吸着ノズル212を第一正圧供給系262に連通させることができ、第一バルブ270は正圧供給状態に切り換えられる。第一バルブスプール280のこの位置を正圧供給位置と称する。本実施例においては、貫通路464および半径方向溝部466,468が正圧系の個別通路を構成し、第一バルブ270は、この個別通路の途中にも設けられている。なお、本リボルバヘッド56においては、第一,第二バルブスプール280,310は、それぞれ正圧供給位置,負圧供給位置に位置する状態において、全体がヘッド本体180内に引っ込み、各下面がヘッド本体180の下面と同一平面内に位置し、第一,第二被係合部290,320の各上面が同じ高さになる。
【0041】
正圧はまた、12個ずつの第一,第二バルブスプール280,310に作用させられ、それらの軸方向の位置が維持される。図3に示すように、プレート194の表面には、プレート192の貫通路392に連通する半径方向溝部480,貫通路482が形成され、プレート196の表面に円環溝484が形成され、その円環溝484から、多数の第一,第二スプール孔282,312の各々と直交し、プレート196の外周面に開口する半径方向溝部486,488が形成されている。半径方向溝部486,488には正圧が減圧されることなく供給され、第一,第二バルブスプール280,310には、ヘッド本体180の軸線側から外周側に向かって正圧が作用し、第一,第二バルブスプール280,310が第一,第二スプール孔282,312の内周面に押し付けられ、摩擦力により軸方向の位置が維持される。本実施例では、半径方向溝部486,488の第一,第二スプール孔282,312に対して円環溝484側の部分が非対称圧力室を構成し、スプール位置維持装置274の一部を構成している。
【0042】
なお、ヘッド本体180には、図7に示すように、前記干渉回避部217に、被吸着面200とは逆向きの面である下面および外周面に開口する凹部494が設けられ、位置決め部を構成している。
【0043】
保持装置本体50には、相対昇降装置としてのノズル昇降装置500およびリセット部材としてのリセットリング504が設けられている。ノズル昇降装置500は、図3に示すように、レバー駆動部材510を備え、ノズル昇降装置旋回装置512によりノズル保持円周の中心線まわりに任意の位置へ旋回させられる。ノズル昇降装置旋回装置512は、前記ギヤ78と回転体74に固定のリセットリング504とにより、軸方向に移動不能かつノズル保持円周の中心線まわりに回転可能に支持されたギヤ514を備え、そのギヤ514にレバー駆動部材510が着脱可能に固定されており、ギヤ514がレバー駆動部材旋回用モータ516(図20参照)によって回転させられることにより、レバー駆動部材510が旋回させられ、リボルバヘッド56に対して任意の位置へ旋回させられる。
【0044】
レバー駆動部材510は長手形状を成し、ギヤ514の、半径方向においてリボルバヘッド56から外れた部分から下方へ突出させられ、その突出端部にリボルバヘッド56側へ突出する駆動部ないし係合部520が設けられている。係合部520は、吸着ノズル212の軸線に直角で上向きの係合面522を備え、ヘッド本体180の半径方向においては、ヘッド本体180の昇降経路の外側であって、回動レバー224のアーム228の被係合部240の昇降経路内に位置させられている。したがって、ヘッド保持部材52が下降させられ、ヘッド保持部材52により保持されたリボルバヘッド56が下降させられるとき、係合面522が被係合部240に係合してその下降を阻止する。それにより、リボルバヘッド56が更に下降させられるのに伴って、回動レバー224の回動軸線が被係合部240に対して下降させられるとともに回動レバー224が回動させられ、アーム226のノズルホルダ216に対する係合部が下降させられて吸着ノズル212が下降させられる。本実施例では、アーム226,228の長さが同じにされているため、吸着ノズル212がリボルバヘッド56の下降距離の2倍の距離下降させられる。
【0045】
回動レバー224の被係合部240と第一,第二バルブスプール280,310の被係合部290,320とは同一円周上に位置し、レバー駆動部材510を第一,第二被係合部290,320にも係合させることができる。係合面522は、レバー駆動部材510の旋回方向において、被係合部240と第一被係合部290との両方に係合し、あるいは被係合部240と第二被係合部320との両方に係合する幅を有し、レバー駆動部材510が、互いに対応する吸着ノズル212,バルブ装置264に対して、旋回方向において、係合部520が被係合部240,第一被係合部290に係合することができる第一切換位置に位置する状態では、ヘッド保持部材52の下降に伴って第一被係合部290にも係合して第一バルブスプール280の下降を阻止し、ヘッド本体180に対して相対的に上昇させて原位置から正圧供給位置へ移動させる。また、レバー駆動部材510が、旋回方向において、係合部520が被係合部240,第二被係合部320に係合することができる第二切換位置に位置する状態では、ヘッド保持部材52の下降に伴って被係合部320にも係合して第二バルブスプール310の下降を阻止し、ヘッド本体180に対して相対的に上昇させ、原位置から負圧供給位置へ移動させる。本実施例では、レバー駆動部材510が通常バルブ切換部材を兼ね、ノズル昇降装置500が通常バルブ切換装置を兼ね、ノズル昇降装置旋回装置512が通常バルブ切換装置旋回装置を兼ねている。
【0046】
前記リセットリング504は、本実施例では、横断面形状が円形の筒状を成し、前記回転体74に同心にかつ着脱可能に固定され、リボルバヘッド56と一体的に回転させられる。リセットリング504は、図3に示すように、レバー駆動部材510の旋回経路の内側に設けられ、ヘッド本体180とは干渉しないが、回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310の被係合部240,290,320の昇降経路内に位置する直径を備え、その下端部には、12個のバルブ装置264の各々に対して第一通常リセット部540および第二通常リセット部542が設けられている。第一通常リセット部540と第二通常リセット部542とは、図16に展開して示すように、第一,第二バルブスプール280,310の軸線に平行な方向における位置であって、高さを互いに異にする。この高さの差は、原位置に位置する状態での第一,第二バルブスプール280,310の第一,第二被係合部290,320の上面の高さの差と同じにされている。したがって、第一,第二バルブスプール280,310がそれぞれ、正圧供給位置,負圧供給位置に位置する状態でヘッド保持部材52が上昇させられ、リボルバヘッド56が上昇させられるとき、第一,第二通常リセット部540,542は第一,第二被係合部290,320に係合し、それらの上昇を阻止することにより、第一,第二バルブスプール280,310をヘッド本体180に対して相対的に下降させ、原位置に戻す。第一,第二通常リセット部540,542は、ヘッド保持部材52が上昇端位置に位置させられた状態で、第一,第二バルブスプール280,310を原位置に戻す。ヘッド保持部材52の上昇端位置が通常リセット位置であり、ヘッド保持部材昇降用モータ86の制御により得られる。第二通常リセット部542は、回動レバー224のアーム228の被係合部240にも係合して、回動レバー224を原位置にリセットする。回動レバー224はスプリング244の付勢により原位置へ戻されるが、万一戻りが不足することがあっても、確実に戻されるのである。
【0047】
なお、リセットリング504により得られる原位置は、回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310の前述の原位置より僅かに手前の位置に設定され、アーム226,第一,第二被係合部290,320とプレート184,ストッパ面292,324(図12,14参照)との間に僅かに隙間が残され、それらの破損が回避されるようにされている。リセットリング504により得られる原位置も、プレート184,ストッパ面292,324により得られる原位置も実質的に変わりはない。
【0048】
レバー駆動部材510には、図3に示すように、第一特別リセット部550および第二特別リセット部552が設けられている。これら特別リセット部550,552は、ヘッド保持部材52の半径方向においては、通常リセット部540,542と同じ位置に位置し、それらと同様の高さの差を備え、第一特別リセット部550は第一バルブスプール280の第一被係合部290に係合し、第二特別リセット部552は第二バルブスプール310の第二被係合部320,回動レバー224の被係合部240に係合してそれらを原位置に戻すように設けられている。第一,第二特別リセット部550,552は、レバー駆動部材510の上下方向においては、回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310に係合して原位置に戻す際、それらのヘッド本体180に対する相対移動を、負圧供給位置に位置する他の第二バルブスプール310を第二通常リセット部542に当接させることなく生じさせる位置に設けられている。第一,第二バルブスプール280,310が第一,第二特別リセット部550,552によって原位置に復帰させられる際のヘッド保持部材52の上昇位置を特別リセット位置と称する。特別リセット位置は通常リセット位置より低い。本実施例においては、特別リセット部材がレバー駆動部材510と一体的に設けられ、ノズル昇降装置旋回装置512が特別リセット部材旋回装置も兼ねている。
【0049】
前記ディスペンサヘッド58を説明する。ディスペンサヘッド58は、図17に示すように、被保持部560,高粘性流体の一種である接着剤561を収容する接着剤収容部562および吐出ノズル564を備えている。被保持部560は、円板状を成し、その軸線に直角な一平面が被保持面ないし被吸着面566を構成し、直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ、下面に開口する2個の凹部568が形成されている。接着剤収容部562は、接着剤収容室570に接着剤561が収容されるとともに、接着剤押出部材としてのフロート572が気密にかつ軸方向に移動可能に嵌合されている。ディスペンサヘッド58がヘッド保持部材52により保持された状態では、接着剤収容室570は、被保持部560に形成された貫通穴574により正圧供給通路100に連通させられ、正圧の供給により吐出ノズル564から接着剤561が所定量ずつ吐出される。
【0050】
前記ヘッド収納装置20を説明する。ヘッド収納装置20は、本実施例では、図1に概略的に示すように、基板搬送装置22の上方であって、電子部品保持装置10の移動領域内に設けられている。ヘッド収納装置20は、図18および図19に示すように、収納装置本体600と、収納装置本体600にそれぞれ設けられた複数の一ノズルヘッド収納部602,複数のリボルバヘッド収納部604およびディスペンサヘッド収納部(図示省略)を含む。一ノズルヘッド収納部602は、収納装置本体600を上下方向に貫通して形成された収納穴610と、収納穴610の周縁部に形成された支持面612とを備えている。収納穴610は一部が切り欠かれて開口614が形成され、支持面612にはピン616が突設されて位置決め部が設けられている。一ノズルヘッド54は、被保持部152が支持面612上に載置されるとともに、2個の凹部160の一方にピン616が嵌入し、位相を決められて収納される。ディスペンサヘッド収納部は、一ノズルヘッド収納部602と同様に構成され、ディスペンサヘッド58は被保持部560において支持面により支持されるが、支持面は、被吸着面566の高さが、一ノズルヘッド収納部602に収納された一ノズルヘッド54の被吸着面158と同じ高さになるように設けられている。
【0051】
リボルバヘッド収納部604は、円形断面の収納穴624と、収納穴624の周縁部に形成された支持面626とを備え、支持面626にピン628が突設され、位置決め部が設けられている。リボルバヘッド58は、ヘッド本体180の外周部において支持面626上に載置され、ピン628が前記凹部494に嵌入させられ、位相が決められた状態で収納される。支持面626は、一ノズルヘッド収納部602の支持面612より下方に設けられ、リボルバヘッド収納部604に収納されたリボルバヘッド56の被吸着面200の高さが被吸着面158,566と同じになるようにされている。ヘッド収納装置20に収納された複数種類のリボルバヘッド56はそれぞれ、例えば、保持する吸着ノズル212の数,種類(例えば、吸着管の直径)を異にし、複数種類の一ノズルヘッド54はそれぞれ、保持する吸着ノズル212の種類を異にする。
【0052】
前記制御装置24は、図20に示すように、コンピュータ650を主体として構成されており、駆動回路652を介してX軸方向移動装置40等を駆動する。
【0053】
以上のように構成された電子部品装着システムにおいては、スクリーン印刷システムにおいて部品装着個所にクリーム状はんだが塗布された回路基板32が搬入され、一ノズルヘッド54,リボルバヘッド56により電子部品154の装着が行われる。回路基板32に装着される電子部品154の種類,数に応じて、最も能率良く装着を行うことができるノズルヘッドがヘッド保持部材52に保持されて装着に使用される。
【0054】
一ノズルヘッド54による電子部品154の回路基板32への装着を説明する。図2に示すように、ヘッド保持部材52により吸着された一ノズルヘッド54は、電子部品保持装置10の移動により部品供給装置12あるいは14へ移動させられ、電子部品154上において停止させられるとともに下降させられ、電子部品154を吸着する。部品吸着時には、正圧供給通路100に負圧が供給される。吸着後、一ノズルヘッド54が上昇させられるとともに回路基板32へ移動させられる。この移動の途中で電子部品154が部品撮像システム47により撮像され、吸着ノズル156による電子部品154の保持位置誤差が検出される。X軸,Y軸方向の位置誤差は、回路基板32の部品装着個所のX軸,Y軸方向の位置誤差と合わせて電子部品保持装置10の移動位置の修正により修正され、回転位置誤差は一ノズルヘッド54の回転により修正される。そして、一ノズルヘッド54が部品装着個所上において下降させられ、電子部品154を装着する。この際、正圧供給通路100への負圧の供給が遮断されるとともに、正圧が供給され、吸着ノズル156は電子部品154を積極的に解放する。吸着ノズル156の清掃時には、正圧供給通路100に部品解放時より高い正圧が供給される。
【0055】
リボルバヘッド56が一ノズルヘッド54に替わって電子部品154の装着を行うのであれば、電子部品保持装置10がヘッド収納装置20へ移動させられ、ノズルヘッド54,56を交換する。電子部品保持装置10は、空の一ノズルヘッド収納部602へ移動させられ、被保持部152が一ノズルヘッド収納部602の上面より上に位置する状態でヘッド本体150が開口614を通って収納穴610内に進入させられる。そして、ヘッド保持部材52が、その軸線が、収納穴610の中心線と一致するとともに、2個の凹部160の一方とピン616との位相が一致する状態で下降させられ、被保持部152がピン616により位置決めされた状態で支持面612上に載置される。レバー駆動部材510は、ちょうど開口614に対応する旋回位置に位置させられて収納装置本体600との干渉が回避される。載置後、負圧供給通路102への負圧の供給が遮断され、一ノズルヘッド54が解放される。
【0056】
解放後、ヘッド保持部材52が上昇させられるとともに、リボルバヘッド収納部604上へ移動させられる。ヘッド保持部材52は、その軸線がリボルバヘッド56の軸線と一致するとともに、3個の係合突部142が、プレート184の3個の係合突部206の間に位置する位相で下降させられる。また、レバー駆動部材510は、干渉回避位置に位置させられ、収納装置本体600等との干渉が回避される。干渉回避位置は、ヘッド本体180の干渉回避部217に対応する旋回位置である。ヘッド保持部材52は吸着面130が被吸着面200に当接した状態で回転させられ、係合突部142が係合突部206と被吸着面200との隙間に進入させられ、係合突部142,206の位相が一致させられて、ヘッド保持部材52とリボルバヘッド56とが半径方向,軸線方向において離脱不能とされる。そのため、リボルバヘッド56にヘッド保持部材52から外れる向きの力が作用しても、リボルバヘッド56が落下することはない。係合突部142,206がノズルヘッド落下防止装置を構成している。吸着面130の被吸着面200への接触によりヘッド吸着用負圧室204が形成され、その後、負圧源110から負圧供給通路102を経てヘッド吸着用負圧室204に負圧が供給される。それにより、リボルバヘッド56がヘッド保持部材52に吸着され、同心にかつ鉛直な姿勢で保持されてヘッド保持部材52の昇降,回転により昇降,回転させられる。また、第一正圧供給系262が正圧供給通路100に連通させられて正圧が供給される。正圧源122からは高い正圧が供給され、スプール280,310の位置が維持される。さらに、プレート184に形成された図示しない貫通路が負圧室用凹部132に連通させられ、第一負圧供給系260が負圧室用凹部132を介して負圧供給通路102に連通させられて負圧が供給される。負圧供給通路102が第二負圧供給系を構成し、ヘッド用負圧供給通路が第二負圧供給系の負圧供給通路を兼ねている。なお、プレート184に形成されて貫通路348を負圧供給通路102に連通させる貫通路は、負圧室用凹部202に開口させてもよい。また、負圧室用凹部202は省略してもよい。
【0057】
吸着後、ヘッド保持部材52が上昇させられ、吸着ノズル212が収納穴624から抜け出させられてリボルバヘッド56が収納穴624から抜け出させられるとともに、部品供給装置12あるいは14へ移動させられて電子部品154を取り出す。12個の吸着ノズル212は、リボルバヘッド56の回転により順次部品吸着位置へ旋回させられて電子部品154を吸着する。本実施例では、吸着ノズル212の旋回位置のうち、Y軸方向においてフィーダ型部品供給位置12に最も近い位置が部品吸着位置とされている。
【0058】
リボルバヘッド56は、ノズル収納装置20に収納される際には、ヘッド本体180の外周部が支持面626により支持されるため、第一,第二バルブスプール280,310が負圧供給位置,正圧供給位置に位置させられている。そのため、電子部品154の吸着開始に先立ってノズル保持部材52が上昇端位置へ移動させられ、第一,第二バルブスプール280,310が原位置にリセットされる。ヘッド保持部材52が上昇端位置へ上昇させられるまでの間に、全部の第一,第二通常リセット部540,542がそれぞれ、第一,第二バルブスプール280,310の第一,第二被係合部290,320に係合し、ヘッド本体180に対して一斉に下降させ、原位置へ復帰させる。この際、正圧供給通路100への正圧の供給が遮断され、第一,第二バルブスプール280,310は正圧による位置の維持が為されず、軽快に移動させられる。また、原位置に戻される回動レバー224があることもある。リセット後、正圧供給通路100に正圧が供給され、第一,第二バルブスプール280,310の軸方向の位置が維持されるようにされる。なお、このリセットの間、レバー駆動部材510は干渉回避位置に位置させられており、第一,第二特別リセット部550,552と回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310との干渉が回避される。リセット後、リボルバヘッド56が下降させられて電子部品154の吸着,装着を行う状態とされるときも同様である。
【0059】
電子部品154の吸着時には、レバー駆動部材510は、部品吸着位置へ移動させられた吸着ノズル212と連携させられた回動レバー224およびその吸着ノズル212に対応するバルブ装置264に対して第二切換位置に位置するようにされている。そのため、ヘッド保持部材52が下降させられるとき、図21および図22(a)に示すように、まず、回動レバー224の被係合部240がレバー駆動部材510の係合面522に係合し、次いで第二バルブスプール310の第二被係合部320が係合面522に係合する。ヘッド保持部材52は、その状態から更に下降させられ、図22(b),(c)に示すように、回動レバー224が回動させられて吸着ノズル212が下降させられるとともに、第二バルブスプール310がヘッド本体180に対して上昇させられ、負圧供給位置へ移動させられる。第一バルブスプール280の第一被係合部は係合面522に係合せず、第一バルブスプール280は原位置に位置する状態に保たれ、吸着ノズル212に負圧が供給され、電子部品154が吸着される。
【0060】
部品供給装置12,14において電子部品154は、厚さが異なっても上面の高さが同じになるように保持されており、電子部品154の吸着時には、ヘッド保持部材52は一定距離下降させられる。吸着後、ヘッド保持部材52が上昇させられる。この際、第二バルブスプール310はスプール位置維持装置274により負圧供給位置に保たれるが、回動レバー224はスプリング244の付勢により原位置へ回動させられ、吸着ノズル212が上昇させられて電子部品154が取り出される。ノズルホルダ216の円環溝218は軸方向に長く、吸着ノズル212が昇降させられても負圧供給状態に保たれる。電子部品154の吸着,装着時には、ヘッド保持部材52は上昇端位置まで上昇させられず、原位置に位置する回動レバー224の被係合部240の被係合面242がレバー駆動部材510の係合面522よりやや上側に位置する位置まで上昇させられる。それにより、係合面522と被係合面242とが接触した状態で、リボルバヘッド56とレバー駆動部材510とが相対回転させられることが回避される。このヘッド保持部材52の位置は特別リセット位置より低く、吸着・装着時上昇端位置と称する。
【0061】
リボルバヘッド56の回転により、12個の吸着ノズル212が順次部品吸着位置へ移動させられて電子部品154を吸着する。全部の吸着ノズル212が電子部品154を吸着したならば、電子部品保持装置10は回路基板32上方へ移動させられて電子部品154を装着する。移動の途中で12個の吸着ノズル212の各電子部品154が一括して部品撮像システム47により撮像され、電子部品154の保持位置誤差が検出される。
【0062】
12個の吸着ノズル212は、電子部品保持装置10の移動により、順次、回路基板32の予め設定された部品装着個所上へ移動させられるが、電子部品154の回転位置誤差は、リボルバヘッド56が回転させられることにより修正される。レバー駆動部材510は次に電子部品154を装着する吸着ノズル212に対応する位置へ旋回させられ、その吸着ノズル212およびバルブ装置264に対して第一切換位置に位置させられる。吸着ノズル212による電子部品154のX軸,Y軸方向の保持位置誤差,回転位置誤差の修正によるX軸,Y軸方向のずれ,部品装着個所の位置誤差は、電子部品保持装置10の移動位置の修正により修正される。吸着ノズル212が部品装着個所上へ移動させられた後、ヘッド保持部材52が下降させられるが、その途中で図22(d)に示すようにレバー駆動部材510の係合面522にまず、回動レバー224の被係合部240が係合し、回動レバー224が回動させられて吸着ノズル212が下降させられ、図22(e)に示すように円環溝218が半径方向溝部468に連通させられて正圧が供給されるようにされる。
【0063】
その後、係合面522は、第一バルブスプール280の第一被係合面296〜302のいずれかに係合し、第一バルブスプール280をヘッド本体180に対して上昇させる。図13に係合面522が第一被係合面296に係合した例を二点鎖線で示す。第一バルブスプール280のヘッド本体180に対する上昇により、図22(e)に示すように、円環溝286が溝部356,358から外れ、吸着ノズル212への負圧の供給が断たれ、更にヘッド保持部材52が下降させられることにより、図22(f)に示すように、円環溝288が溝部466,468に連通させられ、吸着ノズル212に正圧が供給される。この正圧は減圧バルブ396により減圧された正圧であり、回路基板32上に載置された電子部品154が吸着ノズル212から積極的に解放される。その後、ヘッド保持部材52が上昇させられるが、第一バルブスプール280はスプール位置維持装置274により正圧供給位置に保たれるのに対し、スプリング244の付勢による回動レバー224の回動により吸着ノズル212が上昇させられ、円環溝218が半径方向溝部468から外れて正圧の供給が断たれる。第一バルブスプール280は吸着ノズル212への負圧の供給を遮断しており、電子部品154を装着した吸着ノズル212から負圧が漏れることはない。
【0064】
このようにリボルバヘッド56が下降させられて電子部品154が装着されるとき、回路基板32に装着される電子部品154を保持する吸着ノズル212以外の吸着ノズル212および第一バルブスプール280は、図22(g),(h),(i)に示すように、リボルバヘッド56と共に下降させられるが、レバー駆動部材510がいないため、回動レバー224は回動させられず、第一バルブスプール280は正圧供給位置へ移動させられず、吸着ノズル212は電子部品154を装着せず、吸着した状態に保たれる。
【0065】
第一被係合面296〜302のうち、レバー駆動部材510が係合する第一被係合面は、電子部品154の厚さ(高さ)に応じて選択され、電子部品154が厚いほど、低い第一被係合面に係合面522が係合するようにレバー駆動部材510の旋回位置が設定される。いずれの旋回位置も第一切換位置であり、本実施例では、1つの第一バルブスプール280について第一切換位置が複数、本実施例では4つ設定される。レバー駆動部材510の旋回位置の設定により、電子部品154の厚さに応じて、ヘッド保持部材52の下降時における係合面522の第一被係合面に対する係合時期が変えられ、第一バルブスプール280の切換え時期が変えられて、電子部品154の厚さに関係なく、電子部品154が回路基板32に当接する前に負圧の供給が遮断されるとともに、当接に前後して正圧が供給される。部品装着時におけるリボルバヘッド56の下降端位置は電子部品154の厚さに応じて変えられる。第一バルブスプール280のヘッド本体180に対する相対移動距離は、電子部品154の厚さが異なっても一定であり、第一被係合面が係合面522により係合される時期が早いほど、第一バルブスプール280が早く正圧供給位置に至るため、第一バルブスプール280が正圧供給位置に至った状態でリボルバヘッド56の下降が停止するように、下降端位置が設定されているのである。回動レバー224のアーム226,228のレバー比により、吸着ノズル212の下降距離はヘッド保持部材52の下降距離の2倍であり、第一被係合面296〜302の高さの差は、電子部品154の厚さの差の半分に設定され、係合面522がいずれの第一被係合面に係合して第一バルブスプール280を正圧供給位置に切り換える場合でも、吸着ノズル212に保持された電子部品154の回路基板32への当接に対して同じタイミングで切換えが行われる。
【0066】
吸着ノズル212による電子部品154の吸着にミスが生じた場合、その電子部品154は、回路基板32への電子部品154の装着開始に先立って廃棄される。電子部品保持装置10は部品廃棄箱(図示省略)上へ移動させられ、レバー駆動部材510が、廃棄される電子部品154を保持した吸着ノズル212,バルブ装置264に対して第一切換位置へ移動させられた状態でヘッド保持部材52が下降させられ、係合面522との係合により、吸着ノズル212が下降させられるとともに、第一バルブスプール280が正圧供給位置へ移動させられて吸着ノズル212に正圧が供給される。レバー駆動部材510は、本実施例では、係合面522が、第一被係合面296〜302のうち、廃棄される電子部品154の回路基板32への装着時に係合することが設定されていた面に係合する位置に位置させられ、ヘッド保持部材52はその電子部品154の装着時と同じ位置まで下降させられる。この位置が特別切換位置である。また、減圧作用解除部材460が駆動部材(図示省略)により減圧作用解除位置へ移動させられ、減圧バルブ396を非作用状態とする。それにより、吸着ノズル212に正圧が減圧されることなく供給され、電子部品154が確実に吸着ノズル212から離間させられ、部品廃棄箱に収容される。廃棄後、駆動部材による減圧作用解除部材460の駆動が解除され、減圧作用解除部材460が減圧作用許容位置へ移動させられ、減圧バルブ396が作用状態となるようにされる。本実施例では、レバー駆動部材510が特別バルブ切換部材も兼ね、通常バルブ切換部材が特別バルブ切換部材を兼ねており、レバー駆動部材510と一体的に設けられた特別リセット部材が特別バルブ切換部材と一体的に構成されている。また、ノズル昇降装置500が特別バルブ切換装置も兼ね、ノズル昇降装置旋回装置512が特別バルブ切換装置旋回装置も兼ねている。なお、係合面522に係合させる第一被係合面は、装着時に係合することが設定された第一被係合面に限らず、例えば、第一被係合面296〜302のうちの予め設定された1つであって、電子部品154の種類に関係なく同じ第一被係合面を係合させるようにしてもよい。ヘッド保持部材52の下降位置は、係合面522に係合する第一被係合面に応じて設定される。
【0067】
電子部品154を捨てた吸着ノズル212は、再び電子部品154を吸着する。そのため、この吸着ノズル212に対する第一,第二バルブスプール280,310が原位置へ戻される。レバー駆動部材510は、電子部品154を廃棄した吸着ノズル212およびバルブ装置264に対応する位置へ旋回させられ、ヘッド保持部材52が特別リセット位置へ上昇させられる。それにより、特別リセット部550,552が、それに対応する第一,第二バルブスプール280,310,回動レバー224のみに係合して原位置に戻す。ヘッド保持部材52は通常リセット位置に至る途中の特別リセット位置まで上昇させられるのみであり、他の正常に電子部品154を保持する吸着ノズル212に対応する第二バルブスプール310はリセットされず、電子部品154を保持する状態に保たれる。
【0068】
吸着ノズル212の清掃時にも、減圧作用解除部材460が駆動部材あるいは作業者により減圧作用解除位置に位置させられ、吸着ノズル212が下降させられて第一正圧供給系262に連通させられるようにされるとともに、第一バルブスプール280が正圧供給位置へ移動させられ、減圧されない高い正圧が吸着ノズル212に供給され、吸着ノズル212内部の塵埃等が吹き出される。
【0069】
回路基板32に接着剤を塗布して電子部品154を装着する場合、ディスペンサヘッド58がヘッド保持部材52により吸着されて保持され、ヘッド収納装置20から取り出されるとともに、所定の塗布位置へ移動させられて接着剤を塗布する。塗布後、ヘッド保持部材52はディスペンサヘッド58をノズル収納装置20に戻すとともに、一ノズルヘッド54あるいはリボルバヘッド56を保持し、電子部品154の装着を行う。ヘッド保持部材52によるディスペンサヘッド58の保持,収納は、一ノズルヘッド54と同様に行われる。
【0070】
リボルバヘッド56が保持した全部の電子部品154を回路基板32に装着した後、更に電子部品154の装着を行うのであれば、ヘッド保持部材52が上昇端位置へ移動させられて第一,第二バルブスプール280,310,回動レバー224が原位置にリセットされる。装着が終了し、リボルバヘッド56をヘッド収納装置20に戻す場合には、第一,第二バルブスプール280,310がリセットされることなくヘッド保持部材52がヘッド収納装置20へ移動させられ、その軸線と収納穴624の中心線とが一致させられるとともに、凹部494とピン628との位相が合わされた状態で下降させられ、リボルバヘッド56が支持面626上に載置され、凹部494にピン628を嵌入させられる。そして、負圧供給通路102への負圧の供給が断たれた状態でヘッド保持部材52が回転させられ、係合突部142,206の位相がずらされ、係合突部142が係合突部204から外れた状態でヘッド保持部材52が上昇させられる。この際、レバー駆動部材510は干渉回避位置に位置させられる。このようにリボルバヘッド56は、凹部494とピン628との嵌合により回転位置を位置決めされた状態でヘッド収納装置20に収納され、その状態でヘッド保持部材52により保持されるため、例えば、ヘッド保持部材52により保持される際、ヘッド保持部材52に対するリボルバヘッド56の位相がわかり、例えば、複数の吸着ノズル212による電子部品154の吸着,装着順序の制御が容易である。
【0071】
ヘッド保持部材52が一ノズルヘッド54を保持する場合には、ヘッド保持部材52の軸線と被保持部152の軸線とが一致させられた状態でヘッド保持部材52が下降させられ、吸着面130が被吸着面158に密着させられ、それにより形成されるヘッド吸着用負圧室162への負圧の供給により一ノズルへ54が保持される。その後は、ヘッド保持部材52が収納時とは逆の手順で上昇,移動させられ、一ノズルヘッド54を保持して取り出す。ヘッド54,56,58が自動で交換され、本実施例では、電子部品保持装置移動装置18,ヘッド保持部材昇降装置60,ヘッド回転装置62,制御装置24のそれら電子部品保持装置移動装置18等を制御してヘッドの交換を行わせるヘッド自動交換制御部がヘッド自動交換装置を構成している。
【0072】
なお、一ノズルヘッドにおいてもバルブ装置を設け、第二負圧供給系から供給される負圧と第二正圧供給系から供給される正圧との吸着ノズルへの供給の切換えが機械的に行われるようにしてもよい。
【0073】
また、第二バルブスプールについても第二被係合部の第二被係合面のバルブスプールの軸線に平行な方向の位置を段階的に異ならせ、電子部品吸着時における吸着ノズルへの負圧の供給タイミングが、例えば、電子部品の厚さに応じて変えられるようにしてもよい。
【0074】
さらに、リセット部材は、第一,第二通常リセット部の高さが同じものとしてもよい。第一,第二バルブスプールのそれぞれ正圧供給位置,負圧供給位置に位置する状態での第一,第二被係合部の高さの設定によっては、同じ高さの第一,第二通常リセット部によっても第一,第二バルブスプールを原位置にリセットすることができる。第一,第二特別リセット部についても同様である。
【0075】
また、バルブ装置の切換え,吸着ノズルとヘッド本体との相対昇降は、ヘッド保持部材の昇降に連動させることなく行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】請求可能発明の一実施例である電子部品装着システムを概略的に示す平面図である。
【図2】上記電子部品装着システムの一ノズルヘッドを備えた電子部品保持装置を示す正面図(一部断面)である。
【図3】上記電子部品装着システムのリボルバヘッドを備えた電子部品保持装置を示す正面図(一部断面)である。
【図4】上記リボルバヘッドのヘッド本体に設けられたスプール孔等を示す平面図である。
【図5】上記リボルバヘッドのヘッド本体に設けられた負圧供給用の個別通路を示す平面図である。
【図6】上記リボルバヘッドのヘッド本体に設けられた正圧供給用の個別通路を示す平面図である。
【図7】上記リボルバヘッドのヘッド本体に設けられた凹部を示す底面図である。
【図8】上記リボルバヘッドのレバー組立体を示す正面断面図である。
【図9】上記レバー組立体の支持部材を示す正面図である。
【図10】上記レバー組立体の支持部材を示す側面図である。
【図11】上記レバー組立体の支持部材を示す平面断面図である。
【図12】前記リボルバヘッドのヘッド本体の第一バルブスプールの上部を示す正面断面図である。
【図13】上記第一バルブスプールの第一被係合面を示す側面図である。
【図14】前記リボルバヘッドのヘッド本体の第二バルブスプールの上部を示す正面断面図である。
【図15】前記リボルバヘッドの減圧バルブを示す正面断面図である。
【図16】前記電子部品保持装置のリセットリングを示す展開図である。
【図17】前記電子部品保持装置がディスペンサヘッドを保持した状態を示す正面図(一部断面)である。
【図18】ヘッド収納装置の一部を示す平面図である。
【図19】上記ヘッド収納装置の一部を示す側面図である。
【図20】前記電子部品装着システムを制御する制御装置を示すブロック図である。
【図21】前記リボルバヘッドが上昇端位置から下降させられた状態を示す正面図(一部断面)である。
【図22】電子部品の吸着時,装着時のバルブ装置の切換えを説明する図である。
【符号の説明】
【0077】
10:電子部品保持装置 52:ヘッド保持部材 54:一ノズルヘッド 56:リボルバヘッド 132,202:負圧室用凹部 204:ヘッド吸着用負圧室 212:吸着ノズル 260:第一負圧供給系 262:第一正圧供給系 264:バルブ装置 280:第一バルブスプール 310:第二バルブスプール 500:ノズル昇降装置 504:リセットリング
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品保持装置,電子部品装着システムおよび電子部品装着方法に関するものであり、特に、複数の吸着ノズルの各々により電子部品を保持するノズルヘッドがヘッド保持部材により着脱可能に保持される電子部品保持装置,その電子部品保持装置を備えた電子部品装着システムおよびその電子部品保持装置による電子部品の装着方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の電子部品保持装置は、例えば、下記の特許文献1に記載されているように既に知られている。この電子部品保持装置は電子部品装着システムに設けられ、複数種類のノズルヘッドがヘッド保持部材により択一的に保持される。これらノズルヘッドはそれぞれ、保持する吸着ノズルの種類,数を異にし、回路基板に装着される電子部品の種類,数等に応じた吸着ノズルを保持したノズルヘッドがヘッド保持部材に保持される。
【0003】
そのため、ヘッド保持部材には、ヘッド固定装置が設けられている。ヘッド固定装置は、係止ピンおよび係止ピン作動装置を含む。係止ピン作動装置はカム板を備え、作業者がロッドを回転操作してカム板を回転させることにより、係止ピンが昇降させられる。ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる際には、作業者はカム板を回転させ、係止ピンを退避位置へ退避させた状態でノズルヘッドをヘッド保持部材にセットするとともに、カム板を逆方向に回転させ、係止ピンを作用位置へ移動させてノズルヘッドに設けられたローラに係合させる。ノズルヘッドをヘッド保持部材から取り外す場合には、作業者は逆の操作を行い、係止ピンによる係止を解除してノズルヘッドをヘッド保持部材から取り外す。
【特許文献1】特開2004−221518公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ヘッド固定装置を操作しつつノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させることは面倒であり、ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する取付け,取外しに時間がかかり、装着能率の低下を招来する。
本発明は、以上の事情に鑑みて為されたものであり、ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する着脱が容易な電子部品保持装置,電子部品装着システムおよび電子部品装着方法の提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電子部品保持装置は、上記の課題を解決するために、(a)複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、(b)ヘッド保持部を備え、そのヘッド保持部において前記1つ以上の複ノズルヘッドを択一的に保持するヘッド保持部材とを含み、前記ヘッド保持部と、前記複ノズルヘッドの被保持部との少なくとも一方に、ヘッド用負圧供給通路に接続されるとともに他方と共同してヘッド吸着用負圧室を形成する負圧室用凹部を設けたことを特徴とする。
複ノズルヘッドが3つ以上の吸着ノズルを保持する多ノズルヘッドを含む場合、多ノズルヘッドは、例えば、発明の態様の項の(2)項に記載の多ノズルヘッドでもよく、一直線上の3つ以上の位置に、その一直線と直交する姿勢で3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドでもよく、互いに交差する複数本ずつの直線の3つ以上の交点の位置に、それら直線と直交する姿勢で3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドでもよい。
【発明の効果】
【0006】
複ノズルヘッドは、ヘッド吸着用負圧室に供給される負圧により、ヘッド保持部材によって吸着され、保持される。そのため、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる場合には、両者を合わせてヘッド吸着用負圧室を形成させるとともにそのヘッド吸着用負圧室に負圧を供給すればよく、ヘッド保持部材から外す場合には、ヘッド吸着用負圧室の負圧を解除して複ノズルヘッドとヘッド保持部材とを離せばよいのであり、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に容易に着脱することができる。また、複数の吸着ノズルはノズルヘッドごと一斉にヘッド保持部材に対して着脱され、複数の吸着ノズルの着脱あるいは交換を容易にかつ短時間で行うことができる。
複ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する取付け,取外しは、作業者が行ってもよく、取付・取外装置により自動で行ってもよい。自動で行えば、複ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する着脱が更に容易になる。
電子部品保持装置が複ノズルヘッドを複数有する場合、それら複ノズルヘッドは、吸着ノズルの配設ピッチを互いに異にする複ノズルヘッドであって、保持する電子部品の種類に応じた種類,数の吸着ノズルがスペース効率良く保持された複ノズルヘッドであることが望ましい。複数の複ノズルヘッドを有する場合、複ノズルヘッドのヘッド保持部材に対する着脱は、ヘッド保持部材に対する複ノズルヘッドの交換となり、取付・取外装置はヘッド自動交換装置となる。
【発明の態様】
【0007】
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
【0008】
なお、以下の各項において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項が請求項2に、(3)項が請求項3に、(4)項が請求項4に、(5)項と(9)項とを合わせたものが請求項5に、(10)項が請求項6に、(16)項が請求項7に、(20)項と(21)項とを合わせたものが請求項8に、(22)項が請求項9に、(27)項が請求項10に、(28)項が請求項11に、(11)項と(29)項とを合わせたものが請求項12に、(30)項が請求項13に、(32)項が請求項14に、(36)項が請求項15に、(37)項が請求項16にそれぞれ相当する。
【0009】
(1)複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、
ヘッド保持部を備え、そのヘッド保持部において前記1つ以上の複ノズルヘッドを択一的に保持するヘッド保持部材と
を含み、前記ヘッド保持部と、前記複ノズルヘッドの被保持部との少なくとも一方に、ヘッド用負圧供給通路に接続されるとともに他方と共同してヘッド吸着用負圧室を形成する負圧室用凹部が設けられた電子部品保持装置。
(2)前記1つ以上の複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドを1つ以上含む(1)項に記載の電子部品保持装置。
(3)前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルに負圧を供給する第一負圧供給系と、前記複数の吸着ノズルに正圧を供給する第一正圧供給系とを備え、前記ヘッド保持部材が、前記複ノズルヘッドが前記ヘッド保持部に保持されるのに伴って、前記第一負圧供給系および前記第一正圧供給系とそれぞれ連通する第二負圧供給系および第二正圧供給系を備えた(1)項または(2)項に記載の電子部品保持装置。
吸着ノズルは負圧の供給により電子部品を吸着し、正圧の供給により電子部品を解放しあるいは吸着ノズル内が清掃される。複ノズルヘッドがヘッド保持部材に保持されるとき、吸着ノズルに負圧および正圧が供給される状態が簡単に得られ、ヘッド保持部材の負圧による複ノズルヘッドの保持の容易さの利点を効果的に享受することができる。
なお、本項および(5)項ないし(33)項にそれぞれ記載の各特徴は、(1)項および(2)項に記載の各特徴とは独立して採用することができる。
(4)前記第一負圧供給系と前記第二負圧供給系とが前記負圧室用凹部を介して互いに連通し、前記ヘッド用負圧供給通路が前記第二負圧供給系の負圧供給通路を兼ねる(3)項に記載の電子部品保持装置。
第二負圧供給系とヘッド用負圧供給通路とを別個に設けることもできる。しかし、本項の電子部品保持装置によれば、ヘッド保持部材を簡易に構成することができる。
(5)前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルの各々に対して設けられ、各吸着ノズルをそれぞれ、少なくとも前記第一負圧供給系に連通させる状態と前記第一正圧供給系に連通させる状態とに切り換えが可能な複数のバルブ装置を含む(3)項または(4)項に記載の電子部品保持装置。
複数の吸着ノズルについて個々に負圧,正圧の供給の切換えが行われる。バルブ装置は、切換えを電気的に行うものとすることも、機械的に行うものとすることもできる。
(6)前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルを保持する複数のノズル保持部と、前記複数のバルブ装置を保持する複数のバルブ装置保持部とを備え、前記ヘッド保持部材に負圧により吸着されるヘッド本体を含む(5)項に記載の電子部品保持装置。
(7)前記複数の吸着ノズルの各々と前記ヘッド本体とを相対的に昇降させる相対昇降装置を含む(6)項に記載の電子部品保持装置。
例えば、複数の吸着ノズルのうちの少なくとも1つを選択して昇降させ、電子部品の吸着,解放を行わせることができる。相対昇降装置は、吸着ノズルとヘッド本体とを電気的に相対昇降させる装置とすることも、機械的に相対昇降させる装置とすることもできる。
(8)前記複数のバルブ装置の各々を切り換えるバルブ切換装置を含む(5)項ないし(7)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
バルブ切換装置は、複数のバルブ装置の各々について設けてもよく、共通に設けてもよい。共通に設ければ、電子部品保持装置を簡易に構成することができる。
(9)当該電子部品保持装置が、
前記ヘッド保持部材を前記吸着ノズルに平行な方向に昇降可能に保持する保持装置本体と、
その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材を相対的に昇降させるヘッド保持部材昇降装置と
を含む(5)項ないし(8)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
ヘッド保持部材の昇降により、複ノズルヘッドを昇降させることができる。
(10)前記保持装置本体に保持され、前記ヘッド保持部材の昇降に連動して前記バルブ装置を機械的に切り換えるバルブ切換装置を含む(9)項に記載の電子部品保持装置。
本項のバルブ装置は、正圧供給状態と負圧供給状態とに機械的に切り換えられるバルブ装置とされる。そのため、バルブ装置の切換えが電気的に為される場合のように、複ノズルヘッドおよびヘッド保持部材における電気配線や、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる際の電気的な接続が不要であり、負圧によるノズルヘッド着脱の利点を損なうことなく、吸着ノズルへの負圧,正圧の供給の切換えを行うことができる。また、ヘッド保持部材の昇降の利用により、バルブ切換装置を簡易に構成することができる。
(11)前記バルブ装置が、前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体に、前記複数の吸着ノズルの各々と平行な方向に移動可能に保持された少なくとも1つのバルブスプールを含み、前記バルブ切換装置が、前記ヘッド保持部材の下降に伴って前記バルブスプールの被係合部に係合し、そのバルブスプールを前記ヘッド本体に対して相対移動させるバルブ切換部材を含む(10)項に記載の電子部品保持装置。
(12)前記バルブスプールの前記被係合部が、そのバルブスプールの軸線に平行な方向の位置が段階的に異なる複数の被係合面を備えた(11)項に記載の電子部品保持装置。
バルブ切換部材が係合する被係合面の選択により、ヘッド保持部材の下降に対するバルブ装置の切換タイミングを変えることができる。
(13)前記バルブ装置が、前記バルブスプールの、前記バルブ切換装置により移動させられた位置を維持するスプール位置維持装置を含む(11)項または(12)項に記載の電子部品保持装置。
バルブスプールが所定の位置に移動させられた状態に保たれ、吸着ノズルへの負圧,正圧の供給,遮断が正確に行われる。
(14)前記スプール位置維持装置が、前記バルブスプールが嵌合されるスプール孔の内周面に開口する圧力室であって、前記バルブスプールにそれの軸線に対して非対称に圧力を作用させる形状を有する非対称圧力室を含む(13)項に記載の電子部品保持装置。
バルブスプールは、軸線に対して一方の側から他方の側に向かって作用させられる圧力によってスプール孔の内周面に押し付けられ、摩擦により位置が維持される。機械的なブレーキ装置を設けてバルブスプールの位置を維持する場合に比較して、寿命の長いスプール位置維持装置が得られる。
(15)前記複数のバルブ装置の各々が、前記複数の吸着ノズルの各々を前記第一負圧供給系に接続する複数の個別通路の各々に設けられ、第一バルブスプールを備えて前記吸着ノズルを前記第一負圧供給系に連通させる負圧供給状態と前記第一正圧供給系に連通させる正圧供給状態とに切換え可能な第一バルブと、その第一バルブと前記第一負圧供給系との間に設けられ、第二バルブスプールを備えて前記第一バルブと前記第一負圧供給系とを連通させる負圧供給状態と前記第一バルブと前記第一負圧供給系とを遮断する負圧不供給状態とに切換え可能な第二バルブとを含む(5)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
第一,第二バルブの各々の切換えの組合わせにより、吸着ノズルに負圧あるいは正圧が供給され、供給が遮断される。1つのバルブにより正圧供給状態,負圧供給状態,正圧・負圧不供給状態の3つの状態を得るようにすることも可能である。しかし、バルブスプールを2つ設ければ、各バルブスプールをそれぞれ2つの位置に移動させることによりバルブ装置の切換えを行うことができ、切換え動作が容易である。
(16)前記保持装置本体に保持され、前記ヘッド保持部材の昇降に機械的に連動して前記複数の吸着ノズルの任意のものを前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体に対して相対的に昇降させる相対昇降装置を含む(9)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
ヘッド保持部材の昇降の利用により、相対昇降装置を簡易に構成することができる。また、吸着ノズルとヘッド本体とを機械的に相対移動させるものであるため、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる際の電気的な接続が不要である。
(17)前記複ノズルヘッドが、それぞれ一対のアームを備え、前記ヘッド本体に、前記複数の吸着ノズルの各々の軸線と直角に立体交差する回動軸線のまわりに回動可能に保持され、前記一対のアームの一方が前記複数の吸着ノズルの各々と連携させられた回動レバーを含み、前記相対昇降装置が、その回動レバーの前記一対のアームの前記一方とは別のアームに係合して、その回動レバーを回動させるレバー駆動部材を含む(16)項に記載の電子部品保持装置。
(18)前記レバー駆動部材が、前記ヘッド保持部材の昇降に連動して前記バルブ装置を切り換えるバルブ切換部材を兼ねる(17)項に記載の電子部品保持装置。
吸着ノズルとヘッド本体との相対的な昇降時に、吸着ノズルへの気体供給の切換えが必要とされることが多く、レバー駆動部材にバルブ切換部材を兼ねさせることは容易であり、電子部品保持装置を簡易に構成することができる。
(19)前記第一正圧供給系が、正圧を減圧する作用状態と、正圧を減圧しない非作用状態とに切り換えが可能な減圧バルブを含む(3)項ないし(18)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
吸着ノズルに減圧されない正圧と、減圧された正圧とを選択に供給することができる。減圧バルブを電磁圧力調整弁装置とし、作用状態における正圧の減圧を電気的に行うものとすることもでき、減圧バルブを作用状態における正圧の減圧を機械的に行うものとすることもできる。機械的に行えば、複ノズルヘッドをヘッド保持部材に保持させる際の電気的な接続が不要である。また、減圧バルブの作用状態と非作用状態との切換えも、電気的に行ってもよく、機械的に行ってもよく、手動で行ってもよい。
(20)前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体が、それぞれ互いに異なる気体通路が形成された複数枚のプレートが互いに気密に積層されて成る積層構造部を含む(1)項ないし(19)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
複数枚のプレートは、ボルト等取り外し可能な結合部材により分離可能に結合しても、接着剤等で分離不能に固着してもよく、両者を併用してもよい。例えば、原則として分離不能に固着するが、一個所以上において分離可能とすれば、複ノズルヘッド内に構成部品を組み込むこと、あるいは複ノズルヘッド内から構成部品を取り出すことが容易となる。
複ノズルヘッドにおいては複数の吸着ノズルの各々について負圧が供給され、ヘッド本体内には多数の負圧供給通路を設けることが必要であり、これら通路を互いに干渉することなく、一体のヘッド本体内に形成することは容易ではないが、ヘッド本体を積層構造部を含むものとすれば、複数枚のプレートの各々に形成された気体通路を組み合わせて多数の負圧供給通路を容易に形成することができる。更に複数の吸着ノズルの各々に正圧が正圧供給通路により供給される場合、通路形成容易化の効果を特に有効に享受し得る。
(21)前記積層構造部が前記プレートを3枚以上含む(20)項に記載の電子部品保持装置。
プレート数が多いほど気体通路の形成の自由度が高く、容易に形成することができる。
(22)前記複数枚のプレートの少なくとも1枚は、表裏両面の少なくとも一方にその一方と平行に延びる溝部と、その少なくとも1枚を貫通する貫通路とを含む(20)項または(21)項に記載の電子部品保持装置。
これら溝部や貫通路は、複数枚のプレートが互いに重ねられることにより塞がれ、あるいは互いに連通させられて気体通路を構成し、正圧供給通路や負圧供給通路を形成する。
(23)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記溝部が、前記一円周の周方向に延びる周方向溝部と、前記一円周のほぼ半径方向に延びる半径方向溝部との少なくとも一方を含む(22)項に記載の電子部品保持装置。
半径方向溝部は、一円周の中心線に近い部分と中心線から遠い部分とをつなぐ通路であり、その目的からすれば、半径方向に延びればよいのであるが、その半径方向溝部がつなぐべき2部分の相対位置関係や、他の部分との干渉を回避するため等の理由で、半径方向に対してやや傾斜させざるを得ない場合がある。ここにおいて、「ほぼ半径方向」は、半径方向に対して±30度の範囲内の方向とする。
(24)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記複数枚のプレートの少なくとも1枚に形成される前記溝部が、前記一円周と同心の円周に沿って形成された円環溝である(22)項または(23)項に記載の電子部品保持装置。
(25)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、それら吸着ノズルの各々に対する負圧と正圧との供給を制御するバルブ装置がそれら吸着ノズルより外周側に配設された(1)項ないし(24)項のいずれかにか記載の電子部品保持装置。
外周側の方が内周側より広く、バルブ装置の配設が容易である。
(26)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、その多ノズルヘッドを前記一円周の中心線のまわりに回転させるヘッド回転装置を含む(1)項ないし(25)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
本多ノズルヘッドは、回転多ノズルヘッドであり、リボルバヘッドと称することができ、例えば、その回転により、吸着ノズルを予め設定された回転位置に位置させたり、吸着ノズルに保持された電子部品の回転姿勢を修正,変更したりすることができる。
(27)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記バルブ切換装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記バルブ切換装置を任意の位置へ旋回させるバルブ切換装置旋回装置を含む(10)項または(11)項に記載の電子部品保持装置。
バルブ切換装置を複数のバルブ装置のうちの任意の1つについて、それを切り換える位置へ移動させることができ、複数のバルブ装置に共通とすることができる。
(28)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記相対昇降装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記相対昇降装置を任意の位置へ旋回させる相対昇降装置旋回装置を含む(16)項ないし(18)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
相対昇降装置を複数の吸着ノズルのうちの任意の1つを昇降させる位置へ移動させることができ、相対昇降装置を複数の吸着ノズルに共通とすることができる。
(29)前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材がリセット位置まで上昇させられた場合に前記バルブスプールに係合して、そのバルブスプールを原位置にリセットするリセット部材を含む(11)項ないし(14)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
ヘッド保持部材の上昇を利用してバルブスプールを容易に原位置にリセットすることができる。
(30)前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材が特別リセット位置まで上昇させられた場合に、前記複数の吸着ノズルのうちの任意の一つに対応する前記バルブスプールに係合して、そのバルブスプールを原位置にリセットする特別リセット部材を含む(29)項に記載の電子部品保持装置。
特別リセット部材によれば、例えば、電子部品の吸着ミスを起こした吸着ノズルに対応するバルブスプールのみを原位置にリセットすることができる。ヘッド保持部材の上昇を利用して、任意の1つのバルブスプールを原位置にリセットすることができる。本項の特別リセット部材との対比において(29)項のリセット部材を通常リセット部材と称することとする。
(31)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記特別リセット部材が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記特別リセット部材を任意の位置へ旋回させる特別リセット部材旋回装置を含む(30)項に記載の電子部品保持装置。
(32)前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材が特別切換位置まで下降させられた場合に、前記複数の吸着ノズルのうちの任意の一つに対応する前記バルブスプールに係合して、その任意の一つを前記第一正圧供給系に連通させる状態にそのバルブスプールを切り換える特別バルブ切換装置を含む(30)項または(31)項に記載の電子部品保持装置。
特別バルブ切換装置によれば、例えば、電子部品の吸着ミスを起こした吸着ノズルに対応するバルブスプールのみを第一正圧供給系に連通させる状態に切り換え、吸着ミスを起こした吸着ノズルに正圧を供給して不適切な姿勢で吸着されている電子部品を放棄させ、あるいは異物の詰まった吸着ノズルの清掃を行うことができる。本項の特別バルブ切換装置との対比において電子部品の吸着や装着のためのバルブ切換装置を通常バルブ切換装置と称することとする。特別バルブ切換装置と通常バルブ切換装置とを別個に設けることも可能であるが、バルブ切換部材やそれに切換作用を行わせるための切換駆動装置は両バルブ切換装置に兼用とし、切換駆動装置の制御プログラムのみを互いに異なるものとすることも可能である。本項においては切換駆動装置はヘッド保持部材を含み、その下降を利用して任意の1つのバルブスプールを特別に切り換えることができる。
(33)前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記特別バルブ切換装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記特別バルブ切換装置を任意の位置へ旋回させる特別バルブ切換装置旋回装置を含む(32)項に記載の電子部品保持装置。
特別リセット部材旋回装置と特別バルブ切換装置旋回装置と別個に設けることも可能である。しかし、兼用とすることも可能であり、その場合には装置コストを低減し得る。特別リセット部材を特別バルブ切換装置の特別バルブ切換部材と一体的に構成することも可能である。
(34)1つの吸着ノズルを保持し、前記複ノズルヘッドと択一的に前記ヘッド保持部に保持される一ノズルヘッドを1つ以上含む(1)項ないし(33)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
(35)高粘性流体を収容する流体収容部と、その流体収容部内の高粘性流体を吐出する1つ以上の吐出ノズルとを備え、前記複ノズルヘッドと択一的に前記ヘッド保持部に保持されるディスペンサヘッドを1つ以上含む(1)項ないし(34)項のいずれかに記載の電子部品保持装置。
例えば、電子部品装着システムと高粘性流体塗布システムとを一体に設け、1つのシステムによって回路基板への電子部品の装着と高粘性流体の塗布との両方を行うことができ、装置設置スペース,装置コストを低減させることが可能である。場合によっては、電子部品装着システムとしてのみ使用することもでき、あるいは高粘性流体塗布システムとしてのみ使用することもできる。
(36)(34)項に記載の電子部品保持装置と、
電子部品を供給する部品供給装置と、
その部品供給装置から供給される電子部品が装着されるべき回路基板を保持する基板保持装置と、
それら電子部品保持装置,部品供給装置および基板保持装置を、前記吸着ノズルの軸線と直交する方向に相対移動させる相対移動装置と、
その相対移動装置と前記電子部品保持装置とを制御することにより、電子部品保持装置に前記部品供給装置から電子部品を受け取らせ、基板保持装置に保持された回路基板に装着させる制御装置と
を含む電子部品装着システム。
電子部品装着システムは、複数の吸着ノズルの配設ピッチを異にする複数種類の複ノズルヘッドを含むものとすることが望ましい。
本電子部品装着システムによれば、設備コストを低減し、あるいは装着効率を向上させることができる。例えば、一ノズルヘッドを有する電子部品保持装置を含む電子部品装着システムと、複ノズルヘッドを有する電子部品保持装置を含む電子部品装着システムとにより電子部品装着ラインを構成し、各装着システムにおいて並行して回路基板への電子部品の装着を行わせる場合、複数の装着システムが必要となり、設備コストが高くなる。それに対し、本電子部品装着システムは1台で済み、設備コストを低減させることができる。また、複数台の装着システムによる場合は、各システムが装着すべき電子部品の種類,数等によって装着時間が異なり、複数のシステムの一方が他方における装着終了を待つ事態が生ずることが多く、その分、装着効率が低下する。それに対し、1つの電子部品装着システムが一ノズルヘッドも複ノズルヘッドも有して択一的に使用し得るものであれば、一ノズルヘッドの使用が望ましい装着も、複ノズルヘッドの使用が望ましい装着も行うことができ、待機時期が生ぜず、電子部品の装着を効率良く行うことができる。
(37)共通のヘッド保持部材に、(a)複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、(b)1つの吸着ノズルを保持する1つ以上の一ノズルヘッドとを、負圧に基づく吸着により択一的に保持させ、それら複ノズルヘッドと一ノズルヘッドとに電子部品を保持させて、それら電子部品を1枚の回路基板に装着させる電子部品装着方法。
複ノズルヘッドとして、複数の吸着ノズルの配設ピッチを互いに異にする複数種類のものを使用することが望ましい。保持させるべき電子部品の大きさに適したものを選択的にヘッド保持部材に保持させて使用するのである。本項の方法によれば、例えば、(36)項に記載の作用,効果が得られる。
【実施例】
【0010】
以下、請求可能発明の実施例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、請求可能発明は、下記実施例の他、上記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更を施した態様で実施することができる。
【0011】
本電子部品装着システムは、図1に示すように、電子部品保持装置10,それぞれ部品供給装置の一種であるフィーダ型部品供給12およびトレイ型部品供給装置14,基板保持装置16,電子部品保持装置移動装置18,ヘッド収納装置20,基板搬送装置22および制御装置24(図20参照)を含む。
【0012】
基板搬送装置22は、システム本体としてのベッド30上に設けられ、例えば、ベルトコンベヤを備え、回路基板32を水平な一方向に搬送して基板保持装置16に搬入し、基板保持装置16から搬出する。基板搬送方向をX軸方向とし、回路基板32に平行な面である水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向とする。基板保持装置16は位置を固定して設けられ、図示は省略するが、例えば、回路基板32を下方から支持する基板支持装置と、回路基板32をクランプするクランプ装置とを含み、基板搬送装置22により搬入された回路基板32を水平に保持する。フィーダ型部品供給装置12およびトレイ型部品供給装置14は、本実施例では、図1に示すように、ベッド30上の、基板搬送装置22に対してY軸方向に隔たった両側にそれぞれ位置を固定して設けられている。
【0013】
電子部品保持装置移動装置18は、本実施例では、X軸方向移動装置40およびY軸方向移動装置42を含み、相対移動装置を構成している。移動装置40,42はそれぞれ、電動モータの一種であるエンコーダ付サーボモータを駆動源とし、移動部材たるX軸スライド44,Y軸スライド46がX軸,Y軸方向に移動させられることにより、電子部品保持装置10が水平面内の任意の位置へ移動させられる。X軸スライド44には部品撮像システム47が設けられ、Y軸スライド46にはマーク撮像装置48が設けられている。
【0014】
電子部品保持装置10は、保持装置本体50,ヘッド保持部材52,複数の一ノズルヘッド54,複数のリボルバヘッド56,ディスペンサヘッド58,ヘッド保持部材昇降装置60およびヘッド回転装置62等を含む。ヘッド保持部材52は、図2に示すように、軸部66と、軸部66の一端部に同心に設けられたノズル保持部68とを含む。軸部66は、横断面形状が円形を成し、外周面にスプライン70が設けられたスプライン軸部である。ノズル保持部68は横断面形状が円形を成し、軸部66より大きい直径を有する。
【0015】
保持装置本体50はY軸スライド46と一体的に設けられ、回転部材としての回転体74が鉛直軸線まわりに回転可能かつ軸方向に移動不能に保持されている。回転体74は円筒状を成し、内周面にスプライン76が設けられ、保持装置本体50から下方へ突出した突出端部にギヤ78が着脱可能に固定されている。ギヤ78は駆動源たるヘッド回転用モータ80(図20参照)により回転させられ、回転体74が鉛直軸線まわりに回転させられる。前記ヘッド保持部材52は、軸部66のスプライン70において回転体74のスプライン76に嵌合されており、回転体74に対して軸方向に移動させられるとともに、その軸方向の位置を問わず、ヘッド回転装置62により自身の鉛直な軸線まわりに正逆両方向に任意の角度回転させられる。本実施例においてヘッド回転装置62は、回転体74,ギヤ78およびヘッド回転用モータ80を含む。
【0016】
前記ヘッド保持部材昇降装置60は、保持装置本体50に昇降可能に設けられた昇降部材84,駆動源としてのヘッド保持部材昇降用モータ86(図20参照),保持装置本体50により軸方向に相対移動不能かつ鉛直軸線まわりに回転可能に設けられたねじ軸としてのボールねじ88および昇降部材84に固定のナット90を含む。ヘッド保持部材52の軸部66の上部は、昇降部材84により相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持されており、ボールねじ88がヘッド保持部材昇降用モータ86により回転させられ、昇降部材84が昇降させられることによりヘッド保持部材52が昇降させられる。
【0017】
軸部66内には、その軸線を中心とする円形断面の孔96が設けられるとともに、円管状の通路形成部材98が同心に嵌合されている。ヘッド保持部材52内には、通路形成部材98内の通路100と、通路形成部材98と孔96の内周面との間の円環状通路102とが形成され、円環状通路102は、軸部66に設けられた半径方向通路104,昇降部材84に設けられた円環状通路106,通路108等により、負圧ポンプ等の負圧源110に接続されている。負圧源110から円環状通路102への負圧の供給は、開閉装置112により許容,遮断される。以後、円環状通路102を負圧供給通路102と称する。負圧供給通路102が大気に解放されるようにしてもよい。
【0018】
通路形成部材98の上端部は、昇降部材84により相対回転可能かつ軸方向に相対移動不能に保持され、通路100は、通路形成部材98に設けられた半径方向通路116,昇降部材84に設けられた円環状通路118,通路120等によりコンプレッサ等の正圧源122および前記負圧源110に接続されている。通路100への正圧の供給と負圧の供給とは切換装置124により切り換えられ、正圧と負圧とが択一的に供給される。切換装置124は、通路100に供給される正圧の大きさの調節も行う。以後、通路100を正圧供給通路100と称する。正圧供給通路100が第二正圧供給系を構成している。
【0019】
前記ヘッド保持部68は、ヘッド保持部材52の軸線に直角で下向きの一平面状の吸着面130を備えている。ヘッド保持部68には、吸着面130に開口し、ヘッド保持部材52の軸線を中心線とする円環状の負圧室用凹部132が形成され、通路134により負圧供給通路102に連通させられている。正圧供給通路100の下端部は、吸着面130に開口させられている。ヘッド保持部68にはまた、吸着面130と、ヘッド保持部68の外周面とに開口する大気通路140が形成されている。さらに、ヘッド保持部68の下端部には、半径方向外向きに突出する係合部としての係合突部142が複数、本実施例では3つ、等角度間隔で設けられている。
【0020】
前記一ノズルヘッド54は、図2に示すようにヘッド本体150および被保持部152を含む。ヘッド本体150はノズル保持部(図示省略)を備え、負圧により電子部品154を吸着する吸着ノズル156を1つ、保持する。被保持部152は、本実施例では、横断面形状が円形の円板状を成し、その軸線に直角で一平面状の被吸着面158を備えている。被保持部152にはまた、その直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ、下面および外周面に開口する位置決め部たる凹部160が形成されている。一ノズルヘッド54は、被吸着面158が吸着面130に密着させられ、負圧室用凹部132が塞がれてヘッド吸着用負圧室162が形成され、負圧供給通路102からヘッド吸着用負圧室162に供給される負圧により一ノズルヘッド54がヘッド保持部材52により吸着される。負圧供給通路102はヘッド用負圧供給通路である。正圧供給通路100はヘッド本体150内に連通させられ、吸着ノズル156に負圧あるいは正圧が供給される状態となる。
【0021】
前記リボルバヘッド56を図3に基づいて説明する。
リボルバヘッド56のヘッド本体180は、本実施例では、積層構造部182を含む。積層構造部182は、複数枚、本実施例では7枚のプレート184,186,188,190,192,194,196が互いに気密に積層されて成る。これらプレート184〜196はそれぞれ、横断面形状が円形を成し、直径が同じであり、プレート186〜196は、図示を省略する位置決め部材としての複数の位置決めピンがそれらにわたって軸線方向に平行に嵌合され、軸線と直交する方向において位置決めされた状態で接着剤により分離不能にかつ気密に固着されている。
【0022】
プレート184は、プレート186との間に薄いシート状のシール部材197を挟んだ状態でボルト198等、適宜の結合部材によりプレート186に着脱可能に固定されている。リボルバヘッド56においてはプレート184が被保持部を構成し、そのプレート186とは反対側の面が、ヘッド本体180の軸線に直角で一平面状の被保持面ないし被吸着面200を構成している。プレート184には、被吸着面200に開口し、ヘッド本体180の軸線を中心線とする円環状の負圧室用凹部202が形成され、リボルバヘッド56がヘッド保持部材52に保持される際、負圧室用凹部132と共同してヘッド吸着用負圧室204を形成する。負圧,正圧の漏れは、上記シール部材197,3つのシール部材としてのOリング207,208,209により防止される。プレート184にはまた、その外周部に、複数、本実施例では、3つの係合部たる係合突部206が等角度間隔で設けられている。これら係合突部206はそれぞれ、被吸着面200から突出させられた後、半径方向内向きに曲げられてなる。
【0023】
ヘッド本体180には、3つ以上、本実施例では12個のノズル保持部210が設けられ、それぞれ吸着ノズル212を保持している。リボルバヘッド56において12個のノズル保持部210は同様に構成され、それぞれ吸着ノズル212を保持する。これらノズル保持部210が保持する吸着ノズル212の種類は、全部同じでもよく、一部あるいは全部が異なっていてもよい。種類が異なる場合、例えば、吸着管の直径が異なり、複数種類の吸着ノズル212が12個のノズル保持部210により任意の配置(順序)で保持される。ノズル保持部210は、プレート186〜196をヘッド本体180の軸線に平行な方向に貫通して形成されたホルダ孔214を含み、ノズルホルダ216が軸方向に相対移動可能に嵌合されるとともに、吸着ノズル212が軸方向に相対移動可能に嵌合されている。これらホルダ孔214は、ヘッド本体180の軸線を中心とする一円周上に設けられているが、それらのうちの2つは、30度より大きい角度間隔で設けられ、残りは、30度より小さい等角度間隔で設けられている。ヘッド本体180の吸着ノズル配置角度が大きい部分を干渉回避部217(図7参照)と称する。干渉回避部217においては、隣接する吸着ノズル212の一方について設けられた第一バルブ270と他方について設けられた第二バルブ272との間の隙間が他より大きい。12個の吸着ノズル212は、上記一円周上の12の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で保持されている。吸着ノズル212が保持された一円周をノズル保持円周と称する。また、ノズルホルダ216の周壁には、外周面に開口し、軸方向に延びる円環溝218および円環溝218の上端部とノズルホルダ216内の空間とを連通させる半径方向通路220が形成されている。
【0024】
12個のノズルホルダ216の各上端部にはそれぞれ、回動レバー224が相対回動可能に係合させられている。これら回動レバー224はそれぞれ、長手形状の板状を成し、1対のアーム226,228を備え、プレート186に形成されたレバー収容部たる凹部230(図3,図4参照)に収容され、軸232により、多数の吸着ノズル212の各々の軸線と直角に立体交差する回動軸線のまわりに回動可能に保持されている。アーム226,228は、回動レバー224の回動軸線から互いに逆向きに延び出させられ、本実施例では長さが同じにされている。一方のアーム226は、その先端部において、ノズルホルダ216の上端部に設けられた係合部236に相対回動可能に係合させられている。係合部236は、本実施例では、ノズルホルダ216の上端部に設けられた1対の側壁部238(図3には一方の側壁部238のみ図示されている)により、回動レバー224の回動軸線と平行な姿勢で支持された円形断面のピンにより構成されている。また、他方のアーム228は、ヘッド本体180の外へ突出させられ、その突出端部に被係合部240が設けられている。被係合部240は、回動レバー224の回動軸線に平行な中心線を中心とする部分円筒面状の被係合面242を備えている。
【0025】
回動レバー224は、アーム226とヘッド本体180との間に配設された付勢手段としてのスプリング244により、ノズルホルダ216を上昇させる向きに付勢されている。スプリング244の付勢による回動レバー224の回動限度であって、ノズルホルダ216ないし吸着ノズル212の上昇端位置は、ノズルホルダ216が、ホルダ孔214の上側開口を塞ぐ前記プレート184に当接することにより規定される。スプリング244の付勢による回動限度が規定された状態での回動レバー224の位置を原位置とする。
【0026】
なお、回動レバー224は、図8ないし図11に示すように、支持部材246に回動可能に組み付けられ、レバー組立体248とされた状態でヘッド本体180に組み付けられる。回動レバー224は、長穴250から支持部材246に挿入されるとともに、アーム226,228が支持部材246から突出させられた状態で軸232が軸孔252を通って回動レバー224に嵌合され、回動レバー224が支持部材246に回動可能に支持される。プレート186には、図3および図4に示すように、その軸線方向に貫通する円形断面の嵌合穴254が、凹部230と直交する状態で形成され、レバー組立体保持部が設けられている。レバー組立体248は、プレート184のプレート186への固定に先立って、支持部材246が嵌合穴254に嵌合されるとともに、アーム226,228の支持部材246からの各突出端部が凹部230に収容され、回動レバー224がヘッド本体180に回動可能に保持される。
【0027】
リボルバヘッド56はまた、図3に示すように、12個の吸着ノズル212に負圧を供給する第一負圧供給系260と、正圧を供給する第一正圧供給系262と、12個の吸着ノズル212の各々に対して設けられたバルブ装置264とを含む。これら12個のバルブ装置264は同様に構成されており、1つを代表的に説明する。
【0028】
バルブ装置264は、第一バルブ270,第二バルブ272およびスプール位置維持装置274を含む。第一バルブ270は第一バルブスプール280を備えている。図4に示すように、ヘッド本体180の周方向においては前記回動レバー224の一方の側であって、ヘッド本体180の半径方向においては吸着ノズル212より外周側に第一スプール孔282が設けられている。第一スプール孔282は、前記プレート186〜196をヘッド本体180の軸線に平行な方向に貫通して形成されるとともに、その上端部は、図12に示すように、プレート186の上部の外周面に開口する開口部284とされている。
【0029】
第一バルブスプール280は、図3に示すように、その外周面に開口する2個の円環溝286,288が長手方向に距離を隔てた位置にそれぞれ形成されるとともに、上端部から第一被係合部290が半径方向に延び出させられている。第一バルブスプール280は、第一スプール孔282に軸方向に移動可能に嵌合され、12個の吸着ノズル212の各々と平行な方向に移動可能に保持されるとともに、第一被係合部290が開口部284に嵌合され、第一バルブスプール280のヘッド本体180に対する回転が阻止されるとともに、ヘッド本体180の外へ突出させられている。なお、図3は原則として、リボルバヘッド56を回動レバー224において断面にして示す図であるが、第一,第二バルブ270,272において断面にして示す部分もある。
【0030】
また、第一被係合部290が、開口部284の上向きの係合面ないしストッパ面292(図12参照)に当接することにより第一バルブスプール280の自重による落下が防止され、原位置に位置決めされる。さらに、第一被係合部290には、図12および図13に示すように、下向きで、第一バルブスプール280の軸線に平行な方向の位置であって、高さが段階的に異なる複数の第一被係合面、本実施例では高さが4段階に異なる4つの第一被係合面296,298,300,302が形成されている。回動レバー224,第一バルブスプール290がそれぞれ原位置に位置する状態では、第一被係合面296〜302が被係合面242より上方に位置する。
【0031】
前記第二バルブ272は第二バルブスプール310を備えている。図4に示すように、ヘッド本体180の周方向においては前記回動レバー224に対して前記第一スプール孔282とは反対側であって、ヘッド本体180の半径方向においては吸着ノズル212より外周側であって、第一スプール孔282と同一円周上に第二スプール孔312が設けられている。第二スプール孔312は、図3に示すように、第一スプール孔282と同様に、プレート186〜196をヘッド本体180の軸線に平行な方向に貫通して形成されるとともに、その上端部には、図14に示すようにプレート186の外周面に開口する開口部314が設けられ、第二バルブスプール310が軸方向に移動可能に嵌合されている。
【0032】
第二バルブスプール310には、外周面に開口する円環溝318(図3参照)が形成され、上端部から第二被係合部320が半径方向に延び出させられるとともに開口部314に嵌合され、第二バルブスプール310のヘッド本体180に対する相対回転が防止されている。第二被係合部320の先端部はヘッド本体180の外へ突出させられ、その突出端部の下面が第二被係合面322(図14参照)を構成している。また、第二被係合部320が、開口部314の上向きの係合面ないしストッパ面324に係合することにより、第二バルブスプール310のヘッド本体180から落下が防止され、原位置に位置決めされる。回動レバー224,第二バルブスプール320がそれぞれ原位置に位置する状態では、第二被係合面322は前記第一被係合面296〜302より下方であって、回動レバー224の被係合面242よりやや上に位置する。また、回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310はノズル保持円周の周方向に並んで設けられ、被係合部240,290,320はノズル保持円周の中心線を中心とする一円周上に位置する。
【0033】
第一負圧供給系260を説明する。第一負圧供給系260は、前記被吸着面200に開口させられ、プレート184を貫通して形成された貫通路(図示省略),その貫通路に連通させられ、プレート186,188をそれぞれ貫通して形成された貫通路348(図4参照),プレート190に形成された円環溝350(図3参照)を含む。円環溝350は、プレート190の表面(プレート188に固着される側の面)に前記ノズル保持円周と同心の円周に沿って形成され、貫通路348によってプレート184に形成された上記貫通路に連通させられている。
【0034】
プレート190にはまた、図3に示すように12個のバルブ装置264の各々に対して貫通路352が円環溝350に連通する状態で形成されており、プレート192の表面には、これら貫通路352の各々と12個の第二スプール孔312との間にそれぞれ、図5に1つを代表的に示すように、ノズル保持円周のほぼ半径方向に延びる半径方向溝部354が形成されている。プレート192の表面にはさらに、第二スプール孔312と第一スプール孔282との間に、ノズル保持円周の周方向に延びる周方向溝356が形成され、第一スプール孔282とホルダ孔214との間に半径方向溝部358が形成され、ノズルホルダ216の円環溝218に連通させられている。
【0035】
図3に示すように、第一バルブスプール280が原位置に位置する状態では、円環溝286が半径方向溝部358および周方向溝部356に連通し、それらを連通させ、第二バルブスプール310が原位置に位置する状態では、円環溝318が周方向溝部356および半径方向溝部354から外れて下方に位置し、それらを遮断する。常には、第一バルブ270は負圧供給状態にあり、第二バルブ272は、第一バルブ270と第一負圧供給系260とを遮断する負圧不供給状態にある。第二バルブスプール310が原位置からヘッド本体180に対して上昇させられ、円環溝318が周方向溝部356および半径方向溝部354に連通させられれば、第二バルブ272は第一バルブ270を第一負圧供給系260に連通させ、負圧供給状態とされ、円環溝286,半径方向溝部358,円環溝218,半径方向通路220を経て吸着ノズル212に負圧が供給される。第二バルブスプール310のこの位置を負圧供給位置と称する。第一バルブスプール280の原位置は負圧供給位置でもある。本実施例においては、ヘッド本体180の第一,第二スプール孔282,312が形成された部分がバルブ装置保持部を構成し、貫通路352,半径方向溝部354,周方向溝部356,半径方向溝部358が個別通路を構成し、その途中に第一,第二バルブ270,272が設けられている。
【0036】
前記第一正圧供給系262を説明する。第一正圧供給系262は、図3および図15に示すように、前記プレート184に、その軸線上を貫通して形成された貫通路380,プレート186,188に、その軸線上を貫通して形成された貫通路382,384,プレート190の軸線上に形成された有底路386,プレート190の表面に開口して形成され、ノズル保持円周のほぼ半径方向に延びる半径方向溝部388,貫通路390,プレート192に形成された貫通路392,プレート194の表面に形成された半径方向溝部394,円環溝395,減圧バルブ396,プレート196の表面に形成された半径方向溝部398および円環溝400を含む。
【0037】
減圧バルブ396は、本実施例では、図15に示すように、段付状の減圧ピストン410を備え、ヘッド本体180に、その軸線を中心として形成された段付状のシリンダボア412に液密にかつ軸方向に移動可能に嵌合されている。それにより、減圧ピストン410の上側に大気圧室424が形成され、プレート192に形成された半径方向溝部426,プレート190,188,186,184にそれぞれ形成された貫通路428,430,431,433(図3,図15参照),プレート184に形成された円環溝432によって大気に解放される。また、シリンダボア412の肩面434と大径ピストン部436との間に減圧室440が形成され、前記半径方向溝部398に連通させられている。半径方向溝部398の減圧室440側の部分は円環溝とされている。なお、円環溝とすることは不可欠ではない。さらに、大径ピストン部436の下側に大気圧室442が形成され、大気に解放されるとともに、付勢手段の一種である弾性部材としてのスプリング444が配設され、減圧ピストン410を減圧室440の容積が減少する向きに付勢している。
【0038】
減圧ピストン410の小径ピストン部446には、図15に示すように、その外周面に開口する円環溝450が形成されるとともに、内部に形成された通路452によって減圧室440に連通させられている。円環溝450が前記円環溝395に連通する状態では、減圧室440に正圧が供給され、減圧ピストン410には、正圧に基づく力と、スプリング444の付勢力とが互いに逆向きに作用し、それらが釣り合う状態になれば、円環溝395,450が遮断され、正圧がスプリング444のセット荷重によって決まる大きさに調整され、減圧される。ここでは、真空破壊に適した大きさに減圧される。減圧室440の圧力が減少すれば、減圧ピストン410がスプリング444の付勢により移動させられて円環溝395,450が連通させられる。このように減圧ピストン410が軸方向に移動して正圧を減圧する状態が作用状態である。
【0039】
なお、ヘッド本体180には、減圧作用解除部材460が設けられている。減圧作用解除部材460は、本実施例では、円形断面のピン状を成し、大気圧室442に減圧ピストン410と同心に軸方向に移動可能に設けられている。減圧作用解除部材460は、図15に示すように減圧作用許容位置に位置する状態では、減圧ピストン410が、スプリング444の付勢力に抗して移動することを許容し、減圧バルブ396が正圧を減圧することができる。減圧作用解除部材460は減圧作用解除位置において、減圧ピストン410を大径ピストン部436が肩面434に当接した状態に保ち、円環溝395,450が連通状態に保たれ、正圧が減圧されない。減圧バルブ396が非作用状態とされるのである。この状態でも、減圧室440は半径方向溝398に連通した状態に保たれる。
【0040】
プレート194には、図3および図6に一部を示すように、12個のバルブ装置264の各々について、円環溝400に連通させられた貫通路464が形成されるとともに、プレート194の表面には、それら貫通路464と12個の第一スプール孔282との間にそれぞれ、半径方向溝部466が形成され、12個ずつの第一スプール孔282とホルダ孔214との間にそれぞれ、半径方向溝部468が形成されている。前記第一バルブスプール280が原位置に位置する状態では、図3に示すように、円環溝288が半径方向溝部466,468から下方へ外れ、吸着ノズル212を第一正圧供給系262に連通させず、第一バルブスプール280がヘッド本体180に対して上昇させられ、円環溝288が半径方向溝部466,468に連通させられれば、吸着ノズル212を第一正圧供給系262に連通させることができ、第一バルブ270は正圧供給状態に切り換えられる。第一バルブスプール280のこの位置を正圧供給位置と称する。本実施例においては、貫通路464および半径方向溝部466,468が正圧系の個別通路を構成し、第一バルブ270は、この個別通路の途中にも設けられている。なお、本リボルバヘッド56においては、第一,第二バルブスプール280,310は、それぞれ正圧供給位置,負圧供給位置に位置する状態において、全体がヘッド本体180内に引っ込み、各下面がヘッド本体180の下面と同一平面内に位置し、第一,第二被係合部290,320の各上面が同じ高さになる。
【0041】
正圧はまた、12個ずつの第一,第二バルブスプール280,310に作用させられ、それらの軸方向の位置が維持される。図3に示すように、プレート194の表面には、プレート192の貫通路392に連通する半径方向溝部480,貫通路482が形成され、プレート196の表面に円環溝484が形成され、その円環溝484から、多数の第一,第二スプール孔282,312の各々と直交し、プレート196の外周面に開口する半径方向溝部486,488が形成されている。半径方向溝部486,488には正圧が減圧されることなく供給され、第一,第二バルブスプール280,310には、ヘッド本体180の軸線側から外周側に向かって正圧が作用し、第一,第二バルブスプール280,310が第一,第二スプール孔282,312の内周面に押し付けられ、摩擦力により軸方向の位置が維持される。本実施例では、半径方向溝部486,488の第一,第二スプール孔282,312に対して円環溝484側の部分が非対称圧力室を構成し、スプール位置維持装置274の一部を構成している。
【0042】
なお、ヘッド本体180には、図7に示すように、前記干渉回避部217に、被吸着面200とは逆向きの面である下面および外周面に開口する凹部494が設けられ、位置決め部を構成している。
【0043】
保持装置本体50には、相対昇降装置としてのノズル昇降装置500およびリセット部材としてのリセットリング504が設けられている。ノズル昇降装置500は、図3に示すように、レバー駆動部材510を備え、ノズル昇降装置旋回装置512によりノズル保持円周の中心線まわりに任意の位置へ旋回させられる。ノズル昇降装置旋回装置512は、前記ギヤ78と回転体74に固定のリセットリング504とにより、軸方向に移動不能かつノズル保持円周の中心線まわりに回転可能に支持されたギヤ514を備え、そのギヤ514にレバー駆動部材510が着脱可能に固定されており、ギヤ514がレバー駆動部材旋回用モータ516(図20参照)によって回転させられることにより、レバー駆動部材510が旋回させられ、リボルバヘッド56に対して任意の位置へ旋回させられる。
【0044】
レバー駆動部材510は長手形状を成し、ギヤ514の、半径方向においてリボルバヘッド56から外れた部分から下方へ突出させられ、その突出端部にリボルバヘッド56側へ突出する駆動部ないし係合部520が設けられている。係合部520は、吸着ノズル212の軸線に直角で上向きの係合面522を備え、ヘッド本体180の半径方向においては、ヘッド本体180の昇降経路の外側であって、回動レバー224のアーム228の被係合部240の昇降経路内に位置させられている。したがって、ヘッド保持部材52が下降させられ、ヘッド保持部材52により保持されたリボルバヘッド56が下降させられるとき、係合面522が被係合部240に係合してその下降を阻止する。それにより、リボルバヘッド56が更に下降させられるのに伴って、回動レバー224の回動軸線が被係合部240に対して下降させられるとともに回動レバー224が回動させられ、アーム226のノズルホルダ216に対する係合部が下降させられて吸着ノズル212が下降させられる。本実施例では、アーム226,228の長さが同じにされているため、吸着ノズル212がリボルバヘッド56の下降距離の2倍の距離下降させられる。
【0045】
回動レバー224の被係合部240と第一,第二バルブスプール280,310の被係合部290,320とは同一円周上に位置し、レバー駆動部材510を第一,第二被係合部290,320にも係合させることができる。係合面522は、レバー駆動部材510の旋回方向において、被係合部240と第一被係合部290との両方に係合し、あるいは被係合部240と第二被係合部320との両方に係合する幅を有し、レバー駆動部材510が、互いに対応する吸着ノズル212,バルブ装置264に対して、旋回方向において、係合部520が被係合部240,第一被係合部290に係合することができる第一切換位置に位置する状態では、ヘッド保持部材52の下降に伴って第一被係合部290にも係合して第一バルブスプール280の下降を阻止し、ヘッド本体180に対して相対的に上昇させて原位置から正圧供給位置へ移動させる。また、レバー駆動部材510が、旋回方向において、係合部520が被係合部240,第二被係合部320に係合することができる第二切換位置に位置する状態では、ヘッド保持部材52の下降に伴って被係合部320にも係合して第二バルブスプール310の下降を阻止し、ヘッド本体180に対して相対的に上昇させ、原位置から負圧供給位置へ移動させる。本実施例では、レバー駆動部材510が通常バルブ切換部材を兼ね、ノズル昇降装置500が通常バルブ切換装置を兼ね、ノズル昇降装置旋回装置512が通常バルブ切換装置旋回装置を兼ねている。
【0046】
前記リセットリング504は、本実施例では、横断面形状が円形の筒状を成し、前記回転体74に同心にかつ着脱可能に固定され、リボルバヘッド56と一体的に回転させられる。リセットリング504は、図3に示すように、レバー駆動部材510の旋回経路の内側に設けられ、ヘッド本体180とは干渉しないが、回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310の被係合部240,290,320の昇降経路内に位置する直径を備え、その下端部には、12個のバルブ装置264の各々に対して第一通常リセット部540および第二通常リセット部542が設けられている。第一通常リセット部540と第二通常リセット部542とは、図16に展開して示すように、第一,第二バルブスプール280,310の軸線に平行な方向における位置であって、高さを互いに異にする。この高さの差は、原位置に位置する状態での第一,第二バルブスプール280,310の第一,第二被係合部290,320の上面の高さの差と同じにされている。したがって、第一,第二バルブスプール280,310がそれぞれ、正圧供給位置,負圧供給位置に位置する状態でヘッド保持部材52が上昇させられ、リボルバヘッド56が上昇させられるとき、第一,第二通常リセット部540,542は第一,第二被係合部290,320に係合し、それらの上昇を阻止することにより、第一,第二バルブスプール280,310をヘッド本体180に対して相対的に下降させ、原位置に戻す。第一,第二通常リセット部540,542は、ヘッド保持部材52が上昇端位置に位置させられた状態で、第一,第二バルブスプール280,310を原位置に戻す。ヘッド保持部材52の上昇端位置が通常リセット位置であり、ヘッド保持部材昇降用モータ86の制御により得られる。第二通常リセット部542は、回動レバー224のアーム228の被係合部240にも係合して、回動レバー224を原位置にリセットする。回動レバー224はスプリング244の付勢により原位置へ戻されるが、万一戻りが不足することがあっても、確実に戻されるのである。
【0047】
なお、リセットリング504により得られる原位置は、回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310の前述の原位置より僅かに手前の位置に設定され、アーム226,第一,第二被係合部290,320とプレート184,ストッパ面292,324(図12,14参照)との間に僅かに隙間が残され、それらの破損が回避されるようにされている。リセットリング504により得られる原位置も、プレート184,ストッパ面292,324により得られる原位置も実質的に変わりはない。
【0048】
レバー駆動部材510には、図3に示すように、第一特別リセット部550および第二特別リセット部552が設けられている。これら特別リセット部550,552は、ヘッド保持部材52の半径方向においては、通常リセット部540,542と同じ位置に位置し、それらと同様の高さの差を備え、第一特別リセット部550は第一バルブスプール280の第一被係合部290に係合し、第二特別リセット部552は第二バルブスプール310の第二被係合部320,回動レバー224の被係合部240に係合してそれらを原位置に戻すように設けられている。第一,第二特別リセット部550,552は、レバー駆動部材510の上下方向においては、回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310に係合して原位置に戻す際、それらのヘッド本体180に対する相対移動を、負圧供給位置に位置する他の第二バルブスプール310を第二通常リセット部542に当接させることなく生じさせる位置に設けられている。第一,第二バルブスプール280,310が第一,第二特別リセット部550,552によって原位置に復帰させられる際のヘッド保持部材52の上昇位置を特別リセット位置と称する。特別リセット位置は通常リセット位置より低い。本実施例においては、特別リセット部材がレバー駆動部材510と一体的に設けられ、ノズル昇降装置旋回装置512が特別リセット部材旋回装置も兼ねている。
【0049】
前記ディスペンサヘッド58を説明する。ディスペンサヘッド58は、図17に示すように、被保持部560,高粘性流体の一種である接着剤561を収容する接着剤収容部562および吐出ノズル564を備えている。被保持部560は、円板状を成し、その軸線に直角な一平面が被保持面ないし被吸着面566を構成し、直径方向に隔たった2箇所にそれぞれ、下面に開口する2個の凹部568が形成されている。接着剤収容部562は、接着剤収容室570に接着剤561が収容されるとともに、接着剤押出部材としてのフロート572が気密にかつ軸方向に移動可能に嵌合されている。ディスペンサヘッド58がヘッド保持部材52により保持された状態では、接着剤収容室570は、被保持部560に形成された貫通穴574により正圧供給通路100に連通させられ、正圧の供給により吐出ノズル564から接着剤561が所定量ずつ吐出される。
【0050】
前記ヘッド収納装置20を説明する。ヘッド収納装置20は、本実施例では、図1に概略的に示すように、基板搬送装置22の上方であって、電子部品保持装置10の移動領域内に設けられている。ヘッド収納装置20は、図18および図19に示すように、収納装置本体600と、収納装置本体600にそれぞれ設けられた複数の一ノズルヘッド収納部602,複数のリボルバヘッド収納部604およびディスペンサヘッド収納部(図示省略)を含む。一ノズルヘッド収納部602は、収納装置本体600を上下方向に貫通して形成された収納穴610と、収納穴610の周縁部に形成された支持面612とを備えている。収納穴610は一部が切り欠かれて開口614が形成され、支持面612にはピン616が突設されて位置決め部が設けられている。一ノズルヘッド54は、被保持部152が支持面612上に載置されるとともに、2個の凹部160の一方にピン616が嵌入し、位相を決められて収納される。ディスペンサヘッド収納部は、一ノズルヘッド収納部602と同様に構成され、ディスペンサヘッド58は被保持部560において支持面により支持されるが、支持面は、被吸着面566の高さが、一ノズルヘッド収納部602に収納された一ノズルヘッド54の被吸着面158と同じ高さになるように設けられている。
【0051】
リボルバヘッド収納部604は、円形断面の収納穴624と、収納穴624の周縁部に形成された支持面626とを備え、支持面626にピン628が突設され、位置決め部が設けられている。リボルバヘッド58は、ヘッド本体180の外周部において支持面626上に載置され、ピン628が前記凹部494に嵌入させられ、位相が決められた状態で収納される。支持面626は、一ノズルヘッド収納部602の支持面612より下方に設けられ、リボルバヘッド収納部604に収納されたリボルバヘッド56の被吸着面200の高さが被吸着面158,566と同じになるようにされている。ヘッド収納装置20に収納された複数種類のリボルバヘッド56はそれぞれ、例えば、保持する吸着ノズル212の数,種類(例えば、吸着管の直径)を異にし、複数種類の一ノズルヘッド54はそれぞれ、保持する吸着ノズル212の種類を異にする。
【0052】
前記制御装置24は、図20に示すように、コンピュータ650を主体として構成されており、駆動回路652を介してX軸方向移動装置40等を駆動する。
【0053】
以上のように構成された電子部品装着システムにおいては、スクリーン印刷システムにおいて部品装着個所にクリーム状はんだが塗布された回路基板32が搬入され、一ノズルヘッド54,リボルバヘッド56により電子部品154の装着が行われる。回路基板32に装着される電子部品154の種類,数に応じて、最も能率良く装着を行うことができるノズルヘッドがヘッド保持部材52に保持されて装着に使用される。
【0054】
一ノズルヘッド54による電子部品154の回路基板32への装着を説明する。図2に示すように、ヘッド保持部材52により吸着された一ノズルヘッド54は、電子部品保持装置10の移動により部品供給装置12あるいは14へ移動させられ、電子部品154上において停止させられるとともに下降させられ、電子部品154を吸着する。部品吸着時には、正圧供給通路100に負圧が供給される。吸着後、一ノズルヘッド54が上昇させられるとともに回路基板32へ移動させられる。この移動の途中で電子部品154が部品撮像システム47により撮像され、吸着ノズル156による電子部品154の保持位置誤差が検出される。X軸,Y軸方向の位置誤差は、回路基板32の部品装着個所のX軸,Y軸方向の位置誤差と合わせて電子部品保持装置10の移動位置の修正により修正され、回転位置誤差は一ノズルヘッド54の回転により修正される。そして、一ノズルヘッド54が部品装着個所上において下降させられ、電子部品154を装着する。この際、正圧供給通路100への負圧の供給が遮断されるとともに、正圧が供給され、吸着ノズル156は電子部品154を積極的に解放する。吸着ノズル156の清掃時には、正圧供給通路100に部品解放時より高い正圧が供給される。
【0055】
リボルバヘッド56が一ノズルヘッド54に替わって電子部品154の装着を行うのであれば、電子部品保持装置10がヘッド収納装置20へ移動させられ、ノズルヘッド54,56を交換する。電子部品保持装置10は、空の一ノズルヘッド収納部602へ移動させられ、被保持部152が一ノズルヘッド収納部602の上面より上に位置する状態でヘッド本体150が開口614を通って収納穴610内に進入させられる。そして、ヘッド保持部材52が、その軸線が、収納穴610の中心線と一致するとともに、2個の凹部160の一方とピン616との位相が一致する状態で下降させられ、被保持部152がピン616により位置決めされた状態で支持面612上に載置される。レバー駆動部材510は、ちょうど開口614に対応する旋回位置に位置させられて収納装置本体600との干渉が回避される。載置後、負圧供給通路102への負圧の供給が遮断され、一ノズルヘッド54が解放される。
【0056】
解放後、ヘッド保持部材52が上昇させられるとともに、リボルバヘッド収納部604上へ移動させられる。ヘッド保持部材52は、その軸線がリボルバヘッド56の軸線と一致するとともに、3個の係合突部142が、プレート184の3個の係合突部206の間に位置する位相で下降させられる。また、レバー駆動部材510は、干渉回避位置に位置させられ、収納装置本体600等との干渉が回避される。干渉回避位置は、ヘッド本体180の干渉回避部217に対応する旋回位置である。ヘッド保持部材52は吸着面130が被吸着面200に当接した状態で回転させられ、係合突部142が係合突部206と被吸着面200との隙間に進入させられ、係合突部142,206の位相が一致させられて、ヘッド保持部材52とリボルバヘッド56とが半径方向,軸線方向において離脱不能とされる。そのため、リボルバヘッド56にヘッド保持部材52から外れる向きの力が作用しても、リボルバヘッド56が落下することはない。係合突部142,206がノズルヘッド落下防止装置を構成している。吸着面130の被吸着面200への接触によりヘッド吸着用負圧室204が形成され、その後、負圧源110から負圧供給通路102を経てヘッド吸着用負圧室204に負圧が供給される。それにより、リボルバヘッド56がヘッド保持部材52に吸着され、同心にかつ鉛直な姿勢で保持されてヘッド保持部材52の昇降,回転により昇降,回転させられる。また、第一正圧供給系262が正圧供給通路100に連通させられて正圧が供給される。正圧源122からは高い正圧が供給され、スプール280,310の位置が維持される。さらに、プレート184に形成された図示しない貫通路が負圧室用凹部132に連通させられ、第一負圧供給系260が負圧室用凹部132を介して負圧供給通路102に連通させられて負圧が供給される。負圧供給通路102が第二負圧供給系を構成し、ヘッド用負圧供給通路が第二負圧供給系の負圧供給通路を兼ねている。なお、プレート184に形成されて貫通路348を負圧供給通路102に連通させる貫通路は、負圧室用凹部202に開口させてもよい。また、負圧室用凹部202は省略してもよい。
【0057】
吸着後、ヘッド保持部材52が上昇させられ、吸着ノズル212が収納穴624から抜け出させられてリボルバヘッド56が収納穴624から抜け出させられるとともに、部品供給装置12あるいは14へ移動させられて電子部品154を取り出す。12個の吸着ノズル212は、リボルバヘッド56の回転により順次部品吸着位置へ旋回させられて電子部品154を吸着する。本実施例では、吸着ノズル212の旋回位置のうち、Y軸方向においてフィーダ型部品供給位置12に最も近い位置が部品吸着位置とされている。
【0058】
リボルバヘッド56は、ノズル収納装置20に収納される際には、ヘッド本体180の外周部が支持面626により支持されるため、第一,第二バルブスプール280,310が負圧供給位置,正圧供給位置に位置させられている。そのため、電子部品154の吸着開始に先立ってノズル保持部材52が上昇端位置へ移動させられ、第一,第二バルブスプール280,310が原位置にリセットされる。ヘッド保持部材52が上昇端位置へ上昇させられるまでの間に、全部の第一,第二通常リセット部540,542がそれぞれ、第一,第二バルブスプール280,310の第一,第二被係合部290,320に係合し、ヘッド本体180に対して一斉に下降させ、原位置へ復帰させる。この際、正圧供給通路100への正圧の供給が遮断され、第一,第二バルブスプール280,310は正圧による位置の維持が為されず、軽快に移動させられる。また、原位置に戻される回動レバー224があることもある。リセット後、正圧供給通路100に正圧が供給され、第一,第二バルブスプール280,310の軸方向の位置が維持されるようにされる。なお、このリセットの間、レバー駆動部材510は干渉回避位置に位置させられており、第一,第二特別リセット部550,552と回動レバー224,第一,第二バルブスプール280,310との干渉が回避される。リセット後、リボルバヘッド56が下降させられて電子部品154の吸着,装着を行う状態とされるときも同様である。
【0059】
電子部品154の吸着時には、レバー駆動部材510は、部品吸着位置へ移動させられた吸着ノズル212と連携させられた回動レバー224およびその吸着ノズル212に対応するバルブ装置264に対して第二切換位置に位置するようにされている。そのため、ヘッド保持部材52が下降させられるとき、図21および図22(a)に示すように、まず、回動レバー224の被係合部240がレバー駆動部材510の係合面522に係合し、次いで第二バルブスプール310の第二被係合部320が係合面522に係合する。ヘッド保持部材52は、その状態から更に下降させられ、図22(b),(c)に示すように、回動レバー224が回動させられて吸着ノズル212が下降させられるとともに、第二バルブスプール310がヘッド本体180に対して上昇させられ、負圧供給位置へ移動させられる。第一バルブスプール280の第一被係合部は係合面522に係合せず、第一バルブスプール280は原位置に位置する状態に保たれ、吸着ノズル212に負圧が供給され、電子部品154が吸着される。
【0060】
部品供給装置12,14において電子部品154は、厚さが異なっても上面の高さが同じになるように保持されており、電子部品154の吸着時には、ヘッド保持部材52は一定距離下降させられる。吸着後、ヘッド保持部材52が上昇させられる。この際、第二バルブスプール310はスプール位置維持装置274により負圧供給位置に保たれるが、回動レバー224はスプリング244の付勢により原位置へ回動させられ、吸着ノズル212が上昇させられて電子部品154が取り出される。ノズルホルダ216の円環溝218は軸方向に長く、吸着ノズル212が昇降させられても負圧供給状態に保たれる。電子部品154の吸着,装着時には、ヘッド保持部材52は上昇端位置まで上昇させられず、原位置に位置する回動レバー224の被係合部240の被係合面242がレバー駆動部材510の係合面522よりやや上側に位置する位置まで上昇させられる。それにより、係合面522と被係合面242とが接触した状態で、リボルバヘッド56とレバー駆動部材510とが相対回転させられることが回避される。このヘッド保持部材52の位置は特別リセット位置より低く、吸着・装着時上昇端位置と称する。
【0061】
リボルバヘッド56の回転により、12個の吸着ノズル212が順次部品吸着位置へ移動させられて電子部品154を吸着する。全部の吸着ノズル212が電子部品154を吸着したならば、電子部品保持装置10は回路基板32上方へ移動させられて電子部品154を装着する。移動の途中で12個の吸着ノズル212の各電子部品154が一括して部品撮像システム47により撮像され、電子部品154の保持位置誤差が検出される。
【0062】
12個の吸着ノズル212は、電子部品保持装置10の移動により、順次、回路基板32の予め設定された部品装着個所上へ移動させられるが、電子部品154の回転位置誤差は、リボルバヘッド56が回転させられることにより修正される。レバー駆動部材510は次に電子部品154を装着する吸着ノズル212に対応する位置へ旋回させられ、その吸着ノズル212およびバルブ装置264に対して第一切換位置に位置させられる。吸着ノズル212による電子部品154のX軸,Y軸方向の保持位置誤差,回転位置誤差の修正によるX軸,Y軸方向のずれ,部品装着個所の位置誤差は、電子部品保持装置10の移動位置の修正により修正される。吸着ノズル212が部品装着個所上へ移動させられた後、ヘッド保持部材52が下降させられるが、その途中で図22(d)に示すようにレバー駆動部材510の係合面522にまず、回動レバー224の被係合部240が係合し、回動レバー224が回動させられて吸着ノズル212が下降させられ、図22(e)に示すように円環溝218が半径方向溝部468に連通させられて正圧が供給されるようにされる。
【0063】
その後、係合面522は、第一バルブスプール280の第一被係合面296〜302のいずれかに係合し、第一バルブスプール280をヘッド本体180に対して上昇させる。図13に係合面522が第一被係合面296に係合した例を二点鎖線で示す。第一バルブスプール280のヘッド本体180に対する上昇により、図22(e)に示すように、円環溝286が溝部356,358から外れ、吸着ノズル212への負圧の供給が断たれ、更にヘッド保持部材52が下降させられることにより、図22(f)に示すように、円環溝288が溝部466,468に連通させられ、吸着ノズル212に正圧が供給される。この正圧は減圧バルブ396により減圧された正圧であり、回路基板32上に載置された電子部品154が吸着ノズル212から積極的に解放される。その後、ヘッド保持部材52が上昇させられるが、第一バルブスプール280はスプール位置維持装置274により正圧供給位置に保たれるのに対し、スプリング244の付勢による回動レバー224の回動により吸着ノズル212が上昇させられ、円環溝218が半径方向溝部468から外れて正圧の供給が断たれる。第一バルブスプール280は吸着ノズル212への負圧の供給を遮断しており、電子部品154を装着した吸着ノズル212から負圧が漏れることはない。
【0064】
このようにリボルバヘッド56が下降させられて電子部品154が装着されるとき、回路基板32に装着される電子部品154を保持する吸着ノズル212以外の吸着ノズル212および第一バルブスプール280は、図22(g),(h),(i)に示すように、リボルバヘッド56と共に下降させられるが、レバー駆動部材510がいないため、回動レバー224は回動させられず、第一バルブスプール280は正圧供給位置へ移動させられず、吸着ノズル212は電子部品154を装着せず、吸着した状態に保たれる。
【0065】
第一被係合面296〜302のうち、レバー駆動部材510が係合する第一被係合面は、電子部品154の厚さ(高さ)に応じて選択され、電子部品154が厚いほど、低い第一被係合面に係合面522が係合するようにレバー駆動部材510の旋回位置が設定される。いずれの旋回位置も第一切換位置であり、本実施例では、1つの第一バルブスプール280について第一切換位置が複数、本実施例では4つ設定される。レバー駆動部材510の旋回位置の設定により、電子部品154の厚さに応じて、ヘッド保持部材52の下降時における係合面522の第一被係合面に対する係合時期が変えられ、第一バルブスプール280の切換え時期が変えられて、電子部品154の厚さに関係なく、電子部品154が回路基板32に当接する前に負圧の供給が遮断されるとともに、当接に前後して正圧が供給される。部品装着時におけるリボルバヘッド56の下降端位置は電子部品154の厚さに応じて変えられる。第一バルブスプール280のヘッド本体180に対する相対移動距離は、電子部品154の厚さが異なっても一定であり、第一被係合面が係合面522により係合される時期が早いほど、第一バルブスプール280が早く正圧供給位置に至るため、第一バルブスプール280が正圧供給位置に至った状態でリボルバヘッド56の下降が停止するように、下降端位置が設定されているのである。回動レバー224のアーム226,228のレバー比により、吸着ノズル212の下降距離はヘッド保持部材52の下降距離の2倍であり、第一被係合面296〜302の高さの差は、電子部品154の厚さの差の半分に設定され、係合面522がいずれの第一被係合面に係合して第一バルブスプール280を正圧供給位置に切り換える場合でも、吸着ノズル212に保持された電子部品154の回路基板32への当接に対して同じタイミングで切換えが行われる。
【0066】
吸着ノズル212による電子部品154の吸着にミスが生じた場合、その電子部品154は、回路基板32への電子部品154の装着開始に先立って廃棄される。電子部品保持装置10は部品廃棄箱(図示省略)上へ移動させられ、レバー駆動部材510が、廃棄される電子部品154を保持した吸着ノズル212,バルブ装置264に対して第一切換位置へ移動させられた状態でヘッド保持部材52が下降させられ、係合面522との係合により、吸着ノズル212が下降させられるとともに、第一バルブスプール280が正圧供給位置へ移動させられて吸着ノズル212に正圧が供給される。レバー駆動部材510は、本実施例では、係合面522が、第一被係合面296〜302のうち、廃棄される電子部品154の回路基板32への装着時に係合することが設定されていた面に係合する位置に位置させられ、ヘッド保持部材52はその電子部品154の装着時と同じ位置まで下降させられる。この位置が特別切換位置である。また、減圧作用解除部材460が駆動部材(図示省略)により減圧作用解除位置へ移動させられ、減圧バルブ396を非作用状態とする。それにより、吸着ノズル212に正圧が減圧されることなく供給され、電子部品154が確実に吸着ノズル212から離間させられ、部品廃棄箱に収容される。廃棄後、駆動部材による減圧作用解除部材460の駆動が解除され、減圧作用解除部材460が減圧作用許容位置へ移動させられ、減圧バルブ396が作用状態となるようにされる。本実施例では、レバー駆動部材510が特別バルブ切換部材も兼ね、通常バルブ切換部材が特別バルブ切換部材を兼ねており、レバー駆動部材510と一体的に設けられた特別リセット部材が特別バルブ切換部材と一体的に構成されている。また、ノズル昇降装置500が特別バルブ切換装置も兼ね、ノズル昇降装置旋回装置512が特別バルブ切換装置旋回装置も兼ねている。なお、係合面522に係合させる第一被係合面は、装着時に係合することが設定された第一被係合面に限らず、例えば、第一被係合面296〜302のうちの予め設定された1つであって、電子部品154の種類に関係なく同じ第一被係合面を係合させるようにしてもよい。ヘッド保持部材52の下降位置は、係合面522に係合する第一被係合面に応じて設定される。
【0067】
電子部品154を捨てた吸着ノズル212は、再び電子部品154を吸着する。そのため、この吸着ノズル212に対する第一,第二バルブスプール280,310が原位置へ戻される。レバー駆動部材510は、電子部品154を廃棄した吸着ノズル212およびバルブ装置264に対応する位置へ旋回させられ、ヘッド保持部材52が特別リセット位置へ上昇させられる。それにより、特別リセット部550,552が、それに対応する第一,第二バルブスプール280,310,回動レバー224のみに係合して原位置に戻す。ヘッド保持部材52は通常リセット位置に至る途中の特別リセット位置まで上昇させられるのみであり、他の正常に電子部品154を保持する吸着ノズル212に対応する第二バルブスプール310はリセットされず、電子部品154を保持する状態に保たれる。
【0068】
吸着ノズル212の清掃時にも、減圧作用解除部材460が駆動部材あるいは作業者により減圧作用解除位置に位置させられ、吸着ノズル212が下降させられて第一正圧供給系262に連通させられるようにされるとともに、第一バルブスプール280が正圧供給位置へ移動させられ、減圧されない高い正圧が吸着ノズル212に供給され、吸着ノズル212内部の塵埃等が吹き出される。
【0069】
回路基板32に接着剤を塗布して電子部品154を装着する場合、ディスペンサヘッド58がヘッド保持部材52により吸着されて保持され、ヘッド収納装置20から取り出されるとともに、所定の塗布位置へ移動させられて接着剤を塗布する。塗布後、ヘッド保持部材52はディスペンサヘッド58をノズル収納装置20に戻すとともに、一ノズルヘッド54あるいはリボルバヘッド56を保持し、電子部品154の装着を行う。ヘッド保持部材52によるディスペンサヘッド58の保持,収納は、一ノズルヘッド54と同様に行われる。
【0070】
リボルバヘッド56が保持した全部の電子部品154を回路基板32に装着した後、更に電子部品154の装着を行うのであれば、ヘッド保持部材52が上昇端位置へ移動させられて第一,第二バルブスプール280,310,回動レバー224が原位置にリセットされる。装着が終了し、リボルバヘッド56をヘッド収納装置20に戻す場合には、第一,第二バルブスプール280,310がリセットされることなくヘッド保持部材52がヘッド収納装置20へ移動させられ、その軸線と収納穴624の中心線とが一致させられるとともに、凹部494とピン628との位相が合わされた状態で下降させられ、リボルバヘッド56が支持面626上に載置され、凹部494にピン628を嵌入させられる。そして、負圧供給通路102への負圧の供給が断たれた状態でヘッド保持部材52が回転させられ、係合突部142,206の位相がずらされ、係合突部142が係合突部204から外れた状態でヘッド保持部材52が上昇させられる。この際、レバー駆動部材510は干渉回避位置に位置させられる。このようにリボルバヘッド56は、凹部494とピン628との嵌合により回転位置を位置決めされた状態でヘッド収納装置20に収納され、その状態でヘッド保持部材52により保持されるため、例えば、ヘッド保持部材52により保持される際、ヘッド保持部材52に対するリボルバヘッド56の位相がわかり、例えば、複数の吸着ノズル212による電子部品154の吸着,装着順序の制御が容易である。
【0071】
ヘッド保持部材52が一ノズルヘッド54を保持する場合には、ヘッド保持部材52の軸線と被保持部152の軸線とが一致させられた状態でヘッド保持部材52が下降させられ、吸着面130が被吸着面158に密着させられ、それにより形成されるヘッド吸着用負圧室162への負圧の供給により一ノズルへ54が保持される。その後は、ヘッド保持部材52が収納時とは逆の手順で上昇,移動させられ、一ノズルヘッド54を保持して取り出す。ヘッド54,56,58が自動で交換され、本実施例では、電子部品保持装置移動装置18,ヘッド保持部材昇降装置60,ヘッド回転装置62,制御装置24のそれら電子部品保持装置移動装置18等を制御してヘッドの交換を行わせるヘッド自動交換制御部がヘッド自動交換装置を構成している。
【0072】
なお、一ノズルヘッドにおいてもバルブ装置を設け、第二負圧供給系から供給される負圧と第二正圧供給系から供給される正圧との吸着ノズルへの供給の切換えが機械的に行われるようにしてもよい。
【0073】
また、第二バルブスプールについても第二被係合部の第二被係合面のバルブスプールの軸線に平行な方向の位置を段階的に異ならせ、電子部品吸着時における吸着ノズルへの負圧の供給タイミングが、例えば、電子部品の厚さに応じて変えられるようにしてもよい。
【0074】
さらに、リセット部材は、第一,第二通常リセット部の高さが同じものとしてもよい。第一,第二バルブスプールのそれぞれ正圧供給位置,負圧供給位置に位置する状態での第一,第二被係合部の高さの設定によっては、同じ高さの第一,第二通常リセット部によっても第一,第二バルブスプールを原位置にリセットすることができる。第一,第二特別リセット部についても同様である。
【0075】
また、バルブ装置の切換え,吸着ノズルとヘッド本体との相対昇降は、ヘッド保持部材の昇降に連動させることなく行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】請求可能発明の一実施例である電子部品装着システムを概略的に示す平面図である。
【図2】上記電子部品装着システムの一ノズルヘッドを備えた電子部品保持装置を示す正面図(一部断面)である。
【図3】上記電子部品装着システムのリボルバヘッドを備えた電子部品保持装置を示す正面図(一部断面)である。
【図4】上記リボルバヘッドのヘッド本体に設けられたスプール孔等を示す平面図である。
【図5】上記リボルバヘッドのヘッド本体に設けられた負圧供給用の個別通路を示す平面図である。
【図6】上記リボルバヘッドのヘッド本体に設けられた正圧供給用の個別通路を示す平面図である。
【図7】上記リボルバヘッドのヘッド本体に設けられた凹部を示す底面図である。
【図8】上記リボルバヘッドのレバー組立体を示す正面断面図である。
【図9】上記レバー組立体の支持部材を示す正面図である。
【図10】上記レバー組立体の支持部材を示す側面図である。
【図11】上記レバー組立体の支持部材を示す平面断面図である。
【図12】前記リボルバヘッドのヘッド本体の第一バルブスプールの上部を示す正面断面図である。
【図13】上記第一バルブスプールの第一被係合面を示す側面図である。
【図14】前記リボルバヘッドのヘッド本体の第二バルブスプールの上部を示す正面断面図である。
【図15】前記リボルバヘッドの減圧バルブを示す正面断面図である。
【図16】前記電子部品保持装置のリセットリングを示す展開図である。
【図17】前記電子部品保持装置がディスペンサヘッドを保持した状態を示す正面図(一部断面)である。
【図18】ヘッド収納装置の一部を示す平面図である。
【図19】上記ヘッド収納装置の一部を示す側面図である。
【図20】前記電子部品装着システムを制御する制御装置を示すブロック図である。
【図21】前記リボルバヘッドが上昇端位置から下降させられた状態を示す正面図(一部断面)である。
【図22】電子部品の吸着時,装着時のバルブ装置の切換えを説明する図である。
【符号の説明】
【0077】
10:電子部品保持装置 52:ヘッド保持部材 54:一ノズルヘッド 56:リボルバヘッド 132,202:負圧室用凹部 204:ヘッド吸着用負圧室 212:吸着ノズル 260:第一負圧供給系 262:第一正圧供給系 264:バルブ装置 280:第一バルブスプール 310:第二バルブスプール 500:ノズル昇降装置 504:リセットリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、
ヘッド保持部を備え、そのヘッド保持部において前記1つ以上の複ノズルヘッドを択一的に保持するヘッド保持部材と
を含み、前記ヘッド保持部と、前記複ノズルヘッドの被保持部との少なくとも一方に、ヘッド用負圧供給通路に接続されるとともに他方と共同してヘッド吸着用負圧室を形成する負圧室用凹部が設けられたことを特徴とする電子部品保持装置。
【請求項2】
前記1つ以上の複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドを1つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品保持装置。
【請求項3】
前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルに負圧を供給する第一負圧供給系と、前記複数の吸着ノズルに正圧を供給する第一正圧供給系とを備え、前記ヘッド保持部材が、前記複ノズルヘッドが前記ヘッド保持部に保持されるのに伴って、前記第一負圧供給系および前記第一正圧供給系とそれぞれ連通する第二負圧供給系および第二正圧供給系を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品保持装置。
【請求項4】
前記第一負圧供給系と前記第二負圧供給系とが前記負圧室用凹部を介して互いに連通し、前記ヘッド用負圧供給通路が前記第二負圧供給系の負圧供給通路を兼ねることを特徴とする請求項3に記載の電子部品保持装置。
【請求項5】
前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルの各々に対して設けられ、各吸着ノズルをそれぞれ、少なくとも前記第一負圧供給系に連通させる状態と前記第一正圧供給系に連通させる状態とに切り換えが可能な複数のバルブ装置を含み、かつ、
当該電子部品保持装置が、
前記ヘッド保持部材を前記吸着ノズルに平行な方向に昇降可能に保持する保持装置本体と、
その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材を相対的に昇降させるヘッド保持部材昇降装置と
を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の電子部品保持装置。
【請求項6】
前記保持装置本体に保持され、前記ヘッド保持部材の昇降に連動して前記バルブ装置を機械的に切り換えるバルブ切換装置を含むことを特徴とする請求項5に記載の電子部品保持装置。
【請求項7】
前記保持装置本体に保持され、前記ヘッド保持部材の昇降に機械的に連動して前記複数の吸着ノズルの任意のものを前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体に対して相対的に昇降させる相対昇降装置を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の電子部品保持装置。
【請求項8】
前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体が、それぞれ互いに異なる気体通路が形成された3枚以上のプレートが互いに気密に積層されて成る積層構造部を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の電子部品保持装置。
【請求項9】
前記3枚以上のプレートの少なくとも1枚は、表裏両面の少なくとも一方にその一方と平行に延びる溝部と、その少なくとも1枚を貫通する貫通路とを含むことを特徴とする請求項8に記載の電子部品保持装置。
【請求項10】
前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記バルブ切換装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記バルブ切換装置を任意の位置へ旋回させるバルブ切換装置旋回装置を含むことを特徴とする請求項6に記載の電子部品保持装置。
【請求項11】
前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記相対昇降装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記相対昇降装置を任意の位置へ旋回させる相対昇降装置旋回装置を含むことを特徴とする請求項7項に記載の電子部品保持装置。
【請求項12】
前記バルブ装置が、前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体に、前記複数の吸着ノズルの各々と平行な方向に移動可能に保持された少なくとも1つのバルブスプールを含み、前記バルブ切換装置が、前記ヘッド保持部材の下降に伴って前記バルブスプールの被係合部に係合し、そのバルブスプールを前記ヘッド本体に対して相対移動させるバルブ切換部材を含み、かつ、当該電子部品保持装置が、前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材がリセット位置まで上昇させられた場合に前記バルブスプールに係合して、そのバルブスプールを原位置にリセットするリセット部材を含むことを特徴とする請求項6に記載の電子部品保持装置。
【請求項13】
前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材が特別リセット位置まで上昇させられた場合に、前記複数の吸着ノズルのうちの任意の一つに対応する前記バルブスプールに係合して、そのバルブスプールを原位置にリセットする特別リセット部材を含むことを特徴とする請求項12に記載の電子部品保持装置。
【請求項14】
前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材が特別切換位置まで下降させられた場合に、前記複数の吸着ノズルのうちの任意の一つに対応する前記バルブスプールに係合して、その任意の一つを前記第一正圧供給系に連通させる状態にそのバルブスプールを切り換える特別バルブ切換装置を含むことを特徴とする請求項13に記載の電子部品保持装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の電子部品保持装置と、
1つの吸着ノズルを保持し、前記複ノズルヘッドと択一的に前記ヘッド保持部に保持される一ノズルヘッドを1つ以上含む電子部品保持装置と、
電子部品を供給する部品供給装置と、
その部品供給装置から供給される電子部品が装着されるべき回路基板を保持する基板保持装置と、
それら電子部品保持装置,部品供給装置および基板保持装置を、前記吸着ノズルの軸線と直交する方向に相対移動させる相対移動装置と、
その相対移動装置と前記電子部品保持装置とを制御することにより、電子部品保持装置に前記部品供給装置から電子部品を受け取らせ、基板保持装置に保持された回路基板に装着させる制御装置と
を含むことを特徴とする電子部品装着システム。
【請求項16】
共通のヘッド保持部材に、(a)複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、(b)1つの吸着ノズルを保持する1つ以上の一ノズルヘッドとを、負圧に基づく吸着により択一的に保持させ、それら複ノズルヘッドと一ノズルヘッドとに電子部品を保持させて、それら電子部品を1枚の回路基板に装着させることを特徴とする電子部品装着方法。
【請求項1】
複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、
ヘッド保持部を備え、そのヘッド保持部において前記1つ以上の複ノズルヘッドを択一的に保持するヘッド保持部材と
を含み、前記ヘッド保持部と、前記複ノズルヘッドの被保持部との少なくとも一方に、ヘッド用負圧供給通路に接続されるとともに他方と共同してヘッド吸着用負圧室を形成する負圧室用凹部が設けられたことを特徴とする電子部品保持装置。
【請求項2】
前記1つ以上の複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドを1つ以上含むことを特徴とする請求項1に記載の電子部品保持装置。
【請求項3】
前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルに負圧を供給する第一負圧供給系と、前記複数の吸着ノズルに正圧を供給する第一正圧供給系とを備え、前記ヘッド保持部材が、前記複ノズルヘッドが前記ヘッド保持部に保持されるのに伴って、前記第一負圧供給系および前記第一正圧供給系とそれぞれ連通する第二負圧供給系および第二正圧供給系を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品保持装置。
【請求項4】
前記第一負圧供給系と前記第二負圧供給系とが前記負圧室用凹部を介して互いに連通し、前記ヘッド用負圧供給通路が前記第二負圧供給系の負圧供給通路を兼ねることを特徴とする請求項3に記載の電子部品保持装置。
【請求項5】
前記複ノズルヘッドが、前記複数の吸着ノズルの各々に対して設けられ、各吸着ノズルをそれぞれ、少なくとも前記第一負圧供給系に連通させる状態と前記第一正圧供給系に連通させる状態とに切り換えが可能な複数のバルブ装置を含み、かつ、
当該電子部品保持装置が、
前記ヘッド保持部材を前記吸着ノズルに平行な方向に昇降可能に保持する保持装置本体と、
その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材を相対的に昇降させるヘッド保持部材昇降装置と
を含むことを特徴とする請求項3または4に記載の電子部品保持装置。
【請求項6】
前記保持装置本体に保持され、前記ヘッド保持部材の昇降に連動して前記バルブ装置を機械的に切り換えるバルブ切換装置を含むことを特徴とする請求項5に記載の電子部品保持装置。
【請求項7】
前記保持装置本体に保持され、前記ヘッド保持部材の昇降に機械的に連動して前記複数の吸着ノズルの任意のものを前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体に対して相対的に昇降させる相対昇降装置を含むことを特徴とする請求項5または6に記載の電子部品保持装置。
【請求項8】
前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体が、それぞれ互いに異なる気体通路が形成された3枚以上のプレートが互いに気密に積層されて成る積層構造部を含むことを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の電子部品保持装置。
【請求項9】
前記3枚以上のプレートの少なくとも1枚は、表裏両面の少なくとも一方にその一方と平行に延びる溝部と、その少なくとも1枚を貫通する貫通路とを含むことを特徴とする請求項8に記載の電子部品保持装置。
【請求項10】
前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記バルブ切換装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記バルブ切換装置を任意の位置へ旋回させるバルブ切換装置旋回装置を含むことを特徴とする請求項6に記載の電子部品保持装置。
【請求項11】
前記複ノズルヘッドが、一円周上の3つ以上の位置に、その一円周の中心線に平行な姿勢で、前記複数の吸着ノズルとして3つ以上の吸着ノズルの各々を保持する多ノズルヘッドであり、前記相対昇降装置が前記保持装置本体に、前記一円周の中心線まわりに旋回可能に保持され、当該電子部品保持装置が、前記相対昇降装置を任意の位置へ旋回させる相対昇降装置旋回装置を含むことを特徴とする請求項7項に記載の電子部品保持装置。
【請求項12】
前記バルブ装置が、前記複ノズルヘッドの本体であるヘッド本体に、前記複数の吸着ノズルの各々と平行な方向に移動可能に保持された少なくとも1つのバルブスプールを含み、前記バルブ切換装置が、前記ヘッド保持部材の下降に伴って前記バルブスプールの被係合部に係合し、そのバルブスプールを前記ヘッド本体に対して相対移動させるバルブ切換部材を含み、かつ、当該電子部品保持装置が、前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材がリセット位置まで上昇させられた場合に前記バルブスプールに係合して、そのバルブスプールを原位置にリセットするリセット部材を含むことを特徴とする請求項6に記載の電子部品保持装置。
【請求項13】
前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材が特別リセット位置まで上昇させられた場合に、前記複数の吸着ノズルのうちの任意の一つに対応する前記バルブスプールに係合して、そのバルブスプールを原位置にリセットする特別リセット部材を含むことを特徴とする請求項12に記載の電子部品保持装置。
【請求項14】
前記保持装置本体に保持され、その保持装置本体に対して前記ヘッド保持部材が特別切換位置まで下降させられた場合に、前記複数の吸着ノズルのうちの任意の一つに対応する前記バルブスプールに係合して、その任意の一つを前記第一正圧供給系に連通させる状態にそのバルブスプールを切り換える特別バルブ切換装置を含むことを特徴とする請求項13に記載の電子部品保持装置。
【請求項15】
請求項1ないし14のいずれかに記載の電子部品保持装置と、
1つの吸着ノズルを保持し、前記複ノズルヘッドと択一的に前記ヘッド保持部に保持される一ノズルヘッドを1つ以上含む電子部品保持装置と、
電子部品を供給する部品供給装置と、
その部品供給装置から供給される電子部品が装着されるべき回路基板を保持する基板保持装置と、
それら電子部品保持装置,部品供給装置および基板保持装置を、前記吸着ノズルの軸線と直交する方向に相対移動させる相対移動装置と、
その相対移動装置と前記電子部品保持装置とを制御することにより、電子部品保持装置に前記部品供給装置から電子部品を受け取らせ、基板保持装置に保持された回路基板に装着させる制御装置と
を含むことを特徴とする電子部品装着システム。
【請求項16】
共通のヘッド保持部材に、(a)複数の吸着ノズルを互いに平行な姿勢で保持し、それら吸着ノズルの各々において電子部品を保持する1つ以上の複ノズルヘッドと、(b)1つの吸着ノズルを保持する1つ以上の一ノズルヘッドとを、負圧に基づく吸着により択一的に保持させ、それら複ノズルヘッドと一ノズルヘッドとに電子部品を保持させて、それら電子部品を1枚の回路基板に装着させることを特徴とする電子部品装着方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2006−261325(P2006−261325A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75397(P2005−75397)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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