説明

電子部品及び電子部品の製造方法

【課題】放熱効率のよい放熱器を備えることができる電子部品及び電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】電子部品10は、(a)マザー基板2と、(b)マザー基板2に取り付けられるモジュール基板12と、(c)放熱器20とを備える。放熱器20は、モジュール基板12に関してマザー基板2とは反対側に配置される放熱部22と、放熱部22をマザー基板2に接続する接続部24とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及び電子部品の製造方法に関し、詳しくは、マザー基板にモジュール基板が取り付けられた電子部品及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、モジュール基板上に半導体チップなどを実装したモジュール(複合部品)が提供されている。モジュールの発熱量が大きくなる場合には、モジュールに放熱器が配置される。
【0003】
例えば図11の断面図の模式的に示すように、モジュール基板110に実装されたチップ104の発熱が大きい場合、チップ104が封入されている封入樹脂101の上に、放熱用のヒートシンク201が装着される(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008―288250号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
発熱量の大きい電源やパワーアンプ等を含むモジュールには、放熱効率のよい放熱器が必要となる。
【0006】
しかし、放熱効率のよい放熱器を備えたモジュールは熱容量が大きく、放熱器から熱が逃げてしまうため、マザー基板にモジュールをハンダ等により実装・固着するため加熱する際に、ハンダが溶融するハンダ付け等の温度まで温度が上がらず、実装性が悪くなることがある。ハンダ付け等の温度まで温度を上げるために加熱時間を長くすると、長時間の加熱の影響で、モジュール内部の配線や実装部品が特性不良等を起こし、モジュールとして特性劣化を起こす場合がある。
【0007】
このような不具合は、放熱効率のよい放熱器ほど生じやすい。そのため、放熱効率のよい放熱器を備えた放熱器付きモジュールは、表面実装が難しいという問題がある。
【0008】
また、放熱器付きのモジュールの放熱器は、モジュール表面にのみ接触し、モジュールで発生した熱のほとんどは放熱器の表面から空中に放熱されるだけであるため、放熱効率の向上には限界がある。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑み、放熱効率のよい放熱器を備えことができる電子部品及び電子部品の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した電子部品を提供する。
【0011】
電子部品は、(a)マザー基板と、(b)前記マザー基板に取り付けられるモジュール基板と、(c)前記モジュール基板に関して前記マザー基板とは反対側に配置される放熱部と、前記放熱部を前記マザー基板に接続する接続部とを有する放熱器とを備える。
【0012】
上記構成の電子部品を製造する場合、マザー基板にモジュール基板を取り付けた後に、放熱器を取り付けると、マザー基板にモジュール基板を取り付ける際には、放熱器がないため、熱容量が小さく、放熱器から放熱されることがない。そのため、マザー基板にモジュール基板を取り付ける際に、実装性が向上する。また、モジュール基板内の部品や配線への熱負荷を低減できる。
【0013】
上記構成の電子部品は、モジュール基板から放熱器の放熱部に伝達された熱の一部を、放熱器の接続部を経てマザー基板側に逃がすことができるため、放熱器に接続部がない場合より、放熱効果が向上する。
【0014】
したがって、上記構成の電子部品は、放熱効率のよい放熱器を備えることができる。
【0015】
また、モジュール基板側に放熱器を取り付けるための篏合部や接続部が不要になるため、モジュール基板が小型化でき、モジュール基板に放熱器取り付け用の取り付け部の加工が不要になるため、モジュール基板のコストを低減できる。
【0016】
好ましくは、前記マザー基板に、前記放熱器の前記接続部と嵌合する嵌合部が設けられている。
【0017】
この場合、嵌合によって、放熱器をマザー基板に簡単に固定できる。例えば、嵌合部として、マザー基板を貫通する貫通穴をマザー基板に形成し、貫通穴に放熱器の接続部を挿入すると、接続部の折れ曲がった先端部がマザー基板に係合するように構成する。あるいは、放熱器の接続部と嵌合するように構成された部材を、嵌合部としてマザー基板に取り付けてもよい。
【0018】
好ましくは、前記放熱器の前記接続部は、前記放熱器の前記接続部が前記マザー基板に嵌合すると、前記放熱器の前記放熱部を前記モジュール基板及び前記マザー基板に向けて付勢するばね部を含む。
【0019】
この場合、放熱器とマザー基板あるいはモジュール基板とを遊びがないように配置することができるので、振動や衝撃、温度変化などに対して強い構成とすることができる。
【0020】
好ましくは、前記モジュール基板は、前記マザー基板とは反対側の表面に実装部品が実装される。前記放熱器の前記放熱部は、前記モジュール基板の前記表面のうち前記実装部品が実装された部分以外を覆うように配置される。
【0021】
この場合、モジュール基板の表面に実装された実装部品を覆うように実装部品の上に放熱器の放熱部を配置する場合よりも、電子部品全体を低背化することができる。
【0022】
好ましくは、前記モジュール基板は、前記マザー基板とは反対側の表面に実装部品が実装される。前記放熱器の前記放熱部は、前記モジュール基板の前記表面に実装された前記実装部品の少なくとも一部を覆うように配置される。
【0023】
この場合、モジュール基板の表面に実装されるパワーアンプや電源などの発熱が大きい実装部品の直上に放熱器の放熱部を配置することにより、効果的に放熱できる。
【0024】
好ましくは、前記モジュール基板は、前記マザー基板とは反対側の表面に実装部品が実装される。前記放熱器の前記放熱部は、前記モジュール基板の前記表面に実装された前記実装部品の少なくとも一部に接するように配置される。
【0025】
この場合、モジュール基板上の実装部品で発生する熱を、直接、放熱器の放熱部で受けることができ、放熱効果が向上する。また、モジュール基板上の実装部品と放熱器の放熱部との間に間隔を設ける場合に比べ、放熱器を含めた電子部品全体を低背化できる。
【0026】
好ましくは、前記モジュール基板は、前記マザー基板とは反対側の表面に実装部品が実装される。前記放熱器の前記放熱部と、前記モジュール基板の前記表面に実装された前記実装部品との間に、弾力性を有し、かつ電気的絶縁性を有する絶縁シートが配置される。
【0027】
放熱器の放熱部とモジュール基板の表面に実装された実装部品とを直接接触させる場合には、両者の間に少しでも傾きがあると、接触面積が極端に小さくなり、放熱能力が極端に低下してしまう。これに対し、両者の間に弾力性を有する絶縁シートを配置すると、両者の間に多少傾きがあっても、放熱器の放熱部と絶縁シートとが接触する面積と、モジュール基板の表面に実装された実装部品と絶縁シートとが接触する面積とを容易に大きくすることができる。そのため、モジュール基板の表面に実装された実装部品から、絶縁シートを介して、放熱器の放熱部に、確実かつ容易に熱が伝達されるので、確実かつ容易に放熱できる。
【0028】
好ましくは、前記モジュール基板の前記マザー基板とは反対側の表面に実装された実装部品と、前記モジュール基板の前記表面に実装された前記実装部品の少なくとも側面を覆うように前記モジュール基板の前記表面に配置された封止層とをさらに備える。
【0029】
この場合、モジュール基板の表面に実装された実装部品とモジュール基板との間の接続部分が封止層で封止されるので、耐環境性が向上する。
【0030】
また、本発明は、上記課題を解決するために、以下のように構成した電子部品の製造方法を提供する。
【0031】
電子部品の製造方法は、(i)放熱部と接続部とを有する放熱器と、前記放熱器の前記接続部と嵌合する嵌合部が設けられたマザー基板と、前記マザー基板に取り付けるためのモジュール基板とを準備する工程と、(ii)前記マザー基板に前記モジュール基板を取り付ける工程と(iii)前記マザー基板に取り付けられた前記モジュール基板の少なくとも一部を覆うように、前記モジュール基板に関して前記マザー基板とは反対側に、前記放熱器の前記放熱部を配置するとともに、前記マザー基板に設けられた前記篏合部に前記放熱器の前記接続部を篏合させる工程とを備える。
【0032】
上記方法によれば、マザー基板にモジュール基板を取り付けた後に、放熱器を取り付けると、マザー基板にモジュール基板を取り付ける際に加熱しても、放熱器から放熱されない。
【0033】
上記方法で製造された電子部品は、モジュール基板から放熱器の放熱部に伝達された熱の一部が、放熱器の接続部を経てマザー基板に伝達されるので、放熱器に接続部がない場合より、放熱効果が増す。
【0034】
したがって、電子部品は、放熱効率のよい放熱器を備えることができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、電子部品は、放熱効率のよい放熱器を備えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】電子部品の要部分解斜視図である。(実施例1)
【図2】電子部品の斜視図である。(実施例1)
【図3】電子部品の斜視図である。(実施例2)
【図4】電子部品の斜視図である。(実施例3)
【図5】電子部品の斜視図である。(実施例4)
【図6】電子部品の斜視図である。(実施例5)
【図7】電子部品の正面図である。(実施例5)
【図8】電子部品の要部分解斜視図である。(実施例6)
【図9】電子部品の要部組立斜視図である。(比較例)
【図10】電子部品の斜視図である。(比較例)
【図11】モジュールの断面図である。(従来例)
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施の形態について、図1〜図10を参照しながら説明する。
【0038】
<実施例1> 実施例1の電子部品10について、図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、電子部品10の要部分解斜視図である。図2は、電子部品10の斜視図である。
【0039】
図1及び図2に示すように、電子部品10は、マザー基板2の上面2aに、モジュール基板12が取り付けられている。モジュール基板12の上には、放熱器20の放熱部22が配置される。放熱器20は、接続部24によって、マザー基板2に接続される。
【0040】
マザー基板2には、マザー基板2の上面2aと下面2bとの間を貫通する貫通穴4が形成されている。
【0041】
モジュール基板12は、例えばセラミックや樹脂の1層又は多層の基板であり、多層基板の場合、回路素子を内蔵してもよい。
【0042】
モジュール基板12の上面12aには、実装部品16,18が実装される。モジュール基板12は矩形形状を有し、対向する一対の辺に沿って、接続端子14が配列されている。接続端子14は、互いに略平行かつ互いに反対側に延在する第1片14a及び第3片14cと、第1片14aと第3片14cとを接続する第2片14bとからなる。第1片14aは、マザー基板2の不図示の端子電極に接続される。第3片14cは、モジュール基板12の上面12aに沿って延在する。第2片14bの第1片14a側はモジュール基板12から突出しており、モジュール基板12はマザー基板2から浮いた状態で取り付けられる。
【0043】
放熱器20の放熱部22の表面には凹凸が形成され、空気中に放熱するための表面積が大きくされている。
【0044】
放熱器20の接続部24は、放熱器20の放熱部22とマザー基板2とを接続する。放熱器20の接続部24は、モジュール基板12の対向する他の一対の辺に沿って配置される。放熱器20の接続部24は、間隔を設けて互いに略平行かつ互いに反対側に延在する第1片24p及び第3片24rと、第1片24pと第3片24rとを接続する第2片24qとからなる。放熱器20の接続部24の第3片24rは、放熱器20の放熱部22に、不図示のねじ等により接続され、固着される。マザー基板2の貫通穴4に、放熱器20の接続部24の第2片24qが挿通され、マザー基板2の下面2bに放熱器20の接続部24の第1片24pが係合する。これにより、放熱器20の接続部24は、マザー基板2の貫通穴4に嵌合する。この場合、マザー基板2の貫通穴4と、マザー基板2の下面2bのうち放熱器20の接続部24の第1片24pが係合する部分とにより、嵌合部が形成される。
【0045】
放熱器20は、例えばアルミニウムなどの熱伝導率が大きい材料を用いて作製する。例えば、放熱器20の接続部24と放熱器20の放熱部22を別々に作製した後、両者を接続し、ねじ等で一体化する。放熱器20全体を、初めから一体に加工してもよい。
【0046】
図1に示すように、マザー基板2と放熱器20との間には、絶縁シート30が配置され、絶縁シート30は、マザー基板2と放熱器20との間に挟まれる。絶縁シート30は、柔らかくて薄いゴム状のシートであり、弾力性を有し、かつ電気的絶縁性を有する。絶縁シート30の下面30bは、実装部品16,18の上面16s,18s全体に密着する。また、絶縁シート30の上面30aは、放熱器20の下面20s全体に密着する。これにより、実装部品16,18から、絶縁シート30を介して放熱器20に熱が伝達されるとともに、実装部品16,18間での絶縁不良によるショートや放熱器20と実装部品16,18との間でのショートによる不良を防ぐことができる。
【0047】
モジュール基板12の上面12aに実装された実装部品16,18の上面16s,18sの高さが異なる場合には、実装部品16,18の上面16s,18sの高さに対応して、放熱器20の下面20sに凹凸や段差を形成する。その場合でも、絶縁シート30は柔軟性を有するので、凹凸や段差に沿い、実装部品16,18の上面16s,18sと放熱器20の下面20sとに密着することができる。
【0048】
絶縁シート30は、放熱器20と実装部品16,18とに接触しているだけであり、接着剤等により固着されてはいない。なお、絶縁シート30と放熱器20あるいは実装部品16,18とを完全に密着させる場合は接着剤で固着しても構わない。
【0049】
電子部品10は、次のように製造する。
【0050】
まず、マザー基板2と、モジュール基板12と、放熱器20と、絶縁シート30とを準備する。
【0051】
次いで、マザー基板2にモジュール基板12を取り付ける。このとき、接続端子14の第1片14aとモジュール基板12の不図示の電極との間をハンダ等で接続するために加熱しても、放熱器20はまだ取り付けられていないため、確実に温度を上げ、短時間で加熱を終えることができる。
【0052】
次いで、モジュール基板12の上に絶縁シート30を載せ、さらにその上に、放熱器20の放熱部22を配置するとともに、マザー基板2に設けられた貫通穴4に、放熱器20の接続部24の第1片24aを、マザー基板2の上面2a側から挿入して、マザー基板2の下面2bに引っ掛ける。すなわち、放熱器20の接続部24をマザー基板2に篏合させる。
【0053】
以上のように、マザー基板2にモジュール基板12を取り付けた後に、放熱器20を取り付けると、放熱器20の放熱効率がよくても、製造工程において不都合が生じない。
【0054】
電子部品10は、放熱器20の放熱部22とマザー基板2とが接続部24を介して接続されているので、放熱器20の放熱部22に伝達された熱の一部が、放熱器20の接続部24を経てマザー基板2に伝達されるので、熱容量が増大する。そのため放熱器20に接続部24がない場合より、放熱効果が向上する。
【0055】
したがって、電子部品10は、放熱効率のよい放熱器20を備えることができる。
【0056】
また、放熱器20の接続部24とマザー基板2の貫通穴4との嵌合により、放熱器20がマザー基板2に取り付けられるので、マザー基板2には、放熱器20を取り付けるための部材を用意する必要がない。
【0057】
放熱器20とモジュール基板12との間に絶縁シート30が挟まれるようにすると、放熱器20の下面20sとモジュール基板12の上面12aに実装された実装部品16,18の上面16s,18sとが互いに平行ではなく、両者の間に多少の傾きがあっても、放熱器20の下面20sと絶縁シート30の上面30aとが接触する面積と、モジュール基板12の上面12aに実装された実装部品16,18の上面16s,18sと絶縁シート30の下面30bとが接触する面積とが小さくならないようにすることができる。そのため、モジュール基板12の上面12aに実装された実装部品16,18から、絶縁シート30を介して放熱器20に十分に熱が伝達され、確実に放熱されるようにすることが容易である。
【0058】
例えば、マザー基板が携帯電話や光伝送通信などの基地局モジュールに搭載される基板であり、モジュール基板がDC−DCコンバータである場合、発熱量が大きいパワーアンプや電源などが実装されたモジュール基板に対して、十分に放熱効果を発揮させることができる。
【0059】
<実施例2> 実施例2の電子部品10aについて、図3を参照しながら説明する。
【0060】
図3は、電子部品10aの構成を示す斜視図である。図3に示すように、実施例2の電子部品10aは、実施例1の電子部品10と略同様に構成される。以下では、実施例1との相違点を中心に説明し、実施例1と同様の構成部分には同じ符号を用いる。
【0061】
図3に示すように、実施例1と異なり、矩形のモジュール基板12の対向する一対の辺に沿って、モジュール基板12をマザー基板2sに取り付けるための接続端子14と、放熱器20aの放熱部22とマザー基板2sとを接続する放熱器20aの接続部25との両方が、それぞれ配置されている。
【0062】
放熱器20aの放熱部25は、実施例1と同様に、間隔を設けて互いに略平行かつ互いに反対側に延在する第1片25a及び第3片25cと、第1片25aと第3片25cとを接続する第2片25bとからなる。第2片25aは、マザー基板2sの上面2aかは、マザー基板の貫通穴4aに挿通され、マザー基板2sの下面2bに係合する。
【0063】
電子部品10aは、実施例1と同様に、放熱効率がよい放熱器20aを備えることができる。
【0064】
<実施例3> 実施例3の電子部品10bについて、図4を参照しながら説明する。
【0065】
図4は、電子部品10bの構成を示す斜視図である。図4に示すように、実施例3の電子部品10bは、実施例1の電子部品10と略同様に構成されている。
【0066】
実施例3の電子部品10bは、実施例1と異なり、放熱器20bの接続部26がマザー基板2tの上面2aに、ねじ29で固定される。詳しくは、放熱器20bの接続部26は、実施例1と同様に、間隔を設けて互いに略平行かつ互いに反対側に延在する第1片26a及び第3片26cと、第1片26aと第3片26cとを接続する第2片26bとからなり、第1片26aがマザー基板2tの上面2aにねじ29で固定される。
【0067】
放熱器20bに伝達された熱の一部は、放熱器20bの接続部26を経てマザー基板2tに伝達される。
【0068】
したがって、電子部品10bは、放熱効率のよい放熱器20bを備えることができる。
【0069】
<実施例4> 実施例4の電子部品10cについて、図5を参照しながら説明する。
【0070】
図5は、電子部品10cの構成を示す斜視図である。図5に示すように、実施例4の電子部品10cは、実施例1の電子部品10と略同様に構成されている。放熱器20cの放熱部22cとマザー基板2pとを接続する放熱器20cの接続部28や、マザー基板2pの貫通穴4cは、実施例1と同様に構成されており、接続部28の第1片28aがマザー基板2pの下面2bに係合する。
【0071】
電子部品10cは、実施例1と異なり、放熱器20cの放熱部22cが、モジュール基板12の上面12aの一部分のみを覆うようになっている。放熱が必要な箇所だけに部分的に放熱器20cの放熱部22cを配置することで、部品の小型化とコスト削減を図ることができる。
【0072】
例えば、放熱器20cの放熱部22cは、モジュール基板12の上面12aに実装された実装部品の少なくとも一部を覆うように配置される。この場合、モジュール基板12の上面12aに実装されるパワーアンプや電源などの発熱が大きい実装部品の直上に放熱器20cの放熱部22cを配置して、効果的に放熱できる。
【0073】
放熱器20cの放熱部22cが、モジュール基板12の上面12aに実装された実装部品の少なくとも一部に接するように配置されると、モジュール基板12上の実装部品で発生する熱を、直接、放熱器20cの放熱部22cで受けることができ、放熱効果が向上する。また、モジュール基板上の実装部品と放熱器の放熱部との間に間隔を設ける場合に比べ、放熱器22cを含めた電子部品10c全体を低背化できる。
【0074】
放熱器20cの放熱部22cは、モジュール基板12の上面12aのうち、実装部品16,18が配置されていない部分に配置してもよい。この場合には、放熱部22cを実装部品16,18の間に配置できるため、モジュール基板12に実装された実装部品16,18の上に放熱器の放熱部が配置される場合よりも、電子部品10c全体の低背化を図ることができる。
【0075】
<実施例5> 実施例5の電子部品10dについて、図6及び図7を参照しながら説明する。
【0076】
図6は、電子部品10dの構成を示す斜視図である。図7は、電子部品10dの構成を示す正面図である。
【0077】
図6及び図7に示すように、実施例5の電子部品10dは、実施例1の電子部品10と略同様に構成されており、マザー基板2qの貫通穴4dに放熱器20dの接続部27が嵌合される。
【0078】
電子部品10dは、実施例1と異なり、互いに略平行かつ互いに反対側に延在する第1片27a及び第3片27cと、第1片27a及び第3片27cを接続する第2片27bとを備える放熱器20dの接続部27に、ばね部27s,27tが形成されている。すなわち、放熱器20dの接続部27の第2片27bの中間位置に、ばね部27sが形成されている。また、放熱器20dの接続部27の第1片27aと第2片27bとが、ばね部27tを介して接続されている。
【0079】
ばね部27s,27tは、放熱器20dの接続部27の第1片27aが、マザー基板2qの貫通穴4dに挿通されてマザー基板2qの下面2bに係合した組立状態では、放熱器20dの放熱部22をモジュール基板12及びマザー基板2qに向けて付勢するように、形成されている。すなわち、組立状態において、ばね部27sが自然状態から伸ばされ、ばね部27tの角度が自然状態から広げられるように形成されている。
【0080】
ばね部27s,27tの寸法、形状等によって、放熱器20dの放熱部22をモジュール基板12及びマザー基板2qに付勢する力を調整することができ、放熱器20dを、マザー基板2qあるいはモジュール基板12との間で遊びがないように取り付けることができる。
【0081】
したがって、電子部品10dは、振動や衝撃、温度変化などに対して強い構成とすることができる。
【0082】
<実施例6> 実施例6の電子部品について、図8を参照しながら説明する。
【0083】
図8は、実施例6の電子部品の構成を示す要部分解斜視図である。図8に示すように、 実施例6の電子部品は、実施例1と同様に、放熱器20の接続部24が不図示のマザー基板に嵌合され、放熱器20の放熱部22とマザー基板とを接続する。
【0084】
実施例6の電子部品は、実施例1と異なり、モジュール基板12の上面12aに、樹脂を用いて封止層19が形成されている。
【0085】
封止層19は、少なくとも、モジュール基板12の上面12aに実装された実装部品16,18の側面16t,18tを覆い、モジュール基板12の上面12aと実装部品16,18との間の接続部分を封止するように形成する。これにより、耐環境性が向上する。
【0086】
図8に示すように、モジュール基板12の上面12aに実装された実装部品16,18を完全に覆うように封止層19を形成すると、封止層19の形成が容易である。また、弾力性を有する樹脂を用いて封止層19を形成することにより、モジュール基板12の上に放熱器20の放熱部22を配置したときに、放熱器20の下面20s全体が封止層19の上面19a全体に接するようにすることができるので、絶縁シートをなくしても、モジュール基板12側から放熱器20に効率よく熱が伝達されるようにすることができる。
【0087】
<比較例> 比較例の電子部品10xについて、図9及び図10を参照しながら説明する。
【0088】
図9は、電子部品10xの構成を示す要部斜視図である。図10は、電子部品10xの構成を示す斜視図である。
【0089】
図9及び図10に示すように、比較例の電子部品10xは、放熱器20xとモジュール基板12との間に、絶縁シートが配置されていない。そのため、放熱器20xの下面20sと、モジュール基板12に実装された実装部品16,18の上面16s,18sとが互いに平行ではなく、傾いている場合には、放熱器20xと実装部品16,18との接触面積が極端に小さくなり、モジュール基板12側から放熱器20xへの伝熱量が低下し、放熱効果が低下する。そのため、電子部品10xは、放熱器20xと実装部品16,18との接触面積が小さくならないように、高精度に組み立てる必要がある。また、放熱器20xと実装部品16,18とが接触するときに、実装部品16,18に衝撃が加わらないようにする必要もある。そのため、容易に組立作業を行うことができない。
【0090】
一方、実施例1のように、弾力性を有する絶縁シートが放熱器と実装部品との間に挟まれるようにすると、放熱器の下面がモジュール基板に実装された実装部品の上面に対して多少傾いていても効率よく熱が伝わり、実装部品に衝撃が加わらないようにすることもできので、組立作業が容易になる。
【0091】
また、比較例の電子部品10xの放熱器20xは、放熱器20xの放熱部22とマザー基板2とを接続する接続部を備えていない。そのため、放熱部22に伝達された熱は、ほとんどが放熱部22の表面から空中に放熱される。
【0092】
一方、実施例1〜6では、放熱器の放熱部に伝達された熱は、放熱器の接続部からマザー基板にも放熱されるため、比較例よりも放熱効率が向上する。
【0093】
<まとめ> 以上のように、放熱器に、放熱器の放熱部とマザー基板とを接続する接続部を設けることにより、放熱効率を向上させることができる。マザー基板にモジュール基板を取り付けた後に放熱器を取り付けることにより、マザー基板にモジュール基板を取り付ける際に加熱しても、放熱器から放熱されることはないため、放熱器の放熱効率がよくても不都合は生じない。したがって、電子部品は、放熱効率のよい放熱器を備えることができる。
【0094】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変更を加えて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0095】
2,2p,2q,2s,2t マザー基板
4,4a,4c,4d 貫通穴
10,10a〜10d,10x 電子部品
12 モジュール基板
12a 上面(表面)
14 接続端子
16,18 実装部品
16s,18s 上面
16t,18t 側面
19 封止層
19a 上面
20,20a〜20d,20x 放熱器
20s 下面
22,22c 放熱部
24〜28 接続部
30 絶縁シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マザー基板と、
前記マザー基板に取り付けられるモジュール基板と、
前記モジュール基板に関して前記マザー基板とは反対側に配置される放熱部と、前記放熱部を前記マザー基板に接続する接続部とを有する放熱器と、
を備えたことを特徴とする、電子部品。
【請求項2】
前記マザー基板に、前記放熱器の前記接続部と嵌合する嵌合部が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記放熱器の前記接続部は、前記放熱器の前記接続部が前記マザー基板に嵌合すると、前記放熱器の前記放熱部を前記モジュール基板及び前記マザー基板に向けて付勢するばね部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記モジュール基板は、前記マザー基板とは反対側の表面に実装部品が実装され、
前記放熱器の前記放熱部は、前記モジュール基板の前記表面のうち前記実装部品が実装された部分以外を覆うように配置されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電子部品。
【請求項5】
前記モジュール基板は、前記マザー基板とは反対側の表面に実装部品が実装され、
前記放熱器の前記放熱部は、前記モジュール基板の前記表面に実装された前記実装部品の少なくとも一部を覆うように配置されることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の電子部品。
【請求項6】
前記モジュール基板は、前記マザー基板とは反対側の表面に実装部品が実装され、
前記放熱器の前記放熱部は、前記モジュール基板の前記表面に実装された前記実装部品の少なくとも一部に接するように配置されることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の電子部品。
【請求項7】
前記モジュール基板は、前記マザー基板とは反対側の表面に実装部品が実装され、
前記放熱器の前記放熱部と、前記モジュール基板の前記表面に実装された前記実装部品との間に、弾力性を有し、かつ電気的絶縁性を有する絶縁シートが配置されることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の電子部品。
【請求項8】
前記モジュール基板の前記マザー基板とは反対側の表面に実装された実装部品と、
前記モジュール基板の前記表面に実装された前記実装部品の少なくとも側面を覆うように前記モジュール基板の前記表面に配置された封止層と、
をさらに備えたことを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一つに記載の電子部品。
【請求項9】
放熱部と接続部とを有する放熱器と、前記放熱器の前記接続部と嵌合する嵌合部が設けられたマザー基板と、前記マザー基板に取り付けるためのモジュール基板とを準備する工程と、
前記マザー基板に前記モジュール基板を取り付ける工程と
前記マザー基板に取り付けられた前記モジュール基板の少なくとも一部を覆うように、前記モジュール基板に関して前記マザー基板とは反対側に、前記放熱器の前記放熱部を配置するとともに、前記マザー基板に設けられた前記篏合部に前記放熱器の前記接続部を篏合させる工程と、
を備えた電子部品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−134808(P2011−134808A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−291418(P2009−291418)
【出願日】平成21年12月22日(2009.12.22)
【出願人】(000006231)株式会社村田製作所 (3,635)
【Fターム(参考)】